したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

企画リレー小説スレッド

23 第一回5番(4) :2007/10/08(月) 06:19:50
「それが嫌だからこうして相談しているんじゃないですか」
「本当にちゃんと考えたのか? あの世界で暮らしている人間たちにとっては、彼女の目覚めイコール世界の滅亡なのに?」
「……それでも、僕の世界はこっちです。そして、僕はこの世界に彼女が必要だと、思う。たとえ悪魔と呼ばれようとも」
 ケルネーは再びため息を吐いた。
「……なら、いい。もう一つは、向こうにもどうせ『こっち』を意識してる奴が居るだろうから、そいつと渡りを付けろってことだろうね」
「渡り……シナリオですか? いや、そうか」
 デフォンの顔が輝いた。
「竜……もしかして、あの竜なら。こっちの世界を意識しているかもしれない」
「どうなるかはわからない。けれど、あれだけ完成された世界ならば、どこかにこちらを意識する存在が居なくてはならない筈だ。私たちが向こうを知ることが出来る以上、それは出来るはず。シミュレーション・アーギュメントと似たような論だね」
「ま、そういうことです」
 有瀬が微笑んだ。食堂の蛍光灯が一瞬だけ瞬く。どこか退廃的な空気が一瞬だけ漂う。

「ま、そういうことです」
 有瀬は内心ほくそ笑んだ。いや、より正確に言うならば、ほくそ笑んだのは【アルセス】だ。館へと入ってからも、竜側刑事側アルスタ側三者の主張は平行線を辿りひとまずこの日はお開きということになった。各人に客間を与えた後で夜も更けて、アルスタは館を抜けだした。本人は、疲れたので散歩がしたくなっただけと思っているはずだ。石板の前まで行き、ぼんやりと眺める。そこに映る意味を、アルセスはしっかりと読みとっている。知らなければただの傷にしか見えないコンソールを操作して『向こうの世界』の自分を操る。阿呆らしい会話に耐え、巧みに人々を誘導していく。フィクションじゃないんだから、理屈や脈絡のない出来事なんてあって当然だ。竜の脅威について言えば、老人連中が勝手にそうだと決めつけてくれたから楽だった。刑事は単に阿呆だっただけだろう。竜だって、ただ単にそういう存在だっただけだ。馬鹿らしい。もっとも、それだからこそ誘導しやすくて良いのだけれど。
 今朝、久しぶりに石板を確認しに来てよかったと思う。まさか向こうのマグドールが死に瀕しているとは思わなかった。いくら時間の流れが違うとはいえ、たった数億の時日でとは。大神アレの力も衰えたものだ。今度は奴に先を越されないようにしなければ。おそらく竜はアレの眷属だ。この調子で行けば、『向こうの世界』の奴らは竜に干渉し、竜の目的遂行の障害となるはず。その結果、作られたアレによって作られた『向こうの世界』とこちらの世界の境界が崩れるかもしれない。けれど、そんなの知ったことか。とにかく、アレの干渉さえ防げればいい。その間に、自分が彼女を手に入れる。
 ようやく、彼女に会える。アルセスは今までの日々を思い、暗い森を見詰める。長かった。本当に、長かった。全てはこの日のためにあった。この地に根を張ったのも、代々の贄によって力を蓄えてきたのも全て。
 大神アレによって向こうの世界に閉じこめられた彼女。こちらの世界では死んでしまった彼女。それはかつて【最果ての二人】と呼ばれたアルセスの片割れ。

――キュトス。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

■ したらば のおすすめアイテム ■

干物妹! うまるちゃん 1 (ヤングジャンプコミックス) - サンカクヘッド

FPSは・・・遊びじゃないんだよ!!

この欄のアイテムは掲示板管理メニューから自由に変更可能です。


掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板