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『BEAR in the ROOM』
1
:
→
:2007/02/14(水) 01:58:20
力を抜いて・・・・・・・・・・・
身体中の細胞を解放する様に・・・・・・・・・・そう、リラックスするんだ。
他人も、時間も、周囲の全てを遠くに感じる・・・・・・・・・・・・・。
仕事が終わり、今日も見慣れた1DKの部屋へと帰り着く。
16
:
西京厚志
:2007/02/15(木) 02:06:11
>>15
「クソックソックソッ! ああもう腹をくくったぞ…。
何にせよあのクマ公が原因なんだ…」
ヘルメットを頭に被り、キッチンへと近づいていく。
17
:
→
:2007/02/15(木) 23:43:42
>>16
キッチンは、薄暗かった。
ペチャペチャと何かを舐める音だけが、静かに響いている。
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
リビングから入って、すぐ右の奥に置かれた冷蔵庫が開いており、白い光が
キッチンを照らしていた。
冷蔵庫の前には、マヨネーズを咥えた動物が座り込んでいる。
『西京』と目が合うと、動物は目を細めた・・・・・・・。
18
:
西京厚志
:2007/02/16(金) 01:40:40
>>17
「ぅおっ…俺の部屋から出て行けこのクマ公!
冷蔵庫の中身なら全部やるから早く出て行け!」
退路は無い。覚悟を決めてクマ公に怒鳴る。
19
:
→
:2007/02/16(金) 02:09:11
>>18
「嫌だね。」
マヨネーズを口から離すと、動物が言った。
「リラックスしろよ・・・・・・ビビっているのかい?
力を抜いて、一緒にマヨネーズでも啜ろうじゃあないか。
安心するんだ、『厚志』・・・・・・・・・・。」
20
:
西京厚志
:2007/02/16(金) 02:32:05
>>19
「しゃっ…喋った!?
お…落ち着け。落ち着け厚志。
動物は喋らない。ならアレは動物じゃあない。よーし冴えてきた。いいぞ…。」
独り言を言って気分を落ち着かせる…。
「マヨネーズは直接啜るもんじゃあないぜ! クマ公!
ビビってるかだと!? ふざけんな!
お前みたいな得体の知れんクマ公を目の前にして…誰が落ち着けるってんだッ!」
相手のペースにハマるのはマズい。主導権は圧倒的に向こうにあるが…せめて飲まれないよう自分を強く持つ。
21
:
→
:2007/02/16(金) 02:55:13
>>20
動物は、冷蔵庫からコーラのペットボトルとグラスを取り出すと、扉を閉めた。
キッチンが薄暗くなる。
「虚勢を張るのは、やめろよ。
なあ、『厚志』・・・・・・・・・・・・コーラでも飲んで、考えてみようじゃあないか。」
動物は、『西京』の目の前でグラスにコーラを注いだ。
22
:
西京厚志
:2007/02/16(金) 02:58:41
>>21
「オーケイ。話し合うかクマ公。
お前の目的はなんだ? 俺がまず聞きたいのはそれだ」
コーラには手をつけない。
キッチン入り口にあるスイッチで電灯をつける。
23
:
→
:2007/02/16(金) 03:03:33
>>22
キッチンの電灯を点けると、動物は眩しそうに目を細めた。
「目的なんて無いさ・・・・・・・・・いい部屋じゃあないか、『厚志』。
私は、ただ安らげる場所が欲しかったんだ。
リラックス出来る場所がね・・・・・・・・・・。」
24
:
西京厚志
:2007/02/16(金) 03:08:47
>>23
おいクマ公、なんで俺の名前を知ってんだ。
安らげる場所とか言ってるがな…sy…」
『食料』と言いかけてハッと言葉を呑んだ。
もしかすると、次の『食料』は『自分』かも知れない。
「…安らげる場所だって? こんなアパート、他にもいくらでもある。
なんだってこのアパートで、俺の部屋なんだよ!」
25
:
→
:2007/02/16(金) 03:25:56
>>24
「君の名前は、『表札』に書いてあったのさ。」
動物は、コーラのペットボトルを仰ぐ様に一口飲んだ。
「『厚志』・・・・・・・・・・いつまで、こんな話を続けるんだい?
この部屋を選んだのは、ほんの偶然。
そう、偶然なんだ・・・・・・・・・・・・。」
26
:
西京厚志
:2007/02/16(金) 03:36:57
>>25
「うっ、クマ公のくせに…。
…うるせぇ! 何が偶然だ! 別に隣でもいいだろうがッ!
わかってるぞクマ公…そうやって油断させてガブリとやるつもりなんだろう…。
俺を外に出させないようにしてるのがその証拠だッ!
なんとか言ってみろッ! オイッ!」
動物の不思議なオーラに負けじと、声を荒げる。
27
:
→
:2007/02/16(金) 03:46:14
>>26
「外に出たいのかい?」
動物は、コーラを注いだグラスを飲み干し、冷蔵庫の上に置いた。
「ちょっと、こっちにおいで・・・・・・。
何もしないさ。」
28
:
西京厚志
:2007/02/16(金) 04:44:48
>>27
「ほ、本当だろうな…」
ジリジリと近づいていく。
「い…いやッ! まず説明からだッ!
おかしいだろッ! 何で窓開かねぇんだよッ!
テメェが常識じゃ考えられない存在ってのはもうわかってんだ!
『くつろぐ』…『リラックス』するのに一人じゃいけない理由なんて無いッ!
お前はッ! クマ公ッ! 俺を逃がしたくない『理由』があるんだろッ!
そうでなきゃ俺は今頃窓から逃げられてるはずだからなッ!
むしろ『逆』だッ! 『閉め切る』事ができるならそもそも『入れたりしない』ッ!
その手には乗らねぇ…クマ公…!」
荷物に飛びついて『工具箱』をあさり、『スパナ』を取り出す。
土木作業員なら日常的に使うものだ。
29
:
→
:2007/02/16(金) 21:40:01
>>28
リビングへ戻る『西京』を、動物が追って来る様子は無い。
スパナを取り出すと、キッチンから動物が顔を覗かせていた。
「何をするんだ?
そんな物を出して・・・・・・・捨てろよ、『厚志』。
窓を破るつもりかい?」
30
:
西京厚志
:2007/02/17(土) 02:48:39
>>29
「窓は破れねぇ…鍵は開かねぇ…。
お前が閉じ込めたんだろ! まず窓を開けろよ!
閉める事が出来たなら開けることも出来るはずだろッ!
怪しすぎるぜッ! 誰がノコノコ近づくものかッ!」
警戒心をムキ出しにしてクマを威嚇する。
31
:
→
:2007/02/17(土) 03:12:56
>>30
「落ち着けよ、『厚志』・・・・・・・・・・・リラックスするんだ。
お腹が空いてるのかい?
イライラしているじゃあないか・・・・・・・・・・・・。」
動物は、キッチンからゆっくりと出て来る。
その手には、チキンラーメンを1袋持っていた。
「これは、『ルール』なんだ。
この部屋は、私の『縄張り』になった・・・・・・・・・・・。
私の許可無く、外へ出る事は出来ない。」
動物の顔に、薄っすらと笑みが浮かぶ。
32
:
西京厚志
:2007/02/17(土) 05:29:06
>>31
「なッ…わばりだとッ!? クマ公!」
ザッ と部屋中を見回す。
『縄張り』 動物のそれは『マーキング』で行われる。といつかテレビで見た。
『マーキング』とは『示威行為』。『自分の場所』を主張する行為だ。
この動物に常識が当てはまるかはわからないが…。
『縄張り』と言うからには、外から見て分かる痕跡が残されているかもしれない。
とりあえずは『リビング』から、妙な『臭い』や、『爪痕』が無いか調べたい。
33
:
→
:2007/02/17(土) 23:42:13
>>32
リビングを見回したが、目を惹くものは何も無い。
動物は、床の上にゴロリと転がると、おもむろにチキンラーメンの袋を開けた。
『ドドドドドドドドドドド』
その手には、いつの間にかテレビのリモコンが握られている。
「『厚志』・・・・・・・・・・リラックスしろよ。
テレビでも見よう、面白いDVDはあるかい?」
34
:
西京厚志
:2007/02/18(日) 01:58:36
>>33
「ク…クソッ…。つーかてめぇ俺の食い物勝手に開けてんじゃねぇよ!
DVDだぁ…? このクマ公が! AVしかねぇよ!」
半ばヤケクソにテレビ台を指した。ズラリとある。
ドカッとベッドに腰を下ろす。
「おいクマ公…一体なんなんだお前は? 生き物か?
マンガみてぇなツラしやがって・・・」
35
:
→
:2007/02/18(日) 23:26:22
>>34
動物は、ゴロリと仰向けに寝転んで『西京』を見た。
「とっくに知ってるんだろう?
『リラックマ』だよ・・・・・・・・・・・。」
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
36
:
西京厚志
:2007/02/19(月) 14:51:39
>>35
「マジ…か…? ゲーセンによく居るアレ?
………ビーズのクッションとか好きだったりするのか?」
次第に興味が恐怖に勝りつつある…。
37
:
→
:2007/02/20(火) 02:02:55
>>36
「ああ。
好きな食べ物は、団子、プリン、オムライス、ホットケーキ。」
『リラックマ』が言った。
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
ふと、『西京』は、座っていたベッドの横をチラリと見る。
そこには、黄色いビーズクッションが無造作に置かれていた。
「こっちにおいでよ。」
38
:
西京厚志
:2007/02/21(水) 02:22:46
>>37
(『リラックス』するのは悪い事か…? 年下の現場監督にけなされる生活とどっちが…)
フラ…
不思議な誘惑に心が従いそうになる…が、すんでのところで踏みとどまる。
(いや…忘れちゃあいけない…最大の『謎』…『チャック』…。
『リラックマ』は『ガワ』だ…『中の人』がいるハズ…!)
ガッ と黄色いビーズクッションを掴む。特に意味は無い。
「なぁ…お前は俺と『友達』になりたいのか?」
39
:
→
:2007/02/21(水) 02:33:02
>>38
『リラックマ』は、『西京』をジッと見つめた。
「いや、別に・・・・・・。」
そして、ビーズクッションに視線を移し、付け加える様に続ける。
「のんびり考えましょうよ、そういう関係も。」
40
:
西京厚志
:2007/02/21(水) 02:59:17
>>39
「ぐっ」
(マスコットの分際で…! だがまぁいい。
しかし一体なんなんだ…俺が痺れを切らすのを待っているのか・・・?
冷蔵庫の中にはあまり食料は買い置きしていない…。
ヤツがそれを食べ終わったら…どうなる?
この『ビーズクッション』みたいにどっかから出てくるのか?
とりあえず…『キッチン』と『玄関』そして『風呂』…。様子を見なければ)
腰を上げてキッチンへと歩き出す。
『リラックマ』からは出来るだけ離れて移動したいが…。
41
:
→
:2007/02/21(水) 17:52:11
>>40
『リラックマ』は、キッチンへ向かう『西京』の姿を黙って見送る。
キッチンは、まだ冷蔵庫の前に『リラックマ』の食べ散らかしたカスが
ポツポツと散らばっていた・・・・・・・・・・・。
42
:
西京厚志
:2007/02/22(木) 03:20:30
>>41
「汚ぇよクマ公! 掃除しろ!」
怒鳴りつけて玄関へ向かう。
無駄だとは思うが…鍵を開けてドアノブを回してみる。
43
:
→
:2007/02/22(木) 03:40:02
>>42
ドアノブを回した・・・・・・・・・・案の定、ドアは開かない。
『パタパタパタ』
不意に、洗面所の方で物音が聞こえた。
リビングには、『リラックマ』が寝転がっている・・・・・・・・・。
44
:
西京厚志
:2007/02/22(木) 04:14:06
>>43
「やっぱりムダ……かッ!?」
物音の方、洗面所の方を凝視する。
(予感はしていた…この足音…『ヤツ』かッ!)
ゆっくりと洗面所へと向かう…。
45
:
→
:2007/02/23(金) 00:26:15
>>44
暗い洗面所に向かうと、何かが動いているのが分かった。
『タタタタ・・・・』
『西京』が近付くと、足音がバスルームの方へと消える。
46
:
西京厚志
:2007/02/23(金) 02:58:33
>>45
(この小刻みな足音…アレだ! あの…鳥! …ヒヨコ!
とにかく野放しにはしておけないな…)
洗面所に入って電灯を点け、バスルームを目指す。
47
:
→
:2007/02/24(土) 00:38:22
>>46
明かりを点けると、荒らされた洗面所が目の前に広がった。
石鹸や整髪剤が散らばり、洗面台にはゲロの様なものがブチ撒けてある。
バスルームの方を見ると、曇りガラス戸の向こうに小さな影が見えた。
48
:
西京厚志
:2007/02/24(土) 01:59:57
>>47
「んなッ!? こ…のヒヨ…いやクマ公か?」
洗面台のゲロのような物の量と匂いを観察する。
量でクマ公か小さい動物かどうかは判断し、酸っぱい匂いがするなら、
どんな色や形状をしていてもゲロなのは間違いないだろう。
(バカめ! 風呂に入ったらもう逃げ場はないぜ! とっつかまえてやるッ!)
49
:
→
:2007/02/24(土) 02:44:11
>>48
洗面台に飛び散ったゲロらしきものは、黄色味を帯びた乳白色をしている。
広い範囲に撒き散らされていたが、それほどの量は無かった。
ヨーグルトの様な匂いが、ドブ臭さに混ざって鼻腔を刺激する。
『オゲェ・・・』
バスルームの中で、嘔吐した様な声が響いた。
50
:
西京厚志
:2007/02/24(土) 03:15:23
>>49
「ゲロ。だな。そしてヒヨコだ。ボケ野郎が」
ドカドカと足音を立ててバスルームに殺到し、ドアを勢いよく開ける。
「この野郎! テメェかゲロ吐き鳥はッ!」
51
:
→
:2007/02/24(土) 03:57:05
>>50
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
バスルームの戸を開けると、『リラックマ』よりも小さな白いクマが
浴槽の中から顔を覗かせていた。
床のタイルには、ゲロが飛び散っている。
52
:
西京厚志
:2007/02/24(土) 04:12:10
>>51
「テメェは…『コリラックマ』ッ! そうだなッ! そうだろッ!
掃除しろ! ボケ!」
スパナを構えて怒鳴りつける。
53
:
→
:2007/02/24(土) 04:17:30
>>52
「オゲェ・・・・」
小さなクマは、嗚咽と共に口からゲロを吐き出した。
そして、床に飛び散ったゲロを見つめるながら、手で口を拭う・・・・・・・・・・。
『西京』をチラリと見たクマは、少し笑った様に見えた。
54
:
西京厚志
:2007/02/24(土) 05:22:12
>>53
「こ…このクマ…!」
バスルームには降りない。
こんな得体の知れないゲロを踏んづけでもしたら最悪だ…。
「言葉分かんだろ! なんなんだテメェら!
吐くな! 答えろ!」
55
:
→
:2007/02/25(日) 00:16:31
>>54
小さなクマは、何も答えなかった。
浴槽の中からバスルームの床をジッと見つめている・・・・・・・・・。
56
:
西京厚志
:2007/02/25(日) 04:10:35
>>55
「クマ公…!」
手を伸ばしてシャワーのホースを手に取る。
こういうアパートのバスルームは大概が狭いものだ。
一人暮らしに広いバスルームは必要ないしな…。
57
:
→
:2007/02/25(日) 05:20:36
>>56
『西京』は、シャワーホースを手に取った。
小さなクマは、それをジッと見つめるだけだった。
58
:
西京厚志
:2007/02/26(月) 23:24:58
>>57
「とりあえずな」
シャワーでもってゲロを洗い流す。
このままでは小クマを捕まえる事もできない。
59
:
→
:2007/02/26(月) 23:50:59
>>58
シャワーから出た湯が、バスルームのゲロを洗い流す。
幸いにもゲロの粘着性は低く、容易に流し落とす事が出来た。
白い湯気が微かに立ち込める中、小さなクマは浴槽の中に入ったまま、
『西京』を見つめ続けている。
60
:
西京厚志
:2007/02/27(火) 01:35:43
>>59
「『イタズラ』…か? テメェ…。
だが会話はできそうにねぇな…。」
少し考える…。
「オイ、怒らないからこっち来いよ。『リラックマ』に会いたいだろ?
リニングにはコンポだってテレビだってあるぜ。食い物だってある…。
なるべく優しげに小クマに話しかける。」
61
:
→
:2007/02/27(火) 01:40:51
>>60
小さなクマは、少し震えていたが・・・・・・やがて、ゆっくりと浴槽から出て来る。
『ドギュン!!』
次の瞬間、クマは『西京』の股を潜り抜け、キッチンの方へと逃げ去った。
『西京』は、湯気に混じって漂う微かな異臭に気付く・・・・・・・・・・・。
62
:
西京厚志
:2007/02/27(火) 01:46:03
>>61
「うおっ!?…あのクマあんなに早く動けるのか!
まぁ…いい。この匂いは…ゲロか? それともションベンでも漏らしたか?」
小クマの行方は気になるが、放置。
バスルームへ、足元に気をつけて慎重に入る…。
63
:
→
:2007/02/27(火) 02:04:40
>>62
『ドドドドドドド』
バスルームに足を踏み入れると、空の浴槽の中に茶色い物体が見えた。
その悪臭を放つ物体を、『西京』は知っている・・・・・・・・・・・。
64
:
西京厚志
:2007/02/27(火) 02:30:14
>>63
「クマーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」
ブチギレだ。
小クマを探してキッチンからリビングへと突撃する。
65
:
→
:2007/02/27(火) 02:35:58
>>64
リビングに戻ると、『リラックマ』がテレビでニュースを見ていた。
小さなクマの姿は、見当たらない・・・・・・・・・・・。
66
:
西京厚志
:2007/02/27(火) 02:49:11
>>65
「おいクマ公! 小さいのどこやったッ!」
スパナを振り上げクマ公に怒鳴る。
67
:
→
:2007/02/28(水) 00:59:38
>>66
『リラックマ』は、寝転がったまま『西京』を見上げた。
「何の事です?」
『カチャ・・・・』
不意に、キッチンの方で物音が響く・・・・・・・・・・・・。
68
:
西京厚志
:2007/03/01(木) 02:57:14
>>67
「『コリラックマ』だよッ! !! キッチンかッ!」
ここで慌てて足音を荒げたりはしない。抜き足差し足でキッチンへ向かう…。
69
:
→
:2007/03/02(金) 00:50:49
>>68
キッチンに戻ると、気配を感じる・・・・・・・・・・・。
冷蔵庫が微かに開いており、中から漏れる蒼白い光に照らされ、床に点々と
零れたミルクを見つけた。
ミルクは、そのままキッチンの奥へと続いている。
70
:
西京厚志
:2007/03/02(金) 01:52:01
>>69
(小クマが…まぁそろそろ捨てようかと思ってたから別にいいが…)
そっとミルクのあとをつける。
71
:
→
:2007/03/02(金) 02:15:24
>>70
零れたミルクの先には、流し台の下に座る小さなクマがいた。
ミルクを飲みながら、プリンを啜る様に食べている・・・・・・・・・・・・・。
『モチャ・・・・ペチャペチャ・・・』
72
:
西京厚志
:2007/03/02(金) 02:44:35
>>71
(覚悟しろ…クマッ!)
飛び掛って小クマの首根っこを捕まえる。
首の後ろを持てば、動物は抵抗できないだろう。
73
:
→
:2007/03/03(土) 00:42:13
>>72
「ハッ・・・・!」
『西京』の気配に気付いたのか、小さなクマが振り返る。
直後、伸ばした手を擦り抜ける様に、クマはリビングの方へと走り去った。
後には、食い散らかしたプリンやヨーグルトが床に残っている。
74
:
西京厚志
:2007/03/03(土) 02:14:58
>>73
「畜生! 待てクマ! ………」
冷静に、自分が片付けなければ誰も片付けないということを理解し、
とりあえず掴めるものだけ、ゴミ箱に放り込む。
「よし。覚悟しろよクマども・・・!」
リビングへと進む。
75
:
→
:2007/03/03(土) 02:25:50
>>74
散らかったプリンやヨーグルトの容器を片付け、リビングへと戻る。
『ドグシャアッ!!』
キッチンからリビングに向かう『西京』の目に、小さなクマが壁に向かって
吹っ飛ぶ姿が映った・・・・・・・・・・・。
壊れた人形の様に床に落ちたクマを、『リラックマ』がサッカーボールでも
蹴るかの様に蹴り飛ばす。
「グェ・・・!」
小さな呻き声を漏らし、小さなクマは床を転がった。
76
:
西京厚志
:2007/03/03(土) 02:32:36
>>75
「は?」
一瞬呆然として、すぐに現状を認識する。
「何やってんだ? クマ公。え?
そういうアレだったの? お前ら」
とりあえずスパナを構えつつ。
77
:
→
:2007/03/03(土) 02:53:10
>>76
リビングに入ると、小さなクマの腹に膝を着いた『リラックマ』が、両手で
クマを滅多打ちにしていた・・・・・・・・・・・。
小さなクマの身体は、次第に痙攣し始める。
78
:
西京厚志
:2007/03/03(土) 02:55:33
>>77
「ちょ おまっ 待てっての!」
『リラックマ』を走って蹴り飛ばす。
なぜかこのままにしておいてはいけない気がする。
79
:
→
:2007/03/03(土) 03:06:41
>>78
『バギャッ!!』
『リラックマ』を蹴り飛ばすと、小さなクマは口から咳に混じった血を吹いた。
床に転がった『リラックマ』は、ゆっくりと身体を起こす。
「痛いじゃあないですか・・・・・・どうしたんです?」
80
:
西京厚志
:2007/03/03(土) 03:18:00
>>79
「いや、なんとなく。だ。
血は嫌いなんだよ。部屋が汚れるしな。
あとだな、お前ら『公式』では仲いいハズだろ?
アレは『ポーズ』か?」
81
:
→
:2007/03/03(土) 23:26:39
>>80
「どうでもいいじゃあないですか、そんな事は・・・・・・・・・・。」
『リラックマ』は、ぐったりとした小さなクマの手を掴む。
そのまま手を引っ張ると、クマの身体が宙に持ち上がった。
「君は、どこのクマ君?」
小さなクマを覗き込み、『リラックマ』が尋ねる。
クマは、弱々しく顔を上げると、唾を吐いた。
精一杯の抵抗・・・・・・・・・・『リラックマ』は、それを摘み取るかの様に
非情の拳をクマの腹部に突き立てた。
82
:
西京厚志
:2007/03/04(日) 03:32:13
>>81
「汚れるつってんだよアホ頭がッ! こっち向けッ!
小クマを離せよ! もう死んでんじゃあねーのか?」
83
:
→
:2007/03/05(月) 00:22:10
>>82
「グホォッ・・・・!」
小さなクマが、苦しげに吐血した。
『リラックマ』は、さらに腹部を殴りつける。
「汚れたら・・・・・・・・」
ポツリと呟く様に口を開き、『リラックマ』はクマの首に手を掛けた。
「『厚志』ッ!テメーが掃除するんだろーがッ!!」
『リラックマ』が首を絞めると、クマは苦悶の表情と共に痙攣を始める。
84
:
西京厚志
:2007/03/05(月) 03:43:19
>>83
「ふッ…ざけてんじゃあねえぞッ! クマ公ッ!
ムカついたッ! これからはテメーの思う通りには何一つ進めてやらねーッ!
別に『小クマがかわいそう』とかいうんじゃあねえ!
ただテメーがムカついたッてだけだクマ公ォーーーッ!」
『リラックマ』へと突撃する!
狙いは一つ…『チャック』だ! 指をひっかけ、ズリ下げてやるッ!
『ヘルメット』をしておいて良かったと心から思うぜ!
『キャラ』は『中の人』なんて見られたくねーから絶対抵抗しようとするしな!
85
:
→
:2007/03/05(月) 04:03:46
>>84
『西京』が突撃すると、『リラックマ』は小さなクマを片手で投げ付けた。
『グッシャア!』
クマに当たって後ろに倒れ込んだ『西京』を、『リラックマ』が見下ろす。
86
:
西京厚志
:2007/03/05(月) 04:25:11
>>85
「うごッ!? ハっ……んの野郎…。うおおッ!」
雄叫びを上げて立ち上がる。
「リラックスなんてさせねぇぞクマ公! 今すぐ出て行けッ!
さもなきゃあ叩き出すッ!」
右手にスパナを、左手に小クマを持って怒鳴る。
『リラックマ』にこちらに向かう動きが見られたら、
すぐにキッチンへと逃げ込んでドアを閉める。
(アレは『熊』じゃあない。動き方は人間そのものだ…。
しかし本物の熊のような『俊敏さ』と『怪力』を持っている。
脅威だが…殴るには腕を使うし、蹴るのには足を使う。
人間と同じ動きなんだ、あくまで『常識内』だ…。)
87
:
→
:2007/03/05(月) 04:33:23
>>86
『西京』は、リビングからキッチンへ飛び込むと、ドアを閉めた。
『リラックマ』が、追って来る気配は無い・・・・・・・・・・・。
「ゴボッ・・・・」
ふと、手に抱えていた小さなクマが、血ヘドを吐いた。
88
:
西京厚志
:2007/03/05(月) 05:17:57
>>87
「ああクソッ! なんなんだ! なんなんだよッ! 一体ッ!」
ドアから離れて、小クマを床に寝かせる。
「クソ! 血ィ吐きやがった! 胸糞悪ィ!」
寝かせるのは止めて、両足を掴んでブラ下げる。
こうする事でとりあえず気道に血液が入る事はない。
血ヘドを吐く=呼吸が出来る。という事だからな多分。
89
:
→
:2007/03/05(月) 17:13:18
>>88
両足を掴んだまま逆さに吊り下げると、小さなクマは力無く垂れ下がった。
「・・・・・・」
クマが、何かを呟く。
『ブリリッ』
90
:
西京厚志
:2007/03/06(火) 03:57:34
>>89
「ああ? なんつった?
ゲロやクソは許せねーが、あんまりにも哀れだからな、助けてやるよ。
言いたい事があるなら言え。今の姿勢ツラいか?」
リビングの物音に気を配りつつ…。
91
:
→
:2007/03/06(火) 23:42:34
>>90
『ガチャリ』
リビングのドアが、ゆっくりと開く。
ドアの隙間からは、『リラックマ』の顔が覗いていた。
『プ〜ン・・・・』
ふと、小さなクマの股の辺りから、不快な臭いが漏れているのに気付く。
92
:
西京厚志
:2007/03/07(水) 00:25:05
>>91
「もう一度言うが…クマ公。
俺を外に出せ。お前に近づく以外でだ」
クソ垂れた小クマから手を離す。
93
:
→
:2007/03/07(水) 00:36:18
>>92
『ドサッ!』
小さなクマは、鈍い音を立ててフローリングの床に落下した。
「クス・・・・」
『リラックマ』が、微かに笑う。
「外に出たいのかい?
━━━━━━━━━━━『ダメだね』。」
『ズズズズ・・・・・・』
94
:
西京厚志
:2007/03/07(水) 00:59:21
>>93
「クマ公が…!」
スパナを構える。『リラックマ』から目を離さず、『冷蔵庫』から
『新聞紙に包まれたネギ』を取り出す。昨日買ってきたんだ。
さすがにネギを生のまま食わないだろうしな。残っているはずだ。
95
:
→
:2007/03/07(水) 01:09:48
>>94
『ヌチャッ・・・・』
『西京』が冷蔵庫に向かおうとすると、嫌な感触を足の裏に感じた。
足元を見ると、小さなクマが這いずる様に動いている。
96
:
西京厚志
:2007/03/07(水) 01:12:33
>>95
「うッ…こ…こいつッ…!?」
とりあえず目的は『新聞紙』を手に入れる事。
小クマが冷蔵庫に向かうのだったら押し止めて冷蔵庫へ。
踏んでしまった靴下を脱いでそこらに放り投げる。
97
:
→
:2007/03/07(水) 01:26:31
>>96
靴下を脱いだ『西京』は、冷蔵庫に近付くと新聞紙に包まれたネギを
取り出した・・・・・・・・・・・。
98
:
西京厚志
:2007/03/07(水) 01:55:00
>>97
冷蔵庫を閉める。
新聞紙をスパナの先端に巻きつけ、『松明』のようにする。
「火が嫌いかどうかわからんが、ただ殴るよりは効果があるはずだ…」
小クマの行方と、ドアの隙間を見る。『リラックマ』はまだ覗いているのか?
99
:
→
:2007/03/07(水) 02:03:17
>>98
スパナに新聞紙を巻く『西京』を、『リラックマ』はドアの隙間から
ジッと覗いている・・・・・・・・・・・。
小さなクマは、いつの間にか床の上で動かなくなっていた。
100
:
西京厚志
:2007/03/07(水) 02:09:39
>>99
一歩横に移動する。ドアの狭い隙間からは見えなくなるだろう。
小クマは邪魔になりそうなので部屋の隅に寄せておく。これも隙間からは見えない位置に。
ポケットを探ってタバコとライターがある事を確認する…。
『リラックマ』がドアを開けたら思い切りドアを蹴飛ばし、一撃を食らわせる。
「……」
101
:
→
:2007/03/07(水) 02:30:00
>>100
『西京』が移動しても、『リラックマ』はドアを開こうとしない。
『西京』は、小さいクマをキッチンの隅に引き寄せる。
『ズルルゥ・・・・』
クマの身体から、不快な臭いが漂って来る。
気が付くと、室内にほんのりと異臭が漂っていた・・・・・・・・・。
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
クマの白い身体は、汚物に塗れている。
キッチンの床を這いずった跡にも、ベッタリと汚物が付着していた。
・・・・・・・・・・・・・『リラックマ』が、静かにドアを閉めた。
102
:
西京厚志
:2007/03/08(木) 02:11:51
>>101
「臭ぇ…」
小クマを仰向けにして、まぶたを開いて眼球を観察する。
呼吸、心拍など調べる。
103
:
→
:2007/03/08(木) 23:36:53
>>102
小さなクマを仰向けにすると、力尽きた様子で目を閉じていた。
まぶたの下には、黒いビーズの瞳がある。
すでに、呼吸も鼓動も止まっていた・・・・・・・・・・・・・・・・・。
104
:
西京厚志
:2007/03/08(木) 23:48:36
>>103
「チッ…駄目か…」
小クマを横たえてうつぶせにして、チャックの有無を調べる。
105
:
→
:2007/03/09(金) 00:20:58
>>104
クマの背中には、チャックが首の付け根から尻に掛けて縦に付いている。
106
:
西京厚志
:2007/03/09(金) 00:27:02
>>105
「ついて…る、な。クマ公をどうにかするヒントがあるかもしれない…。
スマンな…」
思わず固唾を飲み込み、チャックを開く。
ジィ…
107
:
→
:2007/03/09(金) 00:37:30
>>106
『ジィィ・・・・・』
チャックを開くと、中は空っぽ━━━━━━━━
/´〉,、 | ̄|rヘ
l、 ̄ ̄了〈_ノ<_/ (^ーヵ L__」L/ ∧ /~7 /)
二コ ,| r三'_」 r--、 (/ /二~|/_/∠/
/__」 _,,,ニコ〈 〈〉 / ̄ 」 /^ヽ、 /〉
'´ (__,,,-ー'' ~~ ̄ ャー-、フ /´く//>
`ー-、__,|
ふと、『西京』は、小さな物体がクマの中に転がっているのに気付いた。
小さな人形に似た物体は、干物の様に乾燥している・・・・・・・・・・。
108
:
西京厚志
:2007/03/09(金) 00:42:16
>>107
「なッんだ…とォ!?
…いや…なにかこの…人形のような…?」
その人形のような物体を手に取り、よく観察してみる。
109
:
→
:2007/03/09(金) 01:11:24
>>108
手に取った物体は、ミイラの様な人形だった。
触れると、微かに柔らかい・・・・・・・・・・。
110
:
西京厚志
:2007/03/09(金) 01:39:15
>>109
「ンだこれ…マジか…?」
直感だが…多分、『チャックを開けられると死ぬ』と感じた。
『キャラ』は『中身』を知られてはいけないという暗黙の了解があり、
その禁忌を破ったものには罰が与えられるような、感覚的なものだが…。
実際に、小クマは痛めつけられていたし、死の間際まで排泄をしていた。
最初から小さかったはずがない。
『リラックマ』を打倒しうる方法はただ一つ、『チャック』を開ける事だ。
しかしその結論に達する前に、『人形』についてよく調べる必要がある。
目を近づけてもう一度よく見てみる…。
腕を曲げてみたり、『間接』の有無を調べる。
この『人形』は『人間』を模したものか? それとも、『人間』とは異なる『人形』か?
111
:
→
:2007/03/10(土) 00:25:07
>>110
『ボロ・・・』
曲げようとした腕が、脆くも崩れ落ちる・・・・・・・・・・・それに続いて、人形の身体はボロボロと
風化するかの様に崩れ散った。
112
:
西京厚志
:2007/03/10(土) 05:12:35
>>111
「……だがヒントにはなったぞクマ…。
問題はどうやってクマ公の『チャック』を開けるか、だ」
台所へ行って、ガスコンロの火をつけて、そのままにしておく。
『もしも』の時のためだ。腕力で敵わないなら…。
そんな事を考えつつ、ライターで、スパナの先端に巻きつけた新聞紙に火をつけ、
ドアの隙間を遠巻きに見る。
113
:
→
:2007/03/11(日) 00:00:42
>>112
新聞紙に火を点けた『西京』は、リビングに通じるドアの方を見た。
ドアは、閉ざされている・・・・・・・・・・・・。
キッチンの床には、小さなクマの排泄物が塗り付けられている為、悪臭が
漂っていた。
114
:
西京厚志
:2007/03/12(月) 03:24:28
>>113
「臭ぇ…」
匂いにやられている余裕などない。
しかし胸騒ぎがする…。火をつけた新聞紙も燃え尽きてしまいそうだが、
『小クマ』の『着ぐるみ?』を手にとって調べてみる。
115
:
→
:2007/03/12(月) 14:33:20
>>114
小さなクマの着ぐるみを手に取ると、血や汚物がベットリ付着していた。
ふと、着ぐるみを拾い上げると、小さな紙片が足元に落ちる・・・・・・・・・・・・・。
見ると、それは写真の様だった。
燃える新聞紙から立ち昇る煙は、少しずつキッチンに広がって行く。
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