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第一汎用スレ 〜散らばる夢〜

802/2:2018/12/03(月) 00:09:25 ID:WYdtJWBA
冷淡な口調の後に、しゃりんしゃりんと鈴の音が続く

傍にすらりと立っているのは、ラウネに抱えられていたはずのフィー
先程の恐怖に震えていた姿とは一変して、悠然とした表情に戻っていた
その端には僅かな綻びが見えるものの、組織で見る、いつもの彼女の姿だ。

「…」「…」「…」

惨憺たるありさまだった周囲が、しん――と静まり返る。
荒ぶっていた気持ち二人の気持ちが、音色が響く度に、穏やかな水面のように落ち着いていく

<ちりぃん、しゃりん、しゃりん>

「えっと…」
「私達…」
「何を…?」
「グルルル…」

住民達だけではない、獣までもが唸り声をあげつつもその動きを止めたのだ。

「―――――ラウネさん、今のうちに避難民の誘導を…ぼーっとされると"お荷物"です」
「―――――ですが、助かりました。ありがとうございます」

白魚のような手で摘んでいるのは、風鈴みたいな形をした金属製の鐘
それに、いくつもの鈴が垂れ下がっている
青白いマナの発光が、風鈴に刻まれた文様をなぞる

フィーは組織の中でも、ある意味で特別な立場を与えられている
そう…彼女は稀有なる『魔法の音』を扱う事ができるのだ

"しずまりの音"
猛獣ですら手懐けるその音色は、人畜問わず周囲に静寂をもたらした。

「グルルルルルルルル…」
だが、音色によって封じ込められたはずの獣が、こちらを見て唸り続ける
大人しくはしているものの、少しでも気を抜けばすぐに襲ってきそうだ。

「…妙ですね、姿形は獣にも関わらずその実は異なるとでも?」
「あまり長く持たないかもしれません…」

眼の前の異型の獣を見て、彼女の顔が曇る。


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