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書きかけ作品集

1工藤 伸一</b><font color=#FF0000>(lPe6tSdk)</font><b>:2003/01/12(日) 02:00
書きかけの小説などの作品をここにおいておきます。
つづきを読みたいと言ってくれる方が見つかればつづきを書きます。
なので、全て未完です。よろしくお願いします。

2工藤 伸一</b><font color=#FF0000>(lPe6tSdk)</font><b>:2003/01/12(日) 02:04
書きかけ小説001『佐野元彼』第1話

彼の名は佐野元彼。『元彼』といってもあだ名ではなく、本名なのだ。
ちなみにシンガーソングライターの佐野元春とは何の関係もない。
それはさておき、この奇妙な名前が原因で、彼はこれまで嫌な思いをし続けてきた。
彼はハンサムで優しくて大金持ちの御曹司なので女にはモテまくりなのだが、彼女
達に『元彼』と呼ばれるのが悔しくてたまらなかったのだ。
彼はある日、何故そんな名前を自分に付けたのかを、父に訊いてみた。
いつものようにパイプを加えながら風呂上りのパープルのガウンを着込んで
リビングに現れた偉大なる彼の父は、チャームポイントのロマンスグレーの
サラサラヘアーを掻きあげながら厳かに口を開き始めた。ちなみに母親似の
元彼の髪はセットしづらい猫ッ毛の天然パーマで、父のストレートの剛毛に、
言いようのない憧れとも嫉妬ともいえる感情を彼は抱き続けていた。
「元彼。お前は、私の子じゃないんだよ。私とお前の母親が知り合った頃、
お前の母親は聖心女学院イチの美貌の持ち主で、東京大学の優等生らと合コン
をしては、彼らを軒並み食いまくっていた売女のようなこざかしい女だったのさ。
そしてお前は、奴の元彼の遺伝子を持った、私とは赤の他人の息子だったわけさ。
それなのに私は、お前の母親の演技に騙されて、結婚しちまったのさ」
「だからって、どうしてこんな名前をつける必要があったんですか!」
「復讐のためさ。お前の母親はお前を産んですぐに亡くなったから、矛先を向ける
相手は、お前しかいなかったというわけさ」
「あなたは……なんて執念深い男なんだ! 見損なったよ。てめえなんぞ、親じゃ
ねえ!」
「それはこっちの台詞だ。お前は赤の他人の息子だからな。それなのに私の庇護下
でたらふくいい思いをしてきた盗人風情が、いまさら私を悪く言うとは笑止な話だ。
恥を知れ!」
「恥はかきまくってきたさ! ふざけるな! 名前を変えてやる! 日本の法律に
は、そういう手段がある!」
「無理さ。私は国家権力をも押さえつけることができる発言権を持っている。お前
は永遠に元彼の息子という宿命を背負って、生涯苦しみ続けるのだ!」
「なんて野郎だ。さすがにあくどい事をし続けて経済界の頂点にのし上がっただけ
のことはあるな。しかし、いまに見ていろ! オレはお前を完膚なきまでに叩きの
めしてみせるからな!」
「口だけは達者だな。お前の母親のじゃじゃ馬っぷりを思い出すよ。まあ、せいぜ
い頑張れよ、若人」

(第2話につづく。。。かも)

3工藤 伸一</b><font color=#FF0000>(lPe6tSdk)</font><b>:2003/01/12(日) 02:09
書きかけ小説002『再生の海と記憶の一夜(仮)』第1話

リストラと離婚という大きなダメージを一度に受けてしまった彼はすっかり人生に
悲観し、まるで抜け殻のようだった。どうにか生きてはいるものの、しばらくクリ
ーニングにも出していないよれたジャケットとプレスのきいていないくちゃくちゃ
のズボンに身を包み、ひと気のない平日昼間の町外れの公園のベンチにひとりたた
ずむ彼の影は薄く、およそ精気といったものの感じられない、生きた死人のようだ
った。
40過ぎで何の資格も持っていない彼を雇ってくれる殊勝な企業はどこにもなく、
あてのない就職活動の期間は失業保険料の給付期間をとうに過ぎていて、なけなし
の小銭をはたいて買ってきたワンカップ大関5本を一気に飲み干して、彼は最後の
行動を開始しようとベンチから腰を上げた。
「どんな死に方がいちばん楽かな……」
歩き続けていた彼は、駅のホームに彼が大学に通うために使っていた江ノ島線
の電車が止まっていることに気付くなり、最後にこれに乗ろうと決めた。
江ノ島線は、別れた奥さんと初めて出会った思い出の場所でもあったのだ。
「あの頃は、本当に幸せだったな……」
彼は電車に揺られながら、遠い青春時代の思い出に浸っていた。
「そういえばあの頃、オレは妻の他にもうひとり彼女がいて、二股かけてたんだっ
け……」
彼はモテモテだった頃の自分の姿と、そろそろ抜け毛や加齢臭さえ気にしなくては
ならなく なった今の体たらくとを比べてみて、さらに落ち込んでしまった。
「やっぱ、生きててもしょうがないな」
江ノ島に着いた彼は、はるか真下に真冬の荒波が広がる断崖絶壁の前に立ち、靴を
脱ぎ、 横に揃えておいた。遺書を残そうかとも考えたが、どうせ財産も何もないの
だし、別れた 妻が悲しむとも思えなかったので、それはやめにした。両親はすでに
亡くなっており、子供 もいない彼には、この世に思い残す事など、もう何一つとし
て残されていなかったのだ。
そして彼が心を決めてダイブしようとしたそのとき、強風に煽られて飛んできた何か
に目を ふさがられてタイミングを逃してしまい、彼はその場に倒れこんで岩場にし
りもちをついた。
「あいててて……なんて固い岩場だ。痔になりそうだよ」
といってみてから彼は、これから死のうとしているというのに痔の心配なんかして
いる自分 の馬鹿さ加減に気が付いて、思わず苦笑を漏らした。そしてすぐ側に落ち
ていた、ついさっ き彼の顔に覆いかぶさってきたものに目をやった。
それは麦藁帽子だった。
「どうしてこんなものが……」
真冬の海岸に麦藁帽子という取り合わせは、どうにも奇妙なものだ。周りを見渡し
てみたが、 誰も見当たらない。手にとってよく見てみると、しばらく野ざらしにさ
れて汚れがしみこんで いる様が見てとれた。これは多分、夏場の観光客が忘れてい
ったものが岩場のどこかにひっか かっていたのだろうと、彼は推測した。
「まてよ……断崖絶壁と麦藁帽子だって……?」
彼はその取り合わせにまつわる、ある気がかりな記憶があったことを思い出しつつ
あった。
「そうだ、妻と二股をかけていたもうひとりの彼女の洋子だ。学生時代、あいつと
ここに 来た事があった。そのとき洋子は、麦藁帽子を被っていた」
しかし彼はその時も泥酔していたし、いまも酔っていて、それ以上のことはなかなか
思い出せそうになかった。そんなことよりも、今はとにかく、死ぬ事が先決なのだ。
いやしかし、 死んでしまっては物も考えられなくなる。そう思い直した彼は、もう
しばらく記憶の糸をた ぐりよせてみてから、すっきりとした心持で死んでいこうと
考えた。
「……そういえば、あの日以来、洋子には会っていない……」
彼は自分の中にこれまで隠蔽されてきた、ある嫌な出来事の記憶があったことを思
い出しつつあった。

(第2話につづく。。。はず)

4工藤伸一</b><font color=#FF0000>(lPe6tSdk)</font><b>:2003/02/08(土) 15:27
『貧乏殺人事件』……「金が欲しかったから」という理由だけで殺人者となった男の生涯を描く不条理ミステリ。
『氷点下殺人事件』……「部屋が寒かったから」という理由だけで殺人者となった男の生涯を描く不条理ミステリ。
『風呂嫌い殺人事件』……「風呂が嫌いだから」という理由だけで殺人者となった男の生涯を描く不条理ミステリ。
『潔癖症殺人事件』……「不潔が嫌いだから」という理由だけで殺人者となった女の生涯を描く不条理ミステリ。
『好奇心殺人事件』……興味本位だけで殺人者となった男の生涯を描く不条理ミステリ。
『ナンセンス殺人事件』……何の理由もなく殺人者となった男の生涯を描く不条理ミステリ。
『殺人事件』……殺人者となった男の生涯を描くミステリ。あとは普通。

5工藤伸一</b><font color=#FF0000>(lPe6tSdk)</font><b>:2003/02/08(土) 15:27
『ブックオフでファックオフ殺人事件』
『買ってはいけない殺人事件』
『勝手はいけない殺人事件』
『正常位殺人事件』
『UV遮断美白ブーム殺人事件』
『しっとりお肌殺人事件』
『すべすべボディー殺人事件』
『爆乳殺人事件』
『駅弁ファック殺人事件』
『まんぐりがえし殺人事件』
『生足ヘソ出し中出し事件』

6工藤伸一</b><font color=#FF0000>(lPe6tSdk)</font><b>:2003/02/12(水) 03:55

『約束』

待ち合わせ時間を30分過ぎてもいっこうに姿を見せない健一に痺れを切らした
百合子は、健一に電話を入れた。
「健ちゃん、何してるのよ?」
「ごめん、仕事でトラぶっちゃって。あと10分だけ、待っててくれよ」
「来なくていいよ。もう帰るから」
「そんな! 1ヶ月ぶりのデートだっていうのに」
「いつもそうじゃないの! 待ってる方の身にもなってよ!」
「じゃあさ、百合子が前から欲しがってた指輪買ってあげるから、待っててくれよ。ダメかな?」
「わかった。そういうことなら待っててあげる」
「そうか、ありがとう」
「そのかわり、絶対に指輪買ってね」
そして10分後、健一が待ち合わせ場所に着くなり百合子は宝石店に入り指輪を購入した。
「誕生日でもないのにこんな高いの買ってくれるなんて。ありがとう、健一!」
「まあ約束だったしな。しょうがない。喜んでくれて嬉しいよ。さて食事にでも行こうか?」
「食事? ひとりでするからいいわ。さようなら」
「え? どういうことだよ?」
「帰るのよ。毎回デートの度に待たされてたんじゃ不公平だし」
「待っててくれるかわりに指輪買ってあげたんじゃないか! 約束が違うよ」
「違わないわよ。10分待つとは言ったけど、デートするとは言ってないもの。じゃあね」

7工藤伸一</b><font color=#FF0000>(lPe6tSdk)</font><b>:2003/02/12(水) 03:56

『さようなら、玩具たち』

--あらすじ--
大人になったから玩具は捨てなくちゃ、なんて思っていたユヅキだったが、
大人になったらなったで「大人の玩具」が必要になることをゲンイチロウ
さんに教えられてカルチャー・ショック、オモチャー・ショック。

8工藤伸一</b><font color=#FF0000>(lPe6tSdk)</font><b>:2003/02/12(水) 03:58
『俺の歌を聴け』『1973年のダンボール』
(タイトルの作者は他の人です。あらすじだけ僕です)

--あらすじ--
1作目でロックスターを夢見てギター片手に上京した主人公は、
人に騙されたりカマを掘られたりして都会の荒波に揉まれるうちに落ちぶれてゆく。
時は移り、1973年の新宿を舞台とした2作目では、すっかり路上生活者としての
貫禄も増し、いまでは「ネズミ」と呼ばれて浮浪者仲間に愛されている。

9工藤伸一</b><font color=#FF0000>(lPe6tSdk)</font><b>:2003/02/12(水) 03:59

『ねじめ正一アタマニクル』

--あらすじ--
性懲りもなく何度も『詩のボクシング』対決を挑んでは
谷川俊太郎の返り討ちに遭っているねじめ正一。格が違うんだってば。

10工藤伸一</b><font color=#FF0000>(lPe6tSdk)</font><b>:2003/02/12(水) 04:00

『男子・男子・男子』

--あらすじ--
男だらけの男子校の青春物語。って単なるヤオイ小説か。

11工藤伸一</b><font color=#FF0000>(lPe6tSdk)</font><b>:2003/02/12(水) 04:00

『もし僕らのことばが精液であったなら』

--あらすじ--
男性と会話しただけで妊娠してしまう近未来。
饒舌な男はすなわち絶倫で、寡黙な男は夢精子なのだ。
女性たちは決して夫や恋人以外の男性とは口をきかない。
テレビや電話で聞く分には大丈夫なので、直接は会話できない
ものの何らかの媒体を通じてのみの夫や恋人以外の男性との言葉を聞く。
しかし直接の会話を望む男性もいて、彼らはパイプカットならぬ
声帯カットの手術を行うことによって電子音で会話する。

12工藤伸一</b><font color=#FF0000>(lPe6tSdk)</font><b>:2003/02/12(水) 04:01

『もし僕らのことばがブコウスキーであったなら』

--あらすじ--
誰もかれもがブコウスキーになってしまった近未来。
みんな酒びたりで口が悪くいい加減。無政府主義のサイバーパンク。

13工藤伸一</b><font color=#FF0000>(lPe6tSdk)</font><b>:2003/02/12(水) 04:02

『執事がめくるスカート』

--あらすじ--
あたし、困ってるんです。
執事がこんなにいやらしいだなんて。
いつもスカートをめくってくるんです。
でも執事の懇願するような悲しげな目にほだされて
抵抗する気をなくしてしまうので、されるがままにしていたんです。
それでも最初は、どうせ下着を見られるだけだしと思って、あきらめていたんです。
それが甘かったんですね。
あたしが抵抗しないことに味をしめた執事の要求は日に日にエスカレートして
いって、ついに屋敷中に雷鳴がとどろく豪雨のさなか、思い出すのも忌まわしい、
あの事件が起きてしまったのです。

14工藤伸一</b><font color=#FF0000>(lPe6tSdk)</font><b>:2003/02/12(水) 04:03

『世界の始まりとハーレクイン・ロマンス』

--あらすじ--
アダムとイブが禁断の木の実を食べて楽園を追放されてからの後日談と
倦怠期でセックスレスの夫婦生活を持て余している主婦のよろめき談義
という2つの物語が交錯しつつ織り成された良質ポルノ・エンタテインメント。
てゆうか渡辺淳一の『失楽園』に限りなく近い話になってしまいそうです。

15工藤伸一</b><font color=#FF0000>(lPe6tSdk)</font><b>:2003/02/12(水) 04:06

『老人と膿』

--あらすじ--
奇病にかかってしまった老人の体中の皺の間から大量の膿が染み出してくる話。

16工藤伸一</b><font color=#FF0000>(lPe6tSdk)</font><b>:2003/03/31(月) 00:52
魔群の血脈・第1話

わが紅堂家に嫁いで間もない新妻の優子が初のお産を終えたのは、雲ひとつ見当たらぬ新月の闇夜のことであった。
家主である私・輔乃伸は居茶聞(いちゃもん)名義で芽が出始めたばかりの新進小説家として連載原稿の執筆に追われながらも病院に馳せ参じ、分娩室前の廊下で今か今かと事の次第を案じていた。
愛妻が分娩室に入ってから数時間が経過しているにもかかわらず、赤ん坊の泣き声が聞える気配はなかった。
様子を見かねて分娩室に飛び込んだ輔乃伸が目の当たりにしたのは、既に生れ落ちていながらもぴくりとも動かない血まみれのわが子の姿と、放心状態の妻の姿。
死産であった。
私は苦渋の心持をひた隠しながら大役を成し遂げたばかりの艶やかな・しかし不安げな表情をした・まだ幼さの残る妻の美しい顔をしげしげと見つめながら、大げさにつくりわらいをしてみせた。
麻酔注射を打たれていた妻は、私の手を握りながら眠りに落ちた。
遺体はそのまま霊安室に運ばれ、医師の話では今後われわれ夫婦がわが子と対面する事はないとの事だ。
幸い妻はわが子の無残な姿を見ることはなかったが、私の脳裏に深く刻み込まれたその姿は、毎夜私を悪夢に誘うようになった。
傍らに眠る物言わぬわが子の顔の中心には目がひとつしかなく、手足の指はそれぞれ3本ずつしかなかった。
あれ以来、妻の笑顔を見ることはなかった。
どうにかしてやりたいが、私にはどうする術も考え付かなかった。

魔群の血脈・第2話

そんなある日のこと、書斎の床にうずくまる小さな生き物に気付いた。
その姿を見て、私は仰天した。
それは赤ん坊だった。
しかも顔の中心に目がひとつ、手足の指が3本ずつしかないその姿は、
まさに分娩室で見かけたわが子の遺体そのままだった。
しかし今、それは遺体ではなく、まさしく四つんばいになって書斎の中を蠢きながら、私に笑いかけているのだ。
死んだはずのわが子が、病院を抜け出して父の元へとやって来たのか?
手首に手を当てて脈をとってみたが、反応がない。
胸に頬を密着させてみても、命の鼓動を感じることはできなかった。
病院からの電話で、わが子の遺体がなくなったことを知らされた。
おそろしさより以前に、沸き起こる父親としてのわが子への慈愛が私の心を覆っていた。
私は病院には隠したまま、この子を育てようと思った。
妻にも内緒にしておかなくてはいけない。
ある程度の年齢になったら整形手術でも受けさせてやろうと思い、書斎で隠れて育てる事にした。
幸い、私が執筆に追われている間中は、誰も書斎を訪れることはない。
気が散らぬようにと防音の効いた書斎の外には、一切の音が聞えないようになっている。

魔群の血脈・第3話

最初の異変に気が付いたのは、死んだはずのわが子が1歳の誕生日を迎えた日の夕方だった。
闇夜にどこからともなく書斎に忍び込んできた妖怪のような連中が、わが子とともに遊ぶようになった。
私は恐ろしさのあまり、狸寝入りのまま薄目を開けてその姿を毎夜つぶさに観察していた。
彼らはみな子供のようだが、わが子同様に皆が皆、それぞれに面妖な姿をしている奇形児ばかり。
そして妙に古びた旧時代の衣服を身に纏っているのだ。
言葉を覚え始めたわが子と親しげに話す言葉の内容から、聞いた事もない集落の名前が聞いて取れた。
文献を漁って調べてみたところ、東北地方にかつて存在し、今ではダムが建設されて水没してしまった村だ。
さらにその村に関する文献を漁り続けているうちに、生き残りの村民達が一斉に移り住んだという集落を突き止めることが出来た。
ついでにと思って妻と自分の先祖を遡ってみたところ、2人に共通の集落出身の先祖がいることさえわかった。
それはまさに、その村だった。
死んだはずのわが子がここへやってきた理由と、夜ごとの奇妙な宴の理由を知る鍵がそこにあると思った。
妻を里帰りさせた後、覆面をさせたわが子を連れて、旅に出た。
生き残りの村民たちの住む集落を求めて。

17工藤伸一</b><font color=#FF0000>(lPe6tSdk)</font><b>:2003/04/19(土) 07:04

『寝坊の春』

春眠暁を覚えずとはよく言ったもので入ったばかりの大学サークル主催の
花見にも行かずに気持ちのいいふかふか蒲団のなかでうとうとし続けていたら
急に寒気を感じて窓の外に目をやると一面の銀世界。この季節に東京に積雪
だなんてそんな馬鹿なと思ってNHKをつけてみたら、『紅白歌合戦』の真っ最
中だった。どういうことだろうと思いながらも実家に電話してみたら、母親が
電話口で泣き出してしまった。そしてしばらくしてから思い直したようにして
切り出した。
「タクヤ、よく電話してくれたねえ。今はもう、大晦日なんだよ。
お前が大学に入学してから、半年以上経ってしまったというのに、お前にとっては
そうじゃないんだね。そっちでは、どんな暮らしをしているんだい?」
どういうことか要領がつかめないので、
「普通に暮らしてるけど、半年経ったって、一体どういうこと?」
と問い質してみたところ、またしばらくの沈黙の後に、母はこう告げた。
「タクヤ、お前が入学してすぐの頃に、お前の下宿先で火事があって、
お前は亡くなってしまったんだよ。今、どこにいるのかわからないのかい?」
あまりに唐突な話に、「そんな馬鹿な」と言いながら部屋の中を見回して
いるうちにテレビや勉強机や本棚といった家財道具が部屋の壁に吸い込まれ
ていくようにどんどん消えていき、そのうち壁や天井までもが見えなくなり、
深夜の積雪のうえに立ち尽くした僕の視界には次第に外の景色さえも判別でき
なくなって、最終的に何もない闇の中に放り出されてしまっていた。
手に握っていたはずの携帯電話の感覚もなく、そもそもおよそ身体の感覚と
いえるものが一切感じられなくなっていた。
「僕は、死んでいたのか」
そうつぶやいたつもりの自分の声も聞き取れないまま急に意識は途切れ、

18工藤伸一</b><font color=#FF0000>(lPe6tSdk)</font><b>:2003/04/19(土) 09:39

『小説』

今更になってやっと気が付いたのです。私は「小説を書きたかった」わけではなかっ
たのです。私はずっと「小説になりたかった」のです。そのことに気が付いた私は実
に晴れ晴れとした気分で黒ビールを煽りながら、香ばしい焙煎ニンニクをつまみまし
た。まるでドイツ人にでもなったかのようにして、女だてらに腋毛はボーボーです。
そこへ「あの男」が性懲りもなく姿を現し、纏め買いしてきた6本目のビールを喉に
流し込んだばかりで酔い潰れてしまってふらふらの私のムチムチした太腿をムリクリ
開いて「クンニ」をしてきました。いつもにも増してあきれ返るほどの超絶舌技テク
ニークです。しかし私は太腿に力を込めて男の頸を絞め、応戦しました。その甲斐あ
って男は死にました。ビールが切れたので、近所のコンビニに買いに行くことにしま
した。すると新入りの小生意気な鼻ピアスをした店員さんが私の顔をまじまじと見つ
めながら、「ああ! あなた、小説に出てる人ですよね? アリの穴で読みましたよ。
こんなところで会えるだなんて光栄だなあ」なんてちょこざいな台詞を口にしたので
ポケットを叩いてビスケットが2つになるトリックを用いて月の裏側に漂っているNA
SAの忍者的ハットトリックで忍忍。地球が真っ二つに割れてご開帳! 哀れ私は性の
肉奴隷となってまったのです。そのことがきっかけでイケメンのジョンと結ばれて、
今に至ります。子供の名前はまだ決めてませんが、とりあえずビル・ゲイツにあやか
ってロドリゲスかチチョリーノにしようとたくらんでいます。皆さんも、小説には気
をつけたほうがいいですよ。ではまた!

2003/04/14(月) 00:17 公開

19宮本 </b><font color=#FF0000>(u5lM5bao)</font><b>:2004/05/03(月) 06:14
>>2
江口寿史っぽくて好き。

20sage:2004/05/10(月) 23:16
「蹴りたい野中」「亀にピアス」お願いします。

21工藤伸一 </b><font color=#FF0000>(lPe6tSdk)</font><b>:2004/05/24(月) 02:21
>>20
最近の政治のことはよくわかりませんもので
どうにもご期待には添えそうもありません。

22工藤伸一 </b><font color=#FF0000>(lPe6tSdk)</font><b>:2004/05/24(月) 02:23
>>19
いい加減に書いたつもりでしたが、気に入って戴けて光栄です。
そういえば江口寿史はミュージシャンが出てくる漫画をよく描いてましたね。
岡村靖幸が出ていたりするのが面白かったです。佐野元春も出てましたでしょうか?

23宮本 </b><font color=#FF0000>(u5lM5bao)</font><b>:2004/05/24(月) 21:01
岡村ちゃん、YMO、石野真子、本田恭章もどきとか出てましたね。

24工藤伸一 </b><font color=#FF0000>(lPe6tSdk)</font><b>:2004/06/02(水) 03:25
>>23
時代を感じさせるラインナップですね。
岡村靖幸はかなりハマってました。

25宮本 </b><font color=#FF0000>(u5lM5bao)</font><b>:2004/06/11(金) 19:56
岡村ちゃんは今でも好きです。プリンスの影響を受けた曲もいいけど、『だいすき』『パラシュートガール』『ベジタブル』みたいなコテコテのベタポップスがめちゃ好き。

26工藤伸一 </b><font color=#FF0000>(lPe6tSdk)</font><b>:2004/06/13(日) 15:12

夢日記021019・炎を飼う男・良純(上)

天気がいいので駅前までぶらぶらと散歩をすることにした。
そして本でも買いに行こうと思いつき、電車に乗ってとある駅で降りた。
実はそこの駅前にある古本屋には、先月、日雇いバイトの帰り道に一度だけ立ち寄ったことがあって、前からほしかった本が売っていたのだが、いかんせん家から遠いうえにそれからは用事で降りることもなかったため、久しぶりに訪れたのだ。
運悪く、その本は売切れてしまっていた。
残念無念。
しかしまあ、こういうものだ。
めったに見かけない古本との出会いは、一期一会というしね。
うぶい本を見つけたら借金してでも即買いせよ、というのが古本蒐集家の鉄則だ。
石原慎太郎の「わが人生の時のとき」を何となく手にとってみた。
文芸評論家の福田和也氏が「作家の値打ち」というプロ作家の著作に点数をつけて評価すると言う前代未聞の文芸批評本があるが、その本のなかで、『世界文学レベルの名作』という評価に値する90点以上の点数を獲得した数少ない作品のうちのうちのひとつである。
ちなみに余談だが、その本の中では僕が敬愛する作家・高橋源一郎のデビュー作『さようなら、ギャングたち』も90点以上の評価だ。取り上げられた400冊あまりの現代日本作家の作品の中からよりすぐられたほんの10冊程度の頂点に位置する作品のなかに、源一郎を入れるなんて、福田和也ってなかなかするどいなと思った。
こんなことを言ってると、作家ワナビー風情が何を偉そうに語ってやがる、なんて批判を受けそうだけど。
そうえいえば、このあたりには石原家があると聞いたな、とふと思っていたところ、さっきから店内で片岡義男の本ばかり物色している男の顔がはっきりと見えた。
石原良純だった。
気象予報士もやってる、タレントの。
「あ、おじさんの本だ」
僕が「わが人生の時のとき」を手にしているのに気づいて、彼は話しかけてきた。
「ええ、まあ」
「うちに遊びに来ませんか?」
「実は、ペットを飼ってるんだ」
「それで?」
「君にせひとも見せたいんだ」
「そうなんですか」
どうせ暇だしと思い、話を受けることにした。
ところでどうして僕なんかが招待されるのか、不思議に思うよね?
だけどそれは簡単なからくりなんだ。
しょうもない話だが、実はこれは夢のなかの出来事なのである。
だから何でもありだ。
それにしても都合のいい話だな。
僕がそんなに有名である理由なら、夢にでも聞いてやってくれ。
僕の知ったことではない。
有名になりたいと言う願望の表われなんだろうって?
しかしだからってなぜ石原良純なんだ。
これだから夢ってやつはわけがわからない。
まあどうせ暇だし。
それはさておき僕はこうして石原宅におじゃますることになった。
もしかすると石原軍団に入りたい潜在願望があるのかな?
まあそれはこの際どっちでもいいので、話を先に続けよう。

27工藤伸一 </b><font color=#FF0000>(lPe6tSdk)</font><b>:2004/06/13(日) 15:13
夢日記021019・炎を飼う男・良純(下)

買う気はなかったのだが、棚に戻しづらい雰囲気だったので、そのままレジ彼の後ろに並んだ。
炎がゆらゆらと揺れている。
灰皿代わりにしてくれというので、吸いきった煙草を炎の中に投げ込んだら、炎が天井に届きそうなくらいに大きくなったので、腰が抜けそうになった。
まじでやばいでしょ、これ。
「ああ、この部屋の天井は耐熱加工を施してあるから、安心してくれよ」
と良純はこともなげに言った。
「それよりちょっと、一服が済んだんなら、手伝ってほしいことがあるんだ」
「いいですよ」
おばあさんの部屋の入り口ぎりぎりで、大きなつぼだから2人がかりじゃないと運べないと言うのだ。
こんなものが置いてあるなんて、やっぱり有名な家は違うな。
さすが石原軍団。
てゆうか都知事の実家だし。
石原家の人々、すごいもんだよね。
消したら飼ってることにならないでしょう?
まあそうですね
僕がよろけた隙に、さっき買った本が炎の中に吸い込まれた。
本は見る間に黒焦げになって灰と化し、瞬く間もなく原型も崩れていって、見えなくなってしまった。
「うあちゃ〜なんてこった」
「困りましたね。どうしましょう?」
「焚書しちゃったよ。おじさんには言えないな」
「そうですよね」
「すまん、後で埋め合わせするから」
「はい」
しかしどうにもさっきから焦げ臭くてかなわない。
本当にこれ、大丈夫なのかな?
こんな危険な思いをしてまでも炎を飼う必要があるのだろうか。
聞いてみたら、実はこれ、東京オリンピックの時の聖火の一部だという。
若かりし頃の石原慎太郎が聖火ランナーに近づいて、聖火で煙草に火をつけ、それを持ち帰ってきたんだそうだ。
そんな前から飼ってたのか!
僕はそれを知って、ちょっとその炎が可愛く思えてきているのを感じていた。
だけどそんな大切なものなら、灰皿代わりになんかするなよとも思ったが、それは言わないでいた。
もともと煙草に付けて持ち帰ったものだからオッケーってことなのかな?
よくわかんないから、そういうことにしとけばいいや。
「なんなら、分けてあげるよ」
「本当ですか?」
「そのかわりさっきの件はおじさんには内緒にしててくれよな」
「はい。だいじょうぶですよ」
僕はそれを承諾し、炎を移してくれたトーチを持って石原宅を後にした。
トーチってのは、自由の女神が右手に掲げてるやつのことね。
ほら、オリンピックの前に、それを持って聖火ランナーが会場まで走るでしょ?
そしてなんだか僕は急に英雄にでもなったかのようなハッピーな心持になり、炎を載せたトーチを持って全速力で走り出した。
はるか昔のオリンピアの英雄に思いを馳せながら、僕はすっかりその彼になりきって、走り続けていた。
その時、思いもよらないことが起きた。
突然の雨。
炎は消えてしまった。
なんだよ、天気予報、はずれじゃねえか。
良純のやろう、とんだくわせものだな。
僕は途端に何もかもがばからしくなってきて、火の消えたトーチを何の惜しげもなく駅前にあったペットボトル用のゴミ箱の中に投げ捨てて、駅の改札をくぐった。

28工藤伸一 </b><font color=#FF0000>(lPe6tSdk)</font><b>:2004/06/13(日) 15:16
【六月のドライアイ】  工藤 伸一

 この季節の乾燥した横風に吹かれていると、やけに目が乾いて、無性に涙がこぼれてくる。
少なくとも悲しみの自覚があるわけじゃないのに、表層的には何かを泣いているかのように思われてしまいそうなので、それが堪らなく辛いのである。
 それにその事とは直接の関係はないのだけれども、各種画廊や風俗店などの客引きがしきりに声を掛けてくるこの街では、いちいちそれら全ての誘いに対応しているわけにもいかず、結果的に誰しもがクールにならざるを得ない。
 別に誰も皆そうしたくてそうしているわけではなく、そうしないとこの都会で生きてはゆけないから仕方なくそうしているだけなのだが、今こうしてドライアイのために両瞼を瞬たたせながら歩いている時に、彼らの心ない誘いの声を無情の体にて無視している様は、まるで悲劇の最なかにある当事者の狼狽しているそぶりに似通っていて、自分でもいつも通りの自然な素行だと考えることが出来ないのだ。
 それともこんな事を考えてしまうのは、僕の涙の原因が実は乾燥した空気のせいなんかではなく、自分でも気が付いていない何らかの悲しみに拠るということを、体が勘付いているからだったりするのだろうか?
 車の急ブレーキの音に驚いて、僕ははっと我に帰った。
 いつのまにか赤信号に変わっていた事に気づかぬままに、横断歩道を渡ってしまっていたのだ。
 そういえば、僕の悲しみには、思い当たる節がないことはなかった。 
 そう、あれは今からちょうど半年ほど前のことだ。 
 クリスマスを間近に控えて浮かれている世間を尻目に、僕は文芸誌の新人賞応募用の小説の執筆に追われていた。
 ぼくはデートの約束をほったらかしにしたまま、部屋にひきこもって小説を書き上げたのだ。
 彼女の訃報を知ったのは、松の内を過ぎてからだった。
 僕は結局、線香をあげにも行かなかった。
 そして今月になって、あの時必死で書き上げた小説が一次選考も通ることなく落選していたことを知った。
 僕は一体、何をしたかったというのだろう。
 そしてどこへ向かおうとしているのか。
 六月のドライアイに気をとられながら僕は、いつのまにか見知らぬ場所に立っていた。
 ここはどこなんだろう?
 なんてまるで、「ノルウェイの森」の主人公みたいだな。
 しかしそれにしても、周りを見渡してみても、さっきまでのような雑踏すら見当たらない。
 そしてふと気がついた。
 急ブレーキの音を聞いて以降、僕は何をしていたのか、一切の記憶がないということに。
 遠くから、あのコの呼ぶ声が聞こえてくる。
 そうか、僕は死んでしまったのか。
 ここにはもう、新人賞の選考も、大切な人を失う悲しみも、そしてドライアイも存在しない。
 僕はとうとう、決して崩れることのない幸せを手に入れたのだ。
 僕は「ごめんね」と謝って、彼女と手をつないで歩き出した。(了)

29工藤伸一 </b><font color=#FF0000>(lPe6tSdk)</font><b>:2004/06/13(日) 15:26
ショートショート・人生中毒

 私が運営している『中毒治療室』にやってきた本日の最後の客は、
 きれいな顔をした、20歳くらいの青年だった。
「あの、ここに来れば、どんなものでもやめられるって本当ですか?」
「はいはい、本当ですとも。酒でも煙草でもオナニーでも、たちどころにして
 嫌気がさすようになります。しかもその効果は、半永久的に持続するのですよ」
 私はいつもどおりの宣伝文句を口にした。
「そうですか。でしたら、ぜひともお願いしたいんですが」
「わかりましたわかりました。それで、あなたがおやめになりたいのはどのような
ものですか?」
「ええ、実は……」
「言いにくいことなんですか?」
「まあ、そうですね」
「わかりますわかります、そういう方はよくいらっしゃいますよ。この前もさる
著名な方がなんと、結婚するためにロリコンをやめたいとのことでいらっしゃい
まして、そのときも言いよどまれてましたからね。私どももこういう商売を始めて
からもう結構たってますから、たいていのことでは驚きませんし、ましてや馬鹿に
するなんてことは絶対にありません。ですから遠慮せずに、何なりとおっしゃって
ください」
「実は、人生をやめたいんです」
「ほおほお、そうですか、人生ですか……って、えっ? ちょっとそれは、おどろ
きましたね。一体、どういうことなんでしょう?」
「ですから、僕は多分、人生中毒だと思うんです。それを治療してほしいんです」
「これはまたけったいなことをおっしゃる方ですね。人生中毒なんて聞いたこと
がありません」
「つまり、生きたくて生きたくてしょうがないんです。ですから何とかしてください」
「しかしですね、それはぜんぜんおかしなことではありませんよ? 生きたいという
欲求は、人間としていたって正常なものですよ。それのどこが気に入らないと
おっしゃるのですか?」
「とにかく、このままでは困るんです。何でも治せるんじゃなかったんですか?」
「そうですね、確かにそれは、そのとおりです。……かしこまりました、治して
差し上げましょう」
 こうして私は人生中毒の治療を行い、それは無事に終了した。
「どうですか、お加減は」
「はい。何の中毒だったのかさえ、思い出せません」
「それはよかったです。また何かあればお力になりますよ。では、お気をつけて
お帰りなさいませ」
「ありがとうございました」
 男は帰っていった。
「いやはや、どうにかなってよかった」
 私が一服していると、ここの受付嬢が話しかけてきた。
「先生、ちょっと」
「おお、なんだね?」
「……さっきの患者さん、わたし知ってますよ」
「そうなのかね? まったく変な患者だったよ。知り合いかね?」
「いえ、そうじゃなくて、有名人です」
「そうだったのか? いや〜私はどうも世相には疎くてね。それで何者なのかな?」
「はい。映画俳優さんです」
「そうだったのか。サインでももらっときゃよかった。人気がある人なのか?」
「はい。30年程前に青春映画で活躍されてました」
「ほお。30年前ねえ。ずいぶんと芸暦の長い人なんだな。……ん? しかし、
それにしては外見が若すぎやしないか? せいぜい20歳そこそこにしか見え
なかったぞ」
「ええ、生きていれば還暦くらいだったはずです」
「……生きていれば、だって? それはどういうことだ?」
「はい、実はその人、20歳の時に撮影中の不慮の事故で亡くなってるはず
なんです」
「……じゃあ、あれは幽霊だとでもいうのか?」
「そうとしか考えられませんね」
「そうか、……だとすると、私はとんでもないことをしてしまった」
「どうされたんですか?」
「うむ。実はあの男が、人生をやめたいだなんて妙なことを言っていたもので、
ついつい」
「ついつい?」
「機転を利かせて、逆に『人生をやめたいと思い込む中毒』を、治療してしまった
んだよ」
「……そうすると?」
「多分、あの幽霊は、成仏できなくなってしまっただろうな。半永久的に……」

30工藤伸一 </b><font color=#FF0000>(lPe6tSdk)</font><b>:2004/06/13(日) 16:06

ショートショート『普通の男』

彼は普通でありたいと願い、全ての平均値を算出し、それに沿って生きた。
そして彼は平均的な死因である病気にかかるようにうまく計算し、
見事に平均寿命きっかりで死んだ。

遺族達は、「変な人だった」と口々に言うのだった。

31秘するが花:秘するが花
秘するが花


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