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初めてスレ立てます

1スライム:2005/01/23(日) 22:57
初めまして!スライムと言います。

ずっとROM専だったのですが、自分でも書いてみたいと思ってスレたてさせていただきました。
つたない文章ですが、よろしくおねがいします。

288ミキティの苦悩?:2005/02/14(月) 00:02:58

「それもね、嫉妬の一つだと思うの。だってさ、その人が誰といたって
 本当は別にどうでもいいことじゃない。まぁ浮気とかだったら別だけど、
 仕事とかかもしれないんだし。だけど気になるっていうのは、やっぱり
 どこかで“どうして自分じゃなくてその人と?”って気持ちがあったり
 するからなんだよ。」

「なるほどねー。あっ!ねぇ。じゃあさ、例えば美貴の知ってる人だったと
 しても、その人と好きな人はそれほど仲がいいってわけじゃなかったの。
 だけど、いつの間にか、美貴の知らない間に2人が仲良くなってたとして、
 それがすごく気になったとしたらそれも嫉妬なわけ?」

「う〜ん、それは難しいとこだね。その2人が全然共通点ないタイプ
 とかだったら単純にどうしてって興味引かれるだろうし。
 でも、もしその時にちょっとでもおもしろくないとか思ったなら
 それはやっぱりその人に嫉妬しちゃってるんだよ。」

「ふ〜ん、そういうもんなのかねー。」
って、ちょっと待ってよ! だってこの間の…
美貴、亜弥ちゃんと梨華ちゃんを見ておもしろくないって思ったじゃん。

それって美貴が梨華ちゃんに嫉妬してたってこと?

ってか、それだと美貴が亜弥ちゃん好きみたいじゃん…。

289ミキティの苦悩?:2005/02/14(月) 00:05:54

「ん?美貴たんどうかした?」

「ううん、何でもない。」
焦った。なんかドキドキしてきちゃったよ。

「ねぇ、それでさ、やっぱりその嫉妬とかしてるってことは、
 その人を自分だけのものにしたいとかそういうこと?」

美貴は別に亜弥ちゃんを美貴のものにしたいわけじゃないもん。
ただ2人でいると楽しいから一緒にいるだけだし。
亜弥ちゃんに好きな人がいるなら応援だってできるもん。


「それはねー人それぞれだと思うよ。」
「へっ?」

「もちろんそういう風になれれば最高だけど、皆が皆両想いな
 わけじゃないでしょ? やっぱり好きな人とは一緒にいたいし
 自分だけのものになってくれれば嬉しいけど、それが叶わなくても
 好きっていう気持ちには変わらないんだし。」

「…………。」

290ミキティの苦悩?:2005/02/14(月) 00:07:31

「だから、中には嫉妬とかしちゃってたとしても、その人が自分
 のものにならなくてもいい、その人が幸せなら自分は好きなだけ
 でいいっていう人もいると思うんだ。」
「うん。」

「まぁ松浦はそんなの嫌だけどね。好きな人には自分のことだけ
 見ててもらいたいもん。」
「そっかぁ…。」

美貴はどうなんだろうなぁ……。
亜弥ちゃんのことはすごく大切だけど、だからこそ亜弥ちゃんの恋
を邪魔したくなんてないし応援したい。

だけどやっぱり恋人が出来たら今みたくしょっちゅうなんて遊べないかも。
うん、それは嫌だなぁ…。
亜弥ちゃんにはこのまま美貴と仲良く遊んでてほしい。

って、やっぱり美貴は亜弥ちゃんのこと好きなのかなぁ?
違うよね? これって友情だよね? 愛情じゃないよね?

291スライム:2005/02/14(月) 00:11:14
更新終了。

気が付いたらなぜか哲学者チックなあやや…でも書いてて楽しかったりw
どんちゃん(←お気に入り)がこのままどんちゃんでいるか、それとも
覚醒するのかは、次回をお楽しみに♪

ちなみに次回ラストです。

29235:2005/02/14(月) 01:04:58
あややってば大人ぢゃな〜い??(某侍風)
"どんちゃん"を気にいっていただけたみたいでなんか嬉しいです(w
(すみません。実は111は自分でした…他の人にレスしてる番号と間違えたみたいで…
ややこしいことしてごめんなさい…)

そしてミキティは本当にどんちゃんっですね(^^;)
あややも苦労するなぁ・・・がんがって!あやや!!

293ゆう:2005/02/14(月) 01:39:56
ミキティ鈍すぎっ(笑)それに比べてあややは大人ですね〜
次回ラスト、ミキティがどうなってしまうのかすっごい楽しみですっ!!

294203:2005/02/14(月) 10:36:54
美貴さん鈍過ぎ・・・(睨まれてもこの際無視ですw)
亜弥ちゃんの頑張りが身を結ぶのか・・・。楽しみにしています。
やっぱり石川さんは天然誘い受けですよね〜♪よっちぃも大変だなぁ。

295スライム:2005/02/14(月) 22:20:33
最近頭の中が小説制作ばっかりなスライムです。
今日もハンバーガー屋に行って、(あ!今度これネタにしよう。)なんて、
レジ待ちしながらぼんやり考えちゃいましたw

>35様
 いつもありがとうございます!!
 HNの件、了解です。実は、「珍しいコテハンだな〜」なんて普通に思ってましたw
 それから”どんちゃん”ですが、かなり気に入っていて今度小説でも使いたいと
 思ってるんですが、良いですか?

>ゆう様
 いつもありがとうございます!!
 あややが大人〜な理由はこの後明らかにw 
 (ミキティの今後もすべて、あややの手のひらの上だったり?!)
 川釻v釻从<美貴だってやるときはやる女だよ!

>203様
 いつもありがとうございます!!
 大丈夫ですよー、ミキティはあややにたしなめられて大人しくなったのでw
 なんだかんだ言ってあややは最強です、ミキティも頭が上がりません。
 ついでによっすぃーも梨華ちゃんには頭が上がらなかったり…。


それではラストまで一気に更新行きます。

296ミキティの苦悩?:2005/02/14(月) 22:23:07

「ねぇ亜弥ちゃん、それって友達同士でもあることだったりするかな?」

「友達同士?」

「うん、たとえば愛情じゃなくて友情でもそういうのってある?」

「愛情と友情ねぇ…。」
お願いだからあるって言ってね!
じゃないと美貴もうわけわかんなくなりそう。

「でもさ、それって言葉の問題でしょ?」
「言葉?」

「うん。だって、愛情にしろ友情にしろその相手のことがすごく大切で
 大事にしたい、好きってことには変わりないでしょ?」
「うん。だけどさぁ…。」

「じゃあさ、そうだなぁ…美貴たんは親友と友達の区別ってどこから?」
「それはやっぱり一番仲がいい人が親友で……」

「それって一人じゃなきゃダメ?」
「そんなことはないけど……。」

297ミキティの苦悩?:2005/02/14(月) 22:24:46

「ねっ!親友が何人いたって良いわけで、それが一人でも逆にいっぱいいても
 いいんだし、それに“親友”と呼ばなくたって仲のいい友達がたくさんいる
 人だっているわけじゃない。それって、どっちが偉いとかないでしょ?」
「うん。」

「ということはそこに境界線がないのと同じで、愛情と友情だって
 本当は区別する必要なんてないんだよ。」

「でもさぁ…実際区別されて呼ばれてるわけだし。」

「もう!だからぁそれは人の勝手な思い込みなの!」
「思い込みって……」

「だって、別に好きな人がいなくたって、逆にたくさんいたとしたって、
 それって気持ちの問題だからどうしようもないでしょ?
 だけどやっぱり好きな人がたくさんいるとか言っちゃうと周りから
 軽蔑っていうかいろいろ言われちゃうし……」
「うん、うん。」

298ミキティの苦悩?:2005/02/14(月) 22:25:50

「だけどさ、好きな気持ちは変えられない。だから、自分のなかでそれを
 その気持ちの大きさって言うのかな?それでわけちゃって、友情とか愛情
 とか区別しちゃうんだよ。」
「…そんなものなのかなぁ。」

「そしたらさ、周りからも責められないし、自分自身も混乱しないですむでしょ?
 結局そんなものなんだよ。まぁ肉体的なこと言えば、やっぱり
 そういうのは1人の方がいいけど、でも気持ち的なことなら別に
 何人そういう人がいてもいいと思うんだよね、松浦は。」

「肉体的って…。」

亜弥ちゃん急に何言い出すのさ?
びっくりしちゃってお茶噴出しかけちゃったじゃん!

299ミキティの苦悩?:2005/02/14(月) 22:27:27

「美貴たん、きちゃな〜い。」

って、誰のせいでこんな風になったと思うのさ!
「…けほっ。…亜、亜弥ちゃんが急に変なこと言うからさ…っけほけほっ。」

「だってぇ〜。」

「だってじゃなくって。もう! じゃあさ、亜弥ちゃんは
 そのぉ好きな人がいっぱいいたりりするわけ?」

「気持ち的にはね。大切な人はいっぱいいるよ。
 でも肉体的にも許せるって言えるのは1人だけだよ。」

「だ、だから…さっきから亜弥ちゃん大胆すぎだって!」

「だってこうでも言わないと美貴たんわからないでしょ? えへっ。」
って、にっこり笑ったって無駄だから。

あー本当にびっくり。なんだかなぁ〜。
美貴こんな話が聞きたかったのかなぁ。

300ミキティの苦悩?:2005/02/14(月) 22:28:57

「だからね、美貴たんは別に焦って結論出さなくてもいいんだよ。」
「え?それって?」

「んー?」
「いや、その…亜弥ちゃん気づいてたの?」

「そりゃあね。美貴たんわかりやすいもん。別に美貴たんはおかしく
 なんてないんだよ?好きなら好きでいいんだもん。
 まぁ松浦は美貴たんのことならのんびり待てるから、どうしたいのか
 ゆっくり自分のこと考えるといいよ。」


「なんかすごい自信だね……」

「何がぁ?」

「や、それって美貴が亜弥ちゃんのこと好きって言ってるわけでしょ?」
「な〜に?違うのぉ?」

「いや、違くはないけどさ…でも……」
なんかものすごく強引な展開じゃない?これって。

301ミキティの苦悩?:2005/02/14(月) 22:31:08

「じゃあ美貴たんは松浦のこと嫌いなの?」

「ううん、そんなわけないよ。好きだけど…」

「じゃあ、いいじゃない!」
いいのかよ! もう本格的にわかんなくなってきた。

「でも、美貴別にその…肉体的ってやつ? 亜弥ちゃんと
 そんな風にとか思ってはないんだし……」
うわっ自分で言って恥ずかしくなってきたよ。
何言わせるんだよ、亜弥ちゃん。

「だからぁそれはいいの。松浦は待つって言ってるんだし。」

「いや、でもね、待たれてもその…あの…美貴が
 そういう気持ちになるかわからないし……」

302ミキティの苦悩?:2005/02/14(月) 22:32:15

「なるよ!」

はい? なんで? その根拠は?
亜弥ちゃんの絶対的な自信に口が開いたままふさがらないよ。

「えっと…亜弥ちゃん? それはどのへんから?」

「だって、松浦だもん。松浦が本気になったら振り向かない
 なんてありえないもん!」

はぁぁぁぁぁ???? 何それ?


うわっ、なんか怖くなってきちゃったよ。
なんか美貴とんでもない人とかかわっちゃってない?

303ミキティの苦悩?:2005/02/14(月) 22:33:51

「美貴たんは必ず松浦のこと大好きになるからね、うん。
 それまではの〜んびり待つから、ゆっくり好きになってね!
 あっでも美貴たんが松浦のこと抱きたくなったらいつでも
 OKだよ(はぁと)」
「は、はぁ…」

あぁなんか美貴もう戻れないんだね。
なんか亜弥ちゃんどさくさに紛れてすごいこと言ってるし。

抱くって……よっちゃんさんたちじゃないんだから…。
って、そうかあの2人付き合ってるもんね。
じゃあそれが普通なのかな? 美貴にはわかんないけど。

あーでももうどうしようもないしね……。
とりあえず亜弥ちゃんの言うとおりにしておくしかないか。

って、付き合う前から尻に敷かれてるけどいいのかねぇ?
美貴ってこんなキャラだったかな? はぁ〜あ。

まっ別にいっか。亜弥ちゃんとの関係が変わるわけじゃないんだし。
もうどうにでもなればいいんだよ。

304ミキティの苦悩?:2005/02/14(月) 22:35:33


「亜弥ちゃん!よくわかんないけどこれからもよろしく!」

「はーい!」

とりあえず開き直っておいた。
この先なんて誰にもわからないんだしね、なるようになるさ。


頑張れ!美貴!

305ミキティの苦悩?:2005/02/14(月) 22:36:53

あっそうそう亜弥ちゃんと梨華ちゃんのことだけど。

亜弥ちゃん曰く“ラブラブカップルの先輩”として2人に美貴の
ことを相談しに行ったんだって。ついでに娘。で活動してる時の
美貴もことを聞いたりなんかしたりで。

それで、やっぱりよっちゃんさんは何て言うか“男”だから、
自称「恋する乙女」な亜弥ちゃんの気持ちを理解出来るのは梨華ちゃんの
方なわけで。それでいろいろ話してるうちに意気投合して仲良くなったん
だって。


どうりでよっちゃんさんが怒らないわけだ。
それにしても、誤解して冷たくしちゃってたよ。梨華ちゃんごめんね。

まぁ人前で見せ付けてるカップルになんてわざわざ謝ったりなんかしないけどね。
美貴が悩んでる時にイチャイチャしてるのがいけないんだもん。
変なとこ(キスシーン)見せてきたしさ。
(って、これは美貴が勝手に見ただけなんだけど)


まっ何はともあれ美貴も2人に続けるように?頑張るさ。


     End

306スライム:2005/02/14(月) 22:43:34
更新終了。
ついでに「ミキティの苦悩?」も終了(完結)です。

続・哲学者?なあややですが、結局ラストはこんな感じになりました。
ミキティ含め、CPのいわゆる男役?な人々は皆大変だと……。
そこらへんはまた続編ででも書いていきたいと思います。


ちなみに次回作については…実はまだ決定してなかったり。
皆様の意見を参考にしつつ、次回(明日?)更新時に手元にあるものを見て
何をあげるか考えたいと思います。


それでは、「ミキティの苦悩?」にお付き合いいただいた方、ありがとうございます!!

307前274:2005/02/15(火) 00:40:09
更新、完結お疲れ様です。
面白かったです!あややの言葉にうなづいてた私です(笑)
お話を書ける、というのは才能ですよね、
作者さま、うらやましいです。新作楽しみにしています。
バレンタイン、梨華ちゃんはよっすぃにどんなのあげたの
かな〜・・

308ゆう:2005/02/15(火) 01:01:23
完結ご苦労様です!!あややの自信満々なセリフにタジタジなミキティが
すっごく面白かったです!こういうクールじゃない尻に敷かれてる様な
感じのミキティ大好きです〈笑〉次回作楽しみに更新待っています!!!

309203:2005/02/15(火) 15:14:50
こちらも最後は美貴さんらしい感じですっごい良いです♪
それにしても亜弥ちゃん・・・素敵過ぎます!表現がストレートで。
もう襲われちゃう日も近い?�堯放�o釻;从
真面目な話、亜弥ちゃんの「好きな人」論にめっちゃ同意れす。
作者さんの描かれるメンバーのキャラがとっても『らしく』ってスキです。
次回更新もまったりお待ちしています。

310スライム:2005/02/15(火) 23:43:08
「はねトビ」のごっちんのかわいさを忘れないうちに今日の更新を。

>前274様
 レスありがとうございます!!
 あややの語りはちょっと長くなったかな?と思っていたので、うなづいていただいた
 なんてとても嬉しいです。
 でも才能については…そう言っていただき恐縮ですが、ぶっちゃけナイですよw
 もっと文章力&語彙力が欲しいと思う今日この頃です。

>ゆう様
 いつもありがとうございます!!
 最初は強いミキティを書くつもりだったのですが、あややを書くのが楽しくて
 登場シーンを増やしたら自然とあんなキャラになってしまいましたw
 ちなみにこんなミキティ…いずれ続編書く予定です。

>203様
 いつもありがとうございます!! キャラを褒めていただきとても嬉しいです。
 今後の2人ですが、ミキティがあややに手をだすというか出されるというか?な
 日はいずれ訪れる予定大です。

31135:2005/02/15(火) 23:58:49
ミキティってば完全に尻に敷かれてますねぇ^^;

 ナイスです。

素敵です。きっと結婚したらお小遣いとかもあややが管理すんだろうなぁ…なんて
とこまで考えてしまいました(飛躍しすぎやっちゅうねん)

>それから”どんちゃん”ですが、かなり気に入っていて今度小説でも使いたいと
 思ってるんですが、良いですか?
全然OKです。むしろ「使ってやってお願い!」と言いたいくらいです。
本当あんな思いつきでできた言葉を気に入ってくださってありがとうございました。

312スライム:2005/02/16(水) 00:02:38
 
今日から始める話ですが、結論から言うと新作(>>272でいう①)になりました。

手元にあるものを片付けつつ皆様のご意見を参考にしてアップするためには、さっさと
①を終わらせ③の制作に入りそっちからあげていくというのが一番ベストかな?と思い
頑張ってみたのですが、何分力不足なため(①が思いがけず長くなってしまい書き終え
ないため)間に合いませんでした。
更新をしばらく休んで出来上がってからにしようかとも思ったのですが、一応①の方は
ストックがあるので、③を作っている間にそっちを読んでいただこうと考えました。

希望とは違う形になってしまった方には非常に申し訳ないのですが(203様ごめんなさい)、
次は必ず③の方をあげるので、今回はこちらの方にお付き合いください!お願いします。


<スタート前の補足です>
今回の話は今までとは関係のない全く新しい話で、アンリアルとなっています。
年齢の方は実際より3〜5歳くらい上という設定です。
長さについては、「片思い」の倍くらいで予定では10回弱くらいの更新となります。


それでは更新始めます。

313秘密:2005/02/16(水) 00:04:51

もう二度と恋なんてしないって思っていた。
自分にはそんな資格なんてないんだって。
普通の女の子みたいな幸せは私には手に入れられないんだって。

若気のいたりって言うのかな?
あの頃はこんな風になるなんて思ってもみなかった。
ただ毎日を楽しく過ごせればそれでいいんだって。
先のことなんてどうなったってかまわない。
今さえ良ければそれでいい。そんな気持ちしか持っていなかった。

でもね、一つだけ言い訳すると。
それでも私は本気だったんだよ。
本気で人を好きになってたし、本気で恋してた。

でもね、あの時もうすこしだけ、もう少しだけでいいから
自分のこと大事にしてあげられていれば…
こんなに苦しむ必要なんてなかったのかもね。

314秘密:2005/02/16(水) 00:06:33


出会いは本当に突然の出来事。

その日は土曜日で、だけど休日出勤していた私はスーツ姿で公園にいた。

「あーあ、これなら別に週明けでよかったじゃない?!」
思いがけず仕事が早く片付いてしまった。
だからと言ってその後何をしようとも思わない。
「あーもう、つまんない。」


大学を卒業して数年。とにかく仕事にだけ生きてきた。
恋も遊びもそんなものどうでもいいってないがしろにして。

男女関係なく認めてくれる会社だから、やればやっただけ
それなりの評価が返ってくるわけで。
それが嬉しくてとにかく頑張った。

昔のこと忘れるように、とにかくがむしゃらに。

315秘密:2005/02/16(水) 00:08:01

“仕事に逃げてる”って人には思われるかもしれない。
だけどそうでもしなきゃやっていけなかったんだもん。
そうやってしか生きていけない人間なんだもん。

仕事で成功して、いい服着て、いい物食べて。
だけどいつの間にかいろんなものを失っていた。


恋なんてしないって思ってシャッターは閉めっぱなし。
気づいたら食事に誘ってくる人もいなくなってた。

316秘密:2005/02/16(水) 00:09:19

仕事ばっかり優先で全然連絡なんてとらなかったから
大学時代の友人はみんな音信不通。

地元に帰ればそれなりに友人も残ってはいるけど、わざわざ
帰ってまで遊びたいなんて思うこともなくて。
それにできればあそこには帰りたくない。嫌な思い出しかないから。

(あーあ、私ってこんな暗いことしか思いつかないのかしら?)

土曜の午後の昼下がり。
こんなにのんびりしてるのなんて久しぶりなのに。
何もすることなんてない私は近くの公園でただただ時間をやり過ごす。

(私って本当につまんない女。)

317秘密:2005/02/16(水) 00:10:34

そんな時だった。

「ここ、隣いいですか?」
頭上から降り注いだやわらかい声。

顔をあげるとそこには大きな荷物を抱えたお兄さん。
(あっやさしそう…背はそんなに高くないけど、目が大きいし、
 女の子みたいなキレイな顔だよね…)なんてぼんやり考えちゃう。

「…あの?」

「あっ!ごめんなさい。大丈夫ですよ。」
(ちょっとぼーっとしすぎたかな。悪いことしちゃった。)

318秘密:2005/02/16(水) 00:11:57

だけどお兄さんは気にした様子もなくって、
「助かりました。買出しに行ったんですが荷物が多くて。
 ちょっと休憩したかったんですよ。」
にこにこと微笑みながらそう言っていた。

(何か言わなくっちゃ気まずいよね?)

男の人と二人っきりで話すのなんて本当に久しぶりだったから
どんなこと話したらいいのか全然思い浮かばない。


「あの?失礼ですがOLさんか何かですか?」

「えっ?」
何も言わない私を見かねたのかお兄さんから話し掛けてきてくれた。

319秘密:2005/02/16(水) 00:13:30

「いや、なんかスーツ姿が似合っててカッコイイから。
 って、僕何言ってるんでしょうねぇ…あははは。」

そう言って笑うお兄さんは本当に優しい笑顔を振りまいていて。
何だかこっちまで暖かい気持ちになれる。

「ありがとうございます。一応そういう仕事はしてるんです。
 まだまだ駆け出しなんですけどね。 あの…そちらは?」

見たところサラリーマンとかではないよね?
どっちかって言うとお店屋さんとかそういう感じかな?

「あっ…すいません、自分のことも話さないで。僕はこの先で
 コーヒーショップをやってる者です。」

「コーヒーショップ?」

「はい。小さいお店ですけどね。あっ豆の販売とかやってる
 んで、良かったら今度来て下さい!」
「はい。」

320秘密:2005/02/16(水) 00:14:34


その後は、公園で遊んでる子がかわいいとかそんな話をして。
ちょこっと盛り上がったあとに「そろそろ失礼します」なんて
言いながらお兄さんは去っていった。

なんだかとっても穏やかな気分。
こんなの久しぶりだけど、こういうのもいいかもね。
今度お兄さんのお店にも行ってみようかな。


その日はマンションに帰ってもなんだかウキウキが止まらなくて。
眠りにつくまでふわふわした気持ちのままだった。

321スライム:2005/02/16(水) 00:22:12
更新終了。

出だしなので軽めにいきました。
しかし、名前でてきてないですね…(苦笑) 
(次回判明しますので。というかたぶんバレバレだと思いますがw)


>35様
 いつもありがとうございます!!
 そして”どんちゃん”の使用許可もありがとうございます。
 ミキティ編の続編では”どんちゃん”をキーとして活かしたいと思いますw

322ゆう:2005/02/16(水) 14:48:42
更新お疲れ様です!!新作きましたね〜!!!
登場人物を予想しながら読んでました。
作者さまの新しい作品を読めることを嬉しく思いながら更新待ってます!!

323203:2005/02/16(水) 18:49:15
新作良いですね〜♪脳内で勝手に人物を決めちゃって読みましたw
ウキウキが止まらない・・・可愛過ぎますo(^-^)o
気にしないで下さいね。>片思い番外編。気長に待ってますので。
作者さまのペースで頑張ってください。まったりついて行きますので!?

324前274:2005/02/17(木) 00:15:44
更新お疲れさまです。
新作、楽しみです。題名がドキドキ感がありますね!
更新ワクワクしつつ、ゆっくり待ってます。

325スライム:2005/02/17(木) 00:16:26
日付が変わってしまいましたが、今日も更新です。

>ゆう様
 いつもありがとうございます!!
 登場人物…この後の更新で早くも明らかになっちゃうんですがw当たってましたか?
 私なんかの作品を待っていただき、とても感謝感謝です♪
 (#0´〜`(^▽^#)<ありがとうございま〜す(はぁと)

>203様
 いつもありがとうございます!!
 新作の方も喜んでいただけて良かったです。しかもしかも作品の順番についても
 温かいお言葉をいただき…感激で泣きそうです・゚・(ノД`)・゚・。


それでは、本日の更新を始めます。

326スライム:2005/02/17(木) 00:22:10

と、その前にもう一つレスのお返事を。

>前274様
 毎回のレスありがとうございます!!
 題名の謎については…ちょこっと引っ張る予定です(もちろんラストまでには明らかに
 なりますがw)。それまでドキドキとワクワクを持続していてもらえるように
 頑張りますねっ。


それでは今日の更新スタートします。

327秘密:2005/02/17(木) 00:24:30


次の日目が覚めたら自分でも驚いちゃった。
(こんなに爽やかに起きたのって久しぶりかも。)

そしたらなんかとっても嬉しくなってベッドを出るのも億劫じゃない。

「そうだ!目覚めのコーヒーでも飲もうかなっ。」

いつもは紅茶派な私がコーヒーなんて選んだのはお兄さんの影響かな?
あれ?でも……
「えー。お豆切れちゃってるじゃなーい。」

せっかくのいい気分が台無しになったみたいでブルー。


あっだけど、これって。

328秘密:2005/02/17(木) 00:25:44

「お兄さんの所に行っちゃおうかな?」

さっそくお店に出向く口実を見つけた私は子どもみたいにはしゃいでて。
何に喜んでるのかわからないけどすごく楽しんでいる。
(うふふ、日曜の朝にお出かけなんて久しぶりかも。)



その時の私はどうかしていたんだと思う。

昔のことを忘れて子どもの頃に戻ったみたいに…
ただただ久しぶりのドキドキに身を任せていた。

329秘密:2005/02/17(木) 00:26:51


カランカラン。

「いらっしゃいませ! って、あれ?」
「こんにちは!」

「あ、あの昨日の方ですよね? 来て下さったんですか?」
「お豆切れちゃったから…」

「そうですか。それならこちらからお選び下さい。」
そう言って案内してくれるお兄さんは昨日と変わらない笑顔。

なんだろう、なんだかほっとする。

「じゃああれをください。」
そう言って私が指差したものを袋に詰め込むお兄さん。

気のせいかな?私が頼んだよりも多い気がするけど…。

330秘密:2005/02/17(木) 00:28:42

「はいっ。」

「あ、でもこれ、ちょっと多かったんじゃあ…」

「初回サービスですよ!そのかわりまた来てくださいね。」
そういって変わらずにこにこ微笑むお兄さん。

昨日からこの笑顔に癒されっぱなしかも。
「…ありがとうございます。必ずまた来ますから。」

「あはは、そんなにかしこまらなくていいですよ。
 それより今お時間とかってありますか?」

「え?」

「良かったらコーヒー飲んでいきませんか?
 ちょうどお客さんいなくて暇なんですよね。」

うふふ、もうちょっと癒されちゃおうかな。

「はい。」 
そう言って用意された椅子に腰掛ける。

331秘密:2005/02/17(木) 00:29:54

「はい、どうぞ!」

お兄さんに出されたコーヒーはすごくいい香りがして。
また一つ嬉しいことがありましたって感じ。

「あ、すいません。なんかさっきからいろいろしてもらっちゃって…。」

「いえいえ、お客さんとは仲良くしていたいだけですから。
 それに僕の暇つぶしの相手になってもらうわけですし。」

お兄さんはあの優しい微笑をちょっと崩したかと思うと、
いたずらっ子みたいにクシャッと笑った。

そのギャップにちょっとドキっとなんかしちゃったりして。

「それじゃあ、遠慮なく。」
そんな風に言いながら私もクスッて微笑み返した。

332秘密:2005/02/17(木) 00:31:04

あ!だけど、そう言えばまだ名前を聞いていなかった。

“お兄さん”でいいのかな? それとも“マスター”?
どっちがいいんだろ? 聞いてみようかな。

「あのぉ、“マスター”なんですよね?」

「へ?あっ、はい。でもなんか照れくさいですね…そんな
 風に呼ばれることあんまりないんで。」

「でも…それなら何て呼んだらいいですか?」
まさかずっと“お兄さん”なんて呼ぶわけにもいかないしね。

「そうだなぁ…常連さんには“よっすぃー”とか“よっちゃん”
 なんて呼ばれてますから、それでいいですよ。」

333秘密:2005/02/17(木) 00:32:25

「よっすぃー?」

「はい。名前が吉澤なんですよ。だから“よっすぃー”。
 あっ“よっしー”じゃなくて“よっすぃー”ですからね。
 ここポイントです(笑)」

なんだかとってもおもしろい。お兄さんはおもしろい人だったんだね。
そっか…“吉澤さん”で“よっすぃー”…えへへ、なんかかわいいね。

「じゃあ“よっすぃー”って呼ばせてもらいますね。あっ私は、えっと
 石川です、石川梨華。あだ名とかは特にないんですけど……。」

よっすぃーのことだけ聞いておいて自分のこと言ってなかったから
慌てて自己紹介をする。でも、呼び名なんて聞いてないかなぁ…。

「石川梨華さんですね。あっ、梨華ってかわいい名前ですね!
 それと僕には別に敬語じゃなくてかまわないんで。適当に
 話しやすい言葉でいいですから。」

「え?でも…」
本当にいいのかな?昨日知り合ったばかりなのになぁ…。
なんか馴れ馴れしいとか思われないかなぁ…。

334秘密:2005/02/17(木) 00:33:47

「その代わり、僕も“梨華ちゃん”って呼んでいいですか?」
「へっ?」

「あ、嫌ならいいんです。すいません、馴れ馴れしくて…。」
あっ、よっすぃーちょっとへこんじゃったかも。

「ううん、いいんです。じゃなくて、いいの! それより
 私のほうこそこれからもよろしくね、よっすぃー。」

「はい!もちろんです。」


それから私たちはいろいろな話をした。

よっすぃーは私より1つ年下の24歳。実家は埼玉の方らしいんだけど、
高校を卒業して東京に出てきて…2年前に前のオーナーからこの店を
譲り受けるまでは、いろんな仕事を転々としてたんだって。

(何か意外かも。よっすぃー真面目そうに見えるのにな…)

335秘密:2005/02/17(木) 00:35:12

「梨華ちゃんはもともとこの辺の人なんですか?」

「えっ? 私?」
よっすぃーのことばかり考えていたから、ちょっとびっくりしちゃった。

でも、そうだよね。私のことも話さなくちゃね。

「私も元々はこっちじゃないよ。神奈川の…横須賀って分かる?
 そっちなんだけど、こっちの大学に来たくて上京してきて、
 そのままこっちで就職しちゃったんだ。」

ちょっとだけ隠し事しちゃったけど、別にいいよね?
嘘ついてるわけじゃないし、それに本当のことなんて言えないもん…。

336秘密:2005/02/17(木) 00:36:48

「へぇ〜。大学って?」

「あ、うん。朝比奈女子って分かる?そこの経済学部。」

「うわっ朝比奈女子ってめちゃめちゃレベル高いとこじゃないですか!
 すっげー、梨華ちゃん頭いいんだー。かっけー。」

「あははは、よっすぃー驚きすぎだよぉ。それにそんなたいした
 ことないってば。」

「いやいや…あっ!そうだ。うちの常連さんにもう一人朝比奈女子
 出身の人がいるんですよ。その人も経済だったとか言ってたかも。
 今度来た時にでも紹介しますね。」

「うん。」

337秘密:2005/02/17(木) 00:38:02

昨日よっすぃーと知り合って、また今度新しく知り合いが増えるかもしれない。

就職してから友達なんて作ってこなかったから不思議な感覚だけど。
(でも、よっすぃーの知り合いならいい人だよね?)

知り合ったばかりの、目の前にいるこの優しいお兄さんは、ずっと
心を閉ざしていた私の扉を開くように、たくさんの暖かい風を送り
込んできてくれる。

(少しくらいならときめいちゃってもいいかな?)


決して恋には発展させないから。
新しく見つけた私の休息の場所を無くすようなことはしないから。
だから、もう少しここで癒されてもいいかな?
私の痛みを、強がりをここで洗い流してもいいかな?

338秘密:2005/02/17(木) 00:39:06


結局あの後すぐに他のお客さんが来て、それからぞろぞろたくさんの人が
来ちゃって忙しくなったから、私は「ありがとう。」ってお礼を言って店を
後にした。


だけど、またすぐにここに来ることになると思う。

「先輩のこと紹介してもらわなきゃだしね。」

本当はお店に来るのに理由なんて必要ないはずなんだけど、
だけど、またここに来る理由を見つけて私は微笑みが止まらなかった。

339スライム:2005/02/17(木) 00:41:54
更新終了。

とりあえず、主役は石川さんです。
(皆様、予想は当たりましたか? というか、バレバレでした?w)

340ゆう:2005/02/17(木) 19:02:16
更新お疲れ様です!!予想は正解でしたぁ〜(笑)
でも一番大好きなCPなので嬉しかったです!!
よっすぃーがマスター想像しただけでも格好良過ぎっ!!
続きがとても楽しみです!

341スライム:2005/02/17(木) 22:46:37
今日もサクっと更新です。

>ゆう様
 いつも本当にありがとうございます!!
 予想当たってましたか!?(おめでとうございますw)
 作者も一番好きなCPなのですが、ここ3作品ちょっと他CPに浮気しちゃってた
 のでw今回は気合入れなおして書いております。


それでは、本日の更新始めます。

342秘密:2005/02/17(木) 22:48:42

あれから私は時間を見つけてはよっすぃーのお店に通った。

休日は必ずここに来てたし、仕事の合間にも時間があればここに来ていた。

まだ、例の先輩には出会えてなくて、よっすぃーはいつも
「すいません。忙しい人だから…そのうち来ると思うんですけど。」って
申し訳なさそうにしていたけど、私はそのことをそんなには気にしていなかった。

確かにその人には早く会ってみたかったけど、他にもたくさん心を許せそう
な人をよっすぃーに紹介してもらっていたから。



「いらっひゃいませ!」

この子もその中の一人。

343秘密:2005/02/17(木) 22:50:20

ののちゃんって言って近所に住む専門学生の女の子。

学校が忙しいみたいで毎日はいないんだけど、休日とか忙しい時には必ず入って
くれるアルバイトの子で(アルバイトって言うより“小さなお手伝いさん”って
感じだったりするけどね)。

元々は高校生の頃、年配だった前のマスターの下でアルバイトしてたらしいん
だけど、よっすぃーがマスターになってアルバイトを雇わなくても仕事は一人で
なんとかこなせるようにようになったことと、本人が高校を卒業して忙しくなった
ことから一旦はバイトを辞めたらしいの。

だけど、それからも忙しい時は手伝いに来てくれる優しい子だから、よっすぃーも
感動して“暇なときにでも、好きな時に来て好きな時間働けばいい”って条件で
アルバイトに戻ってもらったらしい。

それって普通に考えたらありえない感じだけど、のほほんとした雰囲気をかもし出す
この子にはピッタリなのかもね。

344秘密:2005/02/17(木) 22:52:18


「梨華ちゃん、今日も来てくれたんれすね?」

「うん。席空いてるかな?」

「えっと、ちょっと待ってくらさい。あっあそこが今空きますから。」


「おじちゃん、いつもありがとうなのれす。」
って、ののちゃんスマイルに送り出された佐藤さん(この人も常連だから
いつの間にか私も覚えちゃった)がさっきまで座ってた席に案内される。


「ごめんね、今よっちゃん出かけてるんれす。いつものでいいれすか?」
「うん。ねぇ今日あいぼんは?」

なんだぁ、よっすぃーいないのかぁ…。
それはちょっと残念だけど、ののちゃんがいるし、きっとあいぼんもいる。

345秘密:2005/02/17(木) 22:54:04

あいぼんというのはののちゃんの親友で。

ののちゃんがアルバイトを始めた時に心配だからって一緒に着いて来て、
「あぁ、もう、ののはほんまにぃ」なんて言いながら手伝ってくれたりしたらしい。

で、その働きぶりがあまりにも優秀だから前マスターもよっすぃーもアルバイト
をしないかって誘ったらしいんだけど、「うちはののと違って忙しいから無理や。」
って断られたんだって。だけど、ののちゃんがアルバイトに入っている時は必ず
あいぼんも一緒に来てて、忙しい時は仕事を手伝って、暇そうな時はカウンターの
端っこで「うちは文学少女やから。」って読書をしているらしい。

(ちなみにアルバイト代はもらってなくて、本人曰く「うちはボランティアしてるんや。
 感謝しとるんやったら飯でも食わせてくれや!」って、ご飯と食後のコーヒー、
 それからお土産にコーヒー豆を貰って帰るんだって。)

あいぼんはちょっと口が悪くって、「なんやぁ梨華ちゃん、日曜なのにデートする
相手もおらんのかぁ…」なんて憎らしいことも言ってくるけど、だけど根はとっても
優しい子なの。

この子も私がここで出会った大切な人の一人。

346秘密:2005/02/17(木) 22:55:51

「あいぼんならよっちゃんに付き合って一緒に出かけたれす!」

「そっかぁ…ののちゃん寂しいね。」

「はい。れも、梨華ちゃんが来てくれたし、それに福田さんも今井さんも……
 みんなが来てくれたから大丈夫れす。」
そう言って常連さんの名前を一人ずつ挙げていくののちゃん。
本人は真剣なんだろうけど、その姿がちょっとおかしい。

他のみんなもそうなんだろうね、ののちゃんのこと見て笑ってる。
だけどきっとみんなそんなののちゃんが大好きなんだね、ののちゃんがいないと
「何だ今日はいないのか…」って残念がるお客さんもいるし、私もそんなのの
ちゃんを見ていて暖かい気持ちにさせられるもの。

347秘密:2005/02/17(木) 22:57:37


「ふぅ…やっとゆっくり出来ますねぇ。」

あれからもお客さんが途切れることはなくて、1時間以上たって
やっと落ち着いてきたみたい。

まだまだお豆を買いに来る人はぽつぽついるけれど、カウンターに座ってのんびり
しているのは私一人。

「こんなに忙しくなるんれしたら、あいぼんにもいてもらうんれした。」

「そう言えば珍しいね、あいぼんまでお出かけなんて。」

「はい。なんか今日は荷物が多いらしくて、よっちゃん一人れは大変らしいれす。」

「そっかぁ…あいぼんにもお土産あるんだけどなぁ…。」

「お土産!! 食べ物れすか?」
もう、ののちゃんったら。
お土産って言った途端目がキラキラしちゃってるよ。

348秘密:2005/02/17(木) 22:59:20

「うん。昨日ね、出張で仙台に行ったからそこでお菓子買ってきたの。
 みんなに食べてもらいたいなぁって思って。」

「お菓子れすか? きっとあいぼんたちはまら来ないから先に開けましょう!」
ののちゃん…いつもは仲良しなのに、食べ物がかかると変わるのね…。

「う〜ん、まっいっか。でもちゃんと2人の分も残しておいてね。」

「もちろんなのれす。てへへ、嬉しいなぁ。
 らから梨華ちゃん大好きなのれす!!」
嬉しいけど複雑だなぁ…(なんか食べ物の方が私より大事みたいじゃない!?)

私がそんなこと考えてる間にもののちゃんの手と口は休みなく動いている。
(本当に大丈夫かなぁ…なんかもうなくなりそうだけど……。)

349秘密:2005/02/17(木) 23:01:12


「ただいまぁ!今帰ったでー。」

あっあいぼんたち帰ってきたのね。
「おかえりー。あいぼん、お疲れ様! お土産のお菓子あるから食べてね。
 って、あれ? よっすぃーは?」

「ああ、よっちゃんならそこでおばちゃんに捕まっとるわ。」
おばちゃん?

「って、なんやのの土産もう残ってないやんかぁ!」

「(モグモグ)…あっあいぼんお帰りなのれす。えっと、2人の分はちゃんと
 残してあるから大丈夫れすよ…(モグモグ)。」
ののちゃん…お菓子に夢中であいぼんのこと一瞬忘れてたでしょ?

それに残してるって言っても、もう半分以上ないじゃない……。
それ15個入りだったよね? あと5個しか残ってないけど…。

「まぁええわ。ののが大食いなのは今に始まったことやないし。
 それによっちゃんは1個あれば十分やろ。」

あいぼん…ののちゃんには甘いけど、せめてよっすぃーに2個はあげようよ。
「…………。」

350秘密:2005/02/17(木) 23:03:13

「ただいまー!あっ梨華ちゃん来てくれてたんですね?」

大荷物を抱えたよっすぃーと、その後ろには……誰?
「あ、うん。えっと……」


「ったく、吉澤!早くあたしのこと紹介しなさいよ!」
私が不思議そうな顔で見ていたその人がよっすぃーに助け舟をだしている。

「あっ!はい!すいません。 えっと、この人が前に言ってた梨華ちゃんの
 大学の先輩っていう人で、保田さん。 で、こっちが石川梨華さん。駅の
 近くの○○商事に勤めているOLさんです。」

「へぇ〜○○商事なんだ、うちの取引相手じゃない! 何課なの?」

「はい、あの、企画課です。えっと、取引先って?」

「企画課って、もしかして中澤さんって人の下だったりする?」
ちょっと興奮気味の保田さん……あの、私の質問は…。

351秘密:2005/02/17(木) 23:05:05

「って、ごめんごめん。あたしは△△コーポレーションの企画で働いててさ、
 ○○とはけっこう一緒に仕事させてもらってるから。」

「そうなんですか?私も今度から△△さんとのプロジェクトに参加するんです!」

「え?もしかして、六本木のイベントのやつ?」
「はい。あの、もしかして…」

「あたしも参加してるのよ!というか、あたしがそれのリーダー!」
「本当ですか? すごい偶然!」

「まったく。ま、とりあえずそっちも含めてこれからよろしく!」

「はい。こちらこそよろしくお願いします。」

352秘密:2005/02/17(木) 23:06:58


「おばちゃん、何でもいいけど、そこ邪魔やで!」

あいぼんに言われて私たちは初めて気づいたんだけど、よっすぃーがカウンター
に入れなくて立ち往生してる。
(ごめんね、一瞬忘れちゃってた…。)

「吉澤、いつまでぼーっと突っ立てるのよ!早く入りなさい!ったく、もう。
 キリキリ行きなさい、キリキリ!!」
「…はぁ。」

「おばちゃん、強引やなぁ。」

「加護!なんか言った?」

「いえいえ、何も言うてませんよ〜。」

353秘密:2005/02/17(木) 23:09:20

「あいかわらず、生意気なんだから…しょうがないわねぇ。」

「うわっ!おばちゃんくさっ。気ぃつけた方いいでー、もう若くないんやし。」
「何よ!あたしはまだ20代よ!」
「はいはい…そうでしたなぁ、ほなすいません。」

「きーぃ!加護ぉ(怒)」

「おばちゃんが怒ったれす。」

「辻もかー(怒)」

保田さんをからかい続けるあいぼんとののちゃん。
怖そうな人かなとか思ったけど、そんなことないのかも。


「あぁ梨華ちゃん、気にしなくていいですから。」
「え?でも…いいの?」
「はい。いつものことですから。」

いつもって…保田さん、いつもこんな扱いなのね。なんかちょっと可哀相。

354秘密:2005/02/17(木) 23:10:54

「それよりも、あれって?」
よっすぃーの視線の先には私が買って来たお菓子の箱。

「あ、うん。出張に行ったからお土産買って来たんだけど…。もう
 ほとんどないね。」

「あはは、これもいつものことですから。」
「そっか。次はよっすぃーの分は別に買ってくるね。」

「そんなのいいですって。僕は気持ちだけで十分嬉しいですから。」

えへへ、私もよっすぃーがそう言ってくれるだけで嬉しいんだけどね。
次は絶対よっすぃーには別に買ってこよっと。

あ、あいぼんもかわいそうだから、今度はもっと多いのにしなくちゃね。

355秘密:2005/02/17(木) 23:12:27

「それより、梨華ちゃんおかわりいいですか?」
「え?」
ののちゃんとのお喋りに夢中だったから気づかなかったけど、カップの中は空っぽ。

「僕も梨華ちゃんと話したいし、ゆっくりしてってくださいよ。」

あ!今のちょっと嬉しいな。
「うん。」

「それに、梨華ちゃんいないと僕が大変ですから。」
そう言ってよっすぃーは私に目で合図をしてきた。

パッと横を向いたら未だにキャーキャー言ってる3人。
保田さんむきになってる…意外と無邪気な人なのね。

356秘密:2005/02/17(木) 23:14:36


「ちょっと!何2人の世界つくってるのよ。あたしのこと助けなさいよ!」

「「…すいません。」」
2人の声がハモる。

「なんやぁ、2人仲ええのー。」
「ほんとなのれす。ハモってたのれす。」

「ほんとに、あんたたちまでー。」

「「…はぁ。」」


今日新しく出会った先輩もやっぱりいい人だった。
ちょっと強引かな?って思う時もあるけど、でも、なんていうんだろ?
口調とは逆にすごく暖かい空気を持っていて。
包容力って言うの?あんな感じ。 すごく頼れて、安心させてくれる人。

357秘密:2005/02/17(木) 23:16:35


東京に出てきて、こんな暖かい場所にも人たちにも出会えると思ってなかった。
殺風景な都会でただ毎日を淡々と生きていくだけ。
目的なんてなくて、見えないゴールを求めてひたすら走っていた。

だけど、ちょっと休憩して、ほんの少し横を向けばこんな素敵な所が待っていたんだね。
後悔なんてしたって仕方ないけど、だけど……
もう少し早く出会えていればこんなに臆病にならなくてすんだのかな。


よっすぃーに惹かれていることには自分でも気づいている。
会う度にその思いが強くなっていることにも気づいている。
だけど、やっぱり怖いんだよね…。
また同じなんじゃないかって…。
受け入れてなんてもらえないんじゃないかって…。
失うことを恐れて動き出すことも出来ない。

358スライム:2005/02/17(木) 23:18:51
更新終了。

とりあえず新しいキャスト登場。
予定としてはあと2〜3人くらい出すつもりです。

35935:2005/02/18(金) 00:05:53
新作キテタ――(°∀°)―――!!!

なんか暖かい空気がこっちまで伝わってくる感じです♪
そして圭ちゃん最高です(w
梨華ちゃんの過去を気にしつつ続きを待ってます(^^)

360前274:2005/02/18(金) 02:29:04
更新お疲れ様です!
だんだんにぎやかな顔ぶれが揃ってきましたね。
二人の距離が少しづつ・・って感じでワクワク♪
(更新が早くてすご〜く嬉しいのですが、
風邪など、気を付けて下さいね)

361203:2005/02/18(金) 10:59:51
2日分まとめて読んだらお腹いっぱいれすw更新お疲れさまでした♪
ほんとに登場人物のキャラが嫌味が無くって、会話のやりとりが暖かくて良いですね。
自分はいしよし(&小高w)ファンなのでこのお話まったりと楽しんでいます。
よっすぃ〜が梨華ちゃんの過去を癒してくれるのかなぁ・・・。

362ゆう:2005/02/18(金) 19:23:21
更新お疲れ様です!!読んでて雰囲気がすっごく暖かくて大好きです!
梨華ちゃんの思いがいつかよっすぃーに受け入れられる様になったらいいな〜

363スライム:2005/02/19(土) 01:24:24
飲み会帰りに全力疾走したら大変なことになったスライムですw(ちなみに今は元気ですので、はい。)
帰宅後、録画していたMステとリアルタイムPJにがっついてたら来るの遅くなりました。

>35様
 いつもありがとうございます!! 新作の方も宜しくお願いしますね。
 圭ちゃんはずっと出したかったのでやっと使えて作者もハッピーだったりします。
 でも、まこっちゃん同様扱いのほうは……(笑)
 梨華ちゃんの過去は徐々に?明らかになります。

>前274様
 いつもありがとうございます!!
 登場人物はもうちょっと出る予定なので、今までよりにぎやかにはなるかもしれませんね。
 ちなみに出演予定の1人はまだ言えない人で、もう一人は今回出ま〜す。
  p.s 風邪気をつけますね、ありがとうございます。 

>203様
 いつもありがとうございます!!
 キャラを褒めていただけるのは本当に嬉しいです(まだまだ試行錯誤中なので)。
 実はまこっちゃんの相手役を初めコンコンにするつもりだったのですが、愛ちゃんに
 しておいて良かったですw あっちなみにコンコンの相手もいつか登場します。

>ゆう様
 いつもありがとうございます!!
 暖かいですか?良かった〜。実は今回はちょっとだけシリアスになるかもなので、
 その緩急が難しかったり…好きと言っていただきホッと安心できました。
 梨華ちゃんの思い…幸薄な梨華ちゃんも好きだし、幸せそうな梨華ちゃんももちろん
 好きな作者だったりするので…もうちょっぴり内緒です♪w


それでは、遅くなりましたが本日の更新始めます。

364秘密:2005/02/19(土) 01:26:54


よっすぃーのお店で皆と知り合い、楽しい時間を過ごすようになって。
いつの間にか忘れてしまっていたのかな…。

私は知っていたはずなのに。それを一番恐れていたはずなのに。
望まなければ、期待しなければ、たとえ手に入らなくても悲しくなんてならないことを。
手に入れなければ失うことに傷つき涙する必要なんてなくなることを。


会社からの帰り道のことだった。

仕事が忙しくて全然時間がとれなくて、よっすぃーのお店にも行けてなくて。
自分の中で溜まったいろんなものを吐き出したくて。
ちょっとだけ早く帰れることになった日に、向かったのはよっすぃーのお店。
(まだ開いてればいいけど…。)

とにかくあそこに行きたかった。よっすぃーに会いたかった。

バスを降りてちょっと足早に歩く。
1歩、また1歩…よっすぃーの笑顔に会うために。

365秘密:2005/02/19(土) 01:28:30

だけど、よっすぃーと知り合ったあの公園まで来た時。

私は見てしまった。

暗くなった公園で抱きしめあっているカップルを。

初めは別に何とも思わなかったけど。
だけど、なんかひっかかるものがあって。
もう一度振り返って、そして気付いた。

栗色の髪の女の子を抱きしめている男の人が、よっすぃーだということに。


頭の中が真っ白になった。
足が動かなくて、その場に立ちすくんだまま2人から目を逸らせなくて。

366秘密:2005/02/19(土) 01:29:59

しばらくして女の子がよっすぃーから離れて。
2人は親しげに何かを話していて。
別れ際に女の子がよっすぃーの頬にチュッとキスをして、そして去っていった。

よっすぃーは照れくさそうに頭をかいて、それでもその子が大通りに出るまで
ずっとその後姿を目で追っていた。

その子が見えなくなるとよっすぃーは振り返って、こっちに向かって歩いてくる。
(どうしよう、このままじゃ気付かれちゃう。)

あんなに会いたかったはずの人なのに、今は一番会いたくない人。

動かない足を無理やり動かして、物陰に隠れるようにして。
立ち去るよっすぃーの後姿をずっと見ていた。

そう、さっきよっすぃーがそうしていたのと全く同じようにして。

367秘密:2005/02/19(土) 01:31:20

やっとよっすぃーが公園からいなくなったけど、それでも足が動かない。

(彼女いたんだ……)
頬をつたう冷たいものに気付いた。

だけどそれを拭うことすらできなくて、
(そうだよね…あんなに素敵な人だもん。彼女くらいいるよね。
 それにあの子キレイだった…)ただ泣き続けるだけだった。


その後どうやって家まで帰ったのか思い出せない。

とにかくショックで…立ち直れなくて…。
どれほどよっすぃーのことが好きだったのか思い知らされた。

(バカだよね、失恋して気付くなんて……)

368秘密:2005/02/19(土) 01:32:29

押えていたつもりだった。踏み込まないはずだった。

2度と傷つきたくなんてなかったから、恋なんてするつもりなかった。
だけど、もう遅い。

私はよっすぃーのことをどうしようもなく好きになって、そして今
どうしようもないほどに傷ついている。


よっすぃーと出合って。あいぼんとののちゃんと知り合って。
いろんな人と話して。保田さんとも仲良くなって。

せっかく築き上げてきた暖かい居場所だったけど。
開きかけていた扉にもう一度鍵をかけなくちゃ。

(もうあそこには行けないなぁ…)

369秘密:2005/02/19(土) 01:33:30


結局その言葉通り。

1ヶ月近く立つけど、あれからよっすぃーのお店には行っていない。
偶然会ったりしても辛いから、ちょっと回り道だけど通勤路も変えた。
順調にいくはずだった。  元に戻るだけだったから。
よっすぃーと出会う前に戻るだけなんだから。


だけど、あの優しい日々は私を解放してはくれないらしい。

動き出したプロジェクトで再会した保田さんに、
「あんた最近店行ってないらしいけど、忙しいの?」そう問い詰められたから。

370秘密:2005/02/19(土) 01:34:27

「はぁ…。」
返せるのはにわか返事だけ。

だけど保田さんはしつこく聞くようなことはしなくて。
「まぁ忙しいなら仕方ないけどさ。あんた、ちょっと痩せたんじゃないの?
 何かあるなら話聞くし。少し休んだ方がいいんじゃない?」

「…大丈夫ですから。」

「そう、それならいいけど。 あ、これあたしの携帯。仕事のことも
 あるし、かけてきなさいよ!」
そう言って私の手にメモを握らせて去って行った。


【 090 − ○△×× − △×○△       
  pretty−kemeko@△△△△.ne.jp
 ( `.∀´)<かけなかったら承知しないわよ!!   】

371秘密:2005/02/19(土) 01:36:33

“かわいいケメコ”って…ケメコって何?

それにこの絵、気のせいじゃなければ保田さんに似ている気もするし。

「…ぷっ。」
なんだかおかしい。
落ち込んでたはずなんだけどなぁ…ちょっと楽になったかも。

後で電話してみようかな…いいよね?大丈夫だよね?
別によっすぃーに会うわけじゃないもんね。
(それに電話しなかったら保田さん怖そうだし。)

一人で生きていくって決めていたはずだったのに、知らない間に私は人の
優しさを求めてしまってたのかな…。



あの後、仕事のこともあって、保田さんと連絡をとることが増えた。
仕事での保田さんは厳しい人だったけど、やっぱり普段は優しい人。

あれから一度も何があったのかなんて聞いてこなかったから。

372秘密:2005/02/19(土) 01:37:57


「ぷわぁーぁ、うまい!やっぱりビールは最高ね。」
「ふふふ…そうですね。」

プロジェクトも一旦落ち着いて、仕事帰りにメンバーみんなで飲みに行った。
一次会でみんな気分が良くなって、「朝まで飲むぞー!」なんて盛り上がる人も
いたけど、明日も仕事の人がいたからとりあえず会は解散して、私は保田さんと
2人で2次会をするために居酒屋にやってきた。


「しっかし意外だったわねー。」
「何がですか?」

「いやぁあんた、とろそうな顔して仕事だと別人だから。」

「そんなことないですよぉ、それより保田さんこそ仕事になると怖いですって。
 私、中澤さんと対等にやりあう人初めてみましたよ。」

「失礼ねーあたしは仕事に情熱を燃やしてるのよ! あ、別に男がいないからとか
 そんなんじゃないからね、そこは間違えないでよ!」

「…そんなこと言わないですって。」

373秘密:2005/02/19(土) 01:39:25

「まぁいいわ。それよりあんた、仕事も落ち着いたんだし、休みにでも吉澤の店
 行ってやりなさいよ! 寂しがってたわよ。」

「え?」

「辻と加護がさ、“梨華ちゃんが来ないー”って騒いでるから。」

そうだよね、よっすぃーは別に寂しくなんてないよね。
私はよっすぃーにとってただのお客さんだもんね。
「………はい。」


「まー一番寂しがってるのは吉澤だけどね。」
「えっ……あの?」

「なんかねー“梨華ちゃんどうしたんだろー”とか“嫌われたのかなー”とか心配して
 うるさいのよ。あたしが行ってもいつも“梨華ちゃんは?”の連続だしさぁ…あいつ
 人の顔見る度はぁーって溜息つくのよ、まったく失礼ったらありゃしない。」
なんて保田さんはぶつぶつ文句を言っているけど、耳に入ってこない。

よっすぃーが寂しがってる? 私のことを心配してる?
なんで? ねぇどうして? そんなのって…。
そんなことされたら諦められないじゃない。 私、どうしたらいいのよ…。

374秘密:2005/02/19(土) 01:40:59

「………でさぁ。って、あんた聞いてる?」

「あっ、は、はい。」

「ったく、どいつもこいつも。あたしのこと何だと思ってるのよ。」
「…すいません。」

「まっいいけどさ。一回あいつのとこ行ってやってよ!」
「………はい。」

どうしたらいいのかな。誰かに相談したいけど……。
保田さんに相談したら「どんどん押していきなさい」とか言われそうだし。

う〜ん、どうしよう。誰かいないかなぁ……あ!
久しぶりに柴ちゃんに電話してみようかな。最近全然会ってなかったし。
よっすぃーのお店に行くのはそれからでも大丈夫だよね…。

うん、そうと決まったらもう考えるのはよそう。
いつまでも悩んでいられないし、とりあえず私も飲もう!

…って、保田さんペース速すぎですよぉ。
「ほら!石川ももっと飲みなさい!」

明日、大丈夫かなぁ……。

375秘密:2005/02/19(土) 01:42:28


結局保田さんにこれでもかってくらい飲まされて、今日は二日酔い。
ガンガン痛む頭を引きずってやっと動き出したのはもう日が沈む頃。

『ふ〜ん、それで梨華ちゃんは悩んでるわけなんだぁ』
「うん。何かもうどうしたらいいかわかんなくって…」

『なるほどねぇ、でもさ、その子が彼女だって決まったわけじゃないんでしょ?』
「でもぉ抱き合ってたし、キスもしてたんだよ…。」

『う〜ん、そりゃ難しいとこだね。でも、その保田さんだっけ?その人の言ってる
 感じだと、相手も梨華ちゃんのこと気になってたりするわけだし。』
「それは…単なるお客さんとしてかもしれないし。」

『じゃあ諦めちゃうの?』
「…それは………」

『諦めきれないから私に電話よこしたんでしょ。だったらもうちょっと頑張んなきゃ!』
「でも……」

376秘密:2005/02/19(土) 01:43:56

『私はさ、嬉しいんだよ?』
「え?」

『梨華ちゃんさぁ、あんなことあってもう恋なんてしないとか言ってたでしょ?
 でも、やっと好きになれる人が出来て…。私は梨華ちゃんには幸せになってもらいたい
 もん。だからその人とも出来るなら上手くいってほしいと思うよ。』
「…柴ちゃん……ありがと。」

『いえいえ。で、とりあえず明日からの梨華ちゃんのご都合は?』
「えっ?急にどうしたの?」

『明日から旦那が出張でさー、ちょうど何しようか迷ってたんだよね。
 どうせなら会って直接話したいし、明日からそっち行ってもいいかな?』
「うん。」

『まっ、そっちに行ったらさ、私に出来そうなことやってみるし。まー役には
 たたないかもしれないけど、梨華ちゃんの仕事中に偵察くらいしてくるよ。』
「…ぐすっ……うん…。」

377秘密:2005/02/19(土) 01:45:17

『あーもう!泣かないの!』
「うん…ごめん……」

『まっいいけど。とりあえず明日行くから部屋片付けといてよ!嫌だからね、
 また梨華ちゃんいない時に掃除させられたりとか…。』
「…もうっ、柴ちゃんったらぁ」

『はいはい。 梨華ちゃんが仕事終わるくらいに行くからさ。とりあえず梨華ちゃんは
 私に会うまでもう何も考えないでゆっくりすること! わかった?』
「うん。」

『よしっ。じゃあまた明日ね。仕事頑張って〜!!』


柴ちゃん、明日来てくれるんだ……。
いっつもそうだよね。私が辛いといつも飛んできてくれる。
あの時も柴ちゃんだけは私のことかばってくれたし……。

(迷惑かけっぱなしだなぁ、私……。)

378スライム:2005/02/19(土) 01:56:53
更新終了。

ちょうど音楽戦士で柴ちゃん見てる時に本人登場w ナイスタイミングに作者もビックリです。
しっかし、やっぱりあの曲はエロすぎですなぁ…先日のPJを見ている時に横におかんがいて
めちゃくちゃ気まずかったですw おかんは妙に冷静に「ちょっとこれ、曲の方はパンチない
わね」とか言ってましたが…(゚Д゚;)


ついでにちょこっと裏設定。
柴ちゃんは梨華ちゃんの高校時代の友人で、卒業後は地元の短大に進学。
その後神奈川県内の企業に就職しOLしてましたが、短大時代からの彼氏
である大谷さん(♂)と結婚して退職。現在は専業主婦です。
もちろん名前も”大谷あゆみ”になったわけですが、面倒くさいので昔から
の友人や、そのつてで知り合った人には”柴田”のままで通してたりします。

379203:2005/02/19(土) 02:06:00
リアルタイムだぁo(^-^)o更新お疲れさまです♪
柴っちゃんメロンだと妹役だけど、梨華ちゃんにはお姉ちゃんみたいなんですよね。
暖かい周りのメンバー達(保田さんとかw)に支えられて今後の2人の行方はどうなるか見守っています!(O^〜^)^▽^*)

ちなみに、小紺もだいじょ(ry

380ゆう:2005/02/19(土) 02:36:12
更新お疲れ様です!メロンの新曲は確かにエロいですよね〜私も側で一緒に
家族と見てたんですが、あまりの気まずさにチャンネル変えようとまで思って
しまいました(笑)
保田さんのアドに大爆笑してしまいました!実際もやってそうで(笑)
梨華ちゃんの周りには良い人ばかりですね〜

381前274:2005/02/19(土) 02:43:56
更新お疲れ様です。
ちょっぴり切ないですね・・
でも、恋は紆余曲折、いろいろあるからイイんですよね〜
・・って、何言ちゃってるんだ・・わたし。ハハハ

382スライム:2005/02/19(土) 20:48:42
昨日遅かったので、今日は早めに更新を。

>203様
 毎回ありがとうございます!!
 リアルタイムですか?!わードキドキです。
 それでは今度モテまこでも書いてみようかな……いや、期待しないでくださいw

>ゆう様
 毎回ありがとうございます!!
 私は思わず”メロンには興味ない”って顔しながらテレビ見ちゃいました…柴ちゃんごめん。
 ちなみにうちのおかんはマサオのお腹と村っちのメガネがとても気になったもようですw

>前274様
 毎回ありがとうございます!!
 確かに恋はいろいろあってこそ…ウンウンとPC前で納得しちゃいました。
 さて、この恋はこのまま切ないままなのかそれとも上手く行くのか…もう少し
 お見守り下さい。


それでは本日の更新スタートです。

383秘密:2005/02/19(土) 20:50:44

お互いに便利だし、ご飯も食べて帰れるからって理由で待ち合わせは駅前。

思ったより仕事が遅くなっちゃって焦ったけど、ギリギリ間に合ったかな?
柴ちゃんはっと……え?その子って…。

「おーい!梨華ちゃ〜ん。久しぶりだねー。待った?」

「ううん、そんなことないけど。あの…」

「おー!この子が噂の梨華ちゃん?! やー会えて嬉しいよ。こりゃあ吉子が言う
 のもほんとだね、マジでかわいいじゃん!」

「あ、あの…」

柴ちゃんと一緒にやって来たのは間違いなくあの子。
そう、あの日よっすぃーと公園で抱き合っていた子。

384秘密:2005/02/19(土) 20:52:00

「あ、ごめんごめん、紹介するね。後藤真希ちゃん。駅の方に来るっていうから
 連れてきたんだ。」

「え?あの、柴ちゃん?」
何がなんだかわからない。

「実はさー、ここに来る前によっすぃーのお店行ってみたんだ。んで、ごっちんも
 来てたんだけど、もしかしたらこの子が梨華ちゃんの言ってた子かなーと思って
 思い切って声かけてみました。」

「あはっ。柴ちゃんがさ梨華ちゃんの友達で今から会うって言うから着いてきちゃ
 いました。よろしくね!」

「こちらこそよろしく。…って…あの…」

え?なんで?なんで柴ちゃんここに連れてきちゃったの?
だってこの子はよっすぃーの彼女で、私の恋のライバルなんだよ?

385秘密:2005/02/19(土) 20:53:13


「あー、ちなみにごっちんがよっすぃーの彼女っていうのは梨華ちゃんの勘違い
 らしいよ。」

「え?」

「そうそう、吉子とはただの幼馴染だから。ごとー付き合っている人いるしさ、
 吉子と付き合うとかナイから。」
「でも……」

「まーまー、詳しいことはご飯食べながらでもね。私おなかすいちゃったよー。
 あ!ごっちんも一緒だけどいいよね?」

「…いいけど。」
なんだか釈然としないけど、柴ちゃんがそう言うなら大丈夫なんだよね?

「やったね。実はさー圭ちゃんのことも呼んじゃってるんだよね。そろそろ
 来るとは思うけど、とりあえず先行っちゃってよー。」
「…うん。」

386秘密:2005/02/19(土) 20:54:33


あの後柴ちゃんとごっちんの2人から説明を受けた。

ごっちんはとても人懐っこい子で、「ごとーのことはごっちんでいいから」なんて
ニコニコ笑っていたから、私もなんとか人見知りしないで話せている。

で、2人の話からすると…

どうやら本当にごっちんはただの幼馴染で、よっすぃーと付き合ってはいないらしい。
あの日は恋人と喧嘩してイライラしてたら家族とまで喧嘩してしまい、困った末に
よっすぃーの所に来たらしくって。

昔からよっすぃーに相談事とかして頼っていたごっちんは、あの日もよっすぃーに
励まされて皆に謝りに帰ったんだって。

ちなみに最後のキスについては「あれはお礼と、吉子をからかうためにした
んだよー。口には絶対しないもん!」と言うことらしい。

387秘密:2005/02/19(土) 20:55:48

とりあえずそのことは私の誤解だということがわかって(柴ちゃんのおかげでわかった
んだけどね。私一人じゃ無理だったかも…)、遅れてきた保田さんも交えて4人で飲む。


「それにさー、よっすぃーは“梨華ちゃん梨華ちゃん”うるさいもん。ごとーなんて
 眼中にないって。」

「そんな…(なんだか照れるなぁ)。」

「まーでも梨華ちゃんこんなにカワイイんだもんね、吉子が惚れるのも無理ないか。」
「え?」

「バカッ!あんた何言っちゃってるのよ。吉澤に怒られるわよ!」

「んあー。よっすぃー告ってるんじゃないのー?」


え?それって?


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