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企画リレー小説スレッド

47 第1回8番(9)将紀神ピュクティエト :2008/03/07(金) 04:05:38
 刑事とクリスには近場の町に宿を取らせた。ついでに宿の主人の精神も掌握したので、アルセスの手の者が訪れても知らぬ存ぜずで通すことができる。既に失神していたクリスを改めて暖かくして寝かしつけ、私は意識を竜の方に向けてみる。一時的に竜の制御を奪いはしたが、今は交渉の上で和解し支配権を共有しているのだ。
 既に別の意識から攻撃を受けていたこのファーゾナーという竜にとって、私の強引な割り込みはむしろ福音であったようだ。もはや勝機なしと見たのか、敵対意識は遂に退散していった。今や竜は完全に竜自身の意識のものであり、ときどき私がその機能を間借りさせてもらう形になっている。クリスの誘拐に関して全知の竜に情報を求める者もいたが、長い眠りから覚醒したばかりで本星WayBack Machineとの通信が機能的に遅延しており、情報の取得に数日のタイムラグを要する、などと適当な理由をつけて回答を拒否してもらった。
 そのファーゾナーの前に、二人の男が現れた。どちらも、アルスタの雇った兵士であるようだ。本来は竜を退治する役目を負っていたらしいが、その竜が何ら害悪を齎す類のものではないと分かると、人智を超える竜という存在と交流を持ちたいと考えたようだ。
 その内の一人、メクセオールと名乗った傭兵は、いかにも武人という感じの精悍な男だった。しかし意外にも、この男がファーゾナーに持ちかけた話というのは、いわゆる人生相談に類するものだった。]
 男は、神々に対する自分に無力を感じているようだった。なるほど、ありそうな話だ。いつの世でも命を賭け、常に太母レストロオセを擁してきたのがこのメクセオール=アインノーラという男だ。この世界系のアインノーラも、既に四十四人の戦団を築いている。しかし、その核となるべきレストロオセを、彼はまだ見出していない。神話構造的に言えば、それがこの世界系の彼の欠落と言うこともできるだろう。私が彼のレストロオセを見つけてやることはできないし、神話的にはどちらかというと対立することの方が多い相手だが、これも何かの縁だろう。少し付き合ってもらうことにする。
"ファーゾナーよ、提案する。その男を我々に協力させたい。お前はまだ身動きが取れないし、私もあまり多くの視点に同時に意識を割くのは辛い"
 ファーゾナーはまだ意識を外界に覚醒させた段階に過ぎず、本体の再起動にはもういくらかの時間を要するらしかった。その間、物理界で行動できる援助者がいることは悪いことではないだろう。彼はすぐ提案に同意した。
「メクセオールさん。あなたは神に対して何かをなしたという事実としての成果を求めているのですね。そしてあなたたちは、私を神の一柱に近い存在として認識しているようです。だとすれば、あなたが私に対して明確な影響を与え、私がその影響を認めれば、あなたの不満は解消されるのではないですか。実は私は困っています。というのは、先ほども述べたとおり私は目覚めたばかりなので、私は私の身体を思うように動かすことができません。しかし今、私に悪意を持つ神格が、どこかから私の体を破壊しようと狙っています。そこで、私はあなたに次のことをお願いしたいと考えます。もしあなたが構わなければ、私が動けるようになるまで私の身体を守ってもらえませんか」
 おおよそ以上のような内容を、ファーゾナーは流暢に述べた。メクセオールは分かったような分からなかったような顔をしたが、とりあえず聴く耳を持ったようだ。もう一人の傭兵ソルダス、この男の方は既に乗り気になってしまったようで、手を叩いて喜んでいる。
「分かった、内容次第だが、聞いてみよう。私は何をすればいい?」
「かつてあなたの祖メクセトを破った、ヘルモンド家の始祖神アルセス。彼が、私の敵となりうる者の一人です。あなたには、彼の攻撃から私を守っていただきたいのです」
 メクセオールの目が、燃え立った。ファーゾナーの直接の敵であるアウターではなく、私の敵であるアルセスの名を出したのは正解だったようだ。
「面白い。神に挑戦して敗れた男の末裔が、竜神の使いとして神に再度刃向かうというのか。それはなかなか、気分が良さそうではないか」
 どうやら彼も乗る気になったようだ。静かな意気込みを見せるメクセオールと、いつの間にか自分もすっかり参加した気でいるソルダスに、ファーゾナーはアルスタの意識を裏で操る存在がアルセスであると告げる。アルスタはクリスの捜索活動に加わると言って館を後にしたが、アルセスの本当の目的は『石板』に接触することだろう。事象操作コンソールとしての紀能も持つ『石板』エクリオベルクは、この世界で活動するにあたってなにかと重宝するものだ。もちろん、『石板』は私が既に破壊している。それを確認したアルセスは、この惑星上に存在するもうひとつの紀性機関である全天竜ファーゾナーを手に入れようと戻ってくるだろう。そこを、捕らえる。


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