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【ミ】『虫食い穴』
93
:
『虫食い穴』
:2015/08/19(水) 00:04:06
>>92
少女はマシュの話を聞いて、うなずいた。
「あのチラシに『虫』がいたから、『ちょうちょ』がきてくれたの。
あの『虫』が、だれもこないようにってしようとしたけど、
わたしがだれかたすけてっておもったから、
つぶされちゃったけど、がんばったの。
おにいちゃんは、いっぱい『虫』にとられちゃったから、
おきれないんじゃないかなあ?
おねえちゃんのぶんまで、いっぱいとられちゃったし……。
おきれたらきっと、おねえちゃんとおなじぐらいおもいだせるとおもう……」
204号室の中にいる『クライマー&クローラー』はドアを開けないと
出してやれないだろう。
かすかにテレビの音がするが、それぐらいだ。
いや。
カン、カン、カン、カン……
201号室側の階段から、誰かが上ってくる音がする。
94
:
マシュ『クライマー&クローラー』
:2015/08/19(水) 08:24:13
>>93
「なるほど。
アパートの誰かがチラシを貼って、
『虫』の能力者が妨害をくわだて、
『蝶』を操るきみがそれを阻止した。そういうことなんだね。」
「私の分まで……
先ほどのあの体勢は庇われたということなのかな。
戸塚井さんには礼を言わなくちゃならない。
……む。」
足音がのぼってくる。おそらくひとりだろうか。
マシュが現時点で思い浮かぶ人物は松本夫人だが、
そろそろ用事を終えて帰宅する人物がいたはずだった。
「戸塚井さんのこの運び方は見られると少しまずいな。」
戸塚井の片腕を首のうしろに回し片肩で担ぐような体勢にする。
片側にかたよる体重は『赤ん坊』が下から支えるように補助してくれるといい。
95
:
『虫食い穴』
:2015/08/19(水) 22:48:43
>>94
「でも『ちょうちょ』は『虫』にいつも負けちゃうの……。
ね、ねえ、だれかくるよ? ここからちがうとこにいかないの?」
焦っているような口調で少女がマシュの袖を引きだした。
横たわっていた戸塚井を背負いなおし、
『クライマー&クローラー』に下から支えてもらう。
普通に担ぐように見えるが、下からの補助で、女性でも楽に担げる。
カンカンカン……。
足音はどんどん近づいてくる。松本さん以外の人物は思い浮かばない。
アパートの住民だろうか?
96
:
マシュ『クライマー&クローラー』
:2015/08/19(水) 23:21:46
>>95
「力量ではあちらが上回っているんだね。
いまはまだささやかなレジスタンスということか。」
「そうだね。
不自然ではないよう担ぎ直したけれど、
見られずに済むよう速やかに退散したほうが良さそうだ。
幸いあちら(201)側から上ってきてる。
こっち(204)から逃げよう。」
204号室側の階段から下へ降りる。
97
:
『虫食い穴』
:2015/08/20(木) 23:24:50
>>96
「はやくいこ、はやく!」
ぐいぐいとひっぱる少女と一緒に、204号室側から急いで階段を降りた。
同時に201号室の方から上ってきた誰かが、2階の通路に上がりきったようだ。
戸塚井を担ぎながら、1階、104号室の前に降り立つ。
昼の住宅街は車も通るが、静かなものだ。
戸塚井が目覚める気配はなく、『クライマー&クローラー』も
一体上に取り残されている。
当面の気がかりはそれぐらいだろうか?
98
:
マシュ『クライマー&クローラー』
:2015/08/21(金) 00:10:21
>>97
「そんなに急ぐと転んじゃうよ。」
少女に引っ張られつつ階下へ降りた。
「さて。困ったな。
『虫』の駆除という目的は変わりないけれど、
現状その手がかり・手助けとなる情報を失ってしまっている。」
「204号室に置き土産がある以上、
私たちはいくらか調査を進めていたのだとは思うのだけど、
その調査結果をおそらく『盗られて』しまったのだろう。
私の認識としては初めてなのだけど、
もう一度おなじ場所を調査するというのはバツが悪いし、
何よりそんなふざけた行動は依頼者の心証を損ねかねない。
となると……」
盗られたものを取り返すしかない。
「ごめん。戸塚井さん。」
意識を失ったままの戸塚井の、衣服のポケットや携帯を探る。
なにか調査結果を残してはいないだろうか。
同時に自分の持つ道具もあらためて点検してみる。
99
:
『虫食い穴』
:2015/08/23(日) 23:57:11
>>98
戸塚井の衣服やポケットを探ると、財布やスマホが出てきた。
財布には現金少々と免許証が入っていた。メモの類は見当たらない。
スマートフォンの方だが、ロックが掛かっておらず、スライド錠ですぐに開いた。
操作はマシュの機種と似ているので、見たい情報があれば
問題なく見れるだろう。
メモ帳アプリには特にメモは無し。
画像フォルダには、メゾンそれいゆの写真。
向かい側の道路から撮ったものらしく、建物全部が写っており、
一階や二階に人影が何人か見える。
横では、少し飽きたのか、少女がぺたぺたと『クライマー&クローラー』を触っている。
「ちょうちょのおまじない、してあげるね」
パタパタと小さな『蝶』が、少女の手の中から羽ばたき、『クライマー&クローラー』の
頭の上にちょこんと留まった。
特に意味のある行動ではないが、妙に心に残る。
カンカン……
階段の上から、再び足音が聞こえた。
100
:
マシュ『クライマー&クローラー』
:2015/08/24(月) 21:08:15
>>99
「私もメモを残したりはしていなかったようだし、
戸塚井さんも同様かな……失敗した。
未来の自分に手がかりを残すという発想がなかったな。」
「このあきらかに手を加えられた記憶の操作を打破するのに、
記憶を発掘するという方向性は間違っていないと思うのだけど……」
画像に映っている人影は判別できるだろうか。
確認し終えたら戸塚井のポケットに返しておく。
「その『蝶』は自在に出せるんだね。
……ん。(足音……)」
階上で扉の開閉音はあっただろうか。
ない場合、先ほど201側の階段をのぼった何者かが廊下を移動している音だろう。
ただこの音が止まらないのであれば、
そのまま部屋の前を素通りし、階下へ降りようとしているということか。
(チラシのポスティング業者? でなければ不審者か、あるいは……)
「……そんなことを考えている私も一見不審者だな。
何もしないでただ突っ立っているのは怪しまれそうだ。」
なので、このアパートの宅配ポストを調査する。
階下の一箇所にすべての部屋のぶんが集まっているタイプか、
あるいは部屋のドアにそれぞれ設置されているのか調べる。
これにより足音の主がポスティング業者か否か判別できるだろうし、
もし一箇所に集中しているタイプならそこで住民の苗字を知ろう。
苗字という文字列で記憶が発掘できれば尚いい。
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