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英国(第二次世界大戦勃発直前)がファンタジー世界召喚されますた。

241HF/DF ◆e1YVADEXuk:2017/12/10(日) 20:20:17 ID:xcVmLF4g0
「それでは皆様トラックへ、これより魔法を用いて皆さんを元居た場所へと帰します」

上げていた手を下ろし、絡みついたものを断ち切るかのようなきっぱりとした口調で指示を出す彼女。男たちは無言でトラックへとよじ登り、持ち場に着くと防塵ゴーグルを掛け、口元をスカーフでしっかりと覆う。一方彼女は小走りでトラックから離れると踊るようなしぐさをしながらトラックの周囲を回り始めた。かすかに聞こえてくる彼女の声、呪文か何かを唱えているのだろうか。
一周、二周、そして三周、いつしか風が巻き起こり、時間の経過とともに強くなる。だが奇妙なことに歩き続ける彼女の衣服は乱れず、あみだに被ったスローチ・ハットも吹き飛ばされるようなことはない。
そして舞い上がる砂塵、薄茶色をしたベールが視界を遮り始め、三人の目から彼女の姿をゆっくりと隠してゆく。やがて視界を巻き上がった砂塵と土埃が完全に覆い、空も大地も覆い隠した。
吹きすさぶ風のせいで呪文を唱える彼女の声はもう聞こえないが、この風が途切れていないところを見ると儀式は未だに続いているようだ。
それぞれの場所で姿勢を低くし、無言で『その時』を待つ三人。だが感じ取れるような異変は全く起こらず、やがて砂嵐は弱まり始め、視界が回復し始める。
そして――――



「見えたぞ! 味方のトラックだ! 帰ってきたんだ!」






イタリア領リビア東部キレナイカ地方、クーフラ。
キレナイカの南部にあり、西のエジプト、南のフランス領チャド、そしてリビア各地へと繋がる街道の結節点であるこのオアシス都市は1941年5月現在、その所有者をイタリア人からイギリス人へと変えていた。
それを証明するかのように焼け付くような陽光に照らされた町のあちこちには英国兵の姿があり、主要な建物にはユニオンジャックが掲げられている。また郊外ではナイル川のほとりからはるばる砂漠を超えてやってきた輸送部隊のトラックが荷を下ろし、開設された野戦飛行場には主翼と胴体にラウンデルを描いた連絡機が翼を休めていた。

そんなクーフラ市街地の一角にある建物の一室では現在、LRDGの主要メンバーによる会議が開かれていた。
砂漠の強い日差しを遮るために全ての窓にブラインドが下ろされているため、室内は昼だというのに薄暗い。また室温は戸外より低いとはいえかなりの高さ。ただし湿度が極めて低いため、蒸し暑さで不快極まりない思いをすることだけはない。
そんな乾いた熱い空気を天井に設置されたファンがかき回し、室内にささやかな空気の流れを作り出している。その下で使い込まれた四角いテーブルを囲み、椅子に深く腰掛けて手にした書類の束に無言で目を通す五人の男たち。誰もが熱帯用の軍服をラフに着こなし、日焼けした顔には髭を蓄えている。


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