[
板情報
|
カテゴリランキング
]
したらばTOP
■掲示板に戻る■
全部
1-100
最新50
|
1-
101-
この機能を使うにはJavaScriptを有効にしてください
|
【バンパイアを殲滅せよ】資料庫
166
:
佐井 朝香
◆GM.MgBPyvE
:2020/11/08(日) 08:20:31
これって……ハッピーエンドよね?
何が面白いのか解らないけど、田中さん、涙が出るくらい笑ってたし、ハムくんも嬉しそう。
……で。お話も終わったみたいだし、そろそろ……
って麻生君を見れば、眼を真ん丸にして明後日の方を見てるじゃない。
つられてその方を見て……あたしまで眼を奪われちゃった。
再後席の、あの一番高いところに、桜子さんと柏木さんが立ってたの。いつもの白いドレスと、黒のスーツを着て。
うっすらと後ろの扉が透けて見えてて。二人とも笑ってて。
振り返ればまだスヤスヤ眠ってる宗に秋桜ちゃん。
で、もう一度そっちを見れば……もうその姿は何処にも無くて。
眼がキュッと熱くなって……でも堪えたわ。まだ仕上げが残ってるもの。
『麻生君! ほら!』
合図に気付いた麻生君が、噛みしめてた唇をフッと緩めて、そして――両腕を斜め上に持ち上げて――
始まったわ! 大合唱の続き!
凄い音量! ホールの壁がビリビリしてる!
もう我慢なんかしなくていいわね?! 泣いちゃってもいいわね!!?
ガシッと宗が腰に抱き付いてきて。
あはっ! 流石に起きたみたい!
そしたらハムくんがこっちに手を伸ばして、宗を軽々と持ち上げて。
魁人も、子供さん(陸翔くんって言ったかしら?)を肩車とかしてて。
見れば麻生も、娘ちゃんを腕に座らせてる。
そんなあたし達を、歌い手たちにあっと言う間に囲んで。手を繋がれたりして。
あはっ! もう一緒に歌うしかないじゃない!
ほんと凄い!
天を劈(つんざ)くってこのことよね! そして最後の……ほんとに最後のクライマックス!
余韻が唸る大ホール。
ハムくんが、差し出された花束を受け取って。囲まれた人達に握手とか写真とかせがまれちゃって。
可愛い〜! ハムくんったら、すっごく照れてるの!
たぶん、初めての経験なのよね!
でもやっぱりハムくんはハムくんだった。すぐに我に返った顔して叫んだの。
「沢口はいる!!?」
「ここです! すぐ後ろに!」
「記者会見の準備だ! いますぐ現状を国民達に伝えるんだ! 急げ! 閣僚たちを招集しろ!!」
「それについて、たった今、二木元総理から連絡が入りました!」
「え!? 二木さんが、なんだって!!?」
「会見内容についての閣議書はすでに回し終えたと! あとは総理の花押(閣僚の署名)を頂くだけだと!」
「ず……随分手回しがいいね! もしかして報道陣への手配も済んでる!?」
「すでに官邸に集まっています! 明日の朝刊の差し替えに間に合うかと!」
群衆を押し分けながら、舞台袖に向かうハムくんたち。
「待ってハムくん! ひとつだけ、言っておきたいことが!!」
でも駄目! ぜんぜん聞こえてない!
ほんと……ハムくんたちのお仕事って……息つく暇も、ないのよねぇ……。
167
:
佐井 朝香
◆GM.MgBPyvE
:2020/11/08(日) 08:25:00
『本日を持ちまして、ラミア発症者――いわゆるヴァンパイアと呼ばれた存在が、日本において撲滅した事を宣言いたします!』
画面に大写しになったハムくんの顔に、パシャパシャっと焚かれるフラッシュが当たってる。
あたしは……リモコンのスイッチを押した。
プツン、とブラックアウトするモニター画面。
「もう……ハムくんったら。ほんと早とちりなんだから」
「宜しいのではありませんか? 『一応の区切り』と、そう考えればいいのです」
「柏木さんったら、随分と丸くなったんじゃない?」
あたしは腕を組んで、椅子の背中に寄り掛かった。ギシッ、と軋む背板のスプリング。
出入口の扉の傍に立ってるのは、黒スーツの柏木さん……の幽霊。
……驚かないわよ。
死んだと思ったら生き返ったり。消えたと思えば当然のように出て来たり。柏木さんったら、いつもそうだもの。
「大勢に影響はないでしょう。なにしろ貴方には通常のヴァンパイアが持つ悪しき特徴が何一つない」
「血を吸わなきゃいい、迷惑かけないからいいって話じゃないわ。情報が正確じゃないって事が問題なのよ」
「まあ……そうですけどね」
「そうよ! あたしはまだヒトじゃない! ヴァンパイアのままなんだから!」
そういう訳! あたし自身は治ってなんかいないの!
あたしは医者であって患者じゃないもの。自分で自分は治せないもの。
「ですが貴方の力はまだ必要です。この世のすべての人間から……ヴァンパイアゲノムが消え去らない限り」
「わかるわ。真祖はいつどこで出現するか解らない。そういうことよね?」
柏木さんが何も言わずに頷いて。でもあたしは複雑。
そりゃあ……もともとのあたしの願いは叶ったわよ? ずっとこの仕事を続けていたい。それがあたしの望みだもの。
でもあたし……宗やハムくんとお別れしたくない。
宗やその子供たちや孫たちが、歳をとって死んでしまっても……あたしだけが若いまま。それって凄く――
「あたし……この先ずっと……先に逝ってしまうしまう人達を送らなきゃならないの?」
柏木さんが哀しそうな眼であたしを見て。
あたし、また「あの言葉」を言われるのかと思って胸のあたりがキュッとして。
でも柏木さんは言わなかった。「ヴァンパイアの道は永遠の闇」だと。
「いつか貴方も見つける筈です。田中さんが貴方を……見つけたように」
「そうかしら」
「そうです。田中さんも言っていました。ヴァンパイアは決して滅びない。滅びないわけがあると」
すっかり葉が枯れ落ちて、オレンジ色の柿もぜ〜んぶ?がれちゃって。
でもそのてっぺんに、しがみついてる柿の実がひとつだけ。
来年も沢山実がなりますように。無事にすべて済みますようにって。
あたし……そんな御役目を果たせるかしら。
たった一人で。田中さんみたいに。
「貴方らしくもない。差し当たってやるべき事がおありでしょう?」
「え?」
コンコン、とノックの音。
ドアの摺りガラス越しに映る黒い人影。あたしを呼ぶ苦しそうな声。
そうよね、ここは診療所で、あたしは診療医だもの。やるべき事は……決まってる!
カチャリとドアを開ける。廊下には点々と散る赤い血痕。
「またあなたなの? 無茶しないでってあれほど――」
ヴァンパイアを殲滅せよ――FIN――
168
:
佐井 朝香
◆GM.MgBPyvE
:2020/11/08(日) 08:35:39
あらら、柿の実をもぐの「も」が文字化けしちゃったわね!
最後の最後まで詰めが甘いんだから!
169
:
◆GM.MgBPyvE
:2020/11/08(日) 08:47:57
ようやくの終了です。
水流先輩には心からの感謝を!
始まりのきっかけを与えて下さり、しかも桜子という素敵なキャラまで頂いて……
近いうち、自分の書いた分をそれらしくまとめ、しかるべき場所へ投稿しようかと目論んでおりますが……あくまで目論みですが……
いままで読んでくださったり、応援くださった方々には心よりお礼申し上げます。
ありがとうございました!
170
:
名無しさん
:2020/11/16(月) 10:28:23
おつかれさま
読んでたよ
171
:
名無しさん
:2020/11/17(火) 01:03:31
お疲れ様
無事完結おめでとう
172
:
◆cGQ3.aXF/Q
:2021/05/29(土) 23:09:13
ようやく「しかるべき場」への投稿が完了しましたのでご報告いたします
(18禁要素を出来るだけ削除しております)
https://ncode.syosetu.com/n3265gw/
新着レスの表示
名前:
E-mail
(省略可)
:
※書き込む際の注意事項は
こちら
※画像アップローダーは
こちら
(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)
スマートフォン版
掲示板管理者へ連絡
無料レンタル掲示板