戦え！黒贄さん！！(夢の対決)

95：ぱくまん：2008/01/19(土) 04:49:24 ID:NwOr3BTY: 世界が内包する万物は、世界の創作物である。
世界が材料を揃え、望む形に加工し、時間を費やして完成させた作品である。
ゆえに、この世界の全ては彼であると同時に、彼の所持品でもある。

だが、
アレは違う。
あんなものを世界は創った覚えはない。
アレは、「創る」とは正反対のモノだ。
アレは、「彼が誕生する以前」に君臨していたモノだ。
彼が唯一、創れなかったモノ。
「創る」という行為自体が創ることを不可能にするモノ。
アレは、そう、たしか――

「＊＊＊＊＊＊＊＊」

アレが斜面を駆け下りてくる。
アレが彼に向かって突進してくる。
なんと単純な戦略だろうか。
捨て身と勇気を履き違えた突撃など、戦略として下の下である。
過去に何度もその手の連中を蹂躙している彼は
今回も同様に、その極彩色の怒涛で、アレを迎え撃った。

「＊＊＊＊＊＊＊＊」

だが、彼はアレを殺せないだろう。
そして、アレは彼を殺すだろう。
だが、それも当然。
彼が一番最初に定めたルールが、
何よりも明確に証明している。

この世の全ての有には、
いずれ無の終焉が訪れるのだと―――

「＊＊＊＊＊＊＊＊」

彼に終わりの刻が迫る。

愚鈍なまでの直進。

何の変哲もない凶器。

あらゆる機能を破壊された肉体。

何の役にも立たない覆面。

そして、その絶対零度の瞳には、世界の、「外」が―――

――そのとき――

――世界は初めて――

――恐怖に震えた。

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