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【アク禁】スレに作品を上げられない人の依頼スレ【巻き添え】part3

1名無しリゾナント:2012/11/24(土) 11:55:51
アク禁食らって作品を上げられない人のためのスレ第3弾です。

ここに作品を上げる → このスレの中で本スレに代理投稿する人が立候補する
って感じでお願いします。

(例)
>>1-3に作品を投稿
>>4で作者が代理投稿の依頼
>>5で代理投稿者が立候補
>>6で代理投稿完了通知

立候補者が重複したら適宜調整してください。ではよろしこ。

2名無しリゾナント:2012/12/04(火) 23:52:35
「いーなーいーなー里保ちゃんやえりぽんばっかり、みずきもしたいなー○○ナントしたいなー、体のいけない部分を共鳴させたいなー!!」
「…で、何でもぉのところに来てるの?」
「だって聖はトップツグナンターを目指してますから。ももち先輩とツグナントしたいんです」
「共鳴したいんだったらみっしげさんいるじゃん」
「道重さんには断られました。同じ臭いを感じるからって」
「ちょっとももちたち仮にもアイドルなんだから、「臭い」とかやめて。せめて「匂い」にして」
「アイドルである前にツグナンターですから。あとなんか「臭い」のほうが生々しいかなって」
「第一もぉリゾスレに出た事ないんだよね」
「検索済みなんで、大丈夫です!」
「そう?ならいいけど。ってよくないよ。出てないから。多分」
「安心してください。これを書いてる作者さんが、例の勿体ぶった会議室の話の続きで出すかも出さないかもって言ってましたから」
「えーどっちなのー?」
「どっちでもいいんです。とにかく聖はももち先輩とツグナントで汁だく特盛するんですから。さあ早く服を」
「しょうがないなあ…」
「ごくり」
「でもほら、ももちはみんなのアイドルだから。許してにゃん(ニャーのSE)」
「はい!許します!」
「待って待って。そこは許しませんでしょ。ふざけてないで本気でやって」
「ふざけてなんかいません。聖はいつでも、ももち先輩に本気ですから」
「フクちゃんといると調子狂うよね…ももちの持ち味がね」
「え?ウイスキーですか?」
「そんなこと言ってない!ももちもう帰るね」
「…ショックですけどしょうがないです。じゃあ股の機械に」
「変換間違ってるし。そういうセルフパロディみたいなことはアイドルだからしないの。ちょっと、ひっつかないで、股の機械をあてがわないで、マネージャーさーん!!!!」

3名無しリゾナント:2012/12/04(火) 23:53:40
保全まで代理投稿ですみません。
くだらないネタですがよろしくお願いします。

4名無しリゾナント:2012/12/05(水) 00:54:52
行ってくる

5名無しリゾナント:2012/12/05(水) 00:56:07
行ってきましたー

6名無しリゾナント:2012/12/14(金) 20:57:28
>>5
ありがとうございました。
さっそくで申し訳ないんですが懲りずに長編投下します。

7名無しリゾナント:2012/12/14(金) 20:59:23
http://www35.atwiki.jp/marcher/pages/696.html の続きです。


とある住宅街の隅にある、小さな喫茶店。
立地からしてあまり流行らなそうなこの場所で、一人の少女が手持ち無沙汰気味にカウンターを雑巾で拭いていた。店の窓から見える空は、
今にも泣き出しそうな空。おかしいな、さっきまで晴天だったはずなのに。
そんな少女の疑問などお構いなしに、雨粒かぽつりぽつりと窓を叩きはじめる。
今日の来客は期待薄、と少女が思いかけたその時だった。

からんからん。

喫茶店の扉につけているドアベルがレトロな音を奏でる。
カウンターを拭いていた少女が条件反射的に手を止め、来客者のほうへ顔を向けた。その顔は心なしか、緊張しているようにも見える。
無理はない。今日最初の、いや、少女が出迎える最初の記念すべきお客様だ。その人は少女・鞘師里保の記憶に永遠に残るだろう、というの
は言いすぎかもしれないが。

その客人は本格的なロードバイク乗りの格好をしていた。長身の体にフィットした黒いボディースーツがよく似合っている。

客人は誰もいない店内をしばらくきょろきょろした後に、奥のテーブルに座り込んだ。徐に、メニュー表を開く。年で言うと里保より5、6
こは上だろうか。真剣にメニューを選んでいるその表情は「美人」という言葉が相応しい。整った形でありつつも、力強さを感じるその表情
は、ヒロイックファンタジーに登場する女主人公風のようでもあった。

8名無しリゾナント:2012/12/14(金) 21:01:00
「すみませーん」

元気な声で里保を呼ぶ客人。
カウンターから出てきた里保を見るなり、びっくりした顔をする。
同年代の中でも幼く見える里保が注文をとりに行けば、そうなるのは見えていた。

「あれ?お母さんは?」
「いや、あの。今日は私が留守番係で」
「そうなんだ。まいっか。すみません、じゃあこの大根おろしオムライス下さい」

里保のことをお母さんのお手伝いと勘違いした矢先にその仮定を投げ捨てる大胆な思考回路。まあ、ただの常連客の里保が何故か店主の代わ
りに店を任されているという現状を彼女に説明したところで、へー、すごいですねえ、と興味のない洋楽の解説を聞かされた時のような反応
をされるのが落ちだ。

ちょっと隣町まで買出しに行ってくるから。りほりほお留守番、できる?
学校から帰ったばかりの里保に、この喫茶リゾナントの店主である道重さゆみは突然そんなことを申し付けた。
接客だけならという里保の回答を無視し、メニューは全部レンジでチンだから、という指示だけ残してさっさと店を出て行ったさゆみ。正確
に言えばいってきますのハグとかいうセクハラまがいのことをしてから出て行ったのだが。

9名無しリゾナント:2012/12/14(金) 21:02:42
というわけで、14歳の喫茶店店主(代行)が誕生した。
里保はテーブル拭きをしながら客人が来るのを今か今かと待っていたわけだ。

にしてもレンジでチンとは。
前の店主だった新垣里沙、その前の高橋愛は料理が得意だったのだけれど、現店主はからっきしだった。里沙から店を引き継ぐ前に黄金なん
とかとか言うキッチンスクールに通って料理を習得したらしいが、その効果もあっという間に薄れ、今では手抜きもいいとこのレンジでチン
だった。

ただし、レンジでチンのほうが里保にとって都合よくもある。
彼女が喫茶リゾナントに通い続けなければならない理由が、そこに大きく関係していた。
水操作能力(アクアキネシス)。
幼い頃から悩まされ続けていた、謎の能力。

きっかけは幼少の頃に参加した友達の誕生日会で、里保の持っていたコップの水がまるで噴水のようにに溢れ出したのが能力の萌芽だった。
その時は水をこぼしてしまっただけと本人は認識したが、決してそうではなかった。

缶コーラが突然破裂する。
蛇口から水が噴出する。
そして、一緒にプールに行った友達が、里保の側で溺れてしまう。

彼女の家系が、水を操る事に長けた「特殊な一族」であったことを、後に知る。
そこからは、ひたすら水の力を我が物にするための辛い特訓の日々。
繰り返すような毎日に嫌気が差し、偶然訪れたのが「喫茶リゾナント」だった。

10名無しリゾナント:2012/12/14(金) 21:06:51
今でも意志を持って扱う水ならまだしも、何気なく存在する水にはあまり近づきたくないのが本音だった。料理をする、ともなれば普段の
数十倍の神経を使うことだろう。
それでなくとも外は今雨が降っている。雨の中を帰るのは里保にとって憂鬱そのものだった。にわか雨であることを期待するしか、彼女に
できることはない。

ちーん。
電子レンジのタイマー音で里保の回想が打ち切られる。
うさぎ柄のピンクのミトンを装着し、熱々のオムライスを取り出した。
冷蔵庫から予め摩り下ろしておいた(店主曰くこれくらいならさゆみにもできるの、とのこと)大根おろしを取り出し、別皿に添える。鞘
師シェフ渾身の力作の完成。

オムライスと大根おろしをお盆に載せてカウンターに出ると、乱暴にドアベルが鳴る。
爆弾娘たちのお帰りのようだ。

「おいーっす!あれ、道重さんは?」
「こんちくわー!!って鞘師さんひとり?」

お客様とは思えない、ばかでかい声が二つ。
里保の可愛い、そして厄介な後輩たちだ。

「道重さんは買出しでちょっと店を開けてるの。それで代わりに私が」
「えーそうなんだー。たなさたんは?」

11名無しリゾナント:2012/12/14(金) 21:09:06
二人組の、大人びた顔の癖に喋り方が子供のほうがそんなことを聞いてくる。
彼女 ― 佐藤優樹 ― はたまに人を変な名前で呼ぶことがある。「たなさたん」はその最たるものだ。
たなさたんこと、田中れいな。さゆみと並ぶリゾナントの顔。彼女はお店のことはさゆみに任せ、時折寄せられる依頼をこなしている。最
近は里保も仕事の頭数に数えられるようになったものの、まだまだ新入り扱いなのは変わらない。

「田中さんはお仕事。で、私は一日代理店主ってわけ」
「何だよそれー、はるにもやらせてくださいよぉー」

二人組の、幼い顔に似合わぬハスキーボイスのほうが唇を尖らせ言う。
この工藤遥。優樹、そして今ここにはいない二人と合わせた四人は、とある事件をきっかけに喫茶リゾナントに足しげく通うようになった。
経緯が里保たち「先発組」と似ているため、何となくではあるが親近感のようなものを里保は感じていた。

「えー、まーちゃんもやりたいー」
「あんたレンジの使い方も知らないじゃん」
「そんなことないもん!」

元気一杯な子猫たちのようなやりとり。
一瞬だけこの子たちにお店を任せて依頼でもこなそうか、と湧き出た里保の邪心はすぐ消えてしまう。だめだ、この二人に任せたらお店が潰
れる。里保の危惧は凡そ正しいだろう。

「ひゃあっ!?」

と、そこへ突然響く悲鳴。
里保は目の前のいたずらっ子たちが何かやらかしたのか、と心配したけど、そうではなかった。
先ほどの客人が大根おろしのお皿に手を伸ばし、鷲掴みにして悲鳴をあげたのだ。

「すっ、すみません!おしぼりと大根おろしを間違えちゃって…」

何を言っているのかはわからないが、事実としてそういうことが起こったらしい。
里保は呆れつつも奥の冷蔵庫から、大根おろしを取り出して客席に運んだ。

12名無しリゾナント:2012/12/14(金) 21:10:34
>>7-11 代理投稿お願いします。

今日はこれにて。
今回は少しだけ長くなりそうです。

13名無しリゾナント:2012/12/14(金) 21:30:09
行って参ります

14名無しリゾナント:2012/12/14(金) 21:35:39
行って参りましたー
動き出してきましたね……小雨の演出とか何気に好きですよw

15名無しリゾナント:2012/12/15(土) 13:40:30
>>12

とりあえず舞台が変わったので新章としてみましたがご異論はありませんですかね。
(75) 182 名無し募集中。。。(ダークネス幹部会議) 第二章http://www35.atwiki.jp/marcher/pages/707.html
もし全体のタイトルとかお考えでしたら遠慮なく申し付けてくださいませ
タイトルの変更自体はあっという間に終わりますので

16名無しリゾナント:2012/12/16(日) 17:37:06
代理投稿ありがとうございます。
タイトルについてはいいものがまだ浮かばないので新生リゾナンター(仮)
ということにしてください。
お手数かけます。

17名無しリゾナント:2012/12/16(日) 17:39:51
>>7-11 の続きです


「じゃあ…いただきまーす!!」

満面の笑みを浮かべ、スプーンを構える客人。
大根おろしをオムライスにガーッとかけ、さらにテーブルの塩をバーッとかける。しかしそれは塩ではなく砂糖だった。里保がそれに
気づくも、既にオムライスの上には大量の砂糖が。

そして、口いっぱいにオムライスを頬張り掻き込む。砂糖たっぷりのオムライスを。
通常気づくであろう異変に気づく事無く、幸せそうにぱくぱくと食べている。ルックスに似合わず相当ワイルドな女性のようだ。
そんな様子を見て、二人組が何やら囁きあってる。

「ねえどぅーどぅー、あの人なんか凄いね」
「だな。ノーパンのくせに」
「ノーパン?」
「何だよまーちゃん知らないのかよ。ああいう自転車競技のスーツって、パンツ履かないんだぜ?」
「マジで?ノーパンでオムライサーじゃ、ノーパンオムライサーじゃん!」
「ちょ、何だよオムライサーって」
「オムライサーはオムライス食べる人。だからノーパンオムライサー」
「意味わかんないけど、なんか気に入った!」

相当失礼なことを言っているのだが、当の客人には聞こえていないのか、もりもりとオムライスを頬張っている。

「ごちそうさまでしたー。おいしかったです」

完食。
そんな言葉がぴったりの皿の様子だった。飯粒ひとつ付いていない。
レンジでチンをこんなに喜んで食べてくれるなんて。里保は彼女の礼儀正しさに、そして食に対する真摯な態度に素直に感動した。

会計を済ませようと、客人が席を立つ。
カウンターで優樹と遥が「また来てねー」などと何故か店員気取りだ。

18名無しリゾナント:2012/12/16(日) 17:42:30
からからから!

突然、乱暴に店のドアが開かれる。
妙に来客の多い日だ、と里保は思ったがどうやら様子がおかしい。
入ってきた二人組、里保よりやや年上と思しき彼女たちは財布を取り出そうとした客人につかつかと詰め寄ってきた。

「ちょっと舞美ちゃん何普通にご飯食べてんのさ!」
「え?」
「えじゃないでしょ。忘れたの?目的!!」

色黒で小柄な少女にそんなことを言われ、はっとした表情になる客人。

「また舞美ちゃんの天然が炸裂だよ」
「ごめん、だってオムライスおいしかったからつい」

困り顔で手を合わせる客人に、もう一人のどことなく仏様を思わせる顔つきの少女は呆れ顔だ。ほら、センセンフコクに来たんでしょ、
などと言いながら、客人の背を押す色黒。

「えーと、ちょっといいですか?」
「はい、なんでしょう」

いまいち状況の飲み込めない里保に、舞美と呼ばれた女性が頭を掻きながら言う。

「私たち、ダークネスから指示を受けてあなたたちリゾナンターを殲滅することになったんだけど。今度改めて日時を伝えるから、そ
の時はよろしくね」

一瞬の静寂。
言葉が実体を伴って里保の頭に入ってくる。
この人…敵!?

ダークネス。
その存在を里保は先輩たちから言葉で伝えられているのみで、実際に対峙したことはなかった…というのはあくまでも彼女の認識であ
り、正確には彼女たちが解決したある事件において深く関わっていたのだが。
かつてのリゾナンターたちと対立し、当時のメンバーのほとんどが抜けてしまう間接的な要員を作ったとされる。それについて先輩メ
ンバーは誰一人詳細に話したりはしなかったが、ダークネスについて話す時、一様に辛い表情をしていたのが里保には印象的だった。

19名無しリゾナント:2012/12/16(日) 17:46:43
素早く後ろに下がり、どこからともなく取り出した一振りの日本刀を抜き構える。
水軍流の使い手にだけ使用することを許された刀「驟雨環奔」。
水を友とし荒々しき流れを我が物にすると謳われた名刀だが、今の里保には過ぎた代物だった。ただ、刀としての性能も一級品であっ
たし、里保もまた性能に恥じぬ刀の使い手であることは間違いなかった。

「くどぅーとまーちゃんは下がってて!この人たちは、私が相手する!!」

そう言いながら、三人との間合いを少しずつ、狭めてゆく。
この狭い店内で、実力の未知数な複数の相手をするのは里保にはいささか不利だ。何とかして相手を店の外に出さなければならない。

「何勝手に人のこと足手まとい扱いしてんだよ、はるとまーちゃんも戦えるっての!」
「えー、まーちゃんも?」
「ったり前だろ!そこら辺のフライパンでもお玉でも持って戦えよ!」

千里眼(クレアボヤンス)の能力を戦闘に生かすことができる遥はまだしも、優樹の能力はとてもじゃないが戦闘向きではない。とな
ると優樹の側で守りを固める人間が必要だ。迷わず里保は遥の助太刀の選択肢を却下した。

ふと、相手の様子がおかしいことに気づく里保。
彼女たちには、まったくというほど戦う意思が見られないからだ。
そもそも彼女たちが能力者ならば、店内に入った時点でそのことに気づくはず。

「…だってさ。どうすんの舞美ちゃん」

そう言いながら肩を竦める仏顔。
一方、もう一人の小さな色黒は里保の戦闘態勢を見て火がついたのか、しきりに殴っていい?殴っていい?と繰り返す。そんな血気盛
んな少女を諌めながら、舞美と呼ばれた女性は改めて、

「大丈夫。ここでは戦わないから」

と言い切った。

「どうして…ですか?」
「んー。おいしいオムライスご馳走してもらったし。そんなお店の中で戦うのは何か申し訳なくて」

相手の意図がわからず探るような聞き方をする里保に、舞美はあっけらかんと答えた。
おそらく彼女の言葉は本心だ、里保は確信する。

20名無しリゾナント:2012/12/16(日) 17:48:37
「頼れるんだか頼れないんだか…何て言うんだろう。まあこういう感じだからこそ、千聖たちはついてってるんだけどね」

このようなやり取りは一度や二度ではないのだろう。
自らを千聖と名乗った色黒の少女は、諦め気味に言うのだった。

それじゃ、と立ち去ろうとする舞美たち三人。
みすみすダークネスの関係者を名乗った人間を逃す形になるが、わざわざ立ち去ろうとする人間を引きとめるのは誰の目から見ても得
策ではない。カウンターの中でのおい、待てよ!というチワワのような遥の遠吠えを、里保は聞こえない振りをした。

「っと。一応忠告ね」

仏様のような顔をした少女が、去り際にくるりと振り向く。

「…なんですか」
「舞たちはともかく、ベリーズのほうはもう動いちゃってるかもね」
「ベリーズ?」
「あの子たちやることがシンプルだから。リゾナントの要の『増幅』と『治癒』、今頃襲われてるかも」

まさか!
増幅能力は共鳴増幅能力(リゾナント・アンプリファイア)の使い手であるれいなのことなのはすぐに推測できた。彼女なら心配ない。む
しろ駆けつけることで逆に足手まといになってしまう危険性すらある。
でも、『治癒』能力の持ち主のほうは。
リゾナンター現リーダーであるさゆみは、戦闘能力というものを持ち合わせていない。後方支援が専らの役割である彼女には、その必要
がないからだ。

だから一人でいる時に標的にされた場合、ウイークポイントになってしまう。
里保が喫茶リゾナントに深く関わるようになってから、常日頃考えていたことだ。れいなに進言したこともあった。しかし、れいなは
「さゆは大丈夫やけん」と答えるのみ。こんなことなら、もっと強く言うべきだったと里保は後悔した。

「くどぅー。まーちゃんをお願い」
「え?何?ちょっと、鞘師さん!」

戸惑う遥を尻目に、喫茶店を飛び出す里保。
どうか…間に合って!!
雨のことなどもうどうでもよかった。里保はわずかに感じられるさゆみの気配を辿りながら、降りしきる雨の中を駆け抜けていった。

21名無しリゾナント:2012/12/16(日) 17:50:17
>>17-20

少し短いですが、きりがいいので。
代理投稿よろしくお願いします。

22名無しリゾナント:2012/12/16(日) 18:48:24
行って参ります

23名無しリゾナント:2012/12/16(日) 18:57:14
行って参りました
本スレにも書きましたが行数がオーバーしていたので、霧の良いと思われる箇所で切って投下いたしました
原作者様の意図しない投下法になってしまい大変申し訳ありませんでしたm(__)m

24名無しリゾナント:2012/12/19(水) 20:40:50
http://www35.atwiki.jp/marcher/pages/701.htmlつづきです


-------

「みっつぃーみっつぃー!小春すっごいこと発見したよ!」

閉店後の喫茶リゾナントで本日の売り上げを計算していた愛佳とリンリンの右斜め後方から明るい声が飛んできた。
夜だというのに相変わらずの高い声に眉を顰めながら振り返ると、果たしてそこには久住小春がだらしない笑顔を携えて立っていた。

「じゃじゃーん!」

彼女は右手にコップを持ち、左手を腰に携えて堂々としていた。
そのままなにかのCMに使えそうな構図に、さすがはモデルだなと感心したものだ。

「……なんですか、それ」
「生卵にハチミツ入れてみた!ほら、生卵って栄養あるじゃん。でハチミツ甘いから合わせたー!」

そこまで聞いて一気に食欲が減退した。どう考えたってまずいに決まっている。
くるりと会計計算の方に意識を向けながら「で、美味しかったんですか?」とあえて聞いてみた。

「激マズ!みっつぃーやんない方が良いよ!」
「やりませんよ、だれも」
「デモ、意外と美味しそデスヨ」
「見た目だけやで。やめとき」

リンリンはそれでも、黄金に輝く液体がまぶしくて珍しいのか、小春から目を離さない。
小春も当然それには気付いていて、どうせなら巻き添えにしようとリンリンの肩をグッと掴んだ。

25名無しリゾナント:2012/12/19(水) 20:41:29
「飲む?」
「飲ム!」

やめとけって言うてんのに……と愛佳は思ったがもう関わることをやめにした。
売り上げの計算を終え、収支報告を記帳していく。今日は新商品のパフェが大人気で、黒字だった。良かった良かったとペンを置く。

「不味っ!」
「でしょー?」

頭の足りない姉妹は放っておいて、愛佳があくびを噛み殺すと、厨房からジュンジュンが苦笑しながらコーヒーカップを4つ盆に乗せてきた。
中心にはバナナの房が乗っているが、まさか全部ひとりで食べる気だろうか。なんて思う。
笑顔のジュンジュンからブラックコーヒーを受け取り、ストローに口づけた。
夏に飲むアイスコーヒーは好きだ。氷の溶ける音も、汗をかいたグラスも、仄かな苦みも、すべてが完璧だ。
リンリンは顔面をくしゃくしゃにして、苦みを忘れるようにコーヒーを煽った。オッサンやんと思ったが言わないことにしておく。

「小春、ときどき思うんだけどさ。小春がリーダーじゃなくてホント良かったって」

唐突になにを言うんだろうと愛佳は眉を顰めストローを離した。微かに先端が曲がっている。齧る癖が抜け切れていない。まるで子どもだ。
ジュンジュンは素直に「私もそう思イマース」と手を上げた。小春は怒りもせずに「ねー、思うよねー」と笑う。

「この4人の中だとみっつぃーがしっかりしてるかな。だからなんかあったら小春、みっつぃーに任せるから」
「急になんの話ですか。リゾナンターのリーダーは愛ちゃんですやろ?」
「そーだけどさ。びみょーにいろいろあんじゃん。上と下で」

26名無しリゾナント:2012/12/19(水) 20:42:10
その言葉に愛佳もジュンジュンも、そしてリンリンも押し黙った。
4人全員が確かに感じていたもの。愛、里沙、絵里、さゆみ、れいなという5人と、自分たちの間に微かに存在する、壁。なかなか埋められない実力差。
上の5人と、下の4人の間で揉めていたわけではない。勝手にこちらが劣等感を覚えているだけなのだけれど。微妙なズレが、少しずつ、広がっていくのは認識していた。

「小春たちだって、いつかは田中さんたちみたいにガンガン引っ張っていかなきゃいけないわけじゃん」
「リーダーになるデスカ?」
「うーん。分かんないけどさ。喰らいついていくだけじゃダメなんだなって最近よく思う」

カランと氷が落ちた。汗をかいたグラスが蛍光灯に照らされて綺麗だった。
小春の言うことのすべてが理解できるわけではない。先ほどの自分とリーダー論の話からの飛躍についていけない部分もあった。
だけど、彼女の話の本質は触れることができた。この4人が成すべきこと。先陣切って、仲間を護れるだけの強さがほしかった。

「愛佳は、久住さんに任せたいんですけど」
「えーー、なんで?」
「ジュンジュンはどっちでも良いダケド、久住サン、案外、真面目デスダカラ」
「本気で思ってないでしょそれ!」

否定されたジュンジュンは面白くないのか、ストローに息を吐き、ブクブクと泡立たせた。
汚いからやめんかと注意すると彼女は素直に「ハーイ」と手を上げた。子どもか、なんて思う。

27名無しリゾナント:2012/12/19(水) 20:42:48
「うん、久住サン真面目デス。さっきの不味かったケド」
「不味いのと真面目関係なくないかー?」
「リンリン真剣言ってマスヨー」
「ホントにぃ?」
「嘘デス、ハイハイ」
「嘘かよ!」

漫才か、なんてツッコミを入れたくなったが、それをしたら自分の負けのような気がしたからやめた。
結局なんの話だったっけと思いながらコーヒーを飲む。半分が空になったところでグラスをくるくる回した。もうすっかり氷は融け、コーヒーは薄くなった。
ああ、そうだ。自分たちのこれからやるべきことだ。いつまでも後輩として甘えてるだけじゃ、ダークネスは斃せない。自覚も覚悟も実力も足りない。
だからこそ、前に進むんだ。自分たちの信念を曲げないように、信じた道を真っ直ぐに突き進むんだ。少しは強くなるために。

「そんな日が来たら、凄いですね」
「え?」
「久住さんが一番上に立つ日、ですよ」

自分でそんなことを口にしながら、そんな瞬間なんてあるのだろうかと思った。
ハッキリ言って、いまの体制がずっと続くかどうかは分からなかった。変わらないに越したことはない。だけど、そんな保証はない。
高橋愛を中心としたこの9人の“共鳴”が永遠なんて、本当にあるとはどうしても思えなかった。それは、現実的な問題として。
そうなったとき、いつかこの4人の中から、あの位置に立つ人間が出てくるのかもしれない。それは少なくとも、私ではない。

「愛佳は久住さんにやったらついていきますよ」

そうやってからかうように笑うと、ジュンジュンが「イェーイ!」と囃したてた。
リンリンもそれに倣うように「よっ!リーダー!」なんて手を叩く。急におだてられて困惑しながらも小春は「ないよぉ!」と否定した。

28名無しリゾナント:2012/12/19(水) 20:43:19
「みっつぃーの方がしっかりしてんじゃん!」
「……久住さんのこと、これでも尊敬してるんですよ?」
「ぜったい嘘だねみっつぃー!ほら、小春の目を見て言って!」

あのとき、彼女の言葉には返さずに、目を合わせることもしなかった。本音をしまいこんだまま、ストローに口づけてぼんやりと窓の外を見た。
夏の満天の星が流れる夜が深まっていく様は見事だった。こんな静かな闇も悪くないなと思う。
もちろん、リゾナント内には静寂なんてなくて、小春は未だになんやかんやと喚き、リンリンは大爆笑していた。彼女の笑いのツボは、よく分からない。
ストローを離す。やはり先端に齧った跡が残っている。三つ子の魂なんとやら。と笑った。

「じゃー、ジュンジュンがリーダー。オイ久住、バナナ買ってこイ」
「なんでだよー!」

こんな夜も、嫌いじゃない。いつか、いつかこの4人が、先輩たち5人を超せる日が来たら良いと思った。
胸を張って、リゾナンター此処に在りと証明出来たら良いと。この静かな夜を護るために闘おうと、そう決めたんだ。あの瞬間に。

「強くなるよ」
「強くなるダカラ!」
「強くなりマス!」

うん。そうやね。

「強くなろう―――」

29名無しリゾナント:2012/12/19(水) 20:44:01
-------

あの日の誓いはあっさりと破られた。強くなるよと笑った彼女は、あの男に斬られた。
如何ともしがたい実力の壁をなんとかして埋めようとしていた矢先に、私たち4人はいとも簡単に地に伏した。最後に残るのが自分だけになるとは夢にも思わなかった。

「その一匹目も、想定外やったんやないですか?」

愛佳はひとつ息を吐いて紺野に言葉を向ける。
彼女は漸く、その笑顔を引っ込めた。その代わりに愛佳は不敵に笑った。
ジュンジュンとリンリンが最後に闘ったときの想いを、愛佳はしっかり“共鳴”していた。それを分析し、導き出された結果は、どうやら正解のようだ。
それならもう、腹は決まった。その未来、受け入れよう。

「科学は万能やないし、まして我々は神でもない。そう私は信じてます」
「あなたがどう信じようが勝手だけど。でも、まさかいちばん正解に近い位置にいるとはね」

銃口がはっきりと、里沙から愛佳に向けられた。
紺野と愛佳の間で交わされる会話についていけないれいなは眉を顰める。里沙は一歩踏み出そうとするが、まだ動けない。


―――“能力封鎖(リゾナントフォビット)”の女は西方800メートル地点のビル屋上です。行って下さい


瞬間、3人の脳裏に愛佳の声が聞こえた。
自分たちの能力を封じる女の居場所も突き止めてある以上、行かない理由はない。あるとしたら、愛佳を置いていくことへの負い目だけだ。

30名無しリゾナント:2012/12/19(水) 20:44:46
だが、愛佳の言葉はつづく。


―――田中さんが走り出すと同時に引き鉄が引かれます。それをなんとか止めます。振り返らんで走って下さい


愛佳の言葉に揺れる。が、躊躇している暇はなかった。
れいなはぐっと拳を握りしめると、じりっと左脚を下げた。それに目敏く気付いた紺野が銃口を上げた。
瞬間、愛佳は左脚で地面を蹴りあげ、紺野に飛びかかった。引き鉄が引かれる寸前に、マガジンを握り、弾を避ける。

「愛佳!」
「田中さん早く!」

後ろ髪を引かれながらも、れいなは走った。
さゆみと里沙はもつれ合うふたりの間に入ろうとするが、争うなかで銃口が常にこちらを向き、時折唸り声をあげ弾を発射するので下手に近づけない。
愛佳はぐぐぐっと力を込めて銃を左右に振り、引き離そうとする。が、相手も粘る。全く、ヴィジョンの未来通りだと苦笑する。


―――もし、ここで逃げ出せば、未来は変わる


もうひとりの自分がそう囁いた。傷つくのはイヤだし、できることならば平和に生きたい。そう願うことになにも悪いことはない。
だけど、自分たちの犠牲の先に平和な未来を築くのだと、あの夜に決めたのだ。

31名無しリゾナント:2012/12/19(水) 20:45:30


―――「ダークネス以外にも私たちは…傷つけてるんだね、多くの人を」


発作の起こるなか、彼女は大きく息を吸って言葉を繋いだ。
だれもが平和に生きられる明日をつくるために、だれかを犠牲にしてきた昨日があると分かっていた。その中に一般人を巻き込んで良いはずがない。
だけど、それでも愛佳は闘うことをやめない。生きることを否定しない。傷付けてきたことが罪だとしても、自分の闘いの人生を完遂し、光在る明日を紡ぐと決めたのだ。


―――「愛佳ちゃんを、仲間を、信じてるから―――」


それが私が、あの未来を拒まない答えだった。
私がヴィジョンを見た瞬間にいっしょに見えた亀井さんの笑顔は、私の未来を後押ししたんだ。


紺野は尻ポケットに手を入れ、取り出した。尖ったそれがなにであるか、愛佳は見なくても分かっていた。だから拒むことなく受け入れた。
一瞬引かれたあと、真っ直ぐに突き立てられた左手は、右腹部にナイフを生えさせた。間髪入れずに小銃の引き鉄が引かれ、左脚を砕いた。
そのあと間合いを取るように体を突き飛ばされ、愛佳の体は地面に伏す。この間、わずかに2.7秒足らずであり、里沙もさゆみも、なにが起きているのか理解できなかった。

「愛佳ぁ!」

さゆみが倒れ込んだ彼女にかけよろうとしたとき、引き鉄に手がかかる。が、引かれる直前、紺野は鋭い頭痛を覚え、後退した。
思わず里沙を見る。彼女は真っ直ぐに紺野を睨み付けていた。見事な“精神干渉(マインドコントロール)”だ。一瞬ロックが遅れれば奈落の底に沈んでいた。

32名無しリゾナント:2012/12/19(水) 20:46:01
「紺野ッ―――!」
「……今日は退いた方が良さそうだね」
「待てっ!!」

里沙が追いかけようとする直前、光が空気の割れ目から射し込んできた。空間が歪んだかと思うと、彼女がその裂け目へと消えていった。
これも科学の力なのか、と下唇を噛むのも束の間、里沙は倒れた愛佳に駆け寄った。

「光井!光井!さゆみん、“治癒能力(ヒーリング)”を!」
「やってます!黙ってて!」

れいなが“能力封鎖(リゾナントフォビット)”の持ち主を斃したようで、リゾナンターに再び能力が戻ってきた。
しかし、愛佳の受けた傷は思った以上に深い。特に左脚は治癒しているにもかかわらず血が止まらない。まるで絵里の状況と同じようでさゆみの域は短くなる。
もうイヤだ!どうして私の腕の中でみんな助けられないの?どうしてみんなこんなに―――!

「ずっ、と………こわ、く、て」

途切れる言葉の中で、愛佳はそう呟いた。
血をなんとか止めようとさゆみは能力を解放するが、全く追いつかない。どうしてこういうとき、自分は無力なのだろう。どうしてどうして!

「久住、さんも……亀井さんも、まも、れなくて……」
「光井分かった。喋らないで。傷口が開く」

里沙はハンカチで足首を巻きつけ、止血をはかるが、なかなか止まらない。骨の奥を蝕んだなにかが、ここぞとばかりに暴れているようだった。
彼女の脚を侵食した“なにか”は、いったいなんだ?
考えようとした矢先にれいなが走り寄ってきた。状況を理解したのか、叫びながらも彼女はさゆみの肩に手を置き、その能力を解放した。
“共鳴増幅能力(リゾナント・アンプリファイア)”でさゆみの“治癒能力(ヒーリング)”を増幅させ、愛佳の治療に当たる。が、まるで血は止まらない。
里沙はすぐに救急車を要請した。自体は刻一刻と深刻化していく。これ以上、もう、仲間を減らしたくないのに―――

33名無しリゾナント:2012/12/19(水) 20:49:32

私はみんなを護りたかった。
あの夏の日、未来が視えていたのに、私はあの男の襲来からあなたを護れなかった。ジュンジュンも、リンリンも、そして亀井さんも。
自己犠牲のつもりやないんです。生きて償うことも覚悟してました。でも、もし私があの科学者を避けていたら、どんな未来が待っているのか、想像するのが怖かった。
今度は新垣さんや田中さん、道重さんが犠牲になるんやないかって……だから、自分が楽になる道を選んだんです。

ごめんなさい。いつも逃げて。
あの4人で強くなろうって約束したのに、果たせなくてごめんなさい。

ごめん。ごめん……ごめんなさい―――


―――ほら、行こっ!


―――光井サン早く早くー!


―――強くなりましょう!みんなで!


なんやこの走馬灯。ベタベタな死に際の光景やなと苦笑した。

だけどまあ、悪くないと思う。
どうしてこんなに、心が落ち着いてるんやろ?
分からんなあ…


そっと涙が頬を伝った。
冬の空に星が輝く。空気の澄んだ世界に星たちはその命を輝かせた。
満天の星が流れる中、愛佳の命の炎はいまにも燃え尽きそうだった。


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