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長編UP専用スレッド 2

1嵐 </b><font color=#EE00FF>(MOUSOU1Q)</font><b>:2003/10/08(水) 21:01
最初のスレの容量が大きくなってきたので新しく2を立てました。
「有閑倶楽部」の二次創作作品(パロディ作品)のうち、長編でしかも
本スレには作品をUPしにくい時は、ここをお使いください。

短編UP、作品への感想・小ネタ雑談は、別スレがありますので
そちらに書くようお願いします(感想を本スレに書くのも勿論ありです)。

関連スレッド、関連サイト、お約束詳細などは>2-5のあたりにまとめて
載せますので ご覧くださいませ。

280有閑名無しさん:2013/12/17(火) 22:16:41
「まるで脱兎のごとく逃げてしまいましたわ。私、止めたのですけど」
剣菱邸に見舞いに来た清四郎。もぬけの殻のベッド。先に来ていた野梨子が一人悠理の部屋で待っていた。
「全く…あれほどじっとしておくように念を押したのに」
「悠理、相変わらずの食欲でとても元気そうですわ。幽体離脱がどういうものか
分りませんけど、そこまで安静にしなきゃいけませんの?」
「生死の境を行き来するわけですから、心も身体も相当消耗します。
いくら体力があるといっても休まなければ後でガタが来ます」
「でも、なんだか、その」
「ん?」
「悠理が嫌がるのも無理ありませんわ。ここ数日の清四郎はちょっと」
「何ですか?」
「過保護というか、世話を焼き過ぎです」
「鬱陶しいですかね」
悠理が倒れてから、清四郎は剣菱邸に泊りこそしないものの足繁く悠理の元へ通った。
勉強を教え世間話をして、寝静まるのを見届けるだけだったが幼馴染の変貌に野梨子は
驚きと不安を覚えた。
「一体何がありましたの?悠理の憑依体験は今に始まったことではありませんわ。
何がそんなに清四郎を駆り立てますの?」
「いつもの事と軽く考えてはいけませんよ。悠理だって普通の少女だと言ったのは野梨子です」
「それはそうですけど…もう、力が有り余って仕方ない状態ですの。
学校は行ってもいいんじゃありませんの?却ってストレスが溜まりますわ」
「それはそうですね。でも僕の気持ちが…」
「清四郎の気持ち?」
「僕の気持ちがおさまらないのです。悠理を失うかもしれない
あの時の恐怖を思うと僕は…」

281有閑名無しさん:2013/12/17(火) 22:21:01
その時の光景を思い出したのか、清四郎は額に手を当て苦しそうに眉を寄せた。
「僕の腕の中で悠理がどんどん冷たくなって…あの時ほど自分の無力さを感じた事はありません」
「その時のトラウマが今の過干渉に繋がってますの?」
「かもしれないですね。ともかく悠理が生きている事を確認したいのです。
暴れても憎まれても構わない。生きていてくれさえすれば…」
清四郎の目にうっすらと光るものを見たとき、野梨子はガタンと席を立った。
急いで奥のドアのほうへ向かい、バタンと勢いよく開けた。
そのドアの向こうは部屋続きの書庫だった。
「悠理!悠理!」
「ふぁ!?」
薄暗い書庫に人影が見え、悠理が肉まんを頬張っていた。
どうも隠れていた悠理を野梨子が匿っていたらしい。
「清四郎に謝って下さいな!清四郎は、清四郎はこんなに…!」
悠理の肩を掴む野梨子に面喰らう悠理。
「な、何だよ野梨子。あーお前裏切ったな〜!言いくるめて追い返すって言ったじゃねーか」
「まさに親の心子知らずですわね。清四郎があなたの事をどんなに心配しているか…
少しは考えた事がありますの?悠理、あなたはちっとも清四郎を理解していませんわ!」
「…んだよォ、知るかよそんなこと」
悠理が清四郎を見上げると、いつもクールな男が泣き笑いのような表情で立っていた。
「何、鼻の頭真っ赤にしてんの?もしかしてあたいの事で?」
「……なわけないでしょう、最近鼻炎なんですよ。ここは埃っぽいですからね。
僕が悠理を心配?冗談でしょう。化物なみの生命力を持った奴を何で僕が…」
「騙されないで悠理!清四郎は口ではそう言ってますけど、それは単に性根が曲がってるだけですわ!
本当はどんなにあなたの事で心砕いているか…」
「の、野梨子!何ですか、そのフォローは」

282有閑名無しさん:2013/12/17(火) 22:25:13
「とにかく今日は帰ります。悠理、明日学校で会いましょう」
「やった!学校へ行けるんだ!魅録も来てるんだよな。よーし久々に遊べるぜ」
なぜか剣菱家の主治医のような立場になってる清四郎。それも絶大なる信用を
得ているために、鶴の一声で悠理の登校が決まった。
「魅録と遊べるかは、どうでしょうね」
「ですわ、ね。体育部長は忙しいですものね」クスリと野梨子が笑う。
「じゃあ悠理、お大事に。野梨子帰りましょう」
「ええ。先に行ってて下さい。すぐに帰りますわ」
清四郎は部屋を出て行った。残された野梨子は悠理に顔を向けニコリと笑う。
「な、なんだよ」
「本当は悠理も分かってるんでしょう?清四郎のああいう焦った顔、私には滅多に見せてくれませんのよ」
「はあ?何言ってんだよお前。いつもの嫌味なヤローだったじゃねーか。
なんか最近、絡んできやがって迷惑してんだよ」
「悠理、顔は嫌がってませんわよ」
「ば、ばーたれえ!お前もう帰れよ!」
「はいはい、分かりました。じゃあ明日学校で」
野梨子も部屋を出て行った。少しして悠理は部屋の窓から庭を覗いた。
清四郎と野梨子が並んで帰って行く。安定の幼馴染カップルだ。
(あ〜あ。すっげえお似合いじゃねーか)
なぜか胸がズキンと痛む悠理。
(あん?食い過ぎ、じゃねーよな。なんなんだこの気持ち)
倶楽部内での役割があるとすれば悠理ペットか悪ガキ、野梨子はお姫さまだ。
男どもはその騎士、悠理もなぜかその一人として数えられている。
しかしここ数日、最強の騎士がなぜか姫を放って悠理を心配している。
しかも眉を吊り上げて怒り狂うと思っていた野梨子が、まるで悠理の背中を
後押しするようにけしかけてくる。そんな状況に悠理は戸惑った。
(一体どういうことだよ)




続く

283有閑名無しさん:2013/12/23(月) 10:42:32
本スレの方へ転載しますか?
お返事お待ちしております。

284有閑名無しさん:2013/12/27(金) 11:14:21
282です。
283さん、規制解除されました。本スレにも転載されてました。
お気遣いありがとうございました。


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