レス数が1スレッドの最大レス数(3000件)を超えています。残念ながら投稿することができません。
第一汎用スレッド
-
シンプルに
-
-とある噂のある森の奥-
最近王都で囁かれている噂がある。
草木生い茂る森の奥にぽっかりと空いた空間。
背の低い草木が生い茂り、中央に大岩が鎮座し、頭上に月の臨める場所。
其処で兵を待つ武芸者が居る、と誰かは言う。
武芸者は打ち破った者たちの得物を集めている、と。
集まった得物の中には伝説級のものもあるらしい、と。
歌声が聞こえてくるのだ、と他の者が言う。
魔族を彷彿させる捻れた角と尖った耳を持つ歌姫だった、と。
お尋ねモノが潜んでいるらしい、と賞金稼ぎ。
さる村の教会からうら若き乙女を連れ去った極悪非道の男だ、と。
森の奥には化け物しか居ねえよ、と冷静に突っ込む者が多数。
酷い目に遭った…と。
そういや化け物退治している奴がいたなぁ、と少数。
見たような顔から全く見かけない騎士だかゴーレムだか分らんのまで色々遭遇した、と。
分らんのと言えば、と誰かが言う。
誰かを待つように佇む鎧を纏った獣を見た、と。
他の場所では跳ね回る大きな金属の球も見た、と。
大きな黒い卵があった気が…あれ、場所違ったっけ?
そうそう、巨大な生物等によって蹂躙された様な木々のある場所だったわ、と違う話も飛び交う。
森といえば奥地にひっそりとある墓石が最近朽ち果てたらしい、と青年。
そのせいか死霊の類が彷徨っているらしい…と。
え、奥地には200の階段があって、更に十数本の鳥居で出来た
若干うねりのあるアーチを抜けた其の先にネオベイ風神社があるんじゃなかったっけ?と誰か。
ん?其処って元々草原であった場が歪な黒い草木茂る嫌な気配漂う場になってるんだっけ?
鳥の羽音も虫の声も獣の気配もしないが、少女の歌声が聞こえるって聞いたが、とも言う。
昔から魔女が棲んでいるとの噂が立っているのも森の奥だ、と老人。
庭らしき部分に薬草の類が雑多に生え、
煙突からは怪しげな煙が天高く上がっている小ぢんまりとした一軒家があるのだ、と。
そんな訳で草木生い茂る視界の悪い森の奥で今日も何かが潜んでいる。
兎にも角にも此処はそんな場所である。
-
今日も今日とて>>2なのである。
-
「超常現象と言えばここですね」
未知なる心霊現象を求めて森に足を踏み入れるのは、
黒い髪の中性的な容姿の青年と、霊感が備わっているなら女性騎士
噂も知りつつ、特に考えなしに歩いている
-
>>4
びょい〜ん ぽい〜ん
何かが跳ねまわる音がする。
やけに音が鮮明なのが気にかかると言えば気にかかる。
-
「………おや、早速」
歩きながらも、音を聞く青年
原因を探すという意味でも、あたりを見回してみる
-
>>6
びょい〜ん びよよ〜ん
茂みの向こうから音がする……気の抜けた音である。
-
「向こうからみたいですね」
とりあえず様子見を兼ねて、茂みを覗こうとする青年
-
>>8
覗き込むと木々の周りを跳ね回る
表面に幾何学模様が刻まれ丸い穴が一つ空いている金色の球体が居た。
びょい〜ん
球体が跳ね回る度に音がする。
確実に球体から発せられている気がする、人工的に。
-
「あの球体ですか……」
球体のほうへと近づこうとする青年
-
>>10
びぃ〜ん… ころころ
青年が現れたのを察したか球体が跳ねるのを止めて止ま…ろうとして少し転がった。
動くたびに音がする仕様らしい。
-
「おや、気配を察知できるのですか」
球体に近づいて、触れてみようと心みることに
-
>>12
カチカチカチ
先ほどまでと違って実際に歯車同士が噛み合って発する音がした。
何の金属かは知らないが金属の質感である、少し暖かい。
-
「歯車の音……
この中に歯車でも入っているのでしょうか」
音を聞いてそんなことを呟きつつも、
「暖かい金属……」
暖かいことに気づいて
-
>>14
何かしら中で熱を発しているのだろう。
歯車の音がしているという事は機械的な何かなわけだし。
所謂オートマタとかそういう感じの何かだ。
何かばっかりだな。
-
「所謂機械的な構造であることは、歯車の音等によって察せましたが……」
そんなことを呟きつつも、
「霊的な物体ではなさそうですね
誰かの所有物と仮定するなら、雑には扱えませんか……」
球体を眺めながら
-
>>16
コロコロコロ…
擬音を発しながら球体がのんびりと周囲を転がる。
首輪的なものは見当たらない…
-
「誰がこれの持ち主かわからない、と……
どうしましょうか、これ」
球体を眺めつつも、そんなことを考えている青年
-
>>18
ガサリ、と茂みの動く音。
それと同時にコロコ……カチカチカチ、と動きを止め音を発する球体。
周囲に嫌な気配が漂う。
-
「……保険はかけておきましょうか」
自分の背後に、どこからか取り出したらしい、
小さな、しかしなにも描かれていない人形を置いておく青年
そして球体を再び手に取ろうとする
-
>>20
茂みの一部が焼け溶けていく…そして姿を現す骨で出来た蟻の様な化け物。
無論サイズは人間大である。
「ギチギチギチ…」
コロリ
蟻が嫌な鳴き声を上げ、球体は青年の手をすり抜け転がる。
蟻を警戒しているようであった。
-
「……一緒に逃げます?」
言葉が通じるかどうかはともかく、
球体にそう言いつつも、
青年も後ずさり
「しかし……、心霊現象を求めた結果がこれですか
相手が人でないなら、下手な小細工も使えませんね」
女性騎士が消えていくと共に、青年の魔力の質が変化する
-
>>22
今回はホラーはホラーでもコズミックホラーの様相を呈してきた。
そして青年の提案を聞いてか聞かずか球体はコロリ、と蟻の前に立つ。
「ギシャァ!」
蟻が口からドロドロとした物体を周囲に吐く。
魔力を孕んだそれは勿論強酸である!
-
指名するお姉さんによっては本番が出来るマッサージ店です^^
http://yorutomo1.blog77.fc2.com/blog-entry-2130.html
-
「提案を受け入れてくださるのでしたら、僕の手の平に
不必要であればさようなら、です」
左手を出しつつも、酸を見て
「酸……、下手を打つと……
最悪周囲を焼き払ってでも……」
色々と考える青年
-
>>25
カチカチ…ガチリ!!
酸が周囲を焼とかし森を汚す。
そして響き渡るガチリ、と何かが嵌った様な大きな音。
「ギシ―
ガスン!!
恐ろしい速度で球体が蟻の顔面に突っ込んでアッパーカットを喰らわした。
-
「おや、僕よりもお強いことで
攻撃が通じるのであれば、あがく価値は十分ありそうです」
目的を変更する青年、そしていつの間にか、右手には剣が握られていた
「とりあえず」
左手から魔力で構成された糸を伸ばす
蟻の背後の木の枝に、糸は巻きついていく
同時に青年は一歩ずつ、蟻に近づいていく
-
>>27
「ギシッ!」
ゴィン!!
今度は蟻が頭突きを球体にかます。
球体はブッ飛ばされ其処らの木々にぶつかって転がる。
「ギシャア!!」
鋭い牙の並んだ口を大きく開け迫る青年へと噛みつきにかかる蟻。
-
「ワイヤーアクションでしょうか?」
青年は糸を作り出すことをやめる
枝に、作り出した糸が巻きついていく
糸を操る青年も枝のほうに引き寄せられていく
それで噛みつきをかわしたなら、蟻の頭上にさしかかったあたりで、
蟻の頭に、手に持った剣を突き刺そうとする
-
>>29
ガツ!と硬い感触とともに刃先が表面を滑る。
駆け抜け様の一撃では重さが足りないようだ。
-
「……硬いですね……、どうにも……」
青年が着地すると、糸が消滅する
「小細工が通じないようですし、任せますよ、フィアム」
そう言うと、目を閉じる
目を開けて、剣を両手持ちにした青年は、
蟻目掛けて、普通の人間以上の速度で走りだす
-
>>31
「ギシャアアアアアアア!!」
蟻が咆哮をあげ、口を開き溶解液を撒き散らす。
と、蟻の頭上から球体が落下、蟻の頭に思いっきり体当たりし、地面にたたきつける。
-
「……!」
蟻に向かって走る青年
溶解液を避けようとして飛び上がるも、
蟻がたたきつけられたことを確認すると
そのまま蟻の頭上に、剣と共に落下する
今度こそ、突き刺す気である
-
>>33
今度は完全に剣が決まる。
体液を撒き散らして蟻がその動きを止める。
散る体液も溶解液なのだが。
球体はその一撃を決めた時に、避け跳ね茂みの奥に転がって見えなくなってしまった。
-
「……流石の僕も、少しだけ懲りました……」
魔力の質がまた変わる青年、剣も消えた
自分のほうに飛んできた体液は、人形を身代わりにしている
「疲れました……」
そして蟻から離れつつも、ため息混じりに
-
>>35
ザラザラと蟻が塵となって消えていく…脅威は去ったようだが、周囲はひどい有様だった。
今日はおしまい
-
-フルークガストカンパニー王都支店-
王都内に冒険者向けの店がある。
基本的な道具は勿論、質の良い武具、高価な魔道具までもが置いてある。
「…」
店のカウンター内で
ネオベイ風洋服を着た緑短髪眼鏡娘が
一人本を読んでいる。
-
-前回のあらすじ-
竜の品を求めて歩き彷徨った結果、
竜の牙を手に入れて、黒い霧の様な竜に襲われる羽目になったラーナイ。
危険な一撃を喰らいそうになった、まさにその時、正体不明の大型全身鎧が現れた!!
赤いの「で、アレ何なのにゃ」
長耳「ん?竜牙兵に決まっているだろう」
赤いの「ふ〜ん…Meの知ってる竜牙兵と違うよ〜にゃ?」
マント、腰の細剣、目深に被った羽根付帽、全てが金縁に紅の騎士服姿な紫長髪の女と
鎖の断たれた手枷足枷を嵌めた浅黒い肌と金と銀が混じる長髪を持つ長耳裸足の仏頂面が
戦闘には参加せず成り行きを見守っていた。
-
>>38
【傍観者に気づく余裕のない、黒髪金目の少女。
謎が多い存在である相手、自分にとって切り札となり得るのは手の中の竜牙だ】
「(……驚いている暇はない!)」
【ゆっくり立ち上がり、牙へと自分の魔力を流し込む】
-
>>39
ところがどっこい、牙に魔力は流れるも直ぐに何処かへと消えていくような感覚。
赤いの「…うん?何が起こってるにゃ」
長耳「状況把握が出来ているのは私だけか?竜牙兵と言えば竜の牙から生じるものだろうが」
赤いの「いや、それって所謂ボーンゴーレムの一種で、牙は消耗するんじゃあにゃいかな」
長耳「ふふん、それは一般的なものだ。あの牙はそんなちゃちなものじゃあないのだぞ」
赤いの「つまりにゃにかい。すっげー牙からすっげーゴーレム出てきにゃった、と」
長耳「うむ、故に」
ズガン!
流し込まれた魔力を糧に
赤いマントを纏い、一角の龍を模した兜を有す、身長は2mを超える黒重装鎧が
負竜に拳を叩き込む。
霧の身体であっても効果があるのか負竜が大きく身体を仰け反らせ後退した。
-
>>40
「……」
【その一撃に思わず声を失う。
だが、次の瞬間再び魔力を牙へ送り始めた】
「(この感覚、底なしの器へ入れているんじゃない。
きっと、この牙があの騎士への注入口なんだ)」
【魔力を注ぐ手元が、プラーナの青い光で仄かに照らされる】
-
>>41
長耳「…ふむ、まあ悪くない。が、これでは埒があかんだろうなあ」
赤いの「にゃんで?」
長耳「霧を魔道物理的に殴ってどうなる」
赤いの「にゃー…つまり相手は魔術的に無傷?」
ガスン!
負竜相手にチカラを注がれた黒重装鎧が素手で圧倒する。
だが長耳の指摘通りこれは千日手なのだ。
見た目は押していても、状況は変わってはいないのである。
-
>>42
「…………」
【暖簾に腕押し、意味なく攻撃しても無駄だろう】
「私が……いや、太刀打ちできるものと思えない。
この大鎧に魔法攻撃手段を与えなければ……」
【物は試し、とばかりに牙に直接魔法陣を描き、壊さないようにパワーを抑えた炎矢を牙へ放つ】
-
>>43
流石にっそれを上手く還元はしてくれなかった!
長耳「さて、丁度良い在庫処理だな」
赤いの「うわ、なんか禍々しいにゃあ」
長耳「試験的に作ってはみたが、やはり扱えるものが此処には居なかった」
赤いの「聞かずとも分かるんにゃけど、コレ、殺生石使ってるにゃね?」
長耳「目には目を歯には歯を、負には負を…単純で良い」
長耳が思いっきり負竜目がけ振り投げたのは巨大な斧槍。
禍々しい負の瘴気を発するそれは呪われた武器以外の何物でもなかった。
そんな感じで今日はここまで。
-
<王都近くの森>
【ドゥン、と地鳴りの様な音が響き渡り、鳥や獣が周辺から逃げ出す。
どうやら、何かが地面に向けて放たれたらしく、その部分は綺麗にえぐれてしまっている。
周囲には高い魔力の反応が存在し、それは膨れ上がるばかりである。
とはいうものの、森には取り立てて〝獲物〟は存在していないのだが。】
-
>>45
「!?」
【森の付近にいた薄青髪の少女が物音に反応する】
「・・・何が起こったんだろう」
【そーっと森の中へと足を踏み込む】
-
【その何かはどうやら魔力の塊らしい。
放たれて間もないため、周囲には土煙が立ち上り
地面に衝突した衝撃で舞い上がった土が森の木などにぶつかってパラパラと音を立てる。
さながら、隕石か何かが衝突した後のようだ。しかし、そこにそれを放った者の姿は居ない。
……そもそも、人ではないものが放った可能性すらあるのだが。】
-
>>47
「うわぁ・・・本当に何が起こったのだろうか・・・・」
【頭に降りかかった土ぼこりを手で払いつつ、奥へと進む】
「隕石か何かでも落ちたのかな・・・?」
-
【だが、そこには誰もいない。
ただ、魔力の塊が放たれてえぐれてしまった地面が残るのみだ。
しかし、誰もいないと言うのは妙である。
何せ、土煙がまだ、舞うほどに放ってから時間がそれほど経っていないのだから。
だが、それはよく考えてみれば、答えは自ずから出てくることである。
魔力は〝地面に向けて〟放たれたのだ。つまり、それを放ったものは地面に向いている。つまり……。
〝どこか〟で魔力が膨れ上がり収束していくのが感じとれる。
そう、上である。】
-
>>49
「誰も居ない・・・じゃあ誰がやったんだろう・・・」
【キョロキョロと辺りを見ながら爆発の中心部へ】
「・・・でも地べたにいるとは限らない・・上?」
【ふと上を向く】
-
【上を見たその瞬間、閃光が辺りを包んだかと思うと、魔力の塊が発射される。
幸い、レイヤを狙ったものではないようだ。
だが、着弾の衝撃は中々のもので、まるで爆弾が炸裂したかのような音が響く。
それと共に地鳴りが起こり、森の動物たちは逃げ出していく。】
-
>>51
「えっ!?」
【突然飛んできた弾を反射的にジャンプで回避する】
「うわぁっ!」
【しかし着地の際にバランスを崩して転ぶ】
//すみません落ちます、続きはまた後日にでも・・・
-
//了解です、お疲れ様でした。
-
>>52
「……ハ、はは、まずまず……なんてモンじゃねぇなぁっ。」
【またしても衝撃によって巻き上がる土煙の中で歓喜に打ち震えるような声が。
その声の主は、レイヤの目論見どおり〝上〟にいるようだ。
土煙の隙間から垣間見えるのは、存外に小さなシルエット。
そして、土煙が晴れるとその姿が月明かりに照らされて明らかとなる。
それはボロボロの青いコートを羽織った金髪の少年だ。
以前は森でホームレス生活をしていた彼なのだが、現在では違う模様。
その証拠にコートはボロボロながらもそれ以外は、綺麗な格好をしている。
そして、何より〝変わった〟のは左腕にしている赤い装具の形である。
腕は完全に装具で覆われてしまい、先端辺りはパラボラアンテナの様に広がっている。
さらに、その装具には模様なのか紺色の線が走っている。
まるで、左腕全体が砲台になっているかのようだ。】
-
「・・・いたた」
【ふらふらと立ち上がる】
「・・・やっぱり上だったのか!」
【そして少年がいつ襲ってきてもいいように剣の柄を握る】
【まだ鞘からは抜いていない】
-
>>55
「…………ちっ。」
【ふと自身の左腕に視線を落とすと、忌々しそうにその左腕を大きく振る。
すると〝魔弾として発射し切れなかった魔力〟が、白く光りながら飛沫となって飛び散った。
おそらくは、この状態にはまだ慣れていないのだろう。】
「……っ、ダレだ?」
【そうした直後に下のほうから声が聞こえて、そちらに視線を落とす。
会話はほぼなかったものの、一応ながら見知った相手である。
だが、向こうが警戒を示しているのは明らかである。
こちらはこちらで銃口を向けるように、変わり果てた左腕を向けながら警戒を行う。
以前ならば、即逃走をしていたというのに、変わってしまったようだ。】
-
>>56
薄汚れ所々擦り切れた革の服に半端に長い耳を持った短髪の少女、ふらり。
「ああ、お腹空いたわ…でも直ぐになんとかなりそうね」
不機嫌そうに呟く。
-
>>56
「そっちこそ誰よ!」
【深呼吸をした後大きくジャンプし、少年と同じぐらいの高さまで飛び上がり静止する】
【鞘からは4,5cm程銀色に光る刃が見える】
-
(……)
黒い髪の中性的な容姿の青年
背後には霊感の類が備わっているなら騎士の霊
茂みより機会を伺うことに
-
>>57
「チ……こっちにも、か……!」
【現れたノイエの姿を見ると、そちらにも時折、左腕を向けながら不愉快そうに呟く。
それに呼応するようにして、左腕の装具に魔力が溜まり始める。
それも少しでも魔法を齧った事があるものならば、瞬時に感知できるほどのものだ。
その質も量も申し分ない。】
>>58
「へ、簡単に名乗るかよ、バカが……!」
【自身と同じ高さにまで来たことによって、警戒の主がレイヤにへと。
体内を巡る魔力は質・量共に異常なほど跳ね上がっている。
その魔力を単純に体内から開放するだけで、周囲に衝撃を与えることが可能なほどだ。】
>>59
【ヴァッシュの存在には気づいていないようだ。
このことからも、ビィバードがそういう意味では〝まだ慣れていない〟ことが分かる。】
-
>>60
「ああ、前に嗅いだ魔力だと思えば…イメチェンでもしたの?」
口の端を釣り上げ笑う。
どうも状況は楽しくお喋りというものでもないらしいなぁ、と思い左手にチカラが籠る。
「まー、いいわ。お腹空いてるの、奢ってよ」
ミシリ、と薄板の割れる音と共に、
腹ぺ娘(はらぺこ)の左腕に禍々しい蛇の様な魔力が纏わりつく。
-
>>60
「・・・やっぱり名乗るつもりは無しね」
「ところで・・・・私と戦うつもりなの?」
【さらに10cm程両腰から剣を抜く。いつでも攻撃できる体制である】
-
>>60
(あの手を見る限り、改造でもされたのでしょうか
あれも含めて、使い慣れているとは言い難そうですが)
そんなことを思いつつも、
自分の周辺の木々に、様々な小さな人形を、
魔力で構成された糸を作り出して、それでくくりつけていく
-
>>61
「……っの、やろ……ッ!」
【その言葉に眉が吊り上る。
そして、殊更に魔力の高まりが感じとれるようになる。
どうやら、挑発にも乗りやすいようだ。色んな意味で明らかに素人だ。】
「さっきから、虫けら共がわらわらとぉ……!うっとオしいッ……!」
【目の前にレイヤが居るというのに、銃口と化している左腕をノイエへと向ける。
もちろん、先ほどのアレを見ていれば、彼が放つ魔弾がどれほどのものかは分かる。】
>>62
「ガタガタと、うるせぇンだよぉ……テメェッ!」
【こちらがノイエを狙っているというのに、水を差されたのが気に食わなかったのか
不愉快さを隠さぬままに、声を荒げ、再び、左腕をレイヤに向けた瞬間――――。
その銃口から魔弾が飛び出した。おそらく、そこに彼の意思はない。
感情の高ぶりがトリガーとなって、魔弾を発射してしまったようだ。
それは先ほど、地面をえぐったものよりかは小さいが、感情をそのまま反映したような魔弾だ。
それは、凶器といって当然なほどの威力と感情が乗っている。】
>>63
【気づいてはいないものの、少年は地面をえぐり土煙を巻き上げてしまうほどの魔弾を撃つ力を持つ。
潜むにしても、位置を考えなければ流れ弾や巻き添えを食らってしまう可能性は高い。
加えて、少年はまだ完全に力を物にしていない様子もある。非常に不安定で危険だ。】
-
>>64
「アンタもさぁ…チカラに振り回されるつっまんねー奴認定されてみる?」
左腕を振りぬくと四匹の魔力蛇がビィバードの左腕に大口をあげ迫る。
どの蛇も腹を空かせているのが覇気として伝わるほどだ。
「くぅぅぅわぁぁぁぁせぇぇぇろぉぉぉぉおおおおおおお!!!」
-
>>64
「ちょえっ・・・!」
【即座に六角形で半透明の障壁を生成、しかし攻撃は防いだもののバランスを崩しかける】
「・・・やったな!」
【体制を立て直し、右手を突き出す】
「・・・えいっ!」
【そして掌から一直線に細めの冷気の光の筋が放たれる】
-
(流れ弾は……、勘弁です
戦闘慣れした方も多そうなことですし、
今は身を守ることを優先しましょうか……)
一歩ずつ下がりながらも、人形を木にくくりつけていく青年
流れ弾を警戒しつつも
-
>>65-7
「チッ、どいつもこいつもチョロチョロと……!
俺の、俺の……邪魔をするんじゃねぇ!」
【迫り来る蛇の魔力や冷気を放つものたちを見ると怒りを更に高め、吼える。
わなわなと体は震え、異常ともいえる魔力のめぐりが更に早く、強くなる。
何ゆえかは分からないが、魔力の代謝が常人とは比べ物にならないくらい良いらしい。
少年の周辺に微かに輝きが見える。】
「虫けらが……ハエ共が……俺の近くに…………来るんじゃねえええぇぇェ――――!!」
【咆哮とも言える叫びとともに体を捻り全体に力を込めて、魔力を一気に解放する。
それは少年の周りを一瞬、ベールの様に覆ったかと思うと、次の瞬間には閃光団の様に炸裂した。
ビィバードを中心として周囲に、無差別に多量の魔力が一気に放たれ、周囲を攻撃する。
空に浮かぶ少年のすぐ真下にある木などは、その魔力によってミシミシと音を立てている。
そして半ば、衝撃波の様になり、自身の近くによるものを吹き飛ばし、弾き、迎撃しようとする。
ノイエの魔力で出来た蛇、レイヤの冷気の一条も例外ではない。
もちろん、それは広範囲におよび、茂みに潜むヴァッシュにも影響を与える。
攻撃としては単調なものだが、多人数戦にはおいては有用な選択肢の一つかもしれない。
尤も、この少年がそれを選んだかどうかは不明瞭であるが。】
-
>>68
放たれた蛇はそのこと如くが打ち払われ試算。
「はん、ミトコンドリアが吠えなさんな!!」
そう吼えながら左手を水平に振りぬく。
達する魔力衝撃波は振られて具現する蛇が食らう筈だ。
-
>>68
「帰ってきた・・・!?」
【即座に回避しようとするが、レーザー自体の弾速が早い故に左腕をレーザーがかする】
「うぐぅ・・・・」
【かすった場所には氷の結晶が出来ている】
「えいっ・・・!」(パリィン
【そして氷が砕け散る】
-
「おや、ここまで飛んでくるとは……
しかし……」
一定の距離は十分取ることができた青年
こちらまで飛んできた衝撃波は、青年に達するよりも先に、
より衝撃波に近い木々が受ける
次々に倒れていく木々、故に木々に紛れることができなくなった
-
>>69
【衝撃波に蛇が通ると、まるでナイフで切れ目でも入れられたかのように裂ける。
確かに衝撃波は食われてしまうが、あくまでも蛇が振りぬかれた部分のみだ。
それ以外は、衝撃波が襲いそれらを吹き飛ばし、迎撃をしようとする。
魔力の量に頼った物量のみによる単純な攻撃だ。】
>>70-1
「はぁー……はぁ、ハァ……はぁ、ぁ……!」
【流石にあれほどの魔力の開放は体力が必要だった様だ。
既に肩で息をしており、疲労しているのは誰が見ても明らかである。
だが、魔力は完全には途切れてはいない。
またしても、魔力は体の中で異常な巡りを開始し始めている。
まだ、戦闘は可能であろうが、先ほどの様な大規模な攻撃までには多少、時間がかかりそうである。
とはいうものの、木々を薙ぎ倒すほどの魔力の開放が周囲に与えた影響は大きい……はずである。】
-
>>92
「再びさっきのをするつもり・・・・?」
【空中の一点にとどまりながら様子を見る】
「・・・・ならやる前に!」
【今度は両手を突き出して光の球体を作り出す】
「オーロラ・・・・キャノン!!」
【そして球体からはさっきのとは比べものにならない程の極太の七色に光る氷のレーザーが放たれる】
-
>>72
「ったく、何一人で騒いでんのよアンタ」
他に何人か居たり、周囲の自然が破壊されたりしてるが気にする事はなく。
はなから自身を守る範囲程度にしか強い蛇は動き回れない。
「まだ、食い足りないんだけどね、こっちはさぁ…」
メリリ、と例の薄板が割れるような音と共に相手へと歩き出す。
奇妙な黒い線が刺青のように左半身にゆっくりと広がる。
禍々しさが質・量共に増していく。
-
>>72
「見つかったっぽいですね」
木々がなぎ倒された影響で、青年の存在が目視できるように
「動けないのであれば……」
袖に隠し持っていたのはナイフ
かつてビィバードが投げたものを回収した物である
それを投げナイフの要領てビィバードめがけて投げる青年
持ち手には糸がくくられている
-
>>73-5
「……ッ゛……!」
【自身へと迫る七色の光だったり、先ほどよりも強大さが増したノイエだったり
はたまた、かつて自身が持っていたナイフだったりが迫る中
突如として、左腕を押さえたかと思うと、苦悶の表情を浮かべ、体勢が崩れる。
図らずもそれでナイフやレイヤの攻撃の直撃は免れることは出来たが、零夜の攻撃は足に掠ったようだ。
それによって、尚更にバランスを崩してしまったため、空中を浮かんでいた彼はそのまま落ちてしまう。
それなりに高い距離であり、まして足を負傷してバランスを崩したためか、頭から落下している。
仮にそのまま、地面に直撃してしまえば、まず命は無いであろう。だが――――。】
「ハニー・クッション。」
【この場にはそぐわない可愛らしい弾むような声が通り、夜風に運ばれて甘い香りが漂ったかと
思うとビィバードの落下地点に巨大な蜂蜜で出来た球体が現れた。
それは落下したビィバードの負傷を避けて、ビィバードを助けた。
そして、それと同時にビィバードをその蜂蜜の球体に包み込み、取り込んでしまった。】
-
>>76
「…蜂蜜?…誰よ」
食い足りない腹ペ娘はイライラしながら周囲を見回す。
-
>>76
「蜂蜜・・・・?」
【上空から見下ろすような形で蜂蜜の球体を見ている】
-
「蜂蜜を操るのは彼女ぐらいでしょう
しかし、まだ彼は束縛されていたのですか」
取り込まれたビィバード、さらにタイミングのよすぎる蜂蜜を見て
ビィバードが自由の身でないような気がして
-
>>79追記
投げたナイフ、くくりつけておいた糸が、
青年の人差し指に巻き付いていき、
それを引き寄せて回収しておく
-
>>77-8
「どーも、お姉さん。」
【薙ぎ倒された木々の間にポツリと立っている少女が明るく挨拶をする。
ノイエにそしてレイヤにへと順番に視線を移す。笑顔がまぶしい人懐っこい印象を受ける。
だが、この場にはやはり似つかわしくない。姿からしても中等部生くらいである少女だ。
髪は金髪なのだが、毛先だけが黒い。少々、異様なのは腰に大量の空き瓶を下げていることだ。
ノイエの言葉に答えたということは、この少女が蜂蜜を発生させたものであろう。】
>>79
「束縛だなんて人聞きが悪いですねー。
私とこの雛ちゃんは結構、仲良しなんですよ?……ふふ。」
【蜂蜜の中に取り込まれているビィバードを指差して、くすくすと笑う。
嘘か本当かは分からないが、ともあれ、ビィバードに関わっているのは間違いないであろう。】
「それに、雛ちゃんには死んで貰ったら困りますしー。」
-
>>81
「あのコミュ障のイメチェン仕掛け人はアンタ?」
自身もコミュニケーションのとれなささなら底辺を行くが棚上げして。
ガリガリと右手で頭をかいて酷く面倒くさそうだった。
「何企んでるわけ?」
-
>>81
「おや、それはそれは
彼とあなたが友達でいらしゃったとは」
本気で間に受けたのかは、口調からは読み取れない、続けて
「しかし雛に死んでもらっては困るというあたり、
実際は仕事上の付き合いなのでしょうか」
仕事云々と言っていたことを思いだして
-
>>81
「?」
【そのままゆっくり降下する】
「ビンをぶら下げている・・・・何処かで見たような・・・・・」
-
>>82
「どうでしょうねー、私かもしれませんしー……他に誰か居るかもしれませんね?」
【間延びした要領を得ないテンポの悪い言葉で問いかけに答える。
もちろん、彼女はビィバードに何があったか知る人物で間違いは無い様だ。
だが、それは答えたくないのか答えられないのかは置いておいても話すつもりは無いらしい。】
>>83
「んふふ、でも、最近はつまらないんですよー?
雛ちゃん、前ほどリアクションを返してくれなくなりましたからね。私としては前の雛ちゃんが好きですよ。」
【両手を後頭部の辺りに回して、腕を組み、口を尖らせながら言う。
仕草や言葉だけを見れば、年相応かそれ以下の言動である。】
「さてさて、それはどうでしょうね〜?」
【そういうと、唇に自身の人差し指を当てる。まるで、秘密とでも言うように。】
>>84
「そっちのお姉さんも見たことありますね、こんばんは♪
そうそう、あんまり雛ちゃんをいじめないでくださいよ?
まだまだ、雛ちゃんは外の世界に慣れていないんですから。」
【一度、ビィバードのほうへと視線を移し、再び戻した。】
-
>>85
「鬱陶しい」
メヤズの人物評価を下しつつ左手をふるう。
一匹の魔力大蛇が口を開きながら具現してメヤズに噛みつかんと伸びる。
-
>>85
「いやぁ・・・・攻撃してきたものだから・・・・正当防衛・・・ってやつ?」
「確かにちょっとやりすぎたかもしれないけど・・・・」
【少しは反省の色があるようだ】
-
>>85
「確かに、以前の彼はとにかく走り回っていましたからね
身の丈に合わない力というのは恐ろしい物です」
思い返しつつも、
「というわけで、以前のほうが好きなら戻してもらえるよう頼んでみればどうでしょう?」
なんて提案しつつも、
「答えていただけないなら今はそれで構いません」
一見、仕掛けない青年
-
>>86
「あはは、お腹一杯にして欲しいならいくらでもシてあげますよ?」
【その大きく口を開けた魔力の大蛇へと手を向けるとそこから蜂蜜が噴出す。
それは螺旋を描きながら、さながら噴水のようにして大蛇の口へと向かう。】
「あ、甘いものが好きじゃなかったら、すいません。好きになってくださいね?」
【くすくすと笑いながらも、そんな挑発めいたことを言う。】
>>87
「お姉さんは他の人と違って良い人ですねー。
雛ちゃんだって、分かってないだけなんですから、許してくれればいいのに。」
【やれやれ、とため息を吐きながら憂う様子を見せる少女。
だが、その顔は笑顔のまま、固定されているため、いまいち深刻性が足りない。】
>>88
「いえいえ、私はちょっと不満ですけど雛ちゃんは気に入ってるみたいですからね。
そうじゃないと〝あんなこと〟はしません。……うふふ。」
【再び、周囲の魔力が高まっていくのが感じとれる。
これはメヤズのものではないのは明白だ。彼女の場合、魔力が高まれば甘い香りがする。
ソレがないと言うことは、この魔力の高まりは別の……。】
-
>>89
「性質が悪い」
腹を膨らませた蛇が弾け飛んだ。
顔を顰めながら感想を述べる少女。
「やっぱりもう少し苦めが良いわ、アンタの血とか如何?」
厄介な状況になってきたか?と片隅では思いつつ。
-
>>89
「・・・そう、ごめんね」
【蜂蜜の塊に向かって謝る】
-
>>89
「まあ確かに、あのような破壊の限りを尽くすなんて真似は……」
遠くから見ていたことを思い出しつつ、
「しかし鎖かなにかぐらいはつけていて欲しいところですね
僕も巻き添えを喰らいますから
でなければ……」
見境のなさを見て、そして魔力の高まりを感じてかは不明だが
青年も魔力が高まり始める
「……漂う霊よ、偽りの肉体を鎖に僕に従え」
普段とは違う、殺気が感じられる口調で
そして言い終わると、人形がくくりつけられた木が一斉に浮かび出す
50本ほどのそれのうち半分ほどを、ビィバードのほうへと飛ばす
-
>>90
「そうですね、んー……却下です♪」
【人懐っこい笑みと共に断りの言葉を述べた。
これで、仮にYESをあげれば、それはいよいよもって人外といえよう。
逆に言えば、彼女は人間であることには間違いは無い様だ。】
>>91-2
「謝るのなら、言葉より行動が重要ですよー?
どうするかはお姉さんに任せますけどね。」
【と、なにやら取引めいたことを言おうとするところでヴァッシュのほうに気づいた。】
「あらー、これは少しまずいですねー。
ちょっとお喋りする時間が長すぎたみたいです。反省ですね、これは。」
【そういうと、指をパチンと鳴らす。
すると、ビィバードを覆う蜂蜜が硬質化し、木々からビィバードを守ろうとする。】
「ちょっと勿体無いですけど、余り調子に乗ると怒られちゃいますからね……。
んー、お仕事の辛いところです。」
【ビィバードを木から守ろうとする一方で、こちらも何か準備をしているらしく
甘い香りが強くなっていく。】
-
>>93
「そう…ま、腹八分目で我慢しておきましょ」
踵を返しその場を去った。
「正直これ以上いてもお腹空く未来しか見えないわ」
-
>>93
「・・・まずいって?」
【ただ少女の様子を見ている】
-
>>93-95
「こちらにとっても、彼に再び暴れられるのはまずいですからね
生きるために敵対するとしましょう」
放置すると自分にも襲いかかってくる可能性
青年はそれを懸念しているらしく
「……解放……
魔法騎士フィアム、契約に基づきその力、借りさせていただきます」
木々は力尽きたように地面に
そして青年の魔力の質も変わる
「続けて憑衣術、鬼火……」
青年の手に手のひらサイズの青い炎が作りだされる
それはすこしずつ大きくなっていく
-
>>94-5
「そうです、あの人がなんかとんでもないことしそうですからね。
あのお姉さんも帰りましたし、私たちもそろそろ帰っちゃいますね?」
【木を25本くらい飛ばしてきたヴァッシュを指してである。
いくら魔力による防御が強固とはいえ、流石にその倍量である50本を一気に向けられれば
耐え切る自身は無いのだろう。】
>>96
「用意周到に人形を木にセットして、殺しにかかる人がよく言いますね♪
あんな量は自分が生きるために敵対、なんて量じゃありませんよ。
んふふ、まぁ、正当防衛が一番〝安全〟ですからね、仕方ないですよねー。」
【どことなく、自身を正当化しようとするようなセリフを言うヴァッシュに
対して、嫌味っぽく且つ挑発的に言い放つ。
その間に、腰に下げてある瓶のうちのひとつが黄金色に輝き始めた。】
「……さて。私としても雛ちゃんが今から暴れたら困りますしあなたにヤられるのも
真っ平なので、この辺りで家に帰らせて貰いますね?」
【そういって指を鳴らすと自身が一瞬のうちに蜂蜜に包み込まれる。
そして、ビィバードと共に蜂蜜ごと、黄金色に輝く瓶の中へと吸い込まれていく。】
-
>>97
「確かにね・・・こんな森で暴れたらちょっとアレだしねぇ」
【少し笑顔を作りながら言う】
-
「保険、は必要ですからね
生き残るためにも」
用意周到なのはすべて保険、と言い張るが……
「しかし……、正当防衛に見えませんでしたか」
今回も諦めて、木々の人形を取り外す作業に入ることに
-
>>98-9
【最後にくすくす、と少女の笑いが聞こえたかと思うと
蜂蜜は全て瓶の中に吸い込まれてしまい、それと同時に瓶に魔力が収束する。
そして、瓶はパリンと呆気なく割れてしまった。
もちろん、そこには2人の姿は無い。蜂蜜と瓶を使用した転移魔法であろう。
残されたのは薙ぎ倒された木々とえぐられた地面だけであったとか、FO】
//というわけで、この辺りで終了です。長い時間お付き合いいただいてありがとうございました。
-
<王都のどっかスターキャッツカフェ内>
【明かりはぶら下がるランタンのみ。木製の薄暗くレトロな雰囲気を醸し出す店内。】
【カウンターに立つは黒布を巻いた二足歩行で尾にリボンをつけた小さな渋めの黒ネコ。
店内の隅にはネコ耳をつけた2m弱の大男の人形があるが気にしてはいけない。
そしてカウンターの目立つ箇所に"酒場のマスター"とサインされたカードが飾られている。】
-
「黒ネコと言われれば不幸を連想してしまうのは、人の性でしょうか
もしくは使い魔ですね」
とかなんとか言いつつも来店するのは、
黒い髪の中性的な容姿の青年
霊感の類が備わっていたりすれば、背後には女性と思わしき騎士の霊
-
「あい、らっしゃい。
汝って何かいっつもブツブツ言いながら、来店するにゃよね。」
【感じたままの感想を言いながら、歓迎する黒ネコ(店長)】
-
「そうでしたっけ?
でも言われて見れば独り言に見えるかもしれません」
あまり意識したことがなかったらしく、
そんなこんなで適当な椅子に座る
-
「んー、キャット。
んまぁ、いつものメニュー見ない注文がないだけマシなのです、はい。
……あれって、店的に本当に泣きそうになるからにゃ、マジで。」
【ぶつぶつ言っているのもそうだが、何よりもその注文方法は店泣かせのようだ。
割と自由なカフェであるため、その様な注文も時には承るのだが
それを毎回の様にやられてしまうと、店としても辛いものがあるのは言うまでも無い。】
「って、ことで気を取り直して注文を聞こうかにゃ、汝?」
【と、席に着いたタイミングでメニューを差し出す。ネコを象った物だ。芸が細かい。
そして、メニューと共に添えられているものが1つ。
それは、いわゆるネコ耳と呼ばれるものである。付ければネコ種の仲間入りだ!】
NORMAL
チキンドリア
ハンバーグ
ナスとキノコのミートパスタ
ロールキャベツ
サラダ(ネオベイ風&ゴマだれ)
カレー(甘・中・激・獄)
プリン・ア・ラモード
CAT
ネコ缶
ネコ缶バーグ
ホネポテト
カツオ出汁のクリームパスタ
マタタビティー
ニボシクッキー
マタタビジュース
マタタビ酒
CHALLENGE(挑戦メニュー)
ブラックハーブティー(無料) ※完食者が出ました。
20年物マタタビドリンク ※完食者が出ました。
-
「あれ、僕そんなそして注文しましたっけ
ただ店泣かせになるというのは覚えておきます」
しらばっくれる青年
「ネコ耳ですか……、せっかくですし」
ネコ耳に魔力を込めて、それを女性騎士の頭に乗せる
見えていれば似合わないそんな姿が見られ、
見えなければネコ耳が浮いているという怪奇現象の出来上がり
「そうですね……
カレー激一つにサラダ一つ、ついでにマタタビジュースとプリンを一つずつ」
ここで夜食を取る気なのだろう、きっと
-
「……ダーメだ、こりゃ、うん。」
【はぁ、と露骨なため息を吐いて、肩をすくめた。
それにあわせて、尻尾が左右にゆらゆらと揺れる。】
「にゃー、なんと酷いご主人しゃま……!
自分がつけるなら、まだ知らず、お供の人につけるにゃんて……!」
【嗚呼、と大げさに嘆くようなセリフを言いながら自身を抱き、いやいやと体を捻る。
芝居がかっているにも程がある。というか、大根だ。
そして、さりげなくだが、女性騎士の姿は見えていたらしい。】
「……ってか、付けられるなら、そういってくれれば良いのににゃっ!
汝は遠慮したんにゃろうが、そんなことは気にしなくていいのよん?」
【と、言いながら取り出したのはネコ耳(2つ目)
ネコ耳はたくさん用意してあるらしく、追加は容易いのである。】
「にゃー、酷い未来が吾輩には見えるにゃ。けど、注文は承ったにゃ。」
【そういうと、チャオウスの影がうねうねと蠢きだしたかと思うと
地面から剥がれるようにして、起き上がり店の奥へと歩いていく。】
-
「……なぜこのような物をつけさせた?」
「気分的な問題です、ええ」
そんな会話をしつつも、
「おや、また出てきました
幽霊友達をもう少しつれてくるべきでしたか」
一応ヴァッシュは人である
そんなことを呟きつつも、素直にネコ耳を身につける青年
こんな時に中性的な顔立ちというのが役に立つらしく
とりあえず見苦しくはない
「カレーライスは多分大丈夫でしょう、多分」
言い切ることができないようでもあるが
-
「大丈夫!そっちよりはマシな感じにゃ!」
【と、ネコ耳着用の女性騎士に向けてグッ、と肉球を立てる。
いくら、似合っていないといっても流石にヴァッシュよりは見栄えがするようだ。】
「ん、まぁ、吾輩のカフェに来る人の中には筋骨隆々のゴッツイのも居るけど
彼奴だって余裕でネコ耳付けるしにゃ。
正直、似合ってるかどうかなんて吾輩的には二の次にゃし!」
【ネコカフェとしてはネコ耳を付けてくれるだけで嬉しいようだ。
実際、王都はネコ種が少ないため、こうでもしないとネコカフェが成り立たないのである。】
『とりあえず、先にお飲み物をどうぞ、にゃ。』
【影がマタタビジュースを入れたグラスをもって戻ってきた。
グラスの中には綺麗な黄金色の液体が満たされている。見ようによっては麦茶に見えなくもない。
だが、マタタビの芳醇な香りと甘い香りは、そんな認識を吹っ飛ばしてくれる代物だ。】
-
「そ、そうか……」
「これも性別の差という物でしょうか」
口々にそう漏らしつつも、
「王都のネコカフェがそこまで大変なものだったとは、初耳です
次はネコの霊を連れてきましょう」
ありがた迷惑な提案をしつつも、
「ありがとうございます、では一口」
ジュースを受け取って、とりあえず口をつけてみる
-
「吾輩の知り合いにもそんなん居るしにゃ!
全く問題にゃい!……寧ろ、イイって叫ぶあれやこれやが居る気がするにゃ。」
【カフェをやっているということもあってか交友関係は中々に広い。
まして、王都ならば、そういうものの出入りもあるため、知り合いにはなりやすいのだろう。】
「いや、パスしておくにゃ。死人に鞭打つとかあれにゃしー。」
【口を尖らせて、拒否を口にした。
そこまでして、ネコ種を増やす気は無いようである。】
「まぁ、マタタビシリーズで一番、軽いものにゃからね。
子供でも飲めちゃう全年齢仕様にゃぜっ!」
【その言葉どおり、マタタビの香りや風味はするものの砂糖の甘さが強い。
そのため、とても飲みやすく口当たりもまろやかである。
そうこうしている内に店の奥から、香ばしい匂いが漂ってくる。
もう少し、すればカレーが運ばれてくるのだろう。
だが、香ばしいのは香ばしいのだが、少々、それが強すぎる。
漂う香りの時点で、スパイスの香りが強く〝辛そう〟という印象を持ててしまう。】
-
「な、なるほど……
しかし、あまりこれをつけて表には出たくはないものだ……」
と言う騎士、
「そうですか、確かに悪い影響を与えないとも限りませんしね」
断られて身を引きつつ、
「甘いです、確かにこれぐらいなら飲めますね」
匂いは鼻に届いているものの、あえてそれには触れずに
-
「にゃっにゃっ、もちろん、出るときは返してにゃ?
ほら、たまに付けたことを忘れてそのまま帰っちゃう人とかいるのよ、やっぱ。」
【あくまでもネコ耳は貸し出しであり、プレゼントではない。
よほど、気に入ったのであれば、買い取ることも出来るようなのだが。】
「ホントホント。ネコにカボチャとか笑えにゃい。」
【やはり、ネコだからかそういうネコ関連の逸話については多少なりとも知っているようだ。
ネコの国でも、このようなことは語られているのだろうか。】
『にゃにゃ、やっぱりキツイにゃね、これは。』
【そして、影が運んできたのはカレー(激)である。まず、見た目からしてもう、おかしい。
具体的に言えば、ルウが茶色を通り越してこげ茶色なのである。それほどに濃いらしい。
そして、目の前に運ばれれば、湯気と共に非常に強いスパイスの香りが目や鼻を刺激する。
それは、直接、浴びてしまえば沁みて、涙が出てしまうほどだ。
現に運んできた影、本体までもがマスクを着用している。さながら、危険物である。】
-
「買い取ることも可能、ですか
僕は買いませんけど」
一つの選択肢として頭に入れつつも、
「猫にかぼちゃですか……?」
かぼちゃを被った猫を想像しつつ
そして目の前に運ばれてきたカレーライスを見て
「これはなんというか……
とりあえずいただきます」
涙こそは出ないものの、口に入れればどうなることやら
とりあえず一口
-
「にゃにゃっ?!よく、分かったにゃね!
そうにゃのよ、どうしても欲しいって人が居てそれで売ることもあるにゃ。
んでも、大っぴらには言ってないから、ほら、裏メニュー的なあれにゃよ。」
【見抜かれたことを驚きつつも、説明を加える。
様々な種類のネコ耳があるため、ある意味で専門店並みの品揃えである。】
「そーそー。そういう童話があるって知らにゃい?」
【ネコにカボチャが出てくる童話といえば、ネオベイ辺りのものであろうか。】
「にゃー、気をつけてにゃ。」
【とても、料理を口にする人間にかける言葉とは思えない言葉を書けた。
口に入れた瞬間に暴力的なまでにスパイスの香りが広がり、一瞬で鼻にまで抜ける。
鼻に抜けた辛さは容赦なく、器官に浸透していく。
その辛さは痺れるを通り越して、痛い。
そして、その辛さの所為なのかお酒でも飲んだかのようにカッと熱が回る。
舌どころか口の中を細かな針で何度も刺されているかのような感覚だ。】
-
「沢山あるなら欲しい方に売りつけても利益がうまれますし」
なんて言う青年
「すぐには思い出せませんね、悲しいことに」
すぐには思い浮かばなかったらしい
「………」
一瞬固まって、倒れた
そして元に戻ったかと思うと、女性騎士の霊が消えており、
ネコ耳も地面に落ちた
「……本人は辛さで意識を飛ばしたらしい……」
口調が先ほどの騎士のものになったかと思えば、
カレーを淡々と平らげていく
-
「にゃー、怖いね、カレーって。
……ってか、汝は平気なわけにゃ?それ?」
【どうやら、口調の変化から一応、それを認識した様子。
個性的な面々が多い王都に店を構えるゆえか、こういうことの適応は早い。】
-
「憑衣して肉体の制御を始めてしばらくは、五感が鈍るからな」
つまり一刻も早くカレーを食べきらなけばならない
最後のほうは顔をしかめつつ、無事完食
-
「にゃるほど、まるで導火線つきの爆弾にゃね。
鈍ってる間に食べきらないと、辛さが襲ってくる、と。」
【ふむふむと妙に納得したのか頷きながらカレーを食べていくさまを眺める。
しかし、ふと何か思ったのか、顔を上げた。】
「にゃ?でも、鈍ってるってことは食べ終わったとしても後で
絶対に辛さが襲い掛かってくるってことにゃよね?時間差攻撃で。」
【と、腑に落ちない様子で首を捻った。】
-
「それを受けるのは私ではなく元の肉体の持ち主だ」
と言い残して、糸の切れた人形のように力なく机に伏す
そしてしばらくして
「………」
酷く顔を歪ませて、青年が起き上がってくる
-
「おぉう……それは悲劇的……。」
『うむ。やはり、彼奴のカレーは兵器並みにゃね……。』
【口々に改めて、そのカレーの恐ろしさを痛感しつつ、憑依から
開放されたヴァッシュを眺めて。】
-
「………」
無言でジュースを飲み干す
そうして少し表情が和らぎ
「兵器……です……、本当に……」
死にそうな顔をしている
「プリン頼んでいた気がするです……」
でも注文した品物は覚えていた
-
「……にゃー、デザートにゃからね。
最後にとは思ってたのにゃが……その、大丈夫にゃ?色々と?」
【デザートだからと気を使って遅らせていたらしい。
だが、予想以上のダメージ具合にプリンを食べられるのかどうか心配なようだ。】
『まぁ、とりあえずどうぞにゃ!』
【そそくさと影がプリンを持ってくる。アラモードということで
他に果物や生クリームが添えてあり、通常のプリンより少しばかり豪勢である】
-
「甘そうですね、では」
ダメージを追いつつも、
とりあえずプリンを一口
-
「にゃー、でも、今の汝じゃ……。」
【おそらく、あれほどのカレーを食べているため、口の中が
痛みやら熱やら痺れやらで麻痺しているのではないかと危惧をしているようだ。
それさえなければ、プリンはいたって普通の甘いプリンなのだが。】
-
「……食感さえわかればどうとでも……」
味覚が麻痺しきったらしい
「ああ、やわらかかったです」
気づけば果物含めて食べ終えていた青年
「それで、幾らでしょう?」
もう声に力がこもっていない
-
「えーっと、マタタビジュースに……カレーに……。」
【ぶつぶつとメニューを確認するかのように呟きながら金額を計算する。】
「…………うむ。これくらいにゃね。」
【と、値段が提示される。
まぁ、良くも悪くも普通の値段である。カフェであるし、こんなものであろう。】
-
「これぐらいでしたら……、どうぞ」
提示された代金を支払って、ふらふらと去って行った
//というわけで、お疲れ様でした
-
「あいにゃ、毎度!
…………まぁ、お大事ににゃ。」
【と、去っていくヴァッシュを心配そうに見送ったとか、FO】
//はい、お疲れ様でした。
-
-あらすじ-
現在方向性にやや難ありの青年ビート。
何を思ったか剣を振って鍛錬なんぞをしているのだが…
「それじゃあ間に合わない…」
何処からともなくそんな声が。
-
>>130
「………わかってるよ……んなこと。
でも、階段飛ばしで強くなれるわけないしな。全く手につけてなかったし。」
そう言って剣を地面に突き刺して、後ろに振り返る。
丁寧に扱えよ。
-
>>131
残念、上でした。
「…そうじゃない、幾ら君がチカラをつけても今のままじゃアノ子の運命は変わらない」
鳥を思わせる仮面とマントを纏う左腕の無い白髪の少年が宙にいた。
-
>>132
「………アイツが碌な目に合わないって言いてぇみたいだな。
なんでそう言い切れる。俺が強くなっても意味が無いと?」
碌な目に合わないとはつまり死ぬ、と言いたいのだが、直接言うのをためらった結果遠回しな言い方になってしまった。
これで根拠が無いとか言い出したらぶん殴る気であるが……
-
>>133
「君はピースを取り溢し過ぎている。
散らばったそれらを組み合わせなければ奴らに届くチカラ足りえない…」
「一人のチカラで変わる程度は微々たるもの。
チカラを求めるなら周りをもっとよ…此処までか」
途中までビートを見ながら喋っていた鳥のヒトが視線を宙へと向ける。
「時間がない。鍛錬すれば何かが変わるという思考は一旦置いて。
周りを見て。君の敵は一体何者だ?」
かすれていく姿。
ついには完全に消えてしまった。
-
>>134
「散らばったピースを組み合わせる?どういうことだよ!!
言いたいことだっけ言って消えんな!おい!」
相手の言いたいことがわからず、問い詰めようとしたら相手が消えてしまった。
「ピース……例えばこれとかか………わざわざあんな言い方したってことは
馬鹿正直にここに行けってわけでも無さそうだしなぁ。」
魔法を使えるようになるための場所の招待状を一度取り出したあと、丁寧に仕舞う。
顔をしかめてしばらく黙っていたものの、やがて思い立ったかのように歩き出し、魔女の家の中に無言で入る。
-
>>135
いんざまじょはうす
さて…どうする?
-
>>136
「………エクゥス、いるか?」
寝ているであろうヒロを起こさないように気を付けながらこの家にいるであろう魔女を探す。
-
>>137
「はい、どうなさいました?」
『えくぅすのへや』とミミズがのたくったような字で書かれたプレートを下げた扉が開き、
質素なフード付きローブを纏った茶のポニテな金目銀目娘が現れる。
-
>>138
「いや、また塾に戻ろうと思ってな。それを伝えに来た。
……それと、毛布あるか?ヒロに掛けたジャケット回収したいんだ。」
(きたねえ字だなぁ………俺よりも雑って言うよりかは汚い字だな。)
-
>>139
エクゥス「あ、それなら此処にありますよ」
ジャケットが出てきた。
-
>>140
「ああ!ありがとな!」
そう言ってジャケットを受け取ろうと
-
>>141
「お気をつけて」
ジャケットを手渡す。
とくに引き留めるとかそういうことはなく。
-
>>142
「……うい、んじゃ、行って来るわ。」
引き止められもしないことに何も思わなかったわけではないが、それに何か言えるわけでもなく。
ジャケットを受け取り羽織った後、そのまま真っすぐ塾に向かって走り出していく。
-
>>143
そして私塾である!
-
>>144
「………とりあえず、あいつらの様子見にいくか…
すでにどっかいってそうだけど。」
ドムスとベルがやりあってたのを思い出し、二人がどこにいるかどうか探してみる。
-
>>145
たぶん女子寮の方だろう。
既に日も暮れ遅い。
因みに男子禁制なのは言うまでもない。
-
>>146
「………レラールさんに相談するかー」
女子寮に潜入する勇気などなく、とりあえず気軽に相談できそうな縫い包みに相談しようかと考えるが、
「でも、レラールさんはさすがに王都に帰ってるな。
…………明日まで待つしかねぇのか…」
向こうにも仕事があるのを思い出し、とりあえず今日は休もうとする
-
>>147
そんな風にしていると、ある棟の建物から
フード付きオーバーコートを纏い腰に短剣を吊るす銀髪の壮年が外へ出てきた。
ゼルドナァのドゥクスであった。
-
>>148
(あ、この人なら大丈夫だな。部屋に踏み込むのは気が引けたけど、今なら大丈夫そうだし。)
「すいませーん!ちょっと相談したいことがある……んですがー!」
ドゥクスに向かってそう大声で言いながら走る。
その手には招待状を持っている。
-
>>149
「ん?」
気がついたようで歩みを止める。
「ビート君か…何か用かい?」
壮年は快く迎えてくれるようで。
-
>>150
「いや、大したもんじゃないんですが……」
そう前置きしたあとで青年からもらった招待状を見せて
「……この組織信用できそうですかね?」
もらった時にはものすごく舞い上がっていたが、冷静に考えたらそんな美味しい話はないと思えてきたのだ。
これが実は罠で、その結果俺が捕まったらただの間抜けだ。
-
>>151
「…ふむ?」
しばし考える壮年。
「能力開発自体は古今東西ピンキリで実現している試みだね。
ああ、ピンキリなのは効果もだが危険度にも当て嵌まる。
ゲシェンク、という機関は発足して間もないんだったかな…
そのせいか余り噂を聞かないね」
-
>>152
(………つまり、危険に目をつむれば侵負に対抗出来る力が得られると…)
超短絡的思考であるが、そう結論づけると
「暫くの間、こっちの方に行きたいんですが、構いませんかね?
今のままじゃゼルドナァにすらなれるか怪しいし。」
と聞いてみる。
やっぱり、危険だろうがそういう力は欲しい。すごく欲しいのだ。
-
>>153
「成程…ああ、決めるのは君だ。
それを止める理由は我々には無い。
ただ見送るだけだからね」
紹介状をビートに返しながら。
-
>>154
「……ん、わかりました。
帰ってくる頃にはすごい能力とか使えるようになってますからね!そしたらゼルドナァに認めてくださいよ!」
招待状を受け取った後、一度お辞儀をしてから、招待状に書かれている場所まで一気に走っていこうと。
-
>>155
こうしてビートはゲジェンクへと向かうのだった。
「……やれやれ、手間がかかるぜ」
「どうする?放置は下策だよねえ?」
そんな彼の姿を遠くから見つめる二つの影。
さてさて如何なる事やら、待て次回。
-
王都ジグザール・東門
多くの旅人たちが行きかい賑わう場所であり、
今回冒険者たちの集合場所として指定された場所である。
依頼主の代理として、冒険者協会の職員らしき女性が
『モンスター討伐クエストの参加者はこちら!』と書かれた
旗を掲げてにこやかに立っている。
-
age
-
>>157
「確かこの辺りのはず…あ、あの旗かな?」
旗を見つけ、小走りで女性の方へ。
-
>>157
「……」
参加料を取られそうなそのノリに唖然としつつも
お金欲しさに女性のほうへと
-
「はい、貴方たちが勇敢な冒険者さん達ですね…?」
協会のお姉さん、二人を出迎えるとにっこりとスマイル。
「………。
……あれ??二人だけですか……???」
いつまで待っても集まった人数は二人…
おかしいなぁ、と首を傾げる。
「……うーん……まぁ仕方ないですね、この時期、忙しくて人手不足ですし!
暖かくなってきましたから、色んなモンスターが暴れ始めますからねー。」
「それでは、さっそくですが…出発しましょうか!
…目的の森まで、私がご案内させて頂きます…!」
そう言うと、旗を掲げて門の外へと歩き始めるのであった。
-
>>160
「あれ?…カイサ…だよね?」
そこにいるのは見覚えがあるかもしれない薄青髪の少女。
>>161
「…観光か何かのノリ…なのかな?」
少しツッコミを入れつつついて行く。
-
>>161
「……不安だ……」
頭数がそろわないといった口ぶりにため息をつく
しかし受けてしまった以上は仕方ないと自分を奮い立たせて、
生き残ることを第一に彼女らに続き歩きはじめる
>>162
「ん、レイヤちゃん
お金にでも釣られてきたか?」
先に待ち構える困難を思い薄ら笑いを浮かべつつも返答する青年
そして今ごろ男性が自分だけであることに気づく
-
協会のお姉さんに連れられて、
たどり着いたのは王都の東に位置する森。
王都で暮らす者であれば馴染みの深い、ごく一般的な森である。
「えー、こちらの森は、春になりますと見事な桜が咲き誇り、
花見などで賑わうことで有名でございます。
…今回の依頼は、こちらに出現した大型モンスター『皇帝マタンゴ』の討伐となっております。
二人での討伐は…正直、けっこう大変だと思いますが、がんばってくださいね♪」
ここにきて初めて詳細が明かされるクエスト内容…
冒険者協会はやる気があるのだろうか…。
「お二人様、これをお持ちになってくださいね。
身代わりの護符、これを使えば危なくなっても東門まで一瞬で帰還できてしまいます♪」
いつかの白竜討伐の際にも渡されたご都合主義アイテムが二人に渡される。
-
>>163
「な…何で分かるの…!?」
少し赤い顔をする。
>>164
「皇帝…マタンゴ…」
実体がぱっと掴めないような顔をする。
「あ、お馴染みの…」
一回使ったことあるので。
-
>>164
「……」
その態度になにを感じようが金の力の前には無力であった
「使うような事態にならないことを祈るか」
などといいつつもそれを受け取る
>>165
「顔に出てるからな」
実際は適当に言っただけである
「俺はヒーローの真似事をするために受注したってところか」
本当の目的は語らなかった青年
ひらめいた嘘の理由を語ることに
-
「『皇帝マタンゴ』はとても大きなキノコの様なモンスターですね。
胞子をばら撒いて撹乱する攻撃が得意だそうですよ…?ふふふ、厄介そうですね…♪」
「…それでは、私の役目はここまでです。
皇帝マタンゴは森の中心、一番大きな桜の樹の周辺に巣くっているとの事です!
どうか死なない様にがんばってくださいね〜!」
ぶんぶんと手を振って二人を見送る協会のお姉さん。
そうして二人は、芽吹きの季節の森へと足を踏み入れる。
-
>>166
「えっ…顔に出てるの…む…」
と少しうつむく。
>>167
「死なない様にって…大丈夫なのかな…?」
「まあ、がんばろうかな?」
-
>>167
「……把握」
その情報を元に頭の片隅で戦術をぼんやりと練りだす青年
無駄になりそうな気もしつつも
>>168
「金さえあれば大抵のことはうまくいくからなー
がめつくても恥じることなんてなにもない」
気付かれていないならと、励ましの言葉をかける青年
-
森の奥へと足を踏み入れると
やがて桜の木々が立ち並ぶ一帯へとたどり着く。
その枝の先には、今にも開花しそうなつぼみ…本格的な春の訪れが近い様だ。
…さらにしばらく進むと、周囲に霧か霞の様な物が立ちこめ、
どこか甘い匂いが漂ってくる事に気がつく…。
-
>>169
「…まあ、そうだよね…うん」
自分で勝手に納得しています。
>>170
「む…甘い匂い…」
こいつ、甘い物には目がないようだ。
ふらふらと匂いのもとへ。
-
>>170
「甘い匂い、か
……それで人を誘ってがぶりってか?」
腰に引っさげたガンホルダーより青い拳銃を取り出し構える
警戒を怠ることはしなかった
>>171
「……どちらにしても、それなりに結果を残さなきゃ話にならない」
拳銃を構えながらそう続けつつ
-
霧の中心部辺りから、ぼんやりと黒い影が現われ、こちらへゆっくりと近づいてくる。
それは次第に輪郭をはっきりとさせ、その姿を現す。
白いイボイボを伴った赤い傘のキノコ…に太くて短い手足を生やした様な醜悪な姿。
それが、二階建ての家を越すほどの巨大さである。
周辺に目を凝らすと、ところどころに人骨らしきものが散らばっている。
…この辺を通りかかった旅人達が犠牲になったのだろうか。
コミカルで鈍重な外見とは裏腹に、凶暴性も十分に孕んでいる様だ。
くぐもった様なうめき声を上げながら、
縄張りを荒らしにきた二人の方を向く…
そして、ズシンズシンと地響きを鳴らしながら、二人へと近寄ってきた…!
【戦闘開始、シートを提示して下さい!】
-
>>173
「でっ…出たーっ!?」
一足先に進んでいた彼女が突然現れたキノコに驚き、叫び声をあげる。
「…それにしても大きいなぁ」
それと同時に腰の剣を抜き、キノコに向かって構える。
#1:防御態勢-Defense Mode-
HP120
0:攻撃態勢[連続20 3T](-50)
1:攻撃態勢[連続20 3T](-50)
2:リフレクトアイス[反射 効果無効](-45)
3:リフレクトアイス[反射 効果無効](-45)
4:アイスボール[攻撃40](-40)
5:クイックキュアー[回復50](-75)
6:クイックキュアー[回復50](-75)
7:[ミス](-0)
8:[自爆100](+100)
9:[自爆100](+100)
#2:攻撃態勢-Offense Mode-
HP120
0:フロストアロー[攻撃40](-40)
1:フロストアロー[攻撃40](-40)
2:クリスタルスラッシュ[攻撃50](-50)
3:クリスタルスラッシュ[攻撃50](-50)
4:チャージ[3倍加 逆算1/2 シート3](-60)
5:チャージ[3倍加 逆算1/2 シート3](-60)
6:スピニングブリザード[攻撃60 反射無効貫通 シート1](-80)
7:[ミス](-0)
8:[自爆100](+100)
9:[自爆100](+100)
#3:チャージショット-Charge Shoot-
HP120
0:オーロラキャノン[攻撃60 反射貫通 シート1](-70)
1:オーロラキャノン[攻撃60 反射貫通 シート1](-70)
2:アイシクルピラー[攻撃40 シート1](-50)
3:アイシクルピラー[攻撃40 シート1](-50)
4:ドレインアイス[攻撃20 回復20 シート1](-50)
5:ドレインアイス[攻撃20 回復20 シート1](-50)
6:ドレインアイス[攻撃20 回復20 シート1](-50)
7:[ミス](-0)
8:[自爆100 シート1](+100)
9:[自爆100 シート1](+100)
-
>>173
「ポーズを取るキノコ……ってわけじゃなさそうだ」
シート1:ウェポン・オン!
HP:125
1:チェンジ・ウェポン [障壁 3ターン40ダメ+シート変更 2] (-60)
2:ウルフズビジョン [混乱 5ヶ所] (-100)
3:支援用弾丸 [スキップ ] (-30)
4:特攻 [自爆 100ダメ] (100)
5:ミス [ミス ] (0)
6:特攻 [自爆 100ダメ] (100)
7:支援用弾丸 [スキップ ] (-30)
8:反射 [反射 ] (-35)
9:チェンジ・ウェポン [障壁 3ターン40ダメ+シート変更 2] (-60)
0:チェンジ・ウェポン [障壁 3ターン40ダメ+シート変更 2] (-60)
シート2:チェンジ ウェポン3
HP:125
1:投げ [混乱 4ヶ所+シート変更 3] (-80)
2:回復 [回復 31+シート変更 3] (-46)
3:回復 [回復 13+シート変更 3] (-19)
4:自爆 [自爆 100ダメ+シート変更 3] (100)
5:自爆 [自爆 100ダメ+シート変更 3] (100)
6:回復 [回復 30+シート変更 3] (-45)
7:ミス [ミス ] (0)
8:回復 [回復 30+シート変更 3] (-45)
9:投げ [混乱 4ヶ所+シート変更 3] (-80)
0:投げ [混乱 3ヶ所+シート変更 3] (-60)
シート3:チェンジ ウェポン2
HP:125
1:武器の力を [4倍化+シート変更 4] (-60)
2:武器の力を [4倍化+シート変更 4] (-60)
3:自爆 [自爆 100ダメ+シート変更 1] (100)
4:武器の力を [4倍化+シート変更 4] (-60)
5:自爆 [自爆 100ダメ+シート変更 1] (100)
6:武器の力を [強化3ターン 26加算+シート変更 4] (-65)
7:ミス [ミス ] (0)
8:武器の力を [強化3ターン 26加算+シート変更 4] (-65)
9:支援攻撃 [スキップ シート変更 1] (-30)
0:支援攻撃 [スキップ シート変更 1] (-30)
シート4:ブレイク
HP:125
1:居合 [攻撃 50ダメ+シート変更 1] (-50)
2:居合 [攻撃 50ダメ+シート変更 1] (-50)
3:居合 [攻撃 50ダメ+シート変更 1] (-50)
4:居合 [攻撃 50ダメ+シート変更 1] (-50)
5:居合 [攻撃 50ダメ+シート変更 1] (-50)
6:居合 [攻撃 50ダメ+シート変更 1] (-50)
7:ミス [自爆 100ダメ] (100)
8:ミス [ミス ] (0)
9:ミス [自爆 100ダメ] (100)
0:一刀両断 [攻撃 75ダメ+シート変更 1] (-75)
-
「…ォォ…ォォォ………!!」
腹に響く様な重低音のうなり声を上げ、
巨大なキノコの化け物が二人の前に立ちはだかる!
【参加者からの行動となります】
皇帝マタンゴ
HP1200
0:睡眠胞子[睡眠(※)]
1:睡眠胞子[睡眠(※)]
2:睡眠胞子[睡眠(※)]
3:猛毒胞子[全体継続3ターン20ダメージ]
4:猛毒胞子[全体継続3ターン20ダメージ]
5:きれいな胞子[無害]
6:マッシュルームストンプ[30ダメージ]
7:マッシュルームストンプ[30ダメージ]
8:閃光爆弾胞子[20ダメージ+スキップ]
9:カオスストーム[全体継続5ターン20ダメージ+全体睡眠]
※睡眠…睡眠を受けたキャラクターは次以降の宣言で偶数を出すまで行動不能。(0は偶数扱いとする。)
偶数を出した次のターンから行動可能となる。
効果無効で防ぐ事ができる。
-
>>176
【せんげーん】HP120/120
「さーて、とりあえずどうしようか…」
キノコを見上げるような格好をする。
-
【結果】
2:リフレクトアイス[反射 効果無効](-45)
「とりあえず守りを固める…と」
「さあどっからでもこーい!」
少し挑発的な態度をとる。
人々はこれを「死亡フラグ」と呼ぶのだが…
-
・スキップは3回で1ターン休み
・混乱は効果1ターン
となります!
-
//2行目のあとに追加
綺麗な正方形の氷の障壁を展開する。
-
>>176
「特殊系は苦手だ、ほどほどに手を抜くか」
銃を構えながら
-
>>181
<結果>
3:支援用弾丸 [スキップ ] (-30)
「前回のモンスターに似た耐性を持ってると見るべきか……?
まあこれをぶつけりゃわかる話だけどさ」
徐々に体を麻痺させていく弾丸を放つ青年
-
HP1200 スキップ1/3
【宣言】
「……ブフォッ……?」
弾丸がキノコのバケモノに突き刺さる。
一瞬怯んだ様子を見せるも、殆ど意に介していない様子。
-
【対象判定】
偶数…レイヤ 奇数…カイサ
-
【結果】
「……バフッ…バフッ……!」
キノコの傘を振るわせると、白い胞子を周辺にばら撒く。
吸い込めばきっとよくないことが起こりそう…
だが、警戒態勢をとっているレイヤには避けられてしまいそうである。
0:睡眠胞子[睡眠(※)]
-
【宣言】HP120/120
「おっと危ないっと…」
障壁により胞子を防ぐ。
「さて、今度こそどうしようか…?」
-
【結果】
1:攻撃態勢[連続20 3T](-50)
「そろそろ攻撃しようかな…!」
少女の周囲に氷の塊が5,6個ほど生み出される。
そしてそのうち何個かがキノコに向けて飛ばされる。
-
<宣言> HP125
「……間違いない、あのタイプは……
さてどうするかな……」
意に介していない様子を見て、相手の耐性を察する青年
細工好きの青年には不利な相手に思えた
-
<結果>
5:ミス [ミス ] (0)
「……あれ?」
弾切れであった
-
HP1180 スキップ1/3 継続20ダメージ1/3
【宣言】
「……ォ……ォォォ……」
氷塊がキノコに突き刺さる…
が、その巨体には、それほど堪えていない様子。
-
【対象判定】
偶数…レイヤ 奇数…カイサ
-
【結果】
キノコのバケモノが口に当たる部分を大きく開く。
すると、その中から大きな胞子の塊がレイヤ目掛けて勢い良く発射される。
胞子の塊はレイヤにぶつかると同時に、まばゆい閃光をあげながら勢い良く爆発。
8:閃光爆弾胞子[20ダメージ+スキップ]
-
【被スキップ】HP100/120
「はぅっ…」
目を眩ませている。
//そろそろ落ちます
-
<宣言>
「今度はヘマしないように……」
銃を構え直して、弾丸を装填する
-
7:支援用弾丸 [スキップ ] (-30)
「二発目だ!」
先ほどの弾丸を装填していた青年
それを怪物に向けて放つ
-
//本日はこれにて一旦中断とします…続きはまた後日!
-
HP1160 スキップ2/3 継続20ダメージ2/3
【宣言】
「……ヴォォォッッ!?」
二発目の弾丸が撃ち込まれ、一瞬よろめくもすぐに体勢を立て直す。
-
【対象判定】
偶数…レイヤ 奇数…カイサ
-
【結果】
キノコの傘をばふん、と大きく揺らすと、
妖しげな色の胞子が周囲に舞い落ちる。
うっかり吸い込んでしまうと、猛毒に犯され全身を蝕む様な
悪寒・倦怠感に襲われる事だろう。
4:猛毒胞子[全体継続3ターン20ダメージ]
対象:レイヤ
-
>>199
【宣言】HP80/120 20Dあと2
「ぅ…うぇっ…」
やっと立ち直ったと思うと今度は毒の胞子が飛んで来るのであった。
「ぅっ…気持ち悪いー…」
そしてどうにか体勢を立て直す。
-
//すみません、全体ついてるの忘れてました…!
-
【結果】
4:チャージ[3倍加 逆算1/2 シート3](-60)
「…せめてダメージぐらいは残しておきたいな…」
両手を広げることにより氷のエネルギーが溜まって行く。
そして溜め終わった頃には彼女の周囲は冷気が覆っている。
-
<宣言> 継続20 HP105
(……まずい、頭が……)
毒に冒され頭痛を感じる青年
-
<結果> HP100 自爆100
6:特攻 [自爆 100ダメ] (100)
「……グッ」
攻撃を試みるも、毒のせいで満足に体を動かすこともできない
-
HP1140 スキップ2/3 継続20ダメージ3/3
【宣言】
「……ボフッ…ボフッ…」
奇怪なうめき声を上げるキノコ怪人…
…それは冒険者達を嘲り笑っている様にも聞こえる。
-
【結果】
そして再び、周囲に猛毒の胞子がばら撒かれる。
むせ返る様な胞子の嵐に、吐き気がこみ上げて来る事だろう。
3:猛毒胞子[全体継続3ターン20ダメージ]
-
【宣言】HP60/120 20Dあと2
「ぅ…やっぱりキツいかも…」
吸い込まないように必死であるが吸い込んでいるのは確かである。
-
【結果】
7:[ミス](-0)
「…やっぱり動きにくい…」
やがて溜まっていたエネルギーも消えていく。
-
<宣言> HP80 継続2 自爆100
「ちっ……」
呼吸が荒れ始める青年
時折ふらついたりと、毒の影響が現れ始めているのがわかる
-
<結果> HP85
7:支援用弾丸 [スキップ ] (-30)
「……これなら……」
朦朧とする意識の中で相手を一時的に麻痺させるあの弾丸を赤い拳銃に装填
キノコに向けて放つ
-
HP1140
【スキップ】
「……ボフォッ……!!?」
3発目の弾丸を受け、ついに体勢を崩して転倒するキノコ怪人。
……しかし、倒れたとはいえまだまだ体力には余裕がありそうである。
-
>>211
【宣言】HP40/120 20Dあと2
「うぅ…どうしよう…」
体力もかなり蝕まれ、衰弱している様子。
-
4:ドレインアイス[攻撃20 回復20 シート1](-50)
「ちょっとパワー不足かもしれないけど…」
「体力吸収、ドレインアイス!」
そう言いながら右手を突き出すと、そこから手のような冷気の塊が生み出される。
そしてそれはキノコにまとわりつき、体力を吸収していく。
-
<宣言> HP65 残2 自爆100
「繋げたか……?」
朦朧とする意識の中でキノコが転倒したのを確認して
-
<結果> HP65 自爆200
4:特攻 [自爆 100ダメ] (100)
「……ッ」
めまいを感じたと思うとそのまま地面に音を立てて倒れ込む
-
HP1120
【宣言】
氷の結晶がキノコの菌糸を凍てつかせ、ボロボロと崩していく…
が、その巨体を崩しきるにはまだまだの様である。
-
【対象判定】
偶数…レイヤ 奇数…カイサ
-
【結果】
再びキノコの傘から胞子が舞い落ちる。
…今度は、先ほどとは性質が違う胞子の様子。
どことなく甘い香りが漂い、吸い込めば心地よい眠りに誘われてしまいそうな…。
2:睡眠胞子[睡眠(※)]
-
>>218
【状態:睡眠】
「む…ぁ…甘い香…り…が……zzZ」
ばたりとその場に眠りこける。
-
<宣言> 残1 HP45 自爆100
「……」
毒のせいなのかぴくりとも動かない青年
-
<結果> HP45 自爆200
0:チェンジ・ウェポン [障壁 3ターン40ダメ+シート変更 2] (-60)
『……』
『……』
彼が手に持っていた拳銃がそれぞれ赤と青の狼の姿を取る
青年を守るようにして立ち並ぶ二匹
-
HP1120
【宣言】
「……ボフッ…ボフッ……」
巨体を軋ませながら、冒険者達に詰め寄るキノコ怪人。
そろそろ弱らせた獲物を仕留めにかかるつもりだろうか。
-
「いたっ…!」
地面に倒れ伏せた衝撃で目が覚めた模様。
「むぅ…どうなってるの…」
-
<睡眠> HP45 障壁2
「……」
ぴくりとも動かない青年
そしてそれを守るようにして立ち並ぶ二匹
-
※対象判定はパー速にて
【結果】
二匹の狼と共に守りの体勢を取るカイサを見るや、
睡眠胞子をばら撒いてその守りを崩そうと…。
2:睡眠胞子[睡眠(※)]
対象:カイサ
-
>>225
【宣言】HP60/120
「狙いがそれた…よし、とりあえずどうにかしよう」
キノコの様子をぼーっと見ている。
別に胞子に冒された訳ではないよ!
-
【結果】HP110/120
5:クイックキュアー[回復50](-75)
「とりあえず回復ぐらいしとかないと…」
彼女の全身が青白い光に覆われる。
-
<睡眠> HP25 障壁解除
「………」
『…』
『…』
狼二匹も毒に冒されたのかうずくまる
絶体絶命である
-
HP1120
【宣言】
「………ォォ……ォォォ……」
緩慢な動きながらも、確実に冒険者達を追い詰めていくキノコ怪人…
-
HP1120
【結果】
「・・・ヴォォォォォォッッッ!!!!」
腹の奥に響く様な、一際野太い声で吼えたかと思うと、
凄まじい量の七色胞子を辺りかまわずばら撒き始めた!!
……しかし、量が多いだけで、別に無害の様だ。
5:きれいな胞子[無害]
-
>>230
【宣言】HP110/120
「あっ…!これ吸ったらやばそう…」
「…あれ?何ともないけど…大丈夫なのかな…?」
剣を構え、隙を見計らっている。
-
【結果】
1:攻撃態勢[連続20 3T](-50)
「ここで再び攻撃っと…」
再び氷の結晶を生み出し、何個かをキノコに向けて撃つ。
-
<睡眠> HP25
「……」
起きる気配のない青年
-
HP1100 継続20ダメージ 1/3
【宣言】
「…………ッッ…?」
氷の塊がキノコ怪人に突き刺さる。
が、しかし、鈍感なのか、それとも本当に効いていないのか、
全く意に介していない様である。
-
【結果】
「……ヴァォォォォォォォオオオオッッッ!!!!」
先ほどの七色胞子はデモンストレーションだったのか…
さらに凄まじい彷徨をあげると、今度は非常に禍々しい色彩の胞子を嵐のごとく噴射して来た。
眠りを誘う甘い香りと同時に、吐き気を催す強力な毒を孕んだ凶悪な胞子の嵐だ。
9:カオスストーム[全体継続5ターン20ダメージ+全体睡眠]
-
>>235
【睡眠】HP90/120 20Dあと4
「むぅ…ま…た…眠…気…が…zzZ」
再び眠りに落ちる。
-
「あいたっ!」
そして衝撃で再び起き上がる。
-
<睡眠> HP5 継続4
「……」
もはや青年に余力は残されていなかった
本能的に主人のピンチを察した青い狼は、青年のポケットを探りだす
-
HP1080 継続20ダメージ 2/3
【宣言】
「………グフォッ…グフォッ…グフォッ……!!」
胞子が立ち込める桜の森に、
キノコ怪人の醜悪な笑い声がこだまする。
-
【結果】
「………バフォォォォ………」
猛毒嵐の余波だろうか……
先ほどの無害な七色胞子を噴出するキノコ怪人。
5:きれいな胞子[無害]
-
>>240
【宣言】HP70/120 20Dあと3
「確か…これは吸っても大丈夫なはず…!」
吐き気を耐えながらも攻撃のチャンスを伺う…。
-
<撤退>
『……!』
冒頭に青年が受け取っていた札を手にして青い狼が掲げると
青年の姿は消えていた
//一足お先に撤退、お疲れ様でした!
-
【結果】
6:スピニングブリザード[攻撃60 反射無効貫通 シート1](-80)
「スピニング・ブリザード!」
その言葉と同時に両手に剣を1本ずつ持った少女はコマのように高速回転を始める。
そして冷気を纏いながらキノコへと突撃、体を切り裂いていく。
-
狼が掲げた札から煙が勢い良く噴出し、
カイサを王都の東門へと転送する…!
HP1000 継続20ダメージ 3/3
【宣言】
「………グフッッッ……!?」
…流石のキノコ怪人も少女の突撃には多少堪えたのだろうか、
身体をよろめかせてくぐもったうめき声を上げる。
-
【結果】
「……グフゥ……ボフッ…ボフッ……」
咳き込む様にうめき声を上げながら、
キノコの傘から七色胞子を舞い落とす。
5:きれいな胞子[無害]
-
>>245
【宣言】HP50/120 20Dあと2
「またあれかー…」
「とりあえず何とかしないとなぁ……」
-
【結果】6:クイックキュアー[回復50](-75)
HP100/120
「とりあえずこの吐き気を治さないと…」
再び彼女の体が青白い光で包まれる。
-
HP1000
【宣言】
「………ググ……ォォォ……。」
よろめく身体を建て直し、再びレイヤへと向き直る…。
-
【結果】
「………ォォォォ……ッッ!!!」
その巨大な足をゆっくりと振り上げると、
レイヤの頭上めがけて踏みおろしてきた。
動きは緩慢だが、その重量で踏みつけられたら間違いなくただでは済みそうでは無い。
6:マッシュルームストンプ[30ダメージ]
-
【宣言】HP70/120
「むぐっ…!」
しかし踏まれた程度ではへこたれない。
再び起き上がり、様子見に入る。
-
【結果】2:リフレクトアイス[反射 効果無効](-45)
「よし、防御を固めとこう」
目の前に氷でできた透き通る正方形の壁を展開する。
-
HP1000
【宣言】
「……ガフッ……ガフッッ……!」
防御を固めるレイヤへと、ゆっくりと詰め寄ってくる…
-
【結果】
「………ォォォォォッッッ!!!」
雄叫びを上げながら、七色胞子を撒き散らす。
こいつなりの威嚇のつもりなのだろうか。
5:きれいな胞子[無害]
//次のターンで一旦中断とします…!
-
>>253
【宣言】HP70/120
「なーんだ…何もしてこないのかー…」
障壁は弾けるように割れ、氷の粒がキラキラと光っている。
-
【結果】6:クイックキュアー[回復50](-75)
HP120/120
「備えあれば…何だっけ」
「…まあそんなこともあるし、一応備えておこうかなー」
三たび青白い光が少女を包む。
-
「…………。」
しばらく少女と対峙するキノコ怪人…
「……ヴォォォォォオオッッ!!」
…やがて、らちが明かないと思ったのか、
一際凄まじい勢いの七色胞子を一帯に撒き散らす。
煙幕の様な濃い胞子の嵐に、キノコ怪人の姿が霞んで消えていく……。
やがて胞子の霧が晴れると、キノコ怪人の姿は跡形もなく消えていたのであった。
【…討伐対象逃亡…!!】
//では今日はここで一旦中断で…お疲れ様でしたー!
-
>>256
「あっ…どっか行っちゃった…」
気づいたらキノコは跡形もなくなっていた。
そして十分な体力を持ったまま門へと戻って行く。
その後、『怪物は逃亡した』と依頼主へと報告、そして普段の生活へと戻っていくのであった…
//こちらこそお疲れ様でした
-
<王都近くの草原>
「…………。」
【草原を進行するは大きな黒い塊。
もし、それが仮に立ち上がったとすれば、4メートルはあるであろう大きさだ。
それがなめくじの様に体を揺らしながら、ゆっくりと動く。
体質もなめくじに似ているのか表面は濡れたようになっており、月明かりを反射して
ぬらぬらと不気味に光っている。】
「…………。」
【そして、この巨体が通った後には黒い粘液がべったりと付着している。
また、それからは死臭が漂い、草原を汚染し、蹂躙していく。】
-
「…………。」
【ズルズル、と泥の様なものを垂れ流しながら、進む黒い塊。
どこへ向かっているのか、そもそも、これが何なのかは図り知ることは出来ない。
だが、この塊は死の香りを撒きながら、ゆっくりと進行を続ける。】
-
FO
-
【とある遺跡】
台形の岩山を掘り返して見つけられたとある遺跡。
何千年か前の儀式に使われたのではないかと言われている其処は、目下王国の調査隊が掘り起こしている最中であった。
篝火に焚かれ、煌々と照らされた入り口に冒険者達が集まる。
包帯を頭に巻いた調査隊のリーダー、初老の立派な髭をたくわえた男性が悔しそうに説明した。
『我々が奥の石碑を解読し、封じられた扉を解いたそのとき、奴は現れたんだ。』
『広い地下空洞の中で、奴は何かを護っているはずだ。頼む、遺跡にはなるべく傷を付けないよう、対処してくれ』
-
「古い遺跡に現れた何か……
と、言うのは俺の仕事の領域である可能性もあるわけだ。」
やってきたのは、赤い髪の魔法使いの青年。
「…と、言うわけで久々にお仕事だな…!
まぁ爺さん、俺が来たからには安心したまえよ、フハハハハ。」
と、軽いノリで調査隊のリーダーに大口を叩く。
(…あ、でも傷を付けるな…ってのはちょっと難しいな…ま、いっか!)
-
「……出来る限りやってみるさ。」
左肩から先をマントで覆い隠した軽鎧装備の男が初老の男の話を聞きそう返す。
小規模な魔法しか使えないと言われているようなもので、うまく戦えるか思い悩んでいる。
(要は傷つけなければいいんだろうが………水だって勢い良くぶつけたら壁がぶっ壊れるだろうし……)
-
>>261
「ふーむ…なるほど、つまりそいつの向こうに何かがある…ということね」
話を聞いていたのは薄青い髪の少女。
「それで遺跡をなるべく傷つけずに…」
「まぁ、なるべく傷にならない程度に頑張るよ」
-
『岩山の中とはいえ、地下であることには変わりないからな』
『爆発だのなんだのは使わんでくれよ……じゃあ、任せた』
皆に地図を渡すと、印が付けられた場所に向かうようにと告げてリーダーはその場を後にした。
遺跡の入り口である階段を下り、魔法の灯りに照らされた遺跡の通路を行く一行。
魔物の気配どころか生き物の気配がしない。
痕跡一つ無い。
あるのは調査隊が逃げる際に放置したと思われる荷物が点々と見えるくらいだ。
【注意深く地図を読んだものには、目的の場所が非常に広い空洞であると分かるだろう】
-
「なるほどー、爆発だのなんだのは禁忌ね、ははは。」
(……そっか……ダメか……。)
炎の魔法使いである彼は、爆発だのなんだのが得意技である。
「まぁいいさ。地味な魔法で細々と頑張るもん。」
地図を見ながら、指先に魔法で明かりを灯して遺跡の中を進んでいく。
-
>>265
「…それじゃあみんなについて行こうかなー」
そんな地図をあまりよく見ないような性格である。
「…やけに静かだなぁ」
「…生き物の気配すらないし…」
周囲を見回しながら通路を進む。
-
「………俺だって生き埋めはゴメンだよ。」
軽口を叩きながら地図を受け取る。
(と言ってもこれだったらちょっと無茶しても良さそうだな……)
地図を見ながら歩き、空洞の広さを見てそう思っている。
-
やがて一行がたどり着いたのは、地図上で印がされた部屋の真上。
八畳程度、石版が中心に据えられ、何か魔法による封印が施された扉がある部屋である。
既に封印が解かれた扉は、閉じられていてもただならぬ魔力が感じられる。
不思議なことにその魔力、それが何なのか判別に困る、奇妙なもの。
用途も属性も不明、やたら自己主張するくせに何故あるのか分からない魔力であった。
扉を開ければ何らかの仕組みが作動するだろう。
準備をするなら今であるが、開けること自体は扉を開ければすぐである。
というか開けるつもりがなくても触れたら開いてしまう。
【もし魔力に釣られて触れば、準備も何も無く扉は開くだろう】
-
>>269
「この扉の向こうが怪しいなぁ…なんとなく…」
扉に近づき、前に立つ。触りはしないようだ。
-
「…ふーん、これは……。」
不思議な魔力が感じられる扉をしげしげと見つめる。
「…詳しく話を聞かずに来てしまったが…一体何が封印されていたんだ?
…この手の封印…古代の悪魔か、悪霊か……はてまた想像もつかない様なバケモノか……。」
「……さて、皆の準備が良い様なら…さっそく開けてみないかね?」
-
「…………さて、そろそろ武器の用意をした方がいいぜ。」
そう言って扉の横に立ってマントの裏に仕込んだ緑色の魔法石が先端についた杖を手に取り。
無論、誰も扉を触らなければ、の話しであるが
-
どうやら誰も扉には触らないままのようだ。
少なくとも、かつて此処にいた者達の思惑にある【愚か者】ではないらしい。
準備が整い、誰かが扉に触れたならば、それは発動するだろう。
【もし古代魔法に詳しく、それの探知と解読が可能な者ならば】
【この扉の仕組みと秘密は理解できるだろう】
【ただ遺跡と言うこともあり、その難易度は相当高いことを告げておく(でも自己申告)】
-
>>273
「む…で結局この扉は何なのかな…?」
と無意識的に扉にもたれかかる。
これが『触る』ということになれば、扉は開くであろう。
-
「……ははぁ…ひどく古い封印だな、これは。何か仕掛けでもあるかもしれないが…
……しかし、俺にかかればそんな仕掛けを暴く事なぞ……!」
と、言って改めて封印の扉をじっくりと観察し始める。
青年は、古代の神や精霊、悪魔や竜等
力ある者達の封印に纏わる仕事が本業。
ある程度の知識はある……のだが…
(……くっ……何コレ…良く分かんないぞ、コレ……。)
……しかし、あんまり高い難易度の封印にはお手上げなのであった。
-
「…………まぁ、そんなら突入……」
古代魔法にも、遺跡にも詳しくないデズモンドはドアの仕掛けなど分かる訳もなく……
「……すっぞ!」
そう言って勢い良くドアを開けようと手をかける!
-
レイヤがもたれかかった瞬間、それは発動する。
部屋全体を包み込むように魔力が噴き出し充満、すると皆の身体が自然に浮き上がり、脚が地面から離れる。
魔力を噴き出させた封印の扉は勢い良く開け放たれ、魔法を発動。
魔力を一気に吸い込むとその先にある【穴】へと全員を流し込み、目的の部屋へと全員を排除した。
【判定に成功したら、移動魔法の一種とトラップとしての見せかけの魔力であると判断できた】
【壁とや仲間同士がぶつかるなどは一切ないが、なかなかの勢いなので筋力が弱いと手に持つものや落ちやすい所持アイテムが落ちて散乱する可能性がある】
……そして皆が移動魔法により安全に降り立った場所は、ドーム状の空間。
魔法の灯りが順々に照らしていくその場所は、半径50m、高さ20mほどの、【つ】を縦にしたような造りの部屋。
そして皆の前にそれは現れた。
骨をカタカタと鳴らし、新たな犠牲者をほふらんと牙を剥く、肉の無い絶対の捕食者。
もはや飛ぶことかなわない翼を広げ吠える、中型のドラゴンの骨格そのものであった。
-
「おっぉおおおおおおおお!!」
よもや、このような罠があるとは思っておらず、吸い込まれていく!
幸いにも遠近双方で戦うことができるよう考えている以上、杖を手放してしまうほどの弱い筋力は持っていなかった。
そして吸い込まれていった先の骨だけとなった龍を見て
「えーと、これがあの爺さんの言ってたアレ……っぽいな。
……来るか?」
と、杖をフェンシングのように構えながら呟く。
-
「……っと、やはり仕掛けが………!」
発動した移動魔法に、為す術もなく吸い込まれていく。
「……ひぃ……あんまり心地良いアトラクションじゃないね、こりゃ…。」
凄まじい勢いで吸い込まれたため、若干目を回す青年。
そして降り立った部屋には、何か凶悪なモノが潜む気配……。
「…そんで…ここからが本番…ってわけね……!」
現れた骨のみの姿の巨大なドラゴンが吼える姿に、軽く戦慄しつつも、
青年は手を前と差し伸べて魔力を集中させる。
「……あんたがここの主か……元は名のある竜か?
しかし骨になってまで生き永らえるなんざ、随分と未練がましいな…!」
青年の手の先が一瞬明るく光ると、古びた魔法の長杖が現れてその手に握られる。
-
>>277
「ひゃーっ…!?」
実は彼女、落下中は飛行を発動できないのだ。
「…っ…危ないなぁ………!?」
後ろの気配を感じ取る。
そして振り返る。
「…奴って…こいつのこと…?」
両腰から剣を抜き、戦闘準備に入る。
-
三人が臨戦態勢を取ると、呼応したようにスカルドラゴンも吼えてみせる。
それは音にはならないが圧力として皆に緊張感を与えることだろう。
高さは5mほど、二本の脚と尾で立つことが出来るタイプ。
頭骨には二本の小さな角、前足も大きく、振るうことによる打撃は強烈だろう。
広げた翼は部屋の半分ほどを占めそうなくらいの大きさがある。
見れば周りには人骨らしきものが大量に散らばっており、犠牲者であることが伺えた。
そして壁には壁画。
色とりどりに塗られたそれは何かを暗喩しているらしく、よくは分からないがあまり良い意味はなさそうだ。
【牙を剥き、魔力を頭骨に集中させるスカルドラゴン。
何かがくることは分かるが、何が来るかは、自然の魔力と属性に詳しくなくてはならない。】
-
>>281
「魔力が一点集まってきてるような…嫌な予感がする」
「とりあえず距離はとっておこうかな」
部屋の端へと避難する。
-
「………。」
まずは部屋を、そして骨の竜をざっと見渡す。
(…部屋の広さはまぁまぁ…
ちょっとくらいぶっ放しても、いきなり部屋が崩れると言う事もあるまい。
……それにしてもなんだい、この画は…へへ、趣味が悪い……。)
よくは分からないが、不吉な絵画で彩られた部屋は、
不気味な骨竜の居城としては雰囲気十分である。
「……そんなこんなで…とっとと成仏して貰おうかね……!」
竜から距離を取り長杖を構えると、魔法の詠唱を始める。
青年の周囲に、炎の魔力が滾ってくるのが感じられる。
-
「うへぇ………まともにやりあったら勝てねぇし、壁を傷つけたらダメと……」
ドラゴンの、その大きさを見て、ガチンコでの勝負を諦める。
「あー、一旦避難するぞお前ら。」
頭部に魔力が集中しているのを見て、障壁を展開しながら、出来る限りどうにかしようと右から横側に回りこもうと移動する。
ある程度の冒険はこなしているが、属性はともかく、自然の魔力には詳しいとはいえない。
-
スカルドラゴン自体の動きは緩慢極まりない。
ゆっくり脚を持ち上げ、ゆっくり前に踏み出す、そんな動き方をしている。
【アンデッドモンスターとの戦闘経験が豊富ならば、動くことにも魔力を多分に必要とするからだと分かるだろう】
【つまり、ブレスは多用できないと分かるはずだ】
そしてドラゴンの代名詞、ブレスが冒険者達めがけて吐き出された。
しかしそれは事前に退避した冒険者達には当たらず、床にぶつかると薄く広がっていった。
紫と黒を混ぜ合わせたような、独特な色と腐敗臭の魔力。
それが毒であると判断するには容易な材料が揃っていた。
酷く緩慢だが、確実に広がりを見せる毒のブレス。
逃げ場を失う可能性は、十分にあった。
【触れた場合刺激と共に毒状態になるブレス】
【致死性は無いが触れた場所が酷く痛み動きを阻害する恐れがある】
【魔力に詳しければ、それが魔力である以上並みの衣服や靴を貫通することが分かる】
【更に自然に詳しければ解毒の手段や魔法の選択もすぐに分かるだろう】
-
>>285
「うっ…酷い匂いに黒い吐息…」
「吸ったらいろいろと面倒なことになりそうだなぁ…」
「壁に傷をつけてはいけないって言ってたから…安易に攻撃できないし…」
「ここはあえて冷気で攻撃すれば…」
などと安全な場所に避難しつつ考えを巡らせる。
-
「っと、骨だけじゃ出せるもんも出せなくなって………ってやべぇな!」
龍から吐き出されたブレスがひどく遅い動きで、一瞬油断するものの、その刺激臭からそれが毒であることを確信し、慌て出す。
「とりあえず、まずは遮断しねぇとな!」
自然にはあまり詳しくないものの、自身が得意な魔法とする風、水に限ったことであれば自然現象でさえも結構な知識量を持つ!
その毒が見ずに溶けるかどうか確かめるために龍ではなく、地面を這う毒に杖を向け、
「水の波よ!ナルト・サーファー!」
自身の足元に魔法陣を出現させ、その魔法陣を中心に水の波が湧き出し、毒を押し出そうとする!
……壁を傷つけないように相当に勢いを弱めているので、龍にダメージを与えるのはまず無理だろう。
-
「……骨竜の息吹…!
………あれは……毒か…!?」
竜がブレスを吐くのを見るや、
すぐさま攻撃魔法の詠唱を転じ、守りの魔法を唱える。
≪…フラム・シルト…!≫
青年の手より解き放たれた魔力は、
術者と、その周辺を守る炎の盾となり、
毒の息吹をその熱気で防ごうと……。
-
毒の息吹は先ほどまで皆がいた場所に広がっている。
そしてそこへ水の流れが生み出され、毒の拡大を防ごうとする魔法が唱えられた。
しかしながら術者の周りには炎の壁が生み出されていく。
ある意味それは毒の防御にもなるだろうが、一行を囲むそれは檻の役割も担うだろう。
毒は水に溶けていない。ゆっくり押し返されている
だが、その流れを踏みにじり、ドラゴンが冒険者達に近寄っていく。
既に壁際、毒の沼も知らぬ顔で踏みしめスカルドラゴンは腕を振り上げる。
大きな四本指の骨の腕、うなりを上げて炎を掻き消し、冒険者達を薙払おうとする。
【炎の壁が術者以外も囲んでいると判断し、回避にマイナスがかかります】
-
>>289
「…っ!?」
突然の一撃に回避する暇もなくなる。
「リフレクトアイス…!」
そしてすかさず障壁を展開する。
-
「ちぃっ!足並みあってねぇな!」
炎の壁によってろくに回避できない状況だが、少なくともあの腕に当たるよりかは炎に突っ組んだほうがまだマシだろう。
ましてや、こっちは魔法使い。水の魔法で無理やりかっ消せばいいのだ。
「アクアヴェール!おらぁ!!」
自身を包むように水球を展開して龍からの攻撃を避けるように隅に移動しながら炎の壁に突っ込み、難を逃れる。
「あっつ!あっつぇ!」
炎の壁の中から出てくる頃には熱湯の中に突っ込んだ芸人のように悶える羽目になったが…
-
「……炎を恐れず、来るか骨竜…!?
…しかし、この火は攻防一体…その攻撃、蛮勇だと思い知らせてやろう…!」
骨竜は炎ごと薙ぎ払おうとしてくる…
が、しかし伊達に炎の壁を立てた訳ではない。
攻防一体の障壁としての術、果たして竜の一撃に耐えうるか…?
振りかざされた腕に対し、
掻き消されまいと周囲の炎を収束させて壁の厚みを増し、
より強く燃え上がらせて守ると同時に反撃に転じる。
-
厚みを増す前にデズモンドが飛び出し難を逃れる。
集められ厚みを持った炎の壁が、叩きつけられた巨大な骨塊を防いでみせる。
だが、痛みを感じぬスカルドラゴンは、その壁として機能する魔法の炎を、何度も殴り始めるのだった。
炎を焼き砕くには相当の火力が必要である。
ましてや種族はもはや分からないが、ドラゴンの骨。
並大抵の炎、それも防御の炎では、このドラゴンを突き動かす魔力を消費しきることは難しいだろう。
レイヤは防御しているが、まだ炎の壁があるため攻撃は届かないものの身動きも取れない。
運良く抜け出したデズモンドは、毒の沼の中に立ち炎を殴るスカルドラゴンを横から見れる位置に立っているだろう。
-
「ここはリーチに入っていない…それじゃあ安全…なのかな…?」
「攻撃したいけど…壁が壊れちゃうかもしれないし…まずあの火を越えられないかも…」
氷使いの彼女にとって、炎とは苦手属性でもある。
「…なんとかしてあの炎を抑えないと……」
そして冷気を炎に向けて送り出す。
フェムトとは真逆の行為である。
-
「……へっへへ…そろそろ火傷して観念してくれよドラゴンさんよ…。
…ちくしょう、骨だけあって鈍感だな、あんた……!」
今のところ炎壁で竜の攻撃は防げているようだが…
しかし、竜の猛攻は止む気配はなく、このままではジリ貧。
…次の一手を講じたいところではあるが、
防御の手を休めることもできないのが現状である。
-
「………これなら行けるか?」
何度も無闇に炎の壁を殴っている龍を見て案が思いつき
「おい!!炎の魔法使い!気張ってろよ!!」
炎の壁を生成した魔法使いに大声で呼びかけ、杖を龍の殴っている拳に向け、人ほどの大きさの魔法陣を出現させると
「ウンディーネの加護よ、我に!ハイドロ・メガ・カノン!」
その魔法陣から同じく人ほどの大きさほどの水球を風の魔法も合わせて高速で射出。
このままうまく行けば、炎の壁を殴ろうとちょうど腕を引いた時に着弾するはずだ。
(熱して、冷やす。これが決まれば楽になるはずだが……)
-
【レイヤが殴られている箇所と遠い場所に冷気を打ち込むとどうなるか。】
【フェムト側からそれに対する回答をどうぞ】
-
骨だけの腕から煙が上がり、爪先などは赤く発熱すらしている。
それでも構わずスカルドラゴンは右腕を振るい、侵入者を叩き潰そうと暴れ狂う。
そこに、水による一撃が右腕を直撃した。
振り上げられた為炎からは離れているが、そのとき広い部屋に聞こえるほどの音が響いた。
熱せられ膨張した竜骨が急激に冷やされたことにより、ひび割れて脆くなったのだ。
そんな状態にも関わらずスカルドラゴンは右腕を炎の壁に叩きつける。
結果は言わずもがな、粉々に砕けた腕の骨が、そこかしこに散らばることとなった。
スカルドラゴンは何が起きたのかを理解する為に硬直している。
ただし、毒の沼はまた少しずつ拡大を始めている。
-
「壊れた………!?」
何かが壊れたような音がしてびくっとする。
「…手が…粉々に………」
「毒沼が広がってくる…はっ」
何かいいアイデアを思いついたようだ。
-
「……おぉ、ナイス…!」
冷気により骨が砕かれ竜の猛攻が止み、一旦窮地は脱したと言った所か。
ひとまず、状況を把握してない様子の竜から距離を離す。
「…熱して冷やすのは有効、ということか。
……この戦法で、残りの骨も全て砕ききるか…!?」
-
「っしゃあ!思い知ったかドラゴンめ!」
杖を持った右腕を上に上げ、龍を罵倒し
「魔法使い!やることはわかってるな!」
フェムトにそう叫んだ後第二射を放つ準備のため、杖を構えて魔法陣を生成する。
-
デズモンドの攻撃により、腕が破壊されたと判断したスカルドラゴン。
炎の壁も無くなったことにより、今度はデズモンドの方に頭を向け、その落ち窪んだ眼窩で睨みつけた。
すると今度は尻尾を振るい、角度を付けながら自分の足元の毒の沼地に勢い良く叩きつける。
高々と上がったしぶきはデズモンドの方へ、かなりの広範囲にわたり飛散する。
もちろん当たれば毒状態になり、万が一目に入ろうものなら視力の保証は出来ないだろう。
【非常に素早い移動や、超常的な感覚でなくては完全な回避は難しいだろう】
【もし食らってしまうなら目の保護だけはお勧めする】
-
「……おっけい、水使いの人…!!」
デズモンドに呼応して、青年も長杖を構えて次の魔法の詠唱を始める。
竜はデズモンドの方へ向かった様子…
ならば、今度は守勢に入らず、思い切って攻めに転じれるだろう。
ただ、竜の巨体が撒き散らした毒…
とっさに手で顔は防いだものの、体中に浴びてしまった。
…全身が蝕まれ、体力を奪われるのも時間の問題。
そうなる前に、一気に片をつけたいものである。
-
「……って今度は俺か、マジかよ。」
龍の動作から次の行動を予測し、魔法陣をおもいっきり地面にたたき付けて
「でりゃぁ!即席魔法だぁ!」
そう言って毒の飛沫を避けるのではなく、『避けてもらう』ために自身の周囲に気流を発生させて凌ぐ。
「……ッ!クソがっ!」
が、大きい物までは吹き飛ばすことができず、左肩に比較的大きめの飛沫がかかる。
これでどうなるかは分からないが……
-
「えいっ!」
軽くジャンプした後空中で一回転すると彼女の体が浮き上がる。
「これで毒も届かない…!」
そのまま数m上がったところで静止する。
彼女なりの回避策のようだ。
-
スカルドラゴンは飛沫がかかったデズモンドとフェムトに狙いを定めたらしく、向きを変える。
全く攻撃をしてこないレイヤには、そっぽを向いた形になるだろう。
毒の魔力は浸透し、激痛を発し集中力を阻害する。
それは酷く爛れた火傷の痛みによく似ている。
【集中力低下などのさじ加減は任せます】
【脚の激痛による移動制限、腕の激痛による攻撃力低下などは自己判定です】
すると、ドラゴンが少し上を見上げるような体勢になる。
それは先ほど使ったドラゴンの代名詞、今二人を苦しめる元凶。
毒のブレス、二発目。魔力の集中が始まっていた。
-
空を飛ぶことによりブレスを回避し、
上空からちょうど狙い撃ちできるような状況となった。
「今のうちに狙うか……」
…と長さ4,50cmぐらいの氷の針を作り出す。
「フロストアロー!」
やがてその針に冷気を注ぎ込み、ドラゴン目掛けて高速で放つ。
狙うは頭の後ろ、首辺りである。
威力もかなりあるようだが、床を傷つけないように少し脆くしてある。
-
「………ッ!いいか、焚き火の原理だ。俺が竜巻であのブレスを防ぐ。
お前はその竜巻にデカイ炎を叩きこめ。俺が決める……!」
(肩がいてぇ……右肩にぶち当たってたら戦えてねぇなこりゃァ………)
集中が乱れながらも魔法陣を形成し、相手がブレスを吐くまで待つ。
ブレスを吐くその一瞬が、おそらく一番の隙になると思ってのことだ!
「…………来い!結局はガチンコだァ!」
-
「……デカい炎か、そんなら任せな……!」
高火力魔法は青年の得意とする所。
長杖を構えて、魔法の詠唱を始めつつ、
デズモンドの指示したタイミングを待つ。
-
スカルドラゴンが毒を噴射しようと構えた瞬間、その頸椎に鋭い氷の槍が叩き込まれた。
流石に竜の骨を砕くことはかなわなかったものの、当たった場所は関節の多い首。
つまり魔力を集めるバイパスを、氷の魔力が強烈にせき止めたことになる。
吐き出されたブレスは先ほどの半分程度の量。
これならば、真っ向から強烈に吹き飛ばせるかも知れない。
-
>>310
「よし、やった…?」
2人と竜の様子を見ている。
-
(…………これなら竜巻にまきこむんじゃなくて押し返せる!)
「空飛んでるのおおおお!!そこから離れろおおおおおお!」
良い援護をしてくれた少女に心のなかで感謝を示しつつもそれとこれは別。
誤射を避けるためにおもいっきり叫んで避難を促し
「いっけえええ!ザ・グレート・トルネードォオオ!!!」
魔法陣から巨大な竜巻を発生させ、半端に吐き出したブレスをそのまま口の中に押し返そうと!
「今だ、やれええええ!!」
そして間髪入れずフェムトに合図を送る!
-
≪…古き竜、我が一族の血の契約に従いてここへ来たれ…≫
青年が詠唱を紡ぐと共に、強力な火の魔力が迸る。
≪その身に秘めし焔、我に貸し与えて力と為せ…!≫
その魔力が青年の手にする杖の先端に収束し、
高密度の魔力は今にも弾けそうに……
そうこうしているうちに、デズモンドが竜巻を呼び起こす。
そこに火を放てば、たちまちのうちに燃え盛る火柱が竜を襲う事だろう。
≪……喰らえ…ブ.ランド・スティフター…!!≫
青年が詠唱を終えると、収束された魔力が燃え盛る強大な火炎と化して解き放たれる。
その炎は竜巻と共に勢いを増し、骨竜へと襲い掛かる!
-
勢いの衰えたブレスを弾き、更には巻き込みながら押し返す竜巻の渦。
スカルドラゴンの空虚な身体を通り過ぎ、後方に全て毒を弾き返してしまう。
【事前の声かけがあったこともあり、レイヤに回避ペナルティーは特別無い。】
そして渦を巻く炎、防御ではなく攻撃のために放たれたそれが、スカルドラゴンを包み込む
勢い良く音を立てて、アンデッドをアンデッドたらしめている魔力が過剰に消費され、つなぎ止める力が急激に衰えていく。
あと、一歩だろう
-
>>314
「こっちに飛んできた…!?」
とっさに障壁を展開し、毒を防ぐ。
「だいぶ弱ってきたようだけど……」
「止めはあの2人に任せようかな…?」
上空からの射撃は床を崩してしまう恐れがあるためである。
-
「……よし…いい感じに効いてるみたいだな…!
…後はトドメだ、あんたが決めろ……!」
竜巻により火柱と化した炎が竜を包み、
その炎は上々の効果をもたらした様である。
熱した後は、先ほどと同じく冷却だろうか…?
なんにせよ、「俺が決める」とのデズモンドの言葉を信じ、トドメを託した。
-
「………さぁ、これで最後だ!」
毒が回ってきて徐々に視界がぼやけていくが、そんなことはお構いなしに杖を構えて魔法陣を展開
「セルシウスの力よ、……我が杖に宿りて極限の世界を!」
そう言って杖を龍に振れば魔法陣はたちまち龍を中心に展開される
「アブソリュート・ゼロ!」
そして、その言葉とともにその魔法陣から極寒の冷気が放たれる!
地面を這う毒は無論、魔法陣に近ければ何もかもを凍らして、虚無の世界を映しだすだろう
-
熱風は過ぎ去り、熱せられたスカルドラゴンだけが苦しむように翼を動かしている。
其処へ、デズモンドがとどめとばかりに凍結の魔法を唱えていく。
圧倒的な冷気は、全員がいるこの閉所を異常な寒さに包み込む。
それこそ吐いた息の水分が凍って光るほどに。
だが、その冷気はスカルドラゴンの全身を脆くさせるには十分すぎた。
支える魔力も無くなり、静かに砕け散っていくスカルドラゴン。
毒の沼地も消え去り、辺りには静寂さだけが残った……
【戦闘終了。クエストクリアー】
-
>>318
「ふぅ……やっと終わったかー…」
「む…何か寒いような……」
元々氷属性ゆえに寒さには結構強いようだ。
このまま地面へと着地する。
-
「………終わったか……勝鬨を……ぐえー。」
そう言って右腕を上げた瞬間、前のめりにバタンと倒れる。
っしてしばらく痙攣していたが、やがて
「……スマン、誰か運んで………毒が…」
と、倒れこんだ体制のまま弱々しい声で助けを求める。
-
「………やったか!?」
↑そのセリフは色々と危険である。
……が、どうやら竜は討伐できた様である。
「……ふぃー…目標は倒せたが…毒が回って気持ち悪い……。」
早く帰還して解毒したい所…
ついでに熱いシャワーに、冷えたビール辺りも欲しい所である。
//すみません、自分はそろそろ落ちないとです…
ここで失礼します、どうもありがとうございました!
-
「おーい」
「おーい、だれか生きてるかー?」
すると、皆の降りてきた場所から声がして、誰かが縄を下ろしてきた。
どうやら強制移動魔法に帰りは無いらしい。
「よっ……と」
縄を下ろしてから、金髪碧眼の若い男性がそのまま飛び降りてくる。
20mクラスの高さだが、着地の途中で空気を擦るように減速して、難なく着地した。
「おぉ、すげえなこれ、あんたらが倒したのか?」
「俺はギルドの関係者だ。あんたらに【手違いで依頼が回ったらしい】んで報告しに来たんだが……大丈夫かい?」
三人に話しかけてくる男性。
何やら事情があるようだが……
【幸運判定】
【もし運が良ければ、足元に何かを見つけるだろう】
【そう、それは金属のタグのようなものだ】
-
そしてしばらく後に救助隊が来るまで陸に上げられた魚みたいな動作を繰り返していた…FO
【眠気が限界れす……ご相手ありがとうございました!】
-
>>322
「む…?何これ……」
タグのようなものを発見、拾い上げる。
-
>>324
それには掠れてはいるが確かに見極められる紋様があった。
現在でも使われている紋様、三人は特に知っているもの。
王国所属の遺跡調査隊の紋様そのものであった。
「よし、あんたも来なよ。上に引き上げてもらうからさ」
「この部屋は東洋の【コドク】って呪法に使われていたらしくてさ、いつまた良からぬ気配が登ってくるかも分からない」
「……聞いてるか?あんた」
-
>>325
「(これは……確か調査隊の…)」
それをポケットの中へとしまう。
「ん…?あっ…聞いてなかった……ごめんなさい…」
-
>>326
男性は苦笑いしながらも他の二人と一緒にレイヤを引き上げる。
上には薄い蒼色の髪をした若者が、四人を引き上げていたことが分かった。
「つまり、この部屋は一種の呪いに使う部屋だったのさ」
「壁を見たかい?詳しく見れば胸くそ悪い絵が描かれてるぜ」
「以前【王国から調査隊が派遣されて行方不明になった】んだが、そのときも此処は封印されていてさ、入れなかったんだ」
ちなみに彼の言うことには、皆が受けた依頼は何故かクエスト発注表と受注票が色褪せて古ぼけていたらしい
怪しんだギルドマスターが調査させたところ、【どうやら何らかの呪いが発動した結果】だということで。
「まあ……悪かったよ。クエストの報酬はギルドから出すことにしたから、ゆっくり休んでくれ」
-
>>327
「……うん、よく見てないけどぱっと見だけでもあの模様は気持ち悪いと思う」
「行方不明…呪い……よく分からないなぁ………」
「ところで、これ何か分かる…?」
さっきの紋様を男性に見せる。
-
>>328
『…………』
青年が紋様を受け取ろうとした瞬間、黒い光が散ってタグが落ちる。
拾い上げたときには、そのタグは長年置き去りにされていたかのようにグズグズに劣化していた。
『……いや、俺は何もしてないっすよ?』
「あー……うん、多分これなんだろうなぁ」
「簡単にいやあんたらは【引きずり込まれそうになった】ワケだ。ご愁傷様」
「多分そんなに強い呪いじゃないだろうから安心しなよ。今夜はゆっくり休んで、忘れちまいな」
そのとき、レイヤの耳元で確かに聞こえただろう
チッ
という舌打ちを
【クエストクリアー】
-
-森-
「…すぅ」
大型シャベルを木に立てかけて、魔石の嵌った胸甲を纏う左目に眼帯の短髪娘。
目を瞑って精神統一。
その目の前には藁を巻いた木の棒一つ。
-
>>330
「――――――」
目をつむっているので周りが見えないのは勿論の事、
ひょっとしたら精神統一のせいか森には似合わない規則的な音も聞こえないかもしれない
眼帯の短髪娘のちょうど正面に当たる場所から、一定間隔に響く恐らく一人分の足音
時折金属的な音も聞こえる事から何か武器となるような物を持っている人物らしい、はっきりとしたことはわからないが
足音の大きさを頼りに推測するとまっすぐ眼帯の短髪娘に向け前進中
気配を殺す様子が微塵も感じられず、娘に向けられる感情も今のところ穏やかな物だ 少なくとも敵ではない、はず
-
>>331
「…んん?」
目を開き来訪者へと視線を向ける。
張り詰めた空気は弛緩し、限界までしぼられていた弓の弦の如きソレは解かれた。
-
>>332
「………」
「ごめん、邪魔したみたいだ てっきり眠っているのかと……」
目を開き、精神統一の邪魔をした人物を見ると
王都内で、とりわけ図書館内で何度か会話をかわした記憶がある(かもしれない)アホ毛が、ばつの悪そうな顔で立っていた
-
>>333
「いや、流石の僕も立っては寝な…いや嘘をついた、今日は立って寝てない」
立ったまま寝たことがある隻眼。
とりあえず気を悪くした様子はなく。
-
>>334
「立ったまま眠るほど疲れる前に…… ……いや、それができるならちゃんとやるよね」
「ともかく邪魔してごめん、早々と消える事に……」
詫びを入れると踵を返し、来た道を戻ろうと歩き始めた青年
しかしふと、何かしら気になる事ができたのか立ち止まると再びドムスに向き直った
「……邪魔した身で厚かましいけど、ちょっと聞きたい事があるんだけどいいかな?」
「今すぐにじゃなくてそれ終わった後にで大丈夫、だけど……」
-
>>335
「ん?気になることは早めに解決、これ問題をこじらせない秘訣。
いま聞くといいよ。僕も気になって修練出来ないから」
スピードはパワーだね、とか訳の分からないことを言いながら。
-
>>336
「それじゃあお言葉に甘えて、最近よく聞く森の奥の噂についてなんだけど……」
「……森の奥を散策していたら気が付いたら眠っていて、嫌な気分に陥っていたとかそんな噂聞いた事ない?」
「いや、疲れが溜まってたとかそんな感じのじゃなくて」
相談を持ちかけておきながら、切り出しから聞きたいことを言うまでに少し間が空いた
何を言おうか迷っていた、という感じではあった
-
>>337
「ふーむ…
あ、それってそのまえに黒いゴムっぽいヒトガタ見たとかそういう怪奇現象に覚えある?」
「いや、無いかな…んー、この石を触ってみてくれる?」
腰の袋から黒曜石のような小石を取り出す隻眼。
-
>>338
「……噂の有無が聞けるだけで万々歳と思ったら思った以上の収穫が」
「だけどヒトガタ? 眠る前の記憶がどうもあやふやではっきりとは思い出せ…… ん?」
「ええと、この石は?見た目的には黒曜石だけど…… いや説明聞くよりも触った方が早いか」
そっと、左手を挙げると手袋越しに小石の感触を確かめるように、表面を撫でる青年
-
>>339
一気にあの日の嫌な恐怖体験が蘇る!!
そして周囲から迫る黒い無数の手に掴まれ、自身の体験を無理矢理封じられた事も…
「斬!!」
ビシュウッ!と何か液体で満たされたものが断ち切られたような音。
そしてディフに降りかかる生温かい腐った血のような液体。
隻眼の手には古い時代を感じさせながら今さっき作られたような真新しさも感じさせる木剣。
-
>>340
「っ!!」
封じられた記憶がよみがえり、頭に鈍い痛みが走った
木に登り逃げる準備が整ったと思ったら、無数の手に阻まれ失敗した事
視界が完全に遮られる直前、こんな所で終わるのかと絶望した事
そして目の前で化け物に変えられた冒険者と、魔物臭のする鎧と対峙した事
全てを思い出した
「っ、あぁ…… い、今ので思い出せた……と思う……」
「これは一体……?」
-
>>341
「…君に取り付いてた侵負を斬った。
その石は侵負の封じられた姿で、君の中の侵負と呼応したんだ。
結果双方が活性化した事で君の中の侵負を見つけられたし切ることが出来た」
あまり長い時間心得のない人が持ってると危ないよ、と石を奪い取り袋へ。
-
>>342
「侵負? 今噂になっている侵食とはちが…… ちょ、ちょっと考えさせて」
飲まれる前、何と言われたか 『負の感情のみを残すだけ』、だったか
「……今噂になっている侵食は魔術的な汚染、今の侵負は負の感情が汚染となって現れた物、って事か?」
「それとも侵食が現象の名前で侵負がその現象の原因となる物質?」
「どっちにしろ助けてもらったわけか。 ……ありがとう」
-
>>343
「いや…偶発的現象か不明だけど王都近郊では今、
僕が知る限りでも三つの魔術的汚染が蔓延ってるよ」
だから本当の意味で助けてなんかいない、と隻眼。
「知りたい?知るという事は其れだけでその対象に触れやすくなってしまうということだけど」
要は悪いものがより悪く干渉してくるのだ、と言う。
-
>>344
「……大魔境ジグザール王都の名に安定の偽り無し」
畏怖やら疲労やら、もはや冗談にならない一言
というか王都自体が悪い冗談のように思えてくるのだ
「何も知らぬがままに巻き込まれたり、気が着いた時にはもう手遅れ、なんて事よりかはマシだよ」
「……知りたいんだ。 例え危険に巻き込まれるとしても 危険を冒す者と書いて冒険者、なんだろうし」
-
>>345
「…ひとつ目、負素。
侵負の素、常人には毒以外の何モノでもないモノ。
ネガティブな思いと魔力、其処に何らかの要因が合わさって反応し生じる自然現象」
「二つ目、朽龍災(きゅうりゅうさい)。朽ちる龍によって引き起こされる災害。
一部の古龍種は死の間際、長きに亘って蓄積された魔力が体外に放出され消えていく。
放出される魔力は龍独特のもので龍の瘴気と呼ばれる非常に強力なもの。
魔術的に生物全般へ影響を与える為、動植物は勿論、精霊等にも影響がある。
耐性のないモノがこの魔力に長時間晒されると物理的魔術的な変異が始まる。
端的に言えば龍に近くなっていくのだが、大抵不完全なもので酷く歪な存在になってしまう。
歪な存在は『アラズ』『ナラズ』等と呼ばれ、体内で起こっている魔力暴走に翻弄され凶暴。」
「三つ目、これが一番よく分からない。
酸妖蟲、そう呼ばれる化け物が居るんだけれど…何かしらの方法で増えている。
ヒトの骨を使って造形したような虫の集団で、魔力によって強酸性の弾や糸を吐く。
多分その独特な魔力によって既存の生き物を変異させていると推察されている」
-
>>346
「二番目が今のところ王都で一番知られている奴だね。 一番目と二番目、フッ素と酸妖蟲については初めて聞いた。」
「とりあえず三番目については置いといて…… 噂について尋ねた時、ヒトガタに合わなかったか聞いたよね」
「直前に眼前でドレス姿の女性が一人の男性を『ヒトガタ』にしていた。 そしてその後フッ素を埋め込まれる術式にかけられて記憶を喪失」
「……今思うとアレが『ヒトガタ』を作る、最後と一番最初の儀式だったんだ」
「そのドレス姿の女性については、何かしらないか?」
-
>>347
「分からない、それについては僕も今知ったよ」
「如何やら侵負も計画的に増殖可能というわけだ」
ふーむ、と考え込んでいる。
「予定を少し変えるかな…御免、用事が出来た」
そう言って去って行った…
-
>>348
「わかった、色々ありがとう……」
「……ちょっと待て、今 侵負『も』って言わなかったか」
もはや去って行った眼帯娘から、最後の爆弾発言
酸妖蟲については良く知られていない、なら簡単な、消去法すら必要のない答え
「三つの魔術的汚染、二つの人為的汚染」
「……知らないままじゃ、すまされないなぁ」
-
<王都近くの草原>
「とろり、とろり……蜜の中で甘く、解れて……満ちる……。」
【毛先のみが黒い金髪の少女が岩場に腰掛けている。
見た目は中等部生程度であり、夜の草原という場所には似つかわしくない。
少女は手を前に突き出し、人差し指を下に向けている。
そして、そこからは黄金色の糸の様なものが垂れており、幻想的だ。
また、少女の所為なのかは分からないが、周辺は妙に甘い香りがする。】
-
「…………、……ん。」
【創元をふらり、ふらりと歩いていたカーキ色のジャケットを着た、何処か幸薄そうな男】
「(……先客、かな)」
【この辺りの岩場は適当に修行したり煙草吸ったり、後煙草吸ったりする、帰り道の岩場だったが】
【今日は運悪く先客が居たようであった】
-
「時が満ちる……とろり、とろりと……。
蜜の様に甘く、甘く、甘く……蕩けて…………沈めば、良い。」
【黄金色の糸を地面に垂らしながら、うわごとの様に呟いている。
それは呪いの様にも、聞こえ、夜の草原に溶けて滲んでいく。】
「――――――そうは思いませんか?お兄さん?」
【黄金色の糸を手繰るのはそのままに、現れた男性のほうへと振り返る。
にっこりと笑みを浮かべるその表情は年相応の少女のものである。】
-
「沈むのは恋人にだけ、って決めてるから。」
【さら、と無表情のまま惚気を射撃して言葉を交わす】
「……学生さんかな、この時間は危ないよ。
この時期は、変なのも出るから。」
【無表情のまま、淡々とそう話す】
【別に怒っている訳ではない、表情筋が硬いのだ】
-
「お兄さん、大胆ですねー。」
【ネコが顔を洗うように手を顎の辺りに持っていってクスクスと笑う。
もちろん、それが惚気と分かっているからだ。】
「確かに。……月が綺麗に見えてくる時間ですもんね。
…………でも、お兄さんこそ平気なんですか?
そんな〝変なの〟が出る時間にこんなところまで、やってきて。」
【岩場に座ったまま、足をぷらぷらと遊ばせながら、尋ねる。】
-
「そうかな、普通だと思うよ。」
【明らかに普通では無いが、そこはまぁ良いだろう】
「逃げ脚は、速い方だからね。
"変なの"には慣れてるし。」
【何かっても率先として荒事にするタイプでは無さそうである】
【まぁ、武器を持っている様子も無いし当然……だろうか】
-
「ほら、よくある小説の主人公ですよねー。
お兄さんみたいにそういう言葉を言える人って少ないと思いますよ?」
【自身の見た小説を引き合いに出して。
一応、年齢に見合った本なども呼んでいるらしい。】
「ふーん。あ……そうだ。――――ねぇ、甘いものはスキ?」
【逃げ足は早いとのことに、生返事気味に間延びした声と共に頷いた。
そして、笑顔をさらに強め、首をコテンと傾げるとそう尋ねる。
甘い香りがますます強くなってきている……気がする。】
-
「僕は精々脇役だよ、主人公はもっと良い子が沢山居るさ。
それこそ、君みたいな娘なら恋愛小説にでも出れるんじゃないかな。」
【ジャケットのポケットから煙草と魔道ライターを取り出し銜え、火を付ける】
【ジッ、という音が小さく響いて、消えた】
「この匂いに関してならどちらでも無い、かな。
作れるけど、好んで食べる方じゃないよ。 」
【フゥ、と口から煙を吐き出して、そう言う】
【少女の方は殆ど見ておらず、月の方を見ている】
-
「脇役の方が人気が出るパターンですねー?
ふふ、私にそういう小説は合いませんよ、どうせなら別のが良いです。」
【黄金色を描き続けていた糸が消える。そして、その指をぺろりと舐めあげた。】
「……なら、好んで食べるようにしてあげましょうか?」
【未だに表情を笑顔で固めたまま、甘えるような声で問いかける。
甘い香りの正体は蜂蜜だ。その香りはなおも空気を甘ったるく変えていく。】
-
「いいや、脇役は主役を食っちゃ、いけないものさ。
官能小説とか似合いそうだね。」
【無表情で年頃の女の子になんて事を言うのか】
「遠慮しておくよ。 女の子に甘えられるのは良いけれど、後が怖い。」
【月から目線を外して、煙草を銜えながらそちらを向く】
【相も変わらずの無表情、既に空気の異常には気付いていように、特にそれをどうとする事も無い】
-
ん?
お前はいつぞやの・・・
【大槌背負った青年が現れた】
-
>>359
「いやいや、私はサスペンス物に出たいですねー、どうせなら。」
【特にソレに対して、良いリアクションはない。
年頃の少女に見えるが、何かが違う。】
「ふーん、それなら早く逃げてください?
ほら、変なのから逃げる足だけは速いのでしょう?」
【くすくすと笑いながら、顔だけをそちらに向ける。】
>>360
「おや、この香りに誘われてやってきたのですか、お兄さんも?」
【岩場に腰掛けている少女が問いかける。】
-
>>360
「ああ、どうも、こんばんわ」
【カーキジャケットの青年】
【この異様な空気の中、暢気に煙草を吸っている】
>>361
「ああ……追われる少女役、かな。
それともクリーチャー。」
【そんな小説があったかな、と思い出すように】
【リサ=トレヴァーだっけ、等とつぶやいて】
「別に、子供から逃げる必要は無いと思うけど。
変なのって言うのはケタケタ嗤う南瓜まで行かないと」
【そんな者が居てたまるか】
【無表情のまま、ふぅー、と煙を吐いた】
-
>>361
ちげぇよ
【キッパリ】
-
>>362
「んー、そうですか?
なら、甘いものをウンと好きにさせてあげますよ?」
【笑顔を更に強く貼り付けたまま、懐から何かを取り出した。
それは杖の様なもので、先端に丸い球体が付いている。】
「そうですね、なら、蜂蜜の魔女っていうのはどうでしょう?」
>>363
「そうですか?
それなら、お兄さんはどうです?
……甘いものはお好きですか?」
【杖の様なものを懐から取り出しながら、尋ねる。】
-
>>362
いよぅ
【軽く挨拶】
-
>>364
「甘いのは恋人とのキスだけで充分だよ。
魔女は……可愛らしい魔女なら歓迎かな。」
【煙草をぽい、とその場に捨てて】
【黒いブーツで、踏み消して】
「それと、止めておいた方が良いよ。
そういう事は、上手く行かないものだから。」
【杖を見ても特に何かするでもなく】
>>365
「まだ寒いですね、春と言っても。
お陰で上着が手放せません。」
【の ん き】
-
>>364
別に普通だ
【適当である】
しかし二回目の対面だっていうのに
変わんねぇな
【しみじみと】
-
>>366
「それならば、さっさと逃げればいいじゃないですか?
逃げはしないけど、甘いものを好きにもならないとかおかしいですよ?」
【実にハチャメチャな理論を突きつけつつ。
やはり、普通の同年代の少女と比べれば、何かがずれている。】
>>367
「まぁ、そんな人って変わりませんからね。
私から言わせれば、お兄さんだって私からみれば、変わってませんよ、全く。」
【レイジと禅問答の様なことを繰り広げながらも、そちらの方を向いて語る。】
-
>>368
「家で煙草を吸うと怒られるからね、そうも行かない、
それに、此処の岩場はお気に入りだから。」
【岩に腰掛け、ふぅー、と息を一つ吐く】
【……自由、だ】
-
>>368
確かに俺も変わって無いな
【自分を見て】
-
>>369
「……はぁ……。」
【タバコの煙を鬱陶しそうに払いのけるとため息を吐いた。
すると、見る見るうちに辺りを包んでいた甘い香りが消えていく。】
「……もう、良いですよ。正直、ヤりがいがありませんしね、こんなのじゃ。」
【いいながら、取り出した杖を仕舞う。
恐らくは、期待していた反応と違ったのだろう。
この少女は嫌がる相手を追い詰めたいとかそういう気を持つ人種である。】
>>370
「お兄さんも、です。
私と遊ぶっていうなら、もっと嫌がってくれませんと。」
【何とも支離滅裂なことをいいながら、岩場から飛び降りた。】
-
>>371
すまんな用事があるからそろそろ失礼する、またな
【軽く手を振り去っていった】
-
>>371
「言ったろう、止めておいた方が良い、って。」
【ジャケットの下からごそごそ、と日本酒と御猪口を出して】
「そういう事は"主人公"や同じ"悪役"にしてあげないと、
僕みたいなタイプは、鹹かっても張り合いが無い。
呑むかい?」
【御猪口に注いだそれを一口飲んで】
【未成年に何を聞くのか】
-
>>372
「はい、たった今、こっちも用事なんてなくなりましたから。」
【口を尖らせ、つまらなそうにしながら見送ったとか】
>>373
「……ホントですよ。
全く手ごたえがないなんて、楽しくないです。」
【珍しく不機嫌そうな様子で、口を尖らせながら。
あんなにも周囲を包んでいた甘い香りはすっかりと消えうせ、元の夜の空気に。】
「ふふ、それなら私にも選ぶ権利があるということですよねー?
それならば、脇役を自負するお兄さんはいりません。
…………そういうことですよね?お兄さんっ?」
【不機嫌そうな顔から一転して、曇りのない笑顔に変わった。
お酒については飲めたとしても貰うつもりは毛頭ないのだろう。】
-
>>374
「君ぐらいだと、まだ可愛いぐらいに思えるのは
"常識外"のに会った悪影響かもね……一応ごめんね。」
【特に悪いことはしてないが一応謝っておく】
【いや、本当に特に悪いことしてないのだが】
「そうだね、もうちょっと良いのを見付けた方が良い。
何なら、君みたいなのを捕まえるのが仕事の少年でも紹介しようか?」
【ずず、と御猪口の酒を飲み干す】
【この状況で月見酒である】
-
>>375
「謝られる理由はありませんよ。
折角のご馳走にスパイスをかけ忘れたのは私の所為ですからねー。」
【笑顔を浮かべたまま、ため息を吐くという実に器用なことをやってみせる。
だが、先ほど不機嫌そうになったとおり、萎えてしまっているのはいうまでもない。】
「良いですよ、ヤる相手くらい私で選びますし。
お兄さんみたいなハズレを引かなければ、良いんですからねー。
……はぁ、今日はもう帰ります。雛ちゃんの状態も気になりますからね。」
【一度、両手を挙げてぐっと伸びをする。
世話をしている人がいるのか、それともペットかは分からないが
そんな心配を見せつつ、去っていったとか、FO】
//そろそろキリが良さそうなので。お疲れ様でしたー!
-
>>376
「甘いだけ、じゃね。 飽きが来る。」
「暗いから、気を付けて。」
【そんな少女を見送って、おちょこにまた酒を注ぐのだった……】
『―――――ケヒヒヒヒッ』
「……本当、慣れるもんだね」」
【FO】
//おっつおーつ
-
-隕石の落ちた元・魔の封じられし場所-
少し前に隕石が落ちた場所がある。
ヒトの骨を使って造形したような虫の集団。
魔力によって強酸性の弾や糸を吐くおぞましい魑魅魍魎があふれ出た場所。
伝承によると混沌の魔力が封印されていたその場所で何かが蠢いている。
-
>>378
「(…………よかった。
こんなところにはいないか)」
【ぁゃιぃ雰囲気でも、万が一を想定して人探しをする黒髪金目の少女。
乏しい表情の中に、安堵を浮かべながら足を進める】
-
>>379
うぞぞぞぞ…と掌サイズの黒い丸がそこそこ大きいクレーターから這い出てくるところだった。
@時間軸的には瘴気の竜と戦う前となる!
-
>>380
「……?」
【表情を引き締めると、しっかりした足取りでクレーターへ近づいていく】
「(穴に落ちてたりとか……)」
【行動基準は 弟>超えられない壁>危険】
-
>>381
ぐねりぐねり、と芋虫のように蠢く黒い饅頭型の掌サイズグミ。
「…」
這い出ると一息つくようにその場で微かに膨らんだり萎んだり
-
>>382
【誰か落ちていないか確認する為、クレーターを覗き込む】
「なんだろう、コレ?
かわいいけど……」
【クレーターのなかを確認しながらも、ちらりと黒いグミに視線を移す】
-
>>383
クレーターの中心には深い深い穴があいている。
ラーナイの知る由もないが、此処では異形の大量発生と戦闘がおこり、
一匹の巨大な生き物が地下深くへと逃げ込んだのである。
まあ、ずいぶんと前の話になってしまうのだが…
「…ぐみみ」
と、黒グミが鳴き声を上げた。
見た目通りで安直な感じだったが中身も分かりやすい方が良いと思ったのだ。
グミの体色であるがただ全身真っ黒というには何か違和感がある。
水に墨汁を垂らすと拡散しながら水を黒く染めていくがそれと似たような感じである。
なんだか黒い色が内側で蠢いているような感じなのだ。
-
>>384
「だれかいるか?」
【目視確認はできない。とりあえず、穴に向かって声をかけてみる。
返事がなければ、ここにはいないのだろうと考えながら。】
「(プニプニとは違うな……普通のモンスターでもないようだ)」
【黒いグミに、白手袋をはめた左手をのばしてみる】
-
>>385
音が反響し地中深くへと消えていく。
相当深いらしい事だけは分かった。
「ぐみみ」
見た目通りの弾力がかえってくる。
グミであった。
ややほんのりと温かい。
-
>>386
【返事の返らないクレーターに背を向け、片膝ついて黒いグミに向き合う】
「お前、名前は?」
【黒いグミを手のひらに乗せてみようと試みる】
-
>>387
「ぐみ?」
あっさり捕まる黒グミ。
しかし言葉は通じてなさそう…
-
>>388
「……ぐみ、か」
【名前が ぐみ に決まりました(ラーナイのなかで)】
「ぐみ、お前は何なんだ?」
【駄目もと覚悟で尋ねるバカ素直。
手のひらのぐみを、視線の高さまで持ち上げる】
-
グミ「ぐみみ」
?「それは封印の中で唯一残ったもの。人から人へ繋がっていくもの」
ふわり、と一陣の緩やかな風。
ラーナイの前に鳥を思わせる仮面とマントを纏う左腕の無い白髪の少年が降り立つ。
-
>>390
「ドゥクスなら知ってるかな……誰だ!?」
【ぐみを手で庇いながら、乱入者へ振り返る】
-
>>391
?「こんにちは、僕は…語り部、かな」
挨拶の後、暫し考え込んで少年はそう答えた。
-
>>392
「語り部?……あ」
【思い出したのは、いつかの2人組】
「……なぜ疑問系なんだ?」
-
>>393
語り部?「その…正式にその名を受けたわけじゃあないから」
少しバツの悪そうな感じだった。
だが、その物言いには誠実さが滲み出てもいる。
-
>>394
「世襲制なのか?」
【ぐみを手のひらでなでつつ尋ねる】
-
>>395
語り部(仮)「うん、そうなんだ…って話がずれてるよ!!」
登場時の芝居がかった喋り方が完全になくなって、
少年の風貌と年相応と思える話し方になってしまっている。
ここ等辺が正式じゃない由縁か。
ぐみ「みみ〜」
黒グミは何とも言えない声で鳴いた。
-
>>396
「へ?」
【意図してずらした訳ではないのできょとんとする】
「……あ。そうだ。
君はぐみのことを知っているのか?」
【ぐみと語り部を交互にみながら尋ねる】
-
>>397
語り部(仮)
「うん、それはさっきも言ったでしょ…じゃあなかった。
もう一度言おう、それは封印の中で唯一残ったもの。人から人へ繋がっていくもの」
途中から自身の役目でも思い出したのか、喋り方を変える少年。
-
>>398
「普通に話してくれ。
先ほどまでの方が話しやすい」
【芝居がかった口調に肩をすくめる。
その後、手のなかのぐみへ一度視線を落とした後再び語り部へ顔を向けた】
「人から人へ繋がるものって、どういうことだ?」
-
>>399
「むー…こういうのは役割通りやらないと魔術的に問題が……」
不満げな語り部(仮)
「それは君が自分で考える事。
僕は語り手だけど全てを語る事は許されない」
-
>>400
「魔術的な問題?
……どういうことだ」
【不穏な空気を感じて口調が固くなる】
「……考えること、か……」
-
>>401
「色々あるの!むー…」
ふくれっ面の少年。
「兎も角そういうことだからね!」
-
>>402
「む……つまり、その口調が魔術の要なのか」
【よくわかっていないようだ!】
「……ぐみ、一緒にきてくれるか?」
【手のひらに視線をおとし、問いかける】
-
>>403
グミ「ぐみみ…」
考え込んでいるようで。
語り部(仮)「…何か、来る」
周囲の空気が悪くなる。
-
>>404
「考えている間、しばらくここにいてくれ」
【いうが早いか、Gジャンのポケットにぐみを押し込み立ち上がる】
「……」
【きき手に魔力を集めながら、注意深く辺りを見回す】
-
>>405
蟲「ぎしゃあ…」
人骨で出来た巨大蜘蛛が木々をへし折り姿を現す。
蟲「ぎしゃしゃああああああああああああああ!!」
それは有無を言わさず糸を語り部(仮)とラーナイに!
語り部(仮)「避けて!連中の吐くものは総じて強酸だ!!」
-
>>406
「わかった!」
【糸を避けつつ、語り部を背に守るように立ち位置をとり魔法陣を描く】
「っ!」
【魔法陣から放たれた複数の氷柱が、巨虫めがけて降り注ぐ】
-
>>407
語り部(仮)「僕はいいから、自分のことに集中して!」
それなりに動けるらしい語り部(仮)。
動きのはずみでグミが地面に転げ落ちる。
蟲「ぎじゃ!!」
前足で氷柱を一片に叩き落とす巨大蜘蛛。
-
>>408
「っ、ぐみ!」
【魔法陣を書く手を止め、ぐみを拾い上げると再びポケットへイン】
「(森じゃ火は危険だ、とりあえず……)」
【戦えそうだと判断した語り部から離れると、乱暴にペンダントを外し夜空へと舞い上がる】
-
>>409
ぽろ、とまた落ちるグミ。
てか自分の意思で動いてるんじゃあないか!?
語り部(仮)「いってるでしょ!自分の事に集中しないと!!」
蟲「ぎじゃじゃじゃ…」
誰を狙おうか考え中の蟲。
仮に此処で追撃を諦められてしまうと何処かで被害が出るわけで。
-
>>410
「追撃もするけど、ぐみも守りたいんだ!
……あ!」
【ぐみが逃げようとしているとは考えていないらしい。
急降下して、落ちたぐみを手のひらでキャッチ、そのままの体制で急いで魔法陣を描く】
「っ、このお!」
【空中で逆さまになったまま、魔法陣から再び巨虫へ氷柱の雨を降らせる】
-
>>411
ズガガガガガ!
氷柱は当たるがあまり効果なし。
とにかく硬いようで、中々に厄介だ。
語り部(仮)「ど、どうしよ…逃がすわけにもいかないけど攻撃手段ないし」
ぐみ「ぐみみ…」
-
>>412
「僅かでも効いているなら……と言いたいが、それじゃ分が悪いな」
【プラーナを集めて垂れ流し分の魔力を利き手に補いながら、再び魔法陣を描く】
「(至近距離から大技放てば気絶させられるかも)」
【魔法陣から雷球を放ち、再び上空へ舞い上がる】
「心配しないでいい、ぐみ。
君も語り部も、きっとまもるから」
【つぶさないように、しかしおとさないように、ぐみを乗せた手の指を緩く曲げる】
-
>>413
と言っている傍から蟲による糸の連射攻撃である。
線上のそれが幾つも勢いよく放たれる。
かなり危険だ。
-
>>414
「ちぃっ!」
【乱暴に舌打ちするど、ぐみを乗せた手ごとポケットに入れて勢いよく翼をはばたかせる。
隙間を縫うように糸を避けていくが、所々掠った箇所の服が溶け裂ける】
「(一か八か、懐に入る!)」
【糸を避ける動きのまま、巨虫の体をぐるりと回る】
-
>>415
ガパ、と蜘蛛が口を開く。
そして吐き出される網状の糸。
完全に包囲される形だ。
語り部(仮)「なっ!?」
グミ「ぐみみ!!」
ずるるっ!と黒グミが手を這い上がり宙へと跳んだ。
同時にその形を薄く広く伸ばし、傘のようにラーナイを覆う。
中心部では黒い光を放つ鉱石のようなものが見て取れる。
水に墨汁を垂らすと拡散しながら水を黒く染めていく…その印象の正体であった。
-
>>416
「しまっ――ぐみ?!」
【慌てて障壁を展開しようとするが、ぐみの変化に手の動きを止める】
「ありがとう、ぐみっ」
【ぐみの影で手早く魔法陣を描き、虫の顔面めがけて氷柱の雨を降らせる】
-
>>417
つららは当たるのだ、当たるのだが…
語り部(仮)「やっぱり重みのある一撃でないと厳しい…」
さてさてどうなる次回に続く。
-
なかっち 動画
http://www.youtube.com/watch?v=z2qK2lhk9O0s
みんなで選ぶニコ生重大事件 2012
http://vote1.fc2.com/browse/16615334/2/
2012年 ニコ生MVP
http://blog.with2.net/vote/?m=va&id=103374&bm=
2012年ニコ生事件簿ベスト10
http://niconama.doorblog.jp/archives/21097592.html
生放送の配信者がFME切り忘れプライベートを晒す羽目に 放送後に取った行動とは?
http://getnews.jp/archives/227112
FME切り忘れた生主が放送終了後、驚愕の行動
http://niconama.doorblog.jp/archives/9369466.html
台湾誌
http://www.ettoday.net/news/20120625/64810.htm
-
>>418
「(大技、か……)」
【それをするには時間がかかるし、自分にも負担がかかる。
しばし考えて出した答えは単純だった】
「(やってみるしかないか!)」
【プラーナの粒子を大量に利き手へ集め、ぐみの影から虫の腹めがけ猛スピードで突進する】
-
>>420
蟲「ぎ!?」
その動きにはついていけなかったか、蟲の反応は鈍い。
-
>>421
「――――……」
【巨虫の腹につくほど近い位置で、呪文を唱えつつ魔法陣を描きはじめた。
大量のプラーナを転化した魔力がこもっているせいで、魔法陣が眩く光り始める】
-
>>422
蟲「ぎぃ!」
しかし流石にそこまで悠長に待ってはくれない。
懐に入り込んだ時には描き終わっていなければ一撃を決めるのは非常に難しいものである!
蟲がその脚でラーナイを弾き飛ばそうと。
-
>>423
【酸糸くらいは被る覚悟で飛び込んだ元・女子高生が魔法陣を描き終わるのと、巨虫の足がぶつかるのはほとんど同時だった】
「――――ッ、喰らい抜けぇ!」
【光輝く魔法陣から放たれたのは、竜の顔のような形をした魔力の塊。
プラーナの魔力を使ったせいか、薄青に輝きながら巨虫の腹へと向かった】
「――!」
【ろくに防御体制もとれなかったおかげで、虫の足によって森の中にぶっ飛ばされる】
-
>>424
ぼふ、と何か柔らかいものがラーナイを包み込むようにして受け止める。
「…さて、厄介なことになっている」
そのままスルリ、と包み込んでいたものがすり抜けラーナイを地にやや乱暴に落とす。
肩当付ボロマントと左側に刀傷のある仮面を纏うセミロングの剣刀士が其処にいた。
どうやら生き物の様に蠢いていたマントで受け止められたようである。
「ふむ、うたれ強いな」
『ぎぃーがぁー!!』
腹がへこんでいるがまだまだ動きは悪くない蟲が吼えた。
-
>>425
「……?」
【衝撃に備えてかたく閉じていた目をゆっくり見開く】
「あ、ありがとうございます」
【どこかで会ったかなと首を傾げながらも、律儀に礼をいう】
「っ、まだ生きてるのか……そうだ、ぐみは?!」
【蠢く巨虫をみて慌てて態勢を整える。
そして、守るといった黒ぐみの姿を素早く探した】
-
>>426
剣刀士「ぐみ?…ああ、アレか」
ぐみ「みみみ」
少し離れたところで黒い球体が跳ねまわっていた。
剣刀士「目覚めたと思ってきてみれば……半覚醒とは世話が焼ける」
つかつかと蟲へと歩き始める剣刀士。
ぶぃ、と甲高い音がして緑光がその右手に集う。
蟲「ぎぎぃ!」
剣刀士「そうか、やはり覚えているか…もう一度眠るがいい」
キィィィィンと耳をつんざく音が周囲に響く!
気のせいか黒グミも震えているようだった。
-
>>427
「ぐみ!」
【震えるぐみに駆け寄り、両手で拾い上げる】
「あれは……魔法剣なのか?
プラーナとは違うみたいだけど……」
【剣士に向かった巨虫の背へ、炎の矢を数本放つ】
-
>>428
剣刀士「流星刀…『星廻』ッ!!」
ギャンッ!と先ほどから形容し難い甲高い音を響かせ一閃が振るわれる。
空間を割くようにして具現するは
何かの塊から削り出された様に繋ぎ目が無く刀身には奇妙な緑光を宿すネオベイ風片手剣。
振われた刀から発する緑光と炎の矢が偶然にも混ざりバチバチと弾けながら蟲へと着弾。
爆風が巻き起こる。
ぐみ「ミミミミ…ミィィィィン!」
そしてグミが爆発した。
-
>>429
「っ、ぐみ!?」
【ぐみの爆発に思わず目を閉じる。
抱えていた手は素肌だったため、熱さや衝撃などをモロに食らうことになる。
さてさて次はどうなるfo】
-
>>430
グミ爆散。
が、衝撃はなく思ったほどの熱はない…
「ミィィィィィィン―」
矢鱈と高い音が周囲に木霊する。
-
>>431
「……ぐみ……!」
【守るといったのに、爆発という最後になってしまった。
後悔と懺悔に顔を伏せるが、今は戦闘中である。
大きく深呼吸してから顔をあげると、再び巨虫めがけて氷柱を放った】
-
>>432
しかし、バコンッ!と大きな音がして目標であった蟲は天高く飛んでいた。
それにしても不格好な飛び様である。
くるくると身体が回転し足をもがき、どう考えても姿勢制御ができていない。
剣刀士「…ふむ」
?「ミィィィン」
そしてラーナイの横で剣刀士が感心したような声を出す。
視線の先は丁度蟲の真下。
肘と踵から歪んだ刃を生やした全身鎧の様な金属状の外皮を持つ人型が浮遊している。
右腕を高々と掲げている。思いっきり腕を振り上げたらそうなるだろうか。
-
>>433
「……?」
【剣士の視線を追いかけて、自分も視線を下に落とす】
「……ぐみ?」
【突如現れた人型を見つめるあまり、動きが止まる】
-
>>434
蟲「ぎぎぎぎぃ!?」
人型「ブィィィィィン」
落下する蟲。
屈みこみ構える人型。
剣刀士「あれは星渡、昔からそう呼ばれている」
ジャコンッ!と鈍い音が鳴って跳ぶ人型と落ちる蟲が宙で交差する。
そしてバラバラになって地に落ちる蟲。
-
>>435
「星渡?」
【聞き慣れない言葉に首を傾げる】
「…………つまり、ぐみは星渡って種族で人間になったってことなのか?」
【ぐみ(?)と剣士を交互にみながら訪ねた】
-
>>436
剣刀士「いや全然違う」
的が外れた物言いに平坦な声で答える。
そして説明はしてくれない不親切。
星渡「グミミーン」
剣刀士「ふむ…まあ如何やら蟲共を敵と見なした様だ。これで懸念は一つ消える」
-
>>437
【よくわからない、というように眉間にしわを寄せる。
わかったことは、ただ1つ】
「よかった、ぐみが無事で……!」
【心底ほっとしたように肩の力を抜く】
「……ところで、あなたは誰なんだ?」
【ふと浮かんだ疑問を、剣士へド直球で尋ねた】
-
>>438
剣刀士「メタ、夢現の住人だ」
簡潔に剣刀士。
補足説明をしてくれない訳の分らん話ばかりする。
星渡「…キィィン」
そして星渡はそのまま何処かへと飛び去ってしまった。
結構速かった…
-
>>439
【謎の自己紹介にくびをかしげる】
「夢現……あ、ぐみっ!」
【慌てて手を伸ばすが、時すでにお寿司。
とびさった方角を見上げながら、ポツリと呟いた】
「お礼、まだいえてないのに……」
-
>>440
メタ「ではな」
そうして気を取られている間に剣刀士も姿を消す。
…残ったのは蟲の残骸だけであった。
-
>>441
「あ、ああ……?」
【神出鬼没な助っ人に、首を傾げる】
「……そうだ、語り部は?」
【はっと思い出したように辺りを見回す】
-
>>442
これまたいつの間にかいなくなっている…どの辺りで消えたのかも不明
-
>>443
「……何でみんな、お礼を言わせてくれないんだろうな」
【苦笑しながら、深めの穴を掘りバラバラになった虫の死骸を入れていく】
「……おやすみなさい」
【虫の巨躯に似合わないほど小ぶりな墓に黙祷を捧げ、ラーナイもきびすを返す】
-
こうして一難去ったわけで…まあ、色々謎は残ったままであった。
-
王立大学構内の、はずれの方にある薬草園。
温室の中に、古今東西ありとあらゆる薬草が生えている事で知られている。
この薬草園、特殊な空間魔法でもかかっているのか、
内部は敷地以上に広く、複雑に入り組んでおり一種のダンジョンの様相を呈している。
うっかり深部に深部に迷い込んだ学生が出れなくなり、職員に救出される事もしばしば。
そんな薬草園の入り口に、ここの学生である小柄な少女の姿が。
-
>>446
「へえ、こんな感じなんだな」
王立大学に立ち入ったことはないどころか、学校すら出ていないそんな彼
しかし相応の知識を本や師から教わることで、知識面によって不自由した記憶はなかった
「ところで薬草園ってどこだ……?
……そこの君、ちょっといいか?」
物思いに耽りながらもふらつき歩き、目的の薬草園を探す
すれ違うであろう学生に場所を尋ねたり苦心の末に、ようやく見つける薬草園
そしてそこにいた今日の依頼人
「……ゴホン
そこにいらっしゃいましたか、お嬢様」
そして彼女の前ではボケをかますのが自分の中でのある種の決まりごと
普段の飄々とした彼とはまた違って、やや凛とした口調
そんな青髪の、お堅い服装の青年が少女にそう声をかける
-
「…うむ、わらわはここじゃ。
ちと遅かったようじゃが、わらわを待たすとは何事じゃ…?」
ボケにあわせて、やや高慢に言葉を返すが…
「だめじゃのぅ、わらわ普段からこういう口調じゃから、
あまり変化がないのじゃ。」
いまいちギャップが生まれないのであった。
「…それはさておき。ここが大学の薬草園じゃ。
中は広くてちょっと迷いやすいが、別に危険は無いのじゃ。
出れなくなっても中から職員に助けを呼べるようになっておるし、、
腹が減れば中に果物が結構なっておるしのぅ。」
「……じゃが…先日話したとおり、
最近中にモンスターが出没するようになったとか……。
実は、わらわの同級生も薬草を取りに行ったまま帰って来ぬのじゃ…。」
-
>>448
「失礼、道に迷っていたもので
お嬢様はさしていつもとお変わりないようで」
とボケにボケを重ねるも…
「……ダメだ、堅いのは慣れない」
普段の口調でそう一言、自分のキャラと違い過ぎて演じきれなかったようだ
「……空腹で倒れることはないんだな
中は基本安全ってことは茨が襲い掛かってきたりもしないんだな?」
と念を押してみるも、モンスターと行方不明者と聞くと
「……不味いことになってるんだな
そりゃ一人でいくのが不安にもなる」
と苦笑いするのだった
-
>>449
「人間にちょっかい出してくる植物はいるかもしれないけどのぅ、
怪我したりとか、危ない目には基本的には会わないハズじゃ。
…そういう危険な植物は、薬草園の奥の奥…
結界の張ってある温室にしかいないことになっておる。
教師の許可が無ければ普通は入れないのじゃ。」
「しかし、一般向けの温室に何故か魔物が……。
…一番奥の温室から逃げてきたのじゃろうか…?
……ま、それはそうと…今回の目的は薬草採取じゃ。
…生徒の救助や魔物の駆除は、そのうち職員がしてくれるはずじゃ。
…それでは、早速行くとするかや。」
と、言って扉を開けると、中へ入っていく。
安全確保されてから行けばいいのに…
と思うだろうが、レポートの提出期限は明日にせまっているらしい。
-
>>450
「そっちに用事はないのか
ラッキーっていえばラッキーか」
腰にホルダーを二つほど引っさげて、肩からバッグをぶら下げている
それなりに備えはあるらしい
「そんな簡単に逃げられるんなら結界の意味ないだろうに
……第三者の犯行だったりしてな」
閉じ込められている同級生をぞんざいに扱っているところを見て、
その同級生とはそれほど親しくないのではと邪推する青年
とはいえ今それは直接的には関係のない話
「あの話からは何日経ったっけか
……っと、慎重に行けよ? もし武器が必要なら貸すぞ?」
自身はホルダーより青い拳銃を取り出す
-
温室の中は外から見た以上に広く、所狭しと植物が生い茂っている。
エリアごとに魔法で温度や湿度が調整されており、ありとあらゆる種類の薬草がそろっている。
「でものぅ、仮にも王都最高学府である王立大学の結界じゃぞ?
……そうそう易々と抜け出せるはずではないと思うのじゃがのぅ…。
…外部から入り込んできた、という事もあるかもしれぬがのう?」
そんな事を話しながら奥へと進むうちに、自律して動くゴーレムと何体かすれ違う。
24時間薬草の世話をしているのは彼らである。
園内の防犯も兼ねており、ある程度のモンスターなら駆除できることになっているのだが…。
-
>>452
「抜け出されたなら世も末だ
一瞬だけ解除するとかならまだわかるけども」
内通者がいると考えれば手っ取り早い
しかしそんなことが可能なのかと思案する
そんなこんなで見つけるゴーレム
「なんだ? あのゴーレム」
防犯のためのそれとは知らず、少女に問う青年
そのついでにホルダーから赤い拳銃も取り出しておく
-
>>453
「…あれは、ここの管理をしてるゴーレムじゃな。
なんでも、薬草園が出来た頃から休まず働いているというから、随分と生真面目なヤツじゃ。」
コミカルな外見の、デフォルメされた人型のそれは、
せっせと水を撒いたり雑草を抜いたりと忙しそうである。
そんなこんなで、薬草園の奥の方へと…
「…そろそろ目当ての薬草があるはずなんじゃがなぁ…。
…なにしろここ、たまに構造が変わってるから迷いやすいんじゃよな。」
古くからかけられた空間魔法が変異し、軽い不思議なダンジョン化している…という説がある。
「…こっちの方じゃったかのぅ…?」
と、一人で勝手に生い茂った茂みを掻き分けて奥の方へ……。
-
>>454
「ふーん、なるほどな……」
忙しそうなゴーレムを横目に、少女を追って奥へと進む青年
「たまに構造が変わるって……どんな迷路d
って一人で先走りし過ぎるな!」
危なっかしさを見かねて、少女を呼び止めようと肩に手を伸ばす青年
このまま何事もなく終わるとは思えなかった
-
しかし、青年の手は茂みの葉っぱを掴むばかり…
そればかりか、奥の方から
「…おわっ、なんじゃこりゃ…っっ!!!?」
とか不吉な叫び声まで聞こえてくる始末。
-
>>456
「ああ……もう、言わんこっちゃない!」
声を頼りに草をかき分けつき進む青年
拳銃を構えて、最悪の事態に備えようと
-
茂みを抜けた先は、どことなく甘い香りが漂うエリア…
なにやら霧の様なモノで視界が霞み、少女の姿は見当たらない。
…青年はどこかで似た匂いを嗅いだことがあるかもしれない。
甘い匂いは、奥の方に行くにつれて強くなってくるような…。
-
>>458
「……チッ、まずいな」
ミトとはぐれて姿は見当たらない
人気のなさと相まって、青年は焦りに顔を歪ませていく
「しかしこの匂い……、なんだったか?」
……ハチミツ? それともあの時の? いや別の?
様々な記憶が明滅する
-
『あ、いたいた。
そちは無事じゃった様じゃの。』
と、急に足元から声が。
視線を下げてみると、いつか青年が少女にプレゼントした人形が見えるだろう。
-
>>460
「……ああ、俺は無事……」
声が聞こえて、人形を見下ろすような形を取る青年
たしかあの人形は……
「……お前は大丈夫だったのか?
なにがあったんだ?」
このような空間において、例えそれが知り合いであろうとも
念には念を入れておきたかった
疑念は抱きつつも表には出さず、そう問いかける青年
-
『余を誰じゃと思っておるのじゃ、無事に決まっておる。』
その尊大な態度は、間違いなく雷の精霊様の様である。
『…余は無事じゃが…ミトの奴が捕まってしまったのぅ…。
……この霧の中、複数の人影が急に現れてな。
あやつの力じゃ抵抗したって無駄じゃ、あっけなく連れていかれおった。』
『…あやつの体は余の体でもある…酷い目に会っていては事じゃ。
……ほれ、早く助けに行かぬか、そちよ。』
と、偉そうに促しながら霧が濃くなっている奥の方を指差す。
-
>>462
「……これを真似できる奴はそうそういないか
しかし、複数の人影……か?」
ますます面倒なことになったと感じる青年
相手は複数、対してこちらは一人
助けに行けば戦闘になるか、ならば……
青年は荷物を漁ると、そこからなにかを取り出しおいておく
「フォスファーもだ」
そうして人形姿のフォスファーを摘まもうと屈みつつも、
奥へと進むことにするのだった
-
『余はここで待っておるからの、手早く片付けて…って、ちょ、聞くのじゃ…!!』
腰掛けるのに良さげな小石を見つけてくつろごうとした矢先、
青年に持ち上げられて連れて行かれるのであった。
『ミトを連れていった奴ら……
…余は見覚えがあるぞよ…?
……あれは、ここで行方不明になったという、あやつの同級生どもではないかや……?』
カイサに抱えられながら、そんな事を呟く。
-
>>464
「聞かないとも」
したり顔でそう言い放ちつつも
「……同級生だった?
とすると洗脳の類でも受けたのか、それとも元々……」
物々と呟きだす青年
悪い方向に思考の蛇が絡みつくと、途端に心苦しくなる
もう少し自分がちゃんとしていたならと自分を責めたてたくもなる
が今は自分一人というわけでもない、気丈に振る舞わなければ
「面倒なことになってるのは、確実だろうな」
人形の髪を一撫ですると、決意を固めて歩みを進める
-
『……ふむ…これは恐らく……。』
事態を察知したのだろうか、少女人形が口を開く…
と、その時、急に霧が晴れ、茂みを抜けて少し広い空間へと出る。
「……あ、カイサ…!ここじゃ、ここじゃよ!」
広場の真ん中には、笑顔で手を振る小柄な少女の姿…割と元気そうである。
-
>>466
「……どう思った? フォスファー」
口を開いたフォスファーに、声のトーンを下げて問いかける青年
そうしていると広い空間に出ることとなった
そして広場の真ん中にあの少女
連れて行かれたあの少女
「……よっ!
目的の薬草は見つけられたか?」
少女には駆け寄らずに、少し離れた位置から嫌に陽気な口調で問いかける
-
「…いやぁ、それがまだでのぅ。」
にこやかに青年に応える少女。
「……それはそうと…来ては……なら…ぬ……」
にこやかな表情のままだが…搾り出す様に、そう言うのであった。
『待つのじゃそちよ。
…これはワナじゃ…!』
と、少女人形が叫んだ瞬間…
周囲の茂みから、複数の人影が踊りだす!
それらは青年を取り囲み、襲い掛かってくる。
-
>>468
「そうかー、そりゃ残念だ」
ふざけた口調ではあるものの、その目はどこを見ているのやら
「見解は一致してたってことか」
屈みそして人形を置く青年
相手の戦法が見えてこないため、
ただ突撃して襲い掛かってきたというだけならば、屈むだけでも回避手段になると踏み
そして二丁の拳銃を強く握りしめる
-
『…殺すでないぞ。
そやつらはタダの傀儡じゃ…!!』
青年を取り囲む人影は、皆うつろな目つきでじわじわと距離をつめてくる。
王立大学の制服を着ており、どうやら行方不明となっていた同級生達だろう。
…なにより、決定的な違和感が一つ……。
頭にキノコが生えている!
「……すま…ぬ……カイサ……。
…でも…わらわ……なんだか、なにもかんがえられない……。」
と、熱に浮かされたような声を漏らす少女…
次の瞬間、少女の頭からもキノコが…!
-
>>470
「……そうだった……!」
生えてきたキノコを見て匂いの正体を含めたすべてを思い出す青年
もしあれと同一だとすれば、非常に分の悪い戦いとなりそうだ
「手っ取り早く終わらせるなら息の根を止めるのが早いと思うんだけどな……
よし、フォスファーはどこかに掴まっててくれ」
言って、青年は拳銃を重ね合わせる
するとそれは姿を変えて、赤と青の色を持った杖の形に
そうしてハンカチを取り出し口に押えつつ杖を持ち
「風の精よ、我が呼びかけに応じろ……」
なにやら物々と言い出す青年
感じられる者は感じられるかもしれない魔力の高まり
-
『あれは皇帝マタンゴの菌糸…何故こんなところに…?』
雷の精霊も、例のキノコには見覚えがある様子。
『殺しても良いがな、しかしそれでは済まぬ。
あれは一種のアンデッド状態…。
宿主が息絶えても、菌糸は尚も体を操り動かし続けるじゃろう。
……なにより、殺してしまったらそちの社会的立場が著しく危うくなるぞよ…?』
と、言いつつカイサの体にしがみつく。
破天荒な精霊様にしてはやたらと現実的な意見だ。
風の魔力が巻き起こるなか、
キノコに乗っ取られた学生、そしてミトが、カイサを取り囲んで襲い掛かってくる。
-
>>472
「……なら全部まとめて吹き飛ばすまで!
暴君の嵐・ガルストーム!」
巻き起こる魔力を開放する青年
するとそれは海の荒波の如く荒れ狂う嵐となる
この場のあらゆる物体を飲み込まんと吹き荒れる
疑似的な嵐となるそれは、支えなしにこの場に立つすべての人間にも見境なく襲い掛かる
-
「…ふぎゃーっ!!?」
小柄な少女は易々と吹っ飛ばされ、目を回して倒れる。
他の学生達も、悲鳴を上げて次々と吹き飛ばされていく…。
一気に無力化には成功した様だが…?
『…ほっほっほ…そちにしてはマシな魔法じゃな。
……しかし、結局のところ…アレを倒さねば彼奴等を解放できないようじゃ。』
吹き荒れる嵐の中、吹き飛ばされずに近寄ってくる大きな影…
それは、いつか見たキノコの巨人!
すなわち、皇帝マタンゴである。
しかし、妙である。
実は、あのクエストの後、別の討伐隊が皇帝マタンゴ討伐に成功…との知らせが報じられていた。
と、するとこれは別の個体…?
よくよく観察してみれば、以前遭遇したモノよりも二周りほどサイズは小さい…。
-
>>474
「……俺がいつマシじゃない魔法を使ったっていうんだ」
大規模な魔法を使ったせいか息があがっている青年
「……嫌な予感はしてたんだが……
さて、奴相手にどう立ち回るか」
影は記憶の化け物よりもいくらか小さいことに気づく
これはある意味チャンスなのだろうか……?
「……熱したら潰せると思うか?」
ハンカチを口に加えたまま、杖を逆さに持ちフォスファーに問いかける
-
>>475
『良いところに気付いたのぅ。
奴は太古より焔に弱い種族じゃ。
…まぁ、所詮キノコじゃからな、当然と言えば当然じゃが…。』
そうこう話しているうちに、
キノコ怪人が体を震わせる…
以前戦った記憶をたどれば、それが毒の胞子をばら撒く前兆だと分かるだろう。
-
>>476
「なるほどな」
杖は気づけば巨大な銃口を持った一丁の銃へとその形を変えていた
直に吸い込むことだけはハンカチによって避けられそうだが……
「……熱を伴う大火力武装が一つだけある
でも万が一通じなかったなら……、あとは任せた」
巨大な銃口をキノコに向けると同時に、持つ魔力を銃口に集中させる青年
先ほどの大技で魔力を消費している関係で、
魔力を消費して大技を放てるチャンスは恐らくこれっきり
-
『ふむ……気兼ねなくやるが良い。
しくじった場合は、余じきじきにあの幼弱なキノコめを焼き払ってくれよう…。』
と、涼しい顔で言うものの、いまやそんな力はあまり残されていないはず。
…もしそんな力を発揮するとすれば、大きな無理を強いることとなるだろう。
≪…ブォォオオオオオオッッ…!!!≫
キノコ怪人が大声で吼えると同時に、
周囲に凄まじい量のキノコの胞子がバラ撒かれる…!
//非常に中途半端ですが、今日はこのあたりで…おやすみなさいませ!
-
>>478
「おいしいところだけ持って行かれるのはごめんだ!」
手柄に拘るように見せかけつつも、
下手に彼女に負担を強いるのはまずいと判断している青年、
故に一発で確実に仕留めなければならない
手に持つは明滅を繰り返す巨大な銃口を持つ銃
「このあたりに人はいないな……?
なら、一撃で仕留める!」
もしも周囲に人がいなければ、青年はキノコ怪人に照準を合わせて引き金を引く
そうしたなら、熱を伴った魔力の塊がキノコ怪人に襲い掛かる
しかしもしキノコ怪人の近辺に動く人影があるならば、
巻き込みを恐れて銃を降ろすだろう
-
「…うむ、生き物はおらぬ様じゃ。
それよりも煙たくてかなわぬ。
早くヤツめを仕留めるのじゃ…!」
毒の胞子があたりにばら撒かれ、
少しずつ肺を犯していく…。
長時間吸い続けるのはまずそうである。
胞子をばら撒いたキノコ怪人は、銃を構える青年目掛けて真っ向から突進してきた。
-
>>480
「……ああ!」
可能な限り息を止めたりハンカチを口に当てたりしているものの
毒に冒されていくことは避けられない
青年は直線的な動きで突撃してくるキノコに狙いをつける
「……犯した罪を数えろ……!
引き金を引くと、銃口から放たれる熱を伴った魔力の塊
それは一筋の光となって、炎の如くしてキノコに襲いかかる
-
≪………ッッ!!≫
一条の熱線はキノコ怪人の体をど真ん中から貫き風穴を開ける。
一瞬送れて発火、見る見るうちに全身に燃え広がり火達磨に。
野太い悲鳴を響かせながら、キノコ怪人は消し炭へと化していく…。
『ほっほっほ。見事じゃ、カイサよ。
……生徒どもも、無事の様じゃな…?』
学生達は、暴風で吹き飛ばされて周辺で気絶中。
頭から生えたキノコは、その本体が息絶えたと同時に、ボロボロに朽ちて崩れ去る。
…おそらく、洗脳も解かれた事だろう。
-
>>482
「……フォスファー、俺はもう疲れたよ」
魔力の殆どを消耗し、その影響は青年の場合疲労と言う形で現れる
その上毒を吸い込んだせいで意識も朦朧とし始めている
そんなこんなで呼吸のペースは乱れだし、ふらつきだしているとしている青年
早くミトを回収してこの場を離れたかったために、なんとか意識を保とうとしつつあたりを見渡す
-
『…ちなみに、周りは大変なことになっておるがのぅ。ほっほっほ。』
…炎が薬草園に燃え広がってしまったようである。
管理ゴーレムが慌てて駆けつけ、消火活動を始めたため、それほど大事には至らない様だが…。
『ほれ、もう少ししっかりするのじゃ。
…特別に余の魔力を分け与えてくれよう…。』
そう言って青年の元へとひょこひょこ近寄ると、人形の小さな手をかざす。
緑色の光がうっすらと青年を照らし、雷の精霊の魔力が流し込まれていくのであった。
-
「オレハワルクナイ」
わかりきったことにも関わらず
ショックでも受けたのか片言気味の青年
「……恩に着る
無理させてすまないな」
めまいが収まる青年、礼を言いつつも
「さてと、どうする?
ミト連れて帰るか……?」
居心地の悪さと疲労感に押しつぶされそうになりつつも
フォスファーに問いかけながらもミトを探す
-
「…うーーん…目が回る……
……なんかフラフラするのじゃ……。」
少し離れたところには、頭のキノコは取れたものの
まだ目を回している少女の姿が。
『…そうじゃな、とっとと帰るとするかの。
余は疲れたのじゃ。ヤツの探していた草もあったし。』
と、脇に生えていた薬草を引っこ抜く人形。
どうやら目的の薬草がたまたまここに生えていた様子。
-
>>486
「……まだ操られてるのか?
正気なら帰るぞ、正気じゃないなら射殺するぞ」
ミトを見つけて近づこうとしつつも、
妙な引っ掛かりもまた感じていた
「お、流石フォスファー
運にも恵まれてるな」
草を見つけたフォスファーに対してもそう返しつつ
-
「な、なぜわらわが撃たれねばならぬのじゃ…!?」
目を回しながらもカタカタと震える少女。
『…ふふん、聡明な余にかかればこんな草の一本くらい一瞬で見つけれられるのじゃ。』
と、やたらと得意げな人形。
『……さて、ミトも起きたことじゃし、余はちと眠るかの。』
少女の鞄の中にごそごそと潜り込んで動かなくなるのであった。
他の学生たちもまだ目を回して居るようで、
ゴーレム達によって外へと運び出されて行くのであった。
-
>>488
「その反応を見る限り、大丈夫そうだ
歩けるか?」
近づきつつも手を差し出す
生徒にはさして興味を示さない
「なるほどなあ
ん、おやすみ」
と返しておくのだった
自身も疲れてはいるものの、
フォスファーの魔力のおかげで動けないほどではない
-
「うむ、大分落ち着いてきたのじゃ。」
ちょっとふらつきながらも立ち上がる。
別段体に異常は無いようである。
「…いやぁ、またも迷惑をかけたのぅ。
しかしなんだってあんなのがここに沸いたのやら…?
…それはそうと帰るとするかや?
皆は無事じゃったし、薬草も手に入れたしのぅ…!」
-
>>490
「ん、よかったよかった
ぱっと見大丈夫そうだな」
変化がないことを確認してぽつりと
「気にするなって、依頼って建前だからさ」
恐らく申し訳なさげに振る舞うミトにそう返しつつも
「さあ……、大学連中の実験のためかもな」
頭がうまく働かなかった青年
「ああ、早く帰ろう
ここを出るまで気が休まらない」
頷きつつも出口を探そうとする青年
-
「うむ、帰るとするかや。
…もう一匹あんなヤツがうろついておるやもしれぬし。ほっほっほ。」
と、笑えない冗談を。
「…そうじゃ、報酬はから揚げ弁当じゃったな…?
今度作ってくるから、楽しみにしておれ…!」
そんなこんなで、一旦薬草園の外へと出て行く二人であった。
//ひとまずこれはこんなところで終了で…ありがとうございやした!
-
>>492
「不吉な……」
げんなりしている青年
「……バリエーションが増えてたらなおよし
しかし疲れた……」
かつてフェムトには報酬に銃を注文し、ミトにはからあげ弁当を注文
そんなことを考えたりしつつも、薬草園を出ていきなり倒れたりしたのはまた別の話
//了解です、お疲れ様でした!
-
-とある噂のある森の奥-
最近王都で囁かれている噂がある。
草木生い茂る森の奥にぽっかりと空いた空間。
背の低い草木が生い茂り、中央に大岩が鎮座し、頭上に月の臨める場所。
其処で兵を待つ武芸者が居る、と誰かは言う。
武芸者は打ち破った者たちの得物を集めている、と。
集まった得物の中には伝説級のものもあるらしい、と。
お尋ねモノが潜んでいるらしい、と賞金稼ぎ。
さる村の教会からうら若き乙女を連れ去った極悪非道の男だ、と。
そういや化け物退治している奴がいたなぁ、と少数。
見たような顔から全く見かけない騎士だかゴーレムだか分らんのまで色々遭遇した、と。
大きな黒い卵があった気が…あれ、場所違ったっけ?
そうそう、巨大な生物等によって蹂躙された様な木々のある場所だったわ、と違う話も飛び交う。
森といえば奥地にひっそりとある墓石が最近朽ち果てたらしい、と青年。
そのせいか死霊の類が彷徨っているらしい…と。
え、奥地には200の階段があって、更に十数本の鳥居で出来た
若干うねりのあるアーチを抜けた其の先にネオベイ風神社があるんじゃなかったっけ?と誰か。
ん?其処って元々草原であった場が歪な黒い草木茂る嫌な気配漂う場になってるんだっけ?
鳥の羽音も虫の声も獣の気配もしないが、少女の歌声が聞こえるって聞いたが、とも言う。
昔から魔女が棲んでいるとの噂が立っているのも森の奥だ、と老人。
庭らしき部分に薬草の類が雑多に生え、
煙突からは怪しげな煙が天高く上がっている小ぢんまりとした一軒家があるのだ、と。
そんな訳で草木生い茂る視界の悪い森の奥で今日も何かが潜んでいる。
兎にも角にも此処はそんな場所である。
-
Fo
-
<王都近くの草原>
「……なるほど、使えるな。」
【左腕に赤い装具をつけた金髪の少年が呟く。
周囲には濃い魔力が充満しており、その存在はあまりにも分かりやすい。】
-
>>496
『プーちゃん、誰かいるよー?』
「見ちゃダメよ、ああいうのをチューニ病って言うんだから」
【頭を抱えながらも足を止めたドリルヘアー少女とピンク色のぷにぷに。
濃厚な魔力には気付いているはずだが、それでも少年を変人認定した!】
-
「…………あの爺、やっとまともな強化をしたみたいだな。」
【己の赤い手を見ながら、呟くと手をぎゅっと握りこんだ。
すると、その手が白い魔力的な光を帯びる。】
「……魔力の流れも安定している、良い感じだ。」
-
>>497
「…………ち、何だ、ただのガキか。」
【その声に振り返って二人の姿を一瞥するが、期待はずれと言わんばかりにため息を吐く。
相手をガキ扱いしている少年だが、年齢に比べて体が小さい子の少年も十分、ガキに見える。】
-
>>499
『プーちゃん、あの子あたしたちより年下だよね?
たぶん……』
「自分を棚に上げて、同じ年頃をガキ呼ばわりするのもチューニ病の症状なのよ」
『じゃぁじゃぁ、やっぱりお医者さんを呼んであげないと!』
【誰かと会話をしているようだが、見えるのは目つきがわるいドリルヘアー少女だけ。
何故ならピンク色のぷにぷには、草葉の陰に隠れて見えないからだ。
それにしても、挑発しているようにしか見えない会話である】
-
「……ッ、まだバカにするのか……どいつもこいつも……!」
【歯をかみ締め、右の拳をぎゅっと握りこんだ。
逆鱗に触れてしまったらしく、充満する魔力が激しく揺らぎ始める。
それと同時に左腕の赤い腕の形がぐにゃりと変わり始めた。】
「ガキ共がっ……痛い目を見ないとわからねぇようだな……!」
-
>>501
『プ、プーちゃぁん……』
「フン、あんなお子様にわたしがやられるワケないでしょ。
あんたは王都に帰るか、その辺で寝てなさい」
【足元のぷにぷにに強気で言い放つと、手のひらに杖を召喚する。
それを合図にして、ピンク色ぷにぷにはあわててその場を離れた!】
「チューニ病なんて、数年したら頭抱えてのたうち回るのが関の山よ。
あんたの魔法くらい、防いでみせるわ」
【勝ち気な笑みを浮かべながら、杖の先を少年に向ける】
-
「……ナメるのも大概にしておけよ……!」
【怒りに震えながら、変化の終わった左腕をそちらへと向ける。
その左腕は円筒状になっており、まるで銃口である。
そして、怒りによって更に魔力の勢いが増す。
どういうわけかは分からないが、非常に挑発に乗りやすいようだ。】
「その言葉、あとで後悔させてやるからよォ!!」
【空気が纏まっていくような、そんな感覚。
見れば、銃口と化した腕に魔力が収束し始めている。】
-
>>503
「アンタこそ、わたしのリンすらみたことないクセに。
まっそぉね、リンの攻撃に耐えられたら謝ってあげてもいいわよ?」
【あーいえばこーいう、何か言われれば毒を吐き返す性分のドリルヘアー少女。
毒つきながら、全力で保護障壁を展開する】
-
「ハ、そんな口を利けるのも今だけだ!」
【それを鼻であしらうと自身の左腕に手を添えた。
そして、一瞬、収束した魔力がぐっと膨らんだと思うとそれが弾けた。
魔力の球体が銃弾めいた速度でプラージュへと迫る。】
「ンな貧弱な壁で防ぎきれると思うんじゃねぇぞ、このガキがッッ!」
【発射したその直後、再び魔力が収束を始める。
銃口の先で渦を巻きながら、魔力が集まっていく。今度は……早い。
あっという間に収束が終わると一発目の魔弾からほぼ間を空けず、2発を放った。
どうやら、魔力のめぐりが非常に早いようだ。】
-
>>505
「今度は本質突かれたからって、怒る……ワケ?!」
【ハァ、とわざとらしーい溜め息をつきながら障壁に魔力を全力を篭める。
連続攻撃を受けてピシピシと音をたてる障壁に、冷や汗が頬を伝った】
-
「仕掛けてきたのはオマエだろうがよ……!
ほら、防ぐってンだろ?」
【再び、魔力が収束し始める。
攻め手が遅れることはなく、魔力が切れる様子もない。
だが、彼の攻撃は魔力を集めて、それをぶつけるだけの単純なものだ。
とはいえ、その集めた魔力が他に類を見ないほどに質が高いものである。
それ故に〝防ぎきる〟のを難しくしている。】
-
>>507
「ええ。
でも、わたしは一人だなんて言ってないわよ」
【言うと同時に、ビィバードの背後から逆円錐型の氷柱が降り注ぐ】
「無事か、プラージュ?」
「当然よ。
わたしを誰だと思ってるの、ラーナイ」
【ビィバードの背後には、黒髪金目の少女が青い粒子を纏い立っていた】
//やっぱり出てきたラーナイ……
そして1時までには寝るので、進行によっては中断頼みます
-
「……は?」
【背後に感じる青い光、冷気に振り返る。
見れば、今正に自分へと降り注ごうとしている氷柱が見えた。
あくまでもこの少年はつい最近、力を得ただけで戦闘の心得があるわけではない。
故に、この状況を打開するような戦闘のセンスはないのである。
なので、その背後から迫る氷柱をあっさりと受けてしまうと思われたが。】
「…………い゛っ?!あ゛、あああああぁぁぁ!!」
【避けようとがむしゃらに動くビィバードとは別にその赤い腕が
ぐにゃり、と変形するとそれを的確に弾いた様に〝見えた〟】
「はぁっ、はぁっ、はぁ……はぁ…………。」
【がむしゃらに動いた結果、地面に膝をついている。
〝間一髪で避けられた事に息を荒げて〟
その左腕は既に元の形に戻っている。】
-
>>509
「……」
【間一髪で手に守られた様子をみて、魔法陣を描く指を止めるラーナイ。
しばらく何かを考えた後、スタスタとビィバードに近づいていく】
「ちょっと!ラーナイ何やって……」
【プラージュの静止にも耳を貸さない】
-
「はぁ、はぁ……っく、この……この、ハエ共が……!」
【無理矢理、息を整えると再び腕が変形を始めた。
腕は先ほどと同じように銃口を模したものへとなり始めているのだが
ほんの一瞬だけ、赤い腕が紺色に染まった。】
「次は、打ち落としてやるよ……!」
【こちらへと近づいてくるラーナイへとその銃口を向けながら。】
-
>>511
「ちゃんと使い方を覚えれば、君はもっと強くなれそうなのに……もったいない」
【肩をすくめながら立ち止まる。
ラーナイの言葉には、本気の色が滲んでいる】
-
「っ、ぅ、まただ、またそうやって、そうやって……!!」
【一瞬、驚くほど臆病な顔になり眼を白黒させていたが、すぐに戻る。
構えていないほうの手を握りしめ、ぷるぷると震えている。
ともすれば、握りすぎて血が滲んでしまうのではないかというほどに。】
「……うるっさい、俺を哀れむなっっ!見下すなッッッ!」
【感情をぶつけるようにして腕から魔力が発射される。
だが、感情に任せたためか、先ほどよりも魔力の質が甘い。】
-
>>513
「見下してなんかないさ。
ただ、私と似ているなあと思っただけだ」
【放たれた魔力の塊を、最小限の動きでかわす】
「君、学校で力の使い方とか勉強してみたらどうだ?
私も少し前まで王都の高校に通ってたんだ」
【……ラーナイは、学校をすすめた!】
-
「ぅ、ぃ、いやだ、やめろ……止めろ……!」
【〝その言葉〟に尻餅をつくように後ろに倒れるとずりずりと後ろに下がり始める。
先ほどまでの飢えた獣の様な態度は嘘のようである。】
「お、おお、俺はもう、あんなところに居たくない……戻りたくないんだ……。」
【後ろに下がりながら、首をいやいやと振っている。
その様は今や、怯えたウサギである。】
-
>>515
「えぇっ?!
す、すまない。
そんなつもりじゃなかったんだ」
【怯えられて、慌てて謝る。
屈んでビィバードと同じ視線になると、慰めようと手を伸ばす】
-
「せ、折角、抜け出せたんだ、あんなところから……。
〝これ〟があるから〝これ〟のお陰で弱くはなくなったから。
もう、もう、戻らない……あんなのは俺の居場所じゃない……。
あ、あぁ……イヤだ、止めろ……それ以上、ち、近づくな……。」
【今にも泣き出しそうな顔になりながら、逃げるように下がり続ける。
ラーナイの言葉はまともに聞こえていないらしく、うわ言の様に呟き、震え、首を振っている。】
-
>>517
「……悪かったわね」
【先に謝ったのは、ラーナイではなくプラージュだった】
「もうアンタを苦しめるヤツのとこになんて、戻らなくていいんだから安心しなさい。
さっ、帰るわよラーナイ」
「ああ、……またな」
【これ以上の接触はあきらめ、大人しく帰っていったそうなfo】
//乙でした
-
「も、戻らない、俺は、二度と……二度と……。」
【それに答える様子もなく、魔力の猛りも完全に消えうせている。
無論、去っていく2人を見送るどころか、声さえもかけることができなかった。
完全にトラウマの中にはまり込んでしまったらしい。】
「………………全く。」
【そんなビィバードの姿を見て、呆れた様に枯れた声を漏らす三つ足の人物が居たとか、FO】
//こちらこそ、ありがとうございましたー
-
【王国領地内山間部】
『――よし、此処に契約はなった。
僕達は、君の敵を、君の世界の敵を、君と共に蹂躙する。
そうして君はその後に――』
「――お前達の目論見に一つ手を貸す。
それが――」
『文字通り、悪魔の契約と言う訳だ。
フフ、素敵じゃないか――ジャキ。』
【ギリギリ王国領地内の山間部】
【未だ雪が深く残る其の山頂に、陰が二つ】
「
【一つは真紅の瘴気と妖気、されど輝く聖気すら纏う白亜の悪魔】
【一つは深蒼の魔力と闘気、されど悍く邪気すら纏う黒蒼の悪魔】
【――其処に、一つの契約が交わされた】
-
【王都 図書館にて】
「さて、そろそろ来る筈だが……。」
紫髪に、メガネと白衣が特徴的な男性。
本を読み漁るでもなくただただ腕を組んで誰かを待つ。
その脇には大量の羊皮紙が積まれており、事の壮大さの先触れの様だ。
かくて話は少し前に遡る。
リスタ宛に手紙を出した研究者・クァンド。
何か大きな話があってここに呼び出したのだが……。
-
>>521
「なんつーの?招待状?
よくわかんねーけど、謎の手紙が届いたってワケだよワトソンくん」
【布製のちょび髭と、普段は被らない丸帽子を被っているのは、剣士っぽい格好をした少年だ】
「誰からなんだろねえ」
【その隣では、黄緑色のプニを抱いたピンク髪の少女が首を傾げている。
2人は声を潜めながら、図書館へ足を踏み入れた】
-
>>522
「ム……。」
入ってきた二人へと視線を向け、眼鏡を光らせる。
「ようこそ、私の図書館へ!!」
※公共物です。
「……と言う冗談は置いておこう。
よく来てくれたな。本好きの青年よ。
しかし見ない間に随分逞しくなったものだ、まるで往年の探偵の様ではないか……ククク。」
以って回った言い回しをしながら、さあさあと席に促す男性。
二人と一ぷにの内、一人は自身が招待した人間だと分かっている様だ。
-
>>523
「いや、図書館は私立じゃねーし」
【手の甲で叩くような仕草をしながら突っ込む】
「ねぇねぇ、オジさんだぁれ?」
【きょとんと首を傾げながら訊ねたのは、助手約ニンフェだ。
そしてリスタは指を振りながら得意気な顔で一歩前に進んだ】
「何の用かは聞くまでもない……犯人はお前だ!」
【ビシッとクァンドを指差した衝動で、付け髭がぽとりと落ちた。
ちなみに、黄緑色のプニは寝ている】
-
>>524
「クク……そうとも、やはり私の眼に狂いは無かった様だ。
……ずばり聞こう、本好きの青年。
動く図書館に興味は無いかね!!」
ビシッと指差し返して言う男性。乗っているのかまじめなのか。
「私はオジさんではない。クァンド博士と呼ぶが良い!
良いかね、諸君は新開地(フロンティア)に踏み出そうとしているのだ!」
と、言うが早いかどさっと羊皮紙を机の上に乗せる。
これは……地図?
-
>>525
「本があるならっ!!!」
【指を突きつけたポーズのまま、真顔で即答するリスタ】
「カード博士かあ、わかった♪」
【バッチリと言うかのように満面の笑みを浮かべるが、ニンフェはやはり名前を間違う】
「この地図なぁに?」
「図書館マップ……じゃねえみてえだな」
【羊皮紙をのぞきこみ、2人は首を傾げた】
-
>>526
「ククク……聊か発音し辛い名前だったか。まぁ良い。
聞くが良い青年よ、少女よ!
この地図こそ、かの蒸気の街メタ・ヴァプールへの道と!」
一枚、まずは大きな陸続きの地図。
これはかなり古い地図の様だ。
「その街の地図だ!」
蒸気の街……と確かに彼は言った。
しかしそれが、先程いの一番に口にした図書館とどう言った関係があるのか。
コピー
「複写もあるぞ!もって行き賜え!」
そしてやけに準備が良い。
-
>>527
【地図(コピー)を受け取り数秒後、ハッと我に返るリスタ】
「まさかこれからその、メタふぁ……蒸気の街に歩いて行くんか?!
ってか、なんで俺らが頭数に入ってんだよ?!」
「はいはーい、カード博士しつもーん。
おやつ持って行っていーい?」
【手を挙げながら意味のない質問する助手役】
-
>>528
「……君達は魔力循環式蒸気機構……というシステムを聞いた事があるかね。」
リスタの話をスルーしつつ、自分の話したい事を述べ始める。
「いや、無くても良い。」
そして別に返答は求めていないというマイペースさ。
「……今回の招待は他ならぬ君に宛てた物だ。
無論、余剰はある。」
しかし、彼の話は段々と真剣味を帯びた声色に変わっていく。
「ここにあるのは通行証……メタ・ヴァプールは"蒸"塞都市の異名もある。
あれでいて警備は厳しいのだよ。」
ひらひらと、短い羊皮紙……銀の焼印が押された物を羊皮紙の中から引っ張り出して
「しかしこれを使えば、君たちはここへ入る事が出来る。
それだけではない、そこまでに掛かる馬車代宿泊代全て諸々……費用として請求する事が出来るのだ。
無論……おやつ代もな。クク……」
話だけを聞くと、随分と厚待遇だが……つまりただ見に行けと言う訳でもなさそうだ。
-
>>529
「確か、論文集のコーナーで……って、知らなくてもいいのかよ!?」
【再び手の甲で叩くような仕草をする。しかも勢いよく】
「……で、何が目的だ?
こんなモンまでだすなんてよ」
【銀の烙印を、指でコツコツ叩く】
「そのチラシで、お菓子いっぱい買えるの?」
【ニンフェの頭上には、ハテナマークが複数浮かんでいる】
-
>>530
「そう認識して貰って……一向に構わんッ!」
クワッ、と眼を見開かせてニンフェへと言う。
「因みにこの街は過熱蒸気による調理法も達者でな。
中々食べ物においても有名な街だ。蒸気とは凄い物だな。」
とぼけているのか、真面目なのかどうにも掴めない男だ。
「先程話した通りだよ、本好きな青年……いや。リスタ君。
このメタ・ヴァプールには余剰な蒸気を使って施設内が可動となっている世にも珍しい図書館が存在する。
そこの赴いて欲しいのだ、手紙付きでな。」
一気に概要を離す男性。
図書館が目的というのは間違い無い事実らしい。
「猶予は特に無い。気が済むまで観光してくると良い。
我々にとって、その手紙が目的の持ち主に渡るのは大事な事なのだ。」
一息置くと、悪い話ではないだろう?と念を押す。
-
>>531
「悪い話じゃない、つーか悪い話がないのが胡散臭いな」
【ポリポリ頭を掻きながら首を傾げる】
「こんだけデカいメリットがあんなら、デカいデメリットもあるんじゃねーの?」
「……そうなの?」
【クァンドに問いかけるリスタに、首を傾げる助手。
たぶんこいつはまだ何もわかっていない】
-
>>532
「その通りだ。問題は、街その物の話になる。
……治安の乱れ、とでも言うべきなのか……」
先程まで流暢に喋っていたが、ここで言い淀む。
と言っても都合の悪い事を隠そうとする風でなく、把握し切れていないと言った様子だ。
「その図書館だが……3FからB1までなる大型施設なのだ。
しかしそのB1に……妙な噂が立っていてな。神隠しに遭う、だと言う。
もともとメタ・ヴァプールの治安はここと同じで偏っている……実態が把握できんのが現状なのだ。
犯罪組織の仕業……だったとしてもな。」
クエスチョンを飛ばしては消し飛ばしては消すニンフェに気を遣ったのか
悪いヤツか幽霊が出るかもしれない。と補足する男性。
-
>>533
「お、オバケェ?!」
【途端に泣きそうな顔になる助手役。
あっちをキョロキョロこっちをキョロキョロ落ち着かなくなった】
「で、手紙の届け先はB1ってか。
その手紙も誰かに狙われてるんだろ」
【熟睡しているプニプニを抱え右往左往する涙目ニンフェを背中でスルーしつつ、うまい話の裏を推理する】
-
>>534
「物の例えだよ、助手クン。
あとここには出ないので安心し賜え。」
コホン、と一つ咳払いをする。
「先に手紙の内容を話しておこう。
……それは、蒸気機構のノウハウの要求、
及び更なる開発の為の共同要請だ。
誰かに狙われていないとは、確かに言い難いだろう。」
リスタの話の先を告げ、静かに眼を瞑る。
「危険が無いとは言わないからの待遇だ。
必要であらば、護衛まで取らせる事も厭わないが……改めて聞こう。どうするか……。」
-
>>535
「うぅぅ……本当?」
【動きは止まったが、まだ涙目でクァンドを見上げる】
「ん、いいぜ。
ただし条件が2つある」【あっさり請け負い、クァンドへ手の指を二本立てて見せた】
「1つ目。俺がその手紙を『黒』だと思ったら、契約中断させてもらう。
2つ目は……手紙を渡し終えた後は、自由に過ごさせてもらう」
//ニンフェ「今日はもうひとりで寝れない〜」
↑水滴の音でビビる
-
>>536
「そもそも幽霊などは非科学的でいけない。
もっと魔素体系に準じた存在であって欲しい物だ。」
科学者らしい台詞を今ここで言う。
「上等すぎる返事だ。やはり君に頼んだのは正解だった。」
小さく笑みながら、眼鏡のブリッジを押し上げ
「良いだろう、その条件で手打ちとしよう。
必要な書物は纏めて郵送する。後は君たちの自由だ。
……但し、契約を破棄するのならば書類の始末だけは頼んでおこうか。」
「こちらにも、機密はあるのでね。」
口を真一文字に結び、真剣な表情で。
//ディ<ほーらおいでおいでー♪(ゲス
-
>>537
「怪談は、理由がつかねえトコが面白いんだぜ?
夜中に天井の……「やあぁぁあだあぁぁぁ!」」
【リスタの言葉を遮るように涙目で叫ぶニンフェ。
夜はお静かに】
「なんで俺を選んだんかは、後で聞かせてもらおっかね」
【ニカッと笑いながら銀印付きの用紙をヒラヒラ持ち上げる】
「ああ。
契約破棄の時は灰も残らないようにしてやるよ」
【真顔に対して飄々と笑みを浮かべたまま頷いた】
//プ「本気で潜り込みそうだから阻止するわ」
-
>>538
「図書館では静かにし賜えッ!」
眼鏡を直しながら、逆行で光るレンズ越しにニンフェを睨んで指差す。
「しかし……そう。そう言った所だ。
君は本が好きだろう? 私も好きだ。様々な創造と想像、そして騒々を秘めている。
だが元来、私は形のある物しか信用できない物でね。
話は話として頂戴するが……幻話の類は一切信じてはいない。事実の曲解とさえ感じている。
では君はどうか。……私は違ったと思ったがね。
想像を想像だけにせず、常に好奇心のままに動く事が出来る。
そしてそれがどの様な結果であれ、享受する事が出来る。そういう青年だと思ったのだよ。
……故に、私は君を選んだ。一夜の話に感じた、それだけでな。」
「クク……不服か? 本好きな青年よ。」
長く自身の心内を言い終え、再び眼鏡の位置を戻す。
//D<じゃプー助が入る?
-
>>539
「ふぁ、ふぁい……」
【涙を湛えたまま、素直に頷いた。(´;ω;`)】
「いやー、ハハハ。
本好き同志にそこまで誉められると悪い気しないねい」
【素直に照れるリスタ。
確かにこの男は、気に入った作品の必殺技を真面目に練習する奴だ。
無駄に想像力と行動力はあるだろう(間違った方向だが)】
//プ「アンタ、そんな男なのね……くそ(禁則事項です)、(放送禁止)、(ピーーー)」
-
>>540
「宜しいッ!!」
ビシッっと差した指をサムズアップに変える。
「……こちらの話せる事は、全て話したつもりだ。
頼んだぞ、青年よ。」
熱が入った、と言わんばかりに咳払い。
そして改めて右手を差し出し、握手を催促する。
//D<やーねーオイラナンパ野郎だって知ってんでしょー?
-
>>541
「ふえぇ……」
【迫力ある(ようにみえる)サムズアップに、怯えるだけのニンフェ。
プニプニ?寝てますよ】
「……」
【差し出された手に視線を落とすも、リスタは静かに首を横に振る】
「握手は最後にするもんだぜ……あばよ」
「ちょ、ちょっとまってぇぇ」
【二本立てた指を小さく振ると、図書館をでていくリスタ、慌てて追いかけるニンフェ。
本好きなら解るだろう。
握手を断るというシチュエーションにこのセリフとポーズが、とある古典推理小説の名シーンであることに……Fo】
//プ「ええ、今敵だって再認識したわ」→ToBad
-
>>542
「そんなに怖がる事は無い……ルールを守れば良いだけの事だ。」
うむ、と一つ頷き
「……フッ……そうだったな。」
理解した中で小説になぞらえたポーズを取り、背を向けて去って行ったリスタを見送った。
ニンフェにも小さく拳を握って見送ったそうな。
//D<ギャー!! GAME OVER
-
第二汎用スレ>>355までの大雑把なあらすじ
今はもう動かない、イシュカという名を持った一人の少女
泡になって跡形もなくなるのではなく、その亡骸は今もベッドに横たわっている
石を通して遺言を残すと、糸が切れた人形のように、力なく
デズモンドは緑色の魔導石を捨てることなく部屋を後にした
転移に使用して光の失った、黒色の魔導石を持つレイヤは、一人取り残される形でこの部屋にいる
-
>>544
「…………」
「そういえば………この石…………」
「………何かの役に立つの……かな………」
イシュカの眠るベッドの横に力なく膝をつく少女。
右手に黒い石を握りしめている。
「…………」
涙で潤んだ目でその石を見つめている。
-
>>545
石はなにも語らない、だがその黒い石から感じ取られる魔力は、
人魚から取り出した瑠璃色の石、デズモンドの持つ緑色の石のそれに限りなく近い
それに気づけるかは、レイヤが魔力を読むことができるか否かに掛かっている
-
>>546
「…………よく分からないけど……」
そっと冷たくなった彼女の胸の辺りにその石を置く。
-
>>547
イシュカの胸に黒い石を置こうとした時、それは黒い光を放つ
その様はどことなく石が彼女を拒んでいるかのよう
-
>>548
「………?」
何かの反応が起こったことに気がつく。
「………………何が起こったの………」
石をもう一度置き直す。
-
>>549
変化が生じたのはイシュカではなく石のほうらしく
黒い石をイシュカから引き離せば明滅は収まり、
そうでなければ石はそのままである
-
>>550
「………石が…反応してる……?」
「まだ……体の中に何かあるの……?」
石をあちらこちらに近づけ、反応の違いがないか調べる。
-
>>551
しかし石はどこに近づけようとも一定の反応しか返さない
しいて言えば近づければ近づけるだけ、その輝きが増すぐらいである
なにかに反応しているのだろうが、それを特定するのは困難に思われる
-
>>552
「………でもやっぱり反応するのはイシュカちゃんだけだろうし………」
一度自分に近づけてみる。
-
>>553
レイヤの予想通り、イシュカから石を引き離すとそれは明滅しなくなる
-
>>554
「……でも………"何か"があるのは…間違いなさそう………」
「ただ……その"何か"がなにか分からない………」
「……いっそ割ってしまえば………だけど何が起こるかわからない」
相変わらず少し涙ぐんだ目で石をじーっと見て何かがないか調べる。
-
>>555
僅かな明滅を繰り返す黒い石
しばらく放っておくと、その光は次第に強まって行き、
やがてその石は薄暗くも強烈な光を発する
しかしそれは光と形容するにはあまりにも暗すぎて、
闇というほうがしっくりと当てはまるかもしれない
そしてその一瞬が過ぎ去ったころに、そこにイシュカの姿はなく、
レイヤの手に握られた黒い魔導石は不規則に明滅を繰り返している
先ほどまでまったくといっていいほどなんの反応も示さなかったにも関わらず、である
"何か"に反応したのだろうが、結局それはわからずじまい
……まだ何かあるのかもしれないが、今はもうどうしようもない
//投げるだけ投げて、レイヤ視点での人魚イベも一旦完結とします
これにて人魚イベは一区切り、お疲れ様でした!
-
<王都の広場>
「…………。」
【グレーの髪に王都の中等部を示す制服を着用した褐色の肌を持つ少女が広場に座っている。
それも座っているのは自分で用意したのか簡素な椅子である。
同じく、テーブルも一緒であり、少女の対面の位置にも椅子がセットしてある。
そして、少女の首には〝悩み相談室〟と黒文字で書かれているプレートが提げられている。
色々と奇妙な少女なのだが、もっとも目を引くのはその鼻である。
それは人間のソレとは違い、顎を隠してしまうほど太く、長く……象を思わせる鼻だ。】
-
「…………。」
【街角にぽつりとある路上占いの様な風情で少女は鎮座している。
身じろぎ一つせず、ただただじっと座り客を待っている。
まるで、置物のようである。】
-
FO
-
-王都 メアリーの自宅-
この頃になると、まだ空に紺が残る。
黒よりも静けさを醸す夜、エリスは知る顔の自宅に連れられてきた。
「ごめんね、急に呼びつけて……。」
いつもより数段落ち着いたトーンで部屋へと招く声。
扉を閉じる金髪の後ろ姿は、少し陰って見える。
-
メアリーの部屋へとやってきたのは、黒ローブの少女。
他人の家に上がりこむのは彼女にとっては滅多にない機会…。
「……いや…かまわない………。」
できるだけいつも通りのテンションを保ちながら、部屋にはいる。
…それにしても、話とはいったいなんなのだろうか。
メアリーの様子は、いつもより暗いようであるが…。
-
「ふふ、ちょっと片付いたでしょ……。」
気を紛らわさんとして、自嘲気味な軽口を一つ。
そうして、義手の右手でゆっくりと席へ促す。
流石に音楽で食べているだけあり、楽譜や道具などが部屋をぐるりと見回しても必ず視界に一つは入る。
「あの、もうケガとかは……?」
そんな中おずおずと、まさにに遠慮して触れる様な声模様で、不意に問うた。
-
>>562
「……ふむ……
…やはり、音楽家の部屋…と、言う感じだね……。」
部屋のあちこちに見られる楽器や楽譜が目に入り、
稀有な才能の持ち主が少し羨ましく思える。
「……ふむ、何も問題ないのだ……。
…不死である僕にとって、肉体の損傷など些細な問題なのだよ…。」
と、芝居がかったいつもの口調で何でもなさ気に答える。
…どちらかと言うと精神的ショックで引きこもっていたのであり、
たしかにケガなどは彼女にとってなんでもないのだが、
それよりもメアリーに余計な心配をさせるのが心苦しい。
「…ま…心配をかけたね…すまない……。
まぁ、僕の事はいい……今日は、何の話なのだね……?」
-
>>563
「メアリーには、これしか無いから……。」
エリスの評価とは裏腹。
頼りなげな言葉に呼応してか、楽譜の束が机の上で少しずれる。
「切り裂き魔の、こと……。」
風の噂は立っていなくもない。
エリスまでもを殺した切り裂き魔は、王都で保護されていた娘だったそうな。
手配書も、それらしき物が出回り始めた。
-
>>564
「…これだけ、とは言うがね……。
……それがある、と言うのは随分と羨ましく思うのだがね…?
…もっと誇っていいと思う…。」
「…………。
……奴の……話か……。」
切り裂き魔の話を持ち出されると、少女の表情にはっきりと影がさす。
…散々な目に会ったのだから無理はない…。
「………。
……いや、すまない……続けてくれたまえ……。」
-
>>156
「あはは……今はちょっと、胸張れないなあ……。」
「……うん。
…………まずは、ごめんなさい……。
なの。」
曇る表情と相対して、いまいち読めない曇り顔は返す。
「多分…………あの子なんじゃ……フィトリアちゃんじゃないかあ……、って。」
おおよそ、エリスの予想を悪い意味で裏切る言葉。
「メアリーが死体を見つけた時から……思ってた。」
-
「……ふむ……。
…君が謝る必要はない、と思うがね……?」
と、言いつつ、どことなくメアリーの表情に引っかかるものも感じる。
「……む……。
……君は…犯人が分かっていたと言うのかね……?
…しかし…それは、また一体どうして……?」
メアリーの意外な告白に、矢継ぎ早に聞き返す。
-
「……あの子の殺し方は、ずうっとそうだったから……。
いつも誰かに謝りながら、自分を見失いながらだったから……。」
伏し目がちに言う女性の前髪を、風が小さく撫でる。
呻く様な声は、目の前の彼女からだ。
「でも、それはないはずだった……。
だって……」
この様な声も出せるのだ。
「わたし、殺したと思ってたもん。」
低く、軋む様な声を。
-
「………??
……あれ?……ちょっと、待ちたまえ……。
…君の言っている言葉が、良く理解できないのだが……?」
いつものメアリーからは想像し難い、物騒な言葉が淡々と紡がれていく。
少女は文字通りその意味が理解しかね、困惑するのであった。
-
「これを言ったら……嫌われちゃうかと思った。
でもわたし、エリスちゃんに隠してはおけない。」
殺した、などという言葉を誰が予想しただろうか。
彼女に限って、といった現実が目の前で音を立てて崩れていく。
アンティーク
「"骨董品"
……それが、メアリーって名前を貰う前の……あたしの名前、なの。」
-
「………『骨董品』……。」
未だ、彼女の言葉の意味が理解しかね、
ただその名を繰り返す。
「……つまり……
…君にはもう一つの顔があって……
……そして、それは………。」
一つずつ整理する様に呟いていく…
徐々に、彼女の言わんとする事が見えてくるのであった。
あまり考えたくない…が、恐らく彼女もあの切り裂き魔と同種…?
-
「骨董品は闇の世界で拾われた、声の無い暗殺者。
紅刃は闇に墜ちた善意ある人殺し。」
日常を楽しむメアリーは、少なくとも今ここには居なかった。
「あった、って言ったら良いのかなあ。
わたし、馬鹿だからさ……ずっと騙されてて。
お父さんも、お母さんも、弟もいない。
バイオリンを弾く腕もなくなった。だから、それを与えてくれた人にずうっとついて行ってた。」
表情の無い顔で語るその様は、背筋が寒くなる思いだった。
「あ、随分と前だよ?
声が出る様になってからは、誓って誰も傷付けてないもん。」
唖然とするエリスへ向けて、自嘲気味な笑み。
-
「…………。
……意外…なんていうものでは無いね……。」
想像だにしなかった真実に困惑する少女。
…一体どんな顔で、何を言ったものか……。
「……そうか……。
…随分と…数奇な人生を歩んできたのだね……君は……。」
今は殺しはしていない、というのは、少女にとってもせめてもの救い…。
-
「ごめんね……。」
再び顔を伏せ、事実に打ち揺らされるエリスへと詫びる。
「でも……この腕の事を話せるのも、この事を話せるのもエリスちゃんしか…………いなくて。」
シャスタ君は、死に稀薄だから。
と付け加えて。
「だから……あの子を止められなかったわたしが……。
あの子の、事を……教えてあげられなかった、わたしのせいで……!」
己が、間接的にエリスを死に追いやった。
それを詫びたかった。せめて形だけの粗末な物だとしても。
-
「……むぅ……。
…僕なんかに…そんな重大な過去を打ち明けてもいいのかね……?
……僕は…正直、この話をどう受け止めていいのか分からない…。
…しかし…そんなに信頼してくれるとはね…嬉しくもあるよ…」
と、素直な気持ちを正直に打ち明ける。
「……ああ…そういうことか……。
…ふふ……そんな事は、どうでもいいのだ……。
……元々は、僕が好きでやったことだ…。」
彼女を恨む気持ちが無いというのも事実である。
「…それに…『骨董品』とやらは、もう死んだのだろう…?
……君はメアリーだ……君には、負うべき責は無い……と、思うがね……。」
-
「…………エリスちゃんは、わたしよりずっとしっかりしてるから。
死を見て死を知ってる人だから……ちゃんと、骨董品としてした事を許さないでおいてくれる……そう思ったから。」
拳を握り、肩を震わせて
「……っ、エリス、ちゃん……!」
心より優しい言葉と、事実を知って尚メアリーとして接してくれる事。
血の通わぬ冷たい少女の暖かさに、大きく肩を揺らした。
-
「……買いかぶり過ぎだよ……。
…僕は…死と生の狭間をうろつく中途半端な存在に過ぎない……。
……現に、僕は『骨董品』とやらに対する感情を整理しきれていない……。」
メアリーが言うほど、少女は感情を纏め切れてはいない。
今も殺しを続けている、という事であったなら、どういう対応をしていただろうか…。
「…が、君は僕の友であるメアリーだから……。
……すまないね、君の気を病ませてしまって…。
……君の秘密を打ち明けて貰ったことは、素直に嬉しいよ。」
と、少し微笑みながら、改めて素直に感情を打ち明ける。
「……問題は……
……その切り裂き魔の事だね……。
…君は、奴を殺した、と言っていたようだが……。」
-
「ううん、そういう人でなきゃいけないの。
だってそれが……人って事だもん。」
もとより、白か黒かの話ではない。
だから、考え続けてくれる人こそが必要なのだと。
「うん。
実は……狙われた事が、あって。
その時のフィトリアは……今ほどひどくなかった。こわかったけど。
それであいつに……殺せと言われた時に、崖から……あの子を……。」
闘いは3晩ほどに及んだ。
卓越した暗殺者であったアンティークは、どうにか隙を衝いてフィトリアを退けたが……。
-
「………人……。
……そうか…そうだな……。」
人という言葉に、少し微笑んで頷く。
…人から遠ざかった存在と成り果てた少女を、
尚人間扱いしてくれることは彼女にとってはなによりも嬉しい。
「…あいつ、と言うのは…君を従えていたという者だね……?
……そうか……それで…確かに、殺したのだね…。
……と、なると奴は何者なのだ……?」
もし、あの時の切り裂き魔と同一人物であるなら…
奴は確かに生きていた様だが…。
-
「…………。」
敢えて言葉を留め、笑顔のまま頷いた。
「……うん。あの人……あいつは、笑顔で人を騙す人だった。」
尚もその人物は彼女にとって、複雑な心象にあるらしい。恩と怨が同居した物言いだ。
「だから、メアリー考えたの。
メアリーとフィトリアを戦わせて……わざと崖から落とさせる様にしただれかがいるんじゃないか……って。」
-
「……ふむ……。」
(…人生を狂わされた…とは言え、育ての親…といった関係か……。)
メアリーの複雑そうな表情を横目に、
どういう関係だったのだろうか…とその心境を察する。
「…ふむ……?
……つまり…どういうことだね…?
…崖に落ちた奴を、その者が助け出した…とか……?」
首をかしげながら、そう推測……。
-
「今はもう、いないはず。」
眼を瞑り、首を横に振る。
アンティークが最後に殺した人の筈だから。
「あいつじゃなくても、誰か仲間が居たかもしれない……。
新聞も見たけど、まんまフィトリアだったんだもん。
一人だけの仕業とは、あんまり思えないよ……。」
だとしたら、今フィトリアを捕らえても完全には解決しないのではないだろうか。
-
「…………。」
…恐らく、詳しくは聞き難い事情がある様に感じ、無言で目を伏せる。
「……ふむ……。
…だとすると、一体何者の仕業なのだろうね…?
…奴の殺しの腕なら…利用したがる者は居るだろうが……。
そうなると、奴を利用した者を誅せねば、事は収まらぬ、という事か……。」
-
「……分からない。けど……
フィトリアには、ちゃんと会わないとはじまらないよ……。
多分、騎士の人にみつかったら……。」
死罪は免れないだろうし、最悪の場合その場で殺されるという事もあり得る。
ここに来て、大きく状況は変わった。
-
「……その場で処刑もあり得る、だろうね……。
…そうなる前に、奴と会わねばならない、という事か…。
……次は奴に確実に死を与えてやろうと思っていたのだが、ね……。」
一度殺された恨みは、それなりに大きいのであった。
…が、ひとまず復讐はお預けの様である。
-
「あの騎士の人なら……話を聞いてくれるかも。
とりあえず、メアリーは明日から動くよ。」
いつになく凛とした表情で言う。
が……。
「あ、あの。それで……すごおく言いづらいんだけど……。
泊まってってくれたら……うれしいんだけど。」
と、不意に上目遣い。
-
「……そうかね……。
…いいかね、くれぐれも無理は厳禁だ……。
…助けが必要なら…すぐに僕やシャスタを頼るのだよ……。」
「……え…?
……あ、な、なんだ……そんなことかね……?
……も、もちろん構わない……。」
一体なんの頼みか…と、思いきや、
思いがけずお泊りの誘い…。
もちろん断る理由は無い。
…友人の家に泊まるなど、もしかすると初めてなのではないだろうか。
-
「うんっ、ぜったい伝えるから……!」
事が事だけに、しっかりとした返事が返ってくる。
「その、お客さんひさしぶりだし……。
なんか、多分寂しくなっちゃいそうだから……。」
と、改まった様子の女性。
恐らく彼女にもそういう経験がないのだろう。
-
AKBを卒業した河西智美に極似娘の淫らな動画!!
http://yorutomo1.blog77.fc2.com/blog-entry-2844.html
-
<王都近くの草原>
「今宵も良い月であった、でござる。」
【黒髪で上は和服、下はズボンというちぐはぐな格好をした男性が夜の草原を歩く。
着ている和服は中々に奇妙なもので、腰までの長さに仕立ててある。
さらに腰には2本の得物が差してあるのだが、それもまったく種類の違う得物だ。
歩く方向からして、王都の方面であろう。】
-
「いやはや、毎夜の月見の成果はありそうにない、でござるな。」
【軽いため息と共に、肩をすくめた。
そして、腕を和服の袖の中で組みなおし、歩みを続ける。
静かな夜の草原は、ある意味では散歩にはちょうどいい。】
-
FO
-
―― 湖畔 ――
「よーっと! フフン、無事着地ッス」
王都から近く位置にある、湖
そのうちのとある場所に舞い降りたのは犬獣人と竜人を足して二で割ったような生物、自称獣竜人
今日は呑気に釣りと洒落こんでいるのか釣り具を組み立て、簡易な椅子を用意すると座って湖に釣り針を投げ入れた
「ヘヘヘッ さぁ来てくれッスよ今日の夕飯クーン!」
-
「…いやぁー今日も疲れたべ……お腹すいたぁ……。」
通りかかったのは、駆け出し冒険者の少女。
ここから先にある村まで届け物の仕事を終え、王都へと帰る途中だ。
「……はっ…
なんか変なのが釣りしてる……!」
水辺で釣りに勤しむ竜人に気がついた様子…。
-
>>594
「……おいこらだーれが変なのッスか! どっからどう見ても普通の王都民」
「いや絶世の美男子で可愛い属性付きの男に変なの扱いは不適切ッス!」
その変なのにはちゃんと耳があるのだ、少なくともリュネンの声が聞こえるくらいには
釣竿を握りしめたままガルルとうなったかと思うと、すぐさま温和な笑顔に切り替わった
「まーいいッス! 折角だから俺の釣りテクニックでも見ていくッス!」
「魚が余ったらおすそわけるすッスよー」
-
「美男子ぃー……??」
ノフの言葉に、怪訝そうな瞳でじとーっと見つてくる。
「まぁ、でも…ちょっと可愛いかもしんないねぇ。」
「え、お魚分けてくれるの!?
…やったぁ…!」
思いがけず分け前が貰えそう…現金に喜びを露わにする少女であった。
-
>>596
「なんスかその納得していないような不審な目は」
「魚食いたいなら火の方を頼むッス! 流石の俺でも火と釣竿両方の世話は一気に……」
「うおお! 早速一匹目きたッスー!!」
ザバァ と釣竿を引くと早速美味しそうな魚が食いついていた
大きくはないが食うには十分な大きさの淡水魚だ
-
「はいはいー、火なら任せておくれ。
……とかいって、何にも釣れないとか勘弁だからねぇ…?」
と、言いつつ、ひとまず火を起すために枯れ木を拾いに…。
「…っと、もう釣れた……っ!?」
早速の釣果に、目を丸くするのであった。
-
>>598
「や、やべぇ…… ここまで早く釣れるのは流石に予想外ッスー!」
「ひょっとして爆釣りの予感ッスか!?」
いざとなったら素潜りで魚を集めようと考えていただけに、
早速引っかかった魚に嬉しそうに顔を二やつかせる獣竜人
「とりあえず後三匹、保存用に二匹はほしいッスー!」
「オラオラこの調子で頼むッスよー!」
-
「すごーい、かっこいい!!!」
キャーキャーと現金な声援を送る…。
「ふふふ……この調子なら、今日はきっとお腹一杯……!」
実のところ、最近仕事が失敗ばかりでまともに食べられていないのであった。
そんなこんなで、その辺りの茂みから枯れ木をかき集め始める。
-
>>600
そのすぐ後二匹目が釣りあがるも、そっから一気に反応しなくなる釣竿
しばらく握っていたがやがて固定し、椅子から立ち上がる獣竜人
「うーん、ラッシュが急に終わったッスねー」
「とりあえず腹減ったし今ある分だけでも食おうッスー!」
-
「〜〜〜♪」
集めた枯れ木に魔法で火をつけ、焚き火を起した後、
火の番をしながら上機嫌で釣りに励むノフの背中を見守る…。
「………。
……むぅ……。」
出だしは好調だったのに、なかなか釣れない様子…。
次第に退屈そうに唇を尖らせるのであった。
「…まぁー仕方ないね。
ま、一匹でも大きいし、食べ応えありそうじゃん…食べよ食べよ…!」
-
>>602
鉄串に刺し魚を炙り、こんがり焼けた所を一人一匹ずつ食べる獣竜人と少女
何もつけていないはずなのになぜこんなに美味いのか
「んー、一匹でもなかなか腹満たせそうッスねー!」
「そーいやアンタこんな場所でなにやってたんスか? 王都近くとはいえ危ないッスよー」
-
「いやぁ、釣れたての新鮮だと、素焼きでも最高…!
……ビールでもあるともっとよかったんだけどねぇ。」
香ばしい焼き魚に、少女も満足の様子である。
「んー、あたしは王都に帰る途中だよ…?
この先の村にお届けモノをしてきた帰りでねぇ…。」
-
>>604
「釣りたての魚にビールッスかー なかなか贅沢ッスね」
「今度釣りに来るときは持ってくるようにするッスー!」
リュネンの意見のこくこくとうなづきながら、骨ごと一気に魚を食べ終える獣竜人
体格からこれ一匹では少し物足りないが、まだ釣れないのはしょうがない
「なるほど冒険者ッスか 仕事には困らなさそうっすねー」
-
「あたしもやってみよっかなぁ、釣り。
……なんか面白そうじゃん…?お魚美味しいし。」
少女もあらかた平らげ、骨だけになった魚を焚き火に放り込む。
「そういえば今更だけど、あなたはだぁれ?
あたしはリュネン=コンラート、よろしくね…!」
と、にっこり微笑み自己紹介。
-
>>606
「釣れない時はもう地獄の退屈っぷりッスよ? そしてその退屈っぷりが決して少なくないのが難点ッス!」
「始めるだけなら町の道具屋でやっすい釣竿と餌買えばできるッス!」
そういうあの釣竿も決して高くない、簡単なクエスト数回分のお手頃価格なのだ
その分機能は察してくださいレベルであるが
「ん?オレッスか? オレの名前はノフッス!」
「い、いや違う ノフッスじゃなくてノフ、ッス!」
「ああもう!これだから何度も何度も…… ノフ、ッ…… よし堪えられたッス!」
-
「でもさー、こうやって釣り竿垂れてぼーっとしてるのも、たまには良さそうじゃん?
……暇なときに一回やってみよっかなー。」
「…ノフッスかぁ、よろしくね…!
……ん、ノフッスなの…?ノフなの……?
…ノフッスでいいのかな……?」
また間違った名前で覚えられそうな悪寒…。
-
>>608
「若者らしからぬ楽しみッスけど…… まあ理想的な休みとも言えなくないッスね」
「弁当抱えて一日中釣りに興じるのも良さそうッス、食糧確保もついでに狙えるッスし」
「って違う!違うッス! 一番最後に言ったノフが正解ッス!」
「ああこうやって最後に言うんじゃなくて間に挟めばいいッスか!うん覚えたッス!」
-
「ふーん…ノフなのね…?
じゃあ、ノフッス(ノフ)で行こう!
…なーんか気に入っちゃったんだよね、ノフッスって響きが…!」
理解はしてもらえた様だが…
間違った方の名前が、なんか変に気に入られてしまった様だ。
-
>>610
「ち、ちが…… もうノフッスでいいッスー……」
気に入られたならもう逆立ちしたとしても修正してくれないだろう
もう何人かに広まってるし諦めて身を引こう
けれども次からは同じ轍は踏むまい、そう心の中で決意する獣竜人
-
「ふふふ…よろしくね、ノフッス…!」
満面の笑みで、間違った名前を呼ぶ。
「…ノフッスって一体どういう人種……?
……犬……っぽいけど、なんか違うような…?」
じーっとノフッスを見つめる少女…。
-
>>612
「おい次オレのこと犬って呼んだらただじゃおかねーッスよ?」
「言うんなら狼って言いってくれッス!そっちの方がかっこいいッス!」
ちょっと怒ったような口調でいいつつ、顔は相変わらず楽しそうに笑っている獣竜人
「やっぱりこっちじゃマイナーなんスかね オレは獣竜人っつー種族ッス」
「動物みたいに全身に毛が生えている事が特徴ッスねー」
-
「…えー、狼ってよりはなんか犬っぽいような……。
……あたしも犬飼ってたけど、雰囲気が似てるなぁ。」
「……ふーん、獣竜人って言うんだ。
……確かになんかいい毛並みだねぇ……。」
-
>>614
「む! ともかく犬はNGワードッス!禁止用語ッスー!!」
ともかく犬という単語は禁止らしい、見た目からして龍は勿論狼よりも犬という言い方がしっくりくる獣竜人
それは間違いなく威厳の無さからくるのだろう
「お、目の付け所良いッスねー! オレの腹の触り心地はなかなかのモンッスよ?」
-
「……ええーー…??
…仕方無いなぁー……。」
唇を尖らせて納得いかない様子の少女であった。
「ほんと…!?
……へぇー……どれどれ……??」
遠慮なしにノフッスの腹へと手を伸ばし、ふにふにと擦り始める。
-
>>616
ボフ
抵抗されることなく触れる事が出来た
確かにそこんじょそこらの獣よりかは遥かにいい毛触り、だがしかしそれだけじゃない
腹が爬虫類特有のプニプニ感を持っていて、それが毛並とマッチしていて
最高の感触
「ふふふー どうッスか?」
-
「………っ!?」
腹を擦る手を一瞬止める少女…。
「……これは……これはぁぁっっ!!!」
やけに興奮した様子で、その腹をさらに激しく撫で擦る。某動物王国の主並みに…。
その魅惑的な感触に、すっかり虜になってしまった様子。
-
>>618
「おおぅがっついてくるッスね 抱きついても大丈夫ッスよー」
フフンと得意げに笑いながら、撫でまわすリュネンを見る獣竜人
というか撫でまわされるよりも抱きつかれた方がいいのだ、撫でまわされたら
なんか腹が壊れそうとかそんな感じがする
-
「じゃ…じゃぁ…失礼しまーす……!」
ぼふん、とその腹に顔を埋め、抱きついてきた。
「…あぁ…なんだろうこの不思議な感触……
……抱き枕に欲しいわぁ、これ……。」
-
>>620
「値段がつけられぬほど高価で高質な寝心地ッスからね」
「抱き枕で手に入るのはそれこそドラゴンボーなんとか集める勢いじゃないと無理ッス!」
自信満々に、腹に顔をうずめてきたリュネンの背中を軽くたたきながら話す獣竜人
べたべた触られてるにしては嫌らしい感情が感じないのは種族が違うからか
-
「……はぁー、このまま寝たら幸せそう……。」
と、うっとり顔。
放って置くと、ほんとに寝息を立て始めそうである。
…こちらも犬みたいなものくらいに思っているため、
特にべたべたひっついても何も思っていない様子……。
-
>>622
「……さすがにここで眠られたら困るッスねー、最近物騒ッス」
プニプニされるのもいいがそろそろ潮時かと、肩を叩いて起こそうとする獣竜人
もし離れたなら釣竿やらの片づけをして王都に帰るつもりだ
-
「……はっ……ついついうとうとしかけてしまったよ…ハハハ。」
肩を揺らされ目を開く。
…半分ほど夢の世界へ足を踏み入れかけていたところであった。
「…んー、もうお帰り……?
…そうだねぇ、もう暗くなってきたし…。」
くぅっ、と伸びをすると、片付けを手伝ったり火の始末をしたり…
-
>>624
「夢の続きはまた今度ッスね そん時は酒用意しとくッスよー」
リュネンが言っていたビールと一緒に焼き立て魚を実践するつもりらしい
少し犯罪臭のする状態なのにさらに酒が入ると危ない気しかしないが
-
「いいねぇ、あたしもなんか色々食べ物持ってくるよ!
…こう見えても、料理は得意なんだよねぇ〜…!」
「…さてさて、そんじゃぁそろそろ帰りますかー…。」
あらかた周りの片付けも済んだ様子。
-
>>626
「また会えるときに準備ができてるかは微妙ッスけどねー……」
そういうわけで、二人仲良く王都に帰っていったとか
-
「…じゃぁー…日を決めて行くとか!
……どうせだったら大勢でにぎやかにやりたいところだねぇ……。」
とかなんとか言いつつ、王都へかえっていったそうな。
-
紅い月が昇る、王都の夜
森の奥深き場所で一人、巨大な魔法陣の中央に立ち
魔導師風の格好をしたニンゲンが一人、大きな笑い声を挙げていた
「――――ついに、ついに 完成した」
「これぞ我が技術の集大成―― 完全なる美、完全なる力」
「さぁ、世の中のバカ共を――― 今こそ滅ぼさん時!」
-
「(…………帰り道に変な人が居る)」
通りすがるのは黒衣の青年。
何処か幸薄そうな顔をして、遠巻きにそれを見ていた。
-
>>630
「ハハハハハ!!ハーハハハ!!!」
高笑いを月に向かってあげ、しばし悦に浸る不審人物
黒衣の青年に気付いているかはわからないが、やけに長い笑い声を上げている
気付いているかはわからないが、ちらちらと青年に視線を送っているような気もする
「……… ククク、まさか魔法陣を完成させて数刻と置かず、我の邪魔をするものとが現れるとは……」
「やはり王都は侮れない…… クク、クククク」
笑い声に疲れたのか、今度は青年を敵対者と認識する体で絡みだした
-
>>631
「……もうそろそろ夏なんだけどな」
若干疲れた顔。
頭のおかしい人が増える季節は終わったと思うけれど、とツブヤキ魔法陣をちらり、と。
「(万が一お嬢様達に被害が行ってもアレだし――)……潰すか」
ぼそり、と呟き。
爪先で地面をとん、とん、と叩く。
-
>>632
「? …………」
「…………………フン! 我と世間話にしゃれ込もうという算段か?なんとも浅ましい考えの持ち主よ」
青年の話の意図がわからず、勝手に解釈し勝手に決めつけ勝手に見下す魔術師
魔法陣をチラリとみて興味をひかれたと考えたのかにんまりと笑う
「クックックッ…… 貴様、この魔法陣が何なのか気になると言った顔をしているな」
「貴様のような下賤で哀れな者に答える義理はないが寛大な心を持って答えよう!これこそ月を破壊……」
「……って何をしてるんだ貴様アアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!11」
-
>>633
「―――――。」
黒衣の下に手を忍ばせ、其処からガラス球の様な物を取り出す。
良く見れば其れには魔力が篭められている様で
「ちょっと、悪党退治を。」
それがころんころん、と魔術師の男の足下に転がって行き、
強い光と共に――爆発した。
-
>>634
「話を聞かずに計画を潰すのか!? 貴様それでも正義の味方か!」
「これだから、これだから最近の若い奴、はぁ…… !!」
爆弾を投げられ、咄嗟に防御障壁を展開する魔術師
展開する時間が短く、距離も短い状況でもなんとか致命傷を免れたのは
そこそこ力があるからなのだろう しかし口調はアレなのだが
そして、この爆発により魔法陣の殆どが掻き消された
「……わ、我の………… 集大成……・しゅう、たい、せい…………」
-
>>635
「そう言うのは知人にまかせてますから」
さらり、と割と外道な発言をしつつ、
自身はちゃっかり木の上に退避。
「……とりあえず、これで、後は放置かな。」
惨状を見下ろし、そんな事を言う。
ゲスい。
-
>>636
「……………」
絶望にうちひがれている魔術師だけが、無情にも土くれの上に座るばかりだった
ここまで計9レス 討伐されるまでかなり早い
-
>>637
「…………」
このまま撃っても良いけど、と非道な事を思ったりもするが。
「(後処理も面倒だし……良いか)」
木の上を伝い――逃げた。
ぶち壊すだけぶち壊して――逃げやがった。
-
>>638
「許さん…… 許さんぞゴミ虫が………!!」
「ジワジワと締め上げ………! 生まれてきたことさえ後悔させてくれる!」
てなかんじにFO
-
<王都近くの草原>
「……ふむ、今宵は少々、月が歪んでいる、でござる。」
【黒髪の青年が草原にある岩に腰掛けながら月を見上げて。
上は和服、下はズボンというなんとも奇妙な出で立ちである。
加えて、その和服が本来の丈ではなく、腰の辺りまでで仕立ててあるため、なお奇妙。
そして、腰には二本の得物が差してあるのだが、その二本は両者まったく違うものだ。】
-
「――っし、そろそろ帰るとするっすかねー……。」
【と、そんな青年の視界の端に何者かの姿が映る】
【軽装の騎士鎧を身に纏った、つんつん頭の青年だ】
【騎士鎧の肩には、王国の物である刻印】
【そして、遊撃騎士団の所属である事を示す龍の絡んだ剣の刻印がある】
【自主鍛錬中の騎士、だろうか?】
-
「……実に不穏でござるな。
今宵は早々ながらに、退散しよう、でござる。」
【腰掛けていた岩場から降りて、服を正し始める。
そして、それを終えると思うところがあったのか、再び、月を見上げた。】
-
>>641
「……おやおや。」
【そうして月から視線を戻し、帰ろうとするところでその騎士姿が目に入った。
すると、困ったような笑みを口元に浮かべて、肩をすくめた。】
-
「…………気のせいだった、でござるかな。
いやはや、月に化かされてしまったかな。」
【森のほうへと視線をやり、少し目を凝らした後、小さくため息を吐いた。】
-
//20分たっても反応ないので、お先に失礼しますね。
-
「…………。」
(えっと……待ち合わせの時間は……)
王都の噴水前の広場、ベンチに座って佇んでいる少女がいる。
白神のロングヘアー、水色のワンピース、近づけばわずかにジャスミンの香りがする。
彼女の名前はアンナ・ヴィクトロヴナ・ロマノフ、今日はとある友人の誕生日を祝うために家に招待して、その待ち合わせをしている様子である……。
-
「……お待たせアンナ。」
やってきたのは、赤い髪の魔法使いの青年。
今日は自身の誕生日…例年なら友人と酒を飲む程度で過ごしているものの、
今年は特別に祝ってくれる人が居るのである。
…それも、意中の人が、というのだから青年も自然とテンションが上がるものだ。
「…おお…今日はなんかお洒落じゃん。
……ワンピース似合ってるよ…!」
普段は地味な格好のロマノフ故に、今日は一際輝いて見える。
…鼻を擽る香水の香りも、彼女の魅力を一層引き立てている様に感じるのであった。
-
「……フェムト。」
やや、緊張した顔つきでフェムトを見て
なにせ今日はフェムトとの関係が大きく動く筈なのだから。
……その関係は偽りのものであるが
「えっと……いつも服装が地味だからって友達に服屋に連れて行かされて……。
……僕にピッタリだってこれを選んでくれたんだけど、気に入ってもらえてよかった……。」
安心したように息を吐いて
……少女としては、新しい服があってもそれがフェムトが気に入るかがわからないのでいつもの服で行くかと悩んでいたのである。
-
>>648
「……へぇー、良い友達じゃないの。
この涼しげかつ儚げな感じが中々……!」
少女のやけに緊張した様子には気付かず、いつもの調子の青年。
…今日のために普段よりも気合の入った服装にしてきてくれた事が嬉しかったりするのであった。
-
>>649
「……うん、それならその子にもお礼を言わないと……。」
ガチガチになっているわけではないが、やや体が縮こまっている様子である
布から行うこと絵の緊張と、手放しで褒められていることへの照れが混じっている様子。
「えっと……フランツがいないからあまり準備は整ってないんだけど……家に来る?」
誕生日は自分の住んでいる家で行う予定のはずだ。
ベンチから立ち上がってフェムトに歩み寄りながらそう言って
-
青年も、大方服装に対する感想で照れているのだろう、
と、縮こまった様子の少女の事をそれほど気にはしていない様である。
(……アンナの部屋…よっしゃぁ……!!)
少女の部屋に行くのはこれで二回目。
前は、少女の誕生日だった…が、その時は彼女の執事も居たので、どうにも落ち着かなかった。
が、今日はどうやら二人っきり…青年のテンションが上がるのも仕方無い。
「……そうだね、それじゃ行くとしましょうか…!」
少女の部屋に向かって歩み始める。
その際、近寄ってきた少女の手を握ろうと…。
……これくらいはしたことはあったが、
以前中途半端に告白して以降はなんとなく遠慮がちであったが…。
-
>>651
(……フェムトの誕生日に自分の家に連れ込むなんて、フランツが聞いたら絶対に来るよね……。
あんまりフェムトの事良い風に思ってないし……)
この前の会話からして、フェムトとフランツの相性があまりよくなかったことを悟った少女。
今回はふたりきりになるように今回のことは家族には伝えていない。
「……はふっ!」
そうやって話しながら歩いている途中で、手と手が軽く触れただけで驚いたように声を漏らし
「あ、な、なんでもないから!気にしないで!」
そうやって自分の手とフェムトの手を交互に見ながら慌てて弁明している。
……少し、そういうことに対して過敏になっているようにも見える
-
「……あははは……こういうの、恥ずかしい……?」
(……初心な感じの反応……可愛いなぁ……。
…でも、前はこういうのに割りと無頓着だったけどなぁ……。)
少女の反応の変化を感じつつも、
青年も少々気恥ずかしいので少し顔を赤らめながら行くのであった。
-
「……だってこういうのって、恋人がすることなんでしょ……。
僕たちは…………そういう関係じゃないんだから。」
まだ、と言う言葉を飲み込んで恥ずかしそうにそう言って
手を繋がずに隣に並んで歩いて行く……。
「……えーと、ここだね。前みたいにフランツはいないと思うけど……。」
そうこう歩いているうちに例のボロアパートにたどり着く。
とりあえず家の中に入ろうと一番奥の部屋に向かっていく
-
「…ま、まぁ、そうかもね……!?
……ほら、それでも、こういうのにオープンな国ではそんなに珍しくないって…!」
とかなんとか言い訳しつつも、そのまま並んで少女の部屋へ。
「……とか言って、たまたま様子を見にきてたり…なんて事はないよね?」
もしこんな所を執事に見られたら、今度は生きて帰れないのでは…
などと思いながらも、少女の後について部屋へと入っていく。
-
「……フェムト、考えてることが駄々漏れだよ……。」
なんだかんだ言っているが葉は手を繋ぎたいだけであろうフェムトを呆れたように見て
「僕が誕生日だからここに来たわけであって、普段からすごく忙しいから、用事がないのに来ることはない……筈。」
そう言いながらドアを開ければ、目の前に青い鎧が……なんてことはなく、普通にこの前見たような機能美を追求したかのような地味な部屋がある。
……その光景を見て少女自身も安心している様に見えるのは気のせいではない。
-
「……うっ……あはは……まぁ、そうですよ。
…手繋ぎたいんですよ、ただ単に……!」
しかし、呆れられてもなんだかんだで手を繋いでくれるロマノフは、
やっぱりノリが言いというかなんというか。
「……お邪魔しまーす……うん、やっぱ居ないよね。」
少々緊張した面持ちで少女の部屋に入るが、
やはり誰もいない様で、ほっと胸を撫で下ろす。
-
「…………。」
その読みは実際正しかったようで、ゆっくりとだが手を繋いで来る。
指の先端あたりを弱い力でそっとつなぐ程度だが。
「……そういえばフェムトは夜ご飯食べた?
僕は料理できないから、飲み物とケーキくらいしか用意してないんだけど」
部屋に誰も居ないことを確認してからフェムトにそう尋ねる。
……夜食が必要でない限りは問題ないはずだ。
-
「………!
……あははは……ありがと……。」
少女の方から手を繋いでくるとは…。
今年の誕生日は青年にとって最高の日となりそうであった。
「うん、俺はケーキあれば大丈夫だよ。
いやぁ、悪いねぇ、わざわざ用意して貰っちゃって…!」
思えば、前の少女の誕生日といいご馳走になってばっかだった。
…今度、何か菓子でも作ってプレゼントでもしてみようか、などと思うのであった。
-
「それじゃあ、用意してくるよ。
…あまりいいケーキじゃないから、フェムトの口にあうかはわからないけど……。」
そう言いながら台所に向かって行く。
「飲み物は牛乳とオレンジジュース、どっちかいい?
……紅茶は美味しく入れられる自信がないから今回はダメ………。」
そして台所からそんな声が聞こえてくる。
飲み物のバリエーションはあまり多くないっぽい様子
-
「…いやぁ、アンナが用意してくれるものならなんだっておkだぜ…!
…でも、飲み物はやっぱお茶がいいかなぁ。
ティーポットと茶葉があれば、俺が淹れるよ…?
……あの執事さんほど美味しくは淹れれないけどさ。」
-
「……僕がケーキを作ったわけじゃないのに……」
不思議そうにフェムトを見て
(いい生まれだろうから、誕生日ならもっと良いケーキも口にしてるんだろうけどなぁ……)
「フェムトが入れてくれるなら、僕が紅茶を入れるよりも良いよね……。
……ティーポットはここにあって、お茶っ葉はフランツがあそこに置いたはずだから…。」
お誕生日の人に仕事をさせるのはどうかとも考えたが、自分がお茶を入れてフェムトに迷惑をかけるよりはそちらのほうがいいかと妥協する。
指さした方向には紙袋があり、その中には回数ごとに袋分けされたお茶っ葉の袋が何個もある。
その袋にはそれぞれ『ダージリン』やら『バニラフレーバー』やら書いてあって、しかもその種類がやけに多い。
これなら一人暮らしでもお茶っ葉が湿気ってしまうこともないだろうが、お茶を入れられない少女には不要のシロモノである以上に量が多すぎる……
-
「…いやぁ、それでもアンナが選んで買ってきてくれたんだしさ…!
……さてと、それじゃ紅茶は任せておくれ。」
と、言って自分も立ち上がってキッチンへ。
湯を沸かすと、茶葉の袋を選び始める。
(…バニラフレーバー…?へぇ、いっぱい茶葉があるんだな。
……そうだなぁ…それじゃ、俺の好みで……。)
色々と珍しいフレーバーが見当たるが、結局青年の好みで、
シンプルにアールグレイを淹れる事に。
「でもこれ、一杯揃ってるけど自分では淹れないの?
……なんかもったいないなぁ。」
-
「………そんなものなのかなぁ……。」
フェムトが厨房に入るとそそくさとケーキが入った箱を持って台所から去る。
「……紅茶入れるの、いつも失敗してる。」
一応トライはしたみたいである。
「……僕が紅茶を入れるとうまく時間を調節できなくて美味しくできない……。」
-
「…そうなのかぁ。
でも、せっかくこんなに一杯あるのにな。
……しかも、結構質が良さそう……。」
ティーポットに茶葉をいれ、沸いたお湯を注ぎいれる。
鼻を擽るアールグレイの香りは、とても上質そうなものである。
…あの執事が用意したのだとしたら、きっと良い茶葉を置いてあるのだろう。
-
「……僕ももったいなから美味しくできるように練習してるけどあまり数が減らない……。
もし良かったら何個か持って行ってもいいよ。練習なのにそんないいお茶っ葉使うのは本末転倒だから……。」
テーブルに予めカットされているタイプのケーキをテーブルに並べつつ
そのケーキは、生クリームがスポンケーキに塗られていて、イチゴが上に乗っかっている。俗にいうショートケーキだ
そこまで上等、というものではないが安っぽい感じはあまりしない。
あの鎧執事が自分の使える人物の娘の家に粗悪品を置いていくなどありえるのだろうか、いやない。
ある程度雑に紅茶を入れても美味しくはできるであろう。
それ以上のモノにするのが腕の見せ所であるが。
-
「……んー、なんかコツでも教えてあげれればいいんだけどね。
…でも、俺も人に教えられるほどうまいわけでもないしなぁ。
あの執事さんに教わったらどう……?」
と、言いながら、ティーカップ二つに紅茶を注いでいく。
アールグレイの芳しい香りが辺りに漂う…。
青年はこう見えて料理とかは得意である。
鎧執事ほどではないが、そこそこの紅茶が淹れられた様ではある。
-
「フランツは教えてくれなかった。これが私の仕事ですから、だって……。」
どこか残念そうにそう言っている。
「………いい匂い。」
前にも紅茶を飲んだことがあるが、フランツ程ではないにしろ美味しかった覚えがある。
それがわかっているからか、どこか嬉しそうな表情で
-
「…じゃ、簡単でいいなら、今度俺が教えたり……。」
(……そのためにまたアンナの部屋に行ったりしちゃったり……)
色々とよこしまな考えが混じる青年なのであった。
「…んー、気に入って貰えた様でなにより。
……俺もケーキ、いただきます…!」
紅茶を嗜むと共に、ショートケーキも一口。
口の中にクリームの甘さとイチゴの甘酸っぱさが広がる。
-
「…本当に!約束だからね……!
僕だっておいしい紅茶入れたいんだから……!」
彼の邪な考えなど関係ないと言わんばかりに食いついてくる
「…あむ……ん………おいひぃ…」
まぁ一流のものではないにしろ、素材も腕も悪くなく十分に美味しいとも思えるようなケーキである。
そのケーキを幸せそうにショートケーキを一口、その後に紅茶を飲んだりとしています。
-
「…う、うん。うまく教えられるかどうかはわかんないけどね?」
思いのほかいい食いつき……。
また少女の部屋に来れそうで、少々テンションが上がるのであった。
「……うーん、美味しいケーキだねこれ。
結構いいやつ買って来てくれたの…?」
(……甘味を幸せそうに頬張るアンナ…これまた良いモノですなぁ……。)
-
「それじゃあ、また酒場で会った時に教えてくれると……」
……が、少女の方はそんなことは思っていなかった様子。
「そりゃあ、こういう時に安っぽいケーキを出すわけには……
あ、そうだ、プレゼント……!」
そこでようやくプレゼントのことを思い出し、慌ててバックの中をあさり、白く薄い箱を取り出す。
それには申し訳程度に赤いリボンでラッピングされている。
「えっと……お誕生日おめでとう!
これ、僕からのプレゼント!」
と、祝いの言葉とともにその箱をフェムトに手渡して
-
「あ、うん、酒場でね。おk、酒場でまた、ね。アハハハ。」
…若干アテが外れてしまった…。
が、まぁいいか、と思う青年であった。
「…おぉ、ありがとう…!
……これが、例の俺の血を使ったってやつかぁ…あけてもいい?」
嬉しそうに箱を受け取り、早速開けてみようと…。
「……そういえば…あれから無理はしてないだろうね?これ作るのに…。」
以前あったときは、少女は寝不足でふらふらだった。
…ひとまず、今は元気そうな様子ではあるが…。
-
「……えーと、どうぞ。
気に入ればいいんだけど……」
なんとも気恥ずかしそうな様子でそう言って
箱を開けるとトランプより一回り小さいくらいの赤黒いが先が見えるくらいには透けている板状の物体の先端に穴が開いており、そこにチェーンが結ばれているペンダントが入っている
そしてこの板の中にはなにやら魔法陣らしきものが見える。
「それは、一応護符をして使えるようにしてあるんだけど……。
術者本人の魔力を予め貯めておいて、いざというときに障壁を作るようにできてる……」
「基本的に身につけておけば一週間しないうちに使えるようにはなってるはず。
……障壁が発動するトリガーはこれが壊れることだから使えるのは一度きりだけど……。」
そう、淡々と自作のアクセサリーというより魔法道具の説明をしている。
「……寝る時間多くしたから大丈夫……。」
寝る時間を多くしたのはフェムトに注意された時ではなく別の人間に甘言を言われた時であるのは秘密である。
-
「……へぇー…これがねぇ。
…障壁かぁ。これで急にぽっくり、なんて事はなくなるな、ははは。」
しげしげと、独特な透明感の赤黒いアクセサリーを見つめる。
…不思議な魔力が込められているのが、そこはかとなく感じられる。
「ありがとう、アンナ。大切にするよ。
…壊しちゃうのは勿体無いしな、これの世話にならないように身体は大切にしないとな。」
そういうと、さっそくペンダントを首からかける。
せっかく意中の人から貰ったプレゼントである。
なるべくなら、その秘められた力は使わないに越したことはない。
「…ん、それなら良かった。
今後もあんまり夜更かししすぎたりしちゃダメだよ…?」
-
「うん、それで万が一ということはなくなるかもしれないけど、限度はあるよ……。
後ろから刺されたりとか、そのアクセサリー以外に当たったらそれも意味ないんだから……!」
「それに、それくらいなら時間があればいくらでも作れるんだから、もったいぶって傷ついたりしないでよね……!」
心配した様子でそう言う。
フェムトのことを本気で親お会いしてこういうのを作った様子である。
「……えーと、フェムト。
そのね、考えたんだけど……そんな、普通の友人にあそこまで必死にやる必要はなかったと思ってね……。」
「なんであそこまで頑張ったのか、考えたんだ……。」
そして、神妙な様子で
今回の誕生日をここにしたのは誰にも聞かれないようにするため。
ただそういう結果だけがあったのだと周囲に知ってもらうためにここで、カイサから提案された話を切り出そうと
-
「…えー、それじゃまた作って貰ってコレクションするし…!
……毎年増やしていくし……!
…でも、そんだけ俺の事心配してくれるんだなー、俺嬉しいなー。」
自分の事を気遣ってくれる少女に、素直に嬉しく感じる青年なのであった。
「………え?あ……う、うん…。」
急に神妙な面持ちになる少女。
…きょとんとしながら、少女の言葉に耳を傾ける。
-
//…いいところですが、流石にそろそろ落ちねば……
……また後日続きでもいいでしょうか…!?
-
「……フェムトの体を考えるとあんまり無理をさせることはできないから……
それに、そんなのコレクションしても面白く無いと思うけど……」
「…………。」
これから自分が言おうとしている言葉の意味を確認しつつ、深呼吸を数回行った後
「……その……フェムトの事をほんとうに大事に思ってるんだな………ってのがわかって……
………フェムトが今でも好きでいてくれてるなら…前に言ってた告白の話、受けようと思ったんだけど…………どうかな?」
と、旗から見れば告白とも取れる、と言うより告白としか取れないセリフをフェムトに向かって言い
……大事な人であるのは事実なのだが、それと好きであるということは別の感情である。
だが、カイサが言っていた自体になるのが本当に怖い、あってほしくない、フェムトを奪われたくない、その一心がこの行動を起こさせたのだ。
偽りの気持ちの告白を。
本心も交えているし、言っていることの恥ずかしさも相まって顔が赤く染まっているあたり、これを嘘と見抜くのは難しいはずだ。
-
【了解です……!】
-
「…………。」
無言で少女の言葉に耳を傾ける。
顔を赤らめて言葉を紡ぐ少女に、
これはもしかすると……と、高まる期待に半信半疑。
「……え、え……つまり、それって……
……い、いいの……!!?」
例えその真意が偽りのモノだったとしても、青年にはそこまで察する事はできず。
少女が正式に告白を受けてくれて、ただただ舞い上がるのであった。
-
「……ええっと………もう一度言ったほうがいい?僕の気持ち。
その……恥ずかしいんだけど………。」
ぷい、と赤々と染まっている顔を逸らして
自分も何を言っているかをわかっているので、気恥ずかしいのだ。、
「フェムトも……他の女の子に気が移っちゃったとか、そういうことないよね………?
僕は、やっぱり魅力的に思えなかったとか……」
自分が告白した、一番の懸念事項をフェムトに聞き出そうと。
-
「い、いや、大丈夫!
あ、でももう一回聞きたいかも……じゃなくて!
…アンナの気持ち、伝わりましたです、はい……!」
こちらも、なんとなく気恥ずかしくなってきて顔を赤らめてわたわたと。
「そ、そんな事はないって!
俺はあの日から変わらず、アンナの事が好きです……!」
と、自身の気持ちを改めて伝える。
顔を赤らめながらじっと真っ直ぐロマノフを見つめるその瞳からは、
その気持ちに偽りは無い事が伝わってくる。
-
「……よかった、さすがにもう一度言うのは無理だったんだ……。」
安心した様子で胸に手をついて息を吐く。
……手先がフルフルと震えている、よほど緊張していたのか。
「………そ、その、そこまで真っ直ぐに思いを伝えられると恥ずかしい……。」
フェムトの真っ直ぐな瞳を見つめることができないのは照れからか、それとも……
-
「……あはは……いやぁ……俺、すごく嬉しいよ……!」
目を逸らすロマノフを、完全に恥ずかしがっているからだと解釈。
……そんな少女の事が、改めて可愛らしく思えてくるのであった。
少女の真意はともかくとして。
「…えーと、それじゃ、改めて……。
……あの、その……
…お、俺と……付き合って下さい……!」
流石に青年もこのセリフを言うのは気恥ずかしい。
つっかえつっかえながらも、少女を真っ直ぐ見てなんとか伝える。
-
「えー……うん。答えないと駄目だよね?
……なんて言うかはもうわかってるよね………。」
手を後ろに回して俯きつつフェムトにそう言って。
ただ、自分でもそれは良くないとわかっているので、観念した様子で数度深呼吸して
「……えーと……不束者ですが、よ、よろしくお願いします……!」
と、頭を下げつつフェムトの思いに総言葉を返す
恥ずかしさのあまり、声が上擦っているが。
-
「……こ、こちらこそ、よろしくです……!」
嬉しいやら気恥ずかしいやらで変なテンションになりつつも、ぺこりと頭を下げる。
(……つ……ついにアンナと両思い……!!!)
…とかなんとか舞い上がっている青年だが……
少女の真意は、それとは少し違う様であるが、無論今の青年はそんな事は気付かない。
-
「……………。」
(………ど、どうしよう……何を話せばいいんだろう……!)
晴れて恋人(?)になれたはいいが、この空気で何をすればいいのか、何を喋るべきかがわからず、硬直している。
なにせ初めてのことばかりなのである、告白したことも、恋人ができたこともだ。
-
「……え、えーっと……
あはは、そうは言ってもこれからどうすりゃいいんだろね?」
恋人同士の関係になったとは言えどうすれば…
というのは、青年の方も同じ様である。
「……結局はいつも通り、って事になりそうだなぁ。
…でも、せっかく恋人なんだから、デートとか色々行きたいね…!」
-
「デート………二人きりで出かけるんだよね……。
それって、こうなる前からもやってたような………。お花見の時も……。」
二人での交友を深めることには賛同するも、今までの関係とあまり変化が内容にも思えてしまう。
……恋人だったらフェムトは僕以外の女の子に奪われないとも思えるわけであって。
「……あんまり、恋人になったような実感が無いね………」
-
「……うーん確かに……
思えばあれも、デートと言ってしまっても過言では無いですよね……。」
(…あれ…!?付き合うってどういう事か良くわかんなくなってきたぞ…!?)
彼女ができたらしたいアレコレ…
彼女が出来る前は、山ほどあったはずだけど、いざ出来たとなるとどうしたものやら。
「……じゃ、じゃぁ……こういうことくらいなら、しても良いかな……?」
と、言って少女の傍らへと距離を詰める……。
-
「……フェムトは、恋人になったらすること、他にあるかわかる?
僕は、調べたこともないから全然わからない……。」
恋人になったら前よりも親しいことをして、キスをして、結婚する。
それくらいの初々しい知識しか持っていないのだ。
「えーと……フェムト……?」
距離を詰めてくるフェムトを怯えた様子で見上げる。
-
「……えーっと……
まぁ、デートしたりとか……。
……あとは…同棲とかあこがれるけど!!
流石にそういうのはもうちょっと順序を踏んでからの方がいいよね……。」
(……他にもあんな事とかこんな事とかしたいですよ、ええ!!)
桃色の妄想はどうしたって思い浮かべてしまうのがサガ。
……だけど、流石に口にしたらドン引きどころではないだろう。
付き合ったばかりでふられるというのも悲しすぎる。
「……あ、あとは……やっぱり、キスとかしてみたいです……!」
恋人とはいえ、まだそういうのは早いだろうか…?
などと不安ではあるものの、率直に要求してみる。
-
「同棲って乾坤と同時に行うんじゃないの……?
さすがに、気が早すぎると思うけど……。」
実感が湧いていないのか、あまり恥ずかしそうにはしていない。
無論、彼のももいろの想像など、知るすべもない。
「キ、キス……!?
ぼ、僕たちはまだ付き合ったばっかりだし、そういうのはまだ早いよ!」
その言葉を聞いただけでわたわた慌てふためく。
-
「…いやぁ、結婚前にしてるカップルも大勢いると思う。
……ほら、結婚する前にお互いの事とか色々知っておきたかったりするんじゃない…?」
下宿している学生なんかは、そういう事もしばしば…
しかし良いとこ育ちのお嬢様には、あまりイメージしにくいかもしれない。
(…や、やっぱダメか……!
…いやしかし…ここで引いては男がすたる……!)
勢いに乗じて、少々強気に出てみることに…。
「……キスくらいなら、別に早くは無い…と思う……!
……それに…キスくらいしないと、今までとさほど変わんないし……さ?」
-
「……そんなことしなくても色々分かり合えるとも思うんだけどなぁ……。」
フェムトの話を聞いて不思議そうにしている少女。
もともと世間知らずなことに加え、色々とオープンな性格のフェムトと一緒ではそういうことがわからないのだろう。
「……むむ………それはそうだね……。でも恥ずかしい……。」
フェムトからのキスの提案。恥ずかしくて恥ずかしくて頭がおかしくなってしまいそうになる。
このまま押し切られそうになった時、ロマノフが名案をひらめく!
「……だ、だったら、だったら僕がやるよ!!
そ、それじゃあ、目を瞑ってちょっとしゃがんでくれる……?」
とフェムトにお願いしだし
-
「……そ生みえても、色々と見えない面があったりするそうですよ…?
……その……男女間では、特に……。」
「………え、えええ……!?
……アンナ自らですと……!!?」
青年にとっては、思っても見なかった大胆な申し出。
もちろん断る理由など微塵も無い。
「…わ、分かった……。」
少女に言われるまま、目を瞑ってその場に片膝をついてしゃがむ格好に…。
-
「……僕とフェムトの間でも?
……何か隠し事でもしてるの……?」
不思議そうに首を傾げて
…ただしブーメラン発言だが
「ええっと……それじゃあ……失礼します……。」
と言ってしゃがんだフェムトの頬を両手で軽く支えて
自分のやろうとしていることに顔を赤らめながらも覚悟を決めて顔を近づけていき……
フェムトの額に軽く何かが触れた感触がした。
-
>>698
「いやー、俺は何にも無いよ……?
見ての通り隠し事はヘタな性分だし……。
……でも、一緒に暮らしてるとまた色々見えてくる事もあるかもねぇ…。」
「……う、うん……!」
(…うおっしゃああああファーストキスだぁあああ!!!)
来るその瞬間を、壊れそうなテンションをなんとか抑えながら待つ…。
「………っ!!
…………!!?」
意外!それは額……!
-
>>699
「……ずっと一緒にいるとまた別の一面が見えてくるってこと………?
でも、結婚するって決まってないとフランツが怒ると思うけど……。」
自分の執事がけしからん、とフェムトに対して激怒しているのを想像しながら
フランツには感謝している反面、ちょっとフェムトに対して過敏なんじゃないかと思っているフシがあるのだ。
「えっと……どう?」
……フェムトが言っているキスと、このキスは別であるとは知っているが、それをわかった上での額へのキスである。
(しちゃった……フェムトに、額でもキスしちゃった……!!
でも、恋人だったらこれくらいはするのかな……?)
それでも、頭のなかはゴッチャゴチャになっているのだが
-
>>700
「……た、確かに……
というか、あの人結婚とか、そもそも俺達の交際とかも認めてくれなさそう…。」
いずれは、超えなければいけない障壁の様だ…。
「……えっと…さ、最高です……!」
(…まぁ、付き合って初日だしね。)
本当は、マウストゥーマウスでしたかったのであるが、
しかしそれでも青年にとっては最高の体験である事には違いなかった。
まだ額に残るみずみずしい感触に、頭が溶けそうである。
-
>>701
「………とりあえずは家族に秘密にしておくね……。」
今家族に伝えても怒り狂ったフランツが飛んでくるだけだろう
と言ってもいつ伝えるべきなのか、彼女自身にもわかっていないのだが
「……そ、そこまでストレートに言われると……」
キスをしてしまい、最高だと言われてもう顔が真っ赤に染まっている
-
「うーん、今はそうしておこうか…でもいつかは言わないとなぁ…。
…あー……うちの親父とかも、どういう反応するんだろう…?」
いろいろと、課題は山積みなのであった。
(…えぇ最高でした。
最高でした…けどね……!?)
恋人同士となった事を証明するには、いま一つなのは確か。
……それに、この程度では今までの関係からなんとなく脱却できない気がする…
そう感じた青年は、おもむろに少女の両肩に手を置いて……。
「……今度は、俺がする……良い?」
その顔をじっと見据えながら、少女に聞く。
-
「………恋人ができたら喜ぶと思うけど……。」
そんなに厳しいのかなと疑問に思っている。
自分の父は絶対に喜ぶだろうなぁと思っているあたりなおさら。
「え……あ……その………フェムトが僕にするの…!?」
両肩に置かれた手、フェムトの顔と視線がせわしなく動いていて、
顔は真っ赤に染まり弱々しい力でフェムトの腕を掴み
キスをしていいか、悪いかという質問に返す様子はない、無言の肯定と受け止めるか距離と受け取るか。
-
「………う、うん。俺が、します…!」
…拒否されるかも……
しかし、もとより少女の答えは聞くつもりは無かったのである。
…少々強引くらいな押しも、たまには必要なんじゃなかろうか、と思う青年なのであった。
「……あ、アンナ……目、閉じて…?」
そういった後に自身も目を閉じると、ゆっくりと顔を少女へと近づけて行く…。
-
「ひゃ……ま、まって………!」
軽く体をのけぞらせる程度の抵抗はするが、それでも限度はある。
漢検したのか目をきゅっと瞑り、キスされるのを待つ……。
-
「………んっ……」
二人の顔が次第に近づいていき…二人の唇が触れ合う。
…そのまま、長いような短い様な時間が流れ……
「……ふぅ………
…………あー、っと……その……ご馳走様でした。」
顔を話すと、顔を真っ赤にして気恥ずかしそうにぽつりと呟く。
内心頭は真っ白でもう何を考えているのかよくわかんないのであった。
…女性にそれほど慣れていない余裕の無さがもうバレバレである。
-
「……はふっ…………。」
唇同士が触れ合う瞬間、息を漏らして
ただ何をするわけでもなく唇が離れるまでじっとしていた後
「………………。」
キスの後に何を言うわけでもなく、呆然としている。
ただ顔は真っ赤にして目が渦巻きを巻いているのだが。
余裕が無いのはこちらも同様のようだ。
-
「………はぁ……可愛いなぁ、ほんと……。」
顔を赤くして目を回す少女が、改めて愛おしく感じられる様な気がする…。
両肩に置いた手を少女の背に回すと、少女の身体を軽く抱きしめる。
(……さ、流石に調子乗りすぎか俺……!?)
やりすぎだろうか…と葛藤するものの、
少女の身体をより近く感じて、純粋に幸せを感じるのであった。
-
「……んみゅ!?フェ、フェムト……!?」
何も考えることができていなかった頭でも抱きしめられればさすがに頭も回り出すようで、そう素っ頓狂な声を上げて
抱きしめればしっかりとした体つきと、女の子特有の柔らかさ(どこがと言われればお察しとしか言いようがない)そして思ったよりも小さい体格を感じられるだろう。
「……恥ずかしいよ………。」
抱きしめられた状態で恥ずかしそうにしながらもフェムトを見上げる。
特に抵抗しようとはしていない
-
「……いやぁ、正直俺も恥ずかしい……ははは……。」
見上げる少女の顔を見つめながらはにかむ青年。
細身のやや頼りない身体が少女と密着…。
…色々と柔らかいものが感じられるのだが、
やらしい気分というよりは、幸福感が満たされて行くのであった。
-
「恥ずかしくて頭が真っ白になって、なんにも考えられなくなって……。
それでも、胸の中が暖かくなるような心地いい感じがする……。」
抱きしめられて初めて感じる感覚をかんじながらもそれをフェムトに伝えて
「……フェムトってこんなにも温かいんだね………。」
ゆっくりと、手を伸ばしてフェムトを弱い力で抱きしめ返す
-
「……んー、アンナも温かい。」
(…あと柔らかいです、はい…。)
か弱く抱きしめ返され、しばらくそのまま二人寄り添う形に…。
「……はは……。
…なにはともあれ…改めて、これからよろしくね、アンナ。」
いつまでもこうしていたいものだが、流石にちょっと気恥ずかしい。
背中に回した手を引っ込めて、一旦離れる。
//そしてそろそろ限界の様です…!一旦中断かそれともこの辺りで終了か…
…いずれにせよ、ここで落ちるです……ありがとうじゃいましたー!
-
「えーと、これからもよろしく、フェムト……。」
そう、フェムトの
フェムトが離れた時、一瞬だけ寂しそうな顔をしたのは気のせいだろうか……。
元々はフェムトが他の人間に奪われないようにするための告白であったが、勢いに流されるまま色々やってしまった。
なのに、この胸にある温かみは何なのだろうか、少女にはそれがわからなかった。
その後、大きな進展もなく、フェムトの最高の1日は幕を閉じた様子である……。
FO
【週末来れないようですのでここらで終了とさせて頂きます。相手していただきありがとうございました!】
-
-あらすじ-
幽霊と魔女と老人がパーティメンバーとなって森を行く格闘青年。
どうなることやら…
-
(よくよく考えたらすごいメンツだなこれ……。)
そんなくだらない事を考えながら歩いて行く。
「………そういえば、ジグザルザーをどうやって探すんだ?
もしかしたら、心臓があるから優先してこっちに来るかもしれないが……。」
-
>>716
ベル「そうね、まあ歩くしかないんじゃない?」
オパ「じゃろうな、捜査の基本は足じゃし」
考えているんだか考えていないんだかの二人。
因みにヴェルクは魔石に引っ込んだままである。
-
「そんなもんか。であるのがジグザルザーならいいんだけどなぁ……。」
ジグザルザー以外の侵負が来ないことを祈りながら森を歩いて行く。
(……食事に誘えるような雰囲気じゃねぇしなぁ………どうしよう。)
内心、違う方向で焦ってもいるのだが。
-
>>718
てくてくてく…と歩く事数分。
周囲の気配が変わった。
ベル「来たわね」
オパ「の、ようじゃが…なんぞ気配は一つではないようじゃ」
-
「………あー、もしかしたらコレ、外れ引いたか?
アレに複数行動できるような自我があるとは思えないが……。」
嫌な予感よ感じつつ、あたりを見渡して不意打ちに備える。
-
>>720
ベル「当たりも一緒に引いたわよ余計なのが矢鱈多いけど」
ゾロゾロと一対の翼とゴムの様な質感の黒い肌を持つ顔のない異形のヒトガタを引き連れて、
ジグザルザーが現れる。
オパ「怪人と戦闘員…てなとこかいの」
-
「えーと、空飛べる奴ばっかだな。おまけにそれを捌きながらシグザルザーともやると。
……まーじで?」
あれほどに苦戦したヒトガタが複数でやってくるのを見て半分ほど絶望している様子。
(とりあえず準備だ………魔力を……JDみたいにまとわせて……うまく行かねぇ!)
戦闘準備のためにJDがやっていたように両腕にまとわせようとしているがうまく行かなくて焦っている。
そもそも見よう見まねでうまくいくわけがない。
-
>>722
オパ「さて、どうしたもんかいの…とりあえず跳ねて殴っていくしかないかい!」
ベル「ジグザルザーは対抗策ありのヒトにまかせようかしらねえ?雑魚を捌くくらいはできるし」
構える老人と魔女。
それを合図に異形等が飛びかかってくる!!
-
「ちょ……ま!タイム!」
飛びかかってくる侵負の攻撃自体は的確に避けているのだが、肝心の対抗策がうまくいっていない様子。
(これ纏わせてぶん殴ったらうまくいく……はずだよな!ダメだったらそんときはそん時だよ畜生!)
魔力を纏うイメージをしているのだが、結果としては魔力を外に放出してもまとうことができずに拡散させている様子である。
それがさらなる焦りとして悪循環を起こしている
(そもそも纏うってなんだよ!手につけたのなんて精々バンテージくらいなのによぉ!
ボクシングの練習だってグローブつけ無いでやったし!)
-
>>724
ベル「っと!」
オパ「ふんぬ!!」
障壁と拳で異形等を退けるも勿論決定打になっていない二人。
そんな中、ジグザルザーがビートへと迫る!
ジグ「!!」
先ずは先制の左フックである!
-
(……うわ、どうしよう。これじゃあ勝ち目ねぇじゃん……!
って、やば……!)
魔力をまとわせるように意識していたところにジグザルザーが強襲してくる!
幸運にも頭部を狙ったものであったため目につきやすく、頭を下げることができた。
追撃を防ぐために一旦バックステップで距離をとり
「スマン、コイツと付きっきりになっても勝てるかわからない!
だから、他の連中相手にしてる余裕ないから手を出させないでくれよ!」
と、二人に大声で伝えて魔力を手に纏わせようと躍起になっている。
(とりあえず避けに専念すれば大怪我はしないはずだ……。だからまずは魔力を纏わせないと……!)
-
>>726
ジグ「!!」
今度は軽やかな跳躍と共に繰り出される左右二連の蹴りである。
その一撃一撃は鋭く何より汚れがふんだんに纏わりついている。
-
近接戦につきやってやる義理もなく、タイミングを合わせて後ろっ飛びして避ける。
(……だぁ!邪魔すんなよ、お前の体なんか嫌なのかモヤモヤしててな……ってあれ。
あんな感じで……いや、どんなイメージか分からないしあんなに広範囲にモヤモヤさせたらすぐに疲れるしなぁ……。)
ジグザルザーの汚れに着目するも具体的なイメージが湧いていない様子。
おまけに実際にあんなふうにやったらすぐに魔力切れするであろうと直感で感じ取り
(俺だったらもっと魔力を放出する範囲を狭めて長期戦にも対応できるようにして……)
と、避けに専念しながらも自分なりに魔力の展開の仕方のイメージを自然とまとめあげていく
-
>>728
とんではねてジグザルザーが間合いを詰めて右フックやら左フックやらを繰り出す。
動きはやや直線的でひねりがない。
-
(握りこぶしを作って……拳が当たる箇所にだけ展開して………
……場所、場所は………)
ジグザルザーとの距離を一定に保ったまま思考を重ねていく。
握った右手をチタリと見れば、歯車があったかのような音が頭のなかで響く!
(―――バンテージを巻いた箇所!)
ちょうど右手の指の第一関節あたりにのみ魔力が集中して一瞬だけでも纏えたことを確信し
直線的に飛んだりして向かってくるジグザルザーに向かってカウンター気味に体制を低くして手を一気に前につき出す!
正拳突き。格闘一直線で鍛えてきた人間だとわかるほどの綺麗なフォームだ。
-
>>730
ドカン!と大きな音がしてジグザルザーが吹っ飛んだ。
ゴロゴロと転がり地面にたたきつけられる。
ジグ「…」
結構効いたようでフラフラと立ち上がる。
ベル「馬鹿!中身が詰まってんだから叩きのめすんじゃないの!!」
異形をしのぎながら魔女が吠えた。
-
「………ちょっと待ってくれ、この感覚を忘れないようにしないと……!」
魔力を展開した右手をグーパーさせて感触を確認しながらベルにそう言って・
衝撃はあっても痛みはそれほどでもなく、威力は非常に高かった。
そのことを心のなかから実感して喜びを噛み締めている。
……ようは、調子に乗ってきている様子である。
「って、叩くなってんなら無力化しにくいぞ!投げてもまた起き上がるだろうし!」
と、横から聞こえてきたベルの文句に大声でそう返して
まぁ、無視してぶっ倒す気はないが手加減出来る相手でもないことは確かだ。
-
>>732
それをどうにかしないといけないわけで…次回に続く!!
-
ジグ「…」
ゴゴゴ、と周囲の空気を震わせ魔力を高めているらしいジグザルザー。
何かぶっ放してきそうな気配だが…
ベル「って素手格闘ぐらいしかできないんじゃなかったの!?」
オパ「こりゃあれじゃな、相手も成長するってやつかい!」
-
「あー、アリャやばいか……?」
嫌な予感がガンガンするが、事前に潰そうにも加減がわからずに
最悪、障壁魔法が使えるベルに壁になってもらうことも考えに入れて後ずさりして
「ちょっと!アレをどうすりゃいいんだ!?
中身引きずりだろうにもあの鎧のバラしかた知らないぞ!」
と、振り返りながらベルにそう大声で言って
……少しづつベルに接近しているようにも見える。
-
>>735
ベル「強制解除の仕様なんて私が知るわけないでしょうが!」
オパ「つーかそんな便利機能あったかのー?」
いい加減異形達がさばき切れなくなってきた二人。
こりゃ何とかしないと後がない。
ジグ「…、……!!」
高まった魔力が左手に宿る。
投げてきそうである。
-
>>736
「……面倒くせぇ、とりあえず動かなくさせればいいんだろ!!」
追い詰められてきている二人、そして力を溜めているジグザルザー
(避ける………ダメだ。アレの特性もよくわからないから追尾とかされたら避けきれる自身がない。
……俺の魔力で浄化できるかもしれない。だから……真正面から叩き潰す!)
(魔力を集中させて……右腕のストレート……遠心力も意識して……)
深く腰を落として、体を半ひねり、魔力がとにかく右腕に集中しているイメージを固めて
結果として効率は少々悪いが右腕にそこそこの魔力が集まり始める。
真正面から渡り合うつもりだ。今までまともにぶつかり合おうとしていないのにもかかわらず。
それは成長と呼ぶべきなのか、自信過剰というべきなのか。
-
はたしてどうなる…ちょっと早いが今日はここまで
-
ジグ「!!」
打ち放たれる瘴気の魔弾。
威力そこそこ速度そこそこ弾道は一直線。
-
「えーと……だりゃあ!」
ジグザルザーに負けじと自身も魔力の塊を相手にぶつけるイメージで右腕を前に突き出す!
……が、一朝一夕で魔法が使えるわけもなく、右腕からは何も出なかった。
「……あれ……うおっと!」
幸運にも右腕に魔力をまとうことには成功できていたので魔力弾に直撃……という事にはならずに右腕とぶつけ合う形になる。
タイミングが合ってなかった以上、上向きの方向に弾くのが精一杯であった。
その際に大きく体勢を崩しており、大きな隙を晒している、
-
>>740
ところが触れた瘴気はその場で弾けて周囲に負をばら撒く!
侵負が負による魔術的侵食で相手を自身らの僕と変える常套手段であった。
ベル「…そろそろ奥の手を使うしか」
オパ「ん!?」
-
「………あ、これを浄化って結構厳しくないか……!?」
周囲に拡散した負を見て、魔力制御に長けていないビートに浄化は厳しいと感じて
それがヤバい存在であると本能的に察し。
「……あ、奥の手?」
ベルのまさかの発言に思わず振り向いて
-
>>742
ベル「出番よヴェルク!!」
水の魔石を掲げ魔女が吠える。
煌々と魔石が青く輝く。
オパ「ぬぬぬ!?」
青い光が拡散した瘴気を緩やかに浄化しつつ魔女の身を光で包む。
ベル「器体質なめんじゃないわよ!へぇぇぇぇん身!!」
ズガガン、と音と黒煙を撒き散らしその姿が一瞬消える。
突風によって次にその場に現れるのは…
「赤い布帯首に巻き、緋色の手甲左手に、
腰に見えるは緑(黒色)の魔剣、褐色胸甲身に纏い、
漏れ出る青光強者の証し、呼ばれてなくとも即参上、
仮面のヒーロー『ジグ・ザルザー』!!」
全身が青い光によって輝く自称英雄の姿であった。
-
「…………なんだそれ、イカス。」
ベルが変身しだして、それを唖然とした様子で見ながらもぱっと見の感想が口から漏れだし
というより、剣を持ったジグザルザー、敵ならともかく味方としてなら非常に頼りになる存在である。
「ってそっちに気を取られて俺がやられたら世話ないな……」
我に返って、地道に魔力を放出させて拡散した負を少しでも浄化させるように頑張りながら
-
>>744
ジグ「…」
侵負のジグザルザーが構える。
それに応じるようにして青いジグザルザーが構えた。
オパ「ふむ、あの構えは正しくヴェルクの構え方…どーなっとる」
雑魚侵負をいなしながら爺が首をかしげた。
何だかんだで雑魚の数は瘴気と共に減りつつあった。
-
「……とりあえず、雑魚を掃討しておくぞ!
危ないと思ったらすぐに助けを呼んでくれ!」
さすがにああまで立ち会おうとしているのに対抗手段の一つも持っていないということはないだろうと考えて雑魚侵負に殴りかかる!
-
>>746
雑魚は殴られると弾けて瘴気を撒き散らして消えるが今のビートには効き目がない。
周囲の草木や大気は汚染されて酷い事になるけども。
オパ「ちょいさぁっ!!」
独特の動きを繰り出しながら雑魚をふっとばしているのは爺さん。
何気に健闘。
そして描写するのが難しい激しい攻防が本物VS偽物で繰り広げられていた。
-
(ベルは恐らくあの侵負の方から体を取り戻すために頑張ってて、爺さんは普通に戦えてる。
……かく言う俺は魔力もロクに使えずに殴って侵負を拡散させるだけ。)
二人の戦っている光景を見て、役に立っていない自分のことを省みるとこんなことを思ってしまう。
(………あれ、コレ俺いる意味なくね?)
……無常さを感じている暇もないので、とりあえず魔力を右手に纏わせてもう一度殴りにかかる。
…これで先ほどと同じならもういない方がマシというレベルなのだが……
-
>>748
殴ると微量ながら瘴気を浄化できるがマダマダ精進が…
そもそも龍の気は浄化に特化しているわけじゃあない。
本物VS偽物は何か大技同士を繰り出してせめぎ合いの状態となった。
-
「……ああ、ダメだなこれ。」
浄化できると聞いただけで、それに特化しているわけでは知らないビートは『下手に殴るとむしろ危ない』としか思えず
一旦距離をとって下手に被害を拡散させないようにして
そしてジグザルザー同士の戦いに割って入る事もできず。
……大技に巻き込まれたくないのである。
-
>>750
そして疲れる本物偽物、肩で息をしている。
オパ「ぜぃぜぃ、はよう決着付けてもらわんと身が持たんわい」
爺の攻撃では雑魚を退けても倒すまでには至らない。
スタミナ切れ間近である。
-
「……今なら行けるか。漁夫の利だけどまぁいいよな。」
双方ともにバテている様子なのでとりあえず侵負の方のジグザルザーに魔力を纏わせた右腕で跳びかかり、右腕を振り下ろす!
……また侵負が飛び散るかもしれないが先ほど殴った時には拡散してなかったし大丈夫だろう、多分。
-
>>752
ボカン!といい音がして偽物が吹っ飛んで倒れた。
「チャンス!」
本物が駆け出し懐から何かを取り外す。
水の魔石であった。
そうしてそれを偽物へと叩きつけると閃光。
光がおさまると魔女が何時もの姿で突っ立っている。
ベル「…ふぅ、なんとかなったわね」
-
「……えーと、魔石ごと侵負になるってオチはないよな?」
元の姿に戻ったベルを見ながら心配した様子でそう言っている
-
>>754
ベル「そりゃヴェルクの精神力任せね」
ヴェルク「いや、大丈夫っすよ。二度は不覚を取らないっす」
ばぁ、と変身が解けて黒のレザージャケットとフィンガーレスグローブに拘りを見せる茶髪の青年が立ち上がる。
オパ「おお、二代目復活じゃなあ」
ヴェルク「シショー、心配掛けたっす、スンマセン」
ベル「よし、挨拶はいいから雑魚を…」
ヴェルク「雑魚を…」
ベル「無視して逃げる!!」
オパ「じゃな!」
ヴェルク「しかないっすね!!!」
-
「……ありゃま、あっさりと。んで、侵負の方は……」
あっさりと復帰したヴェルクに驚きながらも侵負に対する反応を聞いて納得した様子で
「ああ、逃げるよなやっぱり。俺が殴ったら被害拡散しそうだし。」
とだけ言ってとっとと自分もずらかろうと
……と言っても方向音痴なので誰かについていくつもりだが。
-
>>756
こうして4人は駆け出す。
とりあえず王都の方面に向けて。
どうなる事やら、次回に続く!!
-
<王都近くの草原>
「…………。」
【ずり、ずり、ずり、ずり。ゆっくりと何かが引きずられる音。
それは草を潰し土を削り、地面に跡を残す。
〝それ〟を引きずっているのは金髪の少年である。とぼとぼと覚束ない足取りだ。
引きずっているそれは〝少年の左腕〟である。
異常なまでに長く、肥大化し、黒く染まったそれはまるで鎧に覆われているかのようだ。
その黒色は腕に飽き足らず、体をも侵食しようと、その枝を伸ばしている。
また、その左腕はまるで心臓の如く、脈動を繰り返している。
そして、少年の左肩の辺りには巨大な目玉がへばり付いていた。】
-
【月明かりに照らされた岩の上、一人の男がその頂上から声をかける。】
「よう。・・・どこで間違った?」
【その男の名はエランド・マクゴニグル。
学園に在籍する薬学、医学に精通した男性教諭である。】
「別にどうでもいいけどよ。」
【そう言って懐からタバコを取り出し、自身の魔力にて着火。
異常なまでに肥大化した左腕には特に反応を示していないようだ。】
-
「…………。」
【聞こえているのかいないのか、そのまま腕を引きずる少年。
声をかけられても時折、獣が呻くような声を挙げるだけで、反応を返さない。
腕は規則正しい脈動を繰り返している。
しかし、肩に張り付いた目玉だけは真っ直ぐにそちらを見据えている。】
-
「おうおう、こりゃ大分参っちまってるみたいだなオイ。」
【煙草の煙を吐きながら、男性教諭は呟く。】
「で、その左腕どうした。虫にでも刺されたか?アァ?」
【このような状況であっても半ばふざけたような問いかけはやめない。
しかしながら、この様な態度であるにも関わらず、油断はみえない。】
「フゥー・・・ま、どうにかしねぇとアイツがうるせぇんだよな・・・!?」
【頭をポリポリと掻きながらそう言うと、突然何かに気づいたかの様に反応し、】
「わりぃ。めんどくせーのが来てるみてぇだから、逃げるわ。・・・死ぬなよ。」
【そう言うと、岩の裏側に姿を消す。その直後である。】
ゴロゴロゴロゴロ・・・
空に雷鳴が響き
カッ
ボシュウゥゥゥン!!!
【その岩場と、大体500m程離れた場所に剛雷が落ちたのである。】
【雷が落ちた岩には、既にエランドの姿は無く、そして500m程離れた場所から・・・】
『ヒャアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!』
【全身の皮膚が焼けただれた人型の物体が飛来してきたのである。】
-
「…………っ。」
【その雷鳴に少々、足取りが乱れた。
だが、すぐにまた腕を引きずりながら、歩みを再開する。
目玉はぎょろぎょろと動き、周囲を窺うような素振りを見せる。
ビィバード自身は特に動きは無く、歩いてはいるもののどこに向かっているのかはわからない。】
-
「ヒャア・・・貴様かァん?」
【全身ズル剥けの人型は歩み寄りながら問いかける。】
「それはどうでもいい・・・」ウジュルウジュル
【歩み寄る最中、人型の体表はどんどんと復元されていき】
「面白そうだぁン・・・」
【生臭くも張り付くような笑みで更に近づくのである。露骨に魔力を振りまきながら。】
-
『…………何だ、お前。』
【不意に歩みをピタリと止めるとその人型に怯える様子もなく問いかける。
これは以前の少年を知っている人物が見れば、ありえない言動である。
とはいえ、既に少年の姿かたちが以前の少年とは別物なのだが。
肩にある目玉はその人型を見ると、その瞳を歪めて笑みの形を作った。】
-
「ヒャア・・・」
【ビィバードの声には耳を傾けず、左腕を指差し】
「私が用があるのはその左腕だけだァん・・・」
「面白そうだねェん・・・」
【ニタニタと笑いながら更に歩み寄る。その眼には狂気。そしてその表情は狂喜。】
「ヒャハッ・・・ヒャァァァァッハッハッハァ!!!」ブシッ
【いきなり狂った笑いを放つとともに自身の喉を掻き切り、周囲に鮮血が迸る。】
「ヒャア・・・ヒャ・・・ヒャア・・・」
【普通ならばただの自殺者が目の前で実行に移しただけにしかみえないが・・・】
-
『…………まただ、また、俺の居場所を……うぅ……っ!』
【異形と化していない右腕で頭を押さえながら、いやいやと子供の様に頭を振る。
会話ができているようで、できていない。
一方で、目玉からも赤い液体が滴り落ちる。
別に人型が飛ばした鮮血が付着したというわけでもない。
すると、目玉がゆらゆらと水面の様に波打ち始めた。】
-
【ドバドバとほとばしり続ける鮮血。やがてそれは勢いを弱め】
「・・・ヒャア・・・」ニタァ
【全て出切ったとしか思えない程の量の血が地面に染み込んでいったが、人型は尚も地に立っていた。】
「気持ちいいねェん・・・たまらないねェん・・・最高だねェェェェェェェェん!!!!!」
【地面に染み込んだ血が全て宙に浮かび、一つの「個」となっていた。】
「ヒャア・・・ヒャハァ・・・究極の快楽を教えてやるよォん・・・?」
【完全に復元した人型は男性のように見える。その身体はまるで出切った血液を急激に生成するかのように全身が脈を打っている。】
-
『……近寄るな、近寄るな……近寄るんじゃ――――……!』
【うわごとの様に何度も呟きながら、脅威に対して牙を剥く。
果たして、この少年が目の前の存在をどれほどわかっているのか。
……もしかすれば、何もわからないのかもしれないが。
わなわなと体を震わせ、息を吸い込むようにして伸びの様な姿勢をとる。】
『っ――――――ねええええええぇぇぇぇッッ!!』
【叫びと共に、姿勢を思い切り屈めてその体全体に力を籠めた。
すると、空気を裂くような怒号と共にビィバードを中心として、魔力が迸る。
その一瞬のうちに放たれる魔力はもはや、突風というよりは衝撃波に近い。】
-
「ヒャアッ!」
【男は直立したままである。実際には足の部分が血液だった物で固められ、地面に固定されているのだが。】
バキバキバキバキバキィィィ!!!
【そのカラダは脆い。固定した足を軸に、衝撃波によって、全身の骨がグシャグシャに折れ曲がり、見るも無残な姿に。】
「ヒャハッ」
【それなのに。ありえないのに。その口からは笑が零れ】
グニュル・・・メキッ・・・グニュル・・・
「面白いねェん・・・気持ちいいねェん・・・?!」
【ものの三十秒で元の体勢に戻ったのである。】
「それで終わりかァん?」ニタァ・・・
【尚も歩みをやめない。その足取りはとても遅く、そして、ある種の重圧を感じる。男の周囲には血の塊が複数浮遊している。】
-
『……まだか、まだか、まだか……消えろ消えろ消えろッ!』
【見えているのか見えていないのか分からないままに言葉を紡ぐ。
先ほどから、怒りの感情は見えるが、怯えや驚きと言った反応が無い。
これほどまでに無茶苦茶で酷い相手ならば、それくらいの反応はあっていい筈である。】
『…………。』
【目玉からはボタボタと赤い液体が滴り落ちる。滴り落ちた赤い液体は
地面にしみこむことなく、水と油の如く、その場に滞留している。
再び、目玉が水面の様に揺れ始めた。】
-
「ヒャァ・・・?ヒャッ!」ヒシュッ
【歩きながら、浮遊する塊を手にし、ビィバードに向けると、刃の形に変わり、直線的に放たれた。】
ヒシュッヒシュッヒシュッヒシュッ
【直線的ではあるが、いまいち速度、軌道がまばらでる。言わば、超変則的カーブである。】
「さぁ・・・俺を殺してみせろォん・・・」ニチャァ
【左腕の変異には気づいていないようで、無警戒である。】
-
『…………。』
【刃が迫ると、それらを衝撃波で吹き飛ばす。
とはいえ、先ほどのものより規模は小さいため、それくらいの効果しかないが。
そして、目玉の揺らめきが大きなものになったと思いきや
そこから、突如として目玉から毀れていた赤い液体と同等なくらいに赤い光を
その人型へと向けて照射した。
だが、そのスピードはそこまで速くないものである。】
-
ビチャッ
「ふゥん・・・」
【刃は地面に落ちると、元の血液に戻る。】
「ヒャハッ」
【左腕からの光に気づくが、回避を一切行わず】
ビシッ
【眉間に向かって一直線である。この光の威力によっては、頭が吹き飛ぶのではなかろうか。】
「・・・」ニタァ
【しかしその眼には期待の様な物を感じる。】
-
『近づくな……寄るな……この俺に……!』
【その赤い光が当たった瞬間、その光はその人型を包み込む。
すると、包み込んだ光が赤い魔力に変化し、人型を拘束していく。
回避の手段も取っていないため、赤い光が当たってからの動きは非常に早い。。
それはまるで、繭のようで人型の動きを止めると同時に、無力化しようとする。】
-
「ふゥん・・・詰まらない術だねェん・・・」
【繭に包まれ、身動きがとれなくなる人型。】
「ヒャハッ♪」グニョルグニョルグニョル
【繭の中の人型の身体が中から何かが突き破る様にうねり始める。現状、繭に変化はなさそうだ。】
-
『ぐっ……う、うぅぅぅ……!』
【繭に近づこうとしていたビィバードだが、突如として左腕を押さえながら苦しみ始める。
目玉のほうは大したアクションも無く、平然とした様子であるのだが。
すると、今度はビィバードが先ほどのような赤い光に包まれ始める。
そして、ビィバード全体が赤い光に包まれきった瞬間、光が一際強く輝く。
その光が晴れる頃には、ビィバードの姿は忽然と消えていたとか、FO】
//それでは、こんな感じで。お疲れ様でした!
-
【3分後・・・】
【繭にヒビが入ったと思うと、中から無数の武具が四方八方に飛散した。】
「ヒャア・・・。」
【辺りを見渡し、ビィバードが居なくなっているのを確認すると】
「 」ピシッ
「おオオォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!!!!!!!!!」ブバシャアアアアアアアアアアアアアアアア
【次の日、その地帯を通りがかった学者いわく、】
『アレは人が近づいていいような空間とはとても言えなかった。
学会に参加できなかったのは残念だが、私も自分の命の方が大切だったのです。』
【と、語っていたという。王都内の民間新聞より参照。
また、その学者は取材の数日後、原因不明の疾患により、
病院への搬送むなしく、そのまま命を落としたとの事。】
//Fo
-
-王都某所-
ベル「さて、無事王都についたわ」
オパ「これからどうしたもんかの」
ヴェルク「ん〜…やっぱり瘴気を如何にかしないと始まらないっすよね」
共通点のなさそうな面々が雁首そろえて悩んでいる…
-
「殴ってくだけじゃあなんの解決にもならないし……
………あの剣って相当に凄かったんだな。」
いまさらな感想を漏らしながらも具体的な解決策を提案することはできず
-
>>779
オパ「とりあえず瘴気効いてなさそうなオマエさんが強くなるのがまともな選択肢かいの」
ヴェルク「っすね」
ベル「ワタシはちょっと情報集めてみる。他の連中も何か掴んでるかもだし」
-
>>780
「強くなる……うーん………魔力とか魔法については録に知らないけど鍛えれば強くなるんだよな?」
魔法関連の知識がないビートにとって、どうすれば強くなるのかすらわからないが、とりあえずそっちの方面出会ってるんだろうなと確認して
「ああ、ベルは情報収集か……あっ、ちょっとだけ待っててくれ。」
(あ、この状況で招待状渡さないともう渡す機会ないんじゃね?)
ベルが情報収集すると聞いて別行動かとも思ったが、
……と、それと同時に招待状を渡していなかったことを思い出して慌てて引きとめようと
-
>>781
オパ「たぶん」
ヴェルク「きっと」
確証はない!!
ベル「ん?何よ」
怪訝そうな魔女。
時は金なり、とその表情は語っている。
-
>>782
「…………マジか。まぁそれでもやるしかないか。
正直、体鍛えても人間やめなきゃあの化け物どもには追いつけないしな。」
確証はないとしても、身体能力、才能の限界などを考えるとそっちも方向にも手を出さないといけないということを悟り、ため息を付いてそういう。
「ああ、いや、この前の侘びをしたくてな。」
その言葉とともに招待状を一枚ベルに投げ渡し
「……もし良かったら明日辺りまたここに来てくれないか?」
と、まるでデートに誘うような口ぶりでそう言う。
たまに視線を逸らして緊張した様子で。
-
>>783
オパ「まあ頑張るしかないの」
ヴェルク「自分も稽古つけてほしいっす、シショー」
どうやら動作魔法修行になりそうで。
オパ「なんと」
ヴェルク「このタイミングで!?」
ベル「…アホか、んなもん約束できるわけないでしょうがああああああああああ!!!」
魔女が切れた。
そしてハリセンの一閃がビートの頭を狙う。
-
>>784
「うーん………やっぱりそうなるかー……。」
安定して出せないと聞く動作魔法にはあまり乗り気ではない様子。
と言ってもろくに練習してないのに実戦で使おうとした自分が悪いのだが。
「いや、だって今誘わないとこれ無駄になるへぶしっ!!」
おもいっきり頭をぶっ叩かれて姿勢が前のめりになる!
空気読めてなかった発言をした代償だ。
-
>>785
魔女「ばかなのしぬの?いっかいしんだほうがいいわねオパさんコイツしぬきできたえて」
矢継ぎ早にそれだけ言うとドスドスと歩み荒げて魔女は何処かに行ってしまった。
オパ「うーむ、修行するか」
ヴェルク「そうっすね」
フォローはない!!
-
>>786
「………………」
(あー………結局これあいつのメンツを潰したことになるんじゃね………。
泣きっ面に蜂……であってたよな?この状況。)
弁明しようにもむしろ相手を不機嫌にさせるだけだと悟り、無言でベルがいなくなるのを待つ。
「……修行すっかー…………がんばるぞー。」
フォローもされないのを寂しく思いながらもローテンションのまま軽く右腕を上げる
-
>>787
そんな訳で修行が始まる。
王都から少し離れた川と山がある森の中で。
そうして分かった事がある。
動作魔法も色々あるようで…
とりあえずオーバーアクションで技名叫んで拳突き出せば何か起こるようになった。
未だ安定はしていないが、イマジネーションが大事だという事は
身をもって理解できるようになった…筈である。
因みにあっさりと書くがこの間半月は経つ。
その間したい事があったら後日受け付けるのである。
-
(とりあえず重要なのはこれと体術を組み合わせること。殴るだけじゃなくて回避とも組み合わせられるものもあること。
しゃべることすら含めた、余計な動作をすればするほど不安定なものになるということ……。)
ある程度つらいものではあったが、実際死ぬかと言われればそんなことはなかった修行をこなしていく。
訓練の習熟度に関してだが、乾いたスポンジのごとく動作を習得している。
魔力を何かに変換することが題の不得意であることを除けば、才能自体はあるのだろう。
-
>>789
ヴェルク「がんばるっすねえ」
オパ「じゃなあ」
どうやら感心されているらしく…
今日は此処まで、次回は腕試しだ!!
-
<王都近くの草原>
「……ア――――ン、ン、ン……。
……余り邪魔をして欲しくはねぇんだがなァ。」
【陰陽太極図の仮面に黄土色のコートを着た男が草原を歩く。
どうやら、一仕事を終えてきたような風情だが。】
-
「……にしても、何であんな奴を守るンかねェ〜〜〜〜〜。」
【ふと、奇妙な依頼だったことを思い出して、そんなことを。
どうやら、その依頼は何かを守ることだったようだ。
とはいえ、この男の職業上、手段は殺し、なのだが。】
-
「あんなクソガキは生かしておいてもよくねぇことにしか向かん気がするが。
……いやはや、年寄りはたまに酔狂な奴がいると聞くがァ――――、ここまでとはな。」
【ぼりぼり、と仮面の上から自身の顔を掻きながらいう。
殺し屋としての経験が長い彼でも、奇妙だと思うほどの内容である。
もっとも、その分、報酬をたくさん貰っているのは言うまでもない。】
「あの分だと、そう長くは持たねぇだろうし、稼げるときに稼いでおくかねぇ〜〜〜〜?
…………ん?……ハハッ、そりゃそうだろうが。金が無ぇとどうにもならねぇよ。」
【不意に立ち止まると、誰かに話しかけるかのような言葉で語りだす。
もちろん、周囲には誰もいないのだが。】
-
「……まぁ、深く関わらない方が吉ってことよ。
どォ――――せ、あのジジイは、ろくなことを考えてねぇだろうしなァ。」
【と、道中、ずっと誰かと話していたそうな、FO】
-
-某村近くの森-
最近ここ等辺で見たことのない黒くて居るだけで周囲の草木を枯らし水を腐らせる存在がいるらしい。
多分雑魚侵負だろうとオパとヴェルク二人の脳筋は考え、
腕試しに行ってらっしゃいと討伐依頼のクエストを受注する形でビートを村に遣わしたそうな。
討伐クエストとしてはそこそこな報奨金なので
他にもクエスト受注者がくるやもしれない………
-
「…………まぁ、金はあって困らないしなぁ……。
結果的に受けて悪くない依頼かね、これ。」
そんなことを言いながら歩いてくる黒いタンクトップに動きやすそうなズボンを履いた青年。
集合地点に着くなり、他の連中が来るかもしれないので一旦、その場で待機している様子。
-
>>796
しかしまあいつまでたっても誰も来そうにないのでソロソロ出発…
「…」
薙刀を携えた面頬付きのネオベイ甲冑で全身を固めた武人がやってきたのだった。
-
「ぼっち……か」
なんだか悲しい気持ちになってくるがそれはそれとして出発である。
日が暮れたら向こうのいいようにやられるだろうし
(………?)
そして重武装な人物を見つけて思わず足を止めて、
(…………明らかに怪しいだろあれ、疑ってくださいって言ってるようなもんだよな……。
特に、侵負がいるって話を聞けば尚更………)
-
>>798
「…」
しかしどうもクエスト受注者であるらしかった。
依頼書を持っている。
「……」
軽くビートに会釈をするが喋らない。
兎に角目撃情報があった森に行ってみよう、悲しいかな他に誰も来ないようだし。
-
「あっ、すいません…………。」
なんか気を張り詰め過ぎた様だ……。
完全に見当違いなことをしていたのえお自覚してしょんぼりしながら、依頼書を受け取って森に向かっていく。
喋らないことにまで気を回す余裕なんてなかった。恥ずかしさで。
-
>>800
暫く歩き目撃証言のある場へと辿り着く。
いかにもな汚染痕が残る不毛な森…そしてその中心にソイツはいた。
見た目は何時もの一対の翼とゴムの様な質感の黒い肌を持つ顔のない異形のヒトガタ。
しかしそのサイズが…あれ?見上げるほどデカイっけ、雑魚侵負って。
-
「………はえーでっけえ………」
「ちょっと……これはデカすぎるだろ……」
これは、浄化しきる前に周囲に甚大な被害を出すんじゃないかと不安げに見上げて
「とりあえず………殴ろう!」
なにはともあれ、先手を打てるかもしれない以上、腕に魔力をまとわせてその足元に殴りかかる!
……魔力の扱いに慣れたということがもしかしたら修業によって得た一番大きいものかもしれない。
-
>>802
ゴン!
殴れた、これは大きな前進である。
巨大雑魚「…グルルルル」
しかしあんまり効いている様子がない。
だってデカイもの。
-
「…………あー、もっと強力なのぶち込む必要あるなこれ。」
あまり効いた様子のない侵負を見て呆れたようにそう言って
「え……っと………魔法ぶち込むにはどう踊るんだったか………」
とか言いながら修行によって覚えた動作を思い出すように行なっていく。
まず、右にステップをして左足を広げながらぐるりと回り、左にステップして右足を広げて一回転して
その場でくるくると爪先立ちになりながら何回転かした後、手から何かを射出するイメージをしながら右腕をつき出す!
……非効率な動作魔術の使い方だが妨害されない以上、素で使ったら滑稽に見えるだろう。
-
>>804
ペヒョロッ と音がして光弾が無茶苦茶な軌道をゆっくり描いて巨大雑魚に迫る。
巨雑「…ぐげ?」
武者「…」
その光弾の行方をマジマジと見つめる一匹と一人。
ひゅおん、と振るわれた雑魚の尾で弾かれると思いきや…
その光弾に触れた途端、すさまじい閃光と音と衝撃波が発生。
武者や枯れた草木を薙ぎ、雑魚の尾を弾け飛ばし、巨大雑魚の絶叫があたりに響く。
-
「………あ、あれ……?
ファ―――ッ!」
それを放った本人ですら、その情けない光弾を見てあっけにとられるが、その後の衝撃に思わす変な声を漏らす!
不安定な魔術ではあったが、ここまで強い威力になるとは思ってもいなかった様子!
「っと、俺が放ったんだよ!追撃だ追撃!!」
驚いていても即死していない相手を見て、追撃を仕掛けようともう一度同じ動作をして追撃をしようと!
-
>>806
ベスン、ドグワンッ!!
ガス欠したエンジンの停止音と暴発する銃の破砕音。
そして同時にビートの目の前で発生する先ほどと同様の高威力の衝撃波。
あせりすぎたのかもしれない、魔術的暴発だ!!
-
「……こ、れは……。」
クエストに遅刻した、腰にガンベルトを巻いた褐色肌の少年。
が、時既に時間切れ、ほぼ片付が付いているようであった。
-
>>807
「………あれ――――――ぬぼあ……」
目の前で大爆発が起き、おもいっきり吹き飛ばされていくビート。
起き上がろうと必死になっているが、しばらくは目がやられてろくな行動ができないだろう。
-
>>808>>809
巨大雑魚「グォォォォン!!」
千切れ飛んだ尻尾は瘴気となって周囲を汚染する。
本体は咆哮をあげ、とりあえず脅威でありそうなビートに迫る!
武者「…」
武者が薙刀を構えた。
-
>>809-810
「……っ、!」
その光景を見た少年の行動は、こうだ。
右手でアウトマチック式拳銃を引きぬき、左手で魔導拳銃を引き抜く。
魔導拳銃は雑魚の眼目掛け、焔属性のエンチャント弾を放ち、
右手のアウトマチック拳銃は武者へと連射、連射、連射。
秒間10発の実弾を放つアウトマチック式拳銃だが、威力は極めて低い。
中距離で撃って漸く人間の皮膚を貫く程度の物だ、武者へは威嚇にしからならないだろう。
-
>>810
「が………ッ!眼が…………!」
チカチカと目から火花を散らして何も見えていない様子で、立ち上がることすらできず、片膝立ちの状態のまま頭を抑えている。
周囲の状況も、耳鳴りが酷く、把握していない条第だ。
-
>>811
武者「!」
ガキキン!と鎧によって弾は防がれるが一発良い当たりをしたようで武者の兜が外れる。
面頬こそ外れないが露わになったのは艶やかな黒い長髪で…
>>812
隙だらけのビートに巨大雑魚の突進。
巨大だからとても痛いぞ。
突進を止めようとした武者の行動は弾によって遮られたし仕方がない。
-
>>812-813
「! 女の、……っ、あぶn……!」
一瞬、黒い長髪に目を奪われるも、
とっさにビートの危機に気付き、再度巨大魚相手に拳銃を闇雲に放つ。
が、矢張り狙いが甘い。これでは……
-
>>813
「…………い゛……ッ!」
目の前がチカチカと点滅して、耳まで聞こえていない状態でどのようにして察知することができるのだろうか。
あっさりと跳ね飛ばされて数回バウンドしながら吹っ飛んでいき、木に衝突する。
「―――!――――――!」
声も出せずに悶絶している様子。
と言うより呼吸すらまともにできていない様子だ。胸に手を当ててゼェゼェと息を荒くしながら仰向けで悶絶している。
-
一体どうなる事やら…時間的な問題で次回に続く!!
-
<王都のどっかスターキャッツカフェ内>
【明かりはぶら下がるランタンのみ。木製の薄暗くレトロな雰囲気を醸し出す店内。】
【カウンターに立つは黒布を巻いた二足歩行で尾にリボンをつけた小さな渋めの黒ネコ。
店内の隅にはネコ耳をつけた2m弱の大男の人形があるが気にしてはいけない。
そしてカウンターの目立つ箇所に"酒場のマスター"とサインされたカードが飾られている。】
-
FO
-
http://189.io/WR1Xnn
http://189.io/0R1Xnn
http://189.io/1R1Xnn
http://189.io/xR1Xnn
http://189.io/mR1Xnn
-
【王都郊外/森林】
『―――――――来たか、礼二』
「…………うん。 久し振り。 ――兄さん」
王都郊外、月のみが光源となる深く暗い森林の奥。
其処に、二人の青年が居た。
一人は黒いコートを羽織り、右手に大きな鎌を持った、何処か陰鬱そうな雰囲気の男。
もう一人はネオベイのキナガシを身に纏い、腰に日本刀を左右二つずつ提げた、男。
「
-
『……頃合い、だろう。 互いに。
俺も、お前も、十二分に生きた。 だから。』
和装の男が刀二振りを抜き放ち、背に暴風を纏ったカゲを顕現させる。
”メサイア”、魔力で活動する、もう一人の自分とも言える存在。
其れは嵐を纏う刃を両手に顕現させ、周囲の木々をなぎ倒す。
「この先を活きるのは、一人で良い。
……僕は死ぬ気は無いけど。」
其れに応える様に黒いコートの青年が右腕の鎌を振るう。
電撃が奔ったかの様に左腕が脈動し、絡繰仕掛けの其れに血が通い、不気味に動き出す。
『それで良い。
……――ストームブリンガー……!』
「……うん。
――卍解、"黒死怨呪"」
――そして、殺し合いが始まった。
-
「――熾きろ、切裂魔!」
《キィィィィイィィヒヒヒヒヒヒヒヒッヒャァァァァァァ!!!!!!!!》
黒衣を翻した青年がその身に南瓜頭の魔人を降ろす。
右肩の辺りからは絡繰細工の様な腕が顕れ、其れが右腕に掴んでいた大鎌を掴む。
神経を通された機械腕には刀身の無い槍を、
生身の部分である右腕は――
『……礼二、これが……!』
呪いを、毒を。
其処にあるだけで呼吸すら阻む毒性を持つ、流動する液体を手繰る。
その量は森林の一角を覆う程で。
〈ギッ〉
運悪く其れに触れた野狼が悲鳴を上げる事も無く、絶命する。
和装の男は其れから逃れるように、木々を跳んで。
-
『……疾ッ――』
メサイアの振るう刃が嵐を起こし、流動する毒を吹き飛ばし、消し飛ばす。
吹き飛ばされた液体毒は散り散りに、散らばって。
「霧刑。」
――霧状の毒となる。
効能は全身麻痺、平衡感覚失調、皮膚熱傷――
「……終わりだよ。」
『カ……ッ……!』
其れを、吸い込まさせられた和装の男が、力なく地に倒れ伏した。
-
「…………。」
『…………。』
周囲の木々が刻まれ、枯れ果てた森林。
其処に和装の男が倒れ伏し、其れを黒いコートの青年が見下ろしている。
「黒死怨呪の毒は、僕にも解けない。
……負けだよ、兄さん」
『そうだな。』
「疲れたね。」
『……そうだな』
「…………休んでいいよ、兄さん」
『…………そう、だな』
「おやすみ、兄さん」
『おやすみ、礼二』
大鎌が振るわれた。
間抜けな音を立てて、何かが跳んだ。
【FO】
-
「えっと………どうぞ……」
何やら緊張した様子で大事な恋人を家に招き入れている少女。
そういえば、こんな関係になってから家に誘ったのは初めてのハズ……。
このような関係になったのはこの家であったが、それはそれだ。
「……勉強……しないとね。」
-
「……おっじゃましまーす。」
少女の家にやってきた赤髪の魔法使い。
……こういう関係になってから足を踏み入れる彼女の家…
緊張する反面、にわかにテンションが上がってしまうのも仕方の無い事。
「……そ、そうだねぇ……勉強勉強…!」
しかし、勉強しなきゃならない状況なのも確か…
そろそろ大学でテストを控えている身である。
-
「とりあえず飲み物持ってくるから、くつろいでて……!」
緊張のあまり、そう言ってとっととキッチンに向かっていってしまう。
……これで勉強できるのだろうか。
女の子らしさはあまりない殺風景とも思える部屋であったのが少しだけ華やかになったように思える。
具体的に言うとテーブルの上に赤黒い結晶が置かれており、キラキラと輝いているところとかだ
-
「…あ、これ…お菓子持ってきたから、アンナも食べてよ。」
と、言って荷物から菓子箱を取り出して開ける。
中にはクッキーや、タルトなど…勉強しながらでも食べやすい菓子が並んでいる。
(…前よりちょっと雰囲気変わったなぁ…)
「……ん、これなに……?」
部屋を見回しながら、椅子に座る…
と、見慣れぬ結晶が目に入る。
-
「おまたせ………ん、お菓子……?
コレって、もしかしてフェムトの手作り……!」
氷が入ったオレンジジュース入のコップをトレイに乗せながら歩いてくる。
そして菓子箱の中のお菓子を見るなり、パァと嬉しそうな表情に早変わりして
「……この前のプレゼント、もっといいのが作れる用に自分用で色々試してる……。」
この前のプレゼントというと、ちょうどフェムトの誕生日にもらったあの血が混じったペンダントと色が酷似していると思うかもしれない。
アレはカードのように平べったかったが、これは四角錐を合わせたような正八面体だ。
そして、あれには結晶に直接魔法陣が刻まれていたのに対して、こちらには正八面体の中に魔石が埋め込まれている。
-
「ふふふ……その通り、手作りですぜ…!!」
プレーンのクッキーに、ココアクッキー、
ナッツをあしらったチョコタルトなど……
少女の嬉しそうな笑顔に、青年も思わず得意げに。
「…あぁ、これも前のと同じ様な血を使ったヤツ……?」
と、自分のペンダントを取り出して見せる。
もちろんいつも肌身離さず身に着けている。
「……へぇ、綺麗なもんだね。
…でも、あんまり血を採りすぎるとまた前みたいにフラフラに……。」
と、少し心配そうである。
-
「………食べていい?」
しばらくその菓子箱を見ていたが、やがて我慢できなくなったのか、フェムトにそう尋ねる。
おい勉強しろよ
「……その認識で合ってるよ。
……そうやって身につけてくれていると作ったかいがあって嬉しいな……。」
フェムトが取り出したペンダントを見て、おぉ、と嬉しそうな声を上げて
「最近は無理してないから大丈夫……。」
と、軽く笑んで。
その証拠に疲れているときはあっても明らかに睡眠不足であるような姿は見ていないであろう。
-
「……へっ??
…あ、うん勿論!どうぞどうぞ…!」
ひとまず参考書でも取り出そうか…と、言う時に少女の提案。
「……それじゃぁ…紅茶も淹れようかね。キッチン借りるよ。」
と言って立ち上がり、キッチンへ。
前に一度ここで紅茶を淹れた事もあるので、大体勝手は分かっている。
……勉強は、始まらない。
「そりゃ当然、いつも着けてるよ。
……最近ちょっと危ない目に会う事も多いし。
ま、これが身代わりになってなくなっちゃうのも勿体無いけどさ。」
「ん、最近はわりと元気そうな顔色してるしね。」
前の様に疲労困憊、といった様子は無い。
ちゃんと睡眠はとっているのだろう、と青年も安心するのだった。
-
「ん、よろしくフェムト。」
(フェムトが戻ってくるまでは待っとこう……
その間に歴史の勉強を………はぁ、でもお菓子気になる………)
とりあえず、一人で食べるのもどうかと思い、待っているうちに勉強しようと考えるもお菓子が気になって集中できていない様子。
もしかしなくても集まらないほうが勉強の効率は良かっただろう。
「むぅ……本当にちょっとで済んでるの………?」
フェムトの物言いに何やら引っかかりを感じている様子。
この前話された使命のことを考えるともっと危ない何かと戦っているのではないかと勘ぐっている。
-
「……はい、お待たせ。
なんだ、先に食べてても良かったのに。」
しばらくすると、青年好みのアールグレイを淹れたカップを二つ持って戻ってくる。
(…そして勉強も始まっていない……
……フフフフ……集中できませんよねこりゃ……。)
薄々感づいていたが、やはり一緒に勉強なんてあんまり能率は上がらない様だ。
「ま、まぁ……俺にかかりゃ、大抵の相手なんか余裕で黒コゲだし…!
……とは言ってもね、最近の相手はなんか良く分からん新種ばっかりで……。」
-
「作った本人に紅茶まで用意させておいて、自分はお菓子を食べてるのはさすがにできないよ……。
……あと…紅茶、ありがとフェムト、お菓子も頂くね。」
紅茶を受け取った後、クッキーを口に入れれば、たちまち幸せそうな表情になる、
……勉強する前から休憩ムードだ。
「………新種……?」
と言いながら、紅茶を一口。
あまり深刻には考えていない様子である。
-
「…はい、どうぞ。
どうかな、口に合うといいんだけど。」
料理を趣味にしてる、というだけあってか、
香ばしく焼きあがっておりそれなりに美味しく仕上がっている。
「…そうなんだよね…。
…前言った通り、俺は古来からの精霊なんかが世の中を乱さない様管理する仕事があるんだけど……
近頃の仕事は、つい最近生み出された様な強力な魔法生命体を狩る事なんかが多くてさ。
……それも、古代の精霊に匹敵する様な力を持ったヤツもちらほら居てね……。
……奴等、恐らく人の手によって生み出された様な感じなんだよね。」
-
「………おいひぃ……。
すごい美味しい………!」
むぎゅむぎゅとクッキーを食べながら目を輝かせて
「人工の魔法生命体……なんの目的で作ってるんだろう………。
どこかしらを襲うにしても集団で向かわせるだろうし…・」
-
「ふふ……そんなに喜んで貰えるとなると、作ったかいもあるよ。」
幸せそうな少女の姿を見ていると、青年も幸せに……。
「……目的は良くわかんないけど……
まぁろくでもない事やらかそうとしてる連中がいることは間違いないんだよね…。
……問題は、そいつらが何処の誰かって事なんだけどねぇ…まだ良く分かんないなぁ。」
-
こんにちは,
予約します
当日商品を出しました
4-7日到着します。
よろしくお願いします
http://www.jps98.com
http://www.jp-ceo.com
-
「もぐもぐ…………ん?
フェムトも食べないの……?」
幸せそうにクッキーを頬張っている途中で、フェムトが食べていないのを疑問に思い。
「………手がかりも何もないんじゃ特定するのも無理だよね……。
……心当たりも何もないの?」
-
「……んー、アンナが食べてるのを見てるだけで結構満足。
いいから遠慮しないでたくさん食べてよ。」
と、言って紅茶を啜る。
「……ある程度は絞れてきたけどね。
最近ここいらに出没する異形の男達…
盗みや人攫いを働いている、ろくでもない連中なんだけど、
そいつらも新種モンスターと同系統の臭いがするんだ。
奴等を追っていけば、黒幕に辿りつけそうだねぇ。」
-
「……でも、食べ過ぎると太っちゃうし………。」
クッキーを食べながら自分のお腹まわりを見てため息を吐き
……あまり変わっていないように見えるが、まぁ本人の問題なのだろう
「男たち……集団だと不意を疲れそうだね………無茶はしないでよ……。
僕だって、戦えるんだよ?」
-
「……いやぁ、ちょっとくらい肉付きが良いほうが、俺は好みだよ?」
(……着く場所が場所なら、さらに良し……。)
とかなんとか思いながら、一瞬少女の胸をちらりと見る。
「そうだなぁ…俺も大物の魔物なんかは狩るのは得意だけど、
その反面、対人戦となると少々弱いんだよね。
……手伝って貰うと、助かるっちゃ助かるなぁ。」
彼の魔法は大火力な分、大味である。
大型魔獣を狩るのには向いていたりするが、対人戦となるとあまり小回りが利かないのだ。
-
//そしてこの辺りで限界が…ひとまず一旦落ちさせて頂きます、ありがとうございましたー!
-
「……それでもあまり見た目が良くなくなるからあまり太りたくないなぁ……。」
胸を見られたとは思っておらず、ため息をつく。
胸の大きさは………まぁフェムトほどの目利きの良さであればわかるだろうか。この前と比べてわずかながらに成長している気がする
「そりゃあもちろん手伝うよ……!
そんな話聞いてフェムト一人で戦わせるわけにも行かないし……!」
-
「いや、むしろなんていうか最高です、見た目は。」
(……いやぁ、なんというか、順調に育っていますねハイ。)
まだ成長し続ける胸……脳内でグッとガッツポーズ。
「いやぁ、そりゃありがたいね。正直最近人手不足でさ。
…あぁ…でも手伝うとなると親父とかお手伝いさんには紹介しないとなぁ……。」
-
「……太ると見た目以外だって困ることもあるんだよ?
肩だってこるし、体も重くなるんだから……。」
さり気ないセクハラがあったとはつゆ知らず、憂鬱げにそう言っている。
……肩が凝るというのは太ることが原因ではないだろうが。
「フェムトのお父さん……直接あったことないけど、恋人の紹介も兼ねることになるんだよね……?
……ちょっと、緊張する。」
-
「……うむ…それだけ大きければ、肩も凝ることだろう……。」
ぼそり、とついつい口に出してセクハラ。
「……そうなるねぇ。
……俺も……怖い……。」
いい歳して親父が怖い青年なのであった。
-
「…フェムト、遠回しに太ったって言ったでしょ。」
幸運にもセクハラ発言の意味には気づかなかった模様。
……変な方向に解釈されたが。
「……僕は、それでも、フェムトの力になりたいから………。
だから、僕のために……一緒に挨拶しに言ってもらってもいい?」
そう、怖がっているフェムトを見て、それでも力になりたいと思っているアンナは頭を下げてたのみこむ。
なんとも奇妙なことであるが、あまり恋人という自覚がない。
「僕のわがままで、フェムトにひどい目に合わせるかもしれないけど……。」
-
「……いや……その……
……アンナってさ、けっこう胸大きいよなぁ…って。」
幸い少女はセクハラに気付いていない……
が、今度は率直すぎるセクハラなのであった。
「えっ?い、いやぁ、アンナにお願いされるってのも変な話だな。
……むしろ俺からもお願い……親父、頑固なヤツだからどうなるかわかんないけどね、アハハ…。」
「……親父も親父だけど…お手伝いさんも結構な曲者なんだよなぁ……。」
-
「………ッ!」
ドストレートなセクハラを受ければ顔を真赤にそめて真後ろに後ずさってしまう。
あまりにも率直すぎる言葉を聞けばそう反応するのも無理は無いだろう。
「頑固でも、礼には礼を持って接してくれるだろうし……。」
「……お手伝いさんも頑固なの?」
-
「いや待ってくれ!どん引きなのは分かる!!
……が、男としてはやっぱそういうのも気になるのは仕方ないと言うモノ!!
…そして、存分に誇ってもいい!そのサイズは!」
「あ、多分アンナは大丈夫だよ、歓迎はしてくれると思う…。
……けど、なんだかんだで俺にいちゃもんつけてきそうだなぁあの人…。」
「…頑固っていうか、厳しいって言うか……
……ま、悪い人じゃぁないんだけどね。」
-
「…………前にも言ったけど、フェムトは本当にエッチだよ……!
気になったとしても、何も僕に伝えなくてもいいじゃない…!」
胸を隠すように腕でガードしている。
必死のあまり強く抑えすぎて胸がむぎゅりと変形しているが
「……万が一の時は僕がフォロー入れたほうがいいよね?
フェムトがひどい目にあうのを見るのはいい気持ちになれないし。」
それがいい方向に動くかは別として、とりあえずそう伝えては奥
-
「……いや!どう思ってるのかは正直に伝えた方がいいと思うんだ!」
(……そして……そのポーズの破壊力は凄まじいですね、はい。)
恥ずかしがる少女のポーズは、余計青年の目の保養になってしまうのであった。
「いやぁ、まぁ大丈夫!
親父やお手伝いさんにドヤされるのは慣れてる、というか日常茶飯事だし。」
-
「そんな下世話なことに正直になっちゃダメだよ………!」
何やら不穏な目線を感じ、フェムトに背中を向け、胸を隠すようなポーズを
「むぅ……ならいいんだけど………」
本人が大丈夫と言い張っているならそれ以上踏み込むのも良くないと思い、不満気な様子でようやく引き下がる。
「……あ、そろそろ勉強しないと…………!」
ここで集まった目的をようやく思い出した様子でいそいそとテーブルに筆記用具やらなにやらを広げ始める。
……勉強のモチベーションはあまり高くなっていないが。
-
「……うぅ……そりゃ、まぁ下世話だけどさ……。」
(…そしてそのポーズも実に悩ましげです、ハイ。)
依然として不穏な視線が少女に突き刺さるのであった。
「いやぁ、でも心配してくれて嬉しいよ、ありがとう。
……と、言うわけで…ほら、もっと食べてよ。」
と言って焼き菓子をさらに薦める。
「…………。
……そうでした……勉強するんでしたね、ハハハハ……。」
あからさまにやる気なさそうなのであった。
しぶしぶと鞄から本を引っ張り出す。
-
「ん、ありがと……あむあむ。」
焼き菓子を手に取りもぐもぐと食べ、紅茶を一口。
ある種、至福とも思える瞬間に幸せそうに息を漏らし
「……はっ、また勉強し損ねるところだった……!」
そしてまたさっきと同じ流れになりそうだったのを寸前の所で思いとどまる。
そして、『よくわかるジグザールの歴史』と書かれた本を手にとってその本の内容を白紙の紙に写している。
-
「………いやぁ、美味しそうに食べるねぇ。」
その横顔を眺め、青年も幸せなのであった。
「……はいはい…勉強ですよね……ハハハ。」
しかしすぐに現実に引き戻され、勉強開始。
青年は魔法の系統やその性質についての分野をレポートに纏めている。
-
「……美味しいお菓子だから。
あまり食べてると勉強できなくなるから程々にするけど……」
そう言って最後の一口を口に入れるとモグモグと食べながら勉強を再会する。
ただひたすらに同じようなことを書いているあたり、書いて覚えるタイプのようだ。
「……………。」
無表情で、無言でただひたすらに筆を進めていく。
暫くの間、無音の時間が過ぎていくだろう。なんもなければ
-
「………………。」
青年も無言で本を読んだり、時折レポートを書き込んだり。
「………。
………〜〜〜♪」
しかし……しばらくもすると、集中力が切れてきたのか口笛を吹いたり。
…レポートを書いているのかと思いきや、なにやら落書きをしていたり…。
-
「…………………むぅ。」
カリカリと勉強を進めている時に口笛が聞こえてほんの少しだけいらだちを感じ。
こちらの集中力は勉強を再開してからお菓子に全然手を出していないあたりほとんど衰えてはいないだろう。
「………フェムトうるさい。」
本に目を落としたまま、フェムトに文句を言い。
さすがにレポートの内容を覗き見する趣味はないので落書きを書いていることも知らず。。
故に集中力が切れてきていることも気づいていない様子。
-
「……〜〜♪……
……ごめんなさい……。」
…少女に注意されて縮こまる青年。
(……集中してるなぁ……よく集中力持つなぁ……。)
しかし、勉強を再開するでもなく少女の横顔をぼんやり眺めるのであった。
-
「……………。」
(えっと、黎星歴135年に……)
フェムトの視線にも気づかず、ただひたすらに書き進めている。
と言うより、フェムトのことが視界に入っていない様子だ。
……これでは一緒に勉強する意味があまりないのではないだろうか……‥。
-
「……ねぇねぇ、アンナは今何勉強してんのー…?」
集中している所悪いかな、とは思いつつも
せっかく一緒に勉強していることだし話しかけてみる。
-
「………ジグザールの歴史。
……入学するなら、いるかなと思って。」
カリカリと書き進めながらそれだけ言う。
話をすることが嫌というわけでも無く、無表情のまま。
-
「…なるほどねー。
……やっぱ大学入るの?
となると一緒に学園生活か……フフフフ。」
青年もひとまず勉強再開…レポートを書きながら、ロマノフと話を続ける。
-
「……そうなるね。
……やっぱり、そういう所で学んだほうが色んな物を得られるだろうし………。」
ひたすらに書き写しながら話を続けている。
ただ、先程までの集中力は無いのか、時折お菓子を摘んでいる。
-
「……へぇ、偉いなぁ。
…俺なんかとりあえず行っておけ、みたいな感じで入ったからなー。」
早くもレポートを書く手を休め、青年も菓子を摘む。
「だ、大学行ったらさ……
……一緒に暮らしたりとかしない……!?」
夢の同棲生活……あれこれ夢が膨らむ青年であった。
-
「……それだと、時間を無駄にしちゃうよ?
やりたいことをやったほうがいいと思うけど……。」
カリカリと筆を進めて。
その合間にお菓子を手に取り
「………え?」
そして聞こえてきた同棲という言葉に意識を取られてフェムトを見て。
思わず、手に持ったペンを落としてしまう。
-
「……んー……
やりたい事かぁ……。
…どっちにしろ俺は家業を継がなきゃなんないしなぁ。
今のうちは学生生活を満喫って感じだけど……。」
これといった目標も無く、なんとも宙ぶらりんな感じなのである。
「つまり、同棲だね。
……って、そんな驚かなくても。」
苦笑しつつ、落としたペンを拾って手渡す。
-
「………やり残したこととか、ないの?
フェムトの学生生活がどんなのかわからないからなんとも言えないんだけど………」
「だ、だって……!同棲だよ!
僕とフェムトが同じ屋根の下で過ごすなんて……!」
顔を真赤にそめてワタワタとしながら。
これはもう完全に勉強をするムードではない。
-
「……やり残し、かぁ……。
……うーん。」
なんとなく毎日を過ごしている青年にとって、
特にこれといったものは思いつかない…
が、それもなんか勿体無い様な気もしてきたのであった。
「いやぁ……考えただけで夢が膨らみますな、はい。」
慌てる少女とは対照的に、同棲生活に妄想を膨らませる青年。
-
「………何か無いの?
それとも、公開することがないように生きてるとか……?」
「で、でも、そうなったら親にも連絡しないといけないし………。
みんなの許可だっていると思うよ……!」
(何よりも恥ずかしいよ……!)
とにかくフェムトに思いとどまってもらおうと必死な様子。
-
「…いや、見ての通り適当に生きてますね俺……。
……アンナは、大学中とか、大学出たらなんかやりたいことあるの…?」
「……そうだなぁ…親父はめんどいけどなんとかしなくちゃな…!
…そっちは…あの執事さんが問題だな……。」
と、一人で勝手に前向きに考えているのであった。
-
「僕は……、魔法とかについてもっと深く知っていこうかなって考えてる。
冒険者を続けてもいいんだけど、フェムトに心配かけたくないし……。」
「………なんで前向きに考えてるの……。
こういうのに限って………。」
何故か普段と違ってやる気満々なフェムトを見て、喜べばいいのか呆れればいいのかという、複雑な感情を抱いている
-
「……そっかー…でもいいんだよ、しばらくは俺の事考えないで好きな事やっても。
……いずれは……あんまり無茶しないで欲しいかもだけど。」
「……だって…恋人と同棲生活とか、すごい憧れるじゃん……。
…アンナはそういうの憧れとか無いのー……?」
-
「元々魔法とか、魔道具については興味があったから、それは気にしないでいいよ。
……ただまぁ、無茶しないでって言った本人が無理をするのはどうかなと思って…」
「……だって、同棲って結婚してから行うことでしょ………。
それってつまり、遠回しなプロポーズじゃ……!」
と、慌てふためいた様子でそう言っている。
……どうやらフェムトとロマノフの間にはなにか思い違いがあったのかもしれない。
-
「……いやぁ、結婚する前から同棲するカップルは結構いるような……。
同棲イコール即結婚、ってのはちょっと性急すぎるんじゃない…?
……まぁプロポーズはいずれ……もうちょっとしてから……かな……?」
と、顔を赤らめてぼそぼそというのであった。
-
「………むぅ……僕達には少し早すぎると思うし………。
せめて僕が卒業したらとか……。」
落ち着いた、と言うよりオーバーヒートしているのか顔を真赤にして俯いている状態。
-
「……卒業したら、どっちにしろ結婚…するし……!」
…果たして、そこまで関係が持てば…の話だが。
「……うーん……だめかー……。
……アンナと同棲……。」
なかなか乗り気でなさそうな少女に、やや残念そうにがっくりする青年。
-
「………結婚……。」
ポツリ、とその言葉に反応して小さい声でもう漏らし。
……曲がりなりにも貴族の子供同士の結婚に当たる以上、面倒事があるかもしれないと考えて。
「……だって、フェムトと一緒に暮らすなんて恥ずかしいよ……!
僕の私生活も見られちゃうんだよ……」
-
「……いやぁ…でもお互いの事知るためにはやっぱり……。
……それに、恥ずかしがらずに色々試してみるのも人生経験だよ……!」
とかなんとか、それっぽい事を言って肯定に持って行こうとするのであった。
-
「それでも、少しづつ段階を踏んでいくべきだとは思うよ……!
………一日一緒に過ごすだけでもお互いのことはよくわかると思うけど……。」
さすがにまいにちいっしょに過ごすというのが恥ずかしく、妥協案を提案してそれで手打ちしてもらおうと
妥協案にもしても、妥協しきれていない半端なものであるが。
-
「ま、それもそうだけど……いずれは一緒に暮らしたいなぁ……。」
やはり同棲の夢は捨てきれない…
が、少しずつ慣れていってから、という点には同意する。
「それに、一日一緒程度だったら…すぐにでもやって問題ないんじゃない…?」
妥協案が少女の口から出たのをいい事に、そんな事を言う。
-
「………ベ、ベッド1つしかないから、次の機会だね……!うん………!
少なくとも、今日は駄目……!」
すぐにでも、という言葉を聞いて慌てた様子になりだす
-
(ベッドが一つでも私は一向に構いません!!)
「……ってのは、流石にまだまだだよね………。」
本音は脳内に留めておき、ぼそりと呟く青年であった。
「……それじゃ…どうせ一日一緒に、っていうなら、
いつか一緒にどっか泊りで旅行にでも行こうよ……!」
-
「………よかった。さすがにそこまでの意地悪はしないよね……。」
話をわかってくれたことを察し、安心したように息を吐き
「一緒に旅行……それならまだ大丈夫……。
ベッドが別々じゃないと恥ずかしくてたまらないけど………」
-
「……何処がいいかなぁ…温泉街とか……やっぱ夏だし海とか……
……んーー……まぁ、そうだね、ベッドは別で……。」
少女と二人で旅行…早速、心踊る計画に思いを馳せるのであった。
「……でもさ、アンナって凄い恥ずかしがり屋だよね。
…かと思うとコスプレとかしてくれたりもするけど……。」
-
「……………。」
(………フェムト……考えてることが駄々漏れだよ………えっち。)
旅行先が双方ともにアレな場所だと勝手に解釈して呆れた様子でフェムトを見ている。
フェムトのそっち方向の人徳の無さが招いた悲劇(?)だ。
「……それは僕だってあまりそういうのはしたくないよ。
でも、一度やるって言っちゃった以上、やらざるを得ないしフェムトをあまり困らせたくないし……。」
-
「………。
……な、なにその目は……!?
……もしかしてほんとは旅行は嫌だったり……??」
まさかそういう風に思われているとは思いもせず、ひとりわたわたするのであった。
「……はは、そういうところが律儀というかなんというか……。
…それに、別にやんなくても俺は困りはしないよ。…ただ、残念ではあるけど……。」
-
「……いや、旅行自体はいいんだけど………。
その………出来る限り如何わしい所は避けてね?」
言葉を選んでフェムトに伝えたいことを伝えようと
……二人で旅行に行くこと自体は内心楽しみでもあるのだ。
「……残念といわれるとなおさら断るに断れないよ……。
それに、服まで用意されたら着ざるを得ないし」
-
「べ、別に如何わしいところなんて行かないし…!」
青年にとっては、海も温泉もそれ自体はそこまで如何わしいという認識は無い…。
…そりゃほんの少しは水着とかは期待してなくもないが。
「…いやぁ…こっちとしては、服を用意した甲斐もあったと言うモノ……。」
-
//急に眠気が…今日はこの辺りで落ちます、おやすみなさいませ!
-
「………だって、海とか、温泉とか言ってたよ……。
……フェムトはえっちだからすぐにそういう方向に話を進めてくから油断できない……。」
フェムトの話を信じておらず警戒している様子。
「それにしても、サイズまでピッタリだよね。あの服。
……どうやってサイズを見積もってるの?」
(胸のあたりは苦しいけど……。)
いろんな服を着せられたがそのどれもがしっかりとサイズがあっているのを疑問に思い訪ねてみる。
-
信用の店
価格 が低
http://mxzfw.com/nm
http://mxzfw.com/nj
http://mxzfw.com/nh
http://mxzfw.com/nk
-
>>894
「…い、いや…旅行行くならその辺りが無難じゃん!
俺としてはそりゃアンナの水着姿に興味が無いわけはないですけどね、はい。」
「……フフフ……俺の鑑定眼には狂いは無いのだよ……。」
見ただけでずばり当ててるのだろうか…
無駄に変態的な眼である。
-
「………むぅ、それはそうだけど……。
……フェムトと一緒に行くなら水着は露出が少ないのを選ぶよ……。」
「………………。
……だったら、胸のあたりはもう少しゆったりとしてくれる?」
まさか眼だけであそこまで正確に作ってくるとは思っておらず、呆れた目でフェムトを見て
ついでに胸が苦しいことも伝えておく。
-
「……うぅ……それは勿体無い……。
……すこしばかり刺激的な水着の方が、より魅力的だと思うんだけどなぁ……。」
「…あ、あー……流石の俺でも、ちょっとの誤差はあった様だな、ハハハハ…!」
当然わざとなのだが、誤差ということにしてごまかすのであった。
-
「………刺激的って……。
さすがに他の人もいる中で変なのは着れるわけないよ……。」
冗談と受け止めているのか苦笑いしながら
「…………ちょっとで済まないくらいだったけど……。
それに、制服着たときはスカートも短かったし……。」
むぅ、と疑いの目をフェムトに向けている。
……ごまかしきれていないようだ!
-
「……他の人……
……あぁ…確かに……そんなの着てるとこ、あまり他の人には見せたくないかもなぁ……。」
刺激的な水着姿は見てみたいものの、それなりの独占欲の様なモノもあったり…。
「……い、いやぁ……。
あれはとても良いモノを見せていただきました……。
…じゃなくて!女学生のスカートなんてあれくらい短いものだよ…!」
-
「………だから……その、刺激的ってのがどんな水着かはわからないけど、
僕は普通の、あまり目立たないような水着にしたいなぁって……。」
「…………それでもあれは短かったよ。少し動いたらパンツ見えちゃう…。
……あの制服自体は可愛かったからあまり言わないでおくけど、次からはあまり意地悪しないでよね……。」
-
「……つまりですね、ビキニとかそういう思いっきり露出の多いヤツとか……。」
(…その豊満なボディを活かすには、露出大目がやはり……!)
「…ハハハハ…ま、まぁもうサイズは完璧に把握したから!
……っていうか、次から、って事は、次のもやる気はあるのかい……?」
-
「……目立たないって言ってるのに……。
フェムトのバカ………。」
……あくまでも露出が少なめのにしたい様子である。
「………つ、次とか、あまりやる気はないよ!
フェムトがまたやらせてくるかもしれないし、そういう時のために保険を貼ろうと……!」
ボソリと出てしまった失言を突っ込まれ、慌てふためきながら弁明している。
-
「……まぁ、でも露出少ないのでいいや…!
一緒に海に行けるなら……!」
助平心は無いわけではない……
が、なにより少女と共に何処かへ旅行に行って楽しみたい、
というのは青年の偽り無い本心である。
「……ふふふ……
気をつけないとダメだよ……
そういう言質をとって俺はまたアンナにきわどいコスプレをさせるからね…!」
-
「一緒に海……。
僕だって一緒に何処かに行きたいとは思ってたし……うん、行っても良いかな……。」
フェムトと何処かに行きたいと思っている事自体はこちらも同じ。
故に、向こうが水着のことで妥協してくれるのならこちらもそれに答えようと思い、細々とした声でそう言い。
……どんな水着を着てきてもフェムトにからかわれるビジョンが見えるのはさておいて。
「……えっち。」
結局変わりのないフェムトにはこの一言だけで十分であった。
-
「……やった……!
……じゃ、今度行こうよ……!
……うーん……どこの海がいいかなぁ……。」
どうやら少女も乗り気になってくれた様子……
思わず表情が晴れる青年なのであった。
「……むぅ……。
…ま、前にも言ったけど…男とは大体えろいもんなのだ……!」
-
「……えっと……よろしくお願いします………。
……どこの海って、一番近い海でいいんじゃないの…?」
地形的な意味では知っていても海としての評判云々は全く知らない以上、
「……フェムト、その言葉を言い訳にしてない………?
際どいコスプレ服持ってきても着ないからね…?」
-
「……そうだねぇ……無難に一番近いとこでもいいかなぁ。
……南の海の離島……なんかも面白そうだけど……。」
「……でも、それでもなんとなく着てくれてしまうアンナはなんというか律儀というか……。」
経験上、押しにそんなに強くない事は知っているのであった。
-
「離島……?フェムトの考えることはわからないよ。
行くだけでも結構な時間がかかるよ?」
「………こ、今度こそ着ないから……。」
自信が無さそうな声でそういうのであった。
-
「……でもさ、旅行の行き先としては結構な人気だよ?
……ツアーとかも結構あるし……。
……俺も一度は行って見たいんだよねー。」
南のさんご礁に囲まれた島への旅行…
と、言うのはバカンスの過ごし方として王都の人間にはそれなりに人気である。
「……はいはい。
……じゃ…ひとまず、今度はあんまり露出の無い様なヤツでいってみようかな…?」
-
「ツアーがあるなら、あまり危険じゃないと………。
……でも、とりあえずは近くの海でいいかなと思う………。
さすがに水着姿で長い間ふたりきりなのは健全じゃないし……。」
「……結局、やるんだ………。」
(たぶん、また胸元がきつい奴になるんだろうなぁ……。)
-
「……二人っきりってわけでもないんだけどね。
離島だけど、小さな村があって旅館とかもあったりするみたいだし…。
でも、まぁ近くの海が無難かなぁ。なにより手軽だし……。」
「まぁ楽しみにしててよ。
…たまには、普通に似合いそうな服を……。」
…となると、それはもはやコスプレではないのかもしれないが。
-
「うーん………。予め予約とかをする必要があるんでしょ……?
それなら、近くの海でもいいかな……。いつでも行けるから。
……実を言うと、一度父さんのところに顔を出さないといけないんだけど、向こうが開いてる日にちがわからないんだ……。」
申し訳なさそうにごめんと言って、頭を下げる。
あまり長居する気はないのだが、もしかしたら約束を破る事になるかもしれないからだ。
「………どういう服?
なんだか、あまりいい予感はしないけど……」
-
「……あ、そうなの……?
じゃ、海いけないかも…って事かぁ……。
そうなったら残念だなぁ……。」
「…うーん……今度はどうしようかな。
……ネオベイの方の衣装とか似合いそうだなぁ……。」
-
「……向こうの予定は8月の中盤までは間違い無く開いてないからそれまでに行けば大丈夫だとは思うんだけど………。
フェムトの予定もあるだろうし、すりあわせられるかな……。」
まぁ、彼女自身いきたいと思っている様で、どうすればいいか考えている様子。
「……ネオベイ?『ジュウニヒトエ』とか『キモノ』とか名前は聞いたことはあるけど、実物はよくわからない……。」
-
【王都郊外/森林】
「…………っ!」
ばすん、ぱすん、ばすん。
森林に実弾性火薬銃の乾いた音が響く。
それを構え、木偶の的に撃っているのは褐色の肌に白い髪の少年だ。
首元には長い紅いスカーフを巻き、腰には立派なガンベルトを巻いているが……
「……当たらない……。」
木偶的に当たっているのは、三発に一発だ。
-
「おんやぁ……?」
日課の深夜の"散歩"の途中。
銃声を聞きつけ、気配を消して何事かと近づいて来てみれば見知った姿。
「なんたる偶然…。にしても凄い命中率だなぁ……逆の意味で…」
何故かコソコソと木の陰に隠れ、そこから覗き見を始める。
-
「……っ。」
少年は隠れ覗き見する娘に気付く様子も無く、
手に持つ回転式拳銃に慣れた様子で弾丸を込めて。
「……………!!」
すかさず、放つ。
その動作だけで言えば慣れた物だ、修練を重ねたのだろう。
が、その弾丸は何か呪いでも掛かってるのかの如く、当たらない。
当たっても腕の端や脚の端ばかりである。
-
「わぁぉ…この距離で当たらないもんだっけ…銃って……」
あまりの命中率に半ば呆れつつ眺めている。隠れて。
「(……ハッ これはもしや…チャンス……!?)」
ニヤリと悪い笑みを浮かべ、気配と足音を消してゆっくりとクォヴレーの背後へと近寄って行く。
-
「…………っ!」
ぱす、ぱす、ぱすと。
乾いた音を立てながら弾丸は掠り続ける。
或いは腕を、或いは脚を、同じようなところをびっくりするぐらい掠り続ける。
「……ぅ。」
少年ははぁ、と溜息を吐いて肩を落とす。
……チャンスだ。
-
「……」
息を潜めてギリギリまで近づき
「スゥゥゥーーー……」
ゆっくりとたっぷり息を吸い
「 わ っ っ ! ! 」
思い切り大声を出す。
やることが古典的というか、ベタすぎる。
-
「…………。」
娘の接近にも気付かず、狙いを引き絞る。
狙うは、腕、何度も何度も反復練習を重ね、何度も狙った腕。
眼を細め、引き金を絞って……
「っ!?」
びくーん、と背を逸らしてあろう事か銃を落っことしてすっ転ぶ。
-
「やっほー、こんばんちわ♪」
転んだクォヴレーを見下ろしつつ、クスクスと笑いながら手を振る。
以前と同様、スカートの丈は短い。しかも今日は素足である。
暗いせいで中まで見えないのが救いか残念かは微妙なところだろう。
「訓練してたの? 精e…精が出るねぇー」
おい今何言おうとした。
-
「……っ、え、えと、君、は、確か……。」
すっ転んだ状態で慌てて起き上がって、混乱した様子で少女を見上げる。
何が起きたか解らない様子である、ここが戦場ならオブツダンだ。
「あ、う、うん……。」
混乱してた故気付かない、やったぜクッボ。
-
「そうそう!元気印の天才美少女、エンジュちゃんよん!」
クルリと一回転し、ウインクを。
何でこの子この時間にこんなにテンション高いの。
「銃ってそんなに難しいもんなの?」
その場にしゃがみ、顔を覗き込みながら。
-
「あ、うん……」
短すぎるスカートにふ、と目線が落ちるも。
なるべく見ないようにしておく(迫真)
「ん……練習は、してるんだけど。」
手元に転がった銃を見て、苦々し下に言う。
芳しくはないようだ。
-
「ふぅーん……どれどれ、貸して貸してー!」
銃をひったくって立ち上がる。
視線を上に上げてはいけない(戒め)
「えーっと、撃鉄を起こして…」
慣れない手つきで撃鉄を起こし、人形に向けて両手で構える。
-
「わ、ちょ、あぶ、あぶ……!!」
何の変哲も無い、実銃。
少々大口径か、手入れもされ、弾丸も5つ入っている。
……拳銃を向けて見てなんとなーく解るが、
弾丸は"同じ様な所ばかり"掠っている、……頭部付近は残念ながら殆ど当たってないが。
-
「んー…? (腕のとこばっかだなぁ……)」
それに気づきはする。するが
「ま、いっか。 ショット!」
残念ながら深く考えるタイプではない。
そのまま引き金を引き、撃tt
「にゃあ!?」
…たが、反動で大きくよろけ、そのままクォヴレーの上に倒れこむ。
体重も軽いし、腕も細い。両手持ちでも衝撃は殺しきれなかったようだ。
-
狙ってるのか、狙ってないのか。
狙っているとすれば……?
「あ、ちょっ……!」
慌てて立ち上がって止めようとする、が。
「…………っ、っ、っ!?」
押し倒される。
いや、押し倒されるというか事故なのだが、現実的には押し倒されているのだ。
つまり何が言いたいかというと身体が密着し、エンジュがクォヴレーに覆いかぶさる状態。
即ち押し倒されているのだ。
-
「アイタタタタ……。大丈夫〜?」
自分の腰をさすりながら上体を起こす。
そうすると、クォヴレーの腰の辺りに跨っている体勢となる。
「いやー…ビックリしたぁ。こんな衝撃強いんだねー」
まだ痺れるのか、手首をブラつかせながら。
彼女はまだ気づいていないが、この体勢はマズい。
何がっていうか、とりあえずマズい。
-
「っ、え、えん、えんじゅ……!」
押し倒された体勢のまま、色々な我慢をしながら
大慌てで声を掛ける。色々って何だ、色々だ。
「と、とりあえずあの、ま、まずいから、退いて……!」
何がまずいのか、ナニだろうか。
-
「ん?」
クォヴレーの腰は両側から柔らかい太ももで挟まれている。
新手の拷問か何かか。
「ん? …んんん〜?」
しどろもどろになってきたクォヴレーの様子を見てようやく状況を察したらしく、
以前にも見せた意地悪気な笑みを満面に浮かべる。
もう嫌な予感しかしない。
-
「…………っ!……っ!」
脳内に必死で怒った時の銃の師匠の顔を思い出す。
が、腰部に伝わる柔らかい感覚と最早艶かしいというレベルに見えてくる少女の肢体の前に、
脳内から一瞬で薄幸そうな師匠の顔が消えた。
「は、は、はやく、ど、どいて……!」
眼ぇ瞑りゃあいいのに顔を背けるのみ。
見たい、が、見てはいけないという理性。
-
「えー、何でぇー? アタシまだ打ったとこ痛いから立てなぁーい♪」
わざとらしい。それも凄まじく。
そう言いながらもニヤニヤと笑い、グリグリと腰回りを動かす。
ご褒美か罰かと言われれば普通はご褒美だろうが、クォヴレーにとってはある意味修行よりもキツいかもしれない。
-
「っ、! っ! ちょ、……っ、っ、っ!!」
最早言葉も無い。
必死で我慢しながら目線だけで退いてくれる様に促す。
天国と地獄を同時に味わっている、何故ならば反応してしまえばそれはもう取り返しが付かない。
が、このままの体勢をもう少し続かないかなと思っている己も居るヘルアンドヘブン。
-
「あー…なんか疲れてきちゃったなぁー」
物凄く棒読みでそう言い、上体も落として完全にくっついた。
なんていうか、こう、もう、柔らかい(迫真)
「あー、この体勢楽だなぁー」
棒読みを続けながら腕を首に回し、ほぼ、というか完全に抱きつく体勢に。
-
「」
硬直。 死後硬直ではない。
完全に固まったのだ、色々なものが。
主に思考とか、あと身体とか、身体とか。
-
「ねぇ…クォ・ヴ・レ・ェ…♪」
完全に密着したまま、生暖かい息を吐きながら、耳元で甘ったるい声色を出す。
「アタシ……シたくなっちゃった…」
えっ。何を? えっ。 えっ?
-
「……ぇ、えん、じゅ、ど、退かないと……」
若干の理性をどうにか取り戻しつつ、
起死回生、一打逆転の一言、武力行使を示そうとするが。
「」
ま た も 思 考 停 止 。
言い訳出来ない感じの状態の石化っぷりである。
もうだめかもしれない、かれは。
-
「…ってわけでぇ……」
「トイレ行ってくるね!!」
急にバッと飛び退き、奥の方の茂みの中へ飛び込んだ。
したいってそれか、紛らわしい。汚いな流石くノ一汚い。
「覗いちゃダメだよー? そういう趣味があれば別だけど」
ヒョコっと茂みからニヤニヤした笑みを浮かべた顔だけを出して。
いや、そういう趣味ならいいっていうのはどうなんだろう。
-
「」
石化。
いや、これは石化ではない。
確かに全身と一部分は石化しているが。
これは厳密には石化ではないのだ、なぜならば。
「」
気絶しているのだから。
きっとオーバーヒートしたのだろう。
-
「ふぅー…スッキリしたー」
暫くして満面の笑みを浮かべて帰還し
「…あれ?クォヴレー? おーい…?」
理性を飛ばす前に意識を飛ばしたクォヴレーを発見。
とりあえずペチペチと軽く頬を叩いてみる。
-
「……はっ……!」
ゆっくりと覚醒。
「……なんか、苦しいような、楽しいような、夢を見たような……。」
なんと、脳は忘却する事を選んだようだ。
頭をさすりながら起き上がり、周囲を見渡している。
-
「おー…気がついた?
(ちょっとやりすぎちゃったかなぁー…。ま、忘れたみたいだしいっか☆)」
少々からかい過ぎたかと流石に反省。
が、この反省が次回に活かされることは間違いなく無い。
「いやぁ、急に倒れるもんだからビックリしたよぉー」
先程までの棒読みとは打って変わって、完璧なまでの演技である。
-
「……あ、う、うん。
……一体何が……?」
知らぬが華である。
いや、今回の場合知っていても華は華だが、毒がありそうなものの。
「……確か、エンジュが驚かして来て、それで……」
あっ、思い出しそうだ。
-
「そうそう。そんで、ビックリしすぎてそのまま気絶しちゃったんだよー。
いやぁ、まさかあそこまで驚くとは思わなくてさー。ゴメンねぇー」
やや無理矢理ではあるが整合性がとれていなくもない。
どうやらこれで押し通すつもりらしい。
-
「…………。」
ずーん、と目に見えて落ち込んだ。
どうしたのだろうか、何かあったのだろうか。
「……女の子に、驚かされて、気絶、って……。」
ああ、それは落ち込む。
-
「あー…それは、ほら、アレだよ。あの…ね?」
フォロー下手くそか。
「ま、まぁそういうときもあるって!うん、気にしない気にしない!!」
と背中を叩いて。ゴリ押しする気満々だ。
-
「……うん。」
空気がどんよりとしている。
これはかなり落ち込んでいるパターンだ。
「……けど、……うん……。」
-
「まぁまぁ、元気出してー! ほらほら、折角の男前が台無しだよ?」
ムニィと頬を両手で挟んで。誰のせいだと思っていやがる。
-
「ちょ、ちょちょ、え、えんじゅ……!」
顔に触られてまた真っ赤になって、今度はちゃんと離れる。
初心、というか……耐性が無いようである。
-
「よし、元気出たね!!」
どこをどうとったらそういう意味でとれたのか。
「フフッ…クォヴレーは可愛いねぇ」
肩を揺らしてクスクスと笑いながら。
-
「げ、げんきは、で、た……けど。」
出たのか。現金な少年である。
「か、っ……
……男だし……格好いいが、良い、かな。」
……容姿は格好いい部類なのだろうが。
いかんせん、中身がこれではちょっと、である。
-
「うんうん、やっぱり元気が一番だよ!!」
自分で落ち込ませて元気づけて、いったいどうしたいんだ。
「顔立ちはカッコイイとは思うけどぉー…・もうちょっと中身が男らしかったら満点かなぁ?」
意地悪な笑みを浮かべてそう言う。
-
「……これ、でも……頑張ってるん、だけど……。」
肩を落として溜息を吐く。
と、は言う物の情けない部分しか診ていないような気もする。
-
「なーんていうか…こう、小動物的な感じがどうしても抜けないんだよねぇ。
ほら、猫とか見ても可愛いとは思うけどカッコイイとは思わないじゃない?じゃないじゃない?」
あ、また落としにいった。この子ナチュラルに酷い。
-
「…………。」
目論見通り(?)ずぅん、と暗い雰囲気をまとって溜息を吐く少年。
なんというかフォローというかあの、……トドメである。
-
「まぁまぁ、そんなに凹まない凹まない!
可愛い系の男の子が好きな人だって結構いるんだから! アタシも結構好きよー?」
項垂れたクォヴレーの顔を覗き込んでニコリと笑いながら。
何だかさっきから思い通りにテンションを操られている気がする。
-
「……っ……お、女の子が、その、
……むやみに、好きとか、言っちゃ……」
スカーフで顔を隠して、立ち上がる。
ぶんぶんと頭を振って雑念を払うようにして、落ちてた拳銃も拾い上げて。
-
「アーハン! LoveじゃなくてLikeよー。
まぁ、クォヴレーがもっとカッコ良くなったらもしかしたらLoveになっちゃうかもしれなかったり? たりたり?」
ふふーんと鼻を鳴らして余裕のある笑みを見せる。
「っとぉ。もう結構明るくなてきたねぇー。
ねね。こないだのお店、また行こうよ!」
-
「っ……!!」
かぁ、とまたも真っ赤になる。
いいようにからかわれている状態だ。
「っ、う、うん……
……格好良く、かぁ」
が、お誘いはお誘いでしっかり受ける。
……明日はどっちだ、本当に。
-
「ささ、ほんじゃレッツゴー!ゴーゴー!」
そして前回と同じく、手をとって駆け出す。
恐らく食事しながらもまたテンションを忙しなく上げ下げすることになるだろう。
頑張れクォヴレー、未来はきっと明るい。多分、恐らく、メイビー。
【FO】
-
>>915
「俺はいつでも大丈夫!!」
色々仕事はあったりするが、しかしこっち優先なのであった。
「そうそう、そういうの。
……でも、せっかく夏だし…向こうの方で夏に着る、『ユカタ』とやらが良いかなぁ…。」
-
>>964
「………まぁ、お互いに空いてる日にちに行けばいいと思うよ。
さすがに8月序盤くらいなら予定も無いし……。」
フェムトにとっても自分自身にとっても、根を休めるにはちょうどいいのかなと思っているのであった。
「……ユカタ………実物を見たことがないから着方とかも何もわからないけど……」
知識としては何やら着るのに手順がいること走っていても詳しい着方は知らず。
かと言ってフェムトに手伝ってもらうのも恥ずかしいといったところ。
-
「…じゃ、今度行けそうな日教えてよ!
旅館とか色々、調べて手配しておくからさ…!」
少女と一緒に旅行…どうやら行けそうな雰囲気である。
どことなく気分も今から浮かれてくるのであった。
「じゃぁ俺が着せt……いやごめん!冗談冗談!!!」
-
「……基本的に仕事以外での用事はないから10日くらいまでは特になにもないけど……。」
家族以外でのお泊りなど一度も経験がない少女。
浮かれてはいないが、すこしだけ緊張しているのであった。
「………僕が着方を調べておくよ。」
-
>>967
「じゃ、その辺りまでに行こうか……!」
「……なんか表情が硬いよ、アンナ。
……あんまりこういう旅行とか行った事なかったり……?」
緊張した様子の少女に目ざとく気がついた様で…。
「……ハイ…着てくれるだけで俺は幸せです、ハイ……。」
-
「えーと……旅行には何回か行ったことあるけど、それはフランツとか父さんとだけで……。
………家族以外と一緒に泊まるのは初めて。あと、海にも行ったこと無い………。」
恥ずかしそうにうつむきながら言う。
「………いくらフェムトでも、下着姿を見せる訳にはいかないよ……。」
-
「だったらなおさら丁度いい。
…初めて尽くしなら、きっと楽しめるんじゃない?」
少女にとって初めての体験を共に過ごせる、と言うだけでなんとなく嬉しくなる。
(……アンナの下着姿……。)
「………。
……いや、だから冗談だよ、ごめんごめん…!」
-
「………そう、かな?
だったら色々準備しないと……!」
ふふふ、と嬉しそうに笑いながら
緊張は完全に解れたようだ。
「……………。いまエッチな事考えたでしょ。」
無自覚であるが、ある種の湿原があったとはいえ、少しばかりの沈黙があったのを呆れた様子で指摘する。
-
「……俺も今から楽しみだなぁ。」
笑う少女の顔を見つめて、こちらも笑みを浮かべる。
……楽しげに笑う彼女、と言うのは見ているだけで幸せになってくるものだ。
「……い、いいえ………。
決してそんな事は……。」
否定するものの、目が泳いでいるのであった。
-
「水着も用意しないといけないけど……。
……………水着はコートニーさんに頼もう……。」
一度フェムトのことをチラッと見たあと、ため息を吐いてそんなことを言う。
そんなに信用出来ないのか。
「……………もう。
さすがに今回はゆったりとした服を用意してきてよね……。」
-
「……うーん、信用ないなぁ俺……。
……そりゃそうか、とも思うけどね実際。」
…アンナと水着選び…それだけでもデートとしては最高だなぁ、
とか思うものの、どうやらそこまでは適わない様子。
「…大丈夫デス。今度こそピッタリサイズをあわせてきます、ハイ。」
-
「……だってフェムト、えっちな水着薦めてくると思うし………。
それに水着なんて露出の多さが下着とあまり変わらないからあんまり見せたくない……。」
顔を赤らめながら胸元を隠して
「………むぅ、よろしく頼んだよ……?」
-
「……でもさ、水着ってのがそもそもえろいもんですよ……!?
だからここはいっそ開き直って大胆なヤツを選んでもいいと思うのです…!
……それに……その水着を選んでくれる子が、派手なのを勧めてきたらどうすんの…?」
-
「………大胆なのって……水着の種類をよく知らないけど、、フェムトがそれを着た姿を見たいだけじゃないの……?
それと、あまり肌を見せすぎると日焼けしちゃう……。」
「……その子は最初はもの凄いの薦めてくるけど、その後はちゃんとしたのにしてくれるから……。
この間のワンピース進めてくれたのも彼女だけど、その前にスカートがものすごい短いの渡してきたし………。」
「それを指摘したら、こういうスカートでのパンツは見せるものです……なんて言って来て………」
ははは、と乾いた笑いとともにそんなことを言って。
-
「うん、見たい!」
バカ正直なのであった。
「……いやなんで見たいかって言うと……
……絶対似合うし、素敵だと思うんだけどなー……これは真面目に……。」
「……へー、あれはその子が選んだのかー。
………なるほど……なんとなく話が合いそうな気がしてきた……。」
パンツは云々…と言うのは、青年はもったくもって同意見である。
-
「……………その子も同じ事言ったら考えておく。
あまり恥ずかしいのは着ないけど……。」
顔を真赤にして、観念した様子でそう言い。
まぁ、話を聞いた限りだと着ると言ったも同然であろう。
「……二人がかりで言い寄られてきたらどうしようもない気がする、」
-
(……これは期待が持てますね……。
……頼みましたよコートニーとやら……!)
心の中でぐっとガッツポーズな青年であった。
「…フフフ……その子とは一度語り合う必要があるやもしれん……。」
-
「……語り合わなくていいよ………。
僕が変なことされるビジョンがなぜか見える………。」
なんか自分の話になった結果二人がかりでコスプレの話やらなんやら切り出されるのを想像してため息を吐き
-
「……いやぁ…なんだかんだで楽しいんだね、アンナにアレコレするのは……。
きっとその子も、可愛い子に色々する楽しさを知っているのだろう…。」
好きな子にほど意地悪をしたくなる…といった真理だろうか。
-
「……むぅ、意地悪………。
そんなに僕に色々するのが楽しいの……?」
どこか拗ねたような表情でそう言って
そして、そんなこんなしているうちに帰るにはいい時間になっていたり
-
「反応が面白いし可愛いからさー……
………ってかもうこんな時間か…!
…いやぁ……はかどりませんでしたね勉強…ハハハ……。」
まぁ、薄々そんな気はしていた。
-
「………これからは別々で勉強したほうが捗りそうだね。
僕はともかく、フェムトには貴重な時間を使わせちゃって………大丈夫?」
確か重要な時期の勉強だったはず。
そしてそれを無為にいたということはフェムトに大きな迷惑をかけたというわけで……。
-
「……いやぁ、でも楽しかったよ。
……俺の心配は大丈夫……勉強は後で適当にやっておくさ……。」
「…あんまりはかどらないけど…でもたまには二人でこういう時間を過ごしたいもんだなぁ。」
-
「……フェムト集中力無さそうだけど、さすがに大丈夫だよね。
一応、信じてるよ、ダメだったらまた勉強しようね……。」
口笛吹いたりしてたのを気にしてたのかそんなことを言って
「……こうやってゆっくりするのも悪くはないよね。確かに。
…………偶には、こうやって二人でゆっくりする?」
-
「集中力の無さには定評がありますけど、
試験とかはギリギリで通す事にも定評があるので多分大丈夫……。」
「……うん!
……またアンナの部屋来てもいいかな、お菓子作って持ってくよ…!」
また少女の部屋に来る口実が出来たというもの…。
「さてと、俺はそろそろ帰ろうかな?
……それじゃ、またねー……!」
勉強は捗らなかったものの、
少女と旅行の約束を取り付けたりしたので、上機嫌で帰っていったそうな。
-
「またね、フェムト……」
上機嫌で帰っていくフェムトを手を振って見送っていった。
「……それじゃあもう少しだけ勉強しようかな………」
そう言って再び机に向かうが、これからのことが楽しみで少しだけ浮かれて、あまりはかどらなかったそうな……。
【FO】
-
<王都のどっかスターキャッツカフェ内>
【明かりはぶら下がるランタンのみ。木製の薄暗くレトロな雰囲気を醸し出す店内。】
【カウンターに立つは黒布を巻いた二足歩行で尾にリボンをつけた小さな渋めの黒ネコ。
店内の隅にはネコ耳をつけた2m弱の大男の人形があるが気にしてはいけない。
そしてカウンターの目立つ箇所に"酒場のマスター"とサインされたカードが飾られている。】
-
「さまあああああ!」
いつものように梁の上から急降下してきたちみ妖精。
今日のファッションは、レトロ風ウェイトレス夏服である。
「にゃにゃにゃ……夏にゃ。銭のかき集めどきにゃ」
どん、とカウンターの上に着地。
小道具の一つの彼女サイズの小さな本には「けーえい」と書かれている。
-
「あー、イエー!
色んなものが弾けたり、照り付けたりする時期にゃ……。」
【こちらはこちらでグラスを磨くという珍しくもカフェの
マスター的な行動を行っている最中である。】
「にゃにゃ。……ってか、その服とその本だと秘書にも見えるにゃね。
――――っは、これはもしや、そのような高等テクニック……!?」
-
>>992
「そしてここにおん・ざ・めがね」
ちゃき、とメガネを装備。
これでもう、知的眼鏡ネコミミウェイトレス妖精なのである。
いやらしい想像するやつにはビンタだ!
「完璧じゃにゃ?」
「んでもって、夏にゃぜ夏。学生ももうさまーなばけーしょん。ここで稼いでおかねばならぬぜ、マスター」
新商品の開発とかしようぜ、となんかすごい乗り気。
-
「な、なんということでしょう……!
まさに劇的!そして刺激的――――ん〜、ビンタ!
これで、世のネコ共を悩殺、にゃね!」
【アンリの姿を上から下まで見回すと、指を弾くような動作をする。
果たして、これがネコ的に興奮をくすぐる部分があるのだろうか?】
「まぁ、稼ぎ時にゃけど、難しいにゃよね。
サマーバケーションだったら、ほとんどの学生は遊びに行くからにゃ。
下手すれば、売り上げダウンにゃ。」
-
「ごあんしんめされい、ますたー」
ふっふっふ、と人差し指を立てて左右にゆらす。
「ちっ、ちっ!」で有名なジェスチャーである。
「すでに大手若者向け雑誌の取材を受けることを水面下で進めているにゃ」
「ますたぁーの承諾待ちなのが何本かあるにゃね。大手若者向け雑誌「Nyan Nyan」と「にゃんこ自身」に「ジグザール旅レポ」の三つにゃ!」
仕事人モードにスイッチオン。
かつての悪戯妖精という人畜有害な存在からここ数年で一転、経営に本気になる妖精となっている。
-
「……な、なに……〝Nyan Nyan〟……だと!?
しかも〝にゃんこ自身〟まで……!」
【その雑誌に反応を示す。
よほどの衝撃だったのか、磨いていたグラスを落としそうになるが踏みとどまった。
おそらくはネコに関する雑誌のため、ジグザール旅レポを除けば、馴染みがあるのだろう。
まして、このネコはネコの国の出身である。】
「Nyan Nyanといえば、ネコたちのファッションバイブル……!
ワンダーキャッツパラダイス(以下、WCP)にいる我が幼馴染的ガールも愛読していたにゃ。
あんなトレンディな雑誌に吾輩の店が……?」
【地味に幼馴染とかいたらしい。】
-
>>996
「いやぁ、地味に店長の店って隠れ家的お店(笑)じゃん? ゆるふわですいーつであいされたいしつのじょし(笑)……ごめ、限界」
自分で言ってておかしくなったのか、げらげら笑いながらカウンターを叩く。
とりあえず、頭の足りない若い女性が入ってくるのを狙っているらしい。
「まぁ購入者層はネコ族が大目の雑誌にゃから、今アンリが言ったような面倒なのは来ないとおもうけどにゃー」
「んなわけでゴーサインが出ればこの話をいいようにもってくにゃよ」
収益倍増、知名度倍増間違いなしとアンリは胸を張って言う。
取材の話はそれはもうネコの手のひらには納まらない冒険があった……かもしれないぞ。
「実際に受け答えすんのはてんちょーにゃからにゃ。受けるとなったら向こうから質問する内容送られてくるはずだから考えといてにゃ」
あと写真もとられるから覚悟しとけにゃ、とのこと。
-
「にゃー、ネコの額というわけではなさそうにゃね。」
【随分と大きくなりつつあった話に驚きを見せつつ。
とはいえ、取材とはお店にとっても大きなチャンスである。
しかし、ネコにとっての雑誌にネコカフェの宣伝である。】
「にゃー、考えたら結局はネコがネコを呼ぶだけにゃね。」
【うーんと腕を組んで、少し悩むような素振りを見せる。
売り上げが上がるのは嬉しいのだろうが、来る客がネコだけだと意味が無いと考えているようで。】
-
>>998
「アンリはそこに生じる副次的なものも考えているにゃ」
ふっふん、と腕組をしながら言葉を続ける。
「ネコが集まり続けるお茶のお店がある、なんて話題に上がればこっちのもんにゃ」
「そんなめずらしーなら、と話題を求めてるわかもんがあつまるにゃ」
「あとはこっちのもんにゃね。おいしいお茶とすいーつで悩殺。ついでにてんちょーのネコぼでーで魅惑。リピーター獲得間違いなし」
いつかは、バッカスにだって並べられる意気込む。
向こうは仕事請負の場にもなってるのでシェアは奪えないが。
そもそも、あそこの格安でそこそこの宿が取れるという経営が神がかっている。容易な相手ではない。
-
「にゃるほど、ネコ客を先に獲得してからのジグザールというわけにゃね」
【組んでいた腕を解いて、今度は納得するように手を叩いた。
確かにそういう意味では集客が出来るだけで十分かもしれないからだ。】
「それなら、いけそうにゃね。
にゃにゃにゃ、ということはアンリもマスコット秘書ネコ妖精として華々しくでびゅーにゃね!」
【とはいえ、バッカスに及べるとはこのネコもさすがに思っていないようだが。】
-
>>1000
「にゃ、アンリも? にゃはは、一従業員は取り上げなくても結構にゃ。この店はテンチョーのだしにゃ」
ぶんぶんと手を振る。
ただ、自分も写真に撮られたとして、自然な形なら――。
「ああ、店長を中央に、周囲にアンリ含めた従業員で写真とってもらうかにゃー」
「バイトの連中は当日は目を白黒させながらくるにゃろ、多分」
あいつらにはしこたま驚いてもらおうにゃー、と人が悪くうけけと笑う。
やっぱり悪巧みは大好きである。このごろ悪戯の方がご無沙汰であるし。
-
「にゃー、従業員あってこその店にゃと思うがにゃ。
それに、仮に業務の風景を取られるとあれば、アンリが写る可能性も大いにあるにゃ。」
【一人で経営していた時期もあったが、今となっては従業員を抱えている。
流石に、自分の力だけでカフェが成り立っていると思ってはいないようだ。】
「まぁ、驚くだろうにゃー。
いつの間にかネコ共満点の空間――――まさに、ネコカフェになっているだろうからにゃ。
……にゃにゃ、随分と規模の大きいアレにゃね、アンリ。」
【その見覚えのある悪巧みの顔に。】
-
>>1002
「にゃっにゃっ。まぁその辺のレイアウトはプロに任せることにするにゃー」
「精々バイトには身だしなみに気をつけてもらうとするにゃ」
突然のメディア露出。
そんなことが決まれば、きっと右を左の大騒ぎになるだろう。
「夢と悪戯は大きくしていきたいところにゃね」
「バイトにはギッリギリまで隠し通そうにゃー」
驚きは新鮮なほどいい。
素晴らしい、と悪巧みの笑みでホクホクであった。
//では時間も過ぎたのでこれにて!
-
「うむうむ。吾輩としてはぜひともスポットライトに当たって欲しいにゃがね。」
【店長としてはやはり、従業員にも出てきて貰いたいようだ。
まして、決して平凡とはいえない個性豊かな面々が集まっているとあれば、尚更である。】
「にゃー、正直、隠し通せる自身がないにゃが。……まぁ、頑張るにゃ。」
【とりあえず、当面はメディア露出の件について秘密という方針を採ったとか、FO】
//了解しました。お疲れ様でした!
-
王都すぐ近くの森
「大漁大漁っと」
【口笛を吹かんばかりにご機嫌な剣士風の青年が歩いている】
-
ゴブリン討伐クエスト。
何の変哲のない村で家畜がゴブリンの被害に合っているとの事で冒険者を派遣した
しかし、思いのほかゴブリンが散開してしまい朝方始まり昼には終わるはずのクエストも
最終的には夜になる一歩手前までかかってしまった
帰りの馬車の中で、他の新米冒険者や小銭稼ぎで来た猟師なんかは帰りの馬車の揺れの中でうとうととしている
-
「んが…Zzz」
左腕に魔石の嵌った手甲を付け森私塾制服を着た左眼帯の娘が
天に向かって大口開けて眠りこけている。
-
【他のMOB参加者同様、馬車の中で幸せそうな寝顔をさらしているのはピンク髪のツインテ少女】
「むにゃむにゃ……」
【ちなみに緑プニは、他の人に預けているため一緒には来ていない】
-
>>1006
「はぁ疲れた……この調子だと日が暮れると思ってたけどまさか本当に日が暮れるとは……」
「帰ったらゆっくり寝ようかな………」
そのまま揺れる馬車の中で眠りにつく少女。
-
「……………」
「ん………」
疲れたムードが漂う馬車の中、一人、ふと何かの拍子に目を覚ました
黒く整った長髪で、どこか冷たい印象を与える顔
そんな顔に眠気を貼りつかせ、いつから眠っていたのだろうかと鈍い頭を働かせながら姿勢を整える少女
「(……… 妙な時間に起きてしまったものね)」
「(王都まではまだ遠い、疲れているはずなのに眠れなさそうな感じ……)」
「………ハァ」
ため息をつくと再び、目を閉じて体重を馬車に預ける
眠れることを期待しつつ、目を開けているより疲れがとれるだろうと
-
>>1007-1009
「あと少しで寝れるんだ」
フヒヒと笑いながら剣を大事そうに持っている新米女冒険者。自分の荷物を取られないように必死に守っているようにも見える
それとは違い、何やら必死に起きるように努力している猟師
その迫力はクエストの時より必死で、何かに怯えているようにすら思える
-
>>1010
目を覚ましたリアナには聞こえてきた
うとうととしている猟師が何やらブツブツつ呟いているのを
-
>>1011
「………むぅ……zzZ」
完全に眠りこけているようだ。
-
>>1011
「Zzz…んがふっ!?」
ガツン!と壁に後頭部を打ち付けて目覚める隻眼。
「………え、何?」
周囲を見回した後、猟師の迫力に怪訝そうにして呟く。
-
>>1011
「むにゃむにゃ…・・・うへふふ〜……ふぇっ!?」
【わけのわからない寝ごとを言っていたかと思うと、突然割れた鼻提灯に驚き、あたりをあわてて見回す】
「……むにゃ」
【そして、また寝た】
-
>>1011-1012
「…………」
目を閉じて体を休めようとしても、猟師の呟きで集中力が乱され眠れない
普段ならこの程度の妨害、屁でもない 自分がつかれているんだと、改めて認識した
「……休めそうにないわね、少なくとも今のままだと」
「眠りたくないのなら素直に起きなさい、私の眠りを遮ったのだから」
そう言って、ブツブツと呟く猟師の肩に手を置いた
詳しく言えば眠りを遮ってなどいない、単に自分の集中力の問題
だがしかし少しイラッと来たのだ
-
>>1013-1016
壮年の漁師は気にせず呟いている
起きているドムスとリアナは猟師の言っている言葉がわかった
「山神さま、どうか我らに御慈悲とご加護を。山神さま、どうか我らに御慈悲とご加護を」
そう、彼は必死に祈っているのだ。それも、必死に
「さっきから山神様山神様うるせーよ!」
しびれを切らしたのか猟師の隣にいた新米の女冒険者が漁師に怒鳴り込んだその時だった
馬車が急に止まったのだった
-
>>1017
「…あっれぇ……ここら辺ってなんか伝承の類あったんだっけ?」
がりがりと頭を掻きつつ大欠伸。
「馬車も止まるしヤーナ、カンジー」
-
>>1017
「ひゃまっ?!…・――ふひゃぁぁぁっ!」
【新米の叫びにさすがに飛び起きるニンフェ。
そして身構える間もなく急ブレーキをかけた馬車、大きく揺られ転がる】
-
>>1017
「zzZ…………………?」
馬車が止まった時の衝撃でふと目を覚ます。
「………着いたの……?」
そこから顔を覗かせ辺りを見回す。
-
>>1017 1018
「少なくとも私は、聞いた事が……」
「―――!」
一瞬の衝撃、その直後に馬車が止まった事を悟る
王都からはまだ遠い、その認識は間違っていないはずだ
魔物か、盗賊か 懐の魔銃に手を伸ばす
「…… 御者さん?何かトラブルでも起こったの?」
-
>>1018>>1021
ここいらの地域はマイナーな部類に入るため仮に知らなくても仕方がないであろう
もしかしたら、猟師が何かを知っているかもしれない
>>1018-1021
「あれーおかしいな……どうなっているんだ?」
困惑気味に答える御者
「急に止まるなよ!」
猟師に向けていた怒りを御者にもぶつける新米女冒険者
「いやぁ、でもですね」
困惑気味に答える御者
「分かれ道なんてあったっけかな?」
馬車からは見えないが、どうやら御者は分かれ道で迷っているようだ
-
>>1022
「…ん?分かれ道ぃ?」
来た時はどうだったかと無い頭をひねって思い出そうとする。
-
>>1022
「………来た時は依頼の事で頭がいっぱいだったけれども」
「私の記憶が確かなら、分かれ道なんて無かったはずよ、見落としがあるかもしれないけど」
「それでも御者さんが迷っているって言う事は間違いなくなかったはずだし……」
来た時の記憶を手繰り寄せながら、印象に残っていない行きの旅を思い出す
そして自分以上にこういうことを何度もやっている御者が覚えていないという事は、間違いなくなかったんじゃないかと
「……狐に化かされている?ここら辺に出るなんて聞いたことないけど……」
「眉に唾塗ったり煙草を吸ったりすればいい、だったかしら?」
-
>>1022
「うーん……?」
【謎の分かれ道に…というより、周りの様子に首をかしげる。
イマイチ重要性がわかってないぞ、こいつ】
「……どうなってるのかなあ?
なんだか大変だねぇ」
【ヘラリと笑いながら、猟師&新米冒険者に笑いかけつつ声をかけた】
-
>>1023
「まさか……何処かで道を間違えたとか………?」
怒鳴る冒険者を見て完全に目が覚めた様子。
-
>>1023
ドムスは思い出そうと考える。
依頼の事を考えたり窓の景色を見たりしていたのを思い出し、そして分かれ道なんて無かった事も思い出した
>>1024
リアナの記憶でも分かれ道を曲がったなんて記憶はない
「いえ、まぁそう言ったおまじないはね、しているんですけどね」
あれーおよよと悩んでいる声
>>1025
「全くだよ、分厚いステーキがくいたいってのにさぁ」
新米の女冒険者はイライラした感じで答える
猟師は相変わらずブツブツと山神様どうか御慈悲とご加護をを繰り返している
それもさっきより、悲壮で必死さにも色がついてきたほどだ
>>1026
「それは無いですよ。ここいらの道は全て一本道で分かれ道なんて余程の獣道ぐらいでしか見ないですよ」
あーとかうーとかうなっている
パラパラと捲る音から地図を複数見ている
>>1023-1026
「お客さんがた、どうしますか? どっち行きます?」
御者は悩んだ末、皆の意見を聞くことにしたようだ
「右か左か好きな方をお願いします。どうせ片方は外れても戻れますし」
-
>>1027
「いや…一旦ひき返したらどうなの、これ……え、どっちか進む流れ?」
周囲を見回す。
「どーちーらーにーしーよーうーかーなー……右…かなぁ?」
-
>>1027
「うん、おなかすいたねぇ〜。
あっ、クッキーたべる?」
【新米冒険者に同意したあと、】
「……おじさん、大丈夫?」
【山神様とか慈悲とかブツブツ言っている猟師の顔を覗き込もうと、少し屈み込む。
実家が宗教に深かったので、困っている人は気になるのだ。
ちな巨乳だっちゅーの】
-
>>1027
「………効果がない、と」
「それなら幻術魔法……?だけども、なんのために?」
何か妙な事に巻き込まれている、その感覚は間違いないが
巻き込んだ何かの意図が読めず頭を抱える少女
>>1028
「……私も彼女の意見に賛成よ、右に進む方じゃなくて戻る方に」
「何の変哲もない、パッとしない村だったけれども宿泊施設くらいはあるはず」
「無くても妙な道の先に進むよりかは村の近くで野宿した方が何倍もマシ」
冒険者という職業柄、自分の拠点から離れて眠る事に抵抗はない
抵抗があるのは、目の前にある二つの道のどちらかを進まないといけないという事だけ
「………神に祈っている彼、心当たりはないかしら?」
-
>>1027
「じゃあ何で分かれ道が……」
「とりあえず……左かな?」
直感でそう考える。
-
>>1028
「どっち行きます?」
少し楽しそうに答える
「はい、右ですね」
>>1029
「お、ありがたいね。ありがたくもらうよ」
そういって、クッキーを一つ摘み取る女冒険者
「え?あ、あぁ……大丈夫だ」
祈りの言葉が終わった後に声をかけられたので気がついたようだ
答えるが、少し元気がなさそうだ
>>1030
「さぁ?わかりません」
今なら幻術系の魔法を調べる事も可能であろう
「ですよね、右左は冗談ですよ」
あはははと苦笑いしながら馬車をその場で回し始める
「俺は、俺は何も知らない。すまない」
俯きながら申し訳なさそうに答える
嘘は行っては無いが何かを知っているようにも思える
>>1031
「では集計で右一票左一票戻る二票でもどりやーす」
そういって戻り始めた
>>1028
戻り始めた馬車で景色を眺めていたドムスはあることに気がついた
森の奥で一台の馬車が朽ち果てている事を
-
>>1032
「………なーんで馬車が朽ち果ててるんですかねぇ?」
ちょっと警戒しとくかなあ、と。
「御者サンちょいストップ、僕外出るよ」
カンカンと踵を2、3打ち付けるとその身体がフワリと数センチ浮く。
「ちょっとの間なら…まあ、遅めの馬車には随伴できるでしょ、多分」
-
>>1032
「……明日になってもこの分かれ道があるのなら、どっちか選ぶかを考えた方がいいわね」
「とりあえず一番無難な選択ね。 少なくとも今言った事をじっくり考える事ができる」
「いっそのこと、永住も悪くないのかもね?」
クスリ、と笑いつつ村に戻ろうとしている馬車に
再び体重を預ける少女
冒険者暦の短さか、本人はこれで事が済んだと判断したようだ
-
>>1032
【女冒険者に渡したクッキー、それはプラージュ特製……つまり、飴の如く硬いクッキーだ。
もっとも、ニンフェにとっては悪戯でもなく普通のクッキーなのだが】
「おじさん、ムリしちゃダメだよ。
心配があったらいったほうがいいよ?」
【元気のない様子に、ニンフェも少し眉がハの字になる】
-
>>1032
「戻る……のかな?」
「宿賃や食費はあるから……まあ大丈夫として……」
懐からいくらか貨幣を取り出す。
-
>>1033
「え? あ。本当だ」
「って、あれ! 家のギルドの馬車やねぇか!?」
初めて気がついたようでゆっくりと馬車を止める
「こりゃ明日にでも憲兵のところに行かないと」
軽くため息はく御者はゆっくりと進める
外を出歩いたドムスは降りた際に、改めて自分の馬車と朽ち果てた馬車を見る
ボロボロになり至る所が朽ちている馬車
外にまで朽ち果てたであろう白骨死体が見えてしまう
そして、その馬車の番号を見てしまった
その番号はこの馬車と同じ番号であることを
>>1034
「わたしは勘弁ですわ」
はははと苦笑いしながら、ゆっくりと馬車は進む
>>1035
「硬っ!?」
あまりの硬さに驚く新米女冒険者
「………お嬢ちゃんは山神様ってしっているかい?」
意を決して話し始める
>>1036
「あーそれなら、馬車で寝ますかい?寝袋とかありますし、案外わるくねーですよ」
御者としてか、客を心配しているようでもある
馬車はゆっくりゆっくりと元来た道を戻っている
-
>>1037
「……馬車が、朽ち果てている?」
安心しきっていた表情が、引き締まった
戻るだけじゃまだ終わっていない 多分、あえて戻った所をつけ狙う盗賊団の仕業か
もしくは、それ以上に厄介な事を考えている組織か
-
>>1037
「げ…み、見なかったことにしたい、じゃねえ!ストォォォォップッ!!」
魔具による地表をスケートリンクを滑るが如きホバー移動を行いつつ馬車を止めようと前に出る。
>>ALL
「やばい!皆!なんかやばいぞこれ!いや何がやばいのか分かんないのが先ずやばい!!」
-
>>1037
「まだそんなに眠たくないから大丈夫……さっき少し寝たし」
「そういえばちょっと小腹が空いたなぁ……」
懐からビスケットらしきものを取り出しもさもさと口にする。
-
>>1037
「おいしーでしょー?
プーちゃんが作ってくれたんだよ!」
【でかい胸をそらして誇らしげに新米へいう。
悪意は全くない。これっぽっちも。その分、笑顔が眩しい】
「聞いたことはあるよー。プニ神様と同じようなモノだよね?
この辺にもいるの?」
【猟師の言葉にかるく頷いたあと、首をかしげ手問いかける。
悲壮感や緊張感なんてありゃしない】
-
>>1039
「やばい事くらいハッキリしてる」
「ありもしない分かれ道、そして朽ち果てている馬車 これで警戒しない方が無理よ」
ドムスの慌てっぷりを見ても平然としている少女
まだ、盗賊団かそれに類する仕業程度として見ていないのだ
こっちは遠目からしか見ていない、まるで自分たちの行く末を暗示してる馬車があるなんて想像すらしていない
-
>>1039
【慌てるドムスの超えに振り向くニンフェ】
「なんかあったみたいだけど…………なんだろ?」
【首をかしげたあと、再び猟師たちへ顔を向けた。
のんびりフリーダムだ!!!!】
-
>>1039-1041
「のわぁー!!」
情けない声で馬車を停車させる御者
「し、死にたいのか!」
ドムスに対して怒鳴る
しかし、ドムスの必死な叫びに目を点にさせる
「な、なんかあったのかいや!」
ドムスが急に前に出たので急ブレーキ
さっきの急ブレーキほどでは無いが全員衝撃が走る
>>1038
「お嬢ちゃんが何か必死なんだが」
こまったように言う御者
「なんだよ魔物か? 狼か?」
新米の女冒険者は気だるそうに言う
>>1040
「何かあの女が騒いでるぞ?」
そういって、馬車の前にいるドムスを指差す
>>1041
「それよりだあの女、何か必死だぞ」
ドムスを指差す新米女冒険者
「いや、その。プニ神様は知らないんだ」
もうすぁけなさそうに言う
「山神様のお言葉で、夜中に決して出歩くなってお言葉があるんだ」
-
>>1044
「……馬車が倒れてる……?」
「また盗賊か魔物の仕業かな……」
再び窓から顔を覗かせる。
「……でもあれだけ騒いでるってことは何かあるはず……」
馬車から降りてドムスの方へと歩いて行く。
-
>>1044
「うん、大変そうだねえ。
でも、何が大変なのかなあ?」
【イマイチ緊張感がない娘である】
「そっかぁ、プニ神様知らないのかぁ……」
【しんなり垂れさがるウサミミを幻視できそうなほど、目に見えてしょんぼりする。
だが、猟師の次の言葉を聞いてきょとんとした表情で首をかしげた】
「どうして夜中に出歩いちゃダメなの?
お星様とかキレイなのに」
-
>>1044
「新手のスタンド使いか?
何時からか錯覚してる奴か?
それともイザナミかあああああああああああ!!!」
周囲を必要以上に見回し吠える。
「不味い、全然気がつかなかった…僕らは既に何かの手中にいる。
盗賊とか酸妖蟲とかそんなチャチなもんじゃない、もっとヤバい何かのだ!」
-
>>1044
「………夜中に決して出歩くな?」
「小さな子供に対しての戒めの為に、そういった話を聞かせるのはよくある事だけど それとはまた別の物かしら?」
神に祈っていたと思ったら、聞きたくなかった神からの言葉である
さっきの迫力を見ると、鼻で笑えない何かがある
「………まさか、神様の仕業だなんて言わないわよね?」
>>1047
「お、落ち着きなさい! 現状を認識していないのも問題だけれども、パニックを起こすのはそれ以上に問題」
「後酸なんちゃらは聞いちゃいけない気がしたから都合よく忘れるわ、ええ」
これでヘイト上がらんよなと一部陣営が気にする言葉である
-
>>1045>>1047
馬車を一時的に見渡し慌てているドムスに御者も降りてなだめる
見渡し吠えてしまったドムス
降りた時にそんなに離れていない場所で遠くから馬車を見てしまったレイヤ
そして先ほど馬車を確認した御者
だから気がついてしまった。
ドムスをなだめて再び朽ち果てた馬車を見たとき
その馬車は無かったのだ
「…………ふ、二人とも入ってください!」
そう言って、半ば無理やり二人を馬車に押し込める御者
本来なら力は彼女らの方が高い。だがこの時に限って恐怖心と御者の火事場の馬鹿力で半ば無理やり押し込められたのだ
>>1046
「さぁな、わからん」
新米も同じくお気楽である
「す、すまねぁお嬢ちゃん」
しょんぼりした少女にどうしようもなくオロオロしている猟師
「山神様の時間だからだよ」
>>1048
「山神様は夜中に生きてらっしゃって、それで出くわしたらいたずらをされるって」
「どんないたずらかは知らないが、俺の両親は必死だったのを知っている」
ゴクリとつばを飲み込み真剣な表情でリアナをみつめる
「わからんが現に昔、行方不明者が村に出たこともある」
>>1045-1048
二人が馬車の中に押し込められたと同時に馬車が発進した
それも駆け足で
>>1045
その時だった、押し込められた瞬間窓の外にメガネをかけた女性が馬車とは反対方向をむいているのにレイヤは気がついた
ただ、急発進したため、声をかけれる暇は無かった
-
>>1049
「くっそ…こんな所で何に出会ったってのさ!?」
押し込められ馬車内で残った瞳が所在気なく周囲を見回す。
「不味い、何とかしないと…いやしかし動くと事態は悪化する?」
頭を抱える。
-
>>1049
「…………」
顔が自然に強張る
夏なのに寒気がし、猟師の言葉が妙に頭に響く
「……何を……見たの? 朽ちた馬車を確認したらこの焦りよう、ただ事じゃない」
-
>>1049
「………!?」
ドムスに声をかけようとした瞬間馬車に押し込められる。
「………?」
「ちょっと止まって!今何か見えたような………」
馬車を急発進させる御者に向けて言う。
-
>>1049
「戻ってきたらきいてみよっか。
あっ、クッキーのおかわりいる?」
【のんびりマイペース構えている】
「山神様のお時間?一緒に遊んじゃダメなの?」
【プニ神様とは遊べたのだろうか?】
-
>>1050-1052
御者は客人を気にせず。ただただ前へ前へと逃げている
中からでも聞こえる御者の荒い息遣い
異様な状態が続く
>>1053
「いや、結構だ……ん?」
新米が窓の外を気にかける
新米の横に移っているのはこのあたりでも珍しい木の花
それは村のを出てすぐのところにある木の花
この速度ならついてもおかしくはないはずなのに
何故か着かない事を
そして、その花がうつっている窓には小さな小さな手の跡がついている
それがゆっくりゆっくりと大きくなっている
そう誰かが遊んでいるようにゆっくりと窓に手形をつけている
それが徐々に徐々に徐々に増えていく
「遊んだら、食い殺されちまうんだ」
話しかけているが、下をむいている猟師気がついていない
>>1050-1053
全員は少しだけ気がつく
村はこんなに遠かったのだろうかと
その撃ち雨雲が聞こえると雨がふり、馬車が止まる
-
>>1054
「…不味い。いや何度目の不味いだろうなこれ」
ふぅ、と溜息。
「ったく、こりゃホント不味いな。
下手に動かず様子でも見る?」
-
>>1054
「(聞こえてないのかな……?)」
「降ってきた……?何だか嫌な予感が……」
パラパラと聞こえる雨の音と止まる馬車に少し不吉な予兆を感じる少女。
-
>>1054
「……行くも地獄、戻るも地獄」
「神様も随分と小さい器をお持ちの様ね…… 見ず知らずの冒険者たちを標的にするなんて」
茶化すような言葉の内容、しかし顔がわずかに血の気を無くしている
窓の手形、辿り着かない村
食い殺すという猟師の言葉
「ええ、動かない方が、安全……」
「―――!? 御者さん!?」
-
>>1054
「それって、遊ぶっていわ……ひぃっ?!」
【猟師の言葉に首をかしげる拍子で目に入った馬車の窓。
そして、浮かび上がる謎の手形。
増えていく手形に、叫ぶを通り越して涙交じりで固まった。
怖さの余り、窓から目を話せないのは皮肉なものである】
-
>>1055-1058
ドタドタドタドタと重苦しい雨が降っている
まるで暴風雨にでも見舞われているかのように
馬車の中に入ってきた御者
その体は濡れていた。真っ赤に染まって
荒く呼吸をしている御者は客人にお構いなくそのまま、床からタオルを取り出して体をふいている
そして、それに詳しい人は気がついてしまう
鉄の錆びたような独特の臭いにその赤黒い血が、それも人間の血であることを
>>1058
真っ赤な雨にすら消えないその手形は徐々に徐々に増えていき、いつしか窓を覆い尽くした
その手形は子供から大人老人に女性とはっきりとわかるほど異様な物
「………」
新米はガタガタと歯を震えさせている
>>1055-1058
何かをしゃべろうとしても声が出ない御者
彼は地図の裏側に言葉を描いてみんなに見せた
[何度も何度も何度も同じ道をとおってしまう]
[朝になったら進もうと。そうすればこんな異変なんて直ぐに収まる。助けがくる]
そう書いたのを見せる
「朝は来ない」
「朝はこない。正しい道を行くまでは」
しかし御者の提案は猟師によってとだされる
-
>>1059
「ま、真っ赤になったぁ……」
【涙目どころかもう泣く寸前。
でも、手形がなくなったことで何とか金縛り状態がとけたらしい】
「たっ、正しい道って?」
【ギギギと音がするほどゆっくりと顔を猟師へ向ける】
-
>>1059
「…ふへぇ」
気の抜けた息が漏れる。
「ふふん、ビビりまくったせいで逆にゲージが振り切れたじゃんよ」
立ち上がる隻眼。
「未だ実害はない、行動するしかないわけだ」
ぼぅ、と左腕の魔石が光る。
ずず、と石から木刀が這い出た。
「じょうとう!!」
-
>>1059
「―――――――」
真赤になって入ってきた御者とは対照的に、
今度こそ真っ青になった
気付きたくなくとも、気づくしかない
自分の経験がありありと、その正体を感じ取る
赤い液体の正体なんてはっきりしているのだ
>>1060
「……さっきの、二手に分かれたあの道」
「正しい道と言われたら、あの場所しかない ……正しい道に辿り着けるのは、50%」
顔が青ざめ、血の気が失せとも声から冷静さは消えない
「正しい道に辿り着けない場合は、どうなるの?」
-
>>1059
「えっ…この色……臭い……まさかそんなわけ………」
周囲からする生臭い香りと御者が持つタオルについた赤黒い色の液体でその雨は水ではなく血であると判断する。
-
>>1060
「帰る道。山神様は正解を提示する。今回は俺が案内人なんだろう」
はぁっとため息をつく
しかし、そのため息は何かを落ち着かせるために履いたため息で。額には冷や汗がたっぷりと掻いている
>>1061
「やめとけ。山神様の手中のなかだ、戦っても勝てる相手ではない」
ドムスを諭すように言う猟師
>>1062
「死ぬだけか、死ぬまでこの暗闇をさまようか。どっちかだ」
失敗すれば死ぬ命懸けの二択
「ここにいても死ぬまで弄ばれるだけ」
>>1063
涙目で首を降る御者。彼もまた薄々感づいているのだろう
[死にたくない、生きたい]
地図にそうかくとそのまま、御者は運転席に戻り、馬車を反転させて進ませた
///駆け足ですまない……
-
>>1064
「何も物理的にボコスカやるだけが戦いじゃあないでしょうよ」
トントンと自身の肩に木刀当てながら。
「相手の意図は掴めないけどね。
こうもビビらせる気満々だと抗っても見たくなるもんよ。
怯えて目ぇ逸らしてりゃあ何とかなるってんならそうするけど…ああ、なるといいなあ」
ぐはぁ、と息を吐く。
-
>>1064
「……上等ね、死ぬ事ならいつでも出来る、もの」
握り拳を作り、握りしめて立ち上る
手から痛みが伝わり、恐怖心を一先ず遮った
「彼だけ一人にさせておくわけにはいかないわね」
「私も、運転席の方に行こうかしら」
御者が運転席の方に行ったのを見て、自分も後に続き運転席の方へ行こうと
-
>>1064
「山神様が帰り道を教えてくれる……?
じゃあ、案内人っておじさんも巫女係なの!?」
【帰り道を教えてくれる山神様、そしてそれを案内する……つまり猟師は山神様の巫女だったのか!
そう突拍子もない推測を真顔で尋ねるニンフェ。
もちろん恐怖でパニくっている…・・・ワケではない】
-
>>1065
「……山神様を見てはいけない。見ればその人は狂ってしまう。言い伝えにはそうも言われていた」
ドムスを心配してそう言う
見ただけで狂う相手なのだ。勝負以前の問題である
>>1066
運転席では御者が必死に手綱を握っている
客車では気がつかなかったが何度か何かを乗り上げている
それが、人をはねていることだと何故かわかってしまう
それを確認するには降りなければならないが、降りれる速度ではない。しかし、幸い後方を確認できる鏡がついている
>>1067
「違う。山神様の遊び相手だよ……彼女から生きて帰らせる為に無理やり選ばれた人間さ」
ニンフェの表情に少しだけ心が和んだのかニッコリと微笑む
最初に来た二股の道
片方には白い服を着た女がたっており、右をずっと見ている
-
>>1068
「へー…そりゃ中々怖い話だ」
伝えられる言葉を軽んじているわけではない。
軽んじてはいないのだが…
「で、神様のやる事なす事は黙って受け入れるのが世の習いってかい?」
残った瞳は笑っていない。
誰も知る由もないだろうが『神様』に目やらなんやらを持っていかれている隻眼としては
如何にも受け入れがたい案件である。
-
>>1068
「遊び相手……?アレ、でも食べられちゃうって……あれぇ?」
【混乱してきたらしく、ニンフェの頭の上にはハテナマークが飛び交っている。
そして、窓は真っ赤なのでニンフェは白服の女にまだ気付いていない】
「でも……そっか、山神様にもお友達がいるんだね!」
【ポンと手を打つ】
-
>>1068
「………遊び、相手だなんて…… 随分と素適な趣味をお持ちの様ね」
恐怖よりもむしろ、怒りが込み上げてきた
自分たちをこうした状況に追いやって、楽しんでいる事
御者に対して特に、攻撃的である事
「………大丈夫、よ 本当に轢いている訳じゃない、貴方は何もやってない」
御者の隣に座り、宥めるように話す少女
先に妙な女性が立っているのが見えてきた
「――――!」
-
>>1069
「抗えない相手には逆らわない。それが習いであり掟だ」
悔しそうな猟師
実際からも抗っているが勝てない相手なのだろう
>>1070
「友達か」
ふぅっとため息をつく
「そうだな、いるのかもな」
遠い目をしている
>>1071
「山神様の考えている事なんて我々には分からない。それを我々の常識に当てはめるのがいけない事だ」
なぜだろうか御者は笑っている
何かに対して笑っているのか
もしかして、彼は……
彼女は右に向かい、止まった馬車に乗り込む
メガネをかけた彼女はずっと同じ方角を見つめている無言のまま
「もしかして……彼女の見ている方角に進んでくれ」
馬車はそのまま、右に進み始める
そして見えてきた道
今度は五又に分かれた道には看板などがある
一つ目の道は綺麗に舗装された道
真新しい白い看板には ここから帰れますと書かれている
二つ目はやや荒い道
ボロボロの木の看板には裏切り者を殺せば助かる 進め!
三つ目には獣道の木ににかかった札
看板に嘘有り
四つ目の看板には定員8名までとかかれた金属の板
五つ目の看板には石でできており急がば回れと看板に書いてある
-
訂正
四つ目の道は綺麗なはしがかかっており
五つ目は街道のような作りをした道
そしてそれぞれにかいてある看板がある
-
>>1072
「それじゃあ何時か泣きを見る。
この場合、諦めるのと生き延びる事は必ずしもイコール足りえないとは思う」
ふんす、と鼻息荒く。
「うーん………頭使うのは苦手なんだよなぁ」
看板を見て一気にテンションが下がった。
「何これ四つ目の看板が全部を否定してるじゃん。
ていうか矛盾するじゃん。
私は嘘吐きですって言う嘘吐きは正直者ものかい?
……それとも四つ目は看板じゃあありませんとか言いだすんじゃあなかろうね?
木にかかってる札だしなコレ…」
-
>>1072
「……身長を体重計で計る様な真似って事ね」
笑い出した御者に向け、悲しそうな視線を向ける
猟師の指示通りに行動してくれた、まだ完全に正気を失ったわけじゃないだろう
だが
「………正しい道の選択は、まだまだ続いているようね」
-
>>1072
【みんなの話し声を聞いて、ひょっこりと馬車から顔を出す】
「……裏切り者を殺せば助かるてのは嘘だと思うな!
だって裏切り者なんていないもん。ねぇおじさん?」
【一人勝手に解釈して、再び猟師の方へ向き直る】
-
>>1074>>1075
御者はただただ笑っている。何かに気がついたかもしれないが、答えれる精神状態ではない
猟師は何やらブツブツと考えており、わからないようだ
新米は怯えて、済に丸まっている
>>1076
「そうだな、裏切り者なんかいないな」
ニッコリとニンフェに笑いかける
-
>>1074
「……裏切り者を殺せば、助かる」
「この一文だけど…… 木の札の『嘘有り』と、繋がってるんじゃないかしら」
頭に指を当て、考え込むしぐさをしながら話す少女
「うそがある看板を裏切り者だとしたら、本当の事を話している道が帰る道」
「そうじゃないと帰り道の判断が綺麗に舗装された道からしかできない。」
-
>>1077
「あーもー五番目の道が正しい気がしてきた…眠くなってきたあ」
-
「だけどそれを前提に考えると、どうしても木の札とボロボロの看板がある場所が残ってしまう」
「それにそもそもの前提として定員八名までの看板、急がば回れの看板の真偽が判別できない」
「……私たちは全員で7名、そして定員は8名」
「これは関係……あるのかしら」
-
>>1077
「だよねっ!」
【猟師の言葉にウンウン頷く様子は、まるで子供のようで微笑ましい】
「でもでも、看板に嘘があるって書いてあるjけど一体いくつ嘘があるのかなあ?」
【不思議そうに首をかしげる】
-
>>1080
「えー?単純に札の言い分を鵜呑みにして
1つ目は ここから帰れません
2つ目は 裏切り者を殺せば助らない
4つ目は 定員8名までじゃない
5つ目は 急がば渡れ
って解釈でいいんじゃあないの…?」
-
>>1078-1081
御者が地図に言葉を書き始めた
[看板に嘘有り。これが正解だと思う]
[どれもうそか真実か解らないがコイツだけ看板じゃなくて木の札]
「看板すべてが嘘なら、コイツだけ真実になるんじゃないのだろうか」
それを書いたものを見せたあとでゆっくりと三番のきのふだの道に向けて馬車を進める
そして[最後に振り向くな]
とかいてあり、馬車のバックミラーをおって道に捨てた
何かを見たのか笑っている
顔わ笑っているがその手は震えている
-
>>1083
「…ん、そういう解釈もできるのか?
え、進むの?てか後ろ向くとあれか?ヤマガミサマなのか?」
-
>>1083
「……どうも私、謎解きの才能は皆無に等しいみたいね」
「『正しき道を選べ』ってつまり看板、および木の札の内容が『正しい』物を選べって事だったのね……」
頭を抑え、ため息をつく少女
完全に踊らされていた
「……わかったわ 振り返らない」
-
>>1083
【メモを覗き込むが、不思議そうな顔をして首をかしげる】
「んー、よくわからないけどわかった!」
【そしてギュッときつく目を瞑った】
-
白い光が辺りを包みこむ
眩しくて目を瞑り、目を開けると、其処は馬車の中
ソトの景色を見るに時間は然程たっていないようだ
「大丈夫か皆さん方!」
討伐クエの依頼人の村人が起こしてくれたようだ
「村の特産品届けに来たら、みんな寝てびっくりしただ」
辺りを見渡しても誰も欠員が居ない
だがなにか足りない
「馬すら眠ってたが、でも六人全員無事でよかったよかった」
そう一人足りない
猟師とメガネの女がいないのだ
「ここいらは、熊や狼出るから気を付けるだよ?」
アレは夢だったのか? いや、違う。白い女と猟師がいた場所はぐっしょりと濡れており、いたであろう場所にはところには古いメガネと古く朽ち果てた丸く錆び切った弾が残っている
血に濡れたタオルも、子供のようにおびえた新米も狂ったように笑っている声の出ない御者も
あれらが夢であったのか現実かは解らない
しかし、一つだけ分かる事
それは嘘ではないという事だった
エンディングC 遊ばれているのは……
-
>>1087
「あれ?猟師さんたちは……?」
【喜びの声とは裏腹に、ニンフェは寂しそうにキョロキョロあたりを見回していたそうなFo】
-
>>1088
そこには漁師もおらず、漁師の名前を聞いても村人は首をかしげているだけだった
-
FO
-
日本の人です
はじめまして
ホームページ作成
みんなを歓迎して予約購入します
これからも宜しくお願いします
協力は楽しいです
http://7h.hk/a4D
http://7h.hk/a4C
http://7h.hk/a4E
担当者: 小谷 藤子
-
<王都のどっかスターキャッツカフェ内>
【明かりはぶら下がるランタンのみ。木製の薄暗くレトロな雰囲気を醸し出す店内。】
【カウンターに立つは黒布を巻いた二足歩行で尾にリボンをつけた小さな渋めの黒ネコ。
店内の隅にはネコ耳をつけた2m弱の大男の人形があるが気にしてはいけない。
そしてカウンターの目立つ箇所に"酒場のマスター"とサインされたカードが飾られている。】
-
FO
-
-森の中-
「思ったより強そうで面倒くさいなぁ・・・」
そう呟きながら森の中を歩く黒髪の少年。
依頼書と思われるスクロールと、目の前で眠る巨熊を見比べる。
何かのクエスト中だろうか。
-
「…ん?」
ぶらり、と己が両足を太い枝に引っかけ逆さ吊りになっている
左頬から首筋にかけて紅い幾何学模様の刺青がある全体的に白い若者が居た。
「……何やってんだろうな、あれは」
-
「うーん・・・一人でやれって言われたけどめんどくさいなぁ」
あと数mで眠る巨熊の鼻先という所まで来た少年。
起きる気配がないのを確認した上で地図を広げる。
「北に村があるから仕留め損なった事にしてそっちに誘導して村の警備に倒してもらうのはー・・・ダメだよなぁ・・・」
地図を見ながら少年は何やら物騒なことを呟いている。
タタリにはまだ気がついていないようだが。
-
>>1096
「ふむ…
…思うにクエスト対象となるほどの熊を村へ放ったら大惨事になるんじゃないか」
ずぬぬ、とタタリの両足が飴細工のように細く長く伸びる。
尤その色合いは黒と赤を綯い交ぜにした様な気色悪いものだが。
そうしてエストレラの真横で呟く。逆さ吊りのまま。
-
>>1097
「やっぱそう思・・・!?」
逆さ吊りのタタリの異様な姿に驚き、後ずさりをする。
瞬時にカード状の魔法具を取り出して構え警戒する。
面倒くさいと散々言っていた割には動きがいい。
-
「…………。
……こんなところに人影……。」
ふらりと近くを通りかかる、森の中には不似合いなメイド服姿の金髪少女。
別件で森の奥まで踏み入ったのだが、
その帰りに近くを通りかかったのである。
「……熊がどうの、とか聞こえたのだ……。
………村にけしかけるのは、あまり良くない……。」
-
>>1098
「ん、いい反応だ。驚愕と警戒…かなあ?
イマイチ理解して得られるもんでもないんだな、この手のチカラは」
ボコボコと右人差し指に何か不可解なゲル状の小さな塊を宿してブツブツ呟く。
塊の正体は魔術的な作用で視覚化しているタタリに対して向けられたネガティブな念である。
タタリに対し悪感情を抱くほどに其れは凶悪になっていく…
「…おっと、挨拶が未だだった。こんばんは」
-
>>1099
「そう思うなら手伝って欲しいんですけどね」
カードを構えつつ依頼のスクロールを見せる。
巨熊の正式な討伐依頼だが備考欄に「エストレラ・フィクサ単独で挑むこと」と書いてあるようだが・・・。
>>1100
「そりゃ普通は驚きますよ。あぁ、どうもこんばんは」
敵意はなさそうと判断し構えを解く。
悠長な挨拶を交わしていると流石に巨熊も眠りが浅くなってきたのか鼻がヒクヒクと動く。
-
>>1099
「おや…」
奇怪な逆さ吊りの何かが気が付き視線を向ける。
-
>>1101
「で、如何するんだい?」
熊が起きそうなのに気が付きのんびりと問う。
-
>>1101
「手伝うのは構わない。
………しかし……。」
少年が手にするスクロールをじっと見つめ……。
「……そうすると依頼内容に違反する……。
………それも良くないと思うのだ。」
と、実にお堅い言葉を返す。
>>1102
「………むぅ……。
…その格好、頭に血が昇って健康上よろしくないと思うのだ。」
-
>>1103
「面倒なのでこのまま逃げようかなって思ってますよ。僕が倒さなくても誰かが倒すでしょうし」
『倒せそうにないから逃げる』のではなく『面倒くさいから逃げる』と言う少年。
依頼を何だと思っているのだろうか。
>>1104
「あぁ、これですか?あんまり気にしなくてもいいと思いますよ。ギルドの偉い人に『冷気に弱いらしいからお前なら1人でやれるはずだ』って言われて1人で挑む事になっただけですし。迷惑なんですよね、そういうの」
そこまで実力を認めてもらっているというのに何故ここまでやる気がないのだろうか。
-
>>1104
「ああ、大丈夫。
不健康極まっているから、これ以上悪くなりようがないんだ」
ライフはとっくにゼロなんだそうだ。
>>1105
「成程、逃げるだけの猶予があればそれも選択肢なんだろうけど」
起きるんじゃないかな、と熊を見やる。
-
>>1105
「ふむ、そういう事であれば手を貸しても良い……が。
……貴方一人でやれるのではないか?実際のところ。」
そう言いながら、青い瞳でじーっと少年を見つめてくる。
>>1106
「そうか。それならいいのだ。」
ふむふむ、と納得した様に頷くが……
「…いや、やっぱり良くないのだ。
身体は大事にするべき。」
-
>>1106
「みたいですね、戦うしかなさそうです」
カードを構えなおす少年。
巨熊が完全に目を覚ましゆっくりと立ち上がる。
>>1107
「冷気に弱いなら僕1人でも何とかなりそうですけど、面倒くさいじゃないですか」
そう言って深いため息をついて巨熊へカードを投擲する。
-
http://7h.hk/a4Y
http://7h.hk/a4G
http://7h.hk/a4H
http://7h.hk/a4J
http://7h.hk/a4K
-
>>1107
「と言われてもだね…
仮に健康な状態になれると両足と左腕が無くなってしまうんだよ多分」
両足は現状奇妙なことになっている。
パッと見では左と右の腕に差異は見られないが…
>>1108
「それじゃあ頑張って、本当にどうしようもなさそうだったらコッチに押し付けるのも選択だ」
ぐぐん、と両足が縮み太枝へと戻る。
相変わらず逆さ吊りで。
-
>>1108
「怠惰な人だな、貴方は。
…ほら、熊が眼を覚ました様だ。
ちゃっちゃとやってしまうのだ。
……私はここで応援に徹する事にしよう。」
…応援、と言っても黄色い声援を送るでもなく、
ただじーっと少年が戦う姿を見守るだけであるが…。
>>1110
「………??
……どういう摩訶不思議な体質なのだ、貴方は。」
……一体どういう事なのやら……と小首を傾げる。
-
>>1110-1111
「あぁー・・・結局僕だけで倒す事になるんですね・・・」
ぶつくさ不満を言いながらカードに気を取られた巨熊へ、次々と氷塊を放つ少年。
氷塊に悶えるが腕で身を守りながら巨熊はじりじりと少年へ迫るが、氷の壁でそれを阻む。
やる気ないはないようだが1人で討伐出来ると推薦されるだけの実力はあるようだ。
-
>>1111
「存在が摩訶不思議なのさ。
スリルな秘密と愉快な奇跡が綯い交ぜになって僕が出来ている」
はぐらかす様な物言いをするが事実である。
>>1112
「んー、氷か…夏場には良いのか悪いのか」
-
>>1112
「うむ、頑張ってくれたまえ。
危なくなったら手を……いや、やはりその必要はなさそうなのだ。」
少年は危なげなく戦っている……
手助けはやはり不要、と判断し観戦を決め込む。
>>1113
「…………?
…良くは分からないが、奇怪な人だな、貴方は。」
-
20分ほどで巨熊が力尽き、倒れる。
依頼達成の証に巨熊の牙を氷塊をぶつけて折り麻袋へしまう。
「面倒くさかった・・・やっぱり僕にこの仕事は向いていませんね・・・」
はぁ、とため息をつく少年。
達成した喜びは微塵もないようだ。
-
>>1115
「……お疲れ様。」
ねぎらいの声をかけるものの、
無表情かつ抑揚の無い声…あんまり嬉しくない。
「……向いてない、とは言うが…
そつなくこなしているではないか。
何故そんなにやる気が沸かないのだ?」
-
>>1114
「さしあたっての行動指針がないものでね。
暫くは奇人変人呼ばわりが関の山なんじゃあないかと自分でも思っている」
ぐるん、と回転し太枝へと座り込む。
「まあヒトによっては今の僕でも厄災と呼ぶんだろうか」
>>1115
「食べないのかい?勿体ないなあ」
健闘をたたえるよりも其方のほうが重要だとばかりに。
-
>>1117
「……厄災……。
…と、なると貴方は良からぬモノなのか……?
……そうだとするとあまり放ってはおけないのだ。」
無表情ながら、訝しげにじろじろと見つめてくる。
-
>>1116
「面倒くさいんですよ、こういうの」
きっぱりと面倒くさいからだと言い切る少年。
昨夜会った素質はないながらも冒険者に憧れる少女とは真逆だ。
>>1117
「え、熊って食べられるものなんですか?」
タタリの言葉に驚く少年。
「依頼書には『標的の討伐』としか書いてませんし食べられるなら食べちゃってもいいんじゃないですかね」
スクロールを改めて広げて依頼の内容を確認するが討伐後の亡骸の扱いには触れられてないようだ。
-
>>1119
「…まるで対照的。ベネトナシュとは。
……人間とは興味深い生き物……。」
そんな少年の様子が、昨日会った人物が対照的に映りボソリと呟く。
-
>>1120
「ベネトの知り合いだったんですか・・・」
ベネトナシュの名前を聞くと嫌そうな顔をする。
少年の知り合いでもあるようだ。
-
「知り合い、と言うか昨日初めて会ったのだ。
……彼女は貴方の知人……?」
と、小首を傾げて訊く。
少年も彼女を知っている様子だが…。
「……なにか良からぬ表情。
彼女とは不仲なのか……?」
-
「幼馴染なんですよ。前はそうでもなかったんですけど、僕が冒険者になってから色々口うるさく言ってくるようになって・・・。正直面倒くさいです」
酷い言い様である。
-
「ああ、貴方がその幼馴染……。」
そういえば、昨日の少女も幼馴染について口にしていた。
…少年とは対照的に、随分と大切に思っていた様だが……。
「……やはり対照的………。」
互いに対する思いもまるで反対…
そんな少年を、やはり興味深そうにしげしげと眺めるのであった。
-
<王都近くの草原>
「…………。」
【銀の三つ編みに半袖のジャケットを羽織った女性が草原にたたずむ。
何かしているワケではなさそうだが、夜の草原にポツンと一人、その身を置いている。】
-
「……どうやら、収穫はなさそうですね。」
【不意に女性からフッと力が抜けたように緊張が解ける。
どうやら、何かを探していたらしい。
だが、それを見つけることは出来なかったようで、今日は諦めるようだ。】
-
FO
-
【王都の路地裏】
「……最近、暑いな。」
【青いコートを体に巻いた金髪の少年が路地裏に座り込んでいる。
所々、汚れだったり傷だったりが存在するが、よく見れば首の当たりに黒い痣がある。】
「いや、ここはまだ、涼しいか。」
【路地裏というだけあってか普段、日に当たらないため、空気もひんやりしている。
日の当たる表とは、それだけで暑さに差がある。】
-
>>1128
【ビィバードの目の前にスッと現れる黒い影。
そして光る4つの目】
「るにゃぁん?」
『ふにゅる』
【2匹のるにゃん種が、ビィバードをのぞき込むようにしている。
一匹からはチョコレート臭がする!】
-
「……っ……!?」
【たとえ可愛らしい動物であろうとも、反応してしまうのは最早、性である。
まして、彼はそういう反応に慣れてしまっている。
もちろん、生得的なものではないのだが。】
-
>>1130
【逆に、逃げられることにはあまりなれていない2匹。
顔を見合わせたあと、チョコレート臭漂う猫がビィバードをみて再び鳴いた。
そして、虹色の猫は足元の巻物を前足で器用に広げる。
そこにはクレヨンで書かれたミミズが踊っていた】
《ちょこちょこ と にじー、うたえますおとれます。おだいわするずに!》
-
「……っ。」
【ずりずりと後ずさりをしながら、その場から離れようとする。
いつぞやの森暮らしのお陰で、そういう考えが染み付いているようだ。】
「…………い、意味の分からないこと言うな……!」
【巻物に書かれている文字を指して、真っ当なことを。
いきなり目の前に現れて、そんなことを言われてもどうしようもない。】
-
>>1132
「るにゃ……」
『ふにゅる……』
【まさに(´・ω・`)(´・ω・`)となる2匹。
歌や踊りのご注文はないと察したらしい。
虹色猫が広げた巻物を器用に丸めていく間、チョコ臭猫がちょこんと座ったまま、ビィバードをみて小さく鳴いた。
どうやら気遣っているらしい】
-
「……な、なんだよ。」
【尻餅をついたような状態のままで、ネコ2匹に不満そうな声を上げる。
もちろん、ネコの言葉など分かるはずはないため、意思疎通は出来ない。】
「お前らまで、俺を哀れんでるのか……!」
【2匹の方を指差しながら、吐き捨てるように。】
-
>>1134
「るにゃ?」
『ふにゅ?』
【指された指につられて、後ろを振り返る2匹。
まさにあっちむいてホイ】
-
「いや、そうじゃねぇよ。
別に何か居るわけじゃねぇし、そんな古典的な手段使うかよ。」
【別に遊んでいるわけじゃないと首を振る。
そして、言われたわけではないが、勝手に自身を弁明する。
指を指して注意を逸らすなんて、やり方では無理なことは分かっている。】
-
>>1136
【だが、それでも遊べたとおもったのだろう。
満足げにハモって鳴いたあと、虹色猫がこれまた器用に巻物をくわえた】
『ふにゅる〜』
【後ろ足て立ち上がり、ビィバードへかるく手を振ると、2匹は四足歩行でどこかへ行ってしまった……Fo】
-
「……っ、何だったんだ、アレは。」
【こちらの言葉を理解しているような素振りを見せる2匹に
少々、不気味なものを感じていたようだ。
本来ならば、ただの可愛いネコなのだが、彼からすれば得体の知れない動物
として、認知されてしまっていたとか、FO】
//お疲れ様でした
-
王都から南に結構離れた、とあるリゾート地の港街。
赤髪の魔法使いの青年、恋人と共にこの地に旅行に赴き
ひと夏のアバンチュールをしゃれ込もうとしていたのであったが……。
「……やっぱり寒いなぁ……。」
どうにも気候が良くない。
海辺に行ってみようと少女を連れ出したものの、
天気はどんよりと曇っており荒波は高く
とてもじゃないが海水浴を楽しむなんて雰囲気ではない。
-
「………我慢して海に入っても風邪引いちゃうね……。」
昨日の寒さ、そしていい宿にもかかわらず安い値段で部屋をとる事ができたことを考慮すると、
ある程度予想できたことではあるが、それでも待ちに待ったひとときを不意にされるのは悲しい。
「……どこか別の場所に行く?」
ここで荒れた海を見ても気分が落ち込むだけなので、フェムトにそう提案してみる。
と言っても、他に見るような場所があるかは分からないが。
-
ちなみに昨日はせめて夕飯だけは海の幸を堪能しようと思ったのであるが、
この気候の悪さで不漁が続いており、パッとしない食事だったのである。
火山地帯が近いこの街は温泉も堪能できる事で有名なのだが……
どういうわけだか湧き出るはずの温泉の温度が著しく下がってしまい、これまた堪能できなかったり…
「…………。」
もう散々な旅行である。
さすがに青年も、ずーんと沈んでいる様子…。
「……別の場所か…ひとまず、街の方に帰ろう……。」
とぼとぼと、街の方に足を引きずっていく。
-
「………え、えっと……カフェとかどこかに行って地元の人のおすすめのところにでも行こうよ?
海がダメでも……何かいい思い出は作らないと!」
せめて、自分だけは明るく行こうと笑顔でそんなことを言って、フェムトの手をとって街に歩いて行く。
……まぁ、その笑顔もいつもの笑顔とは違い、空元気な印象を感じさせるものだが。
(こうやってここに連れてくれたことには感謝している……なんて言葉を言わないで済むように、僕も頑張らないと……!
フェムトがこうやって色々用意してくれたのだから元気出してもらうべきなんだよ……!)
-
「……あはは……ありがとう……。
そうだね、せめて何処かで楽しめれば良いんだけど……」
何処か虚ろな笑みを浮かべて言葉を返す。
…少女の明るい言葉は、自分を気遣って少々無理をしているのだろう、
という事は青年にも想像はつく。
それはありがたいのだが、もっと心の底から二人で楽しめたらどんなに良かった事か……。
なんとなく重い足取りで街へと向かう道の途中、青年が急に立ち止まる。
「………あー……この気配は……。
………まったくこんな時に空気の読めない……なんてこったい………。」
うんざりした様子で、急に独り言を呟く青年。
一体何事だろうか?
すると、突然周囲の空気が張り詰めた様な雰囲気に。
心なしか、強大な魔力も感じられる。
……そして、青年の目の前に火柱が赤く燃え盛って立ち昇る。
-
「……フェムト?何があった………な、何!?」
何やら独り言を呟きだしたと疑問に思っていればすぐそこで火柱が吹き出し、思わず一歩下がり
敵襲とも思える自体に背中にマウントしているマスケットを手に取り、火柱に向ける。
-
「……大丈夫、アンナ。
危険は無い、無いんだけど…
……ちょいと休暇が終わってしまいそうだな……。」
銃を構える少女を手で制しつつ、苦虫を噛み潰した様な顔に。
「……これは俺の上司的なヤツからの仕事のお知らせみたいなもんで……。」
と、説明を始めようとした矢先、
焔の中から低く重い声が聞こえ始める。
腹に響く様なその声は、
古い歌の様な、呪文の様な不思議な調子で青年に何かを告げている様子。
何を言っているのか良く分からないが、
古代言語に知識があるならば、その言葉は最古の部類の竜言語である事がうっすらと分かるだろう。
-
「……フェムトの上司………この前言ってた竜のこと?」
フェムトの言葉を信用してマスケットを仕舞い、火の柱を見ている。
(………あのまま過ごしても暗いままだっただろうし、ある意味、都合が良かったのかな……?
でも、出来れば他のことでいつもの調子に戻って欲しかったな……。)
(………フェムトはこれがわかるのかな……?)
ある程度広範囲に知識があるロマノフではあるが、語学に関してはそこまで詳しいわけでもない。
故に、これがどういう言葉であるかも若手いない様子だ
-
焔から青年に向けて魔力の様なモノが放たれ、
青年の左腕に紋章の様な刺青状の模様が刻まれる。
契約の証か何かだろうか。
焔から聞こえる声が止むと、一瞬火柱が一際大きく燃え盛り、そして消える。
すると、周囲に立ち込めていた張り詰めた空気も和らぐのであった。
「………うーむ、旅行中だってのに空気読めないねぇ。
そうそう、前言ってた竜。そいつから仕事が来るときは、いつもあんな感じなんだ。」
やれやれ、といった感じで首をすくめる。
「えーっとね……簡単に説明すると……。」
と、今の話の内容を説明し始める。
この地方が温暖なのは、元々火山に住まう火の神の加護によるものなのだが、
その力が何者かに奪われかけているとの事。
この寒々しい気候は、どうやらそのせいである事。
…丁度都合よくこの地に来てるんなら、ついでにその異変を解決してこいといわれた事。
「……と、言うわけでして……。
………うーむ…せっかくの旅行だというのにごめんよ……。」
-
「………つまり、それをどうにかすればここも暖かくなるってこと……?
……いつものマスケット持ってくればよかった……錆びるからって勿体ぶらなくて……。」
話を聞いて、この寒さの原因がわかる共にそして何よりも決して良いと思えなかった旅行をどうにかする一筋の光が見えたような感覚がして思わず笑顔になる。
……確かに"仕事"があった時に手伝うと行ったのだが、それにしてもなんか張り切ってる様子だ。
「……僕を置いて行くなんて事は言わないよね?」
-
「……そうかもね。
ちゃっちゃと終わらせれば、予定通り真夏の海を堪能できるかもなぁ……。」
そう考えると、乗り気でない仕事にも俄然やる気が沸いてくる気がする。
「……あー、前に手伝ってくれるって言ってたもんね。
でもせっかくの休暇だから、宿でゆっくりしてて貰っても良いんだけど……。」
それに、恐らくは危険な任務。
少女を危険な目に会わすのは心苦しい……。
が、なにやら張り切っている様子の少女。
その好意を無下にするのはもっと心苦しい気もする。
……青年としても、一人で寂しく任務に赴くより、一緒に行った方が心強い…
それに少女の心配ばかりして実力を甘くみるのも失礼というものか。
「……そうだな、それじゃ……
…手伝ってくれるかい、アンナ……?」
と、少女に手助けを請うのであった。
-
「……もしかしたらフェムトが大怪我するかもしれない。
せめて、僕が一緒にいればそれを防ぐことができるかも、と言う気持ちは変わらないよ。」
最善の状態じゃないから今回は任せるという選択もあったのだが、フェムトを元気づけるためにも今回は同行したかった。
そんな思いを胸に秘めつつフェムトに言う。
「だから、この前と答えは変わらない。
……一緒に、戦わせてもらうよ……!」
-
「じゃ、よろしく頼むよアンナ。
……まぁ今回の仕事も楽勝さ、そんな大怪我なんてしやしないけどね。
さっさと片付けて、旅行の続きを楽しむとしよう。」
そういいながら少女の手をとってしっかりと握る。
「……ひとまず、例の火山に向かうとして……
………一旦街に戻って準備を整えるとしようか。
火の神とやらの伝承も、何か残っていたら調べておきたいし。」
少女の手を引き、街の方へと向かうのであった。
//キリが良いので今日はこの辺りで…後日続きをばよろしくおねがいします…!
-
「……油断して痛い目に遭わないでよね………。」
手を握られた時にピクリと反応するが、なにか言うことはせず。
無事に終われるかという不安と終わった時の楽しみ、その双方の感情がごちゃごちゃに混ざり合ってそれどころではないからだ。
(……正直、今の僕の装備じゃ不安だな………。
かと言って、フランツや父さんの銃を借りるわけにも行かないし……。今更家に帰るのも……。)
武器に一抹の不安を残しながらフェムトに手を引かれていった……。
【一旦FO】
-
海辺のリゾートに旅行に来たつもりが、
なにやら厄介事に巻き込まれた二人。
その厄介事は、どうやら街の異常気象にも絡んでいる様子…。
そんなこんなで、街で軽く準備を整えた二人は早速、
件の火の神が祭られているという火山を目指す事にしたのであった。
それほど標高が高い訳ではないが、
山道はゴツゴツとした火山岩が転がっており非常に歩き難い。
……体力にあまり自信があるとは言えない青年は、早くもバテバテなのであった…。
-
「………フェムト、もう少し体力付けないと……。
戦う前にそれじゃあ仕事も何もないのに………。」
不安定な足元に四苦八苦しながら山を登っている少女。
曲がりなりにも冒険者である以上、体力はある程度付いているようでまだまだやれる様子だ。
……故に、もうバテバテなフェムトをそれでいいのかと呆れた様子で見ている。
「一度休憩してもいいけど……。」
-
「……ぜぇぜぇ……疲れた……
………いや、大丈夫……ほら、多分あそこが火の神とやらの祠だよ……。」
息を切らしながら、山腹に立つ岩を積み上げて建てられた建造物を指差す。
ちなみにこの神は、一昔前は街人の手によって丁重に祭られていたそうだが、
近頃はその風習も忘れられ、参拝に来る者はめっきり少なくなったと言う。
「……火の神の力が弱まっている、との事だけど、何が起きているのやら……。
……まぁ、俺に仕事が来たって事は……大体想像はつくけど……。」
この事態を起している者に、心当たりがありそうな様子である。
何はともあれ、祠に向けて歩を進める青年であった。
-
「もう………無茶しないでよね、フェムト……。」
多少息を荒くしながらもフェムトのことを気づかえるくらいには余裕がある様子。
「祠を綺麗にしたぐらいで元に戻ってくれると嬉しいんだけど………。」
そんなことを言いながらフェムトの隣に並んで歩いて行く。
その表情からそれがありえないことだとはマカっているだろうが
-
「…………。
……あー、そう簡単には行かないみたいだな、やっぱり……。」
二人を取り囲む様に、微かに感じられる殺気……。
青年が周囲を見渡し警戒し始めると、
岩場に潜んでいた人影が数人、姿を現す。
現れたのは、人の形こそしている者の、腕が触手の様になっていたり、
頭が以上に膨れ上がっていたりと、おおよそまともな者ではない。
「……話が通じる相手じゃないな、あれは。
……アンナ、行くよ……?」
青年が手を前に突き出し魔力を滾らせると、
光と共に魔法の長杖が現れてその手に握られる。
それを皮切りに、異形の者共が一斉に二人に飛び掛ってきた…!
-
「………うぐ……気色悪い……。
弾を装填するときはフォローお願いね……?」
殺気を感じてマスケットを手に取ると、現れてきた医系の存在に対して思わず顔をしかめる。
飛びかかってきた異型の内、一匹に対して素早く胴体に狙いをつけてそのまま発砲する!
普通の銃から放たれる普通の弾丸、だが人間であれば戦闘不能になってもおかしくないであろう。
そして他の異型の攻撃の処理に対してはフェムトにある程度なんとかしてもらおうとしている様子。
-
飛び掛ってきた異形の胸に弾丸が直撃し、血飛沫を上げて倒れる。
…しかし、魔力的に改造を受けた異形はこの程度では死には至らない。
深手こそ負いはしたものの、ゆっくりと立ち上がり触手を振りかざして再び襲い掛かってくる。
他の異形は、青年の放った炎の壁に行く手を阻まれている。
暫くは時間は稼げそうな状況、青年は次の魔法の詠唱に入る。
-
「……………。」
チラリ、とフェムトの様子を見て大丈夫そうだと思い、目の前の敵に集中して・
いち早く次弾を装填したい所であったが、異形の様子を見てそれも叶わないと判断し、銃口側を手に持ってさながら剣を持つように構えると身を低くして突撃。
触手を横薙ぎの一撃はマスケットで防ぎ、縦に下ろしてきたら横に動いて避け、すれ違いざまに胴薙ぎを打ち込もうとする!
これで決まればいいのだが、振り切った際に大きく隙を晒している、仕留め決めなければ反撃を確実に喰らうだろう。
-
振るわれる触手の一撃は非常に重い…
が、少女に巧みに避けられ、バランスを崩したところに腹へまともに一撃を喰らって悶絶。
倒れて気を失い、戦闘不能。
青年サイドは、炎の壁に阻まれた異形が二匹…
そのうち一体が、青年の放つ炎の矢に穿たれて倒れる。
……しかし、もう一匹が炎の壁を抜け出し、肥大した頭部の巨大な顎を開いて青年に襲い掛かろうと…。
-
「……ふぅ………ふぅ……。」
一匹仕留めて息を整えようとしながらフェムトの様子を見れば一匹襲いかかろうとしているのを見つける。
声をかけてもおそらく間に合わないだろう、こちらで何とかしなくては!
「………フェムト……ッ!」
マスケットは攻撃を防ぎ、おもいっきり物理攻撃に使ったことで銃身が曲っている状態だ。
ついでに言えば弾も装填してない状態で援護に使えるとは到底思えない。
「……風の精霊シルフィーネよ………その力を我が手に……!
ウィンドエッジ!」
呪文を詠唱しつつ左手をかざすと小さな風の刃が幾つか射出される。
狙うは肥大した頭部の、開かれた口内。
なんの媒体も使っていない魔法では威力が低いと判断して相手の脆い部分を狙って出来る限り
-
「………うわっとぉ……!!」
横っ飛びに跳んですっ転ぶ青年。
体勢を大きく崩し、追撃は免れない……
そんなタイミングに、異形の頭部めがけて飛び込んでくる風の刃。
口の中や顔面を切り裂かれ、苦痛に悶える異形。
「………トドメだ……フォイアクーゲン・スターク……!」
転んだ体勢のまま杖を異形に向けて杖を突き出し、先端から放たれる炎の矢。
貫かれた異形はそのまま全身炎に包まれて灰と化す。
「……やれやれ…多人数はしんどいな……
……助かったよ、アンナ。ありがとう…!」
周囲にはもう異形の気配は無い……。
立ち上がって服の埃を払いつつ、少女に礼を言う。
-
「はぁ………よかった……間に合った………。
フェムトが足止めしてくれてたからうまく行ったんだよ……お疲れ様。」
なんだかんだでうまく行ったことに安心し、周囲に敵がいないことを確認してフェムトに駆け寄って。
「………今の何だったんだろうね……。
あれが原因とは思えないけど……。祠の中に誰も入れさせないように門番をさせてたような……。」
そう、疑問を口に出しつつマスケット銃に弾丸を装填している。
……曲がっていても使う気のようだ。
-
「……あいつらは、俺達と敵対する集団の奴等だな……。
………とある大悪鬼を崇拝する異教徒で元々ろくでもない連中なんだけど……
…ここ最近、あの手の異形を従えて活発に活動し始めたんだ。」
「そりゃそうとケガは無いかい……?
外にこいつらが居るって事は、当然祠の中にも……
……多分中に居るヤツは、こいつらより手ごわい幹部級だろうな…
…ってか、その銃大丈夫……?」
ちらりと曲がったマスケット銃に目を移す。
……ちゃんと撃てるのだろうか……?
-
「……うーん………因縁ある相手なんだね……あんまり関わりたくない見た目してるのに。」
「フェムトのほうが怪我は気になるんだけど……さっきコケてたし。」
「銃身にヒビはなかったから、当たるかは別として撃つことはできるよ。
……最悪地面に打ち込んで、魔弾を使うよ。」
そう言いながら銃口に赤黒い何かで魔法陣が刻まれた弾丸を入れて装填を終える。
準備が整ったようだ。
-
「俺は大丈夫、転んだだけさ。
……よし、それじゃ中へ踏み込もう……。」
二人とも準備が整ったのを確認すると、
祠の石扉に手をかける。
扉の周囲の土の跡などから察するに、ごく最近人の出入りが合った事が分かる。
祠は外から見ると小さな小屋程度の大きさしかないが、
その中には地下へと続く長い階段が。
…奥は一体どうなっているのだろうか……
なるべく音を立てない様に注意しつつ、暗い階段を降りていく…。
-
「わかった………!」
(………少しでも喋ったら音が響いてバレちゃいそう……。)
曲がったマスケット銃を手にフェムトの後ろをついていく。
-
階段を降りていくと、奥の方に灯りが…
やはり中に誰か居るのだろうか?
階段をおりきると、それなりに広い広間へと出る。
気配を殺して広間の中の様子を伺うと、
奥には祭壇と、大きな石像が立っている。
石像は、おそらく火の神を模しているのだろう。
ミノタウロスか何かに似た魔神だった様だ。
(…………アレは……。)
そして、その祭壇の上に、眩い赤い光を放つ石が置いてある。
何処か邪悪な輝きを放つそれは、どうやら祭壇から神の力を吸収している様に感じられる。
-
(………あの石を奪うか壊せばいいのかな……?
でも、馬鹿正直に姿を表したら袋叩きに合うかも……。)
中の様子をうかがいながらそんなことを考えている
(どちらかが囮になってる間にもう片方が大型魔法の準備をするってのもいいかもしれないけど、囮の方が危ないから避けたいなぁ……。
せめてどれくらい人がいるかわかれば………。)
人が来るかどうか待ちながらフェムトの様子をちらりと伺い
-
「……あの石が、火の神の力を奪っているみたいだ。
…あれは壊さないといけないモノだ……。
……さて……どうする、アンナ……?」
声を潜めて少女に声をかける。
ざっと部屋の中を見渡した限り、特に何かの気配は感じられない様だが…
-
「…………僕が先行するからフェムトは何かあった時フォローお願い。
今の僕よりフェムトのほうが強い攻撃繰り出せるだろうから、敵が見えたら強いのお願いね……。」
小声でフェムトにそう伝えて、音を立てないようにゆっくりとフェムトから離れるように少しだけ距離を詰める。
そしてマスケット銃を構えて曲がった銃身を石に向けて、冷や汗を流しつつ引き金を引こうと………!
-
(……うーん…アンナに危ない目に会わせるのは如何なものか……。)
と、少し思い悩むが、しかし少女の意見は理には適っている。
「……分かった……くれぐれも無茶は控えてくれよ……!」
部屋の中へと踏み入れる少女の後方、
小声で魔法詠唱しつつ周囲を警戒……
少女が銃の引き金に手をかけた瞬間、部屋の天井から何かが飛来する…!
鋭いトゲ状の物体が銃に当たり、狙いが大きくそれる。
「……アンナ……!!くそ、上かよ……!」
とっさに天井目掛けて火の玉を打ち返す青年。
天井をすばやく這い回るそれに火の玉は外れるが、明かりでその姿が照らし出される。
…それは、人と蟲を融合させた様な不気味な異形。
何本も生えた手と、それに生えた爪が天井に食い込み、人ならざる動きを可能としている様だ。
『……誰かと思えば…例の老いぼれ竜の使途じゃねェか……!
………ケケケケケ……おいおい、上物の娘まで引き連れてやがる……!』
癇に障る声が広間に響く。
先ほどの異形はもはや人の言葉は解さない様であったが、
こいつは知能を保っている様子。
-
「………ッ!」
引き金を引こうとした時に上からの攻撃を受け、結果として地面に弾丸を打つことになってしまう。
フェムトが攻撃してくれているうちにある程度援護できる距離までフェムトとの距離を詰める。
「……さっきのより気味悪い、そんな姿に望んでなった訳じゃなさそうだね……。」
先ほどの異型の存在よりも更に人間離れした姿を見て若干の恐怖を押しつぶすようにそう言う。
「………フェムト、再装填できてもさっきので弾が出ないかも……。
最悪、僕が前に出て戦うから………。」
小声でわずかながらの不安をフェムトに予め伝えておく。
-
「……気色悪いヤツだな……
……だが幸い敵はアイツ一人っぽいな、数の上ではこっちが有利だ…!」
とは言う物の、少女の方は獲物が使えるかどうかは分からない…。
それに、恐らくは敵は幹部級の手練れ、実力は相応なものに違いない。
圧倒的有利な状況とは言い難い。
「……仕方無い……それじゃ、ヤツの気を引くのに専念できるかい?
……ちょっくらデカい魔法をぶち込むから、それまでなんとかひきつけてくれ…!
……いいか、くれぐれも無茶は厳禁だ、アンナ!」
そう少女に告げると同時に、再び上空から無数のトゲが飛来してくる。
とっさに横に跳んで避けると、青年は魔法詠唱を始める…。
-
「わかった……!
フェムトも無茶しないでよね………!」
そう言うと共に上から降ってくるトゲをフェムトとは逆の方向に飛んで回避し、天井に向かって魔法弾を幾つか放ってけん制する。
そして装填の準備もせずに銃口に魔法陣が刻まれた弾丸を入れる。
無論、今の状態で引き金を引いても弾は発射されない。意味のない行動のようにも見える。
-
魔法弾は蟲の異形が放つトゲと相殺される。
…異形にダメージが与えられていないが、注意を引くのには充分だ。
『……そんなねじくれた銃で何ができるんだ、嬢ちゃん……!?
………けけけ……お前は生け捕りだ……ボスにたっぷり可愛がって貰うといいぜ!』
下衆な笑みを浮かべながら天井を這い回り、
今度はクモの様に粘つく糸を飛ばしてくる。
少女の自由を奪い、捕獲するつもりなのだろう。
-
「………………ッ!」
右に左に大きく避けることで何とかしのいでいる状況。
今はまだ避けていられているが、糸に捕まるのも時間の問題だろう。
手に持ったマスケット銃に魔力を注ぎつつ、必死に耐え忍んでいる
-
『………くはははは!逃げろ逃げろ!!!』
糸とトゲを交互に放ちながら、
わざと外している様で、それでいてじわじわと確実に少女を追い詰めていく。
なお、異形の放つトゲにはマヒ性の毒が仕込まれている……
もし掠めでもすれば、身体の自由が著しく奪われることだろう。
-
「…………」
刺が混じりながらも未だ被弾しないでいるが、防戦一方だ。
おまけにまだ避けていられているが、動きがすこしずつ悪くなっていっている。
「……………んっ!」
そして避けているうちに糸が偶然か意図的かは分からないがマスケットに命中する。
引っ張り上げれば武器を奪うことはできるだろう。
-
『………おっと……こいつは頂くぜ……!?』
捉えた銃を引っ張り、そのまま手元へ。
勝利を確信し、にやりと不敵な笑みを浮かべる。
『まぁこんなイカれた銃なんざ、撃ったところで当たらんがな!
………終わりだッッ!!!!』
武器を失い、無防備な少女の手足目掛けて、
狙い済ました毒針を発射。
-
「………………くすっ」
銃を引き寄せたのをみてニヤリと笑う。
まるで武器を失うのが予想通りだと言わんばかりに赤い魔法弾を発射し、針にぶつかる前に爆発させて吹きとばそうとするほどに冷静だ。
………銃から(と言うよりその中に込められた弾丸からだが)は急激に強い魔力反応を感じ取れる、それはまるで外部から魔力を暴走させているような………!
「………魔弾……バーストショット!」
その言葉とともに弾丸の中に秘められた魔力が暴走して爆発。
銃ごと弾丸を破裂させててその近くにいるあらゆる存在に金属片が混じった爆風を食らわせる!
-
//申し訳ない…中途半端ですが限界の様です、続きはまた今度……!
-
【了解です!】
-
『………んなッッ!!?』
突如、手元の銃が弾け飛び、眩い閃光に包まれる異形の男。
何本も生えた手の内の何本かが、千切れて周囲に散乱し、
男が天井から落下してくるのが見える。
至近距離で爆発をまともに喰らったため、並大抵の人間なら即死していてもおかしくは無いが…
『……ぐっ……舐めた……真似を……
……ざけんな……ザコがッッッ……!!』
しかし、異形と化した男は尋常ならざる生命力を持ち合わせている様だ。
ゆっくりと立ち上がり、怒りに我を忘れた様子で少女へと襲い掛かってくる。
手足を何本か失ったものの、傷口が薄気味悪く蠢き、即座に再生を始めている様だ。
-
「……まだ、倒れないの………!?」
完全に隙を突いたと思った一撃が決まっても倒れない相手を
獲物がない以上、無理に攻めるよりも守りに入るしかなく、大振りな一撃を避け、避けれない攻撃だけ防ごうと障壁を貼り……
「……ッ!……くぅ……!!」
防ぎきれずに吹き飛ばされ、壁に衝突する。
魔力媒体を何も使ってない障壁では防げるものも防げないのであろう。
それでも相方を信じて再び時間稼ぎをしようとする
(………もうちょっと……あとちょっと凌げばフェムトの準備が終わるはず………!)
-
『……殺す……ボスに渡すまでもねぇ、八つ裂きにしてやるぜ……
………死ねッ……死ねッ……!!!』
凄まじい力で、鋭い爪の生えた腕を振り下ろして少女に襲い掛かる。
再生の済んだ腕も交え、攻撃は激しさを増していく。
このままでは、いずれ障壁も破られてしまいそうである…。
『……終わりだ……!
……ギャハハハハハハ!!!』
下品な笑いを響かせ、渾身の力を込めた一撃を叩き込もうと……。
「……死ぬのは、お前の方だ、
塵一つ残さず灼かれてな……!」
突如、強大な魔力が開放される。
気配と魔力を極力隠した詠唱だっただめ時間がかかってしまったが、
その分、強大な古き竜の息吹をその手に呼び起こす事が出来た。
「……その身に受けろ、竜の息吹…≪ドラキノデム≫!!」
詠唱を完了させると、異形の男の周囲に一瞬巻き上がる凄まじい魔力。
少し遅れて、男の身体から眩い焔が噴き出す。
それは、まるで男の魔力、生命力そのものを燃やしているかの様な業火である。
断末魔が部屋に響き渡り、肉が焼かれる異臭を放ちながら、
やがて男は消し炭へと……。
-
「……ッ………ぐぅ……あぐッ……!」
一撃一撃が重く、意識が飛びそうになりながらも気合で持ちこたえているが危うい状況
止めと言わんばかりの一撃見えても動けなかったのだが………。
「…………これで……終わりかな……。」
ようやくフェムトがどうにかしてくれたのを見て、安心したように息を吐いて
勢い良く燃える化け物を見てあんな死に方は嫌だなと思いながらもあれで死んだと思い、フェムトの方を見て
「………はふぅ……お疲れ様………。」
-
「………ふぅ……また再生したりしないよな……。」
黒コゲになって動かなくなる異形。
……完全に絶命した様である。
「……無事かい、アンナ……?
……ちょっと遅くなっちまって……ごめんよ……。」
そして、心配そうに少女の元へと駆け寄る。
-
「………背中打っただけだから大丈夫……。
痛みもすぐに引くだろうし……。フェムトは怪我してない?」
実際、軽い擦り傷や打ち身はあっても大怪我はしていない。
大丈夫そうに軽く微笑んでそういう
「それよりも、アレを壊さないと………。」
祭壇の上においてある赤い石を指さして
-
「……俺は大丈夫。
…アンナが大きなケガしてないならいいけど……。
……っと、そうだね。石は処分しないと、だ。」
そう言いながら、件の赤い石へと歩み寄り、しげしげと眺める。
卵ほどの大きさのその石は、以前不気味な赤い光を放ち神像から力を奪い続けている。
「……これは……アレと同じ、いや、コピーか……」
青年は石に見覚えがある様子。
……以前、雷の精霊フォスファーの力を封印するために使われたモノに酷似している様だが…
しかし、それはまた別の話。
「……オリジナル程は強力では無いな……
……とにかく、壊さないと、だ……!」
石に手を触れ、強く握り締めて軽く魔力を流す……
と、石にヒビが入って粉々に砕け散る。
……すると、石に封じられた魔力が一気に開放され、
周囲に凄まじい熱気が放たれる!
-
「……こんなのが複製だとしたらオリジナルはもっと凄かったのかな……?
………あつ……ッ!!」
一息ついた様子でフェムトの隣で赤い石を観察していて。
開放された魔力の熱波を感じると反射的に障壁を貼って見を守ろうとする
-
「………あっちいいっっっ!!!」
凄まじい熱気、だがそれも一瞬……
特に二人に害は無い様である。
神像に力が戻ったのだろうか、火の魔力が微かに流れ始めたのが感じ取れる。
「……ふぅ……
……これで任務完了、かな……?」
青年が、自身の左手をじっと見る。
火の竜から仕事を命じられたときに刻まれた刺青が、すっと消えていくのが見える。
…これが仕事を終えた合図なのだろうか。
「よし……ひとまず帰るとしよう…!」
神像から振り向くと、アンナに歩み寄り手をとって祠の外へと誘う。
-
「……えっと………消えたってことは終わったのかな?
………コレが消えるときに何か熱いとかそういう感触はあるの……?」
刺青が消えていくのを興味深そうに見て
「…………うん、帰ろう。」
引かれた手をチラチラと木にしながら祠の外に出る。
-
「うん、これで契約は完了。
……なんかじわじわ来てむず痒いくらいかなぁ。」
青年に手を引かれて外へ出る……
と、どんよりと曇っていた空はうって変わって晴れ上がり、
燦々と太陽が照っている。
火山も活動を再開したのか、山頂の火口からは噴煙が立ち上り、
まだ寒さは残っているものの先ほどよりは明らかに暖かくなって来ている様だ。
-
「………そうなんだ……熱くなったりはしないんだね……。」
そんなことを言いながら刺青があったところを軽く手で撫でて
「……この調子ならまた観光客で賑わうことになりそうだね………良かった。
僕達が帰るまでに海に入れるかな……?」
太陽が顔を出しているのを見て安心したように空を見上げながらそう言っている。
-
「………。」
くすぐったい感触が青年の手に……
……青年にとっては、素晴らしい報酬となるのであった。
「……うーん、こんなに急に気候がもどって来るとはね。
…この調子なら、すぐに海とか行ける感じになるんじゃない?
問題は…この日差しの中、山を降りないと、って事だな……。」
下山の事を思って、少々げんなりする青年なのであった。
-
「………でも、これからどんどん暑くなると思うから手早く下山したほうがよさそうだね………。」
火山であることを考えると真夏以上の暑さになってもおかしくないだろう
ゆっくり歩いていると途中で話テルアもしれないし、早く変えるべきだと考え、フェムトの手を引いて早速下山しようと進めていく
-
「………そうだなぁ……ちゃっちゃと降りてしまうか……。」
ふぅ、と気だるそうに溜息をつくと、
少女に手を引かれて山を降り街を目指すのであった。
-
「〜〜〜♪」
(海………初めての海……ふふっ………!!)
ごきげんな様子でフェムトと手を繋いだまま山を降りていく
多少の暑さは気にしていない様子である
-
「……とりあえず今日は疲れたし……
…明日、改めて海に行ってみようか……!」
(……アンナと一緒に海……ヒャッホォォ……!!)
青年は青年で、上機嫌で山を下っていくのであった。
//ひとまず、キリがいいのでこの辺りで一旦中断かな……?
-
【森の奥のとある小屋】
ふーんふふーん♪
【鼻歌歌いながら裁縫している様子の馬鹿】
-
>>1202
その傍ら、静かに佇んでいる黒のドレス姿の少女がいる。
彼女はこの陽気でも汗一つかくことなく、長時間動いていない。
それもそのはずだ。彼女は所謂オートマータ。即ち人形。人形は別に動かないのが苦ではない。
暑さ寒さも情報としてはその存在を感知できても、それによるストレスは発生しようがない。
自分の主人たるオリルの傍から離れないのは、彼女から言わせれば護衛として、だろう。
「……」
また、彼女は口数が多い方でもなかった。
寡黙を好み、職務に忠実であるのが彼女、フィアである。
-
>>1203
あ、フィアさんちょうどよかった
これ、プレゼントですよー
【差し出されるのはかわいらしい服どうやらこれを縫っていたらしい】
-
>>1204
「私に……?」
差し出されるままに受け取る。
さてはてどんなデザインだろう?
ぱっと広げてまずはその辺りを確認といこう。
「その、気持ちは嬉しいが……理由を聞こうか?」
プレゼントの意味。
そこも気になるところらしい。
-
>>1205
いつも同じ服だと嫌じゃないかなって
【サイズは完全に目測にもかかわらずピッタリである】
-
>>1206
「……成程。わかった。レパートリーの中に追加する。感謝するぞ、マスター」
畳み直して、後で部屋のクローゼットに入れておこうと判断。
この小屋の間取りがどうなっているのやら気になるところだが考えてはいけない。
「そういえば裁縫が出来たのだったな……器用なことはいいことだ」
うんうんと小さく頷く。
自分の仕える主が多芸なのはいいことだ。
-
>>1207
いえいえどういたしましてー
【ニコニコ】
炊事洗濯裁縫、なんでもござれですよー
【主婦か】
-
>>1208
「本当は私に任せてもらいたいぐらいだけどな」
「もっと体よく使ってくれて構わないのだが」
根っこはメイド人形。
彼女も例に漏れず、ひとしきりの家事スキルは兼ね備えています。
「……にしても、今は私達だけか? いやに静かだな」
もっと誰か何かしらいたはずだが、ときょろきょろ見回す。
-
>>1209
使うだなんてそんな、僕とフィアさんは平等ですよー
【主人としての自覚はあるのか】
-
>>1210
「いや、私は部下であって副官だ」
こほん、と咳払いをする。
彼女は武人だ。主従にはちょいとうるさい。
「だが、その気持ちは嬉しく思う。私を使ったかつての人間どもとは違う……のは嬉しい」
「が、それでも私にも本分というものがある。忘れては困る。私はグァルネリの産んだ戦闘用自動人形高速型だ」
今までの関係を変えろ、とまでは言う気はない。
ただ、忘れて欲しくないということだ。
-
>>1211
いや、フィアさんは僕の大切な友人ですよー
【ニコニコ】
そういえばライアもピピもクリアもお姉ちゃんも出かけてて今は二人だけですよー
【二人っきりらしい】
-
経営方針
http://www.wzzq.me/800338
http://www.wzzq.me/8e4e7c
http://www.wzzq.me/82b5e7
http://www.wzzq.me/862547
http://www.wzzq.me/8d7a54
-
>>1212
「まさか」
その程度で済むものではない、と首を振る。
どこの世界に、友に生命を掌握されている存在がいよう。
「契約しているという自覚ぐらいは欲しいところだな、マスター」
「……そうか。そうなると、本当に静かなものだな」
普段はあんなにやかましいのに、と小さく嘆息。
//すまんー反応大幅に遅れたー。
-
>>1214
僕はピピとも契約してますけどピピも友人だと思ってますよー
【根っからのお気楽思考である】
確かに静かですねぇ
【周りをぐるっと見て】
//お気になさらずー
-
>>1215
「敵わないな――」
少し苛立ちを覚えて、前髪を弄る。
のらりくらりとかわされてしまう。
「――マスターは契約主だ。命令権がある。契約を縦に逆らえない命令が出来る」
「たとえば――私をいいように扱うこともできる。これまでの仲だ。私は構わないとも考えているが」
ドレスの胸元を肌蹴させる。
彼女らのシリーズは性行為も目的の一つとして設計、運用された経歴がある。
その点を活かして潜入と暗殺をメイン機能とした隠密型と言われるタイプも存在していた。
「これでも、まだ――友人程度だと断じるつもりか? マスター」
ずい、と身体を乗り出して迫る。
-
>>1216
いいようにって、まさか、そんなこと僕は大切な友人にしたくないですよー
えぇ、それでもフィアさんは僕の大切な友人ですよー
【そもそも性欲が存在しない馬鹿である】
-
>>1217
「……わかった。自分に自信がなくなりそうだ」
「誇っていいぞ。マスターは人形殺しだ」
再びため息をついて、オリルから離れる。
それから身だしなみを整え――三度目のため息。
-
>>1218
友人って扱いが不満なら改善するように努力しますけど
【なら主人らしくしてください】
あまり誇りたくない感じの名称ですよー
-
>>1219
「なら、もう少し頼って欲しい」
そうでないと、人形である自分の存在意義がわからなくなる。
丁寧に扱ってくれるのは嬉しい。でも、それも過ぎれば毒だ。
「わがままを言っているとは、理解しているが……」
-
>>1220
まぁ、必要なときは遠慮無く頼らせて貰いますよー
【必要な時って何時だ】
じゃあ一つだけ命令を
もう、あんな、自分の体を軽んじるようなことしちゃ駄目ですよー
【いきなりギュッと抱きしめる馬鹿】
-
>>1221
「きゃっ……か、軽んじる? 何のことだ」
いきなり抱きとめられて、少し困惑。
気にしてない素振りをみせていたが、実は欲情したか? とずれたことを考えている。
-
>>1222
自分の体を簡単に預けるようなことは良くないってことですよー
【そんなことを考えているとは露知らず更に強く抱きしめる】
-
>>1223
「簡単でも、軽んじてもいないぞ、私は」
何だか腕に力が入り、ぎゅうと抱きしめ返す形になる。
妙な光景になりつつあるが、当人は気づいてない。
「マスターならば構わないと判断したんだ」
「決して軽々しい気持ちであったわけではない」
-
>>1224
ならいいんですけど
【二人っきりで抱き合う形になった二人】
それは光栄ですけど、照れますねぇ
【ポリポリと頬を掻く】
-
>>1224
ならいいんですけど
【二人っきりで抱き合う形になった二人】
それは光栄ですけど、照れますねぇ
【ポリポリと頬を掻く】
-
>>1226
「……それはそうと、いつまでこうしてるんだ」
「その、なんだ。困る。本当に交わりたいというのならばそう言ってくれないとわからん。不器用なものでな」
勢いで言ってしまったような気がする。
ので、何となく目を泳がせてしまうのだった。
//時間も過ぎてしまったのでこの辺りでー……!
-
>>1227
あ、ごめんなさい
【パッと離れる】
いや、そういう訳じゃないんですよー
【顔の前で手を振り弁明】
//お疲れ様でした!
-
【夜、王都ちかくの森】
「……」
【巨木の根に腰掛け、静かに月見をしている黒髪金目の少女がいる】
-
>>1229
あ、ラーナイさん、こんばんはー
【今日も今日とて傷だらけの見た目美少女が歩いてくる】
-
>>1230
【近づく気配に気付いていたらしく、かけられた声に驚くことなく振り返った】
「やあ、こんばんはオリル。
相変わらずの怪我だな」
【雷球の仄かな光に照らされて、薄い苦笑が浮かび上がる】
-
>>1231
お月見ですかい?
【くりっと首を傾げる】
ちょっと英雄さんと戦ってまして・・・
【英雄さんというのは件のオリルを殺すはずだった人のことだろう】
-
>>1232
「ああ、いい月だからな」
【とは言え、空に浮かぶ月は満月には程遠い。
少し太い三日月といったところだ】
「英雄?……ああ」
【不思議そうに首を傾げた後、合点がいったらしく小さく頷く。
今は傷だらけなことを咎める気がないらしい】
「……戦いの結果を尋ねていいか?」
-
>>1233
満月って訳じゃないですけど確かに綺麗ですねぇ
【上を見上げた後、何故か簡易料理セットを取り出す】
あはは、逃げられました
【足の凄まじく速いコイツから逃げるとは相当な実力者らしい】
-
>>1234
「……?何をしているんだ?」
【みるみるうちに出来上がるセットをみながら、首を傾げる】
「そうか、よかったな」
【決着がつかなかったと聞いて、ラーナイならではの感想を口にした】
//どうかな?オリルの萌ポイントを大々的に描写したら増えるかも?
-
>>1235
いえ、どうせお月見するなら摘まむ物があったほうがいいかと
【早速軽く摘まめる物をどんどん作っていく】
-
>>1236
【追記】
個人的にはちっとも良くないんですけどねぇ
-
>>1236
「…………何故だ?」
【オリルの言葉を聞いて、心底不思議そうに首を傾げた!】
//それは……中の人が描写しないと誰もわからないんじゃないか?
//例えば、いつも元気だけど時々寂しげな顔をするって設定があったとして、そのシチュに萌える中人がいても、そもそもその描写がなけりゃシチュ萌えする中人にも通じないんだし
-
>>1237
「そうなのか?
決着がつかず、また会えるのならいいことだと思ったんだか……。
違っていたなら、すまない」
【オリルの言葉を聞いて、素直に謝った】
-
>>1238
あはは、どうしても取り戻さないといけない物がありまして
【なんだそりゃ】
-
>>1240
これは
>>1239宛て
-
>>1240,1241
【月見でなぜ食事セットを出すのか?
不思議そうに首を傾げていたが、やっと合点がいったという表情で声を潜めた】
「……なるほど、何かをおびき寄せるためのエサか」
「それは……もう二度と取り戻せなくなったのか?」
【オリルの答えに、僅かに表情が曇る】
-
>>1242
いや、餌じゃないですよー、単純に何かしらつまみながらお月見したら楽しいかなって思っただけですよー
【ニコニコしながら軽食を差し出す】
いえまだ間に合いますよー
【まだ大丈夫らしい】
-
>>1243
「…………楽しい?」
【月見+軽食=楽しい、の方程式がいまいち理解できないらしい。
眉間にシワを刻みながら、差し出された軽食を受け取ることなく首を傾げた】
「そうか。
決着もつかず、まだ取り戻すことも可能――つまり、まだ取り戻すチャンスは消えてないということだろう?
ならばやっぱり『よかった』、だと思う」
【オリルの答えを聞いて小さく頷くと、軽食の謎でできた眉間のシワを解き、穏やかな表情でポジティブな解釈を伝えた】
-
>>1244
えぇ、わいわい軽食をつまみながらお月見したら楽しいと思いますよー
【ニコニコ】
確かにそう考えたらよかったですねぇ
【ポジティブが移った】
-
>>1245
「……そ、そうなのか?」
【オリルの笑顔に説得されたらしく、首を傾げながらも軽食の皿を受け取った。
そして、皿上の軽食をじっと見つめたあと、再び月を見上げた】
-
>>1246
そうですよー
皆でわいわいするのは楽しいですよー
【皆といっても二人だけど】
【軽食からは美味しそうな匂いが漂っている】
-
>>1247
「……?
そうなのか?」
【まだ不思議そうに首を傾げているが、物は試しと軽食に手を伸ばし……】
「……あつっ!」
【慌てて引っ込めた】
-
>>1248
あ、大丈夫ですかい?
【とりあえず箸を差し出す】
-
>>1249
「あ、ありがとう」
【指は少し赤くなっているが、火傷というほどではない。
素直に箸を受け取った】
「……オリルは、便利なものを持っているんだな」
【箸にぶっさしたポテトをまじまじ眺めて呟く。
おそらく、先ほどの軽食セットのことをいっているのだろう】
-
>>1250
えぇ、結構使う機会も多いですから
【ポテトからはいい香りが漂っている】
それはそうと指、大丈夫ですかい?
【心配そうに】
-
>>1251
「私は魔法で済ませてしまうな」
【なんて女子力の低いアバウトさ】
「大丈夫だ、ありがとう。
利き手じゃないから慣れてなかっただけだしな」【確かに、白い手袋をつけた利き手は皿を支えている】
-
>>1252
料理もやってみると面白いですよ?
【無駄に女子力高い男】
それなら良かったです
【一安心した様子の馬鹿】
-
>>1253
【オリルの言葉に箸を止め、きょとんとした顔で首を傾げる】
「しているぞ?
捕った魚を焼いたり、木の実を茹でて保存食にしたり」
【料理と言ってもサバイバル料理だろう、それは】
-
>>1254
あはは、サバイバル料理もいいものですけどねぇ
【けらけら】
-
>>1255
「料理は料理だろう?」
【首を傾げながら、箸に刺さっていた食べかけを頬張る。
それは、皿に残っていた最後の一個だった】
「ごちそうさま。
おいしかったよ、オリル」
【箸と皿をオリルに返すと、静かに立ち上がる。
そして、雷球に追加で魔法を掛けた】
「その雷球はもうすぐ消えるが、暫くはオリルの近くを照らす。用心のためにな。
それじゃ、おやすみ」
【そういうと、夜の森の中に消えていったFo】
-
>>1256
あはは、ありがとうございます
【手を振り見送ったとかFO】
-
【王都近くの森】
「雨と雷すげぇなー。
これじゃ本が湿気るっつーの」
『クケー』
【比較的大きな洞窟で雨宿りをしている剣士風の青年と極彩色の巨鶏がいる】
-
<王都の路地裏>
「……少し騒がしいか、今日は。」
【路地裏の物陰に潜み、息を殺しながらあたりを窺うのは金髪の少年である。
少々、王都が騒がしいことを受けてか今日は、いつも以上に警戒が強い。】
-
>>1259
「――久しいな、人間。とでも……言うべきか?」
威圧感たっぷり……な声(だと本人は思っている。実際は高く幼い声)が聞こえた。
ふと見れば、そこに金髪の少女が立っていることがわかるだろう。
目は赤く、本人は臨場感たっぷりの登場をした気でいるので、得意げな表情を浮かべている。
「ククク……」
腕を組んで、小さくしのび笑い。
ちっちゃいこのごっこあそびのようなものです。
-
「……っ、は?……な、なんだよ、お前。」
【警戒を強く持ち、物陰に潜んでいたのをいとも簡単に見つけられ
動揺をあらわにするが、すぐに持ち直す。
相手が小さいからであろう。
しかし、少年は小さいからといって、油断なら無いことは知っているため
その警戒が解けることは無い。
よって、小さい子供に向けての言葉とは思えない不機嫌そうな声で尋ねた。】
-
>>1261
「”ハロウィンの忘れ形見”エレーネとはこの私のことNE!」
びし、と指まで指して決めポーズ。
「誰だお前は!」といわれるところまで織り込み済みである。
「さぁ怯えろ! 竦めー! NEー!」
それから、(「・ω・)「 こんなポーズで恫喝(のつもり)。
-
「…………だから、何なんだよ。」
【物陰に潜んでいた姿を表し、じりと足を僅かに踏み出す。
目の前の存在が何か危害を加えるようならば、すぐに逃げ出せるように。
警戒が強すぎて、行動の裏を考えてしまうらしく、少女の
様子をじっと観察しつつ、出方を窺っている。
つまりは、少女の行動が自身を油断させるためだと考えているようだ。
まして、こんな路地裏にわざわざ来ている、ということもあるからである。】
-
>>1263
「……」
ピコーン、とすごい悪い笑顔を浮かべる。
この状況、人の負の感情を食べる妖精の一種である彼女にとって「食べ放題」にも近い。
目の前の少年はひどく警戒している。警戒するその心の奥底にあるものは、どう転んでもポジティブな感情ではない。
今まで接してきたどんな人物よりも自分への警戒心が強い。
そんな逸材を――逃せるわけがないのだ。
「がおー! たべちゃうNEー!」
……ただし、こいつのオツムは某ミニマム妖精と違って見た目相応である。
このまま怖がらせ続けてやろうと、先程のポーズの状態でじりじり近づいてきた。
-
「…………っ!」
【その行動にとうとう、足が動く。
物陰から、跳ねるようにして飛び出したかと思うと、そのまま別の物陰へ飛び込もうと。
相手がどのような手段を使うか分からないため、駆け抜けて逃げようとはしなかった。
もちろん、少女の食べちゃうという言葉をそのままの意味で受け取っている。】
-
>>1265
「うぉぉぉ!? 凄まじい跳躍力してやがるNE!?」
思わず見ほれる。
カボチャ形態における自分のもっちもちパワーをもってしてもそこまでいけるかどうか。
「うん。つか、あれじゃNE? びびりすぎじゃNE? ただの妖精、ジャック・オー・ランタンだぜ? この南瓜はNE」
なんだかかわいそうになったのでネタ晴らし。
-
「はぁ、はぁ……ぅ、るせぇっ……!」
【少し遠目の物陰に隠れて、息を整える。
ビビリすぎという言葉に、息を切らしながらも反論する。】
「別に、何でもいい。
……その妖精が俺に何の用があるっていうんだ……!
何もないなら、さっさとどっか行けっ!」
【兎にも角にも目の前から、危機が及びそうなものを排除したいようだ。
それはたとえ、子供であろうと妖精であろうとこの少年には関係ないようだ。
……いくら警戒心が強いといっても、限度がある。異常だ。】
-
>>1267
「んー? おめーがビビればビビるほどこの南瓜は快感と腹が膨れるという仕組みNE」
「用も目的もそれだNE」
怖がらなくなるぐらいしなければ、この娘を追っ払うのは難しいということだ。
無論、満足すれば向こうから消えるだろう。
「さぁさぁ次はどんな風に狼狽するんだNE?」
くつくつと肩を揺らして笑う。
まだ必殺の獣呼びは行っていないのにこれなのだ。
宝くじで当たりでも引いたような気分だろう。
-
【夜の森】
「なんとか雨が降る前に着いたか……」
【緑タンクトップに黒スパッツ姿の黒髪金目の少女が歩いて】
-
「うわ……こりゃ、降るな……。」
【その近くから人の声がする。
夜の森は非常に静かであるため、僅かな独り言でも響くことがある。
暗がりでよく見えないが、声色からして男性だろう。
とはいえ、森での邂逅は危険な場合が多い。
この時間にうろついている人間といえば夜盗や通り魔などもいるからである。】
-
>>1270
「ん?」
【聞こえた声に、足を止めて辺りを伺う】
「(このあたりにも盗賊がいるのか……まあ好都合だ)」
【危険を承知で……というより期待しつつ声のする方へと足を向けた】
-
「にしても……ちょいと重いな。」
【ポツリポツリと独り言が聞こえる。
男のほうはラーナイに気づいていないのか、そのまま歩んでいる。
サンタクロースよろしく大きな袋を持って、移動している。
仮に盗賊だとすれば、今日の戦利品なのだろうか。】
-
>>1272
「(ん?あの人、どこかで……)」
【気配を消して様子をみるが、デカい袋でよく見えないが見覚えのある気がする後ろ姿に首を傾げる】
「こんばんは、何をしているんですか?」
【悩むより動け。
見覚えある気がする怪しい後ろ姿に声をかける。
気配を消したままで。
ちなみにここは夜の森である】
-
「……のわっ?!」
【不意に声をかけられて飛び上がらんばかりに驚く。
思わず、上がってしまった声も大きめのものである。
幸い、持っていた大きな袋は手から落とさなかったが。
そして、声をかけられた方向へと振り返った。】
-
「うわ……こりゃ、降るな……。」
【その近くから人の声がする。
夜の森は非常に静かであるため、僅かな独り言でも響くことがある。
暗がりでよく見えないが、声色からして男性だろう。
とはいえ、森での邂逅は危険な場合が多い。
この時間にうろついている人間といえば夜盗や通り魔などもいるからである。】
-
//>>1275は無しで。
-
>>1274
「!?」
【飛び上がらんばかりに驚いたバリーをみて、つられて驚く】
「……すまないが、どこかで会ったことがあるだろうか?」
【光源があるとはいえ薄暗い森の中、加えて王都外にちょくちょく行っているラーナイ。
どうしても思い出せなかったらしく、単刀直入に尋ねた!】
-
「あ゛?……んー……。」
【そういわれて、考え込むがこちらも中々思い出せない。
おそらく、彼があったことがあるのは制服を着たラーナイだからであろう。】
「いや、言われてみればあったことはある気がするんだが。」
【と、ラーナイの顔を覗き込むようにして、見ながら。
わざわざ自分から顔を晒すような真似をするため、彼は盗賊では無いだろう。
まして、知り合いの可能性も出てきたからである。】
-
>>1278
「どこかであったような気がする……大きな袋…………あっ!!」
【しばらく考え込んでいたが、突然閃いたらしく夜の森に声が響く】
「も……もしかして、お爺さんのお手伝いをしているんですか……?」
【自分の考えがあっているかを確かめるべく、恐る恐る尋ねた】
-
「あん?……ジジイ?
……はっ、だーれが、あんなクソ爺の手伝い何かするかよ!」
【そういわれると口を尖らせて、反論を述べる。
どうやら、考えはあっていたらしい。】
「これは俺の今日の報酬だよ、報酬。」
【と、そういいながら背の袋を背負いなおす。】
-
>>1280
【どうやら自分の推理はあっていたらしい。
その事実に、おもわず顔が明るくなる。
だが、悪態をつく様子をみて眉を釣り上げた】
「お爺さんを悪く言わないでください!
あの人はすごく優しくて、公平な方なんです!
あなたもお手伝いをしているということは、お爺さんの跡を継ぐつもりなんじゃないですか?」
【ずいっと間合いを詰めながら物申す。
まるで『お爺さん』を知っているかのようだ】
-
「アーホ。誰が跡なんか継ぐかよ。
それに、何度も言うけど手伝いなんかしてねぇっての!
……大体、俺らはもう同じギルドにいるわけじゃねぇし、無関係なの!」
【実際、跡を継ぐつもりは無い上に、そんな連絡を取り合っているわけでもない。
とはいえ、あの爺の仕事といえば、傭兵である。
すなわち、現在のこの男の状況が最早、跡を継いでいるようなものだ。】
「……って、何でアンタはジジイのこと知ってんだ?」
-
>>1282
「ギルド……そうか。
やっぱり1人じゃ無理だもんな」
【独り言を呟きながら、勝手に納得した!】
「私も、小さい頃にお世話になったんです。
いつかお礼をいいたいとは思っているのですが、今の時期もやはり忙しそうですね」
【過去を思い出しているのか、穏やかに告げる。
その様子には嘘など感じられない】
-
「……へぇ。あのクソジジイも顔は広いからな。
にしても、こんな所で世話してた奴と出会うとぁ……ふーん。」
【と、ラーナイを今一度、よく観察して。
もちろん、爺の年齢から考えて、そういうことをしていても不思議ではない。】
//自然すぎる勘違いww
-
>>1284
「次にお爺さんへ会った時、時間があったら伝えてください。
『プレゼントありがとうございました。……あなたの目は正しかったです』、と」
【伝言を頼むとは、よほど恩義を感じているらしい】
-
「――――はぁ。
……なんつーか、あのジジイにしちゃ珍しいというか何というか。」
【あまりに恩義を感じている様子に思わず、こちらも恐縮してしまう。
たしかに、悪い人間ではないが、そこまで恩を与えるような人間だったか、と
頭の隅の方でぼんやりと考えながら。】
「まして、アンタみたいな……っていうか、その頃はまだアンタが小さいのか。
ともかく、小さい女の子に気が利くようなプレゼントを渡せるとも思えねぇし。」
【一応、ギルドで過ごしていたため、長い付き合いである。
そのため、その爺に関しては粗方、分かっているつもりだ。】
//了解です。
-
「――――はぁ。
……なんつーか、あのジジイにしちゃ珍しいというか何というか。」
【あまりに恩義を感じている様子に思わず、こちらも恐縮してしまう。
たしかに、悪い人間ではないが、そこまで恩を与えるような人間だったか、と
頭の隅の方でぼんやりと考えながら。】
「まして、アンタみたいな……っていうか、その頃はまだアンタが小さいのか。
ともかく、小さい女の子に気が利くようなプレゼントを渡せるとも思えねぇし。」
【一応、ギルドで過ごしていたため、長い付き合いである。
そのため、その爺に関しては粗方、分かっているつもりだ。】
//了解です。
-
>>1287
「確かに、女の子向けと言われるようなプレゼントじゃなかったですね。
それでも、私は嬉しかったんです」
【当時のことを思い出しているのか、口元に小さな笑みが浮かぶ】
「っと、今は立ち話をする時間でもないですね。
お仕事、がんばってください」
【丁寧に頭を下げた後、森の奥へと向かうため踵をかえす】
-
「あのジジイはそういうのに、てんで弱いからなぁ。」
【と、自分のことの様にバツが悪そうに頭をかく。
そういうセンスがないことは、彼もバッチリ受け継いでしまっている。
それゆえに彼も、そういう贈り物などには困る性質だ。】
「……ああ。ってか、俺も終わったからどうせなら一緒に――――。
……んだ?帰るんじゃなくて、今から森ン中に入るのか?」
【と、奥へと足を向けるラーナイを見て、不可思議そうに。】
-
>>1289
「はい。
……また向かうところがありますから」
【足を止め、バツが悪そうに苦笑しながら首の後ろを掻く】
「それでは、おやすみなさい」
【一礼し、森のなかへときえていった】
「(まさかサンタさんが王都にいたなんて。
やっぱり、今からプレゼントを集めないと間に合わないんだろうな)」
【森を歩きながら胸の中でつぶやく。
未だにサンタの存在を信じているが故に、パリーをサンタの孫と勘違いしていた】
「……あ。
モコたちにはプレゼント持ってきてくれって頼めばよかったな」
【勘違いを訂正する人はもはや誰もいない。
これからどうなるFo】
-
「……ああ、まぁ……気をつけろよ。」
【そういって、軽く手を挙げて、見送る。
目的があるのだと考えて、止めることはしなかった。】
「……にしても、あのクソジジイも色々やってンなぁ。
――――あ゛ー、報告に行くか。面倒だけど。
まぁ、ちょうど、酒のあてはあるから大丈夫だろうが。」
【そういって袋を背負いなおす。
袋の中には巨大なイノシシの肉が入っていたとか、FO】
//サンタの孫ww お疲れ様でした!
-
<王都近くの草原>
「あ゛――――、あ――――、ア――……なんだ。」
【草原の一角から火の手が上がっている。
そこそこに大きいもので、焚き火とも思えない。
その火の近くにいるのはシルクハットに陰陽太極図を象った面を被った男である。
火元からは何ともいえぬ焦げ臭さ……そう、例えば肉が焼けるような。】
「無益なことァ、したくねェ――――ンだがよぉ、俺は。」
【シルクハットに軽く手を当てながら、仮面がその火を見つめる。】
-
「……マァ、運が良――――ぃことに誰もいないのが良かったけどよォ。」
【口ぶりからして恐らく、戦闘を行っていたのだろう。
そして、目の前の焼けていく〝何か〟はその結果である。
つまり、この仮面の男が生き残ったのは言うまでも無い。】
「私怨か何か知らねェ〜〜〜〜が、半端に俺に挑んでくるんじゃねぇよ。」
【と、既に物言わぬソレに語りかける。
そして、クツロォの周辺に魔力が発生する。この男からすれば、この場からは早く立ち去りたいのだ。】
-
「……それじゃ、まァ、見つからない内に。」
【そういうとクツロォの背後がまるで口をあけるかのように開いた。
その開いた空間の先には何かが見える。
それは古ぼけたキッチンの様な――――。
そして、そこに躊躇なく歩みを進める。】
「ハ、ハハ――――いつも、ご苦労だな、ディエスタ。」
【シルクハットに手を当てて、くっくっ、と肩を震わせる。
そして、何者かにねぎらうような言葉をかけたかと思うと、その空間は閉じてしまった。
あとに残されたのは燃え尽きて、墨と化したものだけだったとか、FO】
-
「……それじゃ、まァ、見つからない内に。」
【そういうとクツロォの背後がまるで口をあけるかのように開いた。
その開いた空間の先には何かが見える。
それは古ぼけたキッチンの様な――――。
そして、そこに躊躇なく歩みを進める。】
「ハ、ハハ――――いつも、ご苦労だな、ディエスタ。」
【シルクハットに手を当てて、くっくっ、と肩を震わせる。
そして、何者かにねぎらうような言葉をかけたかと思うと、その空間は閉じてしまった。
あとに残されたのは燃え尽きて、墨と化したものだけだったとか、FO】
-
◆★当社URL:
http://50r.cn/ibRmjV
http://50r.cn/7eZQmJ
http://50r.cn/zRmb7A
http://50r.cn/vRuv3F
http://50r.cn/NqJIUA
-
-森-
「はぁぁぁああああああああ!!」
カシュン!という甲高い音と気合のこもった声が森に響く。
何者かが居るようであるが…
-
せっ!ハッ!
(ガスッ) (バキッ)
【見た目美少女が大量やのゴーレム相手に大立ち回りしている】
ライア「ふんっ!」
【その傍らではポニテ剣士が剣をふるっている】
-
>>1298
ゴーレムの編隊に、遠距離からの魔力による光線が放たれる。
人形師、グァルネリが生み出した傑作の自我ある人形が一人、”殲滅型”と呼ばれるタイプの砲撃である。
光線は大気を貫き、魔力の衝撃は土を、砂を巻き上げ、ゴーレムを巻き込んでその熱量でもって飲み込んでいく。
「砲撃視認――突撃!」
それから間を置かず、砲撃の効果を確認した直後にもう一人の人形が動く。
闇色の槍を握り締めた、黒衣の少女――”高機動型”と呼ばれるタイプの彼女は、多数の小型戦闘人形を率いて戦場へと降り立った。
砲撃の影響も冷え切れぬ内に、敵を破るという魂胆だ。
オリルとライアには非常に強力な援護となるが――敵の本体はどう動くだろう?
-
男「おやぁ、化け物さん、良いお仲間が出来たようで」
ええ、まったくですよー
【ゴーレムの後ろからひょろ長い男が出てきて、聞くだけで不快になる様な耳障りな声でオリルに話しかけた】
(ズズズ、ガシーン)
【一際大きいゴーレムが出てきて砲撃を受け止めた、異常に頑丈だ】
-
>>1300
「――弾種変更! AP砲用意!」
頑強なゴーレムの出現にもひるむことはない。
彼女は後方の”殲滅型”に指示を飛ばし、飛行することでゴーレムの頭上から迂回し、男に肉薄する。
ゴーレムの行動には小型の戦闘人形が多数の矢を射掛けることで牽制する。
「長くかけたくはない。これで終わりだ、”国食み”!」
男に接近した彼女は槍を男に向け、重力に任せるままに迫る。
十分に加速がつき、体重も乗った槍の一撃となるが――
-
男「おっと、危ないですねぇ」
【さ自身に迫る槍を障壁を纏った手で受け流す】
【よく見れば大きいゴーレムは一度大破したのを無理矢理修理したように継ぎはぎだらけだ、あそこを狙えば脆いかもしれない】
-
>>1302
「――マスター!」
防がれたと見るや即座に宙にへと舞い戻る。
高機動型である彼女はそんな軽業を得意とする、人形の中で唯一飛行可能なモデルだ。l
「何かされる前に――さっさとケリをつけるぞ!」
オリルらと共同して男にあたれば、あの強力な防御も砕くことは可能。
彼女はそう判断したようだ。
-
さて、行きますよ
魔心功[信]!
【叫ぶと同時に腕が内部から爆発したように血が吹き出すそれとともに凄まじい力の塊がゴーレムを吹き飛ばしながら男に向かって発射される】
男「流石ですねぇ化け物さん」
【余裕綽々な様子なひょろ長男】
-
>>1304
『装填完了。ポイント確認――沈めます』
「巻き込むなよ……!」
オリルの攻撃方法には多少面食らったが、気にしている場合ではない。
やや自分に意識が外れているのを見計らい、高度を上げ――。
そこに、遠方の”殲滅型”による狙撃が行われた。
先程の頑強なゴーレムにも対応できる、貫通に特化した魔術を用いた攻勢魔術。
それによる砲弾は、夥しいまでの閃光と熱風を伴ってゴーレムに放たれる。
-
((ガシャーン)
【オリルの攻撃でよろめいたところに砲撃が直撃し、大破する、残りは雑魚ゴーレムだけだ】
セーラ「・・・」
【よく見るとゴーレムに混ざって虚ろな眼をした金髪の少女がいる】
セーラ・・・!
【な荷やら緊迫した様子のオリル、オリルが呼び捨てにするということは相当に親しい相手なのだろうそれこそずっと昔からの知り合いレベルの】
-
>>1306
「効果確認。目標沈黙――次弾装填、待機」
厄介なものが一つ片付いた。
残るは男をどうにかするだけだ――そう思われたが。
様子のおかしい主人の旧友らしい人物が、ゴーレムに混ざっている。明らかにこちらの攻撃の鈍化が目的であるといえた。
「となれば――!」
少女の相手はオリルに任せ、男を直接叩くことを判断する。
彼女は引き連れた小型人形を再集結させ、剣を持って男に突進させた。
数を相手にする場合、男がどう防ぐか、それを見るのが目的だ。
-
男「おっと」
【雑魚ゴーレムを集結させて真っ向から迎え撃つ】
おりゃー
セーラ「・・・」
【オリルが高速具を持って突撃し、少女を拘束する】
やっと取り戻しましたよ
【ぐっとガッツポーズする】
フィアさん、手助けしますよー
【あオリルが飛び込んで来て雑魚ゴーレムを薙ぎ倒していく】
-
>>1308
「――今だ!」
先程は防がれたが――。
眼前で乱戦が起きているという視界の悪さを利用し、彼女は男の頭上からその手にした槍を投げた。
槍は放たれた矢のように鋭く、風を切り裂いて進む。
「――ッ」
思わず、息を呑む。
これで大人しく決まれば良いのだが、どうか。
-
男「おっと、甘く見ないでください」
【槍が飛んできたところにピンポイントで障壁を張り防ぐ】
-
>>1310
「――マスター、下がって」
こうなれば仕方ない。
主人を引かせ、人形達にはゴーレムと戦闘しながら男が簡単に逃げられない陣形をとらせる。
自分も高度を維持したまま、後ろへと下がり――。
『装填完了』
「いいタイミングだ。ポイントは乱戦のど真ん中だ。人形ごといけ!」
『……了解。ルクスを怒らせても責任はとりませんから』
遠方からの狙撃によって、男を仕留めるように動く。
先程と同じ魔力が迸り、熱波と耳を切り裂くような音と共に男と、それを囲む人形、ゴーレムらを襲う。
-
男「ぐあぁっ!」
【流石に防ぎきれず、ゴーレムともども吹き飛ぶ。どうやら決着が付いたようだ】
ファイアさん、ありがとうございましたよー
【いきなり土下座するオリル】
-
>>1312
「……倒したのを確認しなくてもいいのか?」
殺しきれてない可能性は十分にある。
あれほどの強力な障壁を持っている人物だ。まだ息があるかもしれない。
「それと、私はマスターの兵として役目を果たしただけだ」
「頭なんか下げなくていい。そんなことをしても私は嬉しくないからな」
砲撃に巻き込んだ都合、槍も吹き飛んでしまった。
後日、代用品を探さなければならない。
-
元々殺すつもり
-
【訂正】
元々殺すつもりはなかったので大丈夫ですよー
多分動けなくなってると思いますしもし動けても
ライアが居ますしね
いえ、それでもお礼くらいしたいんですよー
-
>>1315
「……そうか」
殺した方がいいだろうと彼女は思うのだが、殺さないと決めたことであるならそれは言わない。
あくまで人形なので、そのあたりの判断は主人に任せるものだ。
「まぁいい。新品の槍を報酬に要求する。感謝は報酬で表してくれ、マスター」
「では、私はティナのご機嫌を伺ってくる。後でな」
協力してくれた彼女もねぎらわなければならない。
機嫌を損ねる前に、と彼女は足早にこの場を立ち去ったとか。
-
ええ、では槍を用意しておきますよー
【セーラを連れて去っていったとか】
-
【これまでのあらすじ。
竜騎兵と意思疎通ができません。どうしましょう?】
「うーん……」
【長居はできぬと住民の傷を癒やす洋館の前から立ち去ったラーナイ。
問題は、竜騎兵の言葉の疎通である。
竜騎兵の文字を書き写したメモを開きながら、首を傾げる】
「……とりあえず、この文字が読めそうな人のところにいこう。
それでいいか?」
【竜騎兵を振り返って尋ねた】
-
>>1318
「…」
こくり、と頷く。
相変わらず威風堂々たる姿であった。
-
>>1319
「えっと、こっちにこれがあるから……あっちだ」
【木の位置等で方向を正確に把握し、王都の方角を指差すサバイバー。
王都向かっててくてく歩き出した】
-
>>1320
とまあそんな感じで私塾前!!
壮年「…」
知らない男「…」
竜牙兵「…」
フード付きオーバーコートを纏い腰に短剣を吊るす銀髪の壮年とその隣に
両端を垂らした紅いマフラーと二本角の鉢金を身に付けたボサボサな黒長髪で長身の男。
丁度どこかに出かけるところだったらしく鉢合わせ。
-
>>1321
「こんにちは。
ドゥクス、どこかでかけるのか?」
【知らない男に丁寧に頭を下げてから、目的の人物へ向き直る。
ちなみにラーナイの格好は濃緑タンクトップにスパッツ、片腕だけに白手袋を嵌めて、腰には赤いぼろ布にしか見えない魔具を巻いている】
「……って、ドゥクスはあまり運動したらいけないんだろう?!」
【壮年の格好を見咎めて、眉を吊り上げる】
-
>>1322
長身「…そうなのか?」
壮年「あー…そういうことにしていたんだけどね」
どうにもバツが悪そうな様子の壮年。
あれれ?
壮年「それはそうと…何の様だい?」
露骨に話題を変えようとしている!!
-
>>1323
「危ないところへ行くつもりなら、止めるからな!」
【腰に手を当て、仁王立ちでぷりぷり怒る。
それ以上屈んだら危険だぞ!!】
「ああ、実はこの人が私の知らない言葉を使うんだ。
ドゥクスなら知っているかも知れないって思って……」
【言いながら竜騎兵を振り返る】
-
>>1324
壮年「ああ、うん、わかっているよ」
長身「…」
竜牙兵「…」
内心どう思っているかは知らないがそう答える壮年。
壮年「…ふーむ…どんな言葉だい?」
長身「……」
竜牙兵「……」
壮年がラーナイと話す間。
長身の男と竜牙兵が互いに視線をそらさず相手を見据えている…
-
>>1325
「本当に本当だな?」
【念には念を。
まあ最終的には信じてしまうのだが……】
「こんな字だ。
書き写しだから少し違うかもしれない」
【言いながら、メモを壮年へ渡す。
該当のページは、右上が軽く折られていた】
「そうだ、紹介がまだだったな。
この人は私の……?どうした?」
【ドゥクスを紹介しようとして竜騎兵を再び振り返ったところで、見つめ合う無言の二人に気付く。
まあ、竜騎兵はもともと無言だが】
-
>>1326
ガッシィィィィィンッ!!
壮年「!?」
唐突に男と兵が互いに拳を突き出しぶつかり合う!!
長身「…っ」
竜牙兵「……」
そして構える二人。
何か知らんがガチで殴り合いを始める気だ!!
そんな感じで次回に続く。
-
>>1327
「ッ?!」
【なにがなんだかで次回へ続く】
-
<王都の路地裏>
「…………。」
【夜になり、殊更に暗さが増した路地裏にじっと潜む影が1つ。
それは金髪の少年だ。
最近は寒くなってきた所為か今まで体に結んでいた青いコートを羽織っている。】
-
「…………今日は何処で寝るか。」
【周囲を警戒しながらぽつりと独り言を述べる。
路地裏という限られた中に居るが、その性質上、定住することは出来ない。
というよりも家を建てるわけではないので、定住しようがないわけである。
難しくは無いが、現状、ビィバードにそういう固定の寝床はないようだ。】
-
FO
-
おりゃー
(ガンガンガンッ!!)
【今日も今日とてけたたましい音をたてながら巨大な岩を殴ってる見た目美少女】
-
【場所書き忘れ 森の開けた場所】
-
【王都領内/森林】
王都郊外、領内の広い森林。
街を少し離れ、山麓とも言えるその場所の森林。
そこは既に秋の彩りに染め上げられ、木々は赤々と美しい葉を揺らしていた。
「ここには、薬の材料を取りに来てね。
今時の女の子が紅葉なんて見て楽しいのか、は解らなかったけれど、何処か連れて行くって約束だったから。」
そこに少女を連れて来たのは白色の髪にコートの青年だ。
以前、何処か連れて行くという話をした結果、景色の美しい此処になったらしい。
-
青年の傍らには、青い髪の小柄な少女。
普段より少々めかしこんだ服装と、片手に抱くのはいつものボロボロ兎人形。
「…………。」
普段どおりのぶっきらぼうな表情を浮かべてはいるが、
見事な光景に目を奪われている様である。
『いやぁ美しゅうございますねぇ。
引きこもってばかりのレトロ様には、良い目の保養になっております、ハイ。』
少女の手にする兎人形も、甲高い声を上げて感動を露わにするのであった。
-
「はは、それなら良かったよ。
この辺りまだは良く分かってはいないけど、一番綺麗だと思う所だから。
その様子に安心したのか、柔らかな笑みを浮かべて。
旅人である分、詳しくは無いが、行動範囲は広い、のだろう。
「紅葉、は季節限定の物だからね。
只の山々でも、こんなにも綺麗に見える。」
-
「…………。」
その辺りをうろつき始めて紅葉の葉っぱをつまみあげてじっと眺めたり……
かと思うと、腕一杯に集めた紅葉の葉を宙に巻き上げて、
しばらく宙を舞う紅葉をぼーっと眺めたり……。
『……やれやれ、相変わらずレトロ様は落ち着きが無い……。』
-
「新鮮、かな。
確かに王都は、余り木々が無いからね。」
合っても街路樹程度の物だ、それも小さいし。
噴水広場や大学の中庭にならば多少あったりはするものの、それでもここまではやっぱりない。
「僕は悪くないと思うよ、好奇心はいつだって大事なものだし。」
-
『まぁ、こういうお出かけは久しぶりですしね、レトロ様は。
……多少はしゃぎまわっても仕方が……。』
「………っ。」
はしゃいで駆け回っているうちに、
降り積もった葉っぱに足を滑らせて見事にすっ転ぶのであった。
『……あぁぁ、言わんこっちゃ無いですよ、レトロ様…!』
-
「と。」
転んだレトロにすぐに駆け寄って、小さい身体を抱き起こして。
「大丈夫かい? 楽しいのは良かったけれど、怪我をしちゃ元も子もないさ。」
何処か怪我をしてないか、と声を掛けて来る。
優男、である。
-
「…………。」
軽い体は易々と抱き上げられ、
少々恥ずかしそうに顔を伏せて服についた土埃をぱんぱんと払う。
『……あぁ、申し訳ありませんゼノ様……。
でも大丈夫です、レトロ様は体だけは無駄に頑丈ですので、
この通り無傷でピンピンしておりますよ、ハイ。』
-
「うん、言う通り怪我は無いみたいだね、良かった。」
そっ、と立たせて直ぐに離れる。
その辺り弁えてる辺りやっぱり大人、といったところだろうか。
「次は気を付けてね、この辺りだって少ないけど魔物も出るかもしれないから。」
-
「…………。」
『……ははぁ、魔物でございますか。
……この季節の魔物は、食欲も旺盛で気性も荒いですからねぇ……。
レトロ様は、魔物如き余裕、とか思ってらっしゃいますけど……
相変わらず自信過剰なのでございます、ハイ……。』
-
|ヽ
| ヽ , イ
| ヽ r'´_,'´__
| ヽ/ __二ニ≧_
| / r'´ ̄ ,イ´ \__
」_/ < ≦
_,. イ ヽ.___`> 彡
ー--、 ,へ \ Z
/ V \_ `ゝ _ ∠,
| | /\ /r ヽ _ン
| ∧ ト /'斤テ'トミゝ|к/ ≧
|/ V |i '″ .レ| | ,イ 〈
Vノ_ j| ハリレNVヾ
| ヽ -一 | / |_
ヽ、ヽ_..イjノ , イil i| rー、
__\|_|ilゝ―-<il il il |____ノ
/il il il/::::/il il il il il il il il il il il/:::://
───────────────────────────────────────
【蔵人】 (例えば――此方を瓦解させるつもりならば態々「草」にせず「華」として収穫する。
それで飾り立てれば流れは傾く、引き抜けば引き抜く程、此方の「華」は減るんだ)
-
//うっわ誤爆
-
「うん、特に一部はもう冬眠の準備に入ってるからね。
レトロさんも気を付けないと、食べられちゃうよ?」
少しだけからかうような笑みを浮かべて、少女にそう言う。
反応を見て面白がっているようだが。
-
「………。」
『……逆に喰らってくれる……と、レトロ様は息巻いております。
ちなみにレトロ様、貴女も食欲の秋には注意された方が……。
……先日もあんなに食べたもんですから、また少し……ぎゃふぅ!!』
兎の余計な一言からの少女の制裁……。
もはや青年にも見慣れた風景となってきただろう。
-
「はは……でもレトロさんは大丈夫だと思うよ、僕は。」
兎人形が殴られるのを見て、冗談交じりにやめてあげな、と言った後にそういって。
「さっきも軽かったし、可愛らしいし。
気にする必要はないんじゃないかな?」
-
「…………。」
青年の言葉に、ふふん、と得意気。
『………ふぅ……。
いやですね、まぁ正直なところ体型は大丈夫なのですがね、少々ちんちくりんですが。
……ですが…この人チビのクセによく食べるので……食費が……。』
ちんちくりんだのチビ呼ばわりに、再び制裁が入りそうになるが、
青年の言葉もあって今回は無事に済むのであった。
-
「勿論、気を使うに越した事は無いからね。
食事もバランス良く取らないと体重は奥にしても、身体には悪いから。
「へぇ……けどレトロさんの年なら、少し多めの方がいいさ、特に女の子はね。」
-
「…………。」
……と、飯の話をしたせいか……
少女の腹の虫がきゅるるるる、と鳴るのが聞こえる。
「………………。」
そして、じーっと青年の顔を見つめる……
飯にしないか、と訴えているのだろう。
…まったくもって、花より団子である。
-
「食事にしようか、景色を見ながらも良いものだよ。」
くす、と笑い事前に用意していた旅荷物の中からシートを取り出し、足元に引いて。
「一応飲み物と、パンとスープぐらいは用意しておいたよ。
足りるかどうかは、わからないけどね。」
-
「…………!」
パンとスープ、の言葉に目を輝かせる現金な少女。
さっそくシートへと座り込む…。
『あぁ、なにからなにまで申し訳ありませんねぇ、ゼノ様……。
……レトロ様、食べすぎは厳禁でございますよ……?』
-
「手製だから味は保証しないけどね?
はい、これ。」
容器に入った温かいオニオンスープと、ハムと卵を挟んだパン。
……軽くピクニックである、中々に美味しそうだ。
-
「………♪」
受け取った軽食をもしょもしょと食べつつ、
どことなくご機嫌な様子の少女。
…味は少女の舌には敵った様である。
『あぁ、レトロ様、ちゃんといただきますを……。
…まったくレトロ様は意地汚い……。
……いやはや、とても美味の様でございます、どうもありがとうございますゼノ様……。』
-
「いや、ご満悦の様で何よりだよ。
どの道食べて貰うつもりで持ってきたものだしね。」
満足気な少女を見て、満足気に。
自身もシートの上に座り、スープを飲んでほっと一息。
-
「………。」
『なかなか良い味の様でございます。
……ははぁ、手製でございますか。
ゼノ様は男性だてらに料理も嗜むのでございますね?
レトロ様も、多少は見習った方が良いかと……。』
そんな兎の小言を他所に、もう一つパンを摘んで齧り始めるのであった。
-
「旅なんかをしていると、どうしてもね。
ある程度以上は一人で出来ないと、お話にならないから。
食料調達から、調理まで。
一人で旅をする以上は必須スキルである、ながければ当然身につくものも、多い。
-
「………。」
『なるほど…世間知らずのレトロ様も、一度旅にでも出てみれば良いのです。
……旅と、いいますと、どんな所に行った事があるのか……
とレトロ様が興味を持たれた様でございます。』
ぺろぺろと指先についたパンくずを舐め取りながら、
じっと青年の顔を見つめて来る。
-
「ん……そう、だね、色々かな。
王都大学で習うメジャーな国、なんかはだいたい行ったよ。」
と、言うとフラネアやエフライム、獣人国家群辺りだろうか。
この大陸は結構広い、殆どを歩いている事になる。
-
「…………。」
まだ見ぬ異国に思いを馳せる……。
一体どんな景色で、どんな人がいて、どんな飯が……。
『……ははぁ、良いですねぇ〜。
わたくしと致しましても、見聞を広めてみたいものです……。
……ゼノ様は、王都出身なのですか?それとも、やはり他の国……?』
-
「うん? ……そうだね、僕は……小さな島国、かな。
島に一個しか国と街がない、海にぽつんと浮かんだ島だよ。」
また随分と遠い所から遥々とやってきたものである。
何か目的のある旅なのだろうか……?
-
「………。」
『ははぁ、島国でございますか。
……陸育ちの我々には、珍しいものでございますなぁ。
……どうしてわざわざこんな遠方まで旅を……?』
-
最近王都周辺で目玉がくり抜かれて死んでいる獣や魔物が多数発見されていた。
初めは蝙蝠、野ウサギなどの小型の獣であったそれが
何時しか野犬、熊、魔獣となっていくのにさほど時間はかからなかった。
そしてついにヒトが餌食となる。
老若男女問わず発生しだしたそれに対応するようクエストが大々的に発せられたのだが…
此処はクエスト発注所。
珍しくも煌びやかな金の長髪と澄んだ青い瞳を持つ騎士服姿の男装麗人、
王国騎士で自称王国魔導騎士のクレエ=エリタージュがこのクエストを統括していた。
クレエ「どうしてこうなった?」
その周りには
左腕に魔石の嵌った手甲を付け森私塾制服を着た左眼帯の短髪娘、
両目を包帯で覆い耳と鼻と唇が削ぎ落とされた様な風貌の3m級巨人(体育座り中)、
右手に杖、両目を包帯で覆う艶やかな黒長髪の娘の3名が居た。
クレエ「一応確認するが今回の事件の被害者ではないな?」
隻眼「うん、違う」
巨人「違うな」
娘「違います」
クレエ「……(なぜ揃いも揃って目が無いんだ?)」
-
「目ん玉ひん剥き事件関係の依頼受けたんすけどここでいいんすかね!」
そう言って背に大きなカバンを背負ったどことなくチャラい風貌の青年が入ってくる。
ハロウィンの時期によく見る安っぽいパーティーグッズの目玉が飛び出したメガネをかけて。
-
(ギィ……)
すみません、殺人事件のクエスト受けに………(恐る恐る
【リュックを背負った少年が発注所に入る、中性的な顔立ちで黒髪短髪。
腰には少年の雰囲気には合わない様な剣がぶら下がっている】
あれ……(被害者の人達か……)
【違う、それは違うぞ、勘違いだ】
-
>>1365
クレエ「私もう今回の担当外れていいかなぁ…」
新たな受注者らしき人物の登場に額に手を当て唸る騎士。
マッハで胃に穴がオープンらしい。
クレエ「…ああ、そうだが。一応確認しておくがその眼鏡は何だ?」
>>1366
クレエ「………此処にサインを」
討伐関係の契約書によくある羊皮紙を渡される。
まあ、怪我をしても文句言いませんよみたいな法的な事がしたためられている。
-
>>1367
「これ付けてればマジで目玉奪われることねぇかなぁって」
そう言いながらメガネを外す。
両目ともちゃんとあるようだ。
-
>>1337
はーい
【契約書を受け取ると内容をよく読み、サインを書く】
書きましたよー
(あれ、このクエストって………失敗したら目玉抜かれて殺されるんだよなぁ………
若しかして、結構ヤバいクエスト受けちったのか?)
【たった今このクエストの重要性に気づく。今更か、今更なのか………】
-
>>1368
クレエ
「さあ、如何だろうか…
話によると被害者の遺体はどれも執拗に目を狙われているとの事だしな。
まるで目玉を得る事に夢中になりすぎた結果、殺人になったようだと聞いている」
>>1369
クレエ
「よし、それでは其処の3人と一緒に王都の出口まで先行してくれ。
私は他にも受注者が来ないか暫く待つからな」
ということらしく、被害者に見えなくもない3名と共に少しの間動くようである。
-
「それにしても最近物騒なことが多いなぁ……」
そんなことを言いつつクエスト発注所に来る2本の剣を持った少女。
「あ、目玉くり抜き事件の受付ってここですか?」
そうクレエに確認を取る。
-
>>1370
「まー、目って呪術的にも結構重要なパーツだしなぁ。
竜を食い過ぎて竜に呪われ左目が竜の目になったヤツとかいるらしいし」
メガネを上着のポケットへしまいながら言う。
-
>>1370
わっかりましたー(ピシッ
じゃあ、行きましょうか
失礼ですけど、前大丈夫ですか?
【三人に声を掛ける、目が見えていなさそうな2人の心配をするが……そんな心配よりまず自分の身を心配して欲しい】
あれ、あなたのその服って私塾の制服ですよね?
ちょっと興味があって……(ポリポリ
【少し恥ずかしそうに頭を掻く】
-
>>1372
クレエ
「憶測の域を出ないがそういった目の魔力に関連した事件ではないかとの視方もある。
何はともあれ我々のすべき事は森に行ってそれらしき犯人の特定をすることだ。
空振りするかもしれんし、他のクエスト受注者が手掛かりを得るかもしれないが…」
>>1371>>1372
クレエ「ああ、契約書にサインをしたら出発しよう」
目撃証言もないまま一行は危険性としては一番高そうな森へと向かうことになる。
そこで目玉を奪おうとする何者かに出会えれば事件への解決に繋がるかもしれない…
>>1373
巨人「当然だ」
娘「はい、大丈夫ですよ」
ずかずか、てとてと、と目の見えなさそうな二人が難なく発注所を出る。
巨人に至ってはあの巨体で何処にもぶつかっていないんだから恐ろしい。
隻眼「私塾?まあ、その話はクエスト終わってからだね」
そういうと隻眼も発注所を出、王都出口まで歩いて行く。
-
>>1374
「へいへい了解。
んじゃ行くとすっか」
背負っていたカバンを手に提げなおし発注所を出る。
-
>>1374
あ、そうですか、それは失礼な事を(ペコリ
【頭を下げる、発注所に入ってる時点で気付いて欲しいものだが……】
(凄い、何処にも当たってない……なんか特殊能力みたいなのがあるのかな…)
分かりました。
では終わった後……
-
>>1374
「ん、それじゃあ」
サッと契約書にサインをし、発注所の外へ。
-
そうして王都出口…
クレエ
「さて、受注者諸君にはクエストを始める前に礼を言っておく。
此度の事件は王国の秩序を脅かす重大な事件だ。
王国の未来を憂い、こうして立ち上がってくれた事には感謝してもしきれない。
事件が解決した暁には、
この事件に関するクエスト受注者全員に十分な報酬が支払われるだろう」
隻眼
「で、僕達は具体的に何をすればいいのかな?」
クレエ
「そうだな、敵の正体が不明で目を狙ってくるという情報しかない今、出来る事は一つ。
自身を囮にして敵を迎え撃つしかない!」
隻眼「約二名、囮ができませんけど」
クレエ「……に、人数もいることだし二人一組で行動すればいいんじゃないか?」
隻眼「なーるほど」
クレエ「そんな訳で自己紹介もして欲しい。我々はパーティだからな」
-
「ダムドでーす。冒険者じゃなくて武器屋の宣伝担当でーす」
自己紹介と言われても特に言うこともないようで、
非常に簡潔に自己紹介するが本業は冒険者ではないようだが戦闘は大丈夫なのだろうか。
-
>>1378
「……つまり命懸けでする……と……」
一応死ぬ覚悟は出来ている……かは分からない。
「あ、わたしはレイヤ、役に立つか分からないけどとりあえずよろしくね」
少女の容姿は少し幼くも見える。何処か心もとなくも感じるかもしれない。
-
>>1378
やっぱり囮作戦ですか……まあある程度覚悟してましたよ……してましたけど……
【少し落ち込んだ表情だ】
ああ自己紹介ですか……
えーと、狐狗貍(コックリ)っていいます、最近この街に来て、冒険者やってます、よろしくお願いします。
【深くお辞儀をする】
-
【頼りなさそうなオーラを醸し出しているが…こいつ大丈夫だろうか】
-
といった具合で話は進む…次回からは個別にイベントが進むぞたぶん! おしまい!!
-
――王都近く 草原
自分の今の力を知りたいと言われ、王都付近の草原に『魔女』と共に転移させられた青年
辺りを見回し自分の現在の位置を確認し、『魔女』と向き直る
「こういう広い場所に出たって言う事は、戦闘形式で?」
-
『まさか。』
ふわ、と遅れて転移してきた金色の髪の少女。
手元に持った杖をローブの下にしまい何処から出したの、草原にぽつりとある四脚の椅子に座って。
『なんでもいいわ、一番得意な魔法使ってごらんなさい。』
動作も無しに少し離れた所につちくれの人形を生み出す。
あれが「的」だろう。
-
>>1385
瞬きすると次の瞬間つちくれの人形ができていた
『魔女』の言葉に頷くと、つちくれに目を向けて自分の最も得意とする魔法が何か考える
自分の得意とするのは防御魔法の類だ、それならば手の平から障壁魔法を……
つちくれ相手にそれをやったら何を言われるかわからないため保留
「(的を用意したって事は、得意な攻撃魔法って事だよね……)」
「――――サンダラッ!」
魔力の集中、術式への変換、そして発動
一番攻撃のイメージがしやすく、そして攻撃速度が早い魔法であるため何度も使ううちに
すっかり得意な魔法となった雷属性の、中級魔法
掌から直線状に跳ぶ、自然現象の雷の小型バージョンの電撃
電気属性に耐性がある岩ゴーレムの類に使っても多少はダメージを与える事が出来る程度に威力を持つ魔法である
だがしかし、使い手の魔力上、強力な魔法を見てきた『魔女』にとっては少し見劣りするものかもしれないが
-
>>1386
『……。』
椅子に座り、特に何を言うでもなくそれを眺める。
呼び出されたつちくれの人形はディフの放った雷に貫かれ呆気無く崩壊する。
が、そういう「式」なのか直後にまた人型に戻ってしまって。
『もう一回よ。
同じ様に、やりなさい。』
再度放つ様に指示する。
……つちくれは特に何か変わったようにも見えないが。
-
>>1387
「…………」
想像していたよりも呆気無く崩壊した土くれの人形、だがしかしすぐに修復された
そして再び出された指示にこの力試しがどういう物か漠然とわかった
しかし『ひょっとして』の域を出ていないため、今は口に出さないが
「……サンダラッ!」
再び、指示通りに先ほどと同じ雷を発射する
まだ二発目だ、魔力の減少による威力の低下はまだ見られない
-
>>1388
『次。』
貫かれ、……先程より少し間を置いてつちくれが崩壊する。
先程よりも僅かに強度も上がっているのだろうか、一瞬で修復したのに変わりは無いが。
『良いって言うまでやりなさい。
それが終わったら基礎の基礎から教えてあげるわ。』
椅子に座った少女はかちゃん、と小さく音を立てて。
手元にテーブルとソーサーの上に乗ったコーヒーカップを何時の間にか召喚していた。
-
>>1389
少し強度が上がったのを見て、やっぱりかと頷く青年
単に魔法が使える回数を計るだけならあのつちくれの強度はかなり高かったはず
一度であっさり壊れなかったのを見て少しずつ強度を上げる方針なんだろう、と考えていた
強度が上がったからと言って、無意味に焦る必要も変える必要もない
そのままの同じ雷を発射し、つちくれの人形が修復したらもう一度発射
これを繰り返し行う青年
自分の魔力だと後15回程度は確実に発射可能だ
-
>>1390
――そして繰り返す事、十五回。
恐らく五回目までは違和感はあっても破壊は出来ただろう。
しかし、それ以降から確実に"何か"が変わり始めた。
硬いのもそうだが"通らない"のだ、魔力の雷がつちくれに通りきらず拡散する。
完全に壊す事は敵わず回数を重ねる毎に損傷は軽微になっていって。
十回を超える頃には少年の放つ雷はつちくれに当たりはするものの、
文字通り"当たっただけ"の状態、何の損傷も生み出さなかったろう。
それでも無慈悲に少女は、「次。」という言葉を繰り返すだけだったが。
『次。
……そろそろ打ち止めかしら?』
そして最早当たっても雷が弾かれるだけ、となった十五回目の後。
それでも無慈悲に『次』の言葉が告げられた。
-
>>1391
肩で息をし、魔力切れ直前特有の、独特の倦怠感が青年を襲っていた
魔力切れ時体が動かなくなるタイプの人間と比べれば、症状は比較的に軽い方のタイプだ
だがそれでも魔力が切れ行く中で威力を一定に保ち続けるのは骨が折れる
「サ…… ……サンダ、ラ!!」
声だけには力を込め、雷を発射しようとする青年
魔力を集中、変換 この段階で、エラーが生じた
必要数集中できず、ただ右手の表面を電気が走っただけであった
-
>>1392
『はい、おしまい。』
その様子を見てつちくれが自壊する。
……今度は修復していく様子は無い、一先ずは終わりという事だろうか?
『評価は今聞くかしら?』
それとも落ち着いてからが良い? と平坦な声で言って。
自身もつちくれに魔術を掛けていただろうに全く疲労した様子もなくそう問いかけてくる。
確信を持っていいだろう。 彼女もまた、化物であると。
-
>>1393
「はぁ…、はぁ……… ……ふぅ」
つちくれが自壊したのを見て、何度も深呼吸し乱れた息を整えた
思ったよりも早い段階で傷さえつかなくなったことが少し悔しい
「は、はい…… お願いします」
-
>>1394
『そうね、じゃあ先ず術式の方だけど。』
『0点よ。』
ぴしゃり、と。
冷たくも聞こえる声でそう両断する。
最初の数回は完全にこわせていたのだし、そうも言う事は無いだろうと思うが……
『単純に雷魔法を使うのだとしても教科書の通りに使っているから威力が散ってるわ。
雷や火は簡単に出来る攻撃魔法だけれど、本来が固形じゃないんだから複数体相手に使うものなの。
単体相手に使うんだったらもう少し収束しなさい、それだけで威力は同じでも撃てる数は倍になるわ。』
自身の右手にディフが使っていた物と"全く同じもの"を。打ち出さずに掌で弾けさせる。
一方の左手には同じ物、だが見比べて明らかに解る程激しく稲光を放つ物を弾けさせる。
『言い換えれば今の魔力の消費量でも、格段に威力を上げる事が出来るの。
魔力の出し方と、術式に無駄が多いのよ。
……これは今の時代の術師全員に言える事なんだけれど。』
発動の際に感じた魔力の量は、全く同じだ。
……今はわかりやすく見せてくれた、という事だろう。
-
>>1395
「れ、0点!?」
予想外、良くはないんだろうと思っていたが1点すらも入っていなかった
学校の教科書通りにやっていたつもりで理論も頭の中に入っているつもりだった、
ひょっとして自分の解釈の仕方が間違えだったのだろうか、と頭の中で考え
教科書通りにやっているからこその間違いであると言われ、その理由も納得行くものだった
「な、なるほど…… 魔法を集中させる事、ですか……」
「ええと……… 術式の方、ということは他の要素では……?」
-
>>1396
『先ずは魔力の使い方と、……自身に合った属性適正ね。』
掌の雷を消して指を一つ立てて、そこに火、水、雷、風……と。
代わる代わる属性の魔力弾を作っていって。
『使い方、に関しては簡単ね。
魔術の構築時に式事態に関係無い魔力の漏れがあるから、単純に集中すればいいわ。
呼吸と同じぐらいに。 それが当然であるように魔力を扱いなさい。』
それをふっ、と消して。
指先に小さな炎を灯して揺らめかせる。
『適正の方は……文字通りね。
”いきもの”で在る限り得意な属性と、不得意な属性があるの。
薬物とか魔道具による補助も可能だけれど……基本は生まれ付きのものだけれど……
後天的な要因によって付与されたりする事もあるわ。 貴方の場合――。』
ちら、と。
そこで初めてディフの顔をしっかりと見る。
-
>>1397
魔力の運用に関しては、数をこなして集中できるようにすれば何とかなりそうである
だがしかし属性適正、少し眉を顰めて考えてみる
「得意な属性と…… 苦手な属性?」
「色々魔法使った事あるけれど、どっちも有ったかな……?」
本人にとっては心当たりのない物だった
得意な魔法という物はあるが、得意な属性や不得意な属性と言われてもピンとくるものが無い
本人の属性だってほとんど無属性のような物だった
だが、無属性と思わせる魔力の中から微かに感じる土属性の魔力
成長過程で属性的な要素が減少していっているのか、あるいは別の要因の物か
そこから何となく、得意な属性は土で不得意な属性は水、という事が読み取れた
-
>>1398
『貴方は少し土気が強いわね。
こういうのは東方の五行式に当て嵌めるのが一番楽なんだけれど。』
掌を翳して生み出したのは小さな土くれ。
それを再度翳した掌の中で槍の穂先の様に加工して。
『見せた方が疾いわね。
土は既に在る物質に働きかける、事が多いかしら。
昔……今だと、大昔かしら。引斥を操ったりもあったわね。
まぁ、こっちは良いわ。』
手を小さく振って生み出したそれを何処か、へと消し去る。
そうして椅子から降りて今度は左手を翳して。
『逆に苦手なのは水ね。 これは土剋水と言って……土気は水気を殺す作用があるから、仕方ないけど。
それと火にも縁があるみたいだけど、炎に巻かれでもしたかしら?』
-
>>1399
「五行式…… 陰陽道で使われるもの、でしたっけ」
「木火土金水を五芒星に見立てた相性表で表す、四大元素とは違う概念…… ですよね?」
あまりなじみはないが、知識程度には抑えていた
木、土、金の区別がつきにくくイメージ要素の強い魔術だとこんがらがりやすいため
もっぱら四大元素に頼りっきりである
「そんなところ、ですね それじゃあ僕の得意な属性は土と…… 縁のあるという事は、炎も?」
-
>>1400
『ええ、そうね。 4大元素は解りやすくはあるけれど区切りが大きいから。
詳しく区切るなら五行とか、……七星でもいいかしら。 どちらでもいいんだけれどね。』
今度は掌に液体の入った瓶を取り出し、それをディフに投げ渡す。
恐らくは魔力の回復薬だろう。
『そんな所ね。 どうしても、というなら別だけれど得手の物を伸ばした方が効率は良いわ。
心的外傷で生まれた属性はのめり込めば強い力になるし。』
-
>>1401
「…………………」
冷静な表情を取り繕っているが、内心複雑だった
とっくの昔に精神的にも肉体的にも傷は癒えたつもりだった
それなのに、今になってそれを意識する事になるのは、言葉に言い合わらせない複雑な感情を覚えた
「……強い力になるのなら、伸ばした方がいい、ですよね」
「間近で見たわけですからイメージもしやすそうですし ……少なくとも土属性よりかは」
-
>>1402
『……汚れはね。 違う色で塗り潰しても消えないのよ?
見えなくなるだけ。巻き戻してもやり直してもずぅっと残るんだから。』
魔女が、口の端を吊り上げて嗤う。
少女らしからぬ妖艶な、引き込まれる様な陰を感じさせる笑顔。
それは少年を小馬鹿にするようでもあって。
『火は元々イメージしやすいもの。 分かり易く身近な破壊の象徴ね。
便利である事は否定しないけれど。』
-
>>1403
考えている事をズバリ射抜かれる様な言動に、ギクリとした
心の傷と称されていても、傷のように治る物じゃない
治したつもりでもいつまでも残る物 深く考えなくても、そう言っているとわかる
「そ、それはっ……! ………興味深い、話…… です、ね」
「ああそうだ、ポーションありがとう…… ございます」
急いで取り繕うように言って、回復薬で喉を潤す青年 ほとんど味を感じなかった
言われた時まさに図星と言った表情を浮かべていたため今更取り繕った所で意味はないのだが
「土も身近にあるにはあるけれど…… 攻撃に移す場合はちょっと難しいんじゃないですか?」
「金や木と被る部分もあるし土属性の攻撃と言えば地震とか地割れとかそういう大規模な物になりますし」
-
>>1404
『あら、そんなに慌てて。』
『何か嫌なことでもあったかしら?』
口元を抑える少女の姿をした魔性が、くすくすと嗤う。
その様は可愛らしい童女の物だが、その中身は「あれ」とも繋がりを持つ、
本物の、魔女だという事が実感させられる。
『馬鹿ねぇ。 土なんて、とても攻撃的よ?
貴方がそう意識していないだけ。』
例えばホラ、と少女が落ちていた石ころを拾い上げる。
……何の変哲も無い、本当の、路傍の石だ。
-
>>1405
紹介する時に、Sっ気がある と評されていたことを思い出した
あの『Sっ気がある』は今やられている事に対して言われているのだろうか
自分の知ってるSと若干違う気がしてならない
ポーションを飲んでいるため聞こえなかった体を装いつつ、『魔女』の持つ石に目を向ける
道端に落ちている石を拾っただけ その石自体には何の意味もない
「………あ、ああ…… 石つぶてがありましたか」
-
>>1406
『お馬鹿。』
くすり、と子供を叱る様に少女が言う。
拾われた石は手の中でぱきん、と硝子が割れる様な音を立てて
『例えばこれを魔力に反応して射出すれば、それだけで人は死ぬわよね?』
細く鋭い"錐"の様な形へと変化させられる。
小さなそれは例えば鎧の隙間から突き刺されば致命傷足りえるだろう。
『他にも、例えばこれを介して――』
そうしてその"錐"を地面に落し、魔力と反応させる。
周囲の石が、土が小さな其れに引き付けられていって。
『――こうすれば、腕ぐらいは壊せるわよね?』
最後に、土を孕む魔力による加工で、
鋭利で大きな、な円錐状へと整えられる。
あんなもの、人間に突き刺さればただで済む、済まないの話しでは無い。
-
>>1407
「成程、石を魔力で変形させて武器にしたりそれ自体を媒体にして攻撃に……」
「……いやあの、イメージの話…… だったん、ですが……」
炎の破壊的イメージはしやすい、しかし土属性となると難しい、そんな話をしていたつもりだった
しかし石自体に変化を咥えるなら土のイメージは必要ないのだろうか、そうなると土属性とは一体なんなのか
-
>>1408
『えぇ、”イメージ”の話よ?』
くすくす、くすくす。
何が面白いのか童女は生み出したそれを散らせて笑って。
『魔法に置いて一番大事な物はね、魔力でも術式でもないの。
想像する事よ。 私は土や石に対して雄大であり、多くの顔を持つ物を想像するわ。
術式や魔力なんて想像を貌にするのに必要なだけ。』
『土、石――岩、山。 岩石流、土砂崩れ、地割れ。
鋭利に切り立った山々、風雨に曝されて生まれた石。
輝く鉱石、透き通った水晶。
――全部、”土”でしょう?』
『それとも今の子は、その辺りが貧困なのかしら。』
-
>>1409
「………あー」
「今まで攻撃魔法に使うイメージ…… その属性自体のイメージというか、その属性による攻撃の様子をイメージしていました……」
炎や水、雷といったものをそれ自体ではなく
例えば何かを燃やす様子、例えば何かを流すイメージ、例えば木に直撃した雷
そんなイメージを繰り返すうちにいつしか用途に合ったイメージしか受け付けない、そういった先入観に支配されていた事に気付いた
-
>>1410
『魔法を攻撃にだけ使う子は、それに陥りがちね。』
『そうね、例えば……さっきの低級魔法もそう。』
ディフのサンダラの事だろう。
一応教科書上では中級魔法なのだが、何も言うまい。
『雷を打ち付けるイメージじゃなくて、雷を束ねて線にするイメージや……、
大きいだけじゃなく、剣の様な鋭さをイメージしてごらんなさい?』
言うやいなや現れる、つちくれ。
魔力は先程の謎の液体で、フルにかいふくしているが……。
-
>>1411
「一応あれ、中級……… いえ何でもないです」
「雷を…… 束ねる。 剣のような鋭いイメージに」
また新たに出てきた、つちくれの人形
恐らく最初のような柔らかい人形じゃない、最初っから強固な物だろう
今度は少し時間をかけイメージを固めた
「―――――サンダラ!!」
-
>>1412
確かイメージを持って放たれた雷は一つの"線"に束ねられ、
先程よりも疾く、文字通りの光線の様に放たれてつちくれを貫き心臓の部分に穴を穿つ。
鋭さを一点に束ねられた雷は強度を高められたつちくれを、今度は容易く貫いたのだ。
『――ね? これだけでも、全然違うでしょう?』
そうして後ろから声が掛けられる。
出来の悪い生徒を褒める様な、僅かな優しさが感じられる声だ。
-
>>1413
「………!」
明らかに先ほどのあれよりも一点に集中され、攻撃速度も上がった
何よりも傷がつかなかったつちくれに穴があいたのは、はっきりと変化を見せていた
「は、はい! 比べ物にならないくらいに……!!」
-
>>1414
『要領は他の魔術も一緒よ。 盾の魔術なら土とも組み合わせ易いわ。
単純に盾をイメージするよりも山の様な揺るぎなき強さを……みたいな具合にね?』
今度はつちくれを再生することなく、土に戻す。
戻った土は大地に還元されるかのように染みこんでいって。
『それじゃあ宿題よ、坊や。
次までに今使える魔術を、今やった要領と同じで習熟しておく事と……
魔術を用いてこうしたい、というイメージを考えて来なさい?
その後、また基礎を教えてあげる。』
-
>>1415
今使える魔術を今みたいに習得
さらりと言っているが、地味に難しい課題である
幸いにも習得している呪文の数は少ないため何とかなりそうである
魔術の仕様用途に関しても、問題なさそうだ
「……わかりました。 他の魔術に関しても勝手が効きそうなので何とかなりそうです。 ありがとうございました」
「後僕、一年くらいで二十歳なんだけど、な…………」
-
>>1416
『一度コツを掴めば、これだけなら簡単よ?
心の中にね、イメージするものを置いておく部屋を作ればいいのだから。』
随分と、幻想的な言い回しだ。
この魔女の事だから本当に「そう」なのかもしれないが。
『――ふふ、坊やよ。 私からしてみれば、ほんの赤ん坊。』
金色の髪を靡かせて、童女が言う。
――その背後に寒気すら感じる程に美しい、妙齢の女性を幻視させて。
-
>>1417
「今まで小学生みたいだとかそんな事何度も言われたけど赤ん坊扱いされたのは初めてです」
「今日の立ち振る舞い、子どもっぽすぎたかな…… 次から気を付けよう……」
ううむ、と頭を抱える青年
今まで低身長と草食顔と評される顔のせいで実年齢よりも若く見られる事が何度もあった
今回もその類だろうと考えてるようで 『魔女』側に問題があるとは考えてない様子
「ともかく…… 今日はありがとうございました。 また次回も、よろしくお願いします」
「あ、そうだ 会いに行きたい場合はどこに窺えばいいんでしょうか?」
-
>>1418
『うふふ、さぁ、どうかしらね。』
愉しそうな笑いを浮かべながらふわり、その場でくるりと一回転。
少年の後ろに魔術のゲートを簡単に生成して。
『図書館で良いわ。 王都の、解るでしょ?』
『――今日の授業はおしまい。 宿題ができたら、いらっしゃい。』
自身は、まるでそこに最初から居なかったかのように。
光の粒子に包まれて姿を消していった――。
-
>>1419
既に姿を消しているが、それでもその場に向けて一礼
背後にある魔術ゲートを潜り抜ける青年だった
「(………やっぱり、Sっ気のある人だなぁ)」
そんな事を思いながら、FO
-
ガラッ
カランコロン
なんで窓から入ってるのよ・・・
お邪魔しますー【窓から入って来た馬鹿と普通に入口から入って来て、突っ込みをいれる金髪を二つ結びにしたアクアブルーの瞳を持つ女の子】
-
おうふ、酒場と間違えた
-
〜 あやふや時間軸 〜
「――――ファイア!」
ただの火球のイメージではなく、大木にを焦がす炎のイメージを
攻撃のイメージではなく、破壊するイメージを
とある『魔女』から教わった、新たな魔法の『基礎』
教科書の範疇から出た、全く違った基礎
両手から放たれた火炎は火球とは言えない、真ん前の敵を焦がさんとする火炎だった
しかし首を横に振り、再びイメージを練り直す
侵食と戦うためにも、それ以外の戦いのためにも 自分の魔法の基礎を叩き直している青年の姿がそこにあった
-
黒犬「くはは、中々たどたどしいじゃねえの」
ふいに頭の中で声がする。
黒犬
「あー、寝ぼけてて最近外見てなかったが面白い事になってんなぁ相棒。
言ったろ?イメージが大事だってよ…言ってねえっけ?ぎゃはは!!」
寝起きのハイテンションが鬱陶しいかもしれない。
折角の練習が続けられない。
-
>>1424
「ッ!?」ボフン!
不意打ちの黒犬のハイテンションボイスにイメージが乱れ魔法が不発
手袋の先っちょから煙と灰が発射され、青年が真っ黒っけに
「………」ブンブン
「呼び方わからないからこう呼ぶけど、『相方』!いきなりハイテンションで出てこないでくれよ吃驚するだろ!」
少し呆けていたが、体を振るい灰を落とすと抗議
自分の頭の中だか体の中にいるだかわからないが唐突なハイテンションはやめてほしい
一先ず練習は中断である
-
>>1425
黒犬「ぎゃははっ!そうそう、それよ、それが駄目だって事を言いに出てきたんだぜ俺はぁ!!」
大声が頭ではなく音として聞こえた。
そう気付いた時には周囲は真っ白な空間だ。
黒犬「忠告と相談を持ってきてやったぜ相棒。ちょっとOHANASIしようや」
-
>>1426
「……… 最近気が付いたら空間移動している事が多い気がする」
右を見ても後ろを見ても、果てしなく続く真っ白な空間
ただ、いつもの移動と違って不安なのはない 何となく黒犬は自分の敵ではないんじゃないかと認識していた
「相談と忠告? 一体何を……」
「………それよりも、いくつか聞いていいかな? いつまでも相方って呼ぶの少し不便だからね」
-
>>1427
黒犬
「んー?あんまりこうしてられる時間がねえんだよなあ…
もうちょっと黒い思いを溜めこめよ、殺意の波動に目覚めちゃってもいいんだぜ?
そしたら何時でも脳内会議できらあ」
「ほれ、早く要件言えよ」と黒犬がお座りして催促する。
-
>>1428
「……君の正体って一体なんなんだ?」
「侵負に侵食される前に祓ってくれたところを見るに、アレとは違う存在のようだけど、それでも似通った所がある」
一番気になった事、時間が足りないならこれだけに絞るしかない
他にも何ができるとかそんな事を聞きたいのだが
-
>>1429
黒犬
「俺か?分類上は侵負だ、間違いなくな。
まあ、十人十色、所変われば品変わるって奴だ」
-
>>1430
「違う存在、と思っていたけれど…… 同じ、なんだ」
「………他にも聞きたい事があるけれど、時間が惜しいんだよね?」
「答えてくれて、ありがとう ……それで相談って?」
ああ、何か嫌な感じがするな と頭の中で呟いた
確かベルの場合、山羊頭の悪魔が契約するよう迫ってきてるんだったか
-
>>1431
黒犬
「当然だろ。目には目を歯には歯を、こいつが何よりも単純かつ確実な対処法だぜ?
詳しい話は素っ飛ばすがお前にはそういった素養があったとでも思ってりゃあいい」
後ろ足で耳を掻きながら言う。
黒犬
「いや、相談は忠告の後だ。
今練習している新しい魔法の使い方だが…とりあえず実戦で使うのはやめとけ」
-
>>1432
「ビート君が竜の気に目覚めた同時期に、僕は侵負の力に目覚めた、か」
「何だか対になってるね ………なってるんなら身長の方も同じくらいになればいいのに」
あ、何か黒い感情が出てきてる
身長の事で言及した瞬間に出てきた嫉妬の黒い感情、胸倉をつかんだ時むざむざと感じてしまったのだ
あの時の行動に対しても怒ってたが身長の差がそれを加速させていた
「……えっ イメージするまで時間はかかってることはかかってるけど、実践で運用できる範疇だよ?」
「何度も繰り返せば普通の魔法と同等になる…… それ以外の問題?」
-
>>1433
「それも勘違いだ。あいつは竜のチカラにも触れてるが結局飼ってるのは侵負だよ。
まあ、変わり種ではあるかぁ?…そうそう、そういう感じでネガってくれると居心地がいいぜ」
今度は顔を前足でゴシゴシこする。
「本当にそう思うか?今さっきみたいにチョイと調子を崩したら暴発してるってのがなあ…
そもそも魔法使いなんてのは後方支援が本分、砲台みたいなもんなんだぜ?
お前は剣も使う。接近戦でのコンマ何秒がどれだけ大事か今更説明する必要もないな?
いいか、少なくとも今まで使っていた術式より確実に使えるようになるまで実戦では使うな」
-
>>1434
「だけどこういう動物的な物を前にしたらそう長くネガっていられないのだった」
「人に黒い感情もたせるには不適切なんじゃないかなその格好」
これを思いついたのはほかでもないこの青年である
あの状況ではあれ以外思いつかなかったんだからしょうがない、今なら……
矢張り犬の姿のなっていた、間違いない
「……ああなんだ、半永久的に使うなと言われたのかと」
「元々習得してすぐに接近戦で運用する気はないよ、あれを近くの敵に使うのは流石に怖い」
威力が大きい分、巻き添えも怖い 一応そういう魔術制御のスキルも覚えている事は覚えているのだが
完全に運用できる状態とは程遠い、付け刃なのだこっちも
「忠告はそれだけ?」
-
>>1435
「うっせえよ。なら今からでも遅くねえから白目向いた涎たらしまくって牙むき出しの
皮膚がなんかいい具合にただれている二つの頭のうち一個が半分なくなってるぐらいのを
想像して見せろ!!」
とてもグロイ。
「まあ、俺の見立てだと今まで積み重ねてきた経験の半分ぐらいの時間は費やすと見たが」
きっと年単位。
気が遠くなる話である。
「…まあ、そこで相談が出てくるわけだ」
-
>>1436
「中身のギャップも相まってまた可愛い」
だがしかし自分の黒犬verというのがいただけない、このままでは別方向のナルシストだ
上手い事騙してアホ毛の部分だけでも消そうか
「……まぁ何とかなるよ、いざという時の切り札にも使えるって考えれば」
「待った、その相談ってひょっとして『力が欲しい』とかそんなの?」
-
>>1437
「…とりあえずお前が心底阿呆なのは理解した。いや、知ってたけど。」
くああ、と欠伸する。
「まあ端的言ってしまえばそれだな。しかしもう少し詳しく話をするぜ相棒。
そもそも新しい術式に手を出したのは今のままでは駄目だからだろ?
正直な話今すぐにでも新しい術式を使いこなしたい筈だ。
んで、その為には今まで以上の頭の処理能力がいる、此処までは間違いねえな?」
-
>>1438
「相方に阿呆だと認識された、他の人に言われるよりもなんか傷つく気がする」
気が付いたら自分の呼び方が相棒からお前へと変わっていた
これは自分への好感度の変化の表れなのか、はたまた評価が下がっているのか
「……あっている、けれど……」
「君もその処理を手伝う、と そういう事?」
-
>>1439
「理解が早くて助かる。要はそういうことだ。
こいつは単独で行うにはソコソコに高度な技術だ。
なんせ思考の分割と処理を同時に行ってんだからよ。
世の中の高位魔術師の中には出来る奴もいるって話だぜ…化け物か!」
自分の事は棚に上げる。
「話がそれた。
そういう訳でとりあえず望むなら三パターンの補助が出来るぜ。
魔力消費当社比30%増の詠唱高速化。
魔力消費当社比50%増の威力強化。
魔力消費当社比100%増の全強化だ。
補助する分動くからな、魔力消費量が増えるのは仕方がねえ」
-
>>1440
「……話を聞く限りは美味しく聞こえるけど……」
「前に魔力が切れていない状態で眠ったのを見る限り、負の感情で動いてるんだろ?」
「そして多分今言った事をやったら消費量がさらに減るんじゃないか? 前の魔術に侵負を纏わせるのとは訳が違うはずじゃ」
それで魔力の消費と対侵負能力を失うなら、今まで通りの魔法を使った方がいいんじゃあ?
そう考えている青年
-
>>1441
「そこはこっちの都合だ、相棒。お前が心配することじゃあねえのよ。」
ケッケッケ、と犬が笑う…奇妙だ。
「活動の問題は懸念しなくていいぞ。
大分馴染んできたからな…
あん時は目覚めたてで接続が上手くいってなかったってのもある。
問題はどっちかってえとお世辞にも多くない相棒、お前の内包魔力量の方だ。
外部から魔力を取り込む術をもうちょい増やしてもいいとは思うが…
効率のいいやり方ってのは専門外だ、そっちで対処しろ」
-
>>1442
「(……僕まだ人間だよね?)」
馴染んできてる、と侵負に言われたら怖い事を言われてしまった
黒い感情の供給が必要、その供給の源は自分しかいない訳で
怖い想像しか膨らまない
「中級攻撃魔法で15回、これを基に考えたら詠唱効果で14回、威力強化で10回、両方で七回……」
「あ、いや今やってるやり方だと1/2に圧縮できるんだっけ、それでももうちょっと欲しいところだ」
「……まだ使うかは考えてないけれど、外部から取り入れる方法は探しといて損は無さそうだね」
外部から取り入れる方法、こっちも専門外である
久々に図書館に行ってみるのもいいかもしれない その時現師匠に出くわさない事を願うのみだが
-
>>1443
「大丈夫だ相棒、お前は人間だよ。ちょいと特殊な、な?ケッケッケ」
考えていることは読まれる。
いや当然のことである、現在脳内会議中であるからして思考はダダ漏れだ。
「おう、どうせそこら辺は私塾のやつが知ってるだろ。
無駄に偉そうな奴らだ、利用できるだけ利用しとけ。
知らなかったらそうだな…まあ、情報収集しかねえが」
-
>>1444
「………今更気にしたところで無駄だろうし前向きに考えよう、うん」
同じ空間にいるから今だけは思考を読み取られない、そもそも普段から読み取られていない物と考えていた
ひょっとして目覚めている時いつも読めるのだろうか、恥ずかしい事をまともに考えられなくて貯め込みそうである
「随分な言い方だね相棒、実際に行ったらプードルみたいにカットされそうだ」
「ともかく一に情報収集二に情報収集 ……また集めなきゃいけない情報が増えたか」
-
>>1445
「未消化の情報ばかりが膨れ上がるのは仕方がねえな。
どうにも対応が後手後手で事態に振り回されている感がある…
やっぱ糞怪しい教会連中を探るべきなんじゃあないか?
事情を知るモノの大半が慌てる中でどうにも連中ばかりが冷静でいやがる」
-
>>1446
「……外にいる敵よりも中にいるかもしれない敵の方が優先順位的に高いよね」
相棒と共通認識、情報収集の優先度は双子月教が一番、それと同率かそれ以下で魔力の吸収法
今はこれくらい決めておけばいいだろう、深く決めても計画通り行くことは少なそうだ
「ああそうだ、時間があるうちに聞いておくけど……」
「……名前について、何か要望ある? いつまでも相方呼びじゃちょっと疲れて」
-
>>1447
「好きに呼べ、つーかこっちはイマジナリーフレンドなんだからよ。
決めるのはいつだってソッチだ。
俺は用意されてる答えをそれらしく出してるだけなんだぜ?」
-
>>1448
「……え、人工精霊の類だったの?」
てっきり侵負が人格を持った物だと思っていた青年
ちなみにここでいう人工精霊は現実でも作る事が可能、いわば意識的に作り出したイマジナリーフレンドそのものである
「それにしては僕の知っている以上の情報持ってる気がするんだけど…… ここは先人の教えに倣ってクロでいいか、うん」
-
>>1449
「最初に言ったが侵負だ。
が、同時にお前自身でもある。
そして人工精霊の類と呼ばれればその気もある。
複雑なんだよ、色々折り合いをつけようとすると。
そうだな…お前が懸念する最大のもの。
自身を乗っ取られるって心配のない存在だと認識してりゃあ一番都合がいいかもな」
ざざざ、とテレビの砂嵐のような音と風景が視界をよぎる。
「そろそろ脳内会議も終いだ。長々やると神経焼き切れて死ぬからなあ、コレ。
体感にして数時間。が、現実じゃあ数分ってところかねえ…」
ザザザザ、プツン。
TV画面が暗転するかのように視界が真っ黒になって
…いや、これ目を閉じてるから真っ暗なんじゃないかと気づく。
-
>>1450
「ク、クロ!? さり気無く凄いこと言ってない!? 神経焼き切れて死ぬってどういう」
ブツッ
そこで、視界が暗転した
目を閉じていると気づくまで数秒、起き上がって頭の中を整理し、神経が焼き切れていないと安心するまで数分
探さなきゃいけない問題が増えた さて、と
「……早いとこ『魔女』さんの出した課題、終わらせないとなぁ」
それでも、やるべきことはやらないといけない青年である
-
>>1451
さてさてこれからいったいどうなる事やら。
クロの言う事だって全部を信じていいものか…
内外問わず信じられるものはどこに居るやら続きに続くよ、待て次回!!
-
【王都郊外/草原】
「ふぅ―――――。」
闘技場でmobを数人片付けて、久しく使用していなかった魔具の調整の帰り。
なんとなく「そんな気分」になり、立ち止まって月を見上げる。
【宵の草原に居るのは蒼いコートに、碧色の髪の青年】
【長身、コートの上からでも解る戦いに身を置く佇まい】
【ある種、小説の差し絵の様にも見える光景があった】
-
「……大体の事は片付いた、が。
――どうせ直ぐにまた、だろうな。」
コートの下から煙草を取り出し咥え、簡素な術式を練って火を付ける。
――魔香草を燻して造った手製の物で、不完全な身体に火を灯す。
最も、今となっては余り必要は無かったりするが。
「……それまでは、少し休むか……。」
「随分と、巣箱にも帰って無いし、な。」
月を見上げたまま独り呟く。
最近はまた――ひとりごとが、増えた気がする。
-
「(――思えば色々と、喪って来たな。)」
友人、慕う人、繋がり、人の部分。
手に入れた力。 また新しく手に入れた力と繋がり。
――そしてまた失う。
煙草の灰が地面に堕ち、それが足元の闇に飲み込まれて溶ける。
青年の右腕はひび割れるような音を立てて、異形の物に変わりつつあった。
「……――少しだけ、……眠ろう、か。」
そしてゆっくり瞼を、閉じる。
――草原は、他に誰の姿もなく。
静かに風が吹いている。
-
――静寂が、破られる。
刃鳴散らす音と、鋭く研がれ刃同士の間に生まれる火花。
激時の衝撃で生まれた風が木々と草を揺らし、空気を壊す。
「――今度は何だ?」
『何――。 唯の襲撃者《レイダー》よ。』
ぶつかり合ったのは碧色に輝くロングソードと――
巨躯の男が振るう鎖で繋げられた、鉄塊と形容すべき巨斧。
「……アレの一味が、何の用だ?」
『用は無い。 ――が。』
『暇だったのでな。』
――そして草原は戦場に変わった。
-
がぁん、ぎぃん、ばぁん、と。
鉄塊同士が打ち合い火花が散り、空気が揺れる。
碧色に輝き周囲の景色すら写す刃は斧との打ち合いの中でも刃毀れを一切する事無く、
撃ちあう度に輝きを増して行く。
対照的に襲撃者の振るう巨斧は振るう度に罅を生み、全体を軋ませて行く。
獲物の強度が、――違い過ぎる。
『ふむ。 戯れに襲ったが矢張り贋作では強度が足りんな。』
「……戯れに襲われる身にもなって欲しいものだ、な。」
言葉尻で虚空から雷槍が放たれ、地が抉れる。
――巨躯の男は一足飛びでそれを回避し、斧を構え直した
-
<王都のどっかスターキャッツカフェ内>
【明かりはぶら下がるランタンのみ。木製の薄暗くレトロな雰囲気を醸し出す店内。】
【カウンターに立つは黒布を巻いた二足歩行で尾にリボンをつけた小さな渋めの黒ネコ。
店内の隅にはネコ耳をつけた2m弱の大男の人形があるが気にしてはいけない。
そしてカウンターの目立つ箇所に"酒場のマスター"とサインされたカードが飾られている。】
-
「アレにゃね、需要が違うとはいえ、やはり派手な色のほうが繁盛するにゃね。
ンーム、我がカフェもそんな需要にあわせた動きをすべきか否、か……!」
【既に客もいなくなったカフェ内でグラスなどの手入れをしながら
独り自身の店について思いをめぐらせるはこの店の店長である。】
-
「ンまぁ、店のことについては今度、みんなに相談してみるかにゃぁ。
……にゃー、でもこれで下手に通って派手派手にされたらそれはそれで困るかもにゃ。
…………ショッキングピンクとかライトグリーンとかにゃ……。」
【一瞬、自分の店がそんな派手な色で埋め尽くされている状況を想像してしまったらしく
軽く身震いするように、その体と毛をぶるっと震わせた。】
-
( 混)「我が知性の輝き! ウルトラショッキングピンクッ!!」
がしゃーん、と空間の壁的な何かを突き破って顕れるのは。
ショッキングピンクどころかホワイトオブホワイトな大魔王であった。
-
「……真っ白は流石に味気ないにゃぁ。」
【もはや、おなじみの登場のため、驚くこともせずその魔王を迎え入れる。
色んな意味でいろんなことに慣れてしまっている。
まぁ、あまり驚いているとジグザールではやっていけないのだろうが。】
-
( 混)「知ってるか店長、真っ白で何もない部屋に居ると気が狂う。」
そんな情報は要らなかった。
優雅に椅子に座り頭の上にしろにゃんこを呼び出し膝をくんで座る。
ここまデンプレである。
-
「にゃー、ショッキングピンクでも同様な気がする。」
【ピンキーな空間と化してしまった自身のカフェの様子を思い浮かべて。
どちらにせよ、単色の部屋だと狂ってしまうのではないか、と。】
「そちらのプリテーキャットにはネコ缶を?」
-
( 混)「いや、ピンクのがまだマシだな。 色がある。」
どうにも色の問題のようである。
白だと何が問題なのだろうか。
( 混)「一番良いのを頼む。」
「にゃー。」
-
「まぁ、仮に真っ白だと汝がどこにいるか分からなくなるしにゃ。」
【流石に壁や天井などの色とどうかすることは無いと思いたいが。
それでも、仮に部屋を真っ白くした場合、そうなるのでは、と。】
「うむ。ンでは、ウェルダンで差し上げようにゃ。」
-
( 混)「俺は元よりドコにでも居て何処にでも居ないのだ!」
お前は何処のシュレディンガー。
いや、もっと性質が悪そうだが。
( 混)「うむ、良かったな。」
「にゃっ。」
-
「にゃにゃにゃ、それって吾輩が居ないと思えば居ないってことにゃよね。
こう……意識に無ければ存在しないのと同じ……的にゃ?」
【うーんと腕を組んで難しげに考えて見せるが、それっぽい答えも浮かばずに。
一方で影がネコ缶のウェルダンを皿に盛ってやって、差し出した。
要するに鰹節を炒るが如く、ネコ缶に火を通しただけの産物であるが。】
-
( 混)「ほう、面白い事を言うな店長。
確かにそうかもしれないぞ。」
あ、何かお返事が気に入ったらしい。
( 混)「よしよし、食べていいぞ。」
「にゃー♪」
あぐあぐ、と猫缶を食べるしろねこ。お上品。
-
「ま、どこぞの小説か何かで見た文句の受け売りにゃんだけどね。
あとは忘却イコール死みたいな……そんな感じにゃ。」
【一応、本の中身をちゃんと吸収して自分のものに出来ているようである。】
「んー、グッド。お行儀の良いホワイトキャットにゃぞ!」
-
( 混)「メメント・モリ。
死を忘れるなかれ、忘却こそが死に至る。」
なんだか魔王みたいだ。
「にゃーん。」
( 混)「それはもう、俺の猫だからな。」
-
「だから、吾輩のことも忘れないで欲しいにゃ、うん。
まー、この店が残れば吾輩としては色々と満足にゃけどねー。」
【店長としての考え方か、生意気にも達観したような物言いをする。】
「にゃっにゃっ、そうにゃったね。」
-
( 混)「そういや店長って寿命とかどうなん?
延命措置する?」
何やら物騒な事を言い始めた。
( 混)「それはもう、俺の猫だからな!!」
「にゃぁー。」
すげぇ自信満々にどやっている。
にゃんこは呆れ顔だ。
-
「吾輩?……そうにゃねぇ。
一般的のネコよりは長いんじゃね?獣人だしにゃ。」
【一応、人の要素が混じっているため、純粋なるネコよりは長いのではないかと。】
「延命っていってもにゃー……別に不老不死になりたいわけじゃにゃし。」
【何とも浮いた話で内容が頭にいまいち、入ってこないようだ。】
-
( 混)「いや、昔っからやってるんだけど気に入ったのにはちょっと延命とか、
後は死んだ後の英霊化とか、粉掛けてるのよおじさん。」
粉の掛け方の規模が大きい。迷惑だからやめてください。
もしかしてこの白猫もそうなのだろうか……?
-
「まおー怖い……しかも英霊とか何、その物騒にゃの。
死んだ後のってことは死んでからもこき使われそうにゃし
仮にそうなっても吾輩はパスにゃ。」
【死んだら死んだで、天国?ライフをエンジョイしたいらしく
そんな英霊とかいうものになるつもりはさらさらないようである。】
-
( 混)「店長はホラ、……英霊っていうか……、うん。
うん。」
なんだよこのやろう。
ちゃんと言え、と言いたくもなる。
「……にゃふ。」
白猫は食べ終わって満腹気分で、丸くなる。
-
「にゃにゃっ、別に良いにゃよ!
廃墟と化した店とかに出る化け猫でも良いにゃよ!
……いや、やっぱり疲れそうにゃし……パス。」
【英霊というよりは化け猫ではないか、と自分でも英霊は不釣合いであることは
分かりきっているようだ。どちらにせよ、死んだ後に働かされるのは嫌なようだ。】
-
( 混)「永遠を生きているとなー、どうしても連れ添いが欲しくなるもんだ。
そこだけは流石の俺でも三千世界の宵を超えても変わらんな。」
もっふもっふ、と白猫をなでくりまわす。
大魔王でも寂しい、なんて感情はあるのだろうか。
-
「連れ添い……いやいやいや、正直、妙な未来しか見えない!
気まぐれで首とか飛ばされたり、ばらばらにされたりとか無理無理。」
【一体、何のことを言っているのか。
とりあえず、死後、連れ添いにされるのは絶対にゴメンだというように。
そこそこの勢いを持って全力で断る。】
-
( 混)「何を失礼な。 俺には身内に甘い大魔王で評判だぞ?」
あんた身内の範囲狭いじゃないですかやだー。
等と行っても絶対聞いてはくれないだろう。
しろにゃんこはころころ、と撫でられて喉を鳴らしている、かわいい。
-
「身内って言うかその白ネコにだけな気がするにゃー。」
【ちらり、と視線をその白ネコのほうへと落としながら。
こちらも撫でられている様を見て、想像したのか喉をごろごろと鳴らして。】
-
( 混)「何を言う、俺は俺が気に入った相手に対しては真摯だ。」
どうなのだろうか、黒猫をかわいがったり
メイドが居たり吸血鬼の子供を保護してるとかも聞くが。
真相は白い闇野中である。
-
「それ完全に汝の主観じゃーん!
吾輩が汝に気に入られるとは限らないし、気に入られても途中で逆鱗をころころしたら終わりにゃ。
そんな感じで生きていくなら、土の中でごろにゃんしてた方がマシにゃよ。」
【このネコは特にそういうアレが高そうである。
何せ、基本的には怖いもの知らずなのだから。そうでなければ店は経営できない。】
-
( 混)「アレな、アレ。 俺基本人間は好きだぞ?
自分からは殺さんし。」
膝組んで猫撫でながら魔王っぽいポーズでそんな事を言う。
博愛主義……な訳は無いだろうが。
-
「……にゃー、にわかには信じがたい。
まぁ、血に飢えているようには見えないけどにゃー。」
【一体、今まで魔王に対してどのようなイメージを持っていたのだろうか。
そんなによいイメージでは無い様だが。】
-
( 混)「自分から化物になるのはアホのする事だ、どうせなった所で程度なんぞ知れてるというに。
定命の者が運命の螺旋に飲み込まれながらも藻掻く様が面白く、美しいというに。」
悪いイメージ、で間違いは無いのだろう。
結局は大魔王を自称している訳な訳だし。
「……にゃ。」
白猫はくぁぁ、と小さく欠伸。
-
「アホになるしかなかった、って可能性も無きにしもあらず。
ほら、特に人間種は割りと短命な方にゃから、時間がないでしょ?
あの辺もいろいろと関係してそうな気がするけどにゃー。
まぁ、吾輩はもう少しぐるぐるしておくけどにゃっ。」
【一応、様々な種族と交流があるのがこのネコだ。
こういうところは店をやっている上での貴重な利点であろう。】
-
( 混)「螺旋に飲み込まれた結果"なってしまった"物が本物なのだ。
自分からなりに行くのは畑が違う。言ってしまえば養殖だな、
そこに産地偽装を付けても良い。」
しろねこをひょい、と抱き上げる大魔王。
そろそろお暇だろうか。
-
「にゃー、吾輩には見分けがつかないにゃぁ。
ってか、多分、この辺の話は吾輩の領域じゃないっぽいにゃ。
だから、その辺のことは汝に存分に任せるにゃよ!」
【そうして、猫を抱き上げる魔王を見るとこちらも店を閉める準備を始める。
今日はこの魔王が最後の客である。】
-
( 混)「うむ、店長はそんなものにかかわらず店やってればよろしい。
俺のしろねこに美味しいごはんを提供しつづけるのだ!フハハハ!!」
再度だけ何か魔王っぽく。
来た時と同じで空間的なのをぶち破って帰っていった。
-
「吾輩の役割はそんな感じにゃんだろうにゃー。」
【悟ったことを言いつつ、去っていく魔王とそのネコを見送ったとか、FO】
//お疲れ様でした!
-
〜 王都 郊外 川 〜
暖かい晴れた昼下がりなら、暇人が釣りをしているであろう穏やかな流れの川
弱い魔物しか生息しておらず、人の手があまり入っていないため釣り場としてはピッタリである
ただ今日に限っては曇りであるし何よりも寒い もうすぐ冬であることを感じさせる気温だった
「……………」
そんな場所に、その青年は立っていた
白髪で頭には特徴的なアホ毛、顔の半分は古い火傷の痕で覆われており
目元には最近よく眠れていないのだろう証、隈がハッキリと見て取れた
「……ファ、イ…… ファイ………」
両手に炎の魔力を込め、呪文を唱えようとするも途中で途切れる
呪文を忘れたわけではない、今まで何度も使った事のある魔法だ
だがしかし、今の青年にはその一言の呪文を唱えるのがとても苦痛で、とても困難だった
両手に集中された魔力がぼろぼろと拡散していく、それに気付いて修正する
そしてまた呪文を唱えようとして、最後まで言い切れず口を閉じる
何度も何度も同じ動作を繰り返す 分切れが、つかない
-
「…………?」
「……子供……?」
ふらふら、とその川にやって来るのは蒼色の髪を肩まで伸ばし、黒色のローブフードに身を包んだ妙齢の女性。
魔力の様子と、人の気配に気付いてやって来たようで、青年を遠目から不思議そうに見ている。
-
>>1494
川に向け、両手を翳しながら鬼気迫る表情を浮かべている青年
時折口が動くが、無理に途中で止めてしまっているかのように口を閉じる
何かの葛藤と、戦っている そう見える青年
「――――― ファイア!」
ついに意を決したのか、短い呪文を一言だけ、叫んだ
両手に込められた炎の魔力はそう多くない、青年自体の魔力もお世辞にも多いとは言えない
だが放たれた炎の魔術は不釣り合いなほど強大で、強力の物
青年の目の前に業火が現れ、地面を焦がし川から湯気を立ち上らせる
遠くにいるはずの女性にも、熱風として魔法の余波が届いた
-
>>1945
「…………。」
女性が少し驚き、小さな目を大きく見開く。
威力に驚いた、のでは無い。あれより強力な物は幾つか見たことがある。
では何に驚いたのか、と言えば……
「……子供には、良くない使い方ね……。」
その方式であった。彼女自身も知り使うが故に二流である、魔術の使い方。
熱波に髪を揺らされながら、目を細めて青年を見る……。
-
>>1496
魔力からは不釣り合いな威力な魔法
だがそこには制御された洗練さなど微塵も感じなかった
ただ、魔法を発動して垂れ流した ただそれだけだった
「―――消えろ!消えろ、消えろ!」
両手を振り、今しがた放った炎を消し去ろうと、青年が叫んだ
失敗したからとか、危ないからとか そんな感情だけで動いている洋には見えない
もっと別の、何かに対しての恐怖心で動いている そんな風に見えた
-
>>1497
「……。」
それを見て何を思ったのか、指先を青年と、
青年が今し方放った炎の方に向けて。
「……っ。」
魔術発動の甲高い音を立てて焔の周りの空気を凍らせて、鎮火させた。
ひんやりと冷たい空気がディフの頭を冷やしていくだろうか。
-
>>1498
冷たい空気が、青年を包み混む
炎を前にして起こったパニック状態が収まっていき、頭が冷静に戻っていく
しかし恐怖心は消えない 寒さとは関係なしに体全身が勝手に震える
冷静に戻っても、周りを見る余裕はなく うつむいて、足元を見て、黙って震えていた
-
>>1499
「……。」
氷がぱりん、と音を立てて砕け散る。
きれいな結晶がひらひら、と舞って地面に落ちて、溶けていく。
「……落ち着いた、かしら?」
震える少年の方に少しだけ近づいて、小さいが良く通る声で話しかける。
-
>>1500
「………はい、一応……は……」
掠れた声で、返答 少なくとも、まともに考える事はできた
体を動かし女性と向き直る青年 疲れ果てた、そんな表情を浮かべていた
「ありがとう、ございます ……炎消してくれて」
-
>>1501
「……気紛れよ。山火事になっても、困るから。」
ふる、と小さく頭を振ってそう返す。
「……随分、心に悪そうな物を使うのね、貴方は。」
そして本題へ。自身もその手法を使ってるから強くは言えないが。
見た目少年がそれを使うのはどうにも気になった。
-
>>1502
「………ある人に、教わった魔法で………」
「自分の過去に縁がある属性の魔法、他のより強力になるらしいんだ ……実際に、意識したら、強くなった」
心に悪そう、間違いなく今の自分には、一番心に害をもたらす物だった
あの日以来夜寝てもあの日の出来事が夢に出て眠れない
普通の炎を見てもあの日の出来事がフラッシュバックされたまに呼吸もできなくなる
実際に使うとなれば、それはもう
「……前は、こんなに…… 怖くなかったん、だけれどな…………」
-
>>1503
「……知ってるわ。」
「私も、使うから。」
ふぅ、と小さく息を吐き出して指を振る。
小さな氷が生まれて、直ぐに消えた。
「思い出すと……怖いものね。」
-
>>1504
同じ魔法を使っている人間がいる、という事実に驚いたように目を見開き
すぐに落ち着く そもそも今の自分が習っているのは基礎の基礎、知っている人口そう少なくないはずだ
女性の一言に、同意を示すように頷いた
「………けれども、落ち着いているように見えるよ」
「そこまでたどり着くために…… いまやっている事何回も繰り返したの?慣れる、まで?」
-
>>1505
ふるふる、と小さく首を横に振るう。
ドコで誰に、習ったかまでは聞いて来ないようだが。
「今も怖いわ。 ……とてもね。
繰り返し、繰り返し使ったけど……奥の奥にある怖さは、消そうと思っても、消えないから。」
「……だから落ち着いた様に見えるならきっと、……誰かに支えて貰っているのと……
嘘が、上手になっただけ、ね。」
口元を抑えて小さく微笑みを浮かべる。
……使っても使っても、慣れてしまう事は無い、という。
-
>>1506
「……やっぱり、そう……だよね」
心の傷は消えない、汚れは隠していても確かにそこに存在する
今の師である『魔女』も、同じ事を言っていた
否定しようのない事実だ
「………使おうと思っている段階で、既に使いたくないと思ってしまう」
「発動した後、制御しようとする、だけど…… 怖くて、できない」
-
>>1507
「……そう……。」
怖い、と言う言葉に何を思ったのか、口元に手を当てたまま少し考えこんで。
「…………ちょっと、下がってくれるかしら。」
川――と言うよりは水辺か。
そこから少し離れるように言い促す。
-
>>1508
「…………」
疑問を口にせず、言われたとおり水辺から距離を取った
女性が何かしようとしていることは察したが、その中身がなんなのかはわからない
ともかく女性の挙動を見逃さないようにする青年
-
>>1509
――細く白い腕と、その指先が動く。
指先が向くのは川、流れる流水。
ぱり、と小さく魔力の流れが指先に集まる。
その量自体はディフと同じく、大して多くも無ければ、大きくも無い。
だが――
「……【時よ】。――凍れっ。」
発動音と共にもたらされた結果は、見える範囲の川の【凍結】。
その余波はディフ達の居る足元を凍らせるまでに、至る。
……同じ術を使うディフなら解っただろうか。
女性が発動の時に僅かに顔を顰めたのが。
-
>>1510
「あ…………!」
同一の術、同じ魔力、違う制御
だが、目が行ったのは表情
発動の時、顔を、しかめた
-
>>1511
「……っ、ふ、ぅ。」
術の行使を終えて小さく、息を吐き出す。
凍った川は甲高い音を立てて砕けて、せき止められた水流が一気に流れ始める。
「…………こうやって、恐怖を押え付けて、乗りこなせても……、
怖い、は無くならないの。 ……私は、ずっとそう。」
髪を少しかきあげて、細い声でそう言う。
疲れた様子はあってもディフ程では無い。
「それに……これは、私が思ってるだけ、だけど。
……慣れちゃいけない、と思うから。
使うなら……怖さを無くす、じゃなくて……、
その怖い、を……受け入れたら良い、……と、思うわ。」
-
>>1512
「………………」
少し、呼吸が楽になった
一面性に捕らえるなと、そう言われていた だが、怖がってはいけないと思っていた
恐怖を乗り越えてようやくできるもの、できない限り使いこなせないと考えていた
魔法はイメージだ
そんな事考えているうちは、できるはずがない
「…………ありがとう、ちょっと楽になりました」
「もう一回…… やってみます。」
-
>>1513
「……うん、頑張って。」
「貴方にそれを教えた人が、何を考えてるかは、解らないけれど……。」
と、そこで言葉を区切り。
教えられる様な人物を考えた後、僅かに笑って。
「……多分、"使えるようになる"、って思って、教えたと思うから。
……それじゃあ、ね。」
ひら、と手を振って歩いて行こうとする。
-
>>1513
「ええ、 ……また、どこかで」
女性を見送った
会った時よりかは幾分か、マシになった顔つき
川に向け、両手を構えた
相変わらず炎は怖い
炎を出すことはそれ以上に怖い
あの思い出にとらわれる事も怖い、だが
肩の力が多少抜けた今なら、少しだけ冷静になれるかもしれない
「(炎の、イメージ……)」
ふつふつと沸いてくる恐怖心、頭によぎるあの光景
だが、理性が今のところ押さえつけていた
「―――――ファイア!」
今度は、迷いもせず呪文を最後まで言い切れた
こうして放出された魔法は、お世辞にも洗練されたとは言えない
だが、先ほどのただ放出だけとは違い 明らかに制御されている様子が垣間見える
「―――消えろ!」
すぐには消えない だが徐々に威力が弱まっていく
次第に消える炎、顔を顰め、身震いしながら 少し満足げだった
-
「(…………)」
「(……まさか、ね)」
――少し満足気に少年を見て、そのまま立ち去った。
-
-あらすじ-
龍にお願いして凄いパワーを手に入れよう!!そんな話であった。
ドゥクス「間違ってはいないんだけどなあ」
RR「…」
水晶龍「そーだねー」
-
>>1517
「……気になるんだが」
【周りの面子を見回し、素朴な疑問を口にする】
「そもそもどうやって大量の力を得るんだ?
こぼれたりしないのか?」
-
>>1518
ドゥクス
「というよりこぼれ出たソレこそが大量のチカラなのさ。
龍の牙は言うに及ばず、その涙や血液も他の種族にとっては大きなチカラとなる。
涙は魔力結晶に血は…まあ、例が色々とあるが霊薬にも使われるね。
今回はそんなモノの中でも一等特殊なものを譲ってもらおうという話さ」
-
>>1519
「特殊なもの?」
【ドゥクスの言葉に、再び頭上へハテナマークがうかぶラーナイ】
「牙、涙、血……えっと…………毛、はないよな?」
【ちらりと水晶竜を伺いみる】
-
>>1520
ドゥクス
「何と言えばいいのか…
漏れ出た膨大な生命エネルギーが空間に歪みを生んで其処に溜まったチカラ、なんだが」
中身は宇宙に空間の歪みがあってとかの話がいっこうに理解できない。
というか想像が難しい。ブラックホールなんかはその歪みの最たる例らしいのだが…
そんな訳でドゥクスの言っている事はとても難解だ。
ドゥクス「見た目は…蒼い焔に見えるな、うん」
-
>>1521
【師匠の講義に懸命について行こうと頭をフルスロットルさせている、健気な生徒。
だがハイレベルすぎる話故に、全てを理解するのは無理そうだ】
「難しい原理はよくわからないんだが……しばらく置いといたせいで粉が底に沈んでしまったココアみたいなものか?」
-
>>1522
ドゥクス「うん、その表現は分かりやすくていいね」
頷く壮年。
しかしその表現だと凄い微妙なモノの気がしてくる…
ドゥクス「と言う訳でそれを彼から譲ってもらおう。身体の何処かにある筈なんだが…」
水晶龍「…そうなのかー」
巨大な水晶龍。
その身体のどこかに蒼い焔が燻っているらしい……何処にもなさそうなんだが。
-
>>1523
【認識があっていたことに、ホッとした表情をうかべる】
「そうなのか、って……リュウさん本人もわからないのか?
痛いとか重いとかないのか?」
【のんきな反応の水晶竜に小さな笑みを浮かべつつ、触ってみようと水晶竜へ手を伸ばす】
-
>>1524
水晶龍は表面こそひんやりしているがその実、内側からじんわりと熱を感じることができる。
ドゥクス「…おかしいな、生まれて間もないなら兎も角普通は……」
RR「それは一度失うとどうなる」
ドゥクス
「ん?…生理現象の一つといっても過言ではないから無くしても自然にまた出てくる。
まあ、一年くらいは影も形もなくなっているだろうが………ってまさか」
-
>>1525
「……誰かが最近その力を得た、のか?
でも、リュウさん本人にも気付かれないなんて……」
【言い掛けて、先ほど間での様子じゃ気付かなくても不思議じゃないと思い直した】
「でも、一体誰が……?」
-
>>1526
水晶龍「…あ、そういえばー、ちょっと前にアノ子に何かあげたような気がするー」
ドゥクス「だ、誰に!?」
水晶龍「ええとねー……半分魔族のオンナノコ」
ドゥクス「……なんと」
水晶龍
「これ頂戴って言われて良いよーって言ったんだけどー、
何あげたのかわかんなかったんだよねー、ちゃんと見てなかったからー」
すげえ大雑把であった。
身体が大きすぎるのも考えものである……関係ないかもしれないが。
-
>>1527
【魔族の少女という言葉に思わず体を固くするが、自分じゃないと思い至り深呼吸して体から力を抜く】
「(魔族の少女……もしかしてゼーレン?
でも、それこそ何のために?)」
【首を傾げつつも、問題はそこじゃないと無理やり思考を修正する】
「じゃあ……今はその力を分けてもらうことは出来ないのか」
-
>>1528
水晶龍「うん、でもあれって増やせるんだって」
ドゥクス「…へ?増やせるのか?あれは?」
RR「増える」
ドゥクス「………レアなんだけどなあ」
RR「それは都会の人間の思い込みだ」
なんとレアな蒼い焔は増えるらしい…じゃあ今の持ち主から譲ってもらうのが一番だろう。
-
>>1529
「(増える……つまり、ヨーグルトみたいなものなんだな)」
【自分でわかりやすいように想像した。
偉大なドラゴンの力を食べ物扱いするあたり、不躾にもほどがある】
「じゃあ、その少女をさがそう。
リュウさん、その子の特徴とか覚えていないか?」
【まだ手をあてたままの水晶竜を見上げ、尋ねた】
-
>>1530
確かに不躾にもほどがある…まあ中身はラーナイと完全に同じ発想で蒼い焔を考えついたが。
水晶龍
「ええとねー…矢印状の尻尾、乳白色の長髪、
紅いお目目ー、後、自分にはもう羽は無いって言ってたー」
ドゥクス「誰のことだろうか…?」
-
>>1531
「……正しいかどうかわからないけど……」
【首を傾げながら思い当たる人物を想像してみる】
「(まあ、ゼーレンにきいてみる価値はあるか)」
【フットワークは軽い方であるラーナイである】
-
>>1532
ドゥクス「心当たりがあるのかい?なら行くといい」
水晶龍「おかえり?」
ぐおん、と響くおとがして空間が割れる。
割れた先に見えるのは王都の街道だ。
-
>>1533
「へ?」
【驚いた表情でドゥクスとあいた穴を交互にみている】
「? ドゥクスたちは一緒にこないのか?」
【行き先も行ってないのになんて無茶を言うのやら】
-
>>1534
ドゥクス「そもそもこちら側に用があってきている訳だし。未だ私の用事は済んでいないからね」
だから気にせず行っておいで、と壮年。
-
>>1535
「そうか……。
わかった、すぐ戻る。
だから……」
【壮年の言葉に、素直に頷き、一度言葉を切る】
「危ない事とか無茶はしたら駄目だぞ。
戦いが必要なら、私がなんとかするから!」
【いつものように釘を刺して、急いで穴から飛び出ていったFO】
-
>>1536
ドゥクス「…さて、弄せずしてあの子を送り出せたな」
竜牙兵「…」
ドゥクス「ああ、君に任せる。無理をする子だ、守ってやってほしい」
そんなやり取りをした後、竜牙兵がラーナイの後を追って現世へと。
RR「こちらも始めよう」
ドゥクス「ああ、そうしようか」
そうして龍の世界に壮年は残ったのだった…次回に続く!!
-
-王都街道-
異空間を抜けたら雪国…じゃなくて王都街道である。
そして相変わらず物言わぬ2m超え黒重装鎧がラーナイの背後に突っ立っている。
どこまで付いてくるのやら。
兎にも角にもラーナイの思うがままに進むしかないだろう。
-
>>1538
【ついてきた竜騎兵に気付き見上げると、りちぎだなあと思わず苦笑するラーナイ。
そしてすぐに前へと向き直った】
「ドゥクスの力は凄いってよく解ってるし、信じていない訳じゃないんだ。
でも……あの人は優しいからよく無茶をする。
釘は刺したけど、早く戻らないと」
【壮年本人がいたら異議を唱えたくなりそうな感想をもらしたあと、辺りを見回した】
「よし。さっそくゼーレンを探しに……」
【言葉途中で、動きごと止まる】
「……ゼーレン、どこにいるんだろう?」
【……………前途多難だ!】
-
>>1539
ことアノ半魔においては放浪癖と無暗矢鱈に厄介事に首を突っ込むので居場所がとんと知れない。
三割近くの確率で森に潜んでいることもあるがジャア森の何処にと言われるとさっぱりだ。
これはどう探すかで話のややこしさが変わってきそうである…
-
>>1540
【しばし思案するが、すぐに竜騎兵へ振り返った】
「確か、最後に会ったのはあっちの森の中にある草原だったと思う。
まずはそこに向かおう」
【僅かでも手掛かりがあるならそれをまず頼る。
それがラーナイの人捜しポリシーである。
今回もその例に漏れず、手掛かりのある森の中へと向かい歩き出した】
-
>>1541
竜牙兵「…」
のっそのっそと後を追う兵。
特に苦労もせず森の中、そこに存在する草原へと辿り着くが……
誰も居やしない。
-
>>1542
「ゼーレン、今日はいないのか……」
【半分予想通りの結果に、辺りを見回しながらため息をつく】
「ここで待つのはあまり得策じゃないな。
彼女と親しい人も知らないし……よし。
この辺にゼーレンの家がないか、探してみよう」
【ゼーレンが森の中に住んでいると予想を立て、辺りを散策する事にした】
-
>>1543
?「今のあの子に家、というものはない」
竜牙兵「…」
ガチャ、と音を立てて兵が構える。
森と草原の境目に身体を包む様に折畳まれた翼が
重厚な黒クロークに見える捻れた角と尖った耳を持つ黒髪短髪の女が立っていた。
その顔はどことなく探しビトのゼーレンに似ていなくもない…
-
>>1544
「ゼーレンの知り合いか?」
【竜騎兵の行動を片腕あげて制すと、探し人に似た雰囲気の乱入者へ向き直った。
乱入者の完全な正体はわからないが、手掛かりであることには間違いないだろう】
「私はラーナイという。
急いでいるんだ、単刀直入にいう。
ゼーレンの居場所を知っているなら教えてほしい」
-
>>1545
女「そんな所だ。…あの子の居場所を知ってどうする?」
女は値踏みするようにラーナイを見据えている。
-
>>1546
「リュウさんからもらった力を分けてもらいたい。
もしかしたら人違いかもしれないが、リュウさんから聞いた特徴だと、ゼーレンしか私には思い付かなかったんだ」
【あっさり目的をバラした!
しかも真っ正面から】
-
>>1547
女「…レンは見つけたのか、対抗策を」
僅かに女の口元がつりあがる。
女「そしてお前もそのチカラを求めるのか、何故?」
-
>>1548
「浸負に対抗する手段を手に入れて、早く戻るためだ」
【浮かべた笑みには気づいたものの、スルーしたラーナイ。
これまた素直に白状した】
-
>>1549
「…何処に…と、なんだか延々と質問ばかりしそうだな。
そうだな、これを持って歩けばあの子とも出会えるだろう」
そういって女がラーナイにあるモノを投げて渡す。
しかしラーナイが受け取るのを確認することもなくその場を去っていった…
-
>>1550
「!?」
【慌てて投げよこされたモノをキャッチする。
受け取ったものを確認する前に謎の人物へ顔をあげるが、既に姿はなかった】
「ありがとうございます」
【もう誰もいない虚空へ頭を下げた後、手の中のモノをみる】
-
そんな感じで次回に続く!!
-
―つづき―
ラーナイが手にしたもの。
それは黒い箱だった。
見た目及びサイズ的にはちゃんとした指輪が収められていそうな感じのアレである。
-
>>1553
【年頃の娘ならドキッとしてもいい箱である。
だが男……じゃないラナ子だ】
「……?
メモ入れにしては厚いな」
【首はひねるものの、何の躊躇いもなくカパッと開けた】
-
>>1554
カパっと開くと指輪の代わりにNWSEと書かれた…これ方位磁石か?
しかし奇妙な事に針は3つ。長さ的には時計のようにも見える。
蒼の長針、赤の短針、黒と思えば白、白と思えば黒と色を変える秒針の三つで構成されている。
規則的に動き時を刻むなんて事はなく、それぞれの針は何かを指示しているようだ。
-
>>1555
「……?」
【謎の物体に首を傾げた後、不思議な時計をあっち向けたりこっち向けたり試行錯誤する】
「……これ、なんだか判るか?」
【自分でわからない事は人に聞くべし。
箱を開けたまま、竜騎兵へ振り返り尋ねた】
-
>>1556
竜牙兵「……」
ゆっくり、ふるふると首を横に振る。
分からないらしい。
説明書も付いていない、こいつぁ不親切。
NWSEの文字は箱をどう向けようが一定方向を示している。
確りと方角は分かるようになっている訳だが、じゃあ針は何を示しているやら。
-
>>1557
「そっか」
【竜騎兵の答えに肩をすくめ、再び箱へ視線を落とす】
「(3本の針、そして方角。
おそらくゼーレンの場所を指しているんだろう。
……竜の力に反応するなら、さっき彼に箱を見せた時に何か反応があるはずだし。
問題は、各針が示すモノだ)」
【物は試し、とばかりに箱を持つ手に魔力を籠める】
-
>>1558
一瞬長針が揺れた、かもしれない。
何かしらのチカラに反応しているのだろうか?
-
>>1558
「(針の1本は強い魔力に反応する……とか?)」
【揺れたように見えた針に、首を傾げる】
「……君も、これを持って少し魔力の籠めてみてくれないか?」
【はい、と軽く竜騎兵へ箱を渡す】
-
>>1560
キュィィィン…ビムッ! チュドォォォオオオオオオオオオオオン!!
竜牙兵「…」
言われるがままに兵が魔力を箱に込めた。
その瞬間長針と短針と秒針と序に方向を刻んだ淵部分が回転して魔砲を放った。
遠くで爆音と煙が上がる……こりゃすごい武器だ。
-
>>1561
「……へ?」
【思わぬ結果と効果に、思わず間の抜けた声がでた】
「す、凄いな。
方位磁石じゃなくて武器だったなんて」
【感心したように呟く。
そして、竜騎兵を見上げ、小さく笑みを浮かべた】
「これは君が持っていた方がいいかもしれないな」
-
>>1562
竜牙兵「…」
お断りします、という風な具合に箱をラーナイの手に戻す。
これそういうもんじゃねえから!と譲渡したものは多分言うだろう…
渡した本人も兵器になるとは知らない代物である。
偶然とは恐ろしい。
竜牙兵「……」
そして徐に自身が携えている
禍々しい負の瘴気を発する石が嵌め込まれた刃を持つ巨大な斧槍を地面に突き立てる。
グオングオン、と石が変な音を発しながら明滅。
それに連動するかのように短針が斧槍を指したり指さなかったり。
-
>>1563
「私が持ってていいのか?」
【どうみても竜騎兵の方が役立てそうなのに、と首を傾げつつ箱を受け取る】
「……?」
【武器に反応する磁石に気付き、箱を武器へ近づけた】
-
謎の箱の謎は深まる…次回に続く!!
-
グオングオン、と石が変な音を発しながら明滅。
それに連動するかのように短針が斧槍を指したり指さなかったり。
どうやら活性化した負に対して反応しているのは間違いなさそうだ。
少なくとも短針は。
-
>>1566
「動くのは短針だけか……」
【顎に手をあてながらはこへ視線を落とす、黒髪金目の少女】
「(あの人は、これで居場所がわかると言っていた。
てっきりリュウさんの……竜の力に反応すると思ったんだが)」
【状況を脳内で整理しつつ、ちらりと竜騎兵を見上げる】
「(彼には反応しない……と、なると)」
【少し考えてから、利き手にプラーナの青い粒子を少しだけ集めてみる】
-
>>1567
キリキリキリ…おや、蒼の長針が一瞬反応を見せたようだが。
そう見えたのも束の間、より強い引力があるかのようにビィンと弾かれる様にして一定方向を指し示す。
-
>>1568
「……?」
【不思議な針の動きに、首を傾げる。
そして、すぐに竜騎兵を振り返った】
「針の詳しいことは判らないけど、この蒼い長針が指す方向へ行ってみよう」
-
>>1569
竜牙兵「…」
頷く重装鎧。
ガッチャンガッチャンと音を響かせラーナイの後に続く。
そうして進んでいくと針に変化が起こる。
蒼の長針と赤の短針が徐々に重なり始めている。
-
>>1570
「なるほど、赤い針は距離を示しているのか」
【歩きながら、感心したように手のひらの中の箱を見つめる】
「(蒼い針が方向、赤い針が距離。
位置を示すならこの2本で充分だ。
じゃあ、武器に反応した短針は何なんだろう?)」
【まだ解けていない謎に首を傾げながら、2本の針が重なる場所を目指し歩く】
-
>>1571
そうして長針と短針がほぼ重なりそうな所まで行きつくと…
ズガガン!と何かがぶつかり合う大きな音がした。
続けて衝撃の余波が風となって周囲に吹き荒れる。
宙舞う黒魚「ぎしゃあああああああああ!」
???「…ん」
黒い魚が宙でのたうち回っている。
その付近でずざざ、と地を滑って後退している何者か。
三角の目とギザギザの口を描き込んだ仮面と細い縦縞の入った橙色のパーカーを纏い、
裾から剥き出しの太ももと矢印状の尻尾が覗く、複数の蒼白い炎を身に纏う不可思議な娘だ。
長針が娘を、短針が魚を確実に示している。
-
>>1572
「?!」
【突然吹き付けた衝撃風から、腕で視界を庇う】
「空飛ぶ魚?
……なんか、どこかで……」
【腕を下ろしてすぐに目へ飛び込んできた光景。
デジャブに首を傾げるも、すぐに魚と対峙している人影へ顔を向けた】
「……ゼーレン?」
-
>>1573
魚には負の瘴気が纏わりついている。
多分侵負の一種類なのだろう。
それ以外の何かとはきっと無関係だ、いや無関係である!
娘「ていやっ!」
魚「ぎぎゃ!?」
娘が手に作り出したのは魔力の塊。
結晶化したそれを魔弾のように相手へと投げつける。
投げつける過程で蒼い焔が結晶に纏わりつき魚へと達し弾ける。
その小規模爆発でまた魚がのたうち回った。
-
>>1574
【手伝うべきか否か。
見る限りでは自分が手を出さなくても大丈夫そうだ。
だが、今の目標は『力を手に入れて師匠がバカな真似をする前に早く帰ること』である。手伝えば早くカタがつき、早く帰れる。
答えの決まったラーナイの行動は早かった】
「手伝おう!」
【人影への宣言と背後にいる竜騎兵への促しを一言で兼ねつつ、利き手にプラーナを集め始めた】
-
>>1575
ブオン、ザックリ
竜牙兵「…」
魚「ぎしゃーーーーーーーー!?」
娘「ありゃ?」
即けりがついた。
兵の放つ斧槍の一振りで魚が一刀両断され戦いは終わった。
娘「もう君だけでいいんじゃあないかな」
竜牙兵「…」
強いぞ竜牙兵。凄いぞ竜牙兵!
-
>>1576
「えっと……。
ありがとう。さすが、強いな」
【予想外の展開に、呆気にとられること数瞬。
すぐにプラーナを解放すると、竜騎兵へ礼をいった】
「こんにちは。
君は……ゼーレンか?」
【魚と対峙していた人物へ声をかける。
挨拶は基本だ。
時間帯には目をつぶっていただきたい】
-
>>1577
竜牙兵「…」
斧槍を背中に納めながら頷く。
寡黙である。
娘「…イーエ、チガイマスヨ。ワタシ、半魔ノ女ノ子ナンテ知リマセンヨ」
物凄い片言でしゃべり始めた!
しかし尻尾は確実に知り合いの半人半魔のそれである!
娘「ワタシ、ジェーンランタン。とりっくおあとりーと!!」
そしてシーズンが過ぎている!!
-
>>1578
「そうか。
人違いすまなかった」
【あっさり信じた!】
「それにしても、声までゼーレンにそっくりなんて。
自分に似た人は3人いるって本当なんだな……って、え?」
【ずれたところに感心していたと思ったら動きを止めた。
そして、申し訳なさそうに頭を下げた】
「……すまない。
お菓子はもっていないんだ。
イタズラするなら、お手柔らかに頼む」
-
>>1579
ジェーンランタン「……エート」
ちょっと困った様子の流行遅れ。
これからどうなるのか、待て次回。
-
ジェーン「フーム、じゃあこの子の相手をしてもらおうかなー」
そういって指先に灯した蒼い炎をずずぃと突き出す。
-
>>1581
「…………?」
【相手すると言う言葉に身構える、野生仕込みの黒髪金目。
現れた青炎を、じっとみつめる】
-
>>1582
蒼炎「…ボッ」
ジェーン「蒼炎ウィルオウィスプちゃん」
人魂っぽいそれは蒼い炎。
目ん玉らしいものがあるにはあるが色合いがそう見せているだけっぽい。
ジェーン「遊ぶの大好きなんだ」
-
>>1583
「こんにちは、蒼炎ウィルオウィプスさん」
【どんな悪戯がくるかと、まだ若干身構えながらも、紹介された蒼炎へ挨拶する】
「精霊かな?
この子は、ジェーンの友達か?」
-
>>1584
蒼炎「……ボボゥ」
火の燻ぶる音がする。
返事をしているんだろうか。
炎なのだが近づいても熱は感じない。
ジェーン「イエス。私の友達だし、皆の友達だよ」
-
>>1585
【ジェーンの紹介に小さく笑みを浮かべたあと、蒼炎へと視線を落とす。
もう警戒は解いたらしい】
「みんなの友達、か。
優しいんだな、蒼炎さんは。
……蒼炎さん、私もさわっていいだろうか?」
【言葉が通じるジェーンではなく蒼い炎へと確認をとる】
-
>>1586
蒼炎「シュボボ」
返事をした、と思う。
妙な炎だ。
-
>>1587
「ありがとう」
【蒼炎に礼をいい、指先を蒼炎へ伸ばす。
もう悪戯のことはすっかり忘れているらしい】
-
>>1588
あ、これプラーナだ。
しかも高純度。
そして何かと繋がってる……あ、リュウさんだねこの気配。
-
>>1589
「プラーナも意思を持つことができるのか……あ!」
【感心したようにズレたことを呟いたあと、弾かれたように顔をあげジェーンをみつめる】
「リュウさんから力を貰った人って、ジェーンだったのか?!」
-
>>1590
と、ラーナイが顔をあげた時には流行遅れの存在は影も形もなかった…
蒼炎「ボボ…」
残ったのはラーナイの周りを漂う蒼人魂のみである。
竜牙兵「…」
蒼炎「ボ」
竜牙兵「………」
時折兵にもちょっかいを出す蒼人魂。
しかし兵は相変わらず直立不動である。
-
>>1591
「ジェ、ジェーン?」
【何かを受け取った瞬間に姿を消されたのはこれで2度目である。
授かり物に狐に摘ままれた気になってしまうのも無理はない。
途方にくれそうになっていた心を、じゃれる蒼い炎&竜騎兵をみて無理やり落ち着かせる】
「蒼炎さん、私に力を貸してくれないか?
もちろん、ジェーンのところへ戻りたい時は無理強いしない」
-
>>1592
蒼炎「…ボボ」
ふよんふよんと炎は漂う。
言ってることを理解しているのかは不明。
しかしラーナイとの魔法的な繋がりは間違いなく発生しているようである。
ジェーンとの繋がりを察せられないのはこの蒼炎が既に独立した存在であるからだろう。
……ヨーグルト?
-
>>1593
【嫌がっていない様子を感じ、安堵の息を吐く。
蒼い炎を大事に手のひらでくるむと、竜騎兵へ振り返った】
「よし。それじゃ早く戻……」
【いいかけて、はたと気付く。
行きは入口を開けてもらったのだという事実に。
つまり……】
「リュウさんのもとへ、どうやって戻ればいいんだろう」
-
>>1594
竜牙兵「……」
蒼炎「……」
誰も答えてくれない。
いや、答えられない。
……よし、諦めよう。
-
>>1595
【だが、そこで諦めたらすべてが終わりですよ精神のラーナイである。
返事が返らないことで、却って気持ちが定まったようだ】
「急がば回れと言うしな。
一度私塾をめざそう。
そこからドゥクスに案内してもらった道をもう一度辿って行けば、入口のヒントでもあるかもしれない」
【遠回りルートだが、ラーナイは本気だ】
-
>>1596
果たして本当にそんなんで大丈夫なのかどうか…次回に続く!!
-
そんなこんなで私塾である。
ジグザール森私塾。剣と魔法と旅歩きの術を学べる場所である。
私塾の周りは鬱蒼と茂る森。門は大きく開かれていた。
んで…中央広場には日向ぼっこしながら眠りこけているのが約一名。
「んがー」
両端を垂らした紅いマフラーとゴツいヒップバッグが目を惹く徒手空拳の女。
人は彼女をJDと呼ぶ。
因みに呼び方はジェーン・ドゥでもジェーディーでもいい。
-
>>1598
「えっと、確かここから……」
【スタート地点に戻ってきた黒髪金目の少女と竜騎兵。
辺りを見回し向かうべき方向を確認すると、寝こけている第一村人発見】
「(そうだ、もしかしたらやること終わって戻ってきているかも……!)
おやすみ中すみません。
教えてほしいことがあるんですが」
【淡い希望を胸に、寝こけている人物へ声をかける】
-
>>1599
JD「んが?」
目を覚ました。
しかし寝ぼけ眼だ。
JD「……此処は誰私は何処………君、誰?」
-
>>1600
「ここは私塾、貴方が誰かは生憎知りません。
そして私はラーナイと言います」
【教えてほしいと言ったラーナイが質問に答えるというこの矛盾】
「ここで講師をしているドゥクスを探しているんです。
ここに戻って来ていませんか?」
-
>>1601
JD「あ、私JD。ドーゾヨロシク」
起き上がると会釈するJD。
JD「ドゥクス?……あ、にーちゃんと修行するって出てったあのセンセー?」
-
>>1602
「……修行?」
【JDの口からでた予想外の言葉に、数度目を瞬かせる】
「修行を行っている場所への行き方は?」
-
>>1603
JD
「クヴァレに転移陣開いてもらってシュラハトの間に行かないとなー
でもクヴァレって今、にーちゃんに付いてるから誰も行けないってことだなー」
JD「……ところでラーナイは竜のヒト?」
竜牙兵「…」
蒼炎「……」
竜牙兵や蒼炎を見てからラーナイを見直し問うJD。
-
>>1604
「そんな……!
他に行き方はないのか?」
【絶望的な答えに肩を落とす。
口調も思わずタメ語だ】
「いや、私はただのハーフエルフだ」
【JDの問いに首を横に降る】
-
>>1605
JD「ハーフエルフかー…そーだなー……んー………」
目をつむり額に人差し指を当て考え込む。
JD「……お、ウィルっちに頼むのは如何だろう?」
蒼炎「……ボ」
-
>>1606
「ウィルっち、て……この蒼炎さんか?」
【JDと蒼炎をこうごに見て問いかける】
「…………どうやって扉を開けるんだ?」
-
>>1607
JD「ん?そりゃお願いす……あんれ?なんでラーナイがウィルっち持ってるのん?」
首を傾げるJD。
蒼炎「ボボ…」
JD「ふーん、そうなんかー、なるほどねー」
……会話始めた!!
-
>>1608
「話せるのか!?
もしかして、二人は知り合いなのか?」
【会話を始めた蒼炎とJDをみて驚くしかないラーナイ。
ふと、頭をよぎった考えに竜騎兵を見上げる】
「……君も、ウィルさんの力を借りたらしゃべれるようになるんじゃないか?」
-
>>1609
JD
「いんや違うよ。プラーナの流れをちょいと応用すれば意思疎通はできるんよ。
なんせ皆、龍の眷族だかんなー。プラーナの流れで会話するくらいは出来るもんさー。
……あれ?ラーナイはプラーナ使えるのに会話は出来ないんか?」
-
>>1610
「プラーナの流れで会話……じゃあ、蒼炎さんやJDはリュウさんにも連絡が取れるんじゃないか?」
【JDの言葉を聞いて顎に手をあて考えていたが、閃いた!とばかりに顔をあげる】
「ああ、会話は出来ないんだ。
どうやるんだ?」
-
>>1611
JD
「いやいや、会話なんだから発せられたプラーナの波動はさー。
距離を増すごとに弱まってやがて停止するわけだからそんなに遠くには飛ばないなー。
つまりは普通の会話となんら変わらんわけで」
蒼炎「…ボ」
竜牙兵「……」
JD「会話の方法?んー、ラーナイはどれだけプラーナが使えるのかなー?」
-
>>1612
「なるほど、そうか……」
【納得したが残念そうだ】
「どれだけ?
えっと、魔力に転換したりとか……」
【いいながら、プラーナの蒼い粒子を数個利き手に纏わせる】
-
>>1613
JD「えーっと…それをそのまま使って字を宙に書いたりは?」
JDが指で宙に潰れた饅頭に見える絵を描いた。
-
>>1614
「字?」
【今まで考えたことがなかった使い方を言われて、利き手に纏わせていたプラーナを人差し指に集め、JDと同じように宙へ文字を書いてみる】
-
>>1615
ところがプラーナは拡散してしまう。
…プラーナを自分以外のそれも何もない所に留める方法って学んだっけ?
-
>>1616
「やっぱりダメか。
宙にとどまらせる……いや、何か依り代があればいいのか?」
【首を傾げながら、自身の魔力で宙に描いた円へプラーナを纏わせてみようとする。
中人の記憶が確かならば、魔力への転換以外は習っていないはずだ】
-
>>1617
もよもよと魔力とプラーナが水と油のように混ざることなく蠢いて結局定着せずに拡散し消える。
JD「…あ、そうか、シュラハトの村人と都会のヒトはちげーんだった」
不思議そうに一連の出来事を見守った後気がついたようにJDが言う。
JD
「はい!シュラハトのJD!!これからラーナイにプラーナ遊びを教えます!!!
コレとっても大事!ウィルっちと遊ぶのに必須!!
コレできないとウィルっち拗ねてそのうち家出します!!!」
蒼炎「ボボ」
竜牙兵「……」
-
>>1618
「ええ?!」
【蒼炎に家出されては大変だ。
一瞬、壮年のもとへもどることを考えたが、すぐに真顔になりJDへ頭を下げる】
「よろしくお願いします」
-
>>1619
JD
「お願いされました!任せろい!!
遊び人のJD様とは私のことだかんね!!!」
褒め言葉かどうかはさて置いて凄い自信である。
こうして不可思議田舎娘こと戦闘民族シュラハトが一人、
JDによるプラーナ遊びなるものが開始された。
しかしそれは思った以上に難解で……次回に続く!!
-
【王都郊外/ひがしのもり】
「……―――――想い、か。」
「もう、解らなくなってきてるかもしれないな、俺は。」
森林、月光が葉の間を縫い照らす木々の下。
蒼白いコートの青年が一人で、佇んでいた。
-
-私塾-
JD「うい、これにて遊び方伝授終わり!!」
2時間に及ぶ遊び方講座が終了した。
試行錯誤の結果、プラーナを変化させぬまま短時間空間に留める術を身につけるに至った。
……しかし魔術的な意味合いから考えるとほぼ意味のない行為である。
-
>>1622
「うーん、奥深いな」
【習得したての技を使い、真顔で空中にミミズ文字を書いてみる黒髪金目の少女ラーナイ。
その様子は真面目そのもの、とても遊び技には見えない……】
「教えてくれてありがとう。
あとは、どうやってドゥクスたちのもとへ戻るかだな……」
【遊びの講師へ丁寧に頭を下げたあと、渋いかおで一人呟いた】
-
JD「いやだから無理だって。道を開くクヴァレが居ないんだし〜」
蒼炎「ぼぼぅ」
黄炎「しゅぼぼ」
竜牙兵「…」
講座過程で出現したJDの黄色い炎が混じる蒼炎も交えて言葉が飛ぶ。
-
>>1624
「でも、私たちを送り出してくれたのはリュウさんだ。
クヴァレさん以外にも、扉を開けられるんじゃないか?」
【尋ねたあと、物質的な扉ならノック出来るのにな、とため息混じりに呟いた】
-
JD
「そりゃ空間の主だもの。
出入りの操作ぐらいはできて当然じゃないん?
正規の方法以外となると無理やり力ずくっていうのになるし、
そんな事をしようもんなら私が止めるね〜」
-
>>1626
【真っ当な正論に、再び考え込む】
「蒼炎さんがリュウさんの魔力なら、糸電話みたいに連絡とれたりできないだろうか」
【色々方法を考えたあげく、無茶な案をいい始める。
ちなみにこれ、ラーナイなりの冗談である】
-
JD
「んー…できないとは思わないけど。
その為にはもっともっと遊び方が上手くなんないと」
「少なくともウィルっち纏って空飛んだりは軽く出来ないとねえ」
-
>>1628
「纏って……空を飛ぶ?」
【冗談の更に斜め上な提案に、思わず数度瞬きをする。
そして、蒼炎へ振り返りじっと見つめた】
「……そんなに大きいようには見えないが……」
-
JD「まあ、ねえ。そういう時は増えてもらおう!」
黄炎「ぼしゅしゅ」
すっくと立ち上がったJDが指を鳴らすと、
黄炎が弾けながら飛び散り数を増していく。
そして今ならラーナイにもハッキリと分かるが、
JDが己の背中に翼のイメージをプラーナで描き、
そこに黄炎達が集い炎の翼となる。
そして背と踵辺りに纏わりついた炎がJDの身体を宙へと運び出した。
JD「まー、こんな感じ?」
-
>>1630
「なるほど。
プラーナの絵に纏わせて具現化、か……!」
【感心したように息を漏らす】
「まずは分裂、そして纏う……。
これができるようになれば、リュウさんと連絡できるのか?」
【すごい技だが、少々回り道のような気がしないでもない。
顎に手をあて考えた後、確認するように尋ねた】
-
JD「……………」
宙に浮かびながら考え込むJD。
JD「さあ?」
そして出た答えは何の保障にもならないものだった。
-
>>1632
「それじゃ駄目だ。
扉を開けてもらう、もしくはあける方法がないと……うーん」
【考えながら、後ろに控えているであろう竜騎兵へ尋ねた】
「君は、何かアイディアはないか?」
-
竜牙兵「………」
無いらしい。
戦う以外に役に立たないかも知れんコレは。
JD
「とりあえず出来る事から始めたらどーかなん?
考えた所で良い案が浮かんでくるほどやれる事、多くないっしょ?」
-
>>1634
「……。
(たしかに、確実な手がない以上、闇雲に探すより今ある僅かな可能性にかけるべきか)」
【女は度胸、何でも試してみるものさ。
急がば回れを決めたラーナイは、再びJDへ振りかえった】
「じゃあ、まず分裂させる方法を教えてもらえるか?」
-
JD「仲良くなって頼めばいいと思うよ」
だいぶ遊んでやらないといけないようだ。
何時になったら分裂してくれるかは……今日はここまで!!
-
-森の奥-
最近王都周辺で目玉がくり抜かれて死んでいる獣や魔物が多数発見されていた。
初めは蝙蝠、野ウサギなどの小型の獣であったそれが
何時しか野犬、熊、魔獣となっていくのにさほど時間はかからなかった。
そしてついにヒトが餌食となる。
老若男女問わず発生しだしたソレに対し即時の原因解明若しくは解決を求めるクエストが、
王国有力者からの依頼として大々的に発せられたのだが…
「……嫌ーな感じだぁ」
森をうろつく二つの影。
一人は左腕に魔石の嵌った手甲を付け森私塾制服を着た左眼帯の短髪娘。
もう一人は質素なフード付きローブを纏った茶のポニテな金目銀目娘であった。
-
>>1637
「……………」
二人のクエスト参加者の後を時折背後を気にする様子を見せながら追う黒髪のガンナー
嫌な気配という物を肌で感じているが、返事は返さない
だがしかしホルダーから銃を抜き、左手をベルトに納められた爆弾にかけた
-
エクゥス「…ドムスさん、何か来ます」
ドムス「まじで?」
金目銀目が隻眼に注意を促すと同時に魔弾が木々の合間を抜けて飛んでくる!
ドムス「んわ!?」
肩にひっかけていたスコップでそれを受ける隻眼。
着弾した魔弾が結晶化しスコップに張り付く。
ドムス「ちょ、重っ!?」
-
>>1639
「――――!」
自分に向け飛んでくる魔弾を銃から発射する魔弾で弾き、身をかがめさらにいくつかの魔弾を可否_
そして左手でベルトに納められた爆弾の一つを抜き取り、導火線の代わりとなっている炎の魔符に少しだけ魔力を与える
爆弾から煙が立ち始めた
「こっちも木の影に隠れて!」
そう一応クエスト参加者に警告、魔弾が飛んでくる方向に爆弾を放り投げた
-
ガコン!と手放されたスコップが重々しい音を響かせる。
ドムス「うわわわわ!?」
エクゥス「ええっと!」
がさがさと不格好に手足をばたつかせて近場の木々にまぎれる二人。
爆弾が破裂するが放たれる魔弾は止まない。
ドムス「……結構遠くから撃ってきてる?」
エクゥス「そうみたいです。それに複数気配があるような」
-
>>1641
「………前に使った手は使えなさそうね、エクゥス君」
「あのクエストの時と戦況が似ているけれどもここじゃ遮蔽物が多すぎる」
前にエクゥスと違う人物と組んだ、ガンナーだけのクエストを思い出したものの
今回だと木という遮蔽物が多い、照明弾を使っても効果が半減しそうだ
「魔法障壁貼ろうにも、ただの魔弾ではなさそうだし?」
-
ドムス「…エクゥス、何処に居るか正確な位置は分かる?」
エクゥス「んー…流石にそこまではチョット」
ドムス「だよねえ……あー…どうしよ」
チュチュチュチュチュ、ガキガキガキン。
散発的に魔弾が放たれ周囲がどんどん魔力結晶に覆われていく。
-
>>1643
「だんだん素敵な光景になっていっているわね、自分がこの一部になりかねない事を忘れればロマンチックよ」
「………正確な位置はわからずとも、大体の位置はわかる?」
どう打開すべきかは、一つだけ思いついた
思いついたものの、シンプルこの上ないし恐らく相手方も考えつかないわけがないだろうが
-
エクゥス「……いや、こう魔力反応が多いともう何処にいるやら」
ドムス「そりゃそーだ……」
おてあげー、と隻眼が両手を上げる。
そんな事をしている間にも辺りは結晶の森へと変貌していく。
-
>>1645
「一人だけこの場に離れて遠回りで彼らに接近、背後から攪乱させて叩く……」
「……そう考えていたのだけれど、大まかでさえ不可能なら」
相手もそれを警戒しているはず、だとは思ったがそれしか打破できる物が思いつかず
眉を顰めて何か手がないかと考える
「……撤退も視野に入れた方がいいわね 人数でも条件でも分が悪い」
-
ドムス「やれやれしゃーない、囮いっきまーす!」
エクゥス「えっ!?」
言うが早いか隻眼が駆け出す。
魔弾が隻眼を追うようにして放たれる。
ドムス「うおおおおおおおおおおおおおぅっ!?」
ドタバタと騒がしく隻眼が走り回る。
-
>>1647
「たとえ相手を倒してこちらが無傷だったとしても、この水晶の解き方がわからない以上あんまり容易に…… ちょ、ちょっと!」
止める暇も無く隻眼が走り出したのを見て、流石に驚きの表情を浮かべる
しかしこの機会を逃す手は無かった、ドムスとは違う方向に、離れるように走り出す
「こっちも動くわよエクゥス君! 今なら魔弾が飛ぶ方向からある程度は絞り込める!」
-
エクゥス「ええっと…私はここで待機しますっ!」
ドムス「うどわばっ!?」
まさかの待機宣言。
そして逃げつつ抜き放った大型鋏を魔力結晶の塊にされる隻眼。
放たれる魔弾の大雑把な位置はわかる。
どうやらやや上空から放たれているようで……
-
>>1649
「……そう、頼んだわよ!」
無理に引っ張る時間が惜しい、待機してもやれることはある
そして一時的に戦闘から離れた結果どこから放たれているのかはっきりわかった
「(空中から…… 翼を持つ類の魔物?)」
「(今回の依頼はあれの殲滅じゃない、あれが原因だとしても解明にとどめるだけでいい ……それでも一撃で決めたい)」
魔銃の中に飛び切り強い魔術が封印された弾を装着した
そしてさらに、空中に気を遣いながら遠巻きに近づく少女
-
ドムス「ぬぎゃ!?」
エクゥス「……あ〜♪」
更に出現させた釣竿っぽい剣が以下略。
何本しこんでるんですかねえ……?
待機宣言した娘は何やら歌いだす始末。
上空も木々に覆われ視界は良好とはいえない。
しかし時々何かが通過しているのは見える。
光源少ない状況では素早く動くソレがなんであるか不明だが。
-
>>1651
近くの木のこぶを掴むと、すぐさまのぼり始めた少女
冒険歴の長さから、木を登る機会も木の上で気配を消す機会も多かったため
片手が銃でふさがれているが容易事だった
今や注意はドムスに向けられているはず、そう目立つ行為をしなければ見つかる事はないはずだ
木と木の間から空を見上げ、対象の正体を探ろうとする
-
目玉?「…」
その眼前に飛び込んできたのは目玉。
どっからどう見ても目玉。
眼球に視神経がくっついててちょっとグロいかんじのソレ。
目玉?「…ギギィ」
視神経を蛸だか烏賊だか海月だか分からないが、
兎も角海を泳ぐ軟体生物の触手の様に動かして宙を浮いている。
しかも複数。
目玉?ズ「「ギギィ」」
ガン見されてる。
ばれたってレベルじゃあない。
-
>>1653
「……あら、予想外に可愛らしい魔物だったわね」
余裕気にニコリ、しかしすぐにばれてしまったため心臓が強く動き出した
だが相手は目、そう目ん玉なのだ
「…………それじゃあ、私はこれでおさらばするわね」
「だけど ……置き土産置かせてもらうわよ!」
左手が素早く動いた、再びベルトの爆弾、しかし前とは別種
ピンを多量の魔力で無理やり引っこ抜き、空中に身を投げ出した
投げた爆弾の正体は照明弾、強力な光を放つ
森の中だと遮蔽物の多さ故に使えなかったが、ここなら恐らく問題ない
-
ビビビビビスッ!
放り投げた爆弾に大量の魔弾が撃ち込まれ地に落ちた。
大型目玉「ギリリィ…」
だいぶ離れたところに周囲を飛び回る目玉よりも大きい、
明らかにヒトの頭部サイズもある目玉が浮かんでいた。
その眼のまわりに魔法陣が浮かんでいたのをみると狙撃手はヤツだったようで。
大型目玉「………ギ」
バスンッ!と放たれる一発の大型魔弾。
正確にリアラの胴へと着弾するはずだ。
@既に居るっていう
-
>>1655
「……思ったほど効果は無かったみたいね」
残念ながら水晶の塊と化して哀れ、撃ち落とすことはできなかった
しかしそこで親玉が登場 こちらへ攻撃してきた
「攻撃の規模的に一撃でも喰らったら即アウトね ……直撃させたかったところだけど」
魔銃を魔弾の方に向けた
自然と自分の斜め上の方に向けられる事になる銃口、恐らく威力的に相殺できないかもしれない
だが軌道をずらせば避けられる、それだけでいい
銃の先から、緑色の巨大な火柱が発射された
火柱がブースターのように少女の体を動かし、後ろの木の方へ飛び攻撃の範囲外へ飛ばす
威力的に大型魔弾を相殺することはできない物の、弱める事はできそうだ
-
攻撃が着弾すると同時に魔力の結晶化が始まる。
当たったものを起点に無差別に結晶化するようだ。
巨大目玉「……ギ
エクゥス「♪!!」
ギィンッ!!
と、周囲の空気が震え甲高い音がした。
ビリビリと肌で感じられる振動は魔力のものか。
エクゥス「〜♪」
金目銀目の魔女が歌っている。
魔女の歌に反応してか周囲で幾つもの何色もの光が瞬き煌めく。
ドムス「…さてと、これで連中の視覚と互いの意思疎通を妨害してるとみていいのかな?」
周囲は昼間ほどではないが十分な明るさを見せ、
わらわらと周囲を飛び回る目玉達はあからさまにその統制を乱している。
ドムス「んじゃまー…大物狙いってことで、浄刀『菖蒲』!!」
輝く左手の甲から木刀を呼び掴む。
そして駈け出した。
-
>>1657
「(物理的な結晶化じゃなく、魔力からそもそも結晶に……)」
「(とんだ化け物もいたものね、この土地には―――!)」
木から降りると、体勢を立て直そうと一度その場を離れようとする
だが、気が付くとエクゥスとドムスがすぐ近くにいた
そして目玉たちを錯乱させている
「……撤回、やっぱり攻撃のチャンスは逃すべきじゃない」
物理銃を抜いた、これなら魔力の結晶化も起きない
魔力なんて込められていない、純粋な物理攻撃
それを目玉に向け、三発きっかりはなった
-
ビチャアッ!!と放たれた銃弾によって大型目玉が爆ぜた。
脆い。
ドムス「…あ」
勢い良く駆けだしたが対象があっさり片付いたので足を止める隻眼。
そして歌も止む。
同時に残った目玉どもが蜘蛛の子を散らすように周囲から高速で消えていった。
-
>>1659
「………」
嫌にあっさりと、大型目玉がやられてしまった
正直言って長期戦を覚悟していただけあって、これは拍子抜けした
「………それで、こいつが…… 目玉抉り事件に、関わってるのかしら」
-
ドムス「…さあ?」
エクゥス「確証はありませんが、今まで見たこともない魔物ではありますね」
グズグズと煙を吐き出しながら地に落ちた目玉が溶けて腐って消えていく。
ドムス「うーわ、また死体が残らないタイプの新種だよ。最近多いなあ」
@
ブーメランとハープーンをお供に駆け回った日々。
銃?知らない子ですね…
あ、肉壁は爆弾投げまくって駆逐した。
-
>>1661
「どっちも目玉と目玉だから関連がありそうではあるわね、無理やりこじつければ」
しかし発注者がこれで納得するだろうか
目玉について探っても目玉っぽい魔物がいただけじゃあ依頼料も出してくれないはず
今回は高い弾を使った、爆弾も二個使った
「……そして当てにしていた魔物の死体からの報酬も見込めない、と」
「今回赤字濃厚ね ……もう少し森の奥まで行ってみる?」
//近接は槍で遠距離は魔法で頼ってました
//キノコスピアが強すぎてやばい
-
ドムス「無理、あんなのが相手じゃ装備が心もとない」
エクゥス「そうですね。結晶化がとても厄介ですからその対策も考えないと」
あたりの結晶は時間がたてば消えるだろう。
少々時間はかかるだろうが。
ドムス「空飛ぶ剣か空を飛べるようになる剣が欲しい」
エクゥス「それはちょっと難しいような…」
-
>>1663
「それが賢明ね。 ……装備も人数もたりない」
赤字確定、多少なり持前はあるし年末年始なんて行事自分には無関係である、大丈夫
帰り道に襲われないとも限らないため銃に新しく弾を込めた
「…… 一瞬、サーフボードみたいな形をした宙に浮く剣が頭をよぎったわ」
「言葉にするとアレだけどビジュアル的には、なかなか……」
-
ドムス「…それだああああああああああああ!!!」
エクゥス「えっ」
ドムス「アッテネお婆ちゃんにサーフボード型の金属杖を作ってもらおう!」
エクゥス「え」
ドムス「そしてそのエッジ部分をチョチョイと削れば剣に!!」
エクゥス「ええー!?」
ドムス「いける、行ける気がしてきた!!」
変な妄想で盛り上がり始めた。
-
>>1665
「……………冗談のつもりだったのだけれど………」
予想外にマジにとられてしまった、そもそも作れるもんじゃないだろうと思っていた
持ち運びはどうするつもりだろうか、そもそも剣として使えるのか
そんな意地悪な質問が思い浮かんだが嬉しそうなドムスを見てぐっとこらえた
「とりあえず、依頼主の元に戻って今日あったことを報告するとしましょう」
「報酬金は期待できないけれど、少なくとも次の冒険者たちには引き継がれる」
-
ドムス
「ふっふっふ…よし、完璧だ。
空を断つ隻眼剣士、ふっふっふ…」
エクゥス
「そ、そうですね。とりあえず報告を済ましてしまいましょう」
とまあそんな感じで今回のクエストは終了なのである。
後日、ヒャッハーと空を行く娘っ子が現れたとか言う噂が流れた…それがだれかは確定していない。おしまい!!
-
そのヒャッハーとする娘っ子に心当たりがあるような気がしてならない、少女なのであった
FO
-
――君たちは今、今年の最後を締めくくる冒険として、とある大遺跡の前にいる。
王都からやや離れた山地に隠れるようにして存在する此処は、これまで多くの冒険者を飲み込んできていた。
つまり、誰も生きて帰った者はいないのだ。
そんないわくつきのこの場所は、いつしか莫大なお宝があるという噂が流れ始めた。
その噂の真相を確かめるべく、この場所に潜ることを決意した冒険馬鹿が君たちということである。
苔と蔦に覆われた、石の扉は君たちを拒むようにして立ちはだかっている。
これを押し開いて中へ入った瞬間から、もう命の保障はされない世界というわけだ。
そこに足を踏み入れる、最初の勇者は果たして誰だろう?
-
「……で、この扉がそうなのかな?」
……と石の扉を見上げている薄水色の髪をした少女。
何気なく扉を軽く叩いてみたりもしている。
-
「じゃねーの?」
背丈は成人のそれであり、顔の右半分にある火傷の痕が凄みを効かせているが、
よくよく見るとその顔立ちに幼さを残している黒い洋服の上から白い着流しを纏う男が突っ立っている。
-
>>1669
【怪しい場所にも、やってくる物好きはいる。
噂にひかれた者、誰かに託された者、そして……】
「……しまったな、完全に迷子だ」
【困ったように黒髪をかきあげる金目の少女。
辺りを見回し、そこに建つ遺跡へ近づいた】
「ずいぶん様子が違うようだか……もしかしてここのことなのか?」
-
ここであってるのかな……やっぱり……雰囲気出ますねえ……
扉…は……普通に開きそう……かな?
【次に来たのは顔にまだ幼さを少し残す少年。どうやら年末にも関わらず暇な様だ。】
お宝とかやっぱりロマン的なものありますし……修行兼ねて頑張りましょうかー…
【腰にはその雰囲気には見合わない様な剣を装備し、手甲も着けている】
-
>>1670-1673
【状況的にレイヤが開いたと判断】
レイヤはおっかなびっくりと、その思い石扉を押し開く。
絡みついた蔦がぷちぷちと音を立ててちぎれ、土ぼこりがもうと舞う。
そうして一同に口を開くのは、暗く、長く続いた石の廊下だ。
目に付く限りでは、人間の死体や白骨化したソレなどは確認できないので、死体が残る罠はないと考えてよさそうだ。
もちろん、目に付かない罠は存在している可能性がある。
また、中はひどく暗い。
明かりがなければ、進むのは厳しいものになりそうだ。
【推奨行動……罠感知。明かり確保(ランプやたいまつ、魔法や魔法のアイテムの使用など)】
-
トーキチロー
「……よし、誰か灯り頼む。
あと落とし穴が無いか気ぃつけろよ」
他人任せで最後に進む気である。
-
>>1674-5
うぅわぁ………怖……全然前が見えない……
あ、はい、ただのランプですけど……
【背中のリュックからランプを取り出し灯を燈す】
もう不安感が尋常じゃない……罠感知…とかは………今度勉強しなきゃ……
【既に腰が引けている】
-
>>1674
「(他に人がいる……クエスト中か?
それにしては統率が……)」
【他の面子を見回していると、重い音をたてて扉が開いた】
「……暗いな」
【手早く空中に魔方陣を描くと、ふよふよ浮かぶ雷球を光源として生み出す。
そして、遺跡の中へ足元の小石を蹴り入れた】
-
>>1674
「あれっ……意外とすんなり開くんだね……」
少女が軽く押した程度で開いたため、少しきょとんとしたような顔をする。
「……とりあえず灯りか何かが必要かな?」
フワッと光の球体が現れる。
60Wの電球程度の明るさはあるようだ。
-
【光源が三つ。明かりは十分に確保できたと判断】
【罠警戒が一つ。不十分であると判断】
>>1675-1678
一同はゆっくりと廊下にへと足を踏み入れようとする。
ラーナイが小石を蹴りいれたが、床は何かに反応することは無かった。
そのため、君たちは罠は無しと判断して足を踏み入れた。
――その時である!
踏み入れた床がリフトのように、あれよあれよと上がっていくではないか!
君たちは直ちにこのリフト床から滑り降り、正規の道へと復帰しなければならない。
上へとこのまま昇ってしまえば、押しつぶされる以外の道が用意されているという保障はどこにもない!
【脱出判定。このレスへの返しに、書き込み秒数が奇数か偶数か予想してください。予想が当たれば脱出成功です】
【何かボーナスが出ると思われる能力やアイテムがある場合は、その使用を宣言してください】
-
トーキチロー「おかしい、こうならんよう最後尾についたんだがなぁ?」
懐から鬼を模したの面を取り出しつつ脱出を試みる。
失敗したらあれだ。
被って耐えるしかあるまい、プレスに。
偶数出れば御の字である…
-
>>1679
「チッ、生物反応か!?」
【舌打ちして、上がる床から飛び降りようとする】
「(一人なら飛べるんだが……)」
【安全策は、ここで使うと最悪の未来しかみえない。
よって運にかけるしかない。
判定:偶数】
-
>>1679
「さ、早速罠が!?」
滑り込むようにダッシュして逃げる。
ついでに障壁を展開して守りを固めてたり。
奇数が出てくれたら嬉しい。
-
【偶数が出なければもう死んでしまうかもしれない】
>>1679
えっ!?あっすごい上がってk……あれ?もしかして潰される?
逃げられる様なアイテム……魔法……
あー
【風魔法を使い冒険者を押し出す様にし、緑魔法の魔法陣を描き短い時間で作れる気持ち程度の木の棒でつっかえさせ、自分も降りれる様に駆け出す】
やっぱりあれじゃ弱いよね……もうやばいっ!
【あとは秒数と木の棒、風が頑張ってくれるか願うばかりだ】
-
>>1680-1683
【トーキチロウ、ラーナイ、レイヤは失敗。こっくりは成功】
リフトは容赦なく上へと昇っていく。
こっくりだけが滑り降りる形で脱出に成功した。
リフトに取り残された君たちの目に入るのは、棘の生えた天井である!
こっくりの用意した木の棒でしばらくつっかえる可能性があるとはいえ、長くはもたないことは間違いない。
【明かりが十分なため、ボーナス】
あがっていく最中、どうにか飛び込めそうな横穴があることに君たちは気がつくだろう。
そこに飛び込めば、あるいは助かるかもしれない。
-
トーキチロー「…ちっ」
とりあえず周囲の連中を投げ飛ばして横穴に叩き込もうとする。
自分は潰れ今回は此処で行動不能になるだろう。
まあ面のおかげでこの程度であれば死なないだろうが…脱出には時間がかかりまくるだろう。
これにて出番は此処まで!!
-
ふぅぅ……助かっt…あれっ?他の人は?僕だけ?
【周りを確認し、リフトに残っている事に気付く】
ああああ……もう僕じゃああそこ迄は……ぐぅ……
【何も出来ない自分に腹を立たせ項垂れる】
-
>>1684
「!!」
【明かりが示した横穴、しかも今はこっくりが残してくれた風が渦巻いている。
あそこが罠かどうか、調べている時間はない。
手早く魔方陣を描き、皆の背を穴の方へ押すように風の流れをかえる】
「(一か八か!)」
【背を押す風の勢いを借りて、横穴へと飛び込んだ】
-
>>1684-1685
「!?」
体重が軽い彼女は投げ飛ばされそのまま横穴へ入り込んで行く。
-
>>1685-1688
【トーキチローはリタイアしてしまう】
横穴に飛び込んだレイヤとラーナイの二名は、冷たい岩の感触を味わった……かと思えば、その岩がふっと消失する。
フリーフォールじみて落下する二人は、何も対策がなければ、下の床に強かに打ちつけられてしまう!
【何も無い場合、任意のダメージ。軽減可能】
ダメージを受けたにせよ、受けずに済んだにせよ、ともあれ、こっくりと合流できた。
トーキチローは、上がりきったリフトにおきざりとなってしまう。
――先にオチを放しておくと、天井にたたきつけられる寸前、天井がぱかっと開いて外にへとほうり捨てられたのだ。
もちろん、残った三名はその事実を知ることは無い。
-
>>1689
「!?!?」
突然床が消えるも素早く身体を回転させてふわふわと降りて行く。
降り立った床から棘でも生えてこない限りダメージは無いようだ。
-
>>1689
【落下の感触に慌てて魔方陣を描き風のクッションを作ろうとするが、完全相殺にはギリギリ間に合わず】
「痛っ!」
【不幸中の幸いか、尻を強打する程度で着地できた】
-
>>1689-1691
うぅ……えっ?
【いきなり降ってくる2人に戸惑う】
だ、大丈夫ですか?
-
>>1690-1692
いきなり同行者が一人減ってしまったが、君たちは気を取り直して進むことになる。
仲間が突然一人減ったということへ動揺する者もいるのではないだろうか。
しかし、それでも、ここまできたからには進むしかないのである。
しばらく歩を進めていると、開けた空間に出た。
この空間を俯瞰すると、Φ状になっており、弧に沿って銅像が並んでいる。
通路を直進していくが、どうにも銅像が不気味だ。
【推奨行動:不意打ちの警戒。敵感知】
-
>>1693
やっと開けたところに出た……
何ですかこれ……変な感じの……銅像?
怪しいですねー……
【何処と無く不穏な空気を感じ剣を抜く……が、そこまでガッツリ警戒している訳でもない様だ。念には念を押して、と言ったところだろう。】
休憩したいところですけど………
僕が気にする様な事でもなさそうですがお二人は大丈夫ですか?
-
>>1693
「ありがとう、風のおかげで助かった」
【痛む尻を軽くはらったあと、こっくりへと礼を言う。
そして、素早く辺りを見回した】
「(1人足りない……。
天井から何も音が聞こえなかったし、血も落ちてこない。
ということは、少なくとも串刺しは免れたということか)」
【天井をチラリとみたあと、先へと進みはじめる】
「……嫌な感じだな」
【いつでも魔方陣が描けるよう利き手に魔力を込め、辺りの気配を探る】
>>1694
「……」
【警戒心丸出しのようすで、首を横にふった】
-
>>1692
「あ、全然大丈夫だよ」
落ちるというより降りてきた感じの少女である。
>>1693
「変な銅像……」
「どう見ても怪しいなぁ……」
何処から何が来てもいいように、と周囲を警戒している様子。
-
>>1694-1696
【全員が警戒。十分な警戒だと判断します】
一同が油断なく進んでいると、案の定、一部の銅像はゴーレムであった!
左右の弧にいる銅像がぎこちなく動き出し、一同の姿を捉える!
【全員警戒状態のため、銅像の動きを察知。銅像の不意打ちは失敗】
中央の通路にいる君たちに向かって、動き出した銅像――ブロンズ・ゴーレムが光線を放つ!
通路を飛び降りるなどして回避し、ゴーレムに接近することは十分可能。
-
>>1697
【警戒状態のため、反応は早かった。
ゴーレムの攻撃が届く前にその場から飛び退き、素早く魔方陣を描く】
「――!」
【完成した魔方陣が青く光ると、ゴーレムむかって複数の氷矢が放たれた】
-
>>1697
「やっぱりゴーレムが!」
素早く四角形の障壁を展開して光線を反射しようとする。
所謂カウンターであろうか。
-
>>1698
//対象の選択をお願いします。左右のゴーレムどちらに攻撃しますか?
-
>>1700
//左で
-
>>1697
わぁっ!?
【思わず飛び退く】
んむぅ危なかった…ゴーレムか………じゃあ試しに…魔法剣技……焔刃。
【魔法陣が剣をくぐらせ、その刃からは炎が溢れ出る】
やっぱり消費早いかもしれない……だから、早めに
【身を翻し飛んだ先にいた右手側のゴーレムに斬りかかる……】
-
//あ、左側でお願い
-
>>1697-1702
一同は攻撃を回避、あるいは防御しゴーレムに攻撃を仕掛ける。
ぎこちない動きのゴーレムはまともな回避もかまわず、それぞれの攻撃に直撃する!
ラーナイの放った氷の矢は、左のゴーレムの胴体に深く突き刺さり、そこにこっくりが反射した光線がぶちあたる。
動揺に、右のゴーレムは自らの放った光線をまともに受けた状態で、炎の刃を身に受けた。
もともと経年劣化により壊れかけていたゴーレムは耐久限界を超えて崩れる!
【獲得品決定ロール。次のレスを判定とみなし、秒数により獲得品を決定します】
-
>>1704
//こっくりじゃなくて私です
-
>>1704
【判定】
「終わった……みたいだな」
【沈黙したゴーレムをみて、詰めていた息を吐き出す】
-
//失礼。とりあえず、結果に変更なしとします。
-
>>1704
【判定】
「硬そうに見えて意外と脆いのね……」
崩れたゴーレムの破片を一つ摘み上げながら。
-
>>1704
【やっぱり多い方がいいですねはい。判定】
あれ……?案外脆かった様な……いや、結構僕の実力が上がってたり!
【調子に乗っている様だ】
ともあれ……一応乗り越えられたみたいですね……ふぅ……
【ふっと、炎は剣から消え鞘に納められる】
-
>>1706-1709
ラーナイとレイヤは【魔法のブロンズ】を入手。
およそ銀貨3枚程度相当のものである。ゴーレムの欠片だ。
こっくりは【ゴーレムの油壺】を入手。
およそ銀貨10枚程度の、貴重な古代の油だ。ゴーレムの一部が壊れずに、オイルタンクを無事に取り出すことが出来た。
さて、罠を乗り越え、番人も突破した一同がしばらく道を進んでいくと、行き止まりにたどり着いてしまった。
目の前の壁には巨大な目が描かれており、さらに、魔法の力によってか、壁に言葉が浮かんできた。
『よくぞたどり着いた。君たちには最高の宝物を授けるとしよう。
さぁ、その場で立ち止まり、瞑目し、然る後にその栄光を身に浴びるといい』
……どうする?
-
>>1710
【ゴーレムから得た臨時収入を空いているポケットへ突っ込み、先へと進む。
そして、浮かんだ文字を見ると即答した】
「遠慮しよう。
私は宝がほしい訳じゃないからな」
【じゃあ何しに来たんだ!と突っ込みたくなるようなことを言って、その場から一歩引いた】
-
>>1710
「絶対何かあるでしょこれ……」
再び何かが襲ってくるような気がして周囲に警戒を走らせる。
-
>>1710
何だこれ……何かギトギトしてる……袋……入れなきゃな……
【リュックから袋を取り出しそれに入れる】
こういうのってかっこいいですよね……
【壁に浮かぶ文字を見ながら感動】
えーっとー……はい、いただきましょう。とことん、強欲に。
【壁の前に立ち目をゆっくり見開く】
-
>>1711-1713
【ラーナイの回避失敗! ちょっと下がる歩幅が小さすぎたようだ】
なんと、この場所も先ほどのリフト床と同様だ。
しかし、先ほどより緊迫感は無い。何しろ、上から光が差し込んできたのだ。
光が差し込むということは、外につながっているというわけで――。
――上へとたどり着いてみれば、それは確かに夜明けであった。
いつの間にか、一同は夜を明かしていたのである。
一同が目撃したのは、ジグザールに昇る最大の宝石。つまり、初日の出だ。
あの魔法の壁は、このことを宝物と、いうつもりらしい。
【つまり体よく追い出された形である】
-
>>1714
・・・
【数秒固まる】
いや……はい、まあオチは何と無く見えてましたよ……わかってましたよ……わかってましたってば……
【その後日の出を見届け凹む】
こう……何か形ある物だと思うじゃないですか……ねえ……
-
>>1714
「!!?」
【二度目の浮遊感に、思わず身を固くする。
が、目の前に広がった景色に思わず感嘆の言葉が漏れた】
「これは……すごいな…!
……あっ!」
【まさしく絶景。
たしかに、宝にふさわしいだろう。
高みから見下ろしたことで、本来の目的地も見付けることができた】
「……さて。
ここからどうやって降りるべきかな」
【夜明け寸前の寒風に吹かれながら、ポツリと呟いた】
-
じゃあ、もう、お宝も無かったので先に帰らせていただきますね、はい。
【とぼとぼと歩き……】
とぅっ!
【ダイナミックにジャンピン!!
おそらく何か便利な能力でもあるのだろう……】
くぁwせdrftgyふじこlp(ゴロゴロゴロゴロ……
【前言撤回……色々当たりながら激しく転がって行く……無事に帰れるのだろうか…】
-
とある王立大学の学生向けの女子寮の一室。
本来、ここは男子禁制であるが、この部屋にすむ猫亜人の娘のほかに、その友人の少年も……。
部屋にはネオベイから仕入れたコタツとかいう悪魔の家具、
娘はコタツに篭ってうとうとと……。
大晦日からずっと、部屋でごろごろと二人で過ごしていた様である。
-
>>1718
//一旦FO
-
「……うぁー。」
ころころ、と自身もコタツに身体半分を入れて、机にのびー、としながらも。
ティティスを見て悪戯してみようかなー、と思いながら手を伸ばしたり、引っ込めたり。
「……うぁー。」
ごろごろしたり、と。
のんびーりとした時間が流れている。
-
「…………。」
娘も、薄めを開けてぼんやり……完全に正月ボケである。
一緒に外出したりすると凛としたお嬢様、と言ったキャラだが、
プライベートではガラっと変わってこんな感じなのである。
「…………。」
半分意識が飛んでいる様だが、
少年がそわそわしている様子は目聡く気付いている様だ……。
尻尾をそわそわと少年の前で揺らして、挑発しているのやらなんなのやら。
-
「……んー。」
ごろ、と時分も寝返りを打つようにしながら、
なんかしてやろう、と子供染みた事を思う子供。
「……ていっ。」
ぷに、と頬を突付いてみたり、手を伸ばして髪をちょいちょいと弄ってみたりする。
やっている事がお子様である。
-
ちなみに部屋は空いた酒瓶がいくつも転がっていたり。
昨夜は二人でかなり飲んだのだろう。
「………ふぁぅ……。」
耳をぴくぴく動かしたり、尻尾をゆらゆらさせるだけで
あんまり反応してくれないのであった。
逆に言えば無防備だが……。
「……レビッツくーん……お腹空いたー……。」
そうかと思うと、間延びした声でそんな事を。
確かにそろそろ飯時だが、自分から動こうという気配が微塵も無い。
-
「……うりゃー。」
ほっぺをむに、と摘んだり。
ゆらゆら揺れるしっぽを目線で追っている。
特にこれといったことはしてないが、何か楽しそうだ。
「んー……? 何か作るー?」
のびー、をした後、こたつから出て。
雑用担当、と仕事場で言われているらしい少年。
炊事洗濯掃除は出来たりするのだ。
-
「んぃ………
……ふふふ……。」
ちょっとくすぐったかったのか、軽く笑い声を漏らす。
「……んー、食べる。何でもいーやー。
……ふぁぁ……お腹すいたと思ったらもうこんな時間だね。」
飯の支度を少年に頼むと、大きく伸びをしてようやく起き上がる。
おそらく、この後の部屋の片付けなんかも殆ど少年にやらせることになるだろう……。
-
「……へへー。」
何かしてやったり、というふうだ。
「んじゃあ雑炊でも作るかー……おもち、あったっけ?
無かったら適当にパンでいいかなぁ。」
酒瓶をひょいひょい、と纏めて片付けながら。
……夫婦か何かだろうか。
-
「……んー、おもち……。
おもちでよろしくー……。」
パン粥は虚しく却下……!
とはいえ、ネオベイからの留学生から貰ったモチがあるにはあるのだった。
少年が甲斐甲斐しく働いている横をすりぬけて、娘はバスルームに。
夕飯前にシャワーでも浴びてくるつもりだ。
-
「はぁーい、……
……お醤油またあったかなー?」
勝手知ったる人の家、といった感じで。
適当に料理を初める少年、もう慣れた様子である。
「寝起きだしちょっと薄めにしとくかなー……ふぁぁ。」
-
「よろしくねー♪」
しゅるしゅると、衣服を脱ぐ音……。
その後、脱衣所から首だけ出して調子良くそういい残し、バスルームへと。
シャワーの水音に混じって、機嫌よさそうな鼻歌が聞こえてくる。
-
「…………んー。」
水音と鼻歌に、若干意識するも。
ぶんぶん、と料理中なので頭を振ってぼんのうを振り払う。
昨晩の除夜の鐘効果は無かったようだ。
「……ちゃ、ちゃっちゃと作っちゃおう。」
-
そんなこんなで少年に炊事を押し付け、シャワーを浴びる娘。
しばらくすると水音が止み、バスルームから出てくる。
「レビッツくーん、できたー?」
しかも、バスタオル一枚姿で。
ほんとに家の中だとだらしないのである。
-
「あぁ、うん、もーすこs……。」
そちらを振り向き返答を返すが、そちらを向いて。
「っ、ああ、もう、ティティスっ!
服、ふ、服っ!」
そっぽを向いてしまった。
意識しないように、というのが台無しだ。
-
「まだー?お腹空いたー……。」
と、唇を尖らす猫娘の半裸体が少年の眼に飛び込んでくる。
「んー?服なら今から着るよ、ふふふ。」
天然なのかからかっているのか。
ともあれ、少年がそっぽを向いている裏で、
ごそごそと服を着る音がするのであった
-
「だ、だから、服っ! ……お、襲われても文句言えないんだからなっ!そういうのっ!」
慌てて目を逸らす少年、ついでに火を止めて雑炊完成である。
「あー、もー……っ。
……ぞ、雑炊できたからっ。」
呆れ半分ドキドキ半分なご様子。
-
「えー、私昨日文句とか言わなかったよ……?」
とか何とか言いつつ、娘はラフめな私服姿に。
つまり、昨夜はそういうことだったのだろう……。
「やった!いただきまーす!」
動揺する少年をよそに、こたつに再びもぐりこむのであった。
-
//と、申し訳ない、飯に行ってまいります
また後で……!
-
//ただいまでござる
-
//おかえりでござる
-
//続きやりますー?
-
//やりませう
-
//じゃ、続き投下よろしくでござる…!
-
「う……そ、そういう、ことじゃ、ないってばっ!」
むぅ、と膨れて返すしてこたつに雑炊を運ぶ。
なんというかまぁ、押されまくってる。
「はー……いただきます、っと。」
-
「……あふっっ!!!」
雑煮を口に運ぶ娘だが、
案の定猫舌なのであった。
涙を目に浮かべて、ふーふーと息を吹きかけ冷まし、改めて一口。
「んー、おいしい〜♪
レビッツ君大好き〜♪」
と、実に現金な大好き発言で賞賛するのであった。
-
「あー、ほら、慌てて食べるから。」
んもー、とか言いながら水を差し出す。
やってる事が完全にアレだ。
「うぐ……。
もー、ティティスはぁ……。」
ぶー、とうなだれて文句を垂れる少年。
なんかご不満な様子。
-
「ありがと、レビッツ君。
……やっぱレビッツ君料理上手だね〜。」
色々呆れた様子の少年とは逆に、娘は非常にご機嫌な様子である。
「ん〜、どうしたのレビッツ君、ご機嫌斜め〜?
ほら、機嫌直してよー……あ〜ん。」
と、モチを一切れ少年の口元へ……。
-
「んー、まぁ、家でもやってたし……
ジャキさんには雑用任されてるし……。」
ぶーぶー、と膨れた様子。
子供っぽいことこの上ない。
「だってさぁ、俺からそういう事いったらはぐらかすのに……
むぐ……んぐ……。」
ぶつぶつ言いながらももちを食べる
-
「……ん〜……ふふふ……。
お子様にはまだそういうの早いってば〜。
もっと大きくなってから、ね♪」
と、まるっきりこども扱いである。
……そのわりに、少々顔を赤くして照れ隠しっぽいのが分かるのだが。
-
「……お子様があんな事しないだろっ」
ぷい、とそっぽを向く少年。
こういう子供扱いはお嫌いな様子……。
「大体っ、ティティスだってちょっと照れてるくせにっ」
-
「えっ?……ふふふ……。
それは〜、サービスサービス……♪」
と、ちょっと目を泳がせてはぐらかす。
「んー、気のせいだって〜。
ほら、雑炊冷めちゃうよ?あーーん。」
さらにもう一口、口元に……。
-
「……サービスであんな事してるな俺怒るぞ。」
ぷーいっ、とそっぽ向く少年。
完全に拗ねてるが……。
「……むー。」
餅は食べる、子供可。
-
「ごめんってレビッツ君〜怒んないでよ〜?
それとも、あーいう事は嫌い……?」
と、少し甘える様に少年に擦り寄い……。
「……ふふふ……。」
後ろから軽く抱き着いて、寄りかかってくるのであった。
-
「……嫌いじゃ、ないけど。」
むー、と膨れながらも寄り添ってきたティティスの手を取って。
「……むー。」
引っ張って、無理矢理にちょっと抱きしめるように。
-
「それに、レビッツ君としかああいう事しないもの。
安心して欲しいなー……?」
それは今のところ本当らしい。
ただ、いつまでも関係をはっきりとはさせないが……。
「やんっ。
そういう所男らしいよ、レビッツ君♪」
少年の腕の中に抱かれ、ふわりとシャンプーの香りが鼻をくすぐる。
-
「……むー。
そういうことじゃ、なくてさぁ。」
何かいいたげだが、言ってもはぐらかされるかなぁ、
とか思っちゃって何も言えなくなる子。
「……はふ。」
抱きしめてると落ち着くのか、息を一つ。
-
「ふふっ。
ま、もうちょっと大人になってから、ね?」
と、やっぱりはぐらかすのであった。
「んー、落ち着くー……。」
抱かれると落ち着くのは、娘も同じらしい。
「このままこうしてたら、今日もしちゃいそうだねー……?」
いつもの事だが、悪戯っぽい笑みを浮かべて、挑発的なことを言うのであった。
-
「……ティティス。」
はぐらかされて、ぎゅうと抱きしめる力を強めて。
「……そういうこといってると、その……。」
-
「ん、どうしたのーレビッツ君。
まだお腹空いてるのかな〜?
……はい、あーん……。」
ニヤニヤしながらこっちの方もはぐらかし、
皿をとってもう一口少年の口元へと……。
-
「っ〜……!」
むぅ、と膨れて手を取って、
「……んむっ……!」
ぐい、と身体を引き寄せては、唇を奪う。
-
「………きゃっ?
…………っ!!」
一瞬驚いた様な表情を浮かべ、唇を奪われる。
娘の柔らかな唇の感触が、少年の唇と触れ合う。
「……っ………んんっ……。」
しばらくそのまま唇を押し付け合い、
そのうち、段々と深いキスへと……。
-
「……んっ、ふっ……
ちゅー……んんん……・」
ぐっ、と身体を掴んで離すまいとしながら、
舌を絡め、糸を引いて離して。
「……ティティスっ、俺……
俺、ティティスの事、好きだっ。」
逃すまいとしながらそんなことを。
-
「……え、えぇっと……そのー……。
わ、私……レビッツ君が思ってるほど、良い子じゃないんだよ?」
少年の告白にも、照れた様子で煮え切らない態度……。
過去にも、何度か告白してみても、いつもこうである。
「……うぅ………んっっ!!」
そして、誤魔化すように再び唇を重ねてきた。
-
「……良い子じゃなくても、悪い子でも、
俺、ティティスの事……好きだ、側にいてほしい……。」
ぎゅぅ、と肩を掴んで。 ……真面目な目だ。
「んっ、むぅ……!」
-
「んふっ……ありがと、レビッツ君、うれしいよ……。
……側には、いてあげるよ………。」
くす、と微笑んで少年の目を見つめ返す。
……少し、申し訳無さそうな眼差しで……。
-
「……側に居るだけじゃ、なくて、その。」
「俺は、ちゃんとっ……!」
唇を離して、まっすぐに見つめて。
何で申し訳無さそうなのかが解らないふうに。
-
「……ふふ……ありがと、レビッツ君……。
……でも、ごめん。もう少し、待ってて欲しいんだ……。」
と、少年の唇に指を当てて続きの言葉を制する。
何か、今は関係を成立させたく無い理由でもあるのだろうか。
しかし、娘の少年を想う気持ちは本物ではあるのだが……。
-
「…………ぅー。」
唇が離れて、言葉を聞いて。
息を大きく吐き出して。
「……わかった、じゃあ、俺、待つよ。
ちゃんと、ティティスが返事してくれるまで。」
-
「ふふっ……♪
ありがと、レビッツ君、大好き……♪」
真剣なノリじゃないときなら、そういう事も言えるのだが……。
「………。
……あはは……続き、する……?」
一旦場が落ち着くと、途端に気恥ずかしく……
場をもたせるためだろうか、そんな提案が。
-
「……あんまり、嬉しくない。」
むぅ、と唸って、小さく息を吐きだす。
「…・…ん。」
くい、と軽く身体を引っ張って床に倒す。
-
「……んー……ごめんね、レビッツ君……。」
やはり申し訳無さそうな顔でそういうと、
謝罪のつもりだろうか、やや濃いめのキスをしてきた。
「………んっ……。」
そして二人はそのまま………。
-
「……っ、ティティスっ……!」
その謝罪の言葉に何か引っ掛かるものが合ったのか。
その日は、なんだかとても乱暴をされたそうな……?
【FO】
-
【森の奥のとある小屋】
フィアさーん!いませんかー?
【小屋で自らの従者を呼ぶ見た目美少女】
-
>>1771
「お呼びですか、マスター」
名を呼ばれるや否やその姿を現した。
忠臣たる人形として、主人の言葉には耳ざとく反応するのが常である。
「とうか、自分の人形に対して、さん付けはだな……」
どうにかできないかと、肩をすくめながら言う。
-
あ、良かった、これ、約束の品ですよー
【と、槍を差し出す、その鋭く輝く切っ先は結構な業物であることを感じさせる、どうやら相当良い品を探してきたようだ】
まぁ良いじゃないですか、フィアさんはフィアさんですよー
【ダメだこりゃ】
-
>>1773
「確かに」
槍を受け取り、穂先をしげしげと見つめる。
確かに悪くない。彼女は小さく頷いた。
「まぁ、いいがね……」
石突部分で床をこつこつと叩く。
「……そういえば、件の男はどうなったんだ一体。殺そうと思えば殺せたものを」
以前、あの男を見逃したこと。
それだけが妙に心残りだった。
-
>>1774
あ、そうだ、ついでにプレゼントですよー
【と、綺麗に装飾された小箱を差し出す】
あの人は強制で帰国させました、多分あの人にとっては死ぬより辛いでしょうけどね
【どういうことだ】
ライア「そういや前にあの男が俺達の国を滅ぼしたって言ったが、ありゃ正確には間違いだった、正しくは滅ぼしかけただった」
【あんま変わんねぇ】
-
>>1775
「……これは」
小箱を受け取るが、しばらく困惑した面持ちでいる。
中身の正体が掴めない、からだった。
「そうか……まぁ、深く聞かんほうがよさそうだが……それで、これ、開けていいのか?」
-
>>1776
ええ、どうぞ開けてください
【にっこり】
-
>>1777
「……」
緊張した手つきで、ゆっくりと小箱を開く。
彼女が緊張しているのには訳がある。
装飾された小箱で、異性に渡すようなモノとは何ぞや、という事だ。
(あんまり期待するのもばかばかしいのはわかっているんだがなー)
それでも、考えてしまうのがヒトというものである。
人形の身とはいえ、ヒトのソレと変わらぬ自我を抱えれば、仕方なしというものだ。
-
>>1778
【出てきたのは可愛らしい蝶のアクセサリー】
可愛いフィアさんにはこういう可愛いアクセサリーが似合うと思って帰りに露店で買ったんですよー
【口説き文句かよ】
-
>>1779
(――惜しい!)
ギリギリでボール。
ストライクゾーンやや外れ。いや非常に惜しい。
「私はアクセサリの類はあまりつけんが……まぁ、なんだ。ありがとう。うれしいよ、マスター」
ところでアクセサリといってもこれは何だろう。
首飾りあたり?
-
>>1780
いえいえ、どういたしましてー
【ブローチ的な物である】
-
>>1781
とりあえず、胸元につけてみる。
飾りの無いシックな黒っぽい服だっただけに、いい感じにワンポイントとなっている。
蝶というのは、少しばかりかわいらしすぎる気もするが。
「どうだ、似合うか?」
贈り物をされて嬉しくならんようなのもいないわけで。
何となく顔をほころばせて、そう尋ねるのだった。
-
>>1782
ええ、とっても似合いますよー可愛いです!
【にっこり、曇り無い笑顔でドストレートに褒める】
-
>>1783
「ふふ、……そうか」
嬉しげな微笑を浮かべて、それから、小さく頷いた。
「……うむ。マスター。少しばかり用事が出来た」
「すぐ戻る――ふふ」
答えを聞かずに、外に飛び出していく。
……恐らく、人形仲間に自慢したくなったのかもしれない。
ああ見えて、結構のろけるタイプなのである――FO
//ではきりもよいのでこのあたりで。ちょいと早いがすまぬ。
-
ええ、行ってらっしゃいですよー
【手を振り見送ったとかfo 】
\\お疲れ様でした!
-
<王都の近くの草原>
「――――燃える土。」
【王都を走る馬車に何かが撃ち込まれる。
一瞬、見えたそれは子供が作った泥団子の様な不恰好な土塊である。
そして、それを撃ち込んだ本人は馬車を監視できるが、目立たない位置に。
夜闇に紛れているのは、黄土色のコートを羽織、シルクハットを被った陰陽太極図を付けた男である。】
「ア゛――――、あ、あ、あ――――燃えろ。」
【ぼそり、と呟くと馬車が一瞬にして燃え上がり始めた。】
-
FO
-
<王都近くの草原>
【日も落ち、静まり返っている草原。
草木は月によって、やわらかく照らされ、冷たいが穏やかな風が撫でる。
……そんな取り分け、何も無く平和な夜の草原。
――――――だが、しかし。
突如、ごうっという音を立てて、地を輝く赤い線が走り、描くように動く。
すると、その赤い線が弾け火を上げて燃え盛り始めた。
燃えているそれは、まるで転移ゲートのようだ。だが、異常に大きい。】
-
【再び、ごうっという音が立つと、その転移ゲートの様な炎から何かが現れる。
それは燃える馬に跨った人型の姿である。
その人型は騎士の鎧で覆われているが、首から上だけは剥き出しである。
また、その顔も青白く到底、普通の人間とは思えないものだ。】
「…………ふん、素晴らしい夜だ。」
【そして、転移ゲートを象っていた炎は蛇の様にのたうち、意思を持っているかのように
動き始めたかと思うと、その騎士が乗っている馬へと吸収され始めた。
よく見れば、その馬は〝燃えている馬〟ではなく〝馬の形をした炎〟である。】
-
FO
-
「……しっかし、今日も肌寒いな」
夜と言えどぽつぽつと人通りのある、そんな王都
そんな人通りに紛れて歩いているのは、手編みのマフラーを身につけた青い髪の青年
腰には拳銃を引っさげていて、両手には紙袋
そうして周囲を窺いながら歩いていると、青年は小さな公園を見つけた
静まり返った、暗く小さな公園
青年は一息つこうと、この公園に立ち寄り、そしてベンチに腰かけた
-
「んぁ……今日もすっかり遅くなってしまったのぅ……
……眠い……眠いし寒い………。」
ふらふらとやってきたのは、家に帰る途中の小柄な少女。
もこもこのマフラーやらコートで身を固めているが、それでも冬の夜はまだまだ寒い。
「およ、カイサではないかや。
随分と久しぶりじゃな。」
ベンチに座る見知った顔を見かけて、声をかけてきた。
-
>>1791
「あれー、カイサじゃないの?」
たまたま近くのベンチに座っていた少女。
顔見知りを見つけ、そちらへ駆け寄る。
-
「……ん?」
砂場遊びに用いる道具が置き去りにされている砂場を眺めていると、
誰かから声をかけられた青年
見ればそこには見知った少女の姿
「ん、ミトか
確かに久しぶりだな」
思えば、年が明けてからミトと会ったのはこれが初めて
軽い懐かしさを覚えて笑いかけつつも
「……暖かいスープでも飲むか?
少しは温まると思うぞ?」
寒そうにしているミトに、そう提案する青年
-
>>1793
「ん、どこから声が……?」
これまたよく知った声
「そうか、レイヤちゃんか
相変わらず元気そうだ」
ニコ、と笑いかけながらもいう青年
-
>>1793
「およ、そしてレイヤ。
そなたとは良く会うのぅ……?」
「こんな夜更けに二人してベンチで何しとるのじゃな……?」
>>1794
「おぉぅ、なぜスープを……?
準備よいのぅ、そなたよ。
……ま、くれるというのなら貰うのじゃ!
寒くてかなわないしのぅ……!」
そう言いつつ青年の隣に腰掛ける。
-
>>1796
「んにゃ、俺が飲もうと思ってな」
がさごそと紙袋を探ると、中から未開封らしいカップ容器が
カップ容器は暖かい
「この時期に飲むコーンスープは格別だよな
アイスやかき氷も悪かないが、いかんせん寒い」
などと言いながら、コーンスープが入っているらしいカップ容器をミトに手渡す
-
>>1795
「ん、まあね」
「カイサこそ元気そうで何より、って感じかな」
>>1796
「あれっ……この前のバッカスといいよく会うね」
「ううん、散歩してたらたまたま」
正確にはこの公園で休んでたのだが。
……彼女だけ寒そうな雰囲気をして無い。
-
「おお、コーンスープ!
温かいのぅ……!」
嬉々としてカップを受け取り、ゆっくりと飲み始める。
「……うむ、うまいのじゃ……!
……じゃがのぅ、寒いのならこんなとこに居ないで、
どこか暖かいところに入った方が良いのではないかや?」
-
>>1798
「いやいや、そうでもないぞ?
年末年始は体を壊して病院にいた」
最近めっきり姿をみないと思えば、病院送りになっていたらしい
「……レイヤちゃんは、冬が好きみたいだな」
特に震えたりしないレイヤを見て
-
>>1798
「寒いのにこんなところで……
いや、そういえばそなたは寒さには強いのじゃったのぅ。」
「しかし二人して夜中のこんな公園で……
……なにやら怪しいのぅ……?」
と、余計な勘繰りをして青年と少女を訝しげな視線で交互に見つめる……。
-
>>1799
「寒いからこそ、暖かいものがおいしく感じられるんだよ
……まあ、そんなことを言ってるから高熱で死にそうになったんだけどな」
自虐しつつも
「……そういや、ミトはどうしてこんな時間に出歩いているんだ?」
なんとなく気になってか尋ねてみる
-
>>1800
「え、そうなの……今は大丈夫だよね?私にうつったりしないよね?」
少し心配そうにはしているがその一部は自分に対してであったりする。
>>1801
「でもやっぱり夏は無理なんだよねぇ……」
毎年夏になると急にテンションが下がっているような気もしないことはない。
「だから偶然って………」
余計なことを考えているミトを見て。
-
>>1802
「な、なんじゃ死にそうになったとは……物騒じゃのぅ……?」
「わらわは家に帰る所じゃよ。
いつもの様に酒場におってな、居眠りしてたらこんな時間じゃ。ほっほっほ。」
>>1803
「ほっほっほ、本当に偶然なのかや……?
……別にわらわには隠さんでも良いのじゃぞ……?」
にやにやと楽しげに笑みを浮かべて茶化すのであった。
-
>>1803
「大丈夫じゃなきゃこんなところにいない
もう完治したよ」
といい笑いかけつつも
「で、レイヤちゃんはどうだ?
具合、悪くなったりしていないか?」
と心配してみたりもする
>>1804
「……熱は辛い、食べ物を胃が受け付けないからなぁ
いや本当、油断していた」
「なるほど
……居眠り、居眠りか」
考え込んだかと思うと
「夜型人間なのか? ミトは
それとも、昨日の夜に限って起きてなきゃならない理由でもあったのか?」
また妙な問いかけをする青年
-
>>1805
「そうじゃのぅ、わらわもどちらかと言えば猫舌なのじゃ。
良く冷ましてから食べぬとダメなのじゃよ。」
「うむ、どちらかと言えば夜型じゃのぅ……。
結構夜更かししがちじゃな、わらわは。
まぁ特にこれといって起きてなきゃならない理由はないのじゃがのぅ。」
-
>>1804
「だ、だから散歩してたら偶然だって……何でそんなに……」
本人は本当のことを言っているのだがどうも嘘っぽく聞こえるような口調である……。
>>1805
「な、なら良かったけど……」
「……私は特に悪いところは無いけど?むしろ夏の方が体調を崩しやすい……」
-
//……ごめんなさい、眠気が限界の様です……おちやす……zzZ
-
>>1806
「……なるほど、猫舌、猫舌か……
……ある意味、猫舌のほうが健康でいられるんじゃないか?」
「なるほど、男友達と遊んでいるわけじゃないのか
……なら、何故夜更かししているんだ?」
>>1807
「……夏の方が?
珍しい体質なんだな」
などと言いつつも
「それにしても、もうこんな時間なのか
そういや、今日は随分レイヤちゃんと話したな、なにせ……」
随分と言っても、さっき会ってすこし会話したぐらいである
-
>>1809
「寒さに強い分暑さには人一倍弱いんだよねぇ……」
「属性とかも関係してるかもしれないし……」
「確かにもう夜も明けるような時間だね……」
「ところで、何でこんな時間にこんな所に居るの?」
……お前が言うな。
-
>>1810
「……属性ってあれか! ロリか!」
盛大にボケつつも
「……もうそんな時間なのか
特に意味はない」
なんていいつつも
「……さすがに眠くなってきたから帰るか
また会おうぜ、レイヤちゃん」
手を振ると、どこかへ去って行った
//限界なのでそろそろ失礼
皆さまお疲れ様でした!
-
カランコロン
邪魔するぜー
【大槌背負った青年が入って来た】
さって
【厨房に入って漫画肉を取ってきて適当な席に座り豪快にかぶり付き始めた】
-
おっと失礼間違えた
-
<王都近くの草原>
「アブねェ――――、アブねェ――――。」
【シルクハットに黄土色のコートを羽織ったシルエットが夜の草原に佇む。
すぐ近くには巨大に抉れた地面があった。まるでアリジゴク。
――――すこし前に、まるで大砲の様な轟音が鳴ったのだが、恐らく原因はこれだろう。】
「ったく、どいつも、こいつも……。」
【不機嫌そうに悪態をついているが、その表情は窺えない。
なぜなら、その顔には一枚の面が着いていたからだ。その面は陰陽対極図が描かれたものだ。
顔が描かれていない仮面を着けている事も相まってか、何とも奇妙な出で立ちである。】
-
「大人しくしときゃぁ、まだ方法が選べるってェのに。
そうもジタバタされちゃぁ、こっちもザツな手段に出るしかねェじゃねェかよ……!」
【太極図の仮面の淵を指でツーッとなぞりながら。
仮面ゆえに視線の方向はわからないものの、その巨大な穴に向けられているように見える。】
-
「……ン、あぁ、隠滅もしておかなきゃな。テラ、埋め立てとけ。」
【指をパチン、と鳴らすと周囲の魔力が高まるような感覚。
魔力の流れが少しばかり、狂ったかと思うと穴の中に何かが入り込んだ。
すると、どさり、どさりと大量の土や砂が落ちる音が響き始めた。】
-
【程なくして、その穴は完全に塞がってしまう。
隠滅、と言っただけあって、穴が開く前とほとんど変わらない出来である。】
「流石だな。さァ――――て、さっさと帰るかねぇ〜〜〜〜。」
【と、隠滅が終わると早々に立ち去ったとか、FO】
-
「………はっ…………ふっ!」
王都の外れの平原にて魔術の鍛錬を行っている青年がいる。
ただ、右ストレートを放ち、その拳から魔力弾を出したり回し蹴りとともに衝撃波を放ったりと少し変わった動作から繰り出している。
魔術の腕が良くないのか、詠唱する時間がもったいないのか、繰り出される魔術は初歩中の初歩である魔力弾かそれの派生くらいだ。
格闘の技術はそこそこあるが、魔術の腕はそれに追い付いていない様子。
-
「………。」
たまたま近くを通りがかった、黒ローブの陰気な少女の姿が。
ぼーっと考え事をしながら歩いていたためか、鍛錬中の青年の姿には気づいていない。
「………きゃっ……!?」
そんなところへ、青年の放った衝撃波が。
直撃はしていないため大した怪我などはしていないが、
不意に衝撃波を受けたためびっくりして転んでしまう。
-
「………え、きゃって何だ……?」
無心で拳を振るっていた途中で聞こえてきた悲鳴に驚いて思わずそちらを見る。
ちょうど後ろに敵がいると考えて後ろに回し蹴りを放った際におまけとして撃った衝撃波があたってしまったのだろうか。
「や、やべっ………すまん、大丈夫か?」
人を傷つけてしまったという罪悪感と申し訳無さを感じながら転んでしまったエリスに近づいて声をかけつつ手を差し伸べる。
-
「…………。
……大丈夫……僕が不注意だっただけだし……。」
差し出された手をじっと見つめるも、
その手を取らずに自分で立ち上がり、ぱんぱんと服に付いた埃を払う。
「………こんな所で訓練中……?
……ふーん……ご苦労な事だね……。」
と、どこか可愛げの無い気取った口調で言う娘。
-
「………お、おう。まぁ無事ならいいんだ。」
自分の手を無視して起き上がったことに釈然としない気持ちになりながらも無事そうな様子を見て安心したようにため息をつく。
「……なんだよ、悪かったな。」
相手の言い方が気に入らないのか不機嫌になるのを隠さずにそう言っている。
-
「………。」
さらに感じの悪い事に、じーっと愛想の悪い目つきでガンを飛……見つめてくる。
が、実際は……
(……し、しまった……また第一印象最悪ではないかコレでは……!!)
などと思っていたりはするのだった。
「こ、こほん……。
……ふふん、なんだねその気合の足りない衝撃波は……?
……あの程度、ウサギすらも怯みはしないのではないかね……?」
と、薄ら笑いを浮かべ、さらに憎たらしい事を抜かしてきやがる。
(し、しまった……!
ここは謝罪する所だったのに……!
……つい無駄に強がってしまった……!!)
と、内心思っていても青年には知る由も無い。
-
「………魔力込める量が足らねぇんだよ。」
エリスの言い方に苛立ちながらも、事実であることには変わりないので苦虫を噛み潰した幼な顔をしながら言う。
「実戦にゃあ悠長に待ってくれる相手はいないからな、牽制しつつ手足に貯めた魔力をブチかますんだが………殴る際にも魔力って使うもんなんだな。」
そう言いつついらだちを紛らわすためにエリスに攻撃が飛んでこないように鍛錬を再開する。
旗から見てて思うかもしれないが、手足に魔力をまとわせての格闘術を主にしているのだろうが、その配分を主に手に集中させている。
実際、衝撃波の威力も低いのだろう。
-
「……ふふん……魔力量が絶対的に足りない様だね……。」
傍から眺めてつぶやく娘は、見た目は魔法使いか何か。
そんな娘と比べれば、魔力が少ないのも仕方無いことである。
「……ひ、一人で鍛錬に励むのも、張り合いが無いだろう……?
……ちょうど退屈を持て余して居た所だ、
僕が相手をしてやらない事も無いが……ど、どうかね……?」
何かと青年を不愉快な思いにさせてしまったし、
鍛錬に付き合ってあげれば償いになるだろうか……
と、提案してみるが、相変わらず言い方が偉そうな感じである。
-
「…………仕方ねぇよ。だからこうやって格闘術と組み合わせてるんだし。」
魔力を自由に使えるようになったのがまだ一年立っていない。
魔力が少ないのも仕方ないだろう。
「………んで、鍛錬つっても何すんだ?
戦闘スタイルが似通ってるようなやつじゃないと参考にできるわけでもねぇし。」
見た目からそう判断してのか、ため息を吐きつつそういう。
消極的な様子だ。
決して、偉そうな態度が知り合いに似てるとかそういうわけではない。
向こうはもっと強気だったが。
-
「……ふふ、心配するな……。
……確かに、僕自身は打たれ強い訳でも無いし、格闘の心得があるわけでもないがね?」
と、手にした古びた魔導書を開く。
魔導書から不吉な魔力が渦巻き、娘の隣から、空間を切り裂いて何かが顔を覗かせる。
「……彼なら相手に不足は無いと思うが……如何かね……?
遠慮せずに打ち込めば良い……何しろ、死者が相手だからね……。」
空間の割れ目から這い出てきたのは、死して尚屈強な肉体を誇る死者の闘士。
-
「………死者、ネクロマンサー!?」
向こうが死者を呼んできたのを見ると、邪教徒とか闇の魔術師とかそういうのを連想してしまい、思わず少女から距離を取る。
ちょうど見た目もそれっぽいし。
……明らかな偏見だ。
「あ、いや、すまん。悪いやつじゃないのはわかってるけどさ……。
んで、こいつとやりあうってことだな。」
そのことに謝罪しつつも、少女の提案を明暗だとばかりに受け入れる。
手足に魔力をまとわせて、具合を見つつ様子を見る。
-
「ふふ……その通り、僕はネクロマンサー……。
…・…いや、良いのだ……元々死霊術師は忌み嫌われる存在なのは承知している……。」
距離を取られても、気を悪くした様子は無い。
「それに、僕は悪い奴じゃないとどうして言い切れる……?
……さぁ、行きたまえ我が下僕よ……!」
娘が青年に向けて手を差し伸べると、
死せる闘士はのしのしと緩慢な動きで青年へと歩み寄る。
その巨躯はパワーこそ充分以上にありそうだが、
死霊術で操っているためか、動作自体は思いのほか鈍い様である。
-
「いや、俺に絡んでくる悪いやつなんて"それ"くらいなもんだし。
お前はそれと違うってのはわかるから悪いやつじゃない、以上!」
要は経験と勘、ということなのだろう。
そんなことを言いつつ、闘士のことを見据える。
思ったより動きが遅いことから、まず牽制の一撃を加えるべきなのだろうか。
鍛錬である以上、全てを出し切るというよりは、どの動きが疎いのか確認するようなことを意識した方がいいのだろう。
「………はぁぁ………でりゃぁ!」
故に、まず遠距離攻撃を仕掛ける。
魔力を右腕に集中し、構え、右正拳突きを放つ。
それがトリガーなのか、放たれると同時につきだした右手から魔力弾が放たれる。
まぁ、威力としてあそこ底に当たるものだろう。かなり集中した様子でこれなのだが、それは気にしてはいけない。
-
「……それ……?
……指示代名詞で言われても何の事か分からないね……。」
と、怪訝そうな面をしながらも、闘士を操る。
放たれた魔導弾に対し、守りの構え……
魔弾は闘士に直撃するも、それほどのダメージにはなっていない様子。
死者故に苦痛も無いのだろう、怯んだ様子も見せない。
「ふふん……やはり魔法はいまいち、と言った所だね……。
……君は闘技主体で戦った方がいいのではないかね……?」
そう意見を言いながら、少し離れた所に調度いい岩を見つけて腰掛ける娘。
と、同時に、闘士が腕を振り上げつつも距離を詰め、その重い拳を青年目掛けて叩き込んでくる。
-
「………すまん、個人的事情により名前は言えないんだ。」
たしか名前を聞いた辞典で巻き込まれるとか言われた覚えがある以上、下手に言う訳にもいかなかった。
「空飛んでる敵に素手でどう対抗しとってんだよ………っと!」
遠距離攻撃が聞いた様子がないのは少し堪えたが、それよりも目の前の敵をどうにかすべきなのだろう。
体格差や相手が視認であることを考えると受け流すのは懸命ではないと判断して、
身を低くしつつサイドステップをして回りこむように動き、躱す。
「……でぇや!」
そして少し体を捻った後、相手の胴体にむけてのボディーブローを放つ。
大きく体重を載せているわけではなく、むしろ反撃に備えているようにも見える。
そして当たるか当たらないかを考える前に魔力弾が続いて発射される!
-
「ふむ……飛んでいる敵か、それは確かに。
……ならば、格闘術の訓練よりも、魔力を底上げする訓練を重点的にした方が良さそうだが……。」
と、傍から見ている娘は涼しげな顔であれこれと口出しする。
そんな中、死人の闘士は一撃、もう一撃と拳を繰り出すが、
軽い身のこなしの青年を捉えられず空を切るばかり。
『………ッ!!』
続けて闘士に襲い掛かる体術と魔弾のコンビネーション。
一撃一撃は大したダメージにはなっていない様だが、
連続で叩き込まれてバランスを崩し、体をよろめかせる。
-
「やり方わかんねぇんだよ!!」
その同しようもない怒りをぶつけるかのようによろけた敵めがけていきを磯のままに上段蹴りを放つ。
狙いは先ほどボディブローを叩き込んだのと同じ場所、効いていないように見えても同じ所に叩きこみ続ければ倒せるはずだ。
先程と同じく追撃の魔力弾が射出される……が、先程より威力が低い!
-
「……ふむ、なるほど……。
ならばまだ救いようがある、正しい教育さえ受ければ伸びる可能性はある、という事……。
……それはそうと、詰めが甘いよ、君……それでは奴は倒しきれないのだよ……!」
あと一息、という所まで闘士を追い詰めたが……
最後の一撃の威力が足りないのが災いした様で、体勢を立て直されてしまった。
返す刀で、青年に目掛けて腕をなぎ払う様に……強烈なラリアットをぶちかましてきた!
-
「あ、やべ………」
ケリという選択肢は正しくなかった、なぜなら相手の反撃の際に片足だと避けれないから!
そのことを後悔するよりも先に腕が迫ってきて、なんとか顔をそらそうとするが、せいぜいのけ族くらいしかできずに直撃。
額あたりに腕がぶつかるとともに凄まじい速度で仰向けに倒れる。
間違いなく完全に入っただろう。
「……………」
額から地をがなしつつ、目を開けたまま微動だにしない。
傍から見ても星が飛んでるのは一目瞭然だ。
-
倒れた青年に、追撃の拳……!!
「そこまでだ、黄泉へ帰れ下僕……。」
と、そこで娘からストップが入る。
闘士の足元に空間の裂け目が再び現れ、黄泉の国へと送り返されて行った。
「……君、大丈夫かね……?」
(……大きな怪我とかしてないよね……?)
青年の元へ歩みよってしゃがみ込むと、青年の頬をぺしぺし叩いて起こそうと。
-
「…………前が見えねぇ。」
未だに目の前がチカチカしているが、意識ははっきりとしている。
そしてわかっている、止が入ってなかったら今頃更に追撃が入っていたことに。
「………糞、また負けんのかよ……。」
そう、意気消沈した様子で溜め息を吐く。
なんというか、ふてくされたようにも見える。
-
「あ、起きた……。」
目を覚ました青年に、ほっと胸をなでおろす。
「うむ、君の負けだ!」
と、精神的追撃を容赦なく浴びせてきた……!
「だが、これはもともと鍛錬なのだ、気にする事はないのだ。
……しかし君、あそこで魔法にこだわらなければもう少し戦えた様に思えるがね?」
-
「………………。」
心無い言葉に相当イラッとしたってわかる顔になった。
が、曲がりなりにも対戦相手なので呪詛めいた言葉は寸前で飲み込む。
「………その戦法が全く通じない相手がいるから、別の戦い方にしてんだよ。
今までのままじゃ勝ちようがないんだ。」
-
「ふむ、その相手というのは先ほど言っていた、『それ』とやらかね……?
……しかし、君は……魔法の扱いはまるで未熟、と言わざるを得ない。」
と、勝ったのを良い事に言いたい放題である。
「……しかも魔力の鍛錬の仕方を知らない、と言う。
……君は、魔法を教わる師などはいないのかね……?」
-
「いない。これから教えを請おうとしてる人はエンチャントにしか魔術を使わん人だし、
昔に格闘術を使った……師匠は、俺の戦い方を鮮麗にしたような感じだけど、縁を切ったからな。」
地面に倒れ込みながら、そんなことを言っている。
その思い出を語るたびに、どんどんと表情が暗くなっていく。
「つーより村ごと縁切ったようなものだから今更あそこに帰るとかありえねぇ。
だから、俺の知り合いに魔術を教えられそうな奴はいねぇ。」
-
「……ふむ……
……中々複雑な事情を持っている様だ……。」
暗い青年の顔を眺めて、何があったのやら……と思いを巡らせる。
「師もいない、となると……
よほど魔法に才能のある者でないと、上達は難しい……それが魔法と言う物……。」
「……ふむ………。
……そ、そうだねぇ……?
僕で良ければ……魔法の基礎くらいまでなら、そのー、仕込んであげなくもないのだがね……?」
と、何を思ったか気まぐれに提案してみるが……。
-
「…………基礎、基礎か……。
いや、基礎でもいい、教えてくれないか?」
少し悩んだようにも見えるが、背に腹は変えられないと頼んでくる。
「情けねぇと思うが俺にゃあ碌な繋がりも何もあったもんじゃねぇんだよ。
だから、頼む!」
-
「えっ、ほんと……?」
と、拍子抜けした様子の娘。
……どうせ断られる……と思っていた様子。
「ふ、ふむ……
ならば仕方ないね、まぁどこまで上達するか楽しみ、と言った所だね。」
と、頼まれた途端なんとなく偉そうな態度の娘なのであった。
「……こほん……。
……では……君の名を聞こう。
僕は、エリス=テマ=トーデス……死霊術師だが、ある程度なら他の魔法の知識はある。
まぁ、よろしくとでも言っておこうかね。」
軽く咳払いをすると、気取った口調で自己紹介。
-
「なんで、提案しといて驚いてんだよ。」
もしかして提案蹴ったほうが良かったのか?と内心思い
そして教えを請うた千葉とはいえ向こうの偉そうな態度に少しだけイラッとなる。
「ビート・バーランドだ。
格闘家だが、わけあって魔術に手を出してる。
これから、よろしく頼む。」
-
「い、いや……
……別に驚いてなどいない……失敬な……。」
再び咳払いをして誤魔化す。
「……ビート……。
……えーと、その、よろしく……。」
ごにょごにょと小さい声で言いながらおずおずと手を伸ばしてきた。
握手のつもりの様である。
-
「ん?おう、よろしく。」
手を伸ばしてきたのをそういうことだと判断して握手する。
……珍しく女の子と友好的なコンタクトをとれたと、内心喜んでいる。
-
「………。」
軽く握手を交わすと、すぐにさっと手を引っ込める。
なんというか、言動といい行動といい……人付き合いが下手糞なのだろう、この娘は。
「こほん……。
……では、後日また会おう……。
……場所は何処でも良いが……ここでいいかね……?
君に魔法の初歩と言う奴を、叩き込んでやろう……。」
-
「……………。」
さっと引かれたのを単に嫌われてるからとか汗で汚れてるからとかマイナス的に解釈して勝手に落ち込んでいる。
「そうだな、基本的に此処になるかね。
それじゃあ、これからよろしくな。」
-
「………!
……………。」
なんとなく落ち込んだ様子の青年……。
手を引っ込める速さが不自然だったか?
などとこちらもあれこれ考えて悶々と……。
「ふむ、ではこの場所で……。」
魔導書を鞄にしまい込む。
「……では御機嫌ようビート……。」
軽く頭を下げて別れを告げると、
王都の方へと去っていった。
家路に付く間、どういった練習メニューにしたものか……と、思いを巡らせていたそうな。
-
「んじゃ、またなー」
そう言いつつ自らも帰路につくのであった。
帰った後、嬉しさで少しだけ寝付けないのであった。
【FO】
-
王都近くの平原、適当な石の上に腰掛ける黒ローブの娘の姿が。
今日は、この前知り合った青年と魔法の練習に付き合う予定である。
何をどう教えようか……と考えながら、青年が来るのを待つ。
-
「………っと、んーと、この時間にゃもういるのかね?
まぁいなきゃ体動かしときゃいいか、別に。」
しばらくすると結構なペースで青年が走ってくる。
魔術を教えてもらう、という名目なのに特に準備してきたようには見えない。
-
「……む……来たかね……。
……御機嫌ようビート……。」
相変わらず、気取った口調のそっけない挨拶で迎える。
「何か魔導書でも持ってきたりするかとも思ったけど……
……その様子だと、何も準備してきていない様だね……?」
-
「ああ、ご教授頼むぜ。」
軽く手を上げて答える。
このくらいならあまり気にした様子はないようだ。
「いや、実践でアレを持つわけにも行かねぇし、図書館でちょっと目を通してみても分けわんねぇし………。
アレなきゃダメなんか?」
-
「……ふむ……。
まぁしかし安心したまえ、問題は無い。」
「魔法の修練には、大きく分けて二つ……。
書物や瞑想を通じて知識を深め、魔道の深淵に近づくもの……。
しかし、これは君には不向きな様だ。
……と、するともう一つ……。
実践による力ずくでの修得だ……!」
案外魔法というのもいい加減なものなのかもしれない。
「……とは言え、闇雲に修練していたのでは、今までとは変わらないね……。
そうだね、まずは魔法……魔力と言うものについての基本知識くらいは覚えて貰おうか……。」
「……まずは、君の魔法を改めて見せて貰おう。
この前撃った魔弾、あれをひとつ撃ってみてくれたまえ。」
-
「あー、うん。なんか魔法でもそういうのは重要なんだな。」
相槌を打ちつつまじめに話を聞く。
似たようなことは何回か言われた覚えがあるが、こうやって改まった場で言われるとすんなりと頭のなかに入っていく。
「んーと、あれを撃てばいいんだろ?
よし…………えやっ!」
右腕を軽く回した後、魔力を右腕に集中させて振りかぶり、右ストレートを放って魔法弾を放つ。
………魔法弾一発打つのにしては結構時間がかかっている。威力も時間の割には弱いといったところか
-
「………。」
石の上に腰掛けたまま、青年の所作や魔弾をじっくり観察。
「……ご苦労……ふむ、なるほど。
……やはり魔力が絶対的に足りていない……。」
と、感想をつぶやく……。
青年の魔弾は単純に魔力の塊を放つ、単純なモノの様子。
「……だが、悲観する事は無い……。
そもそも、大抵の人間というのはそれほど大きな魔力を秘めているモノではない。
その辺りにいる魔法使いだって、魔力自体はそれほどでない者も実は少なくはないのだ。
……要は、その使い方なのだよ……!」
青年をびしっと指差して言う。
「そこで君にまず問おう。
……そもそも、魔力とは何だね……?」
と、なんだかおおざっぱな事を問いかけてきた。
-
「んー、使い方かー。
…………使い方?」
言ってることがわかっていないようで、しきりに首を傾げている。
「魔力?魔法使うために使うもんだろ?」
問が曖昧なら返しも曖昧、だが知識がろくにないのがはっきりと分かるような残念な回答が返ってくる。
-
「……ふふん……
まぁ間違っては無いがね、魔法学の講義では落第だよ、君……。」
と、憎たらしく鼻で笑ってきやがるのであった。
「こほん……教えてあげよう……
……魔力とは………。」
娘による魔力とは何か、の講義が始まる。
娘曰く……
魔力とは、自然界に広く満ちている生命の根幹を成す力とも言える奇跡の力であり、
それは個々の生物から、草花、水、空気に至るまで、ありとあらゆる物に宿っているのだそうだ。
※尚、これは一般的に広く教えられている概念であり、もちろん例外や異説も多くある。
「人間の様な一個の生命には、通常それほど大きな魔力は宿っているものではない。
つまり、君の様な本職の魔法使いでも無い者が、
足りない魔力を絞って魔弾を撃ってみても、あの程度の威力となってしまうのだよ。
……では、世の魔法使い達は、どうやって大きな魔力を得ているのか……と、いう話に入ろう……。」
-
「………知る必要なかったんだから仕方ねぇだろ。」
鼻で笑われたのが気に食わない用で露骨に嫌な顔を擦るのであった。
「…………つまりなんかすごいエネルギーって捉えればいいのか?」
魔力の説明を聞いてこれである。
本人なりに解釈してこれなんだろうが、それにしてもひどすぎる。
「んーと、つまり魔法使いとかと魔力の量には違いがないってことだな。
つーことは俺にできるかはともかく、でかい魔法打てる可能性はあると、納得した。」
-
「う、うん……まぁ、そういう認識でいいよ……。」
青年は本職の魔法使いという訳でもないし、
なんとなくイメージを持って貰えれば良しとする娘であった。
「その通り……。
つまり、魔法使いと言うのは、限られた魔力の使い方に長けた連中、と言っても良い。
もちろん、高位の魔法使いにもなってくると、自分自身が化け物の様な魔力を持っている事もあるがね。」
「さて、大きな魔力を得る方法についてだが……
一つは、修練によって自身の生み出す魔力の上限を挙げること。
だがこれは長期間の修練が必要だし、ある程度の生まれ持った才能も必要だ。
君の様な魔法を本職としない人にはあまり向いていないだろうね。」
「ではどうするか……。
それは、魔力を他の存在から『借りる』方法がある。
君には、この手法を会得して貰おうと思っている……。」
-
「借りるねぇ……。
空気とか植物から借りるって言われてもなぁ……。
ぶん取るとかそっちのほうが正しいんじゃねぇの?」
実感がわかないのか、そんなことを行っているが、実際興味はすごくある。
もしかしたらこれは有用になりえるのかもしれないと考えているのだ。
なにせ、自らの内側の存在に働きかけることもできるのかもしれないし。
「わかった。地道に魔法を使い続けても伸びるのは少しだろうし、借りるって方法、教えてくれないか?」
-
「何から借りるかについてだが……
ふむ、察しがいいではないか。
君の言うとおり、自然にあまねく精霊の魔力を借りるのが、
初心者にも勧められる一般的な方法なのだよ。
他にも、強大な魔力を秘めた神格や悪魔との契約や、
特別な魔導具を媒体に魔力を得る方法などもあるがね……。」
自然界には魔力が満ち溢れており、それから借りることで大きな力を得る。
最初に魔力とは何かを論じたのは、これが言いたかったからの様である。
「魔力を奪い取るというのはあまり勧められない……。
強い魔力を得ることはできるが、生態系は崩壊し、元に戻るまでは何年もかかる……。
……術者にもそれ相応の負担がかかることにもなる、所謂禁術と呼ばれるものだ……。」
「さて、前置きが長くなったが……。
いよいよ、精霊と語らい魔力を得る方法についてを教えるとしようか。」
長々と話したが、ようやく本題に入る様だ。
-
「………精霊?おう。勘が鋭いのよ俺。
……つまり強力な存在の魔力を借りれればより強い魔法を使えると。」
そういうつもりで行ったわけではなかったので、察しがいいと言われて少し焦るが、話を進めるのにちょうどいいのであえて否定せず。
「へー、誰もが思いつくことなんだな、やっぱり。
やらないのはリスクがあるからと。」
「おう、よろしく。
…………できれば俺のファイトスタイルにあったので頼むよ。」
今更、借りるという手順を考えると殴りあいながら使えるのか怪しく思えてきた。
-
「そうだね……。
君の本職は格闘家、戦いながら補助的に魔法を繰り出す戦い方の様だ。
……魔力を他の存在から借りる際、用いられる手法として魔法の詠唱があるが……
それは体術を繰り出しながら魔法を使う君には、あまり向いていないだろうね……。」
魔法の詠唱は、魔力を借りるだけでなく、
限られた魔力に命令式を与えることで、より効率よく力を発揮させる効果もある。
……が、集中力を要する行為でもあり、体術との組み合わせにはそれほど向いていないだろう。
「では、どうするか……。
……君自身が自然界あまねく精霊に愛され、
語らえる体質になって貰うのが一番手っ取り早いのだが……」
無意識のうちに周囲から魔力を借り、
複雑な詠唱を必要とせず強力な魔法を使う人間は実は結構いるものである。
だが、急にそんな都合の良い体質になる方法などあるのだろうか……。
「最初にも言った様が……
君は書を読んで知識を深めたりするよりは実践の方が向いている様だ……。
そこで突然だが、君は一週間から一ヶ月程度、まとまった時間が取れるかね?」
-
「ああ、詠唱は駄目だ。あれは根本的に近接戦闘に向いてねぇ。
詠唱してる間廃棄吸えないだろうし、当たり前だけど息切れする。」
集中以前の問題であった。
「あーすまん。話の腰を折るようで悪いが、要は俺にそんな体質になってもらうってことか?
一週間から一ヶ月くらいなら余裕で開けられるけど、そういうことだろ?」
-
「うむ、そういうことだ。
……魔力の密度が濃い地に篭ってそこで修行して貰おうかと……。
少々荒療治だが、一番てっとり早いと思う。
……どうだろうか、やるかね……?」
-
「んーと、シンプルだけどそのぶん効果も見込めるか。
よし、喜んでさせてもらうぜ!」
少し考える素振りを見せるが、問題無とと判断したのかサムズ・アップして快諾するのであった。
-
「……分かった……。
……はっ……しかし、これだと僕が教えることは何も無いな……。」
どういう手法がいいものか考えてきた案なのだが、
そういえばこれでは娘自身が何も教えることは無い……と、いまさらながら気づくのであった。
「……こほん……まぁ仕方ない……。
……帰ってきたらまた細かい指導をすればいいか……。
さて、それでは……
また後日、一ヶ月ほど暮らせるだけの野宿の準備をして来たまえ。……いいね?」
-
「ん、これがいい方法だから提案してくれたんだろ?
それを教えてくれただけでもすごい嬉しいよ。ありがとう。」
「了解、食料と寝袋持ってくるわ。
そんだけあれば生きていけるしな。」
-
「………こほん……。
何を言っているのだね、食料は現地調達だよ?」
「魔力が濃い地で暮らし、そこのものを飲み食いしていれば、
嫌でも魔力体質が身に付くというものだろう。
……ちなみに、そういう場所は大抵強力な魔物が棲みついているものだ……。
まぁ、死なない程度に頑張ってくれたまえ……!」
かなり大雑把でスパルタな修行になりそうである。
-
「………死ねって言ってるんだな、その言い草だと。」
大雑把というか、サバイバル技能持ってない人間は死ねと言わんばかりの内容に思わずそういうのであった。
まぁ、現地調達でも焼けばどうにかなるだろう。そう思うしかない。
………彼女には何があっても言えないことだが、一人で秘境での生活ともなれば確実に"アレ"と遭遇する事になるだろう。
大物でない限りはどうにかなるにしてもろくな生活にならないのは確実であった。
-
「……そうなった場合……
……君の亡骸は、僕の死霊術で有効に活用させて貰おう……。」
と、冗談なのか本気なのか分からない事を言う。
「まぁ、一人で自然の奥地へ送り込まれるのは色々と不安だろうし、連絡手段くらいは用意しておくよ。
……それと、修行の成果の確認も兼ねて、たまには様子も見に行こう……。」
「さて、今日はこんなところか……。
……では、後日準備を整えてきたまえ。
その地へと案内するとしよう。」
-
「………呪詛吐きまくって呪いながら死んでるだろうから見つけるのに困らなさそうだな。」
質悪すぎる言葉にこちらも半分冗談、半分本気の言葉を返す。
「一人でも大丈夫だが、生きてるか死んでるかもわからんだろうしそうしてくれると助かる。」
さすがに人知れず死んで見つかりさえしないのは困る。
本当に呪詛開きまくって死にたいわけじゃないし。
「ん、お疲れ様。んじゃ、また後日。
ちゃんと、準備してくることにするわ。」
そう言って軽く手を降った後、家に帰っていくのであった。
-
「……ふふん……。
……君の亡骸は良い下僕になりそうだが……
……極力そうならないよう、努力してくれたまえ……。」
「では御機嫌よう、ビート……。
……また今度……。」
軽く手を振り、青年を見送る。
「………。
……やっぱり無茶かなぁ……。
……他の修練の方が良かったかなぁ……。」
とかなんとかぶつぶつ言いながら、自分も王都へと帰っていったとか。
-
【王都近くの森の奥のとある小屋】
いやー暇ですねぇ、誰か来ないかなー?
ライア「こんな森の奥よっぽど迷って無いと来ないだろ」
【森の奥の小屋の賑やかな日常】
-
【王都近くの森の奥のとある小屋】
いやー暇ですねぇ、誰か来ないかなー?
ライア「こんな森の奥よっぽど迷って無いと来ないだろ」
【森の奥の小屋の賑やかな日常】
-
【FO】
-
<王都近くの草原>
「……オ――――ィ、オイオイオイ……。」
【シルクハットに黄土色のコートを羽織った人型が声を上げる。
手を顔の辺りに当てて、露骨なまでに嫌そうなため息を吐きながら。
しかし、その顔には陰陽太極図の仮面が付けられており、表情は窺えない。
だが、その言葉や彼の動作から、表情は容易に知ることが出来る。】
「トンでもネ――――ェ、ハズレくじだ。」
【文句を付きながら、何かをやっているらしい。
その証拠に、彼の周りでは先ほどから何かが忙しなく飛び交っている。】
-
FO
-
――王都闘技場
「ここに足を踏み入れるのも久方ぶりだな」
革鎧姿の、金髪の男が訪れたのは、闘技場だ。
ここはなかなか面白いシステムがあるところで、闘幻鏡を利用すれば心身のリスク無く闘うことが出来る。
実戦形式での稽古が出来るし、なにより全力を出して周囲の被害を心配する必要もない。
「さて、誰か来るかな」
利用料のコインを手の中で弄りながら、対戦相手を待つ。
-
「……いやはや、今宵も良い月でござった。」
【ザッ、ザッと闘技場へと姿を現したのは黒髪に和服姿の男性である。
しかし、下は通常のズボンであるとともに和服自体も腰までの長さまでしかなく
和服について多少の知識があれば、すぐにおかしいと気づける奇妙なものである。】
-
>>1884
「おや、いつしかの侍か」
「これも縁だ。一手ご教授願うとしよう」
刹忠の姿を認めると、彼は楽しげに笑みを浮かべ、コインを投入。
意識が闘幻鏡にへと移ると、彼は腰の拳銃を引き抜いた。
「さて、どうしたものか」
彼我の距離は30m前後といったところだろう。
周囲に障害物は何も無い。
-
「くく、これはまた。
……教授できるほどの腕ではござらんが……良かろう、でござるよ。」
【同じくコインを投げ込んで意識を闘幻鏡へと移した。
そうして、拳銃を引き抜くワーガを見ると、困ったように頬をかく。
こちらも得物を引き抜いているが、それは剣である。
彼の腰にはもう一本、細めの得物が差してあるがそれも同じく刀剣の類だ。
拳銃が相手となれば、彼の方がそれなりに不利であろう。】
「先手必勝……なんて言葉があったでござるな。」
【そういうと剣を握りこみ、構えを作る。すると、剣には魔力が滾り始めた。
それと共に周囲の空気に若干の冷気が流れる。】
「――――氷波ッ!」
【すると、その剣を下から上へと地面を掬い上げるように振るう。
剣に滾った魔力が一瞬のうちに剣先へと収束し、氷の魔弾となりワーガへと向かう。
…………属性は氷、性質は斬撃だ。】
-
>>1896
「クク。やはりそうきたか――!」
彼は足元に魔力を集中させると、土魔術による泥の壁を出現させた。
それで身を防ぐと同時、足元に出現させることにより高所を作り出す。
「さて、どう捌くかな――?」
その状態で、拳銃を刹忠に向けて発砲。
狙いは頭部。一撃必殺の狙いだ。
-
「……ッ……!」
【予測をしていたように氷の壁を頭部を守るように展開。
それと、同時にその土の壁へと向けて駆け出す。
つまりは、その発砲の射線上から逃げるつもりのようだ。
その手に剣は握られたままであり、また魔力も流れるままである。】
-
>>1888
「射線が丸解かりなのがつらい武器であるが――」
足元の壁を蹴って、内側にへと戻る。駆け出した刹忠を正面から迎える形だ。
着地の際、展開した壁を消して発砲。
今度の狙いは腰から足――それと同時、魔力を集中左手に集中しはじめた。
-
「まして、魔法よりも弱いでござるからなぁ。」
【正面にワーガが来ると、自分の剣を地面へと突き刺した。
それと同時に氷の魔力が迸り、銃弾から自身の身を守る。
当たれば魔法よりも深手を負う可能性があるのが銃である。
被弾は避けようとある意味で、必死である。】
「こちらが、やはり拙者の本領でござろう。」
【いつの間にかその手には突き刺した剣の変わりに細くしなやかな刀が握られていた。】
-
>>1890
「いや全く――!」
左手にためていた魔力を放出。
圧縮した水を放つ、水属性による魔術だ。
銃弾と違って多数展開が同時に出来るのが利点で――今回はその数三本。
狙いはそれぞれ頭と右手、左足だ。
-
「ち……ッ――――!?」
【流石に間に合わなかったのか水の魔力を被弾してしまう。
だが、利き腕である右腕はどうにか庇ったようだが、その所為で体で受けてしまう。
刀は放さずにそのまま水の勢いによって、吹き飛ばされた。】
「げほ……いやぁ、防戦一方でござるなァ……。」
【水とはいえ、圧縮されていればそれはかなりの力を生む。
それをボディに受けたとあれば、それなりのダメージだ。口から滲む血を拭いつつ。】
「ならば――――牙氷!」
【右手をくいっと挙げるように動かす。
すると、地面に突き刺していた剣が一際、強い輝きを放つ。
すると、地面からワーガへと向けて太いまるで動物の牙の様な氷の塊が飛び出した。】
-
>>1892
「我輩のオベリスクと同種か――!」
先ほどと同じく、泥の壁によって防ごうとしたが一手遅い。
腹部に氷が食い込む寸前で、どうにか防御スペルを唱える――。
「”偉大なる大河”」
防性を持つ水のドームで己を包み、氷の牙の食い込みを多少浅くする。
それでも出血を伴うダメージとなったが、何もしないより遥かにマシだ。
「――ちっ」
ドームが自分を包んだ状態で、一度下がって距離をとる。
銃を手にしているこちらが、遠隔攻撃に関しては有利なのだ。
-
「あまり、距離はとられたくないでござるな……!」
【と、言うとダメージの残る体にムチを打ち、駆け出し始める。
しかし、目標はワーガではない。
体勢を立て直しつつある敵に突っ込むなど、死ににいくようなものである。
向かう目標は地面に突き立てたままの自分の剣である。】
-
「――させん!」
駆け出す右足に向けて発砲。
これで三発の弾丸を使ったことになる。残り三発だ。
また、咄嗟の攻勢魔術のために先ほどと同じく左手に魔力を集中。
攻撃にも防御にも回せるようにしておく。
-
「…………剣とは違うとはいえ、同じことは出来るでござる。」
【魔力を刀に滾らせるとその場でくるりと回転させる。
剣ほどではないが、薄い氷のシールドがその場に発生して、銃弾から身を守る。
だが、足が止まってしまったため、剣までにはたどり着けない。】
「ならば仕方があるまい……牙氷……!」
【再び、地面から先ほどよりはサイズが小さい氷の牙を地面から突き出させる。
それと同時に、駆け出した。片手には刀、地面には剣である。
そして、そちらには正に氷の牙が迫ろうとしている。】
-
>>1896
「同じ手はもらわん!」
泥壁を足元に出現させ再び足場とし、氷の牙を飛び越える形でよける。
地面に突き立った剣を取らせるのは良くないと判断したのか、飛び越えて着地した際に発砲。
狙いはやはり右足で、これで残り2発だ。そろそろ残弾が心配になってきた。
-
「くく、とことん阻むつもりでござるな。」
【横に向けて飛び込むようにして、体を運び銃弾を避ける。
幸いにもワーガとは距離があるため、なんとか反応が出来ているようだ。
それでも、その反応もかなり怪しく和服の裾を掠めている。】
「こちらも遠距離で行くしかないでござるか。
……拙者、実は扱いのほうはこちらの方が得意でござるよ。」
【そういうと刀を片手で持ち、斜め下に下げた。
奇妙な形であるが、これは刹忠独特の構えであったりする。】
「我が秘技の片鱗を見せて進ぜよう――――氷酔。」
【と、刹忠が口にしたその瞬間、そちらに薄い魔力の斬撃がワーガへと向かう。
奇妙な構えがあっただけで、刀を振った様子は無い。】
-
>>1898
「ム――」
防ぐか押すか――。
どのみち腹部の出血であまり長くはもたない。
大きく一度に決めたほうがいいと判断。
「一撃持てばいい――!」
自分を包む水のドームの防性を強め、わざと放たれる魔力に当たりに行くように接近。
攻撃を身に浴びながら、攻性スペルを唱える。
「”石英の投槍”」
先ほど放った水の矢と同様だが、使われる魔力は土属性のもの。
そしてその魔力から発現するものは、鋭くとがった結晶の石英だ――。
「行け!」
三本の凶悪な槍と化した石英が、轟音を立てて刹忠に殺到する。
-
「……ッ、何と……?!」
【こちらの放った斬撃は薄いソレである。
仮に大きなものとかそういう力押しには滅法弱いのである。
刹忠は防御を取ると思っていたようだが、予想は外れたようだ。
そのため、こちらも反応が遅れてしまう。】
「…………ぐぅっ?!」
【その石英の槍に飲み込まれてしまい、意識を手放してしまう。】
-
>>1900
「――クク、取ったか」
意識が現実にへと戻る。
勿論、戻れば怪我一つ無い身体だ。
「いや、いい試合であった」
「次は実際に剣を交えるのも悪くないかも知れんな」
戦闘中、最後まで抜かれることはなかった剣の柄頭をとんとんと叩く。
それから、男はひらひらと手を振って立ち去ったという。
//ではこれにてー。絡みありでした。
-
「いやぁ、やられてしまったでござる。」
【意識を取り戻して、やられてしまったことを恥ずかしそうに。
とりあえず、身辺を確認している。】
「やはり、遠距離は辛いでござるなぁ……特に対人は。」
【銃で足止めされてしまうことが多く、これが敗因であろう。】
「剣ならば、それを交えたかったでござるなぁ、拙者も。」
【腰に差したままの剣を恨めしそうに見つつ、ワーガを見送ったとか、FO】
-
もうあたりも暗くなってきたというのに、王都は今だ騒がしかった。
というのも、この世界はもうすぐバレンタイン。
だから、広場はチョコレート売りやその客でにぎわっていたのだ。
時折、賑やかな空気に便乗して悪さを企む輩が見受けられることも。
「……バレンタイン、大好きな人にチョコをプレゼントする日
……大好きな、人か」
水色の髪をさらりと流した白い肌の女の子は、
思い人にチョコをプレゼントしようと考える者の一人
(……好き、好きってことには変わりない、けど)
だが、その表情はどことなく浮かないものだ。
チョコレートを売ろうと営業する者達の声が聞こえていないぐらいには、
心ここに在らずのようだ
-
「おう、イシュカじゃねーか。」
そう、イシュカの後ろから声をかける青年が一人。
仕事帰りだろうか、軽鎧と左肩を覆うようにマントをかけている姿、デズモンドだ。
「夜遅いけど、一人で大丈夫か?なんなら一緒に帰ろうか?」
そして掛ける言葉はどうも顔語な親のようにも思える。
と言うより扱いが子供みたいだ。
-
>>1904
「……で、デズモンドさん」
どことなく慌てた様子の少女。
なにせ、少女は少し前まで恩人の彼のことを考えていた。
少女はそれなりに見聞を深めて、それなりに知識を得ていた
故に、身なりにもそれなりに気をつかっている。
「……も、もう大丈夫ですから!
知らない人にモノ釣られたりはしませんから、子ども扱いしないでください!」
思うところがあったのか、ムキになる少女
……こんな言動を繰り返しているようでは、子ども扱いされても仕方ない
-
>>1905
「ん、なんかあったのか?
なんか慌ててるみたいだけど。」
慌てている少女の様子を不審に思っている。
そして、彼女のちゃんとした身なりを見て眼福に勤しんでいたりもする。男は単純だ。
「そ、そんなことがあったのか!?
いや、無事ならいいんだけど、そうなる前に俺に相談とかしてくれたら……!」
少女の言葉を真に受けて過剰なほどに反応してる。
というより子供扱いなのは変わっていない。
初めてあった時はもうちょっと違う印象を受けたものだが、今となっては無垢というか、幼いというか。
とにかく子供っぽいと思ってしまうのであった。
-
>>1906
「な、なんでもありませんよ……」
鈍感ならそれに越したことがない
少女はそう考えて自分を納得させつつ、視線を逸らす。
だか、胸の内にはもやもやしたものが残ったりも
「……む、本当に釣られたと思ってるんじゃないですか?
言ってますよね、わたしはそんなに子どもじゃない、と
……あれぐらい、デズモンドさんの手を煩わせるまでもありません」
頬をフグみたいに膨らせながら反論する少女
色気もなにもあったものじゃない。
「……相談、ですか
……ねえ、デズモンドさん」
頬を引っ込めたかと思うと、遠慮がちにデズモンドを呼ぶ少女
なぜか改まっている
-
>>1907
「なら、いいんだがなぁ……。」
もしかしたら、相談できないことなのかもしれないな、とひとりでに納得している。
「くすっ……ああ、すまんすまん。
一人でも大丈夫だもんな、お疲れ様。」
頬をふくらませて怒っているイシュカを見て思わす笑ってしまいながらも謝っている。
可愛らしいと思ってもそれは幼子に対する可愛さだ。
そして、右手で頭を撫でつつねぎらいの言葉を掛ける。
「ん、なんだ?
相談でも何でも、どんと来い。」
-
>>1908
「……また、そうやって子ども扱い
……いつか、見返してやる」
口は一人前だが、撫でられて顔が綻ぶあたりやはり子どもっぽい
「……チョコレートを渡すときって、そ、その……
き、キスしなきゃいけないんですか?」
白い肌が赤く染まっていく。
そして、心なしかそわそわしている
-
>>1909
「ははは……期待してるからな。」
笑いながらそう言っても期待しているようには見えないだろう。
それもそのはず、綻んだ顔を見て和んでいるのだから。
「ぶっ………!
ちょ……ちょっと待て、どこで仕入れたんだ、その情報!」
イシュカからのまさかの発言に思わず吹き出し、動揺した様子でそう尋ねる。
調子乗ってたら早速見返されたでござるの巻
-
>>1910
「……だ、だって」
口をもぐもぐさせたかと思うと
「まだバレンタインデーでもないのにチョコを渡していた女の人が
男の人に、キスを……
それも、沢山の人たちが……」
遠慮がちにいう少女
一体、少女はどれだけのいちゃつくカップルを目撃したのだろうか?
-
>>1911
「ま、待て。それは恋人たちが見せつけてるだけだ………!!
それに、あくまでバレンタインは親愛とか友愛も込めてるのであって恋してる人だけにチョコを送るもんじゃないぞ!?」
動揺が収まっていない様子で、訂正している。
イシュカが見てるってことは外でしてるわけだ。自重してほしい。
「ああ、そうか。もうそんな季節になったのかぁ………。」
と、しみじみとつぶやいている。
-
>>1912
「……え、そ、そうなんですか?
て、てっきり、そういうことだとばかり……」
合点いった様子の少女
誤解は解けたのだろうか……?
「……デズモンドさんもチョコレート、もらうんですよね?
さっきわたしが言ったみたい……とは限らないんでしたっけ」
しみじみとつぶやくデズモンドに問う少女
-
>>1913
「えーと、な。チョコレートには義理と本命があってだな……。
恋愛的に好きな、恋人になりたい人間とか恋人に渡すのが本命で、それ以外に渡すのが義理だ。
だから、チョコを贈ることだけにキスする必要はないんだ。」
誤解をちゃんと解くように、しっかりと念を押すのであった。
「そりゃあそうさ。妹からもチョコは貰うと、俺が紹介した宿にいたアイツからも貰う。
どっちも恋人じゃないし、キスしたこともない。どっちも義理だからだ。」
そう言葉を返す。
義理ならもらえるが、本命はもらえない。そんな男なのであった。
-
>>1914
「義理と、本命……
本命は恋人で、それ以外は義理……」
何度か繰り返し唱えて、覚えてしまう少女
「……なら、わたしのは義理ですね」
佳の鳴くような小さな声で、ぽつりとそんなことを呟いた少女
「そうなのですか……
……あんな風に人と接しなくても、いいんですね」
ほっ、と一息つく少女
あのまま嘘の知識を植え付けられていたら、どうなっていたことか
-
>>1915
「……………」
かわいいなぁ、と口にして覚えようとしてるイシュカを見てそう思っていた。
性的なものは感じないが、それでも今まであってきた中で一番と言っていいぐらいかわいい。
小さくつぶやいた一言は、デズモンドには聞こえていない。
「うん、そうだ。ああいうことをするのは恋人同士だけでいいしな。」
優しい目でイシュカのことを見ていた。
……嘘の知識を教える、というのも考えたが、さすがにこんな純真な少女を騙せるほど鬼畜ではなかった。
-
>>1916
「……」
デズモンドを見つめていた少女
そして、先ほど呟いた言葉は聞かれていない
そう判断すると、視線を外す。
そして、月を見上げた
昔は、いつも見上げていた月
「そう、ですよね
わたしたちは、恋人じゃなくて家族みたいなものですよね
……違いました、か?」
声が、ほんの少し震えていた
-
>>1917
「………家族、か。
そうだな。俺達はそれと同じくらいの絆で結ばれてる。」
声が、震えているということは何かを訴えたかったのかもしれない。
何を伝えたかったのかは、わからなかったが安心させるようにイシュカの頬を撫でる
「……俺はな、本当の親は死んでてな。妹と今のオヤジに偶然拾われたんだ。
だから妹と俺に血縁関係はないが、それでも本当の家族と変わりないと思ってる。」
そう言って微笑んで
「……イシュカ。できればお前の悩みとか悲しみを受け入れたい。
何かがあるのなら共に歩める存在………家族になったっていい。」
-
>>1918
「……」
撫でられても相変わらず、少女は月を見つめていた
月になにかを重ねているような、そんな目だった
「……そう、だったんですか」
掛ける言葉など見つかるはずもない
少女も、似たようなものなのだから
「……わたし、どうでもいいことで悩んだりしちゃいますよ?
ずっと一緒にいられるとも、限りません
迷惑だって、掛けちゃうかもしれません」
少女は、平常を装っていた
だが、その拳は強く握られていた。
「……それでもわたしを、家族にしてくれますか?」
恥ずかしいのか、デズモンドの顔を見れずにいる少女
その代わり、少女は月を見つめていた
-
>>1919
「俺だって、悩んで悩んで、悩んで生きてるさ。
親父とも離れて暮らしてる。
迷惑なら大丈夫さ。互いに迷惑を掛けあって、互いに助けあうもんだ。」
そう言って、頬に添えられた手をだんだんと下げて肩に、腰に回して抱きしめてこう言った。
「――――家族に、なろう。」
-
>>1920
「……そんなことを言ってくれる人、初めてです」
自分を第一に考えてくれていた人間は、今まで一人もいなかった
皆が皆、自らの目的のためだけに生きる人間ばかりだった
誰も、少女のことなど意に介さない者達ばかりだった
確かにデズモンドの体温を感じた
胸の鼓動が早まる
例え、ずっと一緒にはいられないとしても
いつの日か、別れの日が訪れるとしても
彼ならば、デズモンドならば
心で繋がることも、できるのではないだろうか……?
「――――うん」
ゆっくりと、少女は目を閉じた
-
「……ああ、この瞬間から俺たちは家族だ。」
右手だけ回した手をゆっくりと離して、そう言う。
「まぁ、俺の妹とも話しゃならないから、すぐって訳にも行かないけどな。
家族になれるように、説得する。」
そう言って、イシュカの頭を撫でるのであった。
-
「……うん、すぐじゃなくてもいい
どれだけ掛かったっていい
わたしを嫌いにならないでいてくれるのなら
わたしは、前に進んでいける……」
デズモンドや、これまでの過去に対する様々な思いが体中を巡った
そのせいで、言葉を考えることができない。
「……ありがとう」
イシュカは、確かに笑っていた
//というわけでFO
お疲れ様でした!
-
【王国領/東の森、略してひがもりっ!】
mob槍「焚き火ってのはね……ゆっくり愉しむもんなんだ。」
ぱちぱち、と火の粉が散る。
その傍に座っているのはグラビドX装備で全身を固め、槍と大盾を傍らに置いた男。
mob槍「一人で……静かに……」
焚き火を前に、肉を焼きつつ、ため息を吐く。
mob槍「(……いやガルルガ一人は無いわ)」
何だかダメそうだ。
-
火というのは獣を追い払う効果があるという。
本能的に恐れるからだ、というのだが、実際のところは、慣れた獣やそもそも火に飛び込んでも平気な一部の魔獣あたりがいるので信用ならない。
それから、人なんかはむしろ寄ってくる傾向にある。
「火は恐ろしいねぇ。火は。見るのも嫌いだけど、その熱の誘惑には抗いがたい」
「原初の記憶は脳裏の片隅に。火を恐れては人間的な生活もままならぬと……あら、岩かと思ったら人?」
妙な雰囲気をその身に纏った、褐色肌の少女が雪を踏みしめながらやってきた。
あまりに寒いので、火を見つけてふらふらとやってきたのだろう。
岩のような大鎧のハンターを、自然物だと誤認したような口ぶりなのは、わざとか天然か。
-
mob槍「ソロのお仕事の時の焚き火は五臓ミミロップに染みわたるでぇ……あ、肉焦げた。」
暫くそのまま、座って肉を焼いていた男だったが肉をひょいと取ってくるりと回す。
……若干焦げている、焼き過ぎだ、火力は普通だったがアホだったのがいけなかった。
mob槍「人類は火と共にあり火を手にし灯を得t……あれ、魔法あるからあんま要らなくねファイヤー。」
物々と遠い目(甲で見えない)で何事か呟いていたが、褐色肌の少女の声と気配に気付いたか、
兜装着のままそちらを見る。
mob槍「あ、どうも、グラビモスです。」
いいえ貴方は人間です。
-
>>1926
「変わった名前ね」
「少し休ませてもらうよ」
手ごろな木をひっぱってきて、布をかけるとそれを椅子にする。
ああやれやれと、どこか疲れた様子でぼんやりと火を眺めている。
「寒いのは嫌いだよ。故郷の熱砂が懐かしい」
-
>>1927
mob槍「(突っ込みが無い!? ヴォルケンは……駄目だ!奴は死んだ!)」
発覚、此処には突っ込みが居ない。真面目にならなければ。
mob槍「あ、どうぞどうぞ。ホットドリンク飲みます?」
スッ、とハンター道具袋からホットドリンク(ココア味)を取り出す。
尚危険物(怪しいお薬IN)では無い方です。
mob槍「俺の故郷は割かし豪雪痴態やったからなぁ……あ、何か字が違う気がする。」
-
>>1928
「見た目より優しいんだね?」
どうも、とドリンクを受け取る。
ぼんやりとした様子でいながら、何となく嗅いでみたり。
とりあえず、何か混入してないかは確認するクセがついているのだろう。
「考えたくも無い。この地方の雪すら、私には北の果てのように感じる」
「ところで、この飲み物の代償は何かな。私に払えればいいんだけど」
-
>>1929
mob槍「優しい人ですね、とは良く言われるけどそれ以上に発展した事が無いのが自慢です。」
それは自慢する物ではない。
……特に混入物の無いようだ、温かいココアの香りがする。
別にそれで気を悪くはしてはいないようだ、顔見えないが。
mob槍「この仕事やってると気温感覚ブレて来て怖いです、割とリアルに」
mob槍「デートいっk……何でもないですはい、お題は結構です、ええ」
-
>>1930
「なるほど。自慢なら誇らしげにすればいいと思うけど」
つっこみはいれない主義らしい。
あるいは何かズレてるのか。
「君がもう少し賢そうな人なら、こちらからお願いしたいところだけどね。デートぐらい」
いただきます、とドリンクを口に含んで、ゆっくりと飲んでいく。
-
>>1931
mob槍「誇ったら終わりな気がする!雄として!」
最低ラインのプライドはあった。
……いや、どうだろう、あやしい。
mob槍「すみません賢い人は明日からなんですよ。
あ、どうぞどうぞ。」
明日(永遠に来ない)である。
自身も兜の隙間からホットドリンク(怪しいお薬IN)を飲みつつ、肉齧ったり。
-
>>1932
「”それ以上”ってのにいかないのは、真剣味を感じないからだろうね」
言葉に容赦が無かった。
本人は悪びれる様子もなく、ココアを小さく少しずつ飲んでいく。
「大事だよ、真剣さは」
小さく肩を揺らして笑いながら、そんな事を言う。
-
>>1933
mob槍「だってアタシ重いオトコって見られるの嫌なんだモンっ!」
気持ち悪いので止めていただきたい。
ぐっとドリンクを飲み干して、ふぃーと息を吐いた。
mob槍「同僚は真剣になった結果、修羅(ソロ)道に堕ちました、ジッサイ=コワイ=インシデント。」
mob槍「後ほら、あの……真剣になると痛い目見るから……ギャグ的に……。」
浮いたり沈んだり気持ち悪くなったり忙しい人である。
-
>>1934
「なら軽く見られるわけだ」
おかまっぽい口ぶりに反応することもなく。
「ふぅん。男女関係の縺れは怖いね。味わいたくない」
時間をかけて、こちらもどうにか飲み干す。
寒さも和らいだのか、心なしかリラックスしてる様子。
-
>>1935
mob槍「真面目な事言うと三十路過ぎの男マジになっちゃったらアレじゃない?」
mob槍「いやね、したいけどね、結婚、メイクラブ、マリッジ。」
うんうんと一人で勝手に頷く。
焦りってあるよね。
mob槍「やっぱハンターがまともに恋愛しようなんて無理やったんや! あ、お替わり要ります?」
それかキャンディ(普通の)でも、と。ハンター袋から取り出して。
仕事道具入れにおやつを入れるんじゃない。
-
>>1936
「幾つだろうが誠実さを女は見るんじゃない? キリギリスが好きな人もいないことはないだろうけど」
という若い娘の意見。
彼女はタイプが理知的な男なのでそう考えるのだろうが。
「いや、結構。ありがとう」
そんなにあげてばっかりいられるものでもないだろう、と。
-
>>1937
mob槍「いやそりゃね、誠実にやろうと思ったら俺も出来るのよ、大人だから」
mob槍「けど多分それで長続きするかってなったら別だからアレだよね、巡り合わせって大事。」
mob槍「……そしてハンターには出会いが無いんだぜ!♀火竜ぐらいとしか!」
真面目な事を言い出したオッサン。
アホではないようだがアホである。
mob槍「そいつは失礼。 しかしなんでまたこの糞寒いのにお外。
ワーキングガールナウ?」
-
>>1938
「乾いた生き方をしてるようで」
殆ど半笑い。
「私も出来ることなら出たくなかったけどね」
「まぁ、ご想像にお任せするよ」
立ち上がり、小さく伸びをする。
身体もあったまったのでそろそろ行こうというところらしい。
「私の名前はマアスーメ。世話になったから一応名乗っておくよ。じゃあね」
さよなら、と手を振って雪残る森にへと消えていったという。
-
>>1939
mob槍「うん、潤い欲しい。 そろそろ引退かな……。」
苦笑い。悲しすぎる。
mob槍「おきをつけてー。
……ヒャア!女と結構長く話したァ!!」
寂しすぎる。
-
ここはコートニーと親しくやっている少女がいる教会の厨房。
バレンタインに向けてのチョコレートを作ろうと集まったところだ。
……兄とはちょっとしたケンカ状態なので自宅で作る気にはなれなかったのだ。
「さぁて!やりますか!」
チョコチップやら小麦粉やら、協会のものを使わないように気を使ったのか材料を持参してきた少女が厨房で気合を入れている。
……そもそも、チョコを渡す相手はいるのだろうか。
-
「はいっ、がんばりましょうっ♪」
ごきげんな様子でエプロンを着けた金色の髪の少女。
炊き出し用に使う事も多いので広めで清潔感のあるキッチンにはチョコレートの材料……
ココアパウダーや、カタなんかも置いてある。
勿論彼女は意中の「彼」に渡すのであろうが……
「そういえば、コートニーさんは誰に渡すんですか?」
-
「………とりあえず、兄さんには渡しますよ。うん。」
そう言いながら小麦粉をふるいにかけたり湯煎用のお湯を用意しだしたりとてきぱきと進めていく。
実際、お菓子作りはなれているのだろう。
……兄との中は良好なはずなのに、その言葉はやけに歯切れが悪かったが。
「……あとは、クレドくんにも渡しましょうかね!
働き詰めで疲れてるでしょうし、甘いものは喜ぶと思います!」
そしてそれをごまかすように、ぱぁっと明るい笑みを浮かべ、続けてそういう。
「アリーナちゃんは………うん。誰に渡すか聞かなくてもわかりました。」
-
「うふふ、何かありました?」
ちょっとだけからかうように、手を口元に当てて笑って。
自身も板チョコを刻んだりしながら。
「じゃあクレドくんは私と合わせて二つですねっ。
きっと喜びますよー。」
アワレになってくる。 主にクレドが。
「はいっ、私は勿論ジャキくんに、クレドくんに……それに子供達にも。
一杯あって大変です。」
えへへ、と照れ微笑い。
真っ先に意中の相手の名前が出て来るのは意識してかせずか。
-
「…………まぁ、兄さんとちょっとあっただけです。
少ししたら落ち着くと思いますから安心してください。」
少しだけ動きが止まったが、大丈夫だと笑った後、用意を進めていく。
……ハート型や丸型の型抜きを取り出してることや小麦粉などからチョコチップクッキーでも作るのだろうか。
「………クレドくん、もうちょっとはもらえると思いますけど……。」
歯切れが悪いところを見ると、実際そう思ってないのだろう。
騎士団に所属しているあのお姉さんも、チョコ渡すとは思えないし。
「あはは、私はあまり渡す人もいないので、友チョコでもつくろうかなって思ってたところですよ。」
照れ笑いしてるアリーナを見て、癒やされている様子で。
-
「ダメですよー、ちゃんと仲良くしないとっ。
折角のお兄さんなんですもの。」
笑いながら、けどやっぱり芯を感じる声。
子供を叱るお母さんのような感じだ、そうなるとコートニーが子供になってしまうが。
「クレドくん、結構もてもてさんなんですよ?
騎士科の女学生さんにも好かれてる、って聞きますし。」
確かに、顔は良いし、人も良い。
女騎士の方も嫌ってはいないのだろう。 ……「いい人」止まりな人とも言えるが。
「友チョコ……! いいですね、それっ。
じゃあ私もコートニーさんにプレゼントしますっ」
-
「むぅ……お父さんみたいなこと言わないでくださいよ。」
唇を尖らせて"私怒ってますよ"アピールをしている。つまりそれほど怒ってないということだ。
子供扱いされている、と思ってもなんだか起こる気にはなれない。そんな不思議な感覚だった。
「………まぁ、いい人ですしねぇ……。」
異性として見られてるかは別……と言おうとして思わず口をふさぐ。
まぁ、チョコはもらえるかもしれない。義理だろうが。
「おおっ!いいですね!交換こしましょう!交換っこ!
……となると負けられませんね!」
良い提案だと言わんばかりにけらけらと笑って
お菓子作りも更にキアが入っているのが見てわかるだろう。
-
「私は女の娘ですからー……お母さんじゃないですか?」
くすくす。 微笑みを浮かべながらちょっと首を傾げて。
……多分何時も子供達にやってあげているのだろう。
「はいっ、とっても優しくて格好良い人ですからー、
誰か速くいい人が見つかるといいんですけれど……。」
優しさは時として残酷だ。
「ふふっ、美味しいの作ってびっくりさせちゃいますからねっ?」
-
「………ああ、すいませんね。ついうっかりしてました!」
自分の頭を軽く叩いて、自分のミスであったと認める。
……折角のいい雰囲気だし、暗い話を切り出すのも気が引けた。
「………………うん。見つかると思うよ。」
ジャキさんもアリーナちゃんも、なぜこうも鈍いのだろうか。不思議でならない。
いや、ジャキさんは向けられていても気づいてないふりをしているだけなのかもしれないが。
「私だって、美味しいの作りますからね!」
-
「ふふ、いえいえ。 けど……ここは教会で……私、お母さん役ですから。」
「悩みがあったら、言ってくださいね? 神様は居ませんけれど……私はちゃんと聞きますから。」
にこ、とやわっこい笑みを浮かべていつもの、ほんわかとした調子でそう言って。
……クレドやら街の教会に来る者が惚れるのも解る、というもの。
「?」
しかしそこに関しては鈍い。
クレドの方にも問題ありだろうか……?
-
「あはは……機会があれば、話します。」
全てお見通しなのかもしれない、そんなふうに思うくらいにはアリーナちゃんから、こう母親らしさというか母性を感じた。
自分では到底真似できないような、生まれつきの可愛さがあるなぁと思っているのであった。
「………うん、その内恋人はできると思いますよ。」
思いを伝えるのが下手なクレドくん、次の恋を見つけられないアリーナちゃん、枯れてるジャキくん。
それだけずれた三人だから仲良くなれたのかな、と勝手に失礼なことを考えていた。
そんなこんなしていくうちに生地も出来上がり、あとは焼くところまで来ていた。
-
「はい、いつでもどうぞ♪」
流石にこの広い教会に、一人でシスターなんてしているだけあるのだろうか。
とはいえ元から一人だった訳ではないだろうが……。
「そうですねぇ……いい子を紹介できたらいいんですけれど、
私もコートニーちゃんや、サロメちゃんぐらいしかお友達もいませんし……」
うぅん……と、悩みながらもてきぱきと手は動いて。
まずは本命チョコらしきものが完成直前になっているのであった。
//ちゅ、ちゅうだんで、ぐふっ
-
「……はぁ〜……アリーナちゃんってすごいですよね。
私なんかよりも全然大人ですよ。こんな広いところなのに一人で頑張って!」
可愛いし、それに甘えることなく努力できる姿勢を見てると自身も頑張らねばと思える。
……と、同時に少しだけ嫉妬してしまう。明らかに自分が悪いのだが。
良くも悪くも、刺激される存在と言ってもいいのだろうか。
(クレドくん………さすがに不憫ですね……!)
「あはは……ん、サロメちゃん?
どんな方なんですか?」
初めて聞く名前に興味を持ち、アリーナちゃんの方を見つつ視線は本命チョコに。
失礼だ。
そんなことをやりとりをしつつオーブンに形を整えた生地を入れ、焼き始める。
ここからうまく焼ければ、今まででトップクラスの出来になるだろう。
-
「えへへ……そうですか? でも、私だってまだまだ子供ですよ。
ジャキくんや……クレドくん、色んな人に助けられてますもん。」
決して一人でなんでもできている訳ではない、とやんわり否定する娘。
……少しぐらいは威張っても良さそうなものだが。
「あ、えっと、ジャキくんから繋がってるお知り合いで……
奥まった路地の方でお薬屋さんをしてるんです、綺麗な方なんですよー。」
サロメ、なる人物のことについて話ながら自身は子供たち用の物に手をつけ始める。
……流石に本命や、クレド用の物に比べれば簡素だが。
-
「助けられても成し遂げられるってだけですごいと思いますよ。
私なんて、自分がやろうとすればするほどうまく行かなくなりますもん。」
……そして、こういう謙虚なところが異性からも同姓からも好まれるんだろうな、と思っているのであった。
少なくとも、コートニーにはできないことなのであった。
「お薬屋さんですかぁ、何かあった時のために知り合っておくのもいいかもしれませんねぇ。
……ん、いい感じですね。」
しばらくしてオーブンからクッキーを取り出すと、こんがりといい感じに焼けていた。
これはうまく行ったかな、と内心大喜びしつつ、それを悟らせないように落ち着いて様子で袋に詰めていく。
-
「うふふ、ありがとうございますっ
……でもそんなに誉められると照れちゃいますよ?」
ちょっとだけ顔を赤くして困ったように頬に手を当てる。
謙遜は美徳というが……こういうことだろうか。
「私も、子供達が怪我した時用にお世話になってて…・・・
わぁっ、美味しそうっ……♪」
女の子は甘いものが好き(確信)
-
「………うん、アリーナちゃんってモテるでしょうね。」
女であるコートニーでも分かった。
これは惚れる。むしろなんでジャキさんは惚れないのだろうか。
そんなことを思ったからか、ポツリとそんな言葉を漏らしてしまう。
「はぁ、それなら私も紹介して欲しいところですねぇ。
……ふふふ、これでクレドくんとかを見返してやりますよ。
残念な子じゃないってね!」
……ちょっと褒めら得てこんな態度取るあたり、謙虚とは無縁であった。
-
「ふぇ、私が、ですか?」
意外にもその言葉にはきょとん、として。
「んー……でも私、あんまり告白されたこととかは無いですよ?」
そりゃそうである、コートニーは忘れがちだが学生としても騎士学科としても、
"割と優秀"な部類にあるクレドが傍に居る訳で、当然周りの目は……
「はいっ、じゃあ今度一緒に行きましょうねっ。
ふふ……コートニーさんはクレドくんと仲、良いですよねー。」
-
「………告白されることが、愛情表現ではないのですよ……。」
なんだかんだ言って、恋愛に疎そうなアリーナにそう遠い目で言うのであった。
おそらく、クレドくん以外にも多くの人に好かれてるのであろう。告白できてないだけで。
「私と、クレドくんが………?
ああ、そうですね。言われてみれば仲がいいのかもしれません。」
強いて言うなら同志といえばいい関係だろうか、友人ではあるが親友でもないしましてや恋人なんてものでもない。
ただ、友人というにはクレドくんの恋事情を知ってしまってるし、どんな言葉を使えばいいのかわからないのであった。
-
「……?
うぅん、難しいですね、愛情表現……」
自分が一途に純粋だからか、そこには疎いのかもしれない。
むしろクレドやジャキがガードしてたのかもしれないが。
「はいっ。
コートニーさんみたいな人が居ればクレドくんも無茶しないんでしょうけれど…・・・」
はぅ、とため息を吐き出す。
……互いが互いを無茶すると認識しているのだから困ったものだ。
-
「……まぁ、水面下で色々動きがあるんだと思いますよ。
それに、告白を一度でもされたことがあるのなら十分にモテるうちに入ると思いますし!」
……一度もされたことがない自分を考えると、虚しくなってくる。
「………はぁ、そうは言っても私じゃあクレドくんに合わないですよ。
クレドくんはもっと素晴らしい人と一緒になれるような人ですし。」
たとえば、アリーナちゃんのような。とは絶対口に出来なかった。
この三角関係は、ずっと続ければ不毛なことにしなからないだろうし、どうにかしたいと思うのだが……。
ため息を付いてそういう姿に偽りはない。つまりクレドくんとは似が合わないと思ってるようだ。
……なんだかんだで評価はしてるのだ。色々不安に思うところがあるだけで。
-
「そうですかー……?
あっ、コートニーさんは無いんですか? 告白っ」
人の恋路を面白い、と思うのはこっちの少女ものようである。
「そうですかー? 結構、お似合いだと思いますけど。」
くすくす、と楽しそうに笑う少女、上品さも感じる。
……この三角関係の問題点となると、聞く限りは矢張り「ジャキ」だが……。
-
「無いですよ、それはもう!
少しくらい冴えてもいいと思うんですけど!おかしい!」
それが不服であるとその悲しそうな表情を見れば一目瞭然だろう。
……こういうところが持てない理由なのだろう。
「そうですかねえ、恋人になったとしてもあんなに無茶する人と一緒だと不安で仕方ありませんし。」
そんなことを言いつつクレドくんとの恋人生活を想像する。
……第三者と一緒じゃないと結局話を聞いてくれなさそうで苦労するのが簡単に想像できるのであった。
……ジャキさんに関してはもう"枯れてる"としか思えないので半ば諦めてるのだ……。
-
「えー……? 不思議ですねぇ、
だってコートニーさん、すっごくかわいいのに」
むぅ、と小さく頬を膨らませてそう言う。
皆わかってないんですね、とか言う始末だ。
「あぁ……そうですね、クレドくんも……ジャキくん程じゃないですけど、無茶しちゃう人ですから。
……どっちもちゃんと、落ち着いてくれればいいのに。」
きゅ、と手を強く握って。 ……その様子から見るに「できれば自分が」というのは見て解る。
勿論、どっちに、なのかも。
-
「……………。」
なんというか、心のなかにもやもやができてくる。
私よりもずっと可愛らしいのに、性格だっていいのに、ずっとずっと……一途なのに……
「はぁ………少なくともクレドくんが無茶しないように見てますから。
安心して、ジャキさんの世話してあげてください。」
ため息とともにそんなことを言い出す。
それと同時にどっちの恋を応援してるのかわからない優柔不断な自分に嫌気が刺した。
-
「……? コートニーさん、どうか、しました?」
……そういった機微には敏感なのか、黙ってしまったコートニーを見て。
心配げ、不安げな表情で。
「あぅ……ジャキくんは、"こっちの心配してる暇があったら自分のことをしろ"って言いそうで……」
くしゃ、と頭を抑えて。……これは以前言われたことがあるパターンだろう。
整理してみると……
アリーナに好意を持っているがジャキに好意を向けている事を知っている為、行動を起こさないクレド。
本人曰く「1度振られている」が未だジャキを振り向かせようとしているアリーナ、と。
知ってか知らずか素知らぬ顔のジャキ……なんとも面倒な関係だ。
-
「………あ、いいえ!なんでもありません!
気にしないでください!」
少しだけ、マグロめいたハイライトがない目になっていたが、声をかけられると正気に戻る。
そして、少し前まで変なことを考えていた自分に活を入れようと軽く頬を叩く。
「………んぅ、押し掛け女房めいてそれでも世話するってのもいいかもしれませんけど……。
それで自分のするべきことまですると倒れちゃいそうですしねぇ……難しい。」
考えて見れば見るほど複雑な関係。
……それでも、どっちかしか結ばれない関係なのに療法の背中を押すのはおかしいと、ネガティブになるのであった。
-
「……嘘はダメ、ですよ?」
アリーナの方が少し背が低いからか、自然に上目遣いになって。
……心配そうなその瞳は見透かされているようにも見える。
「………。」
はぅ、とこちらも小さくため息を吐いて。
「……やっぱり、諦めた方がいいんでしょうか?」
-
「………っ。
………えーと、その……。」
見透かされているとしか思えないような目。
普段が優しい目なばかりに焦っているのが目に見えてわかるだろう。
「そ、そんなわけないですよ!
少なくとも、相手から拒絶されてないのならそういう心遣いは嬉しいって思ってるはずです!」
とっさに慌ててそういうのであったのだが、クレドくんを裏切るような二枚舌っぷりが嫌になるのであった。
-
「ちゃんと、言ってくださいね?
……一人で抱え込んじゃうのはダメですよ」
小さな手がコートニーの手を握って来る。
お菓子作りをしていたこともあいまって、甘い匂いがする……。
「えへへ、だと良いんですけれど……それこそ、ジャキくんはもてます、から。」
「私が知ってるだけで三人ぐらいは、ジャキくんのこと、好きなんですもん」
「……クレドくんだって、ジャキくんだけえこひいきしてるみたいで、いい気はしないってわかってるのに。
えへへ、いやな子ですね、わたし」
-
「……あはは、大丈夫ですって!
困ったときにはちゃんと相談しますよ!」
といっても、まさかあなたに嫉妬したなんて相談をするわけにも行かない。
これを相談するのはないだろうな、と思うコートニーなのであった。
「………そうなんですか。モテモテなんてもんじゃ無いですね。」
それであんなに枯れてるようだと、その惚れてる人たちはみんな大変そうだなと思うのであった。
「そ、そんなことないですよ。好きな人なんですから少しくらいえこひいきしても仕方ないと思いますよ、そりゃあ。
………私だって、そういうところはあるんですから。」
-
「はいっ♪
約束ですからねっ」
にぱ、と解ってくれたことが嬉しかったのか嬉しそうな笑顔を浮かべて。
クレドくんもこういうのにやられたのだろうか。
「ジャキくん、優しくて、格好良いですから♪」
何故か嬉しそうな少女、だが何処か寂しそうにも……?
「…えへへ……ありがとうございます、コートニーさん」
困った様な、どうしたらいいのか解らないような曖昧な笑顔を浮かべた後に小さく頭を振って
「・・・・・・よしっ!それじゃあチョコケーキとかクッキーとかっ
一気に完成させちゃいましょーっ!」
お菓子作りを再開するのであった……。
【ようしそろそろFOだ!】
-
「………あはは、わかりましたよ。」
乾いた笑いとともにそういうのであった。
……笑いながら嘘をつく自分がいることを冷めた目で見て自己嫌悪に陥りつつ
「……はぁ、私にそんなこと言ってるとライバル増えるかもしれませんよ?」
寂しそうにも見えるのに気づくが、変になにか言うより紛らわさせたほうがいいと思い、そんなからかいの言葉を発する。
「それじゃあ子どもたちの分は私も手伝いましょう!
どっちが気に入られるか勝負ですよ!」
そう言いつつこっちもお菓子作りを再開するのであった。
【FO】
-
王立大学の女子寮の一室、
男子禁制の寮であるが、今日もいつもの様に少年を部屋に招く猫娘。
部屋の中は、甘い香りが満ちている……
というのも、当然アレを作っていたのだろう。
-
「お邪魔しまーっす……」
毎度毎度の事になってきたが、こっそりとお邪魔する少年。
茶色のハンチングを頭からとって室内でふぅ、と一息。
「……わ、甘い匂いが!」
なお、甘いものは大好きのもよう。
子供か。
-
「はーい、いらっしゃいー♪」
エプロン姿で出迎える猫娘。
キッチンには余ったチョコの欠片や、
包み紙やら型やらが転がっており、何をしてたのかはもうバレバレだ。
「……レビッツ君、当然今日は何の日か分かってるよねー?」
-
「わ、あんまこの時間からうるさくすると不味いんじゃ……」
寮監さん?とかも居るだろうし、と要らぬ心配をする少年。
それをいったら夜中にやっていることなどできなくなるが。
「あ、うんっ!バレインタインデーだよな……!
甘いものが食える日っ!」
認識が微妙にズレている、間違いではないが。
-
「うん、大丈夫。
この寮、今はほぼ無人だからね〜。」
……どいつもこいつも、今頃他所であれこれしてるのだろう。
「……あ、でも……この前隣の子に注意されちゃった。
……もうちょっと声抑えた方が良いって……。」
と、少し頬を赤らめる。
「んー、大体正解。
そういうわけで、はい、どうぞ♪」
赤い包みでかわいらしくラッピングされた小箱を取り出し、少年に差し出す。
-
「……あ、そういう……」
察した。まぁそういう事である。
きっとみんなチョコ食べてるんだろう。
「なっ……だ、だってっ、俺は静かにって言ってるしっ
なのにテ、ティティスがっ」
声を出させているのは少年である。
「やたっ! 開けていいかっ?」
小箱を受け取って嬉しそうに、耳とかあったらぴこぴこしてる事だろう。
-
「えー、あんなにやっておいて私のせいー?
……あんなことされたら、声出ちゃうのは仕方ないと思うんだけどなぁ……?」
と、ニヤニヤしながら言い返す。
なんにせよ、毎度毎度お盛んなのだろう……。
「うん、どうぞー♪
手作りだからねー、お口に合うといいんだけど。
……あ、ホワイトデーは三倍返しね?」
-
「や、だ、だって、それはほら、その
ティティスがやらしいから……!」
言い訳のようで、全く言い訳になっていない。
「楽しみだなぁ……♪
うんっ、俺もお菓子とか作れるし、任してくれよなっ」
小箱を開けて上機嫌、意外にも家事はできる。
-
「もー、私は別に普通なんだけどなー?
レビッツ君の方がよっぽどやらしいと思うんだけどなー……?」
とは言う物の、娘の性癖はあまり普通とは言い難い気もする。
「ふふ、楽しみにしてるからねー?」
箱を開けると、中にはナッツやベリーをあしらった、
可愛らしいチョコが所狭しと並んでいるのであった。
わりとなんでも卒なくこなす猫娘、菓子作りもそれなりに得意な様である。
そうこうしていると、部屋のドアが開いて誰か入ってくる……。
『お邪魔するよ……ほんとにお邪魔だったかな?』
≪どうも、こんばんわです……。≫
やってきたのは、猫娘の友人である眼鏡の娘、エイミィと、
その家庭教師の生徒であるシィナである。
今日は皆でバレンタインデーがてら飲んだり食べたりしよう、という話になっていた様だ。
-
「べっ、別にそんなことはっ……
無い、と、思うけど……」
後ろのほうから怪しくなってきた、自信なさげだ。
「わぁ美味そうっ……!
いただきまー……」
聞いてるやら聞いてないやら、一個摘んで食べようと……
「あ、エイミィ、シィナ、こんばんわっ
へへっ、ティティスに美味しそうなの貰ったんだ!」
二人が来たので、先に挨拶。
-
『私からもプレゼントだ。』
≪……あ、私もです……。≫
と、さっそく小包を取り出して少年に渡す二人。
「んー、レビッツ君モテモテだねぇ〜。
とりあえず入って入って〜!」
二人を中へ招きいれ、酒やら食べ物やらを用意したり。
-
「わ、二人からも? やたっ、ありがとなっ!」
両手に小箱抱えてなんともまぁ嬉しそうに。
こういうときは下手するとシィナよりも子供っぽく思える。
「べっ、別にそういうんじゃっ……
あ、飲みすぎちゃダメだからなー、ティティスー」
いったん小箱を置いて、お手伝い。
-
≪……義理なのです……。≫
と、可愛げなく言い放つシィナだが、
中身は一応手作りであるらしい。
若干形はいびつだが、それなりに可愛らしいチョコが。
ちなみにエイミィの包みの中には、
そもそもチョコなど入っていなく、なにやら怪しげな小瓶がいくつか入っているのであった……。
「……えー、せっかくだし飲みたいんだけどなー……?
はい、シィナちゃんどうぞ♪」
≪……あ、どうもです……いただきます……。≫
と、酒のグラスを少女に……
考えてみれば彼女が一番飲んじゃいけない……!
-
「えー、義理なのかー?」
ちょっとからかうように笑いながら小箱を開けて、
可愛いチョコを見て嬉しそうにするれビッツ。
……が、次の箱で固まった、なんだこれ。
「ってぇ!?
ティティスっ、シィナはお酒ダメだって!エイミィも止めろよっ!?」
未成年の飲酒……一応ジグザールでもダメ、ということにはなっている。
一応だが。
-
『それ、使ったら感想を知らせてくれたまえ。』
小瓶を見て固まる少年に、さらりと言うエイミィ。
……一体なんの薬なのやら……。
≪………?≫
くぴくぴと酒を飲みつつ首を傾げる少女。
『何を今更、レビッツ君。
まぁ今宵は特別と言うことで見逃してあげてくれ。』
……色々とダメな人たちである。
-
「いや感想は良いけど何の薬っ!?」
しかも結構数あるし、と矢継ぎ早に。
それはもう、警戒するというもの。
「ああこらシィナ、ダメだってっ、酔っ払っちゃうぞ?」
もー、とか良いながらお酒を取り上げようとするが……
「えぇ……? 良いのかなぁ……
俺はともかくさぁ……」
-
『困ったときに使いたまえ。』
ニヤリ、と笑う娘……怪しすぎるのであった。
≪……大丈夫なのです……。
……わりとお酒には強いみたいです……。≫
前もこの4人で飲んだりした時も、わりと平静を保ってはいた……
……が、そういう問題ではないが。
『それに、君は前に酒よりももっと問題なことをしてしまったと思うが……。』
≪………///≫
……色々と危ない連中である。
-
「……今困ってるんだけど!?」
この状況にである、楽しいバレンタインデーはどこに。
「もー……ダメになったら言えよ?
ちゃんとベッドまで運ぶから」
むぅ、と唸りながらも渋々承諾……。
やれやれ、といった感じだが。
「あっ……!
あ、あれはだって、シィナとかエイミィが、可愛いから……
それで、その……」
-
『ふむ、そうかね?
……じゃあ、調度いいし今使ってみてもいいのでは……。』
「もーエイミィ、そういうのはまた後で!
とりあえずご飯とか食べてから……ね?」
猫娘に止められるが、後で使うことにはなりそうである。
≪……はい、お願いします……。≫
こくんと頷くも、酒は相変わらずくぴくぴとそれなりのペースで。
「あれー、エイミィとシィナちゃんだけー?
………私はー??」
と、横から入ってくる猫娘。
-
「や、やっぱそういう薬だなっ!?
だめっ、封印封印っ!」
小箱に押し込んで、机にぽい。
……でも捨てる訳ではない。
「……大丈夫かなぁ」
不安げだ、結構飲んでるし。
「そ、それは……ティティスも、すっごい可愛かったけど……
ってそういう話じゃなくてさぁっ!」
うがー、とほえる兎。
-
『気が向いたらいつでも使ってくれたまえ。
……もしもっと欲しかったら、まだたくさんあるからね。』
一体何をそんなに大量に作っているのやら……。
「ん、よろしい♪
……んーー。」
そういうといきなり顔を近づけて、
二人の面前で唇を奪ってきたり……。
そんなこんなで飲み食いは続き……
バレンタインの夜は更けていく。
-
「つ、か、い、ま、せ、んっ!
まったくもうっ……!」
ぷりぷり、とご立腹。
まぁ多分、その時になったら使うのだろうけど。
「うー……って、わっ、ちょ、ティティs……!?」
こう続くとさすがに、バレそうなものである。
……大丈夫なのだろうか……!?
【FO?】
-
≪………。≫
そんな二人をぼんやり眺めるシィナ。
相変わらず何を考えているのやら、少々読みづらいところがあるのであった。
『……んー、早速今夜にでも使ってくれそうだね……ふふふ。』
こっちはこっちで、怪しげな笑みを浮かべていたり……。
そんな危うい雰囲気の中、一夜の宴は更けていくのであった。
//じゃ、とりあえずFOで……!
-
【王都郊外/東の森】
「……――しっ、ふッ」
王都郊外、東の森。
それなりの深さの所に腰にガンベルト、首には朱いマフラー・スカーフを巻いた少年が一人。
今日も今日とて銃の練習……では、なく。
「……しッ――」
徒手空拳の格闘術だろうか。
そう見える物の練習をしている。
「(……こう、来るから――)」
「(こう――返す)」
仮想敵を想定しての動きなのか、動きは疾く、素人目に見ても「キレ」がある。
手慣れた、身体に染み込んでいると言って良い動きは一種、美術品としての美しさも感じさせる。
-
>>1997
遠くから歌声が聴こえる。
歌いながら歩いているらしく、徐々に近付いてきているようだ。
歌詞までは聞き取れないが、アップテンポな曲調らしい。
-
>>1988
「……ふッ――……?」
聞こえてきた歌声に、動きを止める。
……どこかで聞いた様な声なような、と思って。
「(……誰だろう……)」
音の方をちらりー、と注視してみる。
-
>>1999
「ーー〜♪」
更に近付いてきた歌声は、聞き覚えのあるものであった。
段々と明瞭になり……
「這い!寄り!ました!じゃあまた来週!!」
ガサリと茂みから出てきた姿は、実に見覚えのある姿である。
ちょうど歌い終えたところらしく、やりきった表情をしているのが近寄るまでもなくわかる。
-
>>2000
「……………。」
歌い終わって出て来たエンジュとばっちり目が合う。
……一体何を歌っていたのだろう、と言う思いと、
そもそも何で茂みから出て来たのだろう、と
色々思う所はあるが……。
「……こんばんわ、エンジュ」
突っ込まない事にした、かわされそうだし。
-
>>2001
「お? クォヴじゃーん!こんばーん!奇遇だねー」
声をかけられてクォヴレーに気付いたらしく、向き直ってビッと手を挙げて挨拶。
「今日も今日とてあれ?特訓?
やらしいなー。若いなー」
手で口元を隠し、ニヤニヤしながら近付く。
何がやらしいんだろう(困惑)
-
>>2002
「あ、うん……奇遇?」
森のなかで奇遇も何もあったものだろうか。
狙っていたのではなかろうか。
「うん、特訓、だけど……」
「……!? やらしくは……!」
開幕手球に取られる。ダメだこれ。
然し特訓と言う割には的どころか銃を抜いてすらいない。
-
>>2003
「それともあれ?アタ行く先を先回りして待ち伏せ?」
予知能力者かなにかか。そんなわけがない。
「今日もいっぱい発射(意味深)したんじゃないのー?
……って、銃も的も無しで?
……冗談のつもりだったけど……そっかぁ…邪魔しちゃったね……」
おい待てなんか勘違いしてるぞ。
-
>>2004
「……予知能力があったら銃の練習しないで良いと思う。」
撃ったら辺りそうなもんである、そんなもんあったら。
「……!? 違うからね、何か勘違いしてるけど、多分違うから……!」
「体術、……武術の方の、練習してだけだから……!」
必 死 。
-
>>2005
「…………当たるかな?」
エンジュの ようしゃない いちげき!
「ううん、いいんだよ……思春期の男子が人気のない場所でハッスル(死語)することっていったらそれぐらいしかないし……」
憐れんだような瞳で顔を逸らしながら。
間違った思春期男子像だと言わざるをえない。
-
>>2006
「……あ、当たるよ!」
つよめに いいかえした! こうかはいまひとつのようだ
「し、してない、ってば……!」
「……あぁ、もう……」
顔を赤くしながら語気を強めに言い返すもやはり弱い。
-
>>2007
「……うん……そうだね…」
エンジュの あわれみ!
「で、体術だっけ? そっちもできるんだねー」
急にケロリと話題と空気を変えてきた。
変わり身が早すぎる。
-
>>2008
「……あ、あたるよ」
あっ、弱くなった、自信無いんかい。
「…………。」
じと目、でも口では勝てないしもはや何も言うまい。
「……ん、まぁ……Run&Gun(走りながら撃ったり)も、あるから」
「一応、体術の方も、鍛えておかないと……」
-
>>2009
「うん、そうだねー」
あ、流した。酷い。
「ほうほう。……ちょっと組み手してみようか?
アタシもそっちには自信あるよん」
ニヤッと笑みながら提案。毎度ながら唐突だ。
なお、今日の服装は黄色いジップアップのフードパーカーに黒いホットパンツとタイツ。
間違ってもクォヴレーが赤面するような格好にはなるまい。恐らく。
-
>>2010
「……」
少し泣きそうである。
「……良いけど……そこまでは、強く無いよ。
……元々、接近されちゃ、いけないんだし……」
服装を見た後、スカートじゃないし大丈夫だよね、なんて思いつつ。
危ないからガンベルトは外して、近くの木に置いておく。
-
>>2011
「いいからいいから!」
随分と乗り気なようだ。
一旦距離を空けて軽くストレッチ。体を解す。
「いっくよーん!レディー……ゴッ!」
宣言、合図と共に駆け出す。
バネに弾かれたように、一気に距離を詰める。
-
>>2012
「……そう言うなら、良いけど」
むぅ、と唸って。
よっぽど自信があるのかなぁ、なんて思ったり。
「――――」
エンジュが此方に駆け出すと共に目付きが変わる。
利き手の右手を下げて、左手を前面に出し、軸足を後ろに。
-
>>2013
「ーーーーふっ」
互いの間合いに入ろうかという瞬間、跳躍。
宙返りしつつクォヴレー頭上を飛び越えて、背後に着地。
ーーと共に、鋭い脚払い。
-
>>2014
「――――」
"目"は頭上に消えた槐の姿を確かに追って、
後ろに出した軸足に体重を掛けて、"廻転"。
後方に向き直ると共に前方に出していた右足が足払いを放った脚を捉えようと振り下ろされる。
-
>>2015
「っと……!」
軸足を狙って放たれたはずのそれは、不意に軌道を変えて真上に上がる。
そのままもう片足で立ち上がり、肩目掛けての踵落とし。
……どうやらバネと柔軟性、バランス感覚は並のレベルではないらしい。
-
>>2016
「……――」
細められた、鷹の様にも思えるそれが脚の動きを確かに追う。
前面に出されていた左手が振り放たれた踵を掌打で払って、
「……!」
先程の廻転で入れ替わった軸。
右脚を軸に廻転、脇腹目掛けの足刀を放つ。
……もちろん、もし当たりそうになれば寸止めはするだろうが。
-
>>2017
「…………ふふん」
振り下ろされた途中で払われた脚。
同じ方向に軸を回し、そのまま180°開脚。
伏せて足刀を避ける。
「っとこしょー!」
更にカポエラのように体を廻し、その勢いで横薙ぎの蹴りを放ちながら体を起こす。
-
>>2018
「(……――)」
足刀を放った体勢からでは回避は容易では無い。
旋風脚に近い流れで身を回し、一度背を槐に向けて
「ふッ……」
勢いを殺しきらず、廻転し切って向き直る。
蹴りを視認、後方にステップして蹴打を避けて。
「――っ」
こちらの番、と言わんばかりに大きな踏み込む。
距離を詰め、下げいてた右手で手刀を作って突き出す。
-
>>2019
瞬間。エンジュの姿が視界から消える。
いや、消えたように見えた。
「ーーーー……」
ほんの少し視界を下にやれば、凄まじい速度で迫る彼女が見えただろう。
急激な脱力で前傾に倒れ、地面にぶつかる寸前に全身のバネで一気に再加速する、というトリッキーな体術。
地を這う蛇が如く、静かに、疾く、クォヴレーの懐へと。
-
>>2020
「――――」
消えた姿を目で追う。
一瞬、時間にして一秒程、闘いの中では致命的過ぎる時間。
「それ」を視認したと同時、一筋汗を垂らしながらも左手を開き構える。
右腕は伸びきっている、手元に引き戻すには遅い、踏み込みは終わり勢いは止められない。
ならば、この状態からどうするというのか――。
-
>>2021
間合い入ったところで再び立ち上がりーー
「……」
正面でパン、と柏手を打つ。いわゆる猫騙しと呼ばれるアレだ。
拍子抜けいいところだ。
-
「――――」
開いた左手を腰溜めに、相手の間合い。
即ち自身の間合いに入った所でごき、と腕の音を鳴らして。
「……わっ」
あっ、猫騙しにやられた、かっこわるっ。
-
>>2023
「うりゃ」
すっかり隙だらけになったその額にベチッとデコピン。
「イェーイ!アタシのかっちー!」
そして満面の笑みでVサインである。
-
>>2024
「……っ」
ぺしっ、とデコピンが当たって痛そうな顔を。
「……やっぱり、負けちゃったか……」
がくーん、と肩を落とす。
……いや、あなた銃使ってる時より全然と言うかかなり良い動きしてましたが。
-
>>2025
「まぁ、これでも本職だからねー。簡単には負けられませんとも!」
本職……?
「でも、かなりいい動きだったよ?
こっちに転向した方がいいんじゃない?」
今度ばかりは善意のアドバイスである。あくまでも善意。
-
>>2026
「本職……蜂は?」
なんか使ってた様な気がしたが。
……そういう職業なのだろうか……?
「ん……銃使い始めてからは、サボってたし……、
銃と、組み合わせられれば、いいんだけど……」
褒められて悪い気はしない。
銃は気にしているが。
-
>>2027
「あれも使ってるよ?
言ってなかったっけ? アタシ、トレジャーハンター志望でさー。
蜂は探索・索敵用。体術は何かと必要だしね」
実に’もっともらしい理由’である。
特に違和感も齟齬もないそれは、『真実』を覆うヴェールだ。
「いっそ、近距離で銃使ったら?
流石に至近距離なら当たるだろうし。そういう格闘術なかったっけ?」
聞きかじり程度の知識だが。
-
>>2028
「……ふぅ、ん」
なんとなく、納得はする。
……なんとなく、違和感を感じるが。
それを追求したりは、しない。
「……ガン=ガタ、だね。
けど、あれは……」
-
>>2029
「あ、あとウチの家系ってニホンのニンジャの末裔でさ。
さっき見せたのはそっち関係の技よん」
そしてこのドヤ顔である。
上手に嘘をつくコツは少しの真実を混ぜておくこと。
それが’ほつれ’を覆い隠す。
「そんな名前だっけ。あれは?」
-
>>2030
「ニンジャ……」
「……じゃあ、偶に雰囲気、少し違うのも、そう?」
……聡い。
本当に、銃以外に関しては、とても。
とはいえそんな気にもしていない様子だが。
「ん……あれは二丁拳銃と……、
それに、ナイフも組み合わせてるから。」
-
>>2031
「そーそ。そういうこと。
凄い?ねぇ凄い?見直した?ドヤァ」
やだこの子ウザい。
「あんだけ動ければナイフぐらいすぐ使えるようになるっしょー?
その体術、活かさないともったいないよ?」
-
>>2032
「……うん」
「槐は、凄いと思う、……今も負けちゃったし」
まっすぐに娘の方を向いてそう言う。
偶にずるい。
「一応、使い方はレイジさんに教わってるけど……
……ちょっと、考えてはみるよ」
実は、銃を使った格闘術も少し教わっていたりする。
と言うよりは「やれ」と言われたのでやっているのだが。
-
>>2033
「でしょー!尊敬していいよ!」
ダメだ堪えてない。
「っていうかさ。クォヴレーって何目指して鍛えてんの?」
と素朴な疑問を。
-
>>2034
「……あはは」
ちょっと笑う少年。
ドヤ顔が少し面白かったようである。
「……憧れてる、人が居るんだ……本の中に、だけど」
「だから、それに近付けたら、って。 ……それと、銃が好きだから、格好良く使いたくて。」
「……力があったら、誰かを、守れるしさ」
子供っぽいような、そうでもないような。
-
>>2035
「あによーぅ?」
ジト目で頬を膨らませる。
「ふーん。じゃ、将来は軍とか警備隊とか?」
特に茶化すこともなく再び問い掛ける。
-
>>2036
「ん……自信があって、いいなぁ、って」
此方は常に何処か自信なさげである。
「も、良いけど……旅を、してみたいな、って」
「――色んな場所を、見てみたいんだ、砂漠でも、草原でも、海でも」
「色んな場所に行って、色んな事を知りたい」
「それで、色んな人と、会ってみたい」
-
>>2037
「まぁね!!」
この謎の自信はどこら湧いてくるのだろうか。
「旅かぁー。いいね、そういうの」
珍しくふざけることもなく、微笑みながら。
-
>>2038
「……ちょっと分けて欲しいぐらいだよ」
がくーん、と肩を落とす。
よくよく考えると女の子に体術負けた事に……。
「……うん、夢、なんだ」
「――槐は、何か夢って、あるの?」
-
>>2039
「クォヴはもうちょっと自信持っていいと思うけどねー。ま、精進精進!」
ポン、と肩に手を置いて。
「んー? アタシは今は特にないかなー。
トレジャーハンターも目標であって夢ってわけじゃないし」
-
>>2040
「ん……頑張ろうとは思ってるんだけど」
頬を気恥ずかしげにかいて、一息吐く。
生来の気質もあるし、いかんともしがたい。
「そっ、か。
……なんか、見つかるといいね、夢」
会ったほうが、楽しいだろうし、と。
-
>>2041
「んー。もっと実戦積めばいいんじゃない?
闘技場とかでガンガン戦ってみたら?」
絶対適当に言ってる。
「そだねー。見つかるといいなー!」
グッと伸びをしながら叫ぶように。うるさい。
-
>>2042
「闘技場…………は、あんまり、行かない、かな」
行きたくない――が、正解である。
実際に、闘うと、妙なのだ。度々、意識が翔ぶ。
その度に、勝ってはいるが。
……相談した事は、まだ無い。
「……何かあって、手伝えたら、手伝うよ」
「……無理なの以外。」
あっ、予防線貼った。
-
>>2043
「じゃあどうしようもないや」
匙投げるの早すぎるだろ。もう少し知恵絞れ。
「ほんとに? じゃあ頼りにしようかなー?」
ニヤァと笑いながら。絶対失敗した。
-
>>2044
「!?」
あまりの変わり身の速さにびっくりクォヴレー。
「ぅ。」
「……む、無理なの、以外、だから!」
予防線強化。踏み越えられそうな予感ぷんぷん。
-
>>2045
「だって他に思いつかないしー。ぷっぷくぷぅー」
頬を膨らませて。ウザい。
「うんうん!わかってるわかってる!」
酔っ払いの酔ってないよ、ぐらい信用ならない。
-
>>2046
「……ぷっぷくぷー、って。」
それはどうなのだろう、と思う。
いや、真面目に。
「大丈夫だよね、変なムチャぶり来ないよね……!?」
不安。 不 安 。
-
>>2047
「プリプリプーだ!」
小学生か。
「大丈夫だってぇー!安心していいよ?
うんうん、だいじょーぶだいじょーぶ!」
もはや不安しかない。
-
>>2048
「……時々子供みたいだよね」
何時もではないのだろうか。
「…………」
不安に顔面蒼白である。
いや、もう、ほんと、マジで。
-
>>2049
「失敬な!これでも発育良い方だよ!」
そっちじゃねぇ。
「グッフッフッフッフッフ……」
完全に悪い笑いしてる。コワイ!
-
>>2050
「そ、そっちじゃないからっ!」
慌てて眼を逸らす少年、耐性低いな。
「……ニンジャ、って、悪巧み得意なんだっけ……」
なんて失礼な事を、これはケジメ案件。
-
>>2051
「今はまだCだけどよりのCだ!今年中にはDになるし!!」
そんな情報を声高に叫ぶな。悪影響だから。
「ワルダクミダナンテソンナー」
なんという棒読みのお手本。
-
>>2052
「い、良い! 言わなくて良いからっ!」
知りたく……無いといえば嘘になるが言わなくて結構である。
と、言うかそんな事を言われると視線が……。
「ニンジャ、コワイ……!」
-
>>2053
「着痩せするだけだし!!」
わかった、わかったからパーカーのジッパー下ろすな。インナーは着てるけど。
「怖くないよ?優しいよ?」
ジグザール王立高等学校の生徒100人に聞きました。
本当だと思いますか?
本当だと思う…2人
嘘だと思う…98人
-
>>2054
「っ、脱がなくて、いいからっ!」
ばっ、と手を取って止める。
やめなさいはしたない。
「……嘘だ、絶対、嘘だ」
ニンジャ=コワイ=インシデント。
-
>>2055
「っていうか動いたから暑いんだもーん」
ぶーぶー言いながら脱ぐのはやめた。良かった。……良かった。
「まぁ、その時まで期待しててね♪」
クォヴレーは しのせんこく をうけた!
-
>>2056
「……あおいだげるから、やめて」
直視出来なくなってしまう。……手でひらひら仰ぐ、律儀。
「(……逃げたい)」
しかし にげられない ▼
-
>>2057
「うむ、くるしゅうない」
満足したらしい。
「ンフフフフフ……」
何か怪しげな笑い方してるし。絶対失敗した。
-
>>2058
「……男の人の前で、そういう事しない方が……」
「……あれ、これ前も言ったような」
言いましたね。
「……ほんとに、できないのは、やめてね?」
-
>>2059
「だから、クォヴレーなら安心だからねー」
それはそれで悲しい。
「だーいじょうぶだってぇー」
ニコニコ笑いながら。
無理なことはさせないが無茶ぶりはしそうだ。
-
>>2060
「っ、……ほ、ほんとに、襲うよっ」
むっとして言い返す。
そういう事言うとからかわれますよ。
「……お手柔らかにね。」
あ、諦めた。
-
>>2061
「ん? いーよ?」
いいんだ。 え?いいんだ!?
本気にしてないだけだろうか……。
「だいじょぶだいじょぶ!クォヴが嫌がるこさせないから、ね?」
小首を傾げてウインクしながら。卑怯だ。
-
>>2062
「ぅ、嫌がる事、はいいけど、さ……」
可愛い、と思ったのでしてやられる。
そして説教再開……が。
「……困るでしょ? わかったr…… !?」
予想していた返答と違って、喋った後に二度見。
いや、二度見。顔マッカにして二度見。
-
>>2063
「ん? 何々? どーしたの?」
ニヤニヤしながら顔を近付ける。近い。
-
>>2064
「っ……だ、だからっ」
ばっ、とエンジュの肩を掴んで。
……我慢してるのか顔は赤いが、離れはしない。
「……そういう、事、してるとっ
その……ほんとに、そういう、……変な感じに、なるからっ」
かなり近い距離で眼を見てそう言う。
……からかい過ぎても爆発しそうなのでよろしくない。
-
>>2065
「変な感じってどんな感じー?」
ニヤニヤ度を増して更に顔を近付けーー
「あ! 今何時!?」
急にバッと体を離して時計を見る。
「やっば……! ちょ、あ、アタシ帰るね!!
またね! 約束覚えといてねー!」
何やら大変慌てた様子で一目散に駆けて行った。
……今回は偶然だろうが、中々酷い仕打ちである。
-
>>2066
「……っ、だからっ」
ぐ、と肩を掴む手に力を入れ……
「……え、四時過ぎ――」
が、するーりと抜けられてしまって
「…………」
「なんだよ、もう……」
取り残されてしまった。
……クォヴレーェ……。
-
――王都 「永崎屋」
「まずいことに、なったんじゃよ」
いつになく深刻そうな表情――冷や汗すら浮かばせた状況で、鐘は突然そんな風に切り出した。
彼女がここまで余裕を失くすというのは珍しい話である。
「しかし、避けて通れぬ道であるのも事実じゃ。じゃが、タイミングがちょいと悪い……が避けられぬ」
鐘は刹忠の怪我を気にした様子で、膝をついて何回も頭を下げる。
何か相当な事態が起きていることだけは通じるだろう。
-
「やや。そう頭を下げなくても良い、でござるよ。
大変なのは伝わるでござるが、鐘殿が慌てていては拙者もどうにも出来んでござる。」
【直された和服は緩く締められている。
些か行儀が悪いが、きつくするとまだ傷に障ってしまうのだ。
治療した医者曰く塞がれば溶けて消える糸も、まだ消えてはいない。】
「……とりあえず、何があったかを話すでござるよ。」
-
>>2069
「……その。このお店の、先代。つまり、私のお父さんみたいな人じゃな。勿論実父ではないんじゃが、いやそうじゃなくて……」
「ヒサシゲおじさんと私なんかは呼んでるんじゃが、その、連れて来いと、言われてしまったんじゃよ」
彼氏の顔を見たい親といったところ。
実の父ではないにしろ、ジグザールにわたってからの彼女を見守り続けたのはその人物だ。
年増と言われる歳になってから数年も経過した頃に恋人が出来た鐘を喜ぶ一方、どういう男を捕まえたのか気になるのだろう。
「……その。こわーい見た目の人じゃから、けが人に会わせるには心臓に悪いんじゃないかと」
いつかは訪れるイベントなのだと刹忠自身もうすうすわかっていただろう。
が、こんなに急な話とは思ってなかったのではないだろうか。
-
「なるほど。鐘殿の。
ん?もしや、その〝連れて来い〟というのは今すぐでござるかっ?!
…………っ。」
【永崎の慌てぶりなどから見て、察しはついているが流石に驚いたようだ。
若干、キズのところを手で摩りながら、確認とばかりに尋ねる。
驚くのもそんなにキズに対しては、良くない。】
-
>>2071
「今、まさに、連れて来い、との知らせじゃ」
はらり、と彼女の手元から文が落ちる。
達筆な筆文字で、そんなことが記されているらしい。
「しかも私の同伴不可じゃと」
……本当に、傷によくないイベントになる恐れがあった。
-
「……な。拙者のみで、ござるかっ?
い、いやぁ、本当に傷に悪い……。」
【またもや、傷の部分に手を当てて。
開きはしないだろうが、驚くなどすればキズは痛むわけで。】
「つまりは鐘殿にそのヒゲシゲ殿の所まで連れて行ってもらい、そこからは拙者、一人……と?」
【同伴不可とはいえ刹忠はそのヒゲシゲおじさんなるものの住居は知らない。】
-
>>2073
「……場所は単純じゃ。この店を裏口から出て、左手に折れて、真っ直ぐ進めば職人街。この文にも、そこまで来れば、あとはこっちで誘導するとある」
はぅ、とため息をつく。
商工会に顔が聞く、いわばご意見役の一人なのだ、その人物は。
多少の無理、無茶は事前に根回しさえしておけばどうにでもなる。
……そんな、ワニの巣のような場所に恋人を放り込まねばならぬと考えると、彼女も胃が痛かった。
「まぁ、変なことには、ならんと思うのじゃがな」
「私、今回を逃すと、本当に……貰い手のいない年増じゃから、な」
それでも、何となく不安は残る。
-
「……なるほど。いやはや、試される、というわけでござるか。」
【自分のことがあちらにキチンと伝わっているというのならば
自分が呼ばれた理由は大体、察しが付く。
まして、父親代わりともなれば尚更である。】
「くく、これはまた、とんだ試練でござるなぁ。」
【しかし、うろたえたのは最初だけで話の全容が見えてくると
いつも通りの調子へと戻り、くつくつと笑って見せた。
剣や刀を扱う者、戦いに身を置く者であるから、ある程度、肝は据わっている。】
-
>>2075
「ええと、なんというか。怪我が開かんように頼むんじゃよ」
怪我が開くようなことがあると思っているのか、そんな事を言う。
刹忠が調子を取り戻したのにも、何かを感じ取ったのだろうか。
「……これを乗り越えれば、もう障害はないと思うんじゃよ」
多分。
身分がうんぬん、ということを気にするような立場でもない。
なので、これが最大の壁になるのではないだろうか。
-
「開きはしないでござろう。
あの医者の腕は卓越したものだったでござる。」
【自身のキズを軽くなぞるようにして手を動かす。
そうすると、立ち上がり身だしなみを整え始めた。
無論、和服に下はズボンという奇抜な出で立ちである。正装には向かない。】
「障害はもう一つばかりある様な気がするが……くく、今は無粋でござろう。」
【仮にもう一つ障害があるとすれば、それはこの間に交わした〝あの約束〟だ。
尤も、あの後から特に彼に動きはないのだが。】
-
>>2077
「……ええい! さっさといってくるんじゃよ!」
"もう一つの障害"といわれ、しばらくきょとんとしていた鐘だったが、意味がわかると顔を真っ赤にしてしまう。
この手のことは、経験がないのもあって不意打ちにはとことん弱いらしい。
「そのいぢわる癖を直してもらってくるといいんじゃよ」
ふんだ、と顔を背ける。
どうやら、彼女の緊張も解れたようである。戻ってきたときに取り乱すということもないだろう。
-
「……くく。心得た。」
【そんなやり取りをしている間に身だしなみも整ったらしく
きちんと立てかけてある自身の二本の得物も身に付けると、店の裏口へ。】
「んでは。いってくるでござるよ、鐘殿。」
【ちらり、と永崎の方へと視線を移し、軽く微笑むと裏口の戸を開けて出て行った。
一度、出れば後は教えてもらったとおりに進むだけである。】
-
>>2079
――刹忠が言われたとおり職人街の方まで足を向けると、どうにも視線がまとわりついてくるのに気づくだろう。
鍛冶屋の威勢のいい金槌の音が耳に響き、壮年の男性が小僧を怒鳴りつけて叱っているのも目立つ。
職人達が集まった、彼らの誇りと汗で出来た街に、その視線だけが異物だ。
今のところ、”ヒサシゲおじさん”なる人間の存在は認められない。
また、彼の配下だろう人間が姿を現すことはない。しばらく進むしかないのだろうか――?
【感知判定:物陰から、一人の男が棒切れで襲い掛かる機会を見計らっています。影に隠れた存在を見つけられる能力があれば看破できます】
【感知判定:今まさに叱られている小僧が、木槌を投げようとしています。叱っている男性もグルな様子です。この様子に気がつくことができれば、十分な余裕をもって回避可能です】
-
「(……いやぁ、殺気立っているでござるなぁ。)」
【職人だらけの中で、この剣士の存在は少々、目立つ。
そもそも、職人同士ならばネットワークがあるだろうから、刹忠がよそ者であることはすぐに分かる。
また、自身へと向けられている分かりやすい殺気に少々の疑問を浮かべながら歩く。
とりあえず、迎えのものとやらが来るまでは進むようだ。】
-
>>2081
まず、小僧が何かの拍子にすっぽ抜けでもしたかのような仕草で、木槌を放り投げた。
弧を描いて刹忠に飛んでいくソレを合図に――影に隠れていた男も姿を現す。
「覚悟ォ!」
飛び出して、角材に布を巻いたもので飛び出し、殴りかかってくる。
まだ若く見え、年は刹忠と同程度か。
-
「……む〜。」
【木槌が飛んでくるラインから身を逸らす。
そして、殴りかかってくる男を見ると、一瞬、視線を別のところに。】
「いやはや、危ないことでござるなぁ。」
【気づいていたため、対処も容易だ。
だが、対処する前に一瞬だけ、身を更にずらす。
そして、殴りかかってくる男の攻撃を避けようとし、適うならば避けると
同時に背を押して少しばかり、前に転ばせようとする。
なぜなら、自分の居るところに下手に留まるようにしてしまえば、木槌が当たってしまうからだ。】
-
>>2083
「ごべっ!」
男は頓狂な声を上げてその場に転倒。
少し遅れて石畳に木槌が音を立てて落下する。
「……すごいな。ヒサシゲ老の娘を射止めたってのは本当だったのか。見くびってたよ、すまねぇな」
小僧を叱っていた男性が、あっけに取られたように言う。
この区域を巻き込んで、刹忠の力量が見たかったかの様子だ。
「いやすまない。素人が下手な芝居を打って」
すっ転んだ男は、いててと打った腹を押さえながら、襲ったことを謝る。
-
「気にしなくとも良いでござる。
殺気はあったが、敵意というには弱かったでござるからな。
……が、木槌を投げるのは如何な物か。
そなた達は職人でござるのに、怪我をしたら危ないでござろう。」
【肩をすくめつつ、ちらりと落ちた木槌を見やる。
投げられた木槌がまともに当たれば、それなりの怪我になるだろう、と。】
-
>>2085
「それね、僕が作ったんだ」
と、投げた小僧が自慢げに言う。
小僧が木槌を拾い上げると、刹忠に手渡した。
「軽いでしょう? 中空洞なんだ、それ」
人に当たっても軽い音がするばかり。……少々ひりひりするかもしれないが。
なるほど、この小僧と男性の工房は木工細工であった。
「でもごめんよおにいちゃん。あたったらいたいのにはかわらないからね」
それから、改めて小僧は謝る。
「ま、第一関門突破ってところだな。俺らが今みたいに襲って、捌けたら通せって言われてるんだ」
ヒサシゲ老はここから真っ直ぐいったところに、不似合いな庭付きの家に住んでるからよ、と青年は言う。
-
「おや、拙者が気にしすぎただけであったでござるか。
なるほど。職人ならではの小道具でござるなぁ。」
【手渡された手作りの木槌の重さを確かめて、感心したように。
そして、それを少年へと返した。】
「これはまた……拙者がクエスターということがちゃんと伝わっているようでござるな。
……とはいえ、あまりに〝本格的〟過ぎるとこれらを振るってしまいそうでござる。
じゃあ、拙者は先に進ませて貰うでござるよ。」
【自身の得物である剣と刀、それぞれに手をやりながら。目つきが一瞬だが、剣士としての鋭いものへと変わった。
しかし、すぐにやんわりとしたものに戻り、軽く頭を下げてから、先を進む。
刹忠からすれば、ここが王都であるから、得物を使わないという考えが無意識に働いてる。
もしも、ここが安全という保障が無い場所ならば……斬っていたかもしれない。】
-
>>2087
「……あれが士(サムライ)ってやつか」
「おいアイツはネオベイ人じゃないだろ、どう見ても」
そんな職人達のひそひそ話を背に受けながら、しばらく言われたとおりぶらぶら歩いていると、本当にその不似合いな住居が出現した。
本格的な広い庭がとられた和風の造りとなっている。これを書院造というが、どうでもいいことか。
門扉は開け放たれており、刹忠を待ち構えているようですらある。
-
【どう見てもネオベイ人的な振る舞いをする彼だが、その実、全くである。
ネオベイ人の血なんて、一滴も入っていない生粋のネオベイ人だ。】
「……ほうほう、ここでござるか。」
【明らかに怪しい様子であるが、行かなければどうしようもない。
そのため、特に悩む素振りを見せずに進んでいく。
仮に罠を設定した人物が見ているとすれば、迂闊と笑うかもしれない。】
-
>>2089
庭先で待ち受けていた人物は、立派な顎鬚を蓄えた、禿頭の老人だった。
しかし、その眼光は鷹のように鋭く、何か武術をやっているのか、しっかりと筋肉がついているのがわかる。
「……茶ぐらい、出すのが礼儀なんだろうがな。生憎今日は釜の準備ができてねぇ」
「それに……オメェなら、茶の湯よりこっちのがわかりやすいか」
ぶんと、隠し持った木刀を刹忠の足元に投げつける。
それで打ち合え、ということらしい。現に老人はもう一振り用意していたのだ。
「まさか、老いぼれ相手にそいつを抜きたいと抜かすわけじゃ、あるまいな、若いの」
-
「……これはこれは。
滅相も無いでござる。平和な都にこのような得物は必要ない。
だが、これは拙者の分身の様なもの……無礼を許して欲しい。」
【もちろん、振るう気などは無い。
だが、これらの得物は単なる武器を越えた意味を刹忠にとっては与えるのだ。
そういうと、足元にある木刀をこちらも拾い上げた。】
-
>>2091
「ちぃとばかり格好つけてるが、所詮はジジィの太刀筋――」
「――それだけに、軽くあしらわねぇと笑われるぞ、若ェの!」
刹忠が木刀を拾い上げたのを確認すると、老人は勢いをつけて踏み込んだ。
老いをいささかも感じさせない速度で一歩を踏み込むと、まるで瞬間移動でもしたかのように一気に場を詰める。
実際には卓越した足裁きできちんと歩いていっているわけだが、その速度が見るものに錯覚させるのだ。
「イイイイイイヤアアアアアア!」
上段の大きな構えから、木刀は渾身の力をこめて振り下ろされる!
-
「…………。」
【あちらのスピードは問題ではない。
もとより、こちらも刀を扱い始めてから身を軽く扱えるようになった。
それは彼の師も太鼓判を押すほどに、である。
スピードは見切ることができる。尤も、先ほどとは勝手が違うため、受けざるを得ない。
速さは問題ないが、今は別の問題がある。それは――――――。】
「っ、ぐ……――――!」
【あちらの力である。振り下ろされる木刀を受けると同時に一瞬、腕が落ちかけた。
傷があるため、下手に力を入れられないのである。
とはいえ、それも彼は知っているため、傷を承知で力を込め、強く踏み込み、押し上げようと。
それと同時に足を掛けて、バランスを崩させようとする。】
-
>>2093
「――チィッ!」
結果として、刹忠の目論みは上手くいった。
今の振り下ろしに相当な力をこめて一撃での決着を狙っていたため、今のが凌がれると、このように後が無くなるものだったのだ。
傷があってなお、古強者の太刀を跳ね返したのはさすがというべきだろう。
ずどん、と大きな音を立てて、老人は空を見上げる形で転倒する。
「歳ァ、取りたくねぇな。鐘のやつが嫁入りするはずだわ」
老人は、その体制のまま、そうため息をついたのだった。
-
「……っ゛……。」
【見事、跳ね返せたようである。が、ズキン、と鋭い痛みが刹忠を襲う。
傷は開いていないとは思うものの、もう、あまり無理は出来ないだろう。
こちらはこちらでギリギリであったのかもしれない。】
「いいや、ご老公。見事な太刀筋であった。
……そして、お初にお目にかかる、ヒサシゲ殿。」
【木刀を置くと、膝をついて深々と頭を下げた。】
-
>>2095
「……話は聞いてるぜ」
よいせ、と体制を治して、あぐらで座るような体制に。
裾が汚れるが、大したことではない。
「怪我人にこうまでいなされて、ぐだぐだ言ってたら名誉にかかわらぁな」
「鐘を、俺ァ娘だと思ってきた。アイツが見合いを何回も断って、ついぞ選んだのお前さんだ。刹忠さんよ」
「……もうお前は息子も同然ってわけだ。精々孫を早く見せるんだな。クニの、本当の父母も喜ぶってもんよ」
少しの異論も無く、認める。
彼が言いたいのはそのことだろう。後半は、多少の意地悪が入ってるのかもしれないが。
-
「……かたじけない、でござる。
鐘殿を――――失礼。鐘さんを幸せにします。」
【そういって、もう一度、頭を深く下げた。
ここまで認められるとは思って居なかったらしく簡潔ながら精一杯に感謝の意とある種の誓いを示した。
まだ、本人にすら行ったことも無いような、そんなセリフだ。】
-
>>2097
「後日、改めて二人で来いや」
「――そん時は、釜の準備もしとくからよ」
次は、お茶でも飲みにこい。
不器用な老人は、そんな風に言うのだった。
「怪我人を引き止めて辛気臭いツラされてちゃかなわねぇな」
「おう。幸せにするのはそりゃ男の務めってもんよ。未亡人にだきゃすんじゃねぇぞ。地獄までおいかけてやるからな」
また一つ、刹忠はうかつに死ねなくなったわけだ。
中途半端なことをして死んでしまっては、本当にこの老人はあの世にだって追いかけてくる。そんな気迫があった。
-
「……心得ました。」
【当然、とでも言うように軽く頷いた。若干、普段の口調が抜けている。】
「鐘殿にも伝えておくゆえ、その時はよろしくお願い申し上げる。
そして、是非とももう一度、剣を交えさせて頂きたい。」
【傷が治ったときの話である。
彼からすれば、全快で無いときに挑むのは失礼に当たると考えているのである。】
-
>>2099
「――こんなジジィをもう一度こてんぱんにしようってか? そうはいかねぇぞ」
クカカカ、と愉快そうに老人は笑う。
次は勝つ。言外に、そう言いたいかのようだ。そして、妙な説得力もあった。
「……ったく。鐘のやつも、堅物を捕まえてきたもんだ」
そう吐き捨てるように言う老人の表情は、何故か満足げだ。
-
「勿論、拙者も手は抜かないでござる。
……尤も、ヒサシゲ殿相手には手は抜けぬでござろう。
だが、負けぬでござる。」
【油断はしていない。というよりするはずがない。そして、手を抜かないのはこちらも同じである。
それは、手心を加えることがどれほど、相手を辱めるかということを分かっているからだ。】
「…………では、拙者はそろそろ。」
【帰らねばならない。心配されていることには間違いないからである。
早く報告せねばならないだろう。
晴れてお許し(?)を貰ったわけであるし、これからは大手を振って歩ける、と。】
-
>>2101
「ああ。待ってるぜ」
やれやれ、と木刀を杖に立ち上がる。
「さっさと行きやがれ、鐘が泣き出す前に」
あいつはすぐぴーぴー泣いたからな、と遠い日のことを思い返しながら言う。
そんな童女が、気づけば……というわけだ。彼の言葉には嘆息が混ざる。
//では〆も良いのでこのあたりで! おつでした!
-
「……失礼するでござる。ヒサシゲ殿。」
【立ち上がり、頭を下げると来た道を帰り始めた。
とりあえずは早々に帰って、報告を行い、そして傷の具合も見なければなるまい。
というわけで、何とか試練を乗り越えた刹忠なのであった、FO】
//了解です。お疲れ様でした!
-
<永崎屋>
【あの突然の試練も乗り越え、晴れて公認の仲となった2人。
怪我のほうも大分、良くなったようで、もう復帰を考えているらしく鍛錬に行くことも増えてきた。
……ところで、今宵は満月である。
やはり、彼にとっては満月は特別な夜らしく、珍しく彼の方から酒に誘った。
それもどこに隠していたのか普段よりも上物の酒を持って。
曰く、満月の日はよく草原で一人酒としゃれ込んでいたとか。】
-
>>2104
「ほほう。面白いお酒じゃな。ハリマとは遠いところから来たもんじゃ」
やいのやいの、と酒瓶を見て言う。
上質なネオベイの澄み酒は、なんとも味わい深いものである。
「ふふん。先日の祝い酒ということじゃろか」
無事に認められた、と知らせを聞いたとき、彼女はほっとした顔を浮かべてから破顔した。
これでいよいよ、二人を止めるものなどいなく――いや、一つ残っていた。
-
「そういえば、その祝いはしていなかったでござるな。
まぁ、流石の拙者も全てが終わったときは、力が抜けてしまったでござるが。」
【何だかんだ大変といえば、大変であった。……まだ、大変なことは残っているが。
特に傷に関しては、無茶をしてしまい、実際、開きはしなかったものの痛みが増すことはあった。】
「それに……今宵は満月でござる。……ふふ。さぁ、鐘殿、まずは一杯。」
【と、鐘の物へと酒を注ごうと酒瓶を傾ける。
こちらにあるのはもちろん、彼が購入した月のタンブラーである。】
-
>>2106
「んむ。いただくんじゃよ」
こちらは自分用の切子のぐい飲みを使う。
やや小ぶりで、ショットグラスよりやや大きいぐらいか。
「ふふ。お月さんがまあるいと、刹忠さんもまるくなるように感じて好きじゃなぁ」
「んでは早速」
ぐい飲みに酒が注がれると、小さく舐めるように飲んでいく。
度が強いお酒なので、彼女が一気にやるとあっという間にへべけれになるからであった。
-
「そんなに普段は鋭かったかな、拙者。」
【ぽりぽり、と頬を掻く。
まぁ、剣客ではあるので、たまにそういう目をすることはあっただろう。
だが、永崎の言うとおり月の下では彼の視線は柔らかくなる。これは褒めて貰ったところだ。】
「とりあえず、拙者も頂くとするでござる。」
【と、自身のタンブラーへとお酒を注ぎいれると、舐めるというほどではないが
一気に飲むようなことはせずにゆっくりと飲んでいく。
今回、お酒の肴はないようだが、彼にとっては会話と満月で十分すぎるらしい。】
-
>>2108
「ぷは。ま、いつも優しい人だとは思うんじゃがな」
「――月が丸いと、何だか特別じゃ」
少しずつ、口を湿らせるようにして飲み進めていく。
それから、ゆっくりと刹忠に寄り添うように距離をつめてきた。
「んー。春が来たって感じじゃなぁ」
今宵はやや気温が高い。
窓を開けて夜風を浴びていると少し肌寒くも感じるが、近くに人がいるなら気にならないものだ。
そして、肝心なことだが、窓を開けていれば月も見えるのだ。
-
「拙者も。拙者にとっても丸い月は特別でござる。」
【ふぅ、と息を吐き出して。お酒によって、少しばかり温かくなってきた。
そして、寄り添われると殊更に温かく。
こちらも、それに答える形で身を寄せつつ、月を眺める。】
「で、ござるな。今年も桜は……綺麗でござろうか。
む。そういえばヒサシゲ殿から聞いたでござるよ。
鐘殿は子供の頃は泣き虫だった、と。」
【くく、と悪戯っぽく笑いながらふとそんなことを急に言い出す。
子供の頃の話で言えば、彼も迷子になって泣いていたのは違いないが。】
-
>>2110
「そうじゃなぁ。桜――満開の桜を見に行くのも、楽しみで……む、ヒサシゲおじさんめ」
余計なことを、と嘆息。
国でも別にちやほやされて過ごしていたわけでもなく、何度も衝突したが――。
この国に渡って出会った、まだ若い彼はそれこそ鬼のようだったと。
「あんな怖い顔で凄まれて泣かない女の子なんておらんのじゃよ」
老いぼれてああだったのだから、若い頃は相当な強面だったのだろう。
-
「拙者も同感でござるな。
実際、鬼気迫るものであったでござるよ。豪傑、という表現が適当でござろうか。
全快の状態で、お相手をして頂けるようお頼みしてきたでござる。」
【実際に、木刀とはいえその太刀筋を受けての感想だ。
悪いことをして怒られるとか、そんな次元ではない。
そして、ちゃっかり再戦の申し入れをして帰ってきたのであった。】
「そうそう。いくつか釘を刺されてしまったでござるよ。
一つは、鐘殿を幸せにすること。――仮に、鐘殿を未亡人にしてしまえば地獄の果てまで追いかけると言われてしまった。」
【やはり、認められたからであろうかそんな話までしてきたらしい。】
-
>>2112
「……元気じゃなぁ、おじさんも。あの人、素人のはずなんじゃがなぁ」
実戦は経験したことがないはず、とのこと。
趣味が高じてあの域にまで達したのか。若いときからずっと励んでいれば、大した人になっていたのかもしれない。
「ん、む。如何にも言いそうじゃし、やりそうじゃな」
「でも心配無用じゃろ。何せ、私の刹忠さんは不死身じゃから、の」
一杯も飲みきったころにはほろ酔いになったのか、そんな風に言ってくすくすと笑う。
-
「おや、何か武道の経験があったと見えたが……。」
【体格から見ても、若い頃は何らかの武術に励んでいたのだろうと
予測していただけに素人という言葉には驚いて。】
「もちろん。死に甘んじるわけにはいかんでござる。
ふふ、鐘殿が拙者の居場所を作ってくれたからでござるよ。
【少々、赤みが差してきた顔でにこりと柔らかく微笑む。
穏やかな月明かりの下の所為か、より柔らかく優しく見えるかもしれない。】
「……そして、一つは早く孫を見せろ、と。
あと、拙者を息子同然にしてくれたでござるな。」
【セリフとしては正に認めた証である。些か気が早い気がするが。
………気がつけば、刹忠のお酒もいつの間にか空となっていた。】
-
>>2114
「ネオベイじゃ武道は男子の嗜みの一つで、実践されるかどうかはまた別の話ってのも珍しくないんじゃよ」
確かに彼に心得はある。
が、それは言わばスポーツのレベルで、ということだ。
実際に刀と刀で切り結ぶということは無い。あくまで一般人というところ。
「ま、まーごー……」
確かに言いそうだ、と頭を横に振る。
「で、子作りに励みに来たってところじゃろか。くふ。おじさんの話などせんでもよかったんじゃがのう」
刹忠を見上げながら、悪戯っぽく笑って。
-
「なるほど。実戦は伴わない……精神的なもの、でござるか。」
【それならば納得だと頷いて。
そういう意味では、あの勝負はやはりこちらに分があったのだろう。
ある意味では初めから勝負とか関係なかったのでは、と頭によぎる。】
「……む。いやぁ、やはり拙者にムードは無理でござった。
満月も覗き、許しを貰え……と、状況は良かったでござるがなぁ。」
【観念したように後頭部に手を当てながら、バツが悪そうに。
やはり、剣の修行やネオベイに関してお熱だった彼に女性を誘うスキルはほぼ皆無に等しい。
故にムード作りは難易度が高すぎたようだ。
それでもタイミングなど彼なりに考えてはいたようなのだが。】
-
>>2116
「お月様を見ながらお酒を飲んで、までは良かったんじゃがなぁ」
澄ました表情を浮かべて、余裕のある素振り。
その通り、と迫られたら抵抗できた自信はなかったのである。
「話題選びが失敗じゃ。おじさんにそそのかされるがままみたいじゃしな」
「……ま。そういうのは抜きにしても、ずっと”おあずけ”が辛かったりは、しないんじゃろか」
あんまり欲求不満で過ごすのも身体に毒じゃないか、と。
-
「……むぅ、面目ない。
いやはや……拙者が学ぶことはたくさんありそうでござる。」
【ふぅ、と肩を落としながら。何せ、彼からすれば覚えることは目白押しだ。
ネオベイ語にそろばんに……そして、今回新たに女性の誘い方が加わった。】
「目に毒な光景は多々、あったでござるからなぁ。
とはいえ、この間の怪我とヒサシゲ殿の呼び出しで、そう感じる暇も無かったでござるが。
……あいや、もちろん鐘殿は魅力的でござるよ?」
【同棲をしてていくら色々あったとはいえ、暇が無いというのは些か失礼では無いだろうか。
と、自分が失言したと思い、慌てて言葉を続ける。】
-
>>2118
「……ぷっ、くく」
空回りというべきか、いまいち弱気というか。
そんな様子の刹忠を見て、おかしそうに噴出した。
「そう思うなら、もう少し強引にしてもいいと思うんじゃがなー」
「くくっ。次が楽しみじゃから、今晩はおあずけ、じゃな」
それから、そんなことを悪戯でも思いついたかのように言うのだった。
-
「むむ、強引というとこんな感――――え?」
【色んな意味で素直な部分があるのは彼の良いところであり、悪いところだ。
強引に、ということでいつぞやのバレンタインのときを思い出しつつ
永崎の肩に手を片手を回しつつ、既に寄せている身を殊更に引き寄せようと。
しかし、その途中でお預けなんて言われてしまい、引き寄せた後に固まってしまった。】
-
>>2120
「――エサをとられたような子犬のような顔を、しおって」
かわいいやらおかしいやら、といった様子で引き寄せられた姿勢で笑う。
とても睦み事の雰囲気にはなれそうもない――が。
「本当に、私を大事にしてくれるんじゃな」
「この前の私の言葉を気にして、今のおあずけ、を気にして――本当に、かわいい人じゃ」
男として、かわいいという評価は如何なものか。
しかしそれに構わず、彼女は言葉を続ける。
「ずっと、意地悪しつづけたくなってしまうんじゃよ? 何がしたいか、はっきりしてくれん限りは」
――彼女は小さく息を呑んで、一寸、心を決めたような仕草を見せる。
-
「……むむ。」
【雰囲気作りに失敗し、セリフに失敗し……と良いところ無しである。
流石にこれに対しては返す言葉も無い。
抱き寄せた状態で、言葉に詰まるばかりである。】
「…………。」
【以前、このような話題を出した時、永崎はどうにも乗り気ではなかった。
乗り気……というよりも下手をすれば本当に嫌がってしまうのではないか、と心配するほどに。
だが、永崎の覚悟を決めた様子に表情がふっと和らいだ。
すると、体を動かして永崎と対面するような位置に座りなおす。】
「心得た。ならば、拙者と……一夜の契りをお願い申し上げる。鐘殿。」
【彼の場合、一度、定まればそうブレることはない。
そのため、先ほどまでの情け無い様子は今は皆無である。……ムードには欠けるが。】
-
>>2122
「――ん。私が間違っておったかもしれんのじゃなぁ」
「そう、堂々とされた方が――嬉しいみたいじゃ」
上辺の言葉を尽くすよりも、だ。
刹忠が四苦八苦してる様を見るのも面白いが、真剣に、ということなら。
言葉の修飾は不要なのだと、彼女は思い至ったようだ。
「お月様が見てる前で、恥ずかしい気もするんじゃが……」
「ま、その。……や、優しくお願いするんじゃよ」
頬を僅かに朱に染めて、静かに瞑目する――Fo
//ではこんなかんじで
-
「というより、拙者には向かぬようでござる。」
【まさか、ここまで自分では力が足りないとは思わなかったようだ。
それには若干、口惜しく感じている部分があるのだろうが、それはそれで良いかもしれないと
永崎の言葉によって、思わされる。】
「なぁに。逆に言えば拙者と満月しか見ておらん。心配はないでござるよ。」
【そういいながら、対面した状態から更に距離を詰めて行く。
やがてはゼロに近い距離まで近づき――――。】
「……ふふ、心得た。」
【瞑目した永崎にくすり、と笑いながらそう呟き。
お互いの距離をゼロにして――――FO】
//了解。お疲れ様でした!
-
――王都 某エリア
やや辺鄙なところに、そこはあった。
不恰好な四角いゴーレムが看板代わりの、工房兼店舗。それがこのゴーレム店だ。
名を”土人形”。原初のゴーレムは、土で作られたという逸話に由来する。
「姐さん、たこやきが焼けましたぜ!」
で、そこの店主は、自らの作ったタコ型ゴーレムにたこ焼きを作らせていた。
ちょっとしたおやつ代わりである。古いマフィアのスラングで喋るこのガードマンゴーレムは、彼女の良そうに反して不人気だった。
コレこの通り、材料さえあれば料理だって出来る頼れるタコさんなのだが、と彼女はぼやく。
「んー。かつぶしが手に入らないのが惜しいが、いやでも十分美味い。かつぶしも自作してみようか」
何とも平和な午後を、彼女はまったりと過ごしていた。
営業中なのだが、なかなか客がこないのだ。立地も悪ければ知名度も無い。
-
「…………。」
【そんな所に珍しい影が一つ。
持っている手帳と周辺を何度も何度も見ながら、何かを探し、歩いている。
歩いているのは黒髪にスーツ姿でメガネをかけた青年だ。
手にはカバンを持っており、いかにもビジネスマンと言った格好である。】
「……。(道を、間違った……かな。)」
【歩きながら、周囲をうろうろと。
ゴーレム店の文字だとか彼女の姿が見えていないのか分からないが
少し遠めにあるところで彷徨っている。】
-
>>2126
「そういえば、そろそろお客が来るところだったねぇ。ちょっと本来の仕事しててくれ。そろそろ近くにいると思うんだ」
と、軒先に白衣姿でふらふら出てくる。
すると、何やらうろうろしているスーツの男性がいるではないか。
「……何をぐるぐるしてるのかね。こっちだぞー」
おーい、と声をかけながら、ぱたぱたてと手を振る。
-
「…………ん?」
【声をかけられて、そちらの方に振り返り動きが止まる。
すると、再び手帳に視線を落とし、店やら茶子やらを交互に見ている。
そして、ようやく分かったのか、そちらへと歩み始めた。】
「ここだったのか。いや、地図を持っているというのに迷ってしまったよ。」
【たどり着くとふぅ、とため息を一つ。
しかし、地図を使って、ちゃんと周辺に来れていたのだから、地図は上手く使えている。
原因は以前にも触れた〝記憶障害の様なこと〟だろう。】
-
>>2128
「入り組んでるからねぇ、この辺りは」
「とりあえず、用意は出来てるよ」
そういって店に招き入れる。
まず、酒場で見た「アイーポッド」に、足を生やしたタコ型のゴーレムが目に入るだろう。
「いらっしゃいませ! いらっしゃいませ!」
威勢の良い男性の声で、挨拶だってしてくれる。
「それが売れなかった不遇の名機、でーびるふぃーっしゅだ。これこの通り、たこ焼きが作れるハイテク具合よ」
お皿に盛られた食べかけのたこ焼きを見せる。
これは、そこのゴーレムが作ったのだと彼女は得意げに言う。
-
「なるほど。これが本来の意図しているものなんだね。」
【タコ型のゴーレムを見て、納得したように頷く。
律儀にもその挨拶に軽く会釈をしつつ、招かれるまま中へと。】
「確かにラジオ機能を外した方が便利そうだ。
それにしてもタコヤキ、か…………タコを焼くとそうなるのかい?」
【と、見せられたたこ焼きを不思議そうに見ている。
どうやら、たこ焼きを知らないようだ。……あるいは忘れているだけか。
家庭教師というイメージに違わず、真面目なのかは分からないが露店街のほうにも行くことは少ないのだろう。】
-
>>2130
「私が作るたこ焼きは、勿論新鮮なたこやネギ類の野菜と、小麦粉と他秘伝の具材を用い、適切な温度で専用の鉄板にて焼き上げるのです!」
ゴーレムは得意げに語る。
強引に解釈するなら、タコのパイだ。
「まぁこれはネオベイの、それも一部地域でしか存在せんしね。慣れなければ生地部分とタコの堅い触感の不一致が嫌われるのだ」
よければひとつどうかね、といいながら自分も一つぱくり。
ちなみに、小さな二又のフォークで刺して食べるもの。
いましがたゴーレムが未使用のフォークを用意したので、食べたいなら食べれるが、やけどに注意だ。
「んであーいぽっどだが、これこの通り、きちんとある。鞄にでもつめこんどきたまえ」
ずずい、と新品のソレを取り出して渡す。
まだ木箱に入った状態である。
-
「……なるほど。珍し――――くれるのかい?ありがとう。」
【ゴーレムの説明を聞いて、何とかイメージは持てたようだ。
そうして、差し出されたそれを受け取り、自身も食べてみる。
恐らくは初のたこ焼き。意外と躊躇いも無く口にしてみる。
やはり熱かったらしく、軽く咽て手を口元に添えた。
だが、耐えられないものではなかったらしく、やがて飲み込んだ。】
「……中々、注意して食べなければいけないね、コレは。
あぁ、ありがとう。……いくらだったかな?」
【それを受け取ると、カバンに入れる。
そして、交代に財布を取り出すと、開きながら金額を問う。】
-
>>2132
「まぁこんぐらいだろうな」
相応の値段を提示する。
普通のラジオより大分割高といったところ。
「ところで、予算がつくならお勧めしたいゴーレムがあるんだがね」
それから、そんなことを切り出した。
-
「ふむふむ。それじゃ…………うん?」
【そういって、自身の財布からピッタリその金額だけを取り出すと差し出した。
そして、茶子の提案に金額を差し出しながら、首をかしげた。
自分にとってオススメなゴーレムとは何だろうか、と。】
-
>>2134
「実はこれもいまいち売れなかった、ガードマンゴーレムなんだが、応用してみた」
ぱちり、と指を鳴らすと、奥から駆動音と共に姿を現した。
背の高い、人間の形状をしているゴーレムだ。
金属と木材で作られており、肌までは用意されていないためか、あからさまにゴーレムとわかる。
ただ、頭だけは寂しかったのか、金髪のカツラを装備していた。
「”蒸留所の番人"と名づけてね。まぁ、そこのタコ君と違って、着実に戦闘を行うモデルなんだ」
「が、こいつは手先が器用で精密作業に向いているのを思い出してね。武装を全部オミットしてみた」
でもって、とペンと紙を渡す。
「メモをしたまえ。”あめんぼあかいなあいうえお”」
そう、彼女が号令すると、ゴーレムは言われたとおりのことを紙に書き出した。
「……とまぁ、秘書型ゴーレムとして運用できる。記録水晶で、映像と音声の記録と再生も可能だ」
ただし、アイーポッドとは比較にもならんほど高額だがね、と。
-
「ほうほう。本当に秘書みたいだ。確かにコレは僕向けかもしれないな。
特に映像と音声の記録・再生ができるところはありがたい機能だ。」
【現れたゴーレムの動きに感心しつつ、自身に勧めるのも納得であると。】
「でも、流石にそれの購入は難しいかな。
金額、というのもあるけれど僕は家庭教師だからね。
流石に秘書とはいえゴーレムを生徒の家に上げるわけにもいかないし
かといって、その家の敷地に置かせてもらうのも迷惑だからね。」
【金額以上に購入ができない理由があるらしく、購入には踏み切れないようだ。】
-
>>2136
「ふーむ……となればしばらく無用の長物だな。まぁどっかの商会に売り込んでみよう」
戻れ、と命じてひっこませる。
ついでにたこやきをつまむ。なかなか冷めないのがタコゴーレムの秘伝。
あっつあつ持続のとろっとろだ。
「ラジオが売れただけでも御の字か」
見ての通り貧乏でねぇ、と肩をすくめて。
-
「すまないね。気を遣わせてしまって。
学者時代の僕だったら、すぐに購入をしただろうね。
何せ、あの頃は誰でも良いから、手が欲しい時期もあったし。」
【昔のことをぼんやりと思い出しながら。
学者の時期というのは多忙だった様だ。少なくとも、彼の場合は。】
-
>>2138
「学者……私も大学の講師にでもなればよかったかな。ペズン先生がいる限り私はいらんと思うが……」
ぐう、と小さく伸びをして。
独立開業といえば聞こえはいいのだが、商才がなければこんなものだ。
「それにしても、よくまぁ私のところでラジオを買う気になったね」
オプション無しだと、いまいち便利でもないんだが、と。
-
「ゴーレムは技術職だから、たくさん居て困ることは無いと思うんだけどね。」
【だが、流石にこちらの業界については知らないらしく
そこまで知ったようなことはいえないのだが。】
「売り込まれることなんて、無かったからね。
家庭教師もそうだけど、特に学者に売ろう何ていう物好きは居なかったよ。
実際はそうでも無いんだけど、やっぱりみんな躊躇うんだろうね。
学者は良いものを持ってる、って。
それに君の場合はゴーレムについて楽しんでいることがよく分かるからね。
売れなくても廃棄なんかせずに改造して可能性を見出すところとか、僕は好きだよ。」
【諦めずに手を尽くすという姿勢が見て取れて、好ましかったようだ。】
-
>>2140
「年上の余裕かね?」
くっくっと彼女は小さく笑って肩を抱く仕草を見せる。
「まぁ、そうだな。ゴーレムを商売にするなんて、熱意がなければ不可能だ」
「……しかし、なんだね。客に聞くのも失礼かもしれんが、結婚とかしてないのかね?」
さぞいい旦那だろうと彼女は言うのだが。
-
「……諦めないって言うのは素晴らしいことだからさ。
学者って言うのは〝諦めない〟ことが前提みたいなものだからね。」
【何か新しいことを発見し、それを世に広めるには相当な時間と労力がいる。
その膨大な失敗に挫けない事は前提条件であると。】
「結婚かい?……結婚はしてないね。
結局は学者として、研究やらに身を捧げすぎてしまってね。」
【別に離婚をしたとか死別したとかそういうわけではなく、未婚のようだ。
よく職業と結婚するというが、彼もそのタイプなのかもしれない。】
-
>>2142
「ペズン先生も似たようなことを言っていたよ。"頭の中に広げた設計図が、上手く出力できないのはよくあることだ"」
「"ただ、諦めるな。見つかった問題をひとつひとつ潰し、君達が重い描いた世界を実現させるのだ。その時、君達の手元には最高のゴーレムがいる”……という風にね」
諦めない心は、大学時代に培ったもののようだ。
専門が違うためにナーブが彼女の言う先生の講義を受けたかどうかはわからないが。
「おや。それは……。まぁ、男の人は女と違って、そこまで焦らなくてもいいからね」
「私なんかはそろそろ鏡が怖くてだな。仕事上不摂生な事も多い。そうなると化粧も上手くのらんので化粧気が薄れる。そうなるとますます男は遠のくというわけだ」
このまま猫と結婚するかね、と力なく笑う。
-
「……良い先生だね。僕もその通りだと思うよ。」
「確かに女性は気を遣う頃だろうね。
中々、仕事と結婚するとも言い難いだろうし。
なるほど。技術職の宿命だね。依頼されればどんなことをしてでも
その期限までに仕事を終えなければならない。……なんだか僕も学者時代を思い出すよ。」
【と、語る彼は結婚について特に意識していないようだ。
男性だから、焦らなくても良い……みたいな達観でなければ自分はもう結婚できない
といった諦観でもない。……そもそも興味が無い、というようなそれだ。】
-
>>2144
「ああ。多少女癖は悪かったが、尊敬する先生だ」
今頃どうしていることだろうか、と遠い目。
「肌なんかぼろぼろでなぁ。ティーンだったころが懐かしいよ」
このまま劣化していく一方なのか、と深くため息をついた。
先日、友人と飲んだくれてた話題からも、焦っている様子なのは何となく伝わるだろう。
「……その余裕は何かね。故郷に許婚でもいるのかね。私より年上な割りに落ち着いてるが」
-
「ティーン、ね。」
【さて、自分はどうだったかなと記憶を巡りつつ。】
「いや、そんな結婚する相手なんて誰も居ないよ?
落ち着いているのは……結婚を考えていないからじゃないかな。」
【むしろ、そこまで尋ねる茶子に不思議な様子。
別に自分が余裕であるつもりは無い、と。
それも当然だ。何せ、考えていないのだから。】
-
>>2146
「私もそれぐらいの頃は、全く大した美少女っぷりでね」
得意げにそんな事を言うが、眉唾ものだ。
多分、今とそこまで変わらぬ変人がいたに違いない。
「気ままな独身貴族というわけか。羨ましいものだ。こっちなんかかつての学友からの結婚報告が届くたびに胸が痛むというのに」
あいつら容赦なくのろけるから嫌いなんだとかぶつくさぼやく。
-
「それなら、当時の周囲の人たちには目がなかったのだろうね。
僕みたいな研究一筋の人間でなければ、放っておかなかっただろうに。」
【へぇ、とその言葉を素直に受け止めている。
あまり人を疑わないというか、基本的に何でも受け止めている。】
「貴族、という言葉を使うのは適当ではない、かな。
僕が今の様な生活ができているのは学者時代のおかげみたいなものだからね。
もちろん、家庭教師もしているけど、僕の名前を聞いて
飛びつく生徒と離れる生徒の二極化しているし。
そういえば、学生ともなればそういうものが届くんだね。」
【外とのつながりが余り無いのかは分からないが、結婚報告という言葉に面を食らう。
そして、そんなものもあったね、と小さく微笑んで。】
-
>>2148
「そこそこモテたものさ。ははは」
乾いた笑いをする。
恐らく嘘八百なのであろう。
「評価がはっきり分かれるほど、名前に”ぶらんど”がつくとは羨ましい気もするね」
「ああそうだ。あいつらは人の気も知らないで……」
そんな風に、和やかに世間話は続いたという……fo
//すいませんがそろそろ限界なのでこれにて
-
「それほどなら、見てみたいものだね。
でも、モテたのにそこから関係は進まなかったんだね。」
【モテたというのならば、当然、付き合ったことはあるだろうし
そのまま関係が進めば、結婚もありえたかもしれないのに、と疑問に。】
「もう、名前での良い評価なんて無いと思ってたんだけど、勉強熱心な人は違うね。」
【……気になる表現かもしれない。
学者が家庭教師を始めたとあれば、名前で寄って来る人間は少なからずいるはずなのに。】
「自分の幸せは、やはり伝えたくなるものなんだろうね。」
【小さい笑みを浮かべながら、世間話を興じていたとか、FO】
//了解。お疲れ様でした!
-
<王都の路地裏>
「…………。」
【ボロボロの青いコートを着た金髪の少年が路地裏に座り込み、何やら食べている。
それはパンのようであるが、外に長時間放置されてしまっているためか、固まっている。
現にそのパンはフランスパンでも無いのに硬く、食べているというよりも齧っている。
若干、パン自体も汚く見える。……おそらくは拾ってきたパンだ。】
-
>>2151
「ちっか道、ちっか道〜♪
……んう?」
【夜の路地裏の奥から、周りに似つかわしくない明るく陽気な声がする。
声の跳ね方から、おそらくスキップでもしているのだろう。
ある程度近づいたところで、座り込む人影に気付き足を止めた】
「なにしてるのー?」
【能天気な様子で座り込んでいる人影をのぞきこんだのは、甘い香りを纏うツインテピンク髪の少女だ】
-
「…………っ」
【聞きなれない声に反射的に隅のほうへと移動し見つからないように。
だが、しかし、その行動が逆に自分の位置を知らせる結果になってしまい見つかってしまう。】
「別に。……何でもねぇよ。」
【と、ぶっきらぼうに返す。
逃げられなかったので、とりあえずは相手の言葉に反応はしているが
視線は周囲をちらちらと窺い、逃げ出せるように準備をしている。あるいは隙を窺っている。
いわゆるホームレス、というものであろう。
全体的に薄汚れており、ボロボロなど様々な意味で少女とは正反対である。】
-
>>2153
「そーなの?
寒くない?」
【中腰になりながら、不思議そうにホームレス風へ首を傾げる。
そのようすは天真爛漫そのもの。
だが、少女が動くたびに、まるで砂糖菓子のような匂いがする……空腹なら食欲そそられる匂いだ】
-
「……よ、寄るな……!」
【中腰になる少女に向けて、手を否定するように振りながら
壁に自身を押し付けるように。
手には先ほどから食べている硬くなってしまったパンである。
良い香りに食欲は誘われるものの、それを表には出さず。】
「別に俺は、大丈夫だからさ……。」
【と、根も葉もない言葉で遠ざけようと。】
-
>>2155
「……そうなの?」
【納得はしていないことを隠そうともせず、不満げな顔で首をかしげた。
かとおもえば、一人で腕を組みさっきとは反対へ首を傾げる】
「ん、んー……んー…………わかった!
お菓子落としちゃったんだ!
違う?」
【ひらめいた答えに自信満載。
手のひらをぽんとあわせながら、ホームレス風の影へと問いかけた】
-
「……いや、落としてねぇよ!」
【何とも見当違い……というかどこからそんな答えが沸いてきたんだ
とでもいうように、ツッコミを入れた。
パンを食べて、お菓子も食べたい。そんな状況ではあるのは事実だが。
もちろん、落ちているならば、拾って食べたいくらいである。】
-
>>2157
「だって、なんか元気なかったもん。
お菓子落としたら、わたしもしょぼーんってなるなる」
【その時のことを思い出したのか、(´・ω・`)な顔になる。
だが、それも束の間。
一転してニコニコと自分のポケットを漁り始めた】
「だからね、えっとね……あれ?あれあれ?」
【右のポケット左のポケット、上着のポケットスカートのポケット。
ニコニコ顔は段々焦りへと変わっていく】
-
「……な、何だ?どうした?」
【ぶっきらぼうなままに接したいたが目の前で少女の様子が
どんどん変わっていく様を見て、思わず尋ねる。
まして、変わる前がニコニコとした明るい表情だっただけに普段以上に。】
-
>>2159
【自身の体をあちこち探し回っていたせわしい動きがピタリと止まる。
そして、ゆっくりホームレス風の方へ顔を向けた】
「………………プーちゃんがくれたクッキー、落とした……」
【先ほどは『菓子を落とすとしょんぼりする』と言っていたはずだ。
だが、目の前の少女はしょんぼりどころか目一杯に涙をため、今にも泣き出しそうである】
「…………ごめんね。
プーちゃんのクッキー、分けてあげようと思ったのに……」
【さすがに高校に通っていてもおかしく無さそうな年頃にみえる少女が、お菓子を落としたことで泣くことはないだろう。
だが、目にみえるほど意気消沈している……】
-
「(プーちゃん?……友達か?)」
【泣きそうな表情になっていく少女を見て、一瞬、ギョッとした顔をする。
いくらどういっても、目の前で泣かれるのは流石に堪えるようだ。】
「ちょ、わ、お、お前の気持ちは分かったから、さ……。ほら、泣くなよ……な?」
【そして、放っておけずにわたわたとしながら目の前の少女を慰めようとする。
最初は離れようとしていたのに、今ではこちらから顔を覗き込む始末だ。
こちらは無論、ホームレスゆえに学校に通っていない。
通っているとすれば、同年代くらいであろうか。だとしても少年は少々、小柄だ。】
-
>>2161
「な……泣かないもん」
【慌ててごしごしと目をこする。
しばらくしてから、やっと顔をあげ、笑みを浮かべた】
「慰めてくれてありがとー。
今度はちゃんとクッキー持ってきてあげるね」
【……いつの間にか、クッキーをホームレス風へあげることが目的になっている!】
-
「…………よし。」
【ふぅ、と安堵した表情に。
泣かれるとこちらとしても居た堪れない上にいらぬ誤解を生みかねない。】
「いや、そんな……別に、良いって。」
【あくまでも申し出は断るというスタンスの少年である。
一方であちらもあちらで引かないようには見えるが。】
-
>>2163
「ダメだよー!
お礼はちゃんとしなさいって言うでしょ?
だから、こんど一緒にクッキー食べるの!約束!」
【頬を膨らませ、不服の意思表示。
見た目より幼い動作だが、少女はすぐに笑顔へと表情を変えた】
「プーちゃんのクッキーはすっっっごくおいしいんだよ!
楽しみにしててね!」
【そう宣言すると、大通りの方へと体を向ける】
「じゃーね、またねー」
【ぶんぶんと手を降ってから、大通りを目指し元気よく駆けていく。
元気よすぎて、ぷにぷにの絵が描いてあるクッキー屋の名刺を落としていった……色々落としすぎだろFO】
-
「……いや、だから……。」
【反論をするものの、もはや意に介さないという状態。
下手にアレコレ言っても、意味が無いと判断して黙ってしまう。
ふぅ、とため息を吐いて、どうしたものかと。】
「……あ、ああ。」
【勢いに負けて、約束を取り付けられた挙句に手まで振りかえしてしまう。
本来の彼ならば、ありえないことである。
そして、そのクッキー屋の名刺も何だかんだでちゃんと拾ったとか、FO】
//お疲れ様でした!
-
<王都近くの草原>
「いやはや、浸透してしまった文化とはいえ実に泣かせてくれるな。」
【王都の方から歩いてきたのは黒い法衣を纏った長身の男である。
法衣を着ているくせに下は青いジーンズと奇抜な服装だが、この男のフォーマルな格好だ。
髪は後ろで一つに纏めており、ポニーテールの様にしてある。
どうやら、買い物の帰りのようで手には少々、大きめの袋を手にしている。】
-
「やはり、先を見越して行動を起こしておくべきであったか。
……大所帯ともなれば、それ相応に準備を行わねばなるまい。」
【ポツリ、ポツリと独り言。今日はホワイトデーだ。
実は寺院にて身寄りのない者を匿っているこの男であるが、意外と几帳面らしく
イベントごとは大衆向けでも確実にこなしている。
つまり、持っている袋の中身はお菓子ということになる。
しかし、どうやら、タイミングを誤ったらしくお菓子を一定以上手に入れるのに、骨が折れたようだ。】
-
FO
-
【王都郊外/開けた草原】
街道沿いから少し離れた所にある拓けた草原。
何かの目印かのように木が一本立ち、大小の岩が転がっていたり。
木の傍には訓練に使われていたかのような案山子や、木に吊るされた板などがある……。
「……。」
その木に凭れ掛かってタバコを吸っている青年が一人。
どうやら、誰か人を待っているようだが。
-
>>2169
「待たせたわね、センセ?」
そこに現れたのは、ベージュのコートに、同色のハットを被った女性だ。左手には杖も持っている。
彼女はいわば魔術師だが、接近戦が何もできないのは困る、ということで護身程度のナイフ術を習うことを希望している。
杖術の方がよろしいのではないか、という意見もあるかもしれない。しかし、この杖には振り回せぬ理由がある。
――この杖にはランプがくっついているのだ。頭の部分に。
「よろしくおねがいしますね、センセ」
それから、そうぺこりと頭を下げるのだった。
-
>>2170
「言う程は待ってないさ。」
右腕で煙草を持ち、既に短くなっていたそれを放り投げる。
鉄底のブーツの踵で確りと踏み消し、凭れていた木から離れて。
「……硬くなられ過ぎても、困るけどね。」
「まぁ……今日は本当に、簡単な扱い方から教えるよ。 ナイフは、持ってる?」
言いながら、コートの裏からナイフを取り出す。
ちらり、とナイフホルダーに入れられた十本単位のナイフが見えた。
-
>>2171
「ええ。自前のを、いつもコートに隠してるのよ」
よいせ、と適当な岩に杖を立てかける。
それから、コートの背に仕込んだ隠しポケットからナイフを抜き、都合、左手を逆手にした状態で握る。
若干大きめのナイフで、形状はククリ型だ。ダガーという程大きくないが、ナイフより一回り大きい、といったところ。
「……両手、は現実味が薄いわよね」
もう二本ぐらい、コートに隠している。
大きさや形状はそれぞれ異なるが。
-
>>2172
「(坂手持ちのククリ型。 身を守るにはむしろ向いてる、か)」
此方が持っているのは何の変哲も無い。
十本幾らで売っている対獣護身用の既成品の安物、刃は厚めの両刃。
ごく一般的な扱い易いタイプの物だ。
「そうだね、魔術を使うのにもそうだし……」
「あくまで護衛なら、片手で使える様にした方が良い。」
それを同じ様に逆手に持ち、軽く振るう。
風切り音が小さく鳴った。
「数があるなら投擲も出来た方が良いけど、その辺りは追々かな」
-
>>2173
「投げナイフ! 殆どサーカスの領域じゃないかしら」
かっこいいのはわかるけど、と。
あんまり現実味を感じないらしい。
「そもそも右手は義手だからね。こっちは魔法の使用用に割り切るしかないかしら」
義手は確かに優れていて、不自由なく動かすことができる。
できるが、ナイフを振ったりするようなときに、どこまで作り物が信頼できるかどうかとなると話は別だ。
-
>>2174
「相手が大型の獣、とかだったら、毒を塗った物は有効だよ。」
「人間相手にも早い話、少しでも掠れば良いからね。」
麻痺毒、神経毒、睡眠毒。毒とナイフの相性は非常に良い。
とはいえこれも練習が必要だが。
「近接は、少しでも遅れると先手を取られるからね。」
此方の左腕は、戦闘用の義手。
平時は魔力を通しても動く、という事は無い。「武器」の一環だ。
「……さて、と。それじゃあ教えていくけど……」
「今まで、ナイフで人……じゃなくても、生き物を斬った事は、あるかな。」
-
>>2175
「ナイフのお世話になったことは……まだないわね」
「ただ。童貞じゃないわよ。変な言い方だけどね」
人を手にかけた経験はある、とのこと。
駆け出しとはいえ冒険者で、魔術師だ。その炎を暴力に変えたこともあっただろう。
「手も腕も切断された人間が今更怖がるなって、スプライトも言ってるわ」
-
>>2176
「それなら、充分かな。」
問題は躊躇無くそれを相手に突き刺せるか、
或いは「それ」を振るって斬り裂けるか、という事。
魔法であれ、何であれ、それが出来るのならば問題は無い。
「それもそう、か。」
「……それで解ってるとは思うけど、ナイフは……パメラのはククリ型だから少し別だけど。」
「基本的な殺傷能力、っていうのは低い。」
「だから懐に飛び込まれた時に如何に相手の急所……関節や、顔。」
「首なんかに突き刺せるか、って事が大事になってくる。」
「後は……後生大事に持ってても仕方ないし、抜くのにも力が要るから。」
「相手が一人なら一度刺したら手放す必要もある……まぁ、言葉で言えるのはこの辺かな。」
-
>>2177
「だから毒ね。首筋の薄皮一つ切り裂けば勝負あったも同然だし」
塗布用の毒を用意しておく。
これはなかなか有用なアドバイスだ。
「ただ、突き刺すのにも力が必要よね。勢いが乗っている時にしか狙えないわね」
「抜く……確かに難しそうね」
自分の筋量では恐らく不可能。
彼女はそう判断する。
-
>>2178
「例えば、今持ってるのは別だけど……僕が用意してる投擲用のは」
「全部違う種類の毒が塗ってある。 もしもの為に、ね」
流石に訓練用のには塗っていない。
新しく買ったやつだし。
「そうだね。 だから……相手が自分に接近して来た時を、利用する。」
「パメラは小柄で、魔術師だから。 当然近接以外に手段の無い相手は近付いて来るよね。」
相手が銃、或いは下位の魔術でも使えるのならば別だが。
そもそもそんな相手にナイフを使う暇は、素人には無い。
「だから基本的に……相手が来る場所をある程度読んで」
「その位置にナイフを”置いて”おくか、構えておいて大きく振るう、か。」
「その二択だね。」
「ククリナイフの場合は刺されば、そのまま力を入れて傷口を広げる、ぐらいは出来るだろうけど。」
-
>>2179
「置いておくっていうのは、ブービートラップって意味かしら?」
物陰や、ちょっとした見落としがちなポイントに刃物をくくりつけて罠にする。
彼女はそういったことを考えたらしい。
「刺してさらに突き入れるのはちょっと気味が悪そうね……。手の感覚が」
「……何よノッカー。別に怖がってなんかないから」
彼女に見え、聞こえる妖精に話しかけつつ、ナイフを掌で弄くる。
-
>>2180
「ちょっと違うかな。」
「相手が来る勢いを利用して、ナイフを構えて突き出しておくんだ。」
言って、ナイフを持った手を少し前に。
「それで、相手が来たら力を入れて押し込んで、離れる。」
「……確実に当てる方法としてはこれが最適かな。」
瞬発力も要るから、少しむずかしいだろうけど、と付け加える。
上手く行けば力が無くとも相手を利用して深く刺せる、という寸法だ。
「ククリは相手の武器を絡めたり……傷口を広げるナイフだからね。」
「どうしてもそういう使い方にはなるさ。」
ナイフにも様々な種類、用途が在る、ということである。
-
>>2181
「相手の勢いを利用するのね……」
「となると、突き入れるのは出来るだけ素早く、ね」
突進してくる相手を想定して構え、ナイフの射程に入ったら突き出す。
抜こうとは思わないで、ステップで後ろに下がる。
「……実際にやれるかしら」
構える、突く、下がる。
実戦なら直後に右手で魔術を発動することになるだろう。
-
>>2182
「僕も余り、力が強い方じゃないから、よくやるよ」
何方かと言えば細身の青年。長槍なんかを振れる程度に鍛えてはいるが。
「そうだね、一連の動作を手早く済ませて、下がる。」
「……基本の動きだ。」
「実際にやってみるかい?」
「少し怖いなら練習用でもいいし、そうでないなら、そのククリを使ってもいい。」
練習相手はまぁ、自分になるが。
当たるか当たらないかの所で止まれば良い。
-
>>2183
「……センセを信じてみるわね。ここで練習ナイフを使うのは、センセを信じてないことになるわ。不敬よ」
師であるレイジの力量に敬意をもって、今自分の手にするククリを使うことを決める。
万が一ということもあるのだが、彼女は幾分か情で動く傾向にある。そのための判断だろう。
「……こう、ね」
レイジに相対して、腰を落として、ナイフを腰辺りから構える。
ここから突き出したとなると、狙いは相手の脇腹ということになるか。
場合によっては右肺に刺さることもありえる。
-
>>2184
「僕も、余り強い訳じゃないさ。 慣れてるだけだ。」
真正面から戦えば騎士には到底叶わないし、冒険者に筋力で劣る。
暗殺者程疾くは無いし格闘家ほど頑丈でも無い。
……が、言うからには、大丈夫なのだろう。
「そう、それでいい。」
「……じゃ、行くよ――」
と。
合図をしてから踏み込み。
右手にナイフを順手に持って、それなりの速さで懐に飛び込んで来る……!
-
>>2185
(これが実戦、なら――)
最大の効果を狙うのが、得策である。
ならば訓練でも、それを狙っていくのが当然。
「――やぁっ!」
ズン、と右肺をめがけてナイフを突き出す。
素人なのでそこまで鋭い筋ではない。
-
>>2186
――とすん、と。
思い切り突き出されたナイフが何かに刺さる。
「……と。」
「こんな感じ、だね。」
羽織っているコート、それを挟んで腹部に確り……と。
刺さっているように見えるが……。
皮膚に突き刺さる前に、しっかりと止まっている
何故か、と問われれば……硬い感触。
「狙いも良いし、思い切りも良かったから」
「後は単純に練習……かな。」
コートの裏のナイフホルダー。
そこに装填されたナイフに当たって刃が食い止められているのである。
-
>>2187
ナイフの切っ先が何かに触れたので、一寸顔を青くするが――。
あまりに固い感触に、今度は目が点になる。表情がころころかわるひとだ。
「お、驚いたじゃない……」
ナイフを下げると、そんな風に大きなため息をついた。
-
>>2188
「信じてくれたんじゃなかったのかな。」
「これぐらいで、怪我はしないよ。」
くすり、と。 少しだけ娘をからかうように微笑う。
防具兼用なのだろうか……ナイフホルダー。
「まぁ、今のは刺さった、と思っちゃったからだろうけど。」
「後は離脱、かな。 こればっかりは反射でするしかないけど。」
-
>>2189
「空振りになると思っていたんだもの……!」
そうしたら、コートにまで食い込ませるとは。
これには大変驚いたようであった。
「あ。そうね……」
離脱を忘れていたことを思い出し、小さくうなる。
「今度は驚かないんだから! もう一度!」
それから、もう一回やることを提案する。
見た目より中々頑固で、向上心が高いようであった。
彼女の体力が先か、満足するのが先か。はたして――。
//ではこんなところで!
-
>>2190
「当たらないと、当てる練習にならないさ。」
口元を手で少し隠して、目を細める。
何処か楽しそうな様子はイタズラが成功した子供のようだ。
「今は良いけど、実践だと危ないから」
「気を付けないとダメだよ。」
唸るその姿に、コートの裾を摘んで直す。
……パメラが素人である事と、獲物が普通のククリだと分かっている事であって、普通はやらない。
どういう仕掛けがあるか解らないし。
「いいよ。 それじゃ、続けようか。」
……とは言うものの、……こうも練習熱心だと、
速い内に通じなく鳴ってしまいそうである……。
//アイオーツ!
-
<王都近くの草原>
「あ、あぁ…………甘いものが……ふふ。
は――――はははは、なんて、甘美な琥珀色……とろける様な至高の感覚。」
【体中のいたるところが濁った蜂蜜と化している少女が彷徨う。
節操無く毒になるほどの甘い香りを撒き散らしながら、幽鬼の如く。
顔の一部も蜂蜜に侵食されているが、それでも笑顔は張り付いたまま。最早、狂喜である。】
-
「ふふふ、時間的には……そろそろ来るかもしれない、ですね。」
【蜂蜜でゆがみつつある体を操り、適当にうろついている。
以前は、ちゃんとした少女の形をしていたため、自身をエサに人を襲えたが今は無理である。
その姿は何時ぞや噂された〝蜂蜜の化け物〟の二つ名に相応しいものに変わり果てている。
そして、ただでさえ甘い香りがより濃く、強くなっており、ほとんど自分の存在を知らしめているようなもの。
だが、彼女はそれを〝分かっていない〟らしい。】
-
「…………来ませんねー。」
【だが、待てども待てども獲物となる物は来ない。
今の彼女の状況から見れば、当たり前である。
すると、少女は今度は別のポイントへと移動し始めた。
どうやら、人が通りやすいポイントというのをある程度把握しているらしい。
変化しつつある体を引きずりつつ、夜の闇へと消えていく。】
――――……
「……仕方があるまい。この際、あの小娘でも良かろう。
知らぬ中ではあるまいし、の。」
【そんなメヤズの姿を見つめる三本足の影があったとか、FO】
-
【なんかいろいろあったあとの続き】
「うおっと!?」
動きに合わせられるように繰り出されたサマーソルトを顔をのけぞらせてぎりぎり避ける。
一瞬反応が遅れてたら顎を持ってかれてた。実際ギリギリであった。
「……ッ。
んじゃあ、こいつだぁ!」
修行をしたと言ってもなんだかんだ言って遠距離攻撃はおまけであることは変わらない。
故に、得意距離で戦うために懲りずに接近して再び殴りかかる!
今度の一撃は体制を低くしての正拳突き。カウンターを貰う前に一気に踏み込み、放とうとする算段だ。
-
>>2195
トン、と軽やかに後方へと飛ぶと共に両腕を広げてから交差させるように振るう。
すると負の衝撃波が打ち放たれる。
空中でソニブまでかましてきやがる、これだから昔の溜キャラは!!
-
「………ッ。
クッソ!めんどくせぇ!」
これまたきれいなカウンターをもらい、衝撃を感じながらも踏ん張ってこらえる。
……戦法が気に入らないのか見てからにイライラしている。
それでも、遠距離攻撃の打ち合いでは勝ち目がないのはわかっているので又々接近することになるわけで。
-
>>2197
ヒト?「…」
ヒュンヒュンと続けざまに魔弾を放ってはバックステップを繰り返す。
足を止めない事にはジリジリと削られていくだろう。
…なんだか寒気までしてくる始末だ。
-
「………てんめぇ!このっ!」
本来なら別の手段を取るべきなのだうが、頭に血が上っていてそのまま魔弾にも臆せずに突っ込み続けている。
といっても、向こうがバックステップでこっちのダッシュと並べるレベルの早さなのでは付け焼き刃の手段など意味もないのではあるが。
立ち止まっても遠距離からちまちま攻撃食らうのは目に見えてるし。
寒気も、あったまってる様な状態では気にする余裕もない。
「逃げんなあああ!!」
魔力を足に集中させて、一気に開放させる。
一瞬ではあるが爆発的な加速をして一気に迫ろうと!
-
>>2199
ヒト?「!?」
さすがにその加速は予想外だったらしく。
これといった迎撃もなくすんなりと接近することに成功!
ついに雪がちらほらと降り始めた。
-
「糞がぁ!」
急な加速を試みたのは数少ない回数。
だが、それでも確実に侵負の姿を捉えることはできた。
勢いのままに、怒りのままにヒトの頭をつかもうと手を伸ばす!
思考はすでに、掴んだ手を地面に叩きつけるところまで考えている。
-
>>2201
女「…戦いの中で自身を見失ってはいけない」
唐突に聞こえた声と共に一気に周囲の気温が下がった。
パキパキとビートや侵食されたヒトの表面に氷が張っていく。
-
「……ッ!?」
突如として聞こえた第三者の声によって半ば凍らせられてしまったビート。
下手に動くと自身に攻撃が飛んでくることを考えると静かにすべきなのだろう。
「………だったら何だよ……!」
ぎゅっと拳を握りしめて、動きを止める。
なぜ、自分まで止めるか分からないが向こうがどうにかするのだろう。
-
>>2203
女「加えて今、君が闇雲に傷つけようとしているのは侵負に害されただけの罪なきヒトだ」
ゆら、と姿を現したのは襤褸を纏った煌めく銀の長髪を持つ細身の女。
女
「竜のチカラを備えているな?
であれば、すべき事は目の前の者を救う事であって叩きのめすことではない」
-
「……………。」
言っていることは正しい。故に腹が立つ。
苛立ちをどこにぶつければいいのかわからなくなるから。
「………んで、どうすんだ?
コイツも一発ぶん殴らずに浄化しろってことかよ。」
イライラが抜けきらずに、目の前の女性に八つ当りする始末。
よほど、目の前の侵負に思うところがあったようだ。
-
「……………。」
言っていることは正しい。故に腹が立つ。
苛立ちをどこにぶつければいいのかわからなくなるから。
「………んで、どうすんだ?
コイツも一発ぶん殴らずに浄化しろってことかよ。」
イライラが抜けきらずに、目の前の女性に八つ当りする始末。
よほど、目の前の侵負に思うところがあったようだ。
-
>>2205
女「その通りだ。何だ、分かってるじゃないか」
にっこりと女が笑った。
察しの良い生徒を見る先生みたいな感じであった。
女「それとも私がやろうか?実のところ実戦で闇掃いをした事がないんだ」
-
「……………。」
八つ当たりしても気にしないような態度が、余計に苛立たせた。
……めんどくさい人間であることは一切変わっていなかった。
「………はぁ……好きにしろよ。別に失敗したら俺がやるからさ。」
実際、頭に血が上っていては侵負と相対するのに良くないはずだ。
ぶつける先がない苛立ちを持て余している自分では失敗するだろう。
頭を荒っぽく掻きむしりながらそう言うのであった。
傍から見れば、拗ねているようにも見える。
-
>>2208
女「よし、では失礼するぞ」
パリン、とビートに纏わりついていた氷が砕け散る。
どうやら目の前の女が操っていたのは間違いないようで。
女「闇掃い『氷結』!!」
ヒト目がけ掌底を繰り出す女。
ドスン、という音と共にヒトの全身に衝撃が走り、
何かが後方へと吹き飛びながら凍りそして砕け散っていく。
そのまま倒れこんだヒトにはもう負の気配がなくなっていた。
-
「ん、お疲れ様。
こんなに手際良くできるやついるなら、俺はもういらんかね。」
皮肉混じりに自嘲しながら、そんなことを言うのであった
実際、殴ることしかできない青年より動きを封じてそのまま浄化できる彼女のほうが正しいのだろう。
纏わりついていた氷がなくなると安心したようにため息を付くのであった。
……実際、彼女が来なかったら怒りのままに殴りまくっていただろう。
-
>>2210
女「ふぅ…こんな感じでいいのだろうかアッテネ殿?」
老女「そうだねえ、そんな感じが何時でも出来れば合格だねえ」
女が視線を向けた先には
両手で杖を突きつつ歩く全体的に丸い印象を受ける猫背の小さな婆さん。
魔法杖の名工、イッパイアッテネが居た…
-
「……んぁ?婆さん?
なんでばあさんがここにいるんだよ。
と言うより知り合いなのか?」
こんなところに婆さんがいること、そしてなぜか知り合いであったことに驚いている。
冷静に考えれば婆さんと会ってなかったから何かあってもおかしくはないのだろうがそんなことに頭を回せる余裕はなかった。
なぜか、自身の苛立ちを収めようと必死だったからだ。
-
>>2212
老女
「まあ色々あってねえ…
ビートちゃんは……ああ、もしかしてオパに用があるのかい?」
女
「ビート殿はオパ殿のお知り合いか?ふむ、奇遇だな。
私達も今からオパ殿に会いに行くところなのだ」
-
「……ああ、オパさんに会いに行こうかなって思ってたが……
そっちも、なんか用事があるのか?」
ある程度落ち着いたのか、苛立った様子もなくそう尋ねる。
といっても、心のなかでまだまだくすぶって入るが。
「ん、そういえば、そっちはなんて言うんだ?
さすがにお前呼ばわりだと気分も良くないだろうし。」
-
>>2214
老女「暫く王国を離れてたからねえ、今どうなっているか色々と聞いて回ってるのさ」
うんうん、と女が頷く。
老女「姫ちゃんは姫ちゃんって呼ばれてるんだよ」
女「その…まあ、銀の姫と呼ばれている」
-
「ん、婆さんなんかあったのか?
大方、そっちの嬢さんと関わってたからだろうけど。」
「………銀の……姫?
え、通称じゃなくて、名前が銀の姫なのか?」
-
>>2216
老女「色々対策を練りながら知り合いの所をね」
何かいろいろあったらしい事はうかがえる。
姫「あー、まあ、通り名というか、その…兎も角そう呼ばれているんだ」
-
「なるほどなぁ、婆さんも色々やってたんだなぁ。」
「……んー、そうなのか。
つっても銀の姫だと長いわ語呂が悪いわでメンドクセェし……銀、うん。
俺は銀って呼ぶわ。姫って呼ぶとなんかキザっぽいしな。」
なんと呼ぶのか少し考えた後、ありきたりなあだ名を付ける。
-
>>2218
とまあそんな感じで話は次回に続く…
-
>>2218
さてそんな訳で一気にヒトが増えた。
なんと当初の三倍である!
オパ「そりゃ一人が三人に増えたんだからそうなるわな」
銀「何の話だろうか…?」
アッテネ「姫ちゃんは気にしなくていいんだよ…さて、かくかくしかじかでね」
オパ「成程なあ…つまりこのお嬢ちゃんが前に侵負を退けた功労者か」
そうして小屋に辿り着いた矢先に爺と婆が話し始めたのがつい先ほど。
なんか妙な事を言っている。
-
「ん、銀って侵負とやりあったことあるのか?
婆ちゃんが入ってたことを考えるにこれが初陣と思ってたんだが。」
三人の会話から気になったことが聞こえたからか横から口を出す。
実践で闇祓いしたことがないというだけで戦ったことはあるのだろうか。
自分が手も足も出ていない故にアレがないと同しようもないと思っているのだろう。
-
>>2221
?「いや、引っかかる所はそこじゃあねえと思うんだが…」
オパ「ん?」
アッテネ「おんや」
銀「どちら様か?」
不意に上のほうから声がした。
見ると木の上に狂気の瘴気を発し風無く棚引く長い黒マフラーを纏う三白眼な黒髪の青年。
ムゲンだった。
ムゲン「退けたって言ったな?そりゃ何十何百じゃきかねえほど前の事だった筈だが?」
-
「え、ムゲン?
……なんでお前ここにいるんだよ」
木の上を見上げればそこには意外な人物
またいきなりやって来たと嫌そうに見ている。
「いや、オパさんの家に来た侵負を追い返したってことじゃないのか?
いや、お前が思ってるような規模の話だったら……って前にも湧いたことあるのかよ!」
-
>>2223
ムゲン「つーかお前、未だに自分が何を相手にしてるのかの情報も収集してねえのかよ」
すたっと地に降り立ち呆れた様子でビートを見ている。
オパ「ふむ…というか質問には答えてやらんのか?」
ムゲン「あ?…まあサンの奴が妙な気配を感じるってんでな、来たまでだ」
アッテネ「おや、そうだったのかい」
ムゲン「つーか婆さん、母さんが探してたぞ。ほっつき歩きすぎだろ」
アッテネ「そりゃすまんかったねえ…色々声をかけてたものだから」
ムゲン「結果として集まってるのは爺三人に其処の何だか分からない女か?」
銀「…何だか分からないと言うのは心外だ」
-
「いや、調べるって言って簡単にわかるんなら苦労しねぇよ。
つーより知ったところで倒せなきゃ意味ねぇしな。
最終的に詳しいやつに色々聞けばそれでいいだろ。」
とりあえず目の前の敵を倒すというスタンスのようだ。
「………俺が爺呼ばわりされてるにしても頭数に入れられてないにしてもムカつくな。」
-
>>2225
ムゲン
「その他人任せっつーか全部放り出すのやめろよな、少しは自分でも調べろよ…
適材適所つったって集団行動してんだろ?」
やれやれ、と溜息をつきつつ。
ムゲン
「お前はそもそも婆さんに声かけられてねえだろ…
なんだ、随分喧嘩っ早さに磨きがかかってねえか?余裕ねえな相変わらず」
オパ
「しかし随分と詳しいな…要は俺とキンバルトと玄の事を言ってる訳だからな。
どこで聞いた?」
ムゲン
「そりゃ色々昔の事を調べりゃ出てくるさ、かなり苦労はしたが不可能じゃあねえ」
-
「俺みたいに知識ないやつが一から調べるよか詳しい奴から聞いたほうがいいだろ。
何なら、お前が説明するか?」
あくまでスタンスを変える気は無いようで
物言いからして説明してもらえるとは思っていないようだが。
「……負けに負けっぱなしで色々むかっ腹が立ってるんだよ。
余裕なんて強い奴だけが持ってるもんだろ?」
-
>>2227
ムゲン
「敵を知り己を知れば百戦危うからずって言うだろーが。
お前が負けに負けっぱなしなのは其れが理由じゃあねえの?」
オパ
「そうは言うがな、侵負なんてのは大体が相手として悪すぎるもんだぞ。
正直なところ、俺だって上位の連中相手でどうなるか分かったもんじゃない」
ムゲン
「そりゃビートへのフォローかい?
確かに特定手段でしか相手にできない存在ってのは対峙するものとして最悪だが。
それって別に侵負に限らねえだろ。
戦う事を生き残る手段として選んだんなら其れなりの事をすべきなのは当然だろーが」
銀「…うーむ」
アッテネ
「まあまあ、その辺でいいんじゃないかねえ?
ムゲンちゃんだってヒトのことは言えないでしょう、ねえ?」
ムゲン「………そりゃ昔のことだろ。今は違う」
-
「知ってたところで地力がなければどうしようもねぇっつう話だよ。
敵知っても勝てねぇ相手ばっかなんだ。強くなること考えるのは当たり前だろ?」
それを知るための情報収集なのだろうが色々いらだちが抜けきってないビートはそんな反論を返す。
要するに気に食わないから反論しているのだ。
「………」
それでも、アッテネにたしなめられればそれ以上何も言えずにどこか釈然としない様子で黙りだす。
-
>>2229
ムゲン「…まあ、いい。何がいるのかは確認できたしな」
銀「ちょ、ちょっとまってくれ!」
不機嫌な顔でその場を去ろうとするムゲンに銀の姫が声をかける。
ムゲン「何だよ?」
銀「その…なんだ……私はどう見えているのだろうか?」
ムゲン「ん…?ああ、そういう事か……別に気にすんなよ、アンタはアンタだ」
そういうと今度こそ去っていく。
銀「ちょっ……むぅ」
オパ「?」
アッテネ「…」
-
(………碌に知ってること言わねぇのに偉そうなこと言うなよ……。)
ムゲンが去っていったのを睨みながら確認するのであった。
ムカつくから言うことを聞かない、質の悪い人間なのである。
「んで、そっちの用事もさっさと終わらせたらどうだ。
銀の疑問も、それでわかるかもしれんしな。」
-
>>2231
爺&婆「「かくかくしかじかまるまるうまうま…」」
何やら近況を報告しだす二人。
色々喋っていてよく分からなくなってくる。
銀「…しかし、色々な人が動いているのだな」
流れに乗れてない娘一人。
誰にいうでもなくつぶやく。
-
「まぁ、色々いるなぁ。アッテネさんの弟子っぽい魔女とか
塾の連中とか教会の連中とか。研究所っぽいところの奴もいるな。」
こっちもこっちで話に乗れてない馬鹿一人。
銀の呟きに乗るように話しかける。
「はっきり言って俺より強いし頭もいい連中ばっかりだ。会ってみるといいさ。
……ただ俺とは気が合わない奴もいるが。」
騙そうとしていた賢女の奴らとか初対面の印象からして最悪なクソ神父とかいろいろ思い出してしまい、ため息をつく。
……銀の気にしてる内容によっちゃあクソ神父に狙われるんじゃないか。そんな偏見があった。
-
>>2233
銀
「魔女と教会…は分かるが塾に研究所?
皆、目的は侵負を退けるというものではないのか?
共通の目的を持っていて気が合わないというのは不思議な話だな…」
首を傾げる娘。
-
「………研究所は何考えてるのか全然わかんねぇなぁ……俺は調べたくねぇしなぁ………。
侵負植え付けられて酷い目にあったし。」
過去で暴走したことを思い出して苦々しい顔になって
「まぁ、なんだ。相手が気に入らないから組まないんじゃないのか?
なんだかんだ言って、人間ってそんなもんだろ?」
-
>>2235
銀
「目の前に脅威が迫れば手を取り合って立ち向かうのが人間だろう?
呉越同舟などという言葉もある」
不思議そうにビートとの話を続けるのであった、今日は此処まで
-
「……実際、手を取り合えるものかね。」
それを信じられないのか複雑そうにそんなことを言うのであった。
なにせ、一部の人間とは共闘しなきゃいけないような場面でもできるか怪しいと思っているところがあるのだ。
割り切るしかないのはわかっているのだが、いざその場面になれば感情を優先してしまうかもしれないし。
「あぁ、そうだ。お前らはこの後どうするんだ?
どっかに行くんだとすれば、ここでお別れだろうけど。」
話している内容が嫌なのか、別の話題を話そうと話を切り出す。
-
>>2237
「ん?ビート殿はこれから何をするのだ?」
急な話題展開にさして抵抗なく話を続ける銀の姫。
というか話す事自体を楽しんでいるようにも見える。
-
「まぁ、アレだ。もういっちょ体を鍛え直すさ。
アレ相手に苦戦してちゃあ他のやつに勝てる道理はないからな。」
アレ、と言うのはさっき戦っていた侵負のことだ。
そもそも遠距離攻撃が十分にできていれば楽に卸せる相手なだけに、悔しいと思うところがあった。
「……正直、何から手を出せばいいのかわからないが。」
が、魔力弾ならともかく他の魔法となると碌に使えなくなるというのは一度修行と称して特訓した際にわかっていた。
かと言って近距離を極めたとしても勝てるようになるかわからず、頭を悩ませていた。
-
>>2239
「鍛え直す?…体捌き等は確りしていたと思うのだが……」
首を傾げる姫。
そこそこ戦闘術を齧っているようで。
「寧ろその格闘術に合った術を練ってみてはどうだろうか。
そうだなあ……瞬発力など一瞬の爆発力を強化するような術だ。
相手の一瞬の隙を突いて間合いを詰め一撃必殺の術を叩き込む、中々格好いいと思うぞ!」
-
「……まぁ、いろいろかじってはいるが、まだまだだ。
師匠の拳にゃあ程遠いし、まだまだ詰められるところはあるだろ。」
そう言いながら深くため息を付いている。
身体能力を鍛える方面に特訓しても、意味が薄いことはわかっていた。
「まぁそうか。向こうの土俵に乗る必要はないと。
爆発力……一気に距離詰めるのは一応やってるけど、一撃必殺かぁ……。」
効率を考えてみれば、そっちの方面でのアプローチで鍛えることには納得した様子。
だが……
「………利き手に限界まで魔力まとわせて、殴るってのじゃダメか?」
問題の一撃必殺とやらが、なんか威力低そうだった。
-
>>2241
「うーむ、それだと華がないな!
せめてその纏わせた魔力に何かしらの形を投影するのはどうだろう?
何でもいいぞ?
そうだなあ…ビート殿は竜のチカラを持っているのだから
ベタに竜の頭部の形でも形成してみてはどうだろう?
序に相手に噛みつく様なイメージと音も出るようにして」
何気に複雑な注文をつける銀の姫。
視覚聴覚的な影響力はやや上がるが、
物理的なダメージには一切加味されないのが問題である。
物理的には。
-
「……手間の割りにゃあ得られるもんなんて威圧感ぐらいじゃねぇか。
そんなのやる奴なんて馬鹿か物好きくらいで全然いない………ん?
あ、待った。」
その言葉に引っかかりを感じたのかこめかみを軽く叩いて記憶を引っ張りだす。
確か、その魔術の認知度が低かったりすると侵負に対して有効な一撃を与えられるのであったか。
それが正しければ、それこそ"馬鹿か物好きしかしない魔術"は有効打になりえるのだろう。
「………うん、いいね。それ、採用。
音が出るかはわからんが、なるべくそっちの方面でも本気出したほうがいいだろうな。
えーと、なんだ。テンション上がってきてうまく言えないが……ありがとな。」
実際どこまで再現できるかは別として、有効になりえそうな魔術がわかり、内心高揚しつつそういうのであった。
そして、ヒントと言うか案を出してくれた銀に、口下手ながらにも礼を言う。
-
>>2243
「お役に立てて光栄だ。
よし、私も頑張って…こう……なんか出るような術を作るぞ!」
楽しそうに銀の姫が笑う。
そして少しアホの子っぽい。
「おっと、しかし使命も忘れてはいけないな。
先ずはトウテツ殿の行方を突き止めねば…
ん?それには教会の協力をあおいだ方がいいのだろうか…うむむ」
-
「氷なのか冷気なのか、どっちを操る術かは知らんが、結構応用効きそうだよな。
片っ端から凍らせてもいいかもしれないけど、床凍らせたりとか小回りも効きそうだし。」
……自分も使った言葉ではあるのだが、なんか出るというふわっとした表現に思わず苦笑いする。
他人の口から聞いてみれば想像以上にズッコケルような言葉なだけに、尚更笑ってしまうのであった。。
「使命、トウテツか……。うん、全くわからん。
まぁ、どんなやつか教えてくれりゃあ力になれるかもしれんぜ?
協会がダメだった時のために他の伝も教えられるだろうし。」
-
>>2245
「なるほど、我が道を作る、といった使い方もいいかもしれないなあ」
妄想広がリングである。
「トウテツ殿は鬼の面をかぶったヒトの姿をしている。
和洋折衷が好きな方でな、洋服の上から和服を纏っているのだ。
…まあ、趣味が変わっていなければ今もそういった姿をしているのではないかと思う」
-
「………うーん、心当たりはないなぁ……。
……もしかしたらってレベルだが、私塾の連中にゃあ知ってる人もいるかもな。」
あくまで、期待。でもネオベイあたりの知り合いは私塾の連中関係しか知らないのでそれしかない。
壮年が塾に戻って言えな、なにか知っているかもという期待を込めて、適当なメモに簡易的な地図を書いて
「……まぁ、それを知ってそうなところはこれくらいしかわからないな。
知ってる人がいればラッキーってレベルでしかないから、寄るのは最後辺りでいいと思う。
来る者拒まず去るもの追わずって所だけど、必要だったら俺の名前でも出してくれ。」
そう言って手渡すのであった。
-
>>2247
「…この私塾、というのは如何いったところなのだ?」
受け取ったメモをしげしげと見つめながら問う姫。
「そもそも何故侵負と戦うような事を…」
-
「……話聞いた限り、独自の魔術を伸ばしたい人や学びたい人が来るような場所っぽいな。
侵負とやりあってること以外はイメージとあんまり変わらんと思う。」
……なんかワームっぽい何かとかいるけど。とか言うと変な誤解与えそうだし、伏せておく。
「……なんで侵負とやりあうようになったかは俺にもようわからん………。
心当たりはあっても、憶測で言っていいことじゃないだろうしなぁ。」
-
>>2249
「ふーむ?……ん、質問ばかりして申し訳ないがビート殿は如何して戦っているのだ?」
ハタと気が付き姫が問う。
よくよく考えてみれば其々の動機が明確なようでそうでもない。
-
「んー、それはあんまり考えたことなかったな……。
いや、戦う気がないとか、そういう意味じゃないぞ?」
実際、見てみぬことができないから侵負と関わったとしても、今こうやって戦っている理由にはならない。
死にかけたり、化け物になりかけたとしても関わろうとするのは生半可な理由では無いはずだ。
ただ、それが自分自身でも分からないのか、しばらく唸って
「強いて言うなら………意地か?
気に入らないような奴が真正面から戦っててこっちはむざむざ逃げてるなんて情けないじゃないか。」
そんな、答えを返す。
ただ、その答えに自分自身で納得していないのか答えた後に再び唸っている。
-
>>2251
「戦う理由、というのはとても重要だ。
意思なきチカラはとても移ろい易い故に危険だからな」
そんな様子を見て銀の姫。
「そうだなあ…むむ!
……ではビート殿私が理由を作ろう。
私の騎士になる気はないか?」
名案だ、とばかりに笑顔で姫がのたまった所で今日は此処まで!
-
-廃墟-
「コホッコホッ・・・なんとか捲けたか」
廃墟の窓から外を見る真っ白な髪の女が一人。
この女、騎士や軍属の家族ばかりを狙う連続殺人犯であり、
未遂に終わった事件も含め既に10数件の事件に関与している極悪人である。
その為、その命に高額の賞金もかかっており軍、冒険者問わず様々な者たちから追われる存在である。
-
がた、と。
廃墟の外で何かの物音がする。
次いで、人の気配。
こんな廃墟に誰が来たというのだろうか。
-
「…ん?」
背丈は成人のそれであり、顔の右半分にある火傷の痕が凄みを効かせているが、
よくよく見るとその顔立ちに幼さを残している黒い洋服の上から白い着流しを纏う男が
ぶらりと廃墟に現れる。
「誰か居るのかぁ?」
-
「・・・チッ」
物音に気づき小さく舌打ちする女。
まだまともに戦えるだけの魔力も体力も回復していない。
窓を破り飛び出せばこの場から逃げる事も可能だろうが、
その音で折角捲いた連中に見つかる可能性が高い。
やむを得ず部屋の暗がりへ移動し、抜き身にしたままの長剣をゆっくりと構える。
-
>>2255
まだ乾いていない血が点々と一室へ続いて床に付着している。
確実に手負いの何者かが潜んでいるだろう。
-
>>2257
「…まあこんなところに潜むのは何であろうが訳ありだろうな」
ゆらゆらとのんびり廃墟の中へと足を運ぶ。
「鬼が出るかぁ、蛇が出るかってなあ」
-
「……ご挨拶だな」
「雨が降りそうだから軒先を借りたかっただけだが」
ぎぃ、とドアを開けて姿を見せるのは青いコートの男だった。
緑色の髪、腰には日本刀、鋭さのある雰囲気の男だ。
-
>>2258
部屋には抜き身の長剣を手にした白髪の女がいるだけだった。
右腕に包帯を巻いているので血は彼女の物だろう。
>>2259
「・・・そ。雨宿りなら他に部屋あると思うけれど」
全く警戒を解いた様子はなく長剣は構えたままだ。
どう見ても満身創痍だが隙は殆どない。
-
>>2259>>2260
「ん?そっちのネーちゃんはどっかで見た顔だな…
そっちのアンちゃんは……最近ネオベイブームなのか?
矢鱈カタナ持ちに会う気がすんなあ」
左手をあごに充てその場で突っ立つ男。
-
>>2260
「家まで歩いて帰るのも面倒でな」
「ついでに、……話に聞いたのが、どんな顔をしてるのかと思ってな」
どさり、女から離れた箇所……ドアに腰を下ろす。
はいた刀は、何処かで見たような気がする
。
-
>>2261
「ネオベイ人じゃなくても刀は使うさ」
-
>>2261
「この前の続きと言いたいけれど、ね」
限界だったのか長剣が手を離れ床へ落ちる。
>>2262
「成る程ね。
随分と御節介な知り合いがいたもんだ、あの師匠も」
刀を見、少しだけ警戒を緩める女。
どちらにしろ長剣を振り回すだけの体力も残っていなかったが。
-
>>2263
「そりゃそうだ。
でもよ、そんなに流通してるもんでもねえと思ってな?
剣の方が替えも利くだろうしよ。
つーか、この状況で腰が下せるってのは豪気だねぇ」
>>2264
「…賞金首が年貢の納め時ってか。
ん?俺は初対面だと思ったがな、誰か俺に似てるやつとでもやりやったかい?」
そう言いながらルシスへと近寄っていく。
-
>>2265
「人違いかもしれないな。
どうでもいい相手を覚えていられるほど余裕がないんでね」
右足に履いたブーツの踵をガリガリと床に擦り付けながら、
近寄られた分だけ後ずさりする女。
壁を背にすることになるが。
-
>>2264
「……そう言う街だからな、此処は」
「俺としては、人同士の連鎖には余り干渉したくはない、んだがな」
黒塗り鞘の日本刀、呪気を帯びたそれは静かに沈黙している。
……手を出してくる様子はないようだ
>>2265
「重さで斬る形の西洋剣より便利ではあるしなな」
「流通に関しては……王都ならよくあることだ」
「警戒する必要が無ければ腰は落ち着けられるさ」
-
>>2266
「おー、そりゃ同意だ。
どうでもいい相手のことなんざ、そりゃ忘れるな」
よっこらせ、と屈んで落ちた長剣を拾う。
「しっかしその状態で未だ観念はしねーのな?
執念深いって事なんだろうが…感心すべきか呆れるべきか」
>>2267
「技量のある奴の台詞だなあ……警戒する必要がねえ?
あれ、知り合いとかだったりするのか。
そうすると此処でこのネーちゃんフン縛ろうとするとアンタに斬られたりするか?」
-
>>2267
「それじゃ干渉して来ないで貰えると私としても助かるんだけどね」
ガリガリと右足のブーツを床に擦り付けながら女は言う。
>>2268
「約束を破る代わりに命続く限り誰にも屈したりしないって、
師匠のお墓に誓ったからね。最期まで私は戦い続けないといけないの」
女の右足のブーツから次第にキィィィィィンと耳障りな音が鳴り出し、
女がブーツを擦りつければ擦りつける程音の大きさが増していく。
-
>>2269
「生憎と、そうもいかん」
「……止めなくて良いから、見届けて欲しいと言われてな」
す、と立ち上がらずに腰の刀に手を伸ばす。
「序でに、……」
「助けられることがあるなら、助けてあげて欲しい、と」
>>2268
「そう言うことだな」
「今、そいつを捕らえるのなら……」
「本意では無いが、少し寝てもらうことになる」
-
>>2269>>2270
「…あ、うん、嫌な予感しかしねえ!」
わたわたと慌てた様子で立ち上がり数歩下がる。
それが咄嗟に出来た行動の限界。
-
>>2270-2271
「・・・ホント、余計な事ばかり」
そう言い右足を振り上げるとブーツの先端部から
魔力の砲弾が放たれ廃墟の天井へ大穴を空ける。
「・・・ダイムス!」
『・・・御意』
女の背後に両腕が剣のようになった魔人の姿が浮かび上がり、
女の体へ入るようにして消えると顔や露出した肌に呪印のような物が浮かび上がり、
そのまま天井に空けた穴から夜の闇へと消えた。
長剣は置き去りだがよく見ると市販されている量産物のようだ。
-
>>2272
「ーー〈黒桜〉。」
座った状態のまま、一瞬銀閃が閃く。
落下してきた瓦礫を弾いた、居合で、それだけ。
「……ギジ魔人化、か」
「もしもの時は……か、やれやれ」
闇に溶け消える姿を見送り、自分も立ち上がり消えた
-
>>2272>>2273
「…てっきり俺を八つ裂きにするような物騒なもんが出てくると思ったんだがなー」
ほへぇ、と気が抜けたようで天井の穴から見える夜空を見上げていたそうな。
-
久々に太陽の日差しを浴びた気がする、
【空想上の動物、麒麟にまたがって森のなかをあるく青年。】
-
>>2252
「意思なき力って……否定できねぇや。」
実際、そんな言われ方が気に入らなかったとしても事実なので強く言い返せなかった。
なにせ、自身の中でもいまいちわからないのだ。
「………騎士。騎士か!?俺がか?
んー、はっきり言って頼りないにも程が有るぞ?俺なんて。」
なにせ、勝つことも碌にないような人間だから。
他人を守れるような余裕なんて、自分にはないと思い、そう伝える。
-
>>2276
「ほらほら、そこで怯んで如何するのだビート殿。
我々は現状、既に侵負と関わりを持ってしまっているんだぞ?
こうなってしまった以上は強くなるしかない。
そして強くなるには何よりも先ず、自身の戦う意味を強固にすべき。
で、あればこその申し出なのだ。
なにも今すぐ強くなれと言っているわけではない…
だが同時に昨日よりも今日の、今日よりも明日の自分は強いと
自信を持てるだけの努力は要求するぞ」
-
「………戦う意味かぁ……やっぱりそういうの必要なのかね?
そんなこと考えるなら、堅田動かしてるほうが見があるかと思ってたんだが。」
こんな言葉を返すあたり、余裕が無いと言われる所以だろう。
「つまり、いつもどおりに動きつつ、そっちとともに動いてりゃあいいってことか。
……努力だけなら、他の連中にゃ負けないって思えるんだ。
それに、オパさんとこに行ったあと、何するかを全く考えてなかったんだ。
ある種、渡りに船って思えばいいかね。」
騎士と言ってもそんな大したものじゃないだろうと高をくくっているビート
故に、少し悩んだくらいですぐに了承するのであった。
-
>>2278
「よし、ではよろしく頼む、ビート殿。
互いに切磋琢磨し、侵負をバッタバッタと薙倒し、世に平穏を齎そう!」
そういって右手を差し出してくる姫。
-
「……薙ぎ倒せりゃあいいんだが。
平穏……あ、ああ、なにはともあれよろしく頼む。」
侵負を倒す、から先のことを考えていなかったようで、世に平穏をの辺りから困惑しているように見えるが、とりあえず握手には応じる。
「そんで、これからどうすんだ?俺はそんなのさっぱりだからな。
……まぁ、そういうのを決めるのは俺達じゃなくて向こうで話してる婆ちゃんたちだろうけど。」
そう言って、穴しあっているオパさんやら婆ちゃんやらをチラ見する。
-
>>2280
「トウテツ殿を探す。
それと現(うつつ)殿と虎龍(ころん)殿にもお会いしなければ」
ところが大体の目的は既に決まっていたようである。
婆ちゃんはあくまで付き添いなのだろう。
-
「……トウテツ、現、虎龍ね、三人か。
結構大変そうだなぁ……。」
手がかりもあまりない状況では、三人探すのは骨が折れるだろう。
それでも、明確な目標ができるのはいいことなのだろう。多分。
-
>>2282
そんな感じで今日はここまで
-
――テヴェレ市 テヴェレ学園敷地内 カフェ「ローズ・デ・トロア」
このテヴェレ市はテヴェレ学園というのは、巨大である。
市の中央に位置するこの学園は、行政機関も併設している。
で、あるため、学生や教師でなくても、解放されているスペースというのは数多く存在する。
商業区画に存在するこのカフェも、またその一つであった。
「やっとお昼休みですー……」
西国風のこのカフェはオープンカフェだ。
天気も良く風はやわらかで、気温も快適なほど。少しのんびりとお昼、というには最適であった。
そこに、一人のまだ若い、教師らしい人物がテーブルに突っ伏して一息ついている。
最近この学園にやってきた新人の一人で、慣れぬ環境に少し参っているようだ。
-
mob槍「いやぁ……まさか申請したら見学入れるとは。」
mob槍「新進気鋭とは言えちょっとザルじゃないですかねこれは、いや暴れないけども!」
独りで喋って独りで突っ込み、そんな街中を歩く不釣合いだかそうでないんだか解らない男。
全身をシルバーソル装備で固めた第一線ハンター……に、見える男、背中には大盾と突撃槍。
mob槍「けど負けないで俺、本名ラ\イソノーヤキューシヨーゼー/ト」
mob槍「ヴォルケンのアホより先に採用試験に受かればきっとバラ色だから……!」
何やら鎧の下でぶつぶつと喋りつつ、一先ずは昼食を求めてさまよっている。
周りで生徒が「あの鎧見た目はすげぇけど駄目オーラするよな」とか仰ってますよ。
-
>>2285
複数の視線を感じるだろう。
一般人のただの好奇の目線ではなく、訓練を受けた人間の冷たいまなざしだ。
……何のことはない。衛兵の目である。
「次は4限の大学部での講義ですね……一つ空くと助かります」
まだ少女にしか見えぬ魔女は、鳴るおなかを抱えながら注文が届くのを待っている。
彼女の燃えるような赤い髪は目立つだろうが、さて。
-
>>2286
「モッピー知ってるよ、ハンターは嫌われ者!」
でもめげない。けいかいのしせんは慣れているのだ。
そもそも地方によっては魔物よりも厄介者扱いだ。
「そしてアレに見えるは六魔女さん、ちわーっす三河屋でーす」
もちろん声を掛ける、覚えられてるか怪しいが。
-
>>2287
「えっ……あれ? え? な、なんでテヴェレに?」
話しかけられた彼女は、びっくりして身体を起こす。
まさかこの市にいるとは思いもよらなかったようだ。
「このあたりでお仕事ですか? あれ? でも、テヴェレでのハンター業は大体学生の実習にされてしまうはずでしたが」
-
>>2288
「あ、職探しです、あの、年なんで」
槌の人の様な華々しい引退など無い、普通に行こう、モブだし。
でもフル装備なのは習慣です。
「いやね、同僚が水の魔女さんに誘われてたもんで」
「先に就職しといてドッキリかけようかな、とね!?」
子供か。
-
>>2289
「はー……で、この学園に、ですか?」
確かに、ハンターの先生は最近高齢化が目立ってきており、人員刷新の時期。
若い先生を見つけるのは、この学園としても急務であるといえた。
「あの、いうほど、女の子のハンター志望は、そこまで多くありませんよ?」
妙な偏見で、そんなことをいう。
-
>>2290
「そうそう、講師募集してるって聞きましたからみたいな?」
「いやこれでもね、騎士学校とか行ってましたよ、我資格持ちぞ?」
なんか喋りがムカつくが驚愕(?)の新事実が。
「セクハラで捕まるのはノーサンキューで!」
「どっちかって言えば職場恋愛とか期待してます」
ダメだろ。
-
>>2291
「そうだったんですか? それなら、そうですね。面接のときの態度が悪くさえなければ、基本的には採用されると思いますよ」
何せ人がいない。
少年少女らに接させるのに不適当だという判断さえされなければ、まず大丈夫だという。
「何だか不純ですね……あ、きたきた」
話している間、彼女が注文していたランチプレートが運ばれてくる。
こまごまとしたものがこまごまとのっかているものだ。女の子の胃は小さい。
-
>>2292
「普段こんなんだけど真面目なフリするのは得意ですよ、ええ」
フリって言った。いや、悪人で無いのは確かだろうが。
色々問題だ。
「そもそもヴォルケンの邪魔が主ですし……あ、美味そう」
「魔女さん、相席いいっすか!」
臆面もなく。
-
>>2293
「え? 構いませんが」
あのゴツいのは誰だと質問攻めにあう未来が見えた。
が、ここで話していた段階でもうそれは決まっていたことか、とあきらめる。
「……普段からそれで通してるんですか?」
それ、とは鎧のことである。
-
>>2294
「美人と相席よっしゃ!」
ハーレン化が進んでいる気がする。
まぁ、この見た目は目立つ。
「あ、これ? いや、今日はちょっと気合入れて……」
「アレだったら脱ぎますけど、魔法でちょいと」
便利なの覚えてるな。
-
>>2295
「お世辞ばっかりなんですから」
何となくあきれたような様子。
「いや私は構わないんですけど、それで通してるなら疲れるだろうなって」
慣れてしまえば、というのはあるかもしれないが。
よほど軽い素材でない限り、どう言いつくろおうが重いものは重いはずだ。
-
>>2296
「いやいやいや、魔女さん美人ですて」
「どっちかって言うと可愛い系ですけどね、ええ、堪らんですわ」
ガッツポーズ。
「今日はアレほら、知らない所だから変なのに絡まれないように、みたいな?」
「そんな四六時中きてるわけでもナイですよ、と」
兜脱着。
魔法発動光と共に鎧も脱げて私服に。
-
>>2297
「でも、あなたより長く生きてるんですよ? 私。言うなればおばあちゃんです」
ランチプレートは野菜が多め。
新鮮な野菜で摂取できるビタミンは、多忙な学生やその教師の活力源である。
「便利な魔法ですね、これまた……」
どこか感心したように。
-
>>2298
「こんな可愛いおばあちゃんなら大歓迎って言うかおばあちゃんって言い方が可愛いよね!」
誰に同意を求めているのか。
槍の人(本名不詳)は肉が多めなのを頼んだようです。
「空間魔法の初歩の初歩の初歩の奴ですわー、色々しまえて便利!」
「まぁ鎧入れたら一杯なんですけども」
ダメじゃねぇか。
-
>>2299
「まったく、調子がいいんですから」
小さく嘆息。
「私たちは基本的に属性魔術一辺倒ですからねぇ……」
六魔女はそもそも兵隊の意味合いが強かった。
応用がきいて、いわゆる便利な魔法を習得しているのはリトスやカルディーネぐらいなものである。
-
>>2300
「調子の良さなら誰にも負けない自信があります」
「いや可愛いんは本当ですけどね、ホンマに
全開である、何故西部訛りなのか。
「俺は広く浅くですし?」
「一芸特化のが逆に色々出来てどっちでもいいんじゃないかと」
最前衛なのである程度以上の対応力が必要らしい。
それで色々覚えたとか。……意外とスペックの高い器用貧乏か。
-
>>2301
「そんなに褒めても何も出ませんよ?」
何を企んでるのかは知りませんけどね、と疑いの眼を向ける。
「案外、ハンター系科目以外も任せられるかもしれませんね」
何せこの学園は広大だ。
学べることは、数えきれないほど。
-
>>2302
「疑いの目線が出たよやったー(棒)」
「素直に受け取られないのも俺がモブだからか……何て時代だ!」
棒読み気味で言った後運ばれて来たランチに食い付く。
所詮はモブである。
「とりま武器全般と……座学?」
「その辺はお子様に教えるぐらいならどうとでも的なサムシング」
周りが全員一芸組なので必然的にこうなったらしい。
-
>>2303
「いつもそんなテンションだからです」
あっさりとそう断じられてしまう。
「へぇ……結構、教師としては文句なしなんじゃないですか? いや、私は採用基準まで知りませんけど」
「ともあれ、がんばってくださいね。きっと大丈夫ですから」
-
>>2304
「そら真面目にもできますけどもオリジナル自分で行きたいんですもの」
本当に出来るのか怪しいものである。
「ドヤァ……いやまー一個ガッツリ覚えてるのはやっぱ盾ですけどね!」
「オーケー美少女の応援ゲット、これは受かったわ(確信)」
-
>>2305
「もう少し軽く見られないようにするとか……」
いくつかの言葉を飲み込みようやく出てきたひとこと。
「……っと。じゃあ、私次の講義の準備があるので、失礼しますね」
時計を確認すると、俄かに焦りだして立ち上がる。
「今度はまたゆっくりできるときがいいですね、それでは」
大変大変、とあわただしく出て行ったとか。
//少々早いがこんなところで。乙でした。
-
>>2306
「んじゃ次会う時までに真面目なペルソナでも被っときますね!」
だがめげない。そしてこの発言である。
「ウーイオライッ、オッツカリャーッス」
「……さー、ちょいと真面目に試験でも受けるかー」
ランチをとった後鎧を着込み、男も歩いて行った。
……ちなみに、この一週間後にハンター学科に当然の様に一人講師が増えるのであった。ら
-
-王都前・関所的何か-
比較的自由な往来が可能な王都。
しかし何でもかんでも通してくれるわけじゃあない。
例えば人間になりすました悪意ある魔物なんかが容易に出入りできないのは、
こういった関所的なものがあるからに違いない。
兵士A「…どうすっかなコレ」
兵士B「いやどーするったって……えーっと、こういう場合のマニュアルとかねえの?」
そんな関所的な場所で二人の兵士が悩み唸っていた…
-
【王都内、中央広場】
「アリーナちゃんの言ってたこと、本当なら確かめないといけないですよねぇ。」
前にアリーナちゃんと話したことを考えるにクレドくんが無理をしているとのこと。
杞憂であってくれればいいのだが、あの口ぶりからそうではないのだろう。
クレドくんに真意を問うために王都に出たのだが………
「とは言ったものの、クレドくんってどこにいるのやら………。
パトロールしてるとしたら、どこにいるのかもわからないですし、クレドくんの実家も知らないとなれば待ち伏せもできないですもん。」
結局、どこを探せばいいのかわからず途方に暮れている。
歩き疲れ、広場のベンチに座ってぼーっとあたりを見ている。
-
――テヴェレ市 テヴェレ学園敷地内
「――よし、今日の分は終わりだ。
各自日課に課したトレーニングは忘れないように。
次回の教練以降は実施で獣竜種狩りに赴く、回復薬とモドリ玉忘れるな。
以上、解散。」
学園敷地内。――ハンター科の学徒と、新しく入った新任の教師――
ハンター科では主に「教官」と呼ばれる――教師が学園敷地の広場の一角で疲れた様子の生徒達に簡単な話を終えていた。
疲れた、キツい、ふるふる可愛い、等と言いながら散り散りに散っていく生徒達。
何人かは「教官」に幾つか質問をしていたようだが、それも終わりまたばらばらと散っていく……。
「……よし、次の実施講義の準備をしておくか。」
人が散って見えるのは金リオ装備に片手剣を装備した男。
誰あろう、つい先日試験にストレート合格した新任教官なのだが、知り合いは彼を見たら「誰だお前」トイウだろう。
-
//ファーwwwwww移動するザマスサーセンwwwwwww
-
「……っ、はー……っ」
「……ダメだな、もっと、ちゃんとしないと。」
と、そんな事を思っていると視線の端に見慣れた金色の髪が見える。
……が、その毛先は少し焦げていたり、纏っている軽装鎧も汚れが目立つ。
如何にも、何処かの帰り、というのが見て分かる、見知った騎士学科青年が、歩いていた。
-
「………あ!」
ぼーっとあたりを見ていたのだが、偶然にも探していた張本人を見かけると我に返った様子で立ち上がる。
このまま見失わないように小走りでクレドに近づいていき
「ちょ、ちょ待って!クレドくん!
どうも、私です。」
ある程度近づいてところで声をかける。広場で大声出しながら近づくのは目立つだろうし。
体力がないのか、そこまで遠いわけでもないのに息は乱れているが。
-
「……ジャキの奴……。」
小さく、苦虫を噛み潰すかのような顔をしている青年。
とはいえ一瞬の事だったが……。
「っと……コートニー?」
「わ、どうしたんだよ……大丈夫?」
呼びかけられ立ち止まり、疲れているのを見て駆け寄る。
心配そうに言った後、懐に持っていた携帯水筒を差し出す。
-
(…………えっ?)
その見るからに辛そうな表情は一瞬瞳に映るも、それにどう言葉をかけていいのかわからずに思考が停止してしまう。
「………あ、いや。お水はいいです。クレド君だって疲れてるんですから自分で飲むといいです!」
声をかけられてようやく気付いたようで、慌てた様子で言葉を返す。
少し喉は乾いているが、他人の水筒拝借するほどではない。
「その、クレドくんは仕事……いや、訓練帰りですか?
その格好、前にも見たことある気がするので。」
-
「いや、俺はいいよ、ちゃんと休んでから戻って来たし。」
けどいらないなら、と大人しく引き下がる。
行きを切らしているのだけ、心配そうだが。
「ああ、うん、手伝いの帰りで。
と言っても地方の村の方の手伝いで、自由参加だったんだけど。」
良い訓練にもなるから、と付け加えて鎧の煤を払う。
-
「なら、安心ですね……って言っても信用出来ないんですよねぇ。
クレドくん、結構根を詰めるタイプですもん。休んだって言っても少しだけかもしれないですし。」
じとーっと疑うような眼差しでクレドくんを見る。
アリーナちゃんからの話を聞いたから、なおさら怪しいところだ。
「また自由参加の奴に行ったんですか?
全く……たまには体休めないと、痛い目見ますよ?」
相変わらずのクレドくんの様子にため息をつく。
と言っても、出会った時の違和感を除けば、普段とさほど変わりないようにも見えるが………
-
「大丈夫だって。」
と、はぐらかすように笑って言う。
……が、明るい彼には珍しく、どことなく、陰がある。
「……ん、ちょっと、やりたい事があって。」
「その為に急いで……ってわけじゃないんだけど、ジャキよりは、強くなりたいんだ。」
ぐ、とまた陰のある顔で、拳を握る。
……まさか、アリーナの知らない所で何かあったのだろうか。
-
「……本当に、大丈夫ですか?」
影があるように見えるのは気のせいではないのだろう。
それなのに自分だけではなく、アリーナちゃんすら頼りにしてくれないのは、悲しかった。
「………珍しいですね。
ジャキさんにそこまで対抗意識を燃やすだなんて。」
総言葉を投げかけるコートニーの表情は、憂いを帯びていた。
恐らく、アリーナちゃんが言っていた危なげな部分とは、ここの事だろうと感じ取る。
詳しくは分からないが、恐らく何かがあって……ここまでジャキさんを意識するようになったのだろう。
……何かなければ、ここまで危うく思えるまでになっていない。
-
「……うん、大丈夫。」
「アリーナさんにも……コートニーにも、だけど、心配は掛けないって。」
ぽんぽん、とコートニーの頭にてを置いて軽く撫でる。
何だか、不安な感じだ。
「…………うん。」
「この間、ちょっと、喧嘩してさ。」
なんともまた、珍しい。
アリーナに効く限り二人の仲も良好に思えたが。
-
「………その手、私を安心させるという気でしょうけど……そうは行きませんよ?
そんな言い方されたら嫌でも心配するんですからね。」
頭を撫でられてもごまかされないようで、不機嫌そうな表情で撫でられている。
なでられること自体はきらいじゃないのか、心地よさそうな声を漏らしている。
あべこべな状態である。
「喧嘩、ですか?
……なんでそんなことになっちゃったんですか?
仲直りなら協力しますけど。」
アリーナちゃんから知ることができなかった情報を聞いて驚く。
……そもそも、あの三人は滅多なことがない限り喧嘩しないと思っていたのだが。
もしかすると、そのよっぽどのことがあったのかもしれないが。
-
「うーん……別に無理はしてない、って。
二人泣かせるのも嫌だからさ、だから大丈夫。」
強がり、にも思えるが気をつけているようにも思える。
……撫でるのは上手である、意外にも。
「ん、……んー、ん。」
「……俺がさ、突っかかるみたいな形になっちゃんだよ。」
ぽりぽり、と頬をかいて。
居心地悪そうにそんな事を。
-
「……少しでも無理してるように見えたら学校休ませて私と一日中遊ばせますからね?
んん……約束ですよ………ふぁ……くすぐったいです。」
不機嫌そうな表情は撫で続けられるうちに次第に柔らかくなっていき、態度にまで表れていく。
柔和されたと言うか、何というか。
というより撫でられて満更でもなさそう。声が漏れるのが恥ずかしいのか俯いている始末だ。
「突っかかった……ですか?
……デリケートな話ならいいんですけど、できれば………話してもらいたいですね。
誰かに話すと、楽になるっていうじゃないですか。」
居心地が悪そうなのは百も承知で、一歩踏み込んで話を聞こうと
-
「あ、それはそれで楽しそうだなぁ。
……ん、分かってるって。ありがと、心配してくれて。」
楽しそうだがそれ目当てで無理をしてもしょうがない。
心配を掛けないようにはしているのだ、自分なりには。
「ん、んー……。」
「……とりあえず、ベンチとか、座ろうか。」
コートニーなら良いかな、と一言つぶやいて。
頭を撫でる手を離し、近場のベンチへと。
-
「ん、それなら一度気晴らしに行ってみます?
今じゃなくても、精神的に疲れた時とかに気分転換が必要なときでもいいですから。」
楽しそう、という言葉に反応したのか、軽い気持ちでそう提案してみる。
実際、クレドくんのことは嫌いではないし、一緒にお出かけして買い物したりするのも良さそうだ。
「あ、はい。分かりました。
……ありがとうございますね。」
クレドの意図を察したのか、軽く礼を言いつつ後ろについていく。
-
「それも、良いかな。
偶には休んどかないと、本当にアリーナさんに怒られそうだし。」
怒る所は想像できないが……怒らせたらあの手のタイプは怖そうだ。
普段おとなしい人ほど、とよくいうし。
……と、言う訳でこの時間でも空いているカフェテリアの一角に座る。
流石にまだ寒い中ベンチに座らせる、というのも何だったので。
-
「それじゃあ決まりですね!そっちが誘うか、こっちが連れて行くかは未定ですけど!
アリーナちゃん、本気で怒った姿見たことないんですが……どんな感じなんです?。」
実際、静かに起こるタイプなのか激しい炎のように怒るタイプなのか知らないので軽い気持ちでそう聞いてみるのであった。
「あはは、ありがとうございます。
クレドくんって結構、気が利きますよね!」
椅子に座ってけらけらと楽しそうに洗って
-
「うーん……静かに怒るんだけど、怖いんだよなぁ。
小さい頃に、親に怒られたみたいな感じになっちゃって。」
それは、……大変怖そうである、一目見て起こっている、と分かるらしいし。
「遊撃騎士団の先輩に、そういうの厳しい人が居て。」
「それに女の子があんまり身体冷やしたら良くないし……っと。」
適当に珈琲を二人分注文して、一息。
「で……ん、まぁ、喧嘩の理由なんだけど、さ。」
-
「ふーむ、なんというか、アリーナちゃんらしいですねぇ。
とにかく、無茶苦茶怖そうなのは理解出来ました。私は味わいたくないですね。」
静かに怒るのをらしいと考えながらも実物は見たくはなかった。
「その人に言われたかどうかは別にして、外でこうやって気を配れるのがいいことだと思いますよ。
ダメな人はその人の前でしかいいとこみせようって思いませんからね。
あ、コーヒー代くらいは私が払いますよ。」
さり気なくクレドくんが注文したコーヒーは自分が払うと提案する。
自分が話を聞くなんて言わなければ払わずに済んだわけだし。
「ああ、はい。お願いします。」
-
「ああ、うん。 ……怒らせない方が良いし、怒らせたくないよ。
自分の事じゃ、絶対怒んないからさ。」
確かに……自分だけに限れば何をやられても笑ってゆるしてしまいそうである。
と、いうか彼女自身の事で怒らせるって可能なのだろうか。
「いや、いいよ。愚痴に突き合わせるみたいな感じになるし。
珈琲代くらいなら大した事無いしさ。」
やんわり、とそれを抑止。
……ほんとにこういう所の気遣いは流石である。
「……。」
「ジャキに、さ。カマ、掛けたんだよ。」
居心地悪そうに、そう切り出す。 と、いうと……?
「……アリーナさんがお前の事好きなのとっくに知ってるんだろ、って。」
Oh。
-
「それだけの優しさがあるからこそ、怒らせると怖いんでしょうねぇ。」
元々の器が広い彼女を怒らせるともなれば、その器から溢れるほどのものを入れることになるわけだ。
怒った時は怖くて当然である。
「あはは、それならごちそうになりますね。」
気遣いを無碍にするのもどうかと考え、好意を受け入れる。
「カマをかけた………あ、あぁ〜!
………うわぁあ。」
アリーナちゃんとの会話から過去に告白を行ったのを知っている。
つまり、カマをかけたつもりが地雷を踏み抜きに行ったとも思えるのだ。
……その気不味さははっきり言って何も言えなくなるほどであった。
ドン引きしているわけではない。そのどうしようもない無情な問題に頭を抱えたくなっただけだ。
-
「うん、……ジャキが、一回凄い怒られてたなぁ。
中学生の頃だけど。」
あはは、と笑って。ちょっと気まずくなったのをごまかすように。
「うん、うん。 ……うん。」
コートニーの反応を見て、うん、と頷いて。
「……そしたらさ、あいつ、何て言ったと思う?」
「”だからどうした”、って。 何でも無いみたいに、言うんだよ、それで……っ」
ぐっ、と拳を握って。 ……答え方にも、問題があったようだ。
-
「ジャキさん、怒られた時はすごい無茶したんじゃないんですか?
だから、そこまで怒られたんじゃ。」
クスリと笑い、そこまで怒られたで会おう要因を言い当てようと。
……と言うよりそれ以外に理由が思いつかない。
「はぁ…………ジャキさん……。」
あまりにもひどい返しに思わず眉間を抑える。
そんな言葉を返せば角が立つに決まっているだろうに。
ジャキさんの返しは問題はあれど、アリーナちゃんとの関係を断ち切るような発言ではない。
嫌っているか無関心であるのなら積極的に協会に来ることはない。
……友愛、というレベルではあろうが確実に好感は持っているはずだ。
「………ジャキさんはアリーナちゃんを嫌ってるわけじゃないですよ。
ジャキさんが不器用なのは、クレドくんが知ってるんじゃないんですか?」
クレドくんの怒りに火をくべるのは論外。真っ向から対立するのも論外。
さすればくれどくん自身に答えを見つけさせるしか穏便に済ませる方法はないと考えて、そう諭すように言う。
………自分はジャキさんではないので本心を聞くことも知ることもできないのだが。
【眠気が………後日、続きお願いします!】
-
//はあくおやすみ1
-
「ククク…… フフフ…… ハハハハハハ!!!」
紅い月が昇る、王都付近のとある森に、笑い声が響く
怪しげなローブ姿のその人物の立つ切り株の周りには、幾何学模様の魔法陣が貼られていた
そのローブ姿の人物の体からも、うっすらと紅い光が漏れる
「クククク…… 紅い月…… 良い…… 良いではないか……」
「下らぬ詩に辟易としたいたが…… 今宵は勘弁してやろう…… ククク…… アーハッハッハッハ!!」
-
「……………。」
その赤い光に向かい、叢を割る音が近付いて来る。
迷いを微塵も感じさせない、きっちりとした感覚で刻まれる音。
それは、明らかに魔法陣を目指して歩く者の足音だった。
-
「ふぅん。」
「月夜に随分な事をしているね。」
斯界の端に白いコートと、月光を反射して煌めく綺麗な金色の長髪が映る。
目を向けてみれば、長身の男。歳は二十代半ば、と言った所の青年。
「良ければ見学しても良いかな? 少し今日は退屈でね、」
-
>>2326-2327
「ククク…… 我が力に引き寄せられた夏の虫が約二匹……」
「だが我が力を見せられず残念だ、いやはや誠に残念だ………」
そういって不敵に笑いながら、地べたを這いつくばって触媒(やたら高い)を回収していく悪の魔法使い
はて、一番高い触媒はどこへ行ったのやら ちゃんと厳重に置いておいたのだが
「誠に残念ながら残念な事に興に乗らないという奴でな…… 残念な事に月にはまだ生き延びてもらう事にした……」
「ところで青いクリスタルのような物を視なかったか汝ら?」
-
「…………。」
ちらり、と方陣と、聞こえる叢の音。
そしてローブの術死を、順繰りに見た後。
「余り、期待したような物は見られそうにないかな。」
問に答えるでもなく、溜息。
-
>>2338>>2239
「…………。」
背の高い影が現れ、それが月明かりに照らされる。
優雅さを感じさせる様な、嫌味なくウェーブ掛かった金の長髪。
襟が口元まで届くモスグリーンの長い外套。
ソルビニアの出を思わせる透き通る様な白い肌の女性が、事の渦中に視線を送っていた。
「…………何をしているの?」
-
>>2339
「フ、フン…… あいにく貴様の期待に応えるためにやっているわけではないのだからな」
「全て我が崇高にして知的な、欲求を満たすための…… 行動………」
ガチな方の悪の魔法使いに背を向け、キョロキョロと森の方に目をやる
おかしい、風でどこかに転がっていったか? だんだん焦りが募って来た
>>2340
「フン、見てわからぬか愚民め…… いや、わからぬからこそ愚民だろうな」
「いいだろう、特別に教えてやる ……我が宿敵にして醜悪な愚詩の根源、月を破壊すべき術式を発動!」
「……させる事を一先ず延期しその後片付けをしているところだ」
「おい、貴様ここらでなにか拾っていないか?全て我の所有物であるぞ」
そして女にも目をくれず自分の予算のほとんどをつぎ込んだ媒体を探すローブ
-
>>2340-2341
「触媒を無くした魔術師さんが、困っている所だよ。」
女性の問いに青年がそう答えて、視線を自身の足元に巡らせた。
もう、魔術師の女性に対する興味は余り亡くなったが、触媒は少し興味がある。
自身がやって来たのも、その魔力に釣られてであるし。
-
>>2341>>2342
「…………成程。」
さり、とブーツを歩ませて更に数歩分の距離を縮める。
左右に隙無く視線を巡らせ、その後に視線を下へと落とす。
そこから再び踏み出して足並みを整えた所で
「……………。」
足が止まる。
-
>>2342-2343
Vanityのブーツの、本当に、本当にすぐそば
うっかりし踏み潰し、木端微塵に砕け散りそうになるほどすぐそばに、
角砂糖と同じぐらいの大きさの青色のクリスタルが転がっていた
小さな、魔石の中でも小粒の類の、小さなクリスタル
だがそのクリスタルからは、遠くの方からでも察知できる
強力な、破壊の力を感じる
「ふ、ふむ…… おそらく、この辺りに………」
そして、反対方向の茂みに頭ごと突っ込んで何かを必死に探している悪の魔法使い
-
>>2344
「……………。」
小さく眼を閉じ、軽い嘆息。
その後、静かに屈みこんでその蒼い燐光に手を伸ばし……一度止める。
内に秘められた破壊の力を察してかは分からないが、しばらくする内にそれを拾い上げた。
「…………あった。見掛けによらないわね。」
親指と人差し指でそれを摘み上げながら、悪の魔法使いに聞こえるぐらいの声で呟く。
-
>>2344-2345
「……粗悪品か。」
「これはいよいよ、期待はずれかな。」
女の拾った物と、無様な姿を晒している悪の魔法使い(笑)を横目に。
完全に興味を無くしたか、吐息を一つ吐き出して踵を返した。
-
>>2346
「……何処に行くの?」
いちいち疑問を投げ掛けねば気が済まない性分なのか。
冷徹に片足を突っ込んだ様な声で、金髪の青年に問うた。
-
>>2345-2346
「………!」
あった、の一言で茂みから凄い勢いで頭を上げた
茂みの枝に引っかかり、ローブのフードが破れそうになり……
危ない、深くかぶり直した
「フフッ…… まさか貴様如きが見つけるとはな…… 愚民と思わせ、魔眼の使い手であったか」
「そして粗悪品などではないぞ、これは…… まぁモノの価値がわからぬたわけなどどこにでもいるか」
踵を返すガチな方の悪の魔法使いを鼻で笑い、返してもらおうとヴァニラに手の平を出す
-
>>2347
「ああ、思った様な事にはならさそうだからね。」
「別の暇潰しを探しに行こうと思ってね?」
にこり。
笑顔を浮かべ、男はそう言った。
>>2348
「それぐらいじゃあ、暴走させた所で村一つ半分消し飛ばすのが精一杯だろう?」
「粗悪品さ、それじゃあ。もう少し質の良いものを使わないと。」
にこりとした笑顔のまま、男はそう言う。
何だか、怖気すら感じる程に、美しい笑顔にも思える。
-
>>2348
「……………。」
掌が出て来たは良いが、何かを考えている様子の金髪。
指に挟んだ姿勢のまま、しばしクリスタルを眺め
「…………。」
ひょい、と天へと掲げた。
170cmほどの体躯に腕の長さが合わさり、かなり高い所まで持ちあがっている。
>>2349
「…………貴方の退屈しのぎ、物騒なのね。」
恐らく、気付くだろう。
クリスタルを掲げた反対の手はローブの中に入れられており
且つ、その手の向きが青年の方へ向いている事へ。
-
>>2350
「……ふむ」
「そのような事はあまり感心せぬぞ、素直に…… わ、渡したらどうだ?」
背伸びをして精いっぱい手を伸ばし、青色のクリスタルを奪還しようとする
身長の時点で負け、腕の長さでも負け 届くわけがない
>>2349
「フッ…… 威力にしか目がいかぬとはやはり愚民か……」
「我が欲するのは飽くまで破壊の要素、量?どうとでも、なる…… も、もうちょっと……」
必死に手を伸ばす悪の魔術師(笑)の状態にしては、精一杯尊大な態度をとりながらも
こちらを嘲る悪の魔法使い(ガチ)に反論を続ける
-
>>2350-2351
「怖いな、僕は何もする気は無いさ。」
「ただ、眺めているだけだよ。――ああ、自衛はするかもしれないけれど。」
表情を崩す事なく――何かの動きを見せる事も無い。
気づいて、いないのだろうか。 それとも。
-
>>2351
「…………。」
ふぅ、と小さく口元に当たった外套が揺れた。
「……お礼、まだだけど。」
視線を悪の魔法使い(頑張って欲しい)の方へと向ける。
感情の薄い瞳が睥睨する様に見下ろす様は、少し迫力がある。
>>2352
「…………試す様な真似は止めて欲しいわ。
……この人と、私を。」
前髪に隠れてはいるが、少し俯いた瞳が戻った先は確実に青年の方を向いている。
外套の妙な膨らみも、威嚇のつもりだろう。
-
>>2352-2353
「く、礼だと……!? この身の程知らず、くぅぅ……!!」
ピョン、と跳ねてもとどかぬクリスタル
これ一個にどれだけの金貨と時間が費やされたと、それがありありと思いだされて
「く、くぅぅ…… 拾ってくれて、ありがとうございます………」
-
>>2353-2354
「試す、だなんてとんでもない。」
「そのつもりなら……そうだね、もっと、上手くやるさ。」
跳ねる小娘と、威嚇する娘を見ても笑顔を崩す事はなく。
……段々と、不気味にすら思えてきた。
-
>>2354
「………貴賤なんかない。」
何度目かになる、小さな嘆息。
「…………どういたしまして。」
驚くべきほど素直に、穏やかな声で手渡した。
香水でも付けているのか、返されたクリスタルからはバラの香りがする。
>>2355
「…………例えば?」
すっ、と金糸の束の奥の瞳が細まる。
もともと切れ長の瞳。今や猛禽を思わせる程にその眼は鋭かった。
-
>>2355-2356
差し出された瞬間二度と取られぬように、と
クリスタルを両手で握りしめ、ポケットに滑り込ませる
クリスタルを受け取った時うつったのか手の匂いを嗅ぎ、あからさまに嫌な顔をする
「フン、我に礼を求めるとは愚かな…… この貸しはたとえ魔眼を持ちし貴様であろうと、高くつくぞ……」
「………それで、何の話をしているのだ貴様らは?」
クリスタルを取り返すのに必死で、ガチな方の悪魔とヴァニラとの会話にすっかりついていけなくなっているようで
-
>>2356-2357
「そうだね。」
娘の警戒が、より強まったのを切欠に。 くくく、と小さく笑い声を漏らして。
何の前触れも無く――足元に赭色の幾何学的な魔法陣を展開する。
「月の代わりに、この場所を壊したり、とか。」
魔法陣からは夥しい、……悍ましい魔力が漏れている。
何、を。
-
>>2357
「……………。」
(魔眼とかそういうのは………持ってないけどなぁ……。)
表情が極端に表に出ない女性は、心の中で困るのであった。
「……もし、貴女が命を惜しむ性分なら……逃げた方が良い。」
その言葉は、先程並べられたいくらかの言葉より真剣味を帯びていた。
>>2358
「…………本当に、やる気?」
敵意という物がはっきりと伝わる様な声で、呟く様に言う。
「……只の、暇潰しで。そんな事。」
クリスタルを掴んでいた手が、魔法陣の変質を見て外套に入れられた。
-
>>2358-2359
「……ほほぉ、ほうほう」
「どうやら我の知らぬところで面白い事になっているようだな」
足元から漏れている魔力を感じてるのか感じてないのか、
ガチでマジでガチな悪の魔法使いの言動に対しても涼しげな表情
足元の赭色の幾何学的な魔法陣を見て、足先でとんとんと叩く
「我が辞書に逃亡の文字無し 行動も無し!」
「逃げた方がいいのは貴様ではないか?」
-
>>2359
「そこの娘には興味は無いけれど。」
「話題になっている掃除屋が、どんな物か見てみるのも良いかもしれないね。」
コートのポケットに手を入れて、余裕の笑み――この場には不釣り合いな――を浮かべたまま。
足元の幾何学な魔法陣を脈動させて、そう返す。
間違いない、この男は――暇潰しで、それをやる気だ。
>>2360
「ああ、君は良いよ、帰っても。」
「残念だけど君には興味が無いんだ。」
と。
心底興味無さげに、視線すら向けない。
-
>>2360
「…………なら、好きにして。」
(……どうしよう。
この人、危機感があんまり無い……。
Pちゃん先輩は多分酒場に居る……もう酔っててもおかしくない……。
私が何とかしなくては…………。)
無言で銃を構え、冷たい瞳と(外套に隠した)銃口を青年に向ける女性は、内心そんな事を考えている。
>>2361
「………………。」
(怖いけど、やるしかない……。
私の正体に最初から気付いていた……。
先に仕掛けたら……やられる。)
「…………手加減のつもり……?」
外套の中で2丁の銃を構えたまま、掃除屋と呼ばれた、まだ成人してもいない娘が静かに問うた。
-
>>2361-2362
「この世のほとんどが我に向けている感想であろうな、それは」
「ならたかだか大多数の内の一人、気に留めるまでもない」
チッ チッ チッ と何度も指うちの失敗作のような物を繰り返し、
視線すら向けぬ悪の魔法使いに眉を吊り上げる
-
>>2362-2363
「手加減? …………ああ。」
銃を構える娘の質問に一度、きょとんとした後。
「言ったろう?」
「”ただの暇潰しさ”。」
一切の動作を見せる事無く足元の方陣を起動。
無属性の魔力――恐らくは純粋な破壊エネルギーの類――の柱を溢れさせて。
中空へと登っていったそれ等を、無属性の魔力弾丸へと変化させて雨の様にその場に降り注がせる。
着弾箇所は、小規模の爆発を起こす。
-
>>2363
「……いいから逃げて……!」
さも余裕と言った表情の魔法使いへ、語気を荒げて。
>>2364
「…………ッ……!」
小さく舌打ちし、外套を首根から掴んで頭上へと翳す。
その寸、無数に降り注ぐ魔力の着弾。
爆煙により、彼女の姿は一旦見えなくなる。
-
>>2364-2365
「ふむ、興味が無くなるとやはり死角もできやすくなるようだな 当然か」
「確認しよう 貴様、一体誰の魔法陣の上に魔法陣を形成している?」
指を鳴らす擬きの動作が、破裂音を響かせ形となり
足元の魔法陣の下から別の、闇色の魔法陣が光を放った
元よりここは、悪の魔法使いが月を破壊する術式と題して作られた場であり、
触媒こそ回収されたが魔法陣自体は残っていた
二種類の魔法陣が、強引に合わさり
それぞれが同時に動作を行っていた
片やこの場を破壊するための魔法陣、もう片方は 自らを破壊させないための、防衛動作
障壁のような物を展開しながら、破壊のための魔法陣に、自分の上に重なり自分を消滅させようとする魔法陣にひたすら干渉してきた
マヌケな動作を見せていたこの小娘がやっているとは思えぬ、人外染みた血から強さで
-
>>2365
「逃げるだけかい?」
「反撃してくれるのを期待してるつもりなんだけど。」
やがて干渉もあってなのか、そうでないのか。
魔力弾の豪雨は止んで、吹かされた突風で煙も払われる。
「薔薇の絨毯、なんて名前を持っているんだから。」
「頑張って欲しいんだけどな?」
そしてまたも、特に動作を見せる事なく、余裕そうに棒立ちしたまま。
今度は魔力を周囲の干渉に向けたのか地面を勢い良く円錐状に隆起させて。
――悪の魔法使いは、未だ、興味を向けていない。
確かに魔法陣に干渉は出来ているし、少なからず障壁も豪雨を防ぎ役に立っている。
のだが。
男は一度興味を失ったからなのか、まるで居ないものの様に扱っている。
攻撃――円錐状の隆起と石礫も――不自然な程に悪の魔法使いの方には向かっていない。
-
>>2366
「……………。」
一瞬、きょとんとした表情であった。
他の誰にも悟られてはいまいが。
そうだ、最初から不自然に思うべきだったのだ。
自らが触れるのを躊躇う程の魔石を、易々と媒体に仕立て上げる程の手合いなのに。
「(…………まだ、未熟……か。)」
>>2367
「……貴方も、もうその上に立っている。」
煙の中から、声がした。
暫しの間を置いて煙が晴れると、銃を二丁とも地面へ突き立てる姿があった。
それと同時に、青年の足元に強い"育む"魔力を感じる。
向きにすれば、真上。
そして彼女は"薔薇の絨毯"の上。と言った。即ち。
-
>>2367-2368
「………ふむ」
「ここまでいない者として扱われるのは流石の我でもへこむぞ」
円錐状の隆起も、瓦礫もこちらに発生せず
不自然にぽっかりと自分の周りだけ何事も起きない様を口をへの字に曲げて見上げる悪の魔法使い
帰っていいと言った割には帰り道すら塞がれているのだが
-
>>2368-2369
「へぇ。」
銃を突き立てる娘を見て、得心言った様に声を出す。
……動こうとするどころか、何かしようとする気配すらない。
完全に――掃除屋の娘も悪の魔法使いの娘の事も、舐め切っている。
本当に「暇潰し」でしかないかのように、だ。
-
>>2370
「むっ…… ほっ ほっ……」
「………むぅ」
円錐状の隆起を昇り、脱出するか性格の超悪い悪魔に何かしらをしようとするも
足をかけ手を動かし前に進めても、ずるずると落ちて行き前に進めない
しかもローブが擦れて行く
-
>>2369
「…………追い払いたいだけ。
……共闘し………。」
しかして、状況は切迫している。
まだ彼も"遊ぶ"つもりなのは満々だろう。
ここは共闘すべきだと判断し、言葉を投げ掛けようとするが、思考にブレーキが掛かり……
「…………あなた。私を使って。」
と言う言葉に取って替える。
>>2370
「…………何をするかは気付いているんでしょう?
……ここに貴方の求める暇つぶしなんて……無い。」
「……これ以上は……寸止めも、しない。」
その言葉が冗談でない事を示す様に、彼女はいつでも引き金を引ける状態にある。
何の心得も無い物がそこに立っていれば、百舌鳥の早贄の出来上がりだろう。
-
>>2371-2372
「寸止め? ……妙な事を言うね」
「むしろ、速く見せて貰いたいんだけれど――引かないのかい? 引き金。」
動く様子は、無い。……避ける様子も、魔術を使う様子もだ。
このままであれば、串刺しになるのは、誰であろうと分かるだろうに。
……魔術師が円錐を登っていると、結構簡単に日々が入る。
手抜きで作ったものなのか、強度はなさそうだ。
-
>>2372 >>2373
「共闘? 馬鹿も休み休み言う事だな 共闘とは……」
「……ほう? ほうほう、ほう?」
「なるほどなるほど、敵わぬ相手と知って我の配下になろうと。 安直な考えではあるが悪くはないと思うぞ」
何だかとても嬉しそうに、恐らくヴァニティの予想通りの反応を見せた
「悪の魔法使いたるもの使える部下の一人や二人必要であろう」
「魔眼持ちという事で特別に、そう 特 別 に 我が配下に加えてやる事を認めよう ……お?」
自分が昇っている円錐に、罅が入った事に気付いた
ある程度罅を入れ回し蹴り、円錐の一つをへし折り
さらにその上に乗って近くの円錐を破壊し上へ、これを繰り返し昇り始めた
-
>>2373
「……見たがってる相手へ妄りに手の内を見せる……?」
貴方なら、という言葉は言わずとも伝わってくる。
あちらは掃除屋としての自分を知っているが、あちらの情報は曖昧に過ぎない。
後手で回ってでも、手の内を晒した上で反撃されるなどという結果が産まれうる選択肢は避けるべきだ。そうおもった。
「…………舐めないで。こちらは二人。」
故に、未だ舌戦に留めている。
>>2374
「……………よろしく。」
表情の無い瞳のまま、内心安堵する。
こういった人心掌握を教えてくれた親友に感謝すべき、と短く考え。
「……でも魔眼は持ってな……あ……。」
肝心な事を伝えようとしたが、恐らくあの様子では届いていないだろう。
-
>>2374-2375
「そうだね、僕なら見せない。」
「けれど、一つ勘違いをしているよ。」
目の前の男――白いコートに、長い金色の髪の、見目麗しい長身の男。
……そんな情報は掃除屋業界――冒険者、賞金稼ぎの間にも、無い。
「これは、暇潰しなんだから。」
「僕が見たいものを見せてくれれば、終わる事さ。」
……その言葉を額面通り信じられる訳もない。
-
>>2375-2376
無論聞こえていないし聞くつもりもない
飽くまで部下を手に入れたのであった仲間を手に入れたつもりはない
そして部下は自分の忠実の駒であるため部下の言葉など聞く必要すらないのだ
回し蹴りで円錐を壊しながら、じょじょにじょじょに悪魔へと距離を詰めて行った
そして悪魔と同じ高さの円錐を通り過ぎ、上へ、上へ、ついに円錐の中でも一番高い場所へとたどり着く
「フン、考えてみれば貴様に見下される場所にいる時点でおかしいのだ」
「我は貴様らよりも上、貴様らは下、それが当然の事だろう」
-
>>2376>>2377
「…………暇潰しで人も殺しそうな貴方の言葉……
……信じられない。」
転じて、いま彼女は時間稼ぎに方向をシフトしていた。
恐らく己を部下とするあの魔法使いは、我先とするタイプ。
ならば尚の事、波状攻撃を仕掛けるならあの魔法使いの後に動いた方が良い。
戦う為に働いている脳が、そういった動きをヴァニティに勧めていた。
そして幸か不幸か、その魔法使いの台詞に噛み合う様に、二度ほど首を縦に振った。
(いつでも……動けるわ……。)
と伝えるつもりで。
-
>>2377-2378
「そうかい? そうだね、なら。」
ふぅ、と肩を落として溜息を吐く。
此処に来て、初めて動作らしい動作を見せた。
「――仕方ないね。」
かと、思えば。
隆起した円錐に方陣から魔力が流れ込み、強烈な発光と共に――
――同様に強烈な勢いを伴って、爆ぜた。
-
>>2378-2379
「我が部下だけあってなかなか忠実な事だ」
「いやいや、部下である以上我に賛同するのはもはや義務と言っても過言ではないだろうがな」
「それでも寛大な我は美徳は褒めるべきだと考えているのだよ」
そしてそれはそのまんまの意味でとらえられ、腕を組んで何度も何度も深く頷いた
「さて忠実な部下の為にもひと肌脱いでやろう! 我に無視を決め込むその愚かさを恨むがよい!」
「ウォータ…… ヘブッ!」
足元の円錐が爆発し、ものの見事に吹っ飛ばされた!
しかも発動途中っぽい水属性の魔法を悪魔方向に発射!したはいいが狙いがそれヴァニティのところへ!
中途半端に発動したせいで攻撃能力が乏しいがスピードはなかなかであり
ひょっとしたら保護膜の役割を果たせるかもしれない
だがしかし悪の魔法使いの方は無防備に吹っ飛ばされ、紅い月の夜空へと消えていくのであった
-
>>2379>>2380
「……く……ッ……!!」
引き金を引いた反動で、大きくノックバック。
そして魔法使いの主人(?)が偶然にも投げつけた水弾に勢いを得、弾かれて転がる。
「(しめた………このまま……)」
注意が分散されている事もあり、逃げの姿勢に転ずる。
もし青年がそのまま立っていれば、棘の森に串刺しだ。
こちらのダメージも結構な物だが、痛み分けなら何とか逃げ果せられるだろう。
-
>>2380-2381
「おっ、と。 ――へぇ、これは中々。」
断続的に円錐が爆ぜ、地面がエグレ、木々が吹き飛ぶ。
――悍ましい光景の中、更に悍ましい光景が見える。
育まれ育った、"薔薇"が男を貫いている。
――貫いているのに、血が流れる様子もない。
確かに、【貫いているのに】だ。
-
>>2381-2382
紅い月の夜空の星と化した悪の魔法使い
だが悪の魔法使いの脅威は去った訳ではない
また第二第三の悪の魔法使いがジグザールを狙うだろう、と
FO
-
>>2382>>2383
「………………さよなら。もう遭いたくないわ。」
青年へと言い、彼方へと跳び行く魔法使いは……
恐らく大丈夫であろうとたかを括る。
次に遭った時は下僕と呼ばれるのだろうか。
次に遭った時はまた"暇潰し"の相手をさせられるのだろうか。
そんな懸念を浮かべながら、薔薇を捲く春一番の様に王都へと去って行く掃除屋だった。
-
「おや。――……まぁ、いいか。」
「あれならアリーサでも同じ事が出来そうだし……、とは言え。」
「少し、勿体なかったかな。」
「良い、素体になりそうだったから。」
他に誰も居なくなった森奥。
――生まれた惨状を、腕の一振りで、”何事もなかったかのように戻して”。
「――ショウダウン。」
白いコートは、最初からいなかったかのように、消えた。
-
-王都立闘技場控室-
「単刀直入に言うよ。
僕は、並程度の相手に負けないぐらいなら魔法は扱える。」
水色髪の少年は、互いが席に着くなり自信なき雄弁を語り出した。
「でも、並じゃない相手に勝つには、力が足りないんだ。
だから、僕に魔法を教えて欲しい。
お姉ちゃんなら、僕が現状どういった魔法の扱い方をするかは分かるでしょ?」
-
「イヤよ。なんでアタシが」
一方、それを受ける側は冷静であった。
というか冷徹であった。
「これでも忙しい身なのよ。
もうすぐルーファニアの魔工学士との共同研究もあるし。そんな暇無いわ」
と、ふてぶてしく頬杖をつきながら。
内心でギルドの仕事もあるし、と付け足して。
-
「出来るだけの事は手伝うし、弱音は絶対に吐かない。
だから、お願い。」
一方で軽くあしらわれても、そう簡単には引き下がらない少年。
真摯な頼み方で、今一度頭を下げる。
-
「…………」
正直に言えば、助手は欲しい。
忙しいのは事実であるし、今までの研究はほぼ全て一人でしてきた故に称号を持てるようになったのが予定より遅れた面もある。
優秀な助手がいれば少しは捗るようになるだろう。
「…………いいわ。ただし、課題をクリアできたらね」
暫しの沈黙で利害を計算し、口を開いた。
どうやら利が勝ったらしい。
が、条件付きである。
-
「……課題?」
俄かに表情が明るくなる。
取り付く島が浮いて来たのなら、乗らない手は無い。
「分かった、やってみる。」
-
「簡単な課題よ。これぐらいクリアできなきゃアタシを手伝うのも、アタシに教えを請うのも無理ね」
そう言いつつ立ち上がり、再び闘技場のリングに出る。
何をするつもりだろうか。
-
「……上等、必ずクリアしてみせるさ……!」
気迫に押された様子で、後を追っていく少年。
勿論、その課題とやらを察せられている訳ではないが。
-
「今から詠唱破棄で複合魔法を使うわ。
アンタはそれがどんな要素で構成されててどういったプロセスを経てる魔法なのか答えなさい。期限は三日よ」
色々ととんでもないことを言い出した。
複合魔法を詠唱破棄とサラっと言っていることもそうだし、見ただけでそれの構成要素とプロセスを答えろというのもとんでもない。
-
「…………。」
すぅっ、と息を吸って呼吸を整える。
「分かった。
(……って言っても、プロセスに関しては"結果")から考えるしかないか。
3日って事は、今から72時間で良いんだね。」
-
「そういうこと。じゃ、始めるわよ」
そう言い、眼を閉じて集中。
呼気と魔力の流れを整え
「マジックサーキット、アクティベイト!
スペル・リィンフォース!」
鍵語を唱えると同時、身体から溢れ出した赤い魔力光に包まれる。
強制的に魔術回路を活性化させる強化術。
出力が大幅に高まる代わりに、常に魔力を消費続ける諸刃の剣である。
「パイロクラスティック・フロウ」
そして正面に手を翳し、白い魔法陣を展開。
そこから高熱を伴った黒い粉塵の奔流が放たれる。
呟くように魔法の名を唱えたが、その轟音に掻き消された。
-
「……!」
ぐっ、と見咎めてその光景を脳裏に焼き付ける。
白の魔法陣、恐らく主要とする属性を表している。
白、熱、黒、粉塵、奔流。
「………恐らく……光と……何か。
……黒は何だ……? 指向性はある……さっき闘技の時に使った魔法の様に……
じゃあ………」
ブツブツと、轟音の中でも集中し、推理を始める。
勝負は彼女が魔法を撃った瞬間から始まっているのだ。
思案する時の癖か、猫耳がパタパタと不規則に揺れている。
-
「…………ふぅ。ま、こんなもんね」
強化術を解除。身体を覆っていた魔力光も消える。
「過程に関してはなんでもいいわ。
推理だけでもいいし、本で調べてもいいし、人に聞いたっていい。
三日後に正解できればね」
前二つはともかく、最後は挑発ともとれる。
チラチラとネコ耳を見つつ。
-
「…………。」
暫くは、考え込んでいるのか無言……ひたすらに無言。
「……ふふ」
しかし、不意にその表情から笑みが零れ
「凄い、凄いや……!
あんな一瞬の魔法に200通り以上の可能性を持たせるなんて!
すごく、すごく解き甲斐があるよ!!」
ぱぁっと、あどけない少年の笑顔で言う。
未知の、それも高度な魔法への出会いに、心から喜んでいるといった風だ。
もはや喜びで忙しなく耳がピコピコしている。
-
「…………」
暫しキョトンとした様子で見つめ
「研究者としての素質はありそうね」
小さく笑みを浮かべて言う。
研究者にとって最も大切なのは優秀な頭脳でも抜きん出た才覚でもない。
未知に心を踊らせる好奇心。それが根源であり全てだ。
-
「これは解かないと罰が当たるじゃないか……!」
そう、彼もまた未完でありながら天才と呼ばれる部類の人間。
好奇心と貪欲な探究心を以てして、自らの魔法を自らで作り出しているのだから。
「有難う、お姉ちゃん!必ず解いて見せるよ!」
見た目相応の無邪気さで、早速こうしてはおけないとばかりに身を翻す。
そして、挨拶もそこそこに闘技場から駆け出して行く。
……白衣越しにも分かるぐらいに尻尾が立っている。よほどのご機嫌だ。
-
「お姉ちゃんってやめなさいよ。
普通に名前で……って、行っちゃったし。
……まぁ、今度でいいか」
むず痒い感覚にやや頬を染めながら訂正しようとしたが、時既に遅し。
仕方なく次回に持ち越すことにし、彼女も機関へと帰って行った。
-
<王都のどっかスターキャッツカフェ内>
【明かりはぶら下がるランタンのみ。木製の薄暗くレトロな雰囲気を醸し出す店内。】
【カウンターに立つは黒布を巻いた二足歩行で尾にリボンをつけた小さな渋めの黒ネコ。
店内の隅にはネコ耳をつけた2m弱の大男の人形があるが気にしてはいけない。
そしてカウンターの目立つ箇所に"酒場のマスター"とサインされたカードが飾られている。】
-
FO
-
ー王都 噴水広場前ー
「少し早かったかしら」
噴水の前に立つ蒼いロングヘアの女性。
時計塔の文字盤を見て呟く。
今日は親友との待ち合わせ中である。
-
「おーい、アルカー!」
文字盤から視線を下ろして丁度。
紅色のショートヘアを揺らして、当の人物が掛けてくる。
まだ待ち合わせの時間には早いので走る必要も無いのだが、そこはペルメルらしい所である。
-
「今晩は、ペル」
小さく手を振りつつ挨拶。
白い七分丈のブラウスシャツに薄桜色のカーディガンを羽織り、下はベージュのタイトなアンクルパンツに黒いヒール。
更に赤縁の眼鏡をかけている。
こうしていると休日キャリアウーマンのようである。
-
「待った?
って、アンタ……なんか所帯じみて来たわね。」
かく言う彼女は薄手のベージュ色をしたパーカーにジーンズとラフな格好。
だいたいはどんな格好でも抵抗は無い、という事だがこれはこれで少し印象が変わる。
「ま、いっか。どこで飲む?」
-
「そうかしら?」
実際に所帯を持っているから当然といえば当然だが、彼女の場合は違和感がある。
「ま、いつもとこね」
そう言い、行きましょうかと歩き出す。
二人飲むときはいつも決まった店。タルタロスである。
-
「恰好だけで全く老けないのが羨ましいんだけどね。」
この二人、いくつまで並んで歩いていたらナンパされなくなるのか。
「オッケーイ♪」
アルカに合わせて歩き出す。
思えば最近は何かと時間が合わず、こういう機会も少なかった。
-
「お互い様じゃない?」
連れ立って歩く二人にチラチラ視線が送られてくるが、全く意に介さず歩いていく。
「相変わらず外観はおどろおどろしいわねぇ……」
数分歩き、目的地に到着。
【Tartaros】と書かれた看板が垂れ下がるバーは、蔦が覆った古びた煉瓦造りである。
-
「日頃のケアの賜物ってだけよ。」
こんな夜更けに美女二人が並んで歩いているからして、当然といえば当然か。
「ま、まぁ近頃はこういう店あまりないし……?」
時代が時代なら、魔女狩りの憲兵が詰めかけていてもおかしくなさそうな外観。
苦笑いしながらも、共に中へと入る。
-
「そういうことね」
二人にエステ代わりに使われている某整体医からすればたまったものではない。
「味があるといえばあるんだけれど」
入店と共にカランコロンと鳴るドアベル。
『いらっしゃ……なんだ、アンタらかい』
出迎えたのは黒髪ショートヘアの女店主。
くわえタバコに肩に彫られたドクロのタトゥー。
随分ロックな魔女だが、すっかり慣れたものである。
-
「所でアルカ、聞いた?
おチビ君、何やらこそこそしてるみたいだけど。」
おチビ君とは外見的特徴から言ってゲーステの事である。
先日の件だが、実はアルカやレナートをはじめとする巣箱の面々には話していない。
「なによう、上客様よ?なんちゃって。
アタシ、いつもので♪」
冗談交じりに挨拶を交わした後、常連じみた注文。
彼女はここに来て必ず一杯目をアドニスにしている。
-
「ゲーステが?
まぁあの子も色々あるみたいだし」
基本的に放任主義。
好きなことは好きなようにやらせるタイプなので余計な深入りはしない。
「はぁい♪ 私もいつもので」
同じくカウンター腰掛けて注文。
彼女はストーンズバックである。
『はいよ。たまには女二人じゃなく、良い男の一人でも連れてきてくれると嬉しいんだけどね』
軽口を叩きながらおつまみにミックスナッツを出し、注文にとりかかる。
-
「何でも女の子に会ってたってウワサは聞いたけど……
浮気かしら。」
悪い笑み。なにも本気でそうは思っていないが。
「そうは言うけど、それって相当良い男じゃないとダメじゃない。
そんなの連れてたら余計な心配掛けちゃうわ。 ねぇアルカ?」
アーモンドを一つ齧りながら、ほんのり澄ました様な顔で言う。
-
「あら。ゲーステったらイケナイ子ね」
クスクスと笑いながら。
当然冗談だが本人が聞いたら顔を真っ赤にして否定しそうだ。
「そうよ。クリスに見合う男なんて私達でも見つけるの大変なんだから」
カシューナッツを一つつまみながら。
『はいはい。お世辞ありがとさん。
ならせめて、しっかり売上に貢献しておくれよ?』
二人の前にアドニスとストーンズバックを差し出して。
「どうも。そういえばペル、ロディは元気?」
と話題を切り替える。
元気は元気だが、工房とギルドの二足のわらじで忙しい身。
最近はなかなかゆっくりと時間がとれていない。
-
「イケナイ子よねぇ。」
にたにた、と意地悪い笑みを作って両肘をついたまま手を組む。
「お世辞で言えたらもう連れて来てるわよ。
あ。アリガト♪」
カクテルの入ったグラスを受け取り、にこりと笑み。
「うーん……そうねぇ……元気と言えばそうなのかしら。」
バイタリティには溢れているが、二人の時間がその分難しい。
女性としては、なんというか寂しい物がある。
-
「レナートにお説教して貰わなくっちゃ」
とばっちり過ぎる。
『そういえば良いドライフルーツが入ったんだけど』
カウンターに頬杖をついて。注文しろと。
「なら頂こうかしら。売上に貢献するわ」
苦笑混じりに頼むことにする。
『毎度ありっと』
ニマッと笑って準備にかかる。
「忙しそうね。ルトラと一緒」
彼女がロディと最後に会ったのはロディ、ルトラの卒業祝いでパーティーを催した日以来である。
以降はずっとバタバタと忙しい毎日だ。
-
「あぁー……レナートそういうのには厳しそうよね。」
なんだかんだ甘いが、筋を通さないとなると話はとんで別である。
多分こわい。
「さっすが商売上手ね。
最近どうなの? 切り裂き魔の噂もめっきり消えたし、お客さんも戻って来たんじゃないの?」
グラスを傾けながら、他愛ない事を問う。
「アタシらも忙しく無い訳じゃないから、なかなか難しいわよね。」
はぁ……とやや艶めいた溜め息を吐く。
なんというか、恋する少女の様な表情である。
-
「ま、そんな心配はいらないでしょうけどね」
クスリと笑って。というか女の子を泣かせるような真似はこの人の方が怖そうである。
『そうだね……ボチボチってとこかな。
ま、アタシ一人生活できればそれでいいからね』
宝石箱のように色とりどりのドライフルーツが盛られたガラスの器を差し出して。
「そうねぇ。……ロディももう学生の身じゃないんだし、子供でも作ったら?」
ペルがグラスに口をつけた瞬間に、悪戯っぽい笑みを浮かべて。
-
「まぁねぇー。おチビ君に浮気が出来たら、多分今頃王都は一夫多妻制よ。」
何気にひどい言い草。天地がひっくり返っても出来そうにないのは確かだが。
「ふぅーん、そっか。
じゃあやっぱり後は男を見付けるだけかぁ。」
キウイを一つ取って齧りながら、そんな事を言い
「……コフッ……――!」
思わぬ所から飛んで来た不意打ちに、たまらず噎せる。
-
「なんだかんだウチで一番常識人だしね、あの子」
その事実、わかっていたのか。
『旦那がいると余裕があっていいね』
壁に寄り掛かり新しいタバコに着火して。
「タイミングとして悪くないんじゃない?
それに産むなら若いうちがいいわよ?」
ニヤニヤと笑いながら。
-
「ケホッ……ちょーっと根性足りない気もするけどね?」
今頃ゲーステは花粉症にでもなったかと疑う程、くしゃみが止まらないだろう。
「まあねー。」
頬杖を突きながら、煙草の煙を嗅いで頷く。
未だ、人の煙草の煙は好みな様だ。
「それならアンタだっ……」
言い掛けた所で、はっと口を噤む。
そうだ、アルカは……と頭の中にある記憶が歯止めを掛けたからだ。
「あ、ごめ……。」
-
「それがあの子の良いところよ」
ドライマンゴーをかじりながら。
『今度連れて来ておくれよ。どんなのか見てみたい』
ニヤッと笑って腕を組み。
「いいのよ。気にしないで」
実際に気にした様子はない。
血は繋がらなくとも多くの良い子供に恵まれている。
これ以上望むのは不相応だ。そう本気で思っているのだ。
【カランコロン……】
ほんの少し重くなった空気を払拭するようにドアベル鳴り、新しい客が入って来た。
-
「慎重……って事?」
小さく首を傾げながら問い
「ええ、時間が合ったら是非一緒に来るわ。」
クリスへとニコっと笑いながら言う。
「あー……と。
ん……?」
思わぬ所で助け舟が出たものだ。入って来た客へと視線を向ける。
-
「それもあるけど。適度にヘタレなのがあの子のカワイイところじゃない」
ヘタレ、親公認化。
『良い男だったらちょっかいかけるかもしれないけど、いいかい?
おや、いらっしゃい』
冗談混じりに言ったところで新しい来客を迎える。
《どうも。一人だが、いいかい?》
入って来たのは金髪に青いバンダナを巻いた体格のいい男。
『勿論。どこでもどうぞ』
《んじゃ……お姉さん、隣いいかな?》
返事を待たずペルの隣に腰掛ける。
-
-草原-
見渡す限り背の低い草が生い茂る小高い丘のある見晴らしの良い草原。
その先には王都が見える。
「あー?居ねえじゃん?」
月明かりに照らされ周囲を見回す何か。
-
>>2427
「こんな時間に待ち合わせ〜?」
【月夜の闇に紛れて現れたのは、黄緑色のぷにぷにを抱いたピンク髪の少女だ】
-
>>2428
「ん〜?待ち合わせってわけじゃあないんだけどなー……誰?」
月が何者かの姿を照らし出す。
口元まで隠れる襟付きの黒い拘束衣を纏う異様に白い肌で紅い目の小柄なヒトガタだ。
ものすごく奇妙な格好だといえる。
-
>>2429
「!?!?
あ、あのね、わたしはニンフェ、こっちはプーちゃんだよ」
『……zzz』
【ヒトガタの姿にビビりつつだが律儀に自己紹介し、抱いていたぷにぷにを差し出してみせる。
黄緑ぷにぷには、眠っている!】
「……ねえ、なんでオバケの格好してるのぉ?」
【夜の闇で見えにくいが、口調からニンフェが涙目気味だということはバレバレだ】
-
>>2430
「ん……」
ニヘラァ、となんか嫌な笑みを浮かべるヒトガタ。
「そりゃ私がお化けだからに決まってるぜぃ?ヒヒヒヒヒ」
肩を小刻みに上下させて笑うヒトガタ。
-
>>2431
「ふやあぁぁぁ?!」
【ヒトガタの言葉に、大声あげて驚くニンフェ】
「わ、わたしとプーちゃんの血は吸っても美味しくないよ?!」
【一歩後退り、震える声で一生懸命牽制する。
……血を吸う?】
-
>>2432
「そんなこたぁない。ニンゲンの血と肉は美味いぞぉ?」
ヒッヒッヒ、と笑いながら愉快そうなヒトガタ。
「まあ安心しなよ。今は腹減ってないから食わないし吸わない。
私はニンゲンじゃあないから。
殺すために殺すなんてニンゲン位しかしないんだからさ」
-
>>2433
【ガクガクぶるぶるしていたが、食べないという言葉をきいてあからさまにホッとするニンフェ】
「難しいことはよくわからないけど……お腹がすいたらね、プーちゃんのクッキーを食べればいいんだよ!
すっごく美味しいもん」
【そう言うと、片手でぷにぷにを支えつつ、ガサゴソとポケットを漁り始めた】
-
>>2434
「クッキー…?ああ、要らない。
ニンゲンの作るものはどれも不味い」
面白くなさそうにヒトガタが言う。
-
>>2435
「好き嫌いしちゃダメなんだよ!」
【ポケットから小さな包みを取り出すと、グイッとヒトガタへ押し付け……もとい、お裾分けした。
包みからは、微かに甘い香りが漂っている】
-
>>2436
「好き嫌いもなにも……つーか、受け取る腕がないんだけどなぁ」
まあ、拘束衣ですし。
やや呆れ、そして迷惑そうでもあった。
-
>>2437
「ベルトいっぱいついてる服だねぇ」
【見慣れない拘束具をみて首をかしげる】
「自分の腕までしまっちゃうなんて、オバケさんもドジしちゃうんだね〜。
わたしもね、昼までこの服後ろ前に着ててね、プーちゃんに怒られちゃった」
【てへへと笑いながら、ヒトガタの拘束具に手を伸ばした!】
-
>>2438
ベルトはガチガチに締め付けられている。
外すのには結構握力が必要だと思われる。
「てか、幽霊の服を脱がそうとするな」
-
>>2439
「脱がさないよお」
【そう言いつつも、服のベルトを軽く引っ張る】
「んしょ、んしょ」
【ニンフェは、服のベルトにクッキー袋をくくりつけようとしている!】
-
>>2440
「…止めろ、愉快なファッションセンスに付き合わせるな」
とても鬱陶しそうである。
-
>>2441
「むう〜」
【どうやら上手く結べず、断念したようだ】
「今度王都にきたら、お店に寄って!
たくさんクッキー売ってるからね」
【あげようと思っていた包みを再びしまいながら、念押しした】
-
>>2442
「馬鹿言うな、王都になんぞ入れるわけがない。
通行証も持っていないし…まあ、持つ気もないしなあ」
比較的窓口は広いだろうがそれでも
王都も無差別に来るもの拒まずな場所ではないだろう。
-
>>2443
「そっかぁ、オバケさんも大変だねえ」
【(´・ω・`)しながら慰める】
「それじゃ、わたしそろそろかえるねぇ〜」
【最初のおどおどはどこへやら。
ぶんぶんと手をふりながら王都の方へと帰っていったFO】
-
王都近くの草原
そこに一本の小さな角のはやした青い肌の少女が王都を見ている
小高い丘となっているこの場所から見る王都は闇に包まれつつも、人が生活しているで光に包まれた都会の特権おような幻想的な光に包まれている
「………」
そんな幻想的な光景を少女は見つめている
光のない無の感情を表したような目は、この幻想的な光をどう捉えているのか分からない
「やぁ、またあったね」
「………」
そこに現れたひとりの少年。
帽子をかぶってはいるが、女のようなショートヘアの髪型をしており
髪の色も白銀と夜の草原ではやや目立つかもしれない
-
「お、居たぞ、アレじゃないのか?」
『ア゛ー…ダブン ゾー』
口元まで隠れる襟付きの黒い拘束衣を纏う異様に白い肌で紅い目の小柄なヒトガタと
細長い指と腕、先端が鏃型の長い尾、大きく裂け並ぶ歯はドレもが刀剣の如く鋭い口、
その全身が刺々しい甲殻で覆われている目と鼻のない異様に細身のヒトガタが歩いてきた。
-
>>2446
角を生やした青い少女と帽子をかぶってはいるが、白銀のショーボブの髪型とわかる少年が何やら話している
「ん? あれは君の知り合いかな?」
「……ん」
少年は少女の方を向き聞くと彼女はとコクりと頷く
「やぁ、おふたりさん。こんばんわ」
少年はニッコリと微笑む。人懐っこい笑顔を見せる少年。だが、腰には銃身の無いリボルバー魔銃が装備されている
武器だろうか
-
>>2447
『コンバンハ』
「ん?そっちのも知り合い…?」
『シラナイ』
「知らないのかっ!……えっと、何方さん?」
ガシガシと白いのが黒いのの脚を軽く蹴りながら問う。
蹴り自体はあまり効いてないようであった…甲殻だしなあ。
-
>>2448
「んー……彼女の友達? いや、まだ知り合ったばっかりだしなぁ」
少年は腕を組んで悩み始める
「知り合いかな?」
そのまま首をかしげている
「……」
少女は白いのと黒いのをただただ見ている
「そちらこそ、どちらさんかな? 君は知っているの?」
「…しってルけど…シら……ナい」
少女は首を横に降っている
-
>>2449
「ん?あー、私はコイツの連れ。
何か知り合いが出来たって言ってたから興味あってさ」
『ゾーイウゴド』
「そうそう、早速で悪いんだけどソッチの子は喰われたいんだって?」
世間話をするような軽い調子で、
少女の方へと視線を巡らし、白いのが問う。
-
>>2450
「食べられたいの?」
「ウん…たべラれろって…いワレた……から」
「そっかー」
少年が少女に世間話のように軽いノリで聞いている
「でもあの人たち怪しいし、食べられるフリして、滅茶苦茶痛い思いしたあとで殺すかもしれないよ?」
「イタ……いのがツズくのは……イヤ」
「イヤだって」
そう言って二人を見つめる少年
二人を観察するように見つめている
-
>>2451
「…おい」
『ン?』
「話が違うじゃないか」
『ウン?ドゴガ?』
「此処に来れば飯食えるって言うから!」
『ンー?ゾンナゴド イッダッゲ?』
くるりと後ろを向いて何やら話す白黒コンビ。
「私はそう解釈したんだ!」
『ゾッガー ゴメン』
「ぐぬぬぬ…」」
-
>>2452
二人が後ろを向いている時、こちら側では
「なんか危ない人たちっぽいね」
少女の耳元でひそひそと話し始める
「アぶ…ナい?」
「うん、恐らくイミを生きたまま調理してじっくり苦痛を味わせながら食べる予定だたtんじゃないかん?」
「ソうナノ?」
首をかしげて少年の方を見るイミ
「うーん、多分感かな? 違うかもしれないけど」
「カんナノ?」
「うん」
「あテにナらない?」
「うん」
最期の返事だけ元気よくする少年
「逃げちゃう?」
「二げたらオカあサんがムカエにこない」
「そうだったね」
「ウん」
当たらずも遠からずの会話をしているのであった
-
>>2453
「えーっとどうすりゃ良いんだろこの場合」
『ザギニ ガエル?』
「それも手かもなあ…いやなんか負けた気がするぞそれ」
『ワガママ』
「うっさいな……」
と、丸聞こえの相談をしたあと向き直る。
「で、そっちの君は何で此処にいるのさ」
『マイゴ?』
少年を指差し白いのが問う。
黒いのは首をかしげた。
-
>>2454
「ボクは迷子じゃないよ、彼女に会いに来ただけだよ」
彼女もコクりと頷く
「君たちこそ、何でここにいるのさ?いきなり食べられたい事とか聞くし」
少年は不審がってか、じっととした目線で二人を見つめている
-
>>2455
「あ?そりゃヒト喰いだからに決まってるじゃないか」
『ゾーダネ ボグダヂ ビドグイ』
何を言っているんだか、と言わんばかりの調子と表情で白いのが言う。
「あ、因みに此処にいる理由はさっき言ったぞ。
ソッチのオンナノコに興味があったからだ」
-
>>2456
「あー……」
[人食い、少女、先ほどの会話に興味があった]
これは、とても厄介だと言わんばかりに、二人を見つめている少年
此処で戦うべきかと思ったが、どうも二対一では分が悪い
計算式でもこちらに少女がいる時点で勝ち目が無いと答えが出ている
白いのが興味があったと過去形で話しているのも気になるが、こちらの武装が貧弱なのも考えると
いつ現在系に変わるか分からない
「逃げよっか、イミ」
「ニげ……?」
そういうやいなや、少年は少女の手を握り締めて、森の方に走り始めた
-
>>2457
「…逃げた」
『オウ?』
「いんや、食われたくない様だし興味もなくなった」
『ゾッガー…』
「帰るかぁ……」
白黒コンビはそう言うと別方向の森の方へと消えていった。
-
少年らは森に逃げていった
Fo
//お疲れ様です
-
ーエル・ヴァーナ機関 門前ー
あれから丁度三日目。
王都の一角に聳える広大な魔導研究機関。
その前にゲーステは佇んでいた。
-
「ふぅ……。」
高揚感と緊張の入り混じった表情。
そんな複雑な面持ちで、水色髪に猫耳の少年は英知の結晶とも言える建物を見上げる。
しばし立ち止まって悩んだうち、静かに戸を叩いた。
-
と、叩くと同時に門が開く。
対応にしては早過ぎるが……。
『む? どうした、少年。
親御さんにでも会いに来たかね』
開いた門から出てきたのは、腰元まで伸ばした真っすぐ銀髪に真紅の瞳、雪のように白い肌の女性であった。
この春先だというのに分厚い防寒コートを着ている。暑くないのか。
-
「(科学者には季節感を失った人が多いと聞くけど……)」
ミシェルが出てくるなり内心思った事を飲み込み
「ううん、違うよ。クリムゾンレッドのお姉ちゃんに用事があるんだ。」
首を強く横に振り、自分の要件を伝える。
-
「ほう? リオに客人とは珍しい」
そう呟き、しげしげとゲーステの姿を観察。
「……ふむ。それなら案内しよう。
中は少々入り組んでいるからな。迷子になられても困る」
笑いながらそう言い、敷地内へと戻っていく。
ついて来いということだろう。
-
「……?」
客人も少なくなかろうに、と少し疑問に思ったそうな。
「うん、分かったよ。
よろしくお姉ちゃん。」
人なつっこい笑みを浮かべながら、後をついて行く。
因みにいつからか少し背が伸びて、白衣は引き摺らなくなった。
-
『この突き当たりがリオの部屋だ』
建物内しばらく歩き、真っ直ぐに伸びた廊下に差し掛かったあたりで言う。
『この時間なら…………まぁ寝てはいまい』
時刻は昼に差し掛かったあたり。この時間で寝ては“いまい“……。
生活リズムが乱れるのも研究者としての業だろうか。
『さて、私はこれで失礼しよう。ではな、少年』
案内を終え、長い銀髪をたなびかせて女性は去って行った。
-
「分かった、ありがとう
……って。色々大変なんだな……研究者も。」
ミシェルに頭を下げて見送った後、再び真っ直ぐな廊下に目を向ける。
壁に一瞥もせぬまま、まっすぐ、まっすぐと扉を歩んでいき
「答え、持ってきたよ。」
少しだけ上ずった声で、扉をノックする。
-
返ってきたのは沈黙。扉はうんともすんともいわない。
と、ゲーステが二度目のノックをしようとしところでギィィ…と木軋る音を立ててドアが開き……
「……ん……。…アンタ……」
中から目の下に隈を作り、不機嫌そうな三白眼でゲーステを睨むリオが。
「あぁ……そっか…今日で三日目ね……。
ま、とりあえず入んなさい」
そう言い、大きく欠伸をしながら中に招き入れる。
-
「……お姉ちゃん、まさか寝てないの……?」
少しその姿に後ずさったが、用件を把握してくれた事に安堵。
招かれるままに中へと入る。
研究者の部屋に入るなど初めての経験で、内心心が浮ついているのは内緒である。
-
エル・ヴァーナの称号持ちの研究室。
ゲーステの中では様々な想像があったことだろう。
が、現実とはかくも冷淡なもので。
「で……。課題が解けたって…?」
すっかり温くなったコーヒーをビーカーに注ぎ入れ、それを一気に飲み干す。
その背後に広がっているのは、様々なものがあちらこちらに散らばった部屋であった。
一言で言うと乱雑。もしくは汚い。
丸められたレポート紙らしきものや羊皮紙などが散らばりまくっている。
研究者がどうこう以前に、女の子としてこの有様はいかがなものか。
-
「…………。」
しばし、顔に手を当てて夢の崩壊に耐える姿。
多分、もっと知識の煮こごりが沢山あると思っていた事だろう。
「あ……うん。
解けたよ。」
少し気の抜けた様子で、そう返した。
-
「……これは理に敵った最適な状態なのよ。
どこに何があるかなんてアタシがわかれいいんだから」
再び三白眼で睨みながら思考を見透かしたように。
恐らく、他の研究員にも言われているのだろう。
「んじゃ、アンタの答えを聞こうかしら」
目元を擦りながら椅子の背もたれを前にして座り、頬杖をつく。
-
「……そう言われちゃ反論できないじゃないか!!」
自分の事は自分が一番よく分かる。
というのを地で行っている風な印象を持ちながら。
「分かった。」
小さく息を吸い、何度も家で暗唱した答えを頭の中にまず並べる。
そして
「あれは火砕流だよね。
……地属性から始まって、まず土砂の生成。
次に火属性……ここが肝だった。多分直接混ぜ込むんじゃなくて、エントロピー操作による高熱化。
それから雷属性による、内包する摩擦電気の増幅。
そして最後、風属性による加速と指向性の付与……これで、できあがり。」
一挙に、しかしはっきりと述べた。
-
「………………」
無言のままゲーステの考察を聞く。
眼は鋭く怜悧な、研究者としてのそれに変わっている。
「フゥー……」
吐息とも溜息ともつかぬ息を漏らし
「……95点あげる。いいわ、合格」
そっけなく、かつ呆気なく合格を告げる。
が、100点でないのはどういうことだろうか。
-
「あと何が足りなかったの?」
純然たる知的好奇心を映す瞳。
彼にとって答えの出た事は一旦の過去。
問題は、自分の知らないブランクに対する事。
答えが満点でなかった事に落胆する様子も見せずに問う。
-
「術の構築プロセスは文句なしの100点よ。
でも、アンタは1つ見落としてる。それは……」
椅子から腰を上げて立ち上がり
「……何なのか追々ね」
グッと伸びをする。肩透かしである。
「ところで、何でもするって言ったわよね?
アンタは今日からアタシの助手よ。拒否権は無し。良いわね?」
と、ビシッと指差しながら。
-
「うん…………ってええええ!?」
カルレオンの巣箱突っ込み担当。
往年のずっこけを見せる。
「ちぇ。」
と言いながらも、初めから答えを期待していなかった節はある。
自分が彼女と同じ立場だったら、まずその場で明かす事はしないであろうと踏んだ。
「え。いきなり助手でいいの?
ていうかお姉ちゃん助手いないの?」
呆気に取られた様子で。
-
「そのうち教えたげるわ。忘れてなきゃ、多分ね」
何とも適当な言い方である。本当にちゃんと教えて貰えるのだろうか。
「基本的に研究一人でやった方が捗るタイプなの。
ま、そろそろ忙しくなるし助手の一人でも欲しいと思ってたところだしね。
アンタも使えなくはないみたいだし」
再びビーカーにコーヒーを注ぎながら。
-
「分かった、忘れてなきゃね。」
いつか自分で答えを出して問うてみよう。
そう思う少年であった。
「その前にお姉ちゃんまずは寝た方が良いと思うんだけど。」
口元に手を当てながら、クマの浮いた眼を見ながら。
-
「ん……。そうね…3徹だし、そろそろ寝ようかしら」
半分瞼が下りた状態で大きな欠伸。
年頃の女性なんだから手で隠すとかしなさい。
「んじゃ、早速明日から来なさい。これ渡しとくから」
そう言って細かい細工が施された紅いバッジのようなものを投げ渡す。
「【紅】の研究員の証明みたいなもんよ。
んじゃ、また明日ね」
また大きな欠伸をかきつつ、仮眠室らしき奥の部屋へと引っ込んで行った。
-
「……結構だね。」
だから背が低いんじゃ、と失礼な事を思いつつ
「わっとと……!
……うん、分かった。明日からよろしくお願いします、室長!」
などと少し背伸びした台詞を言いつつ、自身も退散して行った。
「(………掃除道具、買っとこ。)」
【フェードアウト】
-
――王都 とあるアンティークショップ
森や平原で行動していた小さな夜盗は、本日ついに目的を果たすために行動を開始した。
彼女の行った略奪行為で入手した金銭は、必要な額のおよそ六割程度。
それの五割ほどを先ず両替商に頼み、金貨にへと変える。手数料で多少引かれるが、通貨の状態は改善される。
残りで古着屋に行き、比較的マシなコートと帽子を購入して着替える。
そうして、身なりを整えて目当ての物が存在するアンティークショップにへと足を運んだ。
アンティーク趣味で子連れの、貧乏教授がやってきたようだ。――そんな風に店主は思っただろう。そう思わせるのが彼女の目的だったのだ。
「これはいい人形ですな。店主」
「おや、お目が高いですな。由来はよくわからんのですが、出来栄えを鑑みるに、どこぞの貴族の物だったのでしょうな。質流れでもしたのでしょう」
「おや。これの正体をご存知ない? いけませんな。この商売を続けるなら、扱う品物については良く調べませんと」
彼女の目当ての品は、人形だ。
といっても、かなり大きい。人間の子供一人分はあるだろう。今、彼女が連れて歩いている二人の少女の人形より、頭一つ大きい。
不勉強を指摘された店主は、少しムッとした表情をして尋ねる。
「どいういう代物がご存知のようだ。お聞かせ願いますかな」
「勿論。これは、呪いの人形なのですよ。魔力で駆動する、まぁ一つのマジックアイテムですな」
その言葉に、店主はギョッとした。
売り物が、何やら得体のしれない呪いの品だと聞かされたのだ。
しかしそれは、この人物のペテンかもしれない。――そう疑うのは当然だ。そこで、呪いの品ということを示してやる。
彼女は、何か調べるようにでもしてその人形に触れた。たちまち、人形の目に光が宿り、寝息の様な声を発したのだ。
「ああ。見立て通りだ。これは通称”血塗れのミザリー”と呼ばれるものです。ここまでの状態の代物に出会うのは私も初めてです」
「い、いったいどういうものなんです?」
店主は慌てて、彼女に聞いた。
それに対して、彼女はあいまいな笑みを浮かべる。
「子供を前にして話せる内容でないので、失礼。しかし店主。私はこれでも隣のテヴェレ学園魔術学部、魔道具学の講師でしてね。ミザリー程度の呪いならば解呪できますよ」
「本当ですか? それなら……」
「いえね。研究に一つ欲しいのですが、手持ちが無くてですね。どうでしょう、一つ半額で譲ってくれませんか。いつ動くかも知れない呪いの人形を置いておくよりマシでしょう」
その提案に、店主は面食らった様子で、それから考え込む。
元手はそもそもタダみたいなものだったからだ。これがペテンでも、五割もらうことができれば、損はない。
「いいでしょう。お譲りしますよ」
「本当ですか。ありがたいことです。商売繁盛をお祈りしますよ」
合意すれば、握手を交わす。
彼女はこれで、半分の金額で目当ての人形の購入に成功した。
――もちろん、呪いの人形云々はペテンである。
彼女の購入した人形は、グァルネリの作り出した自律魔法人形。それの失敗作の一つなのだから。
-
――というような経緯を経て、広場。
「――我ながら傑作だったな」
グァルネリ人形の失敗作。
それに魔力を一時的に通して動かしたことで脅かしたら上手くいったのだ。
少し店から離れたところで、本腰入れて契約を交わす。
この人形が欠陥品扱いなのは、彼女はまさしく人形であるからだ。
彼女は、グァルネリ人形の兄弟姉妹のように、戦闘技能を持たず、おしゃべりも得意ではない。
それ故に失敗作とされ、生みの親であるグァルネリの傍にいたのだ。
「さて、気分はどうでしょう。姫君」
「……よくないわ」
「でしょうな。結構。嫌でも私という存在には慣れてもらいますよ。何しろ私はあなたのマスターですからね」
悪い笑みを浮かべて、彼女は息をつく。
この人形を手に入れる。まずはその目的を達した。
次はどうするか。そんな悪巧みも悪くなかった。
-
広場のベンチで、可憐な少女とコートの人物との会話は続く。
コートの人物は背丈は少々小柄だが、年季が入っているが仕立ての良いコートと帽子から、それなりの人であることをうかがわせる。
顔はよくわからないので、少女と、その妹らしき双子の子供も、このコートの人物の娘でも説明はつきそうだ。
帽子を外さなければ、の話ではあるが。
「姫君。あなたはグァルネリの墓守でもあり、鍵であった。間違いありませんな」
「……ええ。でも。あなたは、どうするつもりなの。お父様の墓はすでに一度暴かれた。最早何も残っていないでしょう」
「見当が外れましたな。そうか、人形達は、すでに」
人形たちの武装蜂起がおこったのは、彼女がまだつぐみとして生きていた頃の話だ。
グァルネリの墓を暴き、人形による武装集団の形成を夢見た彼女だが、それはどうやら不可能であるらしかった。
とはいえ、彼女は特に無秩序な戦闘を好むというわけではない。
彼女の恐怖や怒りというものは、今は示す先の無いふらついた矛であった。
グァルネリの人形の発見により、その矛は鋭さを増しつつあるが、未だにそれで刺し貫くべき存在は見つかっていない。
であるため、悪戯に規模を大きくするのは悪手であり、結果として彼女はそれに助けられることになる。
「金は適度な生活が出来るだけあればいいが……いや、本拠地が必要だな」
「家が必要だ。それがいい、我々はどこかに腰を据えよう。話はそれからだ」
良い悪巧みは、落ち着ける部屋があるべき。
彼女はそう自身の中で結論づける。一体の欠陥グァルネリ人形と、二体のグァルネリ人形の劣化コピー、そして自分。
それらが出入りしても目立たず、誰も不思議に思わない。出来るだけ人目のない場所。
彼女はそれらを求めて、次なる行動を起こすことを決意したのであった――。
FO
-
――森林
腰を据える拠点を見つける。
これを目的としたエウノモスであったが、結局、王都内では不可能だという結論に達した。
自分の正体を秘匿し、尚且つ、少女型人形三体の存在を長期にわたって言いつくろうのは不可能だと判断したためである。
一旦、少女らを発見した廃屋にへと引き換えし、そこで一晩を過ごす。
このままこの場所を拠点とすることも考えたが、長期間の居住に適する場所ではないと判断。
しばらくの探索の末、焼け落ちた廃墟跡を発見する。
偶然落とし戸の存在を発見し、中に相応のスペースが存在することが判明した。
「――”深淵の暁教団”なるほど。私はまたしても、運命の出会いを成し遂げたというわけだ」
「私は後の祭りを見つける才能でもあるらしいな。よろしい。ここを当面の拠点としよう」
内部の探索清掃その他、するべきことは多くなる。
さしあたって必要なのは水の入手の難度だが、これはあっさりと解決する。
この地下施設は無人の宗教施設であったらしく、彼らは水の入手に貴重なマジックアイテムを用いていたようだった。
最低限の生活用水はソレから入手できると考えてよさそうだった。
「さて――ではどんな悪巧みをしたものやら」
彼女は陶酔しきった様子で、微笑みを浮かべた。
その笑みを、グァルネリが作り出した乙女は、哀しそうな目で見つめるのであった。
――fo
-
――森林
宗教団体の隠し地下施設の跡地を発見したエウノモスは、最低限の探索と清掃を終えると、早速行動を開始した。
彼女の考える『悪巧み』は未だ全貌がはっきりしないながら、人形の少女達を疑似餌として活用するのはこれまでと変わることはなかった。
彼女は、月明かりの下、三人の少女の人形を立たせ、自身は隠れた。
あたかも、道に迷い、途方に暮れた少女達。そんな風に周りからは見せるために。
「……」
唯一、口の利ける人形であるグァルネリの乙女だけは、何か彼女に言いたそうだったが、契約を結ばれたなら逆らうことはできない。
彼女は言われた通り、月光の下、物言わぬ二人の少女の人形の肩を掴んだ。
それはまるで、怖がる双子の妹達を安心させるための、姉のような仕草であった。
この状態で、何者かが彼女たちに声をかけるのを待つ。
そうして、エウノモスが登場し、何事かの交渉、あるいは脅迫を始める。そう、これはいわば美人局である。
-
「千里の道も一歩からっと……。
簡単なのはいいけど、実際退屈でもあらァなぁ。」
バスターソードを背負った青年が、ちょうど近くを通り過ぎる。
明らかに未成年であろう見た目、あまり高等なものでないだろう皮鎧、
そしてそれらかあ浮いているほどに見るからに出来がいいミスリル製のバスターソードを背負っていた。
一風変わった存在であることには変わりがないだろう。
右手には何かが詰まった麻袋。
そのツンと来るような匂いからおそらく薬草であろう。
おそらく、採取依頼の帰りであろう。
-
>>2487
そうしていると、やがてギャリーの視界には、三人の少女の姿が目に留まる。
14歳程度の少女と、12歳程度の二人の少女だ。丁度、その姉と思わしき人物は、二人より背が頭一個分は大きい。
妹、それも双子と思わしき二人の少女は、その姉にぴったりとくっついていて、姉も二人を抱きかかえるようにしていた。
「……」
何か言っているのかもしれないが、聴き取ることはできない。
こんな夜の森に、特に力があるわけでもなさそうな三人の少女。
――その光景は、あまりに異質だった。
-
>>2488
「………ん、ありゃ……迷子、か?」
怯えている三人組を、見つけて不思議そうにしばし見ている。
魔物もいるだろうに、戦うすべのない少女が来るのがおかしいとも思ったが……。
……が、それは目の前のか弱い人を助けない理由にはならなかった。
何か事情があったりとかなんかあるかもしれないが、それは聞き出せばいいだろう。
「ほら、もう大丈夫だ!
俺が来たからな、安心しろよ!!」
そう考えた結果、特に警戒することもなく近づいて麻袋片手に話しかける。
-
>>2489
少女はさらにおびえた様子を見せた。
目の前の人物を完全に信用できるかどうかわからない、という発想も当然あるだろう。
しかし、怯えるように青年を見据える少女の目は、言外に、ギャリー自身の身を案じているような様子でもあった。
そんな姉らしき少女の考えを知ってか知らずか、二人の少女は姉によりすがりつく。
「……」
姉らしい少女は、何も言葉を発せずにいた。
-
>>2490
「………あぁ、そんな怖いツラしてるつもりないんだがなぁ……。
ほら、お前ら、王都とか村への帰り道もわかんないんだろ?
俺はわかってるから、俺に付いて行けばとりあえず王都には帰れるぜ。」
怯えられたことがわかったが、見捨ててこの場を去る気は無いようで適当な木に寄りかかる。
そこまで怯えられてはしばらくしないと落ち着いてもらえないと思ったのだ。
「……そんな目してたって、なんか言ってくれねぇとわかんねぇよ。」
なにか呼びかけているような、それでいて怯えているような、そんな目をしている少女(おそらく年長)を見て。
意思疎通がうまくできていないと思っているようで、困っている。
-
>>2491
「……その、私」
少女はようやく何か言いかけた。
彼女は主人たるエウノモスによって、この釣りに関して不利になる情報を口にすることを禁じられている。
しかし、彼女が何か言うにしろ、何も言わないにしろ、少々状況が硬直化していたのは事実。
であるため、釣り人は餌を切り替えることにした。
「あっ……」
姉に抱き着いていた少女の内の一人が、何かに怯えたためか、逃げ出したのである。
それも、不味いことに森のさらに奥だ。
追いかければ、十分にとめることはできる――。
-
>>2492
「………ん。」
言葉を促すようにしばらく黙っていたのだが……。
「……あ、おい!ちょっと待てッ!
っと……一緒に来れるか?あの子を放っておく訳にはいかないだろ?」
怯えたからか逃げ出してしまった少女を急いで追いかけようとするが、それでは二人を置いて行くことになってしまう。
……結果として、一緒に同行させるべきだと考えたようで、手を差し伸べる。
-
>>2493
あくまで態度を崩さぬギャリーの様子に釣り人は苛立ったのか、あるいは観念したのだろう。
逃げるそぶりを見せた少女の動きが突然止まり、その場に立ち尽くした。
そして、少し遅れて、拍手と共に、潜んでいた釣り人が姿を現す。
ぼろぼろの黒いコートに、フードを深くかぶった人物だ。
その人物の右目は赤く光り、フードのために余計目立つ。
「――失礼。善人で紳士たるあなたに非礼の数々、まずは謝罪させていただきたい」
その人物はフードを外す。
まだ若い、少女の貌が露わとなり、彼女は右の赤い目で射抜くようにしてギャリーを見据えた。
「台本ではこうだった。『よくも私の娘を傷つけようとしたな。覚悟をしてもらう』といって、私が正義の拳を振り上げあなたを打倒する」
「だが、そうはならなかった。それはあなたの人徳が優れているからだろう。重ね重ね、申し訳ない」
先ほどまで逃げ出そうとした少女は、エウノモスにまで走り寄る。
それに遅れて、ギャリーが手を差し伸べた二人の少女も、エウノモスの傍へ。
-
>>2494
「………え?どゆこと?」
突如、逃げ出した少女が足を止めたこと。
何故か4人目が潜んでいたこと。
……そして今回の出来事はその4人目が仕掛けたことであろうこと。
イマイチ理解が追いついていないのか目が点になって呆けている。
「つうより、下手すりゃ殴られてたのか俺。
いや、別に人切りじゃねぇし傷つける気なんてないけどさぁ。」
現在の状況を口にして、少しでも理解しようとしている様子だ。
……傷つけるの意味をそっちの方面でとらえたみたいだが。
「娘……娘?子持ちにゃ見えねぇけど。アンタ。
いや、三人産んでるんだから相当歳上なんだろうけど。」
そして、こんな言葉が出るくらいには色々失礼な人間でもあった。
-
>>2495
「――童顔で有名でね。こう見えて40も過ぎたところだ」
当然嘘っぱちだ。
だが、わざわざギャリーの勘違いを正す理由はなかった。
「紳士ならざる乱暴者を釣り上げて、それに鉄槌を下す。餌は娘。我ながら狂った楽しみだがね」
「おっと。つまらぬ一般論はやめてくれ。私の行っていることが危険なことは承知している」
「いつかその因果で身を滅ぼすともね。――ああ、これも縁だ。名乗っておこう。私の名はエウノモス。古の王のように断固としていながら流麗な名だろう」
「もしも――いや、私は男はあまり好きではない。男は獣だからな。だから、もし万が一、これ以上の縁があるなら、その時はよろしく頼むよ」
右目の赤い光は、しばらく激しく明滅していたが、それも大人しくなる。
-
>>2496
「わぁお、すげぇ年上じゃねぇか。
人は見かけによらねぇんだなぁ。」
それでも敬語を話さない人間なのであった。
「危険だとわかっているにしても、ヤバいと思ったら身を引くことをお勧めするぜ。
俺はギャリー。ギャリーフォルツだ。そっちと違って力強さもない名前だけど、案外気に入ってるんだ。」
「………事件とかなんとかあるし、獣なのは否定できねぇなぁ。
まぁ、よろしく頼む。」
-
>>2497
「……では、失礼しよう。娘達を休ませねばな」
「それではまたの日までごきげんよう! 次は、もう少しマシな脚本を用意しておこうではないか」
エウノモスはフードを被り直し、少女らを伴って闇にと消えた。
あの少女らは全員が人形であり、エウノモスは20を少し超えたばかりだとギャリーが知ることになるのは
この出会いの日から日を置いた、まだわからぬ未来の出来事になるだろう。
//ではこんな感じで。おつきあいどうもでした。
-
>>2498
「……おう。おつかれさんっと。」
軽く手を上げて、見送っていった。
「なんつぅか、変わった奴と会っちまったなぁ……。
いや、悪い奴らじゃないんだろうけど。」
自分が変わり者だという字画がないのか、そんなことをつぶやいて帰っていった。
【ご相手、ありがとうございました!】
-
<王都近くの草原>
「…………。」
【草原を独りで歩くのはグレーの髪の毛に褐色肌を持つ少女だ。
王都の中等部指定の制服を着ている。今は夏服だ。
特徴的なのはその鼻であり、長さは顎の下までに達し、また太い。まるで象だ。】
-
「…………。」
【行き先は王都のようである。
こんな時間に王都に向かうということは、格好からして何かの帰り道といったところだろう。
こんな少女が夜まで出歩くような理由は無いような気もする。まして、不良少女には見えない。】
-
「やあお嬢さん。こんな夜更けに――如何したのかね?」
黒いコートに身を包み、しっかりと帽子で目元を隠した人物が唐突に声をかけた。
たまたま出くわしたのか、後からつけていて、タイミングを見計らったのかは不明だ。
わかるのは、その人物は右目が煌々と赤く光り、何ともいえない雰囲気を醸し出している。
「一人歩きは感心しない。このように、つれ立っていなければね」
そして、その人物の傍らには、三人の少女がいる。
一人は中学生ほどで、より幼そうな二人はおそらく双子の妹なのだろうと伺わせる。
-
「………………家に帰ってる。」
【立ち止まって、そちらの方をボーっと見ながら呟いた。
この時間に王都の外で誰かと出会ってしまうことの危険性を分かっていないらしい。
他の少女には目もくれておらず、その態度もどこか上の空である。
この特徴的な鼻から、ザッハーが人間ではなく獣人、亜人の類であることがわかるだろう。】
-
>>2503
「おや。そっけない返事をするのだね」
肩を竦めてみせる。
帽子に隠れてよく見えないが、口元は確かに歪んでいて。
「私が夜盗のような不届きもの――とは考えないのかね」
さてどう返事をするか。
この人物は期待している。運よく(悪く)彼女の期待に応えてしまえば、状況は危険なものになる。
そんな予感を抱かせるのに十分な如何わしさだ。
何しろ、この人物はまるで現実を見ているようではなく、舞台の役者のような雰囲気なのだ。
-
「…………危ない人なの?」
【そう言われて、妙な間が空き、その後、首をかしげながら尋ねる。
尋ねられて、「はい」と答える人間は少なそうなものだが。
また、「はい」と答えた場合、彼女はどうするつもりなのだろうか。
普通ならば、そう問われた時点で逃げ出しても良さそうである。
もちろん、そちらの言葉がある種の謎掛けの様な機能をしていることには気づいていない。】
-
>>2505
「素朴な疑問だね――ならばその通りだと答えよう」
帽子を外し、傍らの少女に預けた。
それによって露わになるのは、まだ若い少女の貌だ。
右目はより赤く、激しく明滅する。
「さて私は何者だと思う? 物盗りか? 殺人鬼か? 誘拐犯か――」
「そして、その危険な人物の前に立つ君は、さてはてどう対処するのだろうね」
心底楽しげに、口元をにやつかせている。
-
「…………全部。」
【彼女の下した決断は早い。
どう判断したのか、エウノモスの挙げた可能性すべてをエウノモスそのものとした。
つまりは……彼女を自他共に危険人物だと理解したわけである。】
「…………どうして、すぐに何もしなかったの?」
【ここでまたもや、疑問が湧いたのか普通に尋ねた。
いまいち、危機感という物が無いらしい。
だが、尤もな疑問であろう。エウノモスがどれであっても先手を打つことが有利には変わりない。
まして、こんな少女であれば尚更である。】
-
>>2507
「おや。大正解だ。そして私は娘たちを汚す者でもある。知っていたかね」
上出来だ、と生徒を褒める教師のように微笑んで、白い手袋に包まれた右手で持って自らの顎先を撫でる。
落ち着いたザッハーの態度は、決してエウノモスにとって悪いものではなく、むしろより興味を抱かせるものであった。
彼女に興味をもたれるということは、あまりいい事態を招くとは考えにくいが――。
「どうして? 君はそれほど敏いならば、もうわかっていることだと思ったがね」
「――それは私の美学に反するからだよ。お嬢さん。言葉を交わさねば、そこに愛は生まれまい」
何をするにしても、対話を好む。
この世界を舞台と認識する彼女にとって、ドラマが生まれぬ役者の動きは認められないということだ。
-
「…………そう。」
【強がりで冷静さを装っているわけではないらしい。
なぜならば、彼女の顔色は変わらず、表情も無表情で、汗一つ浮かんでいないからだ。】
「美学……汚す、愛を生む――――愛が、欲しいの?」
【むしろ、その言葉を受けて、何やら考え始める。
逃げたり、実力行使に出たりせず、こうして対話を続けているのは
ある意味で、エウノモスにとっては好都合な状況かもしれない。】
-
>>2509
「その通りだ。私は愛を求めている。一方的な愛だがね。それを人は通常は暴力と呼ぶのだが」
「まぁ構いはしないだろう。私を散々愛したケダモノ達はその辺りを考慮しなかった。私も考慮する必要性を認めんな」
肩を竦めてゆるゆると首を振り、そんな仕草をしてから彼女は右手を頭の位置にまで掲げた。
すると、彼女の傍らにいた二人の双子の少女が、隠し持っていたクロスボウをザッハーに向ける。
「さてどうするお嬢さん。どう事態を打破する気だね」
「それとも私の愛に応える気にでもなったかね」
目の前に突き付けられた暴力に対し、どう対処するか。
彼女の感心はそこに移りつつある。
-
「…………カワイソウ。」
【無表情で、ボーっとした態度はそのままに。
もちろん、この言葉はエウノモスへと向けたものである。
暴力を振るうといわれ、凶刃を突きつけられているというのに、いまだこの反応。】
「……何か、不幸があったの、かな?」
【すると、エウノモスたちの背後の方で何やらかさりと草を踏む音。
ここは草原……うかつな立ち振る舞いは、こうした音であっさりとばれてしまう。】
-
>>2511
「哀れむのはやめてもらおうかお嬢さん」
「――最早、おしゃべりは無用。そう言いたいのかね」
ず、と一歩ザッハーに向けて迫る。
それには奇妙な迫力があり、威圧するかのようでもある。
また、背後からの気配に関しては、クロスボウを向けている少女を振り向かせることで対処する。
差し迫った危機ならば、彼女たちに応戦させるのだ。
ただ一人、何も役割を与えられていない少女の存在が、ネックといえばネックだった。
-
>>2512
「……?」
【意味がわからないとばかりに、首を捻る。
そちらが一歩迫るのに、あわせて、こちらも一歩、引いた。
まるで、息のあった踊りの様に。
そして、振り返ったクロスボウを持つ少女達の目の前に立つのは……。】
「…………。」
【……ザッハーである。
正しく、振り返る前に見た今はエウノモスと対峙した状態のはずのザッハーだ。
感情がないのではないかと勘繰ってしまうほどの無表情で。
もちろん、少女達が"間違っている"わけではない。
ちゃんと少女達は振り返っている。しかし、振り返った先にいたのは同一人物だ。】
-
>>2513
少女らの部分的な視界の共有で、ありえぬ光景を見た彼女はたたらを踏んだ。
しかし、アドリブに動揺するようでは、役者として二流だ。
彼女は努めて平静を装う。背後の存在は、おそらくは幻覚の類だろうと。
「言葉は尽くした。ならば、あとは行動あるのみだろう」
「今晩は台本通りに概ね運行しそうで、感激の極み、だ――!」
彼女は駆け出す。
左手を突きだして、ザッハーの身体に触れ、そのまま力ずくで拘束するのが目的である。
彼女の四肢は義肢だが、それは非常に強力なものだ。駆け出す速さも、力も普通の尺度で測れるものではない!
-
>>2514
「…………。」
【駆け出すエウノモスを見て、2,3歩後ずさった。
しかし、反応は遅い。"手馴れている彼女たち"からすれば、赤子を捻るも同然だ。
あっさりと捕縛されてしま――――】
「…………。」
【わず、触れたところから、ザッハーの身体が歪む。
ともすれば、その義肢の力で傷が付いてしまったであろう、その掴まれた部分が歪む。
そこが煙の様に空気に溶けたかと思うと、体全体も同様に風に流されてしまった。
……幻影ならば、こちらのようだ。】
-
>>2515
「――」
捕縛が空振りに終わった。
そう判断すると、即座に背後のザッハーを見据える少女たちにクロスボウを発射するよう命令する。
命令を受けた二人の少女は、ザッハーの手足に向けて引き金を引くだろう。
「蜃気楼の乙女とでも名づくべきかな」
ボルトは容赦なくザッハーに飛来したが、さてそっちも本物であるという確証は無い。
彼女は振り向いて、効果を確認する。
-
「…………本当に、危ない人。」
【クロスボウを発射されたザッハーが呟くと、呆気なく
そのボルトはザッハーの手足を貫くが、その予想通りやはり幻影だ。
撃たれた手足は空気に溶けていく。それと同時に彼女全体もまた消えていった。】
「……貴方達、も……何か抱えているものがあるの?」
【すると、クロスボウの効果を確認するために振り返ったエウノモスの背後でまたもや声がする。
貴方達、というのは先ほどからエウノモスの指示を受けて行動している少女達のことであろう。】
-
>>2517
「――降参だ。私では君を害することが出来んらしい」
観念したようにため息をついて、小さく拍手をする。
どういう理屈の上に成り立っているのか彼女には特定できない。
彼女は魔術師ではないからだ。
「観客たちも驚き喜ぶことだろう。良いアドリブであり、お嬢さん。君は良い役者だ」
「名前を伺いたい。私の名はエウノモス。古の王が如く断固としていながら、流麗な美しい名だと自負している」
「お嬢さん。君の美名を聞かせてくれたまえ」
振り返ることはしない。
それは最早野暮だと思っているかのように。
そして、少女達は彼女の傍らに再集結し、ザッハーの問いの答えは返ってくることがない。
-
「エウノモス……ザッハー=デスセルト。…………学生。」
【特に抵抗することなく、名乗りを上げた。
このような相手に名前を覚えられると大変なことになるかもしれないといったことは考えていない。
加えて、何を思ったのか少し悩んだ後に自身の職業まで告げた。
尤も、これは彼女の衣服を見ればすぐにでも分かることなのだが。
そして、結局、答えは返ってこないがそれに不満げな様子も無い。】
-
「――よろしい」
帽子をかぶり、少女達を引き連れて歩き出す。
目的は達成できなかったが、彼女は何やら満足いったものであるらしい。
「次は、是非ともその蜃気楼の秘密をご教授願いたいものだ」
そんなセリフを残して、彼女はそのまま消えていった。
//ではこんなところで
-
「…………。」
【恐らく、彼女の秘密が語られることは無いであろう。
いや、語られることが無いから"秘密"なのであろうが。
エウノモスが分かったことと言えば、ザッハーは攻撃手段を持たないということであろうか。
そして、それは幻影に対しても同じである、と。
無論、ザッハーにそういう気が無かっただけなのかもしれないのだが、FO】
//了解です。お疲れ様でした!
-
――森林 ラレンティア邸
この日、友人のその屋敷を訪れたのは、黒衣の魔女……ではなく、それなりに化粧も覚えたような、銀の髪の少女であった。
無論、リトスであることに変わりはない。が、彼女も思うところあって就職したのだ。
いつまでも、あの暗く湿ったところでの隠居をしているわけにもいかないとでも思ったのだろう。
「……」
そんなところも含めて、今日が初めてのその報告である。
髪もちゃんと切って整えているため、ラレンティアは驚くだろうか。
服装は、森を歩く必要があるわけで、それなりに起動重視となり、あんまりおしゃれというわけにもいかないが。
-
リトスの眼前には、見慣れた門が見慣れた風に佇み、その奥には持て余すつもりしか無い様な大屋敷が見える。
刻限無くこの世に縛られた幽霊は、やはり成仏の手掛かりを見付けられずいた。
「あぁ〜……ジメジメしますわ……
魔力がしけって心地悪いこと。
尋ね人でもあれば、気が紛れますのに。」
そして久しく尋ねる人が居ない屋敷の主は、独り言が多くなっていた。
-
>>2523
「……えーと」
ペイルライダー騒ぎからいろいろあって、あまり来ていなかった。
そんなこともあって、少々勝手は忘れていたが。
「お邪魔します」
が、そもそもここは文字通り幽霊屋敷。
それに今更よそよそしい態度を取る仲でもない。
門から入り込めば、気配を察知するのは目に見えていたので、そっと門を開いて侵入する。
-
>>2524
【ギ、ガガ……キィー……】
……
…………
………………
重苦しい音を立てて開く大門。
いつもならここで「待ちかねましたわ!」と若草色の幽霊が飛び出して来るのだが……
何故だろうか。もう扉の前に近いと言うのに反応が無い。
留守では断じてなかろう。
リトスにも感じられる、彼女独特の不透明な魔力の気配があったのだから。
しかし、では何故姿を現さないのか。
-
>>2525
「うん?」
不思議に思い、さらに玄関のドアノッカーを叩いてみる。
これで反応があればそこで待つが、どうにも返事がなければ踏み込んでみるだろう。
「そもそも執事がいたような……」
こない間に何かがあったのだろうか。
-
>>2526
執事どころか、普段庭弄りをしている緑の巨人……独活の大木すら見当たらない。
如何したものか……と思った瞬間
「リトスですの!?」
丁度ノッカーの輪が当たっていた辺りから、にゅっと勝気そうな少女の顔が付き出して来た。
-
>>2527
「……!」
幽霊の特性を惜しむことなく使った友人の登場に面食らう。
そういえばそうだった。軽々しく壁抜けするのだった。
しかし、ドアノッカーのあたりから出てきては、まさにわっかに鼻でもぶつけはしないだろうか。
「ひさしぶり。遊びに来たよ」
突然だけどね、と微笑んで。
-
>>2528
「…………。」
しばし眼をぱちくりとさせるが、中々面白い事になっている。
壁を抜けて、リトスの姿を確認する為に中途半端な所で顔を出すのを止めているラレンティア。
即ち、今ドアノッカーの輪が牛が鼻輪をする風にラレンティアに乗っかって見えるのだ。
「全くもう!もう!貴女と来ましたら!
ぱったりと文も踏みも寄越さずに暫くなんですもの!
あたくし、退屈で三度ほど死にましたのよ!?もう!」
-
>>2529
「いろいろあって……」
ごめんね、と所在なさげに髪を弄る。
そう。色々あった。具体的には就職である。
折角魔女として得た技術の数々、眠らせておくのは惜しいのではないか、それが六魔女の間で概ね統一された見解だ。
ただし、頑固なカルディーネと放蕩者のスヴェルは除く。ヴァローネに至っては、そんな話が出る前から働いている。
「その辺りも、いろいろ土産話があってね」
「退屈は、紛れると思う」
以前ではなかなか珍しい、春の日向のような笑みをするようになった。
そのところに、人の変化を感じてしまうのではないだろうか。
-
>>2530
「……もう、いけずですこと。
その様な顔をされてしまっては、もう怒れませんわ?」
やや笑いを堪える必要がありそうな顔が、少しむくれてから引っ込む。
少しして、ひらりと幽霊が真横へと舞い寄り
「是非聞かせて欲しいですわ、リトス。
ささ、お入りなさいまし♪」
歳そのままのあどけない笑みを見せながら。
ラレンティアの言葉を合図に、扉は独りでに開いた。
-
>>2531
「ん。お邪魔します」
一礼して中に。
牛みたいなラレンティアは可愛らしかったが、言うと怒ると思ったので彼女は心の内に留めることにした。
「六魔女の意識改革があった。概ねはそんな話だけどね」
いつまでも過去を気にして閉じこもってもいられない。
長い生命を手に入れ、常人よりはるかに長い青春を得た彼女らにとって、そんな結論が出るのはある種当然だったのだ。
-
>>2532
「……意識改革、ですの?」
リトスの思惑には気付かず、いつも通り、二人ともいつもの席へ。
久々にあのやや古いソファへ腰かければ、少し懐かしい気分になるだろう。
「確かに、リトスもあかぬけた容姿ですわね?
別人かと一瞬疑いましたけれど、そちらの方が可憐ですわ。」
-
>>2533
「そう。意識改革」
ソファに腰かけて、一息つく。
こうしてリラックスできるのは、結構久しぶりのことだった。
「いつまでも一人でぼーっとしているよりは、働いたほうがいいでしょう、って、誰が言うでもなく話題にあがったことがあって」
「私と、もう二人……シズルと、リスティルが働くことになったの」
そうして、人前に出ることが多くなる。
都合、女性に求められるあれやこれというのも、人並みに身につかざるを得なくなったのだ。
-
>>2534
「成程、そういう事でしたの。
確かに、勤労はヒトの最も得意とする無駄ですものね。
人に交わって暮らそうとすれば、それをせんとするのも自然な事ですわ。」
お気に入りの、実体でない桃色の扇子をはたはたとさせた後
「リトスはどの様なお仕事をされるんですの?」
口元を扇子で覆い、少し首を傾げて問い掛ける。
-
>>2535
「薬師の組合に所属することになって、要するに研究員」
現代の感覚で言えば製薬会社。
彼女の性分に合った仕事先だろう。
「私のような半引きこもり人間も多いから、気が楽でいい」
仲間全員が全員愛想がいいわけではない。
最低限の意思疎通があれば何とかなるのだ。
無論、薬というデリケートなものを扱うので、少々さらに特殊な色々もあるが。
-
>>2536
「それは、また……。」
扇子の上にある双眸が、少しさみしそうにそっぽを向く。
「ある意味、医者よりも忙しい仕事ですわね。
王都は旅の途中のオアシスでもあり、根でもあり……
薬の需要も、他の並ではありませんもの。」
-
>>2537
「忙しいのは確かだけど、休暇もまとまってもらえるし」
リトスらのような人材に求められているのは新薬の開発だ。
それらを量産していくのは、下部組織である。
レシピさえあれば、素晴らしい効能の薬はたちまち一般化して流通する。
独立した薬師達をまとめ上げたこの組合は、なかなか荒稼ぎをしているのだった。
「ちゃんと毎週の休みもある。だから、今度からはちゃんと会えるよ」
寂しそうにしているラレンティアを思ってか、そんなことを。
-
>>2538
「まとまって……」
一度飲み込んで考えてはみたものの
「ふーんだ、お父様もそうでしたわ!
お休みがあるあると言いながら、結局いつもお家に帰られてもお仕事ばかりで……」
扇子の下でいじけているのが眼に浮かぶ。
視線をあちらこちらに彷徨わせて、眉を潜めて眉間に皺を作る。
-
>>2539
「……大丈夫だって」
いじけてしまったその様子に、どういうわけだか微笑ましさの方が勝ってしまって。
こうしていると、ようやく”いつも通り”という気がする。
「ね、約束」
何も担保はない口約束だけど。
口に出すのが大事だった。
-
>>2540
「…………むぅ。」
無二の親友に約束、とまで言われると弱い。
普段は破天荒だが、寂しさが勝っているとリトスが彼女を御しやすいのもまた"いつも通りだった"
「わかりましたわ。
その代り、破ったらあんな事やこんな事しますわよ!!」
どんな事だろうか。
-
>>2541
「お、お手柔らかに……」
一体何をされることやら。
「それで、私以外の二人……シズルと、リスティルは学校の先生になった」
「隣のテヴェレ市ってところでね。なかなかの才女っぷりを遺憾なく発揮したものだと思う」
テヴェレについては帝国博物誌参照のこと。
「これで完全な放蕩者はスヴェルだけになった。……あの子らしいけど」
自由人のスヴェル。
今日も風の向くままに生きていることだろう。自由とは彼女の為にある。
-
>>2542
「手加減はしませんわよ……」
ふっふっふ、と意味深げな笑みを終えると、漸くと扇子が外れる
「ああ、あの学園都市……。
なろうと思ってなれてしまうのがまた、流石は魔女と言った所ですわね。」
納得した風に頷く。
そも腐らせれば一財産を池に沈める程の才気。当然の結果とも言えると彼女は思った。
「スヴェルが何かに縛られて生きるのは、あたくしが退屈だと言わない様な物ですわ?」
-
>>2543
「なるほど……その通りだね」
お嬢様は娯楽に飢えている。
それを埋めていたのが自分だと思うと、少し誇らしくもあって。
「そういえば、ラレンティアが好きそうな人を見かけてね」
「王都で、悪の魔法使いたる自分に仕える者はいないか、なんて言っている子がいて」
なかなか可愛らしかったが、見た目よりははるかに覚悟があるようだった。
そんなちぐはぐな印象の少女の事を話す。
-
>>2544
「好きそうな人、ですの?」
ふんふん、と続きを促して話を聞くと
「まあ、悪の魔法使いを自称するだなんて、なんとも退き引きならない事ですわ!」
ぱあっと眼の色が輝く様な錯覚を受ける。
とても分かり易く、ラレンティアは"面白そう"と判断した風だった。
-
>>2545
「私は”ネガティブ・ケミカル”の名をもらった……」
由来は見たまんま。
あの時は疲れてふらふらしていたので、よけい暗く見えたことだろう。
「また調査に走るのも面白そうとは思うけど」
「あの子を捕まえるのは、難しそう……」
何しろどこにいるのかよくわからないのだから。
-
>>2546
「まあ、もう少し可愛らしい名前はありませんでしたの?
リトスったら随分としとやかになってしまって、あたくし少し妬けます事よ!」
己が口八丁だけで手練れを凌いだ辺りからは、想像もつかない程明るい。
ただ感情表現や主張が苦手なだけの少女、という印象は今は無い。
……と、長く一緒に居るラレンティアは感じていた。
「森の中なら、あたくしのお庭ぐらいのものですわ!」
虱潰しなら、ほぼ無限の時間を持つ自分にとって大した事ではない。
そんな自信を満ち充ちとさせながら(無い)胸を張る。
-
>>2547
「あの子のネーミングセンスは、中々独特だった」
自分以外にもいろいろあだ名をつけられている人間はいた。
どれも個性的なものばかりだったが。
「森……かなぁ」
一体どこを拠点にしているのか。
一切その辺りには触れなかったため、不明なのである。
-
>>2548
「あたくしなら路傍の草、でしょうか。」
そこまで地味なら人生もうちょっと粛々としていたであろう。
「他に特徴はございまして?
あたくし、是非とも会いたくなってしまいましたわ!」
鳴らない手を合わせ、うきうきとした表情。
最近は屋敷に独りで籠り切りだったため、楽しくて仕方が無いのだろう。
-
>>2549
「特徴……うーん」
いわゆる魔法使いっぽい恰好をしていたというぐらいか。
キャラククター性はともかく、見た目はそこまで強烈じゃなかった。
「あ、ただ――”赤目の夜盗”なる存在を耳にしたから、気を付けた方が……」
曰く、赤い右目を煌々と光らせて、何事かを語りかけてくる。
その反応如何によっては――という、フォークロアのような存在。
また、その人物は三人の少女をはべらせているという。どうにも、嘘っぽい存在だ。
-
>>2550
「……赤目の夜盗!」
気を付けろ、という言葉は彼女にとって行ってらっしゃいと同義である。
何せ彼女とくれば、己が魔法を受ければ対消滅し兼ねないのに嬉々として危険へ飛び込んで行くのだから。
「良いですわ良いですわ、あたくしが拗ねている間に、その様に面白い事になっていましたのね!
流石リトスですわ、あたくし、俄然燃えて来ましてよ!!」
褒められているのかはよく分からないが、リトスに大変な感謝を寄せている様だ。
そして、拗ねている自覚はあったのか。
-
>>2551
「ただ、問題はある」
指を立てる。
”アレ”は、これまでのような凶悪さよりは弱い。
しかし、それ以外で問題がある。
「曰く、乙女を汚す者。つまり、女性への乱暴狼藉を目的の一つにおいているということ」
相手が幽霊だからといって、問題になるかどうか。
尋常ならざる者なら、幽霊相手に性的暴行を加えることだって、考えられない話ではない。
「少女を侍らせている、というのが不可解だけど……」
いまいち情報はない。
最近になって出没した人物であり、被害者というのもあまり出ていないからだ。
-
>>2552
「……うぅん、情報を集めなければなりませんわね。」
人差し指を鉤の形にして、鼻先に当てながら言う。
もしそれが本当ならば、あまり都合の良い相手とは言えない。
ラレンティアとて然るべき器があれば体を手に入れられてしまうのだ。
「会って話をする必要がありますわ!」
これである。
どうにも一度死んでしまうと、危機感が地の果てまで飛んで行ってしまうのだろうか。
リトスは生身ゆえ理解できない事だろうが、彼女にとっては左程のリスクではないらしい。
……若しくは、自信の表れか。
-
>>2553
「話好きってことだから、話すことはできると思うけど……」
ただ、どうもつれるか。
情報は少ないが、あまり愉快な会話をする性質だとは思えない。
何しろ相手は夜盗とあだ名されるぐらいなのだ。
「とりあえず、魔女として同行はするけど……」
最悪を考えないでもない。
すなわち、ラレンティアを逃がして、自分が犠牲になるということだ。
……どうなって、しまうのだろう。リトスは考えるのをやめた。
-
>>2554
「あたくし、お話はとても好きです事よ?」
そもそも話す前に襲われてしまっては。
という事を考えているのかいないのか。
存外に頭が回る分、彼女の読み辛い部分ではあった。
「あ。先に申し上げておきますわリトス。」
リトスの言葉尻に何かを感じたのか、すい、と顔を寄せて真剣な表情を取る。
-
>>2555
「……何かな?」
何か心中を見透かされたような気がして、どきりとする。
今の考えが覗かれてしまっただろうか。
確かに、褒められた発想ではなかったが。
-
>>2556
「……リトスはあたくしだけの大切なヒトなのですから。」
リトスの唇に人差し指を当て
「…………他の誰にも、渡しません事よ?」
悪戯っぽくもあり艶めいた様でもある何とも言えない表情で、トーンを落として言う。
-
>>2557
「……ぷろぽーず?」
何だか昔に戻ったように、半目でそんな事を。
勿論、とぼけた態度を含めて冗談だが。
「ん。まあ、そこまで凶暴というわけでもないみたいだから」
「どんな手段を講じてくるにせよ、安全に逃げることはできると思う」
その辺りは魔女の矜持でもある。
とりあえず、次の二人の冒険が決まったようであった。
//ではこんなところで! 乙でした!
-
>>2558
「あたくしが全うな人間だったならば、違い無かった事ですわ。」
ふふん、と腕を組んで冗談に返し
「いざいざ、赤眼の夜盗を追え!ですわよ!」
ぐっと拳を握り、いささかはしたなく突き出す。
その様は、本当に昔に戻った様で楽しげであった。
//乙したー!
-
――森林 ラレンティア邸前
(前回のあらすじ)
リトスが就職して、初めてラレンティアの前に顔を出した。
少しだけ社交的になった彼女だが、それでも二人の友情は曇ることもなく。
そして、また、いつしかのように彼女は、ラレンティアが喜ぶような話を聞いていたのだ。
今回二人が対峙しようとするのは、赤い右目をした、少女を引き連れた怪しい夜盗。
噂も何もまだまだ少ない未知の存在を、二人は追い求めることになる。
「……と、概ね上記のようなものになる」
――のっけからメタ発言を、虚ろな目で行うリトス。
森を歩くので、動きやすさに重点が置かれていたが、それでも一般的な女性らしい趣味をしているといえよう。
どこにいくにもずるずるだぼだぼローブで通していた昔は最早遠い過去だ。
「これだけあげると何だかのんびりした冒険に聞こえるかもしれないが、あの者は自称”乙女を汚す者”つまり性犯罪者」
「そんなものを女子二名(内一名死人)で追い求めるのは危ない構図であるといえる」
そもそもの問題もある。
その夜盗とやらは、目撃例が極端に少ない。
こんなに、森にはうごめく存在があるのにだ。このあたりを警備しているペイルライダー達も見たことがないというのは下調べで判明している。
それに、さらに言えばゾンビによる兵団、ブルノ師団だってこの森には存在しているのだ。
情報が少なすぎるのは、聊か奇妙だといえた。
-
「相変わらずのトランス技、見事ですわ!」
鳴らない手を叩き、そのまま合わせた掌を頬へ持って行きながら言う幽霊。
「それにしてもそうですわね。
街人ならともかく、ペイルライダー達ですら見た事が無いというのも引っ掛かりますわ。
うまく逃げ続けたとして、そう簡単に森中の眼を欺けたものでしょうか?」
流石に相手が相手とあらば、ラレンティアも慎重だ。
既に独活の大木を先行させ、あらかじめ目星をつけておいたルートを先行させる。
ここに自分とリトスの視界が加われば、そう易々と見損なう事は無いだろう。
-
>>2561
「……被害者がいないとか?」
どんなに猟奇的な思考をしていても、被害者がなければただの変人だ。
その人物が危険だとはっきりするから誰もがその存在に注目するようになる。
そんな認識が無ければ? 噂はなかなか広まらないし、ゾンビ達は無視するし、ペイルライダー達は視界にも捉えないかもしれない。
「あるいは、よっぽど隠密に長けていて、その上で地下に潜伏しているとか……」
「……どうしたものか」
予想されているルートは、森深部にまで進出するのではなく、むしろ浅いところだ。
入り口付近。そこで目撃例が存在していることを鑑みて、その夜盗はあまり深くにまで来ようとしていないのでは、という推測に基づく。
-
>>2562
「…………成程、被害者がいない……
若しくは、理由あって被害者が口を噤んでいる?」
後者は性犯罪に於いては有り得ない話でもない。
羞恥心や名誉を損なう事を恐れて泣き寝入りする被害者が居てもおかしくないだろう。
「むむむむ、謎の多さがここまでの動き辛さだとは思いませんでしたわ。」
-
>>2563
「考えられる。……あるいは、”被害者が消失する”ことも、あるかも」
つまりは誘拐。
行方不明事件として騒ぎになるかもしれないが、森の中での犯行なら、多くの場合目撃者がいない。
なので、神隠しということにされることもしばしばで、誘拐する人物の像までは浮かび上がらないことも考えられた。
無論、身代金目当てで、交渉を行う輩はその限りではないが、誘拐が目的となっている者の場合にはありえた。
そして、その夜盗が人をさらうとすれば、確実にそのパターンだろう。
「――で、このあたりだけど」
「ただ、この地点での噂は……」
赤く、光る右目で現れたその人物は、ここで男と遭遇した。
その人物は、出会ったのが男であることがわかると、少しだけ肩を起こして、けれん味の過ぎる口上を述べた。
男はとにかく金品を要求されていることがわかると、さっさとそれを投げ捨てて逃げ出したのだという。
「女性に出会うか、男性に出会うかで、明らかに態度も行動も異なるということ。男なら金品を要求すると……」
つまり、お金を使う必要があるという事。
ということは、定期的には人里に下りていることがうかがえる。
-
>>2564
「その点で言えば、イレギュラーが無ければあたくし達は好都合ですわね。」
単に二人一組では然程でも無いだろう。
しかし、ラレンティアは実体を持たぬ幽霊であり、リトスは指折りの魔女。
片方がどうとなっても、相手に好き放題させる猶予を縛る事が出来る。
潜って来た修羅場は数知れずだが、相手はなかなかに厄介なのも確か。
「いずれにしても日の目を見られそうな行いはしていませんことね。
さて、いきなり襲われないと良いのですが……。」
-
>>2565
――さて、そんな話をしていると、遠くから赤い光が見えた。
独活の大木の視点からは、より鮮明に見える。赤い右目をしたコートの人物だ。
そしてその人物は、こちらにへと段々と近寄ってきて、二人の視線からも人物であることがわかる。
そして、その人物は、まだ幼そうな双子の少女と、それの姉らしい一人の少女を引き連れているのだ。
「ごきげんようお嬢さん方! おや? これはこれは! お二人とも中々変わったレディのようだ!」
「私は運がいい! すばらしい、私は感動をしているのですよ、お嬢さん。わからないでしょうな。私のこの胸の震えが!」
そのコートの人物は、上機嫌な様子でそんなけれん味がかった口上を述べる。
さらに、フードを外した――。二人にとって意外だったのは、現れたのは少女の貌だったことだろう。
「……っ」
あまりの存在感に、リトスは息をのむ。
そして、ラレンティアに小さく耳打ちをした。
(引き連れている三人の少女は、非常に良くできた――人形)
-
>>2566
この身は幽霊なれば、全身に怖気が走っているのが常。
しかしそれに割り込む程の感覚。幽霊は飲めぬ息を飲んだ。
「……………」
桃色の扇子で口元を覆い、耳打ちに返す。
しかし視線は正面の赤眼と人形から外さない。
「ええ、あたくし達まだお会いしたばかりですもの。
強ち間違いでは無い様ですわね、その反応。
女狂いの女とは、流石のあたくしも測り兼ねましたけれど。」
ヒュッ、と扇子を畳み、向かって左の人形から右の人形まで、じゅんぐりと指示しながら。
-
>>2567
「おや。どこかで私の存在をご存知でしたかな? それは結構」
「ああ、いけない。私としたことが非礼でしたな。私の名はエウノモスというのですよ、お嬢様がた」
「古の王が如く断固としていて、それでいながら流麗な名だと自負しているのですよ?」
エウノモスと名乗った彼女は、そっと一礼した。
その仕草も大仰で芝居がかったものだ。まるで彼女は、舞台の上の役者のようだった。
「それで、お名前を是非伺いたいが――よろしいですかな?」
さて、どうするか。
リトスは横目でラレンティアの様子を見る。自分がどうするかは、ラレンティアの反応を見て決めることか。
-
>>2568
「ええ、お噂はかねがね。
あたくしが家から出る切っ掛けを下さって感謝していますのよ?」
勝気な瞳で笑み、再び扇子を口元に寄せて。
「殿方の名でありながら、気位高い事とお伺い致しますわ。
なればこそ、音に聴きまし目に観まし。
かの森に一つの国ありと謳われた、シルアカ家が末代領主。
ラレンティア・リングリング・セルククト・シルアカ……以後お見知り置き下さいまし。」
尊い者のルールか、一礼に礼を返しながら、躊躇するまでもなく自己紹介。
彼女に合せて、恭しく扇子を畳みながらに頭を下げる。
-
>>2569
「なるほど。まさしく、素晴らしいレディというわけですな。結構」
「では、そちらは」
隣の共が躊躇なく名乗ったので、リトスも胎を決める。
大人しく、名を白状することにした。どうせ、長い間名無しだったのだから。
「私は――リトス」
「お付きの、気高い魔女といったところですか。二人の友情は、なるほど美しい」
ゆるゆるとエウノモスは首を振る。
彼女の右目は、激しく明滅を繰り返していて。
「私の噂を知っているならば、もうおわかりでしょう」
「レディには、私の傷を癒すための薬となっていただきたいのですよ。未だ、薬の取得は成ってません故にね」
「どいつもこいつも、私の前に姿を現すのは憎たらしい男だけです。男は恐ろしいケダモノだ! 私の四肢を食いちぎり、目玉をつぶしてなお食らいついた野獣!」
「未だに傷が痛むのですよ。痛み止めは即ち、少女の肉体というわけです。いやあ、我ながら救われませんなあ」
両手を広げて、彼女は天を仰ぐ。
事前情報通り、話好きという性質から、すぐに敵対行動に移らないようではあるが、雲行きは怪しい。
(どうする……)
そっと、リトスは耳打ちをする。
-
>>2570
(もう暫し)
短く返すと、彼女との問答を再開する。
「……成程、おおむね把握致しましてよ。
ただ……ご訂正頂きたいですわね。
このリトスをお供などと下げた物言いはお止しになられた方が宜しいですわ。」
気に掛かったのはそこらしい。
彼女の言葉通りなら、噂に違いは無かったという事になる。が、今はそれよりもだ。
「彼女はあたくしの誇れる無二の親友ですわ。
気安く下卑た視線で観る事など、赦される筈ありませんことよ。」
-
>>2571
「おお! なるほど、これは非礼をば謝罪せねばなりません」
「いや、知らぬ事とはいえ申し訳ないことをいたしました」
驚くほど素直にラレンティアの言を聞き入れ、頭を下げる。
いや――エウノモスの態度を見ていれば、驚くことでもなかったかもしれない。
「これほどまで言葉がわかるのならば、あるいは――同意の上でを期待しますが」
「そうはならぬのでしょう。レディ。あなた方には抵抗の権利がある。私は闇に乗じて乙女を襲う悍ましき悪党だ! 人でなしだ!」
「好きな方を選ぶがよろしいレディ達。抵抗するか、受け容れるか」
エウノモスは大きく手を広げ、激しく明滅する右眼でもってこちらを睨みつける。
それを合図にしたのか、それまでエウノモスに寄り添っていた双子の人形がクロスボウを取り出して構えたではないか。
ただし、物理攻撃向こうのラレンティア、魔女のリトス相手では少々コケオドシに過ぎるが。
(ランレティア……)
ただし、エウノモス本人が何をするのかは不明だ。
リトスは逃げることを提案するが、さて。
//セーブで!
(……ラレンティア)
-
>>2572
「(………………。)」
逃げようと呈するリトス。
当然だ。相手がここまでやりますよと言っているのだ。
事は起こる寸前まで来ている。リトスとの話の際を超えてるのだ。
だけども。
「ええ、構いませんことよ。
新緑の木々が如き寛容さで、受け入れて差し上げますわ。」
返した答えは、全くと予想に外れたものだった。
//セーブしました!
-
ニアロード
ニアセーブデータ01
(これでまでのあらすじ)
意気揚々と「赤目の夜盗」を探すことにしたラレンティアとリトス。
対象は『乙女を汚す者』であり、性格は『話好き』幽霊と魔女の組み合わせと言えど、二人も乙女がいれば向こうから寄ってくる。
折よく赤目の夜盗を発見したが、なんとその人物は男ではなくて少女であった。
言葉を重ねていくうち、彼女はそろそろ重ねるべき言葉も無しと判断して、その身を差し出すように迫る。
逃げるよう促すリトスに対し、ラレンティアは何と承諾したのであった……。
「ほう? 受け入れてくださると? まさか、私が幽霊には触れられぬとお思いで?」
「いくらでも、どうにでもなる事柄だと、そこのご友人は知っているようですがね」
エウノモスは、承諾したラレテンィアに驚いたような目をしてから、それからリトスを見た。
激しく明滅を繰り返す右目を見て、一歩たじろぐ。
彼女が求めているのはラレンティアだけでなく、当然、リトス自身も対象だ。
「そうだ。ご友人には伺ってませんでしたが――受け入れていただけるのですか?」
「……」
そう迫られて、反応に困る。
ラレンティアがどうして承諾したのかわからないが、それは自分もついてこいという意味なのか。
それとも、自分は一度離れて、何かを用意してくるべきなのか。――横目でラレンティアを見やる。
-
<ロードが正常に終了しました>
「貴女、少々欲の皮が張り過ぎではありませんこと?
あたくしは受け入れると言ったのですわよ。
それ以上を望むなんて、言語道断ですわ。
……それとも、そうまでしなければならない理由でも、おありですの?」
取り付く島もなく、リトスには手を出すなと正面から告げる幽霊。
言葉の節々や、語彙のクセから付き合いの長いリトスはラレンティアが何か探っているのだと察せられるだろう。
しかしこの状況においてなお、何を問おうと言うのかまでは測り兼ねるが。
-
>>2575
「――おや? ふむ」
これがラレンティアの自己犠牲によるソレには、エウノモスには見えなかった。
自己犠牲のシーンならば、ラレンティアは泣いて懇願せねばならない。
彼女はそんな風に考えていたからだ。彼女は、見えない観客の為に演技をしているのだから。
「いいでしょう。あなたが私の痛みを癒す薬になるというならば、是非も無し」
「量があればあるほど、というのは危険な発想でしょうな。そもそも私はこの身の治療に成功したことがない。薬を入手できなかった故にね」
「あなたがまずは第一号ということだ。お嬢さん。最後に尋ねるが、よろしいのですかな?」
最後通告とも言える。
ラレンティアがなおも頷くならば、彼女はあらゆる手段をもってラレンティアを浚うだろう。
「……」
一方、自分は離れて何かをしろと言われたに等しいリトスは、考える。
ラレンティアの狙いを。後をつけて、本拠地を掴めということだろうか。
それを、ペイルライダーなり、ブルノ師団なりをぶつける――? いや、それは過激に過ぎる。ラレンティアが好む手法とは言い難い。
さて、どうするつもりなのだろうか。
-
>>2576
「くどい。」
鳴らない扇子を勢い良く畳み、眼を瞑る。
「このあたくしが是と言っているのですわよ。
四方や二言があるとでもお思いで?」
ますますもって分からない。
話に同情した風には見えないし、怖気づくなどはもってのほか。
だとしたら何故ここまで相手の要求を素直に呑むのか。
いずれにせよ、何も考えなく言っている風には思えない。
-
>>2577
「――私が言うのも何だが、不可解に過ぎますな。観客も首をかしげているでしょう」
「そしてその謎が解けたときの喝采は、舞台が揺れることでしょう。よろしい! であれば、私についてきていただく!」
そう言って、手招きする。
交渉は成立した。そう判断したためか、エウノモスは双子の少女人形が構えるクロスボウの構えを解かせる。
ただ、その双子の姉だけが、おろおろしたような様子でラレンティアを見つめていた。
気づくだろう。意志や感情が無い双子の人形と違って、姉だけは、意志や感情の存在が確認できることに。
「私の獅子身中の蟲となりて内側から破ろうとは思わんほうが良いでしょう。念のため忠告いたしましょう」
さて、リトスはどう動くべきか。
考えをめぐらせながら、また一歩引く。
-
>>2578
「世の中、理屈を付けようと思うと難しい事の方が多いですわ。」
得意げな表情で髪を梳き、招かれる方へと歩んで行く。
「どうか致しまして?」
なおも不敵な表情で、少女人形の、双子と姉の方へと問う。
「ごめんあそばせ、それが目的だったとしたら、今頃はもう済んでいた事ですわ。
あぁ……リトス、一つだけお願いがありますの。
はしたないながら、ティーカップを机に置きっぱなしの様ですわ。片付けておいて下さらない?」
-
>>2578
「素晴らしい。実に――まさか、幽霊の姫君に触れることができるとは」
エウノモスの右手が小さく唸る。
彼女の四肢は義手に義足で、それも魔力で駆動する。
手袋のように魔力を流せば、それは幽霊に触れるための手にもなりうる。
彼女はその手でもって、ラレンティアの肩を抱こうとするだろう。
「……っ、いえ」
少女の人形は、首を振って俯いた。
エウノモスの配下にいながら、彼女は明らかに、ラレンティアの身を案じていた。
「……わかった!」
リトスは言われた通り、屋敷にへと走る。
言葉通りの意味ではないのは当たり前だが、屋敷になにがあるのだろうか。
-
>>2580
「しっかりとエスコートして下さるのですわね?
何百年振りかに、人に触れられるんですもの。」
ましてや彼女は魔力を取り込んだ幽霊。
仕掛け一つあれば、触れる事は問題無くできるだろう。
「あら、恥ずかしがり屋さんですこと。
あちらのレディは堂々としていますのに。」
・ ・ ・ ・ ・
「くれぐれも割ったりなどしてはいけませんわよ、良いですこと?
(……頼みますわよ、リトス。)」
-
>>2581
「勿論ですとも、お嬢さん、さあ、参りましょう」
ラレンティアの肩を抱き、三人の少女を引き連れてエウノモスは凱旋する。
たどり着いた先は、焼け落ちた教会跡――その地下施設。
奇しくも、リトスら六魔女を作り上げたカルト教団『深淵の暁』の本拠地の廃墟であった。
――
「――スリルを求めすぎだと、思う」
急いで屋敷に戻ったリトスは、そんなことをぼやきながらリビングにまでやってきた。
ティーカップを置き忘れたといっていたが、そのティーカップとは何らかの情報伝達手段のことか。
あるいは、文字通りティーカップで、それに何か仕掛けがあるのか。
-
>>2582
「何なら、もう一度名乗っておいた方がよろしくて?」
御嬢さん呼ばわりは好かぬ、と言いたげに空いた手で髪を梳く。
エウノモスに抱かれたまま、地下へと連れていかれる。
「あら、中々素敵ですこと。
人目に憚られる場所ですわ。」
――――
『ふっふっふ、おそかったでしゅわね!』
仕掛けならまだ分かり易かったかもしれない。
だがこれはどういう事だろう。
連れて行かれた筈のラレンティアが居る。
何処に? ティーカップの中にだ。
ではそのティーカップは人1人入る程大きかっただろうか。
否。
ラレンティアと思われる人物……もとい霊物がとてつもなく小さいのだ。
さながら、小ビンの薬を飲み干してしまった不思議の国のアリスさながらに。
『あたくし、まちくたびれまちてよ!』
-
>>2583
「おお、これは失礼を。ラレンティア嬢」
「陰気くさいところでしょうが、病人の住まいには聊か広すぎましてね。しばらく、ここで寛いでいてください」
「この者を置いておきます。何かあれば、彼女に」
通された一室は、どうやらリビングだ。
調度品も家具も粗末の一言に尽きるが、それでも清潔感はある。
帆布のソファに樫のテーブル……おそらく、この場所を整理して、どうにか使えそうなものをひっぱってきたのだろう。
そして、先ほどの年長の少女。双子の姉の人形が使用人として残され、双子の少女はエウノモスと共に、さらに地下にへと姿を消した。
「……あの、どうか。どうか、お逃げください」
――少女は、おびえた様子で、そうラレンティアに言う。
――
「……」
くらくらきそうな情景だった。
なるほど。幽霊だ。魂の残り香だ。自由は効きそうだが。
「ラレンティアは、格を神霊クラスにまで上げるつもり……?」
この分裂が、分裂しても劣化がなくなったりしたら、まさにそうなる。
遠く離れた東の地。神様は、いくら分裂しても、その性質は劣化しないという。
-
>>2584
「ええ、分かりました。
存分と堪能させて頂きますわ。」
宙に浮いたまま足を組み、エウノモスと少女を見送った後、少女へと向き直る。
「まだ機ではありませんわ。
沙汰を見極めるまで、あたくしここを動くつもりはありませんの。
……いやいやに付き従っている者が居る事もありますし。」
「成程、噂の種が一つ解けましたわ。
今回が初めてですの?こういう事は。」
――――――
『それもおもちろそうでしゅわね!
でも、いまはやるべきことをいたしまちゅわ!』
……何だか喋り方がおぼつかないが、確かに彼女だ。
リトスもよく知る通り、彼女は魔力の影響で自在に体のサイズが変わってしまう。
それを自分の都合良く利用した体がこれなのだろう。
-
>>2585
「……はい。実際に、女の子を連れてくるのは、今日が初めてで」
つまり、それまでは悉く男と遭遇。あるいは、女と遭遇しても逃がしたと考えられる。
であるため、夜盗。男を相手にして働いた、金品の強盗行為の方が大きく取り上げられたのだ。
「でも、そんなことより、あなた……あなたは、何をするつもりなのですか」
少女人形は、理解できぬといった様子であった。
――
「それで……作戦は?」
確実に何か考えがある。それはわかった。
しかし、この状況でどう動くつもりなのだろうか。
-
>>2586
「尾鰭が付くものですわね。
今頃あなた方、外では性犯罪者呼ばわりですのよ?」
桃色の扇子を広げ、ひらひらと仰ぎながら
「噂の真意を知りたかっただけですわ。
あの者、男に狂おしい程の傷と恥辱を与えられたと。
だから女を好む。何とも短絡的なお話ではありませんこと?」
すっ、と眼を細めて射抜く様な視線で少女を見る――
――
『まじゅはじょうきょうがききたいでしゅわ!
あたくち、けさひきはがされたからなにもしりまてんの。』
『りとしゅはかならじゅたじゅねてくるって"あたくし"がいってまちたから、まってたんでしゅの。』
成程、あくまで"本体"を囮にするとは何とも大胆な考えだ。
相手が何をするか、どういった目的かを"直接"調べ、自分とリトスとで解決を図ろうと言うのだ。
『ちかくまでいけば、なんとなくけはいはわかるんでしゅの。
いちどがったいしゅれば、"あたくし"のきおくはよみとれましゅわ!』
-
>>2587
「でも今、それは行われようとしています」
少女は泣きそうな顔をしている。
しかし、涙を流すことは叶わない。
「あなたは誤解しています――あの人の目的は、自分自身と同じ恥辱を、少女に与えることにあります」
「それで、安心するのでしょう。犠牲者の恐怖の表情や、彼女らに与えられる苦痛が、あの人の痛みを和らげるのでしょう……」
「恐ろしいことを、する気なのです」
だから、早く逃げろと。
少女は、殆ど叫びそうになっていた。
――
「……ええと」
かくかくしかじかと、状況を説明する。
となると、急いで追って、気配をたどって、どこに行ったのか突き止めなければならない。
「大丈夫だといいけど……」
分裂体がこっちにいるので、最悪何かがどうにかなるような気はするが。
そんな楽観論を用いているわけにはいかない。
-
>>2588
「ええ、誤算でしたわね。」
あくまでも冷静な様子で、幽霊は言う。
「四方やそこまで惰弱な人間だとは思いませんでしたわ。
理不尽を強いられた事はあっても、挫折を経験した事は無いのでしょう。
……仕方ありませんわ。ちょっとお灸を据えなければいけない様ですわね。」
呆れた様な表情で、扇子の奥に溜め息を吐く。
寂れた部屋も、彼女一人でかしましくなる物だ。
「貴女……いえ、それは後で良いですわ。
そもそも貴女、どうして拒絶の念がありながらここに居るのです?
あたくし、そちらが不可解でなりませんわ。」
――――
「なるほどでしゅわ。ちゅまり、うそがはんぶん、ほんとはんぶんでしゅのね。
だいじょうぶでしゅわ、りとしゅとのきおくはちゃんとおぼえていましゅもの!」
そういう問題では無い気もする。
もとより不安定な存在。いきなり消えてしまっても間違いはないのだから。
「こっちにいましゅわ!」
リトスの肩ほどを飛びながら、北西の方を指差す。
-
>>2589
「私は――契約に、縛られる存在ですから」
自律駆動人形。
この世にいくつか存在するシリーズの内、完成度が高いシリーズの内の一つが人形師、グァルネリの作によるものだ。
彼女はそれの、いわば失われた一体。欠陥品だ。
「それに、お灸って……何を、何をする気なのです」
「こんなことを言うのもおかしなことですが――あの人を……」
そして、この少女は、エウノモスの身自身も案じているのだ。
――
「わかった。急ごう……」
屋敷を出て、ラレンティアの案内に従って進んでいく。
必要とあらば、氷闇の魔女の魔術を、叩き込むことになる。
そんなことも、覚悟の内にいれて――。
//では、こんなところでセーブで!
-
>>2590
「契約、成程。
それは精神的な呪縛と肉体的な呪縛、どちらを指しますの?」
「分かっておりますわ。
あのままではいずれ、本当に演じる事しか出来なくなるでしょう。
一生、狂気の座長ですわね。
どこの殿方か知りませんけれど、
誰かの理不尽で外道に堕つのを納得出来る程、聞き分け良くはありませんの。」
言いながらも、何か考える様子で視線を宙に彷徨わせ……
そうですわね、と呟いた後に少女人形の姉へと向き直った。
「貴女、体をお貸し下さらない?」
――
『せいばい、でしゅわ!』
こうしてまた、余計な困難を被った気もするが……
とにかく、解決へ向けて踏み出す二人であった。
//おす!お疲れっす!
-
草木生い茂る視界の悪い森の奥。
普段であれば喧騒とは無縁のそこで戦闘音が響く。
「ぐぁっ!」
『残念だぜ…いや、本当に残念だぞ、ヤタ』
木々をなぎ倒す爆発音と共に地面に叩きつけられたのは左腕の無い黒髪の少年。
それをゆったりとした歩みで追い詰めるのは長身の金長髪な青年だ。
「あのヒトは間違ってる…僕らが目指すべき道はあんなのじゃあない!!」
『黙れよ、ひよっ子。語り部の何たるかを語れるほど生きてもねえだろ?』
「それは…君もだ!!」
-
「―――――――」
「………よし、魔力補給完了」
依頼帰りか探索帰りか、王都に帰る道すがら
森の中に響く戦闘音をたまたま聞きつけ、魔石で魔力を回復する青年
さしずめ誰かが魔物か盗賊に襲われているか、何かの争いごとかそんなもんだろうと、
ちょっと鷹をくくっていた。 こういう状況には慣れっこであるし
視界は悪いながらも音が響くだけに、音源まで容易に辿り着いた
「(………あれ、どこかで見たことある、よ……)」
「………! おい、そこ!」
予想からはそう離れていなかった、考えていた状況からは
問題として、襲われている人物が少し予想外過ぎた
こっちから見て語り部という、関わってくるが物語には関連する人物が
痛くやられているようだったからだ
-
>>2593
「!?」
『ん?…おぉ、へぇ……此処で出会うか、面白れぇ』
金髪の目が爛と光る。
『何時何処とも知れぬこの場にて、
さあ、今のお前のチカラを見せてみろ!ディフ=エンス!!』
ゴウッと音を立て、金髪の背後より突風が吹く。
風が止めば夜空は血の色に染まっている!!
-
>>2594
「!? な、名前を……… 一方的にこっちの事を知っている、この感じは……!」
ついに事件に引きずりこまれた、というわけではなかった
複数人いる事は知っており、しかも立場が微妙に違うのもわかっていた
……まさか表だって対立しているとは思わなかったが
「ま、まず……! クロ………!」
「(……駄目だ、今から練ってもそこまで威力が……!)」
-
>>2595
『遅いんだよぉ!!』
吠えながら金髪が跳びかかる。
振り抜いた右腕には黒い光を放つ魔力がまとわりついている。
-
>>2596
「プ、プロテス!」
「―――地面から、出ろ!」
此方に剣を生み出す暇も与えず、突っ込んでくるキュウビに向け、障壁の呪文を唱えた青年
青年の目の前に、岩でできたような質感を持つ2mほどの長方体の盾が、地面から生えるようにして出現した
「そしてアターック!!!!」
そしてそれを、飛び掛かり空中にいて身動きが取れないであろうキュウビに、
下からアッパーを当てるようにぶつけようと試みた!
-
>>2597
『小細工がぁっ!!』
物理的に跳んでいるだけなら試みは成功したのだろうが…
結果は空中で態勢を変え、
金髪の腰辺りから生えた3つの尾らしきシルエットを象った魔力の塊が岩を砕く。
その衝撃で空中でもう一度跳ぶ様にして軌道を変えた金髪が、
落下速度を不自然に増して魔力を纏った右腕を突き出し突っ込んでくる!!
-
>>2598
急ごしらえした障壁であるがゆえ、防壁としての能力値は低く砕け散った
岩壁が破壊されたことにより辺りに砂埃が舞い散り、身動きが取れない様子の人影が見える―――
だが、
普段と違い、半透明の障壁ではなく向こうが見えない岩の壁
そのおかげでもう一つ 本来の用途とは違う使い方を見つけた
視界を遮るための、物として
砂埃の中の人影が、魔法で作られた人影が消え
キュウビの落下地点には炎の魔法陣が置かれていた
落ちてくると同時に発動し、火柱を巻き起こす魔法陣
そして本人はというと、身体能力強化と思わしき魔法を纏い
倒れているヤタガラスの下へと向かっていた
-
>>2599
『なにぃ!?』
吸い込まれるように魔法陣へと着地する金髪。
流石に軌道修正は間に合わなかったようだ!!
「くぅ…」
少々傷ついてはいるものの少年は立ち上がった。
動けないほどではないようだ…
-
>>2600
キュウビが着地すると同時に、魔法陣が光出し
中心から立ち上る炎の柱
発動から少しだけ、ほんの少しラグがある、素早く反応すれば直撃こそは逃れられるかもしれない
「(とりあえず、逃げる間までに柄まではできた……!)」
ヤタガラスの元にむかいながら、剣の錬成を行った青年
焦らず、しかししっかりと、さらに時間をかけ、急いで…… え、無理じゃね?
「語り部さん…… い、いやヤタガラスさん! この空間から逃げられる!?」
-
>>2601
「無理、キュウビの方が僕より空間掌握に長けてる」
即答だった。
実力差は歴然なのだろう。
『糞がぁっ!!』
攻撃をモロにくらったかに見えた金髪。
自らを尾で覆った後に、急速展開することである程度のダメージを吹っ飛ばした。
『小手先は器用になったか?だが逃げ腰なのはいただけねえなあ?』
-
>>2602
「ま、毎回そんなのばっかり……!」
「……確か前、烏の姿になっていたよね? あっちの姿で負担が無いならその姿になって鞄に入っていてほしい」
「防御魔法掛かっているし中に毛布も入っている、今の状態で攻撃喰らうよりも幾分かは……」
攻撃魔法の打ち合いで、ヤタが巻き添えになる事を懸念してそう提案する青年
そして、自分のいた場所でキュウビが毒着いているのが目に入った
「直撃したように見えたけれど、防がれたか……」
「(……刃も、半分くらいはできている。 ……最高な状態ではないけれど、ある程度なら……!)」
-
>>2603
「…いや、一人でどうにかなる相手じゃない。僕も戦う」
『ははっ、分かってるじゃねえかヤタ。
そこの馬鹿が調子づいてタイマンはったら一瞬で手足もいでやったのによ』
ゆらゆらと3つの尾が揺れている。
なるほど、物理的に手数は圧倒的に相手が上である。
-
>>2604
「誰だかわからないけど命拾いしたねぇ、その手足もがれかけようとした人」
じんわりと、背中に悪寒が走るのを感じたがきっと自分の事ではないはずだろう
恐らく知らない誰かさんだ
「……………… ねぇ、確か語り部って物語に干渉しない人、だよね?」
「今ウォッチングしてる物語の登場人物に対して攻撃するのはありなの?」
-
>>2605
『何を寝ぼけてやがる…動きもねえ物語なんぞ退屈だろうがよ?』
「…っ」
『だから俺がテコ入れしてやるってんだよおおおおおおおおおお!!!』
「来る!!」
金髪、突貫と言い換えていいほどの勢いで跳ぶ。
魔弾もかくやという速度だ。
おそらくは勢いで生じた衝撃で2人を纏めて攻撃するつもりである。
-
>>2606
「僕一人死んだところで大して動かないからこのまま解散しよう、テコ入れするのならあっち側に対して……」
「ああ聞いちゃいなーい!!」
有無を言わさず、と言った勢いでこっちに向かって来たキュウビ
避ける事はヤタの様子から難しい、となれば向かいう…… ……あ
「…………」
「ヤタガラスさん鞄に入らなくていいから姿を烏に!早く―!!!」
右手が塞がっているため左手でヤタを掴み、キュウビから逃げるように走り出す
魔力を循環させる肉体強化ならまだ使える、だが放出系は魔剣を錬成している都合上使えない
よって逃げるしか選択肢がない
もしヤタが烏になったのなら抱え込むように、全力で走る!
-
>>2607
「ちょ、うわっ!?」
何かする気だったのか少年は姿を変えない!!
結果として逃げるに十分な距離など稼げるはずもなく!
そんな感じで次回に続く!!
-
<王都近くの草原>
「さて。この時期のとある人間は死者を祀る風習があるそうで。
噂では、本当に"死者"が蘇るらしいですが、はてさて。
AHA、ネクロマンシーやアンデッドが蔓延るこの世の中にその風習の意味があるか分かりませんがねェ〜〜。」
【まん丸なバケ物……その口は大きくカボチャのランタンの様に凶悪に笑みを作っている。
手はないが、その足は丸い体から直接生えている。
どこをどう見ても、人間では無さそうである。かといって、獣の様にも見えない。】
-
>>2609
「それは東方の風習だな。確か先祖崇拝に近いソレだ」
「それで? 貴様はさしずめ地獄の釜から一緒になって這い出てきた怪物かね?」
その独り言に、思わぬ返答があった。
やや離れて、一人の金髪の男が、銃を手に立っていたのである。
構えてこそいないが、やろうと思えばすぐに射撃できるだろう。
-
「AHA、ワタシは裏側から参っただけでございます。
ンふふ、貴方達のような人間からすれば、そこは地獄の様なものかもしれませんがね。」
【ふわり、と空中に浮き、その場でおどけるように回転して見せる。
頭を地面に向けた不安定な体勢でワーガの方を見ている。
その細長い目は、ちゃんと銃を捉えているのだろうか。】
「あ。でも、怪物であることは一応、否定しないでおきます。
プリティーなワタシとニンゲンとを一緒にされては迷惑ですからっねェ〜。」
【くるり、と体を元の位置に戻した。】
-
>>2611
「それで、貴様は何者だ?」
皮肉げな笑みを顔に湛え、そう尋ねる。
敵意はあるのかないのか微妙なところだ。彼自身、センジュのことを掴みかねている。
「人畜無害な存在であれば安心もできるのだがねぇ」
-
「これは、自己紹介が遅れました。
ワタシはセンジュ……貴方達とは違う裏側から参りましたプリティーな怪物でございます。
ンー、ニンゲンに気を遣って生きているわけではございませんので、無害とは断定できません。
ワタシはただ、楽しいことが好きなだけで、それを邪魔されたくないだけです。」
【その問いに聞かれてもいない名前を添えて、自己紹介を始める。
人間の尺度でものを考えることはしていないらしく、無害とは言い切らない。】
-
>>2613
「なるほどなるほど……では帰るのだな。その裏側とやらに」
即座に銃を構え、射撃体勢を取る。
その一連の動きはあまりに自然で、尚且つ素早く。
「お化け退治の手間は、割に合わないものと相場が決まっているのでな」
引き金に指はかかっている。すぐにでも撃てる――。
-
「AHA!血の気の多い方だ。冷静に見えたのはワタシの気のせいだったようです。
おやおや、割に合わないと分かっているのなら、貴方の方から立ち去ればいかがでしょうか?」
【空中を歩くようにして、足を動かしている。
手の無いこの体で、ガンナーと対峙するのは、中々に不利そうである。
無論、この怪物は魔法を使えるのだろうが。】
「ワタシからすれば、"ここ"は本当に楽しい場所ですからね。
あんなところなんか目にならないくらいに。」
-
>>2615
「仕事熱心、と評価してくれると救われるな」
「吾輩は冷静だよ? 冷静に、貴様は害だと判断したのだ」
小銃による威嚇の効果は低いと判断。
となれば、何よりも有効なのは、先制だ。何かされる素振りがある前に、引き金を引く。
放たれた弾丸は、容赦なくセンジュのその膨らんだ頭部に向かっていく。
-
「それならば、致し方ありませ――――もがっ!?」
【その一頭身の体に弾丸が向かう。
だが、銃声と同時に、センジュの口が大きく開いた。そして、弾丸はそこに打ち込まれる。
もし、ヒットしていたのならば、下手をすれば体を突き破る。
そして、血が通っていれば鮮血の一滴でも噴出すはずだが、それもない。】
「AHA〜、威嚇も無しに射撃とは、中々に"害"と見なされているようです。」
【口から出てきたのは"手"である。白い手袋の様なものに覆われた手が2つ現れた。
腕は無いため、手首から先が浮いている状態にある。
そして、その一つが手を開くと、そこから銃弾がぽろりと落ちた。】
-
>>2617
「やれやれ、本腰いれて怪物か」
装填している弾丸を変更するつもりらしく、銃口をおろし、何事かを始める。
もちろん、その隙を埋めることも必要だ。彼は、三本の水流を虚空より呼び出し、センジュにへとぶつけた。
極端な鉄砲水で、センジュが軽いならば流されるかもしれないし、柔らかければ貫かれることもありうる。
また、口で受け止めたなら、溺れるということもあるかもしれない。
-
「アハハ、怪物と最初に申したはずですよー?」
【ボン、と膨らむように2つの手の内の1つが膨らむ。
巨大化した手を大きく広げて、センジュの前に阻むように持っていく。
そして、そこに水流が当たると、当たった先から凍り始める。】
「ンふ〜、そんなところだと届きますよ?」
【防いでいる間、もう一方の手は何をしているのかと言えば
握りこぶしを作って、ワーガのほうへと飛んでいく。】
-
>>2619
「ぬお……っ! デタラメだな……!」
新しいマガジンを装填し、ボルトを引く。
そうしているところに飛んできた手には、泥の壁を出現させることで防ぐ。
というよりは、時間を稼ぐ。勢いと強さによっては、壁を貫いても不思議ではない。
狙いをつけ、引き金を引くその瞬間の時間を得るためだ――。
「貴様のような怪物には、古典的ながらこの手の弾丸が有効でな!」
その弾丸は放たれた瞬間、眩い閃光を伴って飛び出していった。
光を放ちながらセンジュに吸い込まれるようにして殺到するその弾丸は、高い音を残していく。
そして、着弾地点では大きく弾ける。
特別な属性弾だ。光と聖なる属性から成るその弾丸は、それが相手の弱点属性であるなら、殺しきれなくとも、毒にはなる。
-
「……や、ややっ?!」
【その光と弾けた属性弾を食らうと最初の銃弾よりはるかに良好な反応を示す。
どうやら、聖属性はあまり得意ではないらしい。
となると、この化け物がどういう存在かは段々と絞れてくる。】
「ン、不愉快なことをしてくれますね……ですが、その程度の出力では及びませんよ?」
【その空中に浮かぶ手でほこりを払うように動かす。
そして、ワーガに向かっていた手はその聖属性弾に少し怯んでいたが、また動き出す。
また、もう一方の水流を阻んでいた手は、その凍った水流を持つと
それを槍の様に投擲した。】
-
>>2621
「こうもでたらめであるとは……」
とっておきの弾丸だったが、いまいち決定打にかける。
いや、効きはしているのだ。問題は、連続して打ち込めないこと。打ち込む隙がないことだ。
何人かで連携してでなければ討伐は厳しそうだ。――さて、そう判断したのなら、することは一つ。
「三十六計……逃げるに如かず!」
巨大な氷柱となって飛来してくるそれを、再び水流を飛ばすことで弾くように防ごうとし、尚且つ、背を向けて勢いよく走っていく。
彼が不利を悟るや否や逃げるのは、決して珍しい事ではない。
-
「はい。怪物と申しましたが、そこらの怪物とは違いますので。
そこらのハンターに討伐されるような脆い存在ではございませんよ?」
【言葉を喋る怪物と言うだけで、少しばかり上位種だが、それを上回る形で
この怪物は中々に高位の存在のようだ。
慇懃無礼な態度も、彼の中に裏打ちされた自信があるからであろう。】
「ふむ。お逃げになりますか。……AHA、それも良いでしょう。
いずれ、ワタシの楽しみの種となるかもしれませんからね。」
【水流の柱は音を立てて、地面に突き刺さる。
ワーガの目論見どおり、防げたようだ。そして、センジュは追うつもりは無いらしい。】
-
>>2623
「うーむ。余計な南瓜をつついてしまったか?」
誰かに話すべきかと考えつつ、必死に走っていく。
走り慣れだけしているあって、あっという間にワーガは視覚外へと消えていったことだろう――FO
-
「AHA、これは楽しくなりそうですね。
是非とも、色んな方と出会いたいものです…………くくく。」
【逃がしたのはある種の布石であるといわんばかりのセリフだ。
実際、この化け物は人間にちょっとした興味を持っているらしい。
その興味があって、実は今もことを進めているのだが、それは別のお話である、FO】
//では、このあたりで。お疲れ様でした!
-
>>2608
「げ、えええええええ!?」
スタコラサッサと逃げて時間を稼ごうとしたが
まさか臨時のバディ、逃げるどころか立ち向かう素振り
足並み最悪であった
-
>>2626
『ボケが!足並み揃わなすぎんだろうがぁっ!!』
迫り来る衝撃。
若干の距離は稼げたものの、威力を十分に削ぐ距離とは言えない!
手痛いダメージだ!!
ついでに盛大に吹っ飛ばされるだろう。
-
>>2627
「がっ………!?」
体全身に衝撃を受け、ヤタとともども吹っ飛ばされ
地面に叩きつけられた!
-
>>2628
「っう!?」
『揃いも揃って、どーしようもねえ連中だぜ…そろそろ自分で幕でもひいたらどうだ』
ゆらゆらと陽炎のように揺れる黒い三尾。
それぞれに魔力の高まりが感じられる。
「そんなつもりは当分ないんだけど…」
立ち上がった少年は、ぐいと拳の甲で自身の頬をこする。
相手を見据え立ち向かう気でいる。
-
>>2629
「こっちもまだ死ぬ気はない、よ……」
体全身にダメージを負った、だが、まだ少なくとも動ける。問題ない
二人同時に喰らったおかげでダメージが分散したおかげか
「………ヤタガラスさん。 次の攻撃は…… おそらく、対応できる」
「防ぐ手立てとして、まず僕から動いていい?」
-
>>2630
「…どうぞ」
『ほぅ?対応できるとは大きく出たな…やってみせろよっ!!』
ゆっくりと歩み始める金髪。
構える少年。
-
>>2631
「(……対応できる、とは言った 防ぎきれるかは別として)」
キュウビの攻撃に対抗すべく、そしてヤタガラスよりも先に行動すると言った手苗m
ヤタよりも前に出て、庇うように立つ
先ほどの、障壁で視界を妨げる奇襲
あれはおそらくもう使えない。 防がれるかそもそも乗ってこないかのどちらか
「(さっきからやってる攻撃は、魔力を溜めて突っ込んでくるの一択)」
「(あれしかできない、って事はないだろうけど……)」
-
>>2632
『…』
どんどん近づいて来る。
一向に歩みを止める気配がない。
このままだと近接戦闘の間合いになるが…
-
>>2633
「…………」
顎に手を当て、何かを考えるそぶりをしながら手を後ろに回し、
背後にいるヤタガラスに向け、手の平で掴んでいる火球を見せ、さらに自分の横の方を指さす
『向こうが仕掛けてきたら、横に逃げろ』 そう、指示を出しているようで
-
>>2634
『…』
と、やっている間に相手が目と鼻の先まで。
-
>>2635
そこまで来て、ようやく後ろ手に回した、侵負剣を持つ方の手を前にだし
両手でつかむ青年
揺らり、と周りに魔法陣が現れる
-
>>2636
『遅ぇ』
「っ!!」
くるり、と反転し尾が振るわれる。
一本目、それは振るわれた勢いをそのままチカラに変え相手へと叩きつけられる。
二本目、それは振るわれた勢いで無数の散弾と化し、打ち放たれる。
三本目は……耐えしのげたら何かわかるだろうが。
-
>>2637
「いや準備時間は十分すぎるほどあったよ」
「プロテス!」
今度は炎の壁、材質は炎でできているが障壁としての強度を持つ壁が目の前に現れ、一本目の尻尾をガード
尻尾を叩きつけられた反動で障壁の炎が飛び散り、キュウビに襲い掛かった
「もういっちょプロテス!!」
今度はただ単純な、使用者の身長と同程度の大きさの、オレンジ色の壁
散弾として四方八方に降り注がれているが、自分たちのいる方向だけ守れば防げる、のだ
-
>>2638
『ま、それはこっちもなんだが』
三本目、飛びかかる炎も弾き飛ばしながら。
巨大なそれが牙をむく。
言うなれば竜を象った魔力の塊。
しかし、ご丁寧に竜の姿を生々しく視覚化させている故に心的効果が高い、気がする!!
どっちにせよ単体相手には威力も効果範囲も少々大袈裟な一撃だ!!
-
>>2639
「――――――!」
「ヤタガラスさん!! さっき言った通り横へ……」
「というかなるべく直線状から離れるように逃げろおおおおお!!!!」
盾を地面に突き刺すように置き、後ろの方へ走りだした!
防ぐなんて恐らく不可能、だが少しの時間稼ぎはいけるはずだ!
「ああああ! 何だかんだで設置しておいてよか、った!!」
そして途中で勢いを付けて飛ぶようにある箇所を飛び越えた!
すると先ほどキュウビを嵌めたのと同じトラップ、中心から火柱が出現する罠が発生!
龍の魔力の顔面に向け放たれた!
-
>>2640
放たれた魔力竜は阻むもの全てを蹴散らしながらディフと少年を飲み込む。
触れて即座に焼かれるとかそういうことはなかったが、圧倒的なまでの圧が襲いかかる。
何もかもを押しのけ突き進み、凄まじい衝撃が二人を襲う。
パリーーーーン!!
ガラスが砕けるような音と共に宙に投げ出される身体。
そして見える星の瞬く夜空!!
あまりの圧に結界の方が耐え切れなかったと言う始末!!!
-
>>2641
「 」
圧と共に、宙をまった
罠用のトラップさえ無効にされた、青年
-
何だか酷いことになった次回に続く
-
<王都へと続く道>
「…………この辺り。」
【王都へと続く道。王都に近いとはいえ油断のならない場所である。
下手をすれば、物取りだとか襲われることもある不安定な場所だ。
そんな所に、仕事の帰りなのか黒髪に眼鏡のスーツ姿の男性が歩いている。
そして、道端の途中で突然、物を拾うような動作をする。何か落としたようには見えないのだが。】
-
「…………人払いはばっちり、だね。」
【"それ"に触れると魔力の光が輝く。すると"それ"の存在が認知しやすくなった。
"それ"はマンホールの様な丸い板である。
魔法的な加工がなされており、両面共に陣の様なものが描かれている。】
-
FO
-
――ジグザール王国領内 白狼山 上空
音も立てずに飛び、夜に紛れて移動する竜が存在する。
小型ながら獰猛な猛禽にも似たドラゴンで、ごく一部地域でのみ、飼いならす事に成功しているという。
そのドラゴンの名を「夜鷹龍」あるいは、「ナイトホーク」だ。
――今、君たちは、王国内に存在する誘拐団にへと奇襲をかけるため集められた冒険者たちによる部隊だ。
このドラゴンに積むことができるギリギリの荷台に詰め込まれている。
君たちの目的は、誘拐された人らの救出であり、誘拐団の殲滅でないことに気を付ける必要がある。
救出目標を見つけ、解放に成功したら、地上ルートからの脱出となる。
別働隊が装甲馬車を待機させている手筈になっているのだ。
「――本当に静かに飛ぶのね。ナイトホーク。いいものが用意してあるわ」
「知ってるかしら。白狼山には、今もどこかで、大いなる白狼が眠っているって。……皮肉ね、今や、誘拐団なんかの牙城があるんだから」
冒険者の一人、ベージュのコートに、同色のハットを被った女が誰にともなく話しかける。
もうすこしで着陸、行動開始だ。今のところ順調で、こちらの動きに気付かれた気配はない。
-
「…」
赤い頭巾を目深に被り、編上げブーツを履いた金髪碧眼の娘。
終始喋りもせず、ただ静かに待機していた。
-
>>2648
「おしゃべりする気はないって? ――まあ、いいわ。静かに、然る後に派手に、ね」
だんまりを決めた頭巾の娘を気にしつつも、夜鷹は静かに予定ポイントに到達。
静かに着地し、冒険者たちを降ろした後、再び音も立てずに離陸、高度をあげていき、最終的には闇に溶けて消えた。
「よし、スプライト、斥候お願いね。ピクシーも、警戒を怠らないで……」
夜の森は非常に暗く、月明かりだけが今頼りにできる光である。
ランプや松明の類は、隠密行動をする必要がある今、使うことはできない。
数に圧倒的に劣る自分たちの勝ち筋は、闇に乗じての奇襲に尽きるからだ。
「さあ、行きましょう」
コートの女は、指先の何事かに向けて話しかけ、それから歩き出した。
着陸したポイントから、逸れずにまっすぐいった先に、彼らが拠点にしている館の裏に出る。
そこから壁を突き破って強襲し、騒ぎを拡大しながらも、目標を救出して、今度は表から脱出して別働隊と合流するのだ。
こちらでの騒ぎが彼らの耳に届いたとき、別働隊が動き始める。
-
>>2649
「…」
無口で無愛想な赤頭巾。
布を掛けられ中身の見えないバスケットを携え後に続く。
気のせいか時折、血と火薬の臭いがする…
-
>>2650
「歩哨は……無しみたいね」
明かりが使えない中森を歩くのは神経を使う場面だったが、トラブルなく、館の裏にへと出た。
窓から零れる明かりで判断するに、誘拐団の人間は二階に集中している。
調査にあった、被害者達の幽閉されている区画は一階、左角。抜けれぬよう、窓が板で塞がれているのでわかりやすい。
「さーて、壁を破るわ……!」
「っと……中の人たちに下がる用警告しないとね。せえの……ッ!」
コートの女が拳一閃、板ごと窓の一部を突き破る。
「助けに来たわ、下がって――」
屈強な冒険者と入れ替わり、彼は杭に持ち手をつけたような、個人携行の破城槌を握り、壁を打ち付ける。
一度、二度、三度――凄まじい音を立て、壁は突き破られた。
「あんた、正面入り口押さえて!」
中に突入し、誘拐された人たちの拘束を解く。
異変を聞きつけた誘拐団の一員がこの部屋に殴りこんでくるのに、時間はかからない。
コートの女は、頭巾をかぶった少女に、出撃を頼んだ。
ドアを守るもよし、ドアを突き破って出て、派手に暴れるもよし、だ。
-
>>2651
「…」
扉の前に立ち、くるりと半回転。
回転の勢いを乗せて右足を思いっきり突き出す!!
華奢な身体に似合わぬ重い一撃、普通の扉を蹴り抜くには十分。
先ずはこの動作で気を引くことから始める。
-
>>2652
「奇襲かあ――ッ!」
扉を突き破った先にいるのは、武器を持った男数人だ。
まずは一人が、剣を手に切りかかってくる。
「もう少し……! 合図、出して!」
外から空に向かって、閃光を放つ石を投げ飛ばす。
これで別働隊は動き始めた。
あとは、どれだけ素早く逃げられるか、だ。
「よし、この子達つれて表に回って、最前列と最後列に数名ついて、走って!」
「残りは、屋敷の中で暴れてギリギリまでひきつけるわ、とりあえず正面玄関を制圧に走るわよ……」
被害者達が冒険者に護衛されながら脱出を開始。
コートの女を含む残った数名で、足止めだ。
-
>>2653
「…」
バスケットに手を伸ばし、抜き放つはワイン瓶。
慣れた手つきで居合抜きの様に相手の顔面へと放つ。
そして素早くバスケットへと手を戻す。
-
>>2654
切りかかった男は瓶の一撃をまともに受けて昏倒。
対峙していた男らは目の前の人間の力量に一瞬、たじろぐが。
「数で押し込んじまえば個人の力量なんて関係ない、潰せ!」
誰かが言ったその言葉により、数名が突撃してくる。
ただのチンピラ、というわけではなく、それなりに武器も防具もしっかりしているようだ。
「――ッ、大丈夫なの?」
コートの女が応援に入る。
ただし、頭巾の少女がドアの前に立つ形で陣取った以上、すぐには参戦できない。
-
>>2655
くるり、と赤頭巾が迫り来る連中に対して背を向けた。
バスケットから抜けた手にあるのは掌サイズの…花火の玉?
それを器用に放る。
瞬間
凄まじい音と火花が赤頭巾の背後で展開された。
そうして再度、くるりと反転。
その手には反転している最中にバスケットから抜き出した、
しかしどう考えてもバスケットには収まりきらない長さの鉈が握られていた。
-
「目つぶし――ッ!」
意図に気が付いた数名が目を背け、耳を塞ぐ。
大きな隙になるはずだったが、後列の数名と手早くスイッチ。
大きな鉈を手にしていることから無理に突進せず、待ち構える。
「……あーもう! あんた、口がきけないわけ!?」
「後ろの味方に何か言うぐらいしなさいよね!」
なお、大きな音は直近の味方にも十分有効です。
-
>>2657
「…ちっ」
返答の代わりに舌打ちが聞こえた!
向かってこない悪漢共を睨みつけながら鉈をバスケットへと戻す。
そして手はバスケットの中に入ったままだ…次は何が出るか。
相手に警戒させてダラダラと時間を稼ぐ、はなからそれがねらいである。
-
>>2658
「……もうあんたが一緒の仕事請けないことにするわ」
コートの女は少しおこりんぼでした。
呆れと怒りの混じった声色である。
「というか、こっち突破して正面押さえないと、ああもう……、何とかしてなさいよ!」
踵を返し、壁の穴から出て行く。
外から回り込んで、正面に向かうのだろう。
「――穴だらけにしてやれ!」
武器を構える男たちの間から、クロスボウを握った手が生える。
後列の連中のものであり、およそ三本程を射撃。ボルトは頭巾の少女の頭と胸に向けて飛来する。
-
>>2659
バスケットから抜いた手に備わっていたのは艶の無い黒骨製手甲。
それを振り抜くことで突風が生まれボルトを迎え撃つ…
が、頭に狙いを付けていた分が額を掠めて飛んでいく。
「っ!」
打たれ弱いんだろうか、盛大に転倒した。
-
>>2660
「――見え見えの死んだふりしてんじゃあ、ねえぞアマがあ!」
ぶん、と対峙していた連中の一人が手にしている剣を投げる。
勢いよく回転して迫るそれは、直撃しようものなら腹部に深々と突き刺さるはずだ。
やや離れたところで大きな音が聞こえてくる。
外から迂回したコートの女が交戦に入ったか。
-
>>2661
脚をぶん回し、回転の勢いで起き上がりつつ、膝立ちの形をとる。
「……不十分、仕方ない」
忌々しそうに呟くと同時に、赤頭巾の足元に浮かび上がる魔法陣。
動きもせずクルクル回っていた意味は其処にある。
陣が放つ光が壁となって剣を止めるが直ぐに収まる。
同時にヒトならざる軽快さで赤頭巾が床を、壁を、天井を跳ね悪漢どもに迫らんと動いた。
-
>>2662
「止めろ!」
目で追う事も厳しい状況だ。
迂闊に隙を作るよりは、防御を固めて迎撃を狙った方がいい。
男たちは武器を構え直し、飛び跳ねる頭巾の少女が迫ってくるのを、カウンター狙いで待ち構える。
「――ッ、だんまりの赤ずきん、私も引くからね!」
奥の方から、コートの女の声が聞こえてきた。
足止めも向こうはそろそろ限界になったらしく、撤退を開始するようだ。
-
>>2663
「…やれやれ、興が乗ってきたってのに……仕方ないっ!!」
ズダン!と大きな音を立てて元、扉近くに着地する。
頭巾がとれ現れたのは、くせ毛の金長髪とそこから覗く狼耳。
紅瞳が妖しく煌く少女とも乙女とも取れる存在がニタリと笑う。
軽く掲げた左手にある艶の無い黒骨製手甲には蠢く炎の塊が見て取れる。
「皆で仲良く爆ぜる?」
-
>>2664
「……ッ、おい!」
ばらばらと武器を頭巾の少女に投げつけ、それの効果を確認するまえに男たちは退散していく。
無秩序な離散などではなく、恐らくは隠れた逃走ルートがあるのだ。
状況が悪いと判断すれば即座に逃げ、再結集を図る。彼らはただの犯罪者集団というわけではなさそうだった。
とりあえず、今重要なのは立ちふさがる者がいなくなったということだ。
ここからなら、突っ切って玄関から抜けることもできるかもしれない。
-
>>2665
「っと…ふぅん、何か裏がありそうな話、きひひひ」
ひょい、と一足飛びで天井に張り付き投げつけられた武器を回避。
そのままの格好で呟く。
「ん…行けそう?」
天井を這い回るゴキブリのように、カサカサそのまま玄関へと向かい始める。
軽くホラー、それを狙っている。
-
>>2666
玄関部分はもぬけの空だ。
大きな扉は開かれっぱなしになっていて、壁や床は傷だらけになっている。
どうやら、かなり派手にコートの女とやりあったらしい。
あの女が逃げて、戦っていた人物も見えないということは、追いかけていったか?
また、ここでぐずぐずすればするほど、別働隊の馬車での脱出に間に合わない可能性もある。
-
>>2667
「…やれやれ」
パチン、と指を鳴らすと赤頭巾とバスケットが手元に現れる。
「ふぅ…、……」
頭巾をかぶり直すと、また仏頂面に戻った。
そのまま館を出る。
-
>>2668
館を出ると、交戦する音が聞こえてくる。
炎が瞬き、金属同士がぶつかり合う音が聞こえる。
「――しつ、こい!」
見れば、コートの女が逃げながら戦っているようだ。
彼女もまた、別働隊とは合流できていない。
-
>>2669
「…」
バスケットからバールのようなものを引っ張り出し駆ける。
ふぅ、と溜息が漏れた。
とりあえず見つけた奴から殴り倒していこうと。
-
>>2670
人数としては五名だ。
後ろからやってくる頭巾の少女に気が付かず、一人が殴られ昏倒、二人が気をとられ赤ずきんと対峙。
その二人に任せ、もう二人がコートの女と対峙する。
「――さっさと、帰るわよ!」
人数さによるハンデが減れば、コートの女も余裕をもって戦える。
恐らく、こちらは気にすることもなく片が付くだろう。
-
>>2671
「…」
正直チカラを使うタイミングを誤ったなあ…と思わないでもない赤頭巾。
手近な方にバールをぶん投げ、バスケットに手を突っ込み、新たな得物を漁る。
-
>>2672
「――そらぁっ!」
投げられたバールは、彼が手にする武器で防がれた。
二人は左右に散り、それから剣をもって突進する。
一撃もらってしまえば致命打になるのは間違いない。
さらに、左右に二人が散ったため、いまいち二人とも視界から外れている。
身体を動かすか、首を動かすかするしかないが、それでも一人しか見えない。
二人を見るには、視点を引く、つまり後ろに下がるか、飛ぶかするしかないが――。
-
>>2673
「…」
狭い空間であれば立ち回る方法も考えられるが、此処は屋外。
引いたところで有利に事が運べそうにはない。
厄介だが右の相手に近寄って各個撃破するしかないと判断し、
短刀を手に相手の右側へと回り込まんと動く。
こうすれば左側の敵もおそらく視界に…入ればいいんだがはてさて。
-
>>2674
右の相手に近づき、さらに右に回り込んだ。
これで左の相手が見える――には見えたが、右側にいた男の背後だ。全貌は見えない。
また、右側の男は回り込まれ、すぐに応戦できないと悟ると、その場で腰を落とした。
体勢が低くなり、空間ができたところを――
「死ねェッ!」
その背後にいた男が、勢いよく、剣を突きだした。
コンビネーションによる不意打ちともいえるが、さて――?
-
>>2675
「っ!?」
咄嗟に短刀を振って剣を弾こうと試みる。
長々と行う近接戦は苦手だ。
若干及び腰ゆえに数歩引く形をとる。
軽快な反撃は行えそうにない。
-
>>2676
「――ッシ
-
//ぎゃああ気にせんでくれ
-
>>2676
「――ッ!」
必殺の刺突は、しかし当たることはなく弾かれた。
しかし、目の前の女は数歩引いた。レンジから外れた――それがわかった二人は、茂みへと飛び込んだ。
それを合図にしたのか、コートの女と戦っていた二名も、あっという間に姿をくらまして。
「……やって、くれたわね。妙に手ごわい相手だったけど」
とりあえず、安全は確保された。
二人は程なくして、先行する別働隊と合流を果たし、無事に帰還することが出来るだろう。
冒険者にも多少のけが人は出たが、死者は出ておらず、救出対象者も全員救出に成功した。
大成功といっても過言では、ないが。
「誰も向こうの頭領の姿を、見てもいないってのが奇妙な話だな」
「ただのチンピラじゃないな。妙に動きがいい……」
そんなことを、冒険者は口々に話していた。
今回の事件は、何か大きな何かの表面をつぶしただけに過ぎないのかもしれない――FO
-
――王国領内 街道
長く続く道を、荷馬車の列が走る。
これらは全て大手商会が王都に運ぶモノであり、食料品や生活雑貨から、高級な嗜好品なんかの類も運ばれている。
当然、これらには護衛がつく必要があり、馬車一台につき数名、護衛がついている。
商会が保有している護衛だけでは今回賄えきれなかったので、数名、冒険者から募ることになった。
君たちはその雇われの護衛で、幌付きの荷台の中、荷物と一緒に押し込められているというわけだ。
「……何もなければこれより割のいい仕事ってないのよねー」
「馬車に揺られてるだけでお金もらえるんだし。食事も向こう持ちだし」
ベージュのコートにハットを被った女が、退屈に耐えかねてそんな独り言を言う。
-
「ふむ…我は何かあったほうが身体が動かせて良いのだが…」
背に円盾、右肩に槍を抱えた、
筋肉質の身体、淡い緑の肌と鱗、幅広で地に付くほど長い尾を持つ爬虫人が
退屈そうに欠伸をした。
-
>>2681
『おいおい、縁起でもない事言うなよな、トカゲ君よぉ』
御者台の商人がけたけたと笑いながらそれに返事する。
何かあったら困るのは、他でもない彼ら自身である。
「変温動物の割に、血の気が多いのねえあなた……夏だからかしら?」
クスクスと、コートの女もそんな冗談を飛ばして。
-
>>2682
「爬虫人は変温動物では…いや、寒さに弱いのは否定せんが」
と言いながらも時折周囲を見回すその目は油断していない。
さっきまで欠伸していたが。
-
>>2633
「あら、そう?」
クスクス笑いながら、それに釣られるように幌から顔を出す。
ぐるりを見渡すが、今はのどかな光景そのものだ。
遠くには羊の放牧が見える。
「……暇ねえ」
確かに、これでは眠くなるのも無理はなかった。
-
>>2684
「まあ、見通しの良い場で事を起こす馬鹿はそう居まい。
暫くは睡魔が我らの敵である」
そう言いながら腰を下ろす。
思い出したように盾を磨きだす。
-
>>2685
「そうね……スプライト、見てきてくれる?」
何かを外に向けて飛ばす仕草をして。
確かに、ここは見晴らしがいい上に、そもそも冒険者がいなくても腕利きの護衛がついている。
それを簡単に襲う相手がいるとは考えづらい。
しかし、世の中に絶対はないものだ。
「辺りは見晴らしのいい草原地帯。高い建物も木立も無し」
「潜伏しての奇襲には向いてないわよねえ」
ここを襲い荷を奪う事がうまくできたら、確かに一攫千金なのだが。
-
>>2686
「此処で奇襲、となれば労力に見合わん。
わざわざ術を駆使して周囲に溶け込むか、でなければ空からの奇襲だ。
どちらも大掛かり過ぎる。
そんなことをする余裕があるのなら、そもそも荷馬車強盗など…」
はた、と何か思いついたように言葉が途切れる。
「……ふむ、一つ懸念があるのだが。
運んでいるものの中にそんな事をするだけに見合ったものなどは…?」
-
「上から見ても何もわからないわねぇ」
そもそもそれなりに治安のしっかりしたルートではある。
何かがそう簡単に起こるのは考えづらい。
「何かあるの?」
何か特別な品を運んでいるということも、ありえなくはない話だが
-
>>2688
「いや、そういったものがあれば話は変わる。 警戒せねば、とな」
とはいえ欠伸をしないぐらいしか思いつかないのだが。
-
【王都近くの森のなか】
「…………」
【王都の明かりがまだ届くような近くの森、一人歩く黒髪金目の少女がいる】
-
【そのまま去っていったFO】
-
〜 バッカスの酒場 〜
「(………あの時はキュウビさんへの怒りで勢い付いてしまったけど、だんだん不安になったきた)」
「(バイでレイパー…… いや対象になるはずがない、ありえない。 けど『魔女』さんとの訓練の時よりも嫌な予感が……)」
そわそわと、バッカスの酒場で軽く夕食を取り終え
前の約束の日をまだかまだかとそわそわとしている青年
明確な日にちや場所が指定されてないため、カオスとよく会っている酒場で待機中
-
( 混)「ウェーイ!!!」
どんがらがしゃーんと空間をぶち壊して現れたのは大魔王、と。
「喧しいな。」
2mを超えた黒衣に口を覆う仮面の大男――。
背中には巨大な、鎖付きの大斧を背負っている。
-
>>2693
「! こんばんはカオスさ…… !?」
待ってましたとばかりにカオスさんに挨拶しようと見た先に、巨大な大斧とそれに見合った体の大男
こっちが平均身長よりも低い分余計でかい、せめて170代あれば
「………こちらの方が、ひょっとして?」
-
( 混)「YO YO YO! 池上、うむその通り、こいつがそうだ。」
うにょーん、と統べるような動きで椅子に魔王座りをする大魔王。何だ魔王座りって。
( 混)「紹介しよう。 [野伏]、[強姦魔]――まぁ色々呼び名はあるが、レイヴェルトだ。」
「話は聞いた。死ぬ程度に鍛えろ、とな。」
-
>>2695
「(強姦魔……) レイヴェルトさん、ですね ……はじめまして」
立ち上っても、見上げないと顔を見る事ができない
身長差32cm、親と子ほど離れてるのだ こちとら成人しているというのに
「ディフ=エンスです、よろしくお願い、します……」
-
>>2696
「……。」
間。 大男がディフを見下ろし――。
「好みではないな。」
( 混)「お、おう(ドン引き)」
何だか助かった気がする、色んな意味で。
「俺は魔女程教練上手では無い。 身体に叩き込むから死なない用意はしておけ。」
-
>>2697
「…………」
見下ろされている間、目を離す事もできずジイッと見上げ続ける
首が痛いしなんだか暑くないのに嫌な汗が出てきた
「(……い、命拾いした!)」
そして、元々タイプではないと思っていたが口に出され安堵した
少なくとも命はともかく貞操は問題ない
「は、はい!了解です!」
「……大斧も用意しておいた方が?」
一応変化できるが、こんにゃくで足りるだろうかと
レイヴェルトの背中の大斧を視つつ
-
>>2698
「いや、良い。」
斧が居るか、という話に首を振って、カオスに目線で何かを促す。
そうして取り出したのは……市販のロングソードだ、安物の。
「一番得意な武器を言え。」
「それだけを、鍛える。」
( 混)「ふむ。」
-
>>2699
「一番得意な武器………」
懐からこんにゃくを取り出した。
数年ほど前だったら振り回せばそこそこの威力が発揮できる鈍器類、だったが
現時点で得意な武器と言えば、やはり
「メタルパレード」
こんにゃくの姿が変わり、銀色の、長剣へと姿が変わる
オーソドックスな、長剣
-
>>2700
「こんにゃく、か。」
「……いやまぁ良い、外に出ろ。」
こんにゃくを長剣に変えたのを見て小さく頷き、外にでるように促す。
いや、外とは言っても王都だ、が―――
( 混)「どっこいせっ、と。」
【扉】<ドンッ!!!
……今、視界の橋で何か空間にピンク色の四角いドアが置かれた。
-
>>2701
「……あれ?こんにゃくを知ってるってエレナと知り合いで?」
思わぬところで自分の恋人の知り合いと会う物だ
世間って思ったよりも狭い
少し遅い時間だが、おそらく冒険者ご用達の草原で……
「………あ、あれカオスさん これどこかで見たことあるような………」
「青い狸とか黒と白の熊とかが頭に思い浮かぶ様な……」
-
>>2702
「いいや。」
「似たような武器を知っている。 それだけだ。」
ロングソード(安物)を持って一足先にドアをくぐる大男。
あんまり見るような武器でもないと思うが。
( 混)「気にするな、ただのドアだ。 えーっと、いつもの草原!」
と、行き先を(CV:わさび)で言いながら開ける大魔王。
待って、色々まずい。
-
>>2703
「(こんにゃくなんて名前の武器、そうそうないと思うけれど……)」
隠したがっているなら聞かない方がいいか、と
後を追ってドアをくぐろうと
「新の方だった!?」
-
>>2704
( 混)「ドラえもん、バトルドームも出たぁ!!」
言っちゃった、言いやがった。
色々アウトだこれは。
そしてドアをくぐると――ただっぴろーい草原、王都街道付近である。
-
>>2705
厄介な事を聞く前に、そそくさと扉を閉めた
何も聞いちゃいない、青狸の闘技場の事なんて何も聞いていない
そして夜の草原に先に言っていたレイヴェルトに向き直る
そういえば、魔女の最初の訓練の時も夜の草原だった
あの時は0点だったが
-
>>2706
「さて――。」
ただっぴろい草原。
木しか目立つものがない場所で黒い怪人が安物のロングソードを地面に突き立てる。
「来い。」
「一本、取れれば終わりだ。」
うにょーん、と先程のドアから混沌魔王が出てきて空宙に座り、
ポテトチップスを片手に観戦を始める。
「使うのはお前の得意の武器のみ。 俺も剣のみを扱おう。」
-
>>2707
「一本取れれば……」
「(最初の力量調べ、って事だよね……)」
ロングソードと化したこんにゃくを両手でもち、腰を落として構える
一本取れさえすれば終わり、だがおそらく終わらせるつもりはないだろう
そして何となく ……ほぼ確信に近いレベルで、本気で仕掛けなければ掠りもしない気がする
レイヴェルトの言葉に頷いた
「それじゃ…… 行きますよ!」
腰を深く落として、レイヴェルトに向け突進
まずは小手調べと、腹に向け浅い突きを放った
-
>>2708
ディフが突進――した直後に視界が反転した。 上下が逆さまだ。
その数秒後、何が起きたかも理解出来ぬまま顎に鈍い痛みが唐突にやって来て。
「鈍い。」
地面にたたきつけられるような衝撃が走る。
-
>>2709
「――――――!?」
突如上下反転、顎に鈍い痛み そして背中に何か巨大な物が落ちてきて、叩きつけられる
地面と巨大な物の間に挟まれるはずなのに、何故か落ちてきた物に対して仰向けに
脳が、ようやく追い付いてきた
落ちて来たのではなく、自分が叩きつけられたのだ
顎の痛みから、顎を蹴られた そこまではわかった
「(―――足が動く動作なんて、まったく見えなかったぞ……!?)」
後からわかったからといって何の意味があるのか、問題は対処できない
躱すのが間に合わないのではない、そもそも躱す攻撃さえ見る事ができなかった
飛び上がるように仰向けから立ち上がる
視線を下にして、攻撃がわかるような相手じゃない
全神経に集中させないとならないとはっきりわかった、集中させてもどうにもならないかもしれないということも!
-
>>2710
「お前の肉体は、戦いに最適化されていない。」
何時の間に高く、垂直90度に振り上げられた丸太の様な脚を下ろし、
地面に突き刺していた剣を鞘に納めて大男がディフを見下ろす。
「指先にまで意識を展開しろ。」
「神経の一本までもを意識しろ。」
「身体を形作る細胞の全てを支配しろ。」
鞘に入れたままのロングソード(安物、西洋剣)の柄に手を伸ばし、
腰を深く落し、「居合」の様な構えを取る。
「何度でも突っ込んでこい。」
「そして、その度に覚えろ。」
「”死に覚え”だ。」
ころされてしまう(確信)
-
>>2711
「(指の先まで意識を広げる、神経一本まで支配、そして細胞全てを支配……)」
「(…………)」
「(む、無茶苦茶だ!!!)」
考えてみただけで不可能とわかる、いや絶対無理だ
論理をわかっても、実践でできるものではない
だからこその、体で覚えろ そして 身体的に死ぬ
魔法の訓練と同時に、出来ない訳だ
「…………!」
再び剣を構え、レイヴェルトに対して突進
今度は、腰を落とさない
攻撃がどこから来るかわからない、視線を低く過ぎて対応できない
今度は全体を見て、少しでも目を動きに追いつかせようと
-
>>2712
「温い。」
腰を落とさずに来た突進に対し――マルタの様に長く、太い右腕がまっすぐ伸びて来る。
そうしてディフの構えた剣を掴み、
「喝ッッッ!!!!」
――そのまま、放り投げる。
直後に左手が、剣を抜いたのが見えた。
-
>>2713
「(掴まれた!?)」
手に体に刺さったとかそんな感覚じゃない、違う方向への力がかかるのを感じ
握る力をいっそ強くするが反応が遅れ、結果放り投げられた剣
身を護る手段を失った、さらに剣を抜かれた!
「―――――!」
-
>>2714
そして、また思い切り地面に叩き付けられ――顔の真横に剣が突き立てられる。
「先ず、一死だ。」
そんな言葉と共にゆっくりと剣が引きぬかれ、大男がディフを見下ろす。
成る程確かに、今のは、死んだ。
「――――さて。」
「今の一合の問題点は、何だ? ……えー……」
( 混)「ああ、池上池上。」
「そうか。 では、今の一合の問題点は何だ、池上。」
カオスさん嘘教えないで。
-
>>2715
「ぐ、う………」
開始早々二回目の地面との衝突、そして顔の横に突き立てられる剣
引き抜かれると、手の力で起き上がる
「………自分の武器を早々と、奪われた事?」
「後池上じゃなくてディフです……」
-
>>2716
「そうだ。」
「先ずお前は、そこが間違っている。」
起き上がったディフを見下ろし、剣を持ったまま大男が言う。
「武器を武器と想うな。」
「身体の延長線上にしろ。」
「剣は腕で、腕は剣だ。」
理屈は解る、が――……
そう簡単に行く事ではないだろう。
//ウゴゴゴ眠気が
-
>>2717
「拳の延長として剣を使うっていう話は聞いた事あるけれど……」
「それを実際にしてみる、となると……」
細胞一つ一つ支配する事、神経一つ一つに意識を集中させる事
それは何となく、イメージとしてわかる
だが剣を体の一部分として使う事は
……うん、難しい
//こっちも眠気が来てるのでここら辺で一度〆でお願いします!
-
【ここは王都の図書館前、日付はある日ある時。
今まさに図書館へ入ろうとする、剣士風の格好をした青年がいる】
「んー、あの新刊もうそろそろ入ってもいい頃だと思うんだがなあ」
-
>>2719
「…」
その横を歩きながら分厚い専門書を読みつつ通り抜けていくのが一人。
ボサボサの長髪を後ろで束ねダブついた服を纏う丸眼鏡のヒョロ長い青年だった。
「んおっ!?」
そして何もない所でつまずいて転んだ。
-
>>2720
「っ!?
おいあんた、大丈夫か?」
【まさか近くにいた人物が、何もないところで転ぶとは思わなかった剣士風。
急に転んだ人物のそばで足を止め、声をかけた】
-
>>2721
「いつつつつ…いやぁ、ははは、大丈夫大丈夫」
苦笑いしつつ青年が立ち上がる。
なんだか埃っぽいが、転んだだけではなさそうな感じだ。
-
>>2722
「その『大丈夫』が若干大丈夫に見えないんだが……ま、いっか。
あんた、もしかしてレポート缶詰中の研究生とか?」
【少し呆れたように肩をすくめながらも、怪我などしてる様子はないと判断する】
-
>>2723
「研究生?いや、研究者ではあるけど特に決まった所属があるわけじゃないなあ」
そういいながら拾い上げる分厚い専門書。
年季が入っており表紙はボロボロだ。
-
>>2724
「なんだ。
もしそうなら……ん?」
【返ってきた答えを聞いて、つまらなそうに何かをいいかけた途中で、本がおちる音が耳に届いた。
流石本の虫、本のことなら見逃さない聞き逃さない。】
-
>>2725
「ん?どうかしたかい?」
はて、とリスタを見る青年。
-
>>2726
「あ、いや……右奥本棚A列の辺りで本が落ちた音が……」
【場所まで言い当てる。正しいかどうかは別問題であるが】
「ところで、あんたが持っている本は何の本なんだ?
なんか専門書っぽいけどよ」
-
>>2727
「…何かの特殊能力かいそれは」
言い切るものだから、訝しげに青年は問うた。
「ああ、古竜種に関する文献を纏めて考察されているものだよ。
中々に難解な代物でね。内容も翻訳も」
-
>>2728
「いや?
そっちから聞こえただけだけど?」
【平然と言い切るその様子では、本人にとってはごく普通のことらしい】
「へえ、古竜の専門書か。今度俺にも見せてくれよ。
もしかしたらまだ読んだことないヤツかもしれねーし」
【男が持つ本を指差しながら頼む。
ぼろぼろな表紙では、過去に読んだことがあるかを思い出せなかったようだ】
-
「見せるのはいいけれど、古語の知識や竜語の解読も必要だからね?」
とまあそんな感じで今日はここまで。
-
>>2730
「まあまあ。
読むだけならタダじゃん」
【そう笑ったあと、右奥にある本棚の方へ視線をうつす】
「んー、さっきの本、まだ誰も拾ってねえみたいだな……ちょっと行ってくるわ」
【そう断ったあと、奥の本棚へ向かっていったそうなFO】
-
>>2731
「ん?ああ、そっちにはなにがあるんだい?」
フラフラと後に続く、ひょろ長。
-
>>2732
【向かった先は、リスタが言った右奥A棚……の隣にあるB棚だった。
確かに、一冊の本が落ちている】
「たぶん、誰かが目当ての本を取り出した時に落ちたんだろな」
【そう言いながら、リスタが拾い上げたのは『3分でできる簡単錬金術』という本だった】
-
>>2733
「三分で錬金術って出来るもんなんだなあ…すごいなあ魔術っていうのは」
ほうほう、と感心しているひょろ長。
-
>>2734
「気になるならよんでみるかい?」
【そう言いながら、ひょろ長に本を手渡す。
表紙には『ていがくねんむけ』と書かれている……】
-
>>2735
「…いや、どういう訳か魔法はからっきしでね。
明かりの魔法ぐらいしか使えないんだ」
苦笑いして申し出を辞退する。
-
>>2736
「ん?
でも、ソレ読むんじゃねーの?」
【首をかしげながら、ひょろ長青年が持っている本を指さした】
「みたとこ、魔導書っぽいとおもったけど」
-
>>2737
「いや最初に言ったけどこれは古竜種に関する文献を纏めて考察されているものだから。
あ、時々魔術書も読むけれど知識としてしか頭にはないなあ」
-
>>2738
「あー、そういやそっか。
俺も同じようなモンだしな」
【そう言いながら、頭をかく。
剣士っぽい服装からしても、こいつは魔法型ではなさそうだ】
「そういや、なんで古代竜の文献なんか持ってんだ?」
-
>>2739
「実家の倉庫の整理をしていたら出てきたもんでね。
試しに読んだらまあ面白かったんだ。
内容はどうにも要領を得ない絵空事が多いんだが…その解読がね」
-
>>2740
「解読になんか問題が?」
【要領を得ない言葉に首を傾げる】
「要領を得ないってことがわかってんなら、読めねー訳じゃないんだろ?」
-
>>2741
「それも言ったろう?
古語や竜語の知識が必要だからそう易々と読ませてはくれない。
数式やパズルを解くような面白さがある。
昔の独特の言い回しが多かったりしてどうにも内容がぼやけたりはするけどね。
まあぼやけた内容を自身で保管するのも又、パズル要素満載だね」
-
>>2742
「ふうん、パズル的な古代竜の知識かあ……。
それ、写本とかねえのかな」
【ひょろ長の言葉を聞いていて、どんどん読みたくなってきたらしい】
-
>>2743
「さあねえ?表紙はボロボロでタイトルも分からないからなあ」
そんなこんなで話は続く 今日はここまで!!
-
【王都近くの森】
「〜〜♪」
【焚き火の前でテンポ外れな鼻歌を歌う黒髪金目の少女がいる。
焚き火で、棒に刺さった肉を炙っている】
-
>>2745
「…?」
ガサガサと茂みかき分け現れたのは、
何処か呆けた表情な赤い髪と眼の若い娘。
鼻をヒクつかせての登場である。
-
>>2746
「!?」
【茂みを掻き分ける音が聞こえた瞬間、野性的速さで音の聞こえた方へ振り替える】
「誰だ……」
【焚き火を背に、警戒心あらわに問いかける】
-
>>2747
「…ぉー」
ラーナイの問いかけには反応せず、その視線は炙られている肉に注がれている。
つー…と涎まで垂らして。
-
>>2748
「……お腹空いてるのか?」
【すぐ奪われる心配が消えない状況で、恐る恐る問いかける。
火に炙られている謎肉は、食べ頃とばかりにいい匂いを放っている】
-
>>2749
「うぁっ」
当然とばかりに肉に手を伸ばす赤毛。
妙に素早い動きだ!!
というかラーナイ ガン無視か小娘っ!!
-
>>2750
「させないっ!」
【伸ばされた手めがけて近くにあった木枝を投げつける。
焚き火を背にしたまま、略奪者から肉を守ろうとするその姿は、遺跡で宝を守る守護者のようだ】
-
>>2751
「!」
スパァッン!と良い音がして木枝が爆ぜた。
投げつけられたソレを赤毛が軽い身のこなしで避けつつ殴りつけた結果である。
…普通殴りつけただけで枝は爆ぜない。
「…うー……」
威嚇するように低く赤毛がうなった。
-
>>2752
「この肉を奪おうとするなら――許さない」
【威嚇のような唸り声をあげる略奪者を睨み付けながら、利き手に魔力をこめる。
肉は相変わらずいい匂いを……むしろ少し焦げ臭い】
-
>>2753
「がっ」
短く吠えて赤毛が構える。
魔力に反応したらしい… お前ら何やってるんだ。
-
>>2754
【肉をめぐりまさに一触即発の状態。
森の中での緊張感溢れるこの場の均衡を崩したのは――焚き火から聞こえた音と匂いだった。
肉の刺さっていた棒は、放置され過ぎた結果見事に焼き切れた。
支えを失った肉は、そのまま焚き火の中へ】
「ああああ!しまったあ!」
【自分の背後から聞こえた落下音に、あわてて振り返るラーナイ】
-
>>2755
「あー…」
焚火へと消えた己の目的を見、
その場に膝をつく赤毛。
両手を地につけ項垂れた…
-
>>2756
【落ちていた木の枝をつかい、なんとか焚き火の中から目的のブツを救いだす。
獲得:焦げた肉】
「こ、こげが酷くないところを選んで食べれば……!」
【若干涙目になりながら、ナイフをとりだし肉を削ぎはじめた。
……中までしっかり焼けてますね。
固そうなくらい】
-
>>2757
「うー…」
虚空を見上げ天を仰ぐ赤毛。
最早獲物は此処にはない…
恨めしそうにラーナイを見ている。
完全にお門違いだ。
-
>>2758
【ラーナイの必死の削ぎ作業の結果、50cmほどあった肉塊は握り拳より一回り小さくなった。
見るからに固そうだし、まだ少し焦げ臭い】
「これくらいなら、干し肉と思えば……」
【削ぎ作業の仕上げにナイフで肉を二つに分けると、やっと少女の方へ顔を向けた】
「これでよければ、少し食べるかい?」
【問いかけながら、小さな肉の1つを少女に差し出した】
-
>>2759
シパッ!!
差し出したと思ったは既にラーナイの手になかった。
『これでよければ、す』位の間で赤毛が引ったくり口の中に放り込んだからである。
「…」モグモグ
奪った肉を咀嚼しながらその眼は残った肉片に注がれている……
-
>>2760
【肉を差し出したと思ったらもうなかった。何をいって以下略。
何もない自分の掌と少女を交互にみたあと、自分用の肉に視線を落とす。
そして再び少女をみたラーナイは、諦めまじりの溜め息と共に再び肉を差し出した】
-
>>2761
ヒュバッ!!
そして消える肉。
酷い一日の締めくくりと相成った。
「…」モグモグ
表情を崩さないというか無表情というか、
肉をもらったことに対し感謝とかそういうことを考えていないように思える。
-
>>2762
【顔で笑って心で泣いて。
腹の虫の主張は、聞かないことに決めた】
「(……しょうがないか。
モコたちの食事が済んでてよかった)」
【肉をもぐもぐしている謎の少女を刺激しないよう、静かに立ち上がる】
-
>>2763
「…」モグモグゴクン
少しは満たされたのかラーナイの様子を静かに見守っている…
-
>>2764
【小さくなった焚き火に砂をかけて火を消すと、とたんに辺りは暗くなる。
完全な闇ではないのは、月のお陰だ】
「おやすみ」
【謎の野性少女へ挨拶したあと、ラーナイは腹の虫とともに森の奥へ姿を消したそうなFO】
-
――某地域 某遺跡群
そこは危険なことで有名な地域だった。
先人達がかつて立てた施設のひとつであったが、絶えない争いや天災などで打ち捨てられていたものだ。
時の統治者はそこを復興させることもなく、その内人々に忘れられ、巨大な廃墟が後に残るのみ。
お決まりの展開ならそこに善からぬアウトローが住み着くのだが。
「……レディがしていい恰好はしてないわね」
――アウトローも住み着かぬ、先人たちの悪意ある仕掛けだらけの場所でもあった。
今、パメラは逆さづりにされている。足が縄で結わえられ宙ぶらりんなのだ。
一人で挑んだ以上助けは期待できず、どうにもならん、死あるのみ――というわけでもないのだが。
「……こういう健康法があるとかないとかって聞いたことあるわね」
脱出できるのにも関わらず、なんとなくそのままになってみたのである。
-
「…………。」
すぅ、と周囲の暗がりから浮き出る様に沸いたのは灰のコートの男。
顔にはハロウィン・パンプキンの顔を模した様な白色の仮面。
その容貌は周囲の闇に溶け込んでいて、非常に見づらい――が。
「……来たのが来たのなら、ひどい目にあっている所だね。」
聞こえた声は、知ったような平坦な声だった。
-
>>2767
「周辺警戒はスプライトがしてくれていたところ、平気よ。獣も怖がって近づかないわ」
レイジがやってきたのには面食らった様子だが、宙ぶらりんのまま返答する。
苦しくないのか、やせ我慢か、さてはて。
「ぼうし、とってもらえる?」
逆さづりになった都合、被っている帽子は落ちる。
すこし手は届かない。故に人に頼むのである。
……その前に、その状態をどうにかしろよと、人は言うだろうが。
-
>>2768
「……、」
「その前にやる事が……とは言うまい、かな。」
帽子を拾い上げて、パメラの方に手渡す。
逆さ吊りになっている相手に手渡す、というのも変な感じだが。
「どっちにしろ、年頃の女の子がする格好じゃないね。」
-
>>2769
「はいどうも」
両手で受け取って、落とさぬように保持する。
……ともあれ、そろそろ飽きたらしい。
「大丈夫よ。確かにびっくりするかもしれないけど下着とか見えてるわけでもないし……っと」
よ、と小さく掛け声を出して身体を曲げ、指先から小さな火の玉を飛ばして縄を焼き切って落下、着地。
何故真っ先にやんなかったのか、不明だ。
「危ないところねここは随分」
よいせ、と同じく落ちて転がった杖を回収して。
-
>>2770
「どういたしまして。」
状況に則していないような遣り取りを返して、少し離れる。
と、言うのもどうせそろそろ降りてくるだろうからじゃまになるだろうと思った故。
予想は当たったらしく、少女が降りてきた事に少しだけ肩を竦めた。
「奥に居るらしい、盗賊の排除依頼が出る程度には危ないらしいよ。」
と。
どうも偶然来た、のではなく「仕事」だったらしい。
-
>>2771
「……え? そんなのいるの?」
こんなに罠だらけなのに、と引き気味。
もう帰ろうかとかもかんがえていたのに。
ちなみに、受けている依頼はこの遺跡群の立ち入り調査。
「よく罠を避け踏み越え根城にしたわね……。幽霊?」
物理無効相手だろうか、とかなんとか呟いている。
-
>>2772
「らしいよ。」
真偽は不明。
受けた依頼も本人曰く、家での仕事が今日は無かったから、との事。
「そう珍しい事じゃないよ。 罠に詳しければ回避は出来るし……」
「大凡の当たりと、仕組みを覚えれば危険な遺跡が、堅牢な要塞に早変わり。」
確かに筋は通っているが、そんなリスクを冒すぐらいなら
自分でどっかに罠を仕掛けて潜め、と言いたくもなる。
「まぁ、僕は絶対嫌だけど。」
-
>>2773
「そういうことなら探しに歩く必要がありそうね……」
幸い、隠れている人やモノを見つけるのは得意である。
探査魔術は非常に役に立つ。
「グレムリンとピクシーに探させましょう。スプライトは空から……」
彼女に見えている妖精を通じて、情報の入手を行う。
実際は形もない、感覚拡張型の魔術でもあるが――少なくとも彼女は妖精の協力であるという認識であった。
-
>>2774
「……。」
当然の様に周囲の探索を始めるパメラに、
仮面の下で小さく溜息を零して、肩を落とす。
「一応、僕が受けた仕事だから」
「そこそこ危ない物なんだけど。」
まぁ、確かに自分は碌な魔術なんて使えないし手伝いがあれば助かるは助かるのだが。
-
>>2775
「悪党に明日はない、そうでしょう?」
ふふ、と得意げに笑ってハットを被りなおして。
ベージュのコートにハット。拳銃でももっていたら似合いそうだが、彼女は魔法使いだ。
「ま、罠に気を付けながら歩きましょうか」
「ふふ。グレムリンが素直に働いてくれるから、きっとすぐに見つけられるわ」
潜んでいる何かが存在することを知覚する術式と、悪意ある存在を知覚する術式を併用している。
暴くのがグレムリン、感知するのがピクシーという役割分担らしい。……彼女の中では。
-
>>2776
「…………。」
「(危なくなったら、下がらせれば良いか。)」
然程危険――ではあるが。
一人だったら片手間でも終わりそうな暇潰しのお仕事だ。
滅多なことはあるまい。
「よく働いてくれる友達が居て、羨ましいよ。」
「こっちは、禄に働きもしない。」
術式頼りと自身の経験を頼りに、奥へと進んでいく。
その中で冗談なのか本気なのか解らない事も言う。
-
>>2777
「それはきっと、センセに愛嬌がないからね。気に入られないと」
罠を避け、ある種の鳥類が飛ぶのを見つけたり、手元のメモに書き込みながら進む。
一応、本来の目的の調査も並行して行っている。
……ひょっとしたらさっきの宙吊りは休憩のつもりだったか。
「しっかし、こんなところに潜むなんてどんな物好きなのかしらね」
-
>>2778
「気に入られて……るのかな。」
「まぁ、割とどうでもいいけど。」
奥の方へと進んでいくと、人のいた痕跡らしき物が、矢張りある。
器用に罠を避け、進んだ足跡だ。 本当に人が居るようだ。
「さぁ。 盗賊崩れか、怪盗気取りか。」
「まともで無いのは、確かだろうけど。」
-
>>2779
「……あら、近いかもね。グレムリン、ピクシー、引き続きお願い」
人の形跡があるなら、近くにいる可能性はぐっと高まる。
探査により意識を集中させ、注意深く進んでいく。
「おかげで罠の位置は確認しやすくなったわね」
ただし、中にはダミーの足跡なんかもあり、足跡を重ねればよいとは言い切れない。
これは相当に注意深い相手なのでは、と想像も広がっていく。
「怪盗!? ははあ、それは素敵ね。恋の予感ね」
是非けれん味マシマシで、と妙な事を言っている……。
-
>>2780
「……こういう場合は、余り喋らないこと。」
「聞こえてる可能性もあるからね。」
特に、こういう場所は音が響くから、と付け加える。
先生の方は喋らないし、先程から足音もしない。
足跡も注意深くみないと付いているか解らないのは、そういう歩法なのだろうか。
「碌なものじゃないと思うけどね。」
「大概、ただのこそ泥だし。」
小声で会話しながらも、奥へススム。
……少し、明かりが見えてきた。
-
>>2781
「ばっさり切って捨ててくれるわねえ……」
確かに声は響くかも。
となると、向こうもある程度こちらの存在を知っていると考えるべきか。
「……と」
実際に体を乗り出さなくてもわかるのがよいところだ。
明かりのあるポイントに人物がいるのかを調べる。
-
>>2782
「……仕事中だと、気の利いた事は言えなくてね。」
「他の人程、余裕が無いから。」
既に気付いていて迎撃の容易をしている可能性もある。
警戒に警戒を重ねてこそ、だ。
「(……。)」
明かりの場所には――テーブルや、椅子など、そういったものがあり、少し開けている。
だが、そこに人の姿は無い、……?
-
>>2783
「変ね。人がいないわ、そこの部屋」
虚空を撫でる仕草をして。
用心に用心を重ねる相手なら、そもそも戦わず別の通路からひらりと逃げたという可能性もある。
「……うーん。派手好きではないかもしれないわね」
怪盗説は早くも崩れてしまうかも。
-
>>2784
「……。」
それを聞いて、仮面を着けたままの先生は黙った侭。
魔術で調べた限りでは、人の気配はあったように思えたのだが。
それとも矢張り、何処かに抜け道があるのだろうか。
「…………。」
そういう事に尖そうな先生は、やはり、黙りっぱなし。
-
>>2785
「……」
おしゃべりはよくなさそうだ。
どうも怪しく臭う。もしかすれば相手はこちらの喉首狙いか。
(……そろそろ口上の一つ)
響いてこないものか、と思いながらも口にはしない。
その代わり、杖を強く握る。いつでもヒトを黒焦げにできるように。
-
>>2786
しん、と静まり返った遺跡内。
人の気配は無いように思える、のだが……。
かつん、と後ろの方で物音がした。
はっきりとした音だ、パメラには魔術の感知もあってしっかり聞こえただろう。
レイジの方は気付いていないのか、振り向く様子は無いが……?
-
>>2787
「後ろぉ! と見せかけて正面あるいは上ェ!」
そんな無茶苦茶な。
杖を掲げて振り向いて、火球を三つほど、掲げた杖周辺に展開。
怪しいものあらば即座に発射、火だるまである。
「ただのネズミでしたなんて騙されないわよ私」
とりあえず、振り向きはしたので音のした方を睨みつけますが。
-
>>2788
振り向いた先、後方。
あったのは……魔力を込められた、「魔石」だ。
魔力を注入する事で遅延発動する……強力な照明用の魔石だ。
魔石がその機能を果たして、眩ゆい光が、視界を覆っていく。
相変わらず先生の方は、何もした様には見えな……いや、
何時の間にか手には槍を持っている。
-
>>2789
「なんというか底意地の悪い仕掛けっていうか――とりあえずいっことんでけ!」
自分もやったが、不意打ちでやられると視界が塞がる。
反射的に目を閉じつつ、警戒。八つ当たり気味に魔石には発射したが。
探査術式のおかげもあって、ある程度なら視界はカバーできる。気配で攻撃することもできる。
とりあえずは視界を回復させる必要があった。
-
>>2790
放たれた火球は眩い光を放つ魔石にぶち当たり、炎上。
周囲の罠の幾つかを焼き払って、溢れる光を消し去る。
しかし、直ぐには視界は戻らない――
その隙を狙った、かのように何処からか、何か放たれ、空気を咲く様な様な音が聞こえたが、
次いで聞こえた甲高い音を聞くに、先生の方が槍か何かで弾いたようだ。
「……真上と、パメラから見て二時の方向に火球、撃てるかい?」
後、まだ戻らぬ視界の中、声が聞こえてくる
探査の限りでは、後方に魔力が感じるが……。
-
>>2791
「うわ、今私狙われたわよね。怪盗じゃないのは確かみたいね――っと、撃てるわよ!」
目を瞑ったままだが、言われるままにその方向に火球を発射。
火球はそれなりの速度をもって、猛然と飛んでいくだろう。
「……うー、まだ見えないわね。何がいるのかしら」
目をゆっくり開ける。まだだいぶくらくらするため見えてないも同然だが。
-
>>2792
火球を放った方向から、何かの悲鳴と燃え上がる音が聞こえる。
悲鳴、と言うより鳴き声、多少開けてきた視界にぼんやり映るのは……
魔獣、……いや、キメラ、合成獣だろうか?
まさかこんな遺跡の奥でそんな研究でもしていたのだろうか。
巧妙に魔力を隠していたらしい。
「……良い、って言うまで動かない、――良いね?」
未だふらつく様子のパメラに、そんな声が掛けられて、
次いでじゅぅ、と何かが溶ける様な音が足元当たりから響く。
-
>>279
「具体的に何が起こってんのかさっぱり……」
妙なけだものが視界に映る始末。
今はもうバーベキューになってしまったようだが、最早ヒトですらないとは。
「怪盗に心を奪われるとか体験してみたかったんだけどねえ……わかったわ」
さらに火球を展開。
警戒しつつ、その場から動かない。
さて――この巨大な廃墟に巣食う存在は他にもいるのだろうか。
-
>>2794
「火遊びしなくても、その内心を奪ってくれる相手ぐらい来るさ。」
平坦な、本当にそう思ってるのか問いただしたいぐらいな声で返して。
手に持っていた槍を――恐らく、投げたのだろう、風を裂く音がした。
次いで、悲鳴。 今度は間違いなく人間の物のようだが……。
「――――何匹、居るか、が問題かな――。」
――どうやら、それで終わりそうにはない――。
-
夜の森のなか
【王都に近い森。
草原となっている場所で、焚き火の明かりと、火の粉がはぜる音がする……。
が、その量は通常よりも控えめだ】
「……」
『(・ω・;)』
【火のそばには、寝転がっているショタと、それを見下ろしている空飛ぶ石像がいる】
-
「ごめんねー、くりすー、つきあってもらってー。」
『別に、ねーさんが真面目に練習するなら元々吝かではないのです……、むむ。』
森の奥からかさかさ、と音がして。
茂みの方から少女が二人歩いてくる、一人は黒のゴシックロリィタ服の少女。
もうひとりは蒼色のパーカーに、スカート、蒼色の髪の少女であった。
-
>>2797
『(・ω・)ノ』
【夜分遅く現れた乱入者に、すぐ気付いた石像。
わかりやすい害意はないと判断し、手をあげて挨拶した】
「…………ムニャ……」
【石像の傍には、寝ている子供が一人】
-
>>2798
「わ、……びっくりしたー。」
『ガーゴイル、ですか……人工物みたいですけど』
ちょっと驚いた様子の後、ぴこっ、と手を上げて挨拶する黒い方の少女。
と、まじまじとガッtちゃんを見る葵の。
『こっちの子は……家なき子でしょうか』
「ちっちゃいぼーけんしゃさん?」
-
>>2799
『(`・ω・)』
【ガーゴイル、という言葉にこくこく頷く石像。
微妙にドヤ顔だ】
「……ムニャ」
【口元をモグモグ動かしている。何か食べている夢でも見ているのだろう。
よくみると、デカいリュックを抱えるようにして眠っている】
-
>>2800
「えへー、ちっちゃくてかわいいね、もってかえっちゃだめかなー?」
『ダメですよ、多分そこで寝てる子の物でしょうし。』
ガーゴイルをひょいっ、と掴んで抱きしめる黒い方の少女。
青少女の方はきょろきょろと、周囲を見渡して。
『ガーゴイルくん、保護者さんが居ないようですけれど……』
『まさか本当に家無き子ですか?』
-
>>2801
『Σ(゚ω゚ノ)ノ』
【さすがにまさか抱き寄せられるとは思ってなかった石像。
驚いた表情をしたあとじたばた抵抗の意を示した】
「……すぴー……」
【飼い主らしいショタは、まだ起きない。
その代わり、デカいリュックがもぞもぞ動いた!
辺りにチョコの匂いが漂う】
-
>>2802
「むっ、あーばれないのーっ」
じたばたするガーゴイルを押さえつけようとする少女。
が、見た目通りよわっちい。
『…………むぅ』
『これは、ゼオさんに許可を取って家に連れて行った方がいいのです?』
と、何やら思案顔の少女。
-
>>2803
『(;@Д@)』
【石像は、じたばた抵抗している!】
【そんな石像の必死な抵抗に気付いたか、寝ていたショタ……ではなく、リュックがもぞもぞ動いた!
動きに合わせて、チョコの匂いが強くなる】
-
>>2804
「むむむー……もってかえろうとおもったのにぃ」
なんて不満気にいいながらガーゴイルを離す、とっても不満気。
『……カカオ臭……』
『(バレンタイン、・・・…は関係ないのです? 男の子ですし)』
ちゃっ、と手元にライフルだけ万が一のために。
-
>>2805
『Σ(゚Д゚;)』
【少女1からやっと解放されたとおもいきや、突然ライフルを構えだした少女その2に慌てる石像。
背中の羽を羽ばたかせ、ライフルを取り上げようとする】
「……ムニャムニャ」
【ショタは、まだ寝ている!
リュックの動きは、いよいよ大きくなった。
まるで何がが生まれる前の卵みたいだ】
-
>>2806
「あ、くりすー、だめだよそういうのー」
『何が出て来るか解らないのです、警戒はすべきなのですよ、ねーさん』
ひょい、とこちらの少女は黒少女より色々慣れてるのか。
ガーゴイルを簡単にかわす。
-
>>2807
『(>Д<;)』
【ライフルを持つ少女の手を、一生懸命追いかける石像。スピードはあまり早くない】
【もぞもぞごそごそした動きのおかげでリュックの留め具が外れ、口が開いた。
チョコレートの匂いを漂わせ、出てきたのは……】
[るにゃ?]
【街でも愛玩用に時々見かける猫型魔物・るにゃん種だ。
どうやらチョコの匂いは、この猫魔物が原因らしい】
-
>>2808
『ああもう、鬱陶しい……ボブに似てるのだけでもちょっとイラッとするですのに』
「だーめーだってばー。」
ひょいひょい交わす青幼女。むー、とふくれっ面になりつつあった、が。
『……るにゃんですか、心配して損したのです』
ひゅん、と姿を確認すると銃をどっかに消してしまった。
-
>>2809
『(;´Д`)=3』
【銃をしまったらしい様子に、ホッと息をつく石像】
[るにゃー?]
【チョコの匂い漂うるにゃん種は、大あくびをしてから石像を見上げた。
るにゃん種は多種多様な種類がいるが、普通は無臭の筈だ]
-
>>2810
『大丈夫ですよ、別に貴方のご主人を撃ったりしないのです』
猫(?)とガーゴイルに、仏頂面のままそう言う青っ子。
「ねーねー、がーごいるさん、このこかぜひいたらたいへんだし、つれていってもいい?」
と、少年を抱き上げようとしながら言う黒い子、おい。
-
>>2811
『(゚ω゚三゚ω゚)』
[るにゃ!]
【黒ゴス少女の申し出に首を横にふる石像と猫魔物。
もしかすると、何か目的があるのかもしれない】
「…………ムニャムニャ……」
【ショタはずっと寝ていたそうなFO】
-
【>>2795の続き】
パメラが訪れた巨大な廃墟。
そこにはナイフの「せんせい」でもあるレイジが居て、何やらクエストを受けたらしい。
仕掛けられた罠を避け、奥へと進んでみたものの、
そこで何やら「キメラ」の様な物に囲まれてしまい……
「……。」
レイジが槍を投げたら何やら、人間の悲鳴らしきものが聞こえてきた――そんなところである。
-
>>2813
「予想以上に剣呑な状況ね」
杖から浮かぶ火球は、反射的に打てるようにしている。
『妖精の協力』による探査魔術と連動させて、怪しいものを見つけるか、感じ取れば――だ。
「……」
(まさか人間以外もいるなんてねえ)
それも、人為的に作り出されたような何かだ。
はっきりと見えてなかったが、それでも不自然な何かだったことはわかった。
-
>>2814
「ここがキメラの研究施設だったのか、潜伏してたのが研究者だったのか。」
開けた――光が薄まって見えてきた視界に映るのは、なんといえばいいか。
人間の顔に、狼の身体。 猛禽類を思わせる翼の生えた……。
ぐろい。 という表現がぴったりな、そんないきものが目の前に、二匹。
ちらり、とレイジが槍を投げた咆哮に視線を向ければ、
槍で肩を貫かれてもんどり打つ男の姿、潜伏してたのはあの小悪党の様に見える男のようだが。
-
>>2815
「じゃあこれで研究成果はパーってとこね」
キメラを視認と同時、火球が飛ぶ。
当たれば即座に炎に包まれてバーベキューだ。
「んであれが製作者かしら。怪盗キャラには程遠そうね」
ロマンは転がってないものね、とぼやく。
-
>>2816
「どうだろうね。 こういう場合……。」
一体のキメラが火球を飛び退いて避け、避けた先に銃を撃たれまた飛び退く。
反応は俊敏……獣のものだ。
「既に放棄された所に莫迦がこっそり隠れてた、が有り勝ちだから。」
「まぁそれはそれで、あの小悪党がどうやって生きてたか気になるけど。」
銃が当たらない、と見るや否や懐にまた手を突っ込むレイジ。
策があるのだろうか。
-
>>2817
「あら、随分な速さね」
あっさりよけられてしまう。
が、構わず逃げる先に火球を発射――火球は空中で炸裂し、炎の散弾となる。
当てづらいなら、よけづらくするまでだ。
「とりあえずそこで悶絶してる人から話を聞きたいわね」
自業自得とはいえ、そろそろ助けてやらねばなるまい。
-
>>2818
胴体は狼――矢張りそこそこの俊敏性はある、ということなのだろう。
が、野生の本能で魔術を知るすべは無い。
弾け、飛び散る炎弾の幾つかが直撃し、一体が大きく炎上して吹き飛ぶ。
「うん……あの槍、毒が染み出してるから。」
そろそろ動けなくなる頃、何て言いながら取り出したのは、
それ何処にしまってたのか――と聞きたくなる、大きな鎌。
かなり取り回しが悪そうなそれを……
「しっ。」
もう一体の方のキメラに、投擲。
回転しながら放られた大鎌は、いやにあっさりとキメラを両断し、壁に突き刺さった。
-
>>2819
「妙にインチキ臭い投擲武器ね……」
毒槍でぶっさされた哀れな人物に近づく。
罠も警戒しているが、キメラに関してはレイジに任せた。
「抜いてあげれば、いいのかしら?」
回復手段はいまいちもっていないのである。
-
>>2820
「錬魄刀……、 ……、まぁインチキ武器だね。」
認めてしまった。
……キメラはあの二体でおわり――で、なかったようだが。
しんと鎮まり出て来る様子が無い。 逃げた、のだろうか。
男はもんどり打っていたが、静かになっている。
顔色から見るに麻痺しているのだろう。
-
>>2821
「にしても間髪いれずに毒ってきっついわね、せんせ」
丸焼きにしていく路線なのも問題がありそうなものだが。
とりあえず、槍を抜いてやってから、本人の衣服をちぎって包帯代わりにしておく。
重要参考人、一名確保だ。
「……出血多量はないとしてもこのまま死んだりしないでしょうね」
-
>>2822
「……余り魔法とかが、使えないからね。」
「小細工をして、漸く一人前なんだよ。」
使うと痛いし、何て茶化して言って大鎌をそのままに、そちらの方に。
『いぎゃぁッ!?』
やりを引っこ抜かれ、悲鳴を上げる小悪党。
……いかにも小悪党、という感じだ。
「流石に、それは見極めて投げてるから。」
-
>>2823
「その便利なはずの魔法を軽々超えられると傷つくわよ、せんせい……」
自分が犯人前なのは、自覚の内にあるにしても。
そういえば、体術の師としてはレイジがいるが、魔術、魔法の師がいない。
なるほど、確かに、魔術師としては必要かもしれなかった。
「あんまり見たことはない顔ねえ。賞金首リストにあったかしら」
コートから手配書を取り出して、ぺらぺらと捲る。
少額でもいいから懸賞金かけられてたりしないだろうか。
-
>>2824
「そうは言うけど、良い物じゃないよ。」
「あの大鎌は呪われてるし、その槍は僕も危ないし。」
リスキーな物ばっかりだ、というふうに。
まぁ、安定性を求めるのなら魔術が一番だろう。
「……ああ、こそ泥だね、見た覚えがある。」
手配書の奥のほう。 ……そこそこ名の在る盗賊だ。
が、随分前から行方が知れなくなっていた、その為けんしょ金も今は、安い。
-
>>2825
「それは、真似できないわね」
無理にリスクを背負う真似はしたくない。
魔術でさえ、一定以上のリスクを背負うものなのに、だ。
「こそ泥……こそ泥……ああ、あなた、随分人相変わったわねえ……」
「王都周辺は儲からなくなったってわけ? 都会派泥棒を気取ってたと思ったけど」
お小遣いぐらいにはなるか。
となれば、当局につきだすまで無事でいてもらわなければ。
-
>>2826
「うん、出来れば、呪いとかそう言う物には一生関わらないように。」
「……破滅するからね。」
染み染み、と。
周囲を見渡して辺りを警戒しながらそう言う。
嫌に実感がこもっている。
『う、うるせぇっ!! 半年以上もこんなとこで暮らしてりゃ顔つきだってかわらぁっ!!』
『くそ、やっと人が来て囮にできると思ったらこれかよ……ああ、ちくしょう』
……どうも、キメラに囲まれて逃げられなかったのだろうか?
あの罠も、キメラ様に設置し直したのか……。元々、キメラ用のものだったのか。
-
>>2827
「……肝に銘じとくわ」
ぶるり。
妙な説得力の大きさに、胸にすとんと言葉が収まった。
「あら、半年もねえ。囮って……あー、あのキメラとは別件なののあんた」
「というか何も泣かなくてもいいじゃないの……まったく」
「『次に月夜に出会ったなら貴方の心も頂戴いたします』とか決めた直後に犬に吼えられた逃げたとか、そんなエピソードもちのくせに」
賞金稼ぎ界隈では、一時期話題にのぼりっぱなしだった。
それからとんと続報を聞かなくなったかと思えば、こんなところでこんなところになっていたとは。
ちなみに、黒歴史間違いないことを発表したのは嫌がらせである。
-
>>2828
「良い子だ。」
言葉の後に、頭を軽く撫でられる。
少しくすぐったい。
『ああそうだよっ!! 少し街を離れて隠れ家にしようと思ったらこのザマだよ!!』
『クソ、何だよあのキメラ、バケモンじゃねぇか……!』
『うるせぇっ!! 俺は動物が嫌いなんだ!!!』
知ったことではない。
-
>>2829
「あら、褒められちゃった」
ふふ、と小さく恥ずかしそうに笑った直後。
自棄になった様子のこそ泥を見て、感心したように一言。
「ねえせんせ、知ってる? こういう男って結構長生きするのよ……?」
だめんず好きにはうってつけかも、とか変なことを。
「にしてもキメラと別件ねえ。……正直、そういう報告をいれて改めて捜査した方がいいと思うわ」
「重要参考人もいることだしね」
半年も住み着き、キメラを避け続けていたなら一定以上の情報を抱えているはず。
王都の衛兵と冒険者ギルドの連合でみっちり問い詰めてもらおう、と。
-
>>2830
肩を少し竦めて。
「だろうね。 ……一人似たようなのを知ってるよ。」
確かソレもモテていたっけなんて事を思い出す。
暫く顔も見ていないが。
「そうだね。 流石に情報がこれだけ在れば遊撃騎士団や……」
「正式な依頼も出るだろう、ギルドに。」
-
>>2831
「……それじゃあ、帰りましょうか?」
逃がすわけにはいかないので、腰縄をぐるぐる巻いていく。
賞金稼ぎたるもの、ロープは肌身離さず、である。
「手に入ったお金でお茶でもしましょうか、休憩代わりに」
「こいつは多分苦い経験すると思うけど」
容赦ない取り調べで、ついでのように余罪も洗われてしまうに違いない。
-
>>2832
「ああ、うん……僕はもう少し、調べて行くよ。」
「さっきのも気になるし。」
周囲をもう一度見渡して。
放り投げたままだった大鎌を拾い上げる。
「お茶は……今度、で大丈夫かな。」
-
>>2833
「あら――そう?」
意外そうな顔を浮かべて。
しかし、そういうのならば仕方がない。
冴えない盗賊と二人旅だ。
「むー。残念だけど仕方ないわね、ほら、きりきり歩きなさいきりきり」
不満は、捕まった盗賊にぶつけながら歩くことにした。
//では、こんな感じで!
-
<王都近くの草原>
「…………。」
【黒いフードつきのコートを羽織った小柄な人影が一つ。
背丈から言えば、子供か……女か……どちらにしてもこの時間にうろつくような人物ではない。
顔などはそのコートのおかげで隠されているため、一目ではその姿は窺えない。
しかし、その人影の周辺では、甘い香りが漂っていた。】
-
「――――この時間に、散歩か。」
草原を歩く少女の前に立ち塞がったのは、蒼色のコートの男。
碧色の少し長い髪を揺らし、腰には黒塗り鞘の刀を二本提げ、両手両足には白銀色の手甲脚甲を付けた出で立ちだ。
-
「…………、」
【その姿に軽く息を漏らす。
しかし、以前の様な強い動揺は見られない。いや、そうではなく押さえ込んでいる。
彼女がこうして、この場所にいるのはちょっとした決心の表れなのである。】
「書き置きを見た上で、こうして来たんですか?」
【フードから微かに覗く瞳がジャキを射抜く。
その目は今のメヤズでも〝あのメヤズ〟でもない。だが、その瞳には意志が満ちている。
そう、丁寧にも彼女はジャキに対して書き置きを残していた。彼女なりのお礼のつもりなのかもしれない。
端的に言えば、ジャキ以外からも自分が〝怪物〟であると教えてもらった、ということ。
加えて、自分は王都にいてはいけない存在であり、王都からはもう出て行くこと。
つまり、あのメヤズのように〝怪物〟に戻りそのようにして生きていくという意志が綴られていた。】
-
「ああ。」
短く返答を告げて、腰の刀の柄に手を掛ける。
そちらを見ずに瞑目し、足元の影を蠢かせる。
「お前が怪物に戻るのであれば……やる事はひとつ。」
「悪戯にお前を殺して、造った責任として――」
「怪物として、誰かを殺す前に、」
「お前を消す。」
-
「…………私は生きたい。でも、それは許されることじゃなかったんです。
だって、私は怪物なんですから。」
【こちらもフードから顔を覗かせることなく、語る。
しかし、風に乗って漂う甘い香りは、強さを増す。だが、それは劣化したものだ。
単なる模造品ですらない……デッドコピーと言って差し支えのないもの。
オリジナルである〝彼女〟が勝てなかった以上、彼女に勝つ術はない。】
「…………でも、かいぶつはつよいんです。」
-
「怪物でも人として生きる事は出来る。」
「そうしている奴も居る、……お前が解った上でそうしないだけだ。」
吹けば飛ぶ程度の香り、以前に――、一度、始末を付けた相手。
それも自分が造った模造品、処分するのに何の手間もかからない。
「違うな。」
「かいぶつなんてものは、この世界で一番、ちっぽけだ。」
-
「怪物は強いです。……でも、私は弱いんです。
これ以上、私が生きられない理由なんて…………ないんです。」
【怪物であった影響と言うのは実に強いようだ。
もっとも、このことは、彼女の形をしているからこそ感じるある種の直感めいたものである。
何せ、メヤズ=イェノーは既に死んでいるのだから。
そして、意図して機能を落とされて作られたこの少女は代償として人間性を取り戻してしまったようである。】
「だから、私は……怪物になります。だから……邪魔を、しないで……!」
-
「そう、か。」
「そうまで言うなら、仕方ない。 お前を造った、俺が悪い。」
人間性を取り戻した少女に、そうして視線を向け、
腰に下げていた刀の一振りを鞘から抜き放つ。
「怨んでいいぞ。」
「二度も、お前を殺す。」
抜き放ったそれを触媒に放つのは強力な「火炎」。
メヤズの周囲を包囲するように、それが地に広がる、
-
「…………。」
【コートの下から、どろりと蜂蜜が垂れ落ちる。
それは彼女を守るようにして、周囲に展開される。
しかし、一度目と比べれば洗練とは程遠い蜂蜜の魔法だ。
何せ、作られてから実戦経験は無い上に、トリガーになりそうなことは
悉くジャキや彼がくれた薬によって、対処されている。もはや、牙は抜けている。】
-
「――最後に、もう一度だけ聞いておく。」
「どうせ、記憶を弄っても、策を弄しても、意思までは曲がらんだろうが。」
焔壁がゆっくりと狭まって来る、上……上空への逃げ道はあるが、
それは現実的では無いし、何かしらの対策ぐらいはあるだろう。
「人に紛れて、人として生きる気は。」
-
「…………無いです。
私は……人を食らっていた怪物……隠して生きられるものじゃないんです。
…………ふふ、ジャキさんは〝出来る〟っていうんでしょうね。
でも、それはアナタだから出来ることなんですよ?
多分、ジャキさんなら今の私を止めて、強制的に今までの生活に戻すことができるでしょう。
…………でも、それって……つまりはそういうことなんですよ。
もちろん、力だけじゃない。体だけでなく心もそれに見合った強さがあるんです。」
【足元に蜂蜜が集まっていく。炎は迫ってくるならば、逃げるのは上しかない。
どう考えても、無茶であるが彼女はこの程度のものである。】
「……もしかしたら〝私の怪物の部分〟はジャキさんを羨んでいるのかもしれませんね。」
【と、言った瞬間、足元の蜂蜜がメヤズを押し上げるようにしてはじけた。
その勢いに乗って脱出を試みる。】
-
上へ、とはじけ飛んだメヤズはそう高くは無かった焔の壁を抜け出す。
このままの勢いに乗れば、どうにか脱出出来るだろう――――が。
上空へと逃げたメヤズに放たれたのは、「一回目」と同じ様な、
雷で形造られた大きな「槍」。 それが一つ、上空から一個しかない脱出口目掛け、
「……お休み。」
「今度は、……終わらない、眠りだ。」
まっすぐに、落ちて来た。
-
「…………あ。」
【上を見上げると今まで被っていたフードがはらりと落ちる。
目の前にあるのは自身へと向けられた大きな槍。そして、雷の輝きに目がくらむ。
しかし、抵抗はせずに一瞬、地上のジャキを見やったかと思うと――――。
――――その体にその雷の槍が突き刺さり、地上へと叩き落された。】
-
「…………。」
「……。」
放たれた、雷の槍。
真っ直ぐに堕ちたそれは少女の身体を寸分違わず貫き、地面に縫い付ける。
周囲を囲む壁はゆっくりと、そのまま貫かれた肉へと迫っていって。
内側にあったもの全てを、――焼きつくした。はちみつの、一片も。
「……、」
「馬鹿なことを、したものだ。」
それは自分に言ったか、少女に言ったか、或いどちらにも、なのか。
そんなつぶやきと、灰だけを残して、コートの男は闇に溶けていった。
-
【雷の熱と迫る炎によって、あっという間に少女の形はなくなってしまう。
元より作られたものだったから、もしかすれば脆かったのかもしれない。
そして、いわゆる魔法生物であった彼女の死の残滓は清清しいまでに凄惨ではない。
文字通り消えてしまったかのように、その姿は無い。
元より存在しなかった生なのだから、仕方がないのかもしれないが。
……だが、ジャキは見ただろうか雷に貫かれる直前、フードが解けたその瞬間
彼女は涙を一筋流しながらも、どこか安らかな表情をしていたのを。
もしかすれば、最初からジャキに殺されに来たのかもしれない。】
-
その場に残る者は誰も無く、それを見た者もまた、誰も居ない。
ただ、解る事は……王都を騒がせた「はちみつのかいぶつ」は、
今度こそモウ二度と、現れない――という事であった。
【FO】
//オツカレサマデシター
-
【それが今度こそになるかは誰にも分からない。
だが、ジャキが生み出した彼女は確実に消え去ったとか、FO】
//不穏な空気を残しつつ……お疲れ様でした!
-
<王都近くの草原>
「……これは無意識の具現化……それとも。」
【黒髪にスーツ姿の青年が草原にてぶつぶつと何か呟きながら作業をしている。
足元には魔方陣が敷かれており、その中では水が浮かびぐねぐねと踊っている。】
-
FO
-
<王都から遠くのどこか>
「ア゛ッハハハハハ……何だか生まれ変わったかのような気分………!」
【ここは森の奥深くである。湖が近いことから、この辺りでは冒険者のギルドだったり
ちょっとした商人のキャラバンなどが羽を休めたりするところである。
そして、今夜もそんな一団がおり、この場所でキャンプを開いていた。
しかし、それは数十分前の話である。今、ここに立っているのは毛先のみが黒い金髪が特徴的な少女だけだ。
旅の一団が寝床にしていたであろう場所には澱んで黒ずんだ蜂蜜の様な粘液に満ちている。
そして、当の少女自身も体のいたるところが、その粘液と化しておりいかにも怪物染みている。】
「もっと……もっと、食べないといけないんですねぇッ!」
【すると、その周辺に飛び散った蜂蜜の様な液体が少女のうちへと戻っていく。
全て戻った頃には周辺には、その一団が存在していた痕跡が残らないほどに綺麗な地となっていた。
文字通り、蜂蜜によって食い尽くされている。】
「……ごちそうさま゛ぁ……。」
【ぺろりと舌なめずりをして、口元がぐにゃりと歪み、大きなため息を吐く。その様子は実に恍惚としていた。
この日を境として、再び〝蜂蜜の怪物〟の噂が周辺に立ち始めたとか。FO】
-
【王都郊外の山頂】
「―――――。」
今、王都の裏で悪事の糸を引いている者達は大きく分けて、三つ。
ザインと呼ばれる「名無しの人形使い」や「閻魔」と呼ばれた者達と数度闘いを繰り広げていた男の一団。
マルエスと呼ばれる人外が率いる、少数名で構成されている未だ潜伏する闇の一党。
そして、己の欲望を満たさんとする老人や、僧、商会――繋がった者達。
「(何時、何処で、誰が)」
動けば直ぐに、芽を摘める様に。
閑散し、だが平和の保たれたこの「今」。 それを壊さんと動く何者か達の動向を、
カラスの様な黑翼を右肩から生やした化外が、山頂の高みから青い双眸で、見下ろす。
-
<王都の広場>
「……形態の記憶はどうにかなっているみたいだね。」
【王都内の広場の片隅にて、何やらペーパーを手に色々とメモをしている男性がいる。
眼鏡にスーツと言うその姿は実にテンプレートな格好である。
彼の前には、王都と言うのに魔法陣が張られており、そこには形を持った水が踊っている。
その水はふるふると絶えず、揺らめいており生きているかのようだ。】
-
「だけど、細部までの記憶と……人間を記憶するのはまだ難しいみたいだね。」
【見るとその水は変化している。見る限り、それは鳥の形に見える。
しかし、どんな種類の鳥かなどまでは判別できるようなレベルではない。】
-
FO
-
「………!?」
「なんだ、今王都に戻ったら嫌な事が起こるような」
「事件とかそんなんじゃなくて個人レベルの災厄が起こるような ……鍛錬でもしにいくべきか?」
右手にぶら下げたカンテラの明かりを頼りに進む討伐依頼達成の帰り道すがら、
不意に嫌な予感がして立ち止まるアホ毛の生えた青年
早く帰って寝たいところだがどうにも悪寒を感じる シックスセンスか
-
( 混)「でさぁ、結局この倉庫の肥やしになってる風林火山雷陰の具足をどうにかしたいのよ。」
「俺達の物のデッドコピーだろうに。」
『そもそも適正値が足りないでしょう?』
立ち止まっている所に不意に目前から聞こえて来るのは聞き慣れてしまった大魔王ボイス。
もっきゅんもっきゅんという謎の足音と共に、正面から暗黒まんじゅう大魔王と、黒コートの大男、
そして空中に浮いている半透明な法衣の少女の姿が見えた。
-
>>2860
「……! ……?」
「あ、多分災厄じゃない方…… 違うよね? まぁいいか」
直感が災厄が向こうから来たと告げるもどうも反応が鈍い
そもそも相手が相手だ、個人レベルでは問題ないはず
カオスさんはもう慣れた、レイヴェルトも同じく 魔女さんは魔女さんだし災厄かどうか考えるまでもない、と
「や、こんばんは 何年か前に王都で見せたもらった魔具の話?」
逃亡しなくても大丈夫、と判断してカンテラを上げて自分の姿を見せる青年
-
>>2861
『あら』
「む。」
そちらに気付きふわり、と笑みを浮かべる魔女と、視線を向ける大男。
( 混)「貴様は……池上!!オラァ!!」
そして名前(違う)を呼ぶと同時に白い手を伸ばし何故かビンタしてくる魔王。
もふもふ状態なので痛くないのが救いだが、災厄なのは間違い無かったようだ。
-
>>2862
「ご無沙汰しておりま おふっ」
布団に飛び込んだ時のような音がなり頬にめり込む白い手
痛くないけど驚きの声を出してしまうのはご愛嬌
「ちょっと待てカオスさん 出会い頭にビンタされるようなした覚えないぞ!?」
-
>>2863
( 混)「やかましい!本人も忘れてたネタを覚えてやがって!俺なんかこれしまってたの思い出したの昨日だぞ!!」
と、訳の分からない理論を述べながら手を戻す大魔王。
え、それ池上悪くなくないですか。
『痴呆ね。 こんばんわ、クエストの帰りかしら。』
呆れながらも優しく声を掛けてくれる魔女さんである。
-
>>2864
「王都のどまんなかで怪しげな箱6つも浮かばせてたのを何で忘れられる……」
「それ以上の事を色々やってたからかちょっとは自重しようよ!」
自分の疑問が悲しくなるほどあっさりと解決できてしまう
慣れって怖い
「ええ、まぁ そんなところだね魔女さ…… !?」
この濃いメンバーの中での良心だなぁ、と思っていると
帰り道すがら感じた悪寒が再び 野獣に狙われているときのように首筋がチリチリと痛む
-
>>2865
( 混)「そらお前、色々やり過ぎてるし。」
「速く異界ゲート閉じてこい。」
( 混)「あ? ゲートの鍵無くしたわ。」
今なんかすごい酷い事を話してる気がするが全力で気のせいです。
気のせいということにしておこう。
『そう、夜も遅いから気を付けて――どうしたの?』
ディフの様子に、すぐに気付いたのか、そちらを見て少し不思議そうに。
-
>>2866
「なんかさっきから寒気がして…… 風邪かなぁ?」
風邪とは明らかに違う、と確信めいた直感を感じつつ
口では誤魔化す事にした。 嫌な予感を感じられているなんて言われたら嫌だろうし
それにシックス・センスの才能なんてない自分の事だ、多分直感なんて当たらないだろうと
ちなみに嫌な予感だけはほぼ的中していることはそっと忘れることにした
「ところで後ろの二人の会話が………」
「………い、いや何でもない 関わりたくない、うん」
そしてもう一つ都合の悪いことを忘れることにしたのであった
-
>>2687
『あら、大丈夫? ――見せてみなさい』
ふわり、と少女の姿の魔女がディフの前に現れて額に手を当てる。
ひんやり、とした魔女の手は冷たくて、とても気持ちがいい。
そして幼い姿なのに、やはり何処と無く色気があり、いい匂いがする。
( 混)「だってなぁ、一々覚えてねーよ、魔力周波数。」
「やたら滅多等開くからだろうに。」
-
>>2868
「………」
ピトリ、と額に手が触れる
幽霊なのに感触と、匂いが凄い
これであの女性の姿だったら一撃だった、幼い姿だから全く効果なしだ
「……あ、ありがとう魔女さん 気のせいだったみたいだ、うん」
「ごめん、ちょっと離れてくれる?」
「オラァ!!!」ゴ ン
静けさが支配する森に響く衝突音
木が大きく揺れるほど強く、そして痛く近くの木に頭突きをかます青年
「違う、大丈夫だ、うん揺らいでなんかいない少しも考えてない、大丈夫、耐えろ、耐えるんだディフ=エンス」
「エレナ一筋だってそうだろうん、揺らぐなんていけないことだそうだうわあああああ!!!」
「ふぅ、 ありがとう魔女さん、おかげですっきりしたよ」
ゴン、ゴン と数回の頭突き 額から血が出てきた
少し焦点があってない目でそう言った青年
-
>>2869
『あら。』
『今のは別に、からかう気は無かったんだけれど。』
その様子を見やりながら口元に手を当てる魔女。
揺れるローブの裾が、何処と無く可愛らしさを演出している。
( 混)「何かあいつの恋人に中継してやりたくなるわな。」
「止めてやれ、生き恥だぞ。」
酷い魔王と大男。
-
>>2870
「魔女さんお願いだよ一応僕恋人いるからこういう事は勘弁を……」
だんだん手のひらの上であそばされてる事に気がついてきた
そこに気づけば大丈夫、もうからかわれても平気だ
しかし動作一つ一つ可憐である、そういう店だったら貯金箱持ってそのまま
「フンッ!!!」
また木が揺れた
「ちょっとまってカオスさんそれだけは、それだけは勘弁を」
「そんな事されたら王都に帰れないっていや本当に」
-
>>2871
『あら、今のは本当に心配してあげたのよ?』
『勝手に興奮しているのまで、面倒は見てあげられないわ』
くすくす、と口元に手を当てたまま笑う少女。
薄っすらと細められた目が、図付きするディフを眺めている、楽しそうに。
( 混)「フッフッフ……厭ならばこの風林火山の具足を手にするのだ……!」
「普通の人間が空けた所、殆ど見んが。」
( 混)「そらお前、俺が造ったもんやぞ。」
なぜ空けさせようとした。
-
>>2872
「よし来たカオスさん今なら行ける気がする!」
「確か山が意思の強さ云々だったっけ今なら確固たる意思をもって開ける気がするいや開けないといけないんだ!」
額から血、据わった目
雷の箱を開けようとして失敗した頃とは違う確固たる意思(たまに揺らぐ)持ちだ
行けるいける気持ちの問題だ
-
>>2873
( 混)「お、マジで? 行っちゃう? 山の具足、【ガンパレード・オーナメント】、いっちゃう?」
何だろうかそのすげぇ物騒な名前の装備は。
名前からして何か凄いこう、アレっぽいが。
「……よしんば開けた所で剣士だろう。」
『そもそも着れるのかしら。』
着る……? 鎧? 鎧的な何か……?
-
>>2874
「行く行く行っちゃう! よし、行くぞ!」
度重なる頭突きによりパーになってしまった頭の中にリミッター存在せず
迷うこと無く土の箱に手をかけ、開けようとする
どこか冷静だった頭の一部でやめたほうがいいという声が聞こえたが
今回も冷静な理性はスルーされるのであった
-
>>2875
( 混)「よーしやったれ池上ィー!!」
投げつける勢いで放られる土色の【山】の具足入りの箱。
キャッチして開けようとすれば……
か た い。
非常に重い、硬い、というか重い。
ずしん、と開けようと掴むと重みがやってくる、さぁ耐えられるか。
『まだ、「火」の方が行けると思うけんだけれど、ねぇ』
「アレはアレで死ぬだろう。」
-
>>2876
「…… え、重」
クルクルパーになった頭が急に冷静になるほどの重さと硬さ
なんだこれ、というかさっきのテンションなんだったのか こんな箱開けられるわけ
「………いや、開ける!絶対開けてやる!」
「ぐ、ぐぐぐ!!!!」
だが、持ち直した青年
ここで馬鹿さわぎしておきながらはいやめますじゃ明らかにカッコが悪い
何よりも自分の意思はそんな脆弱な物じゃないはずだ、そう信じてるし証明したい
筋力増強魔法や箱を地面に置くべきと頭が過ったが、自分の力で開けようと、必死に力を振り絞る
意思の強さを求めるならまずそんなものが通用しないと、これまた直感が告げた
-
>>2877
( 混)「そうだ!いいぞ池上!根性だ!根性でこじ開けろ!!!」
騒ぎ立てる大魔王。
箱は力を込めれば込めるほど、何だか重くなっていく。
大丈夫かこれ、変な呪い掛かって無いか、開く様子ないぞ。
「ほう、頑張るな。」
そして見物の様子を決め込んだ大男と。
『落っことして、怪我しないと良いんだけれど。』
呆れた様子の、魔女、
-
>>2878
「ぐ、ぐううううう!!!!!」
重さで膝を屈するが、気合で立ち続ける
もはや理屈抜きで、今度こそ100%不純物なき意地と根性だった
この箱め、無駄な抵抗しやがって!と腕にますますと力を込める
傍から見るととてもマヌケな図であるが、大間抜けな図は先ほど木に頭突きをした時見せたから問題なし
-
>>2879
ぎりぎりと重さを上げていく箱。
最早これは力を入れれば入れるほど重くなるのではないか、と思い始めた矢先
( 混)「あ。」
「お。」
『!……ちょっとカオス!』
ぎ、ぃ。
と音を立てて箱が僅かに、"開く"。 開いた箱からは――
鈍色の強い魔力光が輝き、夜だというのに周囲を強烈に照らし始める――共に、重さは最高潮に。
-
>>2880
「ぐ、う…… !?」
もはや限界、というところまで重さが辿り着き手が震えだす
もう身体に力など残っていない、重さも最高潮を迎えた
だが、少しばかり箱が開いたのだ 最早止まることなどできなかった
腕に力をかき集め、じょじょにじょじょに、箱を開けようとしていく
-
>>2881
箱がサイズからは想定出来ない音を立てながら、開いていく。
溢れんばかりの鈍色の魔力光は、ディフの身体の中へと吸い込まれていくように――
『――やめなさい!!』
( 混)「ああん!?」
――していた、最中。
魔女のはなった光弾に開きかけの箱を弾き落とされた。
ずどん、とすさまじい音を立てて完全に開いていた箱が落ちて、閉じた。
-
>>2882
「―――!」
箱に意識を集中していた
そうでもしなきゃ、今頃足元に落として
二度と開けられなくなる用に感じていた
ようやく、ようやく開いた箱 これで…… これで?
そこで放たれる魔女の光弾、あっけなく箱が弾き飛ばされた
それと同時に地面にへたり込む青年 息を吸うのも苦しい
-
>>2883
落ちて閉じた箱は、しゅううううと魔力煙を上げている。
……なんとなくわかるが、中身は、空だ。
( 混)「何をするメディア!まだ完全発動の回路とか入ってなかっtおぷぱっ」
何事か言いかけていた大魔王が特大の魔力弾を喰らって吹き飛んだ。
後方の木々が漫画の様にへし折れて、地面を転がっていくさまに魔王の威厳は皆無である。
『――おバカ。 あんなのの口車に乗って、こんなものに手を出すんじゃないの。』
『ほら、落ち着いて呼吸なさい。 ……癒着する前に取り出さないと……全く。』
少女の姿のままの魔女がへたり込んだディフに近付いて、背中を擦る。
昔、危険は無いとか言ってた大魔王だが魔女さんの態度を見るとやっぱり危険だったりするのかもしれない。
「具足程度なら、リスクも無いだろうに。」
『化外の力を持つのが間違いなのよ。』
「過保護め。」
いや、過保護なだけかもしれない。
-
>>2884
「スー…… ハァー………」
息切れを起こし、まともに吸えない状態からじょじょに落ち着いてきた
それについてクルクルパーとかしていた頭の方も
ああ、そういえば前にもこんなことあったような気がする また頭突きをしなくては
「………」
考えれば考える程おかしい 確か前開けた箱、雷が入っておりそれを魔道具として変化させるとかそんなんだった
すくなくとも身体の中に何かが入るとかそんなものではなかったような
「………あ、あのカオっさん」
「これ開ける前に聞くべきだったけど ………あの中身どれだけ強いの?」
-
>>2885
( 混)「うむ、説明しよう」
吹っ飛んだはずの大魔王が地面から生えてきた。
その様、雨後の筍の如く。
( 混)「山の具足、【ガンパレード・オーナメント】はズバリ、【転回形戦闘用強化鎧装】なのだ!」
すみません、もう少し分かり易くお願いします。
聞く限りでは矢張り魔道具の様ではあるが……。
( 混)「はい、まず池上くん。 君の右手首を見てください、腕輪があります。」
そんな物を付けた覚えは無い筈だが、見てみれば成る程確かに。
鈍色に光っている腕輪の様な物……かなり強い魔力を感じるそれが何時の間にか巻き付いている。
『――風林火山の具足、は各属性に対応した強力な魔道具』
『山、のそれは全身各部に装備する、攻撃能力のある鎧、なの』
大魔王とディフを見て大きくため息を吐き肩を落とす魔女。
カオスに対するものとディフに対するもの、半々だろうか。
『そうね、メタルドは知ってる? あの子の武装が、その具足を元に造られたって言えば速いかしら。』
「劣化品の劣化品か、アレもポンコツだな。」
関係ないところでメタルドがバカにされている。
-
>>2886
「あ、あぁ…… いつの間に……」
手袋ごしに、右手首を触ると強い魔力を感じる何かが巻き付いていた
これを扱えば鎧が展開できるというのは話を聞いて何となく理解
ついでに魔女の様子を見て土下座して謝罪したい気分に駆られた
「攻撃能力のある鎧、っていまいちピンと来ないけれど…… 鎧から魔弾が発射されるってこと?」
何度か顔を見合わせてる分わかるにわかるが実際に戦っている姿はそういえば見たことないのだった
-
>>2887
( 混)「展開方法は簡単、魔力と展開部分を考えて「ガンパレード・オーナメント」と名前を呼んでやればいい。」
鈍色の輝きを放つ腕輪はがっちりと巻き付いている。
普通に外せそうではあるが、なんか呪われた感はあるよね。
( 混)「あ、但し全身展開はやめとけ、その時点で多分ガス欠でぶっ倒れるわ。」
えっ。
( 混)「まぁ展開してみ!腕だけ!腕だけな!腕だけ展開すれば解る!!」
『ちょっとカオス! ……ディフ、後で外してあげるから使わない事、良いわね?』
「過保護か。」
急かす大魔王、止める魔女、傍観者に徹した大男。
……カオス製の魔具、ここでぶっぱなすは無いにしろ、見てみたい気はする……。
-
>>2888
「え、えーっと……」
急かす大魔王に止める魔女
悩むなよし止めよう、魔女さんが止めてるのだし
「……でも一回くらいならいい……よね?」
しかし気になったものはしょうがない 好奇心のせいで身体に全生物の敵が棲息するようになったこの青年だ
それと疲れから脳のリミッターが弱くなっていたのだろう、普段なら主に魔女のお陰ですんでのところで踏みとどまりそうだったが
「――“ガンパレード・オーナメント”」
右腕だけを意識して即座に呼ぶのだった
-
>>2889
( 混)「はよ!はよ!」
急かす魔王、もう速く見たくてたまらないといった様子。
『! やめなさいって――』
名前を呼べば、魔力が展開していく。
右肘から先に展開されるのは超大な手甲、大きな丸太程の太さがあるそれが、ディフの腕を覆うように装着される。
――手甲の指は全て、「砲門」の様になっており肘に当たる部分には大きなブレードが装着されている。
更に、掌にも何かの射出口。
成る程、攻撃鎧とは、こういうことか。
-
>>2890
「……う、うーん………」
「ゴツすぎてちょっと僕にはアンバランスかな……」
平均王都身長、170cm以上がゴロゴロいる同年齢の中で
未だに160cm後半の青年にとっちゃちとでかすぎる代物だった
「これ、しまうときにはどうすれば?」
流石に今の体力で試運転は、と疲れを見せて
-
>>2891
展開してみれば、意外と重さは感じない。
矢張り魔具だから、なのだろうか。 然し、ゴツイ。
( 混)「まぁまぁ、取り敢えず一発撃ってみ? そしたら教えてやっから、な?」
完全に悪乗りの大魔王だ。 こんな物撃てば大変な事になるだろう。
指、とは言ってもサイズのせいで小さな大砲程のサイズはあるし。
『――あふれた魔力を収めるのと一緒、落ち着いて、消えるように念じなさい』
『これ以上、カオスの口車に乗るなら、怒るわよ。』
煽る魔王と対照的に、静かな口調で。
これは、もしかしなくても、怒っているのだろうか。
-
>>2892
「はい今すぐに」
今度はカオスの言葉など耳にも課さずすぐに即座に一瞬にして消した
魔女だからという話以前にこれ以上心配かけたくないし怒らせたくない
そもそもまともに狙いもつけられない今の体力で凶器は振り回したくない
-
>>2893
つかつか、と少女の姿のまま歩いてきて――
( 混)「ちょ」
歩く途中で白い饅頭をデジョンして……ディフはぺしん、とビンタされる。
幽靈なのにビンタが当たるとはこれ如何に、あんまり痛くは無いが。
『……基礎と一緒に、力を使う心構えも教えてあげたつもりだったけれど』
『ちゃんとは、分かっていなかったかしら?』
へたり込んだままのディフの顔をじっ、と見つめる魔女。
何だろうか、表情は怒っていない分、怖い。
「(ババアこえぇ。)」
-
>>2894
「………あ」
頬を叩かれ、静かな声で怒られ
ようやく悟った。 少し、いやかなり調子に乗りすぎていた
二度も止められたのにそのどちらの静止も聞かなかったのだ
いやそれ以前に、ちゃんと自制すべきだった
「…………ごめん、僕…… ………止めるべき、だった」
-
>>2895
『……カオス?』
( 混)「えー、死なんと無理。 できるけどめんどい。」
横目に問われて次元からはい出てくる大魔王。
この人は本当に自由だな。
『はぁ。 ……ちゃんとした使い方、教えてあげるからまた図書館に来なさい』
『レイ、貴方も共犯よ、的になりなさい。……全く、カオスの口車になんて乗らない、良い?』
悪さをした子供を叱る様に、ディフと目線を合わせて話す魔女。
いや、そもそもの問題はあの大魔王なのでディフが悪い訳ではないのだが、当の本人は空中泳いでやがるよもう。
-
>>2896
「……はい」
これまた、頷くしかなかった
冷静になって考えればわかること、一度使って問題ないならあそこまで止めに入ったりしない
発動回路が云々、と話していた辺り腕輪が現れた時点ではまだ外せたのだ
急かしていたのは多分完全に癒着させることが狙いで……
冷静になるだけでここまでわかる時点でどうかしていたとしか思えない
「うん、今日の事で認識改めるよ……」
いろいろよくしてもらった分、ある程度信頼していたのだが
考えてみれば人に発狂させるような力分け与えようとしていた輩だった
油断も隙もない輩だった、ああ
-
>>2897
( 混) キャッホーイ!!!
当の大魔王はやってやったぜ、と言った感じの大魔王。
考えてみればこの大魔王、仮にも大魔王であった。
「そう心配するな。」
「風林火山の具足、それ事態は生命を奪う様な物ではない、強大な力で在るのは確かだが。」
「使い過ぎても倒れる”程度”。」
「解るな? 身体に大きな害は無い。」
と、補足して説明するのはレイヴェルト。
確かに別に精神が侵されたりとかは今のところ一切無い。
「そこの婆あがお前を心配しているのは、強大な力に振り回されてどうなるか、だ。」
「ついでに、あそこの自称大魔王が期待しているのもな。」
ふん、とマスクの下で鼻を鳴らす大男。
成る程、大魔王は要するに「スーパーパワーを持ってJOJOに荒れていく一般人」がお望みだったらしい。
「半分は口車に乗せられた分もあるだろうが、半分はそこの魔女の心配し過ぎだ。」
「お前は、本当に餓鬼に入れ込むな。」
『…………弟子とは認めていないけれど、物を教えた子を心配するのは、魔女として当然の事よ。』
ふい、と視線をそらす魔女さん。
あ、ヤバい、とても可愛い、
-
>>2898
「確かに、今のところはなんともないけど……」
体全身の疲労感は開けたもののせいで、これとは関係ないはず
精神も暴れたくなったとかそんなんはない 罪悪感で今にも死にたいが
「今まで散々そんな人見た分自分だけ大丈夫とかそんなふうに思えないのが少し悲し……」
「………」
心配と期待、自分も今まで事件に関わってきた分力に溺れた人間は見てきたつもりだ
あぁなるはずないと信じられるほど過信はしていない、むしろとんでもない綱渡りを自ら始めてしまったのではないかと不安で
そこで視線をそらした魔女さんを見てしまった
「ふぅ、やれやれ……」
「オラアアアアアアアアアア!!!!」
最後の最後で、魔道具関係なしの人力の頭突きで 木がへし折れた
-
>>2899
「保証してやろう、風林火山の具足事態は、ただの、強力な、魔具だ。」
「元々俺達化外が使う武器を、人間が使える様にした物だからな。」
どう使って、どう狂うかはお前次第。
とでも言うように格好良く決めたレイヴェルトさんが泳いでた大魔王に刎ねられた。
『……頭、早速やられちゃったのかしら。』
( 混)「童貞でもあるまいに。」
-
>>2900
「うん、大丈夫まだ狂ってない、狂ってない……」
「……本格的に狂う前に正直に話そう、うん……」
周りに答えたというか自分に言い聞かすように、ふらふらとした頭を抑えつつ話す青年
力に溺れるよりも先に別の要因で狂いそうであるがひとまずは
FO
-
――王都近郊
「なあ、我が妻よ――」
無精ひげを伸ばした、金髪の男がボルト起こす。
迷いなく放たれた弾丸は、跳び来る影の獣を貫いた。
「――吾輩、何か悪いことをしたと、思うか?」
影の獣――抽象的な表現だが、他に形容の仕様がない。
狼のような、虎のような、獣型をした、黒い、黒い影そのもののようなモノが襲ってくるのだ。
そうして、数だけは、非常に多かったのである。
「なぁ、我が妻よ」
男は、ため息をつきながら、ボルトを起こす。
ライフル銃を使う都合、そう連発はできない。
威力は申し分ないが――連射できない限り、数に対する答えにはならない。
-
>>2902
「日頃の行いか、はたまた与り知らぬ所で恨み辛みでもかったか…」
シャリン、と振るう度に澄んだ音のする一撃が空を裂く。
ワーガが放った一撃後ごとに生まれる隙を埋めるように。
「…まあ気にすることはない。そうだとしても私は見捨てないぞ」
自らの手で振るう得物の感触を確かめるようにして又、一閃。
茶の長髪を一纏めにし、額には鉢金、纏う鎧は和洋折衷。
振るう得物は普通の女の身には余る大きさの太刀。
それを片手で軽々と操り、屈託のない笑顔でそう言いのける女が一人。
ヒトならざる魔導人形たる彼女の剛力は疲れを知らない。
そして何より重要なのは暗に悪いことをした可能性を否定していないところであった。
-
>>2903
「こんなどこに出しても恥ずかしくの無い、正義感の溢れる夫に対して随分な物言いだ――」
クカカ、と上機嫌そうに笑いつつ、クォーツに飛びかかる獣の頭蓋を吹き飛ばす。
再びボルトを起こし――その隙を突く獣は、クォーツの獲物だ。
「ホワイト・デーのプレゼントが気に入らなんだか? 我が美しい妻よ――」
正体不明の魔獣に襲われている最中であるというのに、彼は快活と笑う。
何よりの感心は、自分の愛する人を喜ばすことだ――そう言うかのようで。
-
>>2904
「世辞は止せ。そも私は浮ついた行事など好かなんだ。あの空気が好かん。
…其れを差し引いて贈り物自体よりも其処に込められた心を好ましく思ったが」
シャリン、と刀が鳴る。
鳴る度に目の前の敵が動かなくなる。
それは生命を狩る音と言って差し支えなかった。
「故にあの日は腕によりをかけて料理を振る舞ったのだ。
忘れたわけでもなければ、知らなかったわけでもない」
ぶぅん、と太刀が空を切る。
「ぬ」
音が鳴らぬと言うのは即ち攻撃を外したに相違なく。
-
>>2905
「浮ついた、などと寂しい分析をしてくれるな――」
「世の男としては、愛する女に気持ちを伝える、丁度良い大義名分であるのだ。理解は難しかろうがな」
殊更特別な、ハレの日として。
彼は笑いながら、そう話す。ケでもハレでも、こんな風に恥ずかしい程言葉を重ねる男だというのに。
「クク、結局吾輩は受け取ってばかりであったなぁ、いや恥ずかしい限り――だ」
クォーツが太刀を空ぶったということは、魔獣がさらに近づくということ。
ワーガは冷や汗をかいたが――それを見せることなく、指先を軽く動かして魔術を発動する。
クォーツと契約したことで発現可能となった大地の魔術で。
「――そろそろ退却してくれんかな、この蒙昧共は」
石英のオベリスク。放射状に伸びる鉱物のその様を見て彼はそう名付けた。
恋人の名を冠した魔術の槍は、影の獣の口から飛び込み、喉へ抜けた。
-
>>2906
「むぅ…戦いの最中で悠長な会話を始めるから太刀筋に乱れが出る」
矢張り浮ついた空気は嫌いだ、と太刀を両手で構えた。
「……ジュエルシリーズが一角、土金のクォーツ。推して参る」
宣言と共に彼女の足元を中心として幾つもの光が四方八方に地面を走った。
大地に魔力が満ちる。
-
>>2907
「クカカ、厳しい、厳しい――」
もらった――。
クォーツの姿を見て、彼は確信する。
有象無象が一斉に飛びかかったところで、覆せるものはないと。
「……クク、晴れ姿を見せてもらおう?」
万が一に備えるだけ姿勢をして、自分は動かない。
一件無防備に見える二人に向かい、残った獣たちはいっせいに飛びかかる――!
-
>>2908
「…斬りたい時にだけ斬れる刀、ヒトは其れを名刀と言う。
なればこの術を名刀と謳っても差し支えはない筈だ。
斬りたいモノだけを斬るこの術をっ!!」
太刀を一回転させすぐさま振りぬく。
回転の瞬間、大地に満ちた魔力が宙へと飛散。
振りぬいた時に不安定な魔力達が周囲を巻き込みながら崩壊する。
その様は空間に無数の斬撃を走らせたかの様で。
ただの崩壊連鎖反応でないのは其の場に居る自身は勿論、
ワーガや草木一片に至るまで全く攻撃に晒されていない事が物語っている。
「銘は如何したものか、この刀あっての術でもあるしな」
今回、当たり前のように振るっていた得物。
所有者からの説明が無い為、現在出自不明である。
-
>>2909
飛び来る雑多共は、その一撃においてひれ伏すことを余儀なくされる。
暴風のような無数の太刀筋で、この影共だけを斬り伏せるなど、驚異の一言に尽きる。
ワーガは、上機嫌そうに笑いながら手を叩いた。
「ほほう、名が無いとは勿体ない」
「さしずめ紫電とでも言おうか。雷がごとく激しく鋭く容赦の無いものであった故な」
「しかし、凄まじい太刀であるなあ」
拾い物についての質問は避けていたが。
あんな技を見せられては、尋ねるしかない。
何だそれは、と。
-
>>2910
「拾い物だ、と説明しただろう」
相手を切り結ぶ度に『シャリン』等と音を発する刀なんぞそうあるものではない。
そして並の腕力では振るう事がまず困難ときている。
鍔や柄と比べ鞘の意匠が妙に浮いている事からも元々抜き身であった可能性がある。
見間違いでなければ刀身が暗がりでボウ、と仄かに緑光を放っている様にも見える。
…見れば見るほど異様であった。
と言うか何で今まで疑問に思わなかったのかと言う位怪しい。
-
>>2911
「得体は知れんというわけだな――まあ、よいか」
小さく笑って、クォーツをそっと抱き寄せる。
脅威は去ったのだ。なら――これぐらいは、許されてもいいだろうと言わんばかりである。
「ソレが災いをもたらすものでもない限り、吾輩は何も言わんよ」
「隣にクォーツがいることの価値を差し置いてはっきりしたいものでもない故な……」
ククク、と何とも上機嫌そうに、この男は笑う。
-
>>2912
?「ところが齎すんだコレが」
唐突に。ヒュ、と風を切って矢が飛んできた。
クォーツ「なっ!?」
??「勝って兜のなんとやら」
-
>>2913
「――ちぃ、つまらん邪魔を」
矢の飛んできた方向に迷わず発砲。
矢そのものは、魔術で水流を発射することによって防ぐ。
少しでも狙いが逸れれば、矢はあさっての方向に飛んでいくのだから、強い力は必要ない。
「吾輩と家内のことは放っておいてもらいたいものであるな!」
ボルトを起こし、腹立たしそうに唸り。
-
>>2914
矢は逸れ、弾はヂィン!と金属製の何かに掠り当たった音がする。
?「おうおう、中々反応がいいな」
??「これは予想外」
???「…」
ぐにゃり、と空間が歪み元に戻ると姿を現したのは三人。
携えたネオベイ刀だけは立派な素浪人風の男と
狩衣姿で黒長髪の背の高い狐目の男に
弓を携えた面頬付きのネオベイ甲冑で全身を固めた武人であった。
-
>>2915
「……」
ライフルを地面に落とす。
――そうしてから、腰のホルスターから拳銃を引き抜き、一発。
「抜刀術が刀だけの特権であると、思わんことだな――!」
人差し指で素早くハンマーを叩き、一発。
最後に、薬指でハンマーを叩いて、一発だ。
連射のきかないはずのシングルアクションリボルバーであっても、技巧によって手数を補うことは、可能だ。
-
>>2916
ビ、バリ、ビリィ…
クォーツ「紙人形!?」
ワーガの放った類稀なる技を自らの崩壊と引き換えに防いだのは人の形をした小さな紙切れ。
狩衣姿の男が無造作に放ったものだ。
他の二人はワーガの動作に反応できていなかったようだが、この男だけは確り対応して見せた。
??「…だ、そうで」
?「は、そりゃこの俺、ゼンショウ様が抜刀の使い手と知っての啖呵か?」
???「…」
-
>>2917
「ちぃ――流石にそれは反則だな」
と、なれば。
不利となれば逃げるのは、鉄則だ。
いちゃいちゃでいないのは癪だが、仕方ない。
「ふ、ん――第二幕の開演を待ってもらうとしよう」
ライフル銃を拾い上げ、砂の矢の魔術を行使する。
複数放たれる砂の矢は、声のする方に飛んでいき――途中で飛散、煙幕と化す。
「あとで詳しく話し合おうではないか、我が妻よ――!」
ダメ押しに、自分たちの足元に長方形の石英の塊を投擲。
これは大きな煙幕となり二人の姿を隠し、この間にクォーツの手をとって走り出す。
逃げろや逃げろ、だ。
//ではそろそろ時間なのでこんなところで……!
-
ゼンショウ「…判断力もあるか、面倒なのがくっ付いてやがる」
?「ま、仕掛けは上々、後は結果を御覧じろという所で」
追うこともせず三人は佇んでいたそうな…Fo
-
-草原-
見渡す限り背の低い草が生い茂る小高い丘のある見晴らしの良い草原。
その先には王都が見える。
「ん…久々にお腹いっぱいね……」
夜風に吹かれ佇むは、薄汚れた革服を着、眼下に濃いクマ、
半端に長い耳と小さな二つの角を持つ短髪の少女だった。
-
<王都近くの草原>
「……話が、違うじゃねぇか。
どっかから話が漏れて、ルートを変更されちまったか……?」
【王都を不機嫌そうに歩くのは毛に覆われた3メートルを超える巨体を持つ狼男だ。
歩くたびにドスドスと重たい足音が響く。
その音とシルエットだけで対峙したものにはかなりの威圧感を与えるだろう。
そんな彼は何やら誰かを探していたようだが、どういうわけか目論見が外れてしまっているらしい。】
-
「ち。なら、今日のお仕事は失敗だな。……はぁ、面倒だな。
報告もしなけりゃならねぇし、事後処理もしなけりゃなンねぇ……。
ア゛ー、せぇっかくの気合を入れてきたってのに、これじゃ大損だ。
…………適当なヤツを襲って足しにしても良いかもな。ククク。」
【くるりと踵を返して、どこかに行こうとする。
仕事は仕事なのか失敗と踏んだら、すぐさまに切り替えるようだ。
だが、仕事に対して気合は入っていたらしく、かなり不満げだ。
かと思えば、物騒なことを呟きながら歩いている。
視線もどこか獲物を探すようなギラついた目つきだ。】
-
FO
-
<王都近くの草原>
「ったく、最近の行商ってのは小賢しいな……。
いざって時のために転移を敷いてたか。」
【ボロボロに壊されて、木屑となってしまった行商用の馬車の傍に立つのは
毛に覆われた3メートルを超える巨体を持つ狼の獣人……いや、狼男だ。
黒色の毛に覆われ、ギラリと鈍く輝く牙や爪はそのシルエットだけで凶暴性が伝わる。
狼男の周辺には売りものだったのか服や装飾品と言ったものが散らばっている。
無論、それを売った売り上げである金銭も辺りに散らばっている。】
「……仕方がねェな。金目のモンだけは取っておくか。」
【だが、この狼男の目的はお金ではなかったらしい。しかし、これでは帰れぬとばかりに
渋々ではあるが周辺にある金目のものを回収し始める。】
-
獣人であるピオッドの耳でなくともその音が響くのは、それが徒党を組んでいるからだ。
金属の臭いと音が響くのは、彼らが武装しているからである。
「情報通りです! 皆さん、気を引き締めてくださいね!」
一人の金髪の女性に率いられた衛兵隊が、接近しているのだ。
彼らの主武装は手槍並びに剣であり、防具は特別秀でてもいないが鋼で出来た堅牢なソレである。
-
「…………んァ。」
【金目のものを自身のズボンのポケットに突っ込んでいるところで、自身に迫る複数の足音に気付く。
そして、周囲を見回し、見える鋼の山に目を向けた。】
「……げ。まさか、ハメられたってぇのかっ!?」
【剣と槍……そして、鎧に身を固めた人物達を見て、一瞬、たじろいだ。
もちろん、ポケットには奪った金銭があるため、言い逃れは出来ない状態だ。
とはいえ、アンジェリークたちからしてみれば、目の前の狼男は少々、妙である。
金銭狙いのいわゆる強盗であれば、奪ったものを入れるための袋くらいは持っていてもいいはずである。
しかし、コイツが金銭を入れているのはズボンのポケット。どう考えても十分に奪ったものを収めることは無理だ。
つまり、コイツの目的は金銭とは別のところにあるのであろう。】
-
>>2926
「大人しく縄につくならば良し。さもなくば、串刺しになるでしょう!」
衛兵隊を率いる彼女が一歩前に出て、手槍を構える。
こちらも官給品とわかるソレで、冒険者が自分のために特別に誂えたようなものではない。
彼らの装備は皆そうだが、お役人なのだから仕方がない。
「抵抗しないでくださいよ、言い訳は後で聞いてあげます」
彼女の背後の衛兵たちも槍を構えた。
あっという間に槍衾の完成である。鋭い穂先が幾本も向けられているのは、いい気はしないだろう。
-
「……ち、このオレ様も年貢の納め時ってやつか。」
【周囲を見回し、自身が包囲されていると認識。
すると、両膝を揃えて崩れ落ちた。正座の様な格好である。
抵抗する気がないのか、あっさりとお縄につくようである。】
「まぁ、魔が差したってやつだ。言い訳はできねぇだろうよ。」
【そして、ポケットに手を突っ込むと奪ってであろう金銭をバラバラと
自身の目の前に撒き始めた。】
-
>>2928
「……ほほう、いい心がけです」
槍を立てて、右手をあげる。
副官らしい一人の男性が彼女の脇に立ち、何事か耳打ちした後に縄を渡す。
縄は大きく輪がつけられていて、彼女はそれを不自然なほど輪をたらし、長くして手にもって。
「慎重には慎重を期さねば……なりません、ね」
それを頭上でひゅんひゅんと振り回し――投げる。投げ縄だ。
ピオッドの頭から輪が入れば、胴で止まり、縄を引けば輪が締まってきっちり腕を巻き込み拘束できるという寸法である。
だまし討ちを嫌った故の処置であった。
-
「…………ケ。」
【投げ縄を見ると吐き捨てるように何事かを言う。
そして、金銭を全て出し終えたと同時に両手を地面についた。
その瞬間――――――。】
「迫狼。」
【ピオッドを中心に暴風が周囲に無秩序に撒き散らされる。
と、同時に風の力を使って、まさに縮地のごとく投げ縄とは逆側に飛び出した。
3メートルの巨体が猛スピードで突っ込んでくるのである。
その勢いと重量によって人一人くらいならば、軽くひき殺せるほどの力だ。】
-
「そんなこったろうと思いましたけど、ね!」
槍を置いて無防備状態の彼女を護るべく、背後の衛兵隊が前に出る。
槍を長く突出し、真っ直ぐに向かってくるならその衝突をまともに受けることなく防ぐことができる。
串刺しを嫌うなら方向転換する必要があるが、そうすれば折角のスピードが殺される。
「……こりゃ冒険者案件ですね、正直」
一手遅れて、アンジェリーク自身も槍を手に取る。
-
【槍先が見えた……が、腕を頭の上に重ね、急所を守る。
彼が選んだのは串刺しを顧みず、そのまま突っ込む……であったようだ。
衛兵隊はこの狼男を完全に串刺しにするまで踏みとどまれるであろうか。
200キロに届く重量が猛スピードで激突するその衝撃は実に計り知れないものだ。
おそらくは耐え切れないと踏んでの強行突破だ。
うまくいけば、槍を弾き飛ばせると踏んでいるのかもしれない。】
-
「……げ」
接触は一瞬だ。穂先が鋭くピオッドに突き刺さる、が、持ち手がそれに耐えられない。
あまりの衝撃に肘や肩を外す者が続出し、手を離さずにいられない。
持ちこたえた力自慢もいないこともいないが、それでも槍を握り続ける握力なんぞ残るわけもない。結果として槍を手放さずを得ない。
『崩れた』と、そう表現するのが適格である。
幸いなのは、こちらが集団であるということだろう。まともに受けず、勢いが分散されたのだから。
「……とは、いっても、ですねえ」
槍を全身に浴びたとはいえ、それを承知で突っ込んできたのは間違いない。
踏みとどまれたものも少なく、槍が突き抜ける、といったこともないだろう。
となれば、ダメージはそこまで高くないはず。
アンジェリークが一手遅れたのは、幸運と言うべきだったが――。
「副長、負傷者を率いて順次離脱を。……撤退の時間を稼ぎます」
――隊長としては、『崩れて』なお、動く限り戦わねばならんのは、不幸であった。
-
「……あァ、流石はそのテのスペシャリスト。
だまし討ちは通用しねぇか。……大人しく騙されてくれりゃぁ、一撃で屠ってやったのによぉ。
……悪かったな。痛かった……だろ?」
【槍の刺さった部分からは血が滲む。それを自身の指で拭い、ぺろりと舐め挙げた。
すると、ピオッドの目の鋭さが増し、そして血走る。】
「ハッハハハハハ、良いね、良いねェ……この血の味、そして血の匂い。
ようやく……戦いらしくなって来た……!
さぁ、続きを始めようぜ……オレ様が勝ったらてめぇら全員、支配してやるよ!!」
【アンジェリーク……ではなく槍から手を離し、武器が減った衛兵達のほうに向けて
先ほどの様に風をブーストに同様の速度で突っ込んでいく。
今度は手を振りかぶっており、その凶暴性の象徴ともいえる鋭い爪が向けられる。
ただでさえ、勢いが増して衝撃だけでも危険だというのに、その爪を思い切り
突き刺されたら、ひとたまりもないだろう。】
-
>>2934
「副長――ッ!」
彼女の部下らしい男が撤退する負傷兵を率いていたが、彼がピオッドの前に立ちふさがる。
特に受け止めるだけのモノはない。ただの肉の壁である。だが、その勢いを、爪を、まともに受けてなお立つ武人であった。
だが――致命傷でも、ある。彼は助かるまいが――アンジェリークが追いすがるまでの、時間を稼いだ。
「――火だ、火を置いていけ、狼煙にする!」
彼女は槍を手に追いすがりながら、撤退する部下達に命じる。
かろうじて統制を維持する負傷兵たちは言われた通り腰のランプを落とし、地を焼いた。
火種が重なり、炎を成して、煙を高くまで登らせていく。
「――とんだ虎の尾でし、たねえ!」
そうして、追いついたアンジェリークが、ピオッドに鋭く槍を突き出した。
-
「ハァ……泣かせるなァ。
大人しく家にいれば、怖い狼に吹き飛ばされることはなかったのによォ。」
【五本の鋭い爪によって、刺し貫いたそれを何事も無かったかのように投げ飛ばす。
手には夥しい量の血が付着しており、その爪を赤く染める。
すると、再び目が血走り、一瞬だが体に魔力が巡る。】
「……ヌ。」
【火が撒かれるのを見るとどういうわけか。一瞬、たじろいだ。
その所為なのか、突き出された槍がピオッドの体を刺した。】
「オイオイオイッ、その程度の攻撃は無駄だとさっき目の前で見たんじゃァ、ねぇのか?」
【すると、そのまま片方の腕で槍を掴む。
そのまま、後ろに倒れこむように体を運び、槍を持つ手を思い切り引く。
そして、槍を突き出し伸びきったアンジェリークの腕を下から思い切り、蹴り上げようとする。
無防備の中、鎧に覆われているとはいえ、まともに食らえば腕などひとたまりもないだろう。】
-
(興味は、引きつけた――!)
「……出血多量でくたばるのをまとうかと、思ってまして、ねえ!」
腕をくれてやるわけにもいかず、手を離す。
少しの間合いをとって、腰の剣を引き抜いた。
救援がくるまで、持ちこたえるか、あるいは……。
「ああもう……、何人戦える?」
「……隊長含めて五人ですな」
残った僅かな戦闘可能要員と共に、打倒すしかない。
彼らもとうに槍を捨てていて、得物は剣のみだ。
//キリが悪いですがこの辺りで……
-
「ハハハ、浅くとも知恵は回るってか!危機的状況だってぇのに流石は隊長殿だ。」
【こちらも体勢を立て直し、自身に突き立てられた槍を投げ捨てた。
ところで気付くかはわからないが、どの辺りからかピオッドの体を守るようにして風の流れが発生している。
対峙したその時は無かったはずの、いわゆる風の障壁だ。】
「だが、てめぇらが焦っているのは手に取るように分かるぜェ?
血と汗が混じった良〜い香りだ……ンフフフ、ゾクゾクしちまうぜっ!
……ふぅ……さぁて、続きだ。一思いに食い殺してやるよ。」
【血を滴らせながらも、その様子は余裕に満ち満ちている。
だが、ピオッドの実力はその余裕を裏付ける強力なものである。
そもそもの狼男と言う人間離れした力を風のスピードで増幅させているのだ。
並の人間ならば、全てが一撃必殺ともいえる危険なものと化している。
余裕を持つのも無理はない。それゆえにあんな無鉄砲な動きも出来るのだ。】
//了解です。中断ですかね?とりあえず、お疲れ様でした!
-
>>2938
「――」
このような状況下でも、彼女の存在から、残った五名の部下の士気は決して低くない。
副長の死は残念極まりないが――それでも、大多数の部下を撤退させることに成功しつつあるのだから。
「――何者ですか、あなたは」
剣を向けて、そう尋ねる。
人狼というだけで片付けられないその力は、不可解だった。
-
「……ん?答えてやる義理なんざねぇが……。
アレか?そういう職とやらは名乗らねぇと戦えねぇ縛りでもあんのかよ?
……へへ、それに、敵と戦いながら、正体を見破るのもてめぇらの本分じゃねぇのか?」
【面倒だな、とばかりに自身の頭をカリカリと掻く。
正体については教えると弱点がバレるのかはたまた、単に面倒くさいだけなのか
簡単に名乗ろうとはしない。】
-
>>2940
「ええ、そうかもしれません、ね――」
彼女の背後、影になったところに立っていた衛兵の一人が、腰のランプを外してピオッドに投擲した。
先ほど、炎で一瞬だけ怯んだのを全員が見ていたからだ。
普通以上に、火に、炎に何かあると漠然と感じていただけ、だったが。
「――まあ、この際、何でも構わないんですが」
とりあえず、最悪、逃げることができればいい。
それだけの時間を稼ぎたかった。
-
「……ん?……げ、うぉ、火か……!」
【投擲されたランプを反射的に手で振り払う。
すると、ランプが割れて、中身がピオッドに掛かり、燃え始めた。
すると、彼の周りの空気の流れが変わり、火を吹き飛ばしていく。】
「随分とイカしたことをしてくれたじゃねぇかよ……!」
【両手両足を地面につけると、暴風がアンジェリークたちのほうへとたたきつけられる。
あまりの風の強さに体を庇わなければ、ならないほどの強いものだ。
それから、少し遅れて何かが風切り音を立てて、アンジェリークたちのところへ飛んでいく。
ピオッドが何か投げたのだろう。音だけでもかなり大きめのものであることがわかる。
……はて、ピオッドの周りにそんな大きいサイズのものはあっただろうか。
――――そう、それは先ほど、彼の手に落ちた……人間だ。】
-
>>2942
「ちぃっ、ランプの炎程度じゃ大した足止めにならな――」
風が使えると言うのはなんとも厄介だ。
魔術を扱う冒険者でもなく、訓練された凡人というだけなのだから、対処は厳しい。
「――っ」
そうして、大きな何かが飛んできたのを、辛うじて避ける。
暴風が身体を叩きつけられた中、どうにかそれができたのは訓練の賜物というほかないが。
投げられたものが、まずかった。
「副長……!」
仲間を庇って死んだ彼を、こうして扱われることに我慢なんてできるわけもない、が。
風のために突っかけるということも、できない。
-
>>2942
「灼熱の炎よ…………敵を焼き払え…………!!!」
突然聞こえる詠唱の声
「…………クリムゾンフレアーーー!!!」
そして、ピオッドの上に巨大火球が現れて、そこからピオッド目掛けて降り注ぐ炎が襲いかかる!
「………………はぁ、話聞いて飛び出して来てみたら……こないだは別になんもするきなかったけど、今回はうちの馬車のお礼しっかりさせてもらうよ!」
と、いつの間にか、箒にのったいつぞやの魔女っ娘がふわふわと飛んでました
-
「ほらほら、余所見すんじゃねぇぞっ!」
【投げた人間は注意をそらす為の囮である。本命はこちらだ。
自身が投げたそれを追うようにして、地を駆けていく。
風によるバックアップでもはや、飛んでいるといっても差し支えはない。
また、彼が乗る風は、その暴風だ。
そして、投げられたものよりはるかに大きな巨体が明確な殺意を持って
同程度のスピードで襲ってくる。】
「ハハハ、鎧をへし折るのは無理だが、衝撃ぐらいなら伝わるだろ?」
【ギラリ、と爪を妖しく光らせながら振りかぶる……と、思ったら
体をくるりと回転させて、横からその回転と風の勢いを乗せた鋭い蹴りが遅いくる。】
-
>>2944
「げ……グアア、熱っ、アア、ちゃっちゃァッ〜〜〜!?」
【完全にアンジェリークの方を殺しに着ていたため、そんな乱入者など予想できるはずもなく
まともにその炎に身を焦がしてしまう。
これにはたまらなかったらしく、風によって急遽方向を転換するものの立っている余裕はなく
地面に身を擦りつけ、風も使いながら、火を消そうと勤めている。】
-
>>2944-2946
「しまっ――!?」
完全に、殺られたと思ったタイミングだった。
副長の死体を投げつけられ、意識がひきつけられたところに、槍衾につきこんできた人狼が突進してくる。
それを自分含めて五名で耐えきれというのは非常に厳しい話で、だからこそ助からない、と思ったのだが。
「……う、うう?」
思わぬ援軍の炎の投射によって、人狼の動きが止まった。
――あれ? 好機?
「――機を、逃すな、何か、なんでもいいから、何かしろ!」
「アバウトすぎます、隊長!」
さしあたっては。
仲間が落としていった槍を拾い、とにかく投げつけまくってみよう。
幸い、風のせいで多数が転がってきていることだし。
-
>>2946
「さーって、反省するなら今のうちだよ……ま、よりによってこの超天才大魔法使いレオナちゃんが働いてるキューカ商会の馬車襲った自分の不運を嘆くことね」
と、そんなこと言って、箒は降りてきて飛び降りる
そこで左手をピオッドに向けてつきだしてます
>>2947
「えっと……王都の兵隊さん達……?助太刀するよ」
と、一瞬そちらをちらりと見て言います
-
>>2947-8
「…………ッ!」
【自身の周囲に巡る風を一挙に吹き荒れさせることで、炎を消し飛ばす。
……と、同時に自身に投げつけられた槍の勢いをも殺す。
炎で焼かれたためか、体毛が火で焼かれたときの嫌な香りが…………しない。】
「ハァ、ハァ……くそ、こうも強力な火じゃ太刀打ちできねぇな。
大体、テメェのところの馬車だったのか……そりゃぁ、貧乏くじを引かされちまったもんだ。
だが、安心しろ、あいつらは全員、オレ……様に襲われたときに逃げちまったよ。殺しはしてねぇ。」
【はぁはぁと肩で息をしながら、レオナのほうへと向く。
火を振り払うために使った、魔法がそれほどの体力を消費したのだろうか。】
-
>>2948
「――助かります」
そうは言うが、ちら、と部下の方を見る。
副長の弔い合戦のためと戦えはするが、自分含めてそこまで戦力になるかどうかは怪しい。
隙だらけのピオッドに向けて全員で槍を投擲しても大したダメージにはなっていないのだ。
となれば。民間に委託するのも手か。
「そいつを生け捕りにするなり、毛皮を剥いでもってくるなりすれば、賞金を出します!」
というわけで、そんなことを言う。
何より、彼の亡骸を無事に運んで離脱できるのも、このタイミングしかなかった。
「――我々は、申し訳ないですが、撤退します」
ピオッドを警戒しつつ、彼の亡骸を抱きかかえ。
そのまま、王都方面へ向けて離脱していく。
//ではちょいと眠気が限界なので麻婆は落ちるのです
-
>>2949
「そっかー、殺されてないなら良かった」
と、一言言って、その様子を見るなり、炎を嫌ってると考えます
「運が悪かったのは確かだねー、私、炎魔法がいっちばん得意なの……イラプション!!」
にっこりしながら魔法を唱えると、
ピオッドの足元に熱が集まります、そして、少し間を置いて、炎が噴火するように燃え上がる!
>>2950
「て……ええ!?逃げちゃうの!?……て仕方ないか〜………………」
と、アンジェリーク達を見送って
-
「……ア゛〜……容赦無し、ってやつか。
だがよォ……こんな分かりやすい弱点があって、対策してねぇとでも思うのかァ?」
【そういうと空気が膨張するような感覚。空気の流れが変わる。
すると、足元から湧き上がった炎は彼を避けるようにして、上空へと湧き上がる。
避ける……というよりも受け流されているといった方が正しいであろう。
すると、けろりとした様子でいとも簡単に立ち上がった。】
「……ふん。風の防御壁だ。全くあの兵隊どももテメェも大馬鹿だぜ。
一緒に逃げる……保護をしておけばどうにかなったものをよ…………!
てめぇ、素手は強ぇのか?」
【防御壁を纏ったことでさらに風の出力が上がっている。
すると、体に力を込め、それを解放する。地面を一蹴りでレオナまで肉薄するほどの早さだ。
先ほど、アンジェリークにしようとしたように、腰の辺りに向けて横から思い切り、蹴り込もうとする。
鎧も付けていないレオナがまともに食らえば、まずひとたまりも無いであろう。】
//アンジェリークの方、お疲れ様でしたー
-
>>2952
「む…………!!!」
咄嗟に杖を出して、それで受ける……がそのまま吹き飛びます
「こんの…………いった……」
蹴りを受けた杖を持った両手に間接的に痛みが伝わったそうで、まともに受けたらヤバイと考える
そして、箒に捕まって空中停止して思考する
並の出力と勢いではあの風は破れそうにない…………ならば……
と、左手で箒にぶら下がりながら右手をばばばと動かして
「なら直接叩き込んであげるよ!!!その風が仇にならないといいね!!」
「インフェルノ!!!」
するとピオッドに、炎のエネルギーが集まりますそのエネルギーはそのまま、炎の大爆発となる!!
-
「(……流石に雲行きが怪しいな。何より、消耗も激しい。ならば……。)」
【そう思考すると、空中に飛び出る。
そう。何も飛べるのはレオナだけではない。彼も飛べるのだ。
もっとも、風魔法を一歩踏み出すたびに噴射しているため、立ち泳ぎの様なものだ。
しかし、そのまま跳ねる様にレオナ……ではなく、その反対方向へと。
どうやら、わざわざ飛んだのはレオナの位置まで来れば爆発に巻き込まれる
心配はないと考えたからのようだ。
そのまま、レオナに襲い掛かったときと同じほどのスピードで駆けて行ったとか、FO】
//すみません。こちらも限界なので、この辺りで失礼します。お疲れ様でした。
-
>>2954
「あ…………逃げられたーーー!!!…………ま、いっか…………
」
そのまま着地して、ピオッドを見送る
「むぅ…………次会ったら覚悟しなさいよ…………!」
と、狼男の跳んで行った方を睨んで、溜め息もらすと王都の方へと歩いて行きましたfo
中:お疲れ様でしたー
-
-王都辺境・森の中の隠れ里-
鬱蒼とした木々の生い茂る山々が連なる王都辺境の谷底には里があった。
内面は抜きにしてお世辞にも友好的な見た目とはいえないヒトならざるものが住まう場である。
そんなこれといって騒ぎを起こしたことのないその里は今現在業火に包まれていた。
阿鼻叫喚の中、異形を異形が一方的に狩っている。
狩る側の異形は一対の翼とゴムの様な質感の黒い肌を持つ顔のない異形のヒトガタや
負の瘴気を発する中身の無い歪な全身鎧の群れ。
それを少し離れた崖上から見下ろしているのは、
目に見える程の禍々しい黒いオーラを撒き散らして
長い白髪を揺らす帝政華人国連邦にありそうな格闘用の衣服を纏っている女だった。
「…此処を起点とするか」
-
-時系列不明・座標不明の森の中-
「さて、なんやかんやあって鞠も見つけたし狩り損ねた残党侵負も一匹は減ったし」
外套を纏い長い前髪で目を隠した旅人風の青少年が鞠を弄りながら一息つく。
『ぶっちゃけ前回から繋がってないかもだが久しぶりだからなー
まあ、つつがなく問題は解決したという体だな』
白い布を身体に巻いた褐色肌で銀髪碧眼な掌サイズの妖精が
メタい事を言う。
「お姫様の元に戻りますか」
『あの鬼ネーちゃん、退屈して寝てるんじゃないのかなー』
-
「すごく長い……夢を見ていた気がする……
低魔力人間にはきつすぎる魔道具貰ったり恋人と沙羅場ったり
半魚人相手に発狂する夢を見ていた気がする…… そしてこんな大怪我治ってた気がする」
侵負を弱らせる謎の道具を、唯一動く左腕(記憶が確かなら右腕と左足骨折)で弄り、
何日もぶっ通しで寝たような疲労感に襲われつつ頭の混線を治していく
早く人間になりたい、じゃなかった王都に戻りたい
「これでようやく王都に…… ……あァこんなこと言ったらもう一波乱ありそうだからやめとこう」
-
>>2958
『一応動く程度には処置してなかったけ傷』
「どうだったかなあ…一度病院行かないと不味いくらいにはなってそうだけどね」
ディフの状態は有耶無耶になっているが仕方がない。
何はともあれ当初の目的を果たさねばならない。
青年「という訳で鞠見つけてきたんだけど」
鬼童女「ふむ、手間をかけさせたな」
妖精「まあ楽勝だったよ、ネモは完全に遊んでたけど」
艶やかな黒長髪から一対の角が覗く朱色の椛柄着物を纏った童女は、
仄暗く進行を妨げるように格子が嵌め込まれている洞窟で格子を挟んで待っていた。
鬼童女「そうかそうか、ご苦労じゃったなあ」
-
>>2959
「……… あれそうだったっけ?
こっちの世界と長い間隔離 ゲフン
と、ともかくもうすぐ終わりそうなんだからこのまま行こう!うん」
いざとなれば召喚獣に頼ろう、それか遠くから魔法でちまちまなんとかしよう
そう奮い立たせ二人について行くのであった
そして辿り着いたのは、どこにでもありそうな洞窟
その向こう側には、鞠と思わしき人物
「(…… 気のせいか、偶然かな 牢屋に閉じ込められた若い女の人の話聞いたような)」
-
>>2960
ネモ「さて、暫く会うこともないだろうけど…鞠だけでいいのかい?」
鬼童女「なに、暫くは寝とるだろうし、まあ、暇になれば外界を眺めるさ」
妖精「見てるだけー?退屈そうだけどなー」
鬼童女「そうでもないぞ?まあ、物語を伝えるものとしては見るだけでは物足りぬか」
妖精「そうなのさー、やっぱ来て見て触って伝えてこそ物語だよねー」
ネモ「で、どうやって出ればいいかな」
鬼童女「ん?どう、とは?」
ネモ「いや、どうもこっちのヒト、ここ最近の人じゃないみたいだし」
鬼童女「……と、言われてもな。此処はあくまで外界と切り離された空間、というだけじゃ」
-
>>2961
「……違う人かな、やっぱり」
災厄を背負った女性、にはどうしても見えなかった
そもそもあれは城の地下に囚われている話であり、発展しているが無い以上
同一人物であるはずがなかったか
「この世界に来た時の状況再現したら、何とか帰れないかとは思ってるんだ
こことはまた違った空間での戦闘中に大きい攻撃を食らってここに辿り着いたわけだから、ひょっとしたらもう一度同じことをしたら……」
-
>>2962
ネモ「死ぬんじゃないかな」
妖精「死ぬな」
鬼童女「良くて一生寝たきりじゃなかろうか」
万全に近い状態から死にかけである。
現状で同じことをしたらどうなるか猿でも分かる結末だった。
ネモ「…となると自身の時間軸に戻るまで生き続けるしか」
妖精「おれはにんげんをやめるぞー、か?」
鬼童女「はっはっは、話し相手が増えるなら童は一向に構わんぞ」
-
>>2963
「行きで右腕左足だけで済んだんだまだ左腕右足残ってるんだし行ける行ける
ごめんなさいやっぱりやめます」
・運良く森に落ちる
・運良く残った手足の粉砕で済む
・落下地点はこっちを殺したくてたまらないだろう侵負が闊歩する森
無理だと三秒で確信できた
「最近半分ぐらい人外に足を突っ込んでるけどまだ人間やめたくないよ
というよりこの森で何百年も暮らしたら第二の故郷になって離れられなくなるから……」
「……あのさっきから気になってるんだけど、ここってただの切り離された空間なんだよね?
話を聞いたらなんだか僕にとって過去の世界みたいな感じなんだけれど」
-
>>2964
ネモ「まじ?」
妖精「お前未来に生きてんなー(適当」
鬼童女「ふむ…また面白い話じゃなあ」
ネモ「まだ空間が完全に隔離されているわけではないですし、ありえる話では」
鬼童女「んー、となると早う出ねば帰れなくなるな」
ネモ「まあそれは僕もなんですが」
鬼童女「しかし、過去に来てしまったー、とはのう?」
ネモ「んー…生憎時間旅行の秘術とは縁がありませんね」
鬼童女「そりゃ皆同じじゃろうに…んー」
妖精「……」
-
>>2965
「ごめん、時間軸の話が出てたから早合点してしまったみたいで
後キュウビさんのこととか暦のこととかも」
昔の人間と同じ世界に来ただけ、来ただけだ、うん
そうでもしないと本当に時間が解決してくれる自体になる
「こっちは時間どころか空間すらなし、何度も巻き込まれちゃいるけれどそういう特殊な才能ないからね
……何か手はないかな、異世界物の話、異空間の話……オギュギア島とかタルタロスとか……ううん……」
頭の引き出しをこじ開け、こういう隔絶された世界の話を聞いたことがないか探ってみるも
とんと手がかりもきっかけもなしなのだった
-
>>2966
妖精「あのさー」
ネモ「ん?」
鬼童女「なんじゃ?」
妖精「巫女ネーちゃんならなんか知ってそうじゃない?」
暫く沈黙があった後。
ネモ「おー」
鬼童女「ふむ、そもそも侵界を封ずるための結界空間を考えたのは奴じゃしな」
ネモ「今なら未だ飛べますかね?」
鬼童女「少々空間を裂かねばならんだろうが…今しか期はないじゃろうよ」
ネモ「ならしかたありませんね、やりますか」
-
>>2967
「……巫女の姉ちゃん?侵界を封じる?」
「もしかして、ここ火水神社が創りだした例の結界……!?」
ひょっとしたら、の範囲だが
というより巫女と侵負を繋ぐ神社が自分の知っている限り火水神社しかなかった
意外と知っている場所だったようで
「いやその前に空間引き裂いて大丈夫、なの?」
-
>>2968
妖精「んー?ニーちゃん巫女ネーちゃんと知り合いか?」
予想は当たりであろうか。
鬼童女「何処とも知れん場所からやって来た輩がそれを言うか?」
ネモ「まあ、一度固まった空間を裂いたら色々問題は出そうですが…」
妖精「今は未だ、固まってない紙粘土みたいなもんだし、行ける行ける!」
ネモ「ま、急ぎますか。時間が経つほどに飛べなくなりますから」
言うが早いか青年の周りに黒い風が渦巻き始める。
鬼童女「さて、ストームブリンガーの雄姿も見納めじゃな」
ネモ「ちょくちょく顔は出しますよ、僕も暇なので」
黒い風に包まれ襤褸布の様な黄色の衣を纏い蒼白の仮面を付けたヒトガタと化した青年が右腕を掲げる。
手刀に集まる黒い風。
それを振り下ろした、と認識した瞬間、視界が白に染まり一瞬にして場面が変わる。
-
>>2969
「あ、やっぱりか 色々あっての知り合いだよ」
侵負と関わったきっかけ、だったなぁと遠い目で思い出す
あれから人生狂いっぱなしだ、自分の選択でこれ自体には後悔なんてないが
「……苦情は自分ではなく三股尻尾のキュウビさんにお願いします」
「って空間って今すぐにでも切り裂け―――」
切り裂けるのかという問いを言い終えるまでもなく、
視界を染める真っ白な世界
空間を切り裂いたのだから何が起こってもおかしくはない、剣を抜くべきか
-
>>2970
賽銭箱が付けられた本殿。
その横には明らかに本殿より大きな社務所らしい一軒のネオベイ風民家。
遠目にはそっちが本殿に見えなくもない造りである。
言わずもがな火水神社であった。
ネモ「はい到ち―
現「騒がしいっ!!」
縁側から怒号と共に湯呑が投げつけられ青年が倒れた。
-
>>2971
「………あぁ、戻ってこれたん、だなぁ……」
厳密に言えば、まだ戻って来れていない
ジグザールとは違う次元に位置している神社であるし、
今回もすぐに王都に直行できるかもわからない
しかし見知った建物を見ただけで、精神的疲れが抜けていくのを感じる
「まさかこれが火水神社のご利益……!?ありがたやありがたや」
-
>>2972
現「あ?ご利益いただきたかったら賽銭入れろぉぉおおおお!!」
ヒュゴッ、と今度は欠けた皿がディフに投げつけられる。
妖精「うっわ、荒れてるなあ…空間作りで寝てなかったもんなー」
-
>>2973
「うがっ!? 奮発して銀貨入れようとしてたのに!
クソッ!銅貨しか入れてやらん!」
右腕の骨折左足の骨折 そして頭のタンコブ追加
信仰心もご利益あってのこそ、こんな行動されたら萎えるというものだ
そして賽銭箱には銅貨が投入された
「……ところで僕の知っている現さん…でいいんだよね?過去の世界っていう考え完全に捨てていいんだよね?」
-
>>2974
現「あ?誰よアンタ」
物凄く胡散臭そうにディフを睨み付ける巫女。
目の下にくまもできてるし、非常に機嫌が悪そうだ。
ネモ「…」(倒れたまま動かない)
妖精「いやそれがさー、かくかくしがじかで」
現「まるまるうしうしぃ?知らないわよ、そんなの」
妖精「あっれ、マジでぇ?」
-
>>2975
「………」
機嫌が悪いのを見て、そっともう一枚、銀貨を投入
今度はご利益よりも祟り避けだった 天罰よ、我が身に降りませんように
「(まさか、本当に過去の世界……!?い、いやむしろ並行世界!?
ここに来て別世界とかもう戻れる気がしないぞ……!)」
現の反応を見て、心の底で湧いてきた安心感がすぐに冷めた
実家のような安心感から一転し、火水神社が余所余所しい建物に思えてくる
「ええと、信じられないかもしれないけど本当の事なんだ!
現さんから侵負の事教えてもらったし、ある神父のことだって……!」
-
>>2976
現「…ネモ、アンタ此処が如何言う所かは知ってるでしょ」
ネモ「ん?まあ知ってるけど…」
慌てふためくディフを見ながら巫女が溜息交じりに言う。
倒れたまま、平時の声で青年が応じる。
現「ちょっと理解が足りてないみたいね。というか私の説明不足だったかしら?」
ネモ「あー、どの辺が?大規模結界で隔離空間なんだろう?」
現「認識はそれであってるけど、時の流れってのは一応物理法則側の概念よね?」
ネモ「ー…まあ、概ねそうだと思う。少なくとも僕らの認識では」
現「はいじゃあ質問、物理法則が一切存在してない此処に現在過去未来があるわけ?」
ネモ「…ん?」
-
>>2977
「………ごめん、言っている意味がよくわからないけれど
それは物理法則がないにも関わらず現在も過去も未来も何故あるのか、っていうこと?
それとも物理法則がないから現在も過去も未来もこの空間には無いってこと?」
「どっちにしろ答えを聞くために言ったわけじゃないんだろうけど……
……つまりこの結界が今ここで唯一無二の物だってこと?少なくともこの時間軸では」
-
>>2978
現「いや、そういう話をしたいんじゃなくてね…えーっと」
妖精「巫女ネーちゃん、疲れて頭まわってないんじゃないかなー」
ネモ「まあ、僕もさっぱりなんですけど…」
現「あー…理屈を長々説明するのが面倒くさい」
妖精「ぶっちゃけたよ、この巫女ぶっちゃけたよ!」
現「はぁ…えっとね、そもそもそこの彼がどんな時代から来ようが問題ないのよ」
妖精「ほほう?なして?」
現「物理関係を一切排除した世界よ?肉体、あると思う?」
ネモ「…あ、そういや僕ら元の世界では肉体消し飛んでたね」
-
>>2979
「……想像の斜め上行った、肉体が無い世界だって!?
いやそんなはずないよ!疲労だって腕と足の痛みだってちゃんとあるじゃないか!
それに肉体を離れた記憶すらないよ!?」
この神社にたどり着くまでに、肉体と魂が離れたような感覚も
離れ離れにされるような事された記憶さえもない
にわかに信じがたい話だった
「というかネモさん元の世界では………
…………… あれ、ひょっとして………… 肉体無しの状態になったの、ひょっとしてあの森に来た時から?」
-
>>2980
現「ヒトに迷惑かける幽霊はみんなそう言うのよ」
ネモ「あはは、別に僕ら死んだわけじゃないよ」
現「そっちの彼は知らないけどね」
ネモ「……うっ」
微妙な沈黙。
ネモ「ま、確かに記憶に引きずられて動いてはいるけどある程度の自由がきくってことを忘れていたなあ」
現「そ、別に息しなくても、寝なくても、食べなくたって死にはしないわよ?そう理解できればだけど」
ネモ「あー…難しいねそれ、説明されても実感として受け入れられないし」
現「ま、アンタはどうせ戻るんでしょ?逆にこっちのルールに慣れると戻った後が大変よ」
-
>>2981
「……う、思い起こせがすごく死んだ時の心当たりがある、あんな高所から落ちて死なないわけがなかった
地味な死に方過ぎて泣けてくるよ……」
自分の最後が、高所恐怖症の自分の最後が落下死とはなんとも皮肉だろう
だが死に方としてはいかんせん地味すぎてじんわりと涙が
「……って戻れるの!? 肉体に戻れるかはともかくとして戻る、戻るよ!」
-
>>2982
現「ま、どのくらい待つか知らないけど戻れるでしょ、たぶん」
ネモ「え、時間の流れとか関係ないんじゃ…」
現
「それはこの空間…と言うか既に三つに分かれた空間内での話。
元の世界に戻る、となるとまあ一週間くらい要るんじゃないかしら。
どれだけ未来から来たか知らないから、もっとかかるかもだけど」
ネモ「なんだか厄介だなあ…」
現
「仕方ないでしょぉ?急場しのぎの大規模封印よ?
現世と侵界の接点を隔離した空間で無理矢理押し広げてるんだから。
加えて空間の安定期にも入ってないんだから思念の一つや二つ拾ってもおかしくないし。
というか目立った不具合がそれだけなのが逆に不思議よ」
とまあそんな感じで話は次回に続く
-
>>2983
「一週間…もっとか、あの森で数百年過ごすよりかはだいぶマシ……
……ん?」
「(……そういえば、ふっとばされた時、生きてるとして ……キュウビさんまだ近くにいたよな?)」
ツーと垂れる冷や汗
この長い時間、生き残っているだろうか、我が肉体は
そんな不安を抱えながら、ひとまずはFOである
-
【王都 スターキャッツカフェ】
その日、奇妙な二人組の客がやってきた。
黒いスーツ姿の青年と、眼鏡をかけた黒髪の女だ。
後者の方は、とりあえずこの喫茶で働く妖精と何度か面識があるが。
「……おう、なんだ。責めたくはねーけどよ? 待ち合わせにも苦労するたぁね……」
彼女はそんな風にぼやいた。
適度に化粧もお洒落もしているが、いかんせん、童顔のこいつではどこまで意味があるか。
「……て、てんちょー。ひじょーじたいにゃ。キャラ被りのゴーレム狂いがオトコつれて喫茶にきたにゃ」
……前後の事情がわからぬ悪戯妖精は、ボケるのも忘れて冷や汗かきながらそんな事を言うしかなかったのである。
-
「……すまないね。
……やはり、僕は待たれるよりは待った方が良いみたいだ。」
【困ったような笑みを浮かべながら、謝罪を述べている青年。
約束から日は浅いというのに、やはり顔を忘れていたのである。
待っている猫柳を素通りしてその辺りをうろうろしているところを呼び止められて
ようやく、合流できたという体たらくぶりである。】
「にゃにゃ?そんなに珍しいこと……んむ、もしや……――――。」
【そんなアンリの言葉に客の方を見やる。
するとナーブではなく、猫柳のほうへと向いて。】
「汝……吾輩と同族系?」
【同族特有の何かを感じたのかそんなことを問うた。】
-
>>2986
「……支払ぐらいはもてよな?」
やれやれと首を振る。
お洒落の甲斐もない、と嘆息している。……少し拗ねたらしい。
面倒だろうが、異性経験ゼロ故の期待感と諦観とが混ざった喪女の悲しみの現れである。
「まぁ、うん。あの態度見て察せ、にゃ」
やれやれと首を振るアンリ。
ちくしょー、と茶子の容赦の無いビンタが――すかり、と避けられる。
「くっそ性悪フェアリーめ……うん? 私は猫又の血は入ってるけど……?」
同族というよりかは近隣種というべきか?
それにしたって純粋な猫又さんというわけでもないし、人のが近いが。
-
「もちろん。それくらいはさせてもらうよ。
こうして、無理を言って連れてきて貰ったんだからね。
……ん。君が猫柳さんの言っていた妖精かい?」
【お金はこちら持ちである。というより、約束を取り付けたときに
言おうとしたのだが、あっという間に帰られてしまったため、言えてなかった。
そして、そんなやり取りを見て、アンリに気がついたらしい。】
「んや、実に久々に同族……あるいはそれに類する人にあった気がするにゃ。
ならば……これはあっちのメガネにしかいらなそうにゃね。」
【そういって、既に二つほど取っていたネコ耳のカチューシャの一つを収めた。】
-
>>2988
「よろしい。そんじゃそこの妖精にいじめられてなさい」
嘆息してカウンターにこしかける茶子。
なお、拗ね気味のまま。
「……いやー、しょーじきこの年でソレはきっつい。うん。昔好きで装備したけど。ミミ」
「とりあえず、コーヒーと甘いもんくれ。マタタビはなしね。ギリで酔えちゃうから」
猫又の血は薄いものの、確実に影響を出しているらしい。
一方、ナーブに話しかけられた妖精はその場で8の字飛行を披露する。
「ふふん。そこのゴーレム狂いからの紹介とはなんか怪しいが、如何にもアンリがインテリフェアリーにゃ!」
「このアンリの叡智を借りたいというわけにゃ? 喜んで聞いてやるにゃ。商売の話なら少し得意にゃ」
税金対策やら集客アップやらをチャオウスと話し続けてきたのは伊達ではない。
もっともナーブの相談事には関係のないことだが。
-
【その言葉に返事をして、アンリと話し始めている。
おそらく、猫柳が拗ねていることに気がついていない。】
「了解にゃ。汝もマタタビで酔えるクチにゃのねん。
吾輩もここを始めてから、大分耐性付いたけど、まだまだにゃ。」
【そういって喋る最中にチャオウスの足元の影が店の奥へと伸びて行く。】
「んー、商売のお話が好きならちょっと見当違いだったかもしれないなぁ。
猫柳さんから紹介されて君を訪ねた理由なんだけど……。」
【すると、どういう経緯でここに来たかの説明を始める。
自分が受けた依頼が周囲の記憶や対象の記憶を手がかりとした防犯システムを作ることであること。
システムとしては闘幻鏡が近いらしく、実際に闘幻鏡に入ってみたが、それを再現するには
自分の専門分野である水では限界があること。
それゆえに幻影あるいは幻覚を使うことを思い至ったが、専門外であるため、扱いが難しいこと。
その幻影に対する知恵をアンリに借りに来た、ということ。
ちなみにチャオウスから差し出されたネコ耳を何の疑念もなく付けたため、彼はネコ耳姿だ。】
-
>>2990
「若干先祖がえりの感があるらしくてねー……」
ミミは残念ながら生えなかったが。
熱いのが少し苦手だったり狭いところはなんとなく落ち着いたり。
うっすーく猫っぽい要素があるのだという。
「おう、真面目なツラしてギャグやってんのやめろにゃ」
貴重な真顔でツッコミ入れるアンリの姿が!
冗談はさておき、話を聞いてアンリはうーんと腕を組む。
「たらいまわしにするよーだけど、専門家なら知ってるにゃね。会ってくれるか知らないけどにゃ」
「ほれ、教えてやりたいけど、アンリは魔法感覚で使うから人間にわかる言語で話せねーしにゃ」
「それも、アンリのは魔法っていうか生まれ持った特製とも言うべきそれにゃしにゃ」
-
「にゃにゃ、その気持ちはよく分かるにゃ。ってか、吾輩はネコだし。」
【ほとんどネコそのものな彼にとって、その気持ちは良くわかる。
未だに毛玉を与えられれば、ごろごろして遊びたくなってしまう年頃である。】
『にゃー、ということはマタタビ以外も嗜好で少しはネコが残ってそうにゃね。』
【奥から影が現れた猫柳の席にコーヒーとクッキーを差し出した。
それもニボシを適度に砕いて練りこんだこの店オリジナルのクッキーである。】
「なるほど。確かに生まれ持ったものなら、その理論を知らなくても仕方がないね。
その専門家、っていうのも君の知り合いなのかな?
……もし、知り合いならあってくれるように頼んで貰えると嬉しいんだけども。」
【元学者であるが、とある事情でそのようなコネなどはほとんど無くなってしまっているのである。】
-
>>2992
「うん。店長はまごうことなきネコだしな。うん」
「ネコカフェっていう字面で連想できるそのままの意味でのカフェーだもんなここ」
うんうん、と頷きながらコーヒーをひとくち。言ってる傍からちょいと熱かった。
クッキーをつまんでそれを誤魔化して。
「ん、んー。……確かにあっかも。普段意識してないけど」
どうなんだろう、と小首を傾げ。
「いやまぁ、うーん……? 知り合いっちゃ知り合いだけど少し情報不足でにゃあ」
「かつての『六魔女』が一人『氷闇の魔女』……現、薬師組合研究員リトス……心当たりあっかにゃ」
六魔女事件自体が過去のものだし、彼女らの母体組織は彼女らを前面に出す前に瓦解した。
アンリは知らないだろうと踏んで話を続ける。
「まー、ねーと思うけど……。うーん。何か対価があれば会ってくれるんじゃにゃ?」
……とまぁ、アバウトなことを教えてくれるのであった。
//ちょい時間がきついので……中断で!
-
「いや、実際のところは獣人……にゃのよ?
まぁ、ネコが8、人間が2の配合みたいなものらしいから、アレにゃけどね。」
【見た目の所為でネコネコといわれるが厳密に言えば、彼は獣人なのである。
とはいえ、ネコの割合が多すぎるため、ネコと同じであることに違いはないのだが。】
「まぁ、狭いところが好きとか熱いものが苦手ってのもそれにゃけどね。
……流石に心地良いからって、手をにぎにぎはしないにゃよね?あと、喉が鳴るとか。」
【ネコにありがちな行為である。
しかし、どちらもネコだからこそする行為であるため、彼女はしないかもしれない、と。】
「合うこと自体が難しそうな雰囲気があるね。
研究員ともなれば、そこまでふらふらも出来ないだろうしね。
対価か……でも、対価を持っていても会える状況がないと意味がないから……。」
【対価を用意できたとしても、どこにいるのか分からなければどうしようもない。
どちらかと言えば、対価についても会ってから、要求を聞きたいのである。】
//中断、了解です。お疲れ様でしたー。
-
>>2994
「ほぼネコだなそれ……まぁ、獣人は色々いるから獣よりがいても全然不思議じゃないけどさ」
とりあえず、ネコ好きとしてはネコに近い分には全然問題がない。
むしろ自分ももう少しネコ寄りに産まれたかったらしいが。
「……の、喉はならねえ。手をにぎにぎは……しないけど、柔らかいもの触るのは好きだが、これは人でもふつうだ」
ゆるゆる首を振る。
「薬師組合の寮を尋ねれば……と思ったけど面識のない相手は受付でストップかかるにゃー」
「まぁ、アンリが会合そのものをセッティングしてやらんこともにゃい。にゃけど、このアンリもこの店での仕事あるしにゃー」
悪い顔をして笑う悪戯妖精。
要するに、このちんまい妖精にも何か渡さなければならない、らしい。
-
「にゃー、あっついネコあるあるトークとかできるかにゃーって思ったのににゃ。」
【ネコとしての現象を共有できなかったのは残念らしい。
やはり、主に人間が闊歩する王都であるため、少しくらい取り残されているような感覚はあるようだ。】
「ところで、汝たちはどういうアレにゃのよ?二人できたくせにこうして単独行動してるし。
ってか、あっちのメガネに関しては注文すらせずにアンリと喋ってるしにゃ。」
【入ってきてからと言うもの、離れて行動しているナーブと猫柳が不思議に見えるようだ。】
「……ああ、なるほど。でも、困ったなぁ。
妖精の君が欲しがるようなものなんて、多分、僕は持ってないと思うよ?」
【笑うアンリを見て、何かを欲しているのだと察するものの
妖精が欲しがるようなものは分からないし、どうすればいいのわからない、と。】
-
>>2996
「……こ、このにゃんこめ。モフっちゃうぞ!」
くわっ、と両手をあげて威嚇する茶子。
威嚇になっているかどうかは極めて微妙。
「いや、まぁ。正直ただの案内役というか。仕事馬鹿というか。私の数ミリレベルの乙女心すら蹂躙するレベルの残念イケメンというか」
少しは何か気を回せ、と嘆息。
ナーブはこの店に来るのが目的ではあったが、一人で来店する自信がなく、そのため茶子が必要だった。
とりあえずはそう理解してくれ、とのこと。
「ククク、この堅物眼鏡め、にゃ。知的生命体の発明品の最もたるものは通貨にゃ」
「大きく当たることは少なくても、大きく外すことはない。贈り物としては上等なアイテムにゃね」
ふっふーん、と何故か偉そうに語る。
-
「同族にモフられるというのも良い嗜好かもしれにゃい。
……にゃにゃにゃ、我が毛並みに震えるが良いにゃ……!」
【モフモフは遠慮なくオーケーな店長。
一時期はモフモフすることがメニューにあったほどに。
尤も、店が回らなくなるとのことで、そのメニューは廃止されてしまったのだが。】
「ンにゃるほど。方向音痴極まる、って感じにゃのね。
……まぁ、アレは難儀なタイプそうにゃね。
大方、すぐにここに来たんにゃろう?デートにしても味気ないにゃぁ。」
「お金か。……あぁ、良かった。お金くらいならどうにかできるよ。
幸い、昔、学者として働いていたから、入ってくることは多くてね。
それに、お金なんて今となっては僕に必要ないからね。
……それで、どれくらい欲しいんだい?」
【お金と言うことを聞いて、安堵の息を吐く。
猫柳からアンリの言うことはどこまで本当か分からないと来店前に忠告を受けているにも
関わらず、全く以て警戒というかある意味、遠慮が全くない。
それなら話は早いといくら欲しいのか、と聞いてきた。随分とダイレクトだ。】
-
>>2988
「う、うおおお、もふもふさせろぉぉぉ!」
我慢できずもっふもふ。
おしゃれ着に容赦なく猫毛がくっつくが気にしていられなかった。
「いやさ、デートっつかさー。状況的にそうなっただけでアレは最初から性悪妖精に用があったわけだけど?」
「少しはこっちも気にしてほしかったっていう、この……なんというか……異性経験の少ない女が勝手に舞い上がっただけ感が強くていたたまれねー……」
思わずモフる手にも力が入る。
「……うん、オメーが払うべき金額は」
「ドリンクとフード、デザートそれぞれ一品ずつ注文することにゃあああああ!」
何か頼め、と随分と喫茶経営に染まった発言をする妖精であった。
-
「にゃー、完全にガイド役にされるとは悲しいにゃね。
……いや、彼奴はそんなことすら思ってないのかもしれないけど。」
【このネコの毛はきちんと手入れされているらしく、もふもふとまるで羽毛の様な心地よさである。
加えて、あの干した布団を取り込んだときのようなお日様の良い香りがする。】
「にゃっにゃっ、参考にならにゃいと思うけど、吾輩的にはあの手のには
もう、ダイレクトに言っちゃった方が色々とスムーズに行くと思うけどにゃ。
……あ、にゃ、もうちょい優しく……。」
【モフる力が強くなり、優しさを要求する。
モフられるのは好きだが、強くモフられることにあまり良い思い出はない。】
「……そんなことで良いのかい?なら……そうだね。
このネコ缶バーグとコーヒーと……プリン・ア・ラモードを頼めるかい?」
【それならお安い御用とばかりにメニューをチョイスしていく。
少し悩んだのはなるべく高いメニューを選ぼうとしたためだ。】
|
|
掲示板管理者へ連絡
無料レンタル掲示板