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プチ住民(゚ε゚)キニシナイ!!

1プチ住民:2003/01/31(金) 19:21
愛好会スレのプチ住民の(゚ε゚)キニシナイ!!
おまいら、煽られちゃったり・放置されちゃったり、流れにのれずレスを外しても(゚ε゚)キニシナイ!!
そこにアキラたん(*´Д`*)ハァハァ(*´Д`*)ハァハァがあるなら(゚ε゚)キニシナイ!!
合言葉は(゚ε゚)キニシナイ!!

462盤上の月2(25) ◆RA.QypifAg:2012/06/10(日) 19:47:50

「そうだ、同じ年頃のヒカルがプロで指導碁が出来るってことに、興味持ってくれる人がいるかもしれ
ない!
それに北斗杯ってインターネットで中継するんだよね。
ウチの高校、パソコンがあるから少し見れるかも。ヒカル、北斗杯頑張ってね!」
「ああ、もちろん頑張るよ。去年は緊張しちゃって前半グダグダだったからな
じゃあそろそろ昼飯にするか。ラーメンでいいよな」
「え〜、ヒカルは相変わらずラーメンが好きねえ。私、もっとおしゃれなところでお昼したいよ」
ヒカルとあかりはお互いの昼ご飯の主張をしながら、喫茶店を出る。あかりは道沿いの店のウインドー
に映る並んで歩く自分達を見つめた。
―――私とヒカル、2人並んでいると他の人達からは付き合っているように見えるかな?
そう思うと、あかりは顔を瞬時に赤らめる。
行きかうカップル達は、手を繋いだり腕を組んだりと楽しそうに歩いている。
―――いいなあ。私もヒカルと手を繋いで歩きたいなあ……。
  私、ずっとヒカルを小さい頃から見てきた。これからもずっとヒカルを見ていきたい。
  ずっとずっとずうっと。……………でも、それっていつまでなんだろう………?
今まで湧いたことがない疑問に、あかりは少し戸惑う。ヒカルがいつも一緒にいることが普通であり、日常
であった小学生時代。中学生になるとヒカルは囲碁のプロの棋士になり、自分より早く社会人となっている。
自分と違う世界に身を置き、先々へと歩むヒカルを頼もしいと思う反面、どこか置いていかれるような気が
して、あかりの心は複雑に揺れる。
「あかり、こっちの店とあっちの店のどっち入る? オレはこっちのサンドイッチ店がいいな」
ヒカルが立ち止まり、二つの店を指してあかりに訊く。
「そこのサンドイッチ店はキッシュも美味しいんだって。でもあのパスタ店も捨てがたいなあ」
「おい、どっちなんだよオマエは」
ヒカルが笑いだすと、つられてあかりも笑ってしまう。ヒカルの笑顔は人の気持ちを明るくするところは昔
から変わらない。あかりはヒカルの笑顔が大好きだった。
「あれって……進藤君じゃないかい? 女の子とデートかな」
ヒカルとあかりが歩くところを、ふっくらとした体格の年配男性が視線を当てている。

463盤上の月2(26) ◆RA.QypifAg:2012/06/10(日) 19:48:47

アキラの碁会場常連客である広瀬が、たまたま通りかかり偶然に2人を目撃していた。
楽しそうに話しをするヒカルとあかりは、他者から見て恋人同士に見えなくもない。
「まあ、進藤君もお年頃だしねえ……、いいねえ若い子は」
広瀬はヒカル達の姿が人だかりで見えなくなるまで珍しそうに目で追い、その後行きつけの囲碁サロン
へ足を運ぶ。
「いらっしゃい広瀬さん、北島さんはお先に来ているわよ」
碁会場にはいつものように受付嬢の晴美が、笑顔で広瀬を迎える。
「こんにちは市河さん、今日はいい天気だね」
「遅いよ、広瀬さん」
すでに席についている北島が、広瀬に苦言を放つ。
「いやあ、すまんです北島さん。今日、つい珍しい光景を目にして遅くなってしまって。
おや、今日は若先生が来ているんですね、お久しぶりです」
「こんにちは、広瀬さん」
奥の席で1人棋譜並べをするアキラは、広瀬に頭を軽く下げて挨拶をする。
「珍しいって何を見たんだい?」
北島が広瀬に訊くと、広瀬はヒカルが女の子と歩いているのを見たことを話し出した。
「いやあ、進藤君もやるもんだねえ。女の子は遠くから見ただけだけど、結構可愛い子でしたよ」
「へっ! 若先生はここで碁の鍛錬をしているのに、進藤はデートかい。いいご身分なことだな。
進藤なんざ棋聖戦の最終予選決勝で落ちて、今いちパッとしないぜ」
緑茶を淹れて広瀬へ運ぶ晴美は、顔をしかめながら北島を諌めるように言う。
「北島さん、最終予選決勝に残るってすごいじゃない。
それに進藤君だって年頃なんだから、デートの一つや二つはするでしょうよ」
「そうだよねえ市河さん……、確かに年頃だものねえ……でもそれは進藤君だけじゃないよね……」
「うん………その……頑張れっ……市ちゃん!」
広瀬と北島は2人顔を見合わせて、心配そうに晴美を見つめる。妙齢の晴美が独身であるのを密かに心
配しているのは他客にも多いので、独特の雰囲気が碁会場に漂っている。
年配男性2人が良縁の無い自分を心配しているのに気付いて、晴美は声を荒げた。
「おふたりに心配されなくても結構ですっ!  私はこれでも毎日楽しいのよっ!」
北島らがヒカルの話で盛り上がるのを、アキラは棋譜並べを続けながら静かに聞いていた。
碁石を持つ手が一瞬だが強張り、そして口元をきつく噛みしめる。アキラの瞳には暗い光が滲み揺らぐ。
ほとんど見ず知らずのあかりに対して、アキラは煮えたぎるような激しく赤黒い感情にかられる。
アキラの心に、嫉妬が芽生えていた。

464盤上の月2(27) ◆RA.QypifAg:2012/06/10(日) 19:51:38

第2期北斗杯選手代表選抜―――東京予選。
昨年と同じくヒカル・和谷・越智・稲垣が勝ち、選抜戦本戦へと進む。

第2期北斗杯選手代表選抜―――本戦
今年はヒカル・和谷が勝ち抜いて、代表選手枠を獲得。
社は以前から不調が続き、今回も本調子を取り戻せなくてあえなく敗退。
和谷は昨年の悔恨をバネに成長が著しく、出場者達も目を見張った。
今年の日本代表は、塔矢アキラ・進藤ヒカル・和谷義高の3名に決定となる。
アキラは選抜本戦の当日は仕事が入っており、日本代表枠を知ったのは仕事後に出向いた棋院で週間碁
の記者・古瀬村に問い合わせてからだった。

ロビーで古瀬村に声をかけられたアキラは、北斗杯・日本代表決定のメンバーを聞いて「そうですか…」
と、一言のみ答える。
「やっぱり今年も進藤君が選ばれたね。でもそれって当然だけど。
社君は残念だったけど、和谷君の活躍も楽しみだよ」
「ええ、こういう場は数多く経験するほうがいいでしょうから、いろんな人が出場したほうが好ましい
と思います」
「今年こそ打倒韓国・中国だよ塔矢君! 期待しているよっ」
握りこぶしで熱く語る古瀬村に対してアキラは頷きながら、ヒカルの事を思い出す。
真正面からヒカルへと向き合う時期が来たことを、アキラは密かに待ち望んでいた。
アキラは家には帰らずに囲碁サロンへ行き、いつもの指定席へと座る。困難な事が起こったら逃げずに、
その事へと立ち向かうのがなによりも近道──碁を通してアキラはそのことを知っていた。
ただ今日は1人で家にいるよりも、人のいる所へ身を置きたかった。ここへ来れば晴美が笑顔でいつも
で迎えてくれ、他の客も声をかけてくれる。アキラにとって落ち着ける場は、幼い頃からこの碁会場だ
った。
晴美がコーヒーを持ってきてくれた直後、聞きなれた声の主が碁会場へ入って来た。
「こんにちは市河さん。ここにアキラ君が来ているかな?」
「緒方先生、こんにちは。アキラ君なら、ちょうど今来たところですよ」

465盤上の月2(28) ◆RA.QypifAg:2012/06/10(日) 19:52:37

晴美はカウンターへ戻り、緒方へ挨拶しながらアキラのほうへ顔を向ける。
「こんにちは緒方さん」
アキラは席を立ち、緒方に頭を下げて挨拶する。
「キミは家にいない時に大抵ここにいるのは、昔から変わらないなあ」
緒方はアキラの対面の席へ座る。
「………訊いたかい?  北斗杯のメンバーを」
「はい。緒方さん、もう耳に入ったのですか。いつも情報収集早いですね」
コーヒーを飲みながらアキラは、緒方の情報収集力の素早さに舌を巻く。
アキラと緒方の周りにいる客達は2人の会話を聞いてざわめくが、どことなく緊迫した感じがあるため
口を出せず静かに聞き耳を立てている。
「まあ、いろいろとネットワークを張り巡らせているからな。
……やはり進藤が出てきたな。予想通りではあるが楽しみなことだ。
昨年、北斗杯はすごく話題に上がっていたから皆注目しているのさ。
進藤が韓国の高永夏と、ほぼ同等の力があることを証明したのがこの大会だったからな」
「ええ、そしてこの大会に出た者は今後、日本・世界とも注目されていくでしょう。
あの社のように。とても意味のある日中韓Jr・団体棋戦です」
「確か今年は社じゃなくて……」
「和谷君です、和谷義高。進藤と仲が良いと聞いてます」
「あら、もう北斗杯のメンバーが決まったんですか。緒方先生はコーヒー、ブラックでしたよね」
晴美が緒方の分のコーヒーを盆に乗せて机へと運ぶ。
「どうも市河さん。北斗杯メンバーは今日決まったんですよ」
晴美が2人の間に入ったことから、北島が割り込む。
「北斗杯、今年も期待してますよ、若先生っ!」
北島が話し出した途端、碁会場の客達が一斉にアキラと緒方の席を取り囲み、アキラへ激励を飛ばし始
めた。
「ぜひ今年こそ韓国戦の大将をやってくださいよ」
「でも進藤もこの1年で成長したようだから、今年どうなるか見てみたいよな」
「何言ってるんだ! 若先生が大将やるところが見たいんじゃないか!」

466盤上の月2(29) ◆RA.QypifAg:2012/06/10(日) 19:53:54

碁会場内は一気に活気付き、その騒ぎを眺めてアキラは徐々に気分が高揚していくのを感じた。
皆が一心に応援して期待する北斗杯を、今年こそ白星を勝ち取りたい。
強い決意がアキラの中に固まっていく。
「あとアキラくん。もう一つキミに伝えたいことがあるんだ」
緒方はコーヒーを手にしながら、ちらりとアキラを見る。
「実は、今年の北斗杯の団長はオレなんだよ」
その場にいる者達は、一瞬言葉を失った。
十代の少年達のまとめ役を行う緒方というのが、想像出来ないからだ。
「………緒方さんが……ですか……?」
聞き間違えたかと思い、アキラは目を丸くしてもう1度そのことを緒方へ問う。
「ああそうだ、オレだよ。オレが申し出たんだ。
これから世界で活躍する輩を、この眼で見たいじゃないか。絶好の機会だ」
―――遠くない先にオレの前に現れる敵を、この眼で確かめたいのさ。
豊かな才能の開花していく様を、その場で見合わせる。自分で自覚は無いが、アキラに負けず劣らずに碁に
全てを手向ける緒方にとって、北斗杯は精神向上を鼓舞すべき格好の場であった。
緒方の心意はアキラには汲み取れないが、以前からヒカルに対して強いこだわりがあることを知っている。
―――進藤のライバルは他の誰でもない、このボクだっ!
アキラは眼力を強めて緒方へ見返すが、緒方の眼鏡は陽に反射して表情が読めない。
緒方はアキラの視線に気付き、コーヒーを飲みながら口元に不敵な笑みを浮かべた。


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