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【アク禁】スレに作品を上げられない人の依頼スレ【巻き添え】part2

1名無しリゾナント:2011/01/18(火) 17:04:23
アク禁食らって作品を上げられない人のためのスレ第2弾です。

ここに作品を上げる → このスレの中で本スレに代理投稿する人が立候補する
って感じでお願いします。

(例)
>>1-3に作品を投稿
>>4で作者が代理投稿の依頼
>>5で代理投稿者が立候補
>>6で代理投稿完了通知

立候補者が重複したら適宜調整してください。ではよろしこ。

978名無し募集中。。。:2012/11/11(日) 21:24:52
>>182-186 続きです。

「おいおい、そこでその名前が出てくるかよ」

嫌なものを思い出したかのような表情を浮かべ、「鋼脚」が頭を振る。
このメンバーの中で間接的とは言え、一番深くあの喫茶店に関わったのは間違いなく彼女だ。自らの手駒
を送り込み、そして裏切られた。私のある発明が成功してしまったのが裏切りの原因なのだけれど、結果
喫茶店の連中― リゾナンター ―の戦力の多くを削り取る事に成功したのだから、責められる咎はない。

そこへそれまで沈黙していた、いかめしい造形の顔が口を開いた。
いよいよ重鎮のお出ましか。

「ちょっと。聞きたいんだけれど」
「何でしょう?」
「私が受け取った報告書だと、リゾナンターは覚醒した『銀翼の天使』の襲撃が原因で壊滅状態に追い込ま
れた、ってなってるけれど」

まるで綺麗なハンカチの下にナイフを隠し持っているかのような物言いだ。
彼女の名前は「永遠殺し」。組織の首領や先に名の挙がった「銀翼の天使」、「詐術師」たちと今の組織の
前身を作り上げた古参幹部。

「確かに。リゾナンターは1人の再起不能者を出し、残った人間も負傷などの理由で喫茶店を去り、最終的
には道重さゆみと田中れいなの2人だけになりました。その時点で取るに足りない存在として組織のブラッ
クリストから消去した。という報告だったかと思います」
「じゃあ、何故その喫茶店の名前が出てくるの?」
「簡単です。道重さゆみと田中れいなは、再び我々の脅威となりうる戦力を揃えつつあるからです」

979名無し募集中。。。:2012/11/11(日) 21:28:09
幹部たちが、ざわつく。
さもありなん、潰したはずの組織が復活していて、それが組織を揺るがす存在になろうかとしていると
いう話をしているのだ。「詐術師」や「黒の粛清」が感情任せに不快な音を発しているのが遠くで聞こ
える。

とりあえず、口以外の器官に神経を集中させるか。
私は、部屋を設計する時に秘密裏に仕込んでおいた巨大モニターを出現させた。

様々な理由を抱えながら、喫茶店に集うことになった8人の少女たち。
彼女たちの写真を皮切りに、特殊能力の詳細、我々が失敗した計画における実戦データを数値化したも
のを次々とモニターに映し出す。

「能力複写(リプロデュスエディション)、精神妨害(マインドジャミング)、千里眼(クレヤボンス)
……どれもありきたりじゃない?似たようなの、うちにもいるし。つまんなくて欠伸が出そうなんです
けど」

「氷の魔女」が、そんなことを言いながらいつの間にか手にしていたボックスティッシュで鼻をかむ。
隣で迷惑そうにしている、私がよく知っているぼんやりとした顔の女性の手配だろう。幹部でも末席の
彼女には、未だに二つ名がなかった。

「……これだけでは、あなたがこの子たちを脅威視する理由が見えてこないわ」

「永遠殺し」がそう言うのも無理はない。
私だって、何もこんなもので一癖も二癖もある面々を黙らせる事ができるなんて、毛ほども思ってはい
ない。お楽しみは、これからだ。

「そうですね。確かに個々の能力では取るに足りない子たちです。経験も浅い。けど、次のデータを見
ても、そう言い切れるでしょうか?」

ある一つのデータを、モニターに映し出す。
それは、驚愕の結果となって彼女たちの目に焼きついたはずだ。

980名無し募集中。。。:2012/11/11(日) 21:29:55
しん、と静まり返る部屋。
誰も、一言も話さない。水を打ったような静けさとは、こういうことを言うのだろう。人間、実際に体
験しないとわからないことが多い。それはもちろん、全ての研究者と呼ばれる人種の思想の礎でもある。
完璧な静寂の支配する世界。
ただ、どこの世界にも沈黙に耐え切れない輩はいる。

「こ、こんなのデタラメだって。何をどうしたらこんな数値が出るんだよ」

案の定、「詐術師」が頭の先から甲高い声を上げた。
今度、彼女の声を1オクターブ下げる薬の研究に着手しよう。そう心に決めた。

「で、ですよねえ。あんた、もう一度計算し直して来なさいよ!」

「黒の粛清」が賛同の声を上げる。
彼女の場合は声の高さはもちろんのこと、音程もずれている。新薬の研究が忙しくなりそうだ。

周りの顔を見回すと、程度の差こそあれ、ほとんどが懐疑の色を隠していない。
そう、彼女たちは重要なことを忘れているのだ。

「これは彼女たちがある特殊能力を発動した際の状況から、はじき出した数値です。例えば、例の新興
宗教団体が壊滅した件。ここでは譜久村聖・生田衣梨奈・鈴木香音・鞘師里保の4人が能力発動し、組
織が差し向けた能力者を退けています。彼女たちにあって、我々にない能力。そう、『共鳴による能力
増強』です」

981名無し募集中。。。:2012/11/11(日) 21:34:19
「なるほど。小さくてもリゾナンター、そういうことやな?」

リーダーが、口を開く。
さすがはこれだけの能力者を束ねているだけのことはある。理解が早い。
互いの能力が共鳴しあった時、相乗効果によりもともとのポテンシャルを遥かに超える力を出す事ができ
る。かつて我々を苦しめた9人が「リゾナンター」と呼ばれた所以だ。
そして、導かれたように喫茶リゾナントを訪れた8人の少女たちもまた、この能力を使うことができる。
それが私の集めたデータの結論であり、彼女たちを脅威とみなす最大の理由だった。

組織のトップが納得してしまっては、他の幹部はそれを追認せざるを得ない。それでなくても、9人時代
のリゾナンターたちによる共鳴に頭を悩ませてきた連中だ。と、ここまでは想定の範囲内。
私は話を進めるため、質問を投げかける。

「それで、誰が彼女たちを処理しに行きますか?」

私の一言は、流れからすれば当然の話だった。
脅威となりつつある人材が育ってきている。組織のために、不安の芽は早いうちに摘むべきだ。
じゃあ一体、誰がその任務に「適任」なのか。

「要するに、厄介な共鳴能力を使われる前に一人ずつ潰せばいいんでしょ?はいはーい、立候補しまーす」

嬉しそうに挙手するのは、「赤の粛清」。
あの日「銀翼の天使」がリゾナンターを蹂躙しているのを見て、自分も同じような事をしてみたくなった
のだろう。

982名無し募集中。。。:2012/11/11(日) 21:36:02
「ちょっと!同じ『粛清人』が出るんなら、あたしにだって権利があるはずよ!!みなさん、そう思いま
すよねえ?」

脅威になりうる標的を狩ることは、そのまま組織内の評価を上げる事になる。
言わばライバルが抜け駆けするのは我慢ならない、とばかりに「黒の粛清」も立ち上がった。

「二人とも引っ込んでろよ。喫茶リゾナントの一件はもともとあたしが持ってたんだ。ここはあたしがけ
じめを、つける」

割って入ったのが、「鋼脚」。それもそうだ。彼女には、子飼いのスパイをリゾナンターに奪われたばか
りか、「銀翼の天使」による介入で怒りの矛先すら向ける先がなくなってしまった。ここで雪辱を晴らし
たい、というのは当たり前の考え方だ。

「あたし的には別に誰でもいいんだけど。て言うかまた『銀翼の天使』にやらせりゃいいじゃん」

事も無げに、「氷の魔女」が言う。
確かに面倒な事を嫌う彼女らしいものの考え方だ。
しかしここは私が口を挟まなければならないだろう。

「残念ながら、今『銀翼の天使』を実戦投入するわけにいきません」
「は?何で?」
「薬の副作用です。あれは人の押し殺してきた欲望を開放するとともに、精神を激しく病んでしまう。今
の状態で野に解き放ったら、殺戮マシーンと化すでしょうね」

言いながら、空白の1席に目を向ける。ここに、彼女が座る日は来るのだろうか。


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