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あれるげん
1
:
ラッキー
:2003/03/10(月) 00:08
こちらでははじめまして。
相変らずいしよし小説書かせてもらいます。
どうぞよろしくです。
2
:
ラッキー
:2003/03/10(月) 00:09
もう3月。
暦通りに春の暖かい日が来て、街にも明るい服の色が目に付きはじめたかと思ったら、
今日は大雪でまるで真冬に戻ったかのようだ。
春物を出しはじめた方がいいのかななんて思っていたときに、
お母さんがとんでもない話しを切り出した。
「東京!?いつから?」
「再来週よ」
お父さんが転勤になるという話しをはじめて聞いた。
もともと仕事が忙しくて、ほとんど家にいない人だ。
だから、お父さんが1人東京に行ったところで、アタシの生活はほとんど支障がない、
それどころかたまにされるお説教がなくなるなんて助かるくらいかも。
「じゃ、春休みに東京に遊びに行けるんだ」
「何言ってるの。ひとみも一緒に行くのよ。春休みはきっと引越しで潰れちゃうわね」
「…へっ?」
「転校の手続きはもう済んでるから。2年生になったと同時に東京の高校生よ」
私はもうすぐ高校2年で、部活ではレギュラーにもなれるし、
来年はココ札幌の大学を受けるつもりでいた。
それなのに、あと2週間で東京ってどういうこと???
3
:
ラッキー
:2003/03/10(月) 00:10
「ちょ、ちょっと待ってよ!イヤだよ、転校なんて!
アタシはこっちに残るよ、この家で1人暮しでいいから」
「この家ももう人に貸すことに決まってるのよ」
「はあ!?どうして、そんな大事なこと勝手に決めちゃうんだよ!」
「アンタはそうやって『行かない』とか言い出すと思ったから、
さっさと決めちゃったのよ」
まさにその通りだった。
しかし実のところ、アタシがホントに1人暮しをやっていけるのかって言われたら自信ない。
それにお父さんはともかく(ごめん、父さん)お母さんと離れて暮らすのは正直ツライ。
もちろん、東京に住んでみたい気持ちがあるのも確かだ。
母親が引き出しから封筒を持ってくると、その中に入っていたパンフレットを私の前に置いた。
「今度の高校ね、ひとみの学力なら問題ないって、学校の推薦状だけで合格よ。
家からも2駅で行けちゃうのよー。すごく近いでしょ?
しかも大学が付属で、相当成績が悪くない限りそのまま進学できるらしいの。
受験勉強しなくて済むからよかったじゃない」
…そりゃ、それは確かに魅力的だけどさ。
せめて学校選びくらい、アタシにさせてくれてもいいじゃん。
なんで勝手に決めちゃうんだよ。
ふとそのパンフレットの表紙の学校名が目に入った。
「ちょ、ちょ、ちょっと!この学校って―――」
4
:
ラッキー
:2003/03/10(月) 00:10
はあ、憂鬱だ…
札幌での友達とのお別れもしてきて、引越しも無事済んだけど、今日が転校初日。
学校へ行く足取りは、この上なく重い。
なんで、お母さんは娘の身を心配してくれないんだろう…
なんで、アタシはこんなに素直ないい子なんだろう…
もう自分で自分をなぐさめるくらいのことしかできなかった。
転校の手続きがあるから、アタシは1時間前に学校に着くように家を出た。
部活の朝練でもあるのか最寄駅では同じ制服を着た子たちを何人か見かけた。
ふと視線を感じ、そちらを見ると、1人の生徒がこちらを見ていた。
うわっ!目が合った!
しかも、結構かわいい子だった…
アタシはそっちは見ないようにして急ぎ足で歩いた。
校舎入り口にはクラスごとに生徒の名前が書いた表が貼ってあった。
こういうときアタシの名前は見つけやすい。
あいうえお順だから下の方を見ればいいし。
えっと…あ、あった!
2年1組の、しかも一番最後だったからすぐに見つかった。
とりあえず、職員室に向かう。
さっきの表に書いてあったけど、担任は保田圭先生らしい。
『圭』だと男の人ってこともありうるかな…
保田先生は残念ながら女の人だった。
でも何か女性というより、どことなくオヤジっぽさがあった。
化学の担当らしく、白衣姿であるのもその要因なのかもしれない。
顔はちょっと怖いんだけど、気持ちは優しそうですごく好感を持てた。
うん、この先生ならきっと大丈夫。
保田先生は手が離せないようで、まだ時間があるから適当に校内まわってみなさいと、
校内の案内地図をくれた。
5
:
ラッキー
:2003/03/10(月) 00:10
まずは自分の教室だよね。
2−1の教室に行くと、まだ誰も来ていなかったけど、
すでに座席が黒板に書かれていた。
といっても、これも出席番号順だから、アタシの席は廊下側の一番後ろ。
カバンを置いて、教室を見渡す。
ふーっ…この教室で1年間過ごさなきゃいけないんだよね…
ああっ、もお!くよくよしたってしょうがないでしょーが!
とりあえず、どっか行ってこようかな。
まずは、トイレかなあ…体育館とかも見ておきたいなあ…
アタシが席から立ちあがったと同時に、教室の前の方のドアが開いた。
そして、1人の子が入ってきたとき、何か空気が変わった気がした。
ストレートの黒髪のおとなしそうな子。
全然派手じゃない、むしろ地味なのに、なぜか目が惹き付けられてしまう。
そう、野に咲く花のような…裸の大将じゃないけど…
名前も知らない花なのに、何もないところに一輪だけ咲いていて、
枯れちゃうんじゃないか、風にとばされちゃうんじゃないか、
って心配で目に付いてしまうような感覚だったのかもしれない。
6
:
ラッキー
:2003/03/10(月) 00:11
「あっ、おはよう。早いねー、一番乗りかと思ったのに」
彼女はアタシを見て、一瞬驚いた顔をしたがすぐに笑顔になった。
「お、おはよ」
彼女の笑顔はすごく魅力的だった。
よく見たら結構整った顔立ちをしている。
しかも声なんか超高くて、まるでアニメのキャラクターみたいだ。
彼女は黒板を見ると、窓際から2番目の席にカバンを置いて、こっちの方に向かってきた。
うわっ、うわっ…側に来るなあ!
願いも虚しく、彼女はアタシのすぐ前に立った。
アタシは彼女の顔も見れず、うつむいたまま身を固くしていた。
彼女は不思議そうにアタシの顔を覗き込んできた。
ひえーっ!近いよ、近すぎるよっ!
「ねー、1年のとき何組だった?」
「ふぇっ、あ、あの、今日から、て、転校してきた、です」
緊張して声が裏返った上に、変な言葉遣いになってしまった。
「そうだよねー、どおりで見たことないなと思ったあ。
あなたみたいにキレイな人がいたら有名になってるはずだし」
「い、いや、全然」
アタシが首をブルブル振っていると、彼女はニッコリと微笑んだ。
7
:
ラッキー
:2003/03/10(月) 00:11
「私、石川梨華です。よろしくね」
イシカワリカちゃん…名前までカワイイんだ。
「よ、よろしく…吉澤ひとみ、です」
「吉澤さんかあ…あ、私のことは『梨華』って呼んで。
吉澤さんはなんて呼ばれてたの?」
「へっ?ああ、よしことかよっすぃーとか…」
「『よっすぃー』?じゃ、これから吉澤さんのこと、よっすぃーって呼ぶね」
梨華ちゃんはニコニコと私のことを見ていた。
…あんまり見つめないで欲しいんだけど…
そのとき、アタシの手にある案内図が梨華ちゃんの目に入ったようだった。
「あ、学校の中、わかんないよねえ。
よしっ、時間あるから、私が穴場スポットも合わせて教えてあげる!ついてきて!」
石川さんは、教室のドアを開けて、廊下に出るとアタシのことを手招きした。
アタシは断れずにそのままついていくしかなかった。
梨華ちゃんは、それぞれ解説付きでいろんな場所を教えてくれた。
やっと校舎の3分の1くらい回ったかなというところで、予鈴が鳴った。
「あっ、もうこんな時間!じゃ、続きはあとで。教室戻ろう!」
梨華ちゃんって、カワイイだけじゃなくって、イイ子だ。
話しかけられても、『ああ』とか『うん』くらいしか言ってない
愛想のないアタシに対してもすごく優しく接してくれる。
8
:
ラッキー
:2003/03/10(月) 00:12
アタシたちが教室に戻ると、もうクラスの子たちは全員揃っていた。
「あっ、梨華ちゃーん!」
「柴ちゃーんっ!」
梨華ちゃんは駆け出すと、窓際から2列目の一番後ろにいる子に抱きついた。
うおっ!?あの子も結構カワイイぞ…
アタシはあえてそちらの方は見ないようにして自分の席に着いた。
どうやら聞こえてくる内容からすると、2人は部活が一緒で1年のときから仲が良く、
クラスが一緒になったのを心から喜んでいるようだった。
そういえば、ちゃんとお礼言えてないや、どうしよ…
なんとなく梨華ちゃんの方に視線を送ると、
梨華ちゃんとその一緒にいる子もこちらを見ていた。
というか、なんかすごくみんなに見られてる気がする…
転校生だからしょうがないんだろうけどさ…お願いだから見ないで…
梨華ちゃんがその子を連れてこちらに来ようとしたら、保田先生が入ってきた。
みんな慌てて自分の席に着く
9
:
ラッキー
:2003/03/10(月) 00:12
「おはよー」
「「「おはようございます」」」
保田先生が黒板に『保田圭』と書く。
「今日から、みなさんの担任をさせていただく保田圭です。
1年のとき化学の授業で顔合わせてる子もいれば、新体操部員もいるわね。
じゃ、1年間よろしくね!」
「ヤッスー、よろしくー!」
その叫び声に教室中に笑いが起こる。
叫んだのは、さっき梨華ちゃんと話していた子のようだ。
「しーばーた!アンタ、学級委員に決定!」
「ええっ!?何で?」
「『何で』じゃない!ちょっと、あとで手伝ってもらうことあるわよ」
「学級委員って、先生の雑用係じゃん…」
「何か言った!?」
「いえ、何でもありません。喜んでヤッスーに付いていきます」
「よろしい」
それから、それぞれの自己紹介がはじまった。
梨華ちゃん、新体操部なんだあ、レオタード似合いそう…
あのリボンをくるくる回してるのも似合いそうだし…
さっきの柴田さんももちろん新体操部。
何気にムードメーカーというか姉御肌なのか人気者っぽい感じがした。
担任が保田先生っていうのもあるせいか、
なんだかこのクラスの雰囲気はとてもいいカンジがする。
10
:
ラッキー
:2003/03/10(月) 00:13
あ、アタシの番だ。
「え、と、札幌から来ました吉澤ひとみです。
学校のことはもちろん東京のことも全然わからないので、
みなさんいろいろ教えて下さい。よろしくお願いします」
自己紹介も何となく考えてきたし、
アタシは人の顔じゃなくて教室全体を見まわしてしゃべったので、
とくに緊張することもなかった。
頭を下げると、一瞬静かになったあとに教室内がざわつきはじめた。
「きゃーっ、よっすぃー、カッコイイ〜!!」
へっ?あ、柴田さんだ。たぶん梨華ちゃんからアダ名聞いたんだろう。
「コラ、柴田、うるさい」
保田先生も困り顔。
「あ、ヤッスー、私の学級委員としての初仕事は『よっすぃーに学校の中を案内する』でいいでしょ?」
「はいはい、それが初仕事でいいから。
案内終わったら、まだお仕事はあるからね」
「えーっ!」
保田先生と柴田さんの掛け合いはなんか面白くて、みんなもクスクス笑っていた。
11
:
ラッキー
:2003/03/10(月) 00:13
そして、休み時間になると、柴田さんがアタシの席までやってきた。
すぐ後ろに梨華ちゃんもいる。
「よっすぃー、行こうっ!」
「あ、う、うん」
立ちあがると、柴田さんがアタシの腕に自分の腕をからめてきた。
「!!」
腕を外そうと思ったが、柴田さんはしがみついてるくらいの勢いで、
簡単には外れそうにもなかった。
ヤバイって、この状況はマズ過ぎる…
梨華ちゃんがアタシの顔を覗き込んでくる。
お願いだから、そういうのもやめてって…
「あれー?よっすぃー照れてんの?顔真っ赤だよ?」
「あ、いや、その…」
アタシが首筋のあたりをボリボリ掻いた。
「えっ?」
柴田さんも顔を覗き込んできた。
そのとき、腕の力がゆるんだので、すぐにアタシは柴田さんから少し離れた。
「きゃーっ!よっすぃー、カワイイっ!!」
今度は抱きつかれた!
や、やめろーっ!!
「あ、あ、だから、こういうのは、マ、マズイかと…」
柴田さんは、アタシから体を離してはくれたけど、ニヤニヤと見ていた。
「よっすぃー、照れ屋さんなんだねえ」
「あ、あは、あははは…」
肯定も否定もしないで力なく笑うしかなかった。
それにしてもなんかウチのクラスはカワイイ子が多い気がする…
梨華ちゃん、柴ちゃんを筆頭に他にもたくさんいた。
これから1年間、あのクラスでやっていけんのかな?
とりあえず、梨華ちゃんと柴ちゃんは仲良くしてくれそうだけど、
本当に友達になれるんだろうか?
―まず無理だ。こんなアタシにカワイイ女の子の友達なんてできるはずがない。
その日の帰り道、アタシは、赤い空を見上げて大きくため息をついた。
12
:
ラッキー
:2003/03/10(月) 00:14
次の日、席替えが行われた。
くじ引きでやったのにも関わらず、アタシはどういうわけか出席番号順と同じ位置、
つまり廊下側の一番後ろだった。
むしろアタシは一番前でもよかったんだけど。
ここだとあまりにクラスのみんなが見渡せてしまうから。
で、アタシの隣りの席は梨華ちゃんになった。
「うふふ、よっすぃー、お隣りさんだねえ。よろしくね」
「あ、う、うん」
それにしても梨華ちゃんは本当にカワイイと思う。
この学校に来てあまり周りを見てないけど、見た限りではダントツだ。
うん、北海道で知ってる子を入れても一番カワイイって言ってもいいくらい。
13
:
ラッキー
:2003/03/10(月) 00:14
次の授業。授業の内容の補足的なプリントが配られた。
「あれ、一枚足りないな。
悪い、あとでコピー持ってくるから、一番後ろ、とりあえず一緒に見てやってくれ」
「はい」
梨華ちゃんは返事をすると、自分の机をアタシの机にぴったりとくっつけてきた。
「あ、ありがとう…」
「ううん、いいよ」
2人の机の間にプリントを置くと、梨華ちゃんはアタシに寄り添うようにしてきた。
近い、近いんだってばあっ!
アタシはぎこちなく体をよけるしかなかった。
「?そんなところから見える?」
「あ、うん、目、いいから…」
ほのかに梨華ちゃんの甘い髪の香りがしてきた。
うぅ、梨華ちゃんってニオイも女の子っぽいよお…
結局そのプリントの内容はひとつも耳にも目にも入らなかった。
14
:
ラッキー
:2003/03/10(月) 00:15
やっぱり、もう限界かも…
アタシは転校してきて1週間後の放課後、職員室をたずねた。
保田先生は自分のデスクで何か作業をしていた。
「すみません、保田先生、ちょっとお話があるんですけど…」
アタシは保田先生のすぐ側で小声で言った。
「何かしら?」
保田先生がアタシの方を向いた。
うーん、やっぱりコワイ顔だ…
「あ、あの、誰もいないところで、お話したいんですけど…」
職員室には先生だけでなく、生徒も何人かいた。
こんなところであんな話しはできるわけがない。
「わかったわ、化学準備室に行ってて。すぐ行くから。場所わかる?」
なんとか化学準備室にたどり着くと、保田先生から渡された鍵でドアを開ける。
中には、謎の液体やら、フラスコなんかの容器とかもたくさんある。
なんか、ちょっといじったりしたら、バクハツとかしそうでコワイな…
奥の窓際には普通にデスクとそのチェアー。
近くの壁にパイプイスがいくつか置いてあったので、
その1つを広げて、じっと座っていた。
正直まだ迷っていた。
保田先生に話したところでどうにかなるだろうか。
それ以前に信じてもらえるかどうかの不安がある。
過去に男友達にその話しをしたら、笑い飛ばされたこともあるくらいだ。
でも、なんとなく保田先生なら大丈夫という気もする。
けれども…
15
:
ラッキー
:2003/03/10(月) 00:16
コンコン。ドアがノックされた。
「吉澤いる?」
「は、はいっ」
「入るわよー」
白衣姿の保田先生がキリッとした顔つきで入ってきた。
「で、話しって何?」
そのまま、デスクチェアーに座ると、アタシのことをじっと見る。
やっぱりコワイ顔だけど、目の奥には優しさが見える。
大丈夫だ…よ、よしっ、言うぞ!
「あ、あの、ですね…えと、や、やっぱいいです…」
やっぱ、言えないよお、無理。
アタシが立ち上がろうとしたら、保田先生に思いっきり腕をつかまれた。
「こらー、人のこと呼んどいて、それはないでしょ」
はい、確かにその通りです。
「…すみません」
アタシは、イスに座り直した。
「で?何?」
「は、はい…実は―――」
アタシは自分の悩みを保田先生に打ち明けた。
16
:
ラッキー
:2003/03/10(月) 00:16
「女性アレルギー!?」
「…はい」
「じんましんが出るの?」
「…はい」
アタシが小学校の高学年の頃、近所にキレイなお姉さんが住んでいた。
よく見かけるので普通に「こんにちは」とか挨拶をする仲ではあった。
顔がキレイなだけじゃなくて、着ている服もオシャレだったし、
挨拶をしてくれるときもすごーく優しいしゃべり方をする人だった。
うん、憧れの女性ってカンジだった。
そんなある日の学校帰り。
友達と別れ1人になったときに、そのお姉さんに会った。
おいしいお菓子があるから部屋に遊びにおいでと言われた。
よく『知らないおじさんについていっちゃダメ』とは言われてたけど、
『知ってるお姉さん』だし、こんなキレイな人はどういうところに住んでるんだろうという
興味もあったから、そのままついていった。
17
:
ラッキー
:2003/03/10(月) 00:17
お姉さんは大学生でマンションで1人暮しをしていた。
部屋は広くはないけどこぎれいなところだった。
美術系の学校らしく、書きかけの油絵やスケッチブックがあったり、
壁には額縁に入ったキレイな絵や、ポストカードがいっぱい貼られていた。
やっぱり、キレイな人は住んでるところも違うなあ、なんて感心していたら、
お姉さんが紅茶とおいしそうなケーキやクッキーを出してくれた。
その紅茶を飲んでケーキを食べたところまでは、はっきりと思い出せる。
すぐにすごく眠くなったことも。
でもそのあとの記憶が全くない。
気付いたときには、アタシはベッドの上だった。
しかも裸で、手足を縛られてベッドに寝かされていて、
隣りにいるお姉さんも裸で、アタシのことを抱きしめていた。
記憶がないから、何をされたのかは全くわからない。
でも、服を脱がされたのは確かなことだったし、
他に何もされなかったとは思えない。
それからというもの、アタシは女のヒトが苦手になった。
苦手どころか、ちょっと触られたりしただけで、じんましんが出るようになってしまったのだ。
「しかし、よく女子高来たわねー。向こうでは共学だったんでしょ?」
「はい、男の子と遊んでることの方が多かったですから。
こっちの学校は親が勝手に決めちゃってたんです。
『アレルギーなんて、いい加減直しなさい。慣れよ、慣れ』とか言って」
「確かに、それも一理あるわねえ…しかし、はじめて聞くわよ、女性アレルギーなんて。
しかもあなた女の子でしょうが」
「はあ…」
やっぱり、アタシのこの話し信じてもらえそうにないか…
18
:
ラッキー
:2003/03/10(月) 00:18
とりあえず、よっすぃーの秘密公開まで(W
更新はまちまちになると思いますが、こちらでもよろしくです。
19
:
オガマー
:2003/03/10(月) 07:22
ラッキーさんだ!!w
すげー面白いです!
よっすぃーどうなるんだぁ〜!!
更新楽しみにしていますねー!
20
:
名無しひょうたん島
:2003/03/10(月) 12:25
新作おめでとうございます。
またラッキーさんの新作を読めるとは・・
うれしいです。
よしこさんが女性アレルギー・・
あまり今までにない設定ですよねw
これからの展開が楽しみです。
21
:
ごまだんご
:2003/03/10(月) 14:10
よっすぃ〜が女性アレルギーですか。
今まで見たことない設定なので、期待してます。
がんばってくださ〜い。
22
:
名無しひょうたん島
:2003/03/10(月) 22:28
おっ!ラッキーさんだ!
真打登場ですね。楽しみにしてます。
23
:
名無しひょうたん島
:2003/03/16(日) 19:59
つづきまだかなぁ〜楽しみです!!
24
:
ラッキー
:2003/03/17(月) 13:35
「圭ちゃん、いる〜?」
ドアの外で声がした。
「いるわよー」
ドアが開くと入ってきたのは、ストレートのロングヘアーで、スーツ姿のすごくキレイな人だった。
「職員室にいないから、ここかなーと思ってー。あ、おジャマかな?」
その人がアタシのことを見つめたので、思わず体が硬直してしまう。
「い、いえ」
やっぱ、キレイな人ってとくに緊張するな…
「ねー、もしかして、圭ちゃんのクラスに来た転校生?」
「そうよ。吉澤。あ、コチラ、木村アヤカ先生。1年2組の担任で担当は英語。
ま、ウチのクラスはアヤカの授業はないからなあ」
そっか、だから見たことないんだ。
「あ、吉澤ひとみです」
アタシは一応立ちあがって頭を下げる。
先生だし、失礼な態度はできないもんな。
「木村アヤカです…って、噂どおり、超キレー!!」
う、うわあっ!いきなり抱きつかれた!
ひえっ?今、ほっぺにキスしてこなかった!?
「アヤカっ!」
保田先生が怒った声で言うと、アヤカ先生はやっと体を離してくれた。
「あ、ごめん、ごめん、つい…」
25
:
ラッキー
:2003/03/17(月) 13:36
あまりに突然のことで、アタシは固まっていた。
「おーい、吉澤、大丈夫か?」
保田先生の声で我に返ったものの、間もなく体中にかゆみが襲ってきた。
「うわっ、うわっ…」
アタシはボリボリと首や背中を掻きだした。
「?どうしたの?吉澤さん?」
のたうちまわってるアタシを見て、アヤカ先生が不思議そうな顔になる。
も、もう、あなたのせいなんですからね!
「あははは、ホントなんだねー」
保田先生が楽しそうに笑ってる声が聞こえてきた。
「だから言ってるじゃないですかあ!」
このかゆいのがどんなにツライかわかってますか?
「えっ?えっ?何の話し?何が『ホント』なの?」
アヤカ先生がまたアタシに近づいてきたので、ちょっと距離を置いた。
「あー、もう!わかりましたよ、先生にも話しますよ!」
さっき、保田先生に聞かせた話をもう一度してやった。
26
:
ラッキー
:2003/03/17(月) 13:36
「へー、そんなことってあるんだね」
「はい…」
話しをしていた間で落ち着いてきたのか、かゆみはおさまっていた。
「お母さんから触られたりするのは大丈夫なの?」
アヤカ先生が優しい声で聞いてくる。
うーん、保田先生よりよっぽど心配してくれてるみたいだな。
「はい、それは全く平気なんです。
あのー、キレイな人、カワイイ子ほどダメみたいなんです…」
うんうんと頷いていた保田先生が少し考えてから中腰になって叫んだ。
「ちょ、ちょっと、待った!
そういえば、さっき私、吉澤の腕、思いっきりつかんだわよね?
アンタ、全然平気だったじゃない!」
「へ?あ、ああ、そういえば、そうでしたね…」
だから、『キレイ』な人じゃなかったら基本的に大丈夫みたいなんですよね…
「何よ!私はお母さんと同じってこと?アヤカに対してはあんなになったのに」
保田先生が頬をふくらませている。
こういう表情をされても、逆にキショイと思ってしまうのは、
やはり失礼だから、心の中にとどめておこう。
27
:
ラッキー
:2003/03/17(月) 13:36
「アハハハ、圭ちゃん、怒らないの。
じゃ、私のことキレイって思ってくれてるってこと?」
アヤカ先生がアタシに近づいてきて、頬に手を触れようとしてきた。
うわわわわわ…
ガッシャーン!
よけようとしてパイプイスごとひっくり返ってしまった。
…超かっちょ悪い。
「こら、アヤカ、からかわないの!」
「だって、吉澤さん、カワイイんだもん」
アヤカ先生がアタシに手をさしのべて立てせてくれようとしたが、
むしろソレはありがた迷惑ってヤツなんで。
「あ、い、いいです」
断ると、保田先生がアタシの腕をつかんで起き上がらせてくれた。
イスも戻してそこにアタシを座らせる。
うーん、やっぱり保田先生は平気なんだな、何にも起きないよ。
じんましんはもちろん、イヤだとかやめてっていう感情もおきない。
「ウフフフ、本当に吉澤さんの体、人選んでるんだ」
アヤカ先生は楽しそうに笑った。
そうですね、無意識なんですけど。
「はあ、すみません、保田先生…」
一応、天然失礼なことをしてると思い謝った。
ま、コレには保田先生も苦笑いするしかなかったみたいだけど。
28
:
ラッキー
:2003/03/17(月) 13:37
「いいわよ、そんなこと。それより、私に話しってまだ続きがあるんでしょ?
学校やめたいとかなら、私じゃなくて親をちゃんと説得しなさいよ」
「い、いえ、違うんです!あの、あの席なんですけど…」
「席?」
「は、はい、席替えしてほしいんです!」
「なんで?どうせ女子しかいないんだからそんなに変わらないじゃない」
そう、アタシの今の一番の悩みを知ってもらわないと、
こうやって意を決して、打ち明けた意味がなくなってしまう。
「い、石川さん、なんですけど…あの、アタシ、あの子、ホントにダメなんです。
隣りにいるだけなのに、こう、なんていうか体があつくなってきちゃってムズムズしてくるんです。
ちょっと触れられたりしたらもちろん、微笑まれたりするだけでも症状が出てきちゃって…
他のカワイイ子、柴田さんとかでも、そこまでではないんです。
だから、隣りの席、石川さん以外の人して欲しいなあって…」
とにかく、あの席をホントどうにかしてほしい。
梨華ちゃんはイイ子だけど、マジでアタシはツライ思いをしている。
29
:
ラッキー
:2003/03/17(月) 13:37
アヤカ先生がこらえてたのかなんなのか、徐々に声を大きくしながら笑いはじめた。
「もう、吉澤さんって面白い!
私には『石川さんが好きで好きでしょうがないんですけど』っていう意味にしかとれないんだけど」
はあ!?何ソレ!?
「確かにそうね」
何で保田先生まで納得してるんですか!?
「そ、そんなワケないじゃないですか!
確かにカワイイですよ、今まで自分の周りにいなかったカワイさですよ!
で、でも女の子なんだし好きになるわけないじゃないですか!」
アタシは思いっきり否定した。
「…でもねえ、この学校でも結構いるわよ、女同士でつきあってる人」
アヤカ先生がニッコリしながら保田先生の方を見ると、保田先生も頷いてニヤリと笑った。
「そう、なんですか…女子校ってやっぱそうなんですか…」
そういうのって、ドラマとか小説とかの中だけのものだと思ってた。
本当にある話なんだ…
「とにかく、席替えはできないわね。吉澤1人のためには無理。
むしろリハビリにちょうどいいじゃない。
石川で免疫つけとけば、もうアレルギーじたい大丈夫でしょ」
「む、無理です!その前にウチの体が持たないです!」
保田せんせー…せっかく恥ずかしい思いして打ち明けたのに、
何も対策とってくれないんですか…
「でもさあ、そんなこと言ってたら、まともに女友達もできないじゃない?
それとも顔で選んで、かわいくない子ばっかり友達にしたいの?」
アヤカ先生…核心をつかれるとアタシも困る。
そういや、前の学校で、まともにしゃべれて仲良くしてた女の子は、
みんな、顔は××××な子だったかもしれない。
「いえ、もちろん、普通に、普通の女友達も欲しいですけど…」
わざわざ友達のこと顔でなんて選べない。
しかも、今現在この学校で一番仲良くしてくれている梨華ちゃん、柴ちゃんは、
むしろ逆の意味で顔で選んだ友達って思われても仕方ないくらいなのに。
30
:
ラッキー
:2003/03/17(月) 13:38
「あ、あったー」
アタシがアヤカ先生と話しているとき、保田先生は机の引出しの中をガサゴソやっていた。
保田先生の手には、小さなアルバムがあった。
「ん?何ソレ?」
「去年の夏休みのやつなんだけど、新体操部の子たちがね、
私が千葉の実家に帰ってるときに、遊びに来たのよ」
へえ、保田先生って、やっぱり、みんなから好かれてるんだなあ。
「ウチから海が近いって話しをしたらみんなノリノリでねー。
そんときの写真なんだ。石川もいるから」
アヤカ先生がアルバムをパラパラとめくる。
「うわっ、スゴイね。これは吉澤さんには刺激が強いかなあ」
え?ど、どんな写真?
「でしょー、とりあえず写真で慣れておいた方がいいかと思って」
保田先生もニヤニヤ。
コ、コワイ…見たくないような、見たいような…
すると、アタシの手にアルバムが渡された。
やっぱり、見なきゃダメだよねえ…
ま、たかが写真じゃん。そんな恐れることないよねえ。
31
:
ラッキー
:2003/03/17(月) 13:38
最初の方は保田先生の実家の前とかで、先生の家族と一緒にみんなが写っている。
あ、梨華ちゃん、発見!
白いノースリーブのシャツにデニムのタイトスカート。
うん、カワイイねえ。
あ、柴ちゃんもいるー。
梨華ちゃんと柴ちゃんが抱き合ってるツーショット写真があった。
まるでアイドル歌手のユニットみたい。
このままプロマイドで売れそうだよ。
そのうち、海辺での写真になった。みんな水着を着てる。
うわー、さすが新体操部。みんなスタイルいいよなあ。
大人数で写ってるから、あんまりはっきりしないけど。
この写真では、梨華ちゃんは水着の上にTシャツを着てる。
それにしても、キレイな脚だなあ。
あれ?なんだ?ここからの写真は?
それこそグラビアアイドルかキャンペーンギャルばりの
水着のワンショット写真コーナーになる。
「このころねー、私がカメラにはまってて、みんなの写真撮ってあげるって、
それぞれの写真をとってあげたのよ――」
ふーん、やっぱり、保田先生、オヤジっぽい。
カメラに凝ってるからって、フツー、女の子の水着姿は撮らないでしょ。
32
:
ラッキー
:2003/03/17(月) 13:38
ん…ぐわっ!!
り、梨華ちゃん…
すっげー、スタイルいいじゃん…
胸デカイ…ウエストほっそい…
梨華ちゃんは、黒のシンプルなビキニを着ていた。
笑顔でVサインをしている。
「石川、いいでしょー。なんかモデルさんみたいじゃない?
だから何枚も撮らせてもらっちゃった」
「うん、石川さん、すごくカワイイねー」
ハイ、確かに、カワイイです。
まんまグラビアでいけます。
つーか、コレ、かなりヤバイ気が…
アタシが固まってしまっていたせいか、保田先生が次のページをめくる。
うわわわ!梨華ちゃんっ!!反則!!
だって、水着で『だっちゅーの』のポーズとって、唇を尖らせて目を閉じてんだよ。
すっげー、エロい…エロすぎるって…
「もう、石川も調子のっちゃって、面白かったんだけどー…
アレ?吉澤、大丈夫?」
「だ、だめみたいです…」
アタシはまた体をかきはじめた。もう全身かゆくてかゆくて。
さっきのアヤカ先生に抱きつかれたとき以上かもしれない。
「へー、写真でもダメなんだ?」
「い、いや、写真だけでははじめてなんですけど…」
女の子の水着写真なんて、そんなわざわざ見る機会はないけど、
生身の女の人以外で症状が出たのは確かにはじめてだ。
「コレ、貸しといてあげるから。少しは慣れるでしょ?
あ、欲しい写真あったらあげるから、好きにしていいから」
あ、あのー、こういうのって見慣れれば平気なものなんですか?
男の人って、エロ本同じのずっと見てたらコーフンしなくなったりするのかな?
あ、ゴメン、梨華ちゃん、エロ本扱いして…
保田先生がアタシにアルバムを押しつけるように渡したので、
アタシはそのままカバンにしまうしかなかった。
33
:
ラッキー
:2003/03/17(月) 13:39
「とりあえず、吉澤のアレルギーのことはわかったから。
他の子たちには気付かれたくないんでしょ?」
「はい、逆に気を遣われて、誰も近づいてくれなくなったりしたら、
友達もできなくなっちゃうだろうし」
そうなのだ。
じんましんが起きるのはイヤだけど、
友達がいない高校生活なんてさみしすぎると思う。
「わかったわ、できる限りのフォローはするから。
ただし席替えは今のところ無理よ。2学期まではガマンしなさい」
「…はい、わかりました」
「っていうか、2学期になるまでには、ソレ直しておきたいわね」
「…そうですね」
直るんだろうか…
札幌でいたときも、友達は男の子ばっかりだったから、
女の子たちには、『吉澤さんは男好き』なんて陰口叩かれてたっけ。
男好きじゃなくて、女嫌いなだけなんだけどね…
一番仲の良かった男友達に軽く話しても信じてもらえなかったのもあって、
アタシのこの病気は親以外でちゃんと話したのは、保田先生、そしてアヤカ先生がはじめてだ。
2人は励ますようにアタシのことを見てくれている。
「吉澤さん、がんばってね!」
うわっ!
アヤカ先生がアタシの肩をつかんできたので、慌ててのけぞった。
「コラ、アヤカ!」
「あはは、ごめんね〜」
アヤカ先生、アタシのことからかってるでしょ?
まったく、ひどいなあ…
でも、2人に話して、だいぶ気持ちが楽になった。
ちゃんとアタシの病気のこと信じてもらえたし。
これから何かあったら、また相談にのってもらおうかな。
34
:
ラッキー
:2003/03/17(月) 13:39
その日は家に帰ってゴハンを食べたあとは、部屋のベッドでゴロゴロしてた。
アヤカ先生が言うように、アタシ、梨華ちゃんのこと好きなのかな…
いや、いや、それはないでしょ。
女性アレルギーのアタシが女の子を好きになるなんて。
ま、確かに他の人よりも緊張するし、ちょっとしたことでドキッともするけどさ。
たぶんそれは、梨華ちゃんがカワイイからだ。
ほら、芸能人に会ったりしたら、すっごく緊張すると思うんだよね。
あまり好きじゃない人でも、キレイだとかカワイイって思って、
気持ちが舞いあがっちゃうんじゃないかな。
うん、梨華ちゃんはそんなカンジだよ、きっと。
梨華ちゃんが『実はモデルやってるんだ』って言っても納得しちゃうもん。
あ、そういえば、写真…
保田先生から預かったアルバムをめくってみた。
さっきは、さすがに2人の手前あんまりちゃんと見れなかったし。
でも、アタシが自然と目が行くのは、やっぱり梨華ちゃんだった。
…かーわいー…
ページをめくっていくと、水着写真コーナーになる。
…しかし、梨華ちゃんって……
うっ、ヤバイ!体がムズムズしてきた。
とりあえず、アルバムを閉じた。
もしかしてコレが梨華ちゃんだと思うからダメなんじゃないかな?
顔隠して見たら平気だったりして。
もう一度アルバムを開き、梨華ちゃんの顔を隠して体だけを見た。
しかし胸デカイ、形もよさそうだし…ウエストのくびれ方もスゴイ…
…ん?アタシ、何やってんだろ?
コレって逆アイコラ?
ヘンタイかよ、アタシは…
…だいたいさあ、体だけ見ることなんてないよ、バカすぎ…
35
:
ラッキー
:2003/03/17(月) 13:49
更新しますた。
アヤカも結構好きなんです…(W
>オガマーさん
ありがとうございますです。
面白いと思っていただけて光栄です
>20さん、ごまだんごさん
ありがとうございます。
そうなんですよねー、学園モノのリクエストがありまして(W
他に設定で今までにないものを、と思ってこんなのなんです…
自分でも、どうなっていくのかわかりません(W
>22さん
どうもです。
真打ってほどのものではありませんので…(照)
>23さん
ありがとうございます。
すんません、お待たせしましたです(m_ _m)
36
:
YUNA
:2003/03/17(月) 16:06
初めまして。
ケメコには反応しない、よっちぃ〜...
かなり、笑えました。
小説、めちゃくちゃ面白いですっ♪♪♪
続き、楽しみに待ってまぁ〜す!!!
37
:
名無しひょうたん島
:2003/03/18(火) 16:25
いや〜梨華ちゃんに反応する吉がいいですね。
続きをドキドキしながら待っています。
38
:
名無しひょうたん島
:2003/03/20(木) 02:20
お!更新されてる!!
ラッキーさんの作品のファンです!
楽しみに待っています。がんばってください
39
:
ラッキー
:2003/03/23(日) 01:12
もう、保田先生のせいだ。あんな写真見せるから。
今日は梨華ちゃんの夢を見てしまった。
内容ははっきり覚えてないんだけど、夢の中でもビキニ姿だった。
そのせいか、学校でも梨華ちゃんを見ると、すぐに水着姿が浮かんでくる。
アホか、アタシは…大丈夫、大丈夫、服着てるじゃん…
その日の放課後。
今度はアタシが保田先生から化学準備室に呼び出された。
部屋に入ると、デスクチェアーに座っていたのはアヤカ先生だった。
「ハーイ。圭ちゃん、ちょっと遅れるってー」
アタシはパイプイスに座る。
アヤカ先生がニコニコとアタシのことを見てる。
「どうだったー?今日はアレルギー起こさなかった?」
「はい、じんましんは大丈夫でしたけど、あの写真のせいで…」
水着の写真のせいで梨華ちゃんのことまともに見れなかったことを話した。
「あははは、欲情しちゃってるんだ」
「してませんよっ」
「いやいや、してるんだよ。本心では生で梨華ちゃんの水着、いや裸が見たいって」
「み、見たくないです!そんなの見たら、
じんましんどころじゃないかもしれないじゃないですか!」
ホントだよ、写真だけであんなになるんだから、
生で梨華ちゃんの水着とか見ちゃったらどうなるんだろう?
考えるだけでもおそろしい…
40
:
ラッキー
:2003/03/23(日) 01:14
「とりあえずさー、免疫はつけた方がいいよ」
アヤカ先生はジャケットを脱いでイスにかけた。
その下はタンクトップだけ、しかもかなり胸の部分が大きく開いていて、
先生がちょっとかがんだだけで―
「先生!ブ、ブラ見えちゃいますよっ」
アタシは慌てて目をつぶって顔を伏せる。
「あ、見てみる?」
アヤカ先生、今度はタンクトップまで脱ごうとした。
な、何するんだ!
「だ、だめです!」
アタシはアヤカ先生の腕をギュッとつかんで、阻止した。
「アハハハ!冗談だってばー」
「へっ?あ、スミマセン…」
アヤカ先生はイタズラっぽく笑いながら、アタシの腕をそっと離した。
「ホント、吉澤さんってカワイイなあ。
あれ?そういえば、私に自分から触れられたじゃない?」
「えっ?あ、ご、ごめんなさい」
「謝ることないでしょー、大丈夫みたいね、じんましん」
そういえば、そうだ。
自分からアヤカ先生の腕をつかんだのは、必死になっていたせいだ。
ホントに脱がれてたら、アタシ、すごい発作を起こしてたんじゃないかと思う。
41
:
ラッキー
:2003/03/23(日) 01:14
「…ホントだ。大丈夫でしたね」
「じゃ、もっとステップアップしよっか」
「へっ?」
「私のこと抱きしめてみて」
「は!?」
なんで?
何も起こらなくて安心してたとこに、なんでそうなるかなあ?
「腕が大丈夫なら、体も大丈夫かもしれないでしょ」
「い、いいや、違いますよ、ダメですよ」
腕なんて、相手が誰であっても、男の人でもそう変わらない。
体は明らかにマズイよ。
だって、アヤカ先生、スタイルいいし、どう見ても女のヒトの体だもん。
「じゃ、圭ちゃんだったら、抱きしめられる?」
なんで?ヤッスー?
「…抱きしめたいとは思わないけど、たぶんじんましんは起こさないと思います」
「アハハハ、結構キツイこと言うねえ。
じゃ、私のこと、圭ちゃんだと思って抱きしめてみて」
は?無理だって!
「い、いえ、結構です」
「だーめ、そんなこと言ってたら今までとちっとも変わらないよ」
アヤカ先生はアタシの腕を取って立ちあがらせた。
「はい、どうぞ」
アヤカ先生が両手をひろげた。
ど、どうしよ?
…でも、もしかしたら、本当に平気かもしれない。
せっかくアヤカ先生がアタシに協力してくれようとしてるんだし。
いや、この人は保田先生、ヤッスー、ヤスス…
アタシは目をつぶって、アヤカ先生の腕の中に飛び込んだ。
先生の腕がアタシの背中に回って、ギュッと抱きしめてくれる。
ヤ、ヤッスー、そんなことすんなよお…
うん、ヤッスーだから大丈夫。
アタシも、先生の背中に腕を回した。
42
:
ラッキー
:2003/03/23(日) 01:15
と、そのとき、部屋のドアの外で物音がした。
なんだ?
先生が体を離し、急いでドアを開ける。
そこには明らかに覗いてましたという体勢で、
1人がしゃがみ込み、もう1人が中腰、計2人の生徒がいた。
「…加護さん、辻さん、こんなところで何してるのかな?」
お団子の髪型も顔つきもそっくりな2人が背筋をシャンと伸ばして立つ。
「あ、あの、ヤッスーに、し、し、質問があってきたんですけど、い、いないようなので帰ります!」
「は、はい、決してのぞいてたわけではありません!」
そう言うなり、2人は廊下を走って去っていった。
「コラー!廊下走るな〜!!」
アヤカ先生の叫びは2人には届いてなかったようだ。
「あー、もうやっかいなのに見られたなあ」
アヤカ先生が腕組みをして困った顔をしている。
「あ、あの…」
「いや、あの子たち、うちのクラスなんだけど、まあよくいえばすごく無邪気なのよ。
きっと明日には吉澤さんと私の噂が全校に広まってるわね」
「ええっ!?ウ、ウチら何もしてないじゃないですか!」
何もしてないよ、ただ、アタシの悩み相談しただけじゃん。
アヤカ先生はニコッと笑って、アタシに抱きついてきた。
「…じゃ、今からスル?」
耳元で囁かれた。
そ、そんなこと言われちゃったら…
アヤカ先生はすぐに体を離し、アタシ顔を覗き込んでニコッとした。
「なーんてね」
…今更ダメです。
さっきの囁きで、やられちゃったみたいで、体がかゆくなってきた。
「先生、ヒドイじゃないですか…」
もう耐えられなくなって、体をかきむしる。
アヤカ先生も心配そうに見ている。
「あらら、ごめんね、さっき大丈夫だったから」
「アレは、保田先生だって自分に言い聞かせてたし、
耳元でなんてしゃべんなかったじゃないですかあ!」
「フーン、吉澤さんの弱点は耳なのね」
「もう、そういう問題じゃなくってー」
アタシがたぶんすごく情けない顔をしていたであろうとき、ドアがノックされた。
43
:
ラッキー
:2003/03/23(日) 01:15
「入るわよー」
保田先生が来た。
よかった、なんか安心した。
でも、保田先生はアタシがボリボリやってるのを見て怪訝そうな顔をした。
「…アヤカ、何かしたの?」
「リハビリのつもりでちょっと抱きついただけなんだけどー」
アヤカ先生も申し訳なさそうな声を出す。
「もー、イジワルするんですよ、アヤカ先生がー」
アタシが泣きそうになってるのを見て、保田先生はなんとなく理解してくれたみたいで。
「はいはい、わかったわ。もうしょうがないわねえ。
あ、今日ね、吉澤のことね、名前出さないで、保健の平家先生に相談したのよ」
アタシはその平家先生を直接知らなかったが、
クラスのみんなでどの先生が一番好きかって話しになったとき、
柴ちゃんが『平家先生!』って力説してて、他にも一番好きって人は多かった。
顔がキレイなのはもちろんのこと、やさしくて、面白くて、
性格も茶目っ気があってかわいいらしいのだ。
確か保田先生と同じ年だっていってた気がする。
「そしたらね、コレ受けてみたらどうかだって」
保田先生が、どこかの病院のホームページをプリントアウトしたものをアタシに渡した。
「…『パッチテスト』、ですか?」
「そう、簡単に自分が何のアレルギーかわかるらしいの。
吉澤の場合は『女性』なんて、しかも人選ぶなんておかしいじゃない。
だから何か別のものがアレルゲンなのかもしれないって」
44
:
ラッキー
:2003/03/23(日) 01:15
確かに自分でもおかしいと思う。
女の人に対してだけだけど、女の人なら誰でもじんましんが起こるわけじゃないし。
しかも前は、じんましんが起きる人の幅が結構広かった。
で、起きた場合は誰でも同じくらいのレベルで症状が出てたと思う。
でも、ここ数日は、ちょっと女の人に触れたくらいじゃ何ともならなくなっている。
満員電車でキレイなお姉さんとピッタリくっついてても、
よく学校で頼まれるようになった握手も、カワイイ子相手でも大丈夫になってきた。
札幌にいたときは男の子がいたから、女の子と最小限度しか接触しないでいられた。
でもこっちに来てから、自分の知り合いが学校の子しかいない、つまり女の子しかいないのだ。
その荒治療のおかげなのか、保田先生やお母さんが言ったように免疫ができてきたのかもしれない。
そのかわりというべきなのか、梨華ちゃんに対しては異常に反応してしまう。
じっと見つめられて微笑まれただけで、水着写真見ただけで…
今まででは考えられないようなことでじんましんが出てくる。
他の人にはよほどのことがない限り出なくなっているのに。
ちなみに、次に苦手なのはアヤカ先生。
たぶん、それは年上でキレイでやさしいから…
無意識にあのときの近所のお姉さんを思い出してしまうからなんじゃないかなって。
「実際、アレルギーじゃないのに自分がそうだって思い込んでる人も多いみたいだし。
吉澤って、他にアレルギーある?食べ物とか、花粉症とかでも」
「いえ、ないと思います」
「そう。じゃ、そういうのもはっきりわかるみたいだし、パッチテスト受けてみたら?
あ、これね、この学校の近くで夕方とか土曜の午後でも受けられる病院のリストだって。
平家先生が調べてくれたのよ」
それはいくつかの病院名とその営業時間、定休日などが書かれた紙だった。
…平家先生、ホントにいい人だあ…あ、ヤッスーもちゃんと気にかけてくれててありがとう…
家に帰って、お母さんに相談してみたら、ぜひ受けてみなさいと大喜びだった。
早速病院に電話で予約して、今度の土曜日、学校帰りに行くことにした。
45
:
ラッキー
:2003/03/23(日) 01:16
次の日の昼休み。
教室で、アタシはいつものように、8人くらいで机をつけてお弁当を食べていた。
「ね、よっすぃーってアヤカ先生と仲いいの?」
グループの中の1人、あさみこと木村麻美がアタシに聞いてきた。
「へっ?なんで?」
なんで、突然、アヤカ先生のこと聞かれるんだ?
「今日1年生から変な噂聞いてさあ」
「何?どんなの?」
アタシよりも柴ちゃんの方が先につっこむ。
「昨日の放課後、アヤカ先生と化学準備室でエッチしてたって」
げほっ!
アタシは食べていたものを変なところにつまらせてしまい、思いっきりむせた。
隣りに座ってる柴ちゃんが背中をさすってくれた。
「エ、エッチなんかしてないよお!!」
確かにちょっと抱き合ってたけど、それだけだし。
「なんかねー、見たって子がいるらしくて」
「えっ!?…あ!!」
思い出した。あのお団子頭コンビだ!
アヤカ先生の言った通り、もう噂が広まってる。しかも尾ひれがついて。
「よっすぃー、心当たりあるの?」
柴ちゃんに鋭い目で見られた。
ちょっとコワイ…
柴ちゃんの恋人になる人は大変かもしれない。
「いや、保田先生に、あの、勉強のこととか相談しようと思って、
化学準備室に行ったら、保田先生はいなくてアヤカ先生がいて…」
「それで、エッチしちゃったの?」
グループの1人、里ちゃんこと里田舞がニヤッとして聞いてくる。
「してないって!それで、アヤカ先生にも相談してみたんだよね。
で、なんつーか、その、励ましてくれようとして、抱きしめてくれたの」
ウソの部分もあるけど、概要は間違ってない。
「それを見られちゃったんだ?」
梨華ちゃんがやさしいトーンで聞いてくる。
うう…梨華ちゃんも疑ってるよね…
「…うん、それなのによく『エッチしてた』なんて話しになるよねえ」
ある意味すごく感心するよ。
あの団子頭たち、今度会ったら締め上げておくか。
「そーだよねえ、アヤカ先生と、しかも化学準備室でエッチなんてありえないよね」
柴ちゃんがつぶやくと、周りもみんな頷いている。
そりゃアタシとアヤカ先生の接点はもともとないけどさー、
みんながみんなありえないって思う理由はなんでだろう?
アタシが不思議そうな顔をしているのに気付いたあさみが教えてくれた。
「あ、よっすぃー、知らないよね、
アヤカ先生って、ヤッスーと付き合ってるんだよ」
へー、アヤカ先生とヤッスーって付き合ってるのか…
だからかあ、なるほどね。
えっ?ヤッスー=保田先生だったよね?
「ええーっっっ!!!」
アタシが叫んだのは、あさみの言葉を聞いてたっぷり10秒後だったと思う。
「あはは、驚くのも無理ないよねえ。
なんで、ヤッスーなんかと付き合うかなあ、アヤカ先生。
もっといい人いるだろうにねえ、もったいないよ」
柴ちゃんの言葉も耳をスルーしていってた。
あの2人仲いいとは思ったけど…
考えてみれば、アヤカ先生の私に対する態度にヤキモチやいてたようにも思えるな…
ヤッスーのギロリとした目を思い出し、ブルブルと震えた。
46
:
ラッキー
:2003/03/23(日) 01:16
「りっかちゃーん」
廊下から間延びした声がして、梨華ちゃんがドアの方を見る。
「あ、ごっちーん!」
梨華ちゃんはその子のところまで行き、立ち話をはじめた。
すごくキレイな子だな…アダ名みたいので呼んでたから、先輩ではないんだろうけど。
2人の間に流れる空気がイイ感じに見える。
梨華ちゃんの態度もアタシたちと一緒にいるときと、何か微妙に違う。
…何だか、ムカムカしてきた…ヘンなもん食べたっけ?
話しの流れなのか、その子が梨華ちゃんの髪を撫でた。
そのとき、梨華ちゃんが一瞬ハッとした表情になって、恥ずかしそうに顔を赤らめた。
…もしかして、梨華ちゃん、あの子のこと好きなのかな…
「ね、ね、あの、今、梨華ちゃんとしゃべってる人って何て人?」
柴ちゃんにこっそり聞いてみた。
「あー、後藤さんだよ。確か4組だったかなあ。
1年のときに梨華ちゃん、同じクラスで仲良かったみたい」
「ふーん」
後藤さんか…キレイなだけじゃなくって何かすごいオーラがあるよなあ。
「もしかして、よっすぃー、後藤さんみたいな人がタイプなの!?」
「へっ!?」
タイプって…やっぱり、女の子同士の恋愛って普通なのね、ココでは。
「後藤さんかあ、でも、あの人、めちゃめちゃモテるから、ライバル多いよー。
っていうか、よっすぃーももうすでにモテモテだから、うまくいったらゴールデンカップルだね」
…ゴールデンカップルって、なんか古い言いまわしだな、おい。
「違うよー、別にタイプとかじゃなくって、キレイな人だなーと思って。
もしかして梨華ちゃんと付き合ってたりするのかなあって」
「それはないない!梨華ちゃん、今フリーだし。
でも梨華ちゃんもすごくモテるんだよー、男女問わずね。私、いろんな人から紹介頼まれるもん」
「…へー、そうなんだ」
…そうだよな、あんなかわいかったら、モテて当然だよな。
でも、梨華ちゃん、今、フリーなんだ…
ふーん…
付き合ってる人いないのか…
ふーん…
「ねー、あさみー、後藤さんって、付き合ってる人いるのかな?」
柴ちゃんはまだ、勘違いしてるらしく、あさみに聞いた。
あさみは新聞部で、校内ではかなりの情報通であるらしい。
「うーん、噂はいくつかあるけど、確定では聞かないねえ」
はっきりいって後藤さん自身のことはどうでもいいんだけど…
「あ、梨華ちゃん!よっすぃーに後藤さんのこと、紹介してあげてよ!」
いつのまにか戻ってきていた梨華ちゃんに、柴ちゃんが声をかけていた。
梨華ちゃんの表情に一瞬戸惑いがみえた。
「い、いいよ!紹介なんてしなくて!別にそういう意味じゃないから!」
「えー、興味あるみたいだったじゃん。紹介するくらい大丈夫だよね?」
柴ちゃん、姉御肌もいいけど、構いすぎです…
「あ、うん、もちろん」
梨華ちゃんはニコッとしたが、ぎこちないものだった。
やっぱり、さっきアタシが思ったこと、当たってるのかもしれない。
梨華ちゃん、フリーでも好きな人はいるってことか…
47
:
ラッキー
:2003/03/23(日) 01:17
その週の土曜日の放課後、トイレで梨華ちゃんがリップを塗ったり、
髪を整えたり、香水をつけたりしていた。
たまたま、そこに出くわしてしまったので、声をかけた。
「梨華ちゃん、もしかしてこれからデート?」
「ウフフフ、違うよー、ごっちんと映画見に行くの」
『違う』っていうわりには、顔は超笑顔で。
だいたい、そんなおめかししちゃってさ。
なんなんだよ…ごっちん、ごっちんって。
梨華ちゃんと2人で下駄箱まで行くと、すでに後藤さんが待っていた。
「梨華ちゃん、遅いよお〜」
「ごめんね〜」
梨華ちゃんがすばやく靴に履きかえる。
「じゃ、よっすぃー、バイバイ!」
アタシに手を振って、後藤さんの元に駆け寄ると、腕を絡ませた。
2人はアタシの存在なんかないかのように、行ってしまう。
なんなんだよ…
アタシは変に意識してると思われるのもイヤだから、
そのまま、50メートルほど距離をおいて2人の後ろを歩いた。
なんなんだよ…
2人ともニコニコしちゃってさー。
あ、後藤さんが梨華ちゃんの頭を小突いた。
きっと、何か寒いことでも言ったんだろうな。
制服どうしだから、仲のいい友達に見えるけど、
行為としては、普通のカップルじゃんかよお。
アタシはそのまま2人のあとをつけていきたいぐらいだったけど、
その気持ちを押さえて病院に向かった。
あー、今頃、電車が揺れてさ、『きゃっ』とか言って抱きついたりしてんじゃないの?
映画見ながらポップコーンとか食べちゃってんじゃないの?
梨華ちゃんが感動する場面でグズグズ泣いてさ、
後藤さんが手握ってあげたりさ、ハンカチかしてあげたりして…
アタシは病院にいる間も家に帰ってからも、バカみたいにずっと2人の行動を妄想していた。
それにしても、やっぱり、梨華ちゃんは、後藤さんが好きなんだろうな…
ホントうれしそうだったもん…
柴ちゃんの言うところのゴールデンカップルだね。
うん、すごくお似合いだよ。よかったね、オメデトウ…
なんかよくわかんないんだけど、鼻の奥がツンとした気がした。
48
:
ラッキー
:2003/03/23(日) 01:18
その2日後にパッチテストの結果が出た。
アタシは何のアレルギーもないことが判明した。
なぜだろう?あのじんましんは何で起こってるんだろう?
しかし、その前の数日間を考えてみても、
じんましんを起こしたのは、梨華ちゃんに対してだけだった。
今のアタシって、女性アレルギーというより、
梨華ちゃんアレルギーなんじゃないかなって思うほど。
じんましんを起こしたくないし、後藤さんとのこともあってか、
それ以来、何となく梨華ちゃんと距離を置くようになってしまった。
休み時間は席を立って、柴ちゃんの方に行ったりしてたし、
極力梨華ちゃんと2人にならないようにしていた。
あと、パッチテストの結果で安心したせいもあったのか、
じんましんを起こすこともないどころか、
少なくとも梨華ちゃん以外の人とは全く普通に接することができるようになっていた。
でも、本当のところは、梨華ちゃんのことが気になって気になってしょうがなかった。
なんかほっておけないような気がして…実はいつもこっそりと盗み見ていた。
別にアタシが心配したところで、どうってことないんだけど。
そんなんだから、目が合っちゃうこともあったけど、そのときはすぐそらしてたし。
49
:
ラッキー
:2003/03/23(日) 01:23
更新しました。
>YUNAさん
ありがとうございます。
普段のよしこのケメコに対する態度からするとそうかなと(W
>37さん
どうもですぅ。
今回、吉はヘタレキャラで(W
>38さん
ありがとございます。がんがりまっす!!
50
:
名無しひょうたん島
:2003/03/23(日) 22:01
おぉ!!ラッキーさんハッケソ!!
めちゃ楽しみです!!がんばってください、
51
:
ラッキー
:2003/03/23(日) 22:04
「よっすぃー、ちょっといい?」
そんな風になって1週間くらいたったときだろうか、
アタシは柴ちゃんに呼ばれて、屋上まで連れていかれた。
屋上のこの場所は、入り口から離れてて、他の場所からは死角になるところだった。
だから秘密の話しをするときとか、イヤなことがあったときに来るんだって
転校初日に梨華ちゃんに教えてもらったところだ。
「あのさー、よっすぃー、後藤さんのこと、結構本気で好きだったりする?」
「はあ!?」
柴ちゃんが困ったように頭をポリポリとかいていた。
「えっとね、最近よっすぃー、梨華ちゃんに冷たくない?」
うん、確かに。
冷たいっつーか思いっきり避けてますが、何か?
「梨華ちゃん、そういうのすっごく気にするのよ。
自分が何かよっすぃーに悪いことしたんじゃないかって」
いや、梨華ちゃんは何も悪くないよ、アタシが一方的に悪い。
「で、何か思い当たることあるの?って聞いたら、
梨華ちゃんが後藤さんと2人で出かけたあとからだっていうから、
原因はそれだろうなって思って。
ほら、よっすぃー、後藤さんのこと気になってたみたいじゃない?
それで、梨華ちゃんにヤキモチかなあって」
原因は半分は当たってるけどさ…
「そんなことないよ、別に後藤さんのこと、そんな風に思ってないし」
「ホント?じゃ、梨華ちゃんとも、今まで通り仲良くしてくれるよね?」
「あ…うん」
「あー、よかったぁ!
ここんとこさ、梨華ちゃん、ホントに悩んでて毎日グチこぼされてたんだよねえ」
梨華ちゃん、後藤さんのことがあるもんな、
もし、アタシが本気で後藤さんのことが好きだったら、
ライバルっていうかジャマモノになっちゃうしね。
でも、どうやら柴ちゃんも梨華ちゃんの気持ちは知らないっぽいなあ。
しっかし今更、仲良くなんてできっこないよ。
またじんましん出ちゃうかもしれないし。
これから梨華ちゃんとどういう風に接したらいいんだろ?
うむむむ、とりあえず、保田先生にでも相談するか…
そういえば、パッチテストの結果もまだちゃんと報告してなかったしな。
結局その日はそのあとも、梨華ちゃんとはまともに会話もできずに授業は終わった。
柴ちゃん、心配してくれたのに、ごめんね…
52
:
ラッキー
:2003/03/23(日) 22:05
放課後、職員室に行ってみたけど、ヤッスーは見当たらなかった。
うーん、もしかして化学準備室かなあ?
化学準備室に行くと電気がついているようだった。
コンコン。
先生はいるはずだけど、一応ノックをすると、少し間があって保田先生の声がした。
「…はい」
「すみません、吉澤です」
「あ、ちょ、ちょっと、待って。今、ドア開けるから」
ドアが開くと、中にはアヤカ先生もいて、イスに座っていた。
「ハーイ」
笑顔で手を振られる。
あれ?口紅の跡かな?
保田先生の近くを通ったとき、白衣の胸元にかすかにベージュの色がついてるのに気付いた。
自分のつけちゃったのかな?…でも今日の保田先生の口紅の色はピンク系。
もしかして…アヤカ先生の口紅は…ベージュだ。
…やっぱり、この人たち、付き合ってるんだ…
あー、2人がイチャイチャしてるとこ、ジャマしちゃったんだな、すんません。
「あ、アヤカ先生、この前はすみませんでした。やっぱり噂になっちゃったみたいで」
「アハハハー、吉澤さんが悪いんじゃないわよ。
ちゃんと加護さんと辻さんも叱っておいたし」
アヤカ先生は私よりも周りからいろいろ言われたに違いない。
上の先生から『生徒と何やってるんだ?』みたいに怒られてたって話しも聞いたし。
ホント悪いことしたなあ、私のためにしてくれたことなのに。
でも気にしていないという態度をとってくれて安心した。
ん?…ふと、保田先生のギラギラした視線に気付いた。
うわっ、きっとジェラシーだ。やばい、話題そらしておこうっと。
「あ、あの、保田先生、パッチテスト受けてきたんですけど…」
結果としては何のアレルギーもなかったことを説明した。
「そうなの?じゃあ、吉澤のじんましんの原因は何なのかしらねえ?」
「さあ、さっぱりわかんないです…あ、平家先生にもよろしくお伝え下さい」
何となく居心地が悪くて、アタシは頭を下げて、急いで化学準備室を出た。
梨華ちゃんのこと相談するのははまた今度、保田先生だけのときにしよう…
アタシは化学準備室からの廊下を1人歩いていた。
放課後だし、この辺は特別教室が多いせいか、人気は全然ない。
あー、もしかして、今頃、さっきの続きとかいって、
保田先生とアヤカ先生、エッチとかしちゃってるんだろうか。
…うわっ、ヤメヤメ!
アヤカ先生のそういう場面は、じんましん起こしそうで想像したくない。
保田先生のは違った意味で想像したくない。
53
:
ラッキー
:2003/03/23(日) 22:07
「…あ…んん…」
えっ!?ナニ?
悩ましい声が、音楽室の方から聞こえてきた。
ま、まさか、他にも誰かエッチとかしちゃってるワケ!?
保田先生とアヤカ先生の声がここから聞こえるとは思えないし。
…廊下には誰もいない…
…ちょっとくらい見てもいいよね。
ほ、ほら、もしかしたら強姦とかかもしれないし、
そしたら助けてあげなきゃいけないしさ。
アタシはそっと音楽室のドアを小さく開けた。
ピアノに寄りかかっているのは髪の長い女の子。
その子の上に覆い被さるようにキスをしているのは、髪の短い色白の子。
2人とも制服姿―つまり生徒同士、女同士ってことじゃん!
うわあ、ホントにこういうことやってんだ…
髪の長い子のブレザーが脱がされ、ネクタイも外された。
そしてブラウスのボタンも外されはじめた。
そのとき、髪の長い子の顔がはっきり見えた。
…あ、後藤さん…
梨華ちゃんが好意を寄せているだろう彼女に間違いなかった。
相手の女の人は見覚えのない人だ。
2人の行為がどんどん先へ進み、声も大きくなってきた。
さすがに、コレ以上は見てらんないよ。
アタシはそのままその場を去った。
後藤さん、付き合ってる人いるんじゃん。
でも噂もいくつかあるってあさみが言ってたし、
単なる遊び人で、いろんな人とああいうことしてたりして。
うーん、梨華ちゃんが、後藤さんをホントに好きだとしたら、
後藤さんとああいうことしたいってことだよね…
いや、実はもうしちゃってるのかもしれないよね…
さっきの後藤さんの相手を梨華ちゃんだと想像してしまう。
い、いや、梨華ちゃん、ダメだよ、そんなことしちゃ…
アタシはブンブンと頭を振る。
ん、んなのいいじゃん、別に梨華ちゃんが誰と何しようが…
ちょっと触れられてじんましんがでちゃうアタシには関係ないことだよね。
54
:
ラッキー
:2003/03/23(日) 22:09
その翌日。
昼休みにいつものようにお弁当を食べ終わったあと、
みんなでおしゃべりしていると、あさみの携帯が鳴った。
メールのようで画面を見ている。
「おーっ!すごーい!」
「何?どうしたの?」
柴ちゃんが覗き込んでいる。
「『3−3のIさんと2−4のGさん、放課後の音楽室でエ○チ!!』だってー」
あさみには、そういった情報がみんなより一足先に入ってくる。
まずは新聞部内で情報共有してから、みんなに流すかどうか決めるみたい。
新聞部では、こういった校内のスキャンダル系の話題を、
メール登録してる人に有料でニュース配信しているようだ。
結構いいお金になってるらしい、学校側にはヒミツでやってるみたいだけど。
みんなも画面を覗き込んだので、アタシも見てみた。
あ、コレ、昨日の…
アタシが見たときよりも後みたいだけど…
他にも覗いた人、いたんだ。
そういえば、ドア少しだけだけど開けたままにしちゃったかも…
一応加工してあって、2人の顔はわからなくなっているけど、
下になっている子はブラウスがはだけているし、明らかにエッチをしている様子だ。
「これって、市井先輩と後藤さんじゃないの?すごいねー」
里ちゃんがその記事に感心したようにつぶやいた。
あの人、市井さんっていうんだ。3年生なんだね。
あっ!…梨華ちゃん…
梨華ちゃんを見ると、何かこらえるように下唇をギュッとかんでうつむいていた。
もし、本当に後藤さんのこと好きなら、
こんなカタチで失恋を決定づけられるなんてザンコクだ。
「梨華ちゃーん、後藤さんって市井先輩とつきあってるの?」
あさみが聞くと、梨華ちゃんはハッとしたように顔をあげた。
「…ごめん、詳しく聞いてないんだ…あ、ちょっとトイレいってくるね…」
梨華ちゃんが静かに立ちあがり、教室を出ていく。
…どうしよう?
追いかけるべきかな?でも追いかけてどうすんの?
うっとうしがられるだけだよ、きっと。
…でも、やっぱり、ほっておけないよ!
「あ、アタシもトイレ行ってくるね!」
教室の近くのトイレを何か所か覗いたけど、いなかった。
梨華ちゃん、どこなんだよお…
…あっ!そういえば!
昨日も柴ちゃんに連れて行かれた、屋上の端っこに向かった。
55
:
ラッキー
:2003/03/23(日) 22:10
―いた。
その場所に行くと、梨華ちゃんが手すりに手をかけて、下の方を眺めていた。
すごくはかなげな背中だった。
「…梨華ちゃん」
つぶやくと、梨華ちゃんはビクッとして、涙をぬぐうようにしてから振り向いた。
「…よっすぃー、どうしたの?」
梨華ちゃんの笑顔があまりに弱々しい。
アタシはゆっくり梨華ちゃんに近づいた。
「…泣いてたの?」
梨華ちゃんは、一瞬こらえる顔をしたけど、また涙が出てきてしまう。
あ、ご、ごめん、余計なこと言った…ど、どうしよ…
アタシが困って立ち尽くしていると、梨華ちゃんが胸に飛び込んできた。
「!!」
――――――
しばらく頭が真っ白だった。
少ししてからいろんな意味でコーフンしてきた。
もちろん、ひとつは梨華ちゃんがこんなに側にいるっていう興奮なんだけど…
でも、それと同時に怒りもこみあげてきてた。
…ちっくしょー、梨華ちゃんのことこんなに悲しませやがって!
アタシが、アタシが、梨華ちゃんのこと、守る!支えてあげる!
自然とアタシの腕が梨華ちゃんの背中に回って力をこめていた。
それにしても、梨華ちゃんは全然泣き止む気配がない。
こんなに、こんなに、か弱い子をなんで泣かせるヤツがいるかなあ?
アタシは右手で梨華ちゃんの髪をやさしく撫でた。
「…泣かないで…」
ずっとアタシが側にいてあげるから。
もっともっと甘えていいんだよ?
全身にじんましんがでているのはわかってたけど、
梨華ちゃんを抱きしめる手、髪を撫でる手を休めたくない、
だから掻くのをガマンできてた。
しばらくそうしていると、チャイムが聞こえてきた。
梨華ちゃんはゆっくりと、体を離す。
「ごめん、もう戻らなきゃね…」
梨華ちゃんは涙を拭うと、恥ずかしそうに微笑んで上目遣いでアタシを見た。
…カワイイ…
アタシの心臓はさっきからずっと激しく動いてる。
もう、今の微笑みで心臓が止まるかと思ったくらいだった。
56
:
ラッキー
:2003/03/23(日) 22:10
次の授業中も、さっきの梨華ちゃんの感触がずっと体にこびりついてて、
アタシはずっとドキドキしっぱなしだった。
しかもすぐ隣りにはその本人がいる…
アタシはつい無意識に梨華ちゃんのことを見つめてしまっていた。
で、梨華ちゃんに気付かれ、ニコッと微笑まれ、視線をそらすこと、5回。
さすがに6回目のとき、梨華ちゃんは、ノートの端に書いたメモを渡してきた。
『もう大丈夫だから。そんなに心配しないで』
泣いてた梨華ちゃんのことが心配でしょうがなくて、アタシが気にかけてると思ったんだね。
ごめん、梨華ちゃん、ちょっと違うんだよ。
『うん。元気出してね』
一応、そんなメモを返してみた。
梨華ちゃんはメモを見てから、アタシの顔を見て、ニッコリ微笑んで大きく頷いた。
あー、カワイイよお…
アタシのドキドキは、結局放課後、梨華ちゃんの姿を見なくなるまで続いていた。
はあ、梨華ちゃん…
家に帰ってからアタシはベッドに横になり、今日のことを考えていた。
自分の両手のひらをマジマジと眺める。
この手で、梨華ちゃんのこと抱きしめたんだよな…
布団をギュッと抱きしめてみる。
梨華ちゃん、細かったな…でも柔らかかった…
髪キレイだった、いいニオイだった…
その感触を思い出しただけで、じんましんが出てきた。
かゆくてかゆくてしょうがなかったけど、
アタシの頭の中は梨華ちゃんのことでいっぱいになってた、他のことが考えられないくらい。
57
:
ラッキー
:2003/03/23(日) 22:16
更新です。
よっすぃーのセリフは「泣くなよお」にしたいくらいでしたが、
もうコレ書いたあとだったんです(W
>50さん
ハケーンしていただいて、ありがとうございます。
がんがりやす!
58
:
名無しひょうたん島
:2003/03/24(月) 17:21
いや〜いいアレルギーですな(w
柴っちゃんのいう、ゴールデンカッポー(wに、
いしよしがなるのを、固唾を飲んで楽しみにしています。
59
:
名無しひょうたん島
:2003/03/24(月) 22:49
いしよしに期待!
60
:
ラッキー
:2003/03/28(金) 01:06
あの屋上での一件があってから、アタシも本気で心配でしょうがなくなって、
梨華ちゃんと距離を置くのはやめて、むしろなるべく側にいるようにしていた。
梨華ちゃんの方も、あのとき以来、心を許してくれたみたいで、
柴ちゃんとか他の子にやっているようなスキンシップを、
アタシに対してもしてくるようになったのだ。
一緒に歩いているときに、腕を組んだり、手を繋いできたり、
ふとしたときにギュッと抱きついてきたり…
もちろん、それはうれしい。
その度にアタシは満ち足りた気分になったりする。
でも、もれなく、じんましんもついてくる…
何とかならないのかなあ、コレ、マジで。
「ね、よっすぃー、今日って暇?」
ある日の休み時間に梨華ちゃんに聞かれた。
アタシはこの学校では、部活をやってなかった。
1年のときに下積みもしてないのに、いきなり2年で先輩面とかしたくない。
後輩や同級生に対しても申し訳ないし、アタシ自身もそんな気遣いしたくなかった。
だから放課後といえば、図書室に行って本読んだり、勉強したり。
部活のない子とお茶しに行ったり、
梨華ちゃん、柴ちゃんが部活がない日は3人で遊んだりもしてる。
あとはマジメに家の手伝いとかしちゃったりしてるくらい。
「うん、別に予定はないよ」
「よかったー、ほら、柴ちゃん、お休みでしょ?」
そうだ、今日は柴ちゃんは風邪をひいて、休んでいる。
朝にお見舞いメールを送ったら、すぐに返事が来た。
そんなにひどいワケではないみたいで、安心はしてたんだけど。
「今日、柴ちゃんとね、絵を見に行く約束してたの」
「絵?」
「うん、実は私の親戚のお姉ちゃん、イラストレーターでね、
今、個展をやってるんだけど、実は今日までなの。
お姉ちゃんにチケット2枚もらってるし、
よかったらよっすぃー一緒に行ってくれないかなって」
…えっと、今、『チケット2枚』って言ってたよね…
つまり、その、あの、2人っきりでってことだよね…
「…あ、絵とか興味ない?そ、それならいいよ、別の人誘うから…」
「い、い、い、いや、行きます!絵見るの好きだしっ!」
『梨華ちゃん見るのも好きだし』って言いそうにまでなった。
アタシの沈黙を拒否だと思って眉を八の字にしていた梨華ちゃん、
胸の辺りで手を組んで、すっごく笑顔になった。
「よかったぁ!お姉ちゃんの絵、すっごくいいんだよー。
今日、最後だから本人もいるし、紹介するね」
「う、うん!た、楽すぃみ〜♪」
梨華ちゃんと2人で出かけるのは初めてだ…
な、何か緊張してきた…
べ、別に何するってワケじゃないんだから…
絵、見に行って、たぶん、いつもみたくお茶でもするくらいだろうから。
大丈夫、大丈夫…
61
:
ラッキー
:2003/03/28(金) 01:07
放課後、その個展が開かれてるというデパートに向かった。
途中、電車の中で、梨華ちゃんがチケットを渡してくれた。
そのチケットに描かれている絵はどこかで見たことあるものだった。
聞くと、あるショップのポスターや、情報誌のコラムのイラストも手がけてるらしい。
「へぇ、すごい人が親戚なんだね」
「うん、でも、あんまり人に言うと自慢してるみたいでしょ。
だから、学校では柴ちゃんにしか話ししたことなかったの」
えへへ、何かうれしかった。
柴ちゃんの次とはいえ、アタシにも秘密を共有してくれたことが。
最終日というだけあってなのか、ちょっと混んでいた。
さすがに制服着てるのはアタシたちだけだったけど、
若い女のお客さんがほとんどだった。
正直いうと、アタシはこの人の絵はあまりスキじゃない。
派手な色使いというか、確かにハッとするほど、すごい力を持った絵だと思う。
アタシはもっと繊細な、見ただけで優しい気持ちになれるような絵が好きだったりする。
でも、この展覧会を見ていて、驚いたことに、この人はそういう対照的な絵も描いていた。
一枚の冬の北海道の風景画―――
アタシは札幌でのことを思い出して、少しウルッときてしまったくらいだ。
訂正、この人の描く絵、結構スキかも。
62
:
ラッキー
:2003/03/28(金) 01:08
「ねー、この絵、なんか、よっすぃーに似てない?」
梨華ちゃんが、その風景画の隣りの絵を指差した。
…あれ?…
スッと背筋を伸ばして立っている女の子の絵。
髪はかなり短いショート、ちょっとアゴを上げて冷めたカンジでどこかを見ている。
胸にワンポイントの入った黒いTシャツ、下はダボッとしたカーキ色のパンツ。
手には学校に行く用らしいカバンがあり、ソレで小学生だとわかる。
…っていうか、コレ、アタシだよ…
そのカバンも、着ている服も、アタシが小学生のときのお気に入りのものだった。
その絵のタイトルは『大人になりたい』
確かに、アタシはこのとき早く大人になりたくてしょうがなかったと思う。
子供扱いされるのが、すごくイヤで。
今は自分が子供だってちゃんと認めてるから、
その分、逆にちょっと大人になったのかなって。
「あ、この絵のモデルも同じ子だね」
「へっ?……!!」
隣りの絵を見ると、同じ顔の子が横になって寝ているものだった…それも、裸で。
その絵で、確信してしまった。
梨華ちゃんの親戚って…この絵を描いた人って…
63
:
ラッキー
:2003/03/28(金) 01:08
「あー、梨華ちゃん、来てくれたんだあ」
「圭織姉ちゃん!」
そうだ、名前すら忘れてたけど、あのお姉さんの名前は―飯田圭織さんだった。
アタシは、ゆっくり彼女の顔を見た。
…間違いなかった。
彼女もアタシの顔を見て、一瞬驚いたけど、すぐにニッコリ微笑んだ。
「ひとみちゃん、久しぶりだね。また会えてうれしいよ」
「え?え?よっすぃーと圭織姉ちゃん、知り合いなの?」
梨華ちゃんが驚いて、アタシたちの顔を交互に見ている。
「知り合いも何も――」
飯田さんは、アタシを描いた絵を指差した。
「あのときは、どうもありがとう」
アタシは何も言えずに固まったままだ。
飯田さんの手が伸びてきて、アタシの頬を触る。
「また、モデルやってほしいな」
アタシは無意識に思いっきりその手を払った。
「誰のせいで、女性アレルギーになったと思ってんだよっ!!」
「えっ?」
飯田さんよりも、梨華ちゃんのキョトンとした顔が目に入った。
ヤバイ!つい、言っちゃったよ…
「…ごめんなさい」
アタシは2人の顔も見ずに、そのままその場を去った。
64
:
ラッキー
:2003/03/28(金) 01:09
なんで、なんで、こんなとこで会うかなあ。
しかも梨華ちゃんの親戚だなんて…
あー、梨華ちゃんにバレちゃったよ、アタシのアレルギー。
あははは…
もう笑うしかないな…
梨華ちゃんに完全に嫌われたな…
親戚の前であんな態度とって、しかも女性アレルギーのヤツなんかイヤに決まってる。
しかし、あの絵…
あの絵じたいはすごくいいものだった。
アタシのスキなタッチだったし。
あのとき、裸にされて、絵を描かれてたのか…
しかも、普段の服着てるところの絵も描いてたなんて…
全くどういうことなんだよお…
アタシはそのデパートの入り口の壁に寄りかかって、ため息をついた。
ふと目に入る『飯田圭織個展』のポスター。
下の方に小さく飯田さんの顔写真が出ている。
なんで、先に気付かなかったかなあ…
…ん?
今気付いたけど、あの人にほっぺを触られてもじんましんが起きなかったような…
ただただ嫌悪感が体中に走っただけだった気がする。
そもそもの原因のヒトなのに、なんでだろう?
さっき、電車で梨華ちゃんが、ちょっと寄りかかってきただけでも、
じんましんが出たから、アタシのアレルギーが治ったわけじゃないのに。
65
:
ラッキー
:2003/03/28(金) 01:09
「よっすぃー!」
しばらく、その場でボーッとしていたせいか、梨華ちゃんが出てきてしまった。
「もう、メールしたのに返事ないから、どうしたのかと思っちゃったよ」
「あ、ご、ごめん」
携帯はカバンのポケットに入れてたけど、全然気付かなかった。
慌ててメールを開くと、
『何かイヤな気分にさせちゃったみたいでごめんね。
今、どこにいるの?よかったら、お茶でもしていかない?』
「…ごめん、アタシが悪いんだよ。梨華ちゃんは何にも悪くないよ」
梨華ちゃんは、安心したように微笑んだ。
「じゃ、お茶しにいこう」
近くのスタバに入って、席に座った。
「…圭織姉ちゃんに少し話し聞いた。
圭織姉ちゃんが大学のとき、1人暮しで、よっすぃーの小学校の近くに住んでたんでしょ?」
アタシはコクンと頷いた。
「あのね、圭織姉ちゃん、よっすぃーとゆっくり話ししたいって。
あのときのお礼とお詫びがちゃんとしたいって言ってた」
「…いいよ、そんなの…」
「そんなこと言わないで!圭織姉ちゃんに会ってほしい。
2人が気まずい関係なのって私もイヤだし。
私も一緒に会うから…ダメ?」
梨華ちゃんが、小首をかしげてアタシの顔をのぞきこんできた。
…くぅ…アタシの頭の中は混乱してたけど、
梨華ちゃんのこういう態度は素直にカワイイと思えてしまう。
しかも、こういうのにアタシはすごく弱い。
たぶん、ちょっと顔が緩んでしまっていると思う。
「圭織姉ちゃんね、個展が終わったら、ちょっと暇になるんだって。
だから、近いうちならいつでもいいよって。
よっすぃーの空いてるときでいいから、私、部活休んでもいいし」
必死にうるんだ目で梨華ちゃんが訴えてくる。
本当のところはあの人に会いたくはないけど、梨華ちゃんがついてくるなら、
行ってもいいかなって気になる。
「…わかった、いいよ」
「ホント!?やったー!よかったあ!」
梨華ちゃんのうれしそうな顔を見ると、アタシもうれしくなる。
アタシって単純だな…
66
:
ラッキー
:2003/03/28(金) 01:10
「よっすぃー、土曜日の夜は大丈夫?」
そのあと、駅まで向かう道で、梨華ちゃんがメールを見ながら聞いてきた。
どうやら、さっきすぐに飯田さんにOKメールをして、予定を確認したみたい。
「あ、うん。いいよ」
「よし!じゃあ決まりね〜」
梨華ちゃんがメールを送り終わると、アタシの顔をじっと見つめた。
「ね、よっすぃー、さっき言ってた『女性アレルギー』って、どういうこと?」
「あ、あ、あ、えっと、その女の人に触れたりすると…じんましんがね…」
アタシは小さくつぶやく。
ここで変に隠した方が梨華ちゃんに不信感を持たれそうだから、正直に答えた。
「そうなの?…そういえば、転校してきてすぐとか、ひどかったでしょ?
よっすぃー、アトピーなのかなって思ったことがあったし」
そっか、その手があったか。
これからは症状が出たらアトピーってことにしておこう。
「最近もそうなの?」
「あ、うん、だいぶよくなったけど、たまに…」
たまにっていうか、一部の人だけになっただけ…
「そっかあ…」
梨華ちゃんが何を思ったか、腕を絡ませてきた。
う、腕だけでもマズイけど、胸が当たってるんだよね…
ふと、梨華ちゃんの水着姿が浮かんでしまう。
うわわわ、余計なこと思い出すなってーの!アホ!!
「…もしかして、こういうのがダメなの?」
「え、あ、ダメというか…」
アタシは思わず首筋を隠したけど、梨華ちゃん、じんましんが出てるのに気付いたらしい。
「あ、ごめん…ホントなんだね」
梨華ちゃんがスッと体を離す。
あ、離れなくてもいいのに…
「いや、あの、こっちこそ、ごめん」
「ううん…いつからそうなったの?」
「あ、え、と…」
67
:
ラッキー
:2003/03/28(金) 01:10
アタシはポツリポツリと、飯田さんに会ったときのことから、
札幌での中学、高校1年のときの話しをした。
極力女の人と接触するのを避けてきたことを。
そして東京にきて、女子校だったおかげかだいぶましになってきたこと。
一応、アヤカ先生と噂になったときの話しも、
実はアタシに対して免疫をつけてくれようとしてたんだと正直に話した。
「ウフフフ、そうだったんだあ。アヤカ先生、キレイだもんねえ。
あんな人に迫られたら、アレルギーじゃなくても卒倒しそう」
それまで梨華ちゃんはアタシの話しを固い表情で真剣に聞いてくれていた。
アヤカ先生の話しをしたとき楽しそうにしてくれたので、
ちょっと和んで、アタシも安心した。
結局アタシたちは、駅を通りすぎて近くの公園を歩きながら話をしていた。
「しっかし、アヤカ先生が保田先生と付き合ってるって聞いて、ホントびっくりしたよ」
「アヤカ先生ね、去年、ウチの学校に来たばっかりなの。
で、どうやら、保田先生、一目ボレをしちゃったみたいで。
去年の夏休みね、新体操部のみんなで、
保田先生の実家に押しかけたことがあったんだけど…」
はい、知ってます。
また梨華ちゃんの黒ビキニが…うわわ、もういいからっ。
で、その保田先生の実家で、夜みんなでお酒を飲んだらしい。
ま、無礼講ってヤツでね。
そのときに、みんなで、保田先生の好きな人は誰なんだって問い詰めて、
酔っ払った先生はワケわかんなくなって、
自分の気持ちを正直にみんなに打ち明けちゃったらしい。
でも、そのおかげで、みんなで協力してあげて、2人はめでたく付き合うことになったみたい。
「アヤカ先生、彼氏いたのに、別れて保田先生と付き合いはじめたんだよー。
すごいと思わない?」
「へー、そうなんだ…すごいねえ、彼氏よりヤッスーかあ…」
68
:
ラッキー
:2003/03/28(金) 01:11
「…よっすぃーは、どういう人がタイプなの?」
梨華ちゃんが、アタシの顔を覗き込んできた。
あ、アタシのタイプぅ…?
「へっ?あ、ああ、優しい人かな」
人のこと自分のことみたいに心配してくれるほど優しくて、
かわいくて、守ってあげたくなるような子かな…なんてね…
「北海道で彼氏とかいたの?」
「えっ?い、いないよ!今まで付き合ったことないもん」
「そうなんだ…」
ふと、梨華ちゃんが立ち止まった。
梨華ちゃんのちょっと先に行ってしまったアタシも立ち止まって、
どうしたのかなと後ろを振り返った。
「!!」
…何?今の?
一瞬だけど、唇に柔らかい感触。
梨華ちゃんの顔が、すぐ近くあった気が…
梨華ちゃんは、ニコッとしてそのまま先を歩いていってしまう。
あ、あの、今のって…キ、キスだよね…
り、梨華ちゃんが、あ、アタシにキスしたの?
「ビックリさせちゃった?」
梨華ちゃんが振り返って、イタズラっぽく笑う。
「い、いや…」
アタシは、立ってられなくなって、ヘナヘナと芝生にしゃがみこんだ。
「ど、どうしたの?」
梨華ちゃんも慌てて、アタシの側にしゃがみこむ。
「…だ、大丈夫、だから」
「貧血?それとも疲れちゃった?」
梨華ちゃんが、アタシの体を自分の体にもたれさせる。
あ、あの、ソレされた方が、悪化しそうなんですが…
梨華ちゃんはアタシの背中や頭を撫でてくれてて、
アタシは余計体に力が入らなくなっていた。
あー、情けない…
いわゆる腰砕け状態になってしまっただけなのに。
でも、梨華ちゃんの介抱が気持ちよくって、
このままずっとこうししてくれないかななんて思ってた。
「あっ、ごめん!こんなことしちゃったらダメだよね」
顔にまでじんましんが出てきたのに気付いた梨華ちゃんが慌てて体を離した。
アタシは、体に力が入ってなかったから、そのまま芝生に横になった。
「…ごめん、大丈夫だよ、ゼンゼン」
「でも…」
心配そうにアタシのことを見て、でも触ることはできない、
梨華ちゃんがどうしていいのかわからずに困っているのがわかった。
あー、マジでこのじんましん、どうにかなんないのかなあ。
69
:
ラッキー
:2003/03/28(金) 01:12
ホント、どうしたらいいんだろ?
こればっかりは、親でも保田先生でもどうしようもないし。
この前のパッチテストのときは、先生が女の人だった。
アレルギーないって結果出ちゃったし、
しかもちょっとキレイだったから、どうもじんましんのこと言い出せなかった。
でも、やっぱり、こういうのってお医者さんとかじゃないと解決できないよねえ…
あ、そうだ!平家先生に相談してみたらいいのかも!
優しい人みたいだし、パッチテストのお礼も直接言えるし。
うん、そうしよう、そうしよう。
その次の日の放課後、早速アタシは保健室に行った。
「失礼します」
「はいはーい」
保健室のデスクに座っていたのは、
確かに優しそうなキレイなお姉さんといったカンジの人だった。
眼鏡をかけて、何か書類に目を通していた。
「あ、あの、平家先生、相談があるんですけど」
「ん?何や?」
アタシは、ベッドルームの方に人がいないか、のぞいてみた。
「あ、今は誰もおらんよ。秘密の話しでも大丈夫やで」
「はい。あ、すみません、アタシ、2年1組の吉澤ひとみといいます」
「はいはい、平家です。よろしくな。あ、そこ座り」
イスが2つ並んでいるのを指差したので、アタシがそこに座ると、
平家先生はもう1つのイスに座った。
「2年1組っていうと、圭ちゃんのクラスか?」
「はい、そうです」
「そうか、何かキショイこととかあったら、ウチに言うたらええよ、
ビシッと叱っておいてやるから」
平家先生、笑いながらそんなことを言った。
きっと、アタシが固い表情をしてるから、和ませようとしたんだな。
うん、ホントにいい人そうだし、
アタシもアレルギー起きてもいないし、ちゃんと話しもできそう。
70
:
ラッキー
:2003/03/28(金) 01:14
「あの、この前、保田先生から、アレルギーのことで話し聞かれたかと思うんですが」
「アレルギー?…あ、あー、女性アレルギーとかいう子がおるって話しか。
もしかして、アンタかい?」
「は、はい、そうなんです…」
「へー、そうなんか。ま、世の中いろんなアレルギーあるからなあ。
さすがにウチもはじめて聞いたけど、女性ってーのは」
アタシは、平家先生にどういう経緯でアレルギーになったかを話しをした。
そして今はほとんど1人にしかじんましんが起きないこと、
昨日の偶然会ったアレルギーの原因の人にすら、起きなかったことも含めて。
「んー、1人にだけかあ。その子は何か特別な子なんかな?
他の人と比べて、何か違いはあるんか?」
うーん、その子は一番気になる子で、いつも側にいたいと思ってるだけなんですけど。
「違いっていうか――」
「しつれーしまーす」
誰か入ってきた。
「へーけせんせー、ちょっと寝ててもいい?」
「何や、具合でも悪いんか?」
「ううん、いちーちゃんが部活終わるまで、暇だから、寝てよっかなーって」
「全く、アンタは授業中も寝てるんちゃうの?」
「あはっ、ちゃんとベッドで寝たいんだもん」
アタシは、その声に聞き覚えがあったので、ふとそっちを見た。
――やっぱり、後藤さんだった。
梨華ちゃんのことを泣かせたにっくきヤツだ。
71
:
ラッキー
:2003/03/28(金) 01:14
「あー!!よっすぃーだあ!!」
…へっ?『よっすぃー』って…アタシ、後藤さんとしゃべったことないってーの。
「一度、よっすぃーとお話してみたかったんだよねー。
あははー、ごとーです。よろしくぅ」
「よ、吉澤です…」
なんだ、このヘンなテンションは…
「いっつも、梨華ちゃんが『よっすぃー、よっすぃー』って話ししててさあ、
なんか、アタシも友達の気分なんだよねえ」
梨華ちゃん、アタシのこと、話ししてくれてるんだ…えへ、うれしいかも。
「よっすぃーはー、スキな人いるの?」
「へっ?」
なんなの?突然…アンタにそんなこという権利ないじゃん!
「あー、ほら、梨華ちゃんが聞けないみたいだからー、
聞いてあげようかなって思って」
「なんや、梨華ちゃん、よっすぃーのことスキなんか?」
はあ!?何言ってんの?梨華ちゃんが好きなのはコイツなの。
つーか、いつの間にか、平家先生まで、『よっすぃー』って呼んでるし…
「うん。自分じゃ言わないんだけどねー。
もう最近、すごいんだよ、今日はよっすぃーとこんな話ししたとか、
よっすぃーがこんなギャグ言ったとか、すっごく細かく説明してくるの」
「そういうごっちんだって、自分では紗耶香の話し細かくしてるんちゃうの?」
「あはっ、バレた?」
紗耶香っていうのが、市井先輩の名前なのかな。
しかし、この後藤さんのペースについていけそうもない…
「実は1年のとき、梨華ちゃんからコクられたんだよ、アタシ。
アタシが、いちーちゃんのこと、スキなの知ってたのにね。
もちろん、梨華ちゃんは友達として大スキだったから、
それからも仲良くしてたんだよねー」
後藤さんは、市井先輩のことをしゃべりはじめた。
市井先輩は、どうやらこの学校にいた1つ年上の先輩と付き合ってたらしい。
その人が卒業してから、アメリカへ行ってしまい、別れることになったとか。
で、そのさみしさを癒してあげてるのが、後藤さん。
実はちゃんと付き合ってるのか、自分でもよくわからないらしい。
ま、エッチはしてるんだしね…
それにしても、梨華ちゃんが後藤さんにコクっていたことにはちょっとショックを受けた。
しかも、そんときにフッてたのかよ、コイツは。
なんてもったいないことをしやがるんだ。
72
:
ラッキー
:2003/03/28(金) 01:15
「梨華ちゃんにも、スキな人できないかなーって思ってたら、
ここ最近、よっすぃーの名前がよく出てくるようになって。
しかもすっごくうれしそうに話するもんだから、たぶん、好きなんだろうなーって」
…んなワケないよ。
梨華ちゃんは、まだアンタのことがスキなんだよ。
アタシ、梨華ちゃんにさんざん冷たい態度とってきたし、
昨日なんか、あんな情けない姿、見せちゃったし。
…昨日?
そういえば、なんで梨華ちゃん、いきなりキスなんかしてきたんだろ?
…ま、アタシがどれだけアレルギーなのか試したかっただけだな、きっと。
後藤さんの携帯が鳴った。
「あ、いちーちゃんの部活終わったみたい♪
じゃ、へーけせんせー、よっすぃー、またねー」
後藤さんは、保健室を出ていく。
ホント、なんなんだ、あの子は。
しゃべるだけしゃべって…アタシ、自分の名前しか言ってないよ。
梨華ちゃん、あんな子のどこがいいんだよお…
73
:
ラッキー
:2003/03/28(金) 01:15
後藤さんが、完全に出ていったのを見ると、平家先生はニヤッとアタシのことを見た。
「よっすぃー、梨華ちゃんのこと、スキやろ?」
「なっ!?」
「もしかして、さっきの話し、今だに1人だけアレルギー起きるっていうの、
梨華ちゃんのことちゃうか?」
…さすが、平家先生、みんなの悩み相談受けてるだけあるな…
「…はい、そうです」
「うん、そうやろ、そうやろ。
ソレでたぶんアレルギーの原因がわかった気いするわ」
「えっ!?な、何なんですか?」
「よっすぃー、今まで、恋したことあるか?」
…ないと思う。
小さい頃は、アタシはガキ大将みたいな子で、男の子も子分にしてたくらいだし。
あの飯田さんの件があってから、男の子は本当に友達としてしか見てなかった。
もちろん、女の子を恋愛対象になんて、考えたこともなかった。
「…ありません」
平家先生はまたニヤッと笑った。
74
:
ラッキー
:2003/03/28(金) 01:16
「答え、アンタはスケベエやな」
「…はあ!?」
平家先生が楽しそうにクックッと笑ってる。
「ど、どういうことですか?」
なんで、アタシがスケベになるの?
なんで、それが、アレルギーの原因だっていうの?
「そのお姉さんとのことがあってから、女の人、
しかもキレイな人とかカワイイ子には、ほとんど誰にでも反応してたって言ってたよな」
「…はい」
「でも、東京に来てからは、じょじょにマシになっていって、
今じゃ、梨華ちゃんにしか反応しない」
「…はい、そうです」
それがなんで、スケベなんだよお。
「要するに、女の子が大スキで、ちょっと触れただけでも興奮してしまってたってことやな」
「へっ?」
「今では、スキな子ができたから、その子にしか欲情せーへんけど、
昔は誰でもよかった、誰に対してもエッチなこと考えてたんちゃうか?」
…反論できなかった。
かつて誰に対してもエッチなこと考えてたとは思いたくないけど、
今の自分の梨華ちゃんに対する気持ちを考えると否定できない。
75
:
ラッキー
:2003/03/28(金) 01:17
「うん、アンタのじんましんは、いやらしいこと考えて、興奮すると出てくるんちゃうかな」
…確かに、そうなのかもしれない。
「…あ、あの、もし、もし、それだとしたら、どうしたら治るんでしょうか?」
「エッチなこと、考えなければええんちゃうの?」
平家先生は声を出して笑った。
「あはは、ごめん、ごめん。さすがにソレは無理やろうなあ、出家でもせえへん限りなあ。
あ、そうやそうや」
平家先生が、薬が入っている引出しから、白い錠剤を選んでもってきた。
「うーん、どうしたら治るのかは、ちょっと今すぐはわからへんけど、
とりあえず、コレ、じんましんの薬や」
食べ物でアレルギーのある人が、事前に飲んでおくとソレを食べても
じんましんを起こさないという薬らしい。
10錠入っているものを、平家先生が渡してくれた。
「ま、使わんで済むなら、むやみに使わん方がええとは思うけど」
「…はい、ありがとうございます」
「ま、他の人に対してなくなってるってことは、
完全になくなる可能性もあるかもしれへんしな」
「…そうですね…」
スケベかあ…
考えれば考えるほど、平家先生の検証は当たってると思う。
なんだか、自分が情けなかった。
部屋のベッドで横になりながら、今までのことをいろいろ思い出してみる。
あ、そうだ…
ふと、梨華ちゃんの水着写真を取り出してみる。
…いつ見てもエロイな…
やっぱり、じんましんが起きそうな感覚になったので、慌ててアルバムを閉じる。
はあ、これからどうすんだよ、アタシ…
76
:
ラッキー
:2003/03/28(金) 01:19
更新しますた。
そろそろ終盤に入ってます…
>58さん、59さん
ありがとうございます。
一応今回はいしよしありで(W
77
:
名無しひょうたん島
:2003/03/28(金) 18:35
うぉぉぉぉぉぉぉ〜〜〜〜〜〜
そろそろ山場ですね。
たのしみ〜〜〜〜。
しっかし………。みっちゃんいいこなのにね…。
78
:
YUNA
:2003/03/28(金) 19:00
更新お疲れさまですっっっ!!!
梨華ちゃんからのチュ〜に、腰が砕けた吉...
可愛い...♪♪♪
続き、期待して待っておりますっっっ♪♪♪
79
:
ラッキー
:2003/03/30(日) 14:22
そして、土曜日。
夜、飯田さんと梨華ちゃんの家で会うことになった。
アタシは放課後、家に一旦帰って、シャワーを浴びて着替えてから向かった。
梨華ちゃんのお母さんのお手製の夕食をいただく。
ちなみに梨華ちゃんもお手伝いしたらしい。
「コレ、コレ、アタシが作ったヤツ!食べて、食べて」
なんて、自分が作ったのを一生懸命アピールして、
食べさせようとする姿がかわいくって仕方ない。
「おいしいよ」
って言ってあげたら、本当にうれしそうな顔して。
こんな顔見れるんだったら、塩と砂糖間違ってても
芳香剤のニオイがついてたっておいしいって言ってあげられるよ。
飯田さんはお母さん側の親戚らしく、飯田さんが大人になって活躍していることも、
梨華ちゃんがアタシみたいな礼儀正しいキレイな友達(お母さんがそう言ってくれた)
を連れてきたことも、お母さんはすごく喜んでくれて、
食事のときは終始和やかなムードだった。
さすがに、そんなお母さんの前では、アタシと飯田さんの間にあったことなんか話はできない。
食事が終わって、お茶をいただいたあと、アタシたちは梨華ちゃんの部屋に行った。
80
:
ラッキー
:2003/03/30(日) 14:23
「ひとみちゃん、あのときはごめんね。
私も若かったから無茶なことしちゃって」
部屋に入ってすぐに、飯田さんはそう言った。
アタシは何も言えずに黙っていた。
すると、飯田さんは自分のことを語りはじめた。
仕事をするために東京に出てきたけれど、もともと北海道の人で、
札幌でもちょっと田舎の方に実家はある。
大学に進学するとき、不便だったので、1人暮らしをしていたのだ。
そのとき、自分の部屋のベランダから、よく外を眺めていた。
マンションの前を通る人たち、元気な小学生たちが通るのも見ていた。
その中の、ちょっと冷めた目で無理に大人ぶっているアタシのことがすごく気になっていた。
それで、ある日、アタシをモデルにイラストを描いた。
ソレがこの前の個展に出てた服を着ている方だ。
その絵の出来がよかったのもあって、どうしても、アタシの裸を描いてみたくなった。
子供のくせに大人ぶってて、体はちょっとだけ大人になっている子の裸を。
それで、あんなことをしたのだと言う。
もちろん、あのときの紅茶には睡眠薬を入れていた。
眠ったアタシの服を脱がせて、ベッドに運んで。
手足を縛っていたのは、ポーズをとらせるためだった。
あとはモデルがなくても大丈夫くらいに描き終えたところで、
アタシに服を着せようかと思ったのだが、全然目覚める気配がない。
自分も絵を描いて疲れたので、ちょっとシャワーを浴びたくなったらしい。
シャワーを浴びて、そのままタオルだけを巻いて、ベッドに向かった。
アタシの白い肌を見ていると、すごくキレイでつい抱きしめてみたくなってしまったと。
そこで、アタシの目が覚めたのだ。
ちなみに、彼女は、別に同性愛者でもロリコンでもないらしい。
アタシのことは、あくまで被写体、モデルとして、興味を持っただけ。
だから、いわゆるいかがわしいことは何もしてないと言ってた。
81
:
ラッキー
:2003/03/30(日) 14:23
そう、アタシはあのときのことを思い出すのもイヤで、忘れよう忘れようとしていた。
でも、今、改めて思い出してみると、アタシが目覚めたとき、
飯田さんは申し訳なさそうな顔をして、すぐに手足を縛っていた紐を解いてくれた。
手足以外の体が、例えば変なところが痛むということはなかったように思う。
そのあと、アタシはちゃんと家に帰ってるワケだし、
変に乱暴されたのではなかったんだなと思うと、飯田さんの話しも納得ができる。
飯田さんが話している間、アタシは一言も口をきかなかった。
話し終えてからも、何も言えない、いや、言いたくなかった。
理由はどうであれ、いたいけな小学生のココロを傷つけたのは事実だし、
もう7年くらいたってるけど、アタシにはトラウマでしかない。
いくら謝られても、アタシの人生を狂わされてしまったことは、
どうしようもないことなんだから。
「あれから全然ひとみちゃんに会えなかったから、話したくても話せなくて」
そう、アタシは、あのことがあってから、彼女のマンションの前は通らないようにしてたのだ。
黙りこくっているアタシに、さすがに飯田さんもどうしようもないと思ったらしい。
「ごめんね、今日はもう帰るけど…
とにかく、私の話しを聞いてもらえてよかった。ありがとう」
そう言って、飯田さんは部屋を出ていった。
…飯田さんの話しはよくわかった。
たぶん、ウソはついてないと思う。
でも、だからといって、どうしたらいいのか、わかんない。
『もう、気にしてませんよ』なんて言えるほど大人でもない。
お子ちゃまのアタシには黙って話しを聞くことが精一杯だった。
ちなみに、梨華ちゃんも、ずっと黙っていた。
アタシの気持ちもわかる、飯田さんの気持ちもわかる、
梨華ちゃんもどうしていいのかわかんなかったんだと思う。
82
:
ラッキー
:2003/03/30(日) 14:24
「…梨華ちゃん」
「ん?」
梨華ちゃんは、アタシの顔を心配そうに見た。
よくわかんないんだけど、何だかすごーく甘えたくなってしまった。
「…抱きしめても、いい?」
梨華ちゃんは、一瞬キョトンとしたけど、
すぐに体育座りをしているアタシの脚の間に入ってきた。
そして背中に腕を回してくれた。
アタシも梨華ちゃんの背中に腕を回す。
梨華ちゃんの女の子っぽいニオイがアタシの鼻をくすぐる。
…出てくるじんましんなんか、気にしないんだ。
でも、すぐに、梨華ちゃんを呼ぶお母さんの声がして、
梨華ちゃんは部屋を出ていってしまった。
83
:
ラッキー
:2003/03/30(日) 14:24
はあ…梨華ちゃん…
もっと、抱きしめてたかったのにな…
首筋をボリボリ掻きながら、部屋の中を見まわしてみる。
さっきまで、全然余裕がなかったからちゃんと見てなかったけど、
改めてちゃんと見てみると、女の子って感じで、カワイイ部屋だ。
ピンクのものばっかりだし、ぬいぐるみもたくさんある。
ベッドカバーもシーツも全部ピンクだ。
梨華ちゃん、ここで毎日寝てんだよな…
アタシは無意識に枕に顔をうずめてた。
はあ…梨華ちゃんのニオイだあ…この枕欲しい…
ん?アタシのやってることって、かなりヘンタイっぽいな。
顔をあげると、ベッドのサイドテーブルの上に置いてある2つの写真立てが目に付いた。
大きめの写真立てには、新体操部の子たちと撮った写真や、
1年のときのクラスメートらしき子たちとのものが数枚入ってた。
えへへ、どれも梨華ちゃん、かわいー…
あっ!…その横に小さめの写真立てには、後藤さんとのツーショット写真が入っていた。
2人で頬をくっつけあってる超アップの写真。
ちっくしょー、やっぱ、まだ好きなんじゃんかよお、こんな写真、部屋に飾るなんてさ。
…しかし、この梨華ちゃん、かわいいよお…
やっぱ、好きな人と写ってるからなのかな、すごくイイ顔してるしさ…
アタシは、ふと、その写真立てを手に取った。
すると、後ろのフタがキチンと閉まっていなかったようで、
フタと写真が床に落ちてしまった。
あららら…
アレ?
落ちた写真はその後藤さんとの写真だけじゃなくて、もう1枚あった。
まるで後ろに隠して入れていたみたく。
それを拾って戻そうとして驚いた。
…へっ?…な、なんで?
…ソレは、アタシの写真だった。
しかも全然撮られた覚えのないジャージ姿。
なんだ、コレ?こんな写真、何で梨華ちゃんが持ってるの?
体育の授業中のだから、梨華ちゃんが自分のカメラで撮ったはずはないし。
…そういえば、あさみに後藤さんの写真あるよって言われたことある。
新聞部では、学校の人気者の写真も売っているらしい。
そうだ、普通にカメラを向けて撮った写真より、隠し撮りの方が高く売れるって言ってた。
素の表情が出ててすごくいいのだと。
アタシも、そんなターゲットにされてたなんて…
…しかも、梨華ちゃん、コレ買ったの???
84
:
ラッキー
:2003/03/30(日) 14:25
戻ってきた梨華ちゃんが、突然、部屋のドアを開けた。
思わず、アタシはその写真を落としてしまう。
梨華ちゃんの視線が自然とソコにいく。
「…あ…」
「あ、あ、あの…ゴメン…お、落としちゃって…」
梨華ちゃんは、顔を真っ赤にして、慌ててその写真と写真立てを元の場所に戻した。
…こういうときはどうしたらいいんだよお…
『アタシのこと好きなのー?』とか『この写真、いくらだったの?』とか
『もっといいのありますぜ、ダンナ』とか言ったらいいのかな…
なんか、なんか言わなきゃと思ったときに、
ふと、梨華ちゃんが持ってきたであろう、平べったい四角い包みが目に付いた。
「り、梨華ちゃん、こ、これ、何?」
アタシが指差してるものが、ソレだと気付いた梨華ちゃんは、
安心したように、その包みを開けた。
「…圭織姉ちゃんが、よっすぃーにって置いていったらしいの」
その中には、あの展覧会で飾られていたアタシの絵が入っていた、2枚とも。
「こ、こんなのもらえないよ!だって、買ったら高いんでしょ?」
展覧会に行ったあと、気になってインターネットで、飯田さんのことを調べてみた。
飯田さんの絵は、ホントに人気で、安いものでも数万円、高いのだと100万以上する。
しかも、このアタシの絵は、今回はじめて公になったものらしく、
評判もよくて、かなり高い値がつきそうだった。
「…圭織姉ちゃんにメールしてみるね」
アタシはボー然と、その絵を見ていた。
確かにすごくいい絵だと思う。
でも、アタシなんかが持ってちゃ宝の持ち腐れってヤツだ。
85
:
ラッキー
:2003/03/30(日) 14:25
少しして、返事が来たらしく、梨華ちゃんが画面を見せてくれた。
『もし、ひとみちゃんに会うことがあったら、あげようと思ってた絵なの。
本当に会えると思わなかった。会えてうれしかった。
もし「こんな高いもの」とか思ってくれてるんだったら、
今度また絵描かせてって伝えておいて。
あ、梨華ちゃんの絵も今度ぜひ描かせてね〜
最近本当にキレイになったね、恋でもしてるんでしょ?』
そんなこと言ったって…
そりゃ、もらえるのはうれしいけどさあ…
あ!いいこと思いついた!!
「梨華ちゃん、飯田さんのメアド、教えてもらってもいい?」
「えっ?あ、うん」
梨華ちゃんが画面を切り替えて、メアドを出してくれた。
それをアタシは自分の携帯に登録する。
「ありがと」
そして、飯田さんにメールをした。
『タイトル:吉澤です
やっぱりこの絵はお返しします。そのかわり、梨華ちゃんの絵を下さい』
すぐに返事が来た。
『じゃ、その絵は梨華ちゃんにあげてくれる?欲しがってたから。
それで、梨華ちゃんがモデルになるように交渉してくれるとうれしいな』
86
:
ラッキー
:2003/03/30(日) 14:26
「圭織姉ちゃんから返事きたの?」
梨華ちゃんがまだ心配そうな顔をしている。
「うん。梨華ちゃん、飯田さんの絵のモデルやらないの?」
「えー、無理だよお、私なんて。
よっすぃーみたいにキレイじゃないし」
何言ってんだよ、梨華ちゃんはキレイだよ、カワイイよ。
「モデルやってくれたら、この絵は梨華ちゃんにあげるって」
「えっ!?」
梨華ちゃんは、驚いて今度は飯田さんに電話をしていた。
「圭織姉ちゃん、どういうこと?…うん…わかった、やるよ…
え?…うん、わかった。ちょっと待ってね」
梨華ちゃんが、困った顔でアタシの方を見た。
「あのね、どうしても、よっすぃーにもモデルやってほしいって。
私と一緒の絵も描きたいって」
…飯田さん、ちゃんとアタシのツボを押さえてるな。
梨華ちゃんと一緒の絵なんて。
しかも、自分からじゃなくて、梨華ちゃん通じて言うなんて。
アタシが梨華ちゃんの頼み事、断るわけないもん。
「…ん、わかった。いいよ」
梨華ちゃんが、すごい笑顔になる。
「ホ、ホント!?…圭織姉ちゃん、よっすぃー、OKだって!…
うん、うん、わかった…ありがとう、この絵大切にするね…じゃまたね」
梨華ちゃんが、電話を切ると、アタシが描かれた絵をマジマジと見る。
「…コレ、もらっちゃった」
「うん、よかったね」
「うん、ありがと!あー、どこに飾ろうかな…」
梨華ちゃんは笑顔のまま、部屋の中をぐるっと見まわした。
「うーん…明日、お部屋の模様替えしちゃおうっと」
そう言って、その2枚の絵をとりあえず机の上に立て掛けていた。
絵を見て満足気に頷いてる梨華ちゃんが、かわいくて仕方ない。
アタシは、思わず、後ろからその細い腰を抱きしめた。
「よっすぃー…?」
「…ごめん、ちょっと、こうさせてもらってて、いい?」
梨華ちゃんが、コクンと頷いたので、
アタシは腕にもう少し力をこめる。
またしても出てくるじんましん…くそー…
87
:
ラッキー
:2003/03/30(日) 14:26
「…よっすぃー、私に甘えていいって言ってくれたもんね。
よっすぃーも私に甘えてくれていいからね」
…えっ?
アタシは、体を離して、梨華ちゃんの正面にまわって、顔を覗き込む。
「ア、アタシ、そんなこと言ったっけ?」
「言ったじゃない?もー、忘れちゃったの?ひどいよお」
梨華ちゃんが、口を尖らせて、頬を膨らます。
かわいー…かわいすぎる!
って、そんなこと考えてんじゃなくて!!
「…い、いつ言った?」
「ほら、私が屋上で泣いてたとき…よっすぃー、言ったよね?」
…言った…?い、いや、ココロの中で思ったけど…
「も、もしかして、アタシ、他にも何か言ったよね…」
「うん…『梨華ちゃんのこと守る、支えてあげる』って。
あと、『ずっと側にいてあげる』とも言ってくれたじゃない」
…う…うわーん…泣きたい…恥ずかしいよお…
心で思ったこと、口に出してたなんて、バカもいいとこだ。
しかも、そんな言葉、どう考えても『愛の告白』じゃんか…
自分で知らないうちにコクってたなんて…
「…よっすぃー、ホントに覚えてないの?」
気付いたら、アタシより、梨華ちゃんの方が泣きそうな顔になっていた。
うわっ、な、泣いちゃダメ!!
「あ、あ、あの、も、もちろん、覚えてるよっ!
い、いつも思ってるから、ど、どこで言ったのかなあって」
途端に梨華ちゃんが真っ赤になって、うつむく。
そして、アタシの胸に顔をうずめてきた。
…くぅぅ…アタシは自分が恥ずかしいことしてたのなんかどうでもよくなった。
アタシも梨華ちゃんの背中に腕をまわす。
…コレコレ、こうしたかったんだよ…
88
:
ラッキー
:2003/03/30(日) 14:26
「…あのことがあってから、よっすぃー、ちゃんといつも私の側にいてくれたし、
いつも優しくしてくれたし。だから私も甘えられたし」
あ、やたらとスキンシップしてくるようになったのは、甘えてたからだったんだ…
いやーん、やっぱ、かわいいよお、梨華ちゃん、かわいいよお。
「私ばっかりじゃ、ね?うん、よっすぃーも私に甘えて。
私も、よっすぃーに甘えてもらえるのうれしいし」
…マジで?じゃ、じゃ、オコトバに甘えて…
「梨華ちゃん…」
「ん?ナニ?」
「…キ、キス…したいな…」
「えっ?」
驚いた梨華ちゃんは顔を上げて、アタシの顔を見つめた。
アタシがマジメな顔をしてるのが、わかったみたいで、
梨華ちゃんは目を閉じた。
「…いいよ」
い、いいんだよね?いいって言ってくれたよね?
アタシはもうすでに乱れている呼吸を一応整えようと、
一度深呼吸をしてから、ゆっくり、唇を重ねた。
柔らかい、梨華ちゃんの唇…
梨華ちゃんが、唇の角度を変えてくる。
「…んん…」
…気持ちよくって、つい声出しちゃった…
梨華ちゃんは、何度も顔の向きを変えて、アタシの唇を求めてくる。
…ヤバイ…体に力が入んなくなってきた…
アタシは近くの壁にそのまま倒れ込むように寄りかかった。
それでも、腕は梨華ちゃんを抱きしめたままだから、
梨華ちゃんがアタシの腕の中になだれ込んだような姿勢になっているワケだけど。
「…だ、大丈夫?」
さすがに突然フラッといっちゃったもんだから、
梨華ちゃんが心配そうに顔をのぞきこんできた。
…ある意味、大丈夫じゃない。
アタシのこの高ぶってる気持ちも、じんましんも、すごい。
でも心配かけまいと、何度も頷いた。
あまりに呼吸が荒くなってて、声を出せなかった。
すると、梨華ちゃんは安心したように微笑んで、
アタシの髪を撫でながら、そのまま抱きついていた。
89
:
ラッキー
:2003/03/30(日) 14:27
「…この前ね、平家先生に、アレルギーのこと、相談してみたんだ…」
少し落ち着いてから、アタシは話しはじめた。
「平家先生、何て?」
梨華ちゃんは、ずっと、アタシの髪を撫でていてくれている。
すごく、気持ちいい、興奮するとかじゃなくて、何か安心する。
「アタシのアレルギーの原因は、スケベだからなんだって」
「えっ?」
梨華ちゃんが、手を止めて、アタシの顔を不思議そうにのぞきこんでくる。
「あのね、アタシのじんましんって、
その、エッチなこと考えて、興奮すると出てくるみたい」
「そ、そうなの?」
「ほら、今もじんましん出てるでしょ?」
アタシの首筋や、顔に出てるじんましんを確認する梨華ちゃん。
すごく心配そうな表情になる。
子供が子供のケガを心配するように、心から思ってくれてるだろう純粋な表情だ。
「…かゆいの?」
アタシはニッコリ微笑んだ。
「でも、その分、気持ちいいから、ガマンできる」
ギュッと梨華ちゃんを抱きしめ直す。
梨華ちゃんがクスッと笑ったのがわかった。
「それに、今は、梨華ちゃん以外の人だとじんましん出ないし」
「えっ?じゃ、こんなことしてちゃ、ダメじゃないの?」
梨華ちゃんは、アタシから体を離そうとするけど、
そうさせないように、アタシは腕に力をこめる。
「違うよ。他の人だとエッチな気持ちにならないってことだから」
つまり、梨華ちゃんとしか、そういうことしたくないんだよ。
そういう意味、わかってもらえたかな。
90
:
ラッキー
:2003/03/30(日) 14:27
「よっすぃー、今まで付き合った人、いないって言ってたよね?」
少したってから、梨華ちゃんが聞いてきた。
「うん、いないよ」
「…じゃ、今までキスもしたことなかったの?」
「えっ?…あ、うん…」
飯田さんに何もされてないとわかった今、
アタシの体はまったく何も知らない、キレイなものだ。
「女の子とふざけてとかもないの?」
「…うん、女の子と仲良くなかったから」
さすがに、男の子とふざけてでもキスはしないし、
キスするような仲になった男の子もいないし。
「あ、そっか…ごめん」
「いや、いいよ、気にしてないし」
その言葉で安心したのか、梨華ちゃんが笑顔でアタシの顔を見る。
「でも、うれしいな、私がよっすぃーのファーストキスの相手になれて」
…アタシの方がうれしいって。
こんなカワイイお姫様がはじめてのチュウの相手だなんて。
でも、この様子だと、梨華ちゃんははじめてじゃないんだろうな…
「…梨華ちゃんは、今まで付き合った人はいたの?」
「えー、いないよお」
ホッ、ちょっと安心。
1年のときは後藤さんのことが好きだったとはいえ、
中学時代に彼氏とかいたかもしれないと思ってたから。
91
:
ラッキー
:2003/03/30(日) 14:28
「じゃ、じゃ、今までキスしたことはあるの?」
「うん、あるよー、柴ちゃんとも、ごっちんとも…」
後藤さんともしてんだ…ガックシ…
アイツ、その気がないんだったら、んな思わせぶりなことすんなよお!
「あと、保田先生ともしたことあるよ」
なにーーーー!!ヤッスーとお!?
アヤカ先生がいるくせに、どーしてんなことすんだよお!
「でも、全部ふざけてだから。
マジメな気持ちでしたのは、よっすぃーがはじめてだよ」
「ふぇ?」
マジギレしてたはずなのに、そんなこと言われちゃったら…
こういう感情をメロメロっていうんだろうなあ…えへへ。
「…ねえ、梨華ちゃん」
「ん?何?」
「もう1回、チューしてもいい?」
「…じんましん、大丈夫なの?」
「いい、そんなの。気にしないから」
そう言うと、梨華ちゃんから唇を重ねてきた。
うわあ…やっぱ、そーとー、いいもんだね、キスって…
92
:
ラッキー
:2003/03/30(日) 14:31
更新しました。次回で終了予定です。
>77さん
ありがとうございます。
それにしても、みっちゃんはイイ子ですよね(W
>YUNAさん
ありがとうございます。
よっすぃー、ヘタレなんですよね(W
93
:
名無しひょうたん島
:2003/03/30(日) 15:03
そーとーいいです。
ホカホカです。
94
:
名無しひょうたん島
:2003/03/30(日) 23:03
ちゅう…。ちゅうした〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜い!!
(・∀・) イイ!
こっちがアレルギーでそうです。(w
くぅぅぅぅぅ〜たまんないですなぁ…。
最終回じじんましん出して待ってます!!
95
:
ラッキー
:2003/04/03(木) 02:53
えへへへ、やっぱ好きな人と側にいられるって、シアワセなことだね。
でも、それからも学校じゃフツーに今まで通りに接している。
ホントはずっとベタベタしてたいけど、
柴ちゃんとかみんなに気を遣わせるのも悪いし。
みんなの前でもふざけたふりして、抱きついたり、キスしたりすることはしてるけど。
でも、梨華ちゃんはごまかすためか、アタシだけじゃなくって、
他の人にもするんだよね…何かムカつくけどさあ…
あー、もっとオープンに付き合ってますってカンジにできないのかなあ…
ん?待てよ。
この前、確かに、梨華ちゃんの部屋で抱き合って、チューして、
2人の気持ちがお互いの方に向いている話しはしたけど、
それで付き合ってるって思っていいのかな?
それからもちょっとラブラブみたいなメールはしてるけど、
確かに、はっきり『好き』とか『付き合おう』って話しはしてない…
もしかして、アタシの1人よがり?
「石川センパーイ!」
昼休み、アタシはモヤモヤした気持ちのまま、
梨華ちゃんのことを盗み見ていたら、教室のドアのところから声がした。
目のクリクリしたかわいい子が笑顔で思いっきり手を振っていた。
「あー、高橋!どうしたの?」
梨華ちゃんが立ちあがって、そっちまで行く。
2人は楽しそうに話していて、その後輩の子はギュッと梨華ちゃんに抱きついたりしていた。
な、なんだよ、あの子!
アタシの梨華ちゃんに抱きついたりすんなよ!
「もー、高橋、積極的だなあ」
柴ちゃんがつぶやいたのが聞こえた。
「へっ?」
「あの子ね、新体操部の後輩なんだけど、梨華ちゃんのこと、気に入ってるみたいなのよ」
梨華ちゃんもニコニコと高橋さんの頭を撫でていた。
梨華ちゃんも、何やってんだよお、アタシという人がいながら!
…いや、待て。やっぱ、アタシの勘違いなのかも。
勝手に付き合ってるって思ったりしてたけど。
96
:
ラッキー
:2003/04/03(木) 02:54
「ごめーん、教室に忘れ物しちゃった、ちょっと待ってて」
たまたま、その日、飯田さんのアトリエに行く約束をしていた。
アタシは、昼休みに感じたことでちょっと落ち込んでたんだけど、
今日は梨華ちゃんと放課後もいられるから、それだけでもいいかなって思うようにしてた。
そう、好きな人と一緒にいられるだけで…たまにチューもしてくれるし…
それだけで、いいじゃん。
それ以上のこと望まなければ、充分幸せだもん。
梨華ちゃんが走っていった先を、階段の踊り場でぼんやりと見ていた。
「あー、よっすぃー!!久し振りじゃない?」
!!な、なんだ?
いきなり抱きつかれた!
しかも胸大きいぞ、この人…
アタシにこんなことする人っていえば――アヤカ先生だった。
「元気だったあ?」
今日はあんまりだけど、充分元気です。
だから、その、アタシに回してる腕は外してくれませんか…
「たまには、職員室にも遊びにきてよ。あ、化学準備室でもいいし」
「…は、はい…」
アヤカ先生って、やっぱ、オトナのオンナってカンジだよなあ。
ニオイもなーんかアダルトってカンジでさあ…
廊下をバタバタと走ってくる音がしたと思ったら、突然止まった。
ふと、そちらを見ると、梨華ちゃんがこっちを見て、固まっていた。
うわっ、アヤカ先生、離れて下さい!!
アタシが階段の上を見ながら、もがきはじめたので、アヤカ先生もそっちを見る。
「あー、もしかして、これからデート?」
耳元で囁かれて、動揺してしまい、ちゃんと説明するのも面倒だったので、
アタシはコクンと頷いた。
「よかったねえ、うまくいってるんだ。じゃ、がんばってね。
何かあったら、また、お姉さんたちに相談してね」
アヤカ先生が、アタシにウインクして、階段をのぼっていく。
梨華ちゃんがすれ違うときに、頭を下げて「さようなら」と言ったのが聞こえた。
梨華ちゃんの表情は、すっごい暗かったけど。
そして梨華ちゃんがスタスタと歩いてきて、アタシのすぐ側まで来ると、顔をじっと見られた。
「ウソつきっ」
それだけ言って、そのまま急ぎ足で行ってしまった。
…へっ?アタシ、ウソなんかついてないって。
まさか、アタシがアヤカ先生とデキてるって勘違いしたの???
97
:
ラッキー
:2003/04/03(木) 02:55
「り、梨華ちゃん」
そのまま、アタシの少し先を歩き続ける梨華ちゃんの背中に声をかけた。
「アタシ、ウソなんて…」
「首」
「へっ?」
アタシは、慌てて首筋を触る。
別にキスとかされたんじゃないから、キスマークがあるわけじゃないし。
「じんましん出てる」
「えっ?」
確かにさっき、アヤカ先生に抱きしめられて、
ちょっとドキッとしちゃったけど…
そう、さっきちょっと思ったんだけど、
アヤカ先生と飯田さんと重ねてたわけじゃなくて、
実は、アタシ、アヤカ先生みたいな人もタイプなんじゃないかと。
梨華ちゃんとはタイプが違うけど、大人の魅力というか、
アタシの全てを受け入れてくれて、思いっきり甘えさせてくれそうで。
もし、この学校に梨華ちゃんがいなくて、保田先生とも付き合ってないなら、
アタシはアヤカ先生に本気になってたかも。
でも、今は自分に甘えてくれる、そして甘えさせてもくれる、
この子供みたいな女の子が大好きなんだよな。
「私にだけしかじんましん出ないって言ってたじゃない。
エッチなこと考えてたんでしょ。もう信じらんない」
…あ、バレてた…
でも、梨華ちゃん、そんなに怒んなくても…
もしかしてもしかすると、ソレって昼休みにアタシが感じたのと同じ気持ち?
「…梨華ちゃん、もしかして、ヤキモチやいてんの?」
梨華ちゃんが、立ち止まってアタシの方を振り返る。
驚いた表情だと思ったら、徐々に真っ赤になっていく。
98
:
ラッキー
:2003/04/03(木) 02:55
アタシは梨華ちゃんの腕をとって、ちょっと人通りのない裏道に連れ込んだ。
そして思いっきりギュッと抱きしめる。
「ちょ、ちょっと、よっすぃー…」
「ヤキモチだったら、すげーうれしいんだけど」
梨華ちゃんが、離れようとバタバタしてるけど、
アタシの腕は梨華ちゃんのことを逃がすワケがなかった。
梨華ちゃんも、あきらめておとなしくなる。
アタシは抱きしめながら、やさしく頭を撫でた。
梨華ちゃんの甘いニオイと、あたたかい息遣いを感じる。
うん、いいなあ、やっぱ、梨華ちゃん、大好き。
「アタシが一番好きなのは、梨華ちゃんだから…ほら、見てみて」
ちょっと体を離して、アタシの顔を覗かせる。
梨華ちゃんは驚いたと同時に心配そうな顔になる。
うん、今アタシは顔にもじんましんが出てるはず。
かゆくてしょうがないもん。
「アヤカ先生のときより、全然ひどいでしょ?」
確かに、さっきもじんましんが出たけど、ちょこっとだけだったはず。
梨華ちゃんは、アタシの頬をそっと撫でた。
「私、やっぱり、よっすぃーと一緒にいない方がいいのかな…」
「な、何言ってんだよ!アタシは梨華ちゃんと一緒にいたい!
梨華ちゃんじゃないとイヤだっ!」
梨華ちゃんは、不安気な顔から、徐々に笑顔になる。
「私も、よっすぃーと一緒にいたい。
よっすぃーのこと大好きだもん、よっすぃー以外考えられないんだもん…」
アタシはじんましんが全身に広がるのを感じた。
「でも、こんな風にさせておいて、一緒にいていいのかなって…」
梨華ちゃんは、また心配そうにアタシの顔を見る。
あー、ちくしょー、コレって薬とかで治んないのかよお。
…?あ、平家先生にもらったじゃん!
「そうだ!薬、飲んでみる!」
そして、飯田さんのアトリエに着くなり、薬を飲んでみた。
99
:
ラッキー
:2003/04/03(木) 02:56
どうやら飯田さんは、アタシの制服姿を描きたかったらしい。
日常的な姿をモデルにしたいと。
よくやる行動とかしぐさをやってくれと言われ、
悩んだけど、アタシは壁に寄りかかって、
無表情のまま、携帯でメールを打つ格好をした。
「うん、すごくいいねー」
飯田さんは、満足気に絵を描きはじめた。
「梨華ちゃん、つまんないでしょ。あっち行って雑誌でも読んでたら?」
梨華ちゃんが、アタシの様子をじっと見てるだけなので、
飯田さんが、隣りの部屋でくつろいでたらと声をかけた。
「うん、いいの。私、よっすぃー見てるのが一番楽しいから」
…アタシは、思わず顔がゆるんでしまった。
「ナニ、ニヤけてんの、よっすぃー」
「あ、す、すんません」
「全くー、バカップルってヤツ?」
飯田さんは、美術系の学校だったせいもあるのか、
自分は違うけど、周りの友達で同性愛者が結構いるらしい。
だから、アタシたちの関係に気付いてても、受け入れてくれているみたいだ。
アタシは、梨華ちゃんの方を見て微笑むと、
梨華ちゃんも恥ずかしそうに笑った。
えへへへ、やっぱカワイイ。こんなかわいい子と付き合ってんだよなあ、アタシ。
飯田さんが絵を描くのは早かった。
だいたいのカンジが掴めれば、あとはゆっくり自分の中で考えて描くらしい。
アタシの絵が終わると、アタシと梨華ちゃんが一緒のところを描きたいと言った。
100
:
ラッキー
:2003/04/03(木) 02:56
「じゃ、悪いんだけど、服脱いでくれる?」
…へっ?脱ぐ?ヌード?しかもアタシだけじゃなくて、梨華ちゃんも!?
そ、そんな……でも…ちょっと、楽しみ、かも…
といっても、完全ヌードのものではなくて、
どうやらアタシたちがベッドで一緒に寝ている絵を描きたいらしい。
「イ、イヤ!そんなの。だって、恥ずかしいもん…」
梨華ちゃんはイヤがっていた。
飯田さんに描いてもらえるなら、どんなことでもいいかなとは思ってたけど、
よく考えたら、アタシが非常にヤバイような気がする…
「いいじゃない、普段通りで」
「そんなことシテマセン!」
梨華ちゃんが真っ赤になって、反論する。
「へー、そうなんだ。別に今からしてくれてもいいよ。
私はいないものと思って」
「もう、圭織姉ちゃんのバカっ」
梨華ちゃんは、完全に拒否してしまった。
んー、じんましんはヤバイと思うけど、
梨華ちゃんの裸を見たいとう気持ちの方が強くなってきた。
「飯田さん、全部脱がないとダメですかね?」
「できればそうして欲しいけど、上半身だけでもいいよ」
それに、2人が抱き合っている上にはシーツをかけるし、
体じたいは見えなくてもいいし、しかも、梨華ちゃんは後ろ姿だけで顔はいいとのことだった。
「梨華ちゃん、せっかくだから、2人の絵描いてもらおうよ。
こんな機会めったにないと思うし」
「で、でも…」
「いいじゃん、上だけでいいって言ってくれてるんだし」
「だって…よっすぃーに見られるの恥ずかしいんだもん」
くぅ…かわいい…
絵にされるのが恥ずかしいんじゃなくて、
アタシに見られるのが恥ずかしいっていうことだったんだ。
「じゃ、見ないようにするから。
ほら、シーツで体くるんでればいいし」
「でもお…」
「ダメかなあ?」
アタシは梨華ちゃんの顔を懇願するような顔をして覗き込んだ。
よく、人に『捨てられた子犬みたい』って言われる顔をして。
梨華ちゃん、そんなアタシの顔を見て、困ったように目をそらした。
「…わかった。絶対見ないでよ」
「う、うん。見ないよ」
ゴメン、ちょっとくらいは見ちゃうかも…
101
:
ラッキー
:2003/04/03(木) 02:57
アタシはその場で上半身裸になり、飯田さんが仮眠用に使っているというベッドで
布団をかけて横になっていた。
…梨華ちゃんのおっぱい…おっきいよな、梨華ちゃんの…
さっきから、アタシの頭ん中はエッチなことでいっぱいだったけど、
不思議とじんましんが出てこない。
どうやら薬が効いてるみたい。平家先生、ありがとう。
となりの部屋で、服を脱いでいた梨華ちゃんがシーツにくるまってやってきた。
そのままアタシの隣りに寄り添う。
「目、つぶって」
「あ、うん」
梨華ちゃんに言われた通り、目をつぶると、梨華ちゃんがシーツをとったらしく、
すぐに抱きついてきた。
うわあ…や、やわらかい…アタシの胸と梨華ちゃんの胸が重なっている。
ヤバイ…おかしくなっちゃいそう…
飯田さんが一応、ポーズをつけてくれる。
梨華ちゃんは右腕をアタシの腰に回す。
アタシは右腕を梨華ちゃんの首の下に回して腕枕をするようにして、
梨華ちゃんの頭を抱える。
そして左腕は梨華ちゃんの背中に回した。
…しっかし、さっきから、すげー心臓がバクバクいってんだけど。
息も荒くなってて、このまま死んでもおかしくないんじゃないかと思うくらい。
「…よっすぃー、色白くて、キレイだね…」
「へっ、あ、ああ、うん…」
「…よっすぃーの腕の中ってあったかくて、すごく気持ちいいよ…」
「あ、う、うん」
アタシは、ドキドキのあまり、梨華ちゃんの言葉にいい答えができなかった。
さっき脱ごうって説得したのはアタシなのに、何だか逆の立場みたい。
「…ね、よっすぃー、エッチなこと考えてないの?」
「ふぇ!?な、なんで」
「だって、じんましん出てないもん…」
「い、いや、く、薬が効いてるみたい」
梨華ちゃんがクスッと笑う。
「ふーん、じゃ、エッチなこと、考えてるんだ」
「いやぁ…」
こんな状況で、考えない人の方がおかしい。
「私も考えちゃった、エッチなこと」
梨華ちゃんは、アタシに回した腕にギュッと力をこめる。
そしてアタシの首筋にチュッとキスをした。
うへえ…シアワセ…もうこのまま死んでもいい…
102
:
ラッキー
:2003/04/03(木) 02:57
アタシたち、2人の絵を描き終えると、今度は飯田さん、
梨華ちゃん1人の絵を描きたいと言った。
アタシはもう服を着たけど、梨華ちゃんは上半身裸のまま、
ベッドの上でシーツにくるまって座っている。
「あ、よっすぃー、私の近くにいてくれる?」
なんでだろ?
飯田さんが絵を描いてるすぐ横にイスを持っていき、
梨華ちゃんのことを見ていた。
すると梨華ちゃんは恥ずかしそうに、アタシのことを見て微笑む。
「いいねえ、そういう表情」
そうか、そういう顔をして欲しかったから、
アタシは飯田さんの側にくるように言ったのか。
それにしても、かわいいなあ…
アタシと、その、ホントにエッチとかした後も、こういう顔してくれんのかな。
シーツにくるまってさ、チラッと肩が見えたりして、
上目遣いでアタシのこと照れたように見てくれんのかな。
…えへへ、早くこないかな、そういうことするとき…
あ、いつそうなってもいいように、平家先生に薬いっぱいもらっておこう…
103
:
ラッキー
:2003/04/03(木) 02:57
それから間もなくして、周りにアタシたちが付き合いはじめたことは、バレてしまった。
アタシと梨華ちゃんが、屋上の端で昼休みに抱き合ってキスしてるところを、
例の新聞部のスクープでやられたからだ。
どうやら、あのお団子頭コンビも新聞部らしく、
アイツらにアタシはマークされてたらしかった。
マジでアイツら、今度会ったら、半殺しだな。
ま、そのおかげで、アタシたちは、学校でも堂々とイチャイチャできるようになったけど。
この前なんか、ヤッスーの授業中にこっそり手繋いでたら、
「ほら、そこのバカップル、手繋いでないでノートとりなさーい!」
って怒られた。
いいじゃん、勉強より梨華ちゃんとこうしてる時間の方が、
アタシにとって何倍も重要な意味のあることなんだから。
104
:
ラッキー
:2003/04/03(木) 02:58
飯田さんのモデルになったときから、約1ヶ月たった日曜日、
また飯田さんにアトリエにくるように呼ばれた。
作品が出来あがったらしい。
梨華ちゃんは飯田さんに頼まれたらしく、
飯田さんにもらった個展に出していたあの絵を持ってきていた。
そういえば、あのモデルになったとき以来、こうやって梨華ちゃんと会う日は、
必ずアレルギーの薬を飲んできていた。
…だってねえ、何があるかわかんないし…
でも、アタシたちは、まだキス以上のことはしてないんだけど…
「あ、梨華ちゃん、その絵、置いてくれる?」
布がかかった絵らしきものが3つおいてある。
その間がそれぞれ空いていて、梨華ちゃんが絵を、飯田さんの言われたように置いていく。
そして飯田さんが3つの布を取った。
「…うわあ」
「…すごーい」
アタシと梨華ちゃんは、しばしその絵に見とれていた。
まず、アタシの制服を着て、携帯をいじってる絵。
何かすごくリアルだ。
隣りの小学生のときのアタシの絵と比べると、
顔はもちろん、冷めた視線で同じ人物だというのがわかる。
確実に体は成長してるんだけど、
やっぱりまだ子供っぽさが抜けきれてない。
そんなカンジもその絵からわかってしまうくらい。
そして、その隣り。
アタシと梨華ちゃんの抱き合ってる絵。
そう、アタシが小学生のときに裸にされたものと同じアングルで描かれている。
小学生のときのあどけないそのまま子供っていう表情から、
少し大人になって、隣りに愛する人がいて、幸せに満ち溢れている、
そんな表情をしっかり描いてくれていた。
そして、梨華ちゃんのシーツにくるまっている絵。
すごく、すごーく、かわいい。
梨華ちゃんの女の子らしいところがすごく伝わってくる絵だ。
大好きな人に抱かれた後でハッピー、でも恥ずかしいのというカンジが出ていた。
えへへ、この絵見てるだけで、幸せになれるよ、アタシが。
105
:
ラッキー
:2003/04/03(木) 02:58
「飯田さん」
「ん?」
「タイトルとかってあるんですか?」
そう、アタシの小学生のときの絵のタイトルは確か『大人になりたい』だった。
「あ、この梨華ちゃんの絵は『初めての朝』」
あー、やっぱり。
えへへ、近いうちに2人で朝を迎えられるようになりたいなあ。
「こっちの2枚はね、『7年後』」
なるほど、だから、梨華ちゃんに絵を持ってこさせたのか。
確かに、今回描いてもらった絵だけで充分よさはわかるけど、
7年前のものと対比してみると、さらにそのよさが際立つ。
あのときから7年たってるのか…
今から7年後、アタシは何をしてどうなってるんだろう?
アレルギーは治ってるといいな。
しかし、何よりも、隣りには梨華ちゃんがいて欲しい。
そう思って、隣りにいる梨華ちゃんの手をそっと握った。
梨華ちゃんは、ニッコリとしてアタシの顔を見た。
「また7年後も、2人の絵、描いてもらいたいね」
そうだね、アタシもそう思う。
うん、7年後だけじゃなくて、そのまた7年後も、そのまた7年後も…
すっとずっと一緒にいようね、約束だよ。
願いをこめて、アタシは梨華ちゃんを握る手にギュッと力をこめた。
Fin
106
:
ラッキー
:2003/04/03(木) 03:02
更新&終了です。
すみません、最後になって言いますが、アレルギーの知識も絵の知識も持ってません(W
詳しい方から見たら、おかしいと思う点があったかと思いますが、
フィクションということでお許し下さい。
>93さん
ありがとうございます。
最後まであったまっていただけたでしょうか?(W
>94さん
どうもどうもです。
じんましんがおきてないことを祈ります(W
最後まで、お付き合いいただいた方、どうもありがとうございました。
107
:
ななしのどくしゃ
:2003/04/03(木) 09:49
恐れながらレスさせていただきます。
吉が女性アレルギーというめずらしい設定で、毎回先がどうなるか…、
二人がくっついてホッとしていた次第です。(* ̄▽ ̄*)
完結おつかれさまでした。。。
108
:
名無し香辛料
:2003/04/03(木) 13:34
素晴らしかったです。楽しませていただきました。
あ〜もうラッキーさんてズルいですよ。いっつも私のツボつくんだもん。
胸がときめきすぎて辛いぐらいですよ(w
でも次回作が楽しみなんだよなあ。気長に待ってます。
109
:
名無しひょうたん島
:2003/04/06(日) 15:01
さすがです。甘くて蕩けそうです(w
こんなアレルギーなら、出してもいいなぁ〜なんて…。
ラッキーさんファンなんで、次回作あるなら大期待して待ってます。
完結お疲れ様でした&ありがとうございました。
110
:
名無しひょうたん島
:2003/04/07(月) 21:33
完結お疲れ様でした。
すごく面白かったです。
次回作期待大!!
111
:
ラッキー
:2003/04/14(月) 12:55
>ななしのどくしゃさん
恐れないでくださひ(W
ありがとうございますた
>香辛料さん
ツボつきましたか、よかったです。
あんまり辛くならないでください(W
>109さん
ファンといわれると恥ずかしいです(照
次回作、まだ全然書いてないのですが、がんがります
>110さん
ありがとうございます。
これからもよろしくです
112
:
名無し( `.∀´)
:2003/05/11(日) 11:33
新作期待しています。
いつまでも、待ちます。
113
:
名無し( `.∀´)
:2003/05/31(土) 21:11
新作キボン!!
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