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初めてスレ立てます
1
:
スライム
:2005/01/23(日) 22:57
初めまして!スライムと言います。
ずっとROM専だったのですが、自分でも書いてみたいと思ってスレたてさせていただきました。
つたない文章ですが、よろしくおねがいします。
29
:
片思い
:2005/01/24(月) 23:54
「お〜い!よっすぃー。」
「へっ!?」
「またぼーっとしてたなぁ(笑)」
「あっ、はい!すいません。何回も。」
やっべー、2回目だよ。仕事中だってのに…ちゃんとしなきゃなー。
「いや、いいんだけどさ。 さっきの続きだけど、いいんじゃないかな、石川さんで?!」
へっ!?いいの? 横を見てもマネージャーさんも反対していない。
「最近あんまりよっすぃーと石川さんってないでしょ!?新鮮かなーって。
辻ちゃん・加護ちゃん卒業で4期のこととかもちょうどいいしね。」
「はい。」
「じゃーまーそういうことで。今日の打ち合わせは終わりね。
締め切り遅れるなよ〜(笑)」
30
:
片思い
:2005/01/24(月) 23:56
その夜あたしはテーブルの上の紙と格闘していた。
31
:
片思い
:2005/01/24(月) 23:57
「(やっべー、勢いで梨華ちゃんとか言っちゃったけどさー。
何書いていいかわかんないよー。あーもうはっきり言っちゃいたい!)」
だけど、下手なことを書いてまた事務所に怒られて引き離されても困る。
というか、そもそもそんなの読者に見られるのも恥ずかしいし、編集すら通らないだろう。
32
:
片思い
:2005/01/25(火) 00:01
「あー。もう、全然うかばねー。どうしよっかなー。」
今回は自分の連載で梨華ちゃんのことを語れるのだ。
いつもみたいに周りの目とか事務所とかを気にして心にもないことを言う必要はない。
「(最近あたしって突っ込み以外で梨華ちゃんと絡みないしなー。
今回はそういうんじゃなくってさー。
止められない程度のことで、でも梨華ちゃんに近づけるようにするにはー)」
33
:
片思い
:2005/01/25(火) 00:04
「そうだ!」
とりあえず最近の距離の離れ具合は照れ隠しみたいなことにしておいて。
で、さりげなく誘う感じで…あっここはご飯とかにしておくのが無難かな。
よし!これで、その後本当に誘って2人でご飯とか行けばまた梨華ちゃんに近づけるぞ!
・
・
・
出来上がった原稿を読み直す。
頭の中では梨華ちゃんと2人で出かけることを想像しながら、何度も何度も…。
「(よし、これでOKだね。名づけて
“梨華ちゃんとのLOVELOVEな日よカムバック作戦”開始だー)」
34
:
片思い
:2005/01/25(火) 00:08
本日の更新終了。
展開がコロコロ変わったり、急に時間が遡ったりと
読みにくい所があるかもしれませんが、ご容赦いただけると幸いです。
35
:
名無し(0´〜`0)
:2005/01/25(火) 01:19
おもしろそうなお話ハケーソ。
続き期待しています。
36
:
スライム
:2005/01/25(火) 22:36:58
わーい、レスがついてる!!
こんな駄文ですが、読んでくださってる方がいると思うとやる気出ますね。
>名無し(0´〜`0) 様
ありがとうございます!!!
初めてのレスに感謝感激です。
期待に答えられるよう頑張りますので、今後ともよろしくおねがいします。
それでは、気合入りなおしたところで
本日の更新行きたいと思います。
37
:
片思い
:2005/01/25(火) 22:38:39
〜4月の終わり〜
38
:
片思い
:2005/01/25(火) 22:40:32
「はい、吉澤。今回の分。」
「ありがとうございます!」
この間書いた分の連載が載っている雑誌をマネージャーさんから受け取る。
「(よーし、早速これで梨華ちゃんを誘って…って、どうやってこれ見てもらうかだよなー。
控え室にさりげなく置いておく? 発売まで待つ?
って、それじゃーちゃんと見てもらえるかわかんないしなー。
やっぱなんとかして見せないと意味ないなー)」
そんなことを考えながら廊下を歩いていると……
39
:
片思い
:2005/01/25(火) 22:41:43
「んっ?!」
自販機の横のベンチで俯いている梨華ちゃんを見つけた。
「(おーナイスタイミング!他に誰もいないし、今見せちゃおうかなー)」
40
:
片思い
:2005/01/25(火) 22:43:22
「おーい、何してるのー?」
「………よっすぃー。」
浮かれ気味のあたしとは対照的に、顔をあげた梨華ちゃんは浮かない顔をしてた。
「んー、どうかした? (梨華ちゃんへこんでる!?今これ見せてる場合じゃないかなー?)」
「……あっ、あのね……」
「ん?」
「………」
少しの沈黙があって、
「……ううん、何でもない。ちょっとね、考え事してて。」
まただ。また梨華ちゃん、何も話してくれないのか……。
41
:
片思い
:2005/01/25(火) 22:44:43
「……そっか。…何かさ、あるなら聞くから。気向いた時にでもいいから言ってよ。」
「…うん、ありがとね。」
42
:
片思い
:2005/01/25(火) 22:46:06
「ねぇそれ何?」
「へっ?」
梨華ちゃんに言われて持っていた雑誌のことを思い出す。
あれ?!もしかして今ってチャンス???
「あーこれ? 連載してる雑誌の今度出るやつ。さっき貰ったんだ。 見る?」
「えっ?!いいの?」
「うん。どうせお母さん買ってくるしさ、持って帰ってもいいよ。 って、いらないかな?(苦笑い)」
「ううん、そんなことないよ。ありがとね、後でゆっくり見るから。」
「おー。」
43
:
片思い
:2005/01/25(火) 22:47:16
「あっじゃあ私もう行くから。 これ、本当にありがとね。」
そう言って梨華ちゃんは行ってしまった。
ってか、あんな雑誌であんなに感謝しなくてもいいのに…梨華ちゃんらしいなぁ。
まっでも最後笑ってたし、見てもらえそうだし、安心したかな。
44
:
片思い
:2005/01/25(火) 22:49:26
あれから数週間。
あたしは未だに梨華ちゃんのことを誘えてはいない。
「(あーもう。タイミング難しいなー。でも早くしないと誘いづらいしな。
あっ今日早く終わるし、誘ってみようかなー)」
そんなことを考えていたら、
「はーい!みんなちょっと静かにー。今日はこれで終わりだからー。
っと、吉澤この後ミーティングするから残ってね。」
ミーティング? なんだよー、せっかく梨華ちゃん誘う決意したのによー。
しかも何だー、あたし何かしたっけ? 怒られたりは嫌だなー。
45
:
片思い
:2005/01/25(火) 22:51:43
「はい、じゃあミーティング始めるから。みんな集まってー!」
「「「はい」」」
年下メンバーが帰った部屋にはあたしと梨華ちゃん、かおりんと矢口さんだけが残っていた。
って、なーんだあたしだけじゃなかったのか…。
っと、梨華ちゃんはっと…
「(ん?なんかちょっと深刻な感じ?)」
そこには、すごく真面目な顔で固くなっている梨華ちゃんがいた。
「(えっ?まさか、梨華ちゃん卒業とかないよね?!)」
46
:
片思い
:2005/01/25(火) 22:53:25
「じゃあミーティング始めるぞー。
えーっと、まずは…突然のことだけど、来年の正月のハローのコンサートで飯田が卒業することになった。」
「(かおりんが卒業? だって安倍さんだってこの前卒業したばっかりなのに…なんで…。)」
横目でかおりんを見たら、すごく落ち着いた表情をしていた…隣の矢口さんも、梨華ちゃんも。
「(えっ、何?!みんな知っていたの? 知らないのってあたしだけだった?)」
一人でものすごく動揺しながら、それでも卒業が梨華ちゃんじゃなかったことにちょっと安心しちゃたりして。
でも、そんなあたしの気持ちは次の瞬間打ち砕かれた。
47
:
片思い
:2005/01/25(火) 22:54:07
「それから、石川も来年の春で卒業することが決まった。」
48
:
片思い
:2005/01/25(火) 22:55:16
何を言っているのか理解できなかった…いや、受け入れたくなかった。
あいぼんとののの卒業が決まって、あたしたち4期もそういう風になったんだなって思っていたけど、
それでもやはり今の言葉は信じられなかった。
「それで、飯田の卒業後は矢口がリーダー,吉澤がサブリーダーってなるから、
大変だけどしっかりやるように!」
「(あたしがサブリーダー?梨華ちゃんじゃなくて? って、梨華ちゃん卒業って…)」
49
:
片思い
:2005/01/25(火) 22:56:48
「…すぃー…よっすぃーってばぁ!」
「ほえっ?!」
あまりにもびっくりしすぎて変な声が出てしまった。
「(笑) ったく、大丈夫かー? みんなもう帰っちゃったよ。」
「えっ?」
気が付いたらあたしたちの他にはもう誰もいなくて。
どれだけの時間こうしていたのだろうか…。
50
:
片思い
:2005/01/25(火) 22:58:16
「まったくー矢口が声かけなかったらずっとここにいちゃってたぞー(笑)」
「…あっはい。すいません…。」
「んーまぁいいんだけどさ…いきなりだったからよっすぃーも驚いたんでしょ?」
「はい…あの…矢口さんは平気なんですか?」
「平気って?」
「はい、あのぉ2人が卒業だって聞いても普通だったから…」
もしかしたら矢口さんは平気な振りをしているだけかもしれないけど、でも、
それでもあんな風に堂々とすることはあたしには出来ない。
51
:
片思い
:2005/01/25(火) 22:59:47
「あー。まーね、矢口も最初はかなりびっくりしたよ。でもさ、あっこれ内緒だけど、ちょっと前にねかおりからは聞いてたから。
だからね、気持ちの整理ついてたっていうか、それで大丈夫だったんだよ。
あっでも石川のことは知らなかったからびっくりしたけどさー。よっすぃー知ってたの?」
「えっ?あっ、いや、知らなかったです…。」
「そっかぁ、圭ちゃんも聞いてなかったみたいだし、石川誰にも言ってなかったんだなー。
あいつそういうとこ固いからなー、一人で悩んでなきゃいいけどさっ。
まーまだ時間もあるしさ、とりあえず頑張ろうよ、サブリーダー!」
「はい。」
「うん、まぁあんまり考えすぎないようにね。
矢口はこれで帰るけど、よっすぃも早く帰るんだぞー!」
そういって矢口さんは部屋を出て行った。
52
:
片思い
:2005/01/25(火) 23:00:46
矢口さんはかおりんから聞いてたのか…梨華ちゃんは…あたしには話してくれないよね。
でも、本当、梨華ちゃん一人で抱え込んでなきゃいいけど…。
はぁ〜。
溜息しか出てこない。
梨華ちゃんはあたしには話さない、あたしには頼ってこない…。
なんでこんなことになっちゃったんだろう。
せっかく立てた計画も結局実行されないままで…。
「(あ〜あ、ダメじゃん、もう。やっぱり諦めるしかないのかな。)」
53
:
片思い
:2005/01/25(火) 23:01:58
あの日、2人の歯車が狂い始めたあの時。
もしもあたしが梨華ちゃんに「好き」って言えてたなら…。
恋人は無理でも、それでもこんな風にずっとうじうじする必要はなかったのかな。
戻れないことなんてわかっているのに、それでもあたしはあの日素直になれなかったことを後悔していた。
54
:
スライム
:2005/01/25(火) 23:03:45
と、なんか痛い所で終わってますが
一応本日の更新終了です。
55
:
スライム
:2005/01/27(木) 00:00:34
本日も更新行きます!
56
:
スライム
:2005/01/27(木) 00:03:31
変わるものはたくさんあって、こんなにも時が過ぎているのに…。
いつまでたってもあたしは梨華ちゃんを誘うことが出来なくて…。
結局あの時から何も変わっていない…あたしと梨華ちゃんの関係。
「(まさか、こんなもやもやしたまま2人と別れるなんてなっ。)」
大切な仲間たちの卒業式が終わった…あたしたちをギリギリの所でつなぎとめて
おいてくれた大切な同期、大切な子どもたちの卒業式。
「(2人もいなくなるし、もう家族ごっこも終わりだよな…。
これで梨華ちゃんの隣にはもういられない)」
あいぼんとのののおまけだってことは分かってたけど、それでもかまわなかった。
彼女の、梨華ちゃんの隣にいることを許されるのならば…。
57
:
片思い
:2005/01/27(木) 00:05:20
でも、その時間も今日で終わり。
2人がいなくなったら、あたしたちが一緒にいることの理由はもうない。
これでまた一歩、梨華ちゃんとの距離は広がった…。
58
:
片思い
:2005/01/27(木) 00:07:55
「よーっちゃん!」
「ん?」
「なんや、しけた顔して。うちらが卒業したんが、そんなに寂しいんか?」
あいぼんがニヤニヤしながら近づいてくる。
「あほっ!そんなんじゃねーよ。」
からかわれるのも嫌だからかわそうとしてそう言ったら、
「…なんや、寂しくないんか…。」
あいぼんが俯いちゃったから、あたしは慌てて
「…なっ。違うって。ほら、あのさ、寂しいけど、そんなの言ってられないってか、
言われてもあいぼんが困るって言うか…(ん?)」
「…くっくっくっ。あいかわらずよっすぃーはアホやなー。騙されおって。」
な、なんだとー(怒)
ちきしょーこいつは本当に…最後までこんなんかよ。
59
:
片思い
:2005/01/27(木) 00:09:22
「はいはい、そうですね。じゃーまーそういうことで。
父ちゃんは忙しいんでね、失礼しますよ。」
「…よっすぃー…」
ったく、まだ続けてるのかよ。
「なんだー、ひとすじ? 男はめそめそしてちゃいけないぞ!
父ちゃんを見習え、父ちゃんを!!」
我ながらうまいこと返したなんて思っていたのに、振り向いた先のあいぼんの目には涙がいっぱいだった。
「…………。」
60
:
片思い
:2005/01/27(木) 00:11:00
「父ちゃん…あのなぁ、ほんまに卒業してもうちらの父ちゃんでいてくれるんか?」
「(なっ。まったく、こいつは素直じゃないんだから。) 当たり前だぞー。ひとすじもふたすじも俺の大事な家族だぞ!」
「…ほんま?」
「あぁ。」
「……じゃあ母ちゃんは?」
「えっ?」
「母ちゃんは違うの? 母ちゃんも大事な家族なんとちゃうの?
なのに父ちゃんと母ちゃん…よっすいーと梨華ちゃんがそんなんやったら…うちとののはどうしたらええの?
親がそんなんやったら、うちら帰ってくる家なんてないやんか。
うちとののはほんまに2人のこと親や思うとんのに…。」
「…………。」
何も言えなかった。
気づかれていたこともショックだったけど、何よりも2人にそんな思いをさせてしまっていたことが辛くて。
しばらく沈黙が続いた。
61
:
片思い
:2005/01/27(木) 00:12:01
「…あんなぁ。何があったかは知らんけど…でもな、やっぱり2人には昔みたいになって欲しい。」
「…………。」
「うちな、ののもやけど、よっすいーのことも梨華ちゃんのことも大好きやから。
だから、2人にも仲良うしとってもらいたいんや……それってダメなんか?」
「…ダメなんかじゃないよ。」
「ほんまに?」
「あぁ。」
「良かったー。うちそれだけが心残りやってん。これで安心して卒業できるわ。」
そう言ったあいぼんは本当に嬉しそうに笑っていた。
62
:
片思い
:2005/01/27(木) 00:13:16
あいぼんにあんなことを言ってしまった手前何にもしないわけにはいかなくなった。
よし!今から梨華ちゃんのこと誘ってみよう。
あいぼんにもらった勇気無駄にはできないもんな…。
「あー、あのさー、んーっと。」
「うん?」
「いや、あの………。」
さっきあんなに気合入れたのに、いざ本人の前になると肝心なことが言えなくなる。
「あっ、だから……」
「??? よっすぃー、話ないなら私行くよ?」
結局こうなるんだ。あーあたしって本当情けないよなー。
63
:
片思い
:2005/01/27(木) 00:14:46
行ってしまおうとする梨華ちゃんを見てたらあいぼんと目が合った。
「(よっすぃー…)」
その隣ではののもすごく寂しそうな顔でこっちを見ている。
「(ダメじゃん、あたし。今日やらなきゃダメなんだって!)」
気合を入れなおして、歩き始めた梨華ちゃんの腕をつかんだ。
「……よっすぃー?」
「あっごめん。」
梨華ちゃんが不安そうな表情を浮かべたので慌てて手を離す。
64
:
片思い
:2005/01/27(木) 00:15:57
「あっあのさ、さっきの話だけど、今日さ時間ある?」
「……あるけど、急にどうしたの?」
「いや…ほら、前にさ雑誌で一緒にご飯食べに行こうって言ってたじゃん。
あれ、今日とかどうかなーって思って。話したいこともあるしさ。」
「……そんな急に言われても…今度じゃダメ?」
「今度って? どうしても話したいことあるんだ、だからさ、
今度がいつか決めてくれればそれでもいいけど…その…」
強気なことを言っているのに、だんだん弱気になるのがあたしの悪い所。
65
:
片思い
:2005/01/27(木) 00:17:19
「……分かった。じゃあ今日でもいいよ。」
しばらく考えた後、梨華ちゃんがそう呟いた。
「(良し!)」
かなり強引だったけど、なんとか誘い出すことに成功。
あいぼんたちを見ると2人も安心したのか、微笑んでいた。
「それで、どこに行くの?」
「えっ?!」
誘うことばかり考えてたから、そこまで気回らなかったよ…。
こんな時間だし、話す内容もあれだし…。
66
:
片思い
:2005/01/27(木) 00:18:32
「…うち来る?」
待ちくたびれたのか、梨華ちゃんの口からそんな言葉が出た。
「一人暮らしだから気使わなくてもいいし…。たいしたものは出せないけど、
その、私もゆっくり話したいし。」
「(マジっすかー???)」
梨華ちゃんもあたしと話したいとか思っててくれたのかな!?
うわーめっちゃ嬉しいよ、吉澤逆転ホームランって感じ?
67
:
片思い
:2005/01/27(木) 00:19:54
帰りのタクシーではいろんなことを話した。
あいぼんのこと、のののこと、昔の思い出とか…。
運転手さんはちょっと迷惑そうだったけど、そんなの気にしない。
だってさ、こんな風に梨華ちゃんと話すのって本当に久しぶりだったし、
それに、笑った梨華ちゃんの顔がすごくかわいいから。
「「ありがとうございました」」
運転手にお礼を言って降りたのは、昔よく来ていた懐かしいマンションの前。
「引越しとかしてないんだ?」
「うん。なんかね、住み慣れてるし、面倒くさいから。」
68
:
片思い
:2005/01/27(木) 00:21:23
ガチャッ。
久しぶりに入る梨華ちゃんの部屋は意外にも片付いていて…ピンク率も減っていた。
「なんか変わったねー。」
「そうかな?」
「うん、なんか大人になったって感じ。」
「…………。」
「ん? どうかした?」
「ううん、何でもない。さっ上がってよ、何にもないけど。」
まただ、また梨華ちゃんは何も言ってくれない…。
「(あーあ、あたし本当にちゃんと話せるかな?!)」
梨華ちゃんじゃないけど、ネガティブな気持ちになってしまう。
「…おじゃましまーす。」
「あのさ、今何か作るからそこ座っててくれる?」
「あー、うん。」
69
:
片思い
:2005/01/27(木) 00:22:35
「お待たせ。こんなものしかないけど、ごめんね。」
しばらくして、おいしそうなにおいと一緒に梨華ちゃんが戻ってきた。
「おーうまそう! 料理できるようになったんだ?!」
「まぁね、あたしだって変わるんだよ。」
「(……そっか、やっぱり昔のままじゃあないよな)」
すれ違う気持ちを隠すように、梨華ちゃんの作った料理に手をのばす。
久しぶりに食べるその料理も、作った本人と同じですごくキレイになってて、
そんなところでも昔と一緒じゃいられないって突きつけられているような気がしてしまう。
でも……
70
:
片思い
:2005/01/27(木) 00:24:12
「(ん?)」
口に運んだそれは、見た目に反して、ちょっとだけだけど塩辛かった。
「おいしくない?」
「へっ? あーそんなことないよ。たださ、見かけはあんなにキレイなのに
あいかわらずちょっぴりしょっぱいなーなんて思ってさ。」
突然聞かれてびっくりしちゃったけど、久々に食べたその味が自分の知っている味と
同じことが嬉しくて、つい本当のことを言ってしまう。
でも、梨華ちゃんが黙り込んじゃったから、
「(やべー気悪くしたかな。せっかく作ってくれたのに、あたしバカかよ)」
ものすごく肩身が狭くなって……なんとかしなきゃいけないと思って、
「あー、でもさー、なんか安心したよー。石川らしいっていうか…
…昔と同じ味でさ。これで超美味いとかだと、なんか寂しいじゃん…」
……って、これじゃ逆効果か?
「(あーもう、なにやってんだよ、あたし。)」
71
:
片思い
:2005/01/27(木) 00:25:17
「……ありがと。」
あたしの不安とは反対に梨華ちゃんは嬉しそうにしていた。
「???」
「……私もね、その料理と同じだから。」
72
:
片思い
:2005/01/27(木) 00:26:46
「時間だけどんどん過ぎていって、いろんなこと覚えて…
ちゃんとやらなきゃ、先輩なんだから…って考え込んじゃって、
本当は私もすごく怖いのに、そういうこと言えなくなってて…
そういう所見せちゃいけないんだって……。
…料理と同じ。見た目はね、立派になったかもしれない。
でも、本当の私はネガティブで、昔と何も変わらなくて……
だから、さっきよっすぃーが言ってくれたこと、すごく嬉しかった。」
「???」
「…安心したって言ってくれたでしょ? 寂しいっても…。
私もね、それでいいんだよって言われた気がして……バカだよね?
料理のことなのに、自分のことだなんて思っちゃうなんて…。」
「そんなことない!」
気が付いたらあたしは梨華ちゃんのこと抱きしめながら、怒鳴ってた。
“石川”って呼ぶことも忘れて……
73
:
片思い
:2005/01/27(木) 00:28:19
「…料理だけじゃない。ってか、本当は料理のことじゃないから。
あたしさ、寂しかったんだ、何か梨華ちゃんどんどんキレイになっていくし…
置いていかれてるみたいで。
だから、あの味が変わってなかった時、あー梨華ちゃんも変わってないんだって
そう思って嬉しくなった。」
「………。」
「だからさ、あんま無理してないで、何かあったら言ってよ!
あたしさ、頼りないかもしれないけど…それでも、何とかするから。」
「……うん。」
「辻加護も卒業してさ、同期って2人になったじゃん。
置かれてる立場とかは違うものかもしれないけど、でも…
先輩でも後輩でもなくって…同じ所で同じもの見れる自信はあるから。」
「…よっすぃー。」
あたしの腕の中の梨華ちゃんは泣きじゃくってたけど、それでもその顔には
笑顔がうかんでいたから、あたしの心の中も満たされていく。
今なら、言えるかな?!
74
:
片思い
:2005/01/27(木) 00:29:26
「あのさー…なんか、こういうのってめちゃくちゃはずかしいんだけど…
…昔みたいにさ、また仲良くしたいんだけど……。」
「………!」
梨華ちゃんはすごく驚いてた。
でも、次の瞬間「…うん。」って小さく答えてくれたから……。
安心しきったあたしは調子に乗って、
「よっしゃー!じゃあまたさー昔みたいにラブラブになろーぜ!」
冗談交じりに何気なく本音を言っちゃったりして。
そんな言葉にも梨華ちゃんは嬉しそうに微笑んでくれて。
どんどんあたしは調子に乗っていく。
「梨華―。愛してるぜー(笑)」
75
:
片思い
:2005/01/27(木) 00:30:57
本気に捉えられなくてもいい、冗談でもいい。
いつかこの気持ちを笑い話に出来るように……
“あの時実は本気で好きだったんだよ”って言える日が来るように…
高望みはしないから。
だから、神様…お願いだからもう少し、もう少しだけでいいから、
このまま梨華ちゃんのそばにいさせて下さい。
だけど…
あたしが喜びと感傷にひたっている時。
あたしの腕の中の彼女は震えながら、泣いていた。
76
:
スライム
:2005/01/27(木) 00:34:54
本日も無事に更新終了。
ちなみに次回ラストの予定です。
あー今日はマシューが良かったなぁ。でもやぐのが目立っ(ry
まぁ何にせよああやって取り上げてもらえると安心しますね。
77
:
スライム
:2005/01/28(金) 00:32:24
本日もまたまた更新いきま〜す。
78
:
スライム
:2005/01/28(金) 00:34:41
途端にあたしは自分の行動を後悔する。
「…あっごめん。…なんかあたし調子に乗っちゃって…
あの…その…なんていうか…うざかったかな?!」
「…違うの…」
「へっ?」
「…そうじゃなくて…あのね、嬉しかったの。
よっすぃーがそういう風に言ってきてくれて嬉しかった。
また仲良く出来るんだって思うと、すごく嬉しい…。」
「…あ、ありがと。」
「…でもね、私欲張りだから…。
よっすぃーに“梨華”って呼ばれて…、“愛してる”って言われて…
冗談だってわかってるのに、それなのにそれ以上を望んじゃって…。」
79
:
片思い
:2005/01/28(金) 00:37:03
「仲のいい同期なんかじゃ足りなくて…メンバーの一人ってだけなんて悲しくて…
よっすぃーの一番になりたいの…ずっとよっすぃーの隣にいたいの…。」
余りにも突然の出来事に言葉を失う。
あの?石川さん?それって…?
勘違いしちゃってもいいんですか?
吉澤ますます暴走しちゃいますよ……?
80
:
片思い
:2005/01/28(金) 00:38:43
「…………。」
「…ごっごめん。今の何でもないの。ねっ、今の忘れて…
それで、また明日から仲良くしよう!」
「…無理だよ…。」
「……! そうだよね、こんなの迷惑だよね…。
ごめん、でも、あの、仕事仲間でいいから……
せめて私のこと嫌いにだけはならないで…。」
あたしの沈黙とその後の言葉を誤解している彼女を
今までよりも強くぎゅっと抱きしめる。
「よっすぃー?」
不思議そうな彼女。
81
:
片思い
:2005/01/28(金) 00:40:55
「無理なんだって…忘れるなんて。あたしもそう思ってたから…
あたしもずっと梨華ちゃんの隣にいたいって、
梨華ちゃんの一番になりたいってそう思ってたから。」
「………。」
何も言わない彼女を更に抱きしめる。
こうしないと恥ずかしいからさ……
やっと伝える決心ができたけど、でも、照れくさいじゃん。
「好きなんだ、梨華ちゃんのこと。ずっと見てきた…愛してる。」
やっと、やっと言えた。
もうずっと言えないできた言葉。
一生伝えられないと思っていた言葉。
82
:
片思い
:2005/01/28(金) 00:42:26
それなのに梨華ちゃんってば、「…よっすぃー…苦しいよぉ。」だなんて。
まったく、お姫様はムードってもんを知らないのかねぇ。
あいかわらずどっか抜けてる梨華ちゃんにちょっと呆れつつ、
「(まぁそういうところも好きなんだけどさ)」
あたしは抱きしめている力を緩める。
あたしの腕の間から顔をあげた梨華ちゃんはすでに泣き止んでいて、
あたしの一番大好きな笑顔であたしの顔を見上げながら、
「私もね、よっすぃーのこと愛してるよ(照)」
そう言ったかと思うと急にいたずらっ子な顔をして、
その小さな唇であたしの口をふさいできた。
83
:
片思い
:2005/01/28(金) 00:44:04
「(……!)」
突然のことにびっくりして顔が真っ赤になるのが分かる。
「あーよっすぃー赤くなってるぅ。かわいいー。」
そうだった…。
このお姫様はネガティブなくせして、いったんテンションが
上がると止められないのだ。
「(……まっこういうのもありだけどね。それに…)」
84
:
片思い
:2005/01/28(金) 00:45:48
してやったりって顔の梨華ちゃんの頬に手を置き、唇を奪い返す。
それもとびっきり甘いやつでね。
梨華ちゃんはすごく驚いて照れまくってる。
だけど、次第にあたしのキスに答えてくれて…
甘い甘い2人だけの時間…。
メンバーとして一緒に過ごす時間は残り僅かかもしれない。
でもさ、恋人としてはずっとそばにいるから…。
だから梨華ちゃんもこの手、ずっと離さないでね……。
85
:
片思い
:2005/01/28(金) 00:46:59
<エピローグ>
86
:
片思い
:2005/01/28(金) 00:49:29
あたしがこの部屋によく来ていた頃よりも大きくなったベッド。
それなのに2人の距離はあの頃よりも近いなんて不思議だよね。
想いを伝え合ったその晩、あたしは梨華ちゃんの家に泊まって、
しっかり結ばれた手に力を込めながら彼女に話し掛ける。
「でもさ、うちらがこうなったの知ったらみんな驚くよね?!」
高橋のビックリ顔とか、ぼんやりしてる亀井とか、「ワーワー」騒ぐ
メンバーの顔を思い出す。
「んー。でも、いいんじゃない?」
「へっ?」
「私たちが幸せならメンバーも文句言わないでしょ?!」
「うん。(そうだよなー。メンバーにも堂々としてられるくらい
梨華ちゃんのこと大切にしなきゃな)」
「まぁ麻琴は大騒ぎするかもしれないけどね…(笑)」
この後本当に小川さんが大騒ぎすることを2人はまだ知らない。
まぁこんなに幸せなら知らなくてもいいんだけどね…。
そんな小川さんのお話はまた別の機会にでも…
End
87
:
スライム
:2005/01/28(金) 00:55:59
更新終了。
いきなりタイトル間違えて(本当は「片想い」の予定でした…)
始めてしまいましたが、なんとか無事にここまできましたw
以上で「片思い」は完結です。
ここまで読んでくださった方おりましたら、本当にありがとうございます。
次回は梨華ちゃん視点での別バージョンをあげたいと思っておりますので、
もしよろしければそちらもお付き合いいただけると嬉しいです。
88
:
ゆう
:2005/01/28(金) 01:20:43
初めまして!一気に読ませていただきました。
なんかすっごいリアルで、すっごいドキドキしました!!
実際の二人もこんな感じだったらいいなぁ〜と思うくらい素敵でした。
次回も楽しみにしています!!
89
:
35
:2005/01/28(金) 23:26:08
久々に来てみたらこんなに進んでますた・・・。
あいぼんのシーン見てたら子はかすがいだなぁとジーンときてしまいました。
二人の絆がますます深まるといいなぁ。
梨華ちゃん視点も期待して待ってます!
90
:
スライム
:2005/01/29(土) 01:23:05
おおっとレスが2つもついてる!!ありがたや、ありがたや。
本日は更新はないのですが、レス返しと次回予告を。
>ゆう様
初めまして!!!
一気に読んでいただきありがとうございます!
でもそんなにほめられちゃうと作者調子に乗ってしまいますよw
>35様
また来て読んでいただきありがとうございます!
作者は4期大好きっ子なので、今後もあいぼんには頑張ってもらう予定です。
2人の絆については番外編でおいおい載せられればなぁと思惑中です。
ええっと予告していた梨華ちゃん視点ですが、作者が明日からしばし旅に出るので
帰ってきてから連続してあげていきたいと思います。
その後は、あくまで予定ですが他メン主役の番外編をいくつか…。
という感じなんで、こんな駄文を楽しみにしていてくださる素敵な読者の皆様、
次回更新はもう少々(1週間くらい!?)お待ちいただけるとありがたいです。
91
:
35
:2005/01/30(日) 22:16:19
番外編超期待しとりやす!
気をつけていってらっしゃいましです(^▽^)
92
:
スライム
:2005/02/03(木) 23:54:19
国外逃亡の旅から帰ってまいりましたスライムです。
体調崩して一瞬死にかけましたがなんとか無事に帰宅できました。
ってことで、生還報告とともに梨華ちゃん視点始めたいと思います。
と、その前にレスのお返事を。
>35様
毎度毎度レスありがとうございます!!!いつも励まされております。
今日からまた新たにスタートしますので、こちらもよろしくです(0^〜^0)
それでは、小説の更新行きます。
93
:
片思いsideR
:2005/02/03(木) 23:56:02
<プロローグ>
94
:
片思いsideR
:2005/02/03(木) 23:57:51
そばにいるだけでいいって思っていた…。
そんなの無理だって、いつかは離れるんだって、頭ではわかっていたけど。
だけど、あまりにも急な展開。あの2人も卒業しちゃうんだよ?!
どうしてこんな風になっちゃったのかな?
あーあ、これじゃあどうすることもできないじゃない。もうダメなのかな?
諦めなきゃいけないのかな………
………ひとみちゃん……
95
:
片思いsideR
:2005/02/03(木) 23:59:35
同じ4期メンバーとしてモーニング娘。に入って4年。
初めて会った時からずっとドキドキしていた。
ネガティブな私とは違ってマイペースで、優しくって…
いつも隣で私のことを励ましてくれていた。
それなのにさ、いつの間にか私たちの間にはたくさんの人がいて。
あの時素直になっていれば良かったのかな?
玉砕覚悟で告白していれば、もしかしたら今も隣にいれた?
そんなこと、今更遅いってわかっているのに、でも考えてしまう…
あの頃に戻れたらって…。
96
:
片思いsideR
:2005/02/04(金) 00:01:16
何とかしたい…でも出来ない。
冗談だってわかっていても貴方の言葉に傷ついて…。
どうすることも出来ないまま時間だけが過ぎていく。
もうダメなのかもしれないけど、ううん、もしかしたら初めから
可能性なんてないのかもしれないけど…
メンバー同士だし…それに、私たち女の子同士だし。
97
:
片思いsideR
:2005/02/04(金) 00:02:08
<アナザーストーリー本編>
98
:
片思いsideR
:2005/02/04(金) 00:03:46
年末の慌しさからやっと開放された。
だからって縮まるわけじゃない…ひとみちゃんとの距離。
そんな時、突然、マネージャーさんから「みんなに発表がある」と言われた。
一体何を言っているの? あいぼんとののが卒業?
2人なら成功すると思うよ、成功して欲しいって思うよ。
でも、でも、こんな時に2人にまでいなくなられたら
私はどうしたらいいの? どうなってしまうの?
99
:
片思いsideR
:2005/02/04(金) 00:04:36
その発表は夢にも思わないものだった。
先輩たちを見送って…4人で娘。を引っ張っていこうって。
いつか私が卒業する時は2人に送り出してもらうんだって。
そんな風に思ってたのに……。
現実は余りにも厳しすぎる。
100
:
片思いsideR
:2005/02/04(金) 00:05:53
家に帰ったあとも何も手につかない。
考えるのはあいぼんとのののこと…娘。のこと…
…そして、ひとみちゃんのこと………
振り向いてほしいと思っている。いっそ切り捨ててほしいと思っている。
2人の卒業で私たちの関係はまた変わるだろう。
でもそれはいい方に?悪い方に?
もう一度隣に行ける? もっと遠くに追われる?
期待と不安で私の心は押しつぶされそうになる。
まだ先のことなのに…半年も先のことなのに…
それでも私の心を締め付けるのは、私が知っているから…
「卒業までの時間」はあっという間に過ぎて行くということを。
101
:
片思いsideR
:2005/02/04(金) 00:07:46
私の思った通り。
時間とは無情なもので、あれからすぐに安倍さんが娘。から旅立って行った。
でも、卒業ってこんなに大変なものだったかな?
ごっちんの時よりも大変だよね、今って…
改めて思い知らされる安倍さんという存在の大きさ。
<娘。の顔><エース>であることの辛さ。
やめて…お願いだから…これ以上、
これ以上私に無理な期待をしないで…
私はそんなにすごい人間なんかじゃない!
安倍さんの代わりなんて出来るわけない!
私は“石川梨華”であって“安倍なつみ”ではない…
私だって頑張ってるよ…一生懸命やってるよ…
だからお願い、“安倍なつみ”の代わりじゃなくって、
“石川梨華”として私を認めて……。
102
:
片思いsideR
:2005/02/04(金) 00:10:35
誰か助けて…私のことをわかって…
ねぇ…ねぇ…ひとみちゃん…
昔みたいに私のこと助けてよ!
「梨華ちゃんはバカだなぁ」って笑い飛ばしてよ!
ねぇお願い…こんなこともう貴方にしか頼れないんだよ…
どうしてこんなにも離れてしまったの…
こんなに大切に思っているのに…こんなに愛しく思っているのに…
私は貴方にとってただのメンバーの一人なの?
私が貴方の特別な人になるのは無理なことなの?
私は貴方の…ひとみちゃんの…恋人にはなれないの?
神様がいるなら教えて欲しい。私の願いが叶う日はいつかくるのか……
103
:
スライム
:2005/02/04(金) 00:16:40
更新終了。
ちょっと少なめですが出だしはこんなかんじで。
ちなみに本編(
>>3-86
)とリンクした話ですので、お時間の
ある方はそちらの方も宜しくお願いします。
104
:
スライム
:2005/02/04(金) 21:21:14
今日もサクッと更新始めます。
105
:
片思いsideR
:2005/02/04(金) 21:23:04
都大会に向けて再開されたフットサルの練習。
なんだかとっても久しぶりにひとみちゃんを見る気がする…。
でもね、本当に見ているだけなの。
だって貴方の隣には私よりも貴方を知っている人たちがたくさんいるから。
息が詰まるほど苦しい。
こんなに近くにいるのに貴方と触れ合うことが出来ないのだから。
ののと麻琴といるのに考えるのはひとみちゃんのことばかり。
それなのに……
「よっちゃんも一緒に遊びたいれすかー?」
ののの言葉にドキッとさせられる。
106
:
片思いsideR
:2005/02/04(金) 21:24:40
いつからかな?貴方が隣に来ることを苦しく思うようになったのは…。
嬉しいんだよ? 嬉しいんだけどね…でも…
そんな時間が過ぎ去ることがとてつもなく怖い。
「(もう二度と私の隣には来てくれないかも)」
恐怖に支配されて身動きがとれなくなるから…
「(だったらいっそ近づけないほうがましだよ…)」
本心とは正反対のことばかり考えてしまう。
107
:
片思いsideR
:2005/02/04(金) 21:26:07
「…梨華ちゃん!」
「うん?」
「のんたち喉渇いたから何か飲んでくるね。よっちゃんのことよろしく!」
「(自分で呼んでおいて放ったらかしなのね…)」
2人の自由さに思わず笑みがこぼれる。
でも…
「(ひとみちゃんと2人で取り残されてもね…)」
なぜかここにきた瞬間からぼんやりしている貴方。
何か言ってよ…私、何を話したらいいのかわからないんだから。
そんな私の気持ちとは裏腹に貴方は別世界に飛んでいて…
「(結局私から話さなきゃいけないのね…)」
108
:
片思いsideR
:2005/02/04(金) 21:27:52
「よっすぃー。よっすぃーってばぁ!」
貴方のことを名前で呼ばなくなってからどれくらいたったのかな?
私がそんなことを考えていると、
「へっ!? あっごめんごめん……。」
あぁ本当にどこかに行っちゃっていたのね…私なんて目に入らないのね…
どんどん浮かんでくるネガティブを打ち消すように無理して明るく振舞う。
「もう、どうしたの!?かおたんみたいに交信中?(笑)」
「あっ、いやーなんかあの二人見てたらのんびりしてるなーって(苦笑)
あれっ!?そういやーあいつらは?」
「本当に交信してたんだねっ。二人なら飲み物飲んでくるってさっき行っちゃったよ!」
「そっかー。あっ行かなくて良かったの?」
それって優しさ? それとも私と一緒になんていたくないの?
「んー…どっか行っちゃってるよっすぃー置いていくのもねー(笑)
それにあんまり喉渇いてなかったし…」
何? なんか急に思いたったような顔して…
やっぱり私となんていたくないのかな? 何か他のものに興味移っちゃった?
やだ、やめて…せめて私の前では他の誰かを見たりしないで…
109
:
片思いsideR
:2005/02/04(金) 21:30:09
そんな私の思いとは逆に、
「あのさー、最近どうよ?」
ひとみちゃんの口から出た言葉は私を気遣うもので。
嬉しいはずなのに素直に喜べなくて…
「急にどうしたの? なんか今日のよっすぃーちょっと変だよー(笑)」
かわいくないことばっかり言ってしまう。
「いやー、ほらさー…あっそうそう最近分割で離れてるじゃん!?
そっちはどうなのかなーとか思って。」
あーあ、ひとみちゃん慌ててる…ダメよね、貴方に気を使わせるなんて…
「あー…う〜ん…別に変わったこととかないよ。
そっちは安倍さん抜けたから大変じゃない?」
「うん…まーね。でもさ、矢口さんとか頑張ってるし、まっ大丈夫だとは思うけど…。
…梨…あー…石川は? ドラマとか撮ったりしてんでしょ? 忙しくない?」
今日のひとみちゃんはいつもと違う……普段そんなに私のこと気にしないよね?
ふいにみせられた貴方の優しさに私の心は動揺してて…
思わず本音を打ち明けそうになってしまう。
あの日封印したはずの想いが私を包んでいくのを感じる。
110
:
片思いsideR
:2005/02/04(金) 21:32:23
「(いけない!この気持ちだけは貴方に伝えるわけにはいかない!)」
くじけそうになる心を僅かな理性が繋ぎとめる。
そう、言ってはいけない。口に出してはいけないの…
「ちょっと忙しいかも…でももう慣れてるしねー、年末とかよりはマシだし…
……たいしたことないよ…」
結局私が吐き出せたのはいつもの強がりだけ…
「はーい!休憩終わりー!!始めるぞー。集合!」
監督の号令にほっと安心しているのが自分でもわかる。
「(良かった…これ以上優しくされたら私はもう前へは進めない…)」
「…もう行かなきゃね。」
それだけを絞り出して私は駆け出す。
これでいいの…これでいいのよ…。
何も望んではいけないの…望んだって手に入らないのだから…
111
:
片思いsideR
:2005/02/04(金) 21:34:10
“事件は会議室で起きてるんじゃない”
何のドラマだったかな…そんな言葉が頭をよぎる……
そう、それは本当に突然に…予想もできない所から訪れた。
112
:
片思いsideR
:2005/02/04(金) 21:36:28
「なぁ石川…お前もよう頑張っとるやないか?」
ここにいるのはつんくさん、そして…突然呼び出されて困惑している私。
「…ありがとうございます。」
「なんや、疲れとるみたいやなぁ? 仕事きついんか?」
「…いえ、そんなことないです。」
「まぁええけど。あんま根詰めすぎんなや。」
「…はい。」
「そんでな、急に呼び出されてびっくりしてるやろうけど、話ってのは…
石川卒業せえへんか?」
「えっ?…あっあの…卒業ですか?」
「そうや。正直このまんま娘。にいたらお前はダメになる。」
「…………。」
「…別に批判してるわけやないでぇ。石川、お前今の娘。で何を得とる?」
「えっ?あっ、その…でも…まだいっぱい学ぶものがあって…」
「それは娘。じゃなきゃ学べんもんか?」
「………。」
113
:
片思いsideR
:2005/02/04(金) 21:37:48
「自分でも分かってるんやろ? お前はもう十分いろんなもんを手に入れた。」
「………。」
「確かに足りんもんはたくさんある。娘。じゃないと得られんもんもな。
だけど、石川。娘。以外でもな、他にいっぱい必要なもんはあるんや?
それには卒業して外に出なきゃあかん。そして、今のお前ならそれが出来る。」
「…私に本当に出来るんですか? 大丈夫なんですか?」
「不安になるのもわかるで。だけど俺かてな、そんな何も考えんと
お前のこと外にほおっぽったりせえへん。自信があるんや、
石川が卒業してもちゃんとやっていけるって…
娘。から飛び出しても羽ばたけるって…そうやなかったらこんな話せえへん。
どうや石川…これでもまだ自分に自信持てんか?」
「…いえ、あの嬉しいです。私…どこまでやれるかわからないけど、
でも、卒業して頑張ってみたいです。」
114
:
片思いsideR
:2005/02/04(金) 21:39:42
その後は何を話したのかあまりよく覚えていない。
ユニットがどうこうとか、今後の方向性はどうだとか…。
私だって嬉しくないわけじゃない。
努力を認めてもらえたのだから。私を認めてもらえたのだから。
それにいずれは旅立つ日がくるって思ってた…それがちょっと早かっただけ。
だけど手放しに喜べないのはあの人のせい。
私の心を奪ったまま離してくれないあの人の…
115
:
片思いsideR
:2005/02/04(金) 21:41:02
「(でも、私卒業するんだよね……)」
卒業したら今のように毎日一緒にいることはない。
ハローにいるのだから一緒の仕事があるかもしれないけど…でも…
今までとは明らかに遠のく距離。
……気まずくなっても諦めのつく距離。
「(…伝えてしまおうかな)」
あの日心の一番奥底にしまい込んだ想い。
あの日鍵をかけて閉じ込めたあの人への想い。
そう…あの日…
116
:
片思いsideR
:2005/02/04(金) 21:42:19
ちょうど2年前のこのくらいの時期。
私たちは2人揃って事務所の人に怒られた。
きっかけは些細なこと…「誰が信じるの?」ってくらいのデタラメな記事。
私は自分の気持ちがばれたんじゃあってドキドキしていたけど。
貴方は全然気にしてないって感じで堂々としていて。
帰り道に話した言葉、私は今も覚えてる。
だってとってもショックだったから…私の気持ちを一瞬で否定されたのだから。
117
:
片思いsideR
:2005/02/04(金) 21:43:47
あの日貴方が言った言葉。
私が受け入れてしまった言葉。
「ありえない」
その一言で私の恋は行き場を失った。
“好き”って言うことも、“一緒にいたい”と言うことも…
全ての権利をあの時、あの瞬間に奪われた。
私の想いは貴方を困らせるだけと知ったあの日から。
あれほど自信を持っていた貴方への想いは…
伝えることを許されなかった貴方への想いは…
ただただ私の心を苦しめ続ける鎖へと変わった。
118
:
片思いsideR
:2005/02/04(金) 21:45:42
だけど、もし、もしもあの時私にほんの少しでも勇気があれば…
貴方への本当の気持ちを偽ったりしなければ…
出口のない迷路に迷い込むことはなかったのかな…。
時間は戻らない。
そんなことわかりきっているのに、それでも私は、
今も変わらずあの日のことを後悔し続けている…。
119
:
スライム
:2005/02/04(金) 21:49:29
更新終了。
体調も回復してきたので、梨華ちゃん視点もサクサクあげていけそうです。
あぁでも徐々にストックがピンチになってたり…(;^▽^)
120
:
スライム
:2005/02/05(土) 23:51:11
本日もシャキシャキ更新始めたいと思います。
121
:
片思いsideR
:2005/02/05(土) 23:53:21
「おーい、何してるのー?」
私がひとみちゃんへの想いと葛藤している時。
目の前に現れたのは私を悩ませる張本人。
「(なんかいいことあった?)」
私の気持ちとは反対に、なぜだかハイテンションな貴方。
「………よっすぃー。」
嬉しそうに話し掛けてくれる貴方には悪いけど、これが私に返せる精一杯。
「んー、どうかした?」
あぁどうして?そんな笑顔で見つめられたら全てを話してしまいたくなる。
もうここで全部話しちゃおうか?
122
:
片思いsideR
:2005/02/05(土) 23:55:41
「……あっ、あのね……」
「ん?」
私を覗く貴方の優しい目に引き込まれて。私は急に怖くなる。
貴方のその笑顔を失うことが…贅沢なんて言わない、時々でいいから…
だから、もう少し貴方の優しい笑顔を私に向けていて…
「……ううん、何でもない。ちょっとね、考え事してて。」
結局何も言えないんだ。 さっき決心できそうになったのに。
私は弱いから、臆病者だから…こんな場面でも貴方を失いたくないと思ってる。
しがみついたって手に入れられないのにね…私はなんて愚かなのだろう。
「……そっか。…何かさ、あるなら聞くから。気向いた時にでもいいから言ってよ。」
最近貴方は優しいわよね…何かあったのかな?
…だけど今はその優しさも私にはつらいだけなの。
「…うん、ありがとね。」
123
:
片思いsideR
:2005/02/05(土) 23:58:46
「(あーあ、なんか暗くなっちゃった…。せっかくひとみちゃんが
話し掛けてきてくれたのに…私のバカ! 何か話さなきゃ…ん?)」
ひとみちゃんの手にある雑誌に目が行く。
「ねぇそれ何?」
「へっ?」
私が急に話を変えたから、びっくりしてるみたい。
だけど、すぐにまた優しい顔になって、
「あーこれ? 連載してる雑誌の今度出るやつ。さっき貰ったんだ。 見る?」
そんな風に言ってくれる。
「えっ?!いいの?」
「うん。どうせお母さん買ってくるしさ、持って帰ってもいいよ。
って、いらないかな?(苦笑)」
「ううん、そんなことないよ。ありがとね、後でゆっくり見るから。」
「おー。」
大好きな人からの突然のプレゼント。
昔貴方にもらったたくさんのものは、今も大切にしまってある。
「(これも大事にしなくちゃね)」
たった一冊の雑誌だけど、久しぶりに増えた私の宝物に顔がほころぶ。
だって、もう増えることなんてないと思っていたから…
124
:
片思いsideR
:2005/02/06(日) 00:01:14
あれから数週間。
結局何も話せないまま、今日を迎えた。
今日、私の卒業をあの人が知る。
ミーティングの間あの人は一言も喋らなかった。
それがどういう意味なのか私にはわからないけど……。
だけど、何も話さないあの人の横顔をみているのが辛くて、
自分の強がりが限界にきているというのがわかって…
終了と同時に私は部屋を出た。
私は走る。人目も気にせず、ただただあの場所から離れたくて。
125
:
片思いsideR
:2005/02/06(日) 00:03:57
誰もいない公園まで来た時、やっと私は走るのを止めた。
「(…はぁ…はあ。ここまでくれば…)」
息が整うのと同時に頭の中が冷静さを取り戻す。
「(ひとみちゃん、大丈夫だよね? かおたんもまりっぺもいたもんね?)」
「…ちょっと!あんた早過ぎっ!!」
突然後ろから聞こえた声に心臓が飛び出しそうになる。
………一体何?
126
:
片思いsideR
:2005/02/06(日) 00:05:50
「…はぁ…はぁ…あーもう待てって言ってるのに。圭織もう若くないんだからねぇ。」
ちょっと怒りながら、だけど苦しそうにかおたんは立っていた。
「…あ、あの…」
「ったくぅ、ちょっと話そうと思ったのに急に走り出すんだもん。
呼びかけても全然止まらないし、それどころかスピードあがるし。」
かおたんの怒りはおさまる気配がない。
それほど重要な話とは一体何なんだろう…?
「はぁ…んっと、良し。やっと直った。 あのね、石川?」
「は、はい!」
絶対怒られる!そんな気がしてしまい背筋がのびる。
127
:
片思いsideR
:2005/02/06(日) 00:08:17
だけどそれに反してかおたんは、
「ちょっとー説教するわけじゃないんだからー(苦笑)もう、だいたい
圭織そんな怖くないしー。…って、そんなんじゃなくって。
話っていうのはね…」
私の態度に苦笑いしながらも優しく語りかけてくれる。
「…はい。」
「あのね、時間はまだあるの。だから、やれることはまだまだたくさんあるし、
やらなきゃいけないこともまだまだたくさんあるの。」
「はい。」
「石川はね、残りの1年? そこで後悔しないようにやればいいんだから。」
「………。」
128
:
片思いsideR
:2005/02/06(日) 00:10:18
「まだリセットボタンを押すのは早すぎる!!最後の1秒まであがかなきゃ!
…以上、圭織の言いたいことはそれだけだから。じゃあねー。」
そう言って立ち去るかおたんの背中はとっても大きくて。
全てを見透かされてるようで恥ずかしいはずなのに、私の気持ちは穏やかだった。
「(そのためだけに追いかけてきてくれたのかな?)」
私よりも先に旅立つ先輩。
自分だって不安なはずなのに…。
それなのに後を行く後輩のためにここまでしてくれる。
「いつまでも心配ばっかりかけられないよね。」
その日の帰り道、私は誓った。
もう一度、もう一度ちゃんとひとみちゃんを好きになろう!
そして、私が卒業する時「大好きだった」って、「ありがとう」って、
自信持って言えるようにもう一度頑張ろう…
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