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61 第1回8番(17)時空刑事ナプラサフラス :2008/03/10(月) 00:30:46
「そこまでだっ! これ以上無駄な血を流すんじゃないっ!」
 寝言と共に飛び起きた刑事を、皆が凝視した。
「うむっ! これは一体どうしたことだ!」
 アルスタの館、玄関前の大広間。刑事は召使に介抱されていた。周りには負傷した勇士たちが立ったり座ったり寝たりしており、それぞれに治療を受けている。その彼らの視線が、刑事一人に注がれていた。
「お目覚めですか。あなたの協力のおかげで、我々の一族は祖神アルセスの呪縛から解き放たれました。感謝いたします」
 昨晩とは打って変わった、アルスタの慇懃な態度だった。しかし刑事は事態がよく飲み込めていないらしい。宝陣の戦いに参加したのもなかば巻き込まれ乱入といった形だったし、詳しいことは何ひとつ知らないのだ。
「ちょおっと待った! お前たち、動くんじゃねえぞ。北方警察はなんでもお見通しだ。まずは、この状況を説明してもらおうか。うむ……思い出してきたぞ。なんだか知らんが、俺は化け物とやりあっていたんだ。恐ろしい化け物だった。その身の丈は天を衝き、その咆哮は月をも落とす。そしてその装甲は、歴戦の勇者たちの槍をいとも簡単に跳ね返したんだ。おお……そうだ。戦いの中で倒れていった連中の顔も俺は、しっかりと覚えている……お前!」
 刑事は、勇士の一人を指差した。
「お前は化け物の爆撃に打たれて吹き飛ばされたはずだぜ。その隣のお前もだ。お前は奴らの大きな手に叩き潰された……なんだ、こいつは一体どういうことだ? てめえら、さては俺を謀りやがったな!?」
「あのう、刑事さん。俺思ったんスけどね、もしかして刑事さんにはちょっとした誤解がおうふ」
 ソルダスが話に入りかけたところを、他の勇士たちが一斉に取り押さえる。そのまま迅速によその部屋へ引っ張っていった。この男に説明させると、話は間違いなくややこしくなる。そんなことは、彼らがいちばんよく知っているのだ。
 その間に、口の上手い男が手早く前に進み出て、込み入った事情を数センテンスに圧縮してさっさと刑事に伝えてしまった。この男はなにせ口が上手かったので、多少強引なところまで含めて刑事はあっさり納得してしまう。しかし納得したらしたで、刑事はまた別のことを騒ぎ出す。通報は市民の義務だの、大規模な陣を張る許可を当局に取ったのかだの。不幸中の幸いだったのは、ソルダスが軟禁されたことで話がそれ以上ややこしくなることはなく、誰もが黙り込んで刑事も早々と言葉を次げなくなったことだった。
「もういい、事件の首謀者はどこだ? アルスタさんはただの依頼人だから、先陣を切ったのはあのメクセオールって野郎だな」
 メクセオールは外だと聞いて、刑事はこの寒いのに防寒もせず玄関を飛び出した。そろそろ夜明けも間近かというところで、山の稜線が薄っすらと白みはじめているようにも見える。


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