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規制されちゃった (´;ω;`)ブワッ

91名無しリゾナント:2016/10/31(月) 22:32:47
逃げる道程で私は少しずつ姿を変えていった
整形外科を受診する必要は無い

吸血鬼の再生能力は失われていた私の身体能力だけでなく、治癒能力をより強固に復活させていた
二つの力によって私は自分の姿形を少しずつ変えていった
変えるためにはまず現在ある肉体の形を壊さなくてはならない
それはひどい痛みを伴うものだったが、その痛みは新しい私が打ち捨ててきた者への贖罪の一端だと思えばさしたることではなかった
再生と破壊は表裏一体とはよくいったものだ
幾度かの破壊を経るうちに私はだんだんと理想の姿を手に入れていった
それは以前の私の面影をどこか有しながら、それでも以前の私とは異なる姿
いやもう以前の私など存在しない
今ここにいるのは現在の私でしかないのだから
私には現在しかないのだから

その過程では多くの血を流した
自分の血も勿論多く流したが、それ以上に多くの「普通」の人間の血が流れた
肉体の再生には多くの栄養が必要なのだ
以前の私ならそれはとても耐えられないことだけれど今の私には何というほどのことでなかった
だって「普通」の人間だってこれまでに食パンの数をいちいち覚えてはいない
今の私にとっては「普通」の人間の血がとびっきりの栄養なのだ
勿論、「普通」の人間の食事だって摂る
人間の血を摂るのは肉体の回復を早急に行わなければならない時だけと決めている
でも私が肉体を改造する為に流した血が「リゾナンター」の再編に繋がったのだとしたら
そして今日新しい「リゾナンター」が私を迎えに来るのだとしたら
運命って必然よね


私は墓碑に花を手向けた
それは山百合ではなく私が保護されている警察署の近くの花屋で買った出来合いの花束
穢れを知らない無垢な乙女ではなくなった私が手向けるには、清廉な山百合などふさわしくない
それにあの娘と最後に交わした言葉のいかほども私は果たしていない
だから山百合は捧げない
なによりこの墓の下には私が祈りを捧げたい人の魂は無い

シリアルキラー「橙兎」の三十五人目から三十七人目の犠牲者の魂がここに眠っている
そして私は幸いにも唯一犠牲を免れた娘として偽りの黙祷を捧げている

復讐とは死者の無念を晴らすことではない
死者の犠牲によって死を免れた者が死者へ捧げる行為
自分が闇に堕ちることで果たす贖罪
ならば私は闇に堕ちてその闇でこの世界を染めてやろう
そうすることが私がこの世界に対して出来る唯一の復讐なのだから

携帯電話でどこかと連絡を取っていた年長の刑事が私に告げる
東京から「リゾナンター」が私を迎えに来たことを
そして私は当面「リゾナンター」の施設内で保護されるらしい
狙った通りだ
その保護期間の間に少しずつ私は力を発現させていこう
凶悪な「橙兎」との邂逅が私の中に眠っていた「能力」の覚醒に繋がったと信じさせるようにしむけていく
そして「リゾナンター」の一員となる

それは難しいことではない
彼女たちは新たに招集され編成された無垢な雛鳥なのだから
そして私は歴戦を重ねた古強者


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