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創発発のキャラクター総合in避難所3
1
:
名無しさん@避難中
:2016/02/03(水) 01:01:17 ID:XXE2Pd720
創発発のキャラクターで創作するスレです。
もちろん新たなキャラを創作するのもアリ。
作品まとめ。
創作発表板@wiki - 創発発のキャラクター総合
http://www26.atwiki.jp/sousaku-mite/pages/300.html
キャラまとめ
創作発表板 裏まとめwiki - キャラクター
http://www1.atwiki.jp/souhatsu_ggg/pages/35.html
現行スレ
【無限桃花】創発発のキャラクター総合4【H・クリーシェ】
http://hayabusa6.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1318851406/l50
2
:
名無しさん@避難中
:2016/02/03(水) 01:03:42 ID:0Qh2OrLw0
>>1
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3
:
名無しさん@避難中
:2016/02/03(水) 01:20:34 ID:rMJtHkdIO
乙いなり!
4
:
名無しさん@避難中
:2016/02/03(水) 10:49:09 ID:MndTxQYI0
乙だぜ!
5
:
名無しさん@避難中
:2016/02/04(木) 00:15:27 ID:yUB7kllY0
乙です
6
:
キャラスレバックヤードその13
◆wHsYL8cZCc
:2016/02/04(木) 01:54:22 ID:5XiNkAvw0
その場所はすぐに見つけることが出来た。大きなコンクリートの壁が崩されている。中に入ると空調が効いていて、照明もついていた。目的の配線用の地下トンネルだ。
中は十五メートルほどの廊下で、地上に出るドアと梯子、そして避難所まで続く通路につながるドアがあった。そのドアの反対側は変電所の地下室につながっていて、なにがあるかは解らなかったが、設備が稼働している音が聞こえた。
天井にある地上へ続くドアは地上の事務所にあったものと同じく毒ムカツクによって封印されていた。おそらく地上へ逃がさないためだろう。
そして避難所へ通じるドアは封印こそされていなかったが、鍵がかかって開かなかった。
電気的に作動するドアらしく、いまはドアに通電されていない。なので、鍵を解除することもできない。大きな分厚い金属製で、毒ムカツクでも手が出せなかったようだ。ドアには鍵を解除する方法がテプラや標準類を載せるするクリアファイルで表示されていた。毒ムカツクは字は理解できないらしい。
所詮はただの動物か、と、倉刀は安堵したが、その動物に追いつめられている現状をすぐに思い出し、背筋が寒くなった。
「簡単だな。制御室で操作盤のスイッチ押せばいいだけだ」
クリアファイルをチェックしていた裏刀が言った。
「このドアの反対側の通路の先だよ。建物自体はデカくない。地下ったって目と鼻の先だ」
通路の反対側を見た。
廊下があって、曲がり角が見えた。そこを曲がった先が制御室らしい。通路の表示にもそうあった。
さっさと行こう、と裏刀が言った。
7
:
キャラスレバックヤードその13
◆wHsYL8cZCc
:2016/02/04(木) 01:54:44 ID:5XiNkAvw0
制御室に入るなり、二人は言葉を失った。
そこだけ真っ暗だった。
コンソールパネルの一部は動いていたり、蛍光灯の何本かは光っていたので、電気は通っている。
だが、部屋の中がめちゃくちゃに荒らされていた。
そして、奥には大きな穴が開いていた。
さななる地下への入口だ。
「無視するよな?」
もちろん、と倉刀は答えた。目的はドアのスイッチを入れ、鍵を解除することだ。余計な事をしている暇はない。手分けしてライトを頼りに操作盤を探した。それは壁にあった。金属のボックスに蓋がされていて、『ドアスイッチ操作盤』とテプラが張ってあった。
「さすが工業。わかりやすくて助かる」
裏刀がボックスを開け、鍵と名のつくスイッチを手当り次第に押した。開閉の小さなランプがいくつかあって、どれが正解かわからないから、全部が開のランプが点くようにした。
廊下の向こう側から、びー、とブザーが鳴って、がちり、と重い金属音がした。
ドアの鍵が解除されたのだな、と分かった。
もう制御室に用はないので、二人とも踵を返して、部屋を出ようとした。
が、倉刀は歩を止めて裏刀にもとまれ、と言った。
足元が変なのだ。
最初に落ちた落とし穴のように、妙に緩いというか、床を踏んだ感触が違うというか、そんな気がした。
後ろにある、大きな穴を思い出した。
「そういえば、僕らはなんでここに閉じ込められたんだろ」と言った。裏刀は「知るかよ。新鮮なエサか何かと思っているんだろ、どうせ」と答えた。
「そうだよね、新鮮なエサなんだよね、僕ら」
「ああ、もう嫌な予感が最高潮だよ」
地面が揺れた。
リノリウムの床が波打って、コンクリートが破砕したのを感じた。直後に、背後にある大きな穴から順番に、床が陥没していった。
二人は二度目ともあって冷静だった。壁際に走り、ドアのちょうつがいや、柱に掴まった。フロア全体の床がほとんど崩れたところで、壁をずり落ちるように降りて行った。制御室の下は、そこからさらに二メートルほどの深さの地下室だった。ただし、壁はコーティングされている。毒ムカツクがこしらえた部屋だ。
その中央には、半透明の塊があった。
ゾンビ桃花やゾンビモブやゾンビ謎生物が集められ、粘液で固められた大きな一つのゾンビの塊だ。
まだ、一部は動いていた。
裏刀はショットガンを構えて、倉刀は懐の500マグナムを抜いて、シリンダーを一旦スイングさせ装弾を確認した。そして、それを構えた。
ゾンビの塊の陰から、何かが出てくる。
大きかった。身長は三メートルはある。倉刀がライトで照らすと、それは毒ムカツクによく似ていた。だが、大きさがまったく違う。
無表情に近い顏も、頬がさけ、臼歯が見えるほど大きく口を開けることが出来そうで、事実それは大きく口を開け、涎を垂らしていた。脚は毒ムカツクのように紫だったが、それとは違い、跳ねるより歩行に適したような直立した脚だった。
「俺らはコイツのエサだった、ってことか」
それは粘液で固められたゾンビの塊の一部をまだ咀嚼していた。
飲み込んで、こちらを見た。この世のものとは思えぬ不快な鳴き声を出して、嬉しそうに口角を上げた。
「たしかこいつ、タノメバヤラセテクレルだっけ? ならコイツは毒ヤラセテクレルだな」
裏刀はショットガンの銃口を毒ヤラセテクレルの顏に向けた。
つづく
8
:
キャラスレバックヤードその13
◆wHsYL8cZCc
:2016/02/04(木) 01:54:54 ID:5XiNkAvw0
2レスいってもうた
9
:
名無しさん@避難中
:2016/02/04(木) 02:00:41 ID:zLYrmrMg0
ヤバいのにボス名に緊張感がwwwwwwww
10
:
名無しさん@避難中
:2016/02/04(木) 02:16:26 ID:rQxhBmnw0
殺らせてくれる
11
:
名無しさん@避難中
:2016/02/04(木) 04:12:35 ID:eexhMDfU0
毒がついてるとこに「ドクオ」やら「ドクジョ」やらと同じものを感じてつらい
12
:
名無しさん@避難中
:2016/02/06(土) 23:51:08 ID:Fivzrs7w0
ttp://minus-k.com/nejitsu/loader/up46890.jpg
ttp://minus-k.com/nejitsu/loader/up46892.jpg
代行です
13
:
名無しさん@避難中
:2016/02/06(土) 23:53:05 ID:sXEZRCKc0
あ、アアアア!ありがとう!ありがとうございます!!
14
:
名無しさん@避難中
:2016/02/07(日) 21:44:20 ID:XmcRPuEk0
今更だけどああぁぁぁああ!!!!!
15
:
キャラスレバックヤードその14
◆wHsYL8cZCc
:2016/02/09(火) 13:45:24 ID:iMYMXYNg0
裏刀が引き金を引く。銃声がして、マズルフラッシュが光る。オレンジの光が線を引いて飛び出したのが見えた。それが毒ヤラセテクレルの顔面に命中した。巨体はのけ反って、一歩後ろに下がった。倉刀も発砲し、怖鳥類の脚のような爪が生えた脚に当たった。
銃創から紫の体液が垂れているのが見えた。
毒ヤラセテクレルは怯んだように見えたが、そうではない。すぐにこちらを見返して、深く窪んだ眼窩の奥にある小さな目で睨んで、歯を見せて唸り声をあげた。ダメージはない。
そして大口を開け、叫んで突進してきた。動きはゆっくりに見えたが、巨体ゆえにそう見えるだけだ。三歩も歩くと、すぐに二人の目の前に来て、前蹴りを放った。壁に当たり、大きくえぐれ、地面が揺れるほどの衝撃があった。二人は左右に分かれて飛び跳ねかわしたが、毒ヤラセテクレルは蹴った脚を戻さず、そのまま横にいる倉刀に踏みつけを繰り出してきた。
転がって回避して、見上げると、毒ヤラセテクレルが憤怒の表情でこちらを見下ろしていた。
大きな頭だった。
八十センチほどの頭部は、人間の顏に似ていた。頬が裂けた顏は臼歯がびっしり並んでいて、犬歯は鋭く尖り、前歯は薄く、ナイフのようだった。奥で棘が生えた舌が動いていた。そして、死臭が噴出していた。ゾンビを食べているからだ。
再び銃声が聞こえた。倉刀を見下ろしていた毒ヤラセテクレルはまたのけ反って、叫び声をあげた。裏刀が背後から発砲したのだ。
毒ヤラセテクレルが振り返って背後を見た。
その隙に倉刀は立ち上がって、鉄パイプを持った。何度もゾンビを殴った鉄パイプの先端は黒ずんで、すり減って鋭くなっていた。それを、真横にある毒ヤラセテクレルの大きな足の甲に突きたてた。
また叫んで、毒ヤラセテクレルは身震いをした。体重をかけて思い切り突き刺した。怖鳥のように屈強だったが、比較的に先端は薄い。貫いて、地面まで突き刺さった。
その場を離れて、今度は500マグナムを構えた。
裏刀は駆け寄っていった。
倉刀が足に鉄パイプを突きたてたのを見ると、確信した。ダメージは与えられる。殺すことが出来る。
背後から一気に近寄り、ショットガンを構えた。狙いは脚だ。倉刀が鉄パイプを突きたてた脚の関節の裏側。膝にあたる部分を狙った。ちょうど自分の頭の上あたりの位置だ。
迷いなく、ほとんどゼロ距離から発砲した。
紫の体液が飛び散るのが見えた。同時に、毒々しい色の肉片も飛び散って、骨まで見えた。ちぎれるほどのダメージは与えられなかったが、十分だ。
事実、毒ヤラセテクレルはバランスを崩して倒れた。
毒ヤラセテクレルが転倒しそうになるのを見て、倉刀は下がった、下敷きにされるかもしれないと思った。
だが、それは倉刀のほうには倒れず、横に倒れて地面を転がった。その拍子で足に刺さった鉄パイプが抜け落ちた。
のた打ち回って、脚をばたつかせて暴れた。そのあと、何とか立ち上がろうとしていた。
まだ顏は憤怒の表情だった。
倉刀は500マグナムを構える。相手は暴れているが、大きく動いているわけでもない。
冷静に眉間を狙って、発砲した。
そして、それは毒ヤラセテクレルの額に大きな穴をあけた。裏刀がトドメとばかりに、さらに至近距離から頭に向かってショットガンを連発した。毒ヤラセテクレルの動きが止まるまで、しばらくかかったが、やがて動かなくなった。あたりに紫の体液と死臭が立ち込めた。
「ほんとに死んだのかな」
「さぁ? だとしても、もう動かないし、この脚じゃ追っては来れないだろう」
裏刀の言うとおり、脚は膝がほとんど破壊されている。
「とはいえ常識はずれの化け物だ。ゾンビを食うようなヤツだしな」
裏刀はそういって、部屋の真ん中にあるゾンビの塊を銃口で指した。
ゾンビ特有の異臭はしていない。おそらく、全体をコーティングされているからだ。
「地下に潜った時に臭くなかったのはこれのせいだな。粘液で固められて密封されてるんだ。鮮度を保つためかな? 元から腐ってるけど」
裏刀が興味深げに見ていた。倉刀はそれよりも、と500マグナムに弾薬を再装填し、早くここから出よう、と言った。
そして二人で今いるフロアから這い上がって、ドアを開けて地上に出た。
最初に来た廊下を戻って、避難所に続くドアの前に行こうとして、歩を止めた。
大量の毒ムカツクが、そのドアの前に折り重なるよに集まって、身震いしていた。
つづく
16
:
名無しさん@避難中
:2016/02/09(火) 13:54:00 ID:DNOpABss0
やばい
17
:
代行
:2016/02/09(火) 14:24:58 ID:l2XeXQzs0
こええ
18
:
名無しさん@避難中
:2016/02/09(火) 17:23:16 ID:Wr6Jabvc0
どんどん来るよーまだまだ来るよー
19
:
名無しさん@避難中
:2016/02/09(火) 19:25:29 ID:l2XeXQzs0
http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org731803.jpg
20
:
名無しさん@避難中
:2016/02/09(火) 19:30:47 ID:iMYMXYNg0
ヤバイwww
21
:
名無しさん@避難中
:2016/02/09(火) 19:45:54 ID:tJvD5qagO
すげーのと戦ってるんだなwww
こわいwww
22
:
名無しさん@避難中
:2016/02/09(火) 20:51:13 ID:Y5cR4KBI0
ゲージ付きw
23
:
名無しさん@避難中
:2016/02/10(水) 00:38:56 ID:S/uOllKk0
サイレントヒル的なw
24
:
キャラスレバックヤードその14
◆wHsYL8cZCc
:2016/02/10(水) 12:50:56 ID:hBNHmKVY0
先に通ってきた隣のトンネルへ続く崩れた壁の穴からも毒ムカツクが何匹か飛び出して、群れに加わり折り重なった。こちらを見ている様子はなかった。閉じられた避難所へのドアが目的で、そこに群がっている。そんな感じだった。
まさか、あのドアも封印するつもりだろうか、と見ていたら、様子が少し違っている。必死にドアに体当たりしたり、脚でがりがりと引っ掻いたり、壊すにしても頼りない動きで、そもそも毒ムカツクは鉄を溶かしてしまうほどの毒を吐けるはずだ。壊すつもりはないようで、ドアの一部はその毒を受けたのか黒ずんでいたが、分厚い金属製のドアを破るには至っていない。スイッチを押せば、あとは開くだけになっているはずだが、毒ムカツクはそこまでの知能はないようだ。
そうしている間にも、毒ムカツクが壁の穴からまだ何匹も飛び出していた。
倉刀はそこで、自分たちが落とされ、そして塞がれた落とし穴がまた開いたのだ、と気づいた。
「だって、あのトンネルほかに通路はなかったし、入ってこれる場所ってあそこしかないよね」
「じゃあ、アイツらは自分たちから落ちてきたってのか? 上で何かあったのか?」
ショットガンを向けながら、裏刀がそう言って、毒ムカツクの塊に近づいて行った。
倉刀はそれについて行って、必死にドアに群がる毒ムカツクの様子を裏刀の肩越しに観察していた。
一匹が振り返った。
「うおっ」
裏刀が驚いて、発砲した。振り返った毒ムカツクがそれを受けて倒れ、それを機にそこにいた毒ムカツクのほとんどがこっちを見て突進してきた。
裏刀! と叫んだが、毒ムカツクは地上から建屋の二階の窓まで飛び跳ねるほどの跳躍力がある。一瞬で裏刀が踏みつぶされた。
が、それだけだった。
それどころか、今度は倉刀にまで迫り、そしてどかどかと体をぶつけてきたが、倉刀を無視して通り過ぎていく。まだ壁の穴から飛びだしてくるものも居たが、ほとんどは通り過ぎて、背後にある別のドアへ群がった。一階の事務所へ続く階段があるドアだ。
踏みつけられて寝転がっていた裏刀が起き上がりざまに通りすがりの毒ムカツクに一発パンチを入れて、毒ムカツクは抗議代わりに蹴りをお返しして、次はほかの毒ムカツクのようにスルーして事務所側のドアへ向かった。
「いてぇ」
「何があったんだろ」
と、今度は壁の奥から、大きな瓦礫が崩れる音がした。
落とし穴の当たりだ。ちょうど、自分たちがいる場所から壁を隔てたところのはずだ。
何事かと思っていると、毒ムカツク達が耳障りな叫び声をあげて、集団で慌てているのが見えた。
今度は、壁を伝って、地響きのように、不快な叫び声が聞こえた。
「……いまのって、毒ヤラセテクレルの声だよな?」
「まだ生きてたの?」
「俺らが怒らせちまって、そんで地下で暴れてるのか? あの程度じゃトドメにならなかったんじゃ……」
「……それで、毒ヤラセテクレルに怯えた毒ムカツクが地上へ逃げようとしてる?」
「連中と逃げよう」
「異議なし」
二人で、毒ムカツクのほうへ走った。群がる毒ムカツクを見ると、ドアに一番近い個体が粘液を吐いている。鉄を溶かす毒だ。泡を立てて、鉄が黒ずんでぐずぐずに崩れようとしていた。自分たちで封印したドアを開ける気なのだ。
ほかの個体が体当たりをしている。先ほど見たのと同じだ。ドアを破って逃げようとしている。
毒ムカツクをかき分けて、ドアの前に立つと、倉刀は思い切りドアに蹴りを入れた。木製だったが、思った以上に頑丈で開きそうもない。もう一発蹴りを見舞うと、少しだけ緩んだような気がしたが、まだ開く気配はない。毒ムカツク達は二人を邪険にすることもなく、必死にドアに体当たりしたり、交代で粘液を吐いている。
「どけ! ほらお前も!」
裏刀が毒ムカツクを手でどかせて、ショットガンをドアの取っ手に向けた。ぐずぐずになっている。これならば、と引き金を引くと、ドアの取っ手が外れて、反対側まで見える穴が開いた。
よし、と倉刀がドアに蹴りを入れるが、まだ開かない。溶けた分だけ染みだして、少し壁に食い込んでいるようだ。
どかん、と大きな音がした。
倉刀と裏刀と毒ムカツク達はその音のほうを見た。
制御室のドアを突き破って、毒ヤラセテクレルの大きな顏が見えた。廊下にずりずりと這い出してきている。
25
:
キャラスレバックヤードその15
◆wHsYL8cZCc
:2016/02/10(水) 12:51:44 ID:hBNHmKVY0
「脚はやっぱり使い物にならないみたいだな。這って追ってくるしかない。でも急げ!」
ドアを蹴る。
毒ヤラセテクレルが廊下の壁に片足を押し付けた。飛んだ。滑るように、壁に体をこすりながら大口を開けて突進してくる。
「開いた! 入れ!」
ドアを潜ると、登り階段があった。一階の事務所への階段だ。
倉刀は毒ムカツクの一匹を抱えて駆け上がり、裏刀がそれに続いた。
後ろを見ると、毒ヤラセテクレルが咀嚼している。何匹かの毒ムカツクが犠牲になったようだ。そして、毒ヤラセテクレルがこちらを見た。
「よーし頑張れ、お前らが閉じたんだから責任もって開けるんだ」
毒ムカツクの顏を階段上の天井に向けた。鍵がかかっていて、ほかのドアのように粘液で溶かされ封印されている。事務所の床だ。地下へは床下のドアを通るらしい。言われたままか本能かは知らないが、毒ムカツクが粘液を吐き出した。
毒ヤラセテクレルは方向転換に手こずっていた。あの巨体では細い廊下で自由に身動きできない。足まで含めれば、階段へのドアを通るのも難しそうだった。しかし。
「どう考えてもぶち破ってくるぞ。まだ開かないか?」
「まって、もうしばらく……」
毒ムカツクが粘液を吐き、ほかの毒ムカツクが体当たりをした。倉刀もそれに続き、ドアを破ろうと肩をぶつけて行った。
「おいおいおいおいおい、入ってきたぞ」
「もう少し、もう少し……」
毒ヤラセテクレルが、ドアに無理矢理に体を押し込んで、どんどん寄ってくる。合間に居た毒ムカツクは次々と捕食されて、その都度、毒ヤラセテクレルは壁を押し広げていく。
半分まで来たところで、急に毒ヤラセテクレルがするすると降りて行った。
「嫌な予感がする」
「もうちょっと!」
階下で毒ヤラセテクレルが身震いして、嬉しそうに口角を上げた。
「まだか!」
「……開いた!」
「はやく出ろ!」
毒ヤラセテクレルが、片足でジャンプして、階段を飛び上がってきた。
倉刀がドアを抜けて一階の事務所の床に転げる。裏刀が毒ヤラセテクレルに突きあげられて、天井まで飛び上がった。そのまま天井にぶつかり、床に落ちて、それを見ていた倉刀は、事務所の異変に気付いた。
毒ムカツクの死体が無数に転がっているのだ。
それもついさっき殺されたようなものばかりだ。鋭利な刃物で斬りつけられたような死体が目立ったが、壁に叩きつけられてめり込んでいる個体や、力任せに足を引きちぎられたようなものまで居た。
そして、二人が最初に落ちた落とし穴。
そこは壁も崩れ、床の穴も大きく開いていた。何者かがそこを降りたのだ。
「おい! 今はそれどころじゃないだろ!」
裏刀が起き上がり、ふらつきながらもこちらに来る。地下から飛び出でた毒ムカツク達は、一目散に窓から逃げて行った。あそこから一緒に逃げよう、と言い、裏刀もうなずいて、向かおうとした。
毒ヤラセテクレルが階段から飛び出て、大きな体で床に転がり、のたうちまわった。
それを避けたが、窓からは遠くなる。毒ヤラセテクレルの脚がこちらに向いた。寝転がったまま蹴りを放った。
一発目は空を切り、二発目は鋼鉄製の、外へと続くドアを叩いた。ドアがひしゃげて、押せば倒れそうなくらいにまで、壁ごと歪んだ。
二人で目配せをして、互いに無言でドアを蹴った。一撃で、ドアが倒れた。最初はびくともしなかった鋼鉄のドアだ。
外に出ると、最初に来たときに見た変電施設が見える。ぶぅーんと唸っている。設備が稼働している。
事務所からは轟音が聞こえた。まだ毒ヤラセテクレルが暴れている。
振り返らずに走った。
三メートルほどの金網のフェンスで通りが出来ていて、変電設備と隔てられている。まっすぐ行けば最初に目指した地下への本来の入口があるが、封印されていて通れない。金網を登って外に出るしかない。
行き止まりまで来きた時、頭の上を何かが飛び越えた。大きな顏が見えた。
毒ヤラセテクレルだ。
片足でもここまで飛ぶのか、と驚嘆していたら、着地は出来ないのか、変電設備と通路を隔てる金網のフェンスに当たり、それをなぎ倒して変電設備にぶつかった。
派手に火花が飛び散って、赤いランプが光って、ばちん、と音がした。
そして、毒ヤラセテクレルの身体が燃え上がった。感電したのだ。
「おいおい、間抜けな最後じゃないか」
「いや、でも……」
倉刀はすぐに気づいた。
毒ヤラセテクレルの身体は、さっき見た毒ムカツクの死体のような、斬られたような跡があった。
26
:
キャラスレバックヤードその15
◆wHsYL8cZCc
:2016/02/10(水) 12:52:04 ID:hBNHmKVY0
「すごーく嫌な予感がする」
「なんだよ」
「そういえば、なんで毒ムカツク達は外に逃げようとしていたのに、わざわざ一度地下まで降りてきたんだ。おかしいよね」
「言われてみれば。落とし穴も大きく開いてたし、それに地下の廊下で毒ヤラセテクレルが暴れる前に、そこで大きな音がしたよね? 何かが落ちてきたような……」
「ああ、俺もすごーく嫌な予感がしてきたよ」
炎が上がった。変電設備の一角が完全に破壊されて、設備そのものが燃えている。異常を探知して電流は止まっている。感電の危険はなさそうだが、代わりに炎が舞い上がった。
その炎の前に、どさり、と大きな何かが飛び降りた。
人の姿に似ていたが、それは人よりもずっと大きかった。
つづく
27
:
キャラスレバックヤードその15
◆wHsYL8cZCc
:2016/02/10(水) 12:52:17 ID:hBNHmKVY0
3レスいってもうた
28
:
名無しさん@避難中
:2016/02/10(水) 13:03:14 ID:5l7KqI4M0
化け物なのに毒ムカツクも毒ヤラセテクレルもかわいく見えてきた不思議…w
29
:
名無しさん@避難中
:2016/02/10(水) 14:16:52 ID:sn7yqfVo0
化物なのに個性があるなw
30
:
名無しさん@避難中
:2016/02/10(水) 14:36:26 ID:mLSsgmsA0
人間臭さのある化け物たちた
31
:
キャラスレバックヤードその16
◆wHsYL8cZCc
:2016/02/11(木) 14:34:44 ID:91PHOyGk0
向こうは首尾よく進んでいるようだ、とハルトが言った。
血の海はすでに枯れて、代わりに黒曜石のタイルのような、漆黒の地面が広がっていた。まだぼんやりとした光がハルトと発子を包んでいたが、その光源は見当たらず、天地もろとも漆黒だった。一歩踏み出すと、無機質なタイルのような地面に水面のような波紋が広がった。
「向こうはもう終わりが近いようだ。首尾よく『物語』が進んでいる。出来損ないでもな」ハルトが目を閉じたまま言った。千里眼で倉刀たちを見ている。
「アレを超えたらあちらはもう終わりだろう。あとは私達だな」
「んで、その私達の結末ってのは?」
「んー。少し面倒かな。とはいえ向こうのような差し迫ったものではないから」
ハルトはまだ目を閉じていた。弟子たちの動向が気になるのだ。
向こうは出来合いの、無理矢理にでも進む物語に気付いていない。成り行きだけだと思っている。それは一面の事実ではあるのだが、また真実でもない。ハルトはそれをよく分かっている。
世界観は融通無下に、どれほど都合よくも、都合悪くも変化する。キャラクターに、そして物語に必要ならタブーは無いに等しいのだ。「さて、向こうの主人公たちの活躍をもうしばらく観察しよう。彼らは勝つ。そして『物語』を終わらせる」
「死んじゃったりしない?」
「それもまた『物語』の一つ。だけど大丈夫。これは奴らが生き残るお話だから」
「あんた少し嬉しそうね」
「まぁね。倉刀が全面的に主役になるなんて、めったにない事だから」
ハルトはまだ、その場から動く気はないようだ。その手には三叉の槍が握られていた。
先ほど、敵から奪ったものだ。
発子がそれを見て言った。
「だけどさ、この『物語』ってやつは増殖した桃花ちゃんが話のキモだったんでしょ? その桃花ちゃんの最後の一体、簡単に倒しちゃうなんて」
「それは仕方がないことだ」
三叉の槍は、鈍く黄金色できらめいた。
冥界の王が持つ槍だ。
血の海を抜け、ハルトを待ち受けていたのは骸の顏で、冠と鎧を身に着けた桃花だった。無傷のゾンビ桃花が生き残り、他を喰らい進化し続けた結果。それはゾンビ桃花の最上級になった。オカルト系の進化をし続け、あたり一面を冥府に変え、そしてそこの主、ハデスと化してハルトと発子を待っていた。
本来ならば相応の相手として待ち構えているはずだった。同じく『物語』を進む倉刀に、相応の力を持つ最後の敵がいま現れたように、それはクライマックスとして登場するはずの存在だった。
だが、そうはならなかったのだ。
ハルトがハデス桃花の額に指を当てて、そして指先をくるくる回した。そして、ただ一発、ぺチンとハデス桃花の額を指で弾いた。
それだけだった。
遥か後方まで衝撃波が走るのが見えて、頭を吹き飛ばされたハデス桃花は身体もろとも引き裂かれる。そして、三叉の槍がからん、と地面を転がった。
「いかに世界観が歪もうと、私の強さが変わったわけではないから」ハルトは三叉の槍を拾ってそう言うだけだ。
「んでさー。次は例のエラーしたオリジナルの桃花ちゃんを捕まえればいいんだよねー?」
「ああそうだ。捕まえるだけでは駄目だがな」
「ならさっさと行きましょうよ」
「まぁそう言うな。あとは敵も居ないし、捕まえるだけなら簡単だ。じっくり見物しようじゃないか」
「倉刀のほうを?」
「ああ、向こうもクライマックスだ。せめて終わらせてやろう。これが最後なんだから」
「んー。まぁね、最後だしね」
「そう、『最後』だから」
ハルトはまた眼を閉じて、千里眼を開いた。
燃え上がる死体が見える。切り裂かれている。変電施設だ。通電は一部止まっている。わずかな照明と、燃え上がる炎が周囲を照らしていた。
そこに倉刀の姿が見えた。相方の裏刀も一緒だ。
その視線の先には人影があった。
しかし、体躯は人の物ではない。ずっと大きく、倉刀よりも頭一つどころか、身の丈半分以上も大きい。それは倉刀と裏刀、ふたりを激しく憎んでいる。
二人のために用意されたクライマックスだ。
がんばれ、倉刀、とハルトは小さくつぶやいた。
つづく
32
:
名無しさん@避難中
:2016/02/11(木) 14:46:39 ID:5vS6kIGI0
さすが閣下よゆーw
33
:
名無しさん@避難中
:2016/02/11(木) 17:27:15 ID:ntOxyI6.0
かっいいぜ
34
:
名無しさん@避難中
:2016/02/17(水) 12:30:07 ID:dRryqlVo0
さりげないエールが何かいいなw
35
:
名無しさん@避難中
:2016/02/23(火) 01:29:50 ID:Ddsfp/ao0
体調がほぼ戻ってきたので今日こそ投下するぞ
36
:
名無しさん@避難中
:2016/02/23(火) 02:16:18 ID:q0xG2a5M0
wktk
37
:
キャラスレバックヤードその17
◆wHsYL8cZCc
:2016/02/25(木) 19:53:58 ID:TEq9gim20
逃げ道がないのはわかっていた。囲まれたフェンスをよじ登っても、上には有刺鉄線が張り巡らされている。地下へ通じる入口が封印されているのもさっき確認した。
中央で燃え上がる毒ヤラセテクレルの死体の炎に照らされて、飛び込んできた人の形をした者がゆっくり立ち上がる様がよく見えた。
前進の皮膚が裂かれて、下の筋肉組織が露出している。しかし、切り裂かれたような傷ではなかった。内側の膨張に耐えきれずに避けた、という感じで、一部は薄く皮が張っていて、ほかの部分もみるみると再生するように、ぐちゅぐちゅと汁を垂らし、傷を覆っていった。
その身長は倉刀よりも一メートル以上は高かった。だから、すぐに気付けなかった。
顔が半分吹き飛んで、大きくえぐれているのを見て、やっとわかった。
SSPだ。
しかし、体格は元よりはるかに巨大になっていた。
「頭、吹き飛ばしたはずだよな?」と裏刀が言う。その通りだ。実際に、顏の半分は無く、代わりに筋肉組織のようなもので埋められてある。蠢いている。「こいつが落とし穴に落ちてきたから、地下の毒ムカツクたちが慌ててたんだ」
それは咆哮した。飛び跳ねて、最初に見た時のように一瞬で二人の前に降りた。違うのは、その巨体だ。その上で、最初よりもずっと早かった。
黒焦げになった腕が振られて、裏刀の腹部を思い切り叩いた。
宙を舞ってフェンスの外にまで放り出された。
倉刀は声を上げようとしたが、その間もなく、今度はこちらに拳が振り下ろされる。避ける。空振りしたSSPが地面を殴ると、地響きがして、コンクリートの床がえぐれていた。
避けた倉刀は後ずさって距離を取った。それを目で追って、SSPがこちらを睨んだ。
ああ、こいつは、僕たちを追いかけてここまで来たんだ、小さくつぶやく。その目が憎悪に満ちていたのだ。
最初に見た時、倉刀たちはSSPに銃弾を浴びせて、顔の半分を吹き飛ばし、その上で、動けないSSPを灯油で焼いたのだ。それで死んだと思っていた。でも違った。
焼かれながら、恨みをつのらせていた。
復讐しに来たのだ。
咆哮。
全身の切傷から体液が飛び散った。大きかった身体はさらに一回り大きくなって、不釣り合いなほど胸郭が広がった。焼け焦げた皮膚が残る両の手は伸びて、指先から体液がぼたぼたこぼれると、指の一本一本が鋭く鉤のようにとがった。
半分えぐれた顏を埋めていた組織は蠢いて、真ん中から二つに割れた。代わりに大きな眼球が現れて、ぎょろぎょろ動いて、倉刀を見るとぴたり、と止まった。
また咆哮して、それは倉刀に向かって歩を進めた。
燃え上がる炎を背景に進んでくるSSPに向かって、倉刀は500マグナムを構えた。
つづく
38
:
キャラスレバックヤードその17
◆wHsYL8cZCc
:2016/02/25(木) 19:57:01 ID:TEq9gim20
時間がない
39
:
名無しさん@避難中
:2016/02/25(木) 20:00:55 ID:G.smeyRg0
ロケラン探さなきゃ…
40
:
名無しさん@避難中
:2016/02/25(木) 22:28:35 ID:zTv1Z2zY0
このSSP生前は電気使えるホモだったろ……
41
:
名無しさん@避難中
:2016/02/26(金) 01:30:33 ID:apZgYFwc0
ヴォルギンか?
42
:
◆wHsYL8cZCc
:2016/02/26(金) 01:46:17 ID:nLnl33U60
なぜホモが出てきた
43
:
名無しさん@避難中
:2016/02/26(金) 09:04:47 ID:CT2qsVU.O
くらうらコンビ頑張れ
44
:
キャラスレバックヤードその18
◆wHsYL8cZCc
:2016/03/02(水) 00:42:18 ID:/VbmNnhU0
茂みの上にいた。ちくちくと草の先が頬にささって、ごつごつした地面。砂利だ。砂利の上に寝ている。
腹部に痛みが走った。動こうとしたら、背中も痛かった。
裏刀はそれでもなんとか起き上がって、思い切り息を吸い込んだ後、それを咳で吐き出した。肋骨に痛みを覚えて、内臓が震えているような気がして、直後に嘔吐した。本当に痙攣しているようだった。立ち上がろうとしたら、息を吸い込むより背中と肋骨が痛くて、立ち上がれずに手をついた。それも背中と肋骨が痛くなった。
目の前が光っていた。空間が揺らめいて、向こう側のすべての輪郭が歪んで見えた。
倉刀が居た。
その目の前に、化け物が立っていた。
倉刀がそれに銃を向けていた。
自分がその化け物に吹き飛ばされて地面に転がっていたのだと思い出した。
今の状況の悪さはすぐに理解できた。
倉刀は閉じ込められたのだ。高さ三メートル以上ある、上に有刺鉄線を張り巡らされたフェンス。開かないドアと、炎に閉じ込められた。それも化け物と一緒にだ。倉刀はそれと戦おうとしている。大した武器もないままで。
そして自分は、そこから締め出された。それも手負いで。
自分は加勢に行けない。フェンスを乗り越えるのは今は無理だ。持っていたショットガンもどこかに飛ばされた。
倉刀が殺される。
そう思った。
冷静さは保てなかった。
だから、胸にしまっていた無線機から漏れる音に気付くまで、少し時間がかかった。
※
どかん、と大きな音がした。ぎゅうぅううん、と低く唸る音がそれに続いて、照明が消えた。
どうやら、本当に変電施設の電源が落ちたらしい。
代わりに、中央で燃え盛る大きな炎が回りを照らした。
倉刀は発砲した。残り十三発、と頭の中で言った。
反動が振り返って、手首が軋んだが、少し慣れてきたのか、500マグナムの反動をうまく流すことが出来た。S&W500マグナムは銃口付近にマズルブレーキとコンペンセイターが着いている。発射ガスの一部を後方と上方へ逃がし、強烈な反動を抑制するものだ。
しかし、実際に使うと銃口の跳ね上がりは低減できるが、反動そのものはやはり強烈だった。抑制されているが、代わりに反動を逃がすことを銃そのものに頼ることで、残る物はすべて射手が受け止めることになる。これならシンプルなデザインにして、銃口の跳ね上がりに任せるままにしたほうが射手への負担は少ないんじゃないか。そんな余計なことまで考えた。
余裕があるわけではなかった。
逃げ道が無かっただけだ。
銃弾を受けたはずの化け物は、意に介さず前進してきていた。
二発目を発射して、倉刀は後ろに下がった。というより、背を向けて走った。無理矢理にでも距離を取ろうとした。残り十二発。
咆哮と爆音が聞こえて、背中に熱を感じた。
化け物、つまりSSPが燃え上がるガラクタを薙ぎ払って、炎が舞ったのだ。
顏の半分を占める大きな目玉が、ぎょろりとこちらを睨んでいた。
振り返り、その目玉に向けて発砲したが、もともと射撃が得意なわけでもない。外した。残り十一発。続けざまにもう一発、今度は胴体に向けて発砲した。これは効いたようで、少しのけ反った。残り十発。
また、ぎょろりとした目玉に睨まれた。
炎がばちばちと音を立てていた。
珍しく、戦いに集中していた。自分でも驚くほど豪胆な気分になっていた。それは単に馴れただけなのか、本来の勇敢さが発揮されたのかは、倉刀は自分では解らなかったが、集中はしていた。
だから、胸元で裏刀の声が漏れる無線機に気付くまで、少し時間がかかった。
つづく
45
:
名無しさん@避難中
:2016/03/02(水) 00:45:28 ID:oz3z4Wfk0
どうなるんだ…
46
:
名無しさん@避難中
:2016/03/02(水) 00:51:56 ID:5E9RkRZw0
倉刀がかっこいいだと…
47
:
名無しさん@避難中
:2016/03/02(水) 01:20:02 ID:5PyYimXQ0
が、がんばれ倉刀…
48
:
名無しさん@避難中
:2016/03/11(金) 08:23:05 ID:oWT.tg3o0
__
/_,,,_:::::::::::\
//emeth\:::::::ヽ
|.|〇 〇|::::|:::::::|
!.| _ |::::|)::::::| < ……。
|::|≧÷ ≦|::::|:::::::|
|/ヽ〜〜/ ̄\::::|
/ | | ヽ:|
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| .| .| ヽ
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 ̄| _| ̄ ̄
| | ̄| |
.(´__) (__")
49
:
名無しさん@避難中
:2016/03/11(金) 10:06:41 ID:vf57oUcA0
作るのはえーよwww
50
:
名無しさん@避難中
:2016/03/11(金) 13:34:42 ID:7k/CLzWs0
__
/_,,,_:::::::::::\
// meth\:::::::ヽ ポケラー
|.|〇 〇|::::|:::::::|
!.| □ |::::|)::::::|
|::|≧÷ ≦|::::|:::::::|
|/ヽ〜〜/ ̄\::::|
/ | | ヽ:|
|==| |==<
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| .| .| ヽ
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 ̄| _| ̄ ̄
| | ̄| |
.(´__) (__")
51
:
名無しさん@避難中
:2016/03/11(金) 21:08:32 ID:euvam97U0
゚ o
゚。
[emeth]ヽ
|(゚'д ゚'|b |
|」‐≠ーl」、|
,'{~`~゙~キキ
/,j ; ; <■>
J,;~ぎ~も!、、し
52
:
名無しさん@避難中
:2016/03/12(土) 01:03:15 ID:IeJ9B6Jo0
あぁ〜幼女博士と幼女モンスターのカプって最高やな!
http://dl1.getuploader.com/g/6%7Csousaku/905/panmoromari.jpg
53
:
名無しさん@避難中
:2016/03/12(土) 01:07:14 ID:wq.iXv0U0
乙!!!
分かるってばよ…
それにしても、またモロ博士が脚光を浴びる日が来るとは…
54
:
名無しさん@避難中
:2016/03/14(月) 20:58:35 ID:YGr5/Zyw0
http://dl6.getuploader.com/g/sousaku_2/1017/souhatsu200.jpg
55
:
名無しさん@避難中
:2016/03/14(月) 21:20:46 ID:tUb9XBTE0
またこのセクハラパンダはww
56
:
名無しさん@避難中
:2016/03/14(月) 22:57:05 ID:33mn6yEY0
おいパンダw
57
:
名無しさん@避難中
:2016/03/15(火) 00:16:46 ID:RVNsOjf20
http://dl6.getuploader.com/g/sousaku_2/1018/souhatsu201.jpg
58
:
名無しさん@避難中
:2016/03/15(火) 00:42:04 ID:EaawR.Mg0
美しい……
59
:
名無しさん@避難中
:2016/03/15(火) 00:43:11 ID:1dwWWxeA0
おふう素敵
60
:
キャラスレバックヤードその19
◆wHsYL8cZCc
:2016/03/15(火) 02:10:28 ID:peap9yfg0
裏刀は懐から無線機を取った。聞き馴れない声がした。
『あんた、まだ生きてるかい?』
誰だ、と聞き返そうとしたら、先に相手がどんどん喋り出してきた。
『あの坊や、なんかえらいバケモンと取り残されてるじゃないか、死ぬよ、あれ』
「誰だ、あんた」
『なんだ、私を知らないのかい?』
「誰なんだ?」
『ま、知らないなら別にいいけど、それに自己紹介してる場合でもないだろ』
「どこに居る。見てるなら早く助けに来いよ」
『そうしたいけど無理だね。ここからじゃ遠すぎるよ』
「どこに居るんだ!」
『うっさいガキだね。避難所から双眼鏡で観察してんだよ。えらい派手な爆発があったと思ったら、あんたと倉刀がたまたま見えた、ってだけ』
「避難所?」
『そうだよ。あんたらを待ってたんだが、ようやく来たと思ったらなんかえらい追いつめられてるじゃないか。しかもあれ、パンツ男のゾンビ? ……じゃないね化け物だね』
「倉刀が殺される」
『わかってるよ。ここから丸見え』
「助けにきてくれ」
『ダメだね。さっきも言ったけど遠すぎるし、まだゾンビも周りに居て避難所からも出にくいし』
「見捨てる気か」
『バカ言いなさんな。手は考えてるよ』
「どうする気だ」
『もちろん、避難所の中から直接、攻撃すんのさ。いいから耳かっぽじってよく聞きなボウズ。あんたの周りにも変なバケモノがうろついてるよ。急ぐよ』
変なバケモノ。
おそらく毒ムカツクのことだろう。避難所のほうからはよくこちらが見えているらしい。
無線の相手は裏刀に指示を出し、一方的に通信を切った。内容は簡単だった。向こうの作戦を倉刀に無線で伝えるだけだ。
その前に気になる事を言っていた。
避難所の中から直接攻撃?
※
残り九発。
倉刀は頭の中で数えた。SSPはすでに数発の銃弾を受けているが、まだ致命的なダメージは受けていない。それは見てわかった。動きにまったく淀みがない。出血も大したことはない。かすり傷程度だ。
至近距離であるならば、500マグナムはあらゆる銃弾の中でもとびぬけて殺傷力が高い部類に入る。距離が離れると途端に能力が落ちるが、今の交戦距離であるならば、フルサイズのライフル弾に匹敵するストッピングパワーを発揮するはずだ。
だが、相手はそれでも怯まない。
悠々と前進してくる。
また背を向けて走り、距離を取った。そこで、ようやく無線機を取り出した。裏刀の声がしている。
こちらから喋る余裕はなかったが、向こうはそれでも一方的に話している。同じことを何度も繰り返していた。
数秒でもいいから動きを止めろ?
※
「大丈夫かい?」
「大丈夫です」
「照準とか、いろいろあるんじゃないの?」
「曲射だし見越し射撃です。弾道計算コンピューターがないなら勘です」
「それ、不安なんだけど」
「大丈夫です」
彼女が手を上げると、ウインチの音がして、木がしなり、ロープが閉まる音がした。夕鶴は彼女の横でそれを見ていた。人力では動かせないだろうことは分かるが、いくらなんでも大きすぎる。
「ほんとに当てられんのかい?」
「しつこい。しつこいのは乳だけにしてください」
「あんたに言われちゃおしまいだ」
夕鶴は双眼鏡を覗いて、変電所の様子を見た。距離は数百メートル。
横に居た彼女は言った。
「このバリスタなら射程距離は五百メートル以上。矢も鉄の重いヤツだし、威力は問題なし。当たれば死にます。あの化け物も」
「私ゃ不安だよ。デカすぎないかい。史実上のバリスタってこんな分りやすいデカいクロスボウじゃないだろ」
「そんなアホな武器を実際に作って、なおかつ使うからかっこいいんです」
「命中できんの?」
「もちろん」
目を細めて遥か遠くの的を見ていた彼女は、ふぅ、と一息ついて、背筋を伸ばした。立っている位置は避難所の柵の高台、監視塔だ。風が強かった。金髪の髪がそれに煽られ、ばさばさと彼女の頬を一生懸命にくすぐったが、彼女は気にならないようだった。
「さて、あとはあの帽子の子次第。的が変に動かなければ大丈夫。矢がどう飛ぶかは見えました」
夕鶴は彼女の横に座り、太いロープを握った。バリスタの引き金につながっている。
「あとはあんたの指示を待つよ」
夕鶴は彼女――ハヤブサと呼ばれていた彼女に向かってそう言った。
つづく
61
:
名無しさん@避難中
:2016/03/15(火) 02:16:53 ID:1dwWWxeA0
おお、ついにハヤブサ姐さんくるかw
62
:
名無しさん@避難中
:2016/03/15(火) 02:20:48 ID:reRvgSloO
熱い
63
:
名無しさん@避難中
:2016/03/16(水) 00:20:24 ID:8mVNS52E0
いいねぇ、こういう展開
64
:
名無しさん@避難中
:2016/03/17(木) 23:46:13 ID:2R5dksWw0
そういや鯖擬人化連中ってなにかしら武器の使い手なんだな
並駄目は銃器で夕鶴はハンマーで円川は鞭で間黒は刀でハヤブサは弓と
65
:
名無しさん@避難中
:2016/03/21(月) 13:03:47 ID:U4gggMwI0
http://download1.getuploader.com/g/sousaku_2/1022/souhatsu202.jpg
66
:
名無しさん@避難中
:2016/03/21(月) 15:11:11 ID:EY4W3n3.0
おふう…
ふう
67
:
名無しさん@避難中
:2016/03/21(月) 19:34:41 ID:RnbrgXXg0
ビクンビクン
68
:
名無しさん@避難中
:2016/03/23(水) 01:25:59 ID:7FLCfb4Q0
適度に引き締まってる腹筋、いいと思います
69
:
名無しさん@避難中
:2016/04/16(土) 22:00:23 ID:fPpcAjP20
なんか夕鶴さんの指にドキドキする
70
:
キャラスレバックヤードその20
◆wHsYL8cZCc
:2016/05/06(金) 14:21:27 ID:oYh6BhgQ0
倉
71
:
キャラスレバックヤードその20
◆wHsYL8cZCc
:2016/05/06(金) 14:21:48 ID:oYh6BhgQ0
あっ誤爆。
72
:
キャラスレバックヤードその20
◆wHsYL8cZCc
:2016/05/17(火) 13:36:13 ID:q6lK6vdU0
化け物と倉刀は中央で燃える火柱を挟んで向かい合っていた。
火柱の根本は撲殺されたと思われる毒ヤラセテクレルだ。皮膚が千切れて、奥の筋肉組織が見えていた。
倉刀は発砲する。残り八発。
炎の向こう側の化け物の像が揺らめいて、すこし前かがみになったのが見えた。腹部に命中している。
また発砲、あと七発。
合間にリロード。
化け物が火柱を迂回してこちらに歩いてくる。倉刀は移動する。対角線を維持しようとした。が、相手は倉刀の意図は見抜いていたようだ。小さくしゃがんで、飛び跳ねた。火柱より高く。
背後で地面に重い物が衝突する音がした。振り返る。身の丈三メートルはあろうかという、灰色の皮膚の化け物が居た。手を振り上げている。
その手の先端には、見たこともないほど大きな鉤爪が備わっていた。
手で上体をガードした。
しかし、ガードしたところで体力差は歴然なのだ。ネコとライオンのように、それは絶対に埋らない戦力差。
なので腰を浮かせた。向こうの打撃がインパクトする直前に、重心を下げた。いや、下げたというより、脚を縮めて、一瞬だけ空中に浮いている時間を作った。
体の力を抜き、化け物の腕が振り下ろされた場所だけ力を込めて、あとはだらりと弛緩させた。
打たれる。
全身が歪んで、衝撃が身体を二周三周した。
残りの衝撃は、倉刀を吹き飛ばすことに使われた。浮いた体が紙くずのように舞い上がって、火柱の中を突っ切った。
地面に叩き付けられ、再び衝撃を食ったが、最初の一撃よりは小さい。なんとか耐えられる。耐えた。
それでも全身に痛みが走っていた。炎の向こう側に視線をやると、また化け物が小さくしゃがんでいる。こちらまで飛び跳ねるつもりだ。
倉刀は500マグナムを構えようとした。
だが、手に持っていない。体の横に転がっている。手を伸ばそうとした。手が動かない。折れている。銃はもう握れない。
化け物が飛び跳ねる。
火柱の頂上まで。あとは、こちらまで落ちてくるだけだろう。
終わりだ。これで死ぬ。
目をつむって、その時を待った。が、熱気に充てられて、そして舞い上がる火の粉と瓦礫を全身に浴びて、倉刀は目を細めて、開けた。
火柱が激しく暴れている。化け物が、その中で叫び声をあげている。
毒ヤラセテクレルが、大きな口と牙で化け物を捕えていた。死んでいなかった。
――数秒間動きを止めろ。
そう言われたのを思い出して、倉刀は無線を取った。
「今」
無線の先から、大きな金属音が聞こえてきた。
73
:
キャラスレバックヤードその20
◆wHsYL8cZCc
:2016/05/17(火) 13:36:52 ID:q6lK6vdU0
えらい雑になっている(戦闘を考えないスタイル
74
:
名無しさん@避難中
:2016/05/17(火) 13:42:45 ID:CL9MEgK20
まさかの毒ヤラセ活躍
75
:
名無しさん@避難中
:2016/05/17(火) 16:52:23 ID:KiEDuM3MO
熱い共闘(!?)
76
:
名無しさん@避難中
:2016/06/29(水) 18:24:45 ID:Y4iEROVA0
ksks
77
:
キャラスレバックヤードその21
◆wHsYL8cZCc
:2016/07/08(金) 01:19:00 ID:zurmwKNk0
ひゅん、と風を切る音が聞こえた。
上空からだ。それも背後から。
身体をひねって後ろを見た。
光。
暗闇の中に、軌跡を描く一本の光があった。
それは上空を高速で飛んでいる。速かった。光は揺らめいて、よく見ると、その光の中に黒煙が見えた。揺れている。炎の玉だ。
裏刀の頭上まで来て、その炎は長い棒の先端に点いているのが見えた。先端に炎を灯した棒が、高速度で飛んでいる。
頭上を過ぎたった時に、後部にフィンがあるのが確認できた。まっすぐ飛翔させるための安定翼だ。倉刀が居る変電所へ向かって飛翔する、炎を灯した矢だ。
音を聞いてからここまで、一秒にも満たなかった。
でも、それの異様な巨大さは見て取れた。長さは二メートルはあろうかという矢だ。
「バリスタ」
裏刀はそれだけ言い、自分を遥か追い抜いて行った矢を見送った。
※
化け物が腹部から大量の血を流している。咬みつかれて、肉が裂けている。
毒ヤラセテクレルの歯が食い込んでいるのがはっきり見えた。化け物が動くと、さらに肉が裂けた。
化け物が毒ヤラセテクレルの方を向いて、拳で眉間を叩いた。
肉が潰れる音。
毒ヤラセテクレルの歯が化け物から離れた。
追撃で、化け物はダブルハンマーを振り下ろした。
骨が砕ける音。今度は、大量の血しぶきが舞った。
さらに、化け物は右の拳でパンチを繰り出す。
今度は頭蓋が割れて、脳漿が地面に飛び散った。
倉刀から見ても、これは死んだ、そう確信するに十分なダメージだ。毒ヤラセテクレルは大口を開け、どさりと倒れ、割れた頭蓋から赤黒い血と脳漿が混ざった物を垂れた流している。
化け物が振り向く。
後ずさって、動けないまま、化け物に睨まれた。
直後、光が降ってきた。
※
「あははは! 見ろあのブサイクな顏!」
「見えないから!! 私から見えないから!!」
「いや、今な、お前と似たような顔をした薄らデカいクリーチャーが頭を割られてな」
「ああ、あの毒なんとかってヤツ」
「ほんともう、お前にそっくりな顏で綺麗に頭が割れてしまって!」
「うええ。ちょっとグロいわね」
「そのお前にそっくりな顏の不細工なことったら、傑作だ!」
「なーんか含むモノを感じるけど、今は黙っといてあげるわ」
千里眼。
ハルトシュラーは戦いの顛末を遠くから眺めている。
自分の弟子たちの『物語』は、クライマックスを越えようとしている。まもなく、それは終わりを迎えるだろう。雑で無理矢理でご都合主義なストーリー。そのエンディングで、彼らの仕事は終わる。
「もっとも、雑になるよう絵を描いたのは私だがな」
ハルトは目を閉じたまま、飛び散った瓦礫と火の粉の中で気を失った倉刀を見る。
「これからの顛末はこうだ。まず裏刀が無線で倉刀を起こそうとする。ところが先に夕鶴あたりから連絡があり、バリスタが命中したか聞かれる。当然、裏刀はわからない。倉刀も気を失っている」
目を開ける。
今度は千里眼ではなく、自分の目で、自分の周りを見た。
「だから裏刀は倉刀の様子を見に行く。しかし脚も挫いて、肋骨も折れ、全身いたるところ打撲と切傷だ。思うように動けない。だから、たまたま近くにいた毒ムカツクを掴まえて、それに乗っていく。
その毒ムカツクは地下の施設から一緒に逃亡したヤツだ。だから裏刀にもそれほど敵意はない。
そしてバリスタの命中の威力で破けたフェンスを潜って、倉刀を救出する。そして、変電所が完全に機能が止まった影響でアンロックされた通路を通って避難所へ行く。
そしてエンディングだ。夕鶴は彼らを迎え入れ、余裕があれば私に連絡を寄越す手はずだ。彼らは全うした、とな」
「ん? てことは夕鶴も最初っからこっち側ってこと?」
「もちろん。ハヤブサもそうだ。物語を裏から操っている」
「てことは、あの人たちも覚悟の上ってことか」
「もちろんだとも創発の女神よ」
「あら、珍しくカッコよく呼んでくれるじゃない」
「私たちのエンディングも近いということだ。さぁ、エラー桃花を掴まえに行こう。それですべてが終わり、発散し、そして再生が始まる」
「あー、なんかちょっと寂しいかも」
「気にするな! これは進化なのだから!」
きっかけはただのケアレスミス。前から思っていたことを実行するまたとないチャンスだった。
だから絵を描いた。すべてが終わる絵を。
「さぁ、創発の崩壊が始まる!」
78
:
名無しさん@避難中
:2016/07/08(金) 01:36:30 ID:BNB.rbGwO
な、なんだってーッッ!!!!!!!!
79
:
名無しさん@避難中
:2016/07/08(金) 20:58:49 ID:f9pSZaX.0
>創発の崩壊が始まる
ほうかい。
80
:
名無しさん@避難中
:2016/07/08(金) 21:15:47 ID:Ce2Pw3WU0
【審議中】
|∧∧| (( ) ) (( ) ) ((⌒ )
__(;゚Д゚)___ (( ) ) (( ⌒ ) (( ) )
| ⊂l l⊃| ノ火.,、 ノ人., 、 ノ人.,、
 ̄ ̄|.|. .|| ̄ ̄ γノ)::) γノ)::) γノ)::)
|.|=.=.|| ゝ人ノ ゝ火ノ ゝ人ノ
|∪∪| ||∧,,∧ ||∧,,∧ || ボォオ
| | ∧ (´・ω・) (・ω・`) ∧∧
| | ( ´・ω) U) ( つと ノ(ω・` )
~~~~~~~~ | U ( ´・) (・` ). .と ノ
u-u ( ) ( ノ u-u
`u-u'. `u-u'
81
:
名無しさん@避難中
:2016/10/18(火) 00:53:27 ID:kDflKzXo0
誰かたわわチャレンジしたはいいものの余裕すぎてしまった夕鶴さんください
82
:
名無しさん@避難中
:2016/10/18(火) 01:01:37 ID:15HWIDlE0
チャレンジの機会さえない彼方達が血の涙を流す中、成功するかな太
83
:
名無しさん@避難中
:2016/10/18(火) 07:24:54 ID:gyGHkamA0
パンツ男「こんなの朝飯前だ」
84
:
名無しさん@避難中
:2016/10/22(土) 10:07:34 ID:I97rB/v60
???
「べ、別に出来ないからやらないんじゃなくて、そういうなんか流行りに乗せられる
って感じなのが嫌なだけで……なにニヤニヤしてんのよ! 違うって言ってんでしょうが!」
85
:
名無しさん@避難中
:2016/10/24(月) 14:01:13 ID:/IwKS0v20
リンボーダンス状態で出来たと言い張る???が目に浮かぶ
86
:
名無しさん@避難中
:2016/10/25(火) 07:36:14 ID:3ViXcK0A0
一方妹は余裕だった
87
:
名無しさん@避難中
:2016/10/25(火) 07:52:13 ID:KH1oS3Pc0
もはや名前すら言われなくなった……w
88
:
名無しさん@避難中
:2016/10/26(水) 22:24:12 ID:qB8tSafU0
名前を忘れ忘れられ力も失った女神は彷徨ってるところを少年に助けられてどうのこうの
89
:
名無しさん@避難中
:2016/10/27(木) 00:26:30 ID:jRUZCCI60
でも一般人としての生活力が高いからごく普通に生き残りそう
90
:
名無しさん@避難中
:2016/10/27(木) 02:36:28 ID:zEH4D2420
名前を忘れられ力も失った女神はコンビニバイトしながら長屋アパートでどうのこうの
今まで通りである
91
:
名無しさん@避難中
:2016/10/27(木) 03:20:29 ID:jRUZCCI60
まて、店長になっていたはずだ
92
:
名無しさん@避難中
:2016/10/27(木) 03:32:07 ID:zEH4D2420
いつからバイトが店長になれないと錯覚していた・・・?
93
:
名無しさん@避難中
:2016/11/13(日) 15:02:58 ID:hVNrX5og0
誰か巨乳が故の悩みを吐露する夕鶴さんください
94
:
名無しさん@避難中
:2016/11/25(金) 21:28:19 ID:7kNHfs560
うわあああああああハルハルハルハルハルトシュラーさぁあはあああああああんん!!
お誕生日おめでとう!!おめでとう!!おめでとおおおぉぉぉうぅうぅぅうううう!!
うわああぁああああハルトシュラーさんのカチューシャを指でツンツンつっつきながら
髪の匂いをクンカクンカしてほっぺたをぷにぷにつっつきたいよぉおおおおおおお!!
え?そういうのは心の中にとどめておけ?無理ぃ!そんなこと無理ですぅうぅうううう!!
だってだって僕だってハルトシュラーさんのハルトシュラー主義が素晴らしいと思いますから!!
だからこうやって思いを貼り貼り貼ってハルトシュラーさんなんですハルトシュラーさん!!
あれ?でもハルトシュラーさんって設定が定まってないんですよね?ということは美少女じゃないかもしれない!?
もしかしたらガチムチのダンディな紳士だったりするかもしれないんですかあぁあああ!!?
うわぁああああああああああ!!!なんにゃっにゃああああああ!!ひゃああああああああ!!
まあ、それはそれでアリです
設定が定まってないっていうことは僕の創作でハルトシュラーさんが変わる!?変わっていく!!
おおおおおぉぉぉ!!!テンションあがってきたあああああ!!わっしょおおおおおいい!!
ハルトシュラーさんは作曲家?アリです!!貴方の作った曲で一緒に踊りましょう!!
ハルトシュラーさんは魔王?アリアリです!!閣下に色々征服されたくてたまりません!!
征服?せいふく?制服!!!うわあああああっぁあああああああ!!良いなぁ!!!
軍服を来てるハルトシュラーさんもいいけどセーラー服を来てる美少女タイプハルトシュラーさんも良い!!
ああああっあっぁっあああ!!想像の翼が羽ばたきまくって羽がとれちゃうよおおおお!!
あれ?あれあれあれあれ?ハルトシュラーさんは……享年二歳……だと……?
ぎゃああああああああああああ!!!そんなぁああああああああああ!!えええぅええおおおああああっ!?
僕の思いはハルトシュラーさんに届かない!?創作で何でも変えられるわけじゃない!!?
創作は……創作はあまりに無力すぎるだろおおおおいい!!……ま、待て!!落ち着け!!
閣下は創作物!!ということは、その設定すらも創作して創り潰してしまえば良い!!?
やったぁああああああああ!!ハルトシュラーさん復活ッ!ハルトシュラーさん復活ッ!ハルトシュラーさん復活ッ!
これで僕の思いを伝える事が出来る!!大好きですハルトシュラーさああああああああんん!!
!!!思いが伝わった!!!伝わった気がした!!!いや、伝わったと貼ることで思いが伝わったんだ!!
イエスッ!!イエスイエスイエスイエスッ!!!皆、祝福してくれ!!僕の思いが伝わったよ!!
オールハイル・ハルトシュラー!!オールハイル・ハルトシュラー!!
ハッピー!ハッピーバスデー!ハッピバースデー貴様!ハッピーバスデージーザス!
ハッピーバースデーディアハルトシュラー!ハッピーバスデーチュッチュしたい!
ハルト閣下! 御生誕八周年ひゃっほーーーーーーーいいぃぃぃい!!!!
95
:
名無しさん@避難中
:2016/11/29(火) 02:20:27 ID:2A5hSfUc0
閣下おめでとう!
http://imefix.info/20161129/91204/rare
召しませメシマズ
96
:
名無しさん@避難中
:2016/11/29(火) 04:28:22 ID:n8RAVBuk0
めっちゃ力作だ!!
って、かまぼこw
97
:
名無しさん@避難中
:2016/11/29(火) 10:44:01 ID:MVCbhKNI0
何を吐いてるのwww
98
:
名無しさん@避難中
:2016/11/29(火) 12:05:59 ID:IgNSCxWE0
何を食わせたw
99
:
名無しさん@避難中
:2017/01/09(月) 01:08:34 ID:mdZTXI/w0
http://download1.getuploader.com/g/sousaku_2/1083/souhatsu206.jpg
100
:
名無しさん@避難中
:2017/01/09(月) 01:15:29 ID:5PiRcHtI0
うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!
乙です……
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