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なんでも投下スレin避難所2
387
:
名無しさん@避難中
:2014/09/17(水) 21:34:19 ID:3uVNsryY0
ぜったいシカ嫌がるwww
388
:
名無しさん@避難中
:2014/09/18(木) 21:09:30 ID:sE.fNt1k0
「なるほど。話はわかった」
目の前に置かれた長い机には赤い布が被せられていて、物がないなりの工夫で気品を出している。
出された飲み物もおそらく貯蔵してあった果実酒なのだろう。赤く濃いそれはまるで血液を彷彿とさせた。
ソーニャが居心地悪そうに椅子に座りなおす。すると同じように机に着いている何人かがこちらを睨み付けてきた。
「和平交渉か。よもや怪物側から持ちだしてくるとは思わなかったぞ」
ソーニャ達怪物勢力は吸血鬼の提案した和平交渉をなんと承諾した。無論反対する者もいたが多くの怪物達は
全滅させられるよりかはマシだと判断したのだ。翌日には代表の三人が都市へと交渉に向かった。
入る前から聖女に探知され、兵士が来たときは一悶着あったがどうにか会談の席にまではこぎつけることが出来た。
怪物代表として連れてこられたソーニャ、吸血鬼、魔術師の三人が人間の代表であり今回最初に遣わされた聖女の正面に座り
その両脇をずらりと神の兵達が座っている。少しでもおかしな動きをすれば即刻殺される状況だ。
「この世界にはかつて五つの都市と二十の町。三百以上の村が存在したと言う。だが現在確認できたのは
二つの都市だけだ。おそらくは世界の人口も百分の一にはなってしまっただろう」
正面に座る聖女が語るように話す。会話するには少し離れているが部屋の構造のせいなのか、魔術の一種なのか
声はよく響き、聞き漏らすことはない。
「残りは二つまで追い込んで自分達が不利になったら『ごめんなさい、許してください』か。随分と身勝手なものだな。
もしも今回これだけの兵達が遣わされることがなかったら貴様らは人間が何を言おうが殺していたのではないか?」
「否定しません」
「そもそもな、これは交渉になどなっていないのだ。我々がそれに同意して得られるものはなんだ? 貴様らの活動できる
ごく僅かな時間の安全か? そんなもの貴様らを根絶やしにすれば得られるものだろう」
彼女の言う通りだ。怪物達の活動時間は大量の兵の誕生によりとても短くなっている。人間である魔術師は平気でも
比較的太陽に強い吸血鬼ですら日光を遮らないと昼間は当然として夜すらも月の影響が強すぎて、満足な活動が出来ない。
全ての怪物が活動できる時間は今となっては本当に深夜の短い時間だけになってしまった。
そして今の人間達にはその短い時間の安全を取り戻すだけの戦力を持っている。交渉を受けて得するとしたら討伐
しなくて済むから多少の時間の節約になる程度だ。しかし怪物達がいつ裏切るともわからない約束。とても受けるとは思えない。
「生存した民の中には怪物に親兄弟を殺された者もいる。ここで貴様らの首を撥ねて、それを手土産に怪物達を殲滅しに行きたい
と望んでいる者もいるだろう。それなのに和平交渉とは本当に笑わせてくれるな」
彼女は目の前に置かれた飲み物を少し飲んで、一呼吸をつく。
交渉は決裂に終わる。誰もがそう思っていた。
「わかった。降伏を承諾しよう。ただしこちらからの条件には従ってもらうぞ」
その場にいた全ての人間の動きが止まった。誰しもがその言葉を理解するのに数秒の時間を要した。
「ちょ、ちょっと待て。今なんて言った」
理解がみなより少し早かった騎士の一人が聞き返す。
「降伏を承諾すると言ったのだ」
「なんでそうなるんだ」
彼女はみんなの慌てようを楽しむように小さく笑う。言葉遣いもそうだがとても聖女には見えない仕種だ。
「我々は神に選ばれし兵である。ならば怪物共は当然として普通の人には選択しえぬ選択を取るべきだと思わんか?
ならば私の取る選択は蹂躙でも復讐でも、あるいは騙すことでもない。許すことなのだ。
しかし当然ながら厳しい罰は出させてもらう。もちろん全員が自害しろなどと無茶な事を言うつもりはない」
誰もがその言葉に反論を唱えない。いや、唱えられなかったのだ。先ほどまで人の悪そうな笑い片をしていた
その女は――今はその顔に静かな微笑みを湛え、名の通り聖女であったからだ。
「命の危険を犯してまで取ったこの行動が、その心より出た真の行動であると信じ、その勇気を報おう」
389
:
名無しさん@避難中
:2014/09/18(木) 23:47:24 ID:2Ak7lf060
なんと
390
:
名無しさん@避難中
:2014/09/19(金) 23:43:01 ID:GB04gE.E0
数万年に及んでいたとされる戦いは呆気なく終わりを告げた。しかしこれも仮初の平和かもしれない。
だがとりあえずは、具体的には神の兵が少なくなるまでは保たれるであろう平和だ。
怪物達は出された条件に従い、世界の端っこにあるという無人島に全員が押し込まれた。
聞いた話ではそこそこ大きさがあり、暗がりも多いので悪くは無いらしい。
また使役していたゾンビや死霊は全て完全なる死を与えられ、吸血鬼が管理していた生きた人間も返還された。
人間がいないのでは吸血鬼が死ぬのではないかと思ったが魔術師達は人間だし、人間と吸血鬼は子供を産むことが出来る
らしい。私を縫い付けたあの魔術師もいつも黒い布切れを被っていたが中身は若い女子だったはずだ。頑張れと応援しておこう。
吸血鬼の研究については全て聖女側に報告書という形で伝えられた。この報告書は人間側でもごく一部にしか内容を知らされることなく
閲覧禁止資料として町のどこかに封印されたようだ。聖女曰く「混乱を招きかねない」とのこと。確かに神を崇拝する普通の人間が
見るには少し過激な内容だったのかもしれない。神が全ての黒幕なわけだし。
都市の復興は徐々に進みつつある。人々の顔は活気と希望に溢れ、町全体が生き生きとしている。人類は輝かしき未来へと歩き始めたのだ。
こうしてこの世界の物語はひとまずの終了を迎えた。
391
:
名無しさん@避難中
:2014/09/19(金) 23:44:18 ID:GB04gE.E0
ここからは非常にどうでもいい話だが怪物達側に出された条件である『無人島への隔離』『使役している全てのゾンビ、死霊達への完全なる死』
『管理している生存者の返還』以外にもう一つあった。
それは私、つまり『シカ・ソーニャの身柄の引渡し』だ。理由としては「シカ・ソーニャは元々神の兵としてここに来たわけだから我々の元にいるべきだ」
とのこと。吸血鬼に言っていたことは正しかったようだ。そして怪物達側は二つ返事で了承した。
「おい! 私はやだぞ! なんで私だけ敵側に引き渡されなきゃいけないんだよ!」
「仕方あるまい。条件なのだ。みなのために犠牲になってくれ」
「ちゃんとあっちの長も理由を言ってただロ。まさかソーニャが間者だったとはナー」
当然のごとく私の意見は無視された。結構怪物側に貢献したと思っていたのだが、私には発言権や人望はなかったようだ。
そんなわけではぐれ怪物がいなければ、無人島に隔離されておらず、また存在する唯一の亡霊として、どういうわけか聖女の召使いをしていた。
もはや意味がわからなかい。怪物達の隔離が終わるまで地下牢に幽閉されていた私のところにやってきた聖女がドレスのような簡素な服を渡してきて
「早く着替えろ。召使いの仕事が待っているぞ」と言われた時の衝撃は誰にもわかるまい。わかってほしくない。その上、首には魔術の仕込まれた首輪
が付けられ、聖女の気が向いたら私の首が飛ぶようになっているそうだ。おかげで少しでも歯向かうと「そうかそうか。そんなに死にたいか」と脅してくる。
こちとら既に死んで亡霊化しているんだ。それでも死ぬのは嫌なので従うしかない。
今日も今日とて私は慣れぬ早起きをして聖女の身の回りの世話をする。
「私のかつて居た世界ではな、戦勝国は敗戦国の民を奴隷にしたりしていた。お前はそういうのと一緒なわけだ」
「あの時言っていた私が月の騎士云々は嘘なのか」
「あれは本当だぞ。最初にこの世界に送られたのは間違いなく私とお前だ。お前のほうが少し早かったようだがな。
驚いたぞ。来てみれば仲間のはずの騎士が既に裏切っていたのだ。本来であれば死罪に等しき大罪だぞ」
「その後すぐに二人目来たわけだしいいじゃねーか。殺したけど」
「そう考えるとむしろ殺さぬ理由もないな。やるか」
聖女が私を細く白い人差し指で指す。気のせいか息が苦しくなるほどの圧迫感を感じる。
「やめてくれ」
「既に一度死んでいるのだろう? 別に気にする必要もあるまいて」
「そうかもしれないけどそれでも嫌なの。そもそもお前だって死人じゃないのか」
「確かに私は一度死んだ。だがこの通り受肉している。お前はよほどまともな死に方をしなかったってことだろう」
「そんな理由なのか……?」
「いずれにしろ他の兵達も受肉しているし、お前だけが特例だということだろう。さて、湯あみでもしよう。服を持て」
「へいへい。この後、公務ないなら適当なのでいっか」
「お前のもだぞ」
「風呂ぐらい一人で入れよ」
「なんだか亡霊を消滅させたい気分になってきたぞ」
「はい、わかりました」
いつもこんな具合で脅してくる。私は毎回ぎょっとしてすぐに取り繕うが本当に消滅させる気があるのだろうか。
気になるが気軽には試せまい。
「それでよい」
ニヤリと笑うその顔は明らかに聖女のそれとは思えない。しかし一般人の前に出て、話をするときの彼女の顔は慈愛
に満ちたようなもので、もしかしたら多重人格じゃないかと思うときもある。
だがいずれにしろ、私が亡霊召使いソーニャであるのは当分変えられそうにない。
392
:
名無しさん@避難中
:2014/09/19(金) 23:47:08 ID:GB04gE.E0
これにて終了となります。長い間スレの独占化をしてしまい大変失礼いたしました。
今後このようなことが万が一あれば他のスレで投下します。申し訳ありませんでした。
では良い創作ライフを
393
:
名無しさん@避難中
:2014/09/20(土) 00:33:15 ID:KpyWTFJs0
メイドソーニャだと……!?
394
:
名無しさん@避難中
:2014/10/09(木) 01:02:12 ID:JCR969uY0
手を伸ばせば届きそうなほど低い雲が流れる、夜空のもと。
一人の男が岩だらけの草原を疾走する。
息を切らすふうでもなく、しかしその足はかなり速い。
どこかを目指しているわけではなかった。彼はただ、逃げていた。
肩越しに振り返れば、今しがた走ってきた道をたどり来る、追跡者たちの姿。
雲間から漏れる月光が頼りの夜闇にあって、その姿はおぼろげにしか見えない。
だが追われる者は、明るみの中で対峙した追手の姿を記憶している。
射しこむ光とよく似た、白銀の鎧。
繊細な装飾が施された鞘に納められている、幅広の剣(つるぎ)。
距離が開いていることを確認し、走り続ける逃走者。彼の姿はといえば、流れ者の代名詞たる
土色の外套をなびかせ、身を包むは着古した革製の上着と穴だらけのズボン。
これまた草臥れた靴を履き、手には滑り止めの付いた皮手袋。鎧の男たちと比べると、
襤褸同然のいでたちである。目にかかるほど伸びた髪と、顎のラインを縁取る無精髭が、
粗野な印象をさらに強めていた。
しかしながら、外套が翻るたびに覗くなにかがあった。
それは彼と後ろの男たちのささやかな共通点、美しい鞘に納まった幅広の剣。
闇の中の追跡劇は、身軽な逃亡者が逃げおおせるかに見えた。
だが、彼は突然歩みを止める。
追いついてきた鎧の男たちは罠を疑い、距離をとって標的を半包囲する陣形をとった。
しばらくして雲が切れ、柔らかな光が射してくるにつれて、外套の男が足を止めた理由が明らかになる。
背を向けて立つ彼のつま先で、大地が途切れていた。
外套の男は追手に向きなおると、すさんだ笑みを浮かべた――
さっきまで両の手を振って走っていた追跡者たちが、いつの間にか剣を抜いている。
文字通り崖っぷちに追いつめた鼠を逃がさぬよう、鎧の一隊はじりじりと距離を詰める。
数は四。追い詰められた側が、一戦交えるべきかと逡巡するうちに、相手から沈黙が破られた。
「……見下げ果てた男だ。死罪を恐れ、何より重んじるべき名誉を捨てて逃げ回るとは」
向かって左の男が発した声のようだったが、そこには失望と怒りと哀しみと憐れみと――
整理しえず、また言葉によっても定義できない感情が、冷たい炎のように渦巻いていた。
対し、面と向かって嘲られた男は、肩をすくめるだけで剣を抜こうとはしない。
皮肉るような笑みも、そのままに。
「まだ、そんないかれた騎士道を信奉してるのか。名誉は命より重いだの、
高潔な騎士は死したのち神になるだの――」
「黙れ! もっとも気高き騎士を……よりにもよって、
ジード・ウインチェスターを父に持つ貴様が、騎士団の典範を愚弄するなど!」
父親の名前を出された一瞬、青年の顔に憎悪がひらめいた。それは頽廃した薄笑いの仮面に
すぐ覆い隠されたが、垣間見せた眼光の鋭さは、鎧の男たちを怯ませるに足るほどのものであった。
殺気が生み出した硬直の刹那、ボロボロの靴が半歩後ろに踏み出す。彼の意図を悟った
騎士の一人が駆け寄ろうとするも、抜く手も見せず払われた剣の側面で右肩を強打され、
あわや断崖から落ちんというところまで転げた。陸地の終わりから覗き込む光景に、
途端に速まる心音。騎士はあわてて内陸側へ這い戻る。
追われる者は平然と、その縁から踵を飛び出させながら立っていた。その全体重は、
いまや両足の前半分だけで地に着いている。手にはやはり追手のそれと同じ得物。
戦闘用らしからぬ装飾が施された、両刃の剣が光る。
「気高き騎士、か。俺もあの日までは信じてたよ。だがな、敬虔な典範の信徒だった俺が、
最も大事なはずの名誉をかなぐり捨て、かつての仲間から逃げ回っているのは何故だと思う」
正面で彼と向かい合っていた騎士が、にわかに包囲を崩して間合いを詰めた。
後ろで束ねた長い金髪が風に揺れ、柔らかな銀の光に照らされた顔は若い。
白皙の美貌が、どこか傷ましい憎しみに歪んでいる。
「クリフ! 裏切りの由などッ!」
「待て、レヴィン! 奴は――」
仲間の制止を聞かず、若き騎士レヴィンが真っ直ぐに剣を突き出す。
だがそれよりも早く、クリフと呼ばれた男は背後の虚空に身を投げ出していた。
「復讐だよ」
制止する暇もなかった。風を切ってその身体が落ちていく音を耳にするに至って、
我に返ったレヴィンが縁から身を乗り出す。
すでに、眼下には落ちてゆく何者の姿も見えない。
ただいつの世も変わらぬ、白く波打つ雲海が広がるばかりであった。
(第一話『大空への船出』につづく)
395
:
名無しさん@避難中
:2014/11/01(土) 20:16:02 ID:eQwGYNgU0
http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org5392867.jpg
396
:
名無しさん@避難中
:2014/11/01(土) 20:29:45 ID:m6I8fHa60
事案発生wwwwwwwwww
397
:
名無しさん@避難中
:2014/11/02(日) 01:41:23 ID:7.gZIPgI0
うわあwwwwwww
398
:
名無しさん@避難中
:2014/11/27(木) 00:19:38 ID:uOQIQhHc0
意識が泥の中から静かに浮かび上がる。枕元にあるはずの時計は首の角度で見ることが出来ない。
少しばかし動けば見える。でも面倒だ。まとわりつく眠気を受け入れ、再び目を閉じる。
目を閉じたせいか、先ほどまで聞こえなかった音がする。雨だ。嵐と言うほどじゃないが小雨というほどでもない。
窓越しにサーと静かな音がする程度の雨。途端に気分は憂鬱になってきた。なぜ雨は気分を落ち込ませるのだろう。
こうして雨の音だけが聞こえる暗闇の世界にいると、知らぬ間にこの世は大洪水で流されたのではないかと想像してしまう。
でもだめだ。近くに川があるし、大洪水が発生したら私も流されてしまう。
いや、それもいいんじゃないかな。こうしてただただ眠りと覚醒を繰り返すだけならそうやって大洪水に流されるのも。
水に流されて、信号機とか近所のビルとかにぶつかりながらどこかへと流れ出す私。乱流が治まり、街灯に引っかかる私。
それを魚達が食べに来るんだ。そうやって魚達は力をつけて大洪水後の世界を支配するんだ。駅も学校も大きな百貨店も。
みーんなみんな海の底。魚達の住処。ショッピングモールを泳いでいくイルカが見えるに違いない。
私は水族館が好きだ。狭い水槽とはいえ、すいすい泳ぐ魚達は見ていて気持ちいい。ふわふわ浮くクラゲも可愛らしい。
地面に潜ったり、這ったりする虫とかはちょっとよくわからないけど、見ていて世界は広いなぁと思う。
動物園も好きだ。ちょっとに臭うけど像とかキリンとかでかいし、ライオンとかかっこいい。ヤギや羊はよくみると愛嬌がある。
パンダというのは見たことないがきっと可愛いに違いない。でも見るのに並ぶのかな。嫌だなあ。
私は人間以外の生物は好きなのだ。でも虫はちょっと苦手。足が多かったりするのはダメっぽい。
ふと鼻に今までと違う匂いが入ってきた。布団はいい香りだ。おかげでぐっすり眠れたのだ。芳香剤やお日様の匂いではない。
彼女の匂いがする。でも今の匂いは多分香草の匂いだ。彼女はそういうのが好きだから。空想に耽っている間に彼女がお茶の
用意をしたのだ。いや、私を起こさないように静かに準備してくれたのかな。彼女は否定するだろうけどそうやって人をさり気なく
思う心得を彼女は持っている。だから私は彼女が好きなのだ。
寝返りを打って、彼女の方を向く。二人分のカップと本を置いたら満員になる小さな机と今にも折れそうな華奢な椅子に腰掛ける彼女。
本を読みながら、カップを口に運ぶ所作は美しくまるでどこかの絵画のようだと毎回思う。
彼女が目線を上げて、私の顔を見ながら微笑む。
「おはよう。目覚めはどーだい?」
「おはよう。まだちょっと眠い」
「ならばもう少し寝ていれば良い。君を急かすものはここにはありはしないさ」
そう言って彼女はお茶を飲む。お言葉に甘えて惰眠を貪るのもいいかもしれない。でも彼女とお茶を飲める機会は多分今だけだ。
体をえいっと起こして、私はもう一つの椅子に座った。私のカップがお茶で満ちていき、それを口に入れたら心が満たされていく気がした。
習作 『憂鬱な寝起き』
399
:
名無しさん@避難中
:2014/12/14(日) 17:41:04 ID:8RvaQNzE0
「父王を弑せというのか。実の父親を、殺せというのか……」
テオドール・ゴットフリートはよろめいた。足元がおぼつかない。大地が消え失せ、心臓が浮くような墜落の感覚。
揺らぐ世界の中で、友の双眸だけが動かなかった。月光を跳ね返してきらめく翠の瞳が、
テオドールにいかなる現実逃避も許さなかった。
「それしか道はない。そして、君にしかできない」
冷徹な声が、苦悩せる王子を打ち据える。テオドールは友を恨もうとした。だができなかった。
少女めいた容貌の学友、ローラン・ローゼンクランツはいつも正しい道を知っている。
彼がそれしかないと言うのなら、ほかに取るべき方途などあるはずもないのだ。
「お父上はあまりにもたやすく譲歩しすぎた。彼はひとりの男として、父親としては善良だったが、
王座にあるべき器ではなかった。ダモクレスの剣に怯え、責任を取り除いてくれる強者が現れた途端に
嬉々として権力を譲り渡す……国民の憎悪が日に日に高まっていくのを肌で感じないか?
早晩、誰かがやるだろう。憂国の家臣か。怒れる民衆か。いずれにせよ、売国の王に未来はない」
父の行為を“売国”と表現したのは民意の代弁であり、ローラン個人の真意とは異なるはずであった。
それでも、テオドールの胸は痛んだ。ローランとて幼き日には、王宮の空中庭園で
父王が語る歴史物語に目を輝かせていたのだ……。
「だったら、私でなくてもいい。王子による父殺しなど、考え得る限り最悪の弑逆ではないか」
「いいや違う。聞け、テオドール。もし臣民が王を処刑したとなれば、それは
国民の手で、ゴットフリート王家による統治が否定されたということだ。
統一銀河連邦は政治的混乱の収束を掲げ、ここぞとばかりに介入してくるだろう。
奴らの思い通りに動く“民主主義的な”政府を立ち上げ、中央の巨大企業体群が
分社ステーションごと押し寄せてくる。自治権など在って無いようなものだ。
卓上で切り分けられるパイのように、国土と資源と人材が好き勝手に収奪され、リガローク王国は滅ぶ。
だが君が父王を討つなら、それはあくまで宮廷内部のこと、王族間の暗闘に過ぎない。
王座についてしまえば、国民は君を支持する。弑逆も父殺しも歴史の必然が正当化してくれる」
「それで彼らの介入を拒めると? 見通しが甘すぎはしないか、ローラン。
カーリンガルド星皇国を言いがかり同然の理由で攻め滅ぼした銀河連邦だぞ。
王位継承が不正に行われた、とでも言って無理矢理に介入してくるぐらい、やるかもしれん」
“不正によって王位を継ぐ”こととなる自分を揶揄しつつ、テオドールが反論を試みる。
ローランの眼に憐憫の影が差したと見えたが、彼が答えて明かす智謀は無慈悲をきわめた。
「僕のシナリオはもう動き始めている。王国解体に抵抗する右派貴族を抱き込み、
官僚どもを中心に、半年前から宮廷内部に切り崩しをかけてきた。王はもう孤立無援だ。
お膳立ては完璧に整っている。国の有力者すべてが王の死刑執行書にサインしているんだ。
あとは君がギロチンの紐を切って落とすだけ。政治的混乱などあるはずもない。
平民から大臣まで誰ひとり前王を擁護しないというのでは、連邦も介入の糸口を見つけられまい」
「……父を、もうそこまで追い込んでいたのだな」
刹那、二人の視線がぶつかった。氷と炎の交差だった。
「僕を恨むか、テオドール・ゴットフリート」
「いいや、恨まない。ローランが正しい」
「恨んでもいい。僕は国の未来のためと称して、もっとも残酷な役を君に割り振っている」
ふ、とテオドールが視線を落とした。俯く王子の秀麗な童顔に、覚悟の影が刻まれてゆく瞬間を、
ローランは戦慄とともに見守った。自分はいま、この誠実な学友を暗殺者に仕立て上げているのだ……。
「むしろ、感謝すべきかもしれん。いずれ誰かがやらねばならず、私こそが最適任である王家の汚れ仕事。
それを卿は、あえて陰謀家として使嗾してくれたのだろう。私ひとりに重責を負わせぬために……」
「買いかぶりすぎだぞ。僕はそこまでのお人好しじゃない」
「卿はそういう男だとも。知っているよ、ローラン・ローゼンクランツ」
テオドールは顔を上げ、諦めと悲しみ、そして確かに感謝を込めた微笑みでローランの献策に報いた。
「よい。臣民の旗頭となることが王族の務めであるなら、私は父に代わってその任を果たそう。
――明日、近衛兵団を率いて入城し」
父を殺す、とは言わなかった。それがテオドールの決意の形であった。
「……売国王、エルリッヒ・ゴットフリートを誅殺する」
400
:
上を向いて
:2014/12/23(火) 14:21:52 ID:1jGjK.DY0
“新着メールなし”。
それが、すべてだった。
――これは、やっぱり“切られた”ってことだよね……。
解っていたつもりだけれど、あらためて思うと胸のあたりが冷えた感じがした。
メールを送ったのが今月アタマ、つまり2週間ちょっと前。
クリスマスまで、あと1週間もない。
きっと他の良い子がいたんだろう、“最初から”。
やるせなくなる。
――いっつもこうだ。上手く行っていたと思ったのに、いつの間にかダメになってる。
決定的な何かがあったわけじゃない。
向こうも、キライになったわけではないしわたしに落ち度があったわけでもないと言う(それはまあ、割り引いて考えるにしても)。
――だったら、付き合ったままでもいいじゃん。
そう詰ったこともある。今では、その言葉を吐いた自分を殴りたい。
お前とは別れても友達でいたい、気兼ねなく話せるし云々。
みたいなことも言われた。
――バッカじゃないの。
心底、そう思った。
そいつ自身と、そいつと付き合ってたわたし自身に。
12月に入ってから急に寒くなった。夜中の0時近くともなれば、さすがに冷え込んでくる。
スマートフォンのディスプレイには、友人の Instagram の投稿。
“イタリアンバルで、ちょっと早いX’masパーティー☆”だってさ。
コートを通して忍び込んでくる冷気が、いっそう惨めな気分にさせた。
401
:
上を向いて
:2014/12/23(火) 14:23:43 ID:1jGjK.DY0
不意に、目の前に壁が現われて、ぶつかった。
「あっ、す、すみません」
ぶつかって、それがヒトの身体だったと気づく。
スマートフォンのディスプレイを見ながら歩いていて、気が付かなかった。
……訂正。
実は、気づいてはいた。
こっちに向かって歩いてくる男の人が自動販売機の明かりに照らされて見えたのを、目の端で捉えていた。
奇妙に思ったのは、その人がまるでうがいをしているみたいに目一杯、顔を上に向けながら歩いていたことだ。
――人通りの少ない夜とはいえ、ちょっとアレなヒトなんだろうか。だったらやだな、深夜だし。
そう思っていたのに、よりによってその男の人とぶつかってしまったのだ。
「ちょっと、ちゃんと前見て歩きなよ!」
イライラしていたので、思わずぶつけてしまう。
“歩きスマホ”の自分だって、他人のことは言えないのに。
「はい、すみません……」
男の人はしょげている。
背の高い、けどちょっと抜けていそうな男の子だった。
高校生だ。すぐに分かった。
去年わたしが卒業した高校と同じ制服だったからだ。
「あっと、お怪我はなかったですか」
その質問の間抜けさに、噴き出してしまった。
怪訝な顔をしている彼に、わたしは“後輩”気安さで尋ねる。
「ねえキミさ、あんなにあんぐり上を見上げながら歩いていて、危ないと思わない?」
嫌な訊きかただな、と思う。
案の定、彼はしょんぼりとしてスミマセンを繰り返すばかりだ。
402
:
上を向いて
:2014/12/23(火) 14:26:30 ID:1jGjK.DY0
「何を見ていたの」
そう聞くと、彼が顔を上げた。
「星座を……この時間だと、よく見えるんで」
彼は至って真面目に答えた。
驚いた。
予想外過ぎる答えだった。
考える間もなく、わたしは次の質問をしていた。
「何が見えるの?」
彼はきょとんとしたのち、上を見上げて指さした。
「あれがオリオン座です。明るい星4つで四角をつくっていて、その中に星が3つ連なっていますよね」
――オリオン座くらい知ってるよ。
思ったけど、黙って先を聞く。
「そこから左下にもう一つ明るい星が見えますよね。おおいぬ座のシリウスです」
その名前は聞いたことがある。どんな星かは知らない。
「シリウスの左上の明るい星が、こいぬ座のプロキオン。これとオリオン座の右肩にあたるベテルギウスとで、『冬の大三角形』です」
それも聞いたことがある。きっと小学校の理科かなんかで習った。けれど、それをリアルで見ることが出来るとは思っていなかった。
ましてや、うちの近所で。
冬の夜空は、意外にも星がたくさん瞬いていた。
この辺は都会とは言えないけれど、都市も工場も住宅もあって、天体観測なんてできないと思い込んでいたのに。
「けっこう見えるものなんだね……」
わたしは思ったことを無防備に口に出していた。
「冬は空気が澄んでて、けっこう見えるんです」
彼としては誠実に答えたのだろうけど、“けっこう”を重ねたところが面白かった。
冬の午前0時には、オリオン座がちょうど頭の真上あたりに来る。
比較的見つけやすいオリオン座と、シリウスなど明るい星が周りに多いので、
この時間は星座を眺めるのに向いている時間なのだという。
403
:
上を向いて
:2014/12/23(火) 14:29:24 ID:1jGjK.DY0
「キミ、N高校の生徒でしょ」
「えっ、なんで知ってるんですか?」
――制服見れば分かるっての。この子、大丈夫かな?
「あたし、そこの卒業生だから」
「あっ、じゃあ先輩ですね」
男の子は嬉しそうに言った。
――何をしてるんだろう。ここで、この“後輩”と仲良くなっても仕方がないのに。
ふと我に返って、
「じゃああたし、駅に行くから」
立ち去ろうとした。
「駅に行くならこっちが近いですけど……」
「え?」
初めて降りた駅だった。
バイトのヘルプで、いつもと違う店舗に来ていた。
帰りは駅までどう行けばいいか、店長が地図を持ちだして大げさに教えてくれようとしたのだけれど、
地図アプリで何とかすればいいと思って断ったのだ。
それが失敗だったらしい。わたしは見事に、自分の居場所を見失っていた。
結局、わたしは後輩の彼とともに駅に向かった。
あれこれ聞いてくるかな、と思ったけど、彼は何も聞いてこない。
かと言って黙りでもない。ここの犬は毎朝うるさいとか、誰々先生が健在だとか、無難な話題をポツリポツリ振ってきた。
わたしもそれに適当に答える。面倒くさいわけではないし、興味のない話題でもない。
駅に着くと、彼はここで別れるといった。
「僕の家、この近くなんで」
「ごめん、送らせちゃって」
彼はにっこり笑った。
高い身長に似合わない、子供っぽい無邪気な笑顔だった。
404
:
上を向いて
:2014/12/23(火) 14:33:07 ID:1jGjK.DY0
電車に乗り、シートに腰掛けてほっと息をつく。
――彼女、いるんだろうな。
ふと思って、何を考えているのか、自分で自分を呪った。
――別に、どうこうなりたいわけじゃないし。
冷静になろうとした。心臓はトクトクと、いつもより大きく鳴っていた。
◇ ◇ ◇
23日になっても、向こうから連絡はなかった。“付き合ってる”というのは、わたしの勝手な思い違いだったみたいだ。
わたしはアドレスを消し、バイトに没頭することにした。
25日のシフトは急遽変更になって、前に行ったヘルプ店舗での勤務になった。
サンタ帽子を被って、売れ残ったケーキを売る仕事だ。
――これほど惨めなこともないよね。
自嘲と自棄を身に纏って、寒い店頭に立ち声を張り上げる。
何組ものカップルが目の前を通り過ぎる。
――かわいいとトクだよね。
そんなふうに思う自分が嫌だ。
けれど、現実はそうなのだ。かわいければすべてが許され、大事にしてもらえる……というか、粗末にされない。
――こんなだから、ダメになっちゃうんだろうな。
わかってる。でも、どうしたらいいのか分からない。
405
:
上を向いて
:2014/12/23(火) 14:35:42 ID:1jGjK.DY0
腕時計を見る。
もう少しで上がりの時間だ。
ケーキはあと2個を残すのみ。これならノルマは果たしたと言えるだろう。
「あれ?」
不意に、目の前に背の高い人影が現われた。
「先輩、ここでバイトしてたんですか」
「うっさいなぁ。ケーキ、買いなさいよ。あと2個なんだから」
数日前に知り合った“後輩”に、また会ってしまった。
クリスマスの日にバイトをしている惨めな姿を、知り合いに見られたくないと思っていた。
けれど、不思議とわたしは嫌な気分にならなくて、ちょっと抜けてる“後輩”に遭遇したことを、面白がっていたりするのだ。
「これ売らないと帰れないんだよね」
「ええ、マジっすか! そりゃヒドい!」
――真に受けなくていいよ……。
苦笑する。
「じゃあ僕、買いますよ」
「ええ、いいよ! 無理に買わなくても」
「先輩、売らないといけないんでしょ?」
「そうだけど、無理に売りつけたいわけじゃないから!」
――この子は、本当にまっすぐだ。
すぐ捻くれた考えをしてしまうわたしとは、ぜんぜん違う。
朴訥とした容貌も、飾らない佇まいも、わたしには無いものだ。関わった友人その他にも、似た人は見当たらなかった。
406
:
上を向いて
:2014/12/23(火) 14:37:59 ID:1jGjK.DY0
売れ残りのケーキをどうするか、真剣に悩んでいる彼の横顔を見ながら、わたしは何気ないふうを装って言った。
「じゃあさ、ワリカンでひとつ買おっか。それで、どっかで食べるの」
冗談っぽく言ったつもりだった。
買ったところで、食べるところなど無い。
24時間のファミレスに持ち込む訳にはいかないし、彼やわたしの家というのはもっと無理だ。
「あ、それイイですね。そうしましょう!」
彼は目を輝かせた。
そして、そのまま箱を持ってレジにずんずん向かってしまった。
◇ ◇ ◇
「先輩のお店じゃなくて恐縮なんですけど……」
彼が向かったのは、駅の反対側にある大きなコンビニだった。
店内にイートインコーナーがあり、カウンターではあるけれどちょっと落ち着けるスペースだった。
「たまに気分転換しに、ここでボーっとしてるんですよ。コーヒー飲みながら」
彼はケーキの箱をカウンターに置くと、飲み物を買いに行ってしまった。
――行くならわたしにも聞きなさいよ。
思ってからすぐに、
――こういう“採点クセ”がダメなんだよね……。
思って凹む。
気配りとかエスコートとか、必須じゃない。
気の利く人は嬉しいけど、それがなくても別の魅力があれば、ぜんぜん気にならない。
――“気が利かない”というのも、ちょっとかわいいしね。程度によるけど。
407
:
上を向いて
:2014/12/23(火) 14:44:05 ID:1jGjK.DY0
カウンターで待つわたしのもとに彼は自分のコーヒーを持ってきて、そこで初めて気がついたようだった。バツの悪そうな顔をして、
「ごめんなさい、先輩のぶんも買ってくるんでした。コーヒーの他に紅茶もありますけど、僕がここ見てるので良かったら……/
「いいっていいって。じゃあ、買ってくるね」
苦笑いして、途中で終わらせる。
彼がいわゆる“気の利かないタイプ”だというのは分かった。
けど、それで何の問題が?
少なくとも彼は、ひとを粗末に扱ったり騙そうとしたりするひとじゃない。
「意外に、けっこう美味しいですね。コンビニのケーキなんて大したことないと思ってました」
「甘党なの? コンビニデザート、意外に侮れないよ」
「甘いモノはわりと好きですけど、コンビニでは買わないですねー」
レジでプラスチックのフォークをふたつ貰い、それをナイフ代わりにして、不格好に切り分けて食べる。
惨め、という感じは無かった。むしろ、子供の頃に戻ったような楽しさがあった。
「星座を見るのが好き?」
ケーキを食べ終えて、コーヒーと紅茶をたがいに飲みながら、なんとなく聞いた。
彼はちょっと考えて、
「そうですね……星座というか、宇宙のことが好きというか」
「“宇宙”かぁ。大きく出たね」
「ヘンですか?」
「ううん。宇宙の研究なんて夢があるな、と思って」
彼は俯いて、小さく言った。
「でも、きっと無理です。僕には……」
「なんでよ」
「僕の親、医者なんです」
408
:
上を向いて
:2014/12/23(火) 14:48:01 ID:1jGjK.DY0
ああ、と納得。
どことなく育ちが良さそうなのも、どおりで。
「エリートじゃん」
「……そう言われるのが、すっごくイヤです。僕自身の力じゃないところで、そう見られてるのが」
そう言ってカップを口に運び、苦そうな、しかめっ面をする。
ミルクと砂糖、入れてあげようか。
「本当は理学部か工学部に行って宇宙工学をやりたいけど……、医学部を受けないといけないんです。
こんなの、ゼイタクな悩みかも知れないですよね。だから誰にも相談できない」
恵まれた環境にいる、というのを、彼は知っている。そして、それが “彼にとっては” 恵まれていない、ということも。
「勝手にしたらいいじゃん」
言い方がちょっときつくなってしまう。
彼は寂しげに笑って、
「そうですね……。父は勤務医なんですが、何も言いません。母は医者でもなんでもないくせに、医者になれとうるさく言ってきます。
親戚も同じで、正直ウザいです」
それはそうだろうな、と思う。
黙っていると、
「あっ、そろそろ電車無くなっちゃいますよ! 早く駅に行かないと」
壁の時計を見ながら、彼はケーキの箱を素早く畳んで立ち上がった。
わたしの記憶では終電まで30分以上あるし、本数が少ないから駅に行っても待つだけなのだけれど、彼が言うなら従おう。
◇ ◇ ◇
409
:
上を向いて
:2014/12/23(火) 14:51:11 ID:1jGjK.DY0
駅に向かう途中、ふと夜空を見上げる。
教えてもらったオリオン座は、すぐに見つけられた。
視線を左に持って行き、青白く輝くシリウスを捉える。そこから上に上がって、ちょっとオレンジ色っぽく見えるのがベテルギウスだったっけ。
「『冬の大三角形』の見つけ方はマスターしたよ」
明るい声で言うと、デクのボーは
「まあ、分かりやすいですからね」
しれっと答えた。
――コンニャロー。女子をホメるという術を知らんのか。失言で損するタイプだな。
ぐっと左に視線を向ける。ひときわ明るい星が輝いて見えた。
「ね、あれは? ほら」
「どれですか?」
彼は身をかがめ、夜空に指差すわたしの顔のすぐそばまで寄ってきて、空を眺めた。
――ち、近いだろ……。
不意な急接近に、なぜかドキドキしてしまう。
「あ、木星ですね」
なんともなしに言った。
「へ?」
――あの、木星?
意外だった。
「へえー。惑星も見えるんだ」
「太陽系の惑星は、他の恒星よりも明るく見えますよ。だから観測する時の目印になるんです。月と一緒です」
知らなかった。
木星や土星なんて、天体望遠鏡で見るものだと思っていた。
惑星なんて、太陽の周りを回るだけなのに。
自分で光を発することもない、太陽の光を反射して輝くしかないのに。
410
:
上を向いて
:2014/12/23(火) 14:54:07 ID:1jGjK.DY0
「こうやって見ると、あらためて“近くの星は良いなあ”って思いますね」
彼はきっと、なんの含みもなく、純粋に星のことを言ったのだろう。
けれどその言葉は、曲解されてわたしの心に、すとんと落ちた。
近くなら、自ら光を発しなくても見てくれる人がいる。
――わたし、物事をヘンにとらえ過ぎだと思う。
けれど、スマートフォンのディスプレイを眺めながらあれこれ考えるよりは、首が痛くなるくらい夜空を見上げているほうが、
気分が良かった。
――上を向こう。遠くを見よう。
「……よし」
つぶやくと、彼がわたしを見た。
「どうしたんですか?」
「吹っ切れたの。いろんなことが」
彼の顔を見る。
「キミのお陰でね」
電車の到着を告げるアナウンスが駅から響いてきた。
じゃあ、と別れて改札を抜ける。
彼の名前もメアドも知らない。
けれどなんとなく、また会える気がしていた。
それが“また会いたい”に変わるまで、もう少しこのままの距離感でいたいと思った。
.
411
:
名無しさん@避難中
:2014/12/23(火) 14:55:06 ID:1jGjK.DY0
↑以上で
412
:
名無しさん@避難中
:2014/12/26(金) 20:43:31 ID:vVGV2KWQ0
なんか敗北感があって悔しいのでコメントしたくなかったが書いちゃう。ビクンビクン
>>400-410
面白かった。
世慣れない未熟さがありながらもまっすぐな“彼”と、その若さの輪郭を捉えながらも彼を許容できる“わたし”に
それぞれ文章の中へ人を誘う魅力がある。
過度な理想化をせず、それでいて現実を悲観してもいない、生の人間が持つ微妙な距離感を
よくも表現できるものだ、と素直に感心する。どうも自分の話の登場人物を
極端にキャラクタライズしてしまうきらいのある身としては、見習いたい点が多々あった。
あと作品自体と関係ない個人的なことだけど
こういう横書きに特化した大胆な改行ができるようになりたい。
413
:
名無しさん@避難中
:2014/12/30(火) 01:06:34 ID:qrywbkZo0
>>412
丁寧なコメント、ありがとうございます!
こんな感想をいただける自分は果報者です
改行については、実はちょっとやり過ぎな気もしていますw ケータイ小説みたくなってますよね
PCでテキストに落としている時はここまでしないのですけど、投下する段になって適宜改行を入れています
ブラウザは行間が詰まりすぎていて、文が長くなると極端に読みづらくなるので・・・ご勘弁を
あと、端っこまでだらだら伸ばすと怒られるのでw 適当なところで折り返すようにしています
文字数でぱっきり折ってもいいと思うのですが、またがるのが好きでないので句読点で折ることが多いです
今年の投下は以上です
ますます書けなくなっています(ヤバい!)
読んでくださった方、ありがとうございます。本年もお世話になりました
来年もどうぞよろしくお願いいたします
来年は、ほとんど投下できなかったメインのほうをがんばろうと思います(←去年も言った気がw)
では、良いお年をお迎えくださいm(_ _)m
414
:
名無しさん@避難中
:2015/03/18(水) 03:30:44 ID:6Ofyra3w0
http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org219846.jpg
415
:
名無しさん@避難中
:2015/03/18(水) 08:13:44 ID:2YrmtFmIO
天狗やっほい!!! 天狗やっほい!!!!
416
:
名無しさん@避難中
:2015/03/18(水) 09:09:39 ID:T30i2xKM0
うるま天狗はレジェンド天狗
417
:
名無しさん@避難中
:2015/03/23(月) 17:25:17 ID:Yj./Dvog0
「私は今まで美しいという言葉の意味を間違っていた。君と出会い、それがわかった」
「この世界に存在するのは私と餌とそれ以外であったが、これからはそこに彼という項目を加えなければならない」
「君を知るには一生は短い」
「彼と過すには一生が長い」
「君の孤独をかき消すほどの思い出を」
「彼の記憶を埋め尽くすほどの思い出を」
「君を思えば、死は怖くない。ただ少し悲しい」
「彼を思えば、死は悲しくない。ただ少し怖い」
「幾千もの人間の死を見てきた。
人が獣を殺し、食らうのと同じように。
ただ初めて私は人の死を見て、違う感情を持った。
それは悲しみだった」
「再び世界は三つのものに分類されるようになった」
「朝、寝ぼけた私が隣に手を伸ばし空を掴む」
「彼の一生は私の一瞬であったが、幸福は一生分であった」
「記録媒体が読み込めなくなり、思い出の家は朽ちて行く。
やがて君の名を刻む墓石が風化してなくなっても
私だけは君の名を、姿を覚えているだろう」
「彼への想いを片道切符に、私も永き旅に出かけよう」
『吸血鬼の詩』
418
:
名無しさん@避難中
:2015/05/11(月) 00:16:58 ID:pyK1bMKY0
夏の日差しが降り注ぐ屋外の階段。
鉄製のそれは触るだけでジワッと焼けてしまいそうに熱く、君は日陰になってややましな温度の場所に座る。
暑いね。
僕の後ろの空を見上げながら言う彼女に僕は彼女越しに湧き立つ雲を見ながら答える。
そうだね。
やおら視線を下げて僕のことを見る。そして微笑む。
いつだって手を伸ばせばそこに彼女がいた。駄菓子屋に行ってチューベットを買っても片方の相手に困らないくらい。
それで良かった。それが良かった。ただ踏み入るのが怖くて。離れるのが怖くて。その距離のまま。
ずっとそうでありたかった。彼女もそう思っている。僕はそう思い込んでいた。
私、告白されたんだ。
知ってる。僕は口に出さない。
君と同じクラスの――って人。
知ってる。僕は口に出さない。
それでね。私、付き合うことにしたの。
知ってる。
僕が口にしたいのはきっとその言葉じゃない。
じゃあ彼女はどうなのだろうか。僕が言いたい言葉を彼女も望んでいるのだろうか。
教科書を開いても、インターネットで検索しても、きっとその答えは見つからない。
おめでとう。愛想付かされないようにな。
彼女が静かに微笑む。嬉しそうな、悲しそうな。
そうだね。
トントントンと小気味良く音を鳴らしながら彼女は去っていく。
僕は彼女のいた場所に腰を下ろして、今度から一人用のアイスを買わないととぼんやり思った
419
:
名無しさん@避難中
:2015/05/11(月) 13:44:11 ID:RF7g7z5M0
切ねえじゃねえかよう……
420
:
名無しさん@避難中
:2015/05/13(水) 20:46:52 ID:s9RhNUyM0
中学の時は周辺の小学校からそのまま進学してくる人が多かったので制服になったということくらいしか目新しいことはなかった。
友人関係もその延長のものであり、無論三年間の学校生活の中でその間に友人が出来るということもあった。
しかし高校進学はそれとはわけが違う。
その先、大学や就職など将来の事を見据えて選ぶ人もいるし、そもそも学力や経済事情、通学時間などで選ばざるを得ないという人もいる。
そうなると中学までの友人とはバラバラになり、新しい友人関係の基盤を作らなければいけなくなる。
これは後の貴重な高校生活という青春を全うするためにとても重要なものなのだ。
特に髪を染めたり、あるいはガリ勉タイプでもない割かし普通の人間であると自負している俺はクラスカーストにおける真ん中程度の地位に治まるために
第一印象では普通、しかしそこそこ絡みやすい明るい性格というものを与えなければならないと考えていた。幸いにもこのような計算はするものの
中学では運動系の部活だったため、その部分はそんなに苦労することはなかった。自己紹介を終えて、周辺のクラスメイトの紹介も聞いたところ
どの方面もなかなか良い友人になれそうな人間が揃っていてこれからの高校生活に期待が持てる一歩が踏み出せそうだ。
しかしどうしても気になる人がいる。窓際に座っている彼女。女子だからと言って一目惚れしたからというわけではない。俺がこの教室に入ってきたときから
他の子も彼女を見て、こそこそ話をしていた。専らそのおかげで俺の前の席の男子からも話しかけられたので彼女には感謝したいくらいなのだが。
いよいよもって彼女が自己紹介をする。名前とどこの中学から来たか、そして趣味。普通だ。そして着席する。言わない。
クラスメイトみんなを代表してか担任の先生が口を開く。
「その格好はなんだ?」
「防寒具です」
時は四月。桜舞い落ち、緑に染まる頃。黒マントに黒い三角帽子を付けた、どうみても魔女のコスプレをした彼女は事も無げにそう答えた。
421
:
名無しさん@避難中
:2015/05/13(水) 21:08:29 ID:DwL2detc0
魔女ww
422
:
名無しさん@避難中
:2015/05/15(金) 23:36:07 ID:CWVLP3L.0
ある日、ふと夜の闇に紛れ込みたくなって家を抜け出した。暗い暗い世界に包まれて溶けだして霧散したくなった。
もちろんそんなことは出来なかったがそれ以来私は夜中に散歩をするようになった。
十一時を過ぎると人通りはなくなり、時折車が通るだけ。それも道路から少し離れれば無人だ。
だが人気がないわけではない。完全に人家のない場所にはさすがにいけない。
しかし人目はない。それだけで私にとっては幸福なものだった。
いつも散歩する道のりはまちまちだが今日は少し離れた場所にある小高い丘の公園に行く事にした。
十分ほどの道のり。大通りから外れて住宅街を通っていく。ぽつりぽつりと電気はついているが不思議と音はしない。
もしかしたら世界は張りぼてで私しかいないんじゃないか。そんな愉快な想像をしてしまう。
公園に着いたら外周沿いに歩き始める。目的地は最奥の屋根があるベンチ。木々の奥にひっそりとあるお気に入りの場所。
街灯同士の間隔は広く、まるでお互いに距離を取りあっているようにも見える。しかし光の輪は途切れず少しずつ繋がっていく。
ハリネズミのジレンマ。いや、これは違う。予算上のジレンマ? おかしくなってクスクスと笑う。
目的地のベンチがはっきりと見え始めた時、私は足を止めた。誰かがいる、ように見える。
こんな夜中にこんな場所に来るような人間はまともなはずがない。変質者なのではないか。
人影は椅子に座ってじっとしている。寝ているのだろうか。私はしばし考えた後、ゆっくりと近づく事にした。
ようやくその姿がわかったとき、向こうもこちらの存在に気付いたのか俯いていた顔を上げる。
見た目は若い男性だ。二十代前半ぐらいだろうか。私の姿を見て、少し驚いている。
「若い女の子がこんな時間にこんな場所に出歩くものじゃないよ」
その人は意外にも常識らしいことを言う。
「あなたみたいな人でもこんな時間にこんな場所にいたらおかしいと思うけど」
私が言い返すと彼は頭を掻きながら「まぁそうかもな」と同意した。
そしてゆっくりと立ち上がると
「俺は人待ちをしていたのだがな、どうやら来ないようだ」
と言い、伸びをする。その時、彼が片手に持っている物に気付いた。
長いロープだ。
「誰を待っていたの?」
思わず尋ねた私に彼はにやりと笑いながら答える。
「魔女だよ。彼女立会いの下、ここで死ねば使い魔にしてくれるという約束だったんだ」
「私もなる」
私の返答を聞き、彼は顔をしかめる。今の私は彼と正反対にきっと満面の笑みだろう。
やっとこの時が来たんだ。この世界から、この何もない世界にさよならして新しい世界に行くチャンスが。
月も見ていない木々に隠れた夜の闇の中で私は片道切符を掴んだ。
423
:
名無しさん@避難中
:2015/06/07(日) 01:32:51 ID:3HieOgRE0
>>420
、
>>422
続きものか、別人による同一モチーフか・・・
いずれにしても面白いので続きの投下を待つ!
>>418
正統派の切ない話。こういうの好きです。GJ!
424
:
名無しさん@避難中
:2015/07/01(水) 20:43:05 ID:UPZgvaAE0
「キミは確かに願ったはずだ」
そうだ、その通りだ。俺は願ったのだ。
その日は木星と金星が地球に接近して、肉眼で見えると聞いたからベランダで西の空を眺めていたんだ。
夏至過ぎて昼の伸びた空が青から赤、やがてそれが混じり黒になっていくのをぼんやりと見ていた。
肉眼で見る二つの惑星は小さく、とても惑星のそれとは思えないほど矮小な光で、望遠鏡でもあればもっと惑星らしく見えるのだろうか。
そんなことを考えていたんだ。
その時、光が流れた。流れ星だ。実際に見たことなんて初めてだったと思う。俺は思わず、そしてありきたりではあるが願掛けをしたんだ。
『過去の俺を殺したい』
すると急に視界が眩しい光に包まれた。咄嗟に腕で光を遮るほど。それでも瞼を貫通して光が目を焼くほどの明りが俺を照らした。
やがて光が収まり、眩む目をゆっくりと開けたら妙な光の玉が目の前に浮いている。
そしてそれから視線を下ろすと赤ん坊が眠っていた。
「キミは確かに願ったはずだ」
光はゆっくりと明滅しながら繰り返す。
「過去の自分を殺したいと。ワタシはそれを聞き遂げた」
俺はその赤ん坊を見つめる。そうか。これは俺なのか。赤ちゃんの時の俺。
見渡せば見覚えのある家だ。俺が生まれた頃はまだ父方の祖父母の家にいたんだ。
今でもお盆になると帰省している。何も無い、普通の田舎だ。
「この子供はいずれキミにもなりえる存在だ。さぁ殺したまえ」
「俺、にも?」
光の言葉に違和感を感じて聞き返す。
「そうだ。この子供には多分の不確定要素が揺らいでいる。この先、どのように育つのはまだ不明だ。
ただその成長した先にキミという可能性が含まれている。無論、今のキミ以外の可能性も含まれている」
「俺なのに俺にはならないのか?」
「今のキミは既に確定した存在になってしまったが、本来であれば全ての人間は幼き頃未確定の存在なのだ。
その成長次第ではあらゆる可能性を秘めた存在。それを多数の選択を積み重ね、可能性の取捨選択を行い
一つの確定した存在に辿り着く。今のキミのようにね。
安心したしたまえ。この子が如何なる成長を遂げようがこの時点で殺せば、今のキミを含む全ての可能性は消滅する。
キミの遠回りな自殺も成就するのだ。殺した瞬間、死という確定要素が出来るからね」
それじゃあまるで――。
その言葉が口からは出ない。代わりに頭の中で続きの言葉が連なる。
俺がこの未来を選択したみたいじゃないか。
でもその通りなのだ。
俺は小学校に入るまで祖父母の家で過した。自然豊かな田舎で子供らしく育ったと思う。
都心に引っ越して小学校に入り、最初は驚きの連続だった。でもそのうち俺は周りに打ち解けていったんだ。
この頃の俺はまるで今の俺には繋がらない存在だった。
でもゆっくりと歪みはじめた。小さな石のようなものはやがてゆっくりと俺の人生を今の未来へと導いていった。
その小石がなんだったのかは今の俺にもわからない。だけどその歪みから抜け出す方法はいくらでもあったはずだ。
でも選ばなかった。違う、俺はより大きく歪むほうを選択したんだ。途中からはそうなることがわかっていたのに。それでも俺は。
気付けば無気力なただ生きているだけの存在。死んでいないだけの存在に辿り着いたんだ。
「キミの手でこの子の首を絞めればそれで終わるよ」
でも俺はこの子を殺していいのか? 殺すべきなのか? この子に罪はないのではないか?
この子はまだ何者にも成っていないのに。
「……やめるよ」
「やめるのか? 願いなんだろ? 殺したいんじゃないのか?」
「この子にはまだあらゆる未来が詰まっているんだろ? 俺みたいな奴がその未来を確定させるなんて出来ないよ。
きっとやっちゃいけないんだ」
「なるほど、わかった。じゃあ元の世界に……」
「いや、代わりに別の時間に飛ばしてほしいんだ。出来たら――」
見慣れた部屋だ。どこに何があるかすぐにわかる。俺はいつかの修学旅行で買った木刀を手にする。
窓は開いている。だって俺が開けたんだから。ベランダではぼんやりと俺が空を眺めている。
俺は木刀を振り下ろした。
425
:
名無しさん@避難中
:2015/07/02(木) 22:30:21 ID:7n7tN4OQ0
東の森に魔女がいる。地元の人間なら誰でも知っているし、今の時代魔女などそう珍しいものでもない。
彼女が魔女に会いに行くと、家の外で何かを作っていた。
近づいて見るとどうやら自動二輪のようだ。
「魔女さんバイク乗るの?」
彼女が興味深げにそれを見ながら魔女に問う。
魔女は顔を上げて、額に浮き出た汗を手で拭った。拭った後は油か汚れか、黒い跡が残った。
「あたしは乗らないよ。これを修理して中古店に売ろうと思ってね」
「変なの」
『神々の黄昏』を迎えてから数十年の月日が流れたが、未だに人の文明はかつての繁栄を取り戻せていない。
人々は壊滅した文明から遺産を掘り起こし、それを利用、研究、修繕しながら今も細々と生きている。
魔女の修理しているこのバイクもその遺産の一つだ。少しばかしボロくなってはいるがかつて存在した日本の会社のロゴが入っている。
損傷が少ない理由は発掘されたのが時間凍土であったというのが理由だ。
時間凍土では時間そのものが凍結された空間が多数存在し他所からの干渉がない限り、どのような物も凍結当時の姿を保つことが出来る。
バイクを始め、様々な遺産が凍結凍土から発見されており、その上高値で取引されることもあるのでそれを目当てにする輩も多い。
ただし時折強固な時間凍結箇所が存在し、そこに立ち入った遺産探しの人間を凍結させる事故が発生する。
凍結した人間は傍目から見てもわかるため、危険な箇所の目印にされ、凍結解除に自信のある人間以外からは放置される。
魔女がバイクを持っているのは自ら時間凍土に探しに行ったわけではなく、依頼の報酬として譲り受けたのだ。
魔女の中には遺産探しで生計を立てる物もいるが、この東の森の魔女は出無精なため移動するのはせいぜい近くの村までだ。
「よし、これで直ったかな」
魔女が再び額の汗を拭い、さらに汚す。やってきた彼女はその様子を楽しげに見ている。
機械の修理というのは本来専門の人間に任せるものなのだが、東の魔女のように自分で修理して売るという人間も少なくは無い。
そうすれば修理代が浮くからだ。ただし直すのには知識や道具がいるため、そう易々と出来るわけではない。
東の魔女は趣味でそういった事が書かれた書物を持っていたため出来ただけだ。
直して早々魔女はあることに気付く。
「しまった。燃料がない」
機械には当然燃料が必要になる。魔法で機械を本来通り動かすことが出来ない。試運転するには燃料が必要になる。
しかし燃料は少しばかし値が張るのだ。製油技術も衰退して久しく、油田開発もわずかにしか進んでいない。
魔法を用いた製油技術が確立した以降はある程度の値段にはなったが、それでも毎日乗るには少し躊躇う程度の値段だ。
それを聞いてやって来た彼女が待ってましたとばかりに答える。
「実はさ、村から依頼があったんだけど」
「む、そうなのか。よし、なら依頼料を燃料に当てよう」
魔女は水桶で手を洗い、額は汚したまま彼女を連れ立って村へと向かった。
426
:
名無しさん@避難中
:2015/07/15(水) 23:35:09 ID:sx7tSqEM0
「師匠って不敗の魔女って言われてますよね」
「まぁそう呼ぶ人もいるね」
「どうすれば不敗で居られるのですか?」
「どうすれば、ねぇ」
師匠、帽子を取って頭を掻く。戻す。
弟子、身動きせず師匠を見つめる。
「まずはだね。私が戦ってるところって見た事ある? 決闘形式で」
「……いえ、ないですね」
「その時点で怪しいと思わないとダメだよ」
師匠、弟子に指をつきつける。
弟子、たじろぎながら上半身だけ後ろへ逸らす。
師匠、手を戻し、足を組み直す。
「まず私は戦わない。戦ってない。戦わなければ負けない。屁理屈だけど事実だね」
「でもそれだけでは不敗とは呼ばれませんよね」
「うん。そうだね。それじゃあ不敗じゃなくて不戦の魔女になるもんね」
師匠、立ち上がり本棚から大きな本を持ってくる。机の上にそれを広げる。
弟子、その本を除きこむ。
「えーっとだね。あった、ここだね。昔私が希少生物の保護観察権利を巡って決闘した時の記事だね」
「希少生物ですか」
「うん。流れがなかったり、あるいは弱い場所に生息する水草でね。水上に葉のように見える平たい皿を出すんだよ。
実際はそれは花でね。乗った生き物に小さな種子をつけて他の水辺に運んでもらうって生き物なんだけどね。
これが面白いことに他の生き物を呼ぶために鳴くんだよ。蛙みたいに」
弟子、本から師匠に視線を動かす。怪訝な目つき。
師匠、得意げな顔。
「草が鳴くんですか」
「うん。ゲーコゲーコって。それで蛙とか蛙を捕食する生物を呼ぶの。すごいよねー」
「でもどうやって鳴くんですか」
「わかんない」
「え、だって保護観察権利を巡って決闘までしたんですよね」
「途中で研究飽きちゃった」
弟子、呆然とする。
「あの時の決闘は暑い日だったんだよね。決闘上も草一本生えない荒地だったし。だからね。周りに結界張って閉じ込めたの。
全魔力注いでね。それで目の前で美味しそうに水を飲むの。そうしたら相手が降参してくれてねー」
弟子、頭を抱える。
「不敗なんて言ってもさ。結局戦い方次第だよ。戦う必要がなければ戦わない。どうしても戦う時は出来るだけ穏便に済ませる。
試合前に毒の入った飲料飲ませたり、天候変えて中止にしたり、魔物呼んで中止にしたり」
「碌でもないことをしてますね」
「まぁね」
師匠、胸を張る。
弟子、溜息をつく。
「まぁ一番手っ取り早いのは鈍器で相手の頭ぶん殴ることかな。勝てば負けないし」
弟子、ずっこける。
427
:
名無しさん@避難中
:2015/07/22(水) 20:20:03 ID:rubDiiRc0
その吸血鬼は退屈をしていた。
吸血鬼とは吸血鬼として生まれた原種と原種により感染、吸血鬼化した眷属というのが存在する。
眷属は吸血鬼の感染能力を持たないものの、血液に対する貪欲な欲求、特に同種の生物に対しての強い血液欲求感情が発症する。
また定期的に血液を摂取しないと肉体が枯れることも判明している。そのため眷属は自らの欲求と生命維持のために常に血液を求めている。
それだけでなく、銀や十字架、にんにく、流水、鏡、日光等言い伝えあるいは迷信として言われてきた弱点に対しても全く抵抗力がない。
それらの欠点の代償として得られるものは同種と比べると少し長い寿命、運動能力の向上、翼による短時間の飛行能力。それだけである。
原種の気まぐれで眷属となった吸血鬼は日光に怯え、夜になると町を彷徨う人間を血眼で探す哀れな生物と成り果てるのだ。
一方、原種とはどういうものか。
吸血鬼以外の生物を眷属化させる感染能力を持っているが、特にする利点はないのでやる時は大抵暇だからやっている。血を吸えば全て眷属化、というわけではない。
血液の欲求もさほどなく、さらに味に関して非常にうるさい。まずいとやつあたりで眷属化させたりする。おいしいと館に囚われて、一生を過すことになる。
前述した吸血鬼の弱点は一切効かない。夏場になると自宅の庭で昼間から水遊びしている。強いて言うなら汚い物が苦手な原種が多い。
蝙蝠への変身、見かけを遥かに越える運動能力、翼による自由な飛行、さらに強力な自然治癒能力を持ち合わせ、人型生物としては最も優れた生物と言える。
そして最大の特徴とも言うべきものはその寿命である。四百年、五百年は優に生き、千年以上生きる個体も存在する。これに関しては全生物でも上位と言えよう。
だが同時にこれは原種吸血鬼において最大の問題でもある。それはなぜか。暇なのだ。そんなに生きてもやることがない。とても暇なのだ。
故にその原種吸血鬼もとても暇をしていた。
同様に長寿である竜の類は時折長い睡眠を取ることがある。数百年に渡る睡眠だ。だが吸血鬼にはそのような習慣はない。
冬山で同様の長期間睡眠を試みる吸血鬼もいたがせいぜい一年程度しか眠れない。実際試したが半年で起きてしまった。
知的欲求の高い個体は延々と書物を漁り、見聞を広め、それらを本としてまとめる者もいる。なんでそんな面倒なことをしているのか理解が出来ない。
見た目は麗しい少女だが実年齢でまだ二百歳にも届かない程度の自分ですらこれだけ暇なのだからあとこれを三回、四回繰り返すと考えると気が遠くなる。
なんとかして暇を潰すことを考えねばならない。出来れば百年単位で潰れるようなこと。うんうんと頭を悩ませるが一向に思いつかない。
なので知識を借りに行く事にした。
428
:
名無しさん@避難中
:2015/07/22(水) 20:20:22 ID:rubDiiRc0
「暇つぶしねぇ」
黒い三角帽子はどれだけ荒く使われたのか完全にくたびれていて溶けるようにへなへなになっている。継ぎ接ぎも多い。
ローブはおそらく実験中の何かを零したのだろう。多彩な色をしている。辛うじて黒い面積が多いので黒のローブだったということがわかる。
顔にかけている眼鏡はその道では有名な高給店に頼んだオーダーメイド物で、これ一つで一軒家が買える。
装飾がされているわけではないが、個人に合わせて出来ているので掛け心地がとても良く、掛けていることを忘れそうになるほどだそうだ。
傷一つなく、また定期メンテナンスもされているので歪みも一切ない。そのお金をもっと別のところに使うべきだと常々思う。
そんな魔女の友人は悩んでいるのか振り子のように頭を左右に揺らしている。
「そうだ、暇つぶしだ。貴様も少しは浮かぶだろう?」
「なーんで頼む側がそんなに上から目線なんだろうねぇ」
魔女の友人とはさほど長い付き合いでもない。魔女と言っても所詮人間なので長い付き合いにはなれないし、そもそも彼女はまだ十代だ。
以前村の人間を一人眷属化させて、何日で村人全員眷属になるか遊んでた時に偶然やってきて、眷族を駆逐したのだ。
当然暇つぶしを潰されたので彼女に対して迫り、血液を吸い尽くしてやろうかと思ったが話しているうちに言いくるめられて、今に至っている。
「あ、そうだ」
彼女が立ち上がり、本と埃に積もった本棚から一冊の本を取り出した。
表紙には『楽しい迷宮の作り方』と書いてある。
「なんだ、これは」
「少し前、って言っても私が生まれる前だけどさ。ダンジョンブームってあったの。知ってる?」
言われてみればそんなのがあった気がする。自作ダンジョンに誰かを迷い込ませて、その様子を見て楽しむというものだ。
流行り過ぎた結果、ダンジョン同士が繋がり、作成者同士が喧嘩するトラブルが増えたのでブームは終焉に向かった。
あとダンジョンのせいで無駄に強くなった冒険者達が人間以外の魔物だとか怪物を駆逐しまくったのも良くなかった。
あれのせいで一時期人間達が幅を利かせて、大変な目に合ったのだ。嫌な事を思い出してしまった。
「それがどうかしたのか」
「うん、だからね、ダンジョン作ろう」
「そんなものとうの昔に飽きたわ」
「いや、それがね。最近は研究も進んでダンジョン製作も楽になったし、場所も異世界に作れるようになったんだよ」
「ほお?」
少し興味が出てきた。彼女もそれを察したのか本を開いて説明する。
大見出しに『簡単お手軽異世界直結魔法陣の書き方(自己責任)』という不安を煽るようなことが書いてある。
「異世界なら仕掛けとかも色々いじれるし、この世界じゃ作れないような仕掛けも出来るんだよ」
「ふむふむ。前回の時は土地の問題もあったからな。ダンジョン同士がぶつかったりもした」
「それも異世界なら問題解決だね。異世界って言っても要は別次元空間に作るわけだし」
「無重力も出来るのか……いいな、無重力ダンジョン……」
想像する。ふわふわと浮きながらダンジョンを飛んで回る。自力で飛行するよりも不便ではあるが、その不便さが楽しいのだ。
でもスカートだと下着が見えてしまうからズボンを履かないといけないのが難点だ。
「でも無重力空間はあまり多めに作れないみたいだねぇ。ダンジョン自体の崩壊を招くって書いてあるよ」
「そうなのか。でも自作の魔物も配置出来たり、今の魔術は進んでいるな!」
「日進月歩だからねぇ」
吸血鬼は立ち上がって決意した。
ダンジョンを作ろうと。魔女と一緒に。
429
:
名無しさん@避難中
:2015/07/22(水) 20:20:44 ID:rubDiiRc0
三日後、完成した。
吸血鬼と魔女による、あらん限りの発想を詰め込んだ夢のダンジョンが。
正直、大規模かつ複雑すぎて本人達も全容を完全に把握しきれていない。しかしそれでいいのだ。
魔女と吸血鬼は握手をして、喜びと苦労を分かち合う。そのまま打ち上げと称して、ワインをたらふく飲んだ。
本来ならば法律的に飲んではいけない魔女も三日徹夜ということもあって、自分から進んで飲んだ。
浴びるように飲んだ。そして二人ともぶっ倒れた。こうして吸血鬼達の狂乱と、そして平穏だった日々が終わった。
揺り動かされているのに気付き、重い瞼を開けると困惑した表情の魔女がそこにいた。珍しい表情だ。
何事かと思い、手を付いて立ち上がろうとして気付いた。木の床に寝転がっていたはずが、なぜか土の上になっている。
周りを見渡す。魔女の家だったはずなのに暗い洞窟の中だ。ほの暗いが吸血鬼は夜目が利くし、床や壁の一部が光っているので見渡せないほどでもない。
「やっと起きたねぇ」
「うーん。確かワインを貴様の口に突っ込んだ後、貴様にやり返されて……」
「うん。それでお互い魔法を使おうとしたんだよね」
「その後の事が思い出せない……」
「多分私達の魔力に反応して、魔法陣が起動し、ダンジョンに放り込まれたんだろうね」
「は?」
「多分私達の魔力に反応して、魔法陣が起動し、ダンジョンに放り込まれたんだろうね」
吸血鬼が額を押さえて考える。繰り返し言われた言葉を酒に浸かっていた脳味噌で理解する。
「それはなんだ。私達はダンジョンに放り込まれたということか」
「そうだねぇ」
「脱出は」
「出来るよ。このダンジョンを抜ければ」
このダンジョンを抜ければ。三日間、狂気と悪魔の発想をひたすら詰め込み、一体誰を潜らせることを想定したかもわからないほど巨大化した迷宮。
笑いながらその辺の人間を眷属にして、突っ込めばいいんじゃないかなと大迷惑な考えを口にしながら製作された命の保障が全くない迷宮。
本棚から適当な本を引っ張り出してはこの怪物を入れようと古今東西の神話の怪物達が詰め込まれた神話動物園と化した迷宮。
「これはまずいんじゃないか」
吸血鬼と魔女による、大迷宮への挑戦が今、始まろうとしていた。
430
:
名無しさん@避難中
:2015/09/02(水) 23:08:31 ID:7LJYX/Xw0
「この食物を知っているかね」
そういうと彼女は懐から拳よりも少し小さい野菜を取り出した。
ごつごつとした見た目は石のようでありながらも広く食されていることを知っている。
「ジャガイモですね」
「然り。ジャガイモだ。
ではこの野菜がどのようにして世界に広まったのか知っているかね?」
少し考えてみる。世界的に流通している野菜のはずだ。原産地すらどこかすらわからない。
「いや、知らないです」
「そうであろう。一般人であれば、それがどこから生まれ、どのようにして世界に広まり、そして今日に至ったかなど考えすらしない」
「私も一般人ですか」
彼女の言い分にムッとなり、思わず言い返す。私を一般人と呼ぶにはあまりにも定義がおかしい。
一般人というくくりでみれば、彼女こそその一般人ではなかろうか。
「この野菜は原産地を南米アンデス山脈の高地とし、十六世紀ほどにヨーロッパに伝えられたと推測されている。
そこから家庭へすぐに普及したわけではなく、戦争や飢饉などを要因に家庭へ普及。十八世紀には北アメリカへと渡ったとされているようだ。
そして世界中へと広まった、というわけだな」
「ちょ、ちょっと待ってください」
「なにかね?」
調子よく高説していた彼女を慌てて止める。最初に話しておくと私はこれでもそのへんにいる一般人よりかは遥かに博識である。
じゃがいもの由来は知らなかったが博識なのだ。実際困り事があると私に元へ尋ねる人間は多い。
そんな私をいつも小バカにしているのは彼女だけなのだ。
「地名と思しき場所に全く心当たりがないです。あとは……その年号ですか? それも」
「これだから勉強不足の若造は困るよ」
私よりも二回りは年下であるはずの彼女の言葉が私のストレスを溜めていく。
「それじゃあその勉強不足の若造にわかりやすくご教授いただけますかね?」
「ふむ、いいだろう。これを見たまえ」
そういうと彼女は懐から今度は一枚の巻紙を取り出し、テーブルに広げた。
広げた拍子にじゃがいもが転がって床に落ちそうになったで慌てて、止める。
「この地図はなんだかわかるかな?」
彼女が地図というそれはやたらと陸地の多い地図だった。どこかの地方を拡大したものだろうか。
しかしこんな形の地形はなかったはず……。そうして私は一つの結論に辿り着いた。
「まさかこれは例の異界の」
「その通りだ。この世界に隣接する魔法無き世界。その地図だ」
なぜそのようなものを持っているかはこの際訊かない。私は目を皿にして、それを見渡す。
中央よりやや右上に三角形のような形をした大陸、下にも同じような形のやや小さな陸地。
左手には右のものよりも広大な土地が広がっていることがよくわかる。中央は大きな海になっているようだ。
下にも他に比べて小さめながらはっきりと形のわかる陸地とその上に細かい島が連なっている。
「これはすごい。妄想にしてもよく出来てますね」
「何を言うか本物だ。話をじゃがいもに戻そう。実はこのじゃがいももあちらの世界の物なのだ」
地図から顔を上げ、彼女の顔を見る。これからすごいことを言うぞという顔だ。
「それはつまりじゃがいもという存在があちらとこちら、両方の世界に存在しているということですか」
「然り。しかも調べたところ生育法もさほど変わらない。厳密には違う種ではあるだろうが、同じ植物であると見ていいだろう」
「本来では干渉し合わないはずの世界で同一の植物が存在し、そして両方とも世界中に食物として広まっている。これはつまり」
「うむ」
431
:
名無しさん@避難中
:2015/09/02(水) 23:08:54 ID:7LJYX/Xw0
意味ありげに彼女が頷き、私は思わず生唾を飲む。
「……じゃがいもには世界の壁を乗り越える力を持っているのかもしれない」
盛大にずっこけた。
「何を真面目に言っているんですか。例えば遥か昔、両世界を行き来した存在がいるとか、あるいは第三の世界の干渉だとか
はたまた二つの世界は元々一つだったとかいろいろあるでしょう」
「そんなわけなかろう」
じゃがいもに意味不明な力を付与しようとしている人間には言われたくはない。
「しかも調査したところこのじゃがいもという植物はあちらの世界の物語の中でもポピュラーなのだ。
物語の中でだぞ? 何を取り狂ってこんな芋を物語に登場させねばならんのだ。
おそらくはじゃがいもという植物は本来自立型の生物で、外宇宙からやってきた侵略生物なのだ」
彼女が自分の世界へと突入したのを確認してから、地図を私の懐にしまい、じゃがいもを野菜の入ったかごに入れる。
こうやってかごに入れればとても別世界のものとは思えない。この世界にも当たり前にある野菜だ。
しかしこの話。もうすこし裏づけを取れば、魔法使い学会で発表出来るかもしれない。
私がそんなことを内心ほくそ笑んでいる影で、野菜のかごからは「ケケケ」と何かが鳴いたことには二人とも気づかなかった。
432
:
名無しさん@避難中
:2015/09/19(土) 21:05:10 ID:4sG8FWDU0
人類滅亡までの予測時間が一日を切った昼下がりのこと。
地球に迫りつつある彗星は今や太陽の下でも目視するほど近く、ある種の非現実感すら漂ってすらいた。
人と国が手を組んで行われた、彗星破壊作戦も失敗に終わり、あれを破壊する手立ては残っていない。
神に祈る者。欲望を解放つ者。最期の時を穏やかに過す者。先に命を断つ者。滅びを歓迎する者。
人類滅亡が確定してから一ヶ月。世界中の人間がそれぞれ思うように行動していた。
だが日本は違った!!
なぜか相変わらず動く公共機関!!
電車の遅延に文句を言う会社勤め!! 行われる振り替え運送!!
一度は遊ぶことを決意したのに上司から電話来たから出社する人間!!
「人類滅亡する前に契約を取ってこい」と謎の命令が下される営業!!
テレビではなぜか流れる明日の天気予報!! 一週間予報も!!
発売予定のゲームを予約するオタク達!! 来週のアニメの続きを期待するオタク達!!
その様子を見て「実は日本は助かる方法を知っているのではないか」と疑われる!!
「ないです」と答える政治家!! 「だが日本には」。そんな期待が世界中から集まる!!
学校のお昼休み。紙パックの牛乳を飲みながら見上げた空には彗星が輝いている。
「やっぱり絶滅するのかなぁ」
そう問うと隣で菓子パンを食べていた彼女が
「でしょうねぇ」
と答える。
世界中で大騒ぎになってはいるが彼女たちの身の周りではあまり変化がない。
一応は学校に空席が目立つようになったがそれでも登校する生徒はいるし、先生も来る。
「今日、宿題出されちゃった。明日提出だって」
「人類滅亡したら宿題提出しなくていいんじゃない?」
「あったまいー」
紙パックの少女と菓子パンの少女はそんなことを気だるく話していると空から一筋の光が落ちてきた。
紙パックの少女が気づいて指を刺す。菓子パンの少女も見上げて、流れ星かなと言っているとその光がドンドン近づいてきた。
やばそうな雰囲気を察知し、逃げようとする二人に光が襲いかかった。
眩しさに瞑っていた眼をゆっくりと開けるとそこには球体の変な生き物が浮いていた。
その生き物は口がどこにあるかもわからないのにこんなことを言い始めた。
「地球人よ。君達は滅びるべきじゃない。私と協力して、あの彗星を撃ち砕こう」
「え、喋ったよ」
「ちょっとスマホで撮ってツイッ○ーに上げよう」
「そんなことはいいから聞いて」
切実な声を出すので二人は渋々スマホをしまう。
「私は遥か遠くの銀河から来た者だ。私には君達の潜在能力を引き出す力を持っている。
我々は君達にはまだ可能性があると考えている。だから君達を助けたいんだ」
「なんで私達?」
「地球人で最も強い潜在能力を持っているのは純潔の若い女性だけなんだ」
「あ、ダメだよ」
「何がだ?」
「私処女じゃない」
「私も」
心なしか蒼ざめる宇宙人!!
どーする宇宙人! どーなる地球の未来!!
続かない!!!
433
:
名無しさん@避難中
:2015/10/05(月) 17:48:56 ID:bxcTbAcs0
「世界の人口はこれからも増え続ける。しかしそれを賄うための物資は不足するだろう。
人々はその事に気づいている。その最も単純で簡単な解決法を手に取らぬよう他の解決法を模索し続けている。
だがそれは未だに見つからない。いつまで探すと言うのだ? 終末時計が十二時を迎えるまでか?
綺麗事を並べ、全人類の繁栄を謳う時代は終わったのだ。
私は自らの行為に何ら後悔も躊躇もない。
誰かがやらねばならぬことなのだ。
誰かがその手を赤く濡らさなければならぬのだ。
誰かが人類の最悪の敵にならねばならぬのだ。
その誰かを人は他人に任せ続けてきた。
だから私が引き受けたのだ。全ての業を。
私が英雄として語られることはない。それでいいのだ。
私が英雄として語られる時、人類は再び滅亡の時にいるのだから。
……私を止めるかね?」
人類最悪の核テロを起こそうとしている人間は犯罪者か。それとも未来を憂う聖人か。
人々の胸に宿る正義、そして人類の未来はどこへと向かおうとしているのか。
『正義の行方』
434
:
名無しさん@避難中
:2015/12/08(火) 00:04:22 ID:IPQlPXIE0
妹の級友「休日とかどこで遊んでんの? 渋谷? 原宿?」
妹「え、家から出ないなぁ……たまに武術の師匠んとこに稽古つけてもらいにいくけど……」
級友「あ、そーなんだ。家では何してるの?」
妹「お兄とゲームやってるよ。モンハンとかボンバーマンとか」
級友「へ〜兄妹仲いいんだね。うちなんか兄貴と口もきかないのに」
妹「うん。買い物も一緒に行くしー、お兄が美術館とか図書館行くときはくっついて行っちゃう」
級友「……ほ、ほぉ」
妹「いっしょにお風呂入るのは最近ダメって言われちゃったんだけど、隣で寝るのはまだOKしてくれるよ」
級友「あ、あのさ。あんたそれ、おかしくない? ブラコンってやつなの?」
妹「えー! 普通じゃないの? 共風呂も添い寝もしないの!?」
級友「しねーわ! うちのキモい兄貴とそんなこと考えただけで乙女の純潔が穢れるわ!」
妹「……兄妹仲が悪いと大変だね」
級友「いや! たぶんうちのが普通ですから! 洗濯物も男物と自分のは分けて洗いますから!」
妹「お兄さんかわいそう(´・ω・`)」
級友「ていうか逆によ? 汚いと思わないわけ? 男のパンツとか靴下とかと、自分の下着が一緒に洗われるんぞ?」
妹「ぜんぜん? お父さんもお兄も、不潔っぽくないし」
級友「あーダメだこれわ。メンタルがお子様のまんまで、女の自覚を養えないとこうなってしまうのか」
妹「……(家庭内不和がないと大人の女になれないなら、子供のままがいいなあ……)」
主人公の妹@JCと級友の噛み合わない会話。
435
:
名無しさん@避難中
:2015/12/31(木) 18:13:04 ID:PYw3F4RY0
区役所で配布されている、魔法少女に関する微妙にやる気のないFAQ
Q.魔法少女って何ですか? アニメ?
A.202X年頃から世界各地で観測されるようになった超自然現象、ないし知的生命体です。
人の住む場所に実態を持って出現し、人間と変わらない容姿のG型、二頭身のぬいぐるみのようなD型、
一頭身で饅頭のようなY型などが確認されています。発生過程は解明されていません。
すべての個体が外見に共通の特徴を持つことから、形質のベースとなった人間がいるのではないか、
という説もありますが、現在までに該当する人物は見つかっていません。
Q.魔法少女は危険なものですか?
A.こちらから魔法少女のいやがることをしなければ無害です。
「魔法少女のいやがること」については別紙の事例集を参考にしてください。
[別紙より抜粋]
事例1:千葉県の男性(38)がG型魔法少女に自身の性器を露出し、わいせつな行為に及ぼうとした。
→男性(38)の性器は発光するタケノコ状の器官に変質させられた。
日常生活に支障はないようだが、性的には不能であり、現在も元に戻っていない。
事例2:東京都の男性(24)がD型魔法少女の前で自分の息子(当時6)に対し、殴る蹴るの暴行を加えた。
→男性(24)はその場で姿を消し(息子証言)、三か月後にシベリア東部で発見された。
Q.魔法少女を叩いたり投げたりしても大丈夫ですか?
A.何が彼女たちの防御反応を引き起こすか解明されていないので、攻撃と取られる行動は避けてください。
G型、D型については何らかの強力な防御フィールドが働いているらしく、現在の人類が持つ武器では
傷一つ付けられないとのデータが提出されています。(資料:米軍による実験結果を参照)
Y型は強い圧力をかけると切断することが可能ですが、切断されたパーツそれぞれが変形し
新たなY型固体として再生します。切れば切るほど増えていくことになるので、切らないでください。
Q.家の軒先で魔法少女が寝ています。どうするのがよいでしょうか?
A.寝かせておいてあげましょう。
邪魔な場合はまず起こして、どいてくれるよう頼めば、たいていは他所へ移動してくれます。
Q.D型を一匹飼いたいのですが……
A.魔法少女は犬や猫ではなく、前述のとおり非常に強大な力を秘めています。ペットにするのは危険です。
女性や子供がY型を持ち歩いて護身用グッズにしている、という話もありますが、これも危険です。
Q.魔法少女にお願いすると叶えてくれるって本当?
A.そのような事例も報告されています。しかし「お願い」の結果、あなたの知らないところで
他人が迷惑することも考えられます。また、魔法少女を使って犯罪を行えば、当然罪に問われます。
(例:魔法少女にお金を出してくれるよう頼む→不正な番号の日本銀行券が生成される→通貨偽造罪)
Q.魔法少女は触るとどんな感じですか?
A.G型はぷにぷにしています。D型はふわふわしています。Y型はもちもちしています。
G型はあまりきわどいところに触れると「送られ」てしまうので、接触には注意してください。
Q.飲食店を経営しているのですが、魔法少女が客として入ってきた場合、普通に料理を出していいのでしょうか?
A.モノやサービスを売買する際は、魔法少女は正規に流通している貨幣を使うことがわかっています。
彼女たちが金銭を手に入れる方法については不透明ですが、客として遇することに問題はないでしょう。
Q.魔法少女にごはんやお菓子をあげても大丈夫ですか?
A.特に問題はありません。蕎麦やうどんが好きなようです。
Q.魔法少女が外で魚を焼いていました。一尾もらったのですが、食べても平気ですか?
A.問題ありません。なかなかおいしいとの評判もあります。
Q.Y型をクッションにしても大丈夫ですか? 送られますか?
A.その程度なら大丈夫ですが、気分次第でどこかへ行ってしまうので、普通のクッションを買いましょう。
Q.魔法少女と会話は可能ですか?
A.G型は流暢な日本語及び英語を話すことが確認されています。D型は3〜6歳児程度の日本語を話します。
Y型は喃語のような音を出しますが、単なる鳴き声だという解釈もあるようです。
436
:
名無しさん@避難中
:2016/01/29(金) 21:02:54 ID:89W6vUio0
http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org716968.jpg
437
:
名無しさん@避難中
:2016/01/29(金) 21:08:53 ID:dUWjUO.60
気抜くなw
438
:
名無しさん@避難中
:2016/01/30(土) 01:14:24 ID:F6fQaJZ20
安定のドテラ
439
:
名無しさん@避難中
:2016/01/30(土) 01:19:02 ID:h1DNpaWA0
見る側もそっちのがしっくりくるわw
440
:
名無しさん@避難中
:2016/01/30(土) 01:40:09 ID:F6fQaJZ20
では発子に似合わない衣装は何か考察しましょう
441
:
名無しさん@避難中
:2016/01/30(土) 02:24:23 ID:h1DNpaWA0
礼服
442
:
名無しさん@避難中
:2016/01/30(土) 06:56:09 ID:F6fQaJZ20
おしゃれな服似合わなそう
443
:
名無しさん@避難中
:2016/01/30(土) 09:03:36 ID:a.QallZUO
未だに中学時代の体操服を家着にしてそう
444
:
名無しさん@避難中
:2016/01/30(土) 11:11:51 ID:Kqg0vZwo0
>>436
俺の目から出た汗を返せwwwww
445
:
名無しさん@避難中
:2016/01/30(土) 11:47:28 ID:VwbGZTEI0
踊り子の服着れなさそう
446
:
名無しさん@避難中
:2016/01/30(土) 12:22:58 ID:Kqg0vZwo0
なにげにパンツスーツでシルクハットとかかぶると似合いそうな気がする、と今なんとなく思った
問題は頭身だな。こたつみかん頭身だとコドモマジシャンになってしまう
447
:
名無しさん@避難中
:2016/01/30(土) 16:06:00 ID:F6fQaJZ20
男装というか親父ファッションが似合う。かわいいのはダメだ
448
:
名無しさん@避難中
:2016/01/30(土) 16:27:44 ID:Kqg0vZwo0
頭身低めの時はドテラに腹巻きクソ似合うもんなぁ・・・
449
:
名無しさん@避難中
:2016/01/30(土) 17:13:05 ID:F6fQaJZ20
でも夏場はキャミ一枚がなじんでいる
450
:
名無しさん@避難中
:2016/01/31(日) 12:36:28 ID:tRITRlms0
そりゃ、夏場は親父は脱ぐしかないからな
451
:
名無しさん@避難中
:2016/01/31(日) 14:58:52 ID:yHuILM3AO
親父扱いかよ!w
452
:
名無しさん@避難中
:2016/02/01(月) 11:18:33 ID:ftBQoHac0
いや、違う、そうじゃないw
夏場に親父ファッションしようとしても、マッパになるわけにゃいかんだろ?
だからキャミ一枚という女の子ファッションになるのもむべなるかな、というわけだw
453
:
名無しさん@避難中
:2016/02/01(月) 23:56:37 ID:PlAnei120
キャミ一枚でバター一本食いしてるんだぜ……
454
:
名無しさん@避難中
:2016/02/03(水) 23:35:12 ID:2odbnZhw0
我が家の空き部屋を貸している魔女から使いを頼まれた。
この魔女と言うのもさる事情から縁もあって間借りさせているわけだがその意識がひどく薄い。
離れということもあってか、時折妙な実験をしては奇怪な音を立たせている。
もしも何かあれば弁償させるぞと脅してみるが、平気平気と傷を指でなぞって消すものだから性質が悪い。
なにせこちらは魔術については門外漢なのだ。それが修復なのか偽装なのかは見分けがつかない。
さて、その魔女の使いというのが近くに古い馴染みが来たから迎えに行って欲しいというのだ。
自分で行ったらどうだと問うたらこちらも準備で忙しいと顔も向かせず答える。了承する以外他ならないようだ。
感謝の言葉を述べた後、魔女は相手の風貌を述べた。
曰く、犬歯が鋭いそうだ。以上。
呆れて物も言えない。犬歯とは即ち八重歯のことだろう。元気娘の目印の一つによくなっている。
それだけでわかるからと何もわからぬまま部屋から追い出されて、仕方なく重く立ち込めた冬空の下、歩き出した。
待ち合わせに指定された駅前は天気に反して混雑していた。なんてことはない。学生の帰宅時間なのだ。
男女の学生グループがやんややんやと楽しそうに歩いているのを見るとひどく心が痛む。
頭の底へと沈めたよからぬ記憶が浮上するのを感じたので周りを見やって意識を変える。
魔女の馴染みであるのならばそれもまた魔女か、あるいはその類であろう。ならば風体は奇抜なはずだ。
世間に置いては魔女というのは空想伝承物語の物とされている。事実、私自身も彼の魔女に会うまではそういうものだと思っていた。
だが人々が宇宙人や魑魅魍魎に気づかないように魔女に気づいていないだけであったのだ。
だが前述した二つの存在に比べ、魔女は人間社会に溶け込みきれていないように思える。
彼の魔女にしろ、それ以外に遭遇した魔女にしろ格好も言動も全てが一般のそれとはかけ離れているためおそろしく目立つのだ。
つまりこれから来る馴染みも一目見るだけでそれとわかるはずだ。例えば真っ赤なコートを羽織っていたり、だ。
だが待てど暮せどそのような人物は来ない。気づけば学生の帰宅ラッシュも終わり、先程に比べて閑散としてきた。
その上、ついに雲がぐずり初めて雪まで降って来た。上着は羽織ってきたが、外にそう長い間出る事は想定していない。
もしかして相手は普通の格好をしているのではないか。実は先ほどの学生軍団に混ざっていたのではないか。そんな考えが頭を過ぎる。
魔女の馴染みは魔女と決めつけていたのがおかしいのだ。奴はなんと言った。犬歯が鋭いだけだ。クソの役にも立たない言葉だ。
そのとき、駅の出入り口から一人の少女が出てきた。妙に目を引いたのはその髪だ。信じられないことに膝裏まではあるなじゃないかという
長く、そして美しい黒。着ている学生服は先ほど見ていたものと同じだ。彼女は何かを探すように周りを見ている。
やはりそうだったのだ。おそらくは私も彼女もお互いを見逃して通り過ぎてしまった。しかしこれで会えたのだ。
片手を上げて近寄ろうと一歩を踏み出した途端、彼女はあらぬ方向を向いて走り出した。その先には同じ位だろうか。制服を来た少年がいた。
ひどく悲しくなった。なぜ私はここにいるのか。こんな雪降る中、素性も知れぬ相手をなぜ待たねばならぬのか。
どこからかやってきた猫が足に体を擦り付けている。先ほどの彼女に比べてなんてみずぼらしくて汚い猫だ。しかし今はその体ですら慰めになる。
頭をなでてやると嬉しそうに目を細めて、お前が迎えの者だなと低い男らしい声で言うので仰天してひっくり返った。小便を漏らすかと思った。
なんてことはない。相手は猫だったのだ。犬歯も鋭いはずだ。猫だが。
おわり
455
:
名無しさん@避難中
:2016/02/04(木) 04:08:56 ID:Om7ePD2Y0
どういうオチか知ってたし分かってたけどこの勢い好き
456
:
名無しさん@避難中
:2016/02/06(土) 23:16:16 ID:Unk1d32c0
いくつかの瓦礫を協力してどかすと、暗い穴の中に陽の光が射した。
久しぶりの太陽に思わず目がくらみ、腕で遮る。
「マスター。地上のようです」
『うん、久しぶりだね。汚染レベル調べてくれない?』
「はい。少々お待ちください」
私のパートナーが大きく深呼吸して息を止める。本人は気づいていないようだが息を吸うときゆっくりと目を閉じるのが可愛らしい。
本人に言ったらどう反応するだろうか。そんなことを考えていると、パートナーはゆっくりと息を吐き出した。
「汚染は確認されませんでした。ここは既に浄化されているようです」
『それは助かる。このヘルメット蒸し暑いからね』
首の左右前後にある金具を外し、ヘルメットを持ち上げる。汗ばんだ肌に当たる久しぶりの外気はとても気持ちがいい。
パートナーに習って深呼吸をする。薬品で精製された独特の臭気があるそれと違い、とても美味しく新鮮に感じる。
「気持ちいー。天気も晴れてるし、空も青い!」
「大体半年振りの地上ですね。酸素缶の中身も入れ替えますか?」
「うん。お願い。ここはどの辺りだろう」
パートナーが付いていた酸素缶の中身を装置を使って入れ替えている間に地図を開く。
移動補助装置の記録と照らし合わせながら、場所を推測する。
第三基地から出て、三日目。ひたすら東を目指していたので大分距離を稼いだ。
「酸素缶の入れ替え終わりました。場所はわかりましたか?」
「うーん……多分ねー……新宿辺りかな」
「聞いた事あります。新宿には旧時代から迷宮があったと」
「君ってアンドロイドなのに知識が妙に偏ってるよね」
地図を畳み、改めて周りを見渡す。
高層ビル群が立ち並んだ都心と言える場所でもあり、電車という乗り物の道が集合していたという新宿。
今はただの瓦礫の山でも崩れかけたそれらがかつての栄光を示していた。
それらもいずれ草に蝕まれて、自然の一部に戻るのだろう。
「マスター! 水ですよ! 水!」
「だいじょうぶ? 毒性とかない?」
「確認しますね」
両手で掬って、喉を数回小さく鳴らして飲む。この子も新宿がかつての姿をしていた時代にはいなかったのだ。
読んだ限りでは本当に簡素なロボットしか存在しなかったという。
技術とは必要に応じて発展するもの。旧時代はアンドロイドの代わりになるほど人間がたくさんいたのだろう。
「問題ありません。煮沸せずに飲めますし、体も洗えます」
「体も洗えるんだ……」
「洗いますか!?」
「なんでそんな乗る気なのかな。アンドロイドは体洗う必要ないでしょ」
「いえいえ、マスターの体を洗いたいだけですし……うひ」
「たまに君が本当にアンドロイドか疑いたくなるよ」
多少危険な人物は近くにいるがそれ以外は誰もいない。こちらを襲うような生物がいる気配もない。
なによりも蒸したスーツで体は汗まみれ。とても気持ちが悪い。肌着もべたついている。
意を決してスーツを脱ぎ捨てて下着姿になる。隣で盛り上がっているアンドロイドを無視して下着も脱ぐ。
絞ってみると汗が少しだけ溢れて、落ちた。
「ついでに洗濯もしようかな」
「やります! マスター! 私やります!」
「舐めないよね?」
「さすがに女性の下着を本人の目の前では舐めません」
「目の前じゃなくても舐めないでよ……」
おわり
457
:
名無しさん@避難中
:2016/02/10(水) 23:53:36 ID:y/H.IiWM0
5000万人。
人類はいずれ来るであろう人類にとって最悪の日である最終戦争を回避するべく、あるコンピューターを開発した。
巨大化したネットワーク、発展した科学技術が注ぎ込まれたそれはこの世界では史上初の自我を持つことに成功した。
人類が到底到達することの出来ない、世界中の情報と知識を手に入れたそれはマザーという名が付けられ
そして人類はその未来をマザーに託したのだった。
マザーは星の均衡、そして人類という種族の存続のために一つの計画を発案した。
『人口数調整計画』。それは言ってしまえば世界規模の粛清だった。
最終戦争による結末を防ぐために作り出されたマザーによる粛清計画。
戦闘による滅亡か、粛清による計画的削減か。そこに選ぶ余地などなかった。
5000万人。マザーが提案した人類の適正人口数は想像よりも遥かに多かった。
日本に提案されたその数字も現人口の半分の削除で済むというものだった。
削除だけではない。過疎地に住む住民は強制的な移住により、いくつもの町が消滅した。
都道府県というくくりもなくなり、地方それぞれの町による自治が行われるようになった。
交通手段も減少し、海外どころか他の町にすら旅行感覚で移動するようになった。
かつての世界にあった利便性は失われた。しかし人類は確実に平和で、そして幸福な時代を迎えることとなった。
だがそれも全人類が、ではない。
計画発動直後から削除対象になった人間が逃げ出したという事案が多発したのだ。
逃げ出した人間がレジスタンスを組んで、長い時間をかけて考えた作戦を実行して、人類に真の平和を取り戻す的な序章
を書こうと思ったのだがなかなかうまくいかないからここでぽい
458
:
名無しさん@避難中
:2016/02/19(金) 03:10:27 ID:GNx2.Wz60
この夜の向こうから、次の一年がやってくる。
女は雪降る空を見上げた。睫毛に乗った氷の粒を、瞬きで払い落す。雲の裂け目から
覗いた星は、黒い宇宙に青く燃えていた。
果たして今日この大晦日に、天から墜ちる星はあるか。
女は視線を地上へと流した。赤レンガの壁に挟まれた狭い路地、そこへ若い男が
ひとり歩いてくる。ぼろぼろのコート、ひしゃげた帽子、汚れ色褪せた靴。瞳だけが、
翳りの中に炎を宿してぎらぎらと輝いている。
「鋭くて、脆そうな眼をした奴が来たね」
青年は彼女の前で立ち止まり、訝しげな顔で相手の出で立ちを眺め回した。
降る雪に似た白い肌、襟首でカールした長い金髪。右手には、身の丈より長く、
先端に赤い石の付いた杖を持っている。
「……まだ子供のようだが。〈マッチ売り〉とは、君のことか」
「はいな。お兄さん、コレ買いに来たの……」
女の左手に提げた籠が揺れる。中には、ありふれたマッチの箱が重ねられていた。
「一本擦れば三十秒、天国を覗けるよ。一箱まるごと燃やせば、魂は身体から
ぶっ飛んだまま、天国に永住できる」
「魂に、天国とは。商売の割に信心深い方なのか」
「死んだおばあちゃんの受け売りだよ。あたしは無宗教」
マッチ売りは外套で包んだ肩をすくめる。小柄さに見合う、細い肩だ。
男はたじろいだように見えた。
「本当に、大丈夫なのか……」
「何なら一本擦ってみる? 一本単位(バラ)でも買えるんだけど」
「〈幻燈燐(マッチ)〉のことじゃない、君だ」
女は――あるいは、少女は――きょとんとした顔で、自分を指差した。男は頷く。
「〈マッチ売り〉は、火と幻術を使う魔女でもあると聞いた」
「ああ――〈幻燈燐〉じゃなくてこっち目当ての人ね」
マッチ売りは微笑み、右手の長杖を持ち上げて見せた。
「見たとこ、苦学生って態(なり)だけど。わかってんの。魔女を雇うにゃあ、高くつくよ」
「覚悟の上だ。明後日のことを考えずに済むとなれば、忌々しい金を出し惜しむ必要もない。
むろん、君が本物であればの話だが」
そうかい、と魔女は言った。
「なら、手付金として一杯おごってちょうだいな。詳しい話はそれからってことで」
魔女は両手それぞれに、人ひとりの世界を変える力を売っているという。
左手の籠には〈幻燈燐(マッチ)〉。内なる世界、人の心に映る景色を至福へと塗り替える、幻の火。
見た目は何の変哲もないマッチ棒だが、着火すると幻覚作用のある気体を生じ、
吸った人間に無限の多幸感を与える。依存性のある物質でこそないものの、
乱用によって精神の平衡を欠く者が後を絶たず、いまは禁止薬物に指定されている代物だ。
ならば、魔女の右手には?
炎の杖が握られている、と人は伝える。巨大なマッチ棒にも似たその武器、
〈起炎杖(イグニッション・ロッド)〉は、外なる世界を変える暴力の火である、と。
**********************
↑『マッチ売りの少女』が生き延びていたら、というコンセプトで書きだした話だったが
マッチ売りが必殺仕事人めいたサツバツ存在になってしまったのでお蔵入りに。
459
:
名無しさん@避難中
:2016/02/19(金) 04:21:23 ID:L02YDxP.0
ええやんかっこいいやんw
460
:
名無しさん@避難中
:2016/02/19(金) 22:16:30 ID:UGyTR1Uc0
強そう(小並感)
461
:
進学の買い物
◆BY8IRunOLE
:2016/03/25(金) 22:46:38 ID:9GqFd.bg0
デパートのファッションフロアを歩く俺の、数歩後ろをトテトテとついてくる。
アイリンは半分夢でも見たように、頼りなく歩く。
「コートは? 学校指定のがあるのか」
「へっ? えっと……。無かったと思う、たぶん」
「ホントかー? ったく、自分の入る高校のことなんだからちゃんと調べとけよ」
「だって……」
しょんぼりしている風を見せる。
めでたく娘の高校進学が決まったので、俺はデパートの洋品店に制服を作りに行った。
学校指定の店で、同じ年代と思しき親子連れが何人もいた。いつものことだが、こういう時はたいてい母親が来るものだ。
母親でなく父親が来るのは、よほどの理由がある家庭、つまりウチだ。
そういう気まずさも、もう慣れっこだ。じっと順番を待ち、採寸して、さっさと店を後にする。
今日の目的は達したが、通学のことをいろいろと考えていてふと思った。それで、訊いた。
――学校指定のものがないなら。
若い女性をターゲットとしているセレクトショップの前に来ていたので、ちょうどいいと思った。
.
462
:
進学の買い物
:2016/03/25(金) 22:48:41 ID:9GqFd.bg0
「だったら、ここでコートもついでに買っていこう」
娘はきょとんとしていた。
「え、だって、おとーさん」
「いいから。好きなの選べよ」
娘はおどおどした様子でセレクトショップの中に迷い込んで行った。
女の買い物は時間がかかる。それは覚悟していた。けれど、いくら待っても動きがなさ過ぎる。
「決まったか?」
声をかけると、彼女は今にも泣き出しそうな顔で首を振った。
「わかんないよぉ……」
俺は頭を掻いた。
――決められない、ってことなのか?
店員が寄ってきたので、ちょうどいいと思った。
「お探しですか?」
にっこりと声をかけてきた若い女性店員に言った。
「娘なんですけど、今度高校になるんです。学校指定のコートが無いみたいなんで……なんかテキトーに見繕ってもらえたら。できれば、野暮ったくなりすぎず、かつセンパイに目をつけられない程度で」
俺の要望を聞いていた女性店員は目を光らせ、
「承知しました。おまかせを!」
と言って自信ありげに微笑んだ。
@ @ @
463
:
進学の買い物
:2016/03/25(金) 22:51:16 ID:9GqFd.bg0
数分後。またもや娘が
「どっちがいいかなぁ……」
と言ってフィッティングルームから出てきた。
「あのな、アイリン。これは、お前の問題なんだ。お前が着る服なんだから、お前が決めるべきなんだ」
「うん……でもさ、『しいていうなら』どっちかな? おとーさんどっちが好き?」
選んだアイテムはどちらも黒のコートだ。
片方は膝下くらいの丈で、軽やかで洒落ている。雨の日に長靴に合わせても良さそうだ。
もう一つは脛くらいまである長めの丈で、ポケットやベルトもなくそっけない。実用第一という感じだ。けれど薄めのウールのライナーが入っていたりして作りがしっかりしていた。
――しょうがねえな。
俺は店員に、
「これ、どっちもください。支払いはこのカードで」
と言い、娘には
「サイズ、大丈夫なんだよな?」
と言った。
「おとーさん、大丈夫なの」
包装を待っている間、不安そうにする娘が言う。
「この店の服の値札、見たか? お前の制服、ここの2着分だ」
目を丸くする娘に
「制服って高いんだよ。でも心配するな、予算想定内だから」
何ごとか考えているふうのところへ、
「おまたせしました〜」
買ったコートを包んだ手提げを持って先の店員が微笑んでいた。
店を出て、少し歩く。
娘はちょっとだけ楽しそうだ。
「靴は?」
「先週新しいの買ったよ」
「そうか、ならいい」
新しい環境に、みすぼらしい格好で送り出したくない。
春はお金のかかる季節だ。でも、それはちっともイヤじゃなかった。
464
:
◆BY8IRunOLE
:2016/03/25(金) 22:52:15 ID:9GqFd.bg0
↑以上です
465
:
名無しさん@避難中
:2016/04/10(日) 00:01:12 ID:043PvSLM0
ラストはその日黄色い花の咲く高原に辿り着いた。
マスターと離れた後、ラストはただひたすらまっすぐ歩くことにした。
町から抜けて、荒地を歩き、草原を歩き、川の中を歩き、森を歩き、山を歩いた。
雨や風、あるいは雪など天気の悪い日は木陰で一日休みを取り、晴れや歩きやすそうな日は黙々と歩いた。
町を出た事がなかったラストは時折世界が見せてくれる美しい景色に足を止めて感動することもあった。
その旅は一人ではあったが、決して孤独でつらいものではなかったのだ。
しゃがんで黄色い花を良く見る。間違いなくタンポポだ。多少高度がある場所だが良く咲いている。
見渡す限りの黄色い絨毯。こんなにも群生するものなのか。ラストは感心しながら黄色い花の中に建つそれに注目した。
明らかに人の住居だ。遠目で見たところは普通の住居にガラス張りの温室がくっ付いているように見える。
しかしここは何度も言うように高原なのだ。周りにはそのような人工物は一切無い。
一体どうやって、そして誰がここにあんなものを建てたのか。疑問に思いつつもラストはそれに近づいていった。
壁はレンガ模様になっているが、驚くべきことにそれはおそらく一つの岩を加工して作ったものだということがわかった。
人の家に成り得るほどの大きな岩をここに持ってきて、それを加工して家にしたのだ。窓などは付いていないので
中を伺うことは出来ない。温室のほうから覗いて見たがどこかの庭園を思わせるような噴水と石畳の床に真っ白な椅子とテーブルが見えただけだ。
家の周りを観察した跡、改めて玄関に立つ。木製のシンプルなドアだ。表面は経年劣化したらしく、少しざらついている。
人の気配はないがノックをした。こういった礼儀は大事なのだ。
「はいはい、どちら様」
中から人が出てきて、心底驚いた。眼鏡をかけた女性だ。年のころは二十過ぎだろうか。黒い髪が肩の上にかかっている。
「あなたが、この住居の主ですか」
少しつっかえながらも質問をする。
「ええ、そうよ。お客様なんて珍しいわね。どうぞ、入って」
「いいのですか? 私がどのような人物かもわからないのに」
「こんなところまでやってくる人を無下に扱ったりはしないわ」
そう言ってこちらに背を向けて部屋の中へ戻って行く。嘘ではなく、本当に警戒をしていない。
あるいは罠だろうか。しかし今更自分が罠にかかったところで問題はないじゃないか。
ラストはそれでも周りに警戒しつつ、おずおずと中に入った。
家の中は普通の住居と同じだ。ただ家電の類は見当たらない。電気やガスというものを利用していないようだ。
ベッドもシングルが一つのようなので一人住まいということもわかる。
そして家の奥はそのまま温室に繋がっていた。扉もないようだ。
誘われるままに温室まで入ると温度の違う空気が体を覆った。夏の熱気を思い出す。
「ごめんなさい。ハーブティーしかないけどいいかしら」
彼女はしゃがんで薬草を抜いているようだ。雑然としているように見えたが一応の整理は出来ているらしい。
「いえ、私は結構です」
「あら、そう? でも他に飲み物は……」
「その、私は」
一度言葉を区切る。
「アンドロイド、なので」
「あら、やっぱり?」
彼女がうふふと笑う。これでも自分は人類が生み出したラストナンバーの一体なので人間との相違に関しては
ほぼゼロであると自信を持っている。それなのに彼女は特に驚くこともなく、むしろ気づいていたかのように反応した。
466
:
名無しさん@避難中
:2016/04/10(日) 00:01:39 ID:043PvSLM0
時間なのでここまで。特にあらすじとかは考えていない行き当たりばったりな話
467
:
名無しさん@避難中
:2016/04/27(水) 23:26:06 ID:kB/5tD520
↑面白そうなのでage
気長に続きを待つぜ!
468
:
名無しさん@避難中
:2016/05/05(木) 18:10:59 ID:N80cDvTs0
待たせるのも悪いのではっきりと申し上げますと
続きは一切合切考えておりませんので諦メロン
469
:
名無しさん@避難中
:2016/05/05(木) 22:34:51 ID:yknH9MZA0
http://dl1.getuploader.com/g/sousaku_2/1033/souhatsu205.jpg
470
:
名無しさん@避難中
:2016/05/05(木) 23:00:11 ID:HtVY6myc0
三姉妹になったwwwww
471
:
名無しさん@避難中
:2016/05/21(土) 00:13:20 ID:TizEfllE0
趣味の悪い衣装のフーリャン
http://imefix.info/20160520/541217/rare
472
:
名無しさん@避難中
:2016/05/21(土) 00:16:01 ID:qMfm9D0w0
なに、せくしぃじゃないか!
473
:
名無しさん@避難中
:2016/05/21(土) 00:16:51 ID:KAn/lGLY0
肉々しい…w
474
:
名無しさん@避難中
:2016/05/21(土) 01:34:30 ID:r4uArXFc0
女子レスラーフーリャン把握
475
:
どっかで書く予定のやつの世界観の練習の一コマ
:2016/06/09(木) 00:59:47 ID:56Ewi75M0
ひっ、と声を上げた。
トーリは持っていた麻の袋を落としてしまい、中に詰めた木の実がこぼれて、土の上を転がった。
山道で人に会う事すら珍しいが、その異様な姿は、単純に怖い。そう思わせた。
「おっと、これはお見苦しいところを」
黒いマントの男がゆっくりと立ち上がる。血まみれの口をマントの裾で拭って、トーリを見て微笑んだ。
手に持ったウサギの脚がぼたぼた血を垂らしている。半分ほど生皮を剥がれている。
「あまり危険なところではないとはいえ、油断しすぎたかな。まさかずぼらなところを見られるとは。言いふらさないでくれよ」
トーリは男の顏を見る。知っている。
この国の人間なら、誰もが知っていて当たり前の人物だった。
トーリはそのまま深々とお辞儀をしたら、背負っていた籠から獲物のウサギが二羽、トーリの頭の上を転がって行った。
「らららラウファー卿!?」
頭を下げたまま言う。
視界に転げたウサギが目に入る。
「君は、このあたりの猟師の子だね」
「ははは、はい」
「そんなかしこまらなくてもいいんだ。ほら」
肩に手を置かれ、そのまま姿勢を正された。地面に転がったウサギを持って、背負った籠に入れてくれた。
「このあたりはウサギが多いんだな。簡単に捕まえられた。不作法な食事で済まなかった。見るに堪えなかったろう」
「いえ、そんな、その、ああ、ははは初めまして、トーリと申します今年で十二歳になります家はこの麓で父は猟師で私はそのお手伝いで」
「そんなまくしたてないでくれ。トーリだね。初めまして。俺のことは、知ってる様子だね」
「はははいもちろん知らない人なんてもう居ないくらいでらららラウファー卿」
「ああ、やめてくれ、その呼び名は。俺の名前はアルドだ」
「あああアルド……様?」
「様も要らない。俺はただのアルドだ。ラウファーは俺の偉大なご先祖様の名を引き継いでいるだけ。俺個人は、あくまでアルド、だ」
「でででもそんな呼び捨てなんてしたらわわわ私は……!」
「失礼とは思わないぞ。友達はみんなアルドと呼ぶ。だからアルドでいい。わかったかいトーリ」
「ともだち」
「そうだ。改めて、初めまして。トーリ」
「は、はい。アルド様……いやいやいやアルド」
「初めまして」
アルド・ラウファー・シュレイカー。
この国の英雄が、背の小さいトーリの前に跪いている。それで目線がちょうど同じくらいの高さだった。
アルド率いるラウファー隊は鎧をほとんど身に着けない。せいぜい胸当てやすね当てくらいだ。その隊長であるアルドもまた、そのような出で立ちだった。
真っ黒なマントに最小限の鎧、そして、腰にぶら下げた大剣。伝説として今も語られる、数百年前にドラゴンすら屠ったという宝剣、ミヌイアルだ。
じっとそれを見ていたら、アルドが言った。
「俺の伝説のご先祖様が使っていた剣らしいのだが、どうやら俺には使う才がないらしい」
「え?」
「この剣は真に伝説の通りなら朝焼けの空のように赤銅色に輝いて、持つ者の魔力を食い、熱を放ち、そしてドラゴンの炎と同じく、夜を昼に変えるほどの力があるという。だが俺が使う限りそんなことはないな」
トーリはアルドとミヌイアルを交互に何度も、目をきょろきょろさせて見比べた。
「刀身は真っ黒。魔力なんてぜんぜん宿らないし、床にほっとけば他の剣と同じく冷たくなる。実はさっきのウサギもこれで仕留めで捌いてたんだ」
「ひっ!」
「なんだ猟師の子だろ? ウサギはよく食べるだろう。背中に背負ってるじゃないか」
「わわわ私たちはちゃんと料理してから食べます! そんな焼きの煮もせずそのまま食べるなんて、まるで魔人……あっ」
「魔人みたい?」
「ひっ! ごごごごごめんなさい。許して死刑にしないで……!」
「魔人を見たことは?」
「えっ」
「やつらは怖いぞ。君みたいに小さなかわいい女の子が一人で歩いてるところを見つかったら、あっと言う間に捕まって、鍋でスープにされちまう!」
「ひぃっ!」
「もし腹が減ってるヤツだったら、その場で噛り付いて骨まで食べられちゃうかも!」
「あばばばばば!」
「それならまだいい……。もし奴らの集落があったら、そこに連れて行かれて、一生そこで……!」
「……ぎぁあ!!」
「冗談だ。このあたりに魔人はいないし、ほかの魔物も見かけたことはない。ちょっとからかっただけ」
「い、いぢわる……」
「ははは。でも魔人が怖いのは本当だ。もちろん、奴らの悪事を防ぐために俺たちが働いてる。勝手な真似はさせないさ」
476
:
どっかで書く予定のやつの世界観の練習の一コマ
:2016/06/09(木) 01:00:23 ID:56Ewi75M0
英雄、アルドの仕事はまさにそれだ。
先の大戦にも参加せず、自身の部隊を引き連れて各地を巡る。
魔人討伐の専門部隊。
人間のみならず魔人ですらアルドを畏れる。その地に来たというだけで、魔人の姿がぱったりと消えるほどだ。
消えない魔人は、ミヌイアルで斬り捨てられていった。
伝説の英雄の血は、今なお英雄であり続けた。
「それに生のまま食べるのはちゃんと理由があるんだぞ。火なんて起こしたら居場所を知らせるようなものだからね。焼くにも時間がかかるし、それに現場で働く連中はせっかちなものさ」
「はぁ」
「あとな、意外とおいしいんだ」
「えぇ?」
「真似はしないでくれよ。君のお父さんに見つかったら俺が怒られてしまうよ」
「しませんよ!」
「それでいい。さて」
アルドが立ち上がった。
「君のお迎えが来たようだ。君を呼ぶ声が聞こえる」
トーリには聞こえなかった。ただそよ風が草を揺らす音が、かすかに聞こえる程度だ。
きっと外で闘う戦士は耳もよいのだろう。猟師の子である自分ですらまったく聞えないのだ。
「トーリ、まだお手伝いの途中なんだろう。早く戻るといい。きっと君を呼んでいるのは君のお父さんだね」
ああ、と思い出す。
罠にかかったウサギを回収して、道中で木の実を拾っていたのだ。
「俺も実は仕事の途中なんだ。峠を越えて将軍が駐留してる陣地に行くんだ。そろそろ行くとしよう」
トーリは地面にこぼれた木の実を拾って、アルドもそれを手伝った。
袋に一杯になった木の実に、アルドが飴玉を一つ混ぜた。
「おみやげだ。城からくすねてきたんだ。誰にも言わないでくれよ。それじゃ、またね、トーリ」
はい、と答えて、深々とお辞儀をしようとして、トーリはやめた。
「あっ」
「そう。友達にそんな別れの挨拶をするやつはいない」
そしてアルドは山道を進んでいった。
「あ、アルド!」
背に向かって言う。
「さようなら! またね!」
元気よく手を振った。アルドは微笑んで、手を振って答えた。
※
「トーリ!」
父は怒っていた。帰りが遅いと心配していた様子だ。
「いったいどこで油を売ってたんだ! ケガでもしてたんじゃないかと!」
相当おかんむりのようだ。
「ここは魔物どころか狼も猪も出てこないが、それでも子供一人で山道を歩くのは危険なんだ! やっぱり山の仕事を手伝わせるのは早かったか」
「ごめんなさい」
とりあえず謝る。
父も自分を心配して怒っているのは分かっていたので、反抗は出来ない。
「いったい何をしていたんだ。歩いて時間のかかるような道でもないだろう」
「途中で人がいて、それで……つい話し込んでて」
父はカッと目を見開いて、さらに怒りの形相をした。
「ますます山の仕事は早かったようだ! こんな山道で知らない人と話してた? 人さらいだったらどうする気だ!」
「違うよ! 知ってる人だよ!! お父さんだって知ってる人だよ! さっきまでここに居たんだもん!」
「誰が居たって言うんだ」
「アルド……じゃない、ラウファー卿が……」
「この期に及んでそんなウソつくのか!? ラウファー卿がこんな静かな山になんの用だ!」
「ほんとなんだって! 峠の向こうの将軍の陣地に行くって言ってたもん!」
「だとしても! お前みたいな小娘を相手にしてくれるお方じゃないだろ!」
「違うよ! すっごく優しかったよ! 飴玉くれたし!」
トーリは飴玉を麻袋から飴玉を取り出した。大きな赤い一粒の飴玉だ。
「はぁ。まぁいいさ。飴玉なんて買おうと思えば誰でも買えるものだ。で、そのラウファー卿なこんなところで何をしてたっていうんだ? ん?」
「それは……」
ウサギを食べていた、とトーリは言いかけた。
だが。
「いや、お前はウソは言ってないようだな」
「ほんとだもん……」
「あそこを見ろ。魔人が居た跡がある。ここらも危なくなってきたみたいだな。そんな通達は城から来てないから、調査に来たのかな?」
父は地面を指差す。
血のりが固まって、ウサギの骨と、毛皮が散らばっている。
「魔人がウサギを食べた跡だ。生のウサギなんてまずくて食えたもんじゃない。食うのは魔人だけだ。まぁ魔人が出ても安心だな。ラウファー卿が来たんじゃ奴らひとたまりもないだろう」
アルドがウサギを生で貪っていた、とは言えなかった。
477
:
名無しさん@避難中
:2016/07/02(土) 04:58:28 ID:kBiL5u8s0
ボツにしたやつ供養
トンネルを抜けるとそこは雪国であった。
有名な川端康成の小説の冒頭の一文だ。
この一節で物語の世界感の情景が一気に浮かぶ。ああ、長いトンネルを抜けた先、しんしんと降る雪。夜の底が白くなったと続く文で、底冷えする汽車の様子が目に浮かぶ。
さて、同じような表現で今の状況を言おう。
玄関開けたらふなっしーがいた。腹の底がムカついた。部屋が暑いのでエアコンのスイッチを入れた。
なにがなんだかわからない。だって私もよくわかってないんだから。これで情景が目に浮かぶ人はよほど想像力にあふれるか、妄想癖があるか、もしくはエスパーである。
とりあえず靴を脱いで鞄を床に放り投げた。
「暑いね。来てたんならエアコンつけとけばよかったのに」
「勝手に上がりこんでた上に家電まで勝手につけるほどあつかましくないっしー!」
「なんか飲む?」
「コーラとかあるとうれしいなっしー!」
ふなっしーの中身は声で察することが出来る。というか私の家の合鍵を持ってて勝手に入れるヤツはウチの爺さんとアイツしか居ない。
冷蔵庫に缶のコーラがあったので手渡す、ことは出来ないので、イリュージョンと言われる前に口の中に放り込んだ。
プルを開ける音がくぐもって聞こえて、ごくごく飲むのも聞こえてくる。よっぽど暑かったのだろう。
「リアクションする気はないからもう脱いだらそれ?」
ふなっしーがもぞもぞ動いている。中でコーラを飲んだ手を着ぐるみの袖に通しているのだ。
そのまま私の頭を叩いてきた。
なにすんだこのガキ。
「せっかく! こんな大仕掛けで! キャラまで崩して頑張ったのに冷たくない!?」
「うるさいな。面白いどころかなんか腹が立つんだけど?」
「彼方さん」
「なに?」
「背中のチャック開けて」
「後ろ向け」
背中にあったわかりやすいチャックを下すと、そこから顏が飛び出した。
やはりと言うかなんというか、とにかくふなっしーの中身は直りんことハイパーヤンデレ女子高生、鈴江直子さんでした。
「あっつい! すっごい蒸れる!」
「ごめん、今日ほど直りんがバカに思えた日は無いわ」
すこぶる機嫌が悪そうだ。スルーされたのがそんなに嫌か。
しかし玄関開けたら自分の部屋にふなっしーが居た私の気持ちも考えてほしい。やるにしても、もっと新しいヤツがあったろ。ネタが古いんだよ。
頭が出たらあとは自分でどうにかなるようで、器用に腕を出し、チャックを下していく。珍しく学校の制服のままだ。
よっぽど蒸れてたのか夏服の白のブラウスが汗で張り付いて、下のキャミソールはもちろん、ブラジャーまで少し透けて見える。
大股開いてふなっしーを脱ぎ捨てたら、その拍子にパンツが丸見えになった。そんな膝上のミニスカ履きやがって。私のそんな時代はとっくに通り過ぎたというのに。長い髪の毛が汗で頬に張り付いて、小娘のクセにけっこうセクシーじゃないか。
ていうか制服着てる直りんって初めて見た気がする。
こう見るとちゃんと女子高生だ。
「コーラおかわり」
「そんな暑かった?」
「うん。死ぬかと思った。彼方さんが帰ってくるのがあと三十分遅かったら諦めてた」
「早々に諦めてくれてもまったく問題はなかったのに」
「
478
:
名無しさん@避難中
:2016/07/13(水) 23:29:31 ID:l5O447HM0
2016年、南シナ海の領有権を巡る問題に対し、裁判所は『法的な根拠はなく、中国は国際法に違反している』という判決を出した。
これに対し、中国は『裁判は紙くずであり、拘束力はない。無効だ』と批判。あくまでも領有権を固持した。
さらに中国は仲裁裁判を申し立てたフィリピンとの平和的な話し合いを求めていたが、それに先んじてフィリピンの漁船が互いが領有を主張している
海域を運航。これを中国側が違法操業とみなし、軍艦で砲撃し、撃沈させるという事件が発生した。
世界中からの批判を浴びた中国はあくまでも領海侵犯に対する処置であるということを主張し、さらに中国が主張する南シナ海への外国船の侵入を
一切禁ずるという宣言をした。これと同時に当海域を運航していた日本を含む各国の民間船、そして米国所属の艦隊を爆撃。これを撃沈する。
これを発端に米国内での中国に対する批判が続出。対立は決定的なものとなる。
アメリカは国内の中国の政府要人の銀行口座を凍結する制裁を出し、EUを始めとした各国もそれに続いた。
中国は到底受け入れられない制裁だと批判。これ以上の不当な行為に対し、我々は話し合い以外の手段を引き出さなければならないと発言。
そしてロシアが中国との貿易を制限するという宣言が出された日。中国は世界に宣戦布告。同時に各ミサイルを周辺対立国に発射。
これの着弾により、ロシアの連絡網は壊滅。自動報復システムである死者の手が稼働し、アメリカに向けて核ミサイルを発射する。
アメリカはこれに対し、同じく核ミサイルを発射。世界を核の嵐が覆う。
後にこれは第三次世界大戦と言われる。しかし核の応酬により、世界のほとんどの国が壊滅。さらに放射能により、世界中のほとんど生物が死滅することになった。
それから一万年後。
世界はかつての文明を忘れ、太古の時代へと回帰していた。
大型生物が跋扈する弱肉強食の世界で、人間は魔法という力を携え生きていた。
ほとんどの人間はかつての文明について興味はなく、日がな一日楽しく暮らすことをモットーにしていた。
そんな世界で生きるとある少年は世界は球体であるという事実を確かめるべく、東の果てへと目指すことにしたのだった。
479
:
中二文章の練習してたらいつのまにか…
:2016/07/28(木) 05:01:04 ID:cSuL.CjE0
男は迷っていた。
自分が今しようとしている事がなにを意味しているのか…そしてそれをしてしまえば戻れない事を知っているからだ。
しかし、目の前で繰り広げられる光景は決して、男が迷う事を許してくれない。
選択の時間は既にない、答えを出さなければ、もう心臓の鼓動が3度、響いたあと、その音を止めるだろう。
男は苦悩して手をあげる。
腰に光が宿り、やがてそれがベルト状に巻き付いた。
男は自分の世界はひびが入るのを感じた。
これより始まるのは自己形成。
それは全ての起源から彼方までを文字通り作り直す。
それは己への革命であり、反乱でもある。もはやそれは変革ではない。
過去の自分への否定、新しい自分をその力によって上書きするという違法行為。
それは呪いだと誰かは言った。
それは祝いだと誰かは言った。
それは償いだと誰かは言った。
男は手をあげる。
意思を現すようにして、構える。
形成が始まる。皮膚が硬化し裏返る。
自分が自分でないものに変質していくのを感じる。
それは何も外面だけではない、己が小宇宙を陵辱し、破壊し、蹂躙し尽くす。
なんという悪行か、これは許されていいものなのか…。
男はその行為を黙して受け止める。
世界は崩壊を始まった。
北と南の氷は溶け始め、水位は増す。
山々まで陥没し、世界をただ青いだけの地平へと書き直す行為だ。
それを感じて男は言う。
「変――身!!!!!」
さあ、開闢の時は来た。
始まりの鐘が鳴る。
天地創造は今こそなる。
死を感じさせるほどの激痛とともに男の姿は光に包まれその容姿を劇的に変えていく。
男はついに人の姿を捨て、怪物となる事を選んだ。
怪物の力を身に宿し、その魂魄諸共怪物に染め上げた怪物を倒すための怪物。
鋭利な爪、甲殻類を思わせる顔つき。
それは人間とよべるものではなかった。
異形の姿となった男は、眼前で人々に襲いかかる自分と同種の怪物に襲いかかる。
その姿に周りの人々は怪物が増えたとおびえ逃げ惑う。
男の背には少年がいた。
少年を背に決して少年に怪物の魔の手が迫らぬように戦う男。
少年はその姿を見て、自分の知る知識の中で男の印象に最も近い言葉を漏らす。
「仮面ライダー」
怪物と怪物の戦いは始まったばかりだった。
480
:
名無しさん@避難中
:2016/07/28(木) 06:00:30 ID:oj1OeHCg0
かっこいい…
481
:
名無しさん@避難中
:2016/07/28(木) 07:24:48 ID:9MWpJzkwO
いいねぇ
482
:
名無しさん@避難中
:2016/09/10(土) 12:57:16 ID:AX/BUxKE0
プロローグを書こうとしてただの設定説明になってしまったためボツった文章↓
------
未曽有のナノマシン・ハザード、“ハロルド禍”から二年が経っていた。
十億人以上と言われる死者を出し、星圏を一度は滅ぼしたとさえ評されるその技術災害は、
しかし統一銀河連邦にとって好機でもあった。法定テクノロジー・レベルの引き上げに伴う諸問題を、
星圏政府の崩壊と人口の激減が超法規的に解決してくれたからだ。
技術レベルの引き上げには危険が伴う。自明の常識である。蒸気機関に惑星を破壊する力はないが、
原子力なら不可能ではなく、重力制御技術まであれば星ひとつ砕く程度のことはむしろ容易い。
ゆえに、連邦構成国に課せられた技術レベル上限の引き上げは、滅多なことでは認められない。
一方で、連邦を牛耳る企業連にとって技術レベルの変動は巨大な商機である。
支分国のいずれかで引き上げが行われる気配あらば、資本投下の優先権を巡って
熾烈な争奪戦が行われる。そして当時のフォルグ星圏では、現地の政府も住民も
外部の介入を拒否し得る状態になかった。必然、企業連は連邦議会を動かして、
フォルグ復興の先鞭を競売にかける所業に及ぶ。崩壊しかけた国家の主権などは、
強大な星間企業体群の入札を些かも妨げられるものではない。
競りに勝ったのはナノテク産業の帝王、ドレクスラー・コーポレーション。
“ハロルド禍”の残留汚染除去を名目とした下級ナノアセンブラの投入計画を発表し、
そのために十三段階もの技術レベル引き上げを連邦技術管制局に追認させた。
“ハロルド禍”を生き延びた二億人は、十億の犠牲を利権の具としか見ない企業のやり口に、
初めのうちこそ反発していた。しかし外星系から流れ込む移民に圧倒され、希釈され、
星圏の産業形態を根本から変えてしまう新技術に対応しようと日々を過ごすうち、
いつしか怒りを生活の倦怠に埋没させていった。
そして十五年。
時は流れ、世は変わった。
------
483
:
名無しさん@避難中
:2016/09/10(土) 14:15:14 ID:GnXu1ASg0
一言
設定説明は別にSFやる上では必須だから…別にええんやで…
484
:
名無しさん@避難中
:2016/09/10(土) 18:38:44 ID:AX/BUxKE0
必須だからこそ入れ方に悩むんだびょ
485
:
名無しさん@避難中
:2016/09/11(日) 10:39:46 ID:FWGKAYBk0
設定の提示なら「ハロルド禍」がどんなものか説明が欲しくなる
結果を数字だけで表すんじゃなくて原因と経過も大事なわけで
真相にかかわるもので最初の段階では明かせないとしても
推測や虚偽の情報でいいから誰がどうやって起こしたかぐらいは欲しい
「ナノマシンハザード」にもいろいろあって「ハロルド禍」なんだから
ハロルド禍は統一銀河連邦にとっては技術レベルを引き上げる好機だった
技術レベルの引き上げは企業連にとっては商機だった
で、連邦を企業連が牛耳ってるってことは企業連が連邦を動かしたわけで
三段落目は四段落目とまとめられると思う
要は連邦と企業連が星圏政府を無視したんだから
統一銀河連邦と星圏の関係が不透明なのもなんとかしたい
連邦にはいくつの星圏があってハロルド禍はどの程度まで及んだのか
外星系とは星圏の外?連邦の外?
「フォルグ星圏」も唐突な感がある
ハロルド禍や二億の生き残りってフォルグ星圏の中だけの話?
フォルグ星圏は連邦内でどのくらいの位置づけ?
と、こういう風に疑問を出していくと
だんだん設定の説明が長くなっていって最終的に設定だらけになるのがSFだ
うまく物語の内容に組み込めればいいんだけどプロでも無理だから
説明放棄してあとで設定だけ投げとくか注釈を入れてすませるのだ
486
:
名無しさん@避難中
:2016/09/11(日) 15:39:48 ID:3TnbXkP20
それをとことん極端にすると富野由悠季になる
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