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ご利用は計画的に…
1
:
くぬーぴー
:2002/12/18(水) 19:16
初めまして。
ちょっと息抜きに書いてみました。
お恥ずかしながら、掲載させて頂きます。
2
:
くぬーぴー
:2002/12/18(水) 19:18
『よっすぃー・・・ごめんね・・・』
いいよ、謝らないで。
『私のわがままだよね・・・本当にごめんなさい』
だから、いいってば・・・。
『よっすぃーといると楽しかった』
うん、楽しかった
『よっすぃー・・・』
なに?
『大好きだったよ、ありがとう・・・』
あたしは今も大好きだよ・・・梨華ちゃん・・・。
吉澤ひとみ、17歳。
今日、梨華ちゃんと別れます。
・・・たぶん、別れます。
おそらく、別れます。
自分から言い出せたらの話ですが・・・。
3
:
くぬーぴー
:2002/12/18(水) 19:20
<1>
今日は15時にスタジオ入り。
家の前に着けられた事務所の迎えの車に13時に乗り込んだ。
通常ならば14時に出れば間に合うはず。
けども、途中で学校を終えた小川と紺野を拾っていかなくてはならない。
お陰であたしの貴重な1時間はなくなる訳で・・・
「あのぉ、途中でコンビニ寄って頂けますか?」
運転する事務所の人(新人さん)に後座席から声を掛ける。
喉がすごく渇いていた。
「小川さん達もコンビニ行きたがると思いますから。二人を拾ってからでもいいですかね?」
新人さんはこちらを振り向く事もなく(当たり前か、運転してんだもんね)そう答えた。
4
:
くぬーぴー
:2002/12/18(水) 19:21
「ええ、構わないです」
あたしは呟くようにそう答えてから、車の窓から外の景色を見た。
スモークが張られた窓から見る景色は晴れでも雲って見えてしまう。
隣を平行して走る車から幼稚園くらいだろうか?
女の子が窓から顔を出していた。
一瞬、その女の子と目が合った。
あたしはニコリと微笑みかけてみた。
けども女の子はあたしの笑みには気付かない。
そうか、あの子からはスモークの張られた窓しか見えないんだよね。
だから、移動車は嫌いだ。
こちらから向こうは見えても、向こうからはこちらを見ることが出来ないから。
あたしは・・・あたし達は、テレビのモニターの中にいてこそ、みんなに見てもらえるんだね。
5
:
くぬーぴー
:2002/12/18(水) 19:23
<2>
「おはよーございまーす」
出発してから車で走る事1時間、小川と紺野、あと二人を連れてきた娘担当のマネージャーさんと合流した。
40分あれば着くはずだったが、途中で車は道に迷ってしまった。
「遅かったわね。吉澤、時間通りに準備してなかったんでしょ?」
助手席に座ったマネージャーさんは約束の時間から20分も待たされたことに、えらくご立腹だった。
(途中で道に迷ったんですよ)
そう言おうかと思ったが、あたしが答えなくても運転してる新人さんが代わりに答えてくれるだろう。
「あ、吉澤さんがコンビニ行きたいみたいなんですけども。途中で寄ってる時間ありますかね?」
あたしの期待してた言葉とは違って、新人さんは隣に座るマネージャーさんの機嫌を伺うように尋ねた。
「何言ってんのよ!もうそんな寄り道してる時間もないじゃない・・・。ったく吉澤、遅刻しておきながらそんな暢気なこと言わないでよね!あっ、もしもしぃ。すみませーん、ちょっと渋滞にハマってまして。ええ、そうですねぇ、半には着くと思うんですが、ええ・・・」
あたしを睨みながらもマネージャーさんは番組のプロデューサーに詫びの電話を入れていた。
6
:
くぬーぴー
:2002/12/18(水) 19:25
理不尽だと思う。
あたしは待ち合わせの13時には車に乗り込んでいた。
12時半には余裕で準備だって済ませていた。
なのに、遅れているのはあたしのせいにされる。
挙句の果てにはコンビニさえ、寄ってもらえない。
運転席の新人さんと目が合った。
彼は申し訳なさそうに頭をペコリと下げた。
(許してあげるかな・・・)
たぶんあたしが「道に迷ったんですよ」と答えたら、彼のクビは飛んでしまうだろうから。
あたしは、声を出さずに「いいですよ」と新人さんに微笑んだ。
ああ、でも喉渇いたなぁ・・・。
7
:
くぬーぴー
:2002/12/18(水) 19:27
<3>
「吉澤さん、あのぉ携帯の電源入ってます?」
前の席に座っている紺野が紅茶のペットボトルのフタを開けながら、そう尋ねてきた。
いいなぁ紺野。
一口くれよ・・・
「携帯?」
「ええ、今、石川さんからメールが来て・・・これなんですけども」
紺野は自分の携帯をあたしに見せてくれた。
【差出人】石川さん
【題名】困ってるのぉ(T▽T)
【本文】おつかれさま〜\(^▽^)/ もう、よっすぃーと合流してる?よっすぃーの携帯、電源入ってるか確認してくれないかな?全然繋がらなくて困ってるのぉ、お願い(T▽T)
頭の奥がキーンと痛くなる。
あたしはそのまま目をつむった。
8
:
くぬーぴー
:2002/12/18(水) 19:28
──── 今日、梨華ちゃんの夢を見た。
梨華ちゃんの部屋にあたしはいた。
梨華ちゃんは泣いていた。
あたしも泣いていた。
梨華ちゃんはあたしに「ごめんね」と言っていた。
あたしは何も言えないままで・・・
夢の中であたし達は別れ話をしていた。
切り出したのは梨華ちゃんの方だ。
捨てられるのはあたし。
夢だとすぐに気付いた。
あまりにもおかしな状況だったから。
梨華ちゃんは部屋の中なのに、衣装を着ていた。
『ここにいるぜぇ』の衣装を。
夢だと分かっていても、梨華ちゃんがヘソ出しのミニスカート衣装でも、あたしは悲しかった。
別れ話を切り出されたことが。
梨華ちゃんに捨てられることが。
9
:
くぬーぴー
:2002/12/18(水) 19:29
目を覚ましたら、あたしの目元は濡れていた。
本当に泣いていたらしい。
どうせ泣いたなら本気で泣いてやろうじゃないか。
あたしは、布団を頭からかぶって大声を出して泣いた。
そして決意した。
いつの日か、あたし達に別れが訪れるなら・・・
ましてや、梨華ちゃんから別れを切り出されてしまうなら・・・
あたしから別れを告げよう。
こんな夢を見たのも何かの縁だ。
今日、梨華ちゃんと別れよう。
そしてあたしは梨華ちゃんにメールを送った。
『大事なお話があるので、今夜梨華ちゃんちに寄らさせて頂きます』
シロガネーゼ並みの敬語を使ったメール。
これで梨華ちゃんもうっすらと気付いてくれるだろう。
今夜、何かが起こるんだなということを・・・。
10
:
くぬーぴー
:2002/12/18(水) 19:39
「あのぉ吉澤さん・・・」
紺野の呼びかけで、現実に引き戻された。
「あ、ごめん。ちょっと今、携帯を買い換えるならNにしようか、Pにしようかって考えてて・・・」
「それならPの方をお薦めしますが、吉澤さん今、N使ってらっしゃるからそのままNにした方が都合が良いかと思われます。で、話は戻りますが今、電源は入ってらっしゃるのですか?」
喉をゴクゴクと鳴らせながら紅茶をラッパ飲みする紺野は、そう尋ねてきた。
いいな、だから一口くれよ。
「そうだね、Nにすると思うよ。で、電源はちょっと訳ありで今は切ってるんだ」
「ゴクゴク、そうですか。石川さんは何か用があるみたいですけども・・・ゴクゴクゴクゴク」
ゴクリ・・・。
紺野のその勇ましい飲みっぷりを見て、あたしの喉はそう鳴いた。
「まあ、どちらにしても後で会うから。大丈夫かと・・・ゴクリ」
「それならいいんですけども・・・」
紺野はペットボトルのフタを閉めながら身体を正面に座りなおした。
11
:
くぬーぴー
:2002/12/18(水) 19:41
あたしはこれはチャンスと思い、紺野に話し掛けた。
もう限界であった。
あまりにも喉が渇きすぎていた・・・。
紺野から一口貰おう。
「ねぇ、紺野」
あたしの呼びかけに紺野は振り返る。
手の中には麗しの紅茶が入ったペットボトル…
あたしはそれを指差しながらこう切り出した。
「あの、その紅茶ひと」
「あさ美ちゃん、これ貰ってもいい?」
あたしのセリフを遮るように紺野の隣に座っていた小川の声が車内を響いた。
小川は紺野の返事を待つこともなく、そのままペットボトルを取るとフタを開けてゴクゴクと飲みだした。
「まこっちゃん、全部飲んじゃっていいよ。私もういらないから」
笑顔でそう小川に伝える紺野。
「あぁ、美味しい。喉渇いてたんだよね、私。ありがとう、ゴクゴクゴクゴク」
・・・ゴクリ。
あたしの喉は再び悲しそうに鳴いた。
12
:
くぬーぴー
:2002/12/18(水) 19:48
「えっと、吉澤さん何でしたっけ」
思い出したように紺野はこちらを振り返る。
「ひょえ?」
乾きすぎた喉が貼り付いてしまったのか、変な声で返事をしてしまった。
「今『紅茶ひと』って言いませんでしたか?」
小川の手にするペットボトルに目をやる。
すでにペットボトルは空となっていて、しかも捨てやすいようにつぶされてさえいた。
えらいぞ、小川。
そうやって捨てれば、ゴミもかさばらないで済むからね。
それにしても、今となっては「一口くれ」と言い出せない・・・。
困った・・・。
「いやぁ、その紅茶に、『ひとみ』って名づけてやって欲しいなぁと思って」
「・・・紅茶にですか?別に構わないですけども・・・一体、何の為に・・・」
紺野はまるで「おいおい吉澤頭大丈夫か?」とでも言いたそうに、こちらを見ていた。
「その紅茶が、名前もないまま紺野や小川の腹の中に納められてしまうのは、可哀想でしょ?」
あたしは、窓から外を眺めながらそう答えた。
「紅茶として工場から生まれてきてすぐにペットボトルに押し込まれ・・・やっと人様の前に姿を披露できたと思ったら、今度は人間の体内に閉じ込められる。呼び名なんて、どこにでもある『紅茶』のままで人生が終っちゃうんだ・・・。せめて名前でも付けてあげて、いつの日か『あの時飲んだひとみは、いつもよりちょっと甘かったわねぇ』って思い出話してやることが、紅茶の・・・いや、その『ひとみ』への最大の供養じゃないかなぁって、あたしはそう思うんだよ・・・」
我ながらナイスなコメントだ。
13
:
くぬーぴー
:2002/12/18(水) 19:51
「吉澤さんって、すごく愛情に溢れた方なんですね。私感動しました」
小川は感動の眼差しであたしのことを見ていた。
「・・・私、いつも何も考えないで色んなもんを口にしてました・・・。そんな自分が恥ずかしいです。そうですよね、吉澤さんの言う通りです。これからは口にするもの全てに、いや、色んな物全てに名前を付けようと思います」
紺野にいたっては、涙さえ流していた。
「あさ美ちゃん、今、私たちのお腹の中には『ひとみ』がいるんだね。吉澤さんが名付け親の『ひとみ』という名の紅茶が。何か私、嬉しいよ。すごく嬉しい。『ひとみ』が私やあさ美ちゃん汗や涙となってくれるんだね・・・」
小川は紺野の手を握り締めた。
「うん、すでに私の目からは『ひとみ』がこぼれてるよ・・・」
いや、紺野。残念ながら、まだ『ひとみ』は涙にはなってないよ。
その涙は別物だ。
名前も付けてもらえなかった別の水分だ。
「あさ美ちゃんの目から流れ出る『ひとみ』は、いつもの涙よりも輝いてるよ」
「まこっちゃん・・・」
「あさ美ちゃん・・・」
だから、小川・・・。
紺野の涙は『ひとみ』じゃないんだよ。
ひとみはまだ、君達の腹の中に・・・。
ああ、それにしても喉が渇いたな・・・ゴクリ。
14
:
くぬーぴー
:2002/12/18(水) 19:53
まずはここまでです。
もっと先を書いたのですが、アホなPCがフリーズしやがりまして、
そのまま闇の世界へと消えていってしまいました。
ので、明日また更新出来たら頑張りたいと思います。
15
:
管理人
:2002/12/19(木) 00:38
くぬーびーさん。
こちらも、はじめまして&新スレありがとうございます。
管理人も、すごく続きを楽しみにしていますので
どうぞよろしくお願いいたします。
PC大丈夫ですか?
16
:
(0`〜´0)よすボーン
:(0`〜´0)よすボーン
(0`〜´0)よすボーン
17
:
名無しハロモニ
:2002/12/19(木) 01:46
すごく面白そうです!!
続き期待しています。ガンガってください!!
18
:
くぬーぴー
:2002/12/19(木) 17:31
<3>
15時半ちょっと回ったころ、私たちはスタジオに到着した。
到着するまでの社中で、小川と紺野は色んな物に名前を付けていた。
小川が今、手にしてるカバンは『アントニオ』と言うらしい。
こりゃ、また随分とベタな名前をつけたもんだ。
「アンダコノヤロー。1,2,3ダー!!」
カバンにそんなことでも言わせるつもりだろうか?
「まこっちゃん、アントニオの口が開いてるよ?」
スタジオのエレベーターに乗り込んだ直後、紺野は小川のアントニオを指しながら言った。
「あ、ありがと。でも、これはアントニオが口を開けていたいんだと思うの。だから、そのままにしておいてあげたい・・・」
「そっか、まこっちゃん。何だかいつものまこっちゃんと違って、今のまこっちゃんは大人な感じがするよ」
「それよりも、あさ美ちゃん。いいの?矢口さん踏んづけたままで?」
小川の視線が紺野の足元に送られる。
あたしも、紺野の足元を見た。
かかとが踏み潰されたスニーカー・・・。
19
:
くぬーぴー
:2002/12/19(木) 17:31
紺野、まさか・・・
君はスニーカーに『矢口さん』と名づけたというのか?
「フフフフフ。いいんだよ、まこっちゃん。このままでいいの、フフフフフ」
不気味に笑う紺野。
『チーン』
エレベーターが目的の階に到着。
紺野は、スニーカーのかかとを踏んだまま(いや違う、踏んでいるというよりは踏みつけている)、エレベーターから降りていった。
あたしと小川はその後ろ姿をエレベーターから降りることもなく、扉が閉まるまで呆然と眺めていた。
20
:
くぬーぴー
:2002/12/19(木) 17:33
<5>
「おはようございまーす」
楽屋に入ると、すでに残りのメンバーは全員揃っていた。
みんなはすでに衣装に着替え、メイクも済ませて、
お菓子食べたり雑誌読んだり好き勝手に時間をつぶしているようだった。
あたしの視線はある人の姿を探す。
(あ、いた)
梨華ちゃんは一番端っこの椅子に座りながら、何か言いたげにあたしのことを見ていた。
思わず目を反らしてしまう・・・。
今話し掛けられても、あたしはたぶんまともな返答が出来ないだろうから。
「おせーよ、よっすぃー!寝坊かよ?」
紺野のスニーカー・・・いや、矢口さんがいきなり背後から膝に蹴りを入れてきた。
「ち、違いますよ。あたしはちゃんと時間どおりに・・・」
池乃めだかのパンチを避ける芸人のように、矢口さんの頭を手のひらで押さえ込む。
21
:
くぬーぴー
:2002/12/19(木) 17:34
「言い訳は聞きたくねぇーんだよ」
矢口さんはなおも、蹴りを続ける。(が、短い足はあたしには届かず・・・)
「言い訳じゃないですって。車が道に・・・」
「吉澤!ふざけてないで早く衣装に着替えなさい!」
マネージャーさんの怒声が楽屋を響き渡って、池乃めだか・・・間違えた、矢口さんの攻撃も止まってくれた。
「よっすぃーの衣装これ」
スタイリストさんから衣装を受け取る。
ちぇっ、今日もズボンにパーカーか・・・。
最近はこんな衣装ばっかだな。
と言うとあいぼんに「痩せるまでの我慢だな」と言われてしまうのだが。
たまにはスカート履きたい時だってあるもんよ。
(やっぱ梨華ちゃんは今日もスカートなんだろうなぁ)
と思ってチラッと梨華ちゃんを見る。
梨華ちゃんはやっぱこちらを見ていた。
ちょっと寂しそな目をしながら・・・。
あたしの態度に異変を感じ取ったかな?
それともちょっと怒ってるのかな?
そのままあたしは梨華ちゃんに背を向けるようにして楽屋を出て行く。
梨華ちゃんの視線を背中に感じながら・・・。
あっ、あたし喉渇いてるんだった。
22
:
くぬーぴー
:2002/12/19(木) 17:36
<6>
準備が完了し、メイクルームを出るとすぐにスタジオ入りすることになった。
メンバーみんなすでにスタジオ入りして、スタッフも揃っている。
------------------------------------------------------------------
カメラさん「おーい、まだかよ?」
ADさん「すみません、もう間もなくですから・・・」
メンバー「よっすぃー遅いねぇ」
カメラさん「なんだよ、吉澤待ちかぁ?」
ADさん「今、メイクルーム出たそうなんで」
カメラさん「ちっ、あいつも偉くなったもんだなぁ」
------------------------------------------------------------------
今から1分ほど前にはそんな会話をしていたのだろうか。
スタジオ入りした途端、スタッフのするどい視線を一手に受けた。
「すいません、遅くなりました・・・」
あたしはスタッフ一人一人に頭を下げる。
ん?ちょっと、待てよ。
あたし全然悪くないんじゃないの?
車が迷うことさえなければ、あたしは時間通りにスタジオ入りしていたはずじゃん。
なんだよ、なんであたしが謝るの?
そうだ、あの新人の運転手が・・・。
23
:
くぬーぴー
:2002/12/19(木) 17:37
あたしはスタジオ内にいるであろう事務所の新人さんの姿を探す。
いた、いた!
やつは、スタジオの端っこで申し訳なさそうに・・・
(何してるんだ??あっ!)
お茶を飲んでいた。
いいな、一口くれよ・・・
じゃなくて、おい!てめぇ。
だからあたしも喉渇いてるんだってばぁ。
「はい、お待たせしましたぁ。本番まいりまーす」
結局、水分補給できないまま、本番が始まる。
そういえば、今日台本に目を通してなかった。
まぁ、いっか。ハロモニだもんね。
台本あってないようなもんさ。
で、今日は何するんだ?
スタジオのセットに目をやる。
【〜完成するまで我慢だ大会〜】と書かれた板が宙吊りされてて。
木で出来た小屋みたいなものがあって・・・。
横のテーブルにはマフラー、手袋、耳当て・・・なんだあの変なスーツは?
24
:
くぬーぴー
:2002/12/19(木) 17:39
------------------------------------------------------------------------------------
立ち位置
センター:司会、中澤
上手側:安倍チーム(安倍、保田、石川、辻、高橋、小川)
下手側:飯田チーム(飯田、矢口、吉澤、加護、紺野、新垣)
中澤「ハロモニ、500ピースのパズルを作って人質を助けるぞ大会ー!!」
メンバー「わぁーーードンドンパフパフ!!」
中澤「今日はですね、みんなにパズルを作ってもらいます」
矢口「パズルですか」
中澤「こちらにある、500ピースのパズルを作ってもらうんですが・・・」
安倍「ですが?」
中澤「あちらをご覧下さい」
保田「あっ、サウナだ」
中澤「それぞれのチームから選ばれた人質が一人だけ、あのサウナに閉じ込められます」
飯田「パズルを作ってる間?」
中澤「そうです。パズルが完成したチームの人質はサウナから出ることが出来ます」
矢口「ねえ、もしかしてあの変なスーツ着てマフラー巻いて・・・」
中澤「はい。あの特製スーツは内側がビニールで出来ていて、熱を保護してくれます」
安倍「熱そう・・・汗まみれになるんじゃないの?」
矢口「やだな、メイク落ちちゃいそう・・・」
保田「ってか、500ピース作りあげるのにどれくらい時間かかるの?」
中澤「では、両チームそれぞれ人質を選出してください」
保田「おい、あたしの質問無視かよっ」
------------------------------------------------------------------
立ち位置
センター:司会、中澤
上手側:安倍チーム(安倍、保田、石川、辻、高橋、小川)
下手側:飯田チーム(飯田、矢口、吉澤、加護、紺野、新垣)
中澤「ハロモニ、500ピースのパズルを作って人質を助けるぞ大会ー!!」
メンバー「わぁーーードンドンパフパフ!!」
中澤「今日はですね、みんなにパズルを作ってもらいます」
矢口「パズルですか」
中澤「こちらにある、200ピースのパズルを作ってもらうんですが・・・」
安倍「ですが?」
中澤「あちらをご覧下さい」
保田「あっ、サウナだ」
中澤「それぞれのチームから選ばれた人質が一人だけ、あのサウナに閉じ込められます」
飯田「パズルを作ってる間?」
中澤「そうです。パズルが完成したチームの人質はサウナから出ることが出来ます」
矢口「ねえ、もしかしてあの変なスーツ着てマフラー巻いて・・・」
中澤「はい。あの特製スーツは内側がビニールで出来ていて、熱を保護してくれます」
安倍「熱そう・・・汗まみれになるんじゃないの?」
矢口「やだな、メイク落ちちゃいそう・・・」
保田「ってか、200ピース作りあげるのにどれくらい時間かかるの?」
中澤「では、両チームそれぞれ人質を選出してください」
保田「おい、あたしの質問無視かよっ」
------------------------------------------------------------------
25
:
くぬーぴー
:2002/12/19(木) 17:40
「オイラは絶対に嫌だからね!」
輪になって人質選出会議を始めるなり、矢口さんは真っ先言い放った。
「圭織だって嫌だよ」
「加護も嫌だなぁ」
「私も嫌です」
「私も・・・」
紺野、新垣も言葉を口にする。
そうなれば、何も発言していないあたしにみんなの視線が注がれる訳で・・・。
「ちょ、ちょっと待って。あたしだって嫌ですよ」
「そうだよね。じゃあ公平にじゃんけんで決めようか?」
さすがはリーダーらしく、飯田さんは平等に事を進めようとした。
けど、あいぼんは自分はじゃんけんが弱いからと駄々をこねだした。
それじゃ、アミダクジにしようとスタッフから紙と鉛筆を借りた。
26
:
くぬーぴー
:2002/12/19(木) 17:43
「はい、じゃあこの中から一つ選んで」
アミダクジを作り上げた飯田さんの元にみんなが集まる。
「えっとね、オイラこの一番端っこ」
「どれにしよっかなぁ。加護はここにします」
「えー・・・あたしはこれに・・・」
「ちょっと待って下さい」
あたしが選ぼうと紙に手をのばしたところで、紺野の手がそれを引き止めた。
「何?」
「ずるくないですか?」
「何だよ、紺野。お前、圭織がアミダ作ってる時に答えでも見たのか?」
矢口さんは紺野を睨み付ける。
「違います。私は見てないです。けど冷静に考えて下さい。アミダにはハズレが一つあるんですよね?」
「当たり前だろ!」
「そのハズレを決めるのはアミダを作った人ですよね?」
「だから何なんのよ?」
「ってことは、飯田さんはどれがハズレかを知っているということになります」
「うん、圭織はハズレを知ってる・・・あっ!」
「ちっとも公平なクジだとは思えないんですが・・・」
「だな・・・」
「はい・・・」
みんなの視線が飯田さんに注がれる。
当の飯田さんは軽く「ちっ」と舌打ちしてから、手にある紙を破り捨てた。
27
:
くぬーぴー
:2002/12/19(木) 17:44
「危うく圭織の罠にはまるとこだったな」
矢口さんはかいてもいない額の汗をぬぐった。
「考えれば、すぐ気付くことなのに・・・」
そんな矢口さんを見ながら、紺野はボソっと呟いた。
「おーい、飯田チームは人質決まった?」
中澤さんがこちらにやってくる。
「向こうは石川が選ばれた」
梨華ちゃん?
相手チームを見ると、梨華ちゃんはすでに特殊スーツを着込んでいた。
いやだなぁ。
相手が梨華ちゃんなら絶対にあたしは選ばれたくない。
あのサウナの個室に梨華ちゃんと二人っきりなんて・・・今日は勘弁だ。
28
:
くぬーぴー
:2002/12/19(木) 17:45
「圭織がズルするからまだ決まってないんだよ」
飯田さんを指差しながら矢口さんはチクるように中澤さんに言う。
「違う、圭織はズルなんかしてないよ!」
「してんじゃんかぁ」
「いいから、早く決めろや!」
金髪の鬼の怒声が響く。
「よっすぃー今日遅刻したからよっすぃーでいいよ」
あいぼんはここぞとばかりに、笑顔であたしを見ながらそう言った。
「えーっ!それだったら紺野も一緒じゃん。遅刻したのはあたしだけじゃない」
「じゃあ、よっすぃーと紺野でジャンケン。で、負けた方が人質ね!」
「それで賛成の人、手挙げてー」
「「「「はーい」」」」
あたしと紺野以外の人は、当たり前のように手を挙げた。
「仕方ない。紺野、ジャンケンするか・・・」
「・・・はい」
しぶしぶ、あたしと紺野は向かい合う。
「いくよ?ジャンケン・・・」
「「ほいっ」」
あたしはグー、紺野はチョキ。
「やったぁーーー!!!!」
あたしは、出したグーをそのまま突き上げるようにガッツポーズをする。
紺野はチョキを出したまま、その場で固まっていた。
あら?紺野・・・泣いてるの?
29
:
くぬーぴー
:2002/12/19(木) 17:48
「紺野どうしたの?」
泣いている紺野に気付いた飯田さんが紺野の元に駆け寄る。
「いいんです・・・」
「そんなにサウナに入るのが嫌なのかぁ?」
矢口さんも紺野の側に寄る。
「ああ、よっすぃーが紺ちゃん泣かせたぁ」
あいぼんはひとごとのように、あたしを指差す。
「泣かせたって・・・じゃんけんに勝っただけだし・・・」
「あーあ、よっすぃーって、いじわるだねぇ」
「そんなこと言われても・・・」
あたしも紺野に近づいた。
紺野は顔を手のひらで隠しながらもヒクヒク泣いていた。
「よっすぃー、代わりに人質になりなよ。紺野ここまで嫌がってるんだから・・・」
紺野の背中をさすりながら飯田さんは言う。
「そうだよ!本番だって、よっすぃー待ちくらったんだからさ。罰だよ罰」
先ほどと同様、めだかはあたしに蹴りを入れた。
「でも・・・」
「よっすぃー!」
めだかの頭を片手で押さえていると、背後から人一倍甲高い声で呼ばれた。
振り返ると、すでにうっすらとおでこに汗をかいた梨華ちゃんがいた。
30
:
くぬーぴー
:2002/12/19(木) 17:50
「可哀想だから代わってあげなよ」
梨華ちゃんは表情かえることなく、あたしに言う。
相手が梨華ちゃんじゃなかったら、しぶしぶあたしも人質となったことだろう。
でも、梨華ちゃんが相手だから嫌なんだよ。
今夜、あたしは梨華ちゃんに別れ話を切り出すんだよ?
あのサウナの中で、梨華ちゃんと普通に会話なんて出来ないよ・・・。
「・・・」
返す言葉に困っていると、梨華ちゃんはあたしの耳元でこう囁いた。
「大丈夫だから・・・」
そのまま梨華ちゃんは、あたしの手をひっぱってセットに向かって歩き出した。
そっか大丈夫なんだ・・・。ならいっか。
って、え?
何が大丈夫なの、梨華ちゃん?
31
:
くぬーぴー
:2002/12/19(木) 17:51
「よっしゃ、さすがは先輩だね、よっすぃー。じゃあ、人質は石川と吉澤で決定やな」
満足そうに微笑む金髪の鬼。
で、素直に特殊スーツを着込むあたし・・・。
マフラーを巻く。
手袋をする。
耳当てをつける。
「L・O・V・E、ラブリーひとみ」
梨華ちゃんは笑顔でそう口ずさみながら、あたしの手をひいて、そのまま二人でサウナ室に入った。
そうだ、梨華ちゃん。
今、音程少しはずれてたよ?
32
:
くぬーぴー
:2002/12/19(木) 18:00
<3>が二つになってしまいました…。お恥ずかしい。
しかも、コピペもダブってしまって…。Wお恥ずかしい。
>15管理人様
どうも初めまして。駄文ですが勝手にスレ立てさせて頂いちゃいました。
何卒宜しくお願い申し上げます。PCは、やっぱアホのままです…。
>17名無しハロモニ様
レスありがとうございます。
期待に応えられるか分かりませんが、最後まで頑張ります。
33
:
名無しハロモニ
:2002/12/20(金) 16:37
凄く面白いです!
吉が不条理な世界にいるところに引き込まれますたw
サウナ室でどうなっちゃうんだろう・・
34
:
名無しハロモニ
:2002/12/20(金) 16:54
面白い!!
てか、梨華ちゃんの「L・O・V・E、ラブリーひとみ」
が、ききた〜〜〜〜い!と思いました。
続きドキドキしながら待ってます。
35
:
名無しハロモニ
:2002/12/22(日) 18:42
続き楽しみなんですが、悲しい話にならなきゃいいな〜って、思っています。
36
:
名無しハロモニ
:2002/12/23(月) 01:26
おーいよしざわー!
おまえまちがってるぞー!(w
37
:
くぬーぴー
:2002/12/25(水) 17:13
<7>
サウナ室はすでに熱気が充満していて喉がはりついてしまうくらいの熱さだった。
ただでさえ、スタジオ内はライトで熱いのに・・・。
入ってから1分もしないうちから、あたしは汗を掻き始めた。
梨華ちゃんにいたっては先に特殊スーツを着ていたせいもあって、汗が流れ出していた。
「熱いね・・・」
梨華ちゃんはおでこの汗をぬぐいながら、呟いた。
「うん・・・」
こんな短い言葉を発するのも辛い状況だった。
あたしの身体は物凄い勢いで水分を求めていた。
喉が渇いてしかがたない・・・。
サウナ室の扉は、外が見えるようにガラス貼りになっていた。
2チームがそれぞれパズルのピースを手に、夢中になって作業に取り掛かっている。
サウナ室内からは外の音は一切聞こえなかった。
たぶん、こっちの声も向こうには聞こえないのだろう。
38
:
くぬーぴー
:2002/12/25(水) 17:15
「パズル、どれぐらいで完成するのかな?」
隣に座った梨華ちゃんが話し掛けてきても、あたしは、ずっとその作業の様子を眺めていた。
目線を合わせたくなかった。
「分かんない・・・」
「こんなに熱いと汗でメイク落ちちゃうね」
「だね・・・」
「耳当てピンクだから嬉しい」
「うん」
「どっちが先に出れるかな?」
「どっちだろうね」
「サウナ好きだけど、これは辛いよね?」
短い返答で会話を済ませるあたしに対抗するかのように、梨華ちゃんは次から次へと言葉を紡ぎだす。
39
:
くぬーぴー
:2002/12/25(水) 17:16
「よっすぃー、汗すごいよ?これで拭きなよ」
視界に梨華ちゃんが差し出したタオルが映る。
「いいよ」
「目に汗入るとしみるよ?はい、これで拭いて」
手に強引にタオルを渡された。
それでも、あたしは梨華ちゃんの方を振り向くことなくみんなの作業風景を眺めつづけた。
「よっすぃー・・・なんでシカトするの?」
「・・・してないよ」
「じゃあ、こっち見て答えてよ」
「みんなの作業を見ていたい・・・」
「・・・・・・」
ごめんね。梨華ちゃん。
夜になったら、全部ちゃんと話すから。
どっちにしても、ごめんねだね。
別れ話するんだから・・・。
40
:
くぬーぴー
:2002/12/25(水) 17:18
<8>
それにしても熱い。
サウナ室に入ってどのくらい時間がたっだんだろうか?
いや、熱いだけならまだ我慢しよう。
苦しくらいに喉が渇いていた。
気のせいか、少し視界がクラクラする。
今なら、バケツ一杯分の水を飲み干せる自信がある。
外で作業しているあいぼんと目が合った。
あたしは口パクで「は・や・く」と伝える。
するとあいぼんは、あたしに向かって何か叫んだ。
「なに?わかんないよ!」
あたしは声に出しつつ、両手を挙げて分からないポーズを取った。
するとあいぼんはカンペ用のスケッチブックに何か書き込んでこちらに見せた。
『我慢しろ。いいダイエットになるよ』
41
:
くぬーぴー
:2002/12/25(水) 17:19
「・・・」
「っぷ」
隣にいた梨華ちゃんも、あいぼんのカンペに気付いたのだろう。
小さく噴出した。
あたしはそこである事を思いつく。
今、サウナ室から飛び出して、あいぼんを追い掛け回そうかと。
その方が、相手チームは「よっすぃーずるいよぉー」とか言ったりして、
番組的にも、私的にもおいしい流れになるんじゃないかなと。
あたしは立ち上がって、勢いよく扉に体ごとぶつかった。
「こらぁ、あいぼーん!」と叫びながら。
けど扉は開かれることはなく、逆にあたしが跳ね返されてしまった。
「痛ぇ」
床に背中からゴロリと倒れこむ。
どうやら、扉には外から鍵をかけられているらしい。
そうだよね、じゃなきゃ簡単に人質は逃げ出してしまう。
「よっすぃー、大丈夫?」
梨華ちゃんは心配そうにあたしを覗き込んだ。
「外、鍵掛かってるんだよ。知らなかったの?」
梨華ちゃんはそのまま立ち上がると、あたしに手を差し伸べる。
でもあたしは、その梨華ちゃんの差し伸べた手を無視して自力で立ち上がる。
立ち上がる・・・立ち上がろうと・・・
あら?立ち上がれない?
42
:
くぬーぴー
:2002/12/25(水) 17:20
「どうしたの、よっすぃー?」
いつまで経っても自分の腕を掴んでくれないあたしを不審に思ったのか、
梨華ちゃんは強引にあたしの腕を掴む。
自力で立ち上がれないあたしは、素直に梨華ちゃんの腕にすがった。
梨華ちゃんはあたしを起こそうと引っぱりあげる。
途中まで起き上がれた。
でも、力が出せなくて、
あたしの手は梨華ちゃんの腕からも離れてしまう。
「よっすぃー!!」
梨華ちゃんの声がする。
でもなんか、梨華ちゃんの声はすごく遠くに聞こえて。
あ、背中が痛てぇ。
あら?あたし、また倒れたの?
「大丈夫?ねえ、しっかりしてよ!」
梨華ちゃんがあたしの身体を揺さぶる。
「大丈夫だよ」
声に出したつもりだけども、あたしはもう声も出せなくなってるみたいで。
口だけがパクパクと動く。
「やだぁ、ねえちょっと!よっすぃー!!」
なんで梨華ちゃん、そんな泣きそうな顔してるの?
って、泣いちゃったよ・・・
泣かないでよ。ごめん、悪かったよ。
梨華ちゃん、今度はちゃんと梨華ちゃんの腕掴むからさぁ。
43
:
くぬーぴー
:2002/12/25(水) 17:21
「どうしたの、よっすぃーってば!ねえ、しっかりしてよ!」
あ、嬉しいね。この特殊スーツ脱がせてくれるの?
すげぇ、熱かったんだよね。
梨華ちゃんも脱いだ方がいいんじゃない?
だって、すごい汗かいてるもん。
少しタオルで拭いた方がいいよ?
「誰か、来てぇ!よっすぃーがっ!ねえ、早くドア開けてよ!」
梨華ちゃんがサウナ室の扉を叩いてる後姿が目に入る。
そんなに叩くと、手怪我しちゃうよ?梨華ちゃん。
「早く!開けてってば!ねえ、よっすぃーがっ!早くー!え、何?聞こえないよ!」
梨華ちゃんはすごく混乱してるようだった。
泣き叫んでるのに、それでも扉は開けてもらえなくて。
「何で?なんで開かないの?鍵?鍵がないの?」
え?
ちょっと待ってくれよ。
鍵なくした?
何これ?拷問?
やべぇ、シャレになんないくらいに喉渇いた。
あたしの身体はもう汗さえかけないくらいに、水分が・・・
ああ、紺野に紅茶貰えば良かった。
いや、収録前に何か飲めばよかったんだな。
ううん、違う。
車が道に迷うことなく、ちゃんとコンビニ寄ってくれてれば・・・
あの新人・・・恨むぞ・・・。
44
:
くぬーぴー
:2002/12/25(水) 17:24
「よっすぃーしっかりして!大丈夫だから。もうすぐでドア開けてもらうからね!」
梨華ちゃんはなおも扉を叩きつける。
大丈夫・・・大丈夫なの?
入る前にも梨華ちゃんそう言ったよね、大丈夫だからって。
で、何が大丈夫なんだろ?
でも不思議だね。
梨華ちゃんに「大丈夫」って言われると、大丈夫のような気がしてくるよ。
『パリン』
遠くでガラスの割れる音がした。
少しだけ冷たい空気がサウナ室に入ってくる。
気持ちがいいな。
あ、梨華ちゃん。
ドア開いたの?
まだ?
そっか、まだドアは開かないのか・・・
口元に冷たい感触。
あ、水じゃん。
やっと飲めるんだね。
嬉しいよ。
でもさ、喉が張り付いちゃって・・・
上手に飲めないよ・・・。
って、梨華ちゃん、なんだよ。自分が飲むのかよ!
45
:
くぬーぴー
:2002/12/25(水) 17:26
・・・と思ったら、水を口に含んだ梨華ちゃんの顔があたしに近づいてくる。
梨華ちゃん、もう汗だか涙だか分からない顔だね。
ふふふふ、これ放送したらヤバイでしょ?
そんな梨華ちゃんだと、ファンの人、がっかりしちゃうよ?
・・・・・・。
梨華ちゃん、ダメだよ。
収録中だよ?何でキスしてくるの?
ダメだってばさ・・・あ、水だ。
『ゴクリ』
もっと・・・欲しいな。
梨華ちゃん、もっと頂戴よ・・・。
テレビの収録だろうと、みんなが見ていようと、そんなのは気にならない。
あたしは梨華ちゃんから何度も水分を・・・あたしを助ける為のキスを受け取った。
この水分に名前をつけてあげよう。
当たり前じゃん、もちろん『梨華』って名づけるよ。
『梨華』が、あたしの体内に広がっていく。
あたしが倒れるまで求めた『梨華』が、今あたしの色んな感覚を蘇らせてくれる。
生き返らせてくれて、ありがとう『梨華』。
あたしには『梨華』が必要だ。
今あたしが助かるためにも、それに生きていくためにも『梨華』が必要・・・なんだね。
46
:
くぬーぴー
:2002/12/25(水) 17:28
<9>
目が覚めた時、見たこともない天井が視界に入った。
驚いて辺りを見渡す。
あたしの腕には細いチューブが繋がれていて・・・
あ、点滴だ。
そっか、ここは病院なんだ。
マネージャーさんの話によると、
あの後、収録は中止になって、脱水症状だったあたしはすぐに病院に運ばれたらしい。
大事を取って、今日一晩入院しなくてはならないようだ。
「あの、みんなはどうしたんですか?」
あたしは、収録を止めてしまった事をメンバーに謝りたかった。
「今日は解散したよ。収録は後日撮り直しすることになったから」
「また同じやつを?」
「まさか。今度はパズルだけでね」
マネージャーさんは、微笑みながらあたしのおでこにかかった髪の毛を掻き分けた。
47
:
くぬーぴー
:2002/12/25(水) 17:30
「色々とすみませんでした・・・」
「まさか、吉澤が倒れるとは・・・って、鍵を失したことも問題だけどね」
「あの・・・梨華ちゃんも家に帰ったんですかね?」
梨華ちゃんのことが心配だった。
迷惑も散々掛けたし。
「石川なら今、治療してもらってるよ」
「治療?何で・・・」
「ほら、バカみたいにドア叩きまくって、ガラス割ったからね」
「梨華ちゃん、怪我したんですか?!」
「ん、拳をね。思ったより深かったから、たぶん何針か縫うんじゃないかな」
「・・・そうですか」
梨華ちゃんが手を怪我した。
あたしのせいで。
可愛らしい華奢な梨華ちゃんの手が・・・。
あたしを助ける為に・・・あの小さな拳がガラスを叩き割った。
必死にドアを叩く梨華ちゃんの後姿を思い出したら、涙がこぼれてきた。
48
:
くぬーぴー
:2002/12/25(水) 17:32
「吉澤は石川に愛されてるんだね。さすがにちょっと口移しにはみんな驚いてたけど」
マネージャーさんは少し笑いながらもあたしの涙を拭ってくれる。
「ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・」
何に対しての謝罪だろうか?
事務所に黙って、梨華ちゃんと付き合っていたことへの謝罪?
それとも、怪我をさせてしまった梨華ちゃんへの謝罪?
どちらにしても、あたしは謝りたかった。
あたしは「ごめんなさい」を繰り返しながら、頭から布団をかぶって泣き続けた。
そうだ、この涙・・・。
これはあの『梨華』かもしれない。
そう思うと、更に胸が締め付けられて
あたしの目からは『梨華』がとめどなく溢れ続けた。
49
:
くぬーぴー
:2002/12/25(水) 17:40
メリークリスマスっと。
更新は以上です。たぶん、次回が最終話になるかと思います。
>33 名無しハロモニさん
レスありがとうございます。
確かに不条理な世界ですね。
自分でも書いてて「なんじゃこりゃ?」って思ってます(w
サウナ室ではこうなりました。
>34 名無しハロモニさん
レスありがとうございます。
梨華ちゃんの「L・O・V・E、ラブリーひとみ」私も聞いてみたいものです。
カラオケで歌ったりしたことあるんですかね、石川さんも。。。
>35 名無しハロモニさん
レスありがとうございます。
今のところ、悲しい話ではないと思うので・・・このままたぶん・・・
どうだろ?気まぐれ作者なので(w
>36 名無しハロモニさん
レスありがとうございます。
勘違いよっすぃーを描きたかったので、
そのようなツッコミ頂けて嬉しい限りでございます。
んでわ、今週中にはまた更新出来たら頑張ります。
50
:
名無しハロモニ
:2002/12/26(木) 17:14
続きキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!
楽しみにしています。ガンガッテください!!
51
:
名無し新年
:2003/01/02(木) 11:40
吉には、梨華ちゃんが必要だよう…。
続きが気になるます。
ガンガッテクダサイ!
52
:
くぬーぴー
:2003/01/09(木) 16:45
明けましておめでとーございます。
昨年中に終わらせるつもりだったのですが、
文書を保存したフロッピーをなくしてしまいました。
いい訳みたいで申し訳ないのですが、今探しているところです。
来週になっても見つからなければ、新たに書き直します。
読んで下さった皆様には申し訳なく思っております。
がんがります。
53
:
名無し新年
:2003/01/09(木) 19:19
フロッピーご愁傷様です。(あ!探し中ですね
いつまででも、マターリ待ちますよ!!
ガンガッテください!!
54
:
名無し誕生日
:2003/01/19(日) 15:22
まってますよ〜〜〜〜!!
55
:
くぬーぴー
:2003/01/23(木) 00:05
<11>
翌日、あたしは退院をした。
でも大事を取って1週間休むように言われた。
梨華ちゃんも手の怪我のせいで同じく1週間休みを言い渡されたらしい。
その1週間は、あたしは外に出る訳でもなく、かと言って梨華ちゃんと会う訳でもなく、家でノンビリと過ごした。
毎日のように梨華ちゃんとは電話やメールでお話をした。
他愛もない話。
今テレビ見てる?とか、ご飯何食べたとか。
普段と変わらない関係。
あの日、あたしは何で梨華ちゃんに別れを告げようと思ったのか?
今となってはよく分からない。
56
:
くぬーぴー
:2003/01/23(木) 00:06
1週間ぶりの仕事。
それは、本番中に倒れてしまった回のハロモニの撮り直しだった。
先週とは違って小川と紺野を途中で拾っていかなくていいので、14時出発。
家の前に付けられた車に乗り込むと、運転手の新人さんが声を掛けてきた。
「もう体調大丈夫ですか?」
ヘラヘラと笑う姿に少し腹が立った。
お前が道に迷わなければ、あたしはコンビニに寄れて、
脱水症状を起こす事もなかったかもしれないのに。
「お陰さまで…」
あたしがちょっと不機嫌そうに答えると、彼は少し恐縮したように
「では、出発しますか…」と独り言のように呟いてから、車を発進させた。
スモークの貼られた窓から外を見る。
見慣れた景色。
晴れてるのに、曇ったような景色…。
窓の端の方に目をやると、スモークのフィルムが少しはがれていた。
あたしは運転席に座る新人さんの目を盗んで、
少しずつスモークフィルムをはがした。
自分の顔分くらいフィルムをはがすと、外の光が入ってきたのか
少しだけ車内が明るくなったように思えた。
57
:
くぬーぴー
:2003/01/23(木) 00:07
車の横を並行して走るスクーターがいた。
赤信号で止まった時、そのスクーターを運転している人と目が合った。
スモークが、顔一つ分はがされてるから、向こうからもあたしが間違いなく見えているはずだ。
スクーターに乗っていたのは、あたしと同い年くらいの男の子。
その彼と目が合った途端、あたしは、窓を開けてから、笑顔で彼にこう言った。
「スクーター乗る時は、ヘルメットした方がいいですよ!」
あたしが言い終わるのと同時くらいに車は動き出した。
でも、スクーターの彼は、見ず知らずの人にいきなり話しかけられて驚いたのか…すぐには走り出さなかった。
窓から少し顔を出して、あたしの髪の毛は風に揺れる。
よくよく考えてみると、スモークはがさないでも、窓を開ければ済んだ事じゃないのかな?
今になってそんなことに気付く。
「吉澤さん」
運転席から声を掛けられる。
バックミラー越しに、目が合う。
「あのぉ、コンビニ寄りますか?」
先週、立ち寄れなかったことを少しは反省しているのか、
申し訳なさそうに彼はあたしの様子を伺う。
58
:
くぬーぴー
:2003/01/23(木) 00:07
「いやぁ、今日はいいですよ」
「そうですか。先週…すみませんでした…僕が道に迷ってしまったのに」
「ああ…別に…そんな気になさらないで…」
あたしもそうだけど、この新人さんもすごく口下手な人なのではなかろうか。
彼はこちらに一度も振り返る事はなく、それでも頭をペコペコとさせていた。
ま、運転してるんだから、後ろ振り向かれても恐いんだけどね。
この人に対して怒りがまったくないというと嘘になる。
先週…彼が道に迷ったせいで、あたしはコンビニにも寄れず、本番では脱水症状を起こし、倒れて・・・
だけど、そのお陰で、あたしは梨華ちゃんと別れずにすんだのも事実だ。
歯車一つずれただけで、あたしと梨華ちゃんの運命も大きく変わったのだ。
ん?運命?
そんな言葉で表現するのは少々照れ臭いが…
それでもやっぱ運命なんだと、あたしは思う事にした。
59
:
くぬーぴー
:2003/01/23(木) 00:08
カバンの中から、あたしの携帯がメールの着信を知らせる。
携帯と取り出してメールをチェック。
梨華ちゃんからだった。
【もうすぐスタジオに着く?私はもう着いたよ。あのね、突然だけど大事な話があるの。今夜うちに来れるかな?】
大事な話…。
先週、あたしが送ったメールと似てるな。
もしかしたら、梨華ちゃんの方から別れ話でも切り出されちゃうのかな?
ちょっと不安になる。
でもさ、先週は乗り切ったんだよ?あたし達。
予定通りにいかなければ、あたし達は別れる事はないんだから。
歯車が一つだけずれてしまえば…
もしも、ずれないんだったら…どうすればいい?
答えは簡単。
自分からずらしてしまえばいいんだ。
60
:
くぬーぴー
:2003/01/23(木) 00:08
一番後ろに座っていたあたしは、一つ前の席に移動をした。
バックミラー越しに、新人さんが不思議そうにあたしを見る。
あたしは、笑顔を向けた。
そのあたしの笑顔に対して、彼も笑顔を向けてくれる。
今だ!
あたしは、背後から新人さんの目元を片手で隠すと、
もう片方の手でハンドルを大きく左に切った。
「おいっ!何するんだ・・・」
運転手が必死にあたしの手を払おうとする。
でも時すでに遅し...。
あたし達を乗せた車は、対向車線に飛び出すと同時に、
トラックと正面衝突をした。
61
:
くぬーぴー
:2003/01/23(木) 00:09
・
・
・
・
・
・
・
・
・
62
:
くぬーぴー
:2003/01/23(木) 00:10
----------------------------------------------------------
『よっすぃー・・・ごめんね・・・』
いいよ、謝らないで。
『私のわがままだよね・・・本当にごめんなさい』
だから、いいってば・・・。
『よっすぃーといると楽しかった』
うん、楽しかった
『よっすぃー・・・』
なに?
『大好きだったよ、ありがとう・・・』
あたしは今も大好きだよ・・・梨華ちゃん・・・。
吉澤ひとみ、17歳。
梨華ちゃんと別れるくらいなら、
歯車を・・・自分でずらしちゃいます。
ごめんね、梨華ちゃん。
大好きだよ、梨華ちゃん。
−fin−
63
:
くぬーぴー
:2003/01/23(木) 00:20
どうも、すみません。
あのぉ、自分で書いてて何じゃこりゃって思ってたんですけども…
でも、たぶんですが、これ続きを書こうと思ってます。
こんな駄文でも読んで下さった方には、本当感謝しております。
ありがとうございました。
64
:
くぬーぴー
:2003/01/23(木) 00:26
>50 名無しハロモニさん
レスありがとうございます。
楽しみにして下さってありがとうございました。
>51 名無し新年さん
レスありがとうございます。
続き、ガンガリました。
つくづく、吉には梨華ちゃんが必要なんだなと思いつつ。
>53 名無し新年さん
フロッピー見つからず、結局書きなおしました。
内容は変わってないんですけども、
若干、フロッピーに保存されてたものとは違うものになりましたが。
>54 名無し誕生日さん
レスありがとうございます。
待って頂けた事感謝しております。
ちょっと時間が経ったら、続きを書こうと思います。
また、お会いする日まで。
最後に、管理人様、このような駄文を披露できる場所を提供して頂き、
誠にありがとうございました。
これからも、宜しくお願い致します。
65
:
オガマー
:2003/01/23(木) 02:25
なんてこった!!
でも、続きがあるらしいのでちょっとは安心していいのかな?(ドキドキ
お疲れサマです。面白かったですよほ。
続きマターリ待ってますねー。
66
:
YUNA
:2003/01/23(木) 17:38
一気に読ませていただきました。
なんか、心臓がまだドキ②いってます...(苦笑)
続きがあるんですかっっっ!?
楽しみに待っています。
67
:
管理人
:2003/01/24(金) 14:10
くぬーぴーさん。完結お疲れ様でした。
駄文だなんてとんでもないです!楽しみにしていた一人ですから(w
こちらこそ、ここで書いて頂きありがとうございます。多謝。
でも、でも、続きをお願いします。。。。。
きゅ救心下さい。。。。(0T〜T0)
続き待ってま〜〜〜す!!
68
:
名無しジェンヌ
:2003/01/25(土) 20:20
ヒサブリに来たらオワッテル━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!
お疲れ様でした。
続き期待!期待!
( T▽T)<このままじゃ悲しすぎるっ…。
69
:
ご利用も計画的に
:2003/01/31(金) 16:28
<1>
あの事故から1ヶ月が過ぎた。
メンバーもダイブ落ち着きを取り戻してはいるようではあったが、
それでも楽屋はかなり静まり返っていた。
一番お喋りな加護さんは、一人ウォークマンを聴いていて、完全に「私は誰とも話したくないんだよう」モードであったし、
あの辻さんは、一日五食から三食になったようだし、
愛ちゃんは訛りたくとも標準語しか話せなくなってしまったし、
矢口さんは吉本新喜劇のビデオ鑑賞を始めるし、
保田さんは何を思ったのか「wow wow wow」の振り付けを、アヤカさんから教わってるし、
安倍さんは「やばくねぇーか?現状だとなっちが一番太って(ry…べさ)と体重計と睨めっこ、
飯田さんは「はぁ、お陰ですっかり夜はご無沙汰になっちゃったよ」と呟きながら今夜も交信中、
里沙ちゃんは「眉毛ビームよりもさ、みんな愛してるぜぇグレイトォ!の方がいいよね?」とコンサートでの挨拶を盗むつもりらしいし、
まこっちゃんにいたっては、富良野行ったきり戻ってこないし…。
とにかく、あの事故以降、みんなの中に確実な変化があったようだ。
70
:
ご利用も計画的に
:2003/01/31(金) 16:29
そんな中で、普段と変わらない姿勢を続けていたのが石川さんだった。
相変わらず寒いギャグを言うし、相変わらず色黒いし・・・それは関係ないか。
とにかく、石川さんは暗い雰囲気を吹き飛ばそうとするかのように、必死に明るく振舞っていた。
「ね、あいぼん、この洋服、昨日買ったんだけど、どう?似合うかな?」
黙々とウォークマンを聴く加護さんに話し掛ける石川さん。
「・・・・・・・・・・・・。」
あからさまにシカトする加護さん・・・。
「ね、ののちゃん。私のお弁当あげようか?」
お弁当を一つしか食べない辻さんに話し掛ける石川さん。
「・・・・・・もう食ったからいらねーのれす!」
やっと反抗期を迎えた様子の辻さん・・・。
「ねえ高橋、ラブリーのキャラは訛ってこそラブリーよ?」
訛れなくなった愛ちゃんを心配して話し掛ける石川さん。
「・・・・・・かたじけない。だがしかし、拙者にはもう無理のようでござる」
標準語じゃなくて、それじゃ時代劇だよ愛ちゃん・・・。
「矢口さぁーん、何見てるんですか?」
血眼になって新喜劇ビデオを見る矢口さんに話し掛ける石川さん。
「かいーの」
めだかネタを辞めて寛平になるらしい矢口さんは石川さんに自分のお尻を・・・。
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