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企画リレー小説スレッド

67 第1回8番(VIII) :2008/03/10(月) 00:49:56
 それとは逆に、あまり悠長に考えていられない問題もある。たとえば、遺産の使い道がそれだ。
「というわけで、あなたが出資してくれないとこの研究所の活動は存続できません。どうか出資をよろしくお願いします」
「どうして揉み手ですか」
「いやもう、だってね、君が目を覚まさなければ研究が潰れると言うから必死であの手この手尽くしてきたわけだが、そもそも君が出資を許可してくれなければどうにもならないことを失念していたのだよ。こればかりは何も考えがなくてね、私としてはもうこの通り、頭を下げながら手なり肩なり揉むくらいしか方法がないわけだ。げっへっへ、頼みますよぅお嬢様ぁ」
「そっか、私って今すごく偉いんですね」
「き、君! 権限の強さと人間性の高さを取り違えるようになったら人として終わりだぞ!」
「えー」
 もちろん研究所には引き続き出資することにした。私がひとつの世界を夢見たように、人間の精神は仮想宇宙を丸ごとひとつシミュレートするほどのポテンシャルといい加減さがあって、この研究を押し進めることにより人類は新たなステージにうんぬんかんぬん。なんだかよく分からないけれど、面白そうな話ではある。そのついでに、当面の私の後見をヘリステラさんにお願いすることにした。
「いいのかい? 私は君を騙すかもしれないよ?」
「いいですよ。騙されることはありそうですけど、裏切られることはなさそうです」
 騙された方がよいときというのはありうる。または、その人の判断が決定的に誤っていて、しかも説得の余地がないようなとき、横っ面をひっぱたいてでも押し止めた方がいいことというのはあるうるのだ。自分の考えを正さずに、ただ行動だけを正して欲しいと他人に期待するのは甘えだけれど、あのときの私は結局その甘えに頼っていた。そんな甘えを兄によって諭されて、それでも私はまた逃げ出して、夢の中に閉じこもった。
 こんなところに隠れていたら、もう誰も助けになんて来てくれない。そう諦めてひたすらぐずぐずしていた私を、けれど探し当ててくれた人がいた。彼はヘリステラさんの助手をしていて、名前をデフォンさんという。


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