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第三汎用スレッド

1「鍵を持つ者」:2012/09/29(土) 00:27:21 ID:???
第三の眼なんて無かった

1776とある世界の冒険者:2014/05/25(日) 21:48:55 ID:v/KKjZDw
入ってきた男をじっと睨み付けると、ふいっと顔を逸らす。

「………手首が痛いのじゃ。」
自身を繋ぐ鎖をじゃらじゃらと鳴らし、不平を口にする。

「早く外してくれぬかのぅ?
 そろそろ家に帰りたいのでな、見送りも結構じゃよ。」

1777とある世界の冒険者:2014/05/25(日) 21:51:43 ID:z1Xc7j.I
「ふふ、それはごめんよ。」

顔を逸らした少女に近付いて、鎖で縛られている手を勝手に取って。

「ご希望通り……これは外そう。
 不便な思いをさせて悪かったね?」

ぱきん、と音を立てて手首とベッドを繋いでいた鎖がひとりでに壊れる。
自由の身にはなったが……。

「アリーサ。」
『はーいっ♪』

……廊下の方から荷台に乗せて運ばれてきた薬瓶などをみるに、
返してくれるわけではなさそうだ。

1778とある世界の冒険者:2014/05/25(日) 22:00:44 ID:v/KKjZDw
「………。
 ……むぅ……ちと痣がついてしまったではないか。」
開放された手を不機嫌そうに擦りながら見つめる。

「それで……わらわ、もう帰りたいと言ったのじゃが……。」
拘束から開放はされたものの、少女はまだ自由の身となったわけではない。
男に掛けられた暗示のせいで、逃げ出す事ができなくなっているに違いない。
そして、運ばれてくる妖しげな薬瓶……。
ろくでもない事が始まりそうな予感に、落ち着きを見せていた少女も少し顔色が悪くなってくる。

1779とある世界の冒険者:2014/05/25(日) 22:05:04 ID:z1Xc7j.I
「はは、ごめんよ。
 ――これでどうかな?」
無遠慮に少女の手を取って、指先で手の平からゆっくり、となぞる。
……鎖に撒かれていた痛みが消えて、心地よさがやってくる。

「ああ、解っているさ。――少し僕に付き合ってくれればすぐに返すよ。」
「大丈夫、少し痛いかもしれないけれど、危険な事はないよ。」

取った手を引いて、ベッドから立たせるようにして部屋の椅子へと導いて。

「勿論、君の家までしっかり送る事も約束させてもらうし――」
「何だったら、お礼をさせてもらう事だって考えてる。」

椅子へと座らせる。

1780とある世界の冒険者:2014/05/25(日) 22:09:48 ID:v/KKjZDw
「……ふむ……。
 ……ま、よしとするかのぅ……?」
痣の消えた手首を見つめ、ひとまず満足げに頷く。

「……本当かのう……?
 人を攫っておいて、そなたの言うことを信じろと言う方が無理と言うものじゃ。」
反抗的な態度を取るが、しかし暗示の効いた体は従順に椅子へと導かれていく。

1781とある世界の冒険者:2014/05/25(日) 22:19:15 ID:z1Xc7j.I
「本当さ、僕は嘘を吐かない事を信条にしてるんだ。
 昔の約束で……僕"本人"は、こうやって王都、とは癒えない所にいるしね。」

座ったミトに、先ずは何のし掛けもない紅茶と、甘いケーキを出して。
自身も対面に座って、同じように紅茶とお菓子を。


「少し、僕の好奇心を満たすのに協力してくれればいいんだ。」
「君の身体に興味があって、ね。」

1782とある世界の冒険者:2014/05/25(日) 22:25:17 ID:v/KKjZDw
「……ふん……わらわの身体なんぞ、調べたところで何も面白くないぞよ?
 フォスファーの奴も、今はもう殆ど力は残っておらぬ事はそちにもわかっておるじゃろう。」
反抗的な態度をとりつつも、
フォークを手に取り、少々乱暴に切り分けて口に放り込むのであった。

1783とある世界の冒険者:2014/05/25(日) 22:28:02 ID:z1Xc7j.I
「いいや、そうでもないよ。」
「そもそも……普通の人間が精霊をその身に取り込めている、なんて事が普通じゃないんだから。」

与えられたケーキは甘く、とても美味しい。
かなり良い店の物のようで自然と頬がほころんでしまう。

「だから例えば……そうだね……。」
対面の男は、少し考える様子で、椅子から立って。

1784とある世界の冒険者:2014/05/25(日) 22:34:06 ID:v/KKjZDw
「………。」
一瞬、ケーキの甘さにうかつにも表情を緩めてしまいそうになるが、
どうにか堪えてすまし顔。

「…………。
 ……何をするつもりじゃ……?」
急に立ち上がった男に、早速何かされるのではと警戒した様子。

1785とある世界の冒険者:2014/05/25(日) 22:36:08 ID:z1Xc7j.I
「ふふ、怖がらなくて良いよ。」
「少し熱いかもしれないけど……そう痛くはないさ。」

立ち上がった男は、ミトへと近付きフォークを持っていない方の手を取って。

「例えば――こんな風に。」
どうやって、かは解らないが。
「火の精霊」の魔力をミトの身体の中に大量に、流し込む。

1786とある世界の冒険者:2014/05/25(日) 22:44:23 ID:v/KKjZDw
「………っ!?」
突如、自身の中に流し込まれる熱い異物。

「……ふぁっ……あ、あああっっ……。」
流し込まれたモノが体内を暴れまわっている様な感覚がしばらく続く。
火照る身体を押さえて、がくがくと震える。

「……はぁ、はぁ……。
 ……何を、したのじゃ……。」
だが、すぐにそれは自身の身体の奥深くに馴染んでいった様である。

1787とある世界の冒険者:2014/05/25(日) 22:47:22 ID:z1Xc7j.I
「――ほらね?」
「痛い所か、心地よかっただろう?」

震えた後に、落ち着いた様子の娘を見下ろして。
冷たさを感じさせる瞳で、優しげな笑顔を浮かべて。

「精霊の魔力を流し込んだんだよ、昔僕が、手に入れた物を、ね。」
「普通は身体から漏れ出るか、そもそも受け入れられない、……けど……。」

そこで取った手を引き寄せ、ミトを立たせて、
自身の方へと引き寄せる。

「君は、耐えられる。」
「こんな風にしても、恐らくは。」

そうして今度は、雷の精霊の魔力を同じように……。

1788とある世界の冒険者:2014/05/25(日) 22:54:18 ID:v/KKjZDw
「……変な感じじゃ……。
 わらわの中に、違うものがいる様な……。
 それに、急にあんなことされたら、驚くのじゃよ。」


「ま、またするのかや……?
 ……ひあっ、ああああっっっ!!!」
今度は、全身に電気が流れる様な鮮烈な感覚。

「……あ、ああ……はぁ、はぁ……。」
体質的に耐えられる、とは言え身体に負担がかかる事には違いない。
急激に大量の魔力を2種類も流し込まれ、少しぐったりとする少女。

1789とある世界の冒険者:2014/05/25(日) 22:59:10 ID:z1Xc7j.I
「ふふ、大丈夫さ……魔力だけ、だからね。
 意思はとうの昔に咀嚼し終えているから、乗っ取られる事は無いよ。」
引き寄せた少女の頭を撫でて、落ち着かせるように。
何だか、近くで聞いていると心が落ち着いて来るようだ……。


「ああ、ごめんよ、少し辛かったかな?
 ――休もうか。」

くた、と疲れた様子のミトを持ち上げて……、
先程のベッドまで運んで、寝かせる。

1790とある世界の冒険者:2014/05/25(日) 23:04:50 ID:v/KKjZDw
「……はぁ、はぁ……
 ……も、もういいじゃろう……家に帰して欲しいのじゃ……。」
ベッドに横たわりながら弱々しく訴える少女。

なんだか男の声を聞いていると、物事がうまく考えられなくなってくる。
(……気を許してはダメじゃ、これもきっと暗示みたいなものじゃ……。)
しかし、今のところ正気を保ててはいるようだが……。

1791とある世界の冒険者:2014/05/25(日) 23:06:57 ID:z1Xc7j.I
「もう少しさ、休憩を挟みながらだから……そう長くはならないよ。」
「そうだね、明日には絶対に返すよ。――君がそう望むなら。」

後半を、強く、耳に残るように。
何だか、男から離れたくない、と思うような気持ちが自分の中に、あるような……?

「少しつらいだろうけど、我慢しておくれよ……。」
そうして額に手を置くと、今度は氷の精霊の魔力が、無理矢理に流し込まれる。

1792とある世界の冒険者:2014/05/25(日) 23:11:24 ID:v/KKjZDw
「……ふぁぅ………。」
今度は全身が急に冷え込む様な感覚。
ふるふると身体を震わせながら流し込まれる魔力に耐える。
3度目ともなると少し慣れてくるが、それでも異物が流し込まれる違和感は拭えない。

「………うぅ……ダメじゃ、はやくこやつから離れねば……
 ……なんだか、わらわはおかしくなってしまいそうじゃ……。」
ぼんやりとしてくる意識の中で、必死に男の暗示に抗おうとするが……。

1793とある世界の冒険者:2014/05/25(日) 23:14:40 ID:z1Xc7j.I
「ふふ、これも問題無し、と。」
「それじゃあ次は……ああ、大丈夫だよ、怖がらなくても。」

柔和な、一目見るだけでは優しげに見える笑顔のまま。
今度はミトの腹部に服の上から触れて。

「疲れてるなら、ゆっくり休んでくれてもいいよ。
 寝ている間には済ませておくから、ね。」

地の精霊と、風の精霊の魔力をまた流し込んでいく。
本来ならとっくに身体がはじけ飛んでいる筈だが……。

1794とある世界の冒険者:2014/05/25(日) 23:23:20 ID:v/KKjZDw
「……うぐ……なんだか、身体が変じゃ……。
 ……いろんな魔力が、渦巻いて……。」
大量の魔力を何種類も流し込まれ、非常につらそうな様子である。
しかし、非常に辛そう、程度で済んでいる辺り、やはり少女の魔力容量は底知れない様だ。
……さらに無茶な改造を施しても耐えうるこの身体は、まだまだ弄りがいがありそうである。

1795とある世界の冒険者:2014/05/25(日) 23:26:32 ID:z1Xc7j.I
「大丈夫だよ、落ち着いて。」
今度は手を、ミトの頬へと当てて、
顔を寄せ、耳元で頭に響く様な言葉を、囁く。

……ささやかれると、本当に魔力も頭も落ち着いてくるようだ。

「さ、次で最後だよ、大丈夫、怖くない、怖くない――」

そうして最後、と言う言葉と共に光、闇、虚無……。
特殊な属性の精霊の魔力が、思い切り流し込まれてしまう……。

1796とある世界の冒険者:2014/05/25(日) 23:29:18 ID:v/KKjZDw
「……ほんとに、最後なのじゃな……?
 ……ひぁっ……あああああっっっ……!!」
一際大量の魔力を一気に流し込まれ、
今までで一番の苦痛に大きな声をあげて悶え苦しむ。

「……はぁっ……はぁっ…………」
意識が遠のきそうなのを感じつつ、乱れた息を整える。

1797とある世界の冒険者:2014/05/25(日) 23:40:11 ID:z1Xc7j.I
「うん――これで、終わりさ。」

手を離す前に、魔力の封印術――
精霊の魔力が、身体の外に逃げぬよう、封印を施して。


「よく頑張ったね。お疲れ様。」
ミトの身体を起こした。どうやら、終わりらしい。

1798とある世界の冒険者:2014/05/25(日) 23:46:52 ID:v/KKjZDw
「……んくっ……!」
最後に封印が刻まれ、びくんと身体を跳ねさせる。
無理やり移植された魔力が、今後彼女にどんな影響を与えるのだろうか……。

「………まだ……なんだか、変な感じじゃ……。
 ……頭が、ぼーっとする……。」
身体を起こされても、ぼんやりとしたまま……。
短時間のうちに引き起こされた身体の変化に、まだ頭がついていってない様である。

1799とある世界の冒険者:2014/05/25(日) 23:51:59 ID:z1Xc7j.I
「ふふ、……少し、ゆっくり休むと良いよ。」
「――大丈夫、起きたら何もかも忘れて、君の家に戻ってるからね――。」

そういい、手で少女の顔を覆い瞳を閉じさせる、

……娘が起きた時、自分がしばらく何をしていたのかも忘れ、
自分の部屋のベッドで眠っていた、とか……。

1800とある世界の冒険者:2014/05/25(日) 23:56:25 ID:v/KKjZDw
「………ん……む……
 ………ゆ、夢……?」
気が付くと、そこは自宅のベッドの上。
何か、悪い夢を見ていた様な……。
なんだか、酷く体が重い。
その上、自身の身体に妙な違和感を感じる気がする……
すぐに猛烈な眠気に襲われ、少女は再び深い眠りへと落ちるのであった。

1801とある世界の冒険者:2014/05/26(月) 22:32:16 ID:1woIxqeM
<王都から少し離れた場所 〜サルデフェクト寺院の礼拝堂〜>

「……〜♪」

【小さく鼻歌を唄いながら、礼拝堂内に居るのは修道服を着た女性だ。
この寺院内の主である彼を除けば唯一の聖職者である。

何をしているのかと言えば、礼拝堂内の掃除である。
彼女はこの寺院内にて面倒を見ている者の世話をするとき以外は大体、こうして寺院内の掃除だったり
手入れだったりをしているのである。】

1802とある世界の冒険者:2014/05/26(月) 22:36:16 ID:QlL23F12
>>1801

「精が出ますね、シスター」

そこにやってきたのは、同じく修道服に身を包んだ、褐色肌の女性だ。
彼女は最近になってここの扉を叩いた人物だ。
今まで、特に何か大きな問題を起こしたことはないが、謎多き人物である。

「少しはお休みになっては如何です?」

こうして声をかけるのも、いったい如何なる動機からか。

(彼が手元に置き続ける彼女を知るのも、彼に気に入られるための何かを掴む手掛かりになるはず……)

1803とある世界の冒険者:2014/05/26(月) 22:43:56 ID:1woIxqeM

「おや、マアスーメさん。
……ふふ〝シスター〟だなんて。今は貴女もそうじゃないですか。」

【マアスーメを見つけると姿勢を正した。
風の魔力で編まれた雑巾を使用して掃除をしていたようである。

やはり、礼拝堂であるが故に普通とは違って気を使って掃除をしなければならないようだ。】

「それに、私は神に仕える身です。
だから、いつも休んでいますし、休んでいないんですよ。」

1804とある世界の冒険者:2014/05/26(月) 22:47:01 ID:QlL23F12
>>1803

「その敬虔さには、頭が下がる思いです」

そう言いながら、実際に下げる。
”上手くやれている”彼女は自分をそう評価する。
相手が彼でなくば、自分はうまく自分をコントロールできるし、取り乱すこともそうない。
……尤も、自分の手練手管が通用しない相手だからこそ、仕えるに値する”風帝”足りえると言えるのだが。

「ならば、私も遊んでいるわけにはいきません」

「手伝いましょう。どこをやりましょうか」

掃除道具を用意しながら、そう尋ねる。

1805とある世界の冒険者:2014/05/26(月) 22:55:50 ID:1woIxqeM

「はい、ありがとうございます。」

【犬の様に小さく首を傾けながら、慎ましい笑顔を向けた。
彼女はいつもこのような振る舞いである。

少なくとも、彼女が不満な顔をしたという所は見たことがない。
寺院に転がり来る者の多くは〝普通ではない〟

そんな者たちを全て受け入れ、包み込む懐の広さを彼女は持っている。】

「それなら……窓ガラスやオルガン、椅子などの拭き掃除をお願いします。
何を使えばいいかは分かりやすくしていますけど、分からなかったら聞いて下さいね?

私は床を掃除するので。」

【そういうとこちらは雑巾を収めると、モップを取り出した。】

1806とある世界の冒険者:2014/05/26(月) 23:02:09 ID:QlL23F12
>>1805

「お心遣いに感謝いたします。では、励んでいきましょう」

雑巾をバケツに組んできた水で浸し、よく絞ってから丁寧に窓を拭いていく。
彼女はその工程に、自分の風魔法を組み込んだ。濡れ拭きの後の空拭きの代用だ。
熱く乾いた風が、ガラスの水を乾かしていくのである。

(……こういう作業も、なかなか悪くない)

しばらく、黙々と作業していた。
当初の予定を忘れてしまう程にだ。
……いけない、と首を軽く横に振って、掃除をしながら、横目でトレアを確認する。さて彼女の仕事ぶりはどうだろう。

1807とある世界の冒険者:2014/05/26(月) 23:10:44 ID:1woIxqeM

「……〜♪」

【小さく鼻歌を唄いながらモップを使い掃除をしている。……鼻歌は賛美歌だ。
楽しいのか微笑すら零れている。

モップも風の魔力を応用して作られたものらしい。
曰く、大掃除のときは水拭きをするらしいのだが、普段はこうして空拭きである。

実はこの礼拝堂にはちょっとした仕掛けが施してあり、隅の一部が小さく開くようになっている。
こうして集めたゴミなりはそこから、外に出すのである。】

1808とある世界の冒険者:2014/05/26(月) 23:17:47 ID:QlL23F12
>>1807

(……向こうも夢中というわけ)

そのひたむきな態度が、彼の歓心を特に買ったのだろうか。
しかし、彼女のその純朴さが、妙に危ういものに彼女は思えた。
仕えている身だからこそ、彼女は叫びたい。彼は、ザーという神父の顔をした人物は――。

――途方もなく、意地悪な男なのだと。

(陰謀を企む者程、悪趣味をもっているものだけれど)
(あんな娘にひどいことをするのがそうだというなら、無くなった私の良心も傷んでしまう)

いや、さすがにひどいことはしないのだろうが。
そんなことを考えていたら、作業の手が思わず止まる。……見つかったら、何か心配されてしまうだろうか。

1809とある世界の冒険者:2014/05/26(月) 23:31:26 ID:1woIxqeM

「…………〜♪」

【丁寧にモップを使って床を拭き、磨いている。
いつから彼女が彼の元にいるのかは分からないが〝毒されていない〟らしい。

つまりは行き過ぎた教育の様なものは受けていないようにも見える。
もっとも、既に受けた後なのかもしれないが。】

「……?……何か、掃除で不手際でもありましたか?」

【視線に気づいたらしく顔を上げて、そんなことを尋ねる。】

1810とある世界の冒険者:2014/05/26(月) 23:36:19 ID:QlL23F12
>>1809

「……失礼。見惚れてしまいまして」

話を引き出すために、”ひっかける”ことを試みる。
後日改めた席を作り、色々と聞き出したいところだ。

「敬虔深く、陽だまりのような雰囲気でもって人を魅了する。御使いのようだと、思ったのですよ」

掃除の手を再開させながらそういう。
そしてそれは、何となく不器用な手つき。何かに動揺している。そう思わせるためだ。

1811とある世界の冒険者:2014/05/26(月) 23:49:41 ID:1woIxqeM

「いえ。私はただ……あら?」

【ゆったり首を振って、そんな言葉は自分には相応しくないと
否定しようとした矢先に、マアスーメのそんな様子に気づいたようだ。

モップを適当な位置に立てかけると、マアスーメのほうへと向かっていく。】

「……大丈夫ですか?なにやら、先ほどよりも動きが震えているみたいですよ……?

……も、もしかして、無理をしてこうして手伝って下さっていたのですか?
それとも、昨日の夜はあまり寝付けなかったとか、体の調子が悪いとか……?

その、別に無理をしなくても良いのですよ?
休息をしないといけない場合はきちんと休息を。……それは怠慢でも怠惰でもないのです。」

【マアスーメの手をとり、両手で包み込むようにしながら、そんなことを。
動揺とかそういうことではなく、単にマアスーメの体調がよろしくないと受け取ったようだ。】

1812とある世界の冒険者:2014/05/26(月) 23:52:41 ID:QlL23F12
>>1811

「いえ、失礼……シスタートレア」

彼女の手をとれば、その手は小さく震えていることがわかるだろう。
その細い肩も、何やら震えてきている。

「私には家族がいなく、故郷も追われるように後にしました」

「ですが、あなたを見ていると、否応なく郷愁と、顔も知らぬ家族に会いたいと思ってしまうのです」

声を震わせながら、そう答える。

1813とある世界の冒険者:2014/05/26(月) 23:58:56 ID:1woIxqeM

「……まあ。」

【手を包みながら、驚いたように。
こちらからしても、目の前の女性は彼が突然連れてきた人物である。

その人となりなどは知る由もない。】

「そう悲壮に満ちずとも良いのです。マアスーメさん。

貴女に家族が居らず、故郷を追われてしまったのも主のお導きによるものです。
その道を歩む方が貴女にとって、良い事だから。

そして、それがあったからこそ、こうして今の貴女が居るのです。」

【こちらは目を軽く閉じて、穏やかな表情に。】

1814とある世界の冒険者:2014/05/27(火) 00:03:14 ID:je6j1wJw
>>1813

「あなたといると、さざ波だった心も穏やかになるように感じます」

うまい具合にいった。
彼女の関心を得た。次に聞き出す内容を後々考えておかなければならない。

「家族がいるならば、きっとあなたのような人なのだろうと思います」

「……いけませんね。やると決めたのならば、きちんとお掃除をしなければなりません」

「後で、お話を聞かせてくださいますか、シスタートレア」

まず間違いなく、この提案にはうなずいてくれる。
彼女はそう確信しているが――。

1815とある世界の冒険者:2014/05/27(火) 00:09:42 ID:yzBpbK.w

「もちろんです。マアスーメさん。
神父様ほどではありませんが、私に出来ることならお力になります。」

【マアスーメの思惑通り、彼女はその提案に頷いた。

それは本当にマアスーメを心配しているような様子である。
妙に勘繰るとすれば、〝関心を得すぎ〟である。

トレア自身もマアスーメの話を聞いて、思うところがあったという所だろうか。】

「今すぐにでも話したいのではないのですか?
掃除は後からでも出来ますし、仮にここで投げ出したとしてもお咎めは無いでしょう。」

1816とある世界の冒険者:2014/05/27(火) 00:15:32 ID:je6j1wJw
>>1815

(やりすぎた……?)

とっさに出すには切り出し方が”重すぎた”か。
あるいは、こちらの考えを”読んで”いるのか。
もしかすれば、もしかするのかもしれない。

「……いえ。こんな状態では失礼かと」

「少し落ち着いて、からでないと……言いたいことも言葉になりません」

深く息を吸って、吐いて、心を落ち着かせようとする演技をする。

1817とある世界の冒険者:2014/05/27(火) 00:24:55 ID:yzBpbK.w

「……なんと。……はい、分かりました。
確かに勇気を持って、告白して下さった上に更に重ねて求めるのは失礼ですね。

では、この掃除が終わって……いや、夜の方が貴女も整理がついているでしょうね。
そうですね……私の部屋に来ますか?それとも、そちらに伺った方がいいですか?」

【そんな演技に見事に引っかかっているのか、小さく首を振って納得したように。
先ほどから実にマアスーメにとって〝都合よく〟解釈している。

怪しんだり、疑ったりしてもおかしくは無いであろうに。】

1818とある世界の冒険者:2014/05/27(火) 00:28:19 ID:je6j1wJw
>>1817

「……では、是非あなたの部屋にお邪魔させてください」

頭を垂れる。そうでいながら、漠然と不安感が胸に広がった。
組しやすい相手だと思った。純朴で、何も疑いを知らない哀れな小娘だと思った。
その考えが正解であってくれればいいと思う。いや、祈る。

(蛇の大口だったら、さてどうしたものか――)

自ら大蛇の口の中に探検しにいく。
そんな愚を犯すことは、狐としてはあってはならないことなのだが――。

//では、こんな感じで!

1819とある世界の冒険者:2014/05/27(火) 00:45:17 ID:yzBpbK.w

「はい、お待ちしていますよ、マアスーメさん。」

【慎ましい微笑と共に。
手を一度、少しだけ力を込めると、その手を離した。

そして、先ほど置いたモップを手に取る。】

「……では、掃除を再開しましょう。
幸い、それほど作業量は残っていませんし、すぐに済むでしょう。」

【その声を皮切りとして掃除を再開し始めた。
確かに純朴で何の疑いも知らない哀れな小娘……なのかもしれない。

だが、一点だけ引っかかるとすれば彼女はあの男の下にいて
なおかつ、彼女を認めていると言う点だ。

マアスーメが危惧すべきとすれば、ただのその一点であろう。
もしかすれば、また〝あの時〟と同じように彼が裏に居るのかもしれない。

そんな勘繰りをしてしまってもおかしくない状況だったとか、FO】

//了解です。お疲れ様でした!

1820とある世界の冒険者:2014/05/29(木) 21:35:16 ID:SffTYJN2
<王都のどこか 〜サルデフェクト寺院 トレアの私室〜>

【静けさが支配するサルデフェクト寺院、のここは居住スペースだ。
主にここに来た者達が住む部屋が並ぶ場所……見方によればホテルのようだがもちろん、絢爛ではない。

トレアの私室はこのスペースの一部屋にある。別に彼女だからと言って特別な仕様ではない。
すなわち、マアスーメが使っている部屋よりも手狭なのだ。

あの男のことなのだから、トレアが希望すれば広い部屋も用意しただろう。
しかし、そうなっていないということは、もしかすれば彼女がこの部屋を希望したのかもしれない。

そして、ドアには自身の私室であることと在室状況を示す札が掛かっている。
もちろん、現在は在室していることを示す札が掛かっていた。】

1821とある世界の冒険者:2014/05/29(木) 21:43:52 ID:scVgV2D2
>>1820

(南に存在するという、人食い花でなければよいが……)

褐色肌の少女は、そっとその扉を叩く。
何しろ今晩、こうして会う約束を取り付けたのだから。
それはあるいは、踏まなくていい獣の尾だったのかもしれない。
好奇心は猫を殺すのかもしれない。

――しかし、運命の悪戯なのか、最早引けぬのだ。

(覚悟を決めるしかない。アーレア・ヤクタ・エスト……)

扉の前で、少し緊張しながら返事を待つ。

1822とある世界の冒険者:2014/05/29(木) 21:58:27 ID:SffTYJN2

【扉が叩かれると、少し間が開いた後に扉の向こうから足音が聞こえる。
そして、ゆっくりとノブが回され、その扉が開いた。】

「こんばんは。お待ちしてましたよ、マアスーメさん。」

【そこに居たのは掃除のときと全く以て変わらない修道服を着た女性であった。
人に警戒心をそれほど与えないその雰囲気は実に優秀な素質だ。
もっとも、それだけに神の使いとしての厳格さは無いのだが。

そして、彼女は自身の部屋を指し示すように手をむけ、マアスーメを誘い入れる。

部屋はザーと同じく華美なものではない。
ベッドに数着しか入らないであろう小さめの衣装ダンス、これまた小さな本棚。

また、対面で話せるようにテーブルと椅子が置かれている。
だが、複数の来客は考えていないようで、サイズから考えて一対一でしか話すことができない。

少し違うのは観葉植物が置いてあったり、鏡台があったりするくらいだ。】

1823とある世界の冒険者:2014/05/29(木) 22:09:37 ID:scVgV2D2
>>1822

「夜分に、失礼します……」

頭を下げて、部屋の中に入る。
扉があいた瞬時には、昼間の時のような、弱く、震えた少女の演技をしていた。
見破られているのではないかという懸念もあったのだが、演技を辞めるのも不自然だ。
都合、それを続けるしかない。

(私物は少ない……どう分析するべきか)

不自然にならない程度に部屋を確認する。
何か、トレアの正体にでも繋がりそうな情報は見逃したくないが……。

1824とある世界の冒険者:2014/05/29(木) 22:16:16 ID:SffTYJN2

「……ちょっと狭いですけど、許して下さいね。
神父様のお部屋なら、ゆったりとお話が出来るのでしょうけど……あ、そこの椅子にどうぞ。」

【そんなことを言いながら、自身も進み、唯一落ち着いて話ができそうな
椅子へと座るように促した。

部屋の確認には気づいていないようだが、その実、正体は探り難いことこの上ない。
もっと言えば、〝聖職者としての彼女〟を示すものしかこの部屋には無い。

家族との写真だとか、嗜好品だとかそういうものは一切、存在しない。
本棚も聖職関係のものがほとんどで後はガーデニングだとか料理だとか
そういうこの寺院で彼女がやっていることに関するものぐらいしかない。】

「それで〝私から聞きたい話〟ってなんでしょうか?」

【自身も椅子にかけると早速と言わんばかりに話を切り出した。】

1825とある世界の冒険者:2014/05/29(木) 22:19:33 ID:scVgV2D2
>>1824

「はい、失礼します」

腰かけて、息をつく間もなく本題が切り出される。
そうだ。ここへはトレアに質問をしにきたのだ。

(きた……)

「はい。シスター、トレアが神父様に出会ったときのことを聞きたくて」

とりあえず、その辺りから質問をしてみることにした。

1826とある世界の冒険者:2014/05/29(木) 22:34:52 ID:SffTYJN2

「……神父様と?」

【その質問に一瞬、面を食らったような表情をしたが
すぐにいつもの微笑へと戻った。】

「神父様との出会いは……正しく、運命でした。
私が?目覚めたとき?辺りは黒い土煙に覆われて、澱み、血と硝煙の匂いに満ちていました。

私はその中から這い出ようと努めましたが叶わず、そうこうしていると辺りが更に暗くなってきました。」

【胸にある十字架を優しく包むようにしながら語り始める。
出会いと言うには、あまりにも奇妙なそれを。】

1827とある世界の冒険者:2014/05/29(木) 22:41:49 ID:scVgV2D2
>>1826

「……まぁ」

戦場で発見されたのだろうか。
口を両手で覆うしぐさをしながら、そんなことを考える。

「では、彼に助けられたと……?」

妙につかみどころがないあの男だ。
確かに、そういう状況下なら、救おうとするだろう。

1828とある世界の冒険者:2014/05/29(木) 22:48:59 ID:SffTYJN2

「……その通りです。それからすぐなのか暫く過ぎたのかは分かりません。

気づいたときに目の前に居たのが神父様でした。
まるで大木のようで……地面に這い蹲っていた私を見下ろしていらっしゃいました。

神父様は無言のまま、私にのしかかる瓦礫を取り除き、朦朧とする私を救い出し……
泥や土煙で汚れ、傷だらけの私を抱きかかえて下さいました。

そして――――途切れそうになる意識の中で、神父様は口元に微笑を浮かべていらっしゃいました。
今から……7年前、私が14の頃ですね。」

【そこで軽く目を閉じる。恐らくはそこで彼女の意識は途切れてしまったのだろう。
これがトレアとザーの馴れ初めだ。】

1829とある世界の冒険者:2014/05/29(木) 22:51:28 ID:scVgV2D2
>>1828

(微笑み……?)

何か違和感を感じた。
それはどんな意味の微笑みだったのだろうか。

「なるほど……すいません、つらいことを思い出させてしまったでしょうか?」

そういいながら頭を下げて。

「それなら、彼に何か、習ったことは……ありますか?」

何となく、その微笑みの正体が想像通りなら。
彼から、間違いなく何かを学んでいるはず。

1830とある世界の冒険者:2014/05/29(木) 23:05:28 ID:SffTYJN2

「……いえ、私にとっては大切な思い出です。

聖職に関することは神父様から学び、モノにしていきました。
時に私を修行に出して、聖職者として磨いて下さったのです。」

【そして、恐らくは凄惨な有様だった当時のことを思い出と言ってのけた。

学んだことは聖職、だと言う。
恐らく、例の夜歩きには彼女はついていかなかったようだ。

もしかすれば、ついてこさせなかった理由があったのかもしれない。】

1831とある世界の冒険者:2014/05/29(木) 23:11:25 ID:scVgV2D2
>>1830

「聖職……ですか」

色んな宗教が混ぜられて、体系もよくわからないのだが、どうにか整合性をつけたのか。
その辺りを詳しく聞いていなかったので、ふむ、と考え込む。

「ここにいながら、不信心者で申し訳ない話です。よろしければ、今度……そちらについてのお話も聞かせてください」

よりこの組織に溶け込むには、あの宗教も知っていなければ。
何となく、話を合わせる程度にしか押さえていないのは問題だと判断したらしい。

(学んだこと……は的外れか)

「何か魔術や、そういったものは何も……?」

望み薄だとはわかりながら、そこを聞いてみる

1832とある世界の冒険者:2014/05/29(木) 23:23:46 ID:SffTYJN2

「魔術……色々と教わりましたがどれも平凡だったみたいです。
でも、障壁魔法には才があったみたいで、それは教えてくださいました。

あとは退魔の力の行使ですね。」

【一通りは教わったようだが、別に魔法に向いていたわけではないらしい。
いや、これはそもそも教える側が悪かったのかもしれないのだが。】

「聖職は……一応、見習いが修了した証として、この十字架を神父様は授けて下さいました。
けれど、私はまだまだその程度ですので、教えられることはあまりないか、と。」

【そういって、首に掛けられた十字架のネックレスを見せる。
特注品らしく、彼女の名前が彫られていた。"トレア=サルデフェクト"と。】

1833とある世界の冒険者:2014/05/29(木) 23:28:25 ID:scVgV2D2
>>1832

「なるほど……」

(障壁魔術……?)

想像していたようなものではない。
昼間のトレアの、蛇の大口のような雰囲気、トレアを助けた時にザーがしたという微笑み。
パーツがまだ足りない。何か、つながらない。
どう引き出したものかと、彼女は考えを顔に出さないようにして、考えを巡らせる。

「いえ、私は恥ずかしながら、神の教えをいまいち理解していないので」

「ここにいる以上は、ただしく認識せねば、と思っているのです」

特注の十字架。それも、ここの聖職の見習いが修了した証として。
普通の宗教団体ならば、別に不思議にも思わないが……ここは普通ではない。
それなのに、そんな手間をかけるのは妙だ。
見ただけで何かわかることはないかと、その十字架を注意深く見る。

1834とある世界の冒険者:2014/05/29(木) 23:40:30 ID:SffTYJN2

「私は神父様から様々なものを頂きました。
聖職の教えにそれに順ずる力、この十字架……そして、名前に命、と。

神父様には感謝してもし切ることは出来ないでしょう。」

【十字架に特にこれと言った奇妙なところは無い。
一応、魔力を伝道しやすい材質で作られていると言うことぐらいだ。】

「なんと……敬虔な方なのでしょう。
神の家に入ったことに満足をせず、さらにそこから高みを目指そうとするなんて。

……ああ、もしかしてこのために私の部屋へと来たのですか?

確かに聖職を教授して欲しいと頼むのは羞恥を感じるかもしれないでしょうね。
そういう風な理由を作ってしまうのも、仕方がないことなのかもしれません。

ですが、安心して下さい。そんなことに羞恥を感じなくとも良いのです。
教えは望めば、誰にだって平等に与えられるもの……遅いも早いもありません。」

1835とある世界の冒険者:2014/05/29(木) 23:42:56 ID:scVgV2D2
>>1834

(しまった)

違う地雷を踏んだ。
正体探りは延期されそうな雰囲気。
まさか、この状況で違うとは言い出せず。
……が、まるきりその通りだとも言いたくはなかったので。

「もちろん、それもあるのです」

「ですが、それと同等程度には、シスター、トレア。あなたのことも知りたくて」

どういうニュアンスで捉えられるか。若干賭けであった。

1836とある世界の冒険者:2014/05/29(木) 23:59:03 ID:SffTYJN2

「ふふ、なんと律儀な方なんでしょう。

神に仕える人間というのは、実はそれだけになってしまう人も多いのです。
もちろん、その方々は実に尊い存在です。
しかし、聖職は人あってのもの……それゆえに人を愛することはとても大事なのです。

なので、貴女の様に神に仕えるだけではなく、人を愛することが出来ると言うのは素晴らしいことですよ。」

【聖職だけにかまけてはいないというように捉えられたようだ。
だが、自分を知りたいといわれて、それを人を愛することが出来ると言うように結び付けるのは無理がある。

思えば、彼女はあの昼の件から一貫して、疑うことそして否定することをしていない。
…………全てを受け入れている。】

1837とある世界の冒険者:2014/05/30(金) 00:04:21 ID:wcTpSeY2
>>1836

「……愛、ですか」

博愛主義者とでも言うべきだろうか。
それも、かなり程度の激しい――。
彼が手元に置いているのは、彼女に特別な何かがあるわけではなく――。
――”外に出せない”のではないだろうか。

(……彼にも聞いておこう)

「そうですね。愛は素晴らしいものと聞き及びます」

「隣人を愛せよ。神もそう説かれましたね」

トレア本人からは有用な情報は得られないと判断。
あとは、適当に話して、終わらせるつもりだ。

1838とある世界の冒険者:2014/05/30(金) 00:14:05 ID:77OVOZP6

「はい。神父様も一番、最初に教えてくださいました。
恐らく、私が空っぽだったからでしょう。

何もかも忘れた私に神父様は光を下さったのです。
そして、気を取り戻した私を、神父様は祝福して下さいました。」

【どうやら、彼女は拾われる前の記憶が無いらしい。
彼女の人となりを推測できそうなものが何一つないのはこのためであろう。

つまり、今の彼女からすればザーと出会ったそのときが誕生のときなのである。】

1839とある世界の冒険者:2014/05/30(金) 00:17:51 ID:wcTpSeY2
>>1838

「……なるほど」

小さくうなずく。
まさか。
――彼女をそんな、極端な博愛主義者にしたてあげたのは。
他ならない、ザーではないだろうか。

(……考えすぎ? そうだとして、動機がわからない)

どうやら、彼には聞くことができたようだった。

//ではこのあたりで! 絡みおつありでした!

1840とある世界の冒険者:2014/05/30(金) 00:27:35 ID:77OVOZP6

「っと、私の話ばかりじゃいけませんね。」

【こほん、とつい話し込んでしまったとばつが悪そうに。】

「では、時間が許すのなら聖職について教えて差し上げますよ。
そうですね……マアスーメさんが分からないところを教えていただけますか?」

【気を取り直して、と言わんばかりに聖職について教えようとする。
ある意味で目的を終えたマアスーメからすれば、もはや苦行にしかならないものかもしれない。

結局、トレアと言う存在については掴み切れた様で、その実、掴み切れていないのかもしれなかった、FO】

//了解です。お疲れ様でした!

1841とある世界の冒険者:2014/06/01(日) 22:29:18 ID:eZ6IesYY
――サルデフェクト寺院 ザー=サルデフェクト私室

こんこんと、ノックが響いた。

「私です。伺いたいことがありまして」

続いて聞こえてきた声は、マアスーメのものだ。
何やら質問があるらしい。
――わざわざ時間を選んだということは、聞かれてはまずい話ということだろう。

(……どういう返事が返ってくることか)

何故か早打つ胸を押さえて、返事を待つ。

1842とある世界の冒険者:2014/06/01(日) 22:38:07 ID:V.ccKeQI

【そのノックの音を待たずして、部屋の中から重々しい足音が響く。
そして、それが扉の前まで来たかと思うと、ゆっくりとその扉は開かれた。】

「このような時間に訪問とは珍しい。」

【開けたところに立っていたのは辛子色の法衣を纏った長身の男。
いつものごとく、重々しい雰囲気……というよりも重圧に近いものを放っている。】

「…………まぁ、良いだろう。遠慮せずに入りたまえ。」

【ふと、わざとらしくマアスーメの"格好"に視線を落としたが何事も無かったかのように部屋の中に招き入れる。
言葉にはしないが、明らかにいつぞやあられもない格好で訪ねて来た件のことを露骨に思い出させ

1843とある世界の冒険者:2014/06/01(日) 22:44:26 ID:eZ6IesYY
>>1842

「またアレを着れば、私に欲情してくれるというならば、喜んでそうしますが」

視線の意図に気づいたのか、恥ずかしげもなくそんなことを言う。
彼女のできる精一杯の皮肉、ないしは強がりといったところだ。

「……そんなことより、聞きたいことがあるのです」

「シスター……シスター、トレアについて。彼女について伺いたいことが」

彼女の名前を出して、どんな反応をするのか。
それを見逃さないように、ザーの顔をしっかりと見つめて。

1844とある世界の冒険者:2014/06/01(日) 22:57:46 ID:V.ccKeQI

「くく。ムキにさせた気は無かったのだがね。
いや、君が着たいと言うのならば、止めはしない。」

【もとより興味は無く、そんな戯言を言いながら部屋の奥へと。
あの時はベッドであったが、今度は椅子とテーブルだ。

自身が座ると、対面の位置に座るように促す。】

「ほう。トレアについて、か。
……アレが何か妙なことでもしたのかな?」

【その言葉を聞いても、動揺はない。
ただ、その余裕の中に期待が叶ったかのような喜び、が見えた気がした。】

1845とある世界の冒険者:2014/06/01(日) 23:07:14 ID:eZ6IesYY
>>1844

「……成果が得られないと確信する行動をするのは、徒労というのです」

暖簾に腕押し糠に釘。
しかし、暖簾や糠の正体が隠されていたなら、そんなこともしてしまう。
が、今の彼女は、目の前の意地悪神父が暖簾や糠だと学んだところだ。

「彼女は……本来人間が備えるべき心理的な防衛が見られません」

「すなわち、人の言葉を疑うという事。この世に嘘が存在することを知らぬかのようで、あまりに不自然です」

「彼女を拾ったのは、あなたです。私は、あなたがトレアに、わざとそんな教育をした――そう邪推しますが。実際のところはどうなのでしょう」

彼女は義憤を抱いているわけでも、なんでもない。
単純にわからないからだ。もし自分の考えで正解なら、それの意味がわからない。

1846とある世界の冒険者:2014/06/01(日) 23:14:52 ID:V.ccKeQI

「……以前、言ったはずだ。彼女は"天使"だと。
いや、あの時は"天使の様な"、と言ったかな。」

【ちょっとした言葉遊びとも取れるセリフ。
どうやら、あのセリフは言葉遊びであると共に真実でもあるらしい。】

「人を疑わず、非難せず、あらゆることを飲み込み、善の方向に再構築する。それが彼女だ。
だが、それは私が施したわけではない。私が拾ったときから彼女はそうであった。

無理も無かろう。あの凄惨な死の渦の中で彼女だけは奇跡的に命を繋いだ。
しかし、命は繋いだが記憶は全て失った。」

【微妙にトレアが語っていなかった部分である。
どうやら、トレアを襲ったその死はトレア以外を全て飲み込んだらしい。

そして、最後に残ったは彼女のみ。】

1847とある世界の冒険者:2014/06/01(日) 23:21:51 ID:eZ6IesYY
>>1846

「――」

彼の関与は無かった。
信じがたいことだが、嘘をつく理由がない。事実であるのだ。それは。

「外に出せぬわけです……」

そしてそれは、ザーの行動故という事態よりも、はるかに重い。
それは、もはやトレアがもう少し人間的に”まとも”即ち”汚れる”ことは難しいからだ。

(物言わぬ兵隊を作り上げるためのテストケース。そんなところだと思ったのだけれど……)

どうやら、全くの外れだったらしい。

1848とある世界の冒険者:2014/06/01(日) 23:29:36 ID:V.ccKeQI

「記憶を失った同時に彼女の中の"悪"も死んだようでな。
流石に私も拾って、しばらく経つまでは気がつかなかった。」

【ショックで記憶と共に"悪の部分"が死んだらしい。
すなわち、トレアは人間としてみれば致命的に壊れている。

何せあらゆることを善に帰結させるのだから。
つまり、彼の"天使"という表現も大いに皮肉である。】

「外に出せない?……くく、私はそんな事を思ったことは無いが。
それにアレも私が教育したとはいえ、聖職者だ。そのあたりのことは真似事でも行っている。

……いや、正確にはアレが自ら望んだ、というところであろうか。
その覚悟かはたまた礼のつもりか、私の与えた名に"サルデフェクト"の性を付けた。」

1849とある世界の冒険者:2014/06/01(日) 23:34:42 ID:eZ6IesYY
>>1848

「――」

しばし考え込む。
トレアの悪の心は死んだ。しかし、サルデフェクト姓を名乗る事を、ザーが決めたのではなく、彼女が決めた?
それは、まるで――。

「あなたに、無自覚か、あるいは意識してか――父を重ねているように思いますが」

自分を助け出した人物に父を見る。
考えられない話ではない。

1850とある世界の冒険者:2014/06/01(日) 23:39:18 ID:V.ccKeQI

「恐らく、そのように考えて正解であろうな。
アレが望んだのであれば、私は文句は言うまい。」

【と、話したところで一度、不自然に間を開けた。】

「……さて。マアスーメよ、今までの話を聞いて、どう思った?」

【何時も以上の重圧。
神託を告げるシャーマンのあるいは判決を下す閻魔のような重い声。

そんな思わず、背が伸びてしまう声と共に問いかけた。
…………何を、期待しているのだろうか。】

1851とある世界の冒険者:2014/06/01(日) 23:44:44 ID:eZ6IesYY
>>1850

「――どう思えば良いのかわかりかねます。そもそも私は、彼女は何か特殊な教育、悪くて洗脳を受けてああなったと思ったからです」

そうしてみれば、彼女の内から発生したもの。
精神的なものがその原因であり、ザー本人はほとんどノータッチだった。
それはつまり、彼女がザーに求める、深謀遠慮と千思万考を尽くす風帝の像とは少々異なるのだ。

「まぁ、しかし。個人的な事を、言わせてもらうのであれば」

「あなたにとっての、二人目の風帝の子(カエサリオン)というわけです。意地悪な次代に殺されないようにしてあげてほしいところですが」

肩をすくめる。
彼女は、彼女の言う伝説の王と、不遇の死を遂げた王の子を神聖視している。
ザーを風帝ととらえたならば、トレアは当然――というわけだ。

1852とある世界の冒険者:2014/06/01(日) 23:53:45 ID:V.ccKeQI

「アレについて、ではない。
そもそもの経緯についての話だ、マアスーメ。

確かにアレは奇跡的に唯一生き残ったが、惜しくも記憶と悪を失った娘だ。」

【どうやらトレアについてではなく、そもそものこの話についてらしい。
とくに矛盾も無い話であるし、疑う余地なども無いであろう。】

「そして、私がアレを見つけて、拾ったのは疑いようも無い事実だ。
だが、そもそも考えても見たまえ。

何故、アレ以外の全てが死の渦に巻き込まれるほどの事態に、私が"偶然"通りがかったのか?
何故、私は"偶然"その死の渦には巻き込まれなかったのか?」

【低く、暗い声が喉から響く。
そう、偶然に偶然が重なっている。それもあり得ないほど綺麗に。

それほどの事態ならば、下手をすればトレアとて死んでいたかもしれない。
だが、彼の言葉からして、その戦渦の直後に彼はトレアを拾っている。つまり――――。】

1853とある世界の冒険者:2014/06/02(月) 00:00:30 ID:97lixY.g
>>1852

そういえば、そんなことは思い当らなかった。
らしくない失態だ。おもわずこめかみを押さえる。
しかし、言葉通りに受け取るのも危険だ。これはミスリーディングを誘う罠だ。彼女は直感する。

「いろいろ考えられます。丸く収まるのが、その死の渦を怪物として、その怪物は神聖性を嫌うため、神父であるあなたが通りがかったので退散した故」

「丸く収まらないのが、あなたのマッチポンプだという場合。こっちなら、相応の理由をお聞かせ願いたいところです」

「――それか、あなたは何らかの集団の裏切り者の場合ですか。その死の渦は当時のあなたの仲間か仲間による産物だった」

「仲間を殺す理由はない。あなたは平気だった。しかしあなたは何らかの理由で目の前で倒れた娘が気がかりになった。たちまち集団を脱し、娘を拾った」

「こっちの場合は、なかなかドラマティックです」

さて正解は今あげた中にあるのか。
あるような気もするし、無いような気もする。彼女はなんとなくどれも違うような予感はしていたが。

1854とある世界の冒険者:2014/06/02(月) 00:10:30 ID:UBDIDTmI

「ふむ。中々にして夢のある答えだ。
近しいのは"丸く収まらない場合"であろうな。

私はただ、目的のための実験を行っていたに過ぎないのだがね。」

【彼の目的とは人の本質を知ることである。
何も無い真っ白な世界に人が置かれたときに、それはどんな性質を示すか。……途方も無いことだ。】

「小さな不確定な不安を与えれば、それはやがて増幅する。
それが膨れ上がった頃に"本物"を与えたとすれば……どうなると思うかね?

例えば……"最近、この村の近辺で盗賊団の姿が目撃されているらしい"、とか。」

1855とある世界の冒険者:2014/06/02(月) 00:21:03 ID:97lixY.g
>>1854

「……」

言葉を失う。
今のは自白と考えていい。何も疑わぬ人間。それを培養するために、行ったのだと。
そうして、培養に成功したので、そろそろ実験の一つ二つも計画中だという話だ。

「その手伝いをすればよろしいので?」

呆れた王だった、と見限るか。
そんな発想が脳裏を過ったが、それは短絡的すぎる。
もう少し見ていたい。せっかくの底知れぬ王を見つけたのだから。

1856とある世界の冒険者:2014/06/02(月) 00:29:03 ID:UBDIDTmI

「……ん?君は勘違いをしていないかね?

結果的に、その実験は失敗している。
私が見たかったのは、不安が破裂してパニックを起こす群衆とそれを蹂躙する力だ。

どちらの勢力も理性と言う箍が外れると思ったが……実際は欲に駆られた愚者が暴れるだけだった。」

【別に彼はトレアを作ることが目的だったのではない。
作りたかったのは小さいながらも理性が消え失せ、本質が露呈するであろう世界だ。
だが、それは失敗に終わっている。

そもそも、彼女はその戦渦が終わった後に、彼によって拾われている。
"奇跡的に生き残った少女"という言葉は嘘ではないのだ。】

「それらが全て息絶えた後、私は奇跡的に生き残っていたアレを見つけた。」

1857とある世界の冒険者:2014/06/02(月) 00:33:33 ID:97lixY.g
>>1856

「――失礼。疲れているらしく」

口から出まかせというか、ごまかしだったというか。
トレアに聖職の教えを乞うたせいで、結構疲れ気味なのであった。
中身が眠いというのが最大の原因だが。

「……それで、これからどうするおつもりで」

あの娘をこれからどうしたいのか。
そこを尋ねることにする。

//では中身が限界なのでこんな感じで中断で!

1858とある世界の冒険者:2014/06/02(月) 00:51:08 ID:UBDIDTmI

「……アレについては――――。」

【一応、彼としてもトレアについてどうするかは考えているようだ。
確かに、もしもこれから様々なことが進むとすれば、色々と障害はあるだろう。

その時、善しか知らぬ彼女がどういう反応を見せるか。それは分からない。】

//了解です。ありがとうございました!中断!

1859とある世界の冒険者:2014/06/04(水) 21:22:33 ID:SncVXSaA
――森林奥地、とある廃墟

テレン村での少女蒸発事件が発生してから、早くも数週間が経過しようとしていた。
村の補佐役、ヴァローネ女史が探索隊を組織し、指揮したものの、森の脅威達の前に捜索は難航する。
冒険者に依頼をだしたものの、思うような成果はあがらずにいた。

――そして、村の人間や冒険者が易々と立ち入らないような、森の奥深くの、打ち捨てられた洋館の前にその少女はいた。
彼女の右目は赤く、煌々と光っていて、身体は返り血にまみれていた。
足取りも覚束なく、ふらふらと扉の前に立つ。目的があってこの廃墟にたどり着いたわけではない。
雨風が凌げるところを探していたところ、たまたま見つけたのだ。
植物によって浸食され、所々壊れているように見えるが、それでもまだ活用できそうだった。
彼女はそっと扉に触れて開こうとするが――鍵があるのか、開かなかったので、強引に蹴り飛ばして開ける。
廃墟は奇妙な魔力の残滓が残っており、少女はそれを感じ取って、休む前に探索をすることに決める。
やがて地下室を見つけ――下っていくと――。
幻想的な美しさの人形が二体、よりそうようにして、品の良さそうな棚に置かれていた。
彼女はそれに触れると、人形がかすかに彼女の魔力によって反応するのに気が付く。
この人形は魔法の人形で、即ち、使い魔になりうるものだと彼女は理解し、その人形に魔力を通すことで疑似的な契約を交わす。
そうすると、人形たちは物言わぬまでも彼女の思うがままに動き出した。
表情もなく、愛嬌もないが、彼女を満足させるには十分なものだった。
そして、人形に手紙が仕込まれているのに気が付くと、彼女はそれを読み、満足げな笑みを浮かべる。

「――素晴らしい。この私の、救われぬ旅の道連れというわけだ」

「素敵な演出だ。観客も胸を躍らせよう。私を待つ永遠の眠り姫! さあ、彼女を熱い接吻にて起こしにいこうではないか!」

歩き続けた疲れも何もかも忘れ、彼女は行動を開始した。
――彼女の名をエウノモス。そして、彼女が見つけた廃墟こそはかつて王都攻撃を目論んだグァルネリの人形たちの狂気の館。
彼女は、人形たちの忘れ物を回収しに、今旅立った。

【fo】

1860とある世界の冒険者:2014/06/05(木) 23:16:40 ID:0J93V.tk
――王都郊外

薄手の黒いコートを羽織り、フードを目深く被った人物が、ふらふらとした足取りで歩く。
その傍らには、その人物の付き人というにはあまりにも浮いた、幼い少女二人がいた。
少女らは身体に似合わぬ大きさのクロスボウを手にしていて、異様な雰囲気を出していた。

「――まさか姫君が借金漬けだとは思わなかった」

「早急に資金を工面する必要があるが――さてどうしたものやら」

その人物は芝居がかった口調で独り言を言うが、傍らの少女は何も言うことはなく。

1861とある世界の冒険者:2014/06/05(木) 23:27:23 ID:XvWxydyU

「……ここまで送り届けてくれたことに感謝だね。」

【少し前に馬車が通る音が聞こえたような。
すると、暗闇から規則正しい足音が聞こえてくる。

やがて、姿を現したのは黒髪にメガネを掛けたスーツ姿の男性だ。
こんな時間にこのような格好をした者が歩くのは逆に異様である。】

1862とある世界の冒険者:2014/06/05(木) 23:34:17 ID:0J93V.tk
>>1861

「――おや?」

やってきた人影を見つけると、途端にフードに隠れた表情が険しくなる。
ナーブからは、妖しく光る赤い光が見えるだろう。これは彼女の右目の義眼の光だ。

「私は幸運らしい。ひょっとすれば金ぐらいは貸してくれるかもしれんな」

「君たちの姉上のためならば協力をしてくれるかもしれん」

コートの人物は少女らに楽しげに話しかける。
少女達の返事はないが、それを気にすることなく、ナーブに歩み寄ってくる。

「ごきげんよう! まずはこの出会いに感謝をしたい!」

「私の名前はエウノモス。古の王が如く断固としながら流麗なる響きであることは紳士たる君には伝わると信じる!」

「さて――突然だが、私は人探しをしている。彼女らの姉なのだ。一つ助けてほしいのだがね」

芝居がかった口調で愉快気に話しながら、フードを外す。
黒い髪の、凛とした少女の顔が露わになる。妙なのは、激しく発光する右目だ。

1863とある世界の冒険者:2014/06/05(木) 23:47:20 ID:XvWxydyU

「…………僕かい?」

【歩み寄られて、立ち止まる。
こんな夜なのだから、少しは警戒しても良さそうだがまるでそんな様子は無い。

柔らかな微笑みを浮かべる青年は実に話しかけやすいだろう。
しかし、その瞳に輝きは無く、そちらを見ているようで見ていない。どこか虚空を見ているかのようだ。】

「ああ。ご丁寧に。僕はナーブ=ブランク。
……助けて欲しいって言うのはどういうことなのかな?」

【もしも、魔法を勉強することがあったのなら、その名前はどこかで見たことがあるかもしれない。
何せその名は多くの論文などに記されていたとある学者なのだから。

尤も、それは"はるかに昔"の話であるのだが。】

1864とある世界の冒険者:2014/06/05(木) 23:54:44 ID:0J93V.tk
>>1863

「彼女らの姉上、そして私の姫君となるべくその可憐なる乙女は、悲しいかな、借金という鎖に縛られて身動きが出来ずにいる!」

「所詮女の身。返せる金額ではとてもない――しかし、私は幸運だった。君に出会えることができた」

彼女は長い間を小さな寒村で過ごしていた。
それでも一定の学はあるが、魔法に関しては我流の部分が大きく、論文に目を通したことはない。
そのため、名前を聞いても特にリアクションはなかった。

「はっきり言おう。こういうのは単刀直入にやるものだ。金を貸していただけないかな」

「担保は何もないし、はっきりといついつまでに返すという算段も立てられん。卑劣なようだが、君の安全との引き換えなわけだ」

彼女が右手を挙げると、傍らの少女達がクロスボウをナーブにへと向ける。

「抵抗は君の権利だ! 私はいわば夜盗だ! 正義は君にあるだろう、しかし、私の胸は愛によって満ち、情熱で姫君を救出する責務がある!」

「君が選ぶのならば、ここで争うとしよう。好きな方を選びたまえ、選択は君の権利なのは神も覆せん真理なのだから!」

彼女は狂気に満ちた笑みを浮かべている。
ただの物盗りにしては、狂いすぎている。

1865とある世界の冒険者:2014/06/06(金) 00:06:59 ID:zRp8FIlE

「夜盗……ああ、なるほどね。」

【向けられるクロスボウをいまいち輝きの無い瞳で見つめる。
そして、少しばかりの逡巡……考えているというより、困っているように見える。】

「でも……うーん、困ったな……今、持ち合わせが無くってね。
君たちのお姉さんを助けてあげたいのは山々、何だけどね。

良かったら、どうしてお金が必要なのか教えてもらえないかな?」

【怯えたり反射的に戦闘体勢をとったりしていいものだ。
だがしかし、彼はそういうことはせず、むしろ無防備だ。

そして、何事も無いかのように話を続ける。……主にその姫君とやらを助ける方法はないか、と。】

1866とある世界の冒険者:2014/06/06(金) 00:13:26 ID:5qQ1hKP.
>>1865

「――なんという紳士であることか。実に素晴らしい演技だ、観客の紳士淑女からのため息が聞こえるようだ」

「紳士とはかくあるべきだな。不届きな盗人に恫喝されてなお、当人の事情を気にする、その器の大きさの素晴らしきことよ」

両手をあげて、しばし虚空を見つめる。
それと同時、右目の赤い発光が多少、穏やかなものになり。

「言っただろう。姫君には借金がある。この借金はそのまま売値というわけだ」

「勇者のように正面から激突して奪い取ることも考えた。しかし、それは国を相手取るという意味だ。当局からは追われる。私だけならまだしも、彼女と姫を連れて逃げるなど不可能だ」

「故に、如何なる手段をもってしても金が必要なのだ。ご理解いただけたかな?」

芝居がかった仕草で、一礼をする。
ナーブの態度は、彼女の好戦性を多少和らげたのは間違いない。
しかし、未だに傍らの少女たちはナーブにクロスボウを向けている。

1867とある世界の冒険者:2014/06/06(金) 00:22:40 ID:zRp8FIlE

「なるほど。でも、僕はさっきも言ったけど持ち合わせは無いんだ。
……お金は持ち歩かないんだ。」

【どこまで信じられるかは分からない。
見たところ身なりはきちんとしているし、いわゆる貧困層と言うわけでもなさそうである。

また、カバンなどもあり、財布を収納する場所はそれなりにありそうだ。】

「それとも、荷物の中身を見てみるかい?
汚したり破ったりしないなら、見せてもいいんだけれど。」

【相も変わらず、警戒心という物が無い。

そして、普通に喋っている。少女達の琴線に触れることを一言でも喋れば
自分が蜂の巣になってしまう可能性だって、ゼロではないのに。】

1868とある世界の冒険者:2014/06/06(金) 00:26:21 ID:5qQ1hKP.
>>1867

「――そんな身なりで、無一文だと言うのか?」

「嘘はもっと上手につくものだ。それとも、最後のささやかな抵抗というわけかね」

ぱちり、と指を鳴らす。
少女たちはクロスボウを油断なく構えたまま、じりじりと歩み寄り、やがて一人がカバンを奪うだろう。
もう一人はクロスボウを突き付けてナーブを冷たく見据え、もう一人がカバンの中を検分する。

1869とある世界の冒険者:2014/06/06(金) 00:42:42 ID:zRp8FIlE

「身なりは……勘弁して欲しいかな。
流石にこれくらいはちゃんとしておかないと差し支えるから……っと。」

【困ったように笑う。少女の一人がカバンを奪い取る動作も見切れずにそのまま許してしまう。
やれやれ、と光の無い瞳のまま、苦笑する。まるで、幼子の悪戯に呆れているかのようなそんな素振りだ。

カバンを開けると出てきたのは良くわからない球体。
そして、あとは紙の束である。紙の束はいくつにも分けられており、どうやら意味があるらしい。

だが、文面は認識阻害の魔法がかけてあるらしく、内容を読み取ることは難しい。
そして、本当に財布とか封筒とかお金が収めてありそうな物は何一つとして、出てこなかった。】

1870とある世界の冒険者:2014/06/06(金) 00:49:15 ID:5qQ1hKP.
>>1869

少女は検分を終えると、エウノモスに向けて首を横に振る。
そうしてから、少女はナーブにカバンを返し、クロスボウを持ち直しながら下がる。
もう一人の少女も同様にして下がって、エウノモスの傍らにへと戻る。

「これは驚いた。本当に素寒貧というわけだ」

「然らば、我らの腹の虫を抑えるために、その赤い血で支払っていただこう――それが台本であったが」

ため息とともに首を振る。
そうして、右手をあげて、それから下げる仕草をすると、少女たちがクロスボウを下げた。

「それでは観客たちからもブーイングがくるだろう」

「せめて君が見目麗しい淑女であるのなら、一つ略奪してみるのも面白いが――」

「あいにく私は男が嫌いなのだ。男は獣だ。獣は恐ろしい。私の四肢を食いちぎり、目玉を潰したのだから」

右目の光が、少しだけ強くなり、それから弱まる。

「だがその怒りを君にぶつけるのは聊か筋違いらしい。ああ結構結構。私共はこのやり場のない怒りをどこか適当なモノで済ませるとする」

「ではまた会う日までごきげんよう。次に出会う時には、金貨の詰まった革袋を持参願いたい。ではさらばだ」

最後まで彼女は芝居がかった口調と態度で、興味を失ったように背を向けて歩き出した。
目指す先は、さて――どこだろうか。

././ではこんな感じで! おつきあいありでした!

1871とある世界の冒険者:2014/06/06(金) 01:36:42 ID:zRp8FIlE

「それは申し訳ないね。僕も流石に性別を変えることはしたくないかな。
いや、これは助かった、と安堵するべきなんだろうね。

女性であったのならば、支払いを強制されていたみたいだし。」

【どこか間の抜けている言葉だ。
まるで、今の自分のみに起こっている出来事が他人事であるかのようなそんな錯覚を覚える。

カバンも受け取り、律儀なまでに丁寧な態度である。】

「"覚えていたら"持っていくことにするよ。だから、君たちも覚えていて欲しい。」

【そういうと懐から手帳を取り出して、なにやらさらさらと書いたかと思うと、収めた、
彼女らが犠牲者を生みかねない行動をしていることについて気にする様子も無かったとか、FO】

//了解です。お疲れ様でした!

1872とある世界の冒険者:2014/06/06(金) 21:45:56 ID:5qQ1hKP.
――森林

豊かなこの森は奥へ進めば進むほど光を拒むようになっている。
そのため、奥地に行けばいくほど、光を拒み、それだけ凶暴な生物が存在するが――。
入り口付近、浅い部分は比較的穏やかだ。
――迷い込んだ生物を狩る、蜘蛛のような狩人達が時折、あらわれるが。

「ふーむ。君たちを囮にしての金策は効果的だが長期的な成果は望めんな」

「噂が立ってしまえば意味がない。出来るだけ痕跡は残さんようにしているが……」

倒木の上に座り込んだ、黒いコートを羽織った人物がぶつくさと何事かを呟く。
月光に照らされているためか、あまりここは暗くない。
その人物の傍らには二人の少女がおり、コートの人物の両腕に取り付き、分担して、何事か行っている。

1873とある世界の冒険者:2014/06/06(金) 22:08:32 ID:tbkFY8Xc
「参ったな……。
ここに来て痕跡を見失うとは、迂闊だった。」

夜の闇にほど近い紺色の髪を揺らし、利発そうに整った顔立ちの青年が歩む。
銀縁で出来た眼鏡のブリッジを押し上げ、辺りを見回しながら森を歩く。

なんびとかが行う何事かには、まだ気付いていない様子だった。

1874とある世界の冒険者:2014/06/06(金) 22:15:12 ID:5qQ1hKP.
>>1873

「おや? ――ふむ。急いでくれ。足は平気だ」

少女らの作業を急がせて、ゆっくりと立ち上がる。
暗視機能を備えた、赤く光る右目でやってきた青年の姿を認めながら、フードを被りなおす。
青年の方も、この怪しい赤い光に気が付くだろう。

「また男か――あの手のは『女泣かせ』というのだ。勉強になったかね」

傍らの少女たちに話しかけながら、出方を伺う。
まだそちらに対して何のアクションもしかけないということだ。

1875とある世界の冒険者:2014/06/06(金) 22:19:20 ID:jVqd.c4w
>>1874
「……赤い……光?」

眼鏡の奥の双眸が、鋭く細まる。
それと共に何気なかった足音が規律正しいリズムを刻み始めた。

すなわち、"何か"との距離を図るために歩んでいるのだ。

赤は人の本能に攻撃性を訴え掛ける光。
今青年は、明らかに警戒をしている事だろう。

「誰か、そこに居るんですか?」
独りごちていた時より少しトーンを落とし、光の先へ問う。


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