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青い薔薇literature

1青い薔薇:2003/12/15(月) 16:39
陽が落ちかけると、とたんにあたりは寒々しい景色をみせる。
赤い、オレンジ色の、そして黄色の光を放つ冬の夕陽。

 私は、その夕日が落ちかける街の片隅にある部屋で、
いそいそと旅支度をしていた。窓から見える外の様子は、
先ほどの太陽の光から様々な色のネオンに移り変わっていくところ
だった。葉の落ちた木が一本見えた。
そこには、ゆらゆらといまにも落ちそうな枯れ葉が一つだけ夕暮れの風に
吹かれながら・・しかし、それでもねばり強く枝にくっついていたのである。

2青い薔薇:2003/12/15(月) 16:43
 旅の支度は、そんなに時間のかかるものではなかった。
 それは、この部屋を、この街を出てゆくという大きな決意を伴うものであ
ったが、その大きさには反比例するかのように荷物は小さかった。
 2,3年前に買った小さな茶色のボストンバック、そして黒のスーツケース。
両手に一つづつ持てば足りるほどの、小さな小さな荷造りだったのである。

3青い薔薇:2003/12/15(月) 16:49
 実は今回の旅に行き先があるわけではない。そう、行き先はない・・。
 ただ私は、「何処にも帰らない」つもりだった。
 ボストンバックとスーツケースと、ここ半年の間に蓄えたわずかな所持金は
 自分自身の人生の「片道切符」だと自ら言い聞かせた。

 私は、何かを捨てたかったのかもしれない。
 私は、何かを変えたかったのかもしれない。
 私は、何かを見つけたかったのかもしれない。

4青い薔薇:2003/12/15(月) 16:50
 答えは、誰も知らない。
 その答えを見つけるのは、私自身なのである。

5青い薔薇:2003/12/15(月) 16:54
 冬の陽が、完全に暮れてしまう前にこの部屋を出ていきたかった。
 ここは10年も私が住んだ場所。
 私が大切な友人や恋人との時間を過ごした思い出が詰まっている場所。
 優しい思い出と切ない思いが交差する中、暗闇が訪れる前に立ち去りたかった。

6青い薔薇:2003/12/15(月) 16:57
 旅の決意をしたのは、半年前。
 私は、大学時代をこの場所で過ごし、大学卒業後も運良くここで職を見つける
ことができた。仲の良い友人が数人いて、離れ街だが心強い親戚も住んでいたので
一人暮らしとはいえ結構さびしくない生活をしていた。

7青い薔薇:2003/12/15(月) 17:01
 程々の給料、親に干渉されない自由な暮らし・・・。
 私は若さをここで、「それなり」に楽しんだ。
 寂しければ誰かが側にいた。
 それは私が望む、望まないを問わず・・・もっと言えば寂しくなくても
 いつも誰かが側にいた。
 私は、本当は一人になったことがあまりなかったのかもしれない。

8青い薔薇:2003/12/15(月) 17:04
 だが、孤独が突然何の前ぶれもなく 私の身に降りかかってきた。
 一番大切な存在の恋人が、私の目の前から急に姿を消したのである!!

9青い薔薇:2003/12/16(火) 17:38
「いなくなるはずがない・・」
 私は常に周りにいる人間のことを、そう思っていた。
 別れとか、離れるなんて考えもしなかった。
 何故なら、ごくごく当然のように一緒にいたから。
 時間が合えばご飯も食べるし、映画やビデオもみるし、
 休日の夜などは決まって酒を酌み交わした。
 その時々の顔ぶれは微妙に変わった。
 しかし、その場にいない連中も次週にはふらりと戻ってきたりしてあまり「いなくなる」 
 といった感は無かった。

10青い薔薇:2003/12/16(火) 17:41
 だから、最初に恋人がいなくなったときも「いなくなった・・」という感じは
まるでなかった。
 また、ふらりと出かけてゆきふらりと帰ってくるようなものだと思っていた。
 「最近、顔見ないけど大丈夫?」と他の友人たちに聞かれても私は平然としていた。
 しかし。
 一通の電話が、そんなのんきな私の目を覚めさせたのである。

11青い薔薇:2003/12/16(火) 17:48
 その電話は、彼の母親からだった。
 今年の正月に初めて彼の実家へお邪魔をして彼の両親に会った私は、その後
も彼の母親と時々話をするようになっていた。
 
 「もしもし??いきなり電話してごめんね。あのね、今速達で郵便が届いたの。
  それが誰からかと思ったらあの子(彼)からなのよ!!
  何かしらと思って、封筒をあけたら、鍵がひとつ入っただけなの。
  他には何も無し。手紙も入ってないの。
  で、何の鍵だろうと思って見ていたら、ちょうど私が持っているあの子の部屋の鍵と
  同じなのよ!!・・・もう さっぱりわけがわからないわ!!あなた何か知ってるか
  と思って電話したんだけど・・・」

12青い薔薇:2003/12/16(火) 17:56
 彼の母親は事の次第を早口でまくしたてた。
 電話の受話器を私は持ったまま、私は彼の母親の言っている話を理解できず
 ボーーっと突っ立ったままだった。
 「・・・もしもし?もしもし?・・・」
 受話器から、彼の母親の声がする。私は、うろたえた心のまま電話に出た。
 「おかあさん・・、わたしにもわけがわからないよ・・」
 声が震えた。動揺は、声になり電話線を通じて彼の母親の元へ届いた。
 「おかあさんの話を聞いて、私も今そのことを知ったの。私も合い鍵持ってるから
  いまからすぐ、部屋にいってみるわ それからまた電話するね!」
 とにかく、今できることは彼の部屋へ行ってみること。
 それしかわたしには思いつかなかった。

13青い薔薇:2003/12/17(水) 22:04
 わずか徒歩5分のところに 彼のすむ小さなアパートはあった。
 カンカンカンカン・・・、鉄製のさびれた階段を登る。
 奥から手前2件目が、その部屋だった。
 私はポケットから合い鍵を取り出し、穴に差し込んだ。すると。
 かちゃ・・・・。
 軽い音を立ててドアは開いた。
 鍵は必要なかった。
 殺風景な空間がそこにはあった。
 何も残ってはいなかった。何処の誰が住んでいたのかわからないほど部屋は
 何も残されてはいなかった。

14青い薔薇:2003/12/17(水) 22:07
 取り合えず鍵を抜き、部屋の中に入った。古い畳の上に、小さな日の光が
 かすかにぬくもりを残す。私は部屋の中をくまなく歩いた。
 キッチンもトイレもバスルームも・・・ベランダも・・。
 何か残されてはいまいか・・目を凝らして探していた。

15青い薔薇:2004/01/20(火) 18:20
 目を凝らしてる内に、時間はどれほどたったであろう・・・
 陽が傾き、そして、地平線に沈むまで。。。
 私は、この部屋にいた時間そのものを忘れていた。
 ・・・・と、そのときに古いインターホンから「ピンポーーン」
と、電池切れ間近のさびれた音が鳴った。

16青い薔薇:2004/01/20(火) 18:24
・・「ハイ??」私は、自分でもあきれるほど平然とした声で答えた。
 「この部屋の呼び鈴をならすなんて管理人か誰かかしら・・?」
 少々いぶかしげな思いで玄関の開き戸を開けると小さな女の子がたっていた
 年は5歳くらいであろうか。お下げの髪に紅いジャンパースカートをまとっている
 私は。
 その姿を見て。
 ふいに。
 自分の昔の写真を思い出した。
 なぜだかは 私にもわからない。

17青い薔薇:2004/01/20(火) 18:32
 女の子はなんだかはずかしそうに戸口に立っていたので、私は「なあに?なにか
用があるの??」と彼女を安心させる優しい声を出して部屋に招き入れた。
 女の子は言った。
 「あの・・・コレ・・」
 彼女は白い封筒を差し出した。
 私はとりあえずその封筒を受け取り、「コレはあなたが私にくれるのもの?」
 と彼女に聞いた。
 「ううん・・・、さっき公園で預かったの・・。このアパートのこの部屋で白い
封筒を渡せば、あめ玉を10コくれるって・・・」
 お下げをふりながら彼女は答えた。私は聞いた。
 「ねえ、この封筒を渡したのはどんな人なの??」
 私は、封筒をあけながら彼女に尋ねる・・・。
 
 ・・・「あ!!!・・・」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 私は、たじろいだ。その封筒の中身は、見覚えのある部屋の鍵だったからだ。

18青い薔薇:2004/02/02(月) 20:19
鍵は、私の部屋のものだった。
 では・・公園で女の子に手渡した人は??
 「ねえ・・そのひと、ってどんなふうだった?」
 私は思わず勢いよく女の子の肩をつかんで問いただした。
 「男の人だったんじゃない?・・・若くて・・」
 女の子は、びっくりして目を見開いていた。
 「うーんと、確かに若かったけど、おとこのひとじゃないよ。
 髪の長いおんなのひとだった。なんか、黒いコートをきていたよ。」

19青い薔薇:2004/02/02(月) 20:25
私は不意をつかれ、そして思った。
 「なぜ、わたしの部屋の鍵をしらない女が持ってるんだろう??」
 女の子に聞いた。
 「ねえ、あめ玉って封筒と一緒にもらった?それとも、封筒を私に渡してから
後でもらうって約束をしてるの?」

20青い薔薇:2004/02/02(月) 20:28
「あめは先にもらったよ・・ほら!!」
 女の子はポケットからいろとりどりのキャンディーを取り出した。
 私はため息をついた。
 「飴をこれからもらうのであれば、その女を一目見れたかもしれないのに・・」
 女の子は不安そうに私を見上げた。
 「ねえ・・もう帰って良い??外が暗くなってきたよ。早く帰らなきゃママに怒られる


21青い薔薇:2004/02/03(火) 18:37
 少女の言葉に私は現実の世界に意識が戻った。
 「そうね。もうだいぶ暗くなってきたわ。あなたの届けてくれたものは
私にとってとても大切なものなの。だから、あなたにコレを渡した人のことが
知りたいわ。あなたのお名前と住んでるところをきいてもいい??」
 女の子は、コクリとうなづいて私に住所と電話番号、そして名前を教えてくれた。
 女の子の名前は、「まさき」といった。
 私はアパートの外まで彼女を送っていった。
 西日に照らされた、近くの公園を横切って彼女は足早に家路を急いだ。

22青い薔薇:2004/02/03(火) 18:44
数時間後。
 陽もどっぷりと暮れて、私は自分の部屋に戻っていた。
 少女からもらった鍵は念のため本当に自分の部屋の鍵かどうか確かめるために
ドアノブに差し込んだが、やはりその鍵はこの部屋のものだった。
 私はずっと考えていた。
 この鍵を何故知らない女が持っていたのだろう。
 私は自分の部屋の合い鍵を3つ作った。
 一つは実家にいる母にいつこちらにきても部屋に入れるように、一つは恋人の為に
そしてもうひとつは何かあったときのための予備として・・。
 ・・その女が何処の誰かはともかくとして、知らない人間が自分の部屋の合い鍵を持ってい
るなんてかなり物騒なことだ。夜中に鍵をかけて寝ても知らない誰かが玄関から平然と入って
来ることができるのだ。・・・・私は恐怖で背筋がゾクゾクっとした。

23青い薔薇:2004/02/03(火) 18:51
 私は熱いお茶を煎れて一息つき、今判っていることを頭の中で整理した。
 まず一つは、恋人が行方不明で今のところ誰も彼の行方は判らないこと。
 もう一つは、彼の実家の両親に彼自身のアパートの部屋の鍵が郵送されたこと。
 最後は、私の部屋の鍵が見知らぬ女から公園で遊んでいた少女を通して私に返ってきた
ということ。
 最後に関しては、私が恋人に渡した合い鍵が「見知らぬ女」の元から返ってきたと
おもっている。3つ作った合い鍵の内、実家の母に渡したものと予備でつくったものに関しては
それぞれの所在ははっきりしていた。
 わたしのこころは揺れ動く。
 彼は見知らぬ女とどんな関係で「私の部屋の鍵」を渡したんだろう・・

24青い薔薇:2004/02/03(火) 19:05
・・うつらうつら・・・・
 私は考え事をしながら、寝入ってしまった。夢の中に三人がいる。
 一人は恋人、一人は黒いコートを着た女、そしてもう一人は私。
 私は、あの少女「まさき」ちゃんの手を握っていた。
 みんなは押し黙っている。
 沈黙に耐えかねたように、まず私が口を開いた。
 「今日、鍵をこの子からうけとったんだけど・・・、私にはどういうことか
わからない。この女の人のことも・・」

25青い薔薇:2004/02/29(日) 14:50




青い薔薇literature 特別番外編 「トレンチと大根」
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第1話 「出会い」
 「うーーさみーっ」
その男は師走の夕暮れを急ぐ街並みのなかで、一人ぽつんとたっていた。
年代物のトレンチコートに身を包み 襟元に深く顔を埋めているその姿は
どことなくシブいと思えるが なんとなく怪しいとも思えた。
 男は、両手に二つの小瓶をもっていた。
 しかし、何をするでもなくただつったっていた。
 そこに ちいさな女の子が不思議そうに男の側に寄ってきた
 「おぢちゃん 何してるの?そんなところいにて寒くない?」
 男は答えた。
 「お嬢ちゃんこそ、ひとりでここにいるのかい?あぶないよ おかあさんは?」
 女の子は答えた。
 「おかあさん・・・・いないの、いなくなっちゃったの。」
  「え!?」
 男はたじろいだ。
 ・・・俺は独身だ、子供を育てる術はまだ身につけていない・・。
 女の子は泣いていた。
 「そうか・・じゃあ、ココじゃ寒いからおぢちゃんとおでん食べに行こう!」
 とにかく暖かいところへ・・・。男は大勢の人がいきかう道路を、女の子を抱っこして
 歩き始めた。高架下に行きつけの屋台おでんがある。そこへむかった。

 店のマスター(屋台の主だが、彼は自分をマスターと客によばせる)は、常連が連れてきた
 ちいさな珍客に目をぱちくりした。
 「おいおい にいちゃんいつから子連れ狼になっちまったんだい?」
 「・・ん まあ ちょっとそこで会ってしまってね。10年もすればたいそうな
べっぴんになるぜ!!」
 男は女の子にオレンジジュースを飲ませながらマスターとひとしきり会話をした
  
 「ところでなあ、ちょっと相談があるんだが・・」
 「なんだよ にいちゃん まさか俺にその子をあづけるっていうんじゃなかろうな」
 「いや・・違うんだ」
 「え?なんだよ」
 男は先ほどからもっていた二つの小瓶をマスターにみせた
 「この小瓶は、世にも不思議な力があるんだ。売れば相当な値段がする。世界中から
 マニアがねらって日本まで来るんだ。当然コレをもってる俺の命も危ない。
  だが、マスター。あなたがこの小瓶をもってすぐ売れば、今は誰にも顔が知られてないから
 スムーズに売れるだろう。どうだ、この小瓶と屋台と引き替えてはくれぬか?
 小瓶を売った金で屋台は10軒は確実にたつだろう」
 マスターは 驚きつつも真剣な顔できいていた。
 「・・・・・。その小瓶を持っている限りアンタと一緒にいるそのお嬢ちゃんの命も
 危ないってわけだな・・・?」
 マスターは、マスタースペシャルクリスマスバージョンの「おでんのだいこん」
をおいしそうに食べている女の子の顔を見やった。
 「うーーむ。この屋台は俺の人生だった。なじみの客も多くはないが長く連れ添える奴らだ・・
 きっと 客がこなくて潰れることはなかろう。。。にいちゃんとおじょうちゃんが
 生きていけるだけの金ぐらい稼げる・・・。」
 男はだまってマスターの目を見ていた。
 マスターの瞳がキラリ♪とひかった!!!!
 
 「よし じゃあその小瓶とやら引き受けたぜ」
 マスターは、力強く言った。
 「もっとでかい屋台をたててやるぜ!!」
 マスターは男と女の子の手を握った
 「あんたらも、力強く生きてくんだよ。どんなにへこたれそうになっても
 ねばってねばって生きていておくれよ・・」
 マスターと男の瞳には同時に涙が光った!!
 
 そして、マスターは最後に言った
 「お嬢ちゃん、このお店にはとっておきのメニューがある。それはさっき
お嬢ちゃんが食べただいこんだよ。そのつくりかたを教えてあげよう。この
メニューがあれば この店は潰れないよ・・」
 女の子は何がなんだかわからんかったが、マスターの熱意に押されて
 「ウン」
 とひとこといった。
 男はトレンチコートを女の子に掛けてやりながら言った
 「これから 君は俺がまもっていってやるぜ!!!」

 ・・これは師走のとある街角での密かな物語である・・・
 現実は物語より奇なり、とすればこんな話も意外とそのへんに転がっている
 ストーリーなのかもしれない・・。

26青い薔薇:2004/02/29(日) 14:53
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第2話 「冬の土曜日 (=▼▽▼=)y−~~~~」

 俺は、店の客がはけた後におでんの煮汁を作りながら、「よし、誰も見てないことだし
たばこでも吸うか・・・」といつものたばこにガスで火をつけた。
 きょうは土曜日。そして、いつもより冷え込む週末だ。ただ今、昼の12時を過ぎた頃だが、夕暮れ時には
『俺のおでん』を目当てに心身ともhotを求める大勢の客が、この屋台にやってくるだろう・・。
 俺は「ったく、忙しいたらありゃしねえ。たばこを吸う暇ぐらいあってもいいだろ?」
と一人ボヤキながら火にかけた大鍋を見つつたばこを吹かしていた。
 ・・・と、その時。
 「なああにやってんのよーーーーーー!!!おでんの煮汁にたばこの灰が入っちゃうじゃない!!
 この店のおでんの煮汁は先代からの秘宝モノなのよ!ばっちい灰なんか入った日には、この店は先代
もろともつぶれちゃうんですからね!!!」
 勢い盛んな少女が調理場に入ってきた。年はまだまだ幼いがオトコをしかる口調だけはその辺のオンナなどには
かなわんぐらい厳しく、しかし最近は年頃のなのだろうかほのかに色っぽい・・・。
 だが俺は、まだまだこの少女に頭が上がらない。
 「なあちょっとくらいたばこ吸わせてくれたってイイだろ?」俺は、彼女を見やった。
 「吸うのは構わないけど、外で吸ってきて。煮汁は私が面倒みとくから」
 ・・・おお、どうやらたばこを吸う許可が降りたらしい・・・
 俺は、サングラスを「スチャ♪」とはめて外へ出た。背後から
 「なんでたばこ吸うのにサングラスなんかはめて外へ出てくのよ?」と声が俺を追いかける。
「・・・俺は小瓶を偽名で売った身だからな。しかし自分の身のためだけではない、あの元マスターの為でも
ある。日々どこをうろついているかわからない、裏の世界の番人たちに目をつけられないようこうやって
マメに身を隠すのさ・・」
 誰に言うのでもなく俺はつぶやく。
 片手にたばこ。そして紙コップに入った熱いコーヒーをもう片手に、俺は夕日を見ながら
煙を吐く。。。至福の時である。パラリとコーヒーに入るタバコの灰もなんだか 趣深い。
 西日がまぶしい。
 サングラス越しに見やりつつ、彼はおでんやの将来と少女の将来についてしばし思いをはせた。

27青い薔薇:2004/02/29(日) 14:56
第3話 「二月の記念日 前編」

 二月も中盤である。節分がすぎ暦の上では春だと告げるが、現実はまだまだ寒い
日々が続く。。。
 
 今日は屋台は、「お休み」である。近頃は週末を中心に、爆発的な人気を誇った「マスターの
おでん」だが、当のマスターの過労が重なり「えーーーい やってられっか!?」
とキレたので、今日はめでたく久々の休日になった。

 女の子:「ねえ、マスター。今日はせっかくのお休みなんだからどこか出かけようよ!」
マスター:「ん?? ああ、でももうちょっと寝かせてくれよ。せっかくの休日だからさ」
 女の子:「えーーー、じゃあ後、一時間ぐらいね!」
マスター:「一時間か・・・しゃあないなあ・・・一時間ね。」
 女の子;「じゃあ、出かける用意してるからね!」

 ****** そして 一時間半後。 ******
あくびをかみ殺しつつ、トレンチを羽織りサングラスをかけたマスターと、
うきうき気分でおしゃれをした女の子は久しぶりに街に出た。
 二月に入りあちこちに、バレンタインシーズン到来を告げるべく派手なデコレーション
が目に付く。女の子は、お年頃のせいか紅いハートとかキンキラのリボンなどを見つめては
うっとりしていた 
 二人はしばらく歩いた後、小さなカフェでお茶を飲んだ。
小さなショーケースに並んだ可愛いケーキを見て、女の子が言った。
 女の子:「あんなカワイイお菓子を売ってるなんてステキだな・・・(ホウ←ためいき 」
マスター:「ん?ああ、あーゆーのはスキか?」
 女の子:「ウン!!モチロン!!!」
マスター:「しっかし、ウチではケーキなんか出せんぞ?おでん屋なんだから」
 女の子:「んーーーーー やっぱりね。おでん屋だもんね。。。あ!でも
       イイコト *:.。..。.:*・゜(*゚∇゚*)゚・*:.。. .。.:*ヒラメイタッ☆」
 しばし考えていた女の子の顔が急に明るくなった。
マスター:「オッと突然大きな声を出さないでくれよ びっくりする・・・じゃな・・・」

 女の子はバタン!!と立ち上がりマスターに言った。
 女の子:「マスター、今から急いでお店に帰らなきゃ!!おでんやで作るメニューを
思いついたの!!」
マスター:「なんだとう?今から店に?もしかして俺も手伝うのか??勘弁してくれよーー」
 女の子:「とにかくメニューの試作品作って見なきゃ!!もちろんマスターも手伝うのよ」
こうして、お茶もお出かけもそこそこに二人は店に帰った。
   
          ----------------二月の記念日:前編終わり------------

28青い薔薇:2004/02/29(日) 14:58
「二月の記念日 中編」

 店に戻った二人。マスターはやる気の無い様子でいつもの白いかっぽう着を、
そして女の子はピンクのエプロンをそれぞれ身につけた。
 所狭しと調理器具が並べられている中、まな板と包丁を用意し女の子は冷蔵庫の
中から、ほうれん草と鮭・・そしてクリスマスバージョンの時に使用した特製「おでんの汁」
と特製「大根(おでん用)」を取り出してきた。

 マスター:「おいおい クリスマス用のおでんまで出してきて、こんな特別なモノまで使うのか?」
  女の子:「ウン、やっぱり特別な日のメニューの基本はクリスマスバージョンで行こうと思うの!!」
 マスター:「なんでもいいけど、おもちゃだけにはするなよ?」
  女の子:「当ったり前じゃない まあ まかせといて!!」

 ***女の子は、手早く料理を始めた!!!!
 ほうれん草を軽くゆでて取って冷まし、鮭とおでんの煮汁とクリスマス用おでんの大根を一緒に
煮ること1時間・・・。一方、煮汁は別の鍋に少量入れて片栗粉でトロミを付けて置いた。
  
 マスター:「俺の出番はw??、っていうか、一体何を作ろうとしてるんだい?」
  女の子:「大根のミルフィーユ、よ!!」
マスター:「ミ・・・??そのミルなんとかって、おでんなのか?ウチのメニューに
      横文字なんかいれられねえぜ??」
 女の子:「れっきとした おでんよ!!きっと先代のマスターも喜ぶわ
     メニューにも進化が必要よ!!」

 女の子は、大根を薄めに切って煮たものを2つ、まな板の上に置いた。
 その片方の上に、切り身の鮭とほうれん草をほどよい大きさに切ってならべる。
 そしてもう片方のおでんをのせて、とろみをつけた煮汁を上からソースのようにかけた。
 さらに、カラシと赤みそを棚から持ってきた。そして、大根のミルフィーユの上に、それ
 ぞれ大きなハーートを描いた。黄色と茶色のコントラストがナカナカ洒落てる。

 薔薇氏・・じゃなくて、マスターは手持ちぶさたなので、からみ餅を口に放り込みながらその様子
をみていた。
 マスター:「なんか 派手なモノが出来てきたな。大根の白に加えて、ほうれん草の緑、鮭のピンク
 カラシの黄色とみその茶色か・・・。さっきの茶店にあったケーキみたいだな」
  女の子:「ん、今回は見た目を重視で作ってみたわ。名付けて、バレンタインバージョンのおでんの大根!」
 マスター:「そのまんまの名前だな。。ところで、ソレはウマいのかww?」
  女の子:「マスター半分食べてみて、私も後から食べてみる」
 マスター:「なんだよw 俺が先かよw まあいっちょ食べてみるか」
 **マスター、少しおそるおそる口に運ぶ・・・・**
  女の子:「・・・どう?」
 マスター:「*う、ウマい!!:.。..。.:*・゜(*゚∇゚*)゚・*:.。. .。.:*・ウマ過ぎる☆」
 
 マスターの目が、今まで見たこと無いほどにキラキラと輝いた!!!
 続いて女の子も食べてみる。
 女の子:「(((≧∇≦)))♪ (((≧∇≦)))♪ (((≧∇≦)))♪ 」

 ・・・どうやら、その美味しさは、言葉の表現を越えているらしい・・・・
 
 というわけで、新作は案外と簡単に「メニュー」に加えられることとなった。
しかし、手間暇かかるのと「クリスマスバージョンの大根・煮汁」を使うので
二月の期間限定の発売となった。二月はあまり日数がない、ということでこの
メニューもあと2週間ほどである。さて、果たしてコレをオーダーして食べる客はいるのだろうかw

                ------------2月の記念日・中編終わり---------

29青い薔薇:2004/02/29(日) 15:05
「二月の記念日 後編」

 さて、新メニューも決まっておでんやも新たな気分で店を開けた。
 でかでかと、期間限定メニューを掲げる。。
  ・・・しかし、1日、2日、そして3日・・いっこうにこのメニューの
オーダーは入らない。時々客に「アレは何?」ときかれ説明するが、ナカナカ
 これを食べようと思う客はいないようだった。
 日がたつにつれ、マスターも女の子も「俺たち・・何か間違ってしまったのか??」
と新メニューに対する自信が薄れてきた。一口食べてもらえれば良さがわかるはずなのだが、
商売とゆーものは厳すぃもの・・、客の口に料理を入れる事がこんなに難しいとは思いもよらなかった。
 とうとう、14日も過ぎ2月のメインイベントであるバレンタインデーも過ぎてしまった。
このメニューは「バレンタイン」を意識して考案されたものであった。
 おでんやそのものは活気があり常連たちで賑わっていたのだが、マスターと女の子の心は
新メニューが売れない限りどことなくさびしげだったのであった。
 それから、また1つも新メニューは売れることなく日々は過ぎた。

 *****と。ある晩。客の足も退いて、女の子がさあのれんを片づけましょう・・と外にでか
かった。そのとき、
 壁|-^;)チラッ :「すみませ〜ん。あのう、コレがおみせの前に落ちていたんですけど」
 ピンクのトレンチを着た女性が、左手に財布を持って店の中に入ってきた。
 女の子:「あら?誰のかしら。お客さんのかな・・・??」
 女の子が財布を受け取ったときに、奥から様子を窺っていたマスターが声を張り上げた!!
 マスター:「おおおお!!ソレは俺が2日前からなくしてた財布だよ!!
 お嬢さん、ありがとう」
 女性は、「あら?そうなの(笑)」と言い、(*^-^*)にっこり、と笑った。
 その可愛いおねえちゃんのほほえみに、ヤラレタ薔・・じゃない、マスターは
頼まれもしないのにいきなり「期間限定のメニュー」を作り始めた。。
 マスター:「財布のお礼と言っちゃなんだが、いっちょ食べてみてくれ!」
 女の子もマスターにつられてイソイソと用意し始めた。
 出来上がった料理に女性は箸をつけた。一口パクリ。
 「よくわかんない味だけど、美味すぃ〜♪今日は私のバースデーなの、貴重な味を食べたワ」

 またまた可愛い笑顔に照れつつもマスターと女の子は、自分たちの舌だけじゃなくて他のひとでも
美味しいといってくれたことがとてもうれしかったのだった。
 そして、また元気にお店を開いたのである。

追伸:そのピンクのトレンチを着た女性は、時々おでん屋に足を運んでくれ
るようになった。
期間限定メニューを美味しそうに食べている彼女を見て,
「あそこのririka姫が食べているものは何だ??」
とウワサになり他の客もオーダーをして食べるようになったw
 とにかく、めでたしめでたし。
             --------------2月の記念日 後編 完------------

30青い薔薇:2004/02/29(日) 15:17
第4話 「運命の女(ファム・ファタール) 恋月姫」

 3月に入った。近頃の天気はどうも不安定だ。あたたかい日も在れば、急に冷え込んで真冬の
様な気温の日もある。春の天気と女心はおぼつかない、とはよく言ったものだがこうも天気が変
わると体調も壊しやすいものである。マスターも女の子も何となく風邪気味だった。

 マスター:「ゴホッ、ゴホッ・・・。なんか最近調子よくないんだよなあ。」
 女の子 :「マスター、忙しい時期の疲れが出てきてるんじゃない?少し休んだ方がいいので
は?? 最近は客足も落ち着いた数だしまとめて休みをとろうよ」
 マスター:「んーー そうだな、年末以来働きずめだったしな。1週間位、休みをとろうか」
  
こうして、屋台は臨時休業1週間という張り紙をだし、マスターと女の子も久しぶりのロングバケ
ーションに入った。

31青い薔薇:2004/02/29(日) 15:30
 女の子は、最近仲良くなったririka姫と連絡を取り二人で出かけることに
した。マスターと二人暮らしだった彼女にとっては、初めて「お姉さん」と
一緒に街へ外出・・・である。コレはコレでナカナカドキドキするもの。
会うのは数日後だが、心落ち着かずにいそいそと着ていく服を選び始めた。

 一方マスターは、最初の休みだけは1日中寝ていたが、こちらも外出しよ
うと決めたらしく小さなトランクになにやら準備を始めた。
 女の子:「マスター?、何してるの?旅行へでも行くつもり?」
 マスター:「ああ、せっかく連休があるからちょっくら息抜きしておこう
とおもってな・・。ちゃんと店を開ける日までには戻ってくるから」
 女の子:「行き先は?」
 マスター:「いや?特に決めていない。行き当たりばったりの旅もいいか
とおもってな」
 女の子:「フーーーン・・。まあ、ケータイがあるから連絡取りたいとき
は電話かければいいものね。じゃあ気をつけて行ってよ?」
 マスター:「ああ・・・」
 女の子は、マスターの話になんか釈然としないものがあるなあ、と感じつ
つも四六時中一緒の生活だから、たまには一人になりたいのかな?と思いそ
れ以上は深く追求しなかった。

32青い薔薇:2004/02/29(日) 15:44
太陽が沈み、街の灯がともり始めた。買い物へ出かけた女の子は、まだ家に
戻ってきていない。
マスターは、「行って来る」と一言だけ書いた置き手紙をテーブルに置いて
外へ出た。例のトレンチに、黒いサングラスそして今日は小さなトランクを
片手に持っている。長身の彼に、丈の長いトレンチはよく似合う。そのポケ
ットから煙草を取り出し、一本口にくわえて駅の方向へと歩き始めた。
 ******* 駅から電車にのって1時間半、終点に近い小さな駅で彼は降りた

 都心からだいぶ離れた片田舎ともいえる場所。だが、マスターはここにく
るのは、どうやら初めてではないらしい。周りは暗いが慣れた足取りで道をゆく。
電灯がぽつりぽつりとあるだけの道を歩き、なんと彼は山の中へと入っていった。

33青い薔薇:2004/02/29(日) 15:57
夜の森というのは、ものすごく不気味である。その夜が満月の明るい光に照らされ
ようと決して一人では行きたくないものである。ときおりフクロウの鳴き声がする。
マスターは、森の深くへ入っていった。ガサリ、ガサリ・・・自分でたてた音だが
なんとなく誰かが自分の後をつけている様な錯覚にも陥る。マスターは、片手に鍵
を持った。バサッ、。。。森の中に作られた人工の空き地に出た。
なんと、森の中にはまだ新しいヘリコプターが隠されていたのである。

 マスターは、右手に持った鍵をヘリのドアへ差し込み運転席に乗り込んだ。
マスター:「よお、久しぶりだな。会いたかったかい?今夜からしばらくまた世話になる
ぜ。。忘れてたヤボ用があってな。」
 へりがまるで人間の親友のように、マスターは話しかけた。キーを回してエンジンをかけ
る。すると、「B・BLUE」のイントロが機内に響き始めた。

34青い薔薇:2004/03/01(月) 19:29
  マスターは、持ってきた小さなトランクをカチャっと空けた。
 中には、旅行用の身の回りの部品わずかばかり・・・。
 そして、小さな「ピンクの小瓶」が在った。
 この小瓶については、第一話の冒頭で触れた「2つの小瓶」と
 同種の「世界中のマニアが手に入れたがっている代物」であり、
 3つの小瓶の内、最も持っていると「やっかいな」代物である。
 ピンクの小瓶は、持ち主の要望を何でもかなえてくれるという夢のような代物だったのだ。
 当然、手に入れたがる人間の数は多い・・。もっとも、コレがこの世に存在
 してるのを知らない連中も多いのだが・・。
  マスターは、先代のマスターにもピンクの小瓶だけは渡さなかった。所持している
 とその身の危険性が高いため、自分ひとりこの世に知られない場所でひそかに廃棄しようと
 思っていたのである。

35青い薔薇:2004/03/01(月) 19:39
  マスターは、布に包んだそのピンクの小瓶を手に取った。
 マスター:「やれやれ・・こいつのおかげで、誰にも知られないこの
      世の果てまで小旅行と洒落込むことになっちまったw。お前のおかげで俺の
      命がどんだけ危険にさらされていたか・・知ってるかww???」
  不思議な力を持つ小瓶を狙うマニア達から身を守り、そして命を狙う人間から
 いつでも逃げられるようマスターは自家用のヘリを田舎の山中に隠しておいたのだった。

36青い薔薇:2004/03/01(月) 20:14
  夜は深まってきた。風が強すぎると、ヘリの飛行はとたんに難しくなる。
 比較的穏やかな今のうちに飛び立つ・・・。
  ローターが回転し、空き地の周りの雑草は強風に煽られている。操縦桿を
 握り締めヘリは上昇し始めた。マスターは、ヘリ操縦用のヘッドホンをして前方に目を凝らしている。
 暗闇の中に、目に見えない敵が潜んでいるかのように・・・・。
  マスター:「さて、この世の望みを何でもかなえてくれるブツと今宵は夜間飛行・・
       と行くか。」
 満月の夜は、とても明るい。ヘリはその中を飛び立ち、上昇しすぐに太平洋に出た。
  海に出ると、ほとんど何処を飛んでいるのかわからない。レーダーと、空に浮かぶ月や
 星の位置でなんとなく方向を決めているようなものだ・・。マスターは、とりあえず夜が明けるまで
 飛び続けようと思った。ヘリはある程度の広さの着陸地点がないと降りられない。
  夜が明けないと着陸可能な地点をはっきり見定められないからだ。

37青い薔薇:2004/03/01(月) 20:54
 何時間飛行しただろう。。ひたすら方角は南のほうにとっていた。
 空が、今日も新しく昇る太陽を迎えようと白み始めている。ヘリは海の上空を
飛び続け、眼下には小さな島らしきものが点々と見える。美しい朝陽に照らされ
 海と島々が神々しく見える・・。マスターはふと「無人島に着陸もいいな」と思った。
着陸地点を見つけるために、ヘリはだんだん下降していった。
島の近くにくると、マスターは何か人の声のようなものがするのを感じた。
・・・・・・・人の声??まさか、ここに人間は俺一人しかいないというのに・・・・・。
 徹夜飛行による幻聴?を聞きながら、マスターは幾つかある島の中のひとつ、一番ひっそりと海に浮かぶ
島に着陸を決めた。なぜか吸い寄せられるようにその島が気になってしまったのだ。

38青い薔薇:2004/03/03(水) 22:01
  ヘリを、慎重に着地させたマスターは徹夜飛行の疲れで眠ってしまった。
 陽が高く上り、そしてまた暮れようとする頃、彼は空腹を感じて目を覚ました。
  ヘリから降りると、数十メートル先は、青い海である。ヘリのそばに枯れ木を
 積んで焚き火を作った。(注※この場合ちゃっかまんは使用しては、いない)
  その火に当りながら、マスターはピンクの小瓶をどこに捨てるか少し考え、結局
 あたりが暗くなった頃を見計らって海に流してしまおうと思った。
******** 日が暮れて、無人島に暗闇が訪れた******
  マスターは、極上のスコッチを飲みながら、小さなトランクを開けた。
 例の小瓶に手を伸ばした瞬間、マスターはビクっとした!!!
  背後に、人の気配がする。。というか、マスターはここに着陸したときから
 何故か常に人のような気配を感じていた。
 マスター:「まさか、こんな南の果ての無人島まで俺様をおっかけてきた物好きがいるのか?」
 トランクの中のシグ272(←ピストルの名前・マスター愛用品)を頭に思い浮かべながら、マスタ
 −は緊張を走らせた・・・。
 ***♪ピチョン♪*****
  マスターははっきりと物音のしたほうにシグ272の銃口を向けた!!
  しかし、そこに見えたのは月影が暗いせいでよく顔は見えなかったが、髪の長さがセミロング位
 の若い人魚の姿だった。

39青い薔薇:2004/03/04(木) 21:34
 人魚:「あなた・・・、ダレ?」
 意外な事に人魚の言葉は日本語だった。マスターは、拍子が抜けた。。そして優しげな声に緊張が
 一瞬で解けてしまった。銃口を降ろし、彼女に言った。
 マスター:「君こそ、、ダレだい?w まいったな、人魚がこの世にいるなんて・・・絵本の中で
 しかお目にかかったこと無かったのに・・・。」
  マスターはわが目を疑うような気持ちだったが、不思議とこの人魚に親しみを感じた。
 人魚:「ワタシの名は、恋月姫。ここにずっと昔から住んでいるのよ。アナタは?」
 マスター:「じゃあ初めましてだなw 俺は、遠い世界からやってきた旅行者だよwそんなに長くは
 ここにいるつもりは無い。俺の名は通称「マスター」だ。しっかし本物の人魚って初めて見た」
 人魚:「ワタシもあなたのように腰からしたが真っ二つに割れている(注※脚のこと)生き物は
 始めて見ました。割れているところは痛くは無いのですか?」

 恋月姫も、人間をみて衝撃を受けているらしい。お互いに目をぱちくりしたままだ。

40青い薔薇:2004/03/04(木) 21:43
 マスター:「恋月姫って変わった名前だね。何で、その名前になったんだい?」
 恋月姫:「ワタシは歌を歌うのがとてもスキなの。月の明るい夜は、特にうたいたくなるわ。
 そんなワタシを見て誰かがまるで月に恋をしているかのように歌っている・・と言ったの。
 そこから、恋月姫という名前がついたわ」

 マスター:「ほう・・・歌が得意なのかい?じゃあ 俺にも何かひとつ歌ってくれよ??」
 マスターは、もしかしてこの島に近づくときになんとなく感じた「人間の声」は彼女の歌声
 じゃないのか・・・?と思った。
  恋月姫は、静かに歌いだした。マスターは焚き火の火をじっと見つめながら聞きほれている。
 こうして、その日の夜は更けていった・・。

41青い薔薇:2004/03/04(木) 21:58
  夜が更けたあと、マスターはうつらうつらとまどろみはじめ・・恋月姫の姿は
 音も無く消えた。マスターがそのことに気がついたのは、夜が明けて朝陽を映す空が白み始めた頃だ。
  マスター:「昨夜は、人魚がこの目に見えたが・・あれはもしかして夢だったのか・・」
 マスターは、恋月姫のことを思い出しながら考えた。
  しかしそれよりも、結局昨日は食べ物を食べていない彼は強烈な空腹感を覚えた。
  小さなトランクから、カロリーメイトを取り出し食べ始めたがどうにも物足りない・・山や海に入って
 何か食料になるものを探し始めた。。
  そうこうするうちにまた日暮れが近づいてきた。その日は食べ物らしいものを手に入れられなかった。
 夕闇が訪れ、また人の顔がなんとなく見えにくいぐらいの暗さになった。
 *****チャポン♪ チャポン♪****
 どこからともなく音がする。気がつけば、昨夜見た人魚が両手にあわびやらなにやらを持って来ていた。
 恋月姫:「あの・・・、コレよかったら食べませんか?そこの焚き火で焼けば安心して食べられますよ・・」
 マスターは、昨夜の人魚のことは夢空言ではなかったと嬉しがった。そしてあわびにも嬉しがった。
 マスター「ありがとう!!今日も昨日もほとんど何も食べていないんだ・・・。よかったら君も一緒にどうだ?
 食べないか?」
 恋月姫:「・・いいえ、ワタシはおなかがすいてないのどうぞあなたが全部食べてください。」
 マスターの傍に寄るのが怖いのか、恋月姫は一定の距離を保ちながらそう言った。
  マスター:「そ・・そうか、それはちと残念だな・・。じゃあありがたくいただくぜ」
 マスターが火で貝を焼きおいしそうに食べているそばで、また恋月姫は歌を歌いだした。

42青い薔薇:2004/03/05(金) 23:19
  マスターと恋月姫は、一定の距離を保ちつつも次第に仲良くなっていった。
 特に月夜の美しい晩などは一晩中、恋月姫は歌っていることもあった。。しかし
  マスターは、気がかりに思うことがあった。それは、彼女が中々 顔を見られる距離に
 近づいてくれなかったのだ。

  マスター:「なあ、なんでいつも 俺から少し離れたところにいるんだ??」
  恋月姫:「近くに行くのははづかしいデス! 声さえあなたに届けば良いじゃありませんか?」
  マスター:「でも、そんなに美しい声をしているのだからきっと顔もとてもうつくしいんだろう?
   せっかくなんだしちょっとでいいから、顔を見せておくれ?」
  マスターは恋月姫の傍に、近寄ろうとした・・。
  すると。
 *****バシャン☆★★*******
  恋月姫は大きな水音をたてて、海に潜ってしまった!!
  マスターは、ほうっとためいきをついた・・・。
  しまった・・・怒らせちゃったか・・・・・。

43青い薔薇:2004/03/05(金) 23:29
  マスターは、恋月姫と出会ってからピンクの小瓶のことなど、とうに忘れてしまっていた。
 彼がそのことに気づいたのは、恋月姫が海に潜って逃げてしまった晩からだ・・。
 マスター:「しまった・・・彼女に出会ってから俺はここにきた本来の目的を忘れてしまっていた・・。
     この妙な小瓶を片付けるためにはるばるココまできたのに・・(苦笑・・」
 マスターは、残り少なくなったスコッチをちびちびやりながらそのことを思い出しそして、眠ってしまった。

 ***翌日の夕方****
 マスターは、山でどうにか手に入れてきた木の実などを食べつつ、恋月姫の登場を待っていた。
 いつもは、彼が夕飯を食べようとする頃にそっと岩陰から声をかけてくるのだ。
 しかし、その夜は恋月姫は来なかった・・。次の日も来なかった・・。
  その翌日はマスターは東京に戻らなければならない日である。。。。

44青い薔薇:2004/03/06(土) 20:44
・・・・日が暮れ、そして昇り、マスターは恋月姫が現れるのを今か今かと待った。
 ピンクの小瓶を処分することもやらなければならないことなのだが、それよりももう一度
人魚に会うことの方が先のような気がしてならなかったのだ。
 
 東京に戻らなければならない当日・・、その日も良く晴れていてヘリを飛ばすには絶好の天気
だったのだが、マスターは日暮れ直前まで恋月姫を待とうと思った。
 いままでの成り行きからすると、彼女は暗くなった夜にしか姿を現さない・・。

 ピンクの小瓶を片手に持ち、薄暗い山中にマスターは入っていこうとした。
 そのとき、恋月姫が歌う声が遠くから響いてきた。。
  マスターは我が耳を疑った・・。今は煌々と日差しが降り注ぐ真っ昼間だ。
  恋月姫:「マスター、どこに行くの?」
 彼女は岩陰などには隠れもせず、顔がはっきりみえる位置までやってきた。

45青い薔薇:2004/03/06(土) 22:10
・・・・ 恋月姫のコトバ・・・・

 マスター、ワタシの歌をいつも聞いてくれてアリガトウ・・。
 でも、ワタシの声とワタシの容貌(顔)はずいぶん違うの・・。
 ワタシの歌に聴き入ってくれたのはトテモ嬉しかったケド・・、声を誉めてくれたぶん
 、素顔をさらすのは正直言ってとても怖かったわ・・。

 **********恋月姫は、瞳にうっすらと涙を浮かべながら話した。
 マスターは、彼女のコトバを聞きながら、内心かなりビックリしていた。
 そう。
 彼女が今言ったとおり、
 恋月姫はその美しく若々しい声から想像出来ないほど、年老いた老女の顔だったから
 だ!!!!

46青い薔薇:2004/03/06(土) 22:29
マスターはつぶやいた。

 『人魚は不老不死の姿を半永久的に保てると聞いていたが、君はいったいナゼ?・』

47青い薔薇:2004/03/07(日) 00:15
 ***恋月姫は、黒い瞳をうるうるうると潤ませながら、語ってくれた***

 今から50年ほど前、この島に小さな船がたどり着いたの・・。
 ちょうど 明け方・・その船を発見したのは私なんだけど・・。
 中には、私と同じような若い女の人魚が倒れていたのよ。
 私は、最初その人はもう死んでいるか・・と思ったの・・。でもね、なんとなく
まだ息をしていそうなカンジがあったからとにかく手を尽くして介抱したわ。
 その人魚が、口を利ける位に回復したときワタシはとても衝撃的なコトバを聞いたの。
 「どうして、ワタシを助けたりなんかしたの??ワタシなんか死んでしまえば良かったのに」
 泣きながらそういったの。それみてて ワタシもスゴク哀しくなってさめざめと泣いたわ。

 その人魚の話を聞いてみると、なんと彼女は結婚したてだったんだけどスキな人に
「お前のその老けた顔見るとウザイ!!」って虐待に近いコトバを毎日聞かされたそうなの。
 ダンナさんは「人間」で、彼女が「若い人魚」だから興味をそそられて結婚したらしいのよ・・。
 人間って、若い人魚=「美しい女」と決めているようで、なんだか哀しかった。
 マスターのワタシに対するイメージもそんなふうなのかな?ッテ思って少しワタシも
考えたわ・・。(続く)

48青い薔薇:2004/03/07(日) 14:53
 マスターは口を開いた。

 マスター:「・・・。俺は、君の美しい歌声に強く惹かれたんだ。君の歌を聴くのは
 とても幸せな一時だった・・。それゆえに 君の容姿(顔)も声に劣らず美しいのだろう?
 と早合点してしまったんだ。」
 マスターは、何故か後ろめたいような気持ちで言った。
  ***恋月姫の話は続く***

 そうして、彼女の顔が老いた女の顔のようだ、と思ったのは実はワタシも思ったことなの。
 だから余計彼女の話に同情したわ。
 そして、ワタシはとんでもないことを思いついてしまった。
 自分の顔と彼女の顔をそのまんますり替えたらどうだろう??って。
  ワタシは、独り身だし好きな相手もいなかった。ワタシの容姿がどうなろうと、別に気に掛けてくれる
 存在も無かったわ。 でも彼女は違う。もし、美しい若い顔に生まれ変わったとしたら少なくとも
 彼女の傷ついた心だけは救われるんじゃないのかしら。
 
 ーーーー恋月姫は、一瞬遠くを見る目つきをしたーーーー
 「そうして、ワタシとその人魚は顔をそっくりそのまま交換したの」
 
 マスターはビックリしながら聞いた。
  マスター:「で、その人魚はダンナのもとへ?」
 恋月姫:「イイエ、そのダンナはすでに別の人間の女と暮らしていたみたい。彼女にとっては
  もう関わらない方が良かったと言えるわ・」

49名無しさん:2004/03/09(火) 20:53
マスターの心は、彼女の話を聞くうちに次第にある方向へと向かっていった。
 彼女と話していられるのは、今日一日限り。そして・・ピンクの小瓶
 も片付けてしまわなければ・・・。

 マスターは、恋月姫をじっと見ながら口を開いた。
 
 マスター:「君の貴重な話を聞かせてくれてありがとう。実は君が俺の傍に
 近寄らないのは君が僕のことを嫌いなんじゃないか??と思ってしまっていた
  だけど今の話を聞いてそうではないということがわかり安心したよ。」

 恋月姫:「マスターを私が嫌う!?? マサカ!!そんなことあるわけないじゃない
 ですか!!!」

 マスターは、右手に持ったピンクの小瓶を恋月姫に差し出した。

50青い薔薇:2004/03/09(火) 21:00
  キラキラと陽の光を受けて煌くガラスの小瓶。その中にはピンクの液体が・・。
 
 マスター:「これはね、持ち主の希望を何でも叶えてくれるという魔法の液体。
      信じられない話と思われるかもしれないけど、ホントにこの小瓶の
    効果を狙っていろんな人間が争いを続けてきた。俺がこの島にやってきたのは
   この争いの火種になるピンクの小瓶を破棄しようと思ったからさ。。
   持ち主の希望を何でも叶えてくれる魔法の小瓶なんて、ムシのいい話にだまされて
   何人もの人間が傷つき絶望して死んでしまっていった・・俺はそういうのはもうたくさん
   だと思った。。もうこの瓶を誰も使わないよう・・捨ててしまいたかった。」

51青い薔薇:2004/03/09(火) 21:05
 マスターは一息でそこまで話した、恋月姫はひた・・とマスターが持っている
 ピンクの小瓶に目を凝らしている・・。
 
 マスター:「・・・でも、君の話を聞いて心が変わったんだ。」
 *****どうか、この小瓶を君が使って君自身の本当の顔を取り戻してほしい****

 マスターは恋月姫にピンクの小瓶を手渡した。
 恋月姫は信じられないという顔をして受け取った小瓶を見つめている。
 マスター:「俺を、信じてそのピンクの液体を飲んでくれ・・。」
 恋月姫に促した。

52青い薔薇:2004/03/09(火) 21:28
 恋月姫は、小瓶とマスターの顔を両方見比べた。
 ・・そして、願いを込めながら瓶の中身を飲んだ。
  “私の顔を元通りにしてください・・”

 恋月姫はそのあと、ぱたり。。と砂浜の上に倒れた。マスターは、ガラスの小瓶を
 焚き火の中に放り投げ完全にその存在を消滅した。

53名無しさん:2004/03/10(水) 21:27
 どのくらい時がたったのだろうか?
 マスターは焚き火の中で溶け行く魔性の小瓶をぼうっと眺めていた。
  ごうごうと燃え上がる焚き火の中、ビンはやがて涙をながすようにゆっくりと溶け出し
 その形を炎の色に同化させていった。
  マスターの傍らには、目を閉じてうつぶせになった恋月姫が横たわる。
 マスターはその姫に自分のトレンチを掛けてやっていた。
 しばらくして、姫が意識を取り戻した。
 
 「うう・・」
 恋月姫は両手で顔を覆い、うめき声をあげた。
 マスターは恋月姫の変化を見守った。
 恋月姫は、覆っていた両手をゆっくりと顔から離しながら問いかけた。
 「私の顔、どうなってます・・?」

54青い薔薇:2004/03/10(水) 21:33
 マスター:「き・・・君は!?」

55青い薔薇:2004/03/11(木) 21:37
 恋月姫はゆっくりと顔を上げた。
  濡れた美しい睫毛は憂いを含み、鼻筋はきちんと通り、そして口元には
 気品漂う美しい顔だった。
  マスターは、そのうつくしさに驚いた。しかしそれだけではない。
  恋月姫は、髪型や人魚の体をしていることを省けば、マスターのかつての
 恋人と瓜二つの顔をしていたのだ!
  マスターは、目の前の恋月姫に恋人の面影を見る思いだった。
  マスター:「き・・きみは、あの人と同じ顔ををしている・・」
  恋月姫は、海辺の澄んだ水面に自らの顔を映した。
  恋月姫:「マスター、コレは私自身のかつての姿に間違いありません。
      なんて お礼を言ってよいやら・・・」
  美しい黒い睫毛を涙でぬらしながら、恋月姫は嬉し泣きをした。
  マスター:「恋月姫、君は俺の昔愛した女にそっくりだよ。彼女は、俺と共に
  ピンクの小瓶を狙う連中から逃げている途中行方不明になっていたんだ・・。
   なんてこった、あの小瓶は君の顔を元通りにしただけではなく、俺に昔の女を
   引き合わせたんだ。」
   マスターは不思議な運命の組み合わせに、体のなかになんともいえない震えを感じた。

56青い薔薇:2004/03/11(木) 21:45
 すでに、陽は西に傾きかけた。
  恋月姫のうつくしい輪郭をオレンジ色の光がふちどる・・。
  マスター:「なんか 君と出会って俺はとんでもない体験をしちまった・・。
   世の中、こんな不思議なこともあるんだな・・。もっと君と一緒にいたいけど
  帰らなければ・・。待っているヤツがいるし・・。」
  マスターは、遠い世界のことのように思える「屋台」のことと女の子の事を思い浮かべた。
  マスター:「君の顔が元に戻ってよかった。そして 俺も・・。久しぶりに
   アイツが目の前にいるような錯覚がして・・嬉しいよ。」
  恋月姫:「マスター・・ 元の場所に帰ってしまうの・・??ずっとここにいなよ。」
  恋月姫は心底淋しそうだ。それもそうだ彼女は今までほとんど一人でココにいたのだから。

57青い薔薇:2004/03/11(木) 21:50
 マスター:「残念だが俺は、この島では生きていけない・・。俺は生身の人間なんだ。
    だが、俺の代わりといっちゃあなんだがコレをプレゼントするよ」
 マスターはトランクの中に詰めた身の回りの物のなかで小さな鏡をとりだした。
  コンパクト式になっている銀の鏡である。
 マスター:「これは鏡といって、その人の姿を映すものだよ。これを君に贈ろう。
    この鏡で自分の顔を見るたびに俺の事も思い出してくれたなら本望ってものさ♪」
 恋月姫は大事そうに、銀の鏡を受け取った。
 なるほど!!!恋月姫はいつもは水面でみていた自身の姿をはじめて鏡ではっきりと見たのだった。

58青い薔薇:2004/03/11(木) 21:55
 マスターは、驚きながらも嬉しそうに鏡を見ている恋月姫に満足だった。
 マスター:「さて・・・。小瓶も処理した事だし帰るかな・・。」
 恋月姫:「行かないでください!!」
 マスター:「俺を引き止めてくれるのか・・恋月姫。君の事は一生忘れないよ。。」
 マスターは恋月姫に近づいた。
 二人は向き合った。
 南の風が湿っぽく二人の間を通り抜ける。
 マスターは、恋月姫の額に軽いkissをした。それはささやかな、しかし愛情こもったものだった。
 ******サヨナラ、俺のジュリエット******

59青い薔薇:2004/03/14(日) 10:52
・・・二人の間をすり抜けていた風が、一瞬ピタリと止んだ。
 マスターと恋月姫は、見詰め合った。

 マスター:「君の純粋な歌声・・一生忘れないよ。」
 恋月姫:「ワタシもずっとマスターのこと忘れません・・。」

 マスターは焚き火の火を消して、ヘリに向かった。一度も恋月姫の方は
 振り向かなかった。ヘリに乗り込みエンジンを掛ける・・。
 
 へりはローターの部分から、すさまじい風を出した。恋月姫の髪が強風で
乱れる。髪を押さえながら姫は、ヘリとマスターの動きを見守っていた。
 島から離陸した・・。マスターは恋月姫の方を見ることができなかった。
 激しい胸の動悸を感じつつ、彼は島を後にした・・。
 すると、島の方からまたあの歌声が聞こえてきたような気がした。

60青い薔薇:2004/03/14(日) 11:08
  マスターのサングラスの奥にキラっと光るものがあった。
  それは、マスター自身がとても久しぶりに流した一粒の涙である。誰にも
 知られず悟られず・・、ヘリの狭い機内の中で一人マスターは泣いたのだった。
  マスター:「恋月姫、いやジュリエット・・。もう君には二度と俺は会うことが
 ないだろう・・。自分のこの気持ちを抑えるだけで精一杯だ・・。」
  マスターは、恋月姫とそしてかつての恋人の面影に同時に別れを告げた。
 ・・恋月姫の住む島影は、すでにヘリからは見えなくなっていた。マスターは、気分を
  軽くしようとオーディオにスイッチを入れた。
  すると、「CLOUDY HEART」が流れてきた。

   ♪♪♪ーーーーそうネ終りは、当たり前のようにくるものだし
  しかたないぜ はしゃいでた あの日にサラバ −−−−♪♪♪

  ****主人公は、荒野を旅していく。人生最大の恋。それは自分自身に対する恋愛かもしれない。***

         ----------第3話 運命の女・ファムファタール 恋月姫編 終り----------

61青い薔薇:2004/03/14(日) 11:38
 あとがきに添えて・・・
 この話(運命の女〜)を書こうと思ったきっかけは、それまでの自分の書いた話を
読み直したときに「あれ?小瓶は確か2本じゃなくて3本あったはず、残りのピンクの
小瓶はどこへいったんだろう?」と自分で疑問に思った事です。
 「ピンクの小瓶」と「新しく登場させる新キャラ」のことなど考えていた折、
 音楽雑誌を何気に読んでいたら、次の言葉が出てきました。
*****「この曲はブラックスーツを着たときの心地よさというか、運命の女ファムファタール
が目の前にいたとしてもその恋に溺れてしまうんじゃなくて 自分の心の中で燃え上がって燃え
尽きていくようなクールネス」 UV vol95・布袋寅泰 king is back インタビューより*****
 ・・この言葉を読んだときに、うわっと思って凄く衝撃的だった。クールとはよく使われる言葉だが
 この文章に書かれたクールネスこそ最高のクールネスだ!!感動しました。
 私は何かを創る時に、自分自身の感動したことがきっかけで創ることが多いのですが
 この恋月姫はまさに、その布袋氏が言うクールネスの解釈から受けた感動によって生まれた話です。
  シリアスな恋愛系の話は書きなれてないせいか思ったよりも肩に力が入りかなり長い話になって、
 途中ダラダラしたところもあったと思うんですが読んでくれてありがとう。
 
 最後に指摘される前に言っておきますが、恋月姫編は#60で第「3」話が終りと書きましたが
 正しくは第「4」話ですww(恥ずい
 修正が聞かないので許してくださいw

  以上。読んでくれるみなさまに愛を込めて☆ by 青い薔薇

62青い薔薇:2004/03/14(日) 12:36
青い薔薇literature  超★特別番外編第5話「おでんやでのお作法:x japanリーダー yoshiki編」

 さて春も本格的に始まり、暖かい日曜日である。女の子とマスターは花粉症の心配をしつつも
 春ならではの陽気を楽しむ。最近はおでんやもシーズンが外れゆったりとした毎日だ。

 その夜も何事もなくいつものようににおでんやは開店した。日曜なのでサラリーマンの
姿はなくなじみのおじさんたちがちょこっと顔を見せにくる程度である。
 そんなこんなで夜も11時を回った。普段なら客がいなくなったら店を閉める時間である。
 女の子が外の様子をうかがい誰ももう店に来ないようなら、のれんをはずそうとした。
 すると。
 遠くの方から、でかい外車の排気音がバリバリと響いてきた。
 マスター&女の子:「な、なんだ???」
 爆音は近づき、そしてなんと屋台の前で止まった・・と同時にマスターと女の子の心臓も
 止まりそうにびっくりした。こんな夜更けなのに我が店にいったい誰が・・・?

 車のドアが、開いた音がして数人が中から出てきた・・。そして、金髪の青年をぐるりと
 囲みようにして店の中に入ってきた。
 ・・・・金髪の青年はサングラスをかけ、手には書類の入っているような薄いかばんを持っていた。
  店に入ると彼は、周りにいた図体の大きい黒人の男たちに英語で何かぺらぺらとしゃべると、男
 たちは店から出て行った。カウンターには金髪の青年一人・・。マスターと女の子はどう接したら
 良いかわからない。妙な緊張感。マスターはその緊張のせいか思わず聞いてしまった。

 マスター:「す、すいません。お名前は?」
 女の子とyoshikiははっとした!!
 女の子:「ご、ごめんなさい。変なこと聞いちゃってw お飲み物は何にしますか?」
 yoshiki :「いや、別にいいよ。俺の名前はyoshikiと言います。飲み物は、そうだな白ワインを
 グラスでもらおうか・・」
 さらりと言ってのけるyoshikiである。
  さてこれから「 yoshiki vs マスター&女の子」の、「おでんや」のメンツ
 を掛けた「正しいおでんやでのお作法」バトルが展開する。

63青い薔薇:2004/03/16(火) 15:42
yoshikiは、おでんやでも LAの彼自身の習慣でいつものように「白ワイン」を注文した。
 ・・が、賢明な読者であられるみなさんはとうの昔にお気づきだと思うが、普通おでんやに
 「白ワイン」は置いていない。
 しかーーし、マスターと女の子は客のオーダーに答えられないことは許さない気質の持ち主
 である。
 マスター:「白ワインですね?少々お待ちを・・」
 マスターは、パッと割烹着を脱ぎ捨てて外へ出ていった。
 数分後マスターは白ワインの小瓶とグラスを片手に帰ってきた。
 女の子:「まあ!白ワイン、どこで手に入れてきたの??」
 マスター:「いや ちょっくら、2軒向こうの洋食専門の屋台で借りてきた。」
 マスターは、白ワインをグラスに注ぎyoshikiに出す。
 yoshiki:「やあ・・、まさかおでん屋に白ワインがあるとは思わなかったよ ♪」
 マスターと女の子は、ガクッと滑った。
 yoshikiは何気ない様子で、上機嫌でグラスに口を付ける。

 マスターは思った。
 「食えない男だ(苦笑」

64青い薔薇:2004/03/16(火) 15:56
yoshikiは、グラスをコトッと置いてメニューを選ぶ。
 マスターと女の子は次は何を言われるのだろう?・とドキドキしている。

 yoshiki :「じゃあ そこのおでんを片っ端から全種下さい。」
 マスターと女の子は、「良かった。店にあるモノをオーダーしてくれた。でも・・全種、
ってかなりの量があるんだけど・・・」と思った。
 マスター:「結構 量が多いですけどよかったですか?」
 一応確認を取ってみる。yoshikiは一見細い身体をしていて大食漢には見えないからだ。

 yoshiki:「ああ・・スゴイ量になるねwでも、大丈夫w 俺、今腹が減ってるから。」
 すんなりとok が出た。

65青い薔薇:2004/03/17(水) 21:53
 屋台のカウンター奥には所狭しとおでんが煮えている。それら一つ一つ
 を取り上げて皿に盛り、yoshikiに差し出す。
 モーレツな勢いで食べだすyoshiki。マスターも女の子も開いた口が塞がらない。
  お皿をおいたらすぐに食べ終えてしまうyoshiki.なんとなく、マスターとyoshikiの
 早食いバトルのようなものが繰り広げられてきた。皿を置くが先か、食うが先か。
 yoshikiは 時々白ワインに口をつけることも忘れない。(さすがyoshikiである。)
  二人が熱中している間に、時計の針が午前0時を指した。
 すると、yoshikiがおでんを食べていた手を突然、休めた。

 yoshiki:「あ」
 マスターと女の子は「今度は何?」といっせいにyoshikiの顔を見た。
マスター:「午前0時だな。お迎えのかぼちゃの馬車でも登場か?」
 と、ささやかな予測をしてみた。
 しかし、予想は見事に砕け散った。yoshikiは、口をもぐもぐさせながら持っていた
 薄いブリーフを開けて、五線譜の紙とペンを取り出した。

66青い薔薇:2004/03/18(木) 21:16
 yoshikiは、ペンをもって宙の一点を見つめた!
 何かがひらめいたように、五線譜にさら♪さラ♪サラ〜♪・・と書き出す。
 マスターと女の子は顔を見合わす。
 yoshiki はすでにオーダーしたおでんの存在は忘れている。
 ひたすら紙に向かってペンで音符を走らせるyoshiki.
  マスターはその様子をしばらくみていたが、何かを悟ったように店内の明かりを落とし、
 女の子には「もう、休んでイイから・・」と奥に入らせた。女の子はyoshikiの様子に
 興味しんしんだったが、いつになく目がマジなマスターの一言に押されて奥へ入り一足先に休んだ。
  yoshikiは、時々そっと一言、「あれ〜?ココ おかしいなあ。譜面は完璧のハズなんだけど・・」
 と言いつつ作曲に没頭している。

67青い薔薇:2004/03/18(木) 21:26
 仕事に没頭する者というのは、本人が気付いてか気付かずか無言のオーラを出す。
 マスターは、yoshikiの出す明確なオーラを感じ取っていた。
 yoshikiは、自分の集中する時には周りの者に口出しをさせない迫力をもつ。
 それは、押しつけがましくなくそして感じる者にとって、
 ごく自然に感じられるチカラであり不快ではない。
 マスターは、そういったyoshikiの知的なスマートさに惹かれていた。
 だからこそ、彼のために店の照明を消し他の客が店にはいって来ないようにのれんを
 降ろしたのだ。そして マスター自身も奥に引っ込み 煙草を吸い始めた。。

68青い薔薇:2004/03/21(日) 12:17
  yoshikiは、相変わらず譜面を書いている。
  おでんやのカウンターにもかかわらず、仕事に集中出来るのはスゴイ。
 マスターは、一服吸った後に奥の棚から美しいガラスのカットグラスを2つ持ってきた。
  そしてマスター秘蔵の「グレンモランジー・シェリーウッドフィニッシュ・シングルモルトウイスキー」
 のコルクを抜き、貴重なその薔薇色のエッセンスを注いだ。
  マスター:「よお、相変わらず美しすぎる色だな・・」
 スコッチを見つめて、満足そうなマスターだ。yoshikiがカウンターでふうっと大きなため息を付く声が
 聞こえた。
  マスターはグラスを二つもって奥からカウンターへ出てきた。
  何も言わずにyoshikiに美しい薔薇色のエッセンスを入れたグラスを差し出すマスター。
 yoshikiは少し驚いてそれを受け取る。
  yoshiki:「これは、グレンモランジー・シェリーウッドフィニッシュ・シングルモルトウイスキーじゃない?」
  長ったらしい酒の名前なのにスラスラ言えるyoshiki。さすがである。
  しかし、今回の勝負はマスターの勝ちである。
  yoshiki:「こんな名前しかきいたことのない最高級のスコッチは初めてだ。
      しかも、おでんやの屋台でコレが注文もしてないのに出てくるなんて・・」
   マスターはニヤリ、とした。そう、このスコッチのコルクを客の為に開けたのは
 今回が初めてである。
  マスター:「俺の愛おしいスコッチだ。あんたの作業してる集中っぷりに惚れたぜ。
   それに乾杯してみようかと思って出した。それが俺流のもてなしだ・・。」
  ・・・よくわからないが、とにかくマスターはyohsikiの仕事する姿に感動したようである。
  二人で、くいっとグラスを空けた。2人とも恍惚の表情である。
 yoshiki:「なんか、お酒飲んじゃったらお腹空いちゃった。ラーメン食べたいな・・」
 ラ、ラーメン!?マスターは、「今度はラーメンかよ・・」と途方にくれた。
 yoshikiのような金持ちそうな青年だと、こだわりの美味しいラーメン屋さんを
 幾つも知っているのだろう。おでんやには、ラーメンそのものがない。

69青い薔薇:2004/03/23(火) 00:09
マスター:「ら、ラーメン・・・。」
 未だかつてこのおでん屋で「ラーメンが食べたい」といった客はいない。
 だが、マスターと女の子はこの屋台を「客が一番喜ぶ顔が見たくて・・」
 やっている。客を喜ばせるのが、仕事なのだ。
 エンターテイメントと言えば言葉の響きは良いが、一方何もおでんやが
 そんな横文字走ったことをしなくても・・という気もしなくはない。
 マスターはyoshikiの顔を見た。
 そこには一点の曇りもない無邪気な笑顔があった。
  yoshiki:「ラーメン、食べたいな。こんな夜中じゃ無理かもしれないけど・・」
 yoshikiにしては目面しく大人しい言葉である。
  マスターはそのyoshikiに向かい・・。
  ニヤリ、と微笑んだ。
  マスター:「夜中だから食べられる、ラーメンってものがココにあったぜ!」

70青い薔薇:2004/03/23(火) 00:21
 マスターはカウンター下の棚からソレを取り出した。

 マスターが出したラーメンと言うのは、マスター自身が店を閉める時間が遅く
なったときに食べる「明星チャルメラ」であった!!

 明星チャルメラは、昔一時期有名だったインスタントラーメンである。
 yoshikiが雑誌のインタビューで「好きな食べ物は?」の問いにコレを出していたという代物。
 だが、今ではその影は薄くなり日本食(インスタントラーメンも)を多く取り扱う
 と言われるロスの食料品店でも滅多にその姿は見かけない。
 yoshikiの黒いサングラスの奥から一筋の涙が伝っていた。
 yoshiki:「それは、俺にとってとても思いでのあるラーメンなんだ・」
  マスターはインスタントラーメンで涙を流すyoshikiに驚いた。
  なんだか美人のおネーちゃんを泣かせてしまったときのように後ろめたさ
 さえ感じてしまった・・。
 マスター:「ウチにあるラーメンていったら、コレぐらいしかないけど・・
   良かったら・・・。」
 yoshiki:「充分です。ありがとう」
  なんだか、マスターまでyoshikiにもらい泣きしてしまいそうである。

71青い薔薇:2004/03/23(火) 00:27
 マスターとyoshikiは仲良く二つのチャルメラにお湯をそそぎ、即席ラーメンを
 食べた。yoshikiは味わいながら食らう。懐かしのチャルメラの味である・・。
  二人は無言でそれを食べ終えた。yoshikiは余韻に浸りつつポツリといった。
  ***** 『今回、日本に帰ってきて良かったなあ・・・』 *****
 マスターは、満足だった。yoshikiは、何かを思いだしたように席を立ち外の車へ
 行った。

72青い薔薇:2004/03/23(火) 00:33
 yoshikiは自分の車のトランクから白い発砲スチロール製の箱を取り出してきた。
 yoshiki:「コレ、今日下関の知り合いから届いたんだけど・・」
 マスターはビクっとした。
 ・・・発泡スチロールの箱、そして 下関・・・思い当たるモノは一つしかない!!
 マスター:「それってもしかしてアレ!?」
 yoshiki:「うん!!そうそう よくわかったねえ!!すごいなあ!!
 僕、今回日本に帰ってきたらフグが食べたいと思っててさ。そしたら下関の知り合いが
 取れたてを送ってくれたんだ」
  子供のようにはしゃいで言うyoshikiである。
 マスターの頭の中には暗雲が突如広がるようにイヤな予感が走った!!!
  yoshiki:「・・で、コレを今食べたいんだけどw」
  マスターの顔が真っ青になった!!!

73青い薔薇:2004/03/23(火) 00:41
  フグというのは毒性が強くその扱いに技術がいるため、特別な調理免許がいる。
 我らがマスターが、そのようなものを持っているわけがない。
  マスターの心の中では、翌日のスポーツ新聞に「yoshiki フグ中毒で倒れる!」
 という大きな見出し。そして無免許でyoshikiにフグを食べさせた自分の顔写真がyoshikiの
 写真とありがたくない2ショットで載っているのが即座に想像できた。
  マスターが真っ青になっているそばで yoshikiが箱の中を開けてみせた。
 中には新鮮でまるまると太ったフグが5匹ほど冷たい氷の上に載っていた。
  マスターも今度こそお手上げである。客の注文には応えられないであろう。。

74青い薔薇:2004/03/23(火) 00:52
yoshiki:「フグって刺身が一番おいしいよねえ〜♪」
 マスター:「yoshikiさん、悪いけど俺にはソレはさばけねえ。フグをさばくには
   特別な調理師免許がいるんだ・・」
 マスターは正直に話した。一方yoshikiはフグは大好きだがフグをさばくのに
 特別な資格がいることは知らなかった。
  yoshiki:「へえ〜、じゃあココでこのフグは食べられないのか・・」
 やや残念そうなyoshikiである。さすがに今回は急な来日だったゆえ、ロスで使っている
 お抱え料理人は連れてこなかった。
  マスターは何か良い案がないか・・と考えた。

75青い薔薇:2004/03/23(火) 00:53
 マスターは時計をチラっとみた。
 午前3時。
 誰も起きていやしない時刻だ。
 店の外も中もしーーーんと静まりかえっている。

76青い薔薇:2004/03/24(水) 02:12
マスターは携帯を取り出した。
 yoshikiにくるりと背を向けて電話を掛けている。
 yoshikiは、フグを眺めながらまだ何となくフグが食べられないことが名残
 り惜しそうだ。

 ピ・ピ・ピ・・・トゥルルル♪ケータイの呼び出し音がなり始めた。
 マスター;「こんな時間に起きていそうなのは、あの男くらいしかいない
   頼む、電話に出てくれ・・。」
 マスターはケータイを持ち相手が出ることを願った。

77青い薔薇:2004/03/24(水) 02:17
  何度目かの呼び出し音のあとに、男が電話にでた。
  マスターはホッと胸をなで下ろした。
 マスター:「やあ、久しぶり」
 電話の男:「やあ、じゃねえよw 何時だとおもってるんだよ!!」
 マスター:「お前なら起きてると思って電話したんだよw」
 電話の男:「こんな夜更けに何の用だ!? まあ夜更けって行っても
   俺に取っちゃこれから仕事を始める『朝』だけどな!!」
 マスター:「うーむ 俺のヨミはやっぱり当たってたなw」
 電話の男:「何だよ、早く用件言ってくれよ。そろそろ出かけなきゃ
  いけないんだよ。」

78青い薔薇:2004/03/24(水) 02:25
 マスター:「今から、ウチに来ないか!?」
 電話の男:「なんだとう!? 一体お前の店に俺が何しに行くんだよ!?」
 マスター:「フグがよー 5匹もウチのカウンターで寝そべってんだよ!!」
 電話の男:「はああ!??? 俺をからかってんじゃねえよ!! 電話切るぞ!!」
 マスター:「い、いやw 待ってくれ! フグがあるのは本当なんだ。客が食材持ち込みで
   コレを料理してくれって言ってるんだけど俺じゃさばけねえ だからフグ料理屋の
   料理長であるお前にさばいて欲しいと思って電話したんだ・・。」
 電話の男:「フグをおでんやに持ち込みかァ・・ やるなw その客w。
    ツラを見てみてえぜ。でもあいにく俺は今から築地の市場へ仕入れ
    をしにいくんだ。悪いが断らさせてもらうぜ!!!」
  マスターの頼みも虚しくケータイは一方的に切れた・・。

79青い薔薇:2004/03/24(水) 02:27
  一人の男がガラッと勢い良く店の扉を開けた。
 こんな時間に申し訳ないが。どうしてもおでんが食べたくて寝られないんだ。
 残りものでいいから俺におでんを食さしてくれないか?
 きょとんとした二人をしり目に椅子に座る男。
 ふと発砲スチロールの中をのぞいた男はニヤリと笑う。
 俺、ふぐの免許もってるよ。
 そう言いながら男は既に両腕の袖をまくり上げた。
 俺におでん食わせてくれたらさばいてやるよ。
 ただし免許取って以来だな。ふぐに触るのは。

 男は自身の名前を『マルンタ』と二人に告げた。

80青い薔薇:2004/03/24(水) 02:34
 マスターはケータイを握りしめたまま、入ってきた男を見た。
 yoshikiも彼を見た。
 マルンタは、coolな風情を漂わせながら二人の視線を受け止めている。
 マスター:「アンタ、今言ったことは・・・本当なのか!?」
 マルンタ:「ああ。でもソレより先におでんを食いたいんだが・・。」
 マスターは黙っておでんを皿に盛り、マルンタの前に置いた。
  マルンタは、ガツガツと無心におでんを食べる。その様子をマスターと
 yoshikiが見つめる。
  yoshiki:「なんか 面白い人が来たなあ(嬉 ♪」

 yoshikiは相変わらず無邪気である。。

81青い薔薇:2004/03/24(水) 02:45
 マルンタは店に残っていたおでんを丸々全部食べきってしまった!!
 恐るべし食欲。yoshikiは「僕も負けちゃあいられないなあ」と妙なところで
 感心している。
 マスター:「・・・で、フグの件なんだけど。アンタが本当にフグをさばけるの
  かどうか証拠を見せて欲しいんだが」
 マルンタ:「証拠!? ハっw笑わせるぜ!!俺は国から文化勲章を受けたこともある
  生粋の日本料理の専門料理家だ!俺のウデだけが証拠さ。免許状なんて紙切れ1枚に
  過ぎない。」
  そのとき yoshikiが「あ!」と言った。
  yoshiki:「僕、あなたの顔を見たことがあるとさっきから思ってたんだけど。
    数年前の天皇陛下の園遊会に出席されてませんでしたか!?
    あの場に僕もいたんですよ!!」
  マルンタは、yoshikiの方を見た。
 マルンタ:「も、もしかして。yoshiki!? なんでこんな屋台にあのyoshikiが
  いるんだよ!?」
  マルンタはyoshikiを指さしながらマスターに問いつめる。
  今夜中、yoshikiに振り回されっぱなしのマスターは心の中で思った。
  「その理由・・・俺も知りたいw」

82青い薔薇:2004/03/24(水) 02:55
 そのとき、店の引き戸がガラっと開いた。
 そこに立っていたのは、先ほどマスターがケータイで電話していた男だった。
 マスター:「あれ!? Tじゃないか!お前築地に行くんじゃなかったのか!?」
  T氏:「いや、なんとなくフグを持ち込んだ客の事が気になって。仕入れは
   若連中に任せて俺はココに来た。で、フグと客は!?」
 マスターは、カウンターにいるyoshikiとフグを指さした。
  T氏:「え!・えええええ!!?yoshikiじゃねえか!!!で、こっちのフグは
  最高級の下関産のフグじゃねえか!!!でもって、そこにいる男はマルンタじゃ?」
  ・・実に場の状況を見て取るのが素早いT氏であるw
 マルンタ:「よう!!久しぶりだな。こっちも園遊会以来かなw?フグ料理『とっとこ』
   の料理長殿!!」

83青い薔薇:2004/03/24(水) 03:00
 マスター:「なんだ・・みんな知り合いだったのかw」
 T氏:「知り合い・・・ってほどのモンじゃないが・・。それにしても
   yoshikiをプライベートで見るのは初めてだ・・。フグの持ち込み客が
  yoshikiだってなんで電話でいってくれなかったんだよ!!」
 マスター:「いやあ 俺もフグをさばくことだけに頭の中が言っちゃっててな。
   しっかし、フグ料理人が一気に二人もいるとはw yoshikiさん、こりゃ、
  フグ刺しの出来がものすごく楽しみですぜ!!」
  yoshikiの方を向いてマスターがニヤリとした。
  yoshikiはすでにワクワクしている様子だ!!

84青い薔薇:2004/03/24(水) 03:46
 T氏:「マスター、しばらく見ない内にイイ顔つきになったなあ。布袋っぷり
  が増したようだぜ。さてはイイ女でも出来たか・・!?」
 マスターは、「そうか?」とおもいつつ、少しだけ恋月姫の事を思い出した。
  しかし、今はその話をするのは辞めようと思った。
 マスター:「布袋っぷりっていう言葉、お前しか使わないぜ?w
     そんなことよりも、ここにあるフグのことだが・・。
   どうだ、マルンタとフグ刺しをさばく勝負をしてみないか?」

85青い薔薇:2004/03/25(木) 00:12
T氏:「はあ??勝負!?なんでそんな事しなきゃいけねーんだよw
   俺はフグをさばきに来ただけだぜ?」
 T氏は勝負に取り合わない。一方 マルンタも別に勝負事などどーでもいいって
 感じだ・・。
 やる気のなさそうな二人にマスターは少々期待はずれな気がしたが、yoshiki
 のフグをそれぞれさばいてもらうことにした。
  カウンターに置いてある5匹。そのなかから銘々一匹ずつ魚を選び、さばく。
 料理長は、懐にmy包丁を忍ばせていた。一方マルンタはおでんやでの借り物
包丁だ!!

86青い薔薇:2004/03/25(木) 00:16
 マスター:「時間制限は無し!思い道理に出来上がったらyoshikiさんに
   出してくれ。」
 ****かくして 料理長T氏とマルンタのフグさばきが始まった****
  料理長は、ひとつひとつ確実な手つきでフグを開いてゆく。
  そして、マルンタは久しぶりのフグ開きにもかかわらず手慣れた手つきだ。
 二人とも一言も発さない。yoshikiは二人の様子を目をキラキラさせながら見ている。
  マスターは腕組みをして二人を見守っていた。

87青い薔薇:2004/03/25(木) 00:21
 店の中からでは分かりづらいが、時間は確実に過ぎ世間では夜明けを迎えよう
としている時刻だ。女の子はもう寝ただろうか・・・?そんな事をマスターは考えていた。
 T氏:「出来た。」
 おもむろに言う。ツヤ 色ともに申し分のないフグ刺しである。
 マルンタも最後の仕上げにかかっている。そして、出来上がった!!
 二人はyoshikiの前に出来上がったブツを置いた。
 yoshiki:「わあ!!!スゴイフグ刺しだあ でもどっちも同じに見えるんだけど・・」
 二つの皿を見比べながらyoshikiは言った。
 マスター:「さあ yoshikiさん 食べてみてください。」

88青い薔薇:2004/03/25(木) 00:30
 yoshikiは箸を持ち、さてどちらから箸をつけたらいいものか迷った後に
 マルンタの皿から一切れ、フグを持ち上げた。
 漬けダレにつけて、口に入れた・・。モグモグモグ・・。
  yoshiki:「ウマい。ストレートな旨味が生きている。」
 そして、茶で口直しをしてT氏の皿に箸を付けた。T氏の刺身はマルンタの
 ものよりさらに薄い切り方だ。
  yoshiki:「・・こんな繊細な味のフグ刺しは初めてだ・・・」
  yoshiki、、しばし悦に入る。。
  yoshikiは代わる代わるに二つの皿に箸を付けてあっという間に食べ終えた。

89青い薔薇:2004/03/25(木) 00:34
 マスターは、茶を飲みながら恍惚とした表情を浮かべるyoshikiに聞いた。
  マスター:「yoshikiさん、どちらの皿がウマかったですか???」
 yoshikiは、きょとん☆としてしまった。どちらもとてもウマかったからだ!!
 しかも、yoshikiの味の好みにどちらもマッチしていた!!
  ****T氏のフグの繊細さと甘み・・一方マルンタのストレートで力強い旨味***
 yoshiki には甲乙つけがたい両氏のフグ刺しである!!!

90青い薔薇:2004/03/25(木) 00:42
 yoshiki:「ねえ どっちも美味しいんだけど・・・」
 マスターに困った顔で言うyoshiki。 
 T氏:「ハハハw そういうことだとおもったよw マルンタと俺は味のジャンルが
  違うんだ。でもウデは両方とも一品だぜ?」
 マルンタ:「ま。早い話がそういうことだなw」
 yoshikiは、突然カウンターの席を立った。
 そして、二人に深々とお礼をした。
 yoshiki:「今日はボクのわがままでフグをさばいてもらったけど、ボクにとって
 忘れることが出来ないくらいウマい味だった!!ありがとう!!」
 T氏:「おいおい 天下のyoshiki様がそんな他人に頭を深々と下げちゃあ・・」
 yoshiki:「いや、礼を言わなければならないときは必ず心を込めて言うんだ。
  日本に帰ってきて、こんな美味しいフグが食べられるんならもっと早く帰ってきても
  良かったなあ・・・って、コレはじょうだんだけどw」

91青い薔薇:2004/03/28(日) 11:34
yoshikiの言葉に、無言で頷くT氏とマルンタ。
 yoshiki:「さて・・ 今何時かな?あ、あれ!?もう朝の6時だw!!
   大変!!今日は10時から会議が入ってるんだw ちょっとは寝なきゃw」
 マスター:「おお!やっぱ多忙な様子だな。yoshikiのウワサはちらほらと
 聞いているが・・。」
  横でT氏はうんうんうん・・・と頷く。
  T氏;「俺、貴方の作品を・・・本当に心待ちにしてるから・。ガっつんと
  心臓に響く作品を聞かせてくれ・・。」
 yoshiki:「早く・・・・ 君の元にもボクを待ってくれてるファンにも届けたい。」
  yoshikiはそういって席を立った。
  マルンタとマスターとT氏に目礼をして店を出る。

92青い薔薇:2004/03/28(日) 11:39
 *****その日の夜*****
 pipipipi♪マスターのケータイがメール着信の音を発した。午後11時の事だ。
 マスターはケータイを取り上げて着信を見た。
  「○m モバイルより yoshikiさんの最新インタビューを配信〜」
 そんな内容だった。

93青い薔薇:2004/03/28(日) 11:47
 ○辺:「・・・・・yoshikiさん、活動の話を詳しくありがとうございました。
   最後にもう一件、質問をしていいですか!?」
 yoshiki:「ホントにあと少しで次の会議に出なきゃ行けないから、手短におねがいね!w」
 ○辺:「あの〜、今回来日する時にyoshikiさんはフグを食べたいとおっしゃていたんですが。
   あの、多忙なyoshikiさんにこんな質問するのも気が引けるのですが食べられたんですか?」
 yoshiki:「・・・・・・。」
 ○辺:「あ!!!!ご、ごめんなさい!!こんなにyoshikiさんの多忙な仕事のお話をきかせて
  いただいてるのにソレは無謀な質問でしたね(激汗」
 yoshiki:「・・食べたよw。フグ!! すっごくウマかった!!」
 ○辺:「え?? ホントですか?どちらで!?」
 yoshiki:「屋台のおでんやでw」
 ○辺:「え?おでんや? おでんやにフグがあるんですか!?」
 yoshiki;「いやw フツー無いよw 俺が下関の知り合いから送ってもらった
 フグをそこに持ち込みしたんだw」

94青い薔薇:2004/03/29(月) 00:00
○辺:「なるほど・・。で、おでんやのヒトがフグをさばいたんですか?」
 yoshiki:「いや。超一流の料理人がさばいてくれたよ。二人いたかな?」
 ○辺:「え?ええ?おでんやをしてるのは超一流の人たちだったんですか?」
 yoshiki:「いやいや。一人はそこのマスターの知り合いで、もう一人は偶然
 その屋台に入ってきた人。」
 ○辺:「ちょっと ワタシには話が見えてこないんですが・・もうちょっとわかり
 やすく説明してくれませんか?」
 yoshiki:「えっと・・。ボクは仕事の移動中におでんが食べたくなって、通りがかった
  屋台に車を止めて入りました。そこで、白ワインとそこにあるおでん全種とグレンモランジー
  の最高級のスコッチとチャルメラを食べました。途中、曲が頭の中に降ってきたんで譜面も
  そこで書いたっけ・・。居心地のいい店で長居しちゃったんだけど、ボクの車の中にフグが
  在るのをおもいだしちゃって店のマスターにさばいてもらおうと思ったんだ。
   でもフグをさばくには特別な免許がいるらしくって、マスターは免許をもってないので
  知り合いに電話して来てくれるように頼んだんだ。そしたら、その人とは別にもうひとり
  店の客でフグをさばける人がいて・・実はその2人は前に天皇陛下の春の園遊会にボクが出席
  したとき同席してたんだけど・・・・。で、二人の料理人にボクのフグをさばいてもらったんだ。」

95青い薔薇:2004/03/29(月) 00:14
 ○辺:「へえ〜!!園遊会で合った方が二人ともその店に居合わせてyoshikiさん
   のフグをさばくなんて・・スゴイ偶然ですねえ〜。」
 yoshiki:「うんw 二人ともやっぱり国から勲章受けてるだけあってスゴイ腕をもって
    いたよw」
  ○辺:「ボクもそのみせにいってみたいなあ〜 教えてくださいよヨシキさん!!」
 yoshiki:「w ダメw・・」
  ○辺:「え----- なんでですか??」
 yoshiki:「だって ボク、もう一度その店に行って食べたいものがあるんだ。」
  ○辺:「え?だってさっき、おでんは全種食べたって言ってたじゃないですか・・?」
 yoshiki:「うん おでんじゃないよ?」
  ○辺:「え・・・・おでんやにおでん食べに行かなくて何食べるんですかw。
   yoshikiさん、おでんやでの「作法」にかなってませんよ〜w」
 yoshiki:「うん 作法にかなってないよねえ〜 俺wでもそこの主人は見事に
     俺の食べたいものを出してくれるんだ。食べたいものを素直にいうのが俺の
    作法だよ?w」
  ○辺:「ますますその店にいきたくなっちゃったなあ・・で、今度は何食べに行くんですか?」
 yoshiki:「ワニ・・・・・・。」
  ○辺:「え??ワニ?」
 yoshiki:「ウニ・・・」
  ○辺:「え・・ウニ・・・ああw ウニ!!」
 yoshiki:「やっぱ辞めたw やっぱりワニ!!!」
  ○辺:「え??yoshikiさん ワニ、食べれるんですか?」
 yoshiki:「(苦笑)・・わかんないw。でも、こんどあのマスターに注文
    してみたいなw!!」
  ○辺:「yoshikiさん それって食べに行くんじゃなくて店の人をからかい
  にいきたいんでしょうw」
  yoshiki:「アレ??判った?うん、でももう一度行きたいな・・。」

96青い薔薇:2004/03/29(月) 00:23
 マスターは、ケータイの画面に映し出された『(yoshikiの)悪魔の文章』を読んだ。
  ドッと疲れを感じたのはもちろんだが、yoshikiのフグを食べたときの
 嬉しそうなカオはマスターに仕事冥利を感じさせた・・。
  マスター:「yoshikiさん いつでも包丁みがいてまってますぜ・・」
 煙草を吸いながら独り言を言う。女の子が横から口を挟んだ。
  女の子:「今回は私の出番がほとんどなかったわ。yoshikiさんが来たら
  今度は私が接客したいわ!!」
  (うーーむ・・・女は度胸である・・・・・。)
  マスター:「あははは お前には全然かなわない相手だよw」
  マスターは煙草を吸いながら、yoshikiとyoshikiが書いていた譜面の事を
  思い出した。あの曲は・・・どこで聞けるんだろう・・・。
   yoshikiの書いた曲がリリースされるのがますます心待ちになる、今日この頃である
 
   完

97青い薔薇:2004/03/30(火) 00:07
 特別番外編 第6話「屋形船にて・・」

  本日は晴天なり。。東京の桜も例年より7日早い桜の満開日となる。
  マスターと女の子は、店を開けるまでの時間に『花見』をしようと出かけた。
 満開の桜を見ようと大勢の人があちこちの公園で、花見の準備をしている。
  マスターと女の子は、テレビで見た隅田川の屋形船に乗ってみよう♪とわくわく
 して出かけた。

 マスター:「俺、屋形船なんてはじめてだw。」
 女の子:「私もw 楽しみねえw」
 二人は隅田川沿いの舟場に行った。金を払い船に乗せてもらう。
  船の中も大勢の客が飲み食いしていた。マスターと女の子もオーダーする。
 ゆらゆらゆら〜と船は川を滑るように動いてゆく。桜の花びらがチラチラと舞っている。
  まだ陽の高い時刻だったが酒に酔ってる人間が多く、春真っ盛りの風景の中で、
 辺りはちょっとした天国のようだ。
  ふと、マスターの持っていた酒のグラスにひらひらひら・・・と桜の花びらが入った。
 女の子:「あはッw なんかカワイイw」
  マスターのグラスを見て笑っていた女の子のグラスにもひらひらひら・・と桜の花びらが。
  ----マスターは、軽く散文詩を詠んだ。

  『 一気に春 どこもかしこも春 
    新しい息吹が芽吹くなんての陽気ではない
    歌え 騒げ 吠えろ 叫べ すべては狂気乱舞

    全て散るまで 舞い踊れ
   *******************************************************************

    喧騒の中にこそ

    ゆっくりグラスを傾けるひとときを                』

   二人はひととき【船上の人】となり、猛春の叫びを傍観した。

   完

98青い薔薇:2004/03/31(水) 01:41
第7話 --------『劇的な出会い』--------

  話の内容は前後する(本当は第5話の話)

  マスターが、恋月姫とイチャイチャ・・・いえ、ピンクの小瓶を破棄していた頃、
 女の子とririka姫も休日を楽しんでいた。久しぶりのお笑いコンビ・・いえ、
 ほのぼのコンビの登場である。
  春もうららかな晴天である。せっっかくの天気なので二人はスケッチブックを
 もって近くの公園に出かけた。
  今日は、お絵かきの休日である。
  公園には、いち早くタンポポやつくし、そしてたけのこまでも生えていた。
  それらを見ながら、
 ririka姫:「最初は、まず自分の書きたい!!とおもうモノを見つけましょう♪
    ちょうど春の草花が咲いているわ!!」
 女の子:「ホントだッ☆ ツクシやたけのこはおでんやの春のメニューにちょうどイイわ♪」
 -----なんとなく、会話がすれちがってる二人であるw

99青い薔薇:2004/03/31(水) 01:49
 女の子は、自分のスケッチブックを持って公園の中で「書きたいモノ」
 を探すことにした。本当は、絵を描くことはあまり上手ではないのだが、
 せっかくririka姫が側にいるんだし絵を楽しそうに描く彼女を見てて自分
 も書きたくなってしまった。

  公園には二人の他に誰もいなかった。
 あまり新しい公園ではなかったが一通りブランコやベンチ、滑り台が置い
 てあった。
  女の子が草花を書こうか、滑り台を書こうか・・と迷っていると
 ベンチの下から------------
 『にゃァ・・にゃァ・・』とネコの声が聞こえた。
 か細くて小さい声だったが 女の子にははっきりと聞こえた!!

100青い薔薇:2004/03/31(水) 23:58
・・・ベンチの下には、小さな段ボール箱が置いてあった。
 女の子はソレを見つけて近寄った。ネコの鳴き声はそこからするのだ。
 女の子:「なんだろう?・段ボールのなかにネコがいるのかな??」
 首を傾げながらベンチの下を覗く。
 ******すると!!!****
 小さな段ボールの中には、青い毛並みを持った子猫がいたのだ!!
 女の子はあわててririka姫を呼びに言った!!
 『rirrikaしゃん」!!ririkaしゃん!!!ネコがいるよ!!ベンチの下に!!!』


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