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64 第1回8番(20)時空刑事ナプラサフラス :2008/03/10(月) 00:39:08
「やれやれ、今日は本当に騒ぎが絶えないな」
 アルスタが刑事たちの隣に立つ。傍にクリスを連れていた。事件の渦中にいた割に、体調には問題はないらしい。眼を爛々と輝かせながら空の竜を凝視している。子供らしい好奇心といった感じで、そこに昨日までの陰はない。
「ファーゾナーは、行ってしまった。本当はエル・ア・フィリスという名だったらしいが」
「もう一度クリスとちゃんと礼が言いたかったのだが、仕方ないな。我が一族は千年もの間あれを仇と思い続け、憎んできた。そのことも謝りたかった」
「それよりも、あんたのかわいい妹が元気なことに感謝するといい。そこの刑事にもな」
「そうします。しかし、彼は職務の遂行で頭がいっぱいのようだ」
「ああ、まったく多忙な男だな」
 刑事は遂にきれてしまったようだった。なんとかして天に昇ろうと、しきりにぴょんぴょん飛び跳ねている。お礼を言おうとクリスがさっきからずっとタイミングを見計らっているのだが、隙がどこにも見当たらない。
「やいやいてめえら、そんな高いところにいるからって、俺が見過ごすと思うなよ! すぐにそっちに行くからな! 動くな、フリーズ! アイキャンフライ!」
 突然、刑事の身体に青い金属体が纏わりついた。刑事が宝陣の戦いで打ち破った『石板』エクリオベルクが、刑事を主と認めて寄って来たのだ。
「金属に好かれたか。酔狂な男だ」
「おお、お前が協力してくれるんだな。よしよし、いい子だ。じゃあ一丁、あの迷惑な連中のとこまで連れてってくれよ」
 頷くように金属身をくねらせて、エクリオベルクが刑事の身体を下から包み込む。魔法の絨毯、あるいは魔法の金属風呂敷といった風情である。
「よっしゃあ、行くぜ、待ってやがれよ! 北方警察の恐ろしさ、目にもの見せてやるからな!」
 それだけ言って、刑事はあっという間に飛び去った。慌てたクリスがその後を追うように前へ駆け、大きく大きく頭を下げる。
「ありがとう、ございました!」
 それに気づいたのか何なのか、あるいは刑事は気付かずとも風呂敷の方が気を利かせたか、青い影が手を振るように小さく揺れた。それを最後に、影はいよいよ加速する。そしてあっという間に見えなくなり、この世界に生み落とされた小さな矛盾は天に吸い込まれて消えた。


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