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創発シェアワスレクロス企画(仮)

187名無しさん@避難中:2011/12/03(土) 15:43:32 ID:FOEhVf36O
ここは地獄。
世界と繋がってしまったいまや、生者も歩いてゆける観光地と化している。
近々JR地獄巡り線が着工予定であるが、まぁそれはおいといて。
一人の女が地獄の河原、さいの河原の叢で四つん這いになっていた。
白衣を纏い、分厚い眼鏡をかけ、虫籠を肩からかけている。
一見研究者のようなその女の異常なのは、四つん這いなことと肌が緑色なことだった。
彼女は地獄の魔素技術部門特別顧問であり、種族は蛙仙人で、名前は蛙油(あゆ)という。
その魔素技術部門特別顧問は困っていた。
何故か。
「やばい……奴の口調が完璧にうつってしまった…のであるからして……あ!ああ、言ってるそばから!」
魔素技術部門顧問は、とある事情で他の世界から飛ばされて来たとある研究者の口調に悩まされていた。
口調は変だけどやたら博識でしかも魔素科学についてやたらと明るいので、
顧問としては他の世界の技術レベルを知るためにもその人物との会話がどうしても必要だったのだ。
そして口調が見事に乗り移った。
「変な口調がなおらない…のであるからして……うぐ、また言ってしまった…………のであるからして……!!」
先日、殿下に世界の異常を報告するさいもおもっきし変な口調で説明してしまった。
なおらない口調に苛立ちながら、蛙油は虫籠の中に手を突っ込んだ。
地獄産のおぞましき怪蟲の数々が、虫籠の中から引きずり出される。
百足蟋蟀蟷螂飛蝗。
それらを事もなげに口にほうり込む。
一匹の甲虫が籠から逃げ出したが、びゅるりと舌が伸びてそれを捕まえた。
いわゆるGとよばれる虫であったが、さも旨そうに顧問は飲み込んでしまった。
蛙油は研究の合間に、おやつを食べに河原で虫取りをしていたのだった。
「あの、食事中すみませんが……」
顧問は突然の声にはっとして、草むらを振り返った。
「ええっと、ケモウ学園はどっちの方角にありますか?」
そういったのは、さっき蛙油が食べたのとはくらべものにならないくらい大きな。
「あ、僕学園の生徒で、鎌田って言いまして、怪しい者ではないんですよ?」
服を着た蟷螂であった。


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