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物語スレッド

88冥府からの脱出*01:2006/09/10(日) 10:16:57
 今は昔、葬式のやり方といえば水葬だった。人々は死者を棺に納めて川に流していた。棺は川を下って海に辿り着き、波に乗って世界の果てに流れ着いた。この時の世界は平らだったので、棺は海水とともに落下して冥府に着くものだった。
 冥府に着いた棺を死神たちが仕分けをした。蓋を開けて、死んだ身体から魂を抜き出し、秤にかけた。そして重い魂は砕いてから月に打ち上げ、軽い魂はぺしゃんこにして風に任せた。薄片になった魂は風に吹かれてどこかへ飛んでいった。
 ある時「これは一体、なぜなのだろう」と1体の死神が呟き、仕分け作業の手を止め、水平線を見た。波のない暗い水面の上、遥か彼方まで棺が並んでいる。どれもこれも小さかった。小さいのは子供用の棺だからだ。


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