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51 第1回8番(β)書紀神レーヴァヤナ :2008/03/07(金) 04:13:23
 ピュクティエトは必死で挽回策を考えているようで、うろうろと室内を歩き回る。しかし何も思いつかないのだろう。藁に縋るような目をレーヴァヤナに向ける。
「どうしよう? 何か、私にできることはないかな?」
「ないね」
「そんな」
「人間一人もまともに操れない君が、この上なにをやらかすとういんだい。さらに事態をややこしくして泣きを見るのが落ちだよ」
 専守防衛に努めている限りにおいては、この男も役に立つ。しかし、深追いして痛い目を見るのがこの男のパターンなのだ。最終的に負けることもないのだが、それまでに払う犠牲が大きすぎる。アレの被造世界でも、この男はヘルズゲート事件の元凶となる一人の独裁者として存在していた。
「しかし、何もしないわけにはいかないぞ。何か策はあるのか?」
「私は知識を蓄えるだけで、考えるのは苦手なんだよ」
「堂々と認めるなあ」
「自分を過信して痛い目ばかり見ている、君よりはましだろう」
「悪かったと思っているよ。しかし、弱った」
「被造世界のデフォンが描くストーリーは原世界にも影響を及ぼすだろうが、アウターというイレギュラーすぎるイレギュラーがいては両者が必ずしも同期するとは限らない。まあ、いいんじゃあないかな? 君や私がいくら考えても仕方がない。実際にこれからアルセスを相手にするのは彼らなんだ」
 レーヴァヤナは机上の水差しを覗き込む。そこには、アルセスとアウターの復活に浮き足立つメクセオールたちの姿があった。
「どうだい、もう少し彼らを信頼してみては? 君は試練の神なのだろう。無闇に手を貸すのではなくて、成功を信じて見守るというのが本来のやり方ではないのかね?」
 ピュクティエトも水面を覗く。その中で、竜とメクセオールは既に戦の算段をしていた。総当り的にしか作戦を試算できない竜の機構上の限界を、歴戦の名勇メクセオールはよく補佐している。
「やる気なのだな。異世界の超越者との合一を果たした悪辣な奸神を、彼らは真っ向から迎えるつもりだ」
「賭けてみる気に、なったかな?」
「ああ。自分の尻拭いもできないのは口惜しい限りだが、今さら私が出て行ってやれるようなこともない」
「まあ、そこに腰かけてのんびりとしていたまえよ。試練の神には高みの見物がよく似合う。神である私たちには、そのくらいが丁度いいのさ」
「我々は無力なのだな」
 ようやくにして、ピュクティエトが苦笑いを浮かべる。レーヴァヤナは満足そうに同意する。
「その上に無責任だ。神はね、責任なんてとれないんだよ。そういうことを自覚していれば、恐ろしくてなかなか余計なことはできないだろう」
「神こそ、謙虚であれか。まったくだな、心しておくよ」
 やっと落ち着きを取り戻し、ピュクティエトは椅子に座り直す。レーヴァヤナが名工バッカンドーラに拵えさせた特注品で、その気になれば何年でも座り続けて本を読んでいられる品だ。
「おっと、油断はしないでくれよ。彼らがアルセスを止められず、この図書館までアウターの侵攻に晒されるようなことがもしあれば……物知りだけが取り柄の無力な私を守るのは、血気盛んな君くらいしないないのだからね」
 レーヴァヤナもまた、隣の椅子に腰を下ろす。先ほどの水差しは、いつの間にか透明な水鉢に変わっていた。隣に並んだ二柱の神は、互いに寄り添うように鉢中の世界を覗き込んだ。


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