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ここだけ純ファンタジー世界 したらばロールスレッド
1
:
管理人>>1
:2016/08/01(月) 19:39:09 ID:???0
・プロローグ
世界には魔力(マナ)が満ち、人々はその恩恵を授かり生きてきた
世界は様々な種族で溢れ、時に手を取り時に争い合い生きてきた
・世界設定
純然たるファンタジー世界に存在する王都レグノリア周辺地域が主な舞台
木と石造りの街、白亜の城塞、闇が招く洞窟や遺跡、そこに住まう様々な人種
・キャラクター
人間、エルフ、ドワーフ
獣人、ゴブリン、ヴァンパイアetc
世界には様々な種族が混在しており、種族間での様々な意識も存在しているようだ
無論上記以外の人種、ドラゴンやワイバーン等、様々なモンスターも生息している
・メタ的な色々
-ファンタジー世界でのなりきりロールスレッドです
ファンタジー世界の住民となり、他の住民と交流したり冒険したり自由に楽しみましょう
また、あくまでファンタジー世界という事で科学を持ち込むキャラクターはご遠慮下さい
-無敵の無双プレイや、相手の行動を確定させるような描写はNGです、皆んなで仲良く楽しみましょう
-キャラクターは何人でも登録可能ですが、使い捨てにはならないように注意して下さい
-スレッド、したらば共に本人照明のためのトリップは必須です
・次スレは
>>950
を踏んだ方が立てて下さい
立てれない場合は
>>980
の人がお願いします
したらば
http://jbbs.shitaraba.net/netgame/15600/
2
:
◆mG/Lb8BvcQ
:2016/08/02(火) 00:34:19 ID:uOVeYyIo0
>>1
/スレ建てお疲れ様です
――――――――
『――――よくぞ、長らくの修練に耐え抜いた』
『門出の祝い、其方へ最後の訓戒を授ける』
『備えよ。彼等は深緑の眼で常に其方を見張っておる』
『備えよ。彼等は常に其方へ顎を突き立てんと牙を研ぎ澄ましておる』
『備えよ。――ただ日々の安らぎを願うなら』
『剣に誓いを。其方の血肉と魂に、彼等の最も偉大な王の名を刻むのだ』
『――――っこら! 最後まで聞かんかこの馬鹿娘が!』
――――――――
「……いっけない、寝ちゃってた」
頬杖ついて、アレグリアは目を覚ます。
ここは王都レグノリア。夏真っ盛り、南向きの斜陽も、魔製ガラスに遮られて熱気は届かない。
大通りより辺鄙な大衆食堂。地元民が愛する古びた店内は涼しく、それよりも冷えた氷の浮かぶグラスを頬に当て眠気を飛ばす。
「ごちそうさま。 おじさん、お代金ここ置いとくわね」
小さい頃から顔馴染みの店主に告げて、スイングドアをくぐる。
途端にかっと照りつける熱気。朝御飯のつもりが眠気に負けて半日も無駄にしてしまった。
暑さを払うように外套の前を開け、うんと伸びをする。
中肉中背、黒髪の人間女をわざわざ見咎める者はそう居ない。腰の刀はやけに年期が入っているが目立つのはその程度。
さ、仕事だ。
これから夏に向けて増える、ゴブリンの駆除とか、隣町への行商護衛とか。
冒険者の屯する酒場なり、商人の暮らす市場なりで斡旋してもらわないと。
「んー、コインで決めるか」
表なら酒場、裏なら市場。
歩くすがら、ぴんと弾かれた硬貨がくるくると宙を舞った――――前方不注意。
/まずは雰囲気を掴むために投下です
/絡んで頂けたら嬉しいですがお返しは明日の夕刻になるかと
3
:
"火炎の若旦那"・マーレイ
◆EDK/pKvFQk
:2016/08/02(火) 01:21:20 ID:SQLZZFUE0
『よっ、”火炎の若ダンナ"、ドロボーの下見かい?』
『マーレイ! こないだの酒代、いいかげん払っておくれヨ』
『マーレイのアニキぃ、俺も盗賊団に入れてくれよぉ!』
王都・アレグリアの大通りから7ブロックも離れたスラム街を、
時代遅れの肩当てをした足の長い男が歩いている。
「おいおい、白昼堂々ドロボー呼ばわりはねぇんじゃねぇの?」
まつ毛の長い男だが、その目は確実に加齢によって皺がよりつつある。
30代。若いと言えば若く、もう若くないと言えば、若くない……
そんな男はスラムではちょっとした「顔」でもあった。
王都・アレグリアは、この大陸で最も栄えた都市である。
だが、都市は富裕層と共に、貧困も生む――
そうした貧困層の住人達に、右腕に白く汚れた布を巻き付けてる男――マーレイ・オットナーは妙に人気があった。
「"神は天におわしまし、世は全てこともなし"ってか……
なんにもない、平穏な日常ってワケね」
さ、仕事だ。
彼の職業は……こんな日常にちょっとした騒動を引き起こす”盗賊”
今日は王都では魔法学園の卒業の時期に当たる
魔法学園や王立養成所とくれば、名門のアマチャン子弟たちが通い詰めているのが相場だ。
そうした連中や家族たちが浮かれているこの時期は、盗賊行為を働くには絶好の時期……
>>2
ドン。
っと、マーレイは目の前の女性が自分の進行方向に入ってきたところでぶつかってしまう。
大衆食堂のある通りだ。この辺りは、スラムに近いとはいえ、マーレイにとっては警戒すべき地域になる。憲兵たちの目が厳しくなるからだ。
ぶつかった女性は、おそらく、何か手遊びか何か? に夢中だったのだろう。
特に強くぶつかったわけではないので、マーレイはよろける事もなく立ち尽くしているが……
「おいおい、前方不注意もいいところだぜ。
ここは天下の往来、どんな野蛮な奴がいるか、わかんねえからなァ」
そう言いつつ、もし相手が倒れていたのなら、すっと手を差し出すだろう。
もちろん、マーレイは盗賊……。盗賊が、単なる親切で手を差し出すことはなく……
抜け目なくサイフか何かをスろうと試みているに間違いはない。
4
:
"火炎の若旦那"・マーレイ
◆EDK/pKvFQk
:2016/08/02(火) 12:41:11 ID:izpktmXc0
>>4
/失礼しました! 王都の名前とキャラクターの名前を混同してしまいました!
ただしくは「王都レグノリア」です。
アレグリアさん申し訳ない……
5
:
◆mG/Lb8BvcQ
:2016/08/02(火) 18:46:28 ID:Zmi.99jU0
>>3
「」
ベルトに引っ掛けた巾着が一瞬露になった
「」
6
:
◆mG/Lb8BvcQ
:2016/08/02(火) 19:03:10 ID:Zmi.99jU0
/失礼しました、
>>5
は途中送信です
>>3
とんと、自分より大きな誰かに当たる感触。
避けることはできなかったが、そこは武芸の心得のある身。手を着くまではいかず、よろけて二、三歩足が下がることとなる。
「前を見てなかったのは悪かったわ。 けど、この辺なら私の庭みたいなものよ」
気まずさを払うように膝をぱんぱんとはたく。
そこで初めて気付く、掴んだ先は空白。コインは何処かへ失せてしまった。
周囲を見下ろすが近場には見当たらない。小銭と言えど痛いが、あまり血眼になるのも大人げなく。気を取り直して相手に視線を戻す。
年は自分より上であろう男性、今どき肩当てもないものだが、冒険者のように長年外部に身を置くようなタイプのような、拘りと思えば納得がいく、
「貴方、冒険者のかた? あった事があるかしら」
何処かで見た顔だ、と長いまつ毛を眺めて不思議がる。
まさか顔見知りではないが、手配書で流し見た人相とは思いもよらない。
7
:
◆y5RfcbLJbA
:2016/08/02(火) 22:59:58 ID:nbSPcxbk0
なにがいけなかったのだろう。
色々と思い当たる節はあるが、季節。
それがいけなかった。
灰色の厚手のローブ姿は、道行く人々に不審な目で見られているが、
本人は気づかない、気づく余裕がない。
王都の白い石畳は光を反射しながら輝いている。
夏真っ盛り。
とはいえ、ここで暮らしているものなら今日は汗ばむ程度ですんだろう。
彼女という例外を除けば。
「……ひからびる……」
そんな呟きも聞こえていたならば誇張と受け止められていただろう。
歩いていれば裾を引いていたであろうスカートの中の鰭は、すっかり渇いている。
フラフラと箒を低空飛行させる姿に街行く人たちは、前述の不審な格好も相まって不審そうに避けるだけである。
せめて邪魔にならないよう、端の方に寄ろうとした時である。
前後不覚。
バタリ、と石畳めがけて倒れこみ――
8
:
◆mh1lAFbGqQ
:2016/08/02(火) 23:33:26 ID:Pr4VPx.g0
>>7
じりじりと日照りする王都。住民がせわしなく歩き回る通りにて、執拗なまでに建物の陰を選び道を進む青年。
まるで銀を思わせる灰色の体毛と、やんちゃさのまだ抜けきっていないアーモンド型のオレンジの瞳。片手にずしりと重い皮袋を持った彼の特徴的な体躯は、明確にこの青年が獣人であると告げている。
しなしながら、この体躯は時に残酷なまでに青年を苦しめる。そう、例えばちょうど今日のような–
9
:
◆mh1lAFbGqQ
:2016/08/02(火) 23:46:35 ID:Pr4VPx.g0
>>8
/切れてしまったので続きから
「……暑い、暑い、暑いなぁ」
元気がないなりに絞り出した声は、嫌悪感を覚えにくいまさしく好青年といった風。
日陰を選んで進んではいるが、照り返しや生ぬるい風を受けて、体温はなかなか下がらずどうも調子があがらない。
人目さえ気にしないのであれば、さながら獣そのもののように舌を出して荒く呼吸をしてしまいたいと思うほど。
どこか涼める場所はなかったものか、周囲を見まわそうと顔を上げた瞬間、鋭い聴覚は小さな呟きを拾い上げる。
見れば、丁度前方から一人の女性が覚束ない箒運びでこちらに向かってくるところ。自分のよりも酷く暑さにあてられている様子を見て、大丈夫なのかと心配になると同時、彼女はこちらへ倒れこんできた。
「うおっ、と。大丈夫かい?」
咄嗟に受け止める。
直前に聞こえた言葉通りならば、きっと水分が不足しているのだろう。ならば勿論、水を持っている自分は彼女に差し出すべきなのだが……暫し、躊躇って。
「……なぁ。喉が渇いてるなら、水飲むか?冷たいぞ?」
善意には勝てない。初対面であるため、様子を伺いながら片手に持っていた皮袋を差し出した。
触れれば、皮越しにひんやりとした冷気が肌を優しく刺激するだろう。更に袋の口を開いたならば、中には子供の拳程の氷塊が浮いた、水が確認できる。
10
:
"火炎の若旦那"・マーレイ
◆EDK/pKvFQk
:2016/08/02(火) 23:58:28 ID:izpktmXc0
>>6
「ん――」
相手の女性は体勢は崩したものの、武芸の心得があるのかすぐに体制を立て直す。
こちらの手助けはいらない、とばかりの勢いに、出しかけた手を引っ込める。
「冒険者、ねえ……。近頃、冒険者と自称しながら、夜盗まがいの事もしでかす不届き物がいるって話だ。
王都周辺も最近不穏っていうからねェ……」
微妙に話をズラしつつも、宙を掴んでいた左手はそのままポケットの中に入れる。
彼女の手からだろうか? 一枚の高額銀貨が宙にはじけていたのを無意識でつかんでいたのだ。
「見たところ……その刀は、もしや正騎士の叙勲を?
だとしたら失礼した。ご無礼を許してもらいてぇ。
俺は見ての通り……下賤な賊でしてネ」
そうって笑うと、ポケットからくしゃくしゃになった自分の顔つきの手配書を差し出す。
【赤目盗賊団頭目"しだれ睫毛の火ネズミ"マーレイ・オットナー・懸賞金20万銀貨】
「王都からこんな名刺を発行してもらってネ。ありがたい事にそこら中に張ってもらってるんだが、誤植があってねえ……
俺ァ頭目なんかじゃなく”副”頭目だって何回も言ってるのに、憲兵の奴らは頭が固くていけねぇなあ」
ニヤニヤと笑っていると、大通りの向こうから聞き覚えのある警告笛の音が。
憲兵らしき2、3人がこちらに向かってくるのが分かる。
(ふーん、白昼大通りに姿をさらして身バレがするまで約1刻(2時間程度)……
卒業シーズンだからって、特に警備を強化してるってワケでもねぇようだな)
どうやらこの男は、自身を餌に王都周辺のの警備具合を探っていたらしい。
だが男はとくに焦る様子もなく、しげしげと目の前の女性を見つめている。
東洋系の顔立ちの女性好み、というのもあるが――
その風貌に、若干引っかかるものがあるようだ。
11
:
◆y5RfcbLJbA
:2016/08/03(水) 00:10:10 ID:wkA3W6Ho0
>>9
このまま地面に真っ逆さま―
というところで、予期していた衝撃が伝わらない。
恐る恐る目を開けてみると、受け止められていたことがわかる。
「は、はい、だいじょうぶです」
ふらつきながらも静かに離れ―箒に乗る気力はもう無いのかそのまま地面にずるりとへたり込むが、
親切な提案に、
「え、いいのですか?」
と顔をあげ
だが革袋の量を見て合点がいく。
本当はよくないはずなのに。
どうするか一瞬ためらうが。心地よい冷気にある考えが閃く。
「有り難く頂戴致します」
差し出された革袋を受け取り、口をつける。
わずかな量だが、スカートの中も潤っていき。
「親切な方、これはほんの心尽くしとも言えないものですが、どうぞお受け取りくださいまし」
彼女が革袋に手を翳すと、底の方から水が沸き上がり―
「どうぞ、狐のお方」
にこり、と笑って満たされた革袋を差し出し。
12
:
◆mh1lAFbGqQ
:2016/08/03(水) 00:42:53 ID:5DBNVER20
>>11
あぁ、どこかで水を補給しなければ今度は自分が干からびてしまうかもしれないな。頭の隅にそんな思いをかすめながら『どうぞ、飲んじゃってください』などと虚勢を張る。
こくこくと女性の喉奥に流し込まれる水分を惜しみながら、これで良かったのだと自分を納得させる。見捨てて寝覚めが悪くなるよりはよっぽどマシだった。
「あぁいや、そんな。お礼なんて―――」
いらないよ、そう2つ目の虚勢を張ろうとした所で言葉は途切れる。
こんこんと湧き上がる水を見た。満たされてゆく皮袋を見た。なるほど、彼女はこういった術を扱うらしい。
皮袋を受け取りながら思う。救いの手を差し伸べたら、逆に助けられた……なんて。
「……ありがとう、おかげで俺も干からびずに済みそうだよ」
気恥ずかしさもあったが、素直に嬉しかった。
表情筋は緩やかになり、口が笑う。隙間から覗く犬歯はきちんと磨かれているらしく、清潔な白さをうかがえるだろう。
「早速だけど、飲んでいいかな?俺も喉乾いててさ」
皮袋の保有者は確かに自分だが、水は彼女が"湧かせた"のだ。ならば一応は確認するのが筋というもの。
首をやや傾げて尋ねてみる。可愛げなど一切ないものの、表情もあって親しみやすさを演出できている筈だ。
13
:
◆y5RfcbLJbA
:2016/08/03(水) 00:57:52 ID:wkA3W6Ho0
>>13
その言葉を聞いて胸を撫で下ろす。
やはり貴重な水だったのだ。
それなのに、見ず知らずの、人間、ではなかった人魚を優先させてくれたのだ。
「はい、元々は貴方様の物ですから」
小首を傾げる様子が、なぜだかかわいらしくてほっこりしてしまう。
「あの、もしよろしければお礼をさせていただけませんか?貴方様は私の命の恩人ですので!」
地面にへたり込んまま、訴えかける。
言葉に偽りはない。本当に危ないところだったのだから。
ふと、スカートの裾が翻っている。
ちらりとだが、人間にあるまじきモノが見えるだろう。
14
:
◆mh1lAFbGqQ
:2016/08/03(水) 01:30:25 ID:5DBNVER20
>>13
ありがとう。そう言ってから再び笑い、皮袋に口をつける。器用にごくりと飲み下すたび喉を流れ落ちる冷たさに、生き返る思いがした。
「っ……いやいや、命の恩人なんて大層なもんじゃないよ、俺は。お礼はこの水だけで充分だからさ」
夢中になって冷水を流し込んでいる最中、女性の言葉を聞いて一瞬むせそうになる。慌てて口を離して、そう答えた。
実際、ハードレインにしてみれば尽きかけていた水が復活しただけで充分すぎてお釣りが出る程の収穫と言える。
人間種と違って素肌で温度調節の出来ない彼にとって水は命綱に近しいもの。無くてもなんとかなるにはなるが、あると無いとでは危険性が段違いなのだから。
だが、厚意を無下にするのは良くない。どうしたものかと視線を巡らせ、青年は見てしまう。
翻ったスカートの裾から覗く人間のものではないそれ。一瞬、思考がフリーズした。
「……あー、ええと……スカート、ちょっと捲れてますよ」
小声になって、敬語でぼそりと女性意外には聞こえづらいように伝える事を試みる。開けっぴろげにしていないという事は、きっと隠したい事実である筈だ。
つい、と空いている片手を周囲には見えづらい位置におきマグダレナの足元を指差す。
心配の色を滲ませた瞳と表情は自然を装って、これ以上余計は視線を集めないように気を配っているらしかった。
15
:
◆mh1lAFbGqQ
:2016/08/03(水) 01:31:35 ID:5DBNVER20
>>14
/最後1行の文字化け部分、"にじませた" です
16
:
◆y5RfcbLJbA
:2016/08/03(水) 01:48:00 ID:wkA3W6Ho0
>>14
「でも、お返しいたしませんと、何かお礼になる様な―」
受けた恩は返さねばならない。
実際は返したといってもいいのかもしれないが、彼の心遣いの分は返せていない。
返そうと思って返せるものではないからこそ、なにか礼を、と思っていたのだが。
ふと、彼がフリーズする様子に何か粗相をしたかと思ったが、
捲れているとの言葉に今度はこちらがフリーズする。
「あ―」
思わず叫びそうになるが、口に手を当てる。
目の前の方は、自分の正体を知ってもなお気遣っていてくれているらしい。
その厚意を無碍にするわけにはいかない。悲鳴を抑え込む。
「あ、ありがとうございます」
さっ、と裾を翻す。
幸い辺りの人間は気づいていないらしい。
「…返す御恩がふえましたね…」
申し訳なさそうに頭を垂れ。
17
:
◆mh1lAFbGqQ
:2016/08/03(水) 12:15:08 ID:Z9JBzxHI0
>>16
「いやいや、気にしないで。こんなの返す恩に数えなくって良いからさ」
けろりと笑ってみせる。
自分にだって隠したい事の一つや二つ存在する、他人に触れられたくないそれをわざわざ暴きたてるような無粋な真似は御免だった、それだけ。
"だからそんなに申し訳なさそうな仕草はするな"。そういう言葉を匂わせて、窘めるようにぽんと軽く肩をたたく。
こうもひどく縮こまられては、まるでこちらが悪い事をしてしまったような錯覚すら覚えてしまいそうで。
「そんなに恩返しをしたいならさ、……俺と、友達にならない?」
と、出した提案はマグダレナにとって恐らく簡単な事だろう。何かを買えだとか、金や涙を寄越せだとか、そういった悪質な類いのものではない。
友達、そう友達だ。王都に来て4年、気の合う仕事仲間や取引相手は数あれど、このハードレインという青年には友人と言える存在が非常に少なかった。
それこそ、こんな軟派もどきの馬鹿げた提案をしてしまうくらいには、友人というものを持ちたいと常々思っていた所だ。
そんな折に、"絶対恩を返したい"という風な女性が目の前にいるのだから、つい魔が差したと言うべきか。
「……あ。勿論、嫌じゃなければだけどね?そんな」
強要するつもりはない、と慌てた様子で付け加える。恩返しの方法など他にいくらでもあるのだから、これ一つに拘るというのもおかしな話。
慣れない事をしたせいか、相手の機微を探ろうと普段より忙しなく耳や髭が動いてしまった。
18
:
◆mG/Lb8BvcQ
:2016/08/03(水) 20:02:46 ID:QOZCykRw0
>>10
「あら――、」
やけに勿体ぶった口振りに女の首の角度は深まるばかり。
先程の既視感に加えて訝しげに男を見つめていたが、一枚の紙によってその疑問は纏めて氷解する。
「マーレイ・オットナーね。こんなおかしな自己紹介は初めて」
毒気を抜かれた丸い目で、暫しくしゃくしゃの紙とニヤケ面の本人を見比べてしまう。
盗賊といえば市政の敵であるが、まさか白昼堂々大手を振って歩いているとは。それに対しての驚きこそあるものの、どうも不安の色はなく。
とはいえ自己紹介されたからには此方も名乗らねばならない。こほんと咳をひとつ。
「アレグリアよ。 アレグリア=アーゲンゼリアル」
「お察しの通り、騎士号を拝しているわ。まぁ、王都直属の……ではないのだけれど」
そこまで一息に言って、腰の刀に腕をもたせかける。
鋭い男なら、質素な身なりと胸の刺繍――丸まった竜が描かれている――などから正統派でないのを察するのは容易いだろう。
昔と比べドラゴンの目撃も減少しつつある現在、竜騎士もまた衰退の一途を辿っている。国が正式に位を発行することもないので、身分としては城の中門をくぐれるかも怪しいところ。
それを誇りも卑下もしないのがアレグリアたるの性格であるが。
と、その辺りで女の耳も笛の音を捉える。振り向いて憲兵の声に意識を傾ければ、凡その察しはついた。
逃げなくていいの? と尋ねる眼差しは男の探るような視線とぶつかって2つまばたきを起こす。
「私の密告(チクリ)が心配? 今のところヒト狩りで稼ぐ気はないわよ、副頭目さん?」
視線から判断した答えはこう。専門外だしね、と茶目っ気を含んで片目を瞑る。
この場において、腕を組んで微笑んでいる女は、敵でもなければ味方でもない。普通予想されるのは、このまま相手が逃げて幕引き――――
だが、男の返答に惹かれる如何があれば、アレグリアもまた足をそちらに向けるかもしれない。そんな空気があった。
19
:
◆y5RfcbLJbA
:2016/08/03(水) 22:27:13 ID:wkA3W6Ho0
>>17
「そう言ってくれると助かります」
陸に上がる時に、口を酸っぱくして言われていた。正体を明かしてはいけないと。泡になるよりひどい目にあうと。
秘密に触れてなお、この方は気遣ってくれている。ならば自分もそれに応えるべきだろう。
軽く微笑みながら、箒に腰を掛ける。
恩返し、とは言え自分にできることなどたかがしれていたが、彼の提案に目を丸くする。
「トモダチ……」
ともだち。友達。
「お友達!とっても素敵です!!」
思わずといった風に手を鳴らし目を爛々と輝かせる。
広い世界にやってきただけでも嬉しいのに、初めて出会う人がこんな親切な人だけでなく友人になれるとは。
マグダレナにとって願ってもない話だ。
ちらり、と窺えば、彼の耳や髭が動いている。
不躾だがかわいいと思えて来る。きゅんとくるとはこういうことだろうか。
本当に自分なんかで、との思いも過ったがそれは不作法というものだろう。
ごほん、と落ち着かせるために咳払い。
「私、マグダレナと申します、こちらにやってきたばかりの新参者というやつですね」
高鳴る胸を押さえつつ、右手を差し出し。
20
:
◆mh1lAFbGqQ
:2016/08/03(水) 23:43:18 ID:5DBNVER20
>>19
「そう言ってもらえると、嬉しいよ」
きゃいきゃいと盛り上がった様子のマグダレナを見て、ほっと一息。
性別も違えば種族も違う、そんな相手と友人になってくれるだろうかと一抹の不安はあったのだが、どうやら杞憂に終わったらしい。
マグダレナの右手を取るために、こちらも同じく右手を差し出して。
「俺はハードレイン、気軽にハーディって呼んでくれ。ここには、来て4年くらいかな」
そういってから、『ヨロシク』と手を取り握手。その手の爪先は、刺さるような不快感を感じさせない為だろうか、一本残らず全て鑢がかけられ綺麗に丸められている。
握り返せば、青年の指先部分から、肉球独特のぷにっとした感触もしっかりその手に伝わるだろう。だからと言って、何がある訳ではないのだが。
どれもこれもが、人当たりの良さを青年なりに追求した結果。貴族や商人と取引をする以上、愛想の良し悪しが致命傷になりかねない為に、手入れを怠る事はできなかった。
手を握り合い、ようやくこれで互いが友人関係にあるのだと頭に認識させた辺りで、ふと考える。
「……ところで、ここから家は近いの?もし遠いならさ、これ、持って行きなよ」
自分の家はここからそう遠くない場所だ、余程また彼女のような行倒れを見つけたりしなければ、水が無くても帰り着くには充分。
と、なれば心配なのはマグダレナの方。ただでさえ"干からびそう"になっていたのに、少量の水分摂取で完全復活とは、流石にいかない筈だ。
そう、この女性は暑さによって干からびそうになっていたのだ。自分が水を与えたために今はこうして元気に会話をしているが、もう一度炎天下に戻れば再び行倒れる可能性だっておおいにある。
『これ』と差し出されたのは勿論、マグダレナが湧かせた冷水のたっぷり入った皮袋だった。
21
:
"火炎の若旦那"・マーレイ
◆EDK/pKvFQk
:2016/08/04(木) 03:11:11 ID:swui/Jjw0
>>18
「アレグリア(歓喜)……なるほど。いい名前だ」
女がそう名乗る。騎士の叙勲を受けているとはいえ、雑号の様子だ。
国政に参加したり、正規軍に編入されているわけでもない。
どこぞの職能ギルドの認定した騎士位か、有力豪族の私兵なのかもしれない――しかし、あの胸の刺繍は……
いや、そしてその容貌。ややとがった耳に、笑顔の隙間に見える犬歯――
(まさか、な……)
マーレイの探している男に、ほんのわずか似ている……
その逡巡している間に、『ヒト狩りで稼ぐ気はないわよ』の声で、正気に戻った。
「そいつはありがたい。今度どこかで出会ったら、……酒の一杯か薔薇の一本でも送りたいものだね。」
マーレイは右手を捲ると――その右腕の周囲が陽炎のように歪む。
炎だ。
マーレイの二つ名に含まれる「炎」。それは彼の能力に由来していた。
『待てー! 賊がぁ!』『今日と言う今日は牢にぶちこんで……』
「ミス・アリー。何か欲しいモンができたら俺ン所に来な!
赤目盗賊団は、何でも獲るぜ」
ギン、と鋭い視線を憲兵に向けると、マーレイはその炎に包まれた拳を地面に殴りつける。
巨大な火柱が立ち上がり、憲兵たちがおののいているさなか、マーレイの姿は火の中に隠れて一瞬で見えなくなった。
火柱のさなか、マーレイはあらかじめアタリをつけていた壁を蹴りあがり、屋根伝いに去っていくのだ。
火柱を見て、スラムの人間たちは「マーレイがまた憲兵をだしぬいた!」と歓声を上げる。
『くうう、マーレイめ!』『お嬢さん、なにかあやつにされませんでしたか!』
と憲兵たちは地団駄を踏みながら、右往左往している……。
この王都では、見慣れた光景だ。
・・・・・・
マーレイは屋根と屋根の間を飛びながら、ポケットの中の銀貨一枚を取り出す。
スッた銀貨の反射する光の中に、アレグリアの鋭い目を思い出していた。
("頭目"も、あんなふうな目をしていたっけ……。アッ!?)
と、気を取られているスキにバランスを崩してしまった。
転びこそしなかったものの……手の中の銀貨は反動で――極貧スラム街の路地へと転がっていってしまった。
「アチャー。柄にもなくオケラかよっ」
そう呟いて、屋根の上でがっくり肩を落とすのであった……
/こんな感じでシメでいかがでしょうか?
22
:
◆y5RfcbLJbA
:2016/08/04(木) 21:34:13 ID:fmUC6Deo0
>>20
「…素敵なお名前です。ハーディ様、私のことはマギーでもリーネでも好きに呼んでくださいまし」
ハードレインに言われて気づいてがマグダレナ、とは呼びにくいかもしれない。とはいえ友人にならなんて呼ばれようが構わないが。
見た目から武骨な手を想像していたが、触れた肉球の感触が気持ちいい。これもきゅんとくる。
「家……そ、そうですねここから遠くです」
まさか家を探している最中だとは言えない。当てはないこともないのだが。
故郷に帰るという選択肢もあるが、大見得切った手前帰りづらい。
しかしどうするにせよ水分は必須だろう。
受け取るには大いに躊躇われたが、また行き倒れたなら笑えない。それこそ今までが無意味となる。
いくら加護があるといえど備えなければ意味がない。色んな意味で自分の計画性の無さに笑えてくる。
「あ、有り難く頂戴いたします……」
おずおずと革袋を受け取り。やはりいつかなにかお礼をしなくては、と思いながら。
23
:
◆mG/Lb8BvcQ
:2016/08/04(木) 22:45:48 ID:b.OU3rZ60
>>21
憲兵の足音が近付く。それより早く身を翻して遁走を図るマーレイ。激しい光熱に思わず目を瞑り手を翳す。
身構えこそすれど、それ以上警戒しなかったのは、彼の動作に殺意が見えなかったから。魔力の流れも殺意の淀みもなく、竜の吐く炎のような澄んだ色をしていた。
辺りが日陽の明るさに戻ると、既に男の姿は煙と消えている。
周囲の反応からして、この逃走劇も日常茶飯事のよう。彼らの目は悔しさや称賛など様々で、一様に興奮の面持ちで口を弾ませている。
「私の欲しいもの……ねぇ……、」
そんな中スラムの煤けた空を見上げる女が一人。
「生憎、地面の上には転がってないのよ」
尖った歯の隙間からちろりと覗かせる紅い舌。
声を掛けてきた憲兵に肩を竦め、人だかりから足を遠のかせる。
標(しるべ)となる銀貨を無くしてぶらぶらと、あてもないようにも思えるが、その目は一貫して何かを見据えているようで。
男が既視感を覚えたその眼差しが、ふと面白げに細められる。
「それにしても、随分な人気じゃない? ミスター・マーレイ?」
/初絡みありがとうございました!
24
:
◆mh1lAFbGqQ
:2016/08/05(金) 00:07:03 ID:DrGuePrw0
>>22
「うん、よろしく、リーネ。……そっか、やっぱり遠いんだ」
『じゃあ、ハイ』と手渡して。
さて、これで自分が炎天下のなか悲鳴をあげつつ帰る事は確定よなった訳だが。
気分は決して悪くなかった。むしろ清々しいとさえ言える。
「もし俺に何か伝えたい事があったらさ、この通りにある◯◯って店……あっちの方にある店のオヤジに言伝ておいてくれれば、伝わるから」
つい、と方向を指差す。ここからは視認できないが、その方向へと通りを進めば同名の酒場を見つける事ができるだろう。
そこはハードレイン行きつけの酒場。店長に名前を告げれば喜んで言伝を頼まれてくれる筈だ。
「……じゃあそろそろ、俺、帰るよ」
『干からびないようにな』と笑い、ハードレインは手を振りながらこの場を去っていく。
マグダレナの視界にうつっているうちはしっかりと、まるで暑さなど気にしていないかのように振舞って。
そして、充分に距離を取る事が出来たならばもう、猫かぶりはお終い。ヒィヒィと悲痛な叫びをあげながら必死の思いで家まで全力で駆けてゆくのだった。
/こんなところでしょうか、絡みありがとうございました!
25
:
◆y5RfcbLJbA
:2016/08/05(金) 00:46:32 ID:QY.CQy6Y0
>>25
「随分お引き留めしてしまいましたね、今日はありがとうございました!」
背中が見えなくなるまで手を振り。
革袋をきゅう、と抱きしめ、友人ができたことを噛みしめる。
反省すべき点は多々あるし、恩返しの事も忘れてはいないが今は舞い上がっても許されるだろうと緩む頬をそのままにする。
マグダレナが自分以外にも暑さに弱い生き物がいるということを知るのはもう少し先のことである。
/ありがとうございました!
26
:
エリーゼ・ベルンシュタイン
◆wHkJ4STnMw
:2016/08/09(火) 01:19:32 ID:BN7P9ChU0
王都の昼下がりは、中心部ともなればいつも多様な人種でごった返す。
往来にたくさんの商品が並ぶ商店街も例外ではなく、客を呼び込む大声でどこも喧しい。
そんな通りだから、真っ黒な影が大きな紙袋を抱えて歩いていても、誰も気に留めていなかった。
「うう……なんなんっすかね、この暑さは」
片手で汗を拭ってぼやいている体は小さく、子供と言っても差し支えない。
フードでほとんどが覆われている顔には、これでもかと辟易とした表情が浮かんでいるだろう。
おおよそ子供が抱える大きさではない紙袋である事よりも、照りつける日光の暑さの方が深刻な問題なのだ。
こんな事ならば安易にお使いなど引き受けなければよかった、などと後悔してももう手遅れ。
「これは……ちょっと涼んで帰ってもバチは当たらないっすよね……っと」
ぶつくさと呟いているのが悪かったか、すれ違った人と肩をぶつけてしまう。
早口で謝罪を述べるが、その拍子にバランスを崩してしまったらしい。
ころり、と一番上に鎮座していた林檎が紙袋から落ちたと思ったのもつかの間。
「げっ!?ちょっ、待つっす!」
そのまま地面を転がって、みるみる遠くへと流されてしまう林檎。
慌てて拾おうとするが、人混みの中で追いかけるのは難しくなかなか距離は縮まらない。
そんな奇怪な追いかけっこは、ほんの少しだけ人の目を引くことだろう。
27
:
◆mG/Lb8BvcQ
:2016/08/09(火) 18:52:08 ID:z1MO/fxc0
>>26
甲斐無く呼び掛ける叫びを聞き、また一つ、別の影が頭を持ち上げる。
その拍子に風が頭のフードを揺らし、陽向の下に晒す。
それを嫌いフードを戻したとき、前髪からさらさらと砂がこぼれ落ちた。
「……、」
見ていたのは落とした彼女と似たような少女である。強いて違いを言うならその色は“白”。ブルゾンにショートパンツと、散歩中の子供のようなラフさであったが。
無言の眼差しは、包帯の下の右目と唯一外気に触れている左目で、転々と走り回る果実を追う――と、雑踏が途切れる一瞬、その足はまっすぐ進み出して。
てててっ、と矮躯を生かして人の群れの隙間を縫い、地面に滑り込む。ざざざ――――
邪魔が入らなければ、砂埃の向こうには高々と林檎を掲げる少女がいるだろう。心なしか表情も満足げな――――と、通行人に踏まれた。
/まだよろしければ、お願いします
/無理であれば流してください
28
:
エリーゼ・ベルンシュタイン
◆wHkJ4STnMw
:2016/08/09(火) 20:29:46 ID:BN7P9ChU0
>>27
転がる果実をわたわたと追いかけながらも距離はいっこうに縮まらず、そろそろ諦めるべきかと考え始める頃合い。
不意にざざ、と風の仕業にしては不自然な動きの砂塵が近づいている事に、吸血鬼はついぞ気がつかなかった。
ただ幸運と言えば、不幸にも見ず知らずに踏まれてしまったゴーレムがその動きを止めた時、たまたま林檎を止める切欠となった事だろうか。
「おっとぉ、ラッキーっす」
その隙を逃さじと、人の波をかきわけ急ぎ足で林檎を拾い上げる。
ほんの少し埃っぽくなってしまったそれをローブで雑に擦り、今度は落とさないようにとしっかり紙袋の奥へと押し込む。
再び買いに戻る手間が省けた事とようやく帰路につける安堵に、ほうと一息をついた。
「それにしても不思議な事もあるもんっすねぇ。なんにせよ感謝感謝っす」
どうやら影の協力者にはまったく察せていない様子で、偶然の重なりのお陰だと思っているらしい。
とはいえ立ち止まって感謝を捧げている様は、通行人からすればひどく奇妙なものにしか見えないのだが。
/大丈夫ですよ、よろしくお願いしますー
29
:
◆mG/Lb8BvcQ
:2016/08/09(火) 20:56:32 ID:z1MO/fxc0
>>28
「酷いよ。 私が、拾ったのに」
うらめしや。相手の足元から、そんな声が上ってくるだろう。
踏まれて足形の着いた空の衣服。そこへ風船に息を吹き入れるように、ぺしゃんこだったブルゾンがぐぐと膨らむ。
中に集うは魔力と一抱えもある砂塵。砂の固まりから手が生え足が生え、見るまに人間と遜色ない姿となった。
拗ねたように胡座を掻いて逃した獲物を粘い目で見上げる。
「感謝。するなら、ボクじゃない?」
指先でくいくいと。届くなら相手のローブの裾にもその思いを訴えるだろう。
30
:
エリーゼ・ベルンシュタイン
◆wHkJ4STnMw
:2016/08/09(火) 21:25:21 ID:BN7P9ChU0
>>29
「んん……?とうとう私も暑さでおかしくなったっすかね?」
突然の足元から響く声に、幻聴とでも思ったのか驚きというよりは怪訝そうに首を傾げる。
これはいけないと急いで帰ろうと思い立ったところで、ようやく湧き上がる人影に気がついた。
みるみるうちに人の形を象る様を眺めてるうちに、やっと本当に助けてくれたものの正体に気がついたのだろう。
納得いったように僅かに目を見開き、不満げに見上げる瞳を見つめ返した。
「なるほどっす、君が助けてくれたんっすね。いやいや、本当に助かったっす!」
ぺこり、やや大げさなほどに頭を下げて、またバランスを崩しそうになった紙袋を慌てて片手で支え直す。
しかしくいくいっと微かな力で引っ張られる袖から伝わる意図に、ううむと困ったようにほんの少し肩をすくめた。
彼女としても恩義を感じているし、しばらくは助けてもらった事にすら気づけなかったのだから、お礼になにかしたいのは山々だった。
だが自分はお使いの途中、これ以上下手に時間と金を使ってしまっては居候先になんと言われるか分からない。
逡巡しながら顔を滴る汗を拭って、そういえばと先程まで考えていた事を思い出した。
「そうだ。お礼と言っちゃなんっすけど、よかったらどこかで涼まないっすか?もちろんお金は私が出すっすから」
この炎天下だ、通り過ぎる人々も皆茹だるような暑さに辟易とした顔を浮かべている。
自分もちょうどどこかで休憩しようと思っていたとそろだ。これならどうだろうかと屈託のない笑みを浮かべて問いかけた。
31
:
キュリオ・ノヴァ
◆OT02u7lrc2
:2016/08/10(水) 20:55:13 ID:y9Kbj7RQ0
『いいですかキュリオ様。人間の街へは、近づいてはいけません。』
「ええっー?近付くくらいならいいじゃん!」
エルフ・ノヴァの里、木々が生い茂る森の中、簡素な木製の建物が並ぶそこに、二人の話す姿があった。
一人はキュリオ・ノヴァ。エルフの少女であり、この里に住むエルフ・ノヴァの一族の族長の娘である。もう一人は、ヒノ。エルフの青年であり、彼はキュリオのお目付け役でもある。だからだろう、彼がキュリオに説教をしているのは。
『駄目です。そもそも人間は……』
ヒノの説教は続く。どうやら、王都へ行こうと考えたキュリオを見つけ、説教を開始したようだ。だが、この説教、キュリオにとっては長すぎる為か、うんざりした様子を見せる。
「あっ!あんな所に魔物の群れが!!」
『ええっ!?』
そこで、なんとか説教から逃れたいキュリオは、不意に魔物の群れが現れたと嘘をつき、ヒノの後ろを指差した。それに騙されたヒノは、後ろを向いてしまう。
『って、何もいないじゃないですか……』
当然、後ろを向いても何もいない。すぐに前を向くが、その前方にも何もいなかった。さっきまで居た、キュリオの姿が無くなっていたのだ。
『ああーっ!?』
◆
所変わって、王都。ヒノの説教から逃れたキュリオは、王都に無事到着した。
「ふぅ、なんとか逃げられた。ヒノの説教は長いからなぁ。さーて、それじゃあ、今日も王都を満喫して……ってあれ?」
だが、無事到着したのは良いが、一つ問題があった……
「ここどこだろ?」
周りには見慣れない建物、いつもは来たことの無い場所だ。ヒノから逃げようと、必死になりすぎたのだろうか?完全に迷ってしまっている。
32
:
アラビス
◆UfwtYZxFT6
:2016/08/10(水) 22:25:58 ID:EIZqk0PI0
>>31
「……エルフだ」
イシュ合鋼性の大剣を背負う、少年と青年の間に位置するアラビス・ディーカトルは呟いた
剣と同じ素材の軽鎧を身に付け、下はチュニックの様なゆったりとした衣服
濃いブラウンの髪は男性にしては長め、深い青の瞳には好奇の色が走る
臆面もなく言葉にしてしまうのは、彼の故郷ではエルフが本の中だけの存在であったのと、彼自身のやや無遠慮な性格に所以する
「……」
少し離れた位置に居て、その様子を観察していれば何かを察する
如何やら彼女は迷っている様だ
「……ねぇ」
「キミ、迷子?」
直球ストレートに物事を尋ねる、言葉を選ぶのを余りしないのもまた、彼の性格であった
33
:
キュリオ・ノヴァ
◆OT02u7lrc2
:2016/08/10(水) 22:43:38 ID:y9Kbj7RQ0
>>32
「え?いやいや、このあたしが迷子だなんてそんな……」
不意に声をかけられれば、迷子かと尋ねられる。だが、何度か来た王都で迷子になったなんて、何だかカッコ悪い。それに、 道を引き返せば戻れる筈。そう思い、強気な発言をするが……
「ちょっと知らない道に来ちゃっただけで、元の道を引き返せば……えっと、どの道から来たんだっけか……」
ヒノの説教から逃れる為に、急ぎすぎたのか、どの道から来たのかも分からない始末だ。
「……迷子だった…………」
故に、彼女は間違い無く迷子だろう。
34
:
アラビス
◆UfwtYZxFT6
:2016/08/10(水) 22:55:46 ID:EIZqk0PI0
>>33
「そう……」
ひとつふたつ、この短いやり取りだけで分かった事がある
彼女は少し見栄っぱりな性格で、エルフの中では立場のある存在なのかもしれない
出で立ちや立ち振る舞い、纏う空気と言った物がそれを匂わせているのだ
もうひとつ確実なのは迷子という事だが、これはまぁ最初から何となくわかっていたから良しとしよう
「……何処から来たの、知ってれば案内する」
と、ややぶっきらぼうな物言い
35
:
キュリオ・ノヴァ
◆OT02u7lrc2
:2016/08/10(水) 23:13:09 ID:y9Kbj7RQ0
>>34
「え?案内してくれるの!?」
自身が迷子だと気付き、がっくりと肩を落としていたが、案内すると聞き、すぐに勢い良く立ち上がった。
「あ、ありがとー!ええと、街外れの森の方なんだけど……」
案内を拒否する理由など無いし、すぐにエルフ・ノヴァの里が在る森を伝える。その後、話すのを一旦やめるが、すぐにまた口を開き……
「あ、でも、あまり森に近寄らない程度の場所で良いよ。森に入るとちょっとうるさいのがいるから。」
放たれた言葉が、これだ。"ちょっとうるさいの"とは、ヒノのことだろう。人間を森に近づけたりすれば、彼がうるさく言うのは、キュリオにもすぐに予想出来た。
36
:
アラビス
◆UfwtYZxFT6
:2016/08/10(水) 23:28:11 ID:EIZqk0PI0
>>35
「あぁ、やっぱり……」
「こっち」
森から来たのだと告げられればそう頷いた
そして踵を返せば歩き始め、時折ちゃんと着いて来ているか……自身の歩調は早い方だと自認しているため……を確認する
「……うるさいのってのは、キミのお付きの人?」
途中、その問いが上手い事街の喧騒に紛れる形で、彼女にしか届かぬ様にして
カマかけである質問を、彼女の身分立ち位置を把握する様にするそれをかけてみる
街外れの森までは、もう少し距離があった
37
:
キュリオ・ノヴァ
◆OT02u7lrc2
:2016/08/10(水) 23:39:33 ID:y9Kbj7RQ0
>>36
途中、街の石畳を啄む鳥に目を奪われ、置いていかれそうになるが、なんとか着いていく。
「うん、まあ、そんなとこ。」
そして、"ちょっとうるさいの"について聞かれれば、こう答えた。カマかけだなどと、一切気付かずに
「そいつ、悪い奴じゃないんだけどね。ちょっと心配性っていうか、考えが古いっていうか、頭が硬いっていうか……今日も王都へ行こうとしたら、駄目ですキュリオ様!って」
「あ、ごめん、なんか愚痴っぽくなっちゃったね。」
さらに、日頃のヒノへの不満を次から次へと。だが、彼女自身、ヒノのことを嫌っている訳ではないようだ。
38
:
アラビス
◆UfwtYZxFT6
:2016/08/11(木) 21:04:38 ID:ssnr5kHQ0
>>37
「いや、平気」
「……ふーん……」
矢張り立場のある存在かと内心で頷いた
お忍びで遊びに来ているのだろうか、話からするとこっそりと抜け出していると言った具合か
「まぁ、気をつけなよ」
「いい奴もいるけど、悪い奴もいる」
「……あぁ、ごめん、説教するつもりはないんだ」
我ながら偉そうな物言いになったと振り向き苦々しく笑んだ
その顔の向こう、地平線の先の山嶺から視線を落とせば恐らくはキュリオに取ってみれば馴染みの森の姿が見える事であろう
「……あそこがキミの森なのかな」
「じゃあ、気を付けて……キュリオ様」
別れ際にニッと笑い、そして見送る
キュリオの森まではもう一直線、迷う事もない道程だ
//すみません、今夜これで返せなくなっちゃいそうなので〆させて下さい
//ありがとうございました、また宜しくお願いします
39
:
キュリオ・ノヴァ
◆OT02u7lrc2
:2016/08/11(木) 22:48:53 ID:yP1xdV/Q0
>>38
「説教はヒノだけで勘弁だよ……あ、ヒノってのは、そのちょっとうるさいのの名前なんだ。」
説教染みた事を言われ、やや不機嫌そうな表情になるが、本当に機嫌を悪くした訳では無く、すぐに真面目な表情で話し出す。
「うん、それはわかってる。良いエルフも居れば、悪いエルフも居る。良い人間も居れば、悪い人間も居る。良くも悪くもない奴も居る。」
「けれど、人間やエルフといった種族そのものは、悪いものじゃないでしょ?だから、私は人間や他の種族とも、もっと交流してみたいんだ。」
それは、彼女の他の種族に対する考え方であった。
やがて、森の近くへ続く、王都の出入口へと辿り着いた。短い間だったが、親切な人だったなと、キュリオは思う。
「そうした方が楽しいし。あ、そうだよ、あの森!うん、ありがとう!この借りは必ず返すよ!キュリオ・ノヴァの名にかけて!」
「じゃあ、またねー!それと、次に会った時は様付けはやめてねー!」
そして、呑気な笑顔で手を降り、キュリオは森の方へと帰っていった。
/了解です。絡みありがとうございました!初ロール楽しめました。
40
:
”ミス・ゴブリン” チャオチャウ
◆EDK/pKvFQk
:2016/08/11(木) 23:44:09 ID:nArFjTw60
「よぉーっし、皆、イクよぉぉ!!
ueeeeeeeeeeeeeeeeeei!!」
少女の声が夜の王都の郊外に鳴り響く。
その声と共に……数十名の妖魔たち――ゴブリン、コボルド、オーガーたちが、一斉にたけり声をあげる。
金髪のロングの少女は入れ墨された凶暴そうなブタにまたがり腕組みをしている。
背中には3メートルはあろうかと言う巨大なこん棒を担いでおり、
ぼろきれのような毛皮を纏った体は170cmと長身だ。
しかしその月光に照らされるその顔――
八重歯を出して自信満々に笑うその顔は、幼いながら妖艶な魅力も併せ持つ。
「やろうどもぉ、ニンゲンたちの畑から、片っ端からお野菜を盗むのだァ!!」
王都周辺の肥沃地帯にある、さる豪族の荘園。
幾重にも柵が張り巡らされたその地域を、恐るべき勢いと連携で突破していく!!
「ぬっひょー。ニンゲンどものお野菜は、我らホギュレヒギャフヒヒ(褐色の断崖)の妖魔がいただくわい」
ミス・ゴブリンの異名を持つゴブリン族の少女・チャオチャウは、村のゴブリンを指揮して荘園から根こそぎ大根やカボチャを奪おうとしているようだ。
はたして、彼女らの乱暴狼藉をとがめる者は、いるだろうか!?
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