したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |
レス数が1スレッドの最大レス数(1000件)を超えています。残念ながら投稿することができません。

【ファンキル】SSスレ

530pixivにあげたけど掲示板にも書きたくなったマスター:2019/08/14(水) 13:39:38

「オレは方天画戟! D. plug・アバドン! 破壊と滅び、奈落より現れ全てを喰らい潰す蝗の化身だ! 短い間だけどよろしくな!」
 実際その姿はよく目立った。
 トゲの飾りがついたジャケットやズボン、先の尖ったヒールなど攻撃的なファッションで170センチ以上ある長身を飾り付けている。真っ青な長髪を太い三つ編みで一本にしているのだが、よくみるとその三つ編みは途中から黒い甲殻に覆われたサソリの尾に変化してゆらゆら揺れていた。
 あのサソリの尾のような三つ編みの先についている刃も武器として使用するのかもしれない。
「じゃ、戦うか」
 ダンッと地面を蹴って一瞬のうちにアロンダイトとの間に空いていた数メートルの距離を方天画戟はゼロに変える。
「楽しみだ! おまえをいつ食えるのかと思うとよ!」



(やはりデュランダルとはタイプが違う。この方天画戟という斬ル姫……単純に強い!)
 剣道三倍段。という言葉がある。
 素手の人が剣を持った人を相手に勝つには剣側の三倍の技量が必要という俗語であるのだが。鎗と剣にも同じようなことが言える。
 デュランダルにも語ったことだが武芸は自分より体格で勝る相手に勝つために作られたものだ。その中でも鎗、ランスやハルバード、薙刀などの柄の長い武器は他の武器に比べて体格差のハンデを詰めやすい。
 ただでさえその鎗を方天画戟のように長身でパワーもある者が扱っているのだ。ウェイトでも武器のリーチでも劣るアロンダイトは大きく不利である。
(そのうえ方天画戟の鎗術は一見乱暴に見えてちゃんと様式にのっとったもの……おそらくキラーズの持ち主がそうだったのか)
 デュランダルの時のように力で押し切るといった戦法は使えそうにない。
(事実、私は方天画戟の攻撃を受けるばかりでこちらから攻撃ができていません)
 とにかく方天画戟の射程距離に入ること。
 それがアロンダイトの勝利への道だった。



 払う。薙ぐ、回す。叩く。掛ける。捻じ込む。翻す。刺す。突き上げる。
 鎗は剣と比べても選べる技の選択肢が格段に違う。
 アロンダイトは吹き荒れる技の嵐を神業じみた合わせで防ぎきる。
 方天画戟が暴風なら、アロンダイトは神風だった。
「そう例えるなら、デュランダルは突風でしょうか……、一瞬の勢いなら台風すら貫けるほどの」
「なに言ってんだおまえ!」
 疾風の追撃。
 それはアロンダイトが大剣を寝かせ盾のように構えたことで弾かれた。
「何度繰り返しても、技量なら私の方が上のようですね。私の体に届いていませんよ。あなたの鎗」
「そうだな。繰り返しだな。さっきから」
 方天画戟がバックステップで距離を取る。
「少し、大技使うぞ」
 その長鎗の先から禍々しい黒い光が溢れだす。

 キィィンと空気が烈震した。

 燃えるように黒く輝く長鎗を構える。低く。低く。肉食獣のように。
 にィィっ。と方天画戟の口角が釣りあがり凶悪な笑顔を形成した。
「これで死ぬんじゃねえぞオラァッ!」
 鋭く踏み込み。全身をしならせたアンダースロー。その結果、爆発的な速度で長鎗はアロンダイトへと射出された。




掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板