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『石川さんと呼ばないで』〜番外編〜

1名無しベーグル。:2002/08/14(水) 01:15
昔、桃板に書いてた駄作の番外編です。

2『石川さんと呼ばないで』〜番外編〜:2002/08/14(水) 01:17

-1-

 時は過ぎて、梨華は高校三年、ひとみは高校二年になり、7月、終業式の帰り道のこと。

 これから夏休みなのに、梨華は浮かない顔。
 梨華の心とは正反対に外は憎らしいくらいの夏空が広がっている。

「あ゛ー。もぅ…最悪」
 梨華は大袈裟に溜息をついて見せた。
「補習。カテキョ決定だね」
 嘆く梨華を横目に、ひとみは余裕の笑みを浮かべる。
「他人事だと思って…」
 梨華はふくれっ面になりながら、ひとみを睨んだ。
「だって、他人事だし…」
 ひとみは興味なさ気に言った。

3『石川さんと呼ばないで』〜番外編〜:2002/08/14(水) 01:17

 二学期の成績が悪かったら、家庭教師をつけると梨華の母に言われていた。
 二学期からなんて事自体が、既に遅いような気がするのだが。

「大体梨華が頑張らないから」
 梨華と違ってひとみは、あまり勉強しなくても常に上位の成績である。
 だから、余計に梨華は不公平に思えるのだ。

「頑張ってるもん…」
 梨華はひとみの制服のシャツの袖を掴むと引き寄せた。
(ひとみに関してはね…)
 
 やっと素直にひとみに甘えられるようになったのは、つい最近。
 ひとみも以前に比べたら優しくなったように思える。相変わらず可愛くない物言いも多いけれど。

4『石川さんと呼ばないで』〜番外編〜:2002/08/14(水) 01:18

「勉強も頑張らないとダメじゃん」
 ひとみは梨華の腰元を引き寄せると、素早くキスをした。

「…ひとみ!?」
 しかし、すぐにひとみは梨華から離れた。
「梨華が頑張って結果出せたら、梨華のお願い叶えてあげるよ」
 ひとみは何の気なしに言うが、梨華は物凄い勢いで食いついてきた。
「ホ、ホントに?」
「…ぅ、ぅん…」
 あまりの勢いにひとみはたじろぐ。
「じゃぁ頑張る!」
 梨華は拳あげてGo! Go! 宜しくキッパリ言った。
「単純…」

 だったら、初めから頑張ればいいのに…と、ひとみは思ったが言わない事にした。

5『石川さんと呼ばないで』〜番外編〜:2002/08/14(水) 01:18

「大体、梨華は受験生の自覚ないだろ」
「だって…」
 本人を目の前にして”ひとみの傍にいられればいいから”とは言えず黙り込んだ。

「梨華の母さんだって、心配してんじゃん。だからカテキョつけるって言ったんだろ?」
「分かってるよー」

 それでなくても最近、母は良く家に帰ってくるから、梨華としては夜の生活がなくて
不満なのだ。
「ホント、悪循環…」
「なにが?」
「なんでもないっ」
 梨華はそっぽを向く。
「素直じゃないなぁ。梨華は」
「ひとみに言われたくないっ」
「まっいいけど…」
 ひとみは、そのまま梨華を置いて、再び歩き出す。
「待ってよ。ひとみ!」
 梨華は諦めてひとみの後を追った。

6名無しベーグル。:2002/08/14(水) 01:26
多少(多少か?)エロになりそうですが、
よろしくおながいします。m(_ _)m

7管理人@よすこ。:2002/08/14(水) 01:29
第2号ありがとうごじゃいます。(感涙)
エロ大好き。続き期待楽しみにしております。

8じじ:2002/08/14(水) 01:30
名作『石川さんと呼ばないで』復活おめ!
激しく期待!
エロにも期待!
続き期待!

9501:2002/08/14(水) 01:30
お待ちしておりました!!
甘える梨華たんが(・∀・)ノ イイ!!
エ●もめちゃくちゃ楽しみにお待ちしてます♪

10オイラ:2002/08/14(水) 01:42
待ってましたぁぁぁぁぁ!!!
エロに激しくキターイ。
素直じゃない(^▽^)萌え。

11理科。:2002/08/14(水) 04:09
べ、べー。の『いしかーさん』がキタ―――――!
嬉しすぎですが何か?(w
激しく期待です♪

12総長@さわやか。:2002/08/14(水) 22:56
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!
性格の変わりつつある、いしかーさん (・∀・)イイ!!(爆)
激しくキボンヌ(←何を?ってそりゃ、何を。。。

13『石川さんと呼ばないで』〜番外編〜:2002/08/16(金) 13:47

-2-

 家に着いてみると、玄関に見慣れない靴が置いてあるのに気付く。夏物の女性サンダル。
 来客が若い女性である事はすぐに分かる。そしてリビングから聞こえてくる母と女性の声。

「もしかして…」

 帰って来た事に気付いた母が、リビングから出てくる。
「梨華、丁度良かった。家庭教師の方が見えてるの。ご挨拶しなさい」
「ママ、早すぎるじゃない」
 梨華は今日来る事は聞いていなかったから不平を言った。
「全然早くないわよ。一学期からついてもらえば良かったわね」
「ママ!」
 隣でひとみは、クックと笑っている。
 梨華は渋々リビングに入り、挨拶をした。

「よっ吉澤梨華です」
 ようやく石川姓から吉澤を名乗るのも慣れたが、やはり緊張する。
「ひとみちゃんも挨拶したら?」
 梨華の母に言われ、ひとみもどんな人か興味があるから顔を覗かせた。そして凍り付く。

14『石川さんと呼ばないで』〜番外編〜:2002/08/16(金) 13:48

―――いっ飯田さん…。なんで、ここに!?

 普段ポーカーフェイスのひとみも動揺を隠せない。
 ひとみより先に飯田が口を開いた。

「吉澤! 久しぶりぃ〜」
 片手を挙げながら、軽く微笑む。
「お久しぶりっす…」
「やっぱり、吉澤んちだったんだ。一度も来たコトなかったけど、確か、この辺だったよ
 なぁ〜って思ってたんだよね」
「あ、あの飯田さん、ちょっと…」
 飯田の腕を掴むと、ひとみは自分の部屋に彼女を連れ込む。
 こんな事をする方が怪しまれるが、飯田が何を言うか分からないから敢えて
危険を承知で部屋に入れた。

15『石川さんと呼ばないで』〜番外編〜:2002/08/16(金) 13:48

「どうしたんだよ吉澤。凄い汗だぞ?」
 飯田の、ひとみに負けず白くて細長い指が、ひとみの額に触れる。
 ひとみは、それだけでドキリとした。
「だ、大丈夫っす。驚いただけっすから…」
「それならいいけど…」
 飯田は、指をそのままなぞるように口元に移動させる。
「飯田さん…」
 ひとみは、飯田の大きな瞳に吸い込まれそうになりながら動けずにいた。
 心臓の鼓動が高鳴る。
「吉澤カワイイね。前よりも…」
 飯田の指がひとみのくちびるをなぞり始める。
 それだけの事なのに、ひとみは酷く緊張した。

16『石川さんと呼ばないで』〜番外編〜:2002/08/16(金) 13:49

「安心して。梨華ちゃんには言わないから」
 スッと指がくちびるから離れる。
「え…?」
 ひとみは一瞬困惑した表情を見せた。

「言わなくてもカオリには分かるよ。梨華ちゃんが、今一番大事な彼女だってコトぐらい」
「飯田さん…」
「あまり長いと怪しまれるんじゃない? 梨華ちゃんやきもち凄そうだし」
 飯田はフフッと笑うと、ひとみより先に下へ降りていった。

17名無しベーグル。:2002/08/16(金) 13:55

カヲリ様を出したかったから(w。個人的趣味すみません。

>7 管理人@よすこ。さん
新作は無理です。っていうか、あやゃBDの話でさえ、途中で終わって(苦笑)。

>8 じじさん
結局手直ししないでうpしました。

>9 501さん
501さんも新作おめ。あとで読みます♪

>10 オイラさん
(^▽^)-3-では、少し素直になる…かな?

>11 理科。さん
リクに答えてみました。理科。ヲタだから(w。

>12 総長@さわやか。さん
一応,吉も性格優しくしたんですが…。
みんなエロですな(苦笑)。

18オイラ:2002/08/16(金) 14:01
更新キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!
個人的趣味ばんざーーーーーい!
いいらさんの指はえっちぃ。。。

19(0`〜´0)よすボーン:(0`〜´0)よすボーン
(0`〜´0)よすボーン

20総長@さわやか。:2002/08/16(金) 17:08
カヲリ (・∀・)イイ!!
あぁ、めくるめく妄想が。。。掃除機掛けながら(ry

21理科。:2002/08/16(金) 19:53
ヤバい…。
べー。、本気だ(w
そぉとぉドキドキしてますが何か?
なまら楽しみだべ♪

22『石川さんと呼ばないで』〜番外編〜:2002/08/18(日) 15:41

-3-

 今日は話だけと言う事で、飯田が帰ったのは、それから約一時間後。

「飯田先生と何が? 教えてよ」
 乱暴にひとみの部屋のドアがノックされ梨華が飛びこんできた。
 ひとみはベッドに寝そべりながら梨華を見る。

「制服ぐらい着替えたら?」
 さっきの慌てた素振りから一転して、いつもの調子でひとみは答える。

23『石川さんと呼ばないで』〜番外編〜:2002/08/18(日) 15:43

「答えになってないっ」
 梨華は、ベッドの上に乗ると、ひとみに迫った。
「梨華だって答えてない」
 ひとみは起きあがると、飯田が自分にしたように、梨華の頬に手を添えてみる。

「な、なによ。急に」
 梨華はビクついたが、まだムスッとしていた。
「あ゛。ぁぁ…別に」
「別にって…」
 予想に反したひとみの返答に梨華は明らかにガッカリして見せた。
 飯田に見つめられた時のようなゾクゾクした気持ちは梨華には起こらない。

―――まだ、飯田さんのコト好きなのかな…。

24『石川さんと呼ばないで』〜番外編〜:2002/08/18(日) 15:44

 しかし、神妙な面持ちで自分を見ているから、梨華も不安になる。
 ひとみも梨華を見つめ、そのまま手をくちびるにスライドさせた。
「ひとみ?」
 梨華のくちびるをなぞろうとした時、梨華に名前を呼ばれ、ハッとして手をゆっくりと放した。

「どうしたの?」
 梨華は少し頬を染めて訊ねてくる。いつもとは違う様子のひとみを見つめる瞳。
 しかし、そこには先ほどの不信感は、なかった。

「梨華…。少しはドキドキした?」

 ひとみは自分も飯田と同じ事をした事に妙に照れくささを感じつつさりげなく聞いた。

25『石川さんと呼ばないで』〜番外編〜:2002/08/18(日) 15:44

「うん…。キスするかと思った」
 素直に答える梨華に、ひとみは少々バツが悪くなる。
 何と返せば良いか迷っていると、梨華も同じように頬に手を添えた。

「Kissがしたい」

 まっすぐ梨華の視線がひとみにぶつかり、ひとみは視線を外せなかった。

「梨華…」

 ひとみは飯田の時と同じように、身動き出来ずにいた。

26『石川さんと呼ばないで』〜番外編〜:2002/08/18(日) 15:44

「ひとみもドキドキする?」

 いつもはぐらかすひとみだから、きっと今日も、ひねくれた答え方をするに
違いないと梨華は思いつつ、敢えて言ってみた。

 不覚にもひとみは、ドキドキしてしまう。
 梨華は狡いと思いながらも、ひとみは自分が一番狡いと思い直し素直に認めた。

「うん。梨華に吸い込まれそう」
「え?」

 梨華のひとみのくちびるをなぞる指が止まった。

27名無しベーグル。:2002/08/18(日) 15:52

更新しますた。色々迷い中。暫く更新ない…かも?

>18 オイラさん
今後、いいらさんと吉澤が…(まだ未定)。

>20 総長@さわやか。さん
あんまり、カヲリ先生と絡めると、梨華タンが可哀相なんで
悩むところです(w。

>21 理科。さん
理科。タンに喜んでもらえれば、それでヨシ!

あんまりエロくしたくないぽ。

28理科。:2002/08/18(日) 21:22
べー。最高です…。
ってか読んでる私がドキドキですが何か…?
いいらさんとの絡みが気になる今日この頃。。。

29総長@さわやか。:2002/08/18(日) 22:20
絡めたくなくても、吉の心の中に忍び寄るカヲリの影。。。。プププ
ヲレも気になる(笑)。

30ごまべーぐる:2002/08/19(月) 07:09
いいらさん、ステキです。
よしかおってナゼにあんなにエロいのか?
続き楽しみにしてます。

31『石川さんと呼ばないで』〜番外編〜:2002/08/21(水) 18:51
-4-

 ひとみの予想しなかった科白に梨華は素に戻り黙り込んでしまった。

「どうした? 梨華?」

 ひねくれ者のひとみが、あまりに素直で優しいから梨華は戸惑ってしまう。

「ひとみじゃ…ないみたい…」

 梨華の答えにひとみは首を竦め、髪を掻き上げた。

「可愛くないヤツ」
「何よー……」
「梨華からキスしてくれるって期待してたんだけど」

 それを聞いてハッとする梨華だったが、もう遅い。

「ひとみ…」

 梨華は情けない声をあげる。
 なかなか自分からキスをするチャンスがないのに、安易に逃してしまった事に梨華は落胆した。

32『石川さんと呼ばないで』〜番外編〜:2002/08/21(水) 18:56

「ちょっと出かけて来る」

 ひとみは、そんな梨華を置いて立ち上がった。

「出かけちゃうの?」

 寂しそうにひとみを見上げる梨華に、ひとみは頷くと部屋から出て行こうとした。
 いつもなら、すぐ飛びついてくる梨華なのに、そのままベッドから動く気配がない。
 ひとみはチラリと振り返り、梨華を見た。

(ったく、すぐ凹むんだから…。)

 ひとみは座りこんでいる梨華に後ろから思い切り抱きしめた。

「きゃっ…」

 梨華の肩が一瞬震えた。

「そんくらいで落ち込んでんじゃねぇよ」
「落ち込んでなんか…いないもん」

 ひとみに抱きしめられ嬉しい梨華だが、口から出る言葉は素直ではない。

33『石川さんと呼ばないで』〜番外編〜:2002/08/21(水) 19:00

「あっそう。じゃぁいいや」

 ひとみは腕の力を緩めると、あっさりと身を引いた。

「ひとみぃ〜…」

 眉を八の字にして困り顔の梨華が、本当は可愛くて、ひとみはつい苛めたくなってしまう。

「素直に言えばいいのに…」

 ひとみは片手をベッドにつくと、梨華に顔を近づけて軽くキスをした。

「……っ」
「梨華。勉強ガンバレよ」
「……」
 ひとみがニヤリとする。
「応援しないけど…」
 フッと軽く笑うと、ひとみは部屋から出て行ってしまった。

 ドアの閉まる音を聞いて、ひとみが完全に降りて行くのを確認する。

「ムカつくー。何よ、何なのよっ」

 梨華は怒りながら、でも顔は笑っていた。

34『石川さんと呼ばないで』〜番外編〜:2002/08/21(水) 19:10

 外に出たひとみは携帯を取り出すと飯田に電話をしようとした。
 梨華にあらぬ事を言わせないようにする為だ。
 飯田を信用していない訳ではないが、やはり根回しは必要である。

 そこへタイミングを計ったようにメールの着信音が響いた。

 それは、姫路に転校した松浦亜弥からだった―――。

35名無しベーグル。:2002/08/21(水) 19:21

 あまりに前回の松浦の扱いが酷すぎたので少しフォローの意味も込めて(w。
(当時は、全然あやゃに愛がなかったらすぃ…)
 番外編なのに長くなりそうな予感。

>28 理科。さん
いいらさん…どうしようかな〜と。

>29 総長@さわやか。さん
やはり最初の女は忘れられないんでしょうか?
いいらさん萌えなんで。

>30 ごまべーぐるさん
よしかおってエロいですよね。いいらさんのあらゆるパーツ萌え。
白×白ですが、萌えます。

36名無し( `.∀´):2002/08/21(水) 23:54
長くなる分には一向に構いません(w
むしろうれすぃーです♪

37名無し( `.∀´):2002/08/21(水) 23:55
松浦キターーーーーーーー!
今の作者さんの松浦に対する想いが現れるのでしょうか?
どうなるか期待してます。

38名無し( `.∀´):2002/08/23(金) 17:33
ぜひぜひ!!長くしてください。
あやや好きなんですよ!
出てくるなんて…かなりうれしいっす!

39『石川さんと呼ばないで』〜番外編〜:2002/08/23(金) 20:00

-5-

「松浦…」

 ひとみは眉を潜める。
 酷い扱いをしたのに、最後に松浦は笑顔で去っていった。
 ひとみの心に苦い記憶が蘇る。

 あの日別れて以来、一切何も連絡がなく、もう会う事もないと言っていた松浦。

<< 夏休みで、東京に遊びに行きます。良かったら会いませんか? >>

 内容は至ってシンプルだった。

40『石川さんと呼ばないで』〜番外編〜:2002/08/23(金) 20:00

 ひとみは取りあえず返信せずに飯田に電話をしようとした時、

「よっすぃ〜」

 真希に声をかけられる。

「ごっちん…」

 夏休みに入り、ヒマを持て余しているらしい真希は、丁度出かけるひとみを引き留める
でもなく笑顔で送り出す体勢のようだ。

「よっすぃ〜出かけるんなら、ラッキー♪ 梨華ちゃんと二人っきり!
 ねぇ、梨華ちゃんいるんでしょ?」

 二人っきりを、やたら強調して真希は笑う。
 相変わらず真希は梨華の事を諦めずにいる。その一方で矢口とも仲が良い。

「矢口さんと遊べばいいだろ」

 不機嫌そうに答えるひとみに、真希は動じない。

41『石川さんと呼ばないで』〜番外編〜:2002/08/23(金) 20:01

「やぐっつぁんバイトだもん。いーじゃん梨華ちゃんも一人ならヒマしてるだろうし」
「ダメ! 梨華はごっちんと違って忙しいんだよ。アレでも一応受験生なんだし」

 行きかける真希の腕を掴むひとみに、真希は苦笑いした。

「よっすぃ〜随分、やきもち焼きになったねぇ〜」

 真希はからかうように言って茶化した。

「そんなんじゃねぇよ」

 ひとみは真希の腕を離すと、家に戻ろうとする。

「あれ? 家戻んの?」
「忘れ物っ!」

 ひとみは、声を大にして言った。

42名無しベーグル。:2002/08/23(金) 20:05
短いですが更新しました。

>36さん
自分の首締めるだけなんですけどね。長いのは。

>37さん
現れたら、また違った展開になると思われ。
ただ、悪くは書きません(きっぱり)!

>38さん
あやゃは、チョイ役なんですけどね。
やはり、甘甘な、いしよし書きたいです。

43名無し( `.∀´):2002/08/24(土) 23:10
短くても更新ありがとうございますです。
ごっちんイイコトした(w
よっすぃーは何するんでしょ…

44『石川さんと呼ばないで』〜番外編〜:2002/08/28(水) 01:42

-6-

 真希のお陰ですっかり予定が狂ってしまった。
 梨華にとっては、ラッキーだったに違いない。

 結局、真希には帰って貰って、ひとみは梨華を誘った。

「嬉しい。ひとみから誘ってくれるなんて」

 梨華は嬉しそうに、腕を絡めてくる。
 今でも腕を組まれるのは好きではないが、誘った動機が不純だから、ひとみは
その件には何も言わなかった。

45『石川さんと呼ばないで』〜番外編〜:2002/08/28(水) 01:42

「梨華が相手にして欲しそうだったからな」

 どうしてもひねくれた物言いしか出来ない自分にひとみは苦笑いした。
 しかし、梨華は余程嬉しかったのか、そんな言葉は気にしなかった。

「うん。ひとみと一緒にいたい。嬉しいよ」

 本当に嬉しそうに言う梨華に、ひとみは梨華が心底自分の事を好きでいてくれると実感する。
 それに引き替え、自分は、どうだろう? 梨華の事は好きなのに、まだ
どこか素直になれない自分が居た。

 そして、暫く会っていなかった、飯田、そして松浦が現れた。

―――何も起こんなきゃいいけど…。

46『石川さんと呼ばないで』〜番外編〜:2002/08/28(水) 01:44

「どこに行きたい? 梨華の好きなところでいいよ」

 急に決めた事だし、どこに行くと言うアテもない。
 こういう時は、相手に決めてもらう方が考える手間も省ける。

「ひとみ…優しいね」

 梨華は良い方に捉えたらしい。少し考えこむと顔を上げた。

「映画が見たい!」

 梨華は笑顔で答えた。

47名無しベーグル。:2002/08/28(水) 01:48
丁度跳んだ時に更新・・・(w。

>43さん
あまり期待する展開には、、、。
よっすぃ〜は、、、、。

48胡麻べいぐる:2002/08/30(金) 13:47
相変わらず素直じゃないよすに萌え(w
でも、ちょこっと成長したかなーという感じですね。

49名無しプッチ:2002/08/30(金) 19:10
梨華たん。かわいい。。。。

50『石川さんと呼ばないで』〜番外編〜:2002/09/06(金) 01:16

-7-

 しかし梨華が選んだ映画はオカルトホラー系のものだった。
 実は、その類が苦手なひとみは、映画を見終わると一人青ざめた表情で出て来ていた。

「面白かったぁ。ね? ひとみ?」

 先ほどから無言のひとみと、一人楽しそうな梨華。
 梨華は、ひとみの様子がおかしいのに、やっと気付いた。

「梨華。良くそんな映画を楽しそうに見れるよな…」

 ひとみは憮然とした顔で、半ば呆れた風に言う。

51『石川さんと呼ばないで』〜番外編〜:2002/09/06(金) 01:17

「ひとみは苦手?」
「……まぁな…」

 梨華に弱点を知られるのが嫌なひとみだったが認めざるおえない。

「なんだ言ってくれれば良かったのに」
「言えるかよ!」

 ひとみは無造作にポケットに手を突っ込むと、先に映画館を出ていってしまう。

「待ってよ!」

 梨華は慌ててひとみを追いかける。

「…まぁ、梨華が面白かったんなら、いいさ」

 ひとみは、こんな事で喧嘩しても仕方ないし、文句を言えた義理でもないと思い納得した。

52『石川さんと呼ばないで』〜番外編〜:2002/09/06(金) 01:18

 しかし…

「でもひとみ、顔青いよ?」

 隣りに並んだ梨華が、ひとみの顔色を窺う。

「青くなんか…」

 そう言って自分の頬に手を当てるひとみに、梨華は覗き込むように顔を近づけ
素早くキスをした。それは一瞬の事―――。

「梨華?」

 さすがのひとみも驚ろく。
 しかも、ここは繁華街なのだ。ただ、女子高生同士がキスをする事など別に驚くような
風景でもなく、道行く人は、素通りしていく。

53『石川さんと呼ばないで』〜番外編〜:2002/09/06(金) 01:18

「さっき、チャンス逃しちゃったから」

 梨華は、『ヤッタ!』と言わんばかりの顔で嬉しそうだから、ひとみも苦笑いするしかなかった。

「チャンスを自ら不意にするんだからな、梨華は。って、そんな大袈裟なもんかよ!」

 ひとみは不覚にもキスされた事から、照れ隠しに梨華の額を小突いた。

「良かった」

 梨華は、ホッとしたように言ってひとみを見つめた。

54『石川さんと呼ばないで』〜番外編〜:2002/09/06(金) 01:19

「何が?」
「ひとみ元気になったから…」
「ぁ、あのなぁ。あんくらいの映画で別に…」

 ひとみが言いかけたところで梨華が遮る。

「青ざめて黙り込んでたクセに!」
「な、そんなコトねぇよ!」
「そんなコトあるじゃない!」
「ないっつぅの!」

 結局、二人は些細な事での喧嘩を繰り返してしまうのだった。

55名無しベーグル。:2002/09/06(金) 01:23

少し更新。

>48 胡麻べいぐるさん
ここのよっすぃ〜は、素直じゃないのが売りなんで(そうなのか?)

>49 名無しプッチさん
ここの梨華タンは、可愛く、少しアフォ路線です。
Σ(;^▽^)!<アフォ………

56『石川さんと呼ばないで』〜番外編〜:2002/09/06(金) 18:04

-8-

 その日の夜。

 些細な喧嘩が尾を引いて、いつも梨華から謝りにくるから、今回も
そのつもりでいたが、寝る時間になっても梨華が来る気配がない。

「ちっ。めんどくせーなっ」
 ひとみは痺れを切らし、立ち上がると梨華の部屋をノックした。

「………」

 もう一度ノックしてみるが、やはり返事はなく、ひとみはそっとノブを回した。

 部屋は既に灯りが消えている。
 最初は寝たフリでもしているのかと思ったが、そうではないようだ。
 梨華の静かな寝息が聞こえてくると同時に暗闇にも目が慣れて、ひとみは
梨華の眠るベッドへと近づいた。

57『石川さんと呼ばないで』〜番外編〜:2002/09/06(金) 18:05

「スーッ…スーッ……」
「せっかく謝りに来てやったのに…」

 ひとみは構わず梨華の隣りに潜り込むと、そのまま上に被さり、梨華の薄く開いた
口元に自分のくちびるを重ね合わせた―――。

「ひさぶりに梨華とえっちしようと思ったのに…」

 ひとみは囁きながら、梨華の頬、鼻、額、耳などにキスを落としていく。

「…ぅ…んっ…」

 梨華が微かに動く。
 しかし、それも一瞬の事で、また眠りに就いてしまう。

58『石川さんと呼ばないで』〜番外編〜:2002/09/06(金) 18:06

「梨華のバカッ!」

 ひとみは勝手な事を言って、Tシャツの上からでも分かる、その立った蕾をギュッと摘んだ。

「ぁ…ん」

 梨華が小さく声を漏らす。
 眠っているのに、感じているらしい。

「梨華…?」

「ひとみぃ〜!」

 一瞬間があいて、梨華が突然叫ぶと、ひとみを思い切り抱きしめた。

「…ぐはっ…。梨華?」

 ひとみは驚いて梨華を見つめるが、梨華は幸せそうに目を閉じている。

「寝言? ビックリさせんなよ!」

 ひとみは一向に起きない梨華に腹を立て、そして何故かバカらしくなり
梨華の腕をほどいてベッドから抜け出した。

 一つ首筋に大きな愛の(?)しるしを残して―――。

59『石川さんと呼ばないで』〜番外編〜:2002/09/06(金) 18:07

-9-

 翌朝―。
 梨華は洗面台に立ち、首筋に刻まれた跡に気付きギョッとした。

「なにこれ!(いっいつの間に?)」

 梨華は思わず指を当てた。
 そこへ鏡越しに、ひとみが、のそっと現れる。

「おはよぅ梨華。なに? その跡…」

 ひとみはわざと言って梨華の指を押しやった。

「何って…分かんないよ〜」
「蚊にでも刺されたんじゃないの?」

 ひとみは皮肉のつもりで返したが、
「そうかな〜。痒くないのに。気付かなかった…」

 真に受けている梨華にひとみは絶句。
(ってか気付けよ。ヲイ!)

60『石川さんと呼ばないで』〜番外編〜:2002/09/06(金) 18:08

「凄く目立つじゃん。今日から補習なのに最悪…」

 梨華はブツブツ言いながら、絆創膏を貼ろうとした。
 その手を遮るひとみに、梨華は不思議そうな顔。

「ホントに覚えてないんだな」
「え? 何が?」

 これでは意味がない。本当に梨華は………。

61『石川さんと呼ばないで』〜番外編〜:2002/09/06(金) 18:08

「じゃぁ…ひとみが?」

 梨華と一緒に出かけたひとみは、腹立たしかったが、自らバラした。

「めでたいよ、梨華は」
「そう言えば…」

 梨華はやっと思い出したのか、小さく声をあげると頬を赤くした。

「夢じゃなかったんだ…」

 梨華はひとみに愛されている夢を見ていたのだが、ただの欲求不満だと思い、
その事は、黙っているつもりだった。

「夢って…。やっぱ梨華、そうだったんだ。やらしい…」

62『石川さんと呼ばないで』〜番外編〜:2002/09/06(金) 18:08

 梨華は思わず呟いてハッとする。
「あ゛。いや、別に…。ひ、ひとみこそ人が寝てる隙に! 狡いよ!」

 自分の事を棚に上げて梨華は言い返した。

「ひさぶりに梨華と愛し合えると思ってたのにさ。まぁいいけどね。
 じゃ、ここで。アタシ、逆方向だから。補習がんばれな」

 ひとみは梨華の言葉も聞かずに、一方的に言って、一人さっさと駅の改札を抜けて
先に行ってしまった。

「ひとみぃ…。もぅ…アタシのバカ!」

 梨華は悔しさと勿体なさで、くちびるを噛んだ。

63名無しベーグル。:2002/09/06(金) 18:10

さくっと更新。
書きたいのは、この後の話だったり…(w。

64名無しプッチ:2002/09/08(日) 06:46
気になる…ウゥ。
妬いちゃう梨華ちゃんイイ!

65『石川さんと呼ばないで』〜番外編〜:2002/09/08(日) 16:59

-10-

(梨華。カワイイよな。)

 自分の義姉と同時に恋人でもある梨華に、改めて思い出してひとみはニヤけた。

(ま、今夜は甘えてくるかな。梨華のヤツ…。っとその前に、飯田さんとこ行かないとな)

 これからひとみが向かう場所は、飯田のアパート。
 まさか、また自ら出向く事になろうとは、思ってもみなかった。

「飯田さん。寝ぼけてたけど覚えててくれてんのかなぁ…」

 ひとみは少し不安を覚えながら、アパートの階段を上っていく。

 飯田を信用しない訳ではないが、やはり根回しは必要な訳で、梨華のいない時間を
見計らって、こうして会いに来た訳だが。

66『石川さんと呼ばないで』〜番外編〜:2002/09/08(日) 17:00

「飯田さん? 吉澤です…」

 ノックをするひとみ。
 しかし、返事はない。

「まだ寝てんのかな?」

 悪いと思ったが、ひとみはドアノブを回してみる。
 予想に反して鍵は開いていた。

「げ。物騒だなぁ。鍵開いてんじゃん…。襲われちゃったらどうすんだよ」

 ひとみは、ぶつぶつ言いながら、小さく「お邪魔します」と言って中に入っていった。

 以前来た時と同じく、画材やら色々と部屋の中に散らばっている。

「彼女まだ出来てねぇのかな。飯田さん…」

 ひとみは余計な心配をしつつ、布団のある部屋に行く。

67『石川さんと呼ばないで』〜番外編〜:2002/09/08(日) 17:01

 こんもり丸くなっている布団に、ひとみは悪戯心から、その上から被さってみる。

「飯田さぁ〜ん! 朝っすよ〜! 起きて下さいよ〜!」

 しかし、飯田より一回り小さいような感覚に、ひとみは、すぐに疑問に感じる。
 いくら丸まって寝てるとは言え、急に小さくなる筈はない。

(飯田さん…じゃない? じゃぁ一体誰が?)

 ひとみは、恐る恐る布団をはぎ取ってみた…。

 そこには、猫のように丸まって眠る松浦の姿があった。

「ま、ま、まま松浦!? ど、どうして此処に?」

 ひとみは目を人一倍大きくして、狼狽えた。

68『石川さんと呼ばないで』〜番外編〜:2002/09/08(日) 17:02

「んぅ…。飯田さん? 早かったですねぇ〜」
 妙にのんびりしたトーンで、松浦は言うと、飯田と間違えてるらしいひとみに抱き付いた。

「ぅぉ、ぉぃ! 松浦!」
(こんな再会って、アリかよ!?)

 ひとみは、まだ何だか分からずに目をパチパチさせていた。

「んん…。あぁ…吉澤さんの匂いがする…懐かしい…」

 松浦はひとみの胸に思い切り顔を埋め、ひとみの香りを感じていた。

「懐かしいって…」

 松浦と寝たのは後にも先にも、あの夜だけ。それでも寝ぼけてでも覚えているのか。
 ひとみは、何となく胸が締め付けられた。
 しかし、そんな感傷に浸ってる時ではない。

「こら。松浦起きろ! なんで、此処にいんだよ! お前は!」

 無理矢理松浦を引きはがすと、ひとみは松浦の両肩を握りしめた。

69『石川さんと呼ばないで』〜番外編〜:2002/09/08(日) 17:02

「Zzzz。吉澤さん?」

 松浦は眠そうな瞼を、やっとの思いで開けると、目の前にいるひとみが夢でない事に
ようやく気付く。

「ホントに吉澤さん!?」

「なんだよ、自分で吉澤さんの匂いとか言ったクセによ…」

 ひとみは、格好悪いと思いながら説明する。寝起きの松浦に説明しても意味はないかも知れない。

「ホントだ。吉澤さんだ。吉澤さん!」

 松浦は何度もひとみを呼ぶと、またひとみに抱き付いた。

「だ、だからなんで抱き付くんだよ!」

70『石川さんと呼ばないで』〜番外編〜:2002/09/08(日) 17:03

 しかし、ひとみは、あの頃よりも、グッと可愛くなった松浦に少しだけドキッとしていた。
 良く見れば、飯田に借りたのであろう大きめのTシャツを一枚着ているだけだ。
 足元に視線をずらせば、眩しいくらいの太腿が目に入る。

(バ、バカか! なにドキドキしてんだか…)

 ひとみは、視線を外す。
 そして、背後から急に声をかけられ、心臓が止まる程吃驚した。

「吉澤。お前…」

 コンビニの袋を抱えた飯田が、抱き合うひとみと松浦を交互に見つめていた。

71名無しベーグル。:2002/09/08(日) 17:06
>64san

梨華タンは、また悩みの種が1つ増えそうだす。
つぅか、カヲよしあや。書いてみたかった。
梨華タンのシーンは、もう少し先?

72総長@さわやか。:2002/09/08(日) 20:24
カヲよしあや、ほくそ笑みながら読んでしまいました(笑)。つーか、吹き出した(爆)。
微妙に揺れる(^〜^O;)、これからがかなり楽しみなのですが。
これにどう(^▽^)が絡んでくるのか。。。考えただけでも(ry

73『石川さんと呼ばないで』〜番外編〜:2002/09/15(日) 20:02

-11-

「ひ! 飯田さん!? あ、あの違うんです。えぇと…」

 しかし、慌てふためくひとみとは逆に、松浦は面白がってわざとひとみに抱きしめる力を
強くした。

「違うって、なんだよ、ホントに吉澤って、あやゃと…へぇ…そうなんだ」

 飯田は、何故か納得したような面立ちで、ひとみを見ている。

「何納得してんすか? あやゃって?」

「松浦のニックネーム。あやゃってカワイイだろ? カオが付けたんだけどさぁ…」

 嬉しそうに説明する飯田に、今は、そんな事はどうでもいいひとみは、飯田を遮る。

「そんなのどうでもいいっすけどね。なんで飯田さんの部屋に松浦がいるんすか!
 説明して下さいよ!」

74『石川さんと呼ばないで』〜番外編〜:2002/09/15(日) 20:03

「なんだよ、吉澤その言い方。あやゃってダメ? センスあると思うんだけどさぁ」
「だから…そうじゃなくて…」
「吉澤さん、妬いてくれてるんですかぁ?」

 そこへまたズレて松浦が割り込んでくるから、ひとみはうんざりし始めていた。

「なんで妬くんだよ。大体松浦が、どこにいるかなんて、気にならないし」

 途端に松浦の瞳が哀しげに曇り始める。

「酷い。大体メール出したのに、返事もくれないし…」
「あ、あれは…ちょっと忙しくて…」

「吉澤って梨華ちゃんじゃなかったんだ。お前、また二股かけてんのか?」

 飯田の顔が険しくなる。

「またって、なんすか。人聞きの悪い。梨華と出逢ってから、きちんと断ってますよ!
 それに松浦は姫路にいるんだから、どうやって二股かけるんすか!」

 なんで、こうなるのだろう。ひとみは泣きたい気分だった。

75『石川さんと呼ばないで』〜番外編〜:2002/09/15(日) 20:04

「吉澤さん。石川さんと、うまくやってるんですね」
「そ、そうだよ。ちゃんとやってるって…」

 ここでノロけるつもりもないが、聞かれたからには律儀に答えるひとみ。

「夜の方もちゃんと、やってんのかぁ? 吉澤ぁ」

 飯田に肘で突かれて、ひとみは眉間に皺を寄せる。

「あ、あの朝から、そういう話は…」

「吉澤、えっちの時は優しいからなぁ…」
「飯田さん! 言わないで下さい!!」

 ひとみは真っ赤になって飯田の口を慌てて塞いだ。

「ふがっ…」

 飯田は、やんわりひとみの手を押さえる。

「もぅ、いいじゃない。昨日の時点で、あやゃとは、吉澤の話たくさんしたんだから…」
「!!」

 一体何の話なんだか。そもそも、飯田と松浦の接点は?
 ひとみの方が質問攻めしたい程、二人には聞きたい事が山ほどあった。

76名無しベーグル。:2002/09/15(日) 20:07
>72 総長@さわやか。 さん

カヲよしあやアリですかね?(w
マターリと進めます。

77『石川さんと呼ばないで』〜番外編〜:2002/09/25(水) 00:10

-12-

 二人に解放されたのはそれから一時間後。
 飯田は、そのまま別のバイトへと出かけて行った。
 結局、何処で松浦と会ったのかも、有耶無耶なままである。

 そして今、ひとみの隣りに居るのは松浦。
 そしてこれから向かう場所は梨華が補習を受けている学校である。
(なんで松浦と…。)
 ひとみは、納得出来ない面持ちで、駅を降りた。

「手、繋ぐのやめてくんない?」
 ひとみは、不機嫌そうに手を振り払おうとする。

「もしかして、テレてます?」
 松浦は面白そうに聞き返す。

「そんなんじゃねぇよ」
「手を繋ぐのは普通じゃないですか…」

 確かに今時の女子高生は平気で手を繋いでいるが、そんなのはひとみのガラではなかった。

「アタシん中じゃ、普通じゃない点」
 ひとみは無理矢理、松浦の手を振りほどくと両手をポケットに突っ込んだ。

78『石川さんと呼ばないで』〜番外編〜:2002/09/25(水) 00:11

「やっぱり、"特別"ですか?」
「………」
「だったら、アタシだって吉澤さんと…」

 松浦は語尾を濁し含み笑いをする。

「あれは…」

 ひとみは黙ると「勝手にしろ」と言って足早に歩き出した。

「じゃぁ勝手にします♪」

 松浦は気にせず、嬉しそうにひとみの腕に絡ませた。

 無言のまま歩くひとみに、一人楽しそうな松浦。
 学校が近くなるにつれて、ひとみの足取りは重くなっていく。
 昇降口玄関まで続く校庭を歩けば必ず梨華の目に触れる筈だ。
 確か、梨華は窓際の席だった。
 変な誤解を受けての後始末は、懲り懲りだと思いながら、ひとみは深く溜息を落とした。

79『石川さんと呼ばないで』〜番外編〜:2002/09/25(水) 00:12

 既に校庭の半分近くまで来ている。
 ひとみは俯き加減に歩いていると、急に松浦が立ち止まった。

「石川さんの教室って、どの辺ですか? 挨拶しないと」

 松浦は急にひとみの腕を引っ張り、校庭の真ん中へ駆け出す。
 不意をつかれて、ひとみは引きずられるように引っ張り出された。

「ちょっ。松浦! 余計なコト…ッ」
「石川さぁ〜んっ!」

 松浦は構わず大声をあげると両手をオーバーに振り続ける。

「ゲームオーバー…」

 ひとみは呟くと、その場から一気に逃げ出した。

80『石川さんと呼ばないで』〜番外編〜:2002/09/25(水) 00:12

-13-

「ひとみ!?」

 松浦が、あんな行動を取らなくとも、ひとみの姿はすぐに捉える梨華は、
危うく回していたシャーペンを落としそうになった。

――あの娘、ダレ?

 慌てて逃げようとするひとみを追って、その娘は、ひとみを追いかける。
 どこかで見た事がある。
 しかし、梨華は考えるよりも先に行動に出ていた。

「吉澤っ!!」

 先生の声など聞き入れる訳もなく、梨華は既に教室を飛び出していた。

81『石川さんと呼ばないで』〜番外編〜:2002/09/25(水) 00:13

「松浦、お前、楽しんでるだろ」

 きっと数分もしないうちに、梨華は血相を変えてやってくるに違いない。
 校庭の真ん中でさらし者になるのは嫌だから、ひとみは梨華が来るより前に
松浦の手を強引に引っ張って玄関へと走り出した。

 昇降口に着くのと同じくらいに、梨華が息を切らせてやってくる。

(やっぱり…。)

「ひとみ!!」
「石川さん、久しぶりですぅ〜♪」

 松浦は遮るように、梨華の前に立つと笑顔で挨拶をする。

「あ、あなた…」

 梨華は、松浦の顔、語尾を伸ばす喋り方で、すぐに記憶が蘇る。

「松浦です。石川さん、相変わらず吉澤さんのコトになると必死ですね」

 軽く一礼して余裕で微笑む。その姿が何とも憎らしい。

「あなただって…ハァ…ハァ……」

 隣りに立っているひとみは、既に諦めた表情だ。

82『石川さんと呼ばないで』〜番外編〜:2002/09/25(水) 00:13

「ひとみ…。ちょっと…」

 松浦を置いて、ひとみの腕を取ると、松浦に見えないように隅の方に連れて行く。

「どういうコト?」
「知らねーよ」

 ひとみは寄りかかるとポケットに手をツッコミそっぽを向く。

「知らない訳ないでしょ」

 梨華はひとみに詰め寄る。

 こと、ひとみに関しての嫉妬深さは並大抵ではない。
 それでもようやく、静まったと思えば松浦の出現で元の木阿弥。

「大体ひとみ、アタシと逆方向に出かけていったのに、何でここにいるの?」
「………」

 まさか飯田の部屋に行っていたとは言えないひとみは黙り込む。

「松浦さんと…会ってたんだ…」

 梨華は今にも泣き出しそうに、悔しそうに唇を噛む。

「わざわざ見つかるように会うバカが、どこにいんだよ! そんなヘマするかよ」
「じゃぁアタシが知らないだけで、陰で会ったりしてるの?」

 更に梨華の瞳は曇り始める。

「バ…バカ。そうじゃないって。松浦と会ったのは今日が久しぶりなんだから」 

 最近見なかったが、梨華のこの瞳に弱いのだ。

 松浦は、苦笑いしながら陰で二人の会話を聞いていた。
 以前のひとみなら、もっと強気で出た筈なのに、すっかり梨華の方が強くなっている感じだ。

 松浦は助け船を出すように、二人の中に割って入っていった。

83名無しベーグル。:2002/09/25(水) 00:16

更新しますた。
あと1つで次ページに下がる。下がらないかな(ぼそ

84名無し( ´ Д `):2002/09/25(水) 09:05
ピキーン負けてるよっすぃーイイ!
っと、どさくさにまぎれて下げてみる…

85『石川さんと呼ばないで』〜番外編〜:2002/09/28(土) 12:29

-14-

「姉妹喧嘩はやめて下さい!」
 松浦がグイッと二人の中に入る。

「姉妹って言うより、痴話喧嘩って感じですけどね」
 松浦は付け加える。

「元はと言えば、松浦が…」
「ひとみ!!」
「大体、梨華だって…」
「何よ?」

 凄い目で睨まれる。
 一体、いつから梨華はこんなに強くなったのだろう。

「…なんでもない」

 頭に血が上っている時に、何を言っても無駄だと思い、ひとみは言うのを止めた。

86『石川さんと呼ばないで』〜番外編〜:2002/09/28(土) 12:30

「アタシ、職員室に行って来ますね。コレ終わったらデートしましょ。吉澤さん♪」

 松浦は、ひとみにウィンクすると二人の間をすり抜けて階段を駆け上がって行った。

(止めに入ったんじゃなかったのかよ!)

「デートって何よ?」
 更に睨まれる。

「勝手に言ってるだけだよ」
 これは本当。こちらは、する気はさらさらない。
 まぁ時間潰しにはいいかも知れないけど。

「人が勉強してるってのに!!」
 関係ない事を持ち出してくる。

「それは梨華が悪いんじゃん。こっちのせいじゃないよ。梨華も早く教室戻れよ」
 今日の梨華は、妙に突っかかってくる。

「戻れる訳ないでしょ?」
「知らねーよ、そんなの。大体信じられないわけ? アタシのコト…」

 急にひとみは声のトーンを落とす。

「さっきも言ったけど、松浦とは偶然会ったんだ。そしたら学校行きたいって
 言うから、一緒に来ただけ。やましいコトなんか全然してないよ」
(そうだよ。偶然、飯田さんの部屋で会ったんだ。嘘ついてない。)

87『石川さんと呼ばないで』〜番外編〜:2002/09/28(土) 12:30

 ひとみは、梨華に近づいていく。

「ひとみ…」
 顔を上げる梨華。

「今、好きなのは梨華だけだよ。そんなの梨華が一番良く知ってるだろ?」

 一瞬間が空く。
「…知らない。知ってる訳ないでしょ?」

 挑戦的な梨華の言い方に、ひとみはムッとした。

「じゃぁいいよ。とっとと戻れよ!」
「戻るわよ。ひとみのバカ!」

 梨華はプンプンしながら踵を返す。

「今日は帰って来なくていいから!」

 梨華は捨てぜりふを残すと走って行った。

「上等! っつか、なんでソコまで言われなきゃいけねーんだよ!」

 ひとみは思い切り近くにあったゴミ箱を蹴り上げる。
 物凄い音がして、ゴミ箱が倒れ、そして、ひとみもうずくまる。

「ぃてっ…くそ! 可愛くないヤツ! 一体何したってんだよ!」

88『石川さんと呼ばないで』〜番外編〜:2002/09/28(土) 12:30

-15-

 暫くひとみはブツブツ言っていたが、松浦が駆けつけてくる。

「吉澤さん、大丈夫ですか?」
「なんだよ、見てたのかよ…」
 心配そうな松浦の顔を見上げる。

「だって凄い音がしたから…」
「あぁ…。平気だよ」
(心の中は平気じゃないけど。)

 松浦の肩を借りて、立ち上がる。

「もういいの? 随分早いけど…」
「あ、先生居なかったんです。また出直して来ます」

 学校を後にして駅に向かいながら、ひとみと松浦は肩を並べる。

「石川さんて、前はあんなキャラじゃなかったですよね」
「いつの間にか変なところで強気になっちゃって…」
 ひとみはあきらめ顔で呟く。

「今日は家に帰らないんですよね? だったらずっと一緒にいられますね!」
 松浦は嬉しそうに言う。

「別にそうと決まった訳じゃ……」
 松浦は構わずひとみの腕を取る。

「渋谷に行きたいんです。姫路じゃ、あんまり洋服なくて…」
 断ったところで、特に用事もないから、ひとみは頷いた。

89『石川さんと呼ばないで』〜番外編〜:2002/09/28(土) 12:31

-16-

 松浦は可愛い。ひとみは素直にそう思う。
 今日一日付き合ってみての、ひとみの感想。
 でも、何か物足りなかった。

 既に時間は夜の8時を過ぎている。
 夕飯も外で済ませて、再び飯田の部屋に来ていた。

 やがて、9時が過ぎて、10時になる。
 やっと飯田が帰宅する。

「お帰りなさい。飯田さん」
「飯田さん、お邪魔してまっす」

「おぉ、二人共。仲良くやってたか?」

 飯田は笑顔で聞いてくる。

「えぇ。とっても楽しかったです!」
「そろそろ帰るかな」
 ひとみは、これ以上また突っ込まれるのは嫌だから帰ろうとする。

「帰っちゃうんですか?」

 昼間、梨華に怒鳴られて、機嫌の悪かったひとみだったが、松浦のおかげで
だいぶ収まった。また、あの梨華の居る家に帰ると思うと腹が立つが、自分の家なので
仕方がない。

「まぁムカつくけどな」

90『石川さんと呼ばないで』〜番外編〜:2002/09/28(土) 12:31

「なんかあった?」

 飯田は事情が飲み込めずに聞き返す。

「昼間石川さんと吉澤さん口げんかして、石川さんに帰ってくるなって
 言われちゃったんですよ。一日くらい帰らなくたって平気ですよ」

 松浦は無責任な事を言う。

「でもなぁ…」
「石川さんが言ったんですから、別にいいと思います」
「そういう問題かよ…」

「吉澤がイヤじゃなければ、別に泊まっていっていいよ」
「飯田さん…」

 意外だった。飯田なら絶対に帰った方がいいと言う筈なのに。

「ヤッタ!」

 吉澤より先に松浦が手を叩いて喜んだ。

91『石川さんと呼ばないで』〜番外編〜:2002/09/28(土) 12:31

-17-

 どう考えたって一つの布団に三人は狭すぎるよな。

 ひとみは、飯田と松浦の間に挟まれ暗い天井を見つめていた。
 寝返りを打とうにも、両方に挟まれていて、それも出来ない。
 ひとみは、そっと起きると、キッチンに行った。

 思い浮かべる事は、梨華の事ばかり。
 
(あのバカ、どうせ寝てんだろうな。いい気味とか思ってんだろうな。)

 そう思うと、無性に腹が立ってくる。

「吉澤?」

 急に背後から声をかけられ、ひとみは振り返った。

92『石川さんと呼ばないで』〜番外編〜:2002/09/28(土) 12:32

「飯田さん。起こしちゃいました? すみません」
「気になるんだ。梨華ちゃんのコト…」
「別に…」
「素直になれって」
「飯田さん…」

 飯田は冷蔵庫からミネラルウォーターを2本取り出すと1本ひとみに手渡す。

「引き留めて悪かったな」
「いえ、別に。どうせ行くとこないですしね」

 飯田はコクコクと美味しそうに飲み始める。
 その細長い指を、ひとみは見とれていた。

「多分、吉澤は、ここにいると思ってたから、だからすぐに返す訳には
 行かなかったんだ」
「は?」

 ぼんやり飯田を見ていたひとみだったが、慌てて聞き返した。

93『石川さんと呼ばないで』〜番外編〜:2002/09/28(土) 12:32

「多分、もう来てる筈だけど…」
「来てるって?」
「吉澤を迎えに来るヤツは、一人しかいないだろ」
「梨華!?」

 思わずひとみは立ち上がり時計を見る。
 もう既に1時は回っている―――。

「飯田さん。危ないじゃないですか! こんな時間に。
 もし梨華に何かあったら…!」
「大丈夫だよ。1時くらいに来るように言ってあるから…」

 飯田も呑気に返す。

「大体、アタシがそのまま寝ちゃってたらどうすんですか!」
「平気。吉澤は寝る訳ないと思ってたしね。仮に寝てても1時には起こすつもりだった。
 危うく自分が寝ちゃうところだったよ」

 そう言って飯田は軽く笑う。

「いいから、梨華ちゃんの傍に行ってやりなよ。ホントは会いたくて仕方ないんだろ?」
「そんなコトないっすよ!」

 飯田に背中を押され、ひとみはドアを開けて、暗い道ばたに視線を落とす。
 しかし、梨華らしい姿はどこにも見あたらなかった。

94『石川さんと呼ばないで』〜番外編〜:2002/09/28(土) 12:32

-18-

「いない…」

 ひとみは急いで階段を下りて、周囲を見渡す。

「ひとみ…」

 背後から、いつもの声がした。

「梨華!」

 自転車をひいて、梨華が暗がりの中から出てくる。

「飯田先生に言われたから、迎えに来てやったわよ。ひとみ…」

 相変わらずの憎まれ口である。

「アタシも飯田さんに言われたから出てきてやったよ。梨華…」

 ひとみも負けずに言い返す。

「なんなのよ、その言い方!」

95『石川さんと呼ばないで』〜番外編〜:2002/09/28(土) 12:33

 しかし、次の言葉は声にならなかった。何故なら抱きしめられたから。

「大丈夫だった? 夜は危ないから…」
「ひとみ…」
「結構距離あっただろ。道迷わずに来れたか心配だよ」
「だからちゃんと来れたじゃない。他に言い方ない訳?」
「ない。帰りはアタシが漕ぐから梨華は後ろな」

 あっさりひとみは言うと自転車にまたがる。
 梨華も渋々と後ろに乗り、ひとみの腰に腕を回した。

「しっかり掴まってろよ。スピード出すから」
「やだぁ」

 そう言うなり、ひとみは勢い良くペダルをこぎ始める。

「怖いって!」

 梨華は思わずギュッとひとみに抱きつく。
 恐がりながらも、梨華は、こうしてひとみと一緒に居る事に幸せを感じていた。
 そう言えば、二人乗りは、初めてな気がする。

96『石川さんと呼ばないで』〜番外編〜:2002/09/28(土) 12:33

「そんなにスピード出してないだろ。これが普通。梨華がノロすぎなんだよ」

 背中越しに聞こえるひとみの声が心地よく耳に響く。
 空を見上げれば、星が綺麗に瞬いていた。

「あ。流れ星…」

 偶然とは言え、何気なく空を見た時に、1つこぼれ落ちるように星が流れて行くのを
梨華が見て、思わず呟く。

「え? どこ?」

 ひとみは急ブレーキをかけ、慌てて空を見上げた。

「もぅ、とっくに流れちゃったよ」
「まぁ、実際の流れ星って、ホントに一瞬だからな…。
 願い事なんか言える訳ないよ」

 ひとみは分かったように言う。

「夢がなぁい。アタシ初めて見たから結構感動してるのに」
「初めて? じゃぁ、いいトコ連れてってあげる」

 ひとみは思いついたように、方向を変えると自転車を走らせた。

97『石川さんと呼ばないで』〜番外編〜:2002/09/28(土) 12:34

-19-

 ひとみが連れて来たのは、少し小高くなった丘のある公園。
 この公園の存在は知っていたが、丘がある事は梨華は知らなかった。

「いい眺めだろ?」

 家からの眺めよりは遙かに視界がきいていて、星がキラキラと輝いている。

「なんで、こんなところ知ってるの?」
「星見るの好きだから。だからたまに見に行ってるんだ」

 梨華は意外な顔でひとみを見つめる。

「それでも、昔に比べると見えなくなったけど…」
「こうして空を見るコトなんて忘れてた。まだまだ見れるんだね。お星様…」
「お星様…」

 ひとみはその言葉に笑う。

「笑うコトないじゃなぁい」

 梨華は頬を膨らませる。

98『石川さんと呼ばないで』〜番外編〜:2002/09/28(土) 12:34

「いや、梨華らしいなって思ってさ。ずっと見てると流れ星は、たま〜にあるよ。
 だから、梨華がそうやって、すぐに気づいて見れたのは、ほんとラッキーだと思う」
「なんかいいコトあるかなぁ…」
「梨華の頭が良くなりますように…とか?」
「なんで、そういうコト言うのよ」

 梨華の頬は更に膨らむ。

「梨華が、もっと素直になりますように…とかな」
「それは、ひとみでしょ?」

 梨華の頬は爆発寸前。
 ひとみは指で膨れた頬を突いた。
 梨華は『もぅ!』と言った顔をして、ひとみを睨んだ。

「でも梨華は今のままで、いい…」
(素直になって欲しいのは事実だけど…。)
「へ?」
 ひとみは梨華の腰に手をスッと回すと梨華を引き寄せる。

99『石川さんと呼ばないで』〜番外編〜:2002/09/28(土) 12:34

「ぁっ…」
 梨華が声を出した時は、既にひとみの唇は重なっていた。

(アタシからキスしたかったのに…。)

 ひとみが唇を離した時、なにか言いたげな梨華の瞳が映る。

「ぃゃだった?」
「ぅぅん…」
「じゃぁ…なに?」

 梨華は無言で、ひとみを見つめると、梨華から唇を重ねた。
 恥ずかしそうに梨華が唇を離すと、俯き加減に言葉を落とす。

「自分から…キ…ス…したかった…」
「梨華…」

 絶対笑われると思い、梨華は耳まで真っ赤にさせる。
 しかし、次の瞬間、ひとみに思い切り抱きしめられた。苦しい位に。

「く…る…し…ぃ…」

 すぐに身体を離される。
 そこには、溶ろけるような顔のひとみが映る。

「梨華。好きだよ、ホントに」

 またギュッときつく抱きしめられる。

(いたたたた…。)

100『石川さんと呼ばないで』〜番外編〜:2002/09/28(土) 12:35

 そして、何度もくちづけを交わす。
 そのうち、梨華の方も段々その気になってきてしまう。

(あぁ…んっ。ひとみ……。)

 そう、最近は全然、そちらの方はしていなかったから、それだけで
梨華の身体は熱くなってしまう。梨華のひとみに回された腕が強くひとみを求め始める。

 梨華の唇を堪能したひとみも、それだけでは物足りなくなり始めていた。
 しかし、こんな草の生えている公園で、始める訳にもいかない。
 いくら、ひとみがえっち好きでも、さすがにそのくらいの事は考えていた。

 うっすらと目を開け、間近にある梨華の顔を覗き込むひとみ。
 梨華の睫毛が、ゆらゆらと揺れている。その顔は恍惚に近い。

(ヤバいかも…。)

 ひとみは、あまりに梨華が可愛いからキスをしてしまったものの少し後悔し始めていた。

101『石川さんと呼ばないで』〜番外編〜:2002/09/28(土) 12:35

(さすがに、こんな時間に…ヤバいよなぁ…。)

 してしまうのは簡単だが、いきなり警官に呼び止められる事も多々ありうる。
 何もしてなくても呼び止められる可能性は大である。
 そんな危険を冒してまでするなら家に帰ってからの方が安全だ。
 でも今したいと思うのが人間の本能だから、きっと梨華は不満気な顔をするだろう。

 ひとみは、梨華に入れていた舌をスッと抜くと、キスをやめた。

 舌を絡ませながら、こんな事を冷静に考えている自分は、つくづくイヤだなと思いながら
不思議そうに見つめる梨華に、軽く優しい微笑みで返す。

「ひとみ…?」

 ひとみは、もう一度梨華にキスを落とす。

「もぅ遅いから、家に帰ろう?」
「ぃゃだ…」
「梨華…」
 予想通りの答えに、ひとみは困ってしまう。

102『石川さんと呼ばないで』〜番外編〜:2002/09/28(土) 12:36

「最初から遅かったもん。いつ帰ったって一緒」
 尤もな答えである。

「梨華……」
「ひとみぃ…好き。だから…ここで…」

 梨華は思い切り抱きつくと、ひとみの胸に顔を埋める。

「ここで? ここはちょっと…」
 積極的な梨華に、ひとみは戸惑い始める。
「どこならいいの?」

 ひとみは一瞬頭を巡らせる。大体、隠れて出来るような場所なんか思い当たらない。
 大体、ここはただの公園である。

「おまわりに見つかるとヤバいから、とにかくここから出よう」

 ひとみは、ぐずる梨華を引きはがすと、無理矢理自転車に乗らせた。

「ひとみのバカぁ…」
 回された腕が、ひとみの胸を彷徨い始める。

「………っ」
 ひとみは、悶々する気持ちと戦いながら、無言で自転車を走らせた。

103名無しベーグル。:2002/09/28(土) 12:39
>>85-102 14-19話更新。
ホントは、×××な展開ですたが、ここの石川さんに
合わない為、やめました。<弱気な作者。。。

>84 名無し( ´ Д `)さん
よっすぃーも少し弱気。

104総長@へたれ。:2002/09/28(土) 13:36
ものごっつい期待したヤシがいますが何か(笑)。
ぢゃ、一つここの石川さんに合う物を(ry。w

いいら先生、今日も素敵でした。。。

105名無し( ´ Д`):2002/09/30(月) 21:10
×××な展開…。
期  待  し  て  い  ま  す  。

106『石川さんと呼ばないで』〜番外編〜:2002/10/02(水) 19:47
-20-

 家に近づくにつれ、ひとみは背中にかかる重みを感じていた。

―――寝ちゃった?

 早寝早起きの梨華だから、普通なら、この時間は、とっくに夢の中だろう。
 今まで起きていた事は誉めてもいい。しかし…。

―――今日は許さない。

 ひとみは家に着くと、梨華を抱きかかえるようにして家に入っていく。
 玄関を開け、乱雑に靴を脱ぎ捨てると、梨華をまた抱えてリビングに連れ込む。

 閉めきった空気が汗ばんだ肌にまとわりついて気持ちが悪かった。
 ひとみは、やっとの思いでソファに梨華を横たわらせると、一息ついて
エアコンのリモコンスイッチを押した。
 カチッと音がして、涼しい風が流れ込み、梨華の頬、髪を優しく撫でた。

107『石川さんと呼ばないで』〜番外編〜:2002/10/02(水) 19:47

「ぅ…ん…」
 鼻を微かに動かし、気持ちよさそうに眠る梨華を見て、ひとみは『勝手なもの』だと思った。

―――さっきは盛り上がってたクセに…。今日は梨華のコト…襲っちゃうから。

 ひとみは横たわる梨華に、そっとくちづけながら、既に汗ばんでいるTシャツをたくし上げた。
 胸が露わになり、冷たい空気に晒されると、梨華は眉をひそめ身体を少し揺らす。

―――ノーブラかよ! 変態オヤヂに襲われたらどーすんだよ! ってアタシが襲ってるけど。

 ひとみはピンクの蕾を指の腹でグリグリ回しながら、梨華の胸を揉みしだいていく。
 梨華の上に覆い被さると、ひとみはTシャツを取り去り、薄く開いた梨華の唇に唇を重ねた。

「…ぁ…っ…」

 梨華は微かに声を漏らす。眠っていても身体は素直に反応するらしく、すっかり蕾は
硬く勃ち始めていた。

―――梨華のスケベ…。

108『石川さんと呼ばないで』〜番外編〜:2002/10/02(水) 19:49

 梨華は、ひとみとキスしている夢を見ていた。その夢から引きずり出されるように
心地よい快感が現実となって戻ってくる。無意識にひとみの背中に腕を回すと、梨華も
応えるように舌を絡ませ始めた。

「ぅぅ…んっ」

 執拗以上にひとみは攻めるように舌を激しく絡ませてくる。

―――ひとみ…!?

 ディープキスの最中に目をパッチリと開け、梨華はギョッと目の前の睫毛の長い閉じた瞳を
見つめていた。ひとみのTシャツが胸の先端に擦れて、それだけで梨華は更に感じてしまう。

―――いつから…?

 しかし、考えるヒマを与えない程、ひとみは激しく求めてくる。
 梨華が目を覚ましたのに気付いたのか、ひとみは急に梨華から離れた。

109『石川さんと呼ばないで』〜番外編〜:2002/10/02(水) 19:49

「起きた?」
「ぉ、起きるに決まってるじゃない…」

 梨華は少し困ったように答えた。

「良かった」

 ひとみは、それだけ言って微笑んだ。

「良くないってば…」

 梨華は前を隠しながら、ひとみを軽く睨む。

「その割に感じてたクセに…」

 ひとみは厭らしい笑みを浮かべると、スカートの中に手を這わせた。

「やっ…」

 ビクンと梨華は跳ねると怯えるような目でひとみを見つめる。

110『石川さんと呼ばないで』〜番外編〜:2002/10/02(水) 19:50

「イヤならいいんだ。別に…」

 ひとみは、すぐに手を引こうとする。

「あ゛っ…。イヤ…じゃないけど…」
「けどなに?」

 ひとみの目が意地悪く光る。
 本当に憎たらしいと梨華は思いながら、渋々口を開く。

「ぅぅん。ひとみと…したぃ。抱いて欲しいの…」

 梨華は顔を真っ赤にさせながら呟いた。
 それを聞いて急にひとみの笑顔が優しくなる。

「素直な梨華が好きだよ」

 そう言うと、ひとみは梨華に優しいくちづけを何度も繰り返す。
 それだけで梨華の身体は、全身熱みを帯びていく。

「ひとみ…」

 久しぶりだからか、梨華の身体は過敏に反応する。

111『石川さんと呼ばないで』〜番外編〜:2002/10/02(水) 19:50

―――きっともう…ぐしょぐしょだ…。

 触れられる前に自分でそれが分かり、梨華は恥ずかしくなる。
 中心のソレはひとみを想うだけで、ジュンと更に熱くなる。
 ひとみの手が再びスカートの中に入り込んで来ると梨華は身体を強張らせた。
 しかし、ひとみの手は腿を伝い、更に侵入してくる。

「ぁぁっ…」

 その部分に触れられる前に、梨華は声を漏らしてしまった。
 そんな梨華を見て、ひとみはクスリと微笑む。

「カワイイな。梨華は…」

 低い声で囁かれて、梨華は顔から火が出そうになる。
 ひとみは、スカートを取り去ると、梨華のショーツの上から指をなぞり始めた。

「はぁっ…んん…」

 梨華は仰け反るように身体をくねらせた。

112名無しベーグル。:2002/10/02(水) 19:53

更新しますた。
今、併行してエ●ばっかり書いてるから被ってるような気がして(鬱。

>104 総長@へたれ。さん
あまり期待しないで下さい。
石川さんに合う物って、やっぱりアレですか?(謎)

>105 名無し( ´ Д`) さん
ご期待に添えてるか、どうか微妙(w。

113名無し溝掃除:2002/10/04(金) 16:39
またいいトコで切りやがって(w

114名無し○い○ん:2002/10/04(金) 20:22
ほんとにいいとこで区切ってますね。
は・はやく続きおながいします。

115『石川さんと呼ばないで』〜番外編〜:2002/10/13(日) 02:10

-21-

「梨華、もうぐちょぐちょじゃん。そんなに欲しいの?」

 いつものように、意地悪な言葉を浴びせるひとみ。
 でも、こんな時は、意地悪な言葉が却って梨華を興奮させてしまう。

「ち、ちがっ…」

 梨華は強引に足を閉じようとするが、それよりも強い力で、ひとみの足が割って
入って閉じさせないようにする。

「ぃゃぁ…だぁ……」
「好きなクセに…」
「そんなコトないもん!」

 梨華が、負け惜しみを言う台詞も、たまらなくひとみは好きで、更に意地悪を
したくなってしまう。

116『石川さんと呼ばないで』〜番外編〜:2002/10/13(日) 02:10

「じゃぁ、コレはなんなのさ?」
 ひとみは、ショーツを一気にズリ下げると、梨華の茂みに指を這わせた。

「ぁぁぁっ!」

 ひとみの、ひんやりした指が梨華の部分に触れて、梨華は甘い声をあげてしまう。
 そのギャップが、またひとみの心をくすぐる。

「こんなに濡らしておいて、梨華は嘘つきなんだから」
「嘘ついた覚えは…なぃ…よ…ぅ…ふぅん…っ」

 ひとみが、ゆっくりとなぞりながら、囁くと梨華は、腰を揺らしながら、まだ抵抗の
姿勢を崩さなかった。

「そぅか。じゃぁ、ここに訊けば分かるかな?」

 ひとみはニヤリと薄笑いを浮かべると、顔を梨華の下半身に移動させて、
梨華の最も弱い部分を舌で舐め回した。

117『石川さんと呼ばないで』〜番外編〜:2002/10/13(日) 02:11

「ゃぁぁっぁぁっんんっ! ひと…み、何すんのよぅ。急に!」

 梨華の身体に電流が走ったようにビリビリと駆け抜ける。
 しかし、ひとみは構わずに続ける。

「色気ないなぁ。もっとさぁ、『ひとみ、イイ。感じちゃうぅ』とか言えない訳?」
「言わない…。言うもんですか! ぅわぁっ。あぁん…ぁ…ゃぁっ…」

 梨華の蕾を舌先で、ツンツンすると、すぐに大きく肥大する。

「あはっ。可愛いなぁ梨華のって。食べちゃいたいくらい…」
 ひとみは指先で摘みながら、その箇所を舐め回す。

118『石川さんと呼ばないで』〜番外編〜:2002/10/13(日) 02:11

「ぁんっ…。やっ…」
 しかし、快楽の波に勝てる筈がなく、梨華の台詞も、もうただの喘ぐ声にしか
ならなかった。心では、ひとみの事が悔しい! と思っていても、好きなのには
違いない訳で、梨華は、ひとみの頭を掴みながら、欲望に赴くまま腰を振っていた。

 そして、梨華の泉から湧き出る愛液を、ひとみは舐め続けた。

「やぁ…んんっ。ぁぁんっ…ぁ…。ひとみぃ…ハァ…イイよぅ…。好きぃ…」

(やっと、素直になったか。全く時間がかかるんだから…)

 ひとみは、やれやれと言った感じで、必死にしがみついて悶える梨華を抱きながら
至極幸せな時間を過ごしていた。

119名無しベーグル。:2002/10/13(日) 02:15

エロシーン終了。終了です。もうありません。

>113 名無し溝掃除さん
「どぶそうじ」って読めなくてごめんなさい。
別にいいトコで切ってるつもりはないです。スマソ。

>114 名無し○い○んさん
はやく続き書けなくてスイマセン。

120\1980:2002/10/13(日) 13:56
おもしろい・・・
一気に全部読んでしまいましたっ(w
続き期待です!!

121『石川さんと呼ばないで』〜番外編〜:2002/10/14(月) 15:10

-22-

 翌日、ヤケにすっきりした顔の梨華に、飯田はニヤリとして、梨華の横腹を突いた。

「梨華ちゃぁん、昨日、吉澤と……何かいいコトあったのかなぁ?」
「ヤダ。もう何もないですよ! 勉強と関係ないじゃないですかぁ!」

『わかります?』と言わんばかりに照れる梨華だったが、分かりすぎるくらい、
分かる梨華の反応に飯田も苦笑いせざるおえない。

「じゃぁ、その首についてる…」
 飯田が、からかい半分に指を指すと、梨華はサッと顔を赤らめて首元を隠した。

「え? ぇ? 跡ついてます?」
「ホント分かりやすいなぁ。梨華ちゃんって。吉澤がからかいたくなるの分かる気がするよ」
「なんですか、それ? またひとみ人のコト馬鹿にしてるんですね。
 飯田先生に言わなくてもいいのに。もぅ…」
 梨華はほっぺたを膨らます。そんな仕草も可愛い。

「まぁ、それはそれ。これはこれ。梨華ちゃんも吉澤と燃えるのもいいけど
 勉強の方もキッチリやらないとね。じゃぁ始めるよ」

 そう言って飯田はテキストを開いた。

122『石川さんと呼ばないで』〜番外編〜:2002/10/14(月) 15:10

 その頃、ひとみは飯田の部屋にいて何故か片づけをしていた。
 松浦も当然一緒な訳で、二人してブツブツ言いながら掃除を始める。

「松浦は世話になってるからいいけど、なんでアタシまで…」

 別に掃除するのは嫌いではないし、梨華の部屋に比べたらまだ片づいている。

「いいじゃないですかぁ。アタシは何してても吉澤さんと一緒なら嬉しいです」
「アタシは楽しくないけどな…」

「やっぱり、石川さんと一緒の方が楽しいですか?」
 松浦は動かしていた手を止めて、ひとみを見る。

「そう言うんじゃないけどな。どうせヒマだし…」
 別に四六時中梨華と一緒にいたい訳ではない。

「昨日、石川さんと…どうでした?」
 松浦は気になるのか、話を変える。
「どうって何が?」

「久しぶりにしたんですよねぇ?」
 松浦は恥ずかしげもなくズケズケと聞いてくる。

123『石川さんと呼ばないで』〜番外編〜:2002/10/14(月) 15:11

「んぁ…っと、ま、まぁな…」
 改めて聞かれると恥ずかしくなる。
「羨ましいなぁ。アタシもまた吉澤さんと…とかって思うけど無理ですよねぇ。
 飯田さん優しいんですけど、やっぱり吉澤さんがアタシはいいからなぁ…」
 冗談なのか本気なのか、松浦は流し目でひとみの事を見つめながら言う。

「あの、そういう目で見ないでくれ。気が散るから…」
「吉澤さん! 少しは松浦のコト心配してくれます?」
 急に松浦はひとみに接近してきた。
「何がだよ」
「松浦のコト、好きですか?」
「なに急に…」
 松浦はひとみの腕を掴んだ。しかし、次の瞬間軽く笑った。

「もう吉澤さん、すっかり丸くなっちゃって。つまんない」
「はぁ? なんだよ。もう。つか、急にこっち来たりなんなの?」
 まだ理由を聞いていなかった。

124『石川さんと呼ばないで』〜番外編〜:2002/10/14(月) 15:11

「あ、もう週末には帰りますよ。吉澤さんが心配だっただけですから」
「心配って。松浦に心配されるようになったらお終いだな」
「アタシ、あっちに好きな人いるし」
「そうなの? なんだよ、思わせぶりな態度しやがって!」
 ひとみは正直ホッとしながら松浦の肩を叩いた。
「少しは期待しました?」
 悪戯っぽい瞳の松浦。ひとみは、Tシャツ姿一枚の松浦を思い出して赤面する。

「してねぇよ!」
「なぁんだ残念。まだ告白してないんですけど、頑張ってアタックします!」
 松浦は拳を突き上げて笑う。
「松浦のその性格なら大丈夫だろ。ガンバレな」
「言われなくても頑張りますよ。またメールしますね。ちゃんと返事下さいよ」
「分かってるよ…」

 そして、松浦は週末に戻っていった。

125『石川さんと呼ばないで』〜番外編〜:2002/10/14(月) 15:11

-23-

 夏休みも終わりに近づいたある日。

「今日で終わり。残念だけど。2学期からも頑張るのよ」
「ありがとうございました。飯田先生と別れるの寂しいです…」

 飯田の教え方は、時々意味不明の引用があったりして分からなかったが、
全体的には、分かりやすかったと梨華は思う。

「梨華ちゃん。口がうまくなったわね。ま、吉澤と愛し合うのもほどほどにね」
 飯田はニヤリとして言う。

「もぅ先生。すぐひとみのコト持ち出すんだから!」
 梨華は照れながらも満更悪い気はしていない。

「また何かあったら連絡してね。吉澤にも宜しく言っておいて」
「はい。ありがとうございました」

 こうして飯田の家庭教師も今日で終わった。少しは成果が上がるのだろうか?

126『石川さんと呼ばないで』〜番外編〜:2002/10/14(月) 15:12

 飯田が家を出て少ししたところで、ひとみに声をかけられた。

「なんだ、吉澤いたんだ」
「今日で終わりっすか」
「うん。なかなか楽しかったよ」

 駅まで飯田と二人で並んで歩く。

「梨華、どうですか? 成績上がりそうですか?」
「んー…。まぁ吉澤次第じゃない?」
「あ?」
「梨華ちゃん、頑張れば出来るんだけど、どうも頭の中が、吉澤のコトで
 いっぱいみたいだからねぇ。その辺の切り替えが上手く出来れば平気だと思うけど」
「そうですか…」
「心配?」
「まぁ…」

「吉澤は要領良いし、勉強昔から出来るからなぁ…」
「んなコトないですよ」
「梨華ちゃんと何かあったら、また相談に来な」
「ありがとうございます。飯田さんに言われると心強いっすね」

「そりゃ、アタシが吉澤の初めての女だもん」
「ぃゃ、それは別に……」

 ひとみは口ごもる。そんなの今更言わなくても…。

127『石川さんと呼ばないで』〜番外編〜:2002/10/14(月) 15:12

「まぁガンバレよ、吉澤も。梨華ちゃんの尻に敷かれないようにな!」
「それは平気っすよ…」

 丁度駅に着き、飯田と別れる。
 ひとみは元来た道を引き返しながら梨華の事を考えた。

「梨華、あれで素直だったらなぁ…。もっと愛しちゃうのに。まぁ少しひねくれてるところも
 いいんだけどな…」
「誰がひねくれてるって?」

 ひとみは、その声にピタッと立ち止まる。
 振り返ると、梨華が自転車に乗りながら睨んでいた…。

128『石川さんと呼ばないで』〜番外編〜:2002/10/14(月) 15:13

-24-

 場所は変わってひとみの部屋。
 相変わらず、口喧嘩が絶えない二人である。

「アタシはいつも素直だよ。ひとみがひねくれてるんじゃない!」
「アタシだって素直じゃん。だから、本能の赴くままに…」

 そう言って梨華を抱きしめると、そのままベッドに倒れ込む。
 たちまち組み敷かれる梨華。

「ヤダぁ。何すんのよ! いきなり!」
「梨華を抱きたいって、いつも素直に思ってるし…」
 ひとみは梨華の瞳を覗き込むように見つめる。

「もぅ、エッチなんだから!」
「エッチで結構。ほら、そうやって梨華は素直じゃないじゃんか」
「そんなコト…」
「いつもしたがってるのは梨華のクセに…」
「そんなコトないよぅ!」
「ある!」
「ない!」
「じゃぁ確かめてみる?」

 ひとみは、そう言うと梨華の唇に唇を重ね合わせた―――。

129『石川さんと呼ばないで』〜番外編〜:2002/10/14(月) 15:13

 1時間後………。

「梨華がえっちだってコトは、立証されただろ? 言わなくても分かってるけどね」
「うるさいな!」

 勝ち誇ったように言うひとみの腕の中で梨華は背中を向けようとする。
 結局、昼間からひとみに素直にイカされてしまった梨華は、別の意味では素直だと思う。

「梨華がえっちだから好きなんだけどね。それに、えっちの時可愛いし」
 ひとみの抱く腕に力がこもる。
「えっちなのは、ひとみだって一緒じゃないかぁ…」
 梨華は起きあがると、ひとみの白い肌に、そっと口づけた。

「そうだよ。アタシは梨華を抱いてる時が一番好き」
「え?」
 梨華の動きが止まる。
 時々ひとみはストレートに言うから、こっちが恥ずかしくなる。
「幸せ。梨華がアタシの腕の中で感じてくれてる時が嬉しい…」
「ちょ、ちょっと。ひとみ?」
(ヤダ。すっごい嬉しい…。どうしよぅ…。変なオチがつくとかじゃないよね?)
 ドキドキしていると、ひとみがまた梨華の上に覆い被さって来た。

「だから、何度でも攻めたくなっちゃうんだ。ぃぃょね? 梨華…」

 耳元で甘く囁く低い声に、梨華は頷くとそっと目を閉じた。

 最後の夏休み。二人はとっても熱い熱い日を過ごしたらしい…。



                               〜 The END 〜

130名無しベーグル。:2002/10/14(月) 15:15

完結です。
お粗末様ですた。m(_ _)m

>120 \1980さん
\1980さんキタ━━━━━━(゜∀゜)━━━━━━!!!!
レスありがとうございます。もう終わってしまいましたが、
また、あちらにもお邪魔しますね。無理しないで下さい。

131名無し上京:2002/10/14(月) 17:46
おつ。
さすがだな。べー。
萌えつきた…と言いたいトコだが

 ま だ ま だ 足 り ま せ ん 

とにかく感動(爆)をありがとう。

132名無しお尻:2002/10/15(火) 05:44
あわわわわ終わってしまいましたか(´・ω・`)ショボーン
お疲れ様でした!
でもまだまだ

い し よ し 不 足

次回作も期待してまーす(^▽^)♪

133\1980:2002/10/16(水) 18:12
完結おめでとうございます!!
最近体調不良で困っております・・・(鬱

あ ぁ い も う ま い

ただやりたかったので思わず(w
最後までおもしろかったです!!
あややの思い人とは一体・・・

134『最高の片想い』〜番外編〜:2002/10/22(火) 18:00
 吉澤と石川が付き合い始めて早、数ヶ月―――。

 石川に呼ばれて、一夜を共にした吉澤がどうなったかは、触れないでおこう。

「梨華ちゃんのコト、頼むよ…」

 そう言って後藤は、モーニング娘。を去っていった…筈であるが、
ハローモーニング。では、変わらず一緒に仕事をしている。

 勿論? 吉澤は今でも後藤の事が好きである。
 しかし、告白も出来ぬまま、結局石川と今は付き合っていて、メンバー内でも
公認のバカップルである。

「アタシだけが何かソンしてる…」
「なぁーに? よっすぃー…」

 振り向けばヨコハマ。ではなくイシカワ。

「梨華ちゃん。なんでもないっ」

 すっかり尻に敷かれている感の強い吉澤。
 少々手を大げさに振りながら後ずさった。

135『最高の片想い』〜番外編〜:2002/10/22(火) 18:01

 石川の衣装は白でフリルのついたワンピース。
 かたや吉澤はカツラにほくろをつけ、胸パットを入れたオバサンスタイル。
 リニューアルされたハロモニ。モーママの格好だ。

「今日、よっすぃーわざと飯田さんに絡んだでしょ?」
「はぁー?」
「タンゴの時だよっ!」

 そう言えば収録の時、ちょっとふざけて飯田に絡んだ吉澤。
 最初ノリノリだった飯田も腰に手を回された途端、退いていた。
 そして飯田が去った後に石川は笑いながら吉澤に近づき、そのまま二人で踊った。

―――梨華ちゃん、目が笑ってなかったっけ…。

136『最高の片想い』〜番外編〜:2002/10/22(火) 18:01

「アタシの前に飯田さん、梨華ちゃんと絡むからちょっと面白くなかったんだよ」
「本当にそれだけ?」
 石川の疑いの眼差しが注がれる。

「勿論。だってアタシ、今は梨華ちゃんの恋人だもん」

 バカップルと呼ばれるくらいメンバー内でも呆れるくらいのいちゃつきぶり。
 勿論、石川→吉澤であるが。後藤卒業後は、特に激しくなった。
 これで来春、保田も抜けたらと思うと背筋が寒くなる吉澤である。

「よっすぃー♪」

 もう機嫌が直ったのか、石川に思い切り抱きつかれる吉澤。
 その拍子にヅラが取れそうになる。

(マヌケなカッコ。こういうのも不倫に見えるのかな? なんてね)

「ゴホンッ」

 咳払いが背後からして、吉澤は石川を支えながら振り返った。

「なぁーんかさ、二人共仲良すぎ…」

 ちょっと照れて下を見ながら後藤は呟く。

137『最高の片想い』〜番外編〜:2002/10/22(火) 18:02

「ごっちん…」

 後藤の照れ笑い。今見ても胸が少しキュンとする吉澤。
 まだ後藤に想いが残っている証拠。少し切なくなる。

「ごめん…」

 何故か謝る吉澤に後藤はフニーと笑う。

「よしこが謝るコトないじゃん。梨華ちゃんのコト頼んだのゴトーだし。
 仲良いのはイイコトだもん」

(なんてお人好し。ごっちん、梨華ちゃん今でも好きなんだろ?)

 この辺が吉澤には理解出来ない。

138『最高の片想い』〜番外編〜:2002/10/22(火) 18:03

「ごっちんは物わかりい〜な〜♪ 大好きだよ、ごっちん!」

 石川は吉澤の元を離れて後藤に抱きついた。

「あっ…」

 途端に固まる後藤。

「離れろぉっっ梨華ちゃんっっ!」

 吉澤は少しマジになって二人を引き離そうとする。
(冗談でも過ぎるよ。梨華ちゃん…)

 吉澤の言葉に後藤は石川から離れようとした。

「よしこっ。アタシなら大丈夫だから。大丈夫♪ きっと大丈夫♪」
「いや、そうじゃなくて…」
(誤解だよ、ごっちん…)

「よっすぃー妬いてんだぁ〜。カワイイッ」

 石川は少し意地悪そうに言いながら吉澤のほっぺたをツンツン突いた。
 笑ってるのに、また目は冷たい…。

139『最高の片想い』〜番外編〜:2002/10/22(火) 18:03

「ま、まぁ…。見せつけるのは、家ん中でやってね。じゃぁ〜」
 そう言って、後藤は控え室に先に行ってしまった。

(うぅぅ…。ごっちん…。)

 名残惜しそうに後藤の背中を見つめる吉澤に、石川は両手を頬に添えて自分の方に
振り向かせた。

「よっすぃー。まだごっちんのコト…」
「へ?」
 怖い顔で睨む石川。

「アタシは、こぉ〜んなに、よっすぃーのコト愛してるのにっ」
 両頬に添えられている手に力が入る。

(だから目が怖いよ、梨華ちゃん…。)

「アタシだって梨華ちゃんのコト、好きだってば」

140『最高の片想い』〜番外編〜:2002/10/22(火) 18:04

 吉澤は頬を引っ張られる前に、石川の手首を掴むと、そのまま上にあげ
壁に石川を追いやり、怒っている石川に強引に口づけた。

「……っ。そんなんで騙されないんだからっ」
「騙してないよ。キスしたくなったから…しただけ」

 息が触れ合う位、近づけて吉澤は囁くと、もう一度くちびるを重ねた。
 先ほどよりは深く熱く―――。
 最初、力の入っていた石川の身体もキスを重ねる事で次第に力が抜けていく。

「梨華ちゃん」
「よっすぃー」

 盛り上がったところで、また声がする。

「だから、こんな廊下の隅でラブシーンやってんじゃねぇよ!」

141『最高の片想い』〜番外編〜:2002/10/22(火) 18:04

―――その声は矢口さん…!!

 矢口は腕を組みながら二人を交互に見つめている。

「…………」
「しかも、そんな格好でよぅ〜〜〜」
「す、すいません」

 決まって先に謝るのは吉澤。
 そして、開き直るのは石川。

「だぁ〜って矢口さん、二人の愛は止まらないんですぅ〜♪」

 両手を絡めてクネクネさせながらシナを作る石川に矢口はお決まりの一言。

「石川キショイんだよっ!」

『そうですよねぇ』なんて同意も出来ずに吉澤は一人佇み曖昧に笑みを浮かべていた。

 梨華ちゃんと付き合うって選択やっぱり、間違ってたカモ。
 でも、楽しいんだけどね。
 今更ながらに、それを感じる吉澤だった。

                           〜〜 おしまい 〜〜

142_:2002/10/22(火) 18:10

石川さんと〜のレスから。遅くなってスマソ。

>131 名無し上京さん
いつもレスサンクスだす。
またパソコン買ったら戻って来てな〜。

>132 名無しお尻さん
次回作…。未定です。短編をぼちぼち書いていこうかなと。
予定は未定ですが。

>133 \1980さん
体調どうですか? \1980さんもがんがってくらさい。
あややの思い人とは、今、ゾッコンなあの人ですw。



>>134-141 飼育の風板で連載していた、最高の片想い-番外編-うpしますた。
諸事情がありまして、飼育でうpしる気になれなかったもので、こちらで。
あまり大したもんではありませんが(恥。

143ごまべーぐる:2002/10/24(木) 13:15
『石川さんと呼ばないで』番外編に萌えますた。
石川夢子と吉澤ケバ子のキスシーンにも萌え(w
ちょっとお得な気分です。

144名無しお尻:2002/10/24(木) 21:37
わーい!!番外編が読めて、うれすぃ〜です!!
ありがとうございました!!

145名無しベーグル。:2002/11/13(水) 00:37

>143 ごまべーぐるさん
どもども。ちょっと中途半端で申し訳…。
夢子とケバ子の名前だと萎え(w

>144 名無しお尻さん
そう言っていただけると嬉しいです。

146恋愛お見舞い申し上げます:2002/11/13(水) 00:38

−1−

『絶対、梨華ちゃんを振り向かせてやる!』

 今年年頭の私、吉澤ひとみの誓いは、いまだ果たせぬまま、時は既に
11月に入っていた。

「ひーちゃんには無理だよ」

 腹の立つ言葉を後に、豪快に笑う、憎たらしい松浦亜弥は私より
一つ年下の幼なじみ。最近人気の出てきたウチのバレー部の先輩で
梨華ちゃんと同じクラスの藤本美貴先輩とヨロシクやっちゃってたりする。

147恋愛お見舞い申し上げます:2002/11/13(水) 00:39

 私なんか梨華ちゃんを想い続けて早や17年っつーのに、亜弥はものの3ヶ月で
藤本先輩とラブラブになりやがった。
 最初、退き気味だった藤本先輩も、亜弥の猛烈なラブアタックでやられてしまった
のか、最近じゃ照れながら亜弥の話をするのを多々見かける。
 んなノロケ話すんなよっ!

 亜弥は亜弥で、梨華ちゃんと同じテニス部である。
 
 私は梨華ちゃんを待ちながら、先に出て来た亜弥と少しだけ話をしていた。

「私はミキスケと帰るから、ひーちゃんも梨華ちゃんと頑張ってよね。
 まぁ無理だろうけど」

 一言多い亜弥に、あっかんべぇをしながら梨華ちゃんを待つ。
 何がミキスケだよ。ホントに…。ノロケるのもいい加減にしろよ! 羨ましい奴だな。

148恋愛お見舞い申し上げます:2002/11/13(水) 00:39

「あ、ひとみちゃん。待っててくれたんだ」

 そのアニメのような可愛い声は、紛れもなく梨華ちゃん!
 私の想い続けている石川梨華ちゃん!!
 背後から聞こえる愛しい声に私は振り返った。

「梨華ちゃん!」

 でも、そこには梨華ちゃんだけでなく、他にも余計な人たちが色々といた…。
 くぅ〜だから邪魔なんだよ、お前ら!
 と思っていても決して口には出せない私は、引きつり笑いをしながら
梨華ちゃんに微笑みかける。

149恋愛お見舞い申し上げます:2002/11/13(水) 00:40

「これからみんなでお茶するけど、ひとみちゃんも来る?」
「…えー…」

 なんだ梨華ちゃんと二人っきりじゃないのかよ。
 他の奴らも気の利かないヤツめ。二人っきりにさせろよ。
 ってか、私は付け足しみたいじゃん?

 でも、ここで引き下がっちゃダメ。

「うん。行く行く!」

 梨華ちゃんに誘われちゃったら、例え火の中水の中。
 私、吉澤ひとみは行くのです。

150恋愛お見舞い申し上げます:2002/11/13(水) 00:40

「あー。吉澤先輩、ここにいたんですね!」

 タイミングを見計らったかのように声をかけられる。
 その声は…。

「お、小川!?」

 小川麻琴。バレー部の後輩である。
 おまけに、ののこと、辻希美までいる。
 
「今日は、おごってくれるって前から約束してたじゃないですか」

 え? そうだっけ? そんなどうでもイイコト覚えてないや。

「約束してたのれす」

 ののとは、約束した覚えないんだけど?

151恋愛お見舞い申し上げます:2002/11/13(水) 00:40

「明日にしてくれる?」

 小川より、梨華ちゃんの方が当然大事な私は、約束を蹴ろうとした。

「ダメだよ、ひとみちゃん」

 それを聞いていた梨華ちゃんが少し怒っている。
 なんで?

「約束は、ちゃんと守らなきゃ。じゃぁね、ひとみちゃん」

「えー…」

 早々に梨華ちゃんにバイバイされると、私は小川と辻と3人になった。

 ガーン。今日もダメだった。梨華ちゃん…。

152恋愛お見舞い申し上げます:2002/11/13(水) 00:41

−2−

 こんな事はいつもの事。
 これくらいで負ける私ではない。

 早々に小川と辻にファミレスでおごってやって、一人抜け出す。
 でも、きっと梨華ちゃんは、まだ他のテニス部の連中とおしゃべりに花を咲かせているだろう。

 これだったら、私もテニス部に入れば良かった。
 そうしたら、梨華ちゃんのテニスルックも拝めると言うのに。
 って話がそれちゃった。

153恋愛お見舞い申し上げます:2002/11/13(水) 00:41

 これから合流するのも、なんだか悔しくて、私はにっくき亜弥を邪魔する事にした。
 まずは携帯をかけてみる。

『なによ? ひーちゃん』

 明らかに迷惑そうな声。きっと隣には藤本先輩が。
 まさか裸とかじゃないだろうな? ヲイ!

「まさか最中とかじゃないよな? 亜弥」

 ストレートに私はぶちまけてみる。

154恋愛お見舞い申し上げます:2002/11/13(水) 00:42

『ひーちゃんのバカ!』

 お約束通りの答えが返って来る。ありがとう亜弥。

「これから亜弥んち行くからさ」

 私はそう言って亜弥の家に向かう。

『こなくていいよ』

 そんな言葉が聞こえたような気がしたが気にしない事にした。
 自分たちだけで幸せになろうなんて、私が許さないんだから…。

155恋愛お見舞い申し上げます:2002/11/13(水) 00:42

 亜弥の家に到着。
 勝手知ったる亜弥の家だから、構わずにあがっていく。

「お邪魔しまーす」

 一応声をかけながら入ると、二階の亜弥の部屋へといく。
 亜弥以外、誰もいないらしい。ということは…。

 ノックをして亜弥の部屋に入ると、物凄い形相の亜弥と目があった。

「来ちゃった♪」

 わざとおどけて言ってみせたが、亜弥には通用しなかったようだ。

「来ないでよ、ホントに!」

156恋愛お見舞い申し上げます:2002/11/13(水) 00:43

 亜弥の目はマジでちょっと怖い。
 藤本先輩はベッドに腰掛けていた。

「吉澤さん、お疲れ〜」
「お疲れっす。先輩」
 
 軽く藤本先輩に会釈をして、亜弥の怖い視線をすり抜け、先輩の隣りに勝手に座る。
 しかし、亜弥は立ち上がると、私の隣りに移動してきた。

「ひーちゃん、また梨華ちゃんにフラれたの?」
「またとか言うな…」

 亜弥も藤本先輩も私が梨華ちゃん大好きなのは、とっくに知っている。
 と言うより、殆どの人が知ってる事。知らないのは、当の梨華ちゃんだけだ。

157恋愛お見舞い申し上げます:2002/11/13(水) 00:43

 亜弥と梨華ちゃんも同じく幼なじみだから、小さい頃は、というより最近まで
良く一緒に三人で遊んでいたものだ。ただ、亜弥が藤本先輩と付き合い出してからは、
今ではあまり三人集まる事は少なくなっていた。

「押しが足りないんだよ、吉澤さんは…」

 ガーン。藤本先輩まで言われちゃった…。

「そのうち、梨華ちゃん誰かさんに持ってかれちゃうかもね〜」

 亜弥が含みのあるイヤな言い方をするから、私は大声をあげた。

「誰かさんって誰よ?」

 そうなんだ。梨華ちゃんって結構人気あるんだよな。可愛いから。
 だって私が好きになるくらいだもん。

158恋愛お見舞い申し上げます:2002/11/13(水) 00:44

「私、結構相談受けたもん。石川先輩紹介して♪って」

 誰だ? そいつは! 許さねぇ!

「あ、私もさぁ、言われたよ」

 藤本先輩も続けて言う。

「あんまりのんびりしてると、ホントに持ってかれちゃうよ、ひーちゃん」

 それはマズイ。

「今の位置に満足ならいいけどねぇ」

「それはイヤだよ!」

159恋愛お見舞い申し上げます:2002/11/13(水) 00:45

「だったら行動起こしなよ。梨華ちゃんは、ちゃんと言わないと分からないタイプだよ」
「今からでも呼び出してみれば?」

 藤本先輩は、他人事のように言ってのける。
 まぁ、他人事ですけどね。

「亜弥は、どうやって藤本先輩を口説き落としたの?」

 こういう時は悔しいが、先輩である亜弥に聞いてみるべきだろう。

「口説いただなんて、ヤァダァ〜! ひーちゃん! もぅ…」

 ― ベシッ! ―

 背中を思い切り叩かれる。

 痛いっつうの!

 聞いた相手が間違っていた。最初から先輩に聞けば良かった。

「亜弥はいいや、先輩に聞くわ。先輩、どうでしたか?」

 しかし見れば藤本先輩も照れている。

 ったく、どいつもこいつも…。

160恋愛お見舞い申し上げます:2002/11/13(水) 00:45

−3−

 二人に当てられっぱなしの私は、やはり来た事を後悔しながら、今度は梨華ちゃんちに
移動した。梨華ちゃんちも亜弥んち同様に、勝手に上がり込む私。

 丁度夕飯時を狙った訳ではないけれど、夕飯に呼ばれてしまい、私は梨華ちゃんを
待ちながら、ご飯を食べていた。

 一体、私は何しに来たんだろう?

161恋愛お見舞い申し上げます:2002/11/13(水) 00:45

 ご飯を食べ終わり、梨華ちゃんのお母さんと話をしていたところで、梨華ちゃんが
帰って来た。

「おかえり、梨華ちゃん」
「あ、ひとみちゃん来てたんだ…」

「梨華も、食べるでしょ?」

 梨華ちゃんのお母さんが梨華の茶碗を持って立ち上がる。

「食べて来たからいいよ。シャワー浴びちゃう」

 シャワー!!
 別に興奮する事はない。
 だって、部活から終わって来たら、梨華ちゃんはいつも真っ先にシャワー浴びるんだから。

「私、梨華ちゃんの部屋で待ってるね…」

 妙に上擦った声で私はそう言うと、梨華ちゃんの部屋に移動した。

162恋愛お見舞い申し上げます:2002/11/13(水) 00:46

−4−

 何回も訪れている梨華ちゃんの部屋だけど、今日は妙に緊張してしまう。

 っていうか、ホントに今日、私は梨華ちゃんに想いを伝えるんだろうか?
 いつもみたいに、ダメになっちゃいそうな予感…。

 そんなネガティブ思考になりながら、梨華ちゃんのベッドに腰を降ろす。

 部屋をグルリと見渡す。
 私の部屋と違って、散らかっている部屋。梨華ちゃんらしいけど…。
 私の部屋と違って、一面ピンク色。梨華ちゃんらしいけど…落ち着かない。でも慣れた。

163恋愛お見舞い申し上げます:2002/11/13(水) 00:46

 亜弥や藤本先輩が言っていた言葉を思い出す。

 梨華ちゃん何も言わないけど、結構告られたりしてるんじゃないんだろうか…。

 そう考えると居ても立ってもいられなくなる。

 その辺から、今日は切り出してみようか…などと考えていたら、タオルを肩にさげて
髪の毛を拭きながら、梨華ちゃんが入ってきた。

 今にもシャンプーの香りが漂ってきそうな感じ。
 あぁ、梨華ちゃん。可愛いよ、梨華ちゃん。

164恋愛お見舞い申し上げます:2002/11/13(水) 00:47

「ひとみちゃん、どうしたの?」

 見とれていた私は梨華ちゃんの怪訝そうな顔を見て、慌てて目を反らした。

「いやいや、梨華ちゃんが可愛いからさぁ…」

「もぅ、何言ってんだか…」

 こうやって、いつも相手にされない私。
 冗談で言ってると思っているに違いない。
 そうじゃないのに…。今日こそは、言う。絶対言う! 言うんだ。

165恋愛お見舞い申し上げます:2002/11/13(水) 00:47

「あ、あ、あのさ、梨華ちゃん。聞いていい?」
「うん。何よ改まって…」

 改めて言われると言いにくくなる。
 でも言わなくちゃ。

「梨華ちゃん、告白されたコトある?」
「あるよ」

 いともあっさり。何という事か! マジ凹むんスけど。

166恋愛お見舞い申し上げます:2002/11/13(水) 00:48

「マジ…?」
「うん」
「それで?」

 私の声は自然と震えていた。

「断ったよ」
「そうか…。で、相手は?」

 気になるじゃん。誰だよ。

「なんで、そんなコト言わなくちゃいけないの?」
「へ? なんでって…」

 意外な答えが返って来る。
 明らかにムッとした梨華ちゃんの顔。

167恋愛お見舞い申し上げます:2002/11/13(水) 00:48

「ひとみちゃんだって、しょっちゅう告白されてるでしょ?
 でも私には言わないでしょ?」
「しょっちゅうなんてされてないよ。それに私は…」

 梨華ちゃんだけが好きなんだから。余計な事は梨華ちゃんには言わないんだ。

「私はなに?」

 なんで梨華ちゃんは怒るのだろうか? と思いながら、聞かれた事に対して
言葉に詰まってしまった。

168恋愛お見舞い申し上げます:2002/11/13(水) 00:48

「私、興味ないもん…」

 勿論、これは『梨華ちゃん以外』興味ないと言う意味だったんだけど
梨華ちゃんは、そうは取らなかったみたい…。
 さっと梨華ちゃんの顔が青ざめた。リトマス試験紙みたいに。

「そっか。ひとみちゃんも、やっぱり男の子がいいんだよね…。
 って当たり前だよね。いくらひとみちゃんがカッコ良くたって女の子なんか
 興味ないよね。気持ち悪いよね」

 え? 何言ってんの? 梨華ちゃん。勝手に話を作るなよ。
 何怒ってんのさ?

 梨華ちゃんは今にも泣き出しそうな顔をしているし、私はそんな梨華ちゃんを
見てオロオロするばかりだった。

169恋愛お見舞い申し上げます:2002/11/13(水) 00:49

「あのさ、興味ないって、そういう意味じゃないんだよ」

 私は梨華ちゃんの肩を抱きしめたかったが、意識し出してからは、まともに
梨華ちゃんに触れる事が出来なくなってしまっていて、両手は宙を彷徨っていた。

「じゃぁ、どういう意味?」

 私を見つめる梨華ちゃんの視線が、切なくて痛い。
 どう捉えればいいんだろう? なんて考えながら、ドラマだったら、ここで
『つづく』とか出るんだろうな…なんてぼんやり思いながら、私は梨華ちゃんを見つめていた。

170恋愛お見舞い申し上げます:2002/11/13(水) 00:49

−5−

『ひーちゃん、いまだよ、梨華ちゃんに告っちゃえよ!』

 何故か、頭上で亜弥の声が鳴り響いたような気がした。
 うるさいんだよ、亜弥は。

 今が言うべきチャンスなの?

「あのね、私は梨華ちゃんが…」

 一気に言ってしまえばいいものを、私はそこで止めてしまった。バカだ。

171恋愛お見舞い申し上げます:2002/11/13(水) 00:49

「私がなに?」
「あの…し、心配でさ…」

 好きと一気に言えばいいのに、私はまたやってしまった。鬱だ。

「心配? 答えになってないじゃない。私が心配だから興味ないの?」
「いや、そうじゃなくてさ。梨華ちゃん気になるから…」
「なによ、それ…」
「梨華ちゃんは、私のコトどう思ってるの?」

 逆に聞いてしまった。

「どうって、ひとみちゃんは…幼なじみだよ…」

 予想通りの答えに、私は落胆する。
 まぁ、そうだよね。梨華ちゃん、そんな素振り見せてないし。
 聞かなければ良かったと、私は後悔した。

172恋愛お見舞い申し上げます:2002/11/13(水) 00:50

「じゃぁ、ひとみちゃんは? 私のコトどう思ってるの?」

 梨華ちゃんが迫ってくる。
 気づけば私の腕を掴んでいた。
 それだけで、もう私の心臓は、乱れっぱなしになる。

 良く考えてみると、梨華ちゃんの答えって、答えになってないよ?
 いや、なってるか。

「梨華ちゃん。その答え。間違ってるよ」
「なんでよ?」

 青ざめた梨華ちゃんの顔が赤くなっていく。
 赤くなったり青くなったりと、忙しい事だ。

173恋愛お見舞い申し上げます:2002/11/13(水) 00:50

「私は梨華ちゃんのコト、す、す、好きなんだから。
 ずっと前から、幼なじみとしてじゃなくてさ。あ、あ、あ、あの…個人的に…」

 言っている事が支離滅裂になる。
 やべぇ。ヘタレよっすぃーが、また登場してる…。

「ホントに?」

 梨華ちゃんの手の力が更に強くなる。
 実は結構痛い…んだけど、言えない……。

「嘘なんか、梨華ちゃんについたコトない…」

 多分…。

174恋愛お見舞い申し上げます:2002/11/13(水) 00:51

「そんなの当たり前じゃない」

 あれ? そうなの? っつか、結構大告白だったんだけど、今…。
 あっさりスルーかよ!

「当たり前…」

 好きって、大好きの好きなんだけど。LikeじゃなくてLoveなんだよ?

「私だって、ひとみちゃんが好き」

 でも、梨華ちゃんの好きは、きっとLikeなんだ。
 だって、幼なじみって言ったもんね。狡いよ、梨華ちゃん。
 私なんか、ずっとLoveで想い続けて来たのに。

175恋愛お見舞い申し上げます:2002/11/13(水) 00:51

 ふいに梨華ちゃんは私の胸に顔を埋めて来た。

 予想外の展開に、頭が混乱する私。

「り、梨華ちゃん?」

 ど、どういう風に取ればいいんだろう?
 戸惑いながら、私は梨華ちゃんの身体に腕を回した。

176恋愛お見舞い申し上げます:2002/11/13(水) 00:52

−6−

 暫くそのまま抱きしめ合っていた。梨華ちゃんの体温が伝わって来て温かい。
 そして、梨華ちゃんの方から顔をあげた。

「ひとみちゃん?」
「ぅん?」

 梨華ちゃんは笑う。

「何も言ってくれないの? せっかく想いが通じたのに…」

 やっぱり、いいのか…な?

「長かったよ。梨華ちゃん…」

 私は、そう言って梨華ちゃんのほっぺたに軽くキスをした。

177恋愛お見舞い申し上げます:2002/11/13(水) 00:52

−7−

 後で聞いた話だけど、亜弥も梨華ちゃんの気持ちは知っていたらしい。
 てか、梨華ちゃんからも相談を受けてたらしくて、全く、亜弥も無理だとか言いたい事
言ってくれちゃって。まぁ、今は、こうして梨華ちゃんと相思相愛になったから
いいんだけど。

 こんな事なら、もっと早くに告白してれば良かった。

『絶対、梨華ちゃんを振り向かせてやる!』

 振り向くっていうより、元から振り向いてたんだね。

 よし! 来年の誓い。

『絶対、梨華ちゃんとムフフな関係になる!』

 亜弥に聞かせたら、きっと「バカじゃないの?」と返されるだろう。
 でも、いいんだもん。

 まだ、キスだけでいっぱいになっちゃう関係…もありだから。


                           〜〜 お 終 い 〜〜

178名無しベーグル。:2002/11/13(水) 00:54

>>146-177
短篇『恋愛お見舞い申し上げます』一気に終了。

たまには、純愛路線も…。

お粗末様ですた。m(_ _)m

179名無しよっちぃ:2002/11/13(水) 01:26
age

180名無しよっちぃ:2002/11/13(水) 14:15
スゴーク(・∀・) イイ!
甘々も、いいですね。
次回作期待!!

181名無しよっちぃ:2002/11/13(水) 18:44
お約束のヘタレひーさま、かわゆいですな〜。
女房の尻に敷かれるんしょうね?
ご馳走様でした。

次回作、お待ちしてま〜す!

182名無しよっちぃ:2002/11/13(水) 18:57
続き!続き!期待!!

183『恋愛お見舞い申し上げます2』:2002/11/15(金) 19:02

−1−

 幼馴染みの恋愛は17年間を経て、やっと成就した筈…なのに…なのに…。

 私が告白してから既に一週間。
 今日もいつもと変わらぬ光景。
 目の前を歩くいちゃいちゃカップルの亜弥と藤本先輩。

 私は梨華ちゃんと登校しているけれど、告白する前と何ら変わらない―――。

 亜弥は藤本先輩に寄り添うようにして歩いている。

 くそー羨ましい。

184『恋愛お見舞い申し上げます2』:2002/11/15(金) 19:02

 私だって梨華ちゃんと手ぐらい握りたいよ。この気持ち分かるか?
 亜弥を恨むように背中を見つめる。

―と、亜弥が急に振り向いた。

 おっ。交信出来るのか? と思いきや、思い切り舌を出された。

 非常にムカついた…。

 私の手はわざと梨華ちゃんのいる側を手ぶらにして、手を繋ごうかとぶらぶら彷徨う。
 しかし、梨華ちゃんは鞄を持ち替えたため、そのチャンスは呆気なく終わってしまった。

185『恋愛お見舞い申し上げます2』:2002/11/15(金) 19:03

「ひとみちゃん、さっきから黙ってどうしたの?」

 どうもこうも…。

 いつも私がベラベラ喋っているから、黙っている私は気持ち悪いのだろう。

「亜弥が羨ましくてさ…」

 つい本音をこぼす。

 少しは伝わる? この気持ち…。
 梨華ちゃんと手を握って歩きたい―。

186『恋愛お見舞い申し上げます2』:2002/11/15(金) 19:03

「亜弥ちゃんは、人目をはばからなすぎ」

 少しムッとして梨華ちゃんは亜弥達に視線を投げかける。
 相も変わらず亜弥は幸せそうに藤本先輩とぴったりくっついていた。
 まぁ、亜弥の方がベタ惚れなんだけど。

 梨華ちゃんはイヤなのかな。勿論、亜弥はやりすぎなんだけど。

「梨華ちゃんは、あーいうの嫌い?」
「好きって言って欲しいの? ひとみちゃん…」

 何だか少し軽蔑の色が混ざった瞳で視線を向けられて私は黙ってしまった。

187『恋愛お見舞い申し上げます2』:2002/11/15(金) 19:03

「………」
「手を繋ぐ勇気もないクセに!」
「……!!」

 梨華ちゃんに、そんな言葉をぶつけられて、私は立ち止まる。
 私を置いて先に行ってしまう梨華ちゃん。

 何だか哀しい―。

 これじゃぁムフフどころか、告白する前の関係の方が良かったんじゃ?

「梨華ちゃん待ってよ」

 私は情けない声で梨華ちゃんを呼ぶと急いで隣りに行き、何事もなかったように
おしゃべりを始める。

 梨華ちゃんの隣りのポジションは私だもの―――。

188『恋愛お見舞い申し上げます2』:2002/11/15(金) 19:06

−2−

 ショックから立ち直りつつ昼休み。

 梨華ちゃんを屋上に呼び出しているから、急いで教室から飛び出し
階段を一段抜かしで勢い良く駆け上がっていく。

 昼間、太陽が出ているとは言え、もう制服だけでは寒い季節だ。
 呼び出したのは良いけれど、こういう時に限って梨華ちゃんの方が先に来ている。

 梨華ちゃんは寒そうに制服のポケットに手を突っ込んでいた。

「ひとみちゃん遅いよ」

 少し冷たい北風が、梨華ちゃんの少し茶色かかった髪を吹き抜けていく。
 寒そうな顔をしていても、梨華ちゃんは、、やっぱり可愛い。

189『恋愛お見舞い申し上げます2』:2002/11/15(金) 19:06

「ゴメン、梨華ちゃん。待たせちゃった?」

 私は急いで梨華ちゃんに駆け寄った。

「今来たとこだけど…」

 でも梨華ちゃんは寒そうだ。

 私は梨華ちゃんの手をおもむろに出して、自分の手で包み込んだ。
 梨華ちゃんの手は案の定冷たかった。

「嘘。冷たいじゃん…」

 梨華ちゃんの手をギューッと握りしめる。、
 梨華ちゃんを待たせたのは悪いけれど、実はちょっと嬉しいかも。

190『恋愛お見舞い申し上げます2』:2002/11/15(金) 19:07

「いつもこんなだよ、私の手」

 気を遣っているのか梨華ちゃんは、そう答える。

 考えてみたら、梨華ちゃんの手に触れるのなんていつ以来だ?
 意識しだしてからは、梨華ちゃんに指一本触った事なんかない事に気づく。

「ゴメンね。私が温めてあげる」

 そう言った時には、もう梨華ちゃんの手は結構温かくなってたけれど
私は梨華ちゃんの手を握っていたくて、そう答えてしまった。

191『恋愛お見舞い申し上げます2』:2002/11/15(金) 19:07

「ひとみちゃんの手は大きくて温かいね…」

 梨華ちゃんは私の手をじっと見つめながら答えた。

「そ、そうかな…」

 大きいとか言われるのホントは好きじゃないけど、梨華ちゃんなら全然イヤじゃない。
 むしろ、嬉しい。
 梨華ちゃんに触れてるだけで幸せ。このまま時間が止まってしまえばいいのに…。
 意識しだしたら、また心臓がバックンバックン鳴りだした。やばいかも。

192『恋愛お見舞い申し上げます2』:2002/11/15(金) 19:07

「で、ひとみちゃん話って何?」

 あ、そうだった。私、梨華ちゃん呼び出してたんだよね。
 今日は結構これだけで満足なんだけど。
 だって、これだけでも大した進歩じゃんか!
 でも、こういう時は勢いで言ってしまった方がいいんだ。
 今、こうして手を握ってるわけだし。

「あのね。朝とか帰りなんだけどさ、梨華ちゃんと…その…」

 はぁ…また言葉に詰まってしまった。
 詰まると言いにくくなるんだよね。もぅ…。

「どうしたの?」

 梨華ちゃんに見つめられてますます緊張してしまう。
 手だって、もう汗がしんなりと出てる感じがする。

193『恋愛お見舞い申し上げます2』:2002/11/15(金) 19:08

「梨華ちゃんとぉ…あのね、そのね、手を…繋ぎたいな〜とか思ってさ」

 はぁ…。疲れる。いちいちこんな事をお願いする自分が情けないけど、
でもついお伺いを立ててしまう私なんだ。

「いいよ。ひとみちゃん…」

 梨華ちゃんは満面の笑みで答えてくれた。

 良かった! なんて純愛路線なの? 私達って! 感動!!

 でも、その後、まだ続きがあった…。

「ひとみちゃん」

 いきなり梨華ちゃんの口調が怒り出す。

194『恋愛お見舞い申し上げます2』:2002/11/15(金) 19:08

「ん?」
「そんなコトでいちいち呼び出さないで。私、5限目体育なんだから!」
「ゴメン梨華ちゃん…」

 結局怒られる私。
 しかも、”そんな事”って、梨華ちゃんには大した問題ではないらしい。
 私一人が舞い上がってるんだろうか?

「じゃぁ私、もう行くね」

 私の手から梨華ちゃんの手が離れる。
 途端に、冷たい空気に触れられて私の手は寂しくなった。

「うん。呼び出してゴメン」
「ひとみちゃんバイバイ!」

 梨華ちゃんは軽やかに走っていった。

195『恋愛お見舞い申し上げます2』:2002/11/15(金) 19:09

 そして最後に振り返ってこう言った。

「嬉しかったよ、ひとみちゃん。ありがとね!」

 梨華ちゃんは小さく笑うと、階段を駆け下りてあっと言う間に見えなくなった。

「梨華ちゃん…」

 ちょっと素直じゃない梨華ちゃんも、実はとっても好きだったりする。
 私の心は、少しだけ温かくなった。

196名無しベーグル。:2002/11/15(金) 19:12

>>183-195 更新。
純愛路線で行く予定(予定は未定)。

>180 名無しよっちぃさん
甘いですか。一応続編にしました。

>181 名無しよっちぃさん
よっすぃーはヘタレが似合いますね。
私も大好きです。

>182 名無しよっちぃさん
続く予定なかったんですけど、続けてみますた。・゚・(ノД`)・゚・。

197名無しよっちぃ:2002/11/16(土) 02:45
(・∀・)ノ イイ!! (・∀・)ノ イイ!!
純愛路線ええじゃないか!!
名無しベーグル。様の作品とは思えません(w
純愛バンザーイ!!

で、続き!続き!ありますか?

198名無しよっちぃ:2002/11/16(土) 21:37
いやー甘々ですね。
続きあるんですか?期待しています。

199名無しよっちぃ:2002/11/20(水) 18:16
すげーいい!!私も、続き期待!!

200七無し募集中:2002/11/22(金) 15:38
某所から(w
(・∀・)イイ!!ですいいですよぉ!(w
アヤミキが密かにあるから更に(w

201『恋愛お見舞い申し上げます2』:2002/11/22(金) 17:51

−3−

 やっと手を繋ぐ事が許された私は、まだ照れもあって、うなく繋ぐ事が出来ない時がある。
 それでも、私の心は梨華ちゃんの手と同じくらいに温かくなった。

 数え切れない程来ている梨華ちゃんの部屋も、意識しだすと、妙に落ち着かなくなるのだ。

 今日は、また告白を決心した時のように私の心臓はダンシング夏祭りだった。
 なんか、良くわかんない例えだけど。

202『恋愛お見舞い申し上げます2』:2002/11/22(金) 17:51

「梨華ちゃん、あのね…」
「なぁに? ひとみちゃん…」

 梨華ちゃんは雑誌から目を離さない―。

 こういう関係が酷くもどかしい。
 お互い一緒に居た時間が長い分、もう気心が知れているのだけれど。
そこから先に進みたいと気ばかり焦る自分一人が子供っぽく思えてしまう。

「梨華ちゃんとキスがしたい…」

 言っちゃった…。

203『恋愛お見舞い申し上げます2』:2002/11/22(金) 17:52

「え?」

 やっと梨華ちゃんは顔をあげる。
 聞こえてるクセに、わざと聞き返す梨華ちゃんは、とっても意地悪だね。
 そんなところも大好きだけど。

「キスしてもいい?」

 私は梨華ちゃんのすぐ近くまで来ていた。

 平静を保つフリをして、本当は物凄く緊張しているのだ。

「いちいち聞かないで…」

 梨華ちゃんは、ゆっくりと言う。

204『恋愛お見舞い申し上げます2』:2002/11/22(金) 17:52

「だって…嫌われたくない…。梨華ちゃんには…。好きだから…」

 梨華ちゃんに対しては臆病になる。
 変なことをして嫌われるのはイヤだから…。

「知ってるよ、そんなの…」

 梨華ちゃんの肩に手を置くと、屈んで梨華ちゃんの唇に自分の唇を重ね合わせた。

 緊張して少し震えているのが分かる。
 その部分だけ、集中して熱くなり始める。

205『恋愛お見舞い申し上げます2』:2002/11/22(金) 17:53

 強がっていても梨華ちゃんも女の子。
 私が唇に触れたら、私のシャツの裾をキュッと掴んだ。

「ひとみちゃん…」

 名残惜しそうに唇を離し、掠れた声で呟く梨華ちゃんの声が妙に色っぽくてゾクゾクした。
 でも、私には、この先に進む勇気は、まだないし、きっと梨華ちゃんもまだ
望んでいない筈。そのくらいは、なんとなく分かる。

 私も急ぎたくない。

 17年かけてやっと実った恋。それをすぐに食べてしまうのは勿体ない。
 大切にしたいから、私も梨華ちゃんの名前を呟くと、そっとその細い肩を抱きしめた。


                             〜〜〜 お 終 い 〜〜〜

206名無しベーグル。:2002/11/22(金) 17:58

>>200-205 3話更新完結。

201の「うなく繋ぐ事」は「うまく〜」です。スマソ。

>197 名無しよっちぃさん
私もエロじゃないのも書くんですよ(w。

>198 名無しよっちぃさん
短いですが、少しだけ続けました。

>199 名無しよっちぃさん
ありがとうございます。純愛路線に変更しようかな(w。

>200 七無し募集中さん
こちらにもお越しいただきありがとうございます(w。
一応、こっちはいしよしメインで。

207名無チュウ:2002/11/23(土) 01:37
キタ━川 `〜` )||●´ー`) `.∀´)〜^◇^) ´ Д `)O^〜^) ^▽^) ‘д‘) ´酈`)━!!!
続き!続き!キボンヌ!!
その4!その4!

208名無チュウ:2002/11/24(日) 17:13
すごい良かったです。
続き期待してもいいんですか。

209七無し募集中:2002/11/24(日) 21:33
こっちも来ました(w
こちらはいしよしメインですけど萌えです♪
その4もキボン〜(w

210名無チュウ:2002/11/26(火) 07:18
続きキボン!4人目。(0^〜^)ノ

211名無し。:2002/11/28(木) 18:21
マジ萌え〜〜〜〜!!!続きを・・・!

212『恋愛お見舞い申し上げます』-From R Side-:2002/12/17(火) 21:08

−0−

 私、石川梨華と、1つ下の吉澤ひとみちゃん、2つ下の松浦亜弥ちゃん。
 この3人で前は良く遊んでいた。所謂幼馴染みってヤツ。

 今でも3人は仲良し。
 でも、亜弥ちゃんは私と同じクラスのふじもっちゃんこと、藤本美貴ちゃんと
付き合い始めてから、全くと言っていいほど付き合いが悪くなった。

 恋人が出来ると急に冷たくなるって言うけど、本当なんだね。

 更に生意気に磨きもかかって、亜弥ちゃんは良く、ひとみちゃんをからかってる。
 亜弥ちゃんは妹って感じなんだけど、いつからだろう、ひとみちゃんを意識的に
感じるようになったのは………。

213『恋愛お見舞い申し上げます』-From R Side-:2002/12/17(火) 21:09

−1−

 私はテニス部に所属していて、亜弥ちゃんも同じ。
 今日は部が終わったらみんなでお茶でもしようと言う話になってた。
 勿論、亜弥ちゃんは、ふじもっちゃんと一緒を選ぶわけだけどね。

「あ、ひとみちゃん。待っててくれたんだ」

 その少し広い背中に呼びかける。

「梨華ちゃん!」

 みんなより、少し背の高いひとみちゃんは、目立つから、すぐに分かる。
 と言うより、ひとみちゃんなら、どこでも見つけられる自信はあるよ。

214『恋愛お見舞い申し上げます』-From R Side-:2002/12/17(火) 21:10

 ひとみちゃんは私の声に嬉しそうな声で振り返ったけど、私一人じゃなかったから
なんだか不満そうな顔にすぐ変わっていった。
 結構、ひとみちゃんってわかりやすい性格なんだよね。
 そんなところも好きなんだけど。

「これからみんなでお茶するけど、ひとみちゃんも来る?」
「…えー…」

 ひとみちゃんは一瞬考える素振りを見せたけど、すぐに答えてくれた。
「うん。行く行く!」

215『恋愛お見舞い申し上げます』』-From R Side-:2002/12/17(火) 21:10

 でも、ひとみちゃんの背後から、バレー部の後輩の小川麻琴ちゃんと
辻希美ちゃんがニコニコしながら声をかけてきた。

「あー。吉澤先輩、ここにいたんですね!」
「お、小川!?」

 ひとみちゃんは、ちょっと驚いた声で振り返った。

「今日は、おごってくれるって前から約束してたじゃないですか」

 ひとみちゃんは黙ってる。そして、ののちゃんも続けて言ったの。

「約束してたのれす」

 ひとみちゃんは首を傾げてる。

216『恋愛お見舞い申し上げます』-From R Side-:2002/12/17(火) 21:11

「明日にしてくれる?」

 どうやらひとみちゃんは、小川さんとののちゃんとの約束を断ろうとしているみたい。
 そういうのは、やっぱりダメ! 先約を優先しなきゃ。

「ダメだよ、ひとみちゃん」

 私は少し強い口調で言ったら、ひとみちゃんは「なんで?」って顔をして私を見つめてる。

「約束は、ちゃんと守らなきゃ。じゃぁね、ひとみちゃん」

「えー…」

 戸惑ってるひとみちゃんに私はバイバイすると、三人を残して他の部員と先に
校舎を後にした。

217『恋愛お見舞い申し上げます』-From R Side-:2002/12/17(火) 21:12

−2−

『ひーちゃんに、ハッパかけといたからね→ 亜弥』

 亜弥ちゃんからメールが届く。
 ハッパねぇ。何回目だろ。
 その度に期待して、肩すかしにあった事は何度もあるんだけど。
 そんな事を思い出しながら、私は家に帰って来た。

218『恋愛お見舞い申し上げます』-From R Side-:2002/12/17(火) 21:12

 玄関に入ると、ひとみちゃんの靴。
 そのままキッチンに入ると私より先にひとみちゃんが声をかけた。

「おかえり、梨華ちゃん」
「あ、ひとみちゃん来てたんだ…」

 亜弥ちゃんのメールの直後にひとみちゃんが家に!
 今回は期待しちゃって良いのかな?

「梨華も、食べるでしょ?」
 お母さんが私の茶碗を持って立ち上がる。

「食べて来たからいいよ。シャワー浴びちゃう」

219『恋愛お見舞い申し上げます』-From R Side-:2002/12/17(火) 21:13

 ホントは軽くしか食べてないけど、ひとみちゃんを待たせちゃ悪いから嘘をついた。
 でも部活で汗かいてるから、汗だけは流さないとね。これは習慣だから。

「私、梨華ちゃんの部屋で待ってるね…」

 ひとみちゃん、いつもと変わらない筈なのに、何か、そのセリフにドキッとしてしまった。

 きっと、いつもと変わらないよ。

 そう言い聞かせて、私は浴室のドアを開けた。

220『恋愛お見舞い申し上げます』-From R Side-:2002/12/17(火) 21:13

−3−

 いつも通り、軽く汗を流して、髪を洗って、自分の部屋に向かう。
 ドアを開けると、ひとみちゃんの視線が…。

「ひとみちゃん、どうしたの?」

 そう聞いたら、ひとみちゃんは、視線を外した。

「いやいや、梨華ちゃんが可愛いからさぁ…」
「もぅ、何言ってんだか…」

 ひとみちゃんの”可愛い”は、本心なのか分からない。
 でも、嬉しいんだ。けど、照れもあって、私は茶化してしまう。

221『恋愛お見舞い申し上げます』-From R Side-:2002/12/17(火) 21:14

「あ、あ、あのさ、梨華ちゃん。聞いていい?」
「うん。何よ改まって…」

 あ、ひとみちゃん、もしかして…。本当に?
 亜弥ちゃんの言った事を思い出す。

「梨華ちゃん、告白されたコトある?」
「あるよ」

 なぁんだ。そんな事か…。ちょっと肩すかし。

「マジ…?」
「うん」
「それで?」

 ひとみちゃん、何だか驚いてるみたい。
 なによ、私だって、ひとみちゃんほどじゃないけどモテるんだから。

222『恋愛お見舞い申し上げます』-From R Side-:2002/12/17(火) 21:15

「断ったよ」
「そうか…。で、相手は?」

 珍しくひとみちゃんは突っ込んでくる。

「なんで、そんなコト言わなくちゃいけないの?」

 もぅ、ひとみちゃんコクッた相手が気になるわけ?
 私は、つい強い口調で言い返してしまった。

「へ? なんでって…」
「ひとみちゃんだって、しょっちゅう告白されてるでしょ? でも私には言わないでしょ?」

 私も、ついムキになって言っちゃった。
 ひとみちゃんが、よく告白されてるの私だって、知ってるんだから。

223『恋愛お見舞い申し上げます』-From R Side-:2002/12/17(火) 21:15
「しょっちゅうなんてされてないよ。それに私は…」

 ひとみちゃんが言いかけて、口を噤んだ。

「私はなに?」

 気になるじゃない。そんなところで言うのを止めるなんて。

「私、興味ないもん…」

 ガーーーッン。”興味ない”ひとみちゃんの言った言葉が頭の中でこだまする。
 そして、私は自分でも分かるくらい、顔が青ざめていくのが分かる。

224『恋愛お見舞い申し上げます』-From R Side-:2002/12/17(火) 21:16

「そっか。ひとみちゃんも、やっぱり男の子がいいんだよね…。
 って当たり前だよね。いくらひとみちゃんがカッコ良くたって女の子なんか
 興味ないよね。気持ち悪いよね」

 私が勘違いしてたみたい。ひとみちゃん優しいから。
 でも、よく考えたらひとみちゃんだって女の子だもん。
 女の子から告白されたって興味なんか、ないよね。

 私は涙を堪えながら、必死で言い聞かせた。

「あのさ、興味ないって、そういう意味じゃないんだよ」

 ひとみちゃんは私を慰めるための口実か、そんな事を言った。

「じゃぁ、どういう意味?」

 私は、ひとみちゃんを見つめた。
 もう、今日は失恋記念日? やっぱりご飯食べる! 撤回! ヤケ食いだよ、もう!

225『恋愛お見舞い申し上げます』-From R Side-:2002/12/17(火) 21:16

−4−

「あのね、私は梨華ちゃんが…」

 ひとみちゃんが、また言いかけて止める。

「私がなに?」

 もう、ハッキリ言ってよ!!

「あの…し、心配でさ…」
「心配? 答えになってないじゃない。私が心配だから興味ないの?」

 もう、フラれるんだったら思い切りフラれたいよ。

226『恋愛お見舞い申し上げます』-From R Side-:2002/12/17(火) 21:17

「いや、そうじゃなくてさ。梨華ちゃん気になるから…」
「なによ、それ…」
「梨華ちゃんは、私のコトどう思ってるの?」

 ひとみちゃんのいぢわる。先に私に言わせるんだ。

「どうって、ひとみちゃんは…幼なじみだよ…」

 そう…幼なじみ…。私は、ひとみちゃんの事、大好きだけど…。
 もう言わない。言えない…。
 私は、やっぱり素直じゃない…のかな。

227『恋愛お見舞い申し上げます』-From R Side-:2002/12/17(火) 21:18

「じゃぁ、ひとみちゃんは? 私のコトどう思ってるの?」

 そう、私が一番聞きたかった事。
 私は、ひとみちゃんの腕を掴みながら聞いてしまった。
 何か、ひとみちゃん動揺してるみたい。

「梨華ちゃん。その答え。間違ってるよ」
「なんでよ?」

 動揺してる割に、間違ってる なんて、指摘されて私は我に返り、恥ずかしくなって
顔が赤くなってくる。
 何が間違ってるのよ…。それに、ひとみちゃん私の質問に答えてないじゃない。

228『恋愛お見舞い申し上げます』-From R Side-:2002/12/17(火) 21:18

「私は梨華ちゃんのコト、す、す、好きなんだから。
 ずっと前から、幼なじみとしてじゃなくてさ。あ、あ、あ、あの…個人的に…」

 ひとみちゃんが、凄くどもりながら、私に…す、好きって…。個人的に? ホントに?

「ホントに?」
 信じられなくて、ひとみちゃんの腕を更にギュッと掴んでしまう。
 ちょっとひとみちゃんの顔が歪んだような気がした。

「嘘なんか、梨華ちゃんについたコトない…」
 ひとみちゃんがボソッと呟く。

「そんなの当たり前じゃない」

 私、素直じゃないから、こんな事しか言えない。
 きっと可愛くないよね。

229『恋愛お見舞い申し上げます』-From R Side-:2002/12/17(火) 21:19

「当たり前…」

 ひとみちゃんは拍子抜けの顔してる。

 私もキチンと言わなくちゃ。この気持ちを…。

「私だって、ひとみちゃんが好き」

『素直に甘えるのも一つの手だよ、梨華ちゃん』

 亜弥ちゃんに言われた一言を思い出して、実行に移してみる。

 私は、ひとみちゃんの胸に顔を埋めた。

「り、梨華ちゃん?」

 ひとみちゃんはビックリしてるみたい。
 でも、ひとみちゃんの腕が私を優しく包んでくれた。

230『恋愛お見舞い申し上げます』-From R Side-:2002/12/17(火) 21:19

−5−

 ひとみちゃん、あったかい。
 暫く、そのまま黙ってたままだけど、こういう時って、いつまで抱き合ってるのかな?
 しびれを切らせた私は、顔をあげた。

「ひとみちゃん?」
「ぅん?」
「何も言ってくれないの? せっかく想いが通じたのに…」

 私は照れ笑いをしながら、ひとみちゃんに催促しちゃった。
 これってズルイかな?

「長かったよ。梨華ちゃん…」

 ひとみちゃんは、そう言って、私のほっぺたに軽くキスをしてくれた。
 くちびるにしないところが、ひとみちゃんらしいかも。
 ちょっとは期待してたんだけどね。

231『恋愛お見舞い申し上げます』-From R Side-:2002/12/17(火) 21:20

−6−

「ひーちゃん、やぁーっとコクッたかぁー。
 まぁ、この先が大変だろうけど、梨華ちゃん良かったね!」

 亜弥ちゃんに報告したら、亜弥ちゃんも祝福? してくれた。

 この先が大変かぁー…。
 別にいいもん。急ぐ事ないんだから。

 ひとみちゃんが大好きな気持ちを大切にしたいからね♪

               
                    〜〜 2 に 続 く 〜〜

232名無しベーグル。:2002/12/17(火) 21:26
>>212-231 梨華視点1完結。
出来たら年内に2も書けたらなと思ってます。って結末は分かってるんだから
別に年内じゃなくてもいいんですけどね。

>207 名無チュウさん
その4は、ないので、これで勘弁してくらさい。

>208 名無チュウさん
期待してはダメです(w。

>209 七無し募集中さん
どもども♪ ミキアヤでも書きたいなぁ〜w。って板違い♪

>210 名無チュウさん
エロくしたくないから、続きは、ありません。

>211 名無し。さん
ageないでくださいね。おながいします。

233名無クリスマス:2002/12/18(水) 13:49
梨華ちゃんVrキタ━━━ヽ(∀゚ )人(゚∀゚)人( ゚∀)人(∀゚ )人(゚∀゚)人( ゚∀)ノ━━━!!
楽しみにしていました!!
続き待っています。

234名無し蒼:2002/12/18(水) 14:32
どもっ、こちらもこのHNで(w
元七無し募集中っす♪
梨華ちゃんキタァ━━━(゚∀゚)━━━!!
いいっす(w2も待ってます♪

ミキアヤはあちらでってのは…?(w
 楽 し み で す (w

235『恋愛お見舞い申し上げます2』-From R Side-:2002/12/19(木) 19:41

−1−

 ひとみちゃんに告白されて一週間が経ったけど…。
 正直、前と全然変わってない感じ。

 前には、亜弥ちゃんと、ふじもっちゃんが歩いてる。
 ふと、隣りのひとみちゃんを見ると、何だか怖い顔して亜弥ちゃんを睨んでる。

 そして、その背中の視線に気づいたのか、亜弥ちゃんが振り返った。
 と、思ったら、舌を出してる。ひとみちゃんはムッとしてる。

 ちょっと、ひとみちゃんの様子がおかしい。
 黙ったまま、顔は百面相してるみたい。

236『恋愛お見舞い申し上げます2』-From R Side-:2002/12/19(木) 19:42

「ひとみちゃん、さっきから黙ってどうしたの?」
「亜弥が羨ましくてさ…」

 実感こもったひとみちゃんの言葉。

 羨ましい…か。

「亜弥ちゃんは、人目をはばからなすぎ」

 私も少し羨ましいけど、そこまでは出来ないよ。恥ずかしいもん。
 前を歩く亜弥ちゃん達に、羨ましさも混じった視線を私は送った。

「梨華ちゃんは、あーいうの嫌い?」

 ひとみちゃんも亜弥ちゃん達を見つめる。

237『恋愛お見舞い申し上げます2』-From R Side-:2002/12/19(木) 19:43

「好きって言って欲しいの? ひとみちゃん…」

 ひとみちゃんも、そうしたいの?

「………」

 ひとみちゃんは、黙ってる。
 もう、ハッキリ言って欲しい。
 そして、私はイライラして、ひとみちゃんに言ってしまった。

「手を繋ぐ勇気もないクセに!」
「……!!」

 驚くひとみちゃんを置いて、私は急ぎ足になる。

「梨華ちゃん待ってよ」

 少し遅れて、ひとみちゃんの声が背中越しから聞こえて来た。
 そして並んで歩くと、ひとみちゃんは今の事はなかったかのようにおしゃべりを始めた。

 ひとみちゃん、もっとハッキリして欲しいよ…。

238『恋愛お見舞い申し上げます2』-From R Side-:2002/12/19(木) 19:43

−2−

『お昼ご飯食べ終わったら、屋上で待ってて欲しいんだ。』

 ひとみちゃんからメールが入って、私は急いで屋上に向かった。

 私の方が絶対先。だって、ご飯殆ど食べないで来たんだもの。
 でも、さすがに早かったかな。
 今日も晴れてるけど、やっぱりもう11月だし寒い。
 制服のポケットに手を入れて、私は校庭を眺めていた。
 さすがに、まだみんな食事中なのか、外で遊んでる生徒達は、いない。

「もぅ、ひとみちゃん、早く来てよ〜…」

 私は呟きながら、くるりと向きを変えて、柵に寄りかかった。

239『恋愛お見舞い申し上げます2』-From R Side-:2002/12/19(木) 19:44

 ―――10分後。

 ひとみちゃんが肩に息を切らせて走って来た。

「ひとみちゃん遅いよ」

 私は、わざと口を尖らせる。

「ゴメン、梨華ちゃん。待たせちゃった?」

 申し訳なさそうな顔をして私に駆け寄るひとみちゃん。

「今来たとこだけど…」

 結構前から来てたなんて言ったら、ひとみちゃん絶対謝るからね。
 でも、鈍感な、ひとみちゃんも私が寒そうな顔してるのに気づいたのか、
ポケットにある私の手を出して、ひとみちゃんの手が優しく私を包み込んだ。

240『恋愛お見舞い申し上げます2』-From R Side-:2002/12/19(木) 19:44

「嘘。冷たいじゃん…」
「いつもこんなだよ、私の手」

 ポケットに入れてたけど、結構冷たくなってたみたいで、ひとみちゃんの手が
更に私を温かく包み込んでくれた。
 なんだか心まで温かくなるみたいで、嬉しい半分、ちょっと照れ臭くなってしまった。

「ゴメンね。私が温めてあげる」

 ひとみちゃんは、ギュッと握りしめてくれた。

「ひとみちゃんの手は大きくて温かいね…」

 ひとみちゃんの手を見つめながら答える。

「そ、そうかな…」

 ひとみちゃんも照れてるのかな。
 ちょっと良い雰囲気かも。

241 『恋愛お見舞い申し上げます2』-From R Side-:2002/12/19(木) 19:45

 あ、でも待って。
 私に話があるんじゃなかったっけ?

「で、ひとみちゃん話って何?」

 ひとみちゃんもハッとした顔をする。
「あのね。朝とか帰りなんだけどさ、梨華ちゃんと…その…」

 また言いよどむひとみちゃん。
 もう悪い癖なんだから。

「どうしたの?」

 私は、ひとみちゃんを見つめる。
 ひとみちゃんの目は、私を見ようとしない。

「梨華ちゃんとぉ…あのね、そのね、手を…繋ぎたいな〜とか思ってさ」

242 『恋愛お見舞い申し上げます2』-From R Side-:2002/12/19(木) 19:46

 なんだ、そんな事。
 もう、ひとみちゃんってば可愛い。

「いいよ。ひとみちゃん…」

 笑顔で返したら、ひとみちゃんの顔はパッと明るくなった。

 でも待って。まだ何か忘れてる気がする。
 私、次体育だったんだ! 着替えなきゃ!!

「ひとみちゃん」
「ん?」
「そんなコトでいちいち呼び出さないで。私、5限目体育なんだから!」
「ゴメン梨華ちゃん…」

 ひとみちゃんの顔が急に萎れる。

243『恋愛お見舞い申し上げます2』-From R Side-:2002/12/19(木) 19:46

「じゃぁ私、もう行くね」

 私から、ひとみちゃんの手を離す。
 温かい空間が、冷たい物に変わった瞬間、少し寂しくなった。

「うん。呼び出してゴメン」
「ひとみちゃんバイバイ!」

 また謝るひとみちゃん。
 そんなに謝らなくていいのに。
 ちょっと言い過ぎたがした私は、振り返ってひとみちゃんに、こう言った。

「嬉しかったよ、ひとみちゃん。ありがとね!」

 私は笑うと、ひとみちゃんを残して猛ダッシュで階段を駆け下りていった。

244『恋愛お見舞い申し上げます2』-From R Side-:2002/12/19(木) 19:47

−3−

 ひとみちゃんと手を繋ぐのも、まだ何となくぎこちない時があって…。
 でも、何だかそれは、それで凄く新鮮な感じがして、それだけで私は嬉しくなる。

 あれから、ひとみちゃんは良く私の部屋に遊びに来るようになった。

「梨華ちゃん、あのね…」
「なぁに? ひとみちゃん…」

 私は雑誌を読みながら、答える。
 一瞬、間があって、ひとみちゃんがサラッと言った。

「梨華ちゃんとキスがしたい…」

「え?」

 一瞬耳を疑って、顔をあげた。
 い、今なんて?

「キスしてもいい?」

 ひとみちゃんは私の傍に来て真面目な顔で聞く。

245『恋愛お見舞い申し上げます2』-From R Side-:2002/12/19(木) 19:48

「いちいち聞かないで…」

 聞かれて、イヤだとか言えないじゃない。

「だって…嫌われたくない…。梨華ちゃんには…。好きだから…」

 ひとみちゃんの声が小さくなる。

「知ってるよ、そんなの…」

 私は、強気で答えた。
 だって、どうしていいか分からないじゃない。

 ひとみちゃんの手が私の肩に触れて、ひとみちゃんが屈んで顔を近づけて来た。

 ドキドキしながら、私は目を閉じる。

246『恋愛お見舞い申し上げます2』-From R Side-:2002/12/19(木) 19:48

 ゆっくりと、ひとみちゃんの柔らかい唇が、私のそれと重なった。
 少し震えてるみたい。それは、ひとみちゃん? 私? それとも両方?

 身体中が、何だか熱くなって来たみたい。

 私は、どうしていいか分からず、ひとみちゃんのシャツの裾を無意識に掴んでいた。

「ひとみちゃん…」

 唇を離した時、囁いた私の声が掠れて、自分の声じゃないみたいだった。

「…梨華ちゃん……」

 ひとみちゃんは、凄く優しい眼差しで私を見つめ、私の肩を抱きしめてくれた。

 今、凄く幸せ。
 ひとみちゃん大好き。これからも、一緒にいようね。


                              〜〜〜 お 終 い 〜〜〜

247_:2002/12/19(木) 19:51
>>235-246 梨華視点2完結。
こ れ で 、 お 終 い で す 。

>233 名無クリスマスさん
( ^▽^)<ホイッ! 続き書きますた。

>234 名無し蒼さん
どうですたか?
ミキアヤも、書けたら、あっちでこっそりひっそりと書きますです。
多分無理だろうけど(w。

248名無しハロモニ:2002/12/20(金) 16:55
続き読めてよかったです。
作者様のは、甘くて好きです。
新作期待しちゃいます。
クリスマス企画どうですか???

249名無しハロモニ:2002/12/21(土) 17:37
クリスマス編キボン!その2!

250名無しハロモニ:2002/12/22(日) 19:31
その3!その3!(w

251名無し蒼:2002/12/30(月) 22:48
 最 高 れ した w
ミキアヤは書けれたらひっそりと…(w
マータリ期待してお待ちしてましゅ

252『恋愛お見舞い申し上げます』〜 A Happy New Year! H&R 〜:2003/01/04(土) 13:29

「「あけまして、おめでと〜!」」

 0時になると同時に一斉に新年の挨拶をした。

 今年も梨華ちゃんと一緒に新年を迎えられた事に感謝!
 今年もったって、去年とは訳が違う。
 今年は恋人として、梨華ちゃんと過ごすんだもん。

 ちなみに、亜弥は藤本先輩とスキーに行ってしまったので、うるさい邪魔者もいない。
 まさに天国!

「今年もよろしくね。ひとみちゃん♪」
「こちらこそ、梨華ちゃん」

253『恋愛お見舞い申し上げます』〜A Happy New Year! H&R〜:2003/01/04(土) 13:30

 ありきたりな言葉も梨華ちゃんから発せられれば特別な意味を持つのだ。
 よろしくしちゃうよ、梨華ちゃんっ。

 ついでにキスなんか、しちゃったりして…。

 梨華ちゃんの腕を引き寄せる。
 梨華ちゃんは、自分の腕の中。なんて、幸せなんだろう?

「ひとみちゃん…」
「梨華ちゃん…好き♪」

 私がキスしようと、顔を近づけたら、梨華ちゃんの人差し指が伸びてきて
くちびるにあてがわれた。

「んっ……!?」
「まぁ〜た、風邪移されたらイヤだもん…」
「あ゛ぅ…」

254『恋愛お見舞い申し上げます』〜A Happy New Year! H&R〜:2003/01/04(土) 13:31

 クリスマス直前に風邪をひいてしまい、パーティも台無しにした事は、まだ記憶に新しい。
 そして、遅れてクリスマスプレゼントを持ってきてくれた梨華ちゃんに、キスしちゃって
風邪を移した事は、更に更に、つい先日の事のようだったりする。

「やっと治りかけて来たんだからねぇー」

 少しほっぺたを膨らませて言う梨華ちゃんは、やっぱり可愛い。

「じゃぁ、また私に移してくれていいよ。そしたら、梨華ちゃんスッキリするでしょ」
「それじゃぁダメなの。せっかくの休みなんだから。
 ひとみちゃんも一緒じゃなきゃ意味ないもの」
「梨華ちゃん…」

 嬉しい事を言ってくれる梨華ちゃんを思わず力一杯抱きしめた。

255『恋愛お見舞い申し上げます』〜A Happy New Year! H&R〜:2003/01/04(土) 13:32

「くる…しぃ…ョ。ひとみちゃん…」
「OK牧場」

 私は力を緩めると梨華ちゃんのくちびるにキスを落とした。

「ぁっ…ダメっ…」

 梨華ちゃんは少し抵抗したけど私は構わずキスを繰り返した。

「んんっっ」
「大丈夫だよ、梨華ちゃん…」

 何が大丈夫なのか、自分でも良く分かんなかったけど、この時の私は何故か自信があって
いっぱい梨華ちゃんにキスしちゃったんだ。

256『恋愛お見舞い申し上げます』〜A Happy New Year! H&R〜:2003/01/04(土) 13:32

 数日後―――。

「だから言ったじゃないっ…」

 梨華ちゃんの呆れた顔がベッドに横たわる私の目の前に飛びこんで来た。
 何も言い返せない私は、布団を思い切り被った。

 悪夢再び。お約束通り、風邪がぶり返して来た。

 親はなんで、また風邪ひいたのか不思議に思ってるし、スキーから帰って来た亜弥には
思い切り笑われるし、新年早々情けない…かも。

 でも、梨華ちゃんが傍にいてくれるだけで、実は凄く嬉しいんだ。

 梨華ちゃん、こんなヘタレな私だけど、今年もよろしくしてね。


                       〜 〜 〜 お 終 い 〜 〜 〜

257_:2003/01/04(土) 13:36

風邪で寝込んで暇過ぎた為、書きましたw。
すっごい糞ですスミマセン。

>248 名無しハロモニさん
甘いですか。ありがとうございます。

>249&250 名無しハロモニさん
クリスマス編、実は書いたんですが時期外れのため、
自サイトに、こっそり載せましたんで、そちらを覗いて下さい。m(_ _)m

>251 名無し蒼さん
ミキアヤ編は、あっちで書きます。大した話では、全然ないんですが。

258名無し新年:2003/01/04(土) 17:41
キタ━━━━━━(゜∀゜)━━━━━━!!!!

259名無し読者:2003/01/04(土) 17:45
ずっとロムってました・・・やっぱイイっすね!!!
ところで、自サイトはどこにあるんでしょう?
教えて下さい(切実

260名無し新年:2003/01/09(木) 19:18
最高でした。
こっちで、ミキアヤ編書いてくれてもいいのになぁ〜。
なんて(w
次作も楽しみにしています!!

261『恋愛お見舞い申し上げます』〜Happy BirthDay Rika〜:2003/01/19(日) 17:13

 1月19日。
 今日は梨華の18回目の誕生日。

 事前に話した亜弥との話も結局無駄に終わってしまい当日を迎える。
 なんだかんだ言っても、亜弥も律儀だから、午前中は、亜弥も交えて三人で
梨華の誕生日を祝い、梨華にプレゼントを渡すと亜弥は午後から美貴と出かけていった。

 ひとみは、まだプレゼントを渡していない。
 すぐに渡すのは、何故か勿体ない気がして…しかし、梨華の喜ぶ顔も早く見たくて
いつ渡そうかとタイミングを見計らっていた。
 結局、最後の最後まで渡さないでおく。これも計算のうちである。

262『恋愛お見舞い申し上げます』〜Happy BirthDay Rika〜:2003/01/19(日) 17:14

 そして、もう後は帰るだけになった頃―――。

「梨華ちゃん、寒くない?」
「うん、大丈夫。ひとみちゃんに貰ったマフラーあったかいよ」

 嬉しそうに梨華は、マフラーを触ってみせる。

「梨華ちゃんから貰った、コレもあったかいね」

 ひとみも、梨華に貰ったピンクの手袋を両手を広げて見せる。
 ひとみは、さり気なく言って、梨華を抱きしめた。

「こうすると、もっとあったかいよね…」
「ひとみちゃん…」
「梨華ちゃん、改めて…お誕生日おめでとう。毎年ずっとずっと梨華ちゃんと
 一緒に誕生日迎えたいね。私よりまた一つ大人になっちゃうけど、ずーっと
 吉澤ひとみを宜しくお願いしますっ」

263『恋愛お見舞い申し上げます』〜Happy BirthDay Rika〜:2003/01/19(日) 17:15

 ひとみは梨華から少し離れると、コートのポケットからシルバーのネックレスを
取り出した。HとRがくっついたイニシャルのネックレス。

「これ、梨華ちゃんと私と…お揃いなんだ。
 あんま高いもんじゃないけど、梨華ちゃんにあげる」

 そう言って、ひとみはつけているネックレスを梨華に見せる。

「ねっ一緒でしょ? 来年は、もう少しマシなもん贈りたいけどね…」

 さっきから自分ばかり喋っている事に気付くひとみ。

「梨華ちゃん?」

 梨華の瞳を不安げに覗き込むひとみ。

「…ありがと。ひとみちゃん」

264『恋愛お見舞い申し上げます』〜Happy BirthDay Rika〜:2003/01/19(日) 17:15

 ひとみは、ホッとした顔になる。

「良かった。さっきから黙ったままだからさ。心配しちゃった。
 頼りないかもしんないけど、これからも私の傍にいてね、梨華ちゃん」
「ひとみちゃん、ありがとう。嬉しいよ」

 梨華は、そのまま、ひとみの肩口に顔を埋める。

 いつもヘタレなひとみが、今日は凄く頼もしく見えた一瞬だった。

 当のひとみは、これだ言うのも実はいっぱいいっぱいで、セリフも噛まないか
不安になりつつも、何とか言えた事で喜びも一入になっていた。

265『恋愛お見舞い申し上げます』〜Happy BirthDay Rika〜:2003/01/19(日) 17:16

 そして最後は―――。

「梨華ちゃん…そろそろ…いいよね?」

 ひとみが顔を赤らめ言いにくそうに言う。

「いいって?」

 言わなくても分かって欲しい! と言う顔をして、ひとみは照れながら梨華の頬に
素早くキスをした。

「また風邪ひいたらシャレにならないからさ。ほっぺたならいいよね?」

 ずっとキス禁止令が出ていたから、梨華の方から「ダメ!」と言われていた。

「ひとみちゃんのバカ…」

266『恋愛お見舞い申し上げます』〜Happy BirthDay Rika〜:2003/01/19(日) 17:16

 梨華は、はにかむように微笑むと、少し背伸びをして、ひとみのくちびるに
自分のソレを重ね合わせた。
 ひとみは目を閉じるのも忘れて目を丸くしている。

「……っ!!」
「目は閉じてよ…」
「…ぅん」

 ひとみは、ゆっくりと目を閉じる。
 長い睫毛が可愛いと思いながら、梨華はゆっくりとくちびるを重ねた。

―――ひとみちゃん、ありがとう。ずっと傍にいてね。


                      〜 〜 〜 お 終 い 〜 〜 〜

267名無しベーグル。:2003/01/19(日) 17:17

梨華ちゃんおめ。
今回は(も?)手抜きかも。スマソ。

>258 名無し新年さん
来ましたw。

>259 名無し読者さん
ぐーぐるで、検索すれば、出てきます。

>260 名無し新年さん
こちらは、いしよしメインで。
ミキアヤは、自サイトで、ひっそりと。(でもないか)

268名無し誕生日:2003/01/19(日) 22:09
誕生日記念キタ━━━ヽ(∀゚ )人(゚∀゚)人( ゚∀)人(∀゚ )人(゚∀゚)人( ゚∀)ノ━━━!!
手抜きなんてとんでもない!!
よかったっす!
次作は、いつですか?(w楽しみにしています!!

269名無しひょうたん島:2003/02/09(日) 14:15
手抜きなんかじゃないですよ!!
面白かったです!!
そろそろ新作?

270『恋愛お見舞い申し上げます』〜Seventeen Last week〜:2003/04/05(土) 16:20
 あと一週間で、ひとみちゃんの誕生日。
 私と同じ18になる。その前に、少しだけ……。

『梨華ちゃん、甘え上手にならないとぉー』

 もう一人の幼なじみの亜弥ちゃんの言葉が心に響く。

― そんな事言ったって、甘えた事なんかないよ。
 ひとみちゃんより三ヶ月弱とは言え、お姉さんだから、しっかりしなきゃって思う部分が
自然と身に付いてるみたい。

271『恋愛お見舞い申し上げます』〜Seventeen Last week〜:2003/04/05(土) 16:21

「い、今更甘えられると思う?」
「そんなコト、言ってるから、いつまでも進展しないんだよ」

 亜弥ちゃんの上目遣い。反則だね。ふじもっちゃんに使ってるの?
 ひとみちゃんには効果なかったみたいだけど。だって、ひとみちゃんは鈍感だから。

「私、亜弥ちゃんと違って、今でも満足だから」

 ちょっぴり負け惜しみ。いや…かなーり…かな。

「そうかなぁ? ヘタレなひーちゃんが自分から誘ってくるとは思えないしねー」
「………」

 そうなのよね。ひとみちゃん素振りは見せるけど、今一歩なのよね、はぁー。

272『恋愛お見舞い申し上げます』〜Seventeen Last week〜:2003/04/05(土) 16:22

「そうかなぁ? ヘタレなひーちゃんが自分から誘ってくるとは思えないしねー」
「………」

 そうなのよね。ひとみちゃん素振りは見せるけど、今一歩なのよね、はぁー。

「梨華ちゃんから誘っちゃいないよ!」
「えーーーっ…」

 そんな会話が亜弥ちゃんと交わされ、決戦の4月5日。 
 誕生日当日だと、あまりにお約束すぎるからと一週間前を選んだけれど。
 でも、別にさ、今のままだっていーじゃん? 私は、そう思うよ。
 でも、亜弥ちゃんがしつこいから、実行するだけだよ。そうだよ。

273 『恋愛お見舞い申し上げます』〜Seventeen Last week〜:2003/04/05(土) 16:23

「違うんだから…」
「ん? 何か言った? 梨華ちゃん」
「何でもない」

 いつの間にか、声を出してたみたい。私は曖昧に誤魔化す。
 でも、ひとみちゃんは特に気にしないで、またベッドに寝そべって雑誌を読んでる。
 ねぇ、少しは気にしてよ!

 やっぱり、強硬手段に入るかな。
 寝ころんでるひとみちゃんの背中にさりげなく私は、声をかけながら馬乗りになってみた。

 ドキドキドキドキ………

274 『恋愛お見舞い申し上げます』〜Seventeen Last week〜:2003/04/05(土) 16:23

「梨華ちゃん、重ーーーーっい」
「………」

 ちっとも効果なし。亜弥ちゃん恨むよ! しかも重いって何よ!
 怒りを静めながら次の作戦へと移る。

「ひとみちゃんの誕生日、もうすぐだよねぇー」

 私は、ひとみちゃんの茶髪がかった髪を両手で触りながら訊く。

「うん。私も梨華ちゃんに、やっと追いつくよ」

 ひとみちゃん、結構三ヶ月の年の差を気にしてるみたい。

「何かほしいものある?」

 ちょっと前屈みになって、ひとみちゃんの耳元で訊いてみる。

「あー…別にいいよ。梨華ちゃんが傍にいてくれれば、それでいいよ」
「………」

275 『恋愛お見舞い申し上げます』〜Seventeen Last week〜:2003/04/05(土) 16:24

 いつもだったら、そんな言葉も凄く嬉しいのに、今日はなぜか腹立たしいのはなぜ?
 私が黙ってるから、ひとみちゃんが振り向いた。

「梨華ちゃん? どうかした?」
「うぅん…」
「あ、そうだ!」

 身を乗り出して、ひとみちゃんに密着。ピトッ…。

「なぁーに?」
「梨華ちゃん、肩揉んでよ…」
「………」

 もう、何よこの会話。夫婦みたいじゃない。私達、一応つきあってるんだよね?

276 『恋愛お見舞い申し上げます』〜Seventeen Last week〜:2003/04/05(土) 16:25

「ゴメン。やっぱ、いいよ」

 私が黙ってるから、怒ったと思ったみたいで、すぐに謝ってきた。
 ますます気に入らない。

「いいよ。ひとみちゃん全身マッサージしてあげる!」

 少しひとみちゃんの身体が反応したように見えたのは気のせい?

「梨華ちゃん。いいよ。ゴメン」

 更に謝るひとみちゃんに、私は爆発!

「私の洗礼が受けられないの?」
「ひぃ…」

”洗礼”と言う言葉で、更にびびったみたい。ヤダ。これって逆効果?
 どうして、こうなるの? 甘い雰囲気どころか、いつもの喧嘩ムードに突入。
 軌道修正は、きっと出来ない。
 も〜ぅ、亜弥ちゃんのバカ!
 私は亜弥ちゃんに八つ当たりしながら、ひとみちゃんの首に腕を回した。

277『恋愛お見舞い申し上げます』〜Seventeen Last week〜:2003/04/05(土) 16:26

「ぎゃっ。苦しいよ、梨華ちゃん…」

 私は、プロレス技をかけながら、ひとみちゃんに一発お見舞い。

「ひゃぁ〜。んーっ。ちょ、ちょっと待ってよ、梨華ちゃん!」

 ひとみちゃんは急に身体を起こして私の腕を振り解いてきた。

「いたぁい…」

 私は手をつくと、ひとみちゃんに涙目で抗議。

「あ、ゴメン。梨華ちゃん」

 ひとみちゃんは慌てて私の顔を覗き込む。

278『恋愛お見舞い申し上げます』〜Seventeen Last week〜:2003/04/05(土) 16:26

「謝るなら、最初からしなければいいのよ!」

 そう言いながら、私はひとみちゃんの首を再び掴むと自分に引き寄せてキスをした。
 もう、どさくさですよ、どさくさ…。

「(んぇ…?)…!?」

 不意打ちにしたから、ひとみちゃんは目を閉じるのも忘れて目を丸くしてる。

「梨華ちゃぁん?」

 急にひとみちゃんの力が抜けて、顔が見る見る緩んでいくのが、分かる。
 ホントに、わかりやすいんだから。

279『恋愛お見舞い申し上げます』〜Seventeen Last week〜:2003/04/05(土) 16:27

「バカぁ…」

 私は照れ隠しに、もう一度バカって言っちゃった。

「ゴメン梨華ちゃん…」

 そう言って微笑むと、ひとみちゃんからもキスをしてくれた。

 やっぱり、私たちって、こんな感じになっちゃうのかなぁ?

 ま、ひとみちゃんの誕生日まで、あと一週間あるもの。
 まだ、時間はあるよね。
 ひとみちゃん、今度は許さないんだからね?

280名無しベーグル。:2003/04/05(土) 16:32
ひさぶりに短編うp。
ひーちゃんの誕生日ver.は、多分ないと思われw。

>268 名無し誕生日さん
>次作は、いつですか?(w楽しみにしています!!

2ヶ月半も経ってしまいますた。すみません。

>269 名無しひょうたん島さん
今回も、ささっと書いてしまい手抜き感が…。

んー…久しぶりに、エ■復帰させようかと。
いつになるかな…w。でも、かなり抵抗あるんですよね。今更w。

281名無しひょうたん島:2003/04/07(月) 17:49
エロキタ━━(*^▽^)^~^0)━( *^▽)~^* )━( *´)`* )━━ !!!!!

282名無しひょうたん島:2003/04/19(土) 10:37
>ひーちゃんの誕生日ver.は、多分ないと思われw。

それは、悲しすぎます!!
続きをお願いします。なんだか消化不良…。
(;´Д`)ハァハァ

283『恋愛お見舞い申し上げます』〜Happy BirthDay Hitomi !〜:2003/04/25(金) 18:25

−1−

 本日4月12日はひとみの18回目の誕生日―――。
 亜弥は、朝から早々にひとみ宅にプレゼントを置いていくと
美貴に逢いに出かけて行った。

 ひとみの彼女・梨華は? と言うと―――。

 バレンタイン同様にキッチンは戦場と化していた。
 ひとみに手作りケーキを渡そう! と試みたものの―――。

「梨華、アンタこんな物をひとみちゃんに食べさせる気?」

 母親にも呆れた顔をされる程、出来上がったケーキのできばえは
お世辞にも、美味しそうには見えなかった。

「ママ、形じゃないのよ。中身なのよ!」

 梨華は、そう言ったものの、母親に無言で出された胃薬を
ムスッとした顔で受け取った。

284『恋愛お見舞い申し上げます』〜Happy BirthDay Hitomi !〜:2003/04/25(金) 18:27

 ただでさえ憂鬱なのに、あいにくの雨模様で、更に気が滅入る梨華
だったが、気を取り直して、ひとみの家へと向かう。

「別に…メインはケーキじゃないもん…」

 梨華は呟いて、顔を真っ赤にさせる。
 こんな台詞、ひとみ本人の前では絶対言えない。
 こういう時、亜弥が羨ましいと梨華は思う。

『梨華ちゃん。素直にひーちゃんに甘えればいいのよ』

 簡単に亜弥は言うけれど、先週試みて、失敗に終わったばっかりだ。
 まぁ、あれが素直に甘えたかどうかは、疑問に残るのだが。

 大体、いくら部屋では二人っきりとは言え、家の人がいない訳ではない。
 結局、今日だって…多分、何も進展しないのだろうと梨華は諦めていた。

「ベタだよなぁ〜…」

 梨華は独り言を呟くと、ひとみの家のインターフォンを押した。

285『恋愛お見舞い申し上げます』〜Happy BirthDay Hitomi !〜:2003/04/25(金) 18:29

−2−

 暫くして、慌てて階段から駆け下りてくる音がする。
 梨華はクスリと笑った。

「梨華ちゃん。おはよぅ…」

 ドアが開くと、嬉しそうなひとみの顔。

「おはよ。ひとみちゃん…」
 
 そんな笑顔で迎えられると、なんだか照れ臭い。
 梨華はケーキを大事そうに抱えながら靴を脱いだ。

「おめでと〜。ひとみちゃん」

 梨華はひとみの部屋に入ると、ケーキを差し出す。
 
「ありがと。梨華ちゃん…」

 ひとみは更に笑顔で受け取る。
 
「あ、あの…見た目は悪いけど…多分中身は美味しいと思うから…」

 それは多分、2ヶ月前のヴァレンタインで実証済みである。
 形のいびつなチョコでも、ひとみは喜んで受け取ってくれた。

286『恋愛お見舞い申し上げます』〜Happy BirthDay Hitomi !〜:2003/04/25(金) 18:30

「梨華ちゃん。私、見た目でなんか判断しないよ。
 梨華ちゃんの気持ちが凄く嬉しいから。ホントにありがとう」

 今日のひとみは、何だかとっても素直。
 梨華も微笑み返す。

 今日は、もしかしたら…もしかするかも……しれない…。

「ねぇ、開けてもいい?」
「ぅん。もちろん」

 箱を開けた瞬間、ひとみの動きが止まる。

「あの…だから……」

 急に変な汗が出始める梨華は、焦って言葉に詰まる。

「それに、ホラ、胃薬もあるし…」

 慌てて鞄から母親に持たされた胃薬を差し出す。

「ナイフとお皿持ってくるよ。それと飲み物。紅茶がいいよね。
 待ってて、梨華ちゃん」

 いそいそと立ち上がるひとみ。
 一人部屋に残された梨華は、かなりショックを隠せない。

287『恋愛お見舞い申し上げます』〜Happy BirthDay Hitomi !〜:2003/04/25(金) 18:31

「やっぱり…マズそうだよ…」

 自分から見ても、お世辞にも美味しそうには見えない。
 ひとみは無理して言ってくれてるのだろうか?
 梨華は早くも落ち込みモードだった。

 すぐにひとみが戻って来る。

「梨華ちゃん、お湯が沸いてなかった。ちょっと待ってて」

 梨華はひとみを見上げる。
 その寂しそうな顔にびっくりするひとみ。

「ど、どうしたの? 梨華ちゃん」
「ひとみちゃん無理しなくても、いいよ」
「なにが?」

 梨華の横に座るひとみ。

「ケーキ…。食べたくないんでしょ…ホントは…」

 段々声のトーンが小さくなる。

「えぇ? なんで? そんなコトないよ。朝から何も食べてないし。
 梨華ちゃんのケーキ楽しみにしてたのに」

 意外だと言う声が返ってくる。

288『恋愛お見舞い申し上げます』〜Happy BirthDay Hitomi !〜:2003/04/25(金) 18:33
「本当に?」
「ぅん。当たり前じゃん。何言ってんの? 今日はさ、誰もいないから
 手際悪くてゴメンね」
「誰もいない―――」

 そう呟いて梨華は、ハッとする。

 二人きり。本当に二人きり……。
 顔を赤らめる梨華。

「え?」

 いつの間にかひとみの腕が梨華の肩に回されていた。

 そ、そんな急に……。
 いつになく、ドキドキする梨華。

 ひとみの顔が近づいてくるのが気配で分かる。
 梨華は無意識に目を閉じた。

289『恋愛お見舞い申し上げます』〜Happy BirthDay Hitomi !〜:2003/04/25(金) 18:34

−3−

 『ピ――――――――ッ!』

 ひとみの息がかかると同時に、キッチンの方からけたたましく
ヤカンの音が無情にも鳴り響いて来た。

 ひとみは慌てて立ち上がる。

「あ、お湯沸いたみたい…」

 慌てて降りていくひとみを見送りながら、梨華はため息を落とす。

「ヤカンの…バカ…」

 暫くすると、ひとみが紅茶を乗せて戻ってくる。

「梨華ちゃん。お待たせ…」
「うん…」

 さっきの事は何事もなかったかのよう。
 普通に、ゆっくりと時は過ぎていく―――。

 梨華のケーキは見た目ほどは、不味くなく、胃薬のお世話になる必要もなかった。

「お腹いっぱい。これだったらお昼いらないかもね…。
 お昼何か取ろうかと思ってたんだけど…」

 ひとみはベッドに凭れてお腹を押さえる。

290『恋愛お見舞い申し上げます』〜Happy BirthDay Hitomi !〜:2003/04/25(金) 18:35

「ひとみちゃん…続き……」
「…ん?」
「続き…しないのかなぁって。…ってなんでもないっ!」

 梨華は言ってしまってから、訂正する。
 今日の自分は、おかしい。
 いや、ひとみがいきなりキスしようとするからだ。

 またひとみのせいにして、梨華は素直じゃない自分に自己嫌悪。

 梨華の言葉にひとみも真っ赤になる。

「梨華ちゃん…」

 ぎこちなく、ひとみは梨華の傍に近づく。
 ひとみの腕が梨華の肩に回された。
 妙に手に熱が篭もる。
 いつになく緊張気味のひとみが、梨華にも移る。

 ヤバ。私まで緊張してきちゃった。

 キスなら、何度か経験済みで、今更緊張する事もないのに、
今日はひとみの誕生日とあってか、妙に二人共、いつになく
緊張の波が押し寄せて来ていた。

291 『恋愛お見舞い申し上げます』〜Happy BirthDay Hitomi !〜:2003/04/25(金) 18:36

 一度さっきのような未遂に終わると、ひとみは折角勇気を出したのに
その後は、意気地なしになる。
 だから、梨華が言ってくれたのは幸いであるが、ひとみは更に緊張していた。

 肩に回された手は、汗で滲んでくる。
 
 梨華とて緊張しまくりであるが、ここは! と思い、梨華から
ひとみにキスをした。それも…触れるだけの淡いキスを―――。

「梨華…ちゃん……」
「18歳…初めての…キ、キスだね…」

 ドキドキドキドキ―――。

「梨華ちゃん。ありがとぅ…」

 潤んだ瞳で見つめるひとみに、梨華の方が戸惑ってしまう。

「ゃ。なに、ひとみちゃん。お礼なんて…照れるよ」

 そんな目で見られたら、いつもみたく冗談で返せない。
 そのままひとみに抱きしめられる。
 背中に回された腕に力が篭もる。

292『恋愛お見舞い申し上げます』〜Happy BirthDay Hitomi !〜:2003/04/25(金) 18:37

「梨華ちゃん。大好き…。いつも傍にいてくれてありがとぅ」

 それは、こちらのセリフ。
 余りに素直すぎるひとみに、梨華は動揺してしまう。

 18歳って、素直になれるトシなの?
 でも、私はひねくれた態度ばかり…。

 ひとみの腕の力が緩むと、今度はひとみからキスをされる。
 軽く触れるキスから、段々と確かめるようなキスに変化する。

 それだけで…梨華も…ひとみも……気持ちがいっぱいになった。

「……っ。ハァ…」

 肩で息をするひとみに、汗はビッショリだ。

293『恋愛お見舞い申し上げます』〜Happy BirthDay Hitomi !〜:2003/04/25(金) 18:38

−4−

  『ピンポ―――ンッ』

 またタイミングを計ったかのようにインターフォンが鳴る。

 ひとみは額の汗を手で拭うと、急いで立ち上がった。

 一人残された梨華は、余韻に浸っていた。
 いつもと変わらないキスなのに、凄くドキドキした。

 梨華は無意識にくちびるに手を当ててみる。

「ハァ…。ひとみちゃん…」

 18になった、ひとみが妙に頼もしく見えた瞬間。
 呼び鈴が鳴らなかったらどうなっていただろう?

 今日は、そのつもりで来た梨華だったが、やはり、まだ怖い気持ちも残っていた。

「亜弥ちゃん、あなたを尊敬するよ…」

294『恋愛お見舞い申し上げます』〜Happy BirthDay Hitomi !〜:2003/04/25(金) 18:39

 なにやら、下でひとみの声がする。
 どうやら、母親が帰ってきたらしい。

「だから、いいって!」

 梨華は慌てて下へ降りていく。

「おばさん、こんにちわぁ」
「あら、梨華ちゃん。もう聞いてよ、ひとみったら…」
「うるさいよ。だから、いいんだってば。梨華ちゃん出かけようか」
「ひとみ、この雨の中、どこへ行くの?」
「ご飯食べに…」
「だからご飯なら一緒に食べようって言ってるのに…」

 ひとみの母も負けず食い下がらない。

「別にいいって」
「せっかくの誕生日なのにねぇ…」

 そう言う割に、あまり残念がっていない母。
 逆に面白がっているような気さえする。

「まだお腹減らないんだよ…」
「だったら、尚更出かけるコトないじゃない。ねぇ? 梨華ちゃん」
「は、はい」
「………」

 ひとみは諦めて二階へあがりかける。

「あとで食べるから! 二階に来ないでよ」

 残された梨華も、ひとみの母に軽くお辞儀をするとひとみの部屋に戻りかける。

「ごゆっくりね。梨華ちゃん…。そんなに二人っきりになりたいのかしら…」

 ひとみの母の最後の一言が、梨華にはグサッと来た。
 これでは、却って逆に怪しまれるようなものである。

295 『恋愛お見舞い申し上げます』〜Happy BirthDay Hitomi !〜:2003/04/25(金) 18:40

−5−

 ひとみの部屋に戻ると、ひとみはベッドに足を放り投げていた。
 明らかに怒った様子。

「ひとみちゃん。あれじゃぁダメだよ。却って怪しいよ」

 梨華もひとみの隣りに座る。

「だぁってさぁ。せ、折角、いい雰囲気だったのに…」

 そう言ってひとみは、また顔を赤らめる。

「ぅん…」

 思い出して梨華も頬が熱くなる。

「け、結構勇気いったんだから…」

 ひとみは梨華の手の上に手を重ねた。
 ひとみの温かい熱が伝わってくる。

296『恋愛お見舞い申し上げます』〜Happy BirthDay Hitomi !〜:2003/04/25(金) 18:41

「ひとみちゃん…」
「あ、あれで、いっぱいいっぱいだったんだから…」
「ぅん。分かってるよ」
「梨華ちゃん?」
「私だって…いっぱいいっぱいだったもん…」
「ホントに?」
「嘘ついて、どうするの?」
「ぅん…」

 ひとみは急に優しい笑顔になる。

「梨華ちゃん可愛い」
「なによ、急に…」

 ひとみの方に振り向いた途端、梨華はひとみにキスをされた。

「これからも…もっといっぱい…いっぱいキスしよ?」

 キスだけでいっぱいの私とひとみちゃん。
 その先に進むのは、まだまだ先かも知れない…ね?

「うん…」

 梨華もそう言うと同時にキスをお返しした。

 ひとみちゃん、おめでとう!

                    
                      〜〜 お 終 い 〜〜

297名無しベーグル。:2003/04/25(金) 18:44

ひーちゃんおめ小説(今更)終了。お粗末ですた。
多分、ここの二人は、( ^▽^)<しないよ♪

>281 名無しひょうたん島さん

エ ロ は 、 来 ま せ ん 。

>282 名無しひょうたん島さん
282番さんのリクに答えて(なのか?)続き書いてみますた。
でも、更に消化不良だったら、スイマセン。

298282:2003/05/10(土) 18:38
満足です。ありがとうございました。

299_:2003/07/14(月) 19:57
>298san
こちらこそありがとうございますた。

ほどよく下がったので、また何か書きたいと思います。
予定は未定。。。

誰も見てないしねw。

300石川さんと呼ばないで〜夏の番外編〜:2003/07/16(水) 19:31

−1−

 今日は、家の近くの神社で花火大会。
 嫌がるひとみを連れて、出かけた梨華。

 梨華の母が着せてくれた浴衣を着て、梨華は大はしゃぎ。
 ひとみも渋々浴衣を着て、お揃いとはいかないが、揃って浴衣でデート。

 喜ぶ梨華とは反対に、ひとみは浮かない顔だ。

「そんなに嬉しいか?」

301石川さんと呼ばないで〜夏の番外編〜:2003/07/16(水) 19:32

 冷めたひとみの突っ込みに、梨華は構わずひとみの腕に絡めた。

「嬉しい。だって、ひとみとこうして一緒に歩くのだって久しぶりだもん」
「ふぅん。相変わらず梨華は子供だな…」
「いいもーん。子供で」

 梨華はニコニコしながら、腕に力を込めた。

「暑いから、あんまりくっつくなよ!」

 ひとみは振り解こうと梨華の腕を解こうとするが、梨華は更にくっついてくる。

302石川さんと呼ばないで〜夏の番外編〜:2003/07/16(水) 19:32

「いいじゃん。ひとみのケチ!」
「ケチで結構…」

 ひとみは梨華の腕を解くと、一人で先に行ってしまった。

「もぅ…ひとみのバカぁ…」

 ひとみが照れ屋で素直じゃないのは、知っているが、やっぱり
こういう時ぐらいは、腕を絡めたいものだ。

 そのくらい分かってほしい…。

 梨華は、思いついたとばかりに、後ろからひとみの背中めがけて走って行った。

303石川さんと呼ばないで〜夏の番外編〜:2003/07/16(水) 19:34

−2−

 ――ブチッ――

 あと少しで、ひとみい追いつこうとした時、草履の鼻緒が切れて、
梨華は道路に転んでしまった。

「いったぁ…っ!!」

 すぐに気づいて後ろを振り返るひとみ。
 急いで駆けつけてくれるかと思いきや…。

「バッカじゃないの? つぅか鈍くせぇなぁ梨華は…」

304石川さんと呼ばないで〜夏の番外編〜:2003/07/16(水) 19:34

 酷い。

 最初に出る言葉が、バカとか鈍くさいとか…。
 それが恋人に言う言葉なのか?

 確かに転んだ自分が悪いのだが、もう少し言い方はないのかと
目の前にいる口の悪い恋人を見上げた。

「大体はしゃぎすぎだっつぅの。帰ろうか…」

 ひとみにとっては帰る方が好都合なのだろう。
 しかし梨華は断固として拒否した。

「嫌だ。行くもん」
「でも、切れちゃってるし、これで歩くのは無理だろ?」

 そう言って、切れてしまった草履を見せる。

305石川さんと呼ばないで〜夏の番外編〜:2003/07/16(水) 19:34
 
「それに、膝、擦りむいてるぞ。手当てした方がいいだろ。
 一応、梨華も女なんだし」
「一応って!」

 それでも少しは心配してくれてるのかと梨華は嬉しくなるが
一言余計だと、カチンと来る。

 ひとみを睨んでやろうとひとみを見ようとしたら、目の前には、
ひとみの背中があった。

「ほら、しょうがないからおぶってやるよ。それじゃぁ歩くのは無理だろ?」

 また一言余計だと思いながらも、梨華は、甘える事にした。

306石川さんと呼ばないで〜夏の番外編〜:2003/07/16(水) 19:36

−3−

 ひとみの背中に揺られながら、梨華は、こっちの方が良かったかもと内心ほくそ笑んでいた。

 不幸中の幸いとは、まさにこのことだ。

 口は悪くても、やっぱり、ひとみは優しい。
 梨華は、ひとみに絡めている腕を強めた。

「あんまりくっつくなよな。暑いんだから…」
「くっつくなって言う方が無理でしょう?」

 結局、家には帰らず、そのまま神社へと向かう。

307石川さんと呼ばないで〜夏の番外編〜:2003/07/16(水) 19:36

 取りあえず裏の境内に梨華を座らせると、ひとみは汗を拭った。
 ひとみとしても人混みを梨華と歩くよりは、人気の少ない場所にいる方がありがたい。
 
 絶対知り合いに会う筈だし、いちいち突っ込みが入るのも面倒だからだ。

「梨華、お前踊ってくれば?」

 盆踊りをひとみが踊るガラではないのは梨華は分かっているから
梨華は首を横に振った。

「一人で踊ったって、面白くないもん」
「じゃぁ…なんか食うか? 買ってくるよ」
「いい…」
「じゃぁ来た意味ないじゃんか」

308石川さんと呼ばないで〜夏の番外編〜:2003/07/16(水) 19:37

 腕組みをしてひとみは梨華を見つめる。
 梨華はひとみの浴衣の袖を引っ張った。

「ひとみと二人っきりになれたもん。充分意味はあるよ」
「……。べ、別に此処じゃなくたって、いつでもなれるだろっ」

 何故かひとみは、どもると視線を反らした。

「ひとみ、今変な想像したでしょ?」
「してないよ」

 暗がりの中でも梨華が、うっすら笑っているのが分かる。
 ひとみは指摘されたのが面白くなくて、梨華に背中を向けた。

309石川さんと呼ばないで〜夏の番外編〜:2003/07/16(水) 19:37

「ひとみ怒った?」

 ちょっと梨華の声に戸惑いが混じる。

「別に…」

 なんか変な空気。
 打ち砕かないと。

「あ、手当てしなきゃ。梨華、ちょっと待ってて」

 ひとみは振り向かずに、そのまま消えて行った。

310名無しベーグル。:2003/07/16(水) 19:39
石川さんと呼ばないで〜夏の番外編〜
1-3話更新。

明日で完結。

エ ロ く は 、 な り ま せ ん w 。

311名無し(0´〜`0):2003/07/16(水) 23:40
ふふっ。見逃しませんよ・・・。

312石川さんと呼ばないで〜夏の番外編〜:2003/07/17(木) 19:27

−4−

「もぅ…ひとみのバカぁ…」

 せっかくチャンスを作ったのに。

 梨華は足をブラブラさせながら独り言を呟いた。

 ほどなくして、ひとみが戻ってくる。

「ハンカチ水で湿らせて来たから。これで拭いとけば、なんとかなるだろ」

 ひとみは梨華の擦りむいた箇所にハンカチを当てた。

「いったぁ…」
「しみるだろうけど我慢しろよ。その間、これでも食ってろ」

313石川さんと呼ばないで〜夏の番外編〜:2003/07/17(木) 19:28
 そう言って、ひとみが差し出したのは綿菓子。

「綿菓子…」
「なんだよ不満か?」
「そうじゃないけど…」
「梨華の好きなアフロ犬だぞ?」

 外の包装袋が、アフロ犬である。

 そういう問題じゃないんだけど、なんか子供じみてない?
 そんな事ないか。

「なんかあんまり嬉しそうじゃないな。嫌いなのか…」

 黙っている梨華に、ひとみは梨華からアフロ犬を取ると
袋から出して、ちぎって食べ始めた。

314石川さんと呼ばないで〜夏の番外編〜:2003/07/17(木) 19:28

 梨華の視線を感じ、ひとみは動きを止める。

「な、なんだよ。食わないんだろ? だったら勿体ないから…」
「ホントは、ひとみが食べたかったんじゃないの?」
「ち、違うよ!」

 ひとみは梨華に綿菓子を押しつけると、再び梨華の手当てに戻った。

「い、痛いって!」

 故意的に、強く押しつけられてる気がして、梨華は大袈裟に声を出した。

「オーバーだなぁ梨華は。この位大した事ないだろ」

 そう言って、ひとみは剥き出しになっている梨華の太腿をパシッと叩いた。

315石川さんと呼ばないで〜夏の番外編〜:2003/07/17(木) 19:29

「いったぁぁぁぁっ」

 フンと鼻で笑うひとみが憎らしい。

「消毒液とかさすがにないからなぁ…」

 そう言いながら、ひとみの顔が膝に近づく。

「ぇ?」

 ひとみの舌が傷口に触れると、梨華は身体を小刻みに揺らした。

「なに、感じてんだ?」

 意地悪に、ひとみが一回顔を上げる。

「別にっ。汚いからいいよ、そんな事しなくても!」
「ばい菌入ったらマズイだろ。それに跡が残ったらな。平気だと思うけど」

316石川さんと呼ばないで〜夏の番外編〜:2003/07/17(木) 19:29

 もう一度、ひとみが膝の擦りむいた箇所を舐め上げる。

 浴衣の裾からめくれ上がって覗く太腿に、ひとみが膝を舐めている。

 なんか、結構えっちぃんだけど。

 梨華は急に身体が熱くなり始める。
 慌てて両足を閉じると梨華は綿菓子を頬張り始めた。

 浴衣の袖から、ミネラルウォーターを出して、ひとみはもう一度傷口にハンカチを当てた。

317石川さんと呼ばないで〜夏の番外編〜:2003/07/17(木) 19:30

「これで応急処置は完了っと。後は家帰ってからな」
「ぅん…」
 
 急に口数が少なくなった梨華に、ひとみは不思議そうな顔をする。
 自分も梨華の隣りに座ると、梨華が食べてる横から綿菓子を奪い取った。

「梨華、腹減ってんの?」
「えぇ?」

 梨華も横を振り向く。
 凄い近くに、ひとみの顔があって、梨華は慌てた。

318石川さんと呼ばないで〜夏の番外編〜:2003/07/17(木) 19:31

 こういう時、何故だかひとみは鈍感である。
 それとも知っててわざと、そういう素振りを見せているのだろうか?

「だから言ったのに。また何か買ってこようか?」

 ひとみは、そのまま境内から勢いをつけて飛び降りようとした。
 が、梨華に腕を掴まれる。

「ん?」 
「このまま一緒にいようよ…」
「…梨華がそれでいいなら」

319石川さんと呼ばないで〜夏の番外編〜:2003/07/17(木) 19:31

−5−

 花火が打ち上がるまでは、まだ時間がある。
 少し離れたところでは、盆踊りの賑やかな音が鳴り響いていた。

「何かしゃべれよ」

 沈黙が続いて、ひとみが痺れを切らして口を開いた。
 とっくに綿菓子も食べてしまって、手持ちぶさたである。

 特に何もすることがなく、足をブラブラさせて、ひとみは空を見上げた。

「ひとみって、もしかして鈍感?」
「は?」

320石川さんと呼ばないで〜夏の番外編〜:2003/07/17(木) 19:32

 急に思ってもみない事を言われて聞き返す。
 少なくとも鈍感の梨華には言われたくない言葉である。

「どういう意味だよソレ?」

 怪訝そうなひとみの声に、梨華は自分から素早くキスをした。

「せっかくなのに…ひとみ何もしないんだもん…」
「なっ……」

 そう言われてさすがのひとみも気づく訳だが。

「ひとみ……」
「な、なんだよ」

 思わず身を引いてしまうひとみ。

321石川さんと呼ばないで〜夏の番外編〜:2003/07/17(木) 19:33

「好き?」
「だから、なんだよ急に…」

 珍しく積極的な梨華に、ひとみの方が動揺していた。

 梨華に肩を掴まれ、ひとみは、そのまま倒れる。

 ゴツッと鈍い音がして、ひとみは境内の床に横になった。

「いってぇ…」

 思わず顔を顰めるひとみに、梨華は顔を近づけた。

「ちょ、ちょっと待てよ!」

 待った! をかけたのは、ひとみの方。
 
 拒まれるとは思っていなかった梨華も、一瞬止まる。

322石川さんと呼ばないで〜夏の番外編〜:2003/07/17(木) 19:33

「ん?」
「な、なんか、お約束すぎるじゃん」

 慌てて起き上がるひとみに、梨華は急に不機嫌になる。

「なんで止めるのよ!」
「だって、こんなトコじゃ…」
「どこならいいわけ?」

 珍しく梨華は強気。ひとみは弱気。

「そういう問題じゃねぇだろ!」

 しまいには、ひとみも怒り出す始末。

 散々口げんかをして、納まった頃には花火が打ち上がろうとしていた時間だった。

323石川さんと呼ばないで〜夏の番外編〜:2003/07/17(木) 19:34

−6− 

「大体、梨華は、スケベなんだよ」
「なんでよ?」
「んな事ぐらいで興奮するなって…」

 さっきの傷口舐め事件の事である。

「ひとみが、いけないんだからね。人をその気にさせて、気づかないんだから!」

 梨華はムッとしつつ、ひとみを軽く叩いた。

324石川さんと呼ばないで〜夏の番外編〜:2003/07/17(木) 19:34

「分かったよ。悪かったよ」

 何が悪いのかひとみにも良く分からなかったが、さっきから散々その話は聞かされた
ひとみは、堂々巡りになる前に自ら折れた。

「後でお礼は、するからさ…」

 急に馴れ馴れしくひとみは梨華の肩を抱く。

「遅いよ! 今更…。あ〜、花火!」

 そう言って梨華は遠く、空に咲く、花火を指さす。

325石川さんと呼ばないで〜夏の番外編〜:2003/07/17(木) 19:35

「綺麗だよねぇ? ひとみ?」

 もう喧嘩した事など忘れているのか、切り替えが早いのか梨華は笑顔で振り向く。

「…そうだな」

 これにはひとみも呆れ顔。
 まぁ、いつもの事か。

「あ、ホラホラ、また! かわいぃ〜〜!」

 嬉しそうに花火を見つめる梨華を引き寄せるとひとみは梨華のくちびるを強引に奪った。

326石川さんと呼ばないで〜夏の番外編〜:2003/07/17(木) 19:35

−7−

「んーっ!!」

 梨華は指を空にさしたまま、目を丸くする。

「な、なによ。急にぃ!」

 喜ぶかと思えば梨華は、何故だか怒っている。
 全く、梨華の心が分からない。
 ひとみは肩を竦めると、梨華の肩に回した腕を放した。

「梨華だって、さっきしただろ…」

327石川さんと呼ばないで〜夏の番外編〜:2003/07/17(木) 19:36

 ひとみは、そう言うと、一人先に境内から飛び降り、梨華の方に振り返る。
 梨華は、「なによ?」と言った顔で、ひとみを見つめていた。

「花火より…梨華見てる方が面白い……」
「なによソレ!」

 ひとみは、あっかんべぇをすると、梨華に背中を向けて歩き出した。

「ちょ、ちょっとどこ行くのよ!!」

 ひとみは、それには答えずに、片手を上げるだけ。

「私、一人じゃ降りられないし、歩けないも〜ん!!」

328石川さんと呼ばないで〜夏の番外編〜:2003/07/17(木) 19:36

 しかし、ひとみは黙って歩き続ける。

「えー……。ひとみぃ…」

 梨華の声は小さくなる。もう、ひとみには届いてないようだ。

「………」

 そして、ひとみの姿は見えなくなった。

 マジで?
 普通は、すぐ戻ってくるよね?
 え? 戻って来ないの? ひとみ…。

 暫く梨華は、黙って闇を見つめていた。

「ひとみのバカぁ。私が誰かに襲われたら、どうするのよ!
 責任取ってくれるんでしょうね! もう!」

 戻って来る気配のない、ひとみに向かって梨華は叫んだ。

329石川さんと呼ばないで〜夏の番外編〜:2003/07/17(木) 19:37

−8−

 と急に背後から抱きすくめられる。

 ホラ。ひとみが行っちゃうから、私、襲われて……。

 梨華は恐怖で声も出ずに目を瞑った。

 しかし、その感触は、いつも抱き締められている感触。

「バーカ。梨華を襲うような奇特なヤツは、自分だけでいいよ…」

 ひとみの声が梨華の耳元に届いた。

330石川さんと呼ばないで〜夏の番外編〜:2003/07/17(木) 19:37

「…いつの間に!」
「さっきから見てたよ」
「趣味悪いんだから!」

 梨華は急に恥ずかしくなって声を荒げた。
 でも嬉しい。戻ってきてくれた。
 って言うより……元から、からかうつもりで………。

 そう思うと、急に梨華は腹が立ってくる。
 しかし、ここで怒ったら、また元の黙阿弥だ。
 だから、梨華はグッと堪える。

 梨華はひとみの腕を掴むと、振り向いて自らくちびるを重ねた。

331石川さんと呼ばないで〜夏の番外編〜:2003/07/17(木) 19:38

 当然言い返してくると思ったひとみは、少しとまどっている様子。

「梨華……」
「私を襲ってくれる奇特な人は、ひとみだけで充分か…」
「…なんだよ」

 梨華はニコッと笑うと、再びひとみにキスをした。

 と、同時に、パッと大きな花火が、空に咲いて、散っていったのだった。



                              〜〜 お終い 〜〜

332_:2003/07/17(木) 19:41

4-8話更新。一応完結。

>311 名無し(0´〜`0)さん
>ふふっ。見逃しませんよ・・・。

(((( ;゜Д゜)))ガクガクブルブル 。
誰だろう?多分知ってる人っぽいけどw。

これの続きは、ちょこっと有ります。
自分のサイトにて書き上げたらうpします。
ちょこっとエロかも?かも・・・汗。

333名無し(0´〜`0):2003/07/17(木) 22:04
ここにもいますよ、読んでる人。
続き楽しみに待ってます。

334名無し(0´〜`0):2003/07/24(木) 22:11


335名無し(0´〜`0):2003/09/20(土) 19:05
倉庫逝きとか、してくれないかしら?(汗)

336管理人:2003/09/20(土) 20:28
出来ませぬ(・∀・)ニヤニヤ

337名無し(0´〜`0):2003/09/21(日) 15:26
_| ̄|○

338(0`〜´0)よすボーン:(0`〜´0)よすボーン
(0`〜´0)よすボーン

339_:2003/12/23(火) 19:01
取り敢えず沈んだので、季節モノ。ベタですw。

>333&334さん
ありがとうございます。もう見てないと思いますがw

340クリスマスは、これから―――。:2003/12/23(火) 19:02

-1-

 街並はすっかり、クリスマスで彩られている。
 そして、近所もイルミネーションで夜は煌びやか。
 いやでもクリスマスの気分は掻き立てられる訳で、ここにも一人――。

 既にテスト休み中で、あとは終業式に出るだけで特に予定はない。
 
 ひとみは今日もどこかへ出かけるようだ。
 ひとみが部屋から出るのを見計らって、梨華も部屋から出るとその腕を掴まえた。

341クリスマスは、これから―――。:2003/12/23(火) 19:03

「なんだよ?」

 明らかに迷惑そうな顔で振り向かれ、少しばかり梨華は凹む。

「今日も出かけるの?」
「見れば分かるだろ?」

 相変わらず口が悪いひとみ。もう慣れたが、やはりいい気はしない。

「真希ちゃんと?」
「誰とだっていいだろ?」

 うるさいなと言った顔で睨まれる。

342クリスマスは、これから―――。:2003/12/23(火) 19:03

「だって…」

 ここ最近ずっとひとみは、梨華の相手をしてくれない。
 少しは構ってくれたっていいのに。
 やっぱり面白くない。

「じゃぁな。留守番宜しく」

 ひとみは梨華の顔も見ずに、そのまま出かけて行ってしまった。

「ひとみのバカぁ」

 閉じられた玄関に向かって梨華は呟いた。

343クリスマスは、これから―――。:2003/12/23(火) 19:04

 折角の休みでも、ひとみが不在では家にいてもつまらない。
 そんな日が、もう連日続いている。

 梨華は何か思いついたように、顔を上げると、急いで部屋に戻り、
コートを掴むと自分も家を飛び出して行った。

344クリスマスは、これから―――。:2003/12/23(火) 19:04

-2-

 どうせヒマである。
 ならば、ひとみの後を尾いていってみようと、梨華は考えた。
 駅まで歩く道のりは一つだ。梨華は早足で、ひとみの後を追った。

 いた!

 梨華はひとみの後ろ姿を見つけると、まだ気づかれてもいないのに電柱に身を潜めた。

 ちょっとした探偵気分なのか、梨華は楽しそうにひとみの後を尾いていく。

345クリスマスは、これから―――。:2003/12/23(火) 19:05

 暫く歩き、角を曲がったところで梨華は誰かとぶつかってしまう。

「ごめんなさいっ」

 ロクに相手も確かめずに、梨華はひとみを見失う前に前方を注視したがその声に顔を見上げた。

「どういうつもり?」
「ひとみ…」

 腕組みをして凄い顔で睨んでいるのは、紛れもなくひとみだった。

346クリスマスは、これから―――。:2003/12/23(火) 19:05

-3-

「そういう真似されるの嫌いだって知ってるだろ?」
「ごめん…」

 梨華は素直に謝る。
 盛んに時間を気にしているひとみ。

「急ぐんだったらいいよ。私、家に戻るから」
「いいよ。ちょっと待ってろ」

 ひとみは梨華から少し離れると携帯を取り出し、先方に遅れる旨を伝えていた。

 いよいよバツが悪い。梨華は後悔を始めるが、もうそれは遅かった。

347クリスマスは、これから―――。:2003/12/23(火) 19:06

「ごめんね、ひとみ」
「分かってんなら、最初からするなよ」

 シュンと項垂れる梨華に、ひとみも言い過ぎたと思ったのか、梨華の頭を
グシャグシャと撫で回した。

「一時間くらい遅れるって言ったから、いいよ、梨華に付き合ってやるよ」
「一時間…」

 中途半端な時間。それでもひとみが時間を割いてくれた事が梨華には嬉しかった。

348クリスマスは、これから―――。:2003/12/23(火) 19:06

-4-

 駅前の喫茶店に入る。
 改まると、逆に緊張する。
 沈黙が続き、居心地悪そうな梨華に、またひとみは顔を顰めた。

「なんか喋れよ。変なヤツ」
「あ。だって、久しぶりじゃん? こうして二人って」
「そうだっけか…」

 大して興味もない様子で、ひとみは足を組み直す。

349クリスマスは、これから―――。:2003/12/23(火) 19:07

「だって、ひとみ最近出かけてばっかりで…」
「うちのせいだって言いたい?」
「そうじゃないけど…」
「なら言うな。それと変に詮索したりすんなよ」

 人差し指を梨華の前に突き出し、ひとみは凄んでみせた。

350クリスマスは、これから―――。:2003/12/23(火) 19:07

「あとちょっとで終わるんだから。大人しく梨華は待ってればいいんだ」

 店を出る時、ひとみはそんな事を言った。
 その時の梨華には、それが何を意味するのか分からなかったけれど。

351クリスマスは、これから―――。:2003/12/23(火) 19:08

-5-

 ひとみと別れて梨華は、とぼとぼと家に戻る。
 これで二度とひとみの後を尾行する事など不可能になった。

「はぁー…」

 出て来るのは溜息ばかり。

352クリスマスは、これから―――。:2003/12/23(火) 19:08

 ひとみが休みだからと言って、年中梨華に付き合ってくれるとは到底
思っていなかったが、あまりにも冷たすぎると梨華はそれが我が儘だと思っても
思わずにはいられなかった。

「つまんない…」

 梨華は家に帰ると、コートのままベッドに身を沈めた。

353クリスマスは、これから―――。:2003/12/23(火) 19:09

-6-

「風邪ひくぞ…」

 ひとみの声に起こされて、目を開けるともう既に周りは真っ暗になっていた。
 いつの間にかそのまま眠ってしまい、ひとみも帰って来ていたようだった。

「まったく、しょうがねぇヤツだな」

 コートを脱がされ、甚兵衛を羽織られる。

354クリスマスは、これから―――。:2003/12/23(火) 19:09

「電気…」

 まだ半分寝惚けている梨華は電気の吊りコードに手を伸ばそうとした。
 梨華の目の前が影になり、少し冷たい感触が梨華のくちびるを塞いだ。

「…っ!?」

「やっぱり、梨華の方があったかいな…」
「ぇ?」

 予期せぬところでキスをされたものだから、梨華はいっぺんで目が覚めた。
 何事もなかったかのように、ひとみは立ち上がると電気を点けた。

355クリスマスは、これから―――。:2003/12/23(火) 19:10

「ひとみ?」

 ひとみは窓を開け、空を見上げる。

「今日は雪が降るかもな…。あと一週間後に降れば、丁度クリスマスなのに」

 柄にもなくロマンチックな事を言うひとみに、梨華はクスクスと笑う。

「なんだよ。おかしいか?」
「ひとみらしくないなぁって」
「なんだよ、それ」

356クリスマスは、これから―――。:2003/12/23(火) 19:10

 不意に抱き寄せられ、くちづけを交わす。
 梨華の腕がひとみの背中に回された時、ひとみのくちびるは離れた。

「続きは、また今度な。おやすみ」

 あっさり梨華から離れると、自分の部屋へと戻るひとみに、梨華は呆然と見つめていた。

357_:2003/12/23(火) 19:12

言うまでもなく、あの二人の設定です。
明日で終わります。。。ノ

358名無し(0´〜`0):2003/12/23(火) 20:34
見てますよー
って言ってもHPの方見て気がついたんですけどね
明日も楽しみにしてます

359名無し(0´〜`0):2003/12/23(火) 23:11
楽しみにしてました〜

360クリスマスは、これから―――。:2003/12/24(水) 19:50

-7-

 それから一週間が経ち、クリスマス当日。

 相変わらずひとみは、毎日出かけていた。
 そう、今日も変わらずに。

 さすがの梨華も不安になる。
 せっかくのイブ。今年もひとみと過ごせると思ったのに―――。
 それに、この前の続きだって、まだ―――。

361クリスマスは、これから―――。:2003/12/24(水) 19:50

 しかし、ひとみは昼過ぎには帰って来た。

「ひとみ!?」

 慌てて下へと駆け下りる梨華。

 玄関の前には、抱えきれない程の荷物に埋もれてひとみが立っていた。
 
「おい梨華。早く持てよ」
「う、うん」

 クリスマスツリーやら、ケンタッキーで買ったチキンやら、色々と
ひとみは買い込んで来たらしい。額には、うっすらと汗まで滲んでいた。

362クリスマスは、これから―――。:2003/12/24(水) 19:51

「一人で買いに行ったの? 私も一緒に行ったのに…」
「済んでから言ったって仕方ないだろ」
「だから出かける時に言ってくれれば…」
「ほら!」

 ひとみから押しつけるように渡されたのは、綺麗にラッピングされた大きな包み。

「え? 私に…」
「他に誰がいるんだよ」

 ひとみは無造作に靴を脱ぐとキッチンへ入っていった。

363クリスマスは、これから―――。:2003/12/24(水) 19:51

「開けてもいい?」

 ひとみは答えずに、手を洗いにそのまま洗面所へと行く。

「これ……」

 中を開くと、梨華が以前から欲しがっていたピンクのコートが出て来た。

 もしかして―――。

 前にひとみと珍しく出かけた時に、偶然通りかかったショーウィンドウに
飾ってあったピンクのコート。「欲しい」と呟いた梨華の一言を、ひとみは覚えて
いたらしい。あの時のひとみの反応は、いつもの如く「趣味悪い」の一言で
およそ興味が無さそうな素振りだった。

364クリスマスは、これから―――。:2003/12/24(水) 19:52

 思わず梨華は、ひとみの後ろから抱きついた。

「ひとみ!!」
「ぐふっ…」

 うがいの最中だったひとみは、そのままゴックンと飲みこんでしまった。

「なにすんだよっ! これで風邪引いたら、どうすんだよ! 
 責任取ってくれるんだろうな?」
「責任、たくさん取ってあげる。ひとみありがとう」

 ひとみの背中にスリスリと頬を寄せる梨華。
 ひとみも怒ったように言っているが満更でもなかった。

365クリスマスは、これから―――。:2003/12/24(水) 19:53

-8-

「高かったよね、コレ?」

 よく値札は見ていなかったが、梨華は買えないと諦めていたものだ。

「嬉しくない?」

 別に恩着せる訳ではないが、しきりに値段を気にしている梨華に、ひとみは
少し面白くなかったりもする。素直に喜べば可愛いのに。

「そんな事ない。すっごい嬉しいよ?」

 じっと見つめられて、ひとみは目をそらせた。
 素直すぎると逆に困ってしまう。矛盾している。

366クリスマスは、これから―――。:2003/12/24(水) 19:53

「なら、それでいいじゃんか。気にするなよ」

 ひとみは梨華を抱き寄せる。

「…じゃぁ、そのために?」

 やっと気づいたのか、梨華は顔を上げてひとみを見る。

「おっそい。まぁな。梨華が鈍感だから出来たのかもな。
 ったく、恥ずかしかったよ。ピンクのコートなんて…」

 そう、ひとみはこれを買う為に、短期のバイトをしていたらしい。
 あのひとみが、自分の為に。
 買う時の姿を想像すると、これまた滑稽に見えてくる。

367クリスマスは、これから―――。:2003/12/24(水) 19:54

「………」

 急に黙り込む梨華にひとみは慌てる。

「どうした?」
「ぅれしぃ…っ」

 グスグスと鼻を啜る音が同時に聞こえてくる。

「泣いてんのかよ。バァーカ」

 ひとみはハンカチを出すと梨華の鼻に押しつけた。

「いったぁい…」
「我慢しろ」

368クリスマスは、これから―――。:2003/12/24(水) 19:54

「優しくないんだから…」
「あぁ、優しくなんてないよ」

 嘘。本当はひとみは優しい。単にそれを表現するのが下手なだけ。

「ありがとう。大事にするね」
「言っとくけど、一緒には歩かないからな」
「なんでよぉ」
「それは梨華が一番良く分かってるだろぉ」

 そう言ってひとみは梨華の頭を小突く。
 ひとみが、あまり梨華と一緒に出かけたがらない理由の一つが
服のセンスが悪いと言う事だった。梨華は、その認識が希薄すぎる。

369クリスマスは、これから―――。:2003/12/24(水) 19:55

「あっ!」

 梨華は急に声をあげる。

「今度はなに?」
「私、ひとみにプレゼント全然考えてなかった」

 眉を八の字に下げて梨華は困り顔だ。

「プレゼント? 別にいいよ」
「でも、そういう訳にはいかないし…。ひとみ欲しい物ないの?」

 変なところで梨華は律儀だ。

370クリスマスは、これから―――。:2003/12/24(水) 19:55

「あるには、あるけど…」
「ホント? なに、言ってよ」

 梨華はひとみの袖の裾を引っ張りながら問いただす。
 ひとみは梨華の耳元で囁いた。

「梨華が欲しい…」

371クリスマスは、これから―――。:2003/12/24(水) 19:56

-9-

 言われた瞬間、少しだけ理解に苦しむ。

「それって…」

 意味が取れると、梨華は急に俯いた。

「梨華も大好きだよな?」
「そんな事……」
「なに、今更ぶってんだよ。いつもは、あんなにせがむくせに…」
「ひとみ!!」

 袖を更に引っ張られ数回叩かれる。

372クリスマスは、これから―――。:2003/12/24(水) 19:56

「伸びるだろっ!」

 ひとみが怒ってるのを無視して梨華は抱きついた。

「好きだよ、ひとみの事…」

 梨華の顔がひとみの顔に近づいていく―――。

373クリスマスは、これから―――。:2003/12/24(水) 19:56

-10-

「梨華ぁ? いるんでしょ?」

 突然、母の声に、ハッとして梨華はひとみから離れた。

「マ、ママ!?」

 どうやら母が帰って来たらしく、隣りの梨華の部屋を開けているらしい。
 梨華は慌ててひとみの部屋から飛び出して行った。

「な、なんで!?」
「なんでって、今日は帰って来るって言ったわよ。ねぇ? ひとみちゃん」
「はい」

374クリスマスは、これから―――。:2003/12/24(水) 19:57

 梨華の後ろから、のそのそとひとみは顔を覗かせる。
 そんな事は当然、梨華は聞いていない。

「ケーキは買って来たからね」

 そう言って母は、ケーキの箱を上げて見せた。

「そう思ってケーキは買って来ませんでした」
「良かったわ。後で食べましょう」

 ニコニコしている母。ひとみはニヤニヤ。
 一人聞いていない梨華は、ムカムカ。

375クリスマスは、これから―――。:2003/12/24(水) 19:57


 珍しく三人でのクリスマス。
 若干一名は、少しだけ不機嫌な顔をしていた。

376クリスマスは、これから―――。:2003/12/24(水) 19:58

-11-

 食事を一通り終えると、母は、また仕事へと戻って行った。

「今日くらい休めばいいのにな…」

 母を送り出し、ひとみは呟く。

「ひとみっ!!」

 母が居なくなり、梨華は腕組みをしてひとみを睨んだ。

「そういう話は、ちゃんと私にもしてよ! 私だけ知らなかったじゃない」

 いつの間にか、母とひとみの間では、母がケーキを、ひとみがチキンを
買う役割が成立していたらしい。一人知らなかった梨華は、すっかりむくれている。

377クリスマスは、これから―――。:2003/12/24(水) 19:58

「いいじゃんかよ。そう怒るなって」

 ひとみは笑いながら、殆ど梨華の事は相手にしていなかった。

「よくないわよ!」

 口を尖らせて、まだ文句を言う梨華に、ひとみはポケットから手を出して
梨華の頬に両手を添えた。

「うちらのクリスマスは、これからだろ?」

 ひとみの顔が近づき、くちびるが重なる。

378クリスマスは、これから―――。:2003/12/24(水) 19:59

「んっ……、ま、まぁそうだけど…ね……」
「なら、いいじゃん。文句言わない言わない! よし、じゃぁヒサブリに」
「ん? なに? きゃっ」

 梨華の視界が、いきなり天井に移る。

「姫抱っこ」
「……っ!!」

 ひとみの顔が、思いの外間近で思わず梨華は顔を赤らめる。
 甘いムードなんて微塵もなく、ひとみはいつもの口調で一言。

379クリスマスは、これから―――。:2003/12/24(水) 19:59

「なぁんか、また重くなったんじゃね?」
「ま、またってなによ! 失礼ね!」

 足をばたつかせ、ひとみに抗議。

 二人の喧嘩が、収まったのは、それから数十分後の事だった―――。


                            〜〜〜 The END 〜〜〜

380_:2003/12/24(水) 20:04

終わりです。
なんて言うかツメも甘いし、自分ではイマイチなのですが…。
(#´▽`)´〜`0 ) <メリークリスマス♪

>358 名無し(0´〜`0)さん
HPも見てくれてるんですね。ありがとうございます。

>359 名無し(0´〜`0)さん
ありがとうございます。無難に纏めました。

381名無し(0´〜`0):2004/01/04(日) 20:58
完結お疲れ様でした。
いいものを読ませていただきました!!
やっぱり名無しベーグルさんのいしよしは(・∀・)イイ!


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