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590言理の妖精語りて曰く、:2008/01/29(火) 00:16:48
夕暮の空に雲は少ししかなかった。
その薄い雲をめがけて赤い竜、レーレンタークが昇ってゆく。
没みゆく日を受けて染まった雲と比べると、逆上がりする竜が赤熱して放つ光はなんだか場違いに見えた。
それもわずかな間で、太紀圏を脱出した逆流星の赤い光は雲の間に薄れて消えてゆく。
とうとう夕暮の赤だけになった空から視線を下ろすと、ふぅ、とオルゴーは息をついて、ぐるりと首をめぐらせる。

人間だったらごきごき、と音がするのだろうな、

そんなことを思いながら二度、三度と首をまわすが、骨どころか関節も無いダークマター製の体は一切無音。
愛想のない身体だと思い、我ながら妙な感想だと苦笑いしながら、右前脚一本で立つと、長い尾と翼を器用に動かし重心移動。
ぐら、と体が傾き始めると同時に体をひねって回転開始、まわる視界が180度ターンしたところで揚げていた7本の足を下ろして急制動。
誰か他の者に見られていたら「不精者め」と言われること間違い無しの居作法だが、オルゴーはこの急旋回が好きだった。
ともあれ、見送り中も開きっぱなしだった【扉】をくぐり、彼の「自室」、あるいはレーレンターク言うところの「オルのねぐら」、または彼の自称飼い主であるS嬢曰く「オルゴーのお庭」へと帰還する。
超時空通路を抜けると何のことも無い1LDK。
ダイニングにしつらえられたテーブルの上にはティーセット一式とカップが三つ。
二つは彼と友人レーレンタークのための普通サイズ。
もう一つは友人との語らいのさなかに乱入してきた「小さな主人」のための特小サイズ。
茶器は二人分の用意しかしてしていなかったため、急の御成りに慌てて用意したのだ。
といっても、けっきょく注がれたお茶は口をつけられないうちに冷めてしまったようだ。
小さなカップを置かれた席の少女は、テーブルに突っ伏して眠っていた。
まぁ、乱入時からハイテンションで手足をぶんぶか振り回しなにやら叫び続けていたから、ひょっとして疲れて眠るかも、と予想はしていたが。




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