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勇者シリーズSS総合スレ避難所 part2

310天空勇者 ◆tTB5y6n.0k:2012/01/14(土) 00:18:30 ID:bymJubRo0
ということで、珍しくカイトをデレさせてみた。以上です。

ではまた。

311紅勇者 ◆c8S1V4qkFs:2012/01/16(月) 02:33:27 ID:ROxOeCM20
乙です。
こっちは結局クリスマスに間に合わず、ボツってしまいましたが。

何はともあれ、ミニスカサンタのアイ、ごちそうさまでした。
ぺったんこにだって需要はあるさ!
しかしカイトめ、なんとうらやましい……。
アイの扱いを心得てるだけなのか、それとも実はプレイボーイなのか、
どちらかは分かりませんが。

……そろそろ悠羽とのデートも進めてやらないと。

312名無しさん@避難中:2012/01/16(月) 04:24:16 ID:YTZY4vpEO
投下乙。
ミニスカサンタコスでマジカル火炎放射器を気軽にぶっぱなす生物学者アイさんコワス。もう何者だよw
カイトがトナカイトになれば完璧だった。
そして不意に始まったおさわりに違和感なさすぎてびっくりした。カイト何してんw

313天空勇者 ◆tTB5y6n.0k:2012/01/25(水) 01:37:20 ID:BhBBKF5M0
ロボティクスACTをマイトガイン狙いで回した結果
ガオガイガーx2、レアx1
エクスカイザーx2、レアx1
マイトガインx1
という、なんというかなーな結果になってしまったのであります。

>>311
ありがとうございます。
カイトはプレイボーイ! ではないです一応w
いつも振り回されている仕返し……だと思います!ww

季節物は基本的に間に合わないと……ですよね。
正月も書く予定はありましたけど結局無理でした。

>>312
頭脳は明晰。だけどバカ。生物学者の木谷美アイです!
トナカイトは盲点だったw カイトにそこまでのノリを求めてはいけないってことでここは一つ。
おさわりに関しては、どうしてこうなった……! としかw

314名無しさん@避難中:2012/01/28(土) 18:02:13 ID:VQQNGkAQO
俺も見掛けたから回したー。一応僻地にも来てくれて助かった。
8回トライしてコンプリ。

315紅勇者 ◆c8S1V4qkFs:2012/01/29(日) 21:46:43 ID:7hfqCv8Y0
クリスマスには間に合わなくとも何とかバレンタインには……と思いきや、
こっちも無理そうで、どうしたものやら。
もし書くとするなら、悠羽が作ったチョコを巡って血で血を洗う争いが……
的なノリになりそうな気配ですが、やっぱり書けそうにないなぁ。

ホワイトデー頃には身の回りが落ち着きそうな気もしますが、その時期には書く事がなさそうな。
その前に色々書くものが溜まっているのは、言わないお約束。

316紅勇者 ◆c8S1V4qkFs:2012/02/26(日) 03:48:14 ID:E7qTHvm20
久々の書き込み&連投ですね。

とりあえず生存報告として、短いですがSSの続きを投下します。
続きは近い内に投下出来ればいいなぁ、と思ったり。
では、投下をば。

317紅勇者 ◆c8S1V4qkFs:2012/02/26(日) 03:49:22 ID:E7qTHvm20
ワタシのカレは天空の勇者 その5

「そう、悠羽ちゃんは私と勝負するんだからね!」
 未だに事態が呑み込めず、正座したまま目を上下左右に泳がせている悠羽を改
めて指差したアイは、既に結果を確信したかのような余裕の笑みを浮かべ、カイ
トへと顔を向ける。
「カイトも、それで文句無いよね?」
「あるに決まっているだろう」
 アイの言葉を真っ向から否定したカイトは、彼女に聞こえるよう、意識して大
きなため息を吐き出し、批難の色を多分に含んだ視線をゆっくりと向ける。
「お前はいきなりやって来て、何を勝手に話を進めているんだ。ほら、早く研究
所に戻れ」
「がーん! か、カイトが冷たいよぉ……」
 漫画に出てきそうな擬音を自ら口に出し、シートの上に崩れ落ちたアイは、先
ほどのお返しとばかりに、批難めいた視線をカイトに向ける。
「そんなに悠羽ちゃんがいいんだ? そうだよね、悠羽ちゃん可愛いし、足長く
てスタイル良いし、家は何だか凄いし。どうせ私は可愛くない女ですよ〜だ」
「誰もそんな事言ってないだろう。大体、勝負って言うけど、何の勝負をする気
なんだ?」
「え……? そ、それは……えっと……」
 カイトの指摘に答えを詰まらせたアイは、頬を掻きながら上手く回らない頭を
全力で稼働させ、ようやく混乱の治まりかけた悠羽の横顔を伺う。
「ぼ、ボクシング、とか?」
「……お前、跡形も残らないぞ」
「そんな事ありませんっ!」
 悠羽が慌ててカイトの言葉を否定するが、
「そういえば悠羽ちゃん、この前ブレイバーズでやった合同訓練で、訓練所の壁
をウォーミングアップみたいな軽いノリでブチ抜いてたよね」
「さすがの武藤さんも青ざめてたな。天農博士は『くわばらくわばら』だけ言い
残してどこかに消えるし」
「やっぱりトンデモ系だよね。私もあの呼吸を教えてもらおうかな?」
「お前は研究所を破壊しそうだから勘弁してくれ。ある意味、フォグ・ラインよ
り厄介になる」
「二人とも、ひどいですっ!」
 いつまでも続きそうな二人の会話を止めたのは、悲鳴に近い悠羽の叫び。
「確かに、あの時はちょっと加減を間違えて壁を壊しましたけど……。でも、あ
れはちょっとした事故です。それを、そんな風に言わなくても」
「私、力加減のミスでブチ抜かれたくないなぁ……」
「ごめんごめん。確かに言いすぎたね。それじゃ、こいつは無視して次の場所に
行こうか」
「ちょっと! ここに来てサラっと無視しないでくれるかな!?」
 荷物をまとめ、立ち上がろうとする二人を大きく広げた両手で必死に制するア
イ。
「アイ、お前はさっきから勝負がどうとか言ってるけど、何でそんなに月守さん
と勝負したがってるんだ?」
「そ、それは……」

318紅勇者 ◆c8S1V4qkFs:2012/02/26(日) 03:50:19 ID:E7qTHvm20
 カイトの膝枕が賭かっているからに決まってるじゃない、と出かかった言葉を
懸命に飲みこんだアイだが、代わりの言葉が出てこない。
「それは、ね」
「アイかて悠羽と遊びたいんや。そうやろ?」
 アイの言葉を引き継いだのは、彼女の後ろから現れたもう一人の女性。
「悪いなお二人さん。今日は後を尾けさせてもらってたで」
「……えっと、篠原さん、でいいのかな? この関西弁の女性は」
「早希さん、ですよね? 関西弁ですし」
「関西弁以外でウチを判断できんのかい!」
「ひどいよ二人とも! 普段は化粧も無ければ色気も胸も無い、機械だけが友達
の早希ちゃんがオシャレしたっていいじゃない!」
「アイ、お前が一番ひどい事言ってないか」
「アイさん、さすがにそれはちょっと」
「…………アイ、あんたの気持、よう分かったわ」
 バッグを静かにシートに置いた早希は、自由になった両手でアイの身体を力強
くホールド。
 続いて足をアイの身体に絡ませ、そのまま彼女の身体を絞り上げる。
「胸の事に関しては、アンタにとやかく言われたくないんやけどな!」
「早希ちゃん! ギブ! ギブ! コブラツイストはキツイよ!」
 身体を絞めあげられ、涙目になりながらギブアップを宣言するアイは、カイトに
視線で助けを求めるが、
「良かったなアイ、篠原さんと仲良くしてもらえて。それじゃ、俺達は別の場所に
行くから」
「え!? ね、ねえ、カイト! 助けてくれないの!? 可愛いくて愛しのアイちゃ
んの大ピンチなんだけど!」 
「可愛くも愛しくもないからな。篠原さん、アイをよろしくお願いします」
「よっしゃ、任せとき。……と、言いたい所やけど」
 アイに技をかけた体勢のままの早希の顔に、試すような笑みが浮かぶ。
「せっかくやし、ここで開発してる『アレ』のテストを、この二人にやらせてみた
らええんちゃう? 『アレ』なら白黒ハッキリつけられるやろ」
「確かに『アレ』は、そろそろテストをしようと思ってた所だからなあ」
 早希の言葉の意味を理解したカイトは、事情を理解できていないアイと悠羽を交
互に見る。
「まあ、この二人なら大丈夫かな」
「そういうこっちゃ」
 アイの身体を解放した早希は、目に涙を浮かべて身体をさする彼女の背中を軽く
叩く。
「アイ、望み通り悠羽と勝負させたるわ。内容は……そうやな、ロボットの操縦技
術ってのはどうや?」

319紅勇者 ◆c8S1V4qkFs:2012/02/26(日) 03:51:33 ID:E7qTHvm20
白川グループの運営する一大テーマパーク『エル・ドラド』の北側に位置する、
白と黒の大きな建物。
 SF小説に出てくる宇宙船のような外観のそれは、ゲームセンターやボーリング、
カラオケなどをまとめたアミューズメント施設であり、敷地内にに点在する他の施
設と同じく、設備の質や規模において、日本最大級を誇っている。
「悠羽とアイは、『ICS(イクス)プロジェクト』って知ってる?」
 早希の声が響くのは、施設の性格ゆえ、若者やカップルの姿が目立つアミューズ
メントパークの地下に広がる無機質な廊下。
 最新の機種が揃い、非日常の喧騒に包まれる地上とは対照的な、蛍光灯の灯りに
照らされる白い一直線の廊下は、清潔感と機能性こそ感じるものの、多くの人が集
まり賑わう園内において、異質な存在といえる。
 とはいえ、それなりの広さを持つ廊下は決して無人という訳でもなく、左右に並
べられたドアから出入りする者や、カイトらとすれ違う者の動きは、ここが彼らの
日常である事を無言で主張している。
「ICS? 私は知りませんが、アイさんは?」
「私もサッパリ。人の名前かな?」
 廊下で誰かとすれ違うたびに軽く挨拶を交わすカイトや早希とは違い、園内とは
雰囲気の異なる初めての場所に戸惑い、視線を泳がせる悠羽とアイは、早希から告
げられた言葉を半ば聞き逃しながら、周囲の探索を続行する。
「まあ、そうやろうね」
 二人の気の無い返事に当然のように扱い、足早に廊下を進む早希。
「『ICS』っちゅうんは、Intelligence Control Systemの略称でな。カイトの
開発した超AIの派生形、っていえばイメージがつきやすいか。超AIみたいに完
全な自律行動はせえへんけど、ある程度の自我を持って機体のシステム制御や搭乗
者のサポートをしてくれるシステムなんよ」
 廊下の突き当たりのドアの横に付けられたカードリーダーに、早希の懐から取り
出したIDカードが通される。
「ICSのサポートがあれば、ペーペーの搭乗者でもそれなりの実績が期待できる
し、ICS自身も、情報を蓄える事で、より正確で迅速なサポートを行えたり、仲
間内のICS同士で情報の共有もできたりと、まあ、リアルタイムで成長する便利
なサポートシステムを機体に組み込んでみよう、ってのがICSプロジェクトの大
雑把な所やな」
 早希の説明と共に、音も無くスムーズに開くドアの奥に広がっていたのは、小さ
な体育館ほどある空間と、その中に所狭しと並べられた大型の機械の数々。
「で、今はそのICSを各組織で協力して作ってる最中なんやけど、それをゲーム
に転用してみようって話になってな。……そんな事言い出したんは、ウチらの所の
大将やけど」
 大型の機械に張り付くスタッフに目で挨拶する早希が指差すのは、部屋の中央に
置かれた二つの白い立方体。
「そんなワケで、簡易版のICSを搭載したゲームの試作版が出来たから、そのテ
ストを二人にやってもらおう、と思ってな。これやったら、前の模擬戦みたいに危
険な事も無いし、ちょうどええやろ」
「つまり、私と悠羽ちゃんが、このゲームで対戦するって事?」
「ああ。アイも月守さんもロボットの操縦には慣れてるからな。何をそんなに勝負
したがってるのか知らないけど、これで勝敗をつければいいだろ」
「うん、何だか面白そうだし、これなら私の命も安心だね!」
「だ、だからアレ事故なんです!」
 思わず声を大にして反論する悠羽をよそに、軽い足取りで筐体である白い立方体
に入るアイ。

320紅勇者 ◆c8S1V4qkFs:2012/02/26(日) 03:52:28 ID:E7qTHvm20
 およそ二メートル四方ある筐体の中は、当然というべきか、ロボットのコクピッ
トを模した作りになっており、周囲の壁や天井と足下までに全天モニターを思わせ
るディスプレイが敷かれている事に、アイは小さな驚きと感嘆の声をあげる。
『アイ、聞こえるか』
 ゲームセンターに置かれる筐体にしては分不相応な質のシートに腰掛けたアイの
耳に届くのは、シートの後方のスピーカーを通したカイトの声。
「あ、カイトだ。このシート、すっごい座り心地いいね。研究所に持って帰りたい
んだけど」
『そういうのは自腹でな。それじゃ、ゲームを起動させるぞ』
 カイトの言葉が終わるより早く、アイの周囲を囲むディスプレイに光が宿り、ロ
ボットの格納庫を思わせる風景が映し出される。
「おお、リアルだね」
 三百六十度映像が展開し、ここがゲームの筐体の中である事を早くも忘れそうに
なったアイは、顔を上下させ、天井や地面に至るまで完全に再現された映像の完成
度に再度の感嘆を口にする。
「『鋼の勇者たち(ブレイブ・サーガ)』っていうんだ、これ」
 正面に表示されたタイトルを口にしながら。アイは両手を前に伸ばし、レバーを
掴む。
 左右で独立した動きの出来るレバーは、それぞれの五指に対応した計十個のボタ
ンが付けられており、正面のディスプレイには、それぞれのボタンが担う役割につ
いての説明が表示されている。
「左右の手に持つ武器や盾の使用や切り替え、上半身の向き、ロックオン……なか
なか複雑だね……っと、次は足の説明か」
 説明に従い、左右の指を細かく動かしていくアイの正面の画面が切り替わる。
 ディスプレイが映すのは、アイの両足に位置する二つのペダル。
 自動車のアクセルとブレーキに似た二つのペダルだが、片足で両方を扱う自動車
のそれとは違い、左右の足でそれぞれを操作する方が適切だという説明が表示され
る。
「こっちは下半身と推進系のコントロールか。ペダルを踏む力加減が大切っぽいね」
 説明の内容を理解したアイは、左右の足でペダルを踏み、その固さを確かめる。
『それでは、使用する機体を選択して下さい』
 操作の説明が終わり、平坦な女性の声と共に、再度画面が切り替わる。
 どこかで聞いた声だな、と思いつつ、アイは右手のレバーを前後に動かしてカー
ソルを操り、自分が使用する機体を選ぶ。
 いかにもゲームらしい、機能よりもデザインが先行した機体の数々にカーソルを
合わせると、その機体の名称や特徴が表示されていく。
 そして、騎士や電光など、どこかで見た事のあるようなキーワードを盛り込んだ
機体を一つずつ吟味していくアイの動きが、ある機体の所で止まる。
「スカイ・ルーラー、かぁ」
 背に戦闘機を思わせる鋭角の大きな一対の翼を持ち、装甲を空の青で彩った機体
の名を呟いたアイは、機体の横に表示される説明に目を通す。
『その翼で大空を駆ける天空の支配者。機動力と火力は申し分ないが、装甲の頼り
なさには要注意なので、盾の使い方が重要。充実した装備と専用のICSと共に戦
場を支配しよう!』
 説明文の横に書かれる機体のスペックにも目を通したアイは、恐らくこの機体の
元になっているであろう勇者を想像し、小さく頷く。
「うん、私にはこれがいいや」
 右手のボタンで機体を決定させたアイは、機体ごとに設定されているICSの説
明を見落としていた事に気付き、改めて画面に目を通す。
『スカイ・ルーラー専用ICS:Oタイプ。天空の支配者にピッタリの王様タイプ。
王様なので、実はサポートには向いていないかも。でも、声がカッコイイので、耳
元で美声に囁かれたいアナタにオススメ!』
「何これ、変なの」
 機体の説明とは違う、奇妙なそれにアイが目を通し終えた直後、
『私を選んだのは卿か』
 威厳を感じさせる低さの中に、聞く者を陶酔させる甘さを含んだ、説明通りの美
声が彼女の聴覚を刺激する。
『さあ、共に参ろうか。これより我等に敵対する者に、ことごとく見せつけてやろ
う。王の闘争というものをな』
「このぶっ飛んだ変態じみたノリって……」
 以前、戦闘の場で相対した異世界の王を思い出したアイは、なぜ彼の人格が使わ
れているのかを疑問視するが、彼のような際立った存在はゲームに馴染みやすいの
だろうと、自分なりの結論を導き、納得する。
「とにかく、今日はよろしくね。悠羽ちゃんに勝って、カイトの膝枕をゲットする
んだから」
『よかろう。卿の望みを叶えるのも、王の務めというもの』
「……サポートシステムのくせに、すごい上から目線なんだけど」
 姿の見えない相棒に不安を覚えつつも、アイは切り替わっていく画面に集中する。
「よし、いくよ悠羽ちゃん! 絶対に負けないんだから!」

321紅勇者 ◆c8S1V4qkFs:2012/02/26(日) 03:56:12 ID:E7qTHvm20
今回は以上です。
次回で最終回を迎えられる、はず。
書きながら「悠羽とアイ」で「you & I」を連想したものの、だからといって何もありません。
王様を出したのは、その場のノリの産物なので、この後はどうしようかな、と思ったり。
ではでは、また近い内に。

322名無しさん@避難中:2012/02/29(水) 01:09:00 ID:2N3ZO2r.O
投下乙
「力加減のミスでぶちぬかれたくない」w
悠羽さんマジ破壊者。くわばらくわばら。

細かいとこで色々小ネタを挟んできてるんだね。

このゲームはまたどっかで使えそうだ。空の支配者スカイ・ルーラー……いったい何騎なんだ……

323名無しさん@避難中:2012/03/03(土) 03:03:59 ID:9mrZlL72O
age

俺も夏が来たら本気出すわ。改めて過去作読み返すとなんか新鮮だ

324紅勇者 ◆c8S1V4qkFs:2012/03/04(日) 22:06:06 ID:wDl8tQck0
>>322
どこかで使っていただけるなら、ぜひ使って下さい。
あまり細かい事は考えてませんので、何か聞かれても深くは答えられませんが。
その辺りは書く人のノリにお任せ、という事で。

……次で最終回、と言いましたが、実はそんな事は無かったですw
某死神漫画風に言うなら、
「いつから次が最終回だと錯覚していた?」
な状態です。
あまり無責任な事を言うものではないと、今更ながらに反省。
では、最終回じゃない投下をば。

325紅勇者 ◆c8S1V4qkFs:2012/03/04(日) 22:07:27 ID:wDl8tQck0
 ワタシのカレは天空の勇者 その6


「えっと、このボタンで攻撃して、こっちのボタンで防御して……あ、逆でした」
 アイが機体選びを行っている頃、一歩遅れて筐体に入った悠羽は、画面に表示さ
れている操作説明の内容を理解するのに苦労していた。
 悠羽の愛機である聖炎凰を始めとする鋼騎の操縦方法は、脳と機体をリンクさせ
るHMLSと呼ばれるシステムによるものであり、このゲームのようにレバーやペ
ダルなどを操作する方法ではないのだ。
 そのため、複数のボタンを素早く駆使して機体を操作するという感覚は、悠羽に
とって未知の世界であり、その挙動はとてもパイロットのそれには見えない。
『それでは、使用する機体を選択して下さい』
 悠羽の戸惑いを無視し、画面は機体選択へと変わっていく。
「あ、まだ操作を覚えてないです……」
 不安に満ちた、か細い声で放たれた悠羽の抗議は当然受け入れられず、彼女の視
界には、自身が操作するべき機体が映し出される。
「仕方ありません。あとは実際に動かしながら覚えるしかないですね」
 小さく息を吐き出し、気持ちを切り替えた悠羽は、目の前に表示される機体の説
明に目を通していく。
 視線を素早く動かし、必要な情報を的確に取得していく悠羽が重要視するのは、
ただ一つ。
 それは、機体の持つ武装。
 自身が鍛えた格闘技術をそのままフィードバックする聖炎凰を駆る彼女にとって、
他の機体が装備している銃や剣といった武装は全くの未経験であり、このゲームに
おいても、上手く扱える自信が無い。
 当然の帰結として、悠羽が求めているのは、聖炎凰と同じく格闘術を主体とした
機体である。
 敵を屠るのに、余計な武装や機能は必要無い。
 必要なのは、鍛え抜かれた五体と極限まで高めた集中力、そして、それらを支え
る正しいリズムの呼吸が織り成す、格闘術とは名ばかりの暴力。
 それをゲーム上で体現できる機体を探す悠羽の動きが、不意に止まる。
 それまでよりも画面を注視する悠羽の視線の先に表示されているのは、
「葬牙(そうが)、ですか」
 刃で作った装飾品のような、鋭角で構成された黒い細身のボディに、重量バラン
スなど一切考慮されていない巨大な左腕を持つ機体であった。
 これが実際の機体なら、直立すらままならないであろう異様な外見を有する葬牙
の横に書かれた説明文は、ただ一言。
『ぶん殴れ。それだけだ』
「はい。そうさせてもらいます」
 説明というにはあまりにも乱暴なその一文に、これを書いた者の姿を想いながら、
悠羽は操作する機体を確定させる。
『フハハハハハ! この超天才ICSとである私と葬牙に任せるがいい!』
 直後、筐体内に、高笑いと、絶対の自信に満ちた雄叫びにも似た男の声が響き渡
る。
「……えっと、この声、どこかで聞いたような」
 唐突に聞こえてきた男の声を記憶から引っ張り出そうとする悠羽だが、あと一歩
の所で解答に辿りつけない。
『葬牙専用ICS:Fタイプ。こんなバランスの悪い機体を選んだアナタには、自
称超天才ICSのFタイプがピッタリ! 超天才のサポートで明日を目指そう!』
 機体説明の横に書いてあるICSの紹介を読むが、やはり悠羽には声のモデルと
なった人物が分からない。
「どこかで聞いた事のある声なんですけど」
「さあ、全宇宙に見せてやるのだ! 私と! 葬牙の! 大! 活! 躍! を!」
「……あ、思い出しました!」
 悠羽の中で、搭乗者を無視し、勝手に盛り上がるICSの声と自身の記憶が合致す
る。
「この声、あの痴漢さんです!」
 以前、偶然に偶然を重ねた結果、自分の胸を鷲掴みにした自称天才科学者の声を思
い出した悠羽は、なぜ彼の声が使われているのかという事と、あの時、思わず蹴り飛
ばしてしまったが大丈夫だろうかという事を想うが、この筐体の中にその答えは無い。
 全ては偶然によるものであり、彼に邪な気持ちは無かったのだが、悠羽にとっては、
ただ「胸を鷲掴みにされた」という事実が全てであり、そこに至るまでの事情など知
る由も無い。
「と、とにかく気を引き締めないと」
 一瞬だけ胸を見て当時を思い返した悠羽だが、目の前の画面の切り替わりに合わせ
て小さな呼吸を数度繰り返し、意識を集中させる。
『さあ、超天才のショータイムだ!』
「天才ではありませんが、いきます!」
 格納庫の扉が開き、戦闘開始を告げる音が筐体を包む中、一人と一機はそれぞれの
言葉を放ち、戦場へと臨む。

326紅勇者 ◆c8S1V4qkFs:2012/03/04(日) 22:08:10 ID:wDl8tQck0

 Sky Ruler(スカイ・ルーラー)
 
 分類:高機動万能型
 全高:18メートル
 専用ICS:Oタイプ
 メインウエポンA(右手):ストームセイバー(中型剣・実体)
 メインウエポンB(左手):ゲイルファング(中型ライフル・実体弾とエネルギー弾の切り替え可)
 サブウエポンA(左腕):ウインドガード(シールド・実体)
 サブウエポンB(左手):エアステーク(小型マシンガン・実体弾)
 サブウエポンC(両肩):テンペスト(大型キャノン・エネルギー弾)
 特性1:飛行
 特性2:変形



 葬牙(そうが)
 
 分類:特殊格闘型
 全高:20メートル
 専用ICS:Fタイプ
 メインウエポンA(左手):葬拳(そうけん。大型腕部・実体)
 サブウエポンA(右手):葬壁(そうへき。シールド・エネルギー型)
 特性1:高機能センサー

327紅勇者 ◆c8S1V4qkFs:2012/03/04(日) 22:08:58 ID:wDl8tQck0
 アイの目に飛び込んで来たのは、傾き始めた太陽の光。
 次に、アスファルトが砕け、地面が多く露出した道路と、半ばから折れてはいるも
のの、それでもなお自機より高い高層ビルの数々。
 ヒトはおろか、あらゆる生命の息吹が感じられない荒れ果てた街は、かつてここで
大規模な戦闘があったのだと容易に想像が出来る。
 無論、これは現実でなく、あくまでゲームの世界なので、この破壊による人的、物
的被害について心配する事は何も無いが、最新の技術で構成された架空の街は、アイ
が思わず息を呑んでしまうほどに精巧なものであった。
 戦闘が終わってからかなりの時間が経っているらしく、所々でビルの風化が始まり、
細かな破片になったビルの残骸が、街を通り抜ける風に乗って舞い上がる。
「凄いねこの映像。現実と区別がつかないよ」
 廃墟と化した街にはそぐわない、鮮やかな青の彩りを刻んだ天空の支配者は首を左
右に動かし、周囲の様子を確認する。
 かつては華やかな大都会だったのだろう、どこを見ても延々と続く高層ビルの群れ
の中に、同じ戦場にいるはずの悠羽の姿は見えない。
「悠羽ちゃんがどこにいるのか分かる? レーダーとか無いの?」
『そのようなものは無い。己が目で迅速に、しかし気取られぬように敵を探し、これ
を討つ。それがこの遊戯の規則というものだよ』
「なるほど、かくれんぼバトルだね。だからビルが壊れててもこんなに高いのか。う
んうん、納得納得」
 素早くゲームのシステムを理解したアイはレバーを前に倒し、青の機体を前進させ
る。
「ねえ、ICS」
『何か用かね?』
 周囲に気を配りつつ、両手に武器を携えたまま荒廃した街を慎重に進むアイの声に
応えるICS‐Oの声は、やはり王の威厳に満ちたものである。
「時間を止める、ってホントにできるのかな?」
『時間を止めるとは 卿は面白い事を言う』
 明らかにゲームの内容から逸脱した問いに対して、どういう反応をするか疑問だっ
たアイが、淀みなく応える事の出来るシステムの完成度に感心すると同時に、王の模
造品は言葉を続ける。
『私には出来ぬ芸当だが、もし本当に時間を止めるなどという事が出来るのなら、そ
れはまさに世界を跪かせる王の能力と言えよう』
 王の言葉を聞きながら悠羽の機体を探すアイは、自分の疑問が解決しない事に何の
感慨も抱かない。
 声や口調を真似てはいるが、今自分と話しているのは、あくまでゲームのシステム
であり、以前出会った、王を名乗る生体兵器ではないのだ。
 ――う〜ん、やっぱりアレってカイトの言う通り、ホントに時間を止めたのかな?
 未だに見えない敵影を探し続けるアイの意識が、過去へと遡っていく。



 市街地に現れたギルナイツの暗黒騎士を撃破した勇者達の前に現れた、三対六枚の
翼を有する、純白の機体。
「卿らが、道化殿の言う『勇者』か」
 鏖魔が操る機動兵器、鎧鏖鬼特有の能力である黒い霧からの転移によって現れた白
の鎧鏖鬼から言葉が発せられるのと、鋼の勇者達が異世界の破壊者を囲むのは同時。
 この時、アイもフライトナーに搭乗し、沈みかけた夕陽を受けて輝く破壊の王と対
峙している。
 そして、勇者達が一斉に攻撃を仕掛けようとした、まさにその瞬間、
「この場で王の闘争を見せてやっても良いが、今は舞台を整える事が優先なのでな」
 戯曲を謳い上げるかのような、どこか芝居じみた響きを持った声が、夜の闇が訪れ
始めた空の下に響く。
 彼を囲んでいた勇者達の後方から。
「世界を跪かせる我が能力。卿らには見る事も感じる事も出来はすまい」
 夜の闇の中でも輝きを失わない純白の機体から放たれる声を追うように、その姿が
徐々に黒い霧状に変化していく。
「今日は卿らの存在を確認できただけで良しとしよう。次は闘争の場で会いたいもの
だな」
 古くからの友人に優しく語りかけるような穏やかさで紡がれた言葉を残し、白の機
体は完全に消失した。



「時間を、止めた?」
「ああ、そう考えるしかない」
 翌日、大空研究所の食堂で朝食を摂りながら、昨日の不可思議な現象についてのカ
イトの見解を聞いたアイは、思わず同じ単語を繰り返し、続きを促す。
「アイはすぐに寝たから知らないだろうが、あの後、皆と意見を交換してみたけど、
どの機体の計器にも一切の反応が無かったんだよ。あの状況で何の痕跡も残さずに移
動するなんて、これはもう、時間を止めたとしか思えない」
 とりあえずの結論を導いたものの、納得していない事を表情で物語るカイト。
「とにかく、早急に対策を立てないとな」

328紅勇者 ◆c8S1V4qkFs:2012/03/04(日) 22:10:07 ID:wDl8tQck0

 ――時間を止める敵への対策、かぁ
 意識を現在に戻したアイは、悠羽の機体が見えない事を再度確認し、時間という事
象に介入する能力にどう対抗するかを考えようとしたが、
「やめやめ。今はこっちに集中しないと」
 即座に思考を切り替え、荒廃したビルの群れに意識を集中させる。
「どんな敵が来ても、カイトやみんながいれば大丈夫」
 背の翼がビルに擦らないよう気を付けながら足を進めるアイは、自分なりの結論を
導き出し、それを言葉にする。
「だって、私達は勇者なんだもん……って、そういえば」
 シートに座ったまま後ろを向き、背の翼を見るアイ。
「この機体、空を飛べるんじゃないの?」
 機体名といい、この翼といい、空中戦を意識した設計である事は疑いようがない。
「空から一気に悠羽ちゃんの所に行きたいんだけど?」
『なるほど。確かにこの機体は、空にあってこそ真価を発揮する。王とは遥かな高み
より全てを見下ろすものだからな』
「相変わらずのノリだなぁ。で、どうやればいいの?」
『残念だが、今は無理だ。これは完成版では無いからな。飛行や変形といった機能は
まだ実装されていない』
「がーん!」
 告げられた真実に、またも漫画のような叫びが響く。
「それじゃ、この機体の良い所が台無しだよ! 背中の大きな翼がただの飾りになっ
ちゃうじゃない!」
『そう腐る事もあるまい。例え空を飛べずとも、機動性の高さは保証しよう。地を駆
け、制するというのも、王の在り方として悪くはなであろう?い』
「ぶ、ぶれないなぁ、この人……」
 あくまで変わらぬ王の言葉に呆れつつも、飛行出来ない事実を受け入れ、即座に意
識を切り替える。
 本人に自覚は無いが、この切り替えの早さがアイの長所であり、ロボットのパイロッ
トとして重要な資質でもある。
 そして、どこまでも続く風景にアイが飽き始めた時、
「……ん? 今のって」
 正面のビルの隙間に、わずかだが見える黒い輝き。
 刃のような鋭さを持ち、陽光を浴びて輝く黒は、この街を構成するパーツとは明ら
かに異なっている。
「ねえ、あの黒いのって」
『この位置からだと正確な判別は難しいが、形状から見て、恐らくは葬牙だろう。格
闘戦に特化した機体ゆえに、間合いを詰められれば厄介な相手となる』
「悠羽ちゃんらしい選択だね。よし、ここは一気に」
『待て』
 声に、葬牙をロックオンしようとしたアイの指が止まる。
『ロックオンをすれば射撃の精度は上がるが、敵にもロックオンが伝わり、こちらの
位置を教えてしまう事になる。敵機の特性と、こちらのみが敵を補足している状況を
生かし、ここは離れた位置からの射撃を行うのが上策といえる』
「…………」
『何を惚けている?』
「まともなアドバイス、出来るんだ」
『……卿は私を何だと思っていたのだ。ともあれ、気を付けたまえ。葬牙はセンサー
の質が良い。目と耳の優れた相手に気取られぬよう、この地点まで移動するとしよう』
 ICS‐Oの言葉が終わると同時、右側にあるビルが黄色く点滅し始める。
『このビルの上ならば、射線も開けていて狙いやすかろう。空は飛べずとも、これく
らいなら飛翔は可能だ』
「オッケー! それじゃ、張り切っていってみよう!」
 ついに戦闘開始とあって、返事にも力が込もるアイは、正面の機体に気付かれない
よう、ビルの陰に身を隠すようにして慎重に足を動かしていく。
 支配者の名に相応しくない、隠密行動で目的のビルを目指す途中、アイは機体の首
をわずかに傾け、悠羽の駆る黒の機体の様子を伺う。
 戦闘行動ができるのか疑問視してしまうほどの細いボディに、何かの冗談のように
巨大な左腕が取り付けられた機体は、ある種の怪異じみた不気味さを放っている。
 ――悠羽ちゃん、トンデモ系の機体に乗ってるなぁ
 自分なら選ばない、しかし彼女らしい機体の選択に、アイの頬が緩む。

329紅勇者 ◆c8S1V4qkFs:2012/03/04(日) 22:10:49 ID:wDl8tQck0
――それにしても
 荒れ果てた街に佇む怪異と化している葬牙を見るアイの中に、一つの疑問が浮かび
上がる。
 彼女もまた、こちらを探しているのであろう、上半身を左右に動かして索敵をして
いるように見受けられるが、
 ――悠羽ちゃん、操作に慣れてないのかな?
 その動きのぎこちなさは、端から見ていても不安になるほどのものであった。
 索敵中に余計な動作を入力しているため、下手なダンスのようなステップを刻んで
いるその挙動は、素人のそれと変わらない。
 普段、彼女が特殊な操縦方法で機体を操っている事が原因だという事に思い至らな
いアイは、実戦時とのギャップに小さな驚きを感じると共に、口元が勝利の笑みに変
わる。
 ――悪いけど、この勝負はもらったよ悠羽ちゃん
 初心者とは思えない滑らかな挙動で目的地へ近付いていくアイは、彼我の技量差を
認識し、小さくガッツポーズ。
「もし悠羽ちゃんに勝ったら、カイトからご褒美があったりして」
 わずかに緊張が解け、勝利した後の事に気を回す余裕が生まれたアイは、シートに
座る身体をくねらせる。
「『アイ、よくやった。これが俺からのご褒美だ』なんて展開があったりなかったり?
やだ! カイトったらそんな大胆な! でも、そんな肉食系なカイトも」
『盛り上がっている所すまないが、目的地に到着したぞ』
「ちぇっ。せっかく良い所だったのに」
 妄想の中断を余儀なくされたアイは舌打ち一つで気持ちを切り替え、目的地である
高層ビルを見上げる。
 スカイ・ルーラーの倍近い高さを有する高層ビルは、破壊の嵐に晒された街の中で
は珍しくそのままの形で残っており、屋上部分に陣取れば簡易な狙撃が行えそうであ
る。
 スラスターを使用して機体を上方向に持ち上げ、屋上に降り立った天空の支配者は、
片膝をつき、左手のライフル、ゲイルファングを構える。
『ゲイルファングは実弾とエネルギー弾の切り替えが出来るが、このような場合は、
射程が長く一撃の威力が高いエネルギー弾を使用した方がいい。距離が詰まれば、速
射性に優れる実弾か、サブウエポンのエアステークを使用したまえ』
「了解了解っと。王様もちゃんとサポートできるじゃない」
 ICSの言葉に従い、ボタンを操作して使用する弾丸を変更したアイは、未だに眼
下で索敵を続けている黒い機体に狙いを定める。
 スカイ・ルーラーの武装、ゲイルファングは狙撃に向いている銃とは言い難いが、
ここなら見通しが良く、目標との距離がさほど遠くないため、狙い撃つ事も十分に可
能である。
「気分は暗殺者、なんちゃって」
 ロックオンを使用しない、マニュアルの射撃を行うべく、アイは精神を集中させ、
周囲の世界から自身を切り離していく。
 生物学者という本業で培った集中力の高さを発揮するアイの、トリガーボタンにか
かった指に、一切の震えは無い。
 ――まだ
 悠羽の索敵は自機の目線でしか行われていないため、こちらに気付く気配は無い。
 ――もう少し
 例え一瞬でも、あの黒い機体の動きが止まる時を待つ。
 ――あとちょっと
 初心者ゆえの不規則な動きが徐々にアイの手中に収まっていく。
 そして、
「今!」
 周囲の索敵を終え、次のポイントに向かうべく一瞬だけ葬牙の動きが止まった瞬間
を、見逃しはしなかった。
 必中の願いを込めたアイの叫びと共に放たれた青い一条の光が、廃墟と化した街の
空気を切り裂く。
『一気に決めたまえ。王の闘争は、相手に絶対的な絶望と畏怖を抱かせる事にこそ、
その意義がある』
「私、王じゃないけど、チャンスは逃さないよ!」
 その結果を見るよりも早く、素早く立ち上がり、右手の剣、ストームセイバーを構
える。
 天空の支配者を象徴する、翼を模した柄に、長く伸びた両刃の刀身を持つ剣を手に
したスカイ・ルーラーは、背中のスラスターの出力を一気に上げる。
 間も無く、眼下の敵を断ち切る一陣の風になった青の機体が、黒の機体と激突する。
 破壊し尽くされた偽りの街で始まった戦闘が、一気に加速していく。

330紅勇者 ◆c8S1V4qkFs:2012/03/04(日) 22:13:57 ID:wDl8tQck0
今回は以上です。
今回はアイ視点メイン、次回は悠羽視点メインでいこうかと。
しかしまあ、自称超天才さんのキャラ設定が。
そこはゲームだし、そもそも別人という事で。
ではでは、続きはまた近い内に。

331名無しさん@避難中:2012/03/04(日) 23:10:13 ID:jBcIyLZ2O
投下乙。
スカイルーラー飛ばないのかよw
通常では有り得ない組み合わせを擬似的にでもセッティングできるのがこれのいいところ。
ちょい回想の王騎さんもちーす。尊大な態度がいかにもって感じでいいのではないかと。
しかし、葬牙のICS……いったい何ラインなんだ……。
ってそれよりも胸揉んだって、ちょ、ええー、……ふざけるなッ!!

332紅勇者 ◆c8S1V4qkFs:2012/03/11(日) 22:04:23 ID:SSNEj84E0
>>331
確かに組み合わせ次第では色々面白そうな事になりそうですね。
また機会があれば、他の機体とICSを考えてみようかな。

悠羽と某超天才とのアレコレは、一応おおまかには考えてあるものの……。
さてさて、書く事があるのやら。

333紅勇者 ◆c8S1V4qkFs:2012/03/18(日) 21:24:55 ID:wsDV5cyA0
さてさて、悠羽とカイトのデート編、これが最後の投下です。
と言いつつ、カイトの台詞が一切無いのは何事か。
最後はデートでも何でもないけど気にしちゃいけません。
……次に書く機会があれば、ちゃんとデートさせてやろう。
では、投下いたします。

334紅勇者 ◆c8S1V4qkFs:2012/03/18(日) 21:26:14 ID:wsDV5cyA0
   ワタシのカレは天空の勇者 その7


 それは、悠羽にとって、あまりにも唐突であった。
 ゲーム開始から五分余り、未だに基本的な操作に四苦八苦している彼女を、右側か
ら放たれた一条の青い光が襲う。
「きゃぁっ!」
 青の光に射抜かれた右肩の装甲が砕け、黒の機体の姿勢が崩れる。
 同時に、擬似的なダメージの表現として、悠羽の座るシートとディスプレイに表示
された映像が揺れる。
「び、びっくりしました」
『敵が来たぞ!』
 思わぬダメージの演出に声をあげてしまったのが恥ずかしかったのか、わずかに頬
を赤らめた悠羽の声を塗り潰すように響くのは、ICS−Fの声と、
『見つけたよ悠羽ちゃん!』
 ある一定の距離に近付く事で可能になる、敵機との直接通信を用いたアイの声。
 そして、アイの声よりも速く迫る、空の青に染められた機体。
『ええい! この超天才が先手を取られるとは! まずはシールドで凌ぐのだ!』
「分かりました!」
 操作に慣れていない悠羽であったが、ここで素早く正確な操作を行う事が出来たの
は、ただの偶然か、彼女の集中力のなせる技か。
 そのどちらにせよ、結果として葬牙の右肘に内蔵された発生機から生み出された白
い光の壁が支配者の剣を弾き、両者は街の通路で対峙する形となった。
『見事に防げたな。さすがは葬牙。さすがは私。しかし、気を付けるのだ。この葬牙
のシールドはエネルギー型。展開できる時間に制限がある上に、攻撃を受ける度にそ
の時間はどんどん短くなっていく。その代わり、防御性能は実体型よりも優れている。
場所も重量も取らんし、私はエネルギー型の方が好きだぞ。何よりも、ハイテクな感
じが超天才に相応しいではないか! あ、しかし発生機自体を壊されるとシールドの
展開が出来なくなるので注意するんだぞ』
「え〜っと、アイさんとお話しするボタンは……」
『ICSだって無視されると悲しいんだぞ! 通信の切り替えは、両手の親指のボタ
ンを同時押しだ。本来はチームでの戦闘を予定しているので、特定の味方機、味方全
体、特定の敵機、範囲内の敵機全機、といった具合に切り替えられるようになる、は
ずなのだよ。さあ、通信モードを切り替えたなら、あの敵機、スカイルーラーに向かっ
てこう叫ぶのだ!『ずっと前から好きでした!』とな! フハハハハ! 戦場に咲く
恋の花の行方、見届けようではないか!』
「そ、そんな事言いません! もう、変な事を言わないで下さいっ!」
 ICS−Fの言葉に反論しながらも、その指示通りに通信モードを切り替える。
「えっと、テステス。マイクのテストです。アイさん、聞こえます?」
『……悠羽ちゃん、緊張感とか大事にしようよ』
 直後、アイの呆れた声が、悠羽の操作が滞りなく行われた事の証明として筐体内に
反響する。
『まあいいや。とにかく、今日は手加減無しでいくから』
 言葉に合わせて動く青の機体を見る悠羽は、気付いていない。
 会話の最中に、スカイルーラーの左手に握られている銃が切り替わっている事に。
『悠羽ちゃんには負けないよ!』
 言葉は、支配者が新たに手にした銃、エアステークから放たれた大量の弾丸と同時。
 短い銃身から連続して吐き出される弾丸は、一発あたりの威力こそ低いものの、そ
の速射性と弾数によって、牽制や面制圧において真価を発揮する。
 葬牙は右腕のシールドを再展開し、殺到する弾丸の嵐を防ぎながら、近くのビルに
身を隠す。

335紅勇者 ◆c8S1V4qkFs:2012/03/18(日) 21:27:04 ID:wsDV5cyA0
が、
『隠れてもムダムダぁっ!』
 昂ぶりを隠そうともしないアイの声と共に、葬牙が盾にしていたビルが半ばから横
一直線に断ち割られる。
 高さを失ったビルから覗く青の支配者と、寸前の所で回避した黒の牙の視線が絡み
合う。
『今の私は王様だから、何でも出来る!』
『それなら私は、超天才です!』
 右手の剣を外へ振り抜くより早く、左の銃を構えようとするスカイ・ルーラーだが、
それよりも速く、葬牙の巨大な左腕が動く。
『え!? 速すぎなんだけど!?』
『この葬牙が特殊格闘型と呼ばれている理由を魅せる時が来たぞ! 左腕の打撃が当
たったタイミングに合わせて、左手の人差し指のボタンを押すのだ!』
「いきます!」
 小さい、しかし速く鋭い踏み込みを経て繰り出された黒の拳が、咄嗟に銃から切り
替わった盾に命中した瞬間、悠羽はICS−Fの指示を正確に遂行する。
 その瞬間、葬牙の左腕が変化した。
 変化は、街を染める夕陽よりも鮮やかで力強い色で染められた、揺らめく紅という
形で現れる。
 その赤は、炎、または火焔という名を持つ。
 肘に至るまでを紅蓮の炎で覆った葬牙の拳を受けた支配者の盾は、砕かれるよりも
早く灰となり、風に乗って空中へと消え去る。
 本来なら、盾から炎が本体に燃え移り、ダメージを与える能力もあるのだが、アイ
は瞬時の判断で、その寸前に盾を本体から切り離したため、スカイ・ルーラー本体に
ダメージは届いていない。
『ちょっとマズいかも! 撤退!』
 盾を失った支配者は、追撃をかけようとする敵機をエアステークで牽制し、後方へ
と飛翔。
「あ、逃げられました……」
『さすがに速い。しかし、奴の盾を破壊する事には成功したぞ。さすがは超天才たる
私の機体。一撃の重みが違う』
「凄いですね。まさか、神炎掌が使えるなんて」
『むむ? これはそんな名前では無いぞ。今のは炎の打撃、『葬拳・爆』という、こ
の葬牙の持つ六つの特殊打撃の内の一つ。間違っても、その『新年ショー』などとい
う、めでたい名前ではない』
「し、神炎掌です! 私の左手は隠し芸なんて出来ません!」
 思わず力が入り、危うく炎を生みだしそうになった左手を慌てて自制した悠羽は、
そこで一つの疑問を抱く。
「あれ? 今、『六つの特殊打撃』って言いました?」
『うむ。一つのものに囚われず、様々なものを生み出すのが、天才というものだから
な。葬牙の左手首辺りを見るといい』
 言葉通りに視線を向ければ、葬牙の左手首は、通常とは違い、リボルバー拳銃の弾
倉のような形になっているのが分かる。
『葬拳は通常の打撃でも十分な威力があるが、手首にある特殊弾を使う事で、先ほど
のような攻撃が出来るようになるのだ。ただし、一撃ごとの使い切りでリロードも出
来ないので、使いどころには気を付けるのだぞ』
「と、言う事は」
『葬拳・爆はもう使えない、という事だ。特殊弾の切り替えは左手の操作で出来るの
で、好きなものを選んでおくといい』
「そ、そうですか……」
 告げられた事実に、悠羽はわずかな落胆の混ざった吐息を一つ。
「せっかくの神炎掌で盾しか壊せないなんて、少し残念です」
『だから、これはそんな愉快な名前ではないと言っているだろう!』
「ですから、新年ショーじゃありませんっ!』
 繰り返しとなる会話の応酬に、意識して呼吸を深くする事で自制心を保つ悠羽は、
左手を数度開け閉めして感触を確かめる。
「では、今度はこちらから行きましょう。アイさんを驚かせますよ」

336紅勇者 ◆c8S1V4qkFs:2012/03/18(日) 21:28:53 ID:wsDV5cyA0
「いやあ、危なかったね」
『葬牙は接近戦では無類の強さを誇る機体だ。次に隙を見せた時に、身を守る盾が無
い事、くれぐれも忘れてくれるなよ。簒奪者というものは、王の隙を待っているもの
だからな』
「そうだね。でも、最後に勝つのは私なんだから」
 盾を失いながらも声に力強さを失わないアイは、エアステークの弾丸を補充する。
 二種類の銃を瞬時に持ち替えたり、リロード出来る弾丸が無制限であったり、やっ
ぱりゲームは便利だね、と呟くアイの視界に、葬牙の姿は無い。
「悠羽ちゃん、追ってこないね」
『油断はするな、と先ほど伝えたはずだが?』
 わずかに緊張が緩んだアイの声に、ICS−Oの声が重なる。
『葬牙は格闘戦に特化した機体であるがゆえに、敵に気取られず近付くための能力が
非常に高い。敵の動きを掴むための高機能センサー。空を飛べぬ代わりに与えられた、
優れた走破性。影のように敵の背後に立つ事の出来る機体、それが葬牙だ』
 瞬間、スカイ・ルーラーの背後のビルが盛大に砕け散る。
 大小様々な破片となったビルの奥から見えるのは、死を告げる悪魔を思わせる、鋭
角で構成されたシルエットと赤い眼光。
『すまんな、前言を撤回する。葬牙は影のように背後を取るのではない。我らを葬る
牙として、背後から襲いかかってくるのだ』
「どっちでもいいよそんなの! てか、マジでやばいんだけど!」
 完全に虚を突かれながらも、アイは咄嗟に機体を反転させ、葬牙と向き合う。
 ビルを砕き、今まさにこちらを砕かんとする規格外の左腕に宿るのは、先ほどとは
違う、深い青の光。
 先ほど盾を灰にした一撃とは色が異なるものの、その危険性に変わりは無いと判断
するアイだが、迎撃をするための時間も、防御をするための盾もない。
「こうなったら!」
 進退窮まったアイの叫びは、しかし絶望の色など微塵も感じさせない。
 迫る黒の牙を前に、青の支配者は右手の銃、エアステークを前へと放り投げる。
 その狙いは葬牙本体では無く、
「これを殴ってくれれば!」
 アイの願い通り、青く光る葬牙の左腕は、その軌道上に放たれたエアステークを捉
える事で、敵機本体へと届く事無く攻撃を終える。
 本体の代わりに青の打撃を受けたエアステークは、その身を一瞬にして氷の塊へと
変化させた後、道路に落ちて砕け散る。
「とにかく回避!」
 葬牙の奇襲を凌ぎ、すぐさま距離を取ろうとするアイの動きに対し、
『させません!』
 それを否定する悠羽の言葉と、その言葉が示す通りの現象が起こる。
「……うそ!?」
 信じられない事実に、アイの表情が固まる。
 彼女の眼前に広がっていたのは、先ほどエアステークを凍らせる攻撃――葬拳・凍――
を終えたばかりの葬牙が、回避行動をしたこちらに追いついている、という事実。
 葬牙の左腕は、その巨大さのため、攻撃の後に必ず隙が生まれるはずである。
 しかし、眼前の事実は、それを真っ向から否定している。
 何がどうなっているのか、と問う時間は無い。
「んきゃぅ!」
 急変する事態にアイの思考が追いつくよりも速く、黒の拳が支配者の胸部を捉える。
 巨大な腕で力任せに殴りつけただけの一撃を受けたスカイ・ルーラーは、その機体
を大きく吹き飛ばされるが、その途中で背のスラスターを用いて姿勢を制御。
「お返しだよ!」
 着地と同時に実体弾モードのゲイルファングで行った反撃は、葬牙のシールドの前
に止められるが、それもアイの計算の内である。
 シールドの展開に合わせ、ゲイルファングの弾をエネルギー弾に切り替えたアイは、
先ほど行った狙撃の要領で慎重に狙いを定める。
 その狙いは、ただ一つ。
「お返しって言ったよ!」
 狙いすました一撃は、アイの狙い通りの場所に命中する。
 それは、葬牙の右肘に内蔵されたシールド発生機。
 最初に放った実体弾を弾き、反撃に移るためにシールドを解除した、まさにそのタ
イミングで、右肘のシールド発生機を撃ち抜いたのだ。
「これでお互いシールドがなくなったね。でも、あの時、なんで悠羽ちゃんが速く動
けたんだろ?」
『葬牙の特殊機能の内の一つだ。一度だけ、通常では有り得ぬタイミングで有り得ぬ
機動を可能にする。確か、葬拳・迅と言ったか。厄介な能力だが、二度目は無いので、
そこは安心して構わん』

337紅勇者 ◆c8S1V4qkFs:2012/03/18(日) 21:29:35 ID:wsDV5cyA0
「なるほど。さすがトンデモ系。色々あるんだね。ねえ、この機体には何か無いの?
特殊な武器とか、必殺技とかさ」
 シールドを失った葬牙に対し、距離を取り、射撃で牽制していくアイの言葉に、I
CS-Oは、ふむ、と漏らす。
『必殺技、と呼べるかは分からんが、この機体における最大威力の武器は、両肩につ
いている砲、テンペストで間違いあるまい』
「あ、そういえば、肩についてるこれ、すっかり忘れてた」
 会話の間にも、葬牙がビルの間を縫って接近し、時折近接戦闘を仕掛けてくるが、
距離を取っての戦闘に徹しているアイは、そこに無理に付き合おうとせず、剣で軽く
応戦するだけに留まる。
 このゲームの完成型は、複数対複数のチーム戦なので、このような場合、葬牙を接
近させるために何らかのフォローが入るのが理想だが、一対一というこの状況下にお
いて、スカイ・ルーラーが逃げに徹するのは、そう難しい事ではない。 
『そろそろテンペストのエネルギーも溜まった頃合いだ。支配者の持つ最大の一撃、
見せてやるとしようか』
 何度目になるか分からない葬牙の接近を凌ぐアイ。
『テンペストを使うならば、今まで以上に距離を取りたまえ。これは撃つまでにわず
かな時間を要する』
「オッケー!」
 言うが早いか、ゲイルファングの実体弾を出来る限り速射して葬牙の接近を防いだ
スカイ・ルーラーは、己の推力を最大限に発揮し、全力で地を這うような低空を駆け
抜け、街の外の平原に辿り着く。
「これくらいでいいかな」
『ああ。では、始めるとしようか』
「それじゃ、ぶっ放してみよう!」
 右手のボタンを操作し、テンペストの発射体勢に入るスカイ・ルーラーのふくらは
ぎから、機体を地面に固定するための補助的な脚が伸びる。
 次いで、スカイ・ルーラーの両肩に備えられた大型の砲、テンペストの砲口に青の
光が満ちていく。
 戦闘開始から自動で充電されるエネルギーは既に発射可能な領域に達しているもの
の、この砲を撃ち出すには、わずかな時間を必要とする。
 それは、時間にして数秒にも満たない短いものであるが、近接戦闘の間合いにおい
ては長過ぎる時間であり、葬牙の走破性を考えれば、中距離でも安心できない。
 機体を固定している上に、発射の途中解除が出来ないため、側面や背後に回られて
しまえばそれまで、という致命的な欠点を抱えているテンペストであるが、両肩から
生み出されるその破壊力は、その欠点を補うに余りある。
 そして、天空の支配者が絶対の破壊を行うまでのわずかな時間に、それは来た。
 夕陽を背に浴び、刃を重ね合わせたような黒の機体を、影で更に黒くしながら。
 地を駆ける牙には天空からの支配など意味は無い、という意志を見せつけるように、
正面から堂々と、黒の牙が迫る。
 だが、その疾走は、支配者の光を止めるには、あまりにも遅い。
『撃ちたまえ』
「いっけぇ!」
 アイの咆哮を乗せて放たれた青の光が、巨大な双の柱となって街ごと消滅させる勢
いで、葬牙へと向かう。
 それはまさに、天空の支配者が己に刃向かう者の悉くを罰するために放つ、裁きの
光であった。

338紅勇者 ◆c8S1V4qkFs:2012/03/18(日) 21:30:15 ID:wsDV5cyA0

 視界を埋め尽くす青の光を前に、しかし悠羽の心に焦りは無い。
 あくまで冷静な心境の中において、奥底で確かな闘志が渦巻いている彼女の精神は、
これまでのゲームに臨むものとは違う、実戦時に近いものとなっている。
 敵が最大の攻撃を繰り出してくるという勝負の山場において、悠羽の集中力が、こ
れまで以上に研ぎ澄まされてく。
 まともに命中すれば機体の消滅は免れないであろう、圧倒的な破壊の光と正面から
対峙する葬牙の左手が、強く握り締められる。
『先ほども言ったが、タイミングが大事だぞ。私のような超天才的タイミングを逃せ
ば、それでおしまいなのだからな』
「はい」
 短く応える悠羽は、自分が動くべきタイミングと呼吸を合わせる。
 ――落ち着いて狙えば
 小さく息を吸い込む動きに合わせ、次の一撃を繰り出すため、葬牙の左腕が黒の光
に包まれる。
 ――チャンスは一瞬です。
 小さく息を吐き出す動きに合わせ、次の一撃を繰り出すため、葬牙の左腕が後ろに
引かれる。
 ――この機体を、ICSを信じれば
 すっ、と小さな音を口から漏らし、悠羽は一瞬だけ呼吸を止める。
 その動きに合わせ、葬牙は軽く膝を曲げ、全身の力を左腕に集める。
 そして、機体が青の光に呑みこまれる、その刹那、
「これが!」
 今まで溜めていた力を込めた、黒い光に覆われた拳が、正面からテンペストの光を
殴りつける。
「葬拳・絶です!」
 光を殴るという、現実では有り得ない現象を当たり前のように実行した黒の拳は、
それを呑みこまんとする青の光と拮抗し、その侵攻を紙一重の所で食い止める。
 スカイ・ルーラーにとって、テンペストが必殺と呼べる武装であるように、葬牙に
もまた、葬拳・絶という名の必殺と呼べる武装が存在する。
 葬拳に装備された六種の特殊弾の内、通常の状態で使えるのは、爆、凍、迅、雷、
鋼の五種。
 戦闘開始から一定時間を経る事で使用可能になる六種目の特殊弾、絶の能力は、
『あらゆるものを圧倒的な破壊力で殴り飛ばす』という、非常にシンプルなものであ
る。
 格闘戦に特化した機体が到達した極地であるそれが示す「あらゆるもの」は、支配
者の放つ裁きの光さえも例外ではない。
 テンペストと拮抗する機体にかかる負荷が、激しい振動となって筐体の中の悠羽に
伝わるが、彼女の心も動きも、一切乱れる事は無い。
 彼女の中にあるのは、この光を殴り抜け、その奥にいる敵を倒す、ただそれだけで
ある。
 テンペストと拮抗する機体の各所にかかる負担が限界を超え、関節から白煙が上が
ろうと、その意志は変わらない。
 天空からの支配に抗う黒の拳に、無数の細かな亀裂が走る。
『お前の神炎掌、その程度か』
 視界を埋め尽くす青に、拳一つで立ち向かう中で悠羽が思い起こすのは、葬牙と同
じ黒の機体を駆る、悪魔の肉体を手に入れた男にして、実の兄の言葉。
『この絶氷葬が生み出す静止した静死の世界の前に、そんな炎など何の意味も持たな
い事を教えてやる』
 あの時は肩から先を凍らされ、砕け散った左腕だが、
「負けません」
 次第に弱くなっていく黒の光を前に、悠羽は静かに、だが力強く呟く。
「もう、負けません!」
 呟きが叫びに変わった時、視界を埋め尽くしていた青の光が、一気に消失する。
 葬牙の拳がテンペストを凌ぎ切ったのだと理解するよりも速く、悠羽は機体を前進
させ、倒すべき敵の所へと駆ける。
 この戦闘の決着を着けるために。

339紅勇者 ◆c8S1V4qkFs:2012/03/18(日) 21:30:58 ID:wsDV5cyA0
「……で、残念ながら負けてしもうたワケやけど」
 すっかり陽も落ち、半月を戴くようになった空の下を、赤い軽自動車が走る。
「テンペストを殴り飛ばしたのは良かったんやけど、あんなムチャしたら機体がガタ
ガタになるのは当たり前やしな。まあ、テストの結果としては上々やし、うちとして
は文句はあらへんけど」
 運転席に座る早希は、慣れた仕草で創世島までの帰路を運転しつつ、赤信号のタイ
ミングで、助手席に座る悠羽を見る。
「負けませんって言った五秒後に負けました……」
 テンペストを凌いだ結果、機体の耐久力が限界寸前にまで落ち込み、あっさりと返
り討ちになった事を思い出した悠羽は、自分の顔を見せぬよう、開け放した窓に顔を
向けたままの言葉を外に漏らす。
「気分は、どよ〜ん、です……」
「何やそのベタな効果音みたいなヤツは」
「どよ〜ん、です」
「繰り返さんでええ」
「どよよ〜ん、です」
「微妙に変えてきよったな」
「ぱお〜ん、です」
「それは違うんとちゃうか」
「すぽ〜ん、です」
「段々と原形が無くなってきてるで」
「すっぽん、です」
「もう好きにしたらええわ」
「すっぽんぽん、です」
「それはアカン!」
 他愛の無い会話に早希の口元は綻ぶが、外に顔を向ける悠羽の背中は、未だに活力
が感じられない。
「……ほんまに、しゃあない子やな」
 未だに復活する気配の無い悠羽を見かねた早希は、再び赤信号で停車した際に、後
部座席から何枚かの紙を取り出す。
「ほら、これ見てみ」
「これ、は……?」
 先ほど自分で述べた言葉通り、どよ〜ん、といった表情で振り向いた悠羽は、早希
から受け取った紙に目を通していく。
「どや? 元気出てきたか?」
「はい。少し元気になりました」
 全ての紙に目を通した悠羽の顔に、弱々しいながらも、笑みがこぼれる。
「実現はまだ先やけど、これでもう負ける事はあらへんよ」
「そうですね。楽しみにしてます」
 少しずつ笑顔が戻ってきた悠羽は、ありがとうございます、と言葉を添えて、紙を
早希に返す。
 そこに書かれていたのは、聖炎凰を始めとする勇者達の強化プランである。
 各世界の技術を集め、勇者達の機体や装備を強化するためのプランの中には、無論、
聖炎凰も含まれている。
 テンペストに正面から対峙した時の悠羽の言葉を聞いていた早希には、なぜ彼女が
回避ではなく迎撃を選んだのかが理解できているのだ。
「……あのアホタレ、ウチらで止めてやらなアカンな」
「次こそは、必ず」
 そう応え、左手を見る悠羽の顔は、普段と変わらぬ、活力に満ちたものであった。
「ようやく元気になったな。ほな、甘いモンでも食べて帰ろか」
「はい!」
 一時間後、悠羽の食欲は、早希の財布から多くの紙幣を奪う事になるが、それはま
た別の話である。

340紅勇者 ◆c8S1V4qkFs:2012/03/18(日) 21:36:59 ID:wsDV5cyA0
以上でデート編は終了です。
あとは長らく放置してる文化祭編やら、他スレのものやら、色々残ってますが、
とりあえずひと段落つきました。
某Fさんのキャラやら喋りやらが安定してないのは、自分の至らなさの表れです。
他作品のキャラを書くのは難しいと、改めて実感しました。
では、また近い内に何かをお見せできれば。

341名無しさん@避難中:2012/03/20(火) 18:49:44 ID:MEiS0Zj2O
カイトいねえwww
ギミックが熱い。ここまでガチにやるならいっそ単体作品にすればいいのにw
擬音好きだな悠羽。

そういえば凌牙も、(時間じゃないけど)凍結能力持ちだったね。

てか、なんか人いないな。

342勇者騎士 ◆NblATia1b6:2012/03/23(金) 09:30:17 ID:ilkOrlJM0
あああああ。
なんか余計な事ばかりに時間と手間を取られて……

SS投稿乙彼様です。
感想とか、ちょっと時間下さい。

343紅勇者 ◆c8S1V4qkFs:2012/03/24(土) 20:10:08 ID:QwBRCbRY0
>>341
単品でやるなら、色々練り直さないといけませんね。
機会があれば、バージョンアップという名の設定変更をして、
他の誰かに遊んでもらうのも良さそうではありますが。
非戦闘員の方々のバトルも書けますから、そういった方向も面白そうですね。

凌牙は超低温で運動エネルギーを奪ったり生命活動を止めたり、
そういった方向の凍結能力ですね。
触れた瞬間に何でも止めるという反則気味の能力ですが、
時間を止めるのに比べれば、まだかわいいの、かな?
ボスキャラの能力がチートじみているのは、この手のお約束という事で。

>>342
感想は強制するものでもありませんので、書いて頂ける時に書いて頂ければ。
色々と忙しそうな感じですが、無理をなさらないで下さいね。

344名無しさん@避難中:2012/03/26(月) 00:06:13 ID:g1Cv.8BYO
書くのがいつになるかは知らんが、時間凍結の攻略法ならもう考えてる。
して欲しかったこととはズレがあるとは思うが……まあチートの宿命ってやつだな。

345紅勇者 ◆c8S1V4qkFs:2012/03/28(水) 23:03:05 ID:xvnzAHA.0
おお、もう考えてましたか。
どういう方法なのか、楽しみに待ってますね。
王騎達の設定は、まだ出していない部分も色々ありますので、その辺りもお伝えしないといけませんね。
それ用のSSを用意するのもいいかもしれませんが。

SSにかまけて、すっかり放置していた本編が思ったように進んでくれません。
説明が多いので、ちゃんと伝わるかどうかで、普段よりも気を遣いますね。
次回は「鎧鏖鬼ってどういうモノ?」って感じです。
こちらも近い内にお見せできればいいのですが。

346名無しさん@避難中:2012/07/03(火) 05:39:45 ID:YDG90foMO
ジャイロゼッターからの流れであれよあれよとシリーズ復活しないかな。
サンライズの吉井Pのインタビューを読んだ限りでは、(採算取れないこと考えても)絶対に無理って感じでもなさそうなんだよな。

347勇者騎士 ◆NblATia1b6:2012/07/04(水) 19:02:53 ID:8SC.xMfg0
本スレがどうやら鯖墜ち(あえて誤植w)したね。

もうここでやるしかないって?

アークレイオン終わらせるぞー!
風呂敷広げすぎて畳みきれないぞー!!

348勇者騎士 ◆NblATia1b6:2012/07/05(木) 05:21:38 ID:H5mDCQDg0
本スレ復活してた。
どうやらただの鯖トラブルだったか。

349名無しさん@避難中:2012/07/08(日) 18:24:55 ID:gvfNxEO.0
ここもすっかり過疎になってしまったな
作者さん達はどうしてるんだろうか
そういえば、クロスの勇者チームの名前もまだ決まってなかったっけ

350名無しさん@避難中:2012/07/09(月) 03:33:09 ID:3oD3NofoO
夏になったら本気出すってばぁ(ダラダラ)

351勇者騎士 ◆NblATia1b6:2012/07/11(水) 19:19:34 ID:pJnGJRRA0
書いてるよ……書いてますよ……

なかなか進まないけど……

352紅勇者 ◆c8S1V4qkFs:2012/07/13(金) 03:00:14 ID:FVk3hNI20
はい、とりあえず生きてます。
色々な物が中途半端でしまって、困ったさんな状態ではありますが、

さて、そんな状態なのに、また新しいものに手をつけてしまいました。
>>345で書いてた王騎達の設定を伝えるためのSSです。

人様に使ってもらうキャラなのに、ほとんど設定が表に出ていないので、
SS形式で伝える事が出来たら、と。

では、さっそく投下をば。

353紅勇者 ◆c8S1V4qkFs:2012/07/13(金) 03:02:57 ID:FVk3hNI20
破壊の王と暗黒の傭兵 その1

 
「貴様、何の用があってここに来た?」

 宇宙空間に浮かぶ、ギルナイツの拠点である漆黒の魔城、ギルキャッスルに、城
が持つ禍々しくも荘厳な空気を象徴するかのような声が響き渡る。

「私の用は至極単純なものだよ、ギルカイザー殿」

 暗黒の声の主、ギルカイザーの問いに応えるのは、威厳に満ちた低さと重さの中
に、聞く者を陶酔させる甘さを含んだ男の声。
 ギルカイザーや、彼の両脇に控える多数の暗黒騎士らの全てに明確な敵意と殺気
を向けられる中、魔城の闇に溶けそうな黒の長衣をまとった男の声に、恐れの色は
微塵も感じられない。

 重厚さと美しさを兼ね備えた長衣を完璧に着こなす見栄えの良い長身に、整えら
れ過ぎている事が逆に不自然にさえ感じられる白髪赤眼の美貌を持つ男は、口元に
微笑を浮かべ、自身を取り囲む暗黒騎士らの存在などまるで意に介さず、正面に見
える赤い燐光、ギルカイザーのみを見据えている。

「私の目的は、いついかなる時も唯一つ」

 男性としての一つの極地を具現化させた鏖魔、王騎の口から紡がれるのは、彼を
始めとする生体兵器の代名詞ともいえる、一つの言葉。

「『至高の一滴』の完成、それだけだ」

「王を気取る破壊者風情が、ほざきよるわ」

 明らかな嘲笑を含むギルカイザーの声に合わせ、魔城の空気そのものが揺れる。
   
「それで、貴様の求めるその一滴とやらが、ここにあるとでもいうのか?」

「残念だが、ここに私の求めるものは無い。更に言うならば、ここに来る事に意味
などありはしない。ただの気まぐれ、とでも言おうか」

「貴様! ギルカイザーの御前ぞ!」

「ふざけた事を!」

 戯曲を高らかに謳いあげるかのような王騎の言葉に、ギルカイザーの周囲に控え
る暗黒騎士らが怒声を張り上げるが、白髪の王はそれらに微塵も意識を割く事無く、
決して崩さない微笑から言葉を続ける。

「卿らギルナイツにとっての仇敵、ブレイブナイツといったか」

 瞬間、魔城の空気が停滞する。
 自身が口にした言葉が持つ意味の強さを確認した王騎は、眼前の闇の主に己の声
を染み渡らせるよう、ゆっくりと口を開く。

「私が、彼らを滅ぼそうと思ってな。鋼の身体を持つ騎士にして勇者、王の闘争の
相手として悪くはなかろう」

「……その言葉、冗談では済まされんぞ」

 押し殺した声と共に、赤い燐光が激しく燃え上がり、魔城に住まう全ての暗黒騎
士から、憤怒の奔流が殺到する。
 この怒りの大渦が、ブレイブナイツの騎士に倒された多くの暗黒騎士を悼む心が
そうさせるのか、単に己の獲物を横取りされそうになっている事に対する怒りの感
情の発現なのか、王騎は一瞬だけ思考したが、その思考の無意味さ故に、小さな笑
声を合図に瞬時に思考を切り替える。

「そこまで怒りを露わにするとは、卿は存外に感情的なのだな。ならば、この後の
言葉に、卿はどのような反応をするのだろうな」

 常人ならこの場に居合わせただけでショック死してしまうのではないかというほ
どの殺気に包まれた空間の中、微笑を絶やさない王騎の深紅の瞳がわずかに輝きを
増す。

「ブレイブナイツの騎士を滅ぼした後、私は彼らの護る姫の脳を奪う。神に繋がっ
ている、という彼女らの脳を組み込む事が出来れば、『至高の一滴』の完成に、大
きく近付く事が出来る」

354紅勇者 ◆c8S1V4qkFs:2012/07/13(金) 03:03:44 ID:FVk3hNI20

「この痴れ者がっ!」

 暗黒の咆哮は、巨大な火球を伴って放たれた。
 黒一色の空間を紅蓮に染め上げる火球は、この魔城にそぐわない白髪の異端者を
周囲の全てを巻き込みながら焼失させるため、ギルカイザーの眼前に着弾。

「ぐぉぉ!」

「がぁぁ!」
 
 運悪く巻き添えを食らってしまった暗黒騎士の叫びさえも焼き尽くす炎の嵐は、
しかし通常の物理法則を無視して急速に勢いを失っていく。
 それがこの魔城における物理法則なのか、それともギルカイザーの力によるもの
なのか。
 その答えがどちらであるにせよ、ギルカイザーの放った火球がもたらした結果は、
炎に包まれた己の部下と、

「臣下の扱いには気を付けたまえ。あれでは不憫に過ぎる」

 先ほどよりも己の懐に近い位置から言葉を紡ぐ、異世界の生体兵器の声であった。

「貴様は王よりも奇術師が似合っているようだな。……だが、次は無いぞ」

 今の火球に、避ける暇を与えたつもりはなかった。
 だが、目の前の男は避けるどころか、こちらに接近してきている。
 そこにどういう仕掛けがあったのか、ギルカイザーが疑問に思うよりも早く、黒
衣の王が次の行動に移る。

「闘争をしに来た訳では無いのだが」

 至近距離でギルカイザーと向き合う王騎の右手の内に、まるで魔法のように、黄
金の鞘に包まれた、一振りの長大な剣が現れる。
 破壊を生みだす生体兵器、鏖魔が持つには相応しく無い、柔らかな笑みを浮かべ
る女神の姿が彫られた鞘の中から覗くのは、数多の文字を表面に刻んだ、鞘と同じ
黄金の刀身。

「王の闘争が見たいというなら、その対価を支払ってもらう事になる。覚えておき
たまえ」

 暗黒の空間においても輝きを失わない黄金を手にした王騎の微笑が、わずかに深
いものへと変化していく。

「己が城を墓標にするといい」

「叩き潰してくれるわ!」

 そして、黄金と暗黒の力がぶつかり合う、まさにその直前、

「ちょ、ちょ、ちょ〜〜っと! いけませんよ! いけませんねえ!」

 突如、殺意の塊と化していた二人の間に、あまりにも場違いな素っ頓狂な声が走
り抜ける。

「いけないなあ! ああ、本当にイケナイ! どうして貴方がたはこちらの脚本を
壊そうとばかりするのか! それでもエンターテイナーですか!?」

 全ての者が虚を突かれ、動きを止めた空間に、新たな来訪者の姿が徐々に浮かび
上がる。
 陽炎のような揺らめきから生まれたその実体は、サーカスなどで見かける道化そ
のものの姿をしていた。

「挨拶に行けば痛い目に遭うわ、いざ事を始めてみれば脚本通りに動いてくれない
わ、挙句の果てには仲間割れとは……。ワタクシ、今回の公演の運営にどれほど苦
労を重ねればいいのか……」

 見ている者が呆れかえるほどの大袈裟な口調と仕草で泣き真似をする道化、ダー
クラウンの登場に、場の誰もが次の行動を起こせないでいた。
 それほどまでにこの道化の登場は唐突であり、彼の持つ空気が奇妙極りないのだ。

「ギルカイザーさんに王騎さん、貴方がたの舞台はココではありませんYO! まっ
たく、私の力作を台無しにしないでいただきたいものです」

 泣き真似をやめ、両手に数十枚のビラを手にしたダークラウンは、暗黒の空間を
塗り替えるかのように、両手に持ったそれらを宙にばら撒く。

「む?」

「ほう」

 空中遊泳を楽しむようにゆっくりと宙を舞うビラに目を通したギルカイザーと王
騎は、それぞれに短い言葉を口から漏らす。


 次回公演のおしらせ

 超次元ワンダランドが送る次のステージは……

 ギルナイツを従える暗黒の王、ギルカイザー!

 超科学が生み出した破壊の王、王騎!
 
 とっても強くて悪い二人の王がアナタの街にやってくる!

 『ザ・ダブルキング・パニック』お楽しみに!

355紅勇者 ◆c8S1V4qkFs:2012/07/13(金) 03:04:24 ID:FVk3hNI20
直視するに耐えない毒々しい色彩と装飾に塗れたビラが全て魔城の床に落ちた頃、
ダークラウンは、もはや闘争の空気を完全に失った二人の王に交互に視線を移す。

「このビラ、もう良い子のみんなに配ってしまったのですよ。予告を打って公演で
きないとなると、この超次元ワンダランドの信用問題なのですよ?」

「道化殿の職務など、私の知る所ではないが」

 手に持っていたビラを放り投げた王騎は、彼にしては珍しい、呆れの色を含ませ
た息を吐き出し、黄金の剣を鞘に収める。

「興が殺がれた。私は白槍に戻るとしよう」

「そう簡単に逃げられると思っているのか?」

 剣を消し、身を翻そうとした王騎に、ギルカイザーの声が降りかかる。

「あの騎士めらを打ち倒し、神の力を奪おうという貴様を、このまま何もせずに帰
す訳がなかろう」

「ああもう、ワタクシの話を聞いてなかったのですか!?」

「黙っていろ道化。これ以上邪魔するなら、お前も叩き潰す」

 赤の燐光に再び激しい怒りの輝きが宿る。

「ギルカイザーに逆らう者には死を!」

「あの鏖魔を生きて帰すな!」

 暗黒の王の輝きに応え、それぞれに雄叫びをあげる暗黒騎士の群れを前に、王騎
はやはり変わらぬ微笑を浮かべたまま、道化に深紅の視線を投げかける。

「さて、どうやら道化殿の脚本は上手くいかぬ運命にあるようだ。その代わりに、
この城に巣食う者らの死骸を街頭に吊るしておけるようにしておこうか」

「ああ、本当にこの人らは……」


 ギルカイザーの怒りに応じて輝く燐光に対し、彼の周囲の空間を包む暗闇は、次
第にその深さを増していく。
 輝きを増す燐光の横で暗くなっていく暗黒という矛盾を内包した空間の緊張が膨
張していく中、

「待て、ギルカイザー」

 戦場の空気を貫いたのは、芯の通った鋭い男の声。

「ボルドルーガか」

 ギルカイザーの声を受けて暗闇から姿を見せたのは、他の暗黒騎士とは明らかに
違う雰囲気を放つ、赤い戦士。

「ここは俺に任せてもらおう」

 ギルカイザーに従う暗黒騎士と違い、対等な立場で言葉を交わす赤の戦士、ボル
ドルーガは、それ一つとっても達人の技を伺わせる足取りでギルカイザーと王騎の
間に割って入る。

「王騎、といったな。お前の相手はこの俺だ」

「よかろう。王の前に立つ事の意味、教えてやろう」

「くれぐれも公演の支障にならないように、お願いしますよ」

356紅勇者 ◆c8S1V4qkFs:2012/07/13(金) 03:08:01 ID:FVk3hNI20
今回は以上です。

やっぱり人様のキャラは難しいもので、何かが色々違う気がします。
今回は導入部で、次回からバトルですね。
王騎のお供二人も、ちゃんと出してやらねば。
ではでは、また近い内に。

357名無しさん@避難中:2012/07/13(金) 03:19:33 ID:oY3wI7VU0
久々の投下、乙です。

358勇者騎士 ◆NblATia1b6:2012/07/15(日) 21:46:31 ID:85CBwtNE0
>>352-356 お疲れ様です。
自分の作品のキャラがそうやって動いているのをみると新鮮ですね。

遠慮なく暴れさせてやってくださいな。

359紅勇者 ◆c8S1V4qkFs:2012/07/15(日) 21:52:09 ID:E/ALqoEU0
>>357
ありがとうございます。
本編も早く更新出来ればいいのですが。

なんだかノリノリで書けたので、続きが出来ました。
けど、ここに投下するには長くなりすぎた感がありましたので、HPでのアップにさせていただきました。
良ければ見てあげて下さい。
なんだか収集がつかなくなってる気がするのは、気のせいではありません。
ではでは。また近い内に。

http://greatfuldead.dousetsu.com/bangai.html

360紅勇者 ◆c8S1V4qkFs:2012/07/15(日) 21:57:28 ID:E/ALqoEU0
あ、気がつけばレスが。

>>358
ありがとうございます。
先ほどアップした続きでは、もっと好き勝手やらせて頂いてます。
気に入らない部分があれば、いつでも言って下さい。

361名無しさん@避難中:2012/07/25(水) 22:53:31 ID:RPbwrqZM0
まさしくダブルブッキング

362名無しさん@避難中:2012/07/28(土) 00:07:17 ID:xY6.Q6/c0
>紅勇者氏
投下乙です!
巨大な悪たちのひしめき合う空気感が・・・いいね。
いろんなキャラにスポットが当たってるので見ていて楽しいし参考にもなる。
王騎さんのフットワークの軽さにはちょっとわろた。新世代の大物は行動力も備えてるってことか。
能力の一端が明らかになったわけだが、ちょっと毛色は違うけどアイバンホーンあたりと解析合戦させてぇ・・・

>>361
ビックリマン2000にそんなやついたなぁw


夏になったけど
引っ越しとかいろいろあって心身が安定しないのでまだだいぶ待ってえ・・・

363 ヘ ノ: ヘ ノ
ヘ ノ

364紅勇者 ◆c8S1V4qkFs:2012/07/31(火) 01:58:19 ID:NUuwYAlQ0
>>362
色々なキャラを出したものの、はてさてどう収束させたものか、かなり迷いますね。
なにしろ考えなく書いてしまったものですから。
ただ、「シンヤのワクワクお使い編」だけは別で書く機会が……あるのかな?
いつの間にやら構想だけ膨らんでしまってますけど。

アイバンホーンと相対すれば、王騎の能力も一発で見破られてしまうのか、気になりますね。
といっても、王騎は能力を隠してるわけでもないので、時間停止がお前の能力か、
と言われれば、いつものスマイルでアッサリと認めそうではありますが。

365名無しさん@避難中:2012/07/31(火) 03:44:24 ID:l/prcStAO
がんばれー

アイバンホーンのシステムスキャンは、敵の来歴・属性・能力・本心とかを見抜く感じ。
話の上では一度敵の実力を認めておいて「それでもお前に勝機はない」って居丈高に攻撃ぶちこむテンプレの一部だけど、
格上相手なら見抜けないこともあると思う。(ただBCSで出力を底上げできれば可能かも)

366紅勇者 ◆c8S1V4qkFs:2012/08/01(水) 02:33:19 ID:3z.HD/vA0
なるほど、色々見えるものですね
お互いに対峙した時、何が見えるのやら。
2人とも騒がしいタイプではないので、淡々とお互いが何者かを見極めるだけなのかもしれませんけど。

BCSは、勇気という概念を持っていない鏖魔にとって理解不能なシステムに映るのは請け合いですね。
続きを書く時には、その辺りも少し掘り下げてみようかな。
本編では勇気を取り扱っていないので、こういう場でないと書けない気がしてきました。

367名無しさん@避難中:2012/08/25(土) 01:39:29 ID:4ABAucAIO
なーに、勇気のあるなしは行動描写だけでも扱えるから。

……そう考えるとアイバンホーンは「勇気がある」とは言えないな。
あれは誰か召喚者の勇気に呼応して代わりに戦うシステムなだけで、
アイバンホーン本人は別に恐怖を乗り越えたりしてるわけじゃないんだよね。

368紅勇者 ◆c8S1V4qkFs:2012/08/28(火) 02:27:09 ID:Xs7v1VRw0
勇気をどう表現するか、難しいものです。

……と、これからちょっと更新が厳しくなりそうなので、
中途半端ですが書き上げた所までをアップしときました。
本当は前後編にしたかったのですが、今回は中編になってしまいました。
次はラストまで一気に書き上げるので、その時に後編にまとめてしまおうか。

今回も好き勝手にやらせてもらってるので、作者の皆様方は何かありましたらご一報をば。
しかしまあ、いつから志穂が主役に……。

ではでは、次の更新は、なるべく早くしたい所ですが。

http://greatfuldead.dousetsu.com/bangai.html

369名無しさん@避難中:2012/08/29(水) 00:01:19 ID:JZWJk2JMO
投下乙ん。
きばおー「こんなんチートや!チーターや!」
だんだん王騎の全貌が明らかになってきたかな。
ソウトーガとかサブロボが頑張ってるのを見ると嬉しくなるね。
そして志穂さん男前だなぁ。さすが俺の(ry

関係ないけどチェスといえばボーディオン氏は息災だろうか。

370勇者騎士 ◆NblATia1b6:2012/09/01(土) 07:21:48 ID:v5nXbl1g0
出遅れた マジ気付かなかった(汗

>>368 紅氏 乙です
おお! こんな形で志穂がクローズアップされてしまうとわ!?

まあ、キャラのチョイスとかは紅氏らしいっちゃらしいですよね。
おれだったら多分、やっぱりマドカ前面に押し出して、
ケチョンケチョンに論破されそうw
天然系ヒロインなんで〜

なんだったら百合に組み込んでくれても良いんですぜ許しますぜ(爆

ううう……アークレイオン&ディバルガー&ガンプラビルダーズ+それ以外で、
なかなか前に進めません。
ディバルガーの小ネタ書きかけなんですが、詰まったのでモウイイヤ……(涙

おまけによせばいいのにエルドランネタまで思いついちゃってますが、
考えたらエルドランスレはもう存在しないので、書かなくても良いんだよねソウダヨネ???

とりあえずディバルガーで、ソール達が良いところまでパワーアップできるところまで持っていかなければ(汗

でわでわ♪

371紅勇者 ◆c8S1V4qkFs:2012/09/02(日) 21:43:24 ID:adyjVyqU0
感想ありがとうございます。

>>369
ソウトーガ達ファルブレイク勢の活躍は、次回をお待ち下さい。
王騎だけでなく、他の鏖魔の設定の説明もありますので。
姫様ズの中で王騎と会話をした場合どうなるか、という所から考えて、
志穂に頑張ってもらいました。
前編の流れのまま、マーヤに喋らせても良かったのですが。

ボーディオンさんは……また書き込んでくれればいいのですけど。

>>370
マドカと王騎なら、志穂のような「王とは何か?」ではなく、
「闘争以外にも幸せはあるんだよ」的な流れになるのかな?
そしてそのまま「私達と一緒に来れば、闘争以外にも生きる楽しみを見つけられるよ」
みたいな流れで仲間フラグが……w
闘争の否定という点では同じですが、マドカの性格的に、こんな感じですかね?
何かが違う気もしますが。
百合展開は、また別に書かせていただきますよ。

書きたいものが色々あって手に付かない時は、出来る所からやってみてはどうです?
それか、いっその事何も書かずに気分転換でも。

372天空勇者 ◆tTB5y6n.0k:2012/09/03(月) 05:50:13 ID:EST7d49w0
悠羽カイトのデート編その1が投稿されてから1年が経とうとしていることに気付き絶望した……orz

そしてサボりまくった結果フライトナー本編は全く進んでいないという事実! あぁー。

373創発ブレサガ ◆46YdzwwxxU:2012/09/03(月) 20:17:37 ID:gt5Id9xwO
ごめん。
何もしなかったわけじゃないけど燻り続けて夏が終わった。

374勇者騎士 ◆NblATia1b6:2012/09/05(水) 19:15:58 ID:E/uhN7AU0
>>371 紅氏
うーん、ちょいと考えてみましたが、
マドカは説得タイプじゃないと思うので、そういう風に説く感じじゃないと思いますね。
どっちかというと、ひたすら「やめようよ 悲しいよ」タイプじゃないかと。

つまり、お話にならない(爆

絶対じゃないですが、まあ思考より感情が先に立つタイプかと。

375名無しさん@避難中:2012/09/06(木) 01:57:41 ID:VNKViQ3oO
一方アスミはサッカーボールを使った。

376紅勇者 ◆c8S1V4qkFs:2012/09/16(日) 18:38:29 ID:IQ9dBgeI0
>>374
なるほど、マドカならそうきますか。
それはそれで書いてみても面白そうではありますが。
マドカの純粋な感情こそ、志穂のいう「無垢なる祈り」に通じるものがあるでしょうし。

>>375
アスミは……さて、どうしたものか。
騎士と姫合わせて8人になると、どう動かしたものか迷いますね。
志穂以外にも言葉で王と相対するポジションが欲しい所ではありますが。

こちらは諸事情によって諸々の更新がしばらく滞りそうです。
申し訳ありませんが、アークレイオン、ファルブレイク勢の活躍は今しばらくお待ちを。

377名無しさん@避難中:2012/10/13(土) 04:27:30 ID:/mQWzGWAO
創発とあんま関係ないけどブレイブガムのエクスカイザー組んでみた。
シール超大変だったけど満足。
しかしこのサイズでよくもまあ……

378名無しさん@避難中:2012/10/13(土) 23:19:26 ID:3hMszHvI0
あちこち探し回っているけど見つからない

379勇者騎士 ◆NblATia1b6:2012/10/27(土) 22:06:14 ID:V3XWA2qo0
>>378 行きつけの模型店に2セットあった

380紅勇者 ◆c8S1V4qkFs:2012/11/04(日) 02:54:31 ID:sfcKqNZY0
そろそろ再開できそうな気配がしてきましたので、
できるだけ早いとこ諸々の更新に取りかからねば。

唐突にスレとはあまり関係のない話ですが、主人公とラスボスの
最終的なパワーバランスはどんな感じが好きですか?

1、主人公>ラスボス
主人公がラスボスより強くなるタイプ。
最後に圧倒的な力で無双したりするのは爽快ですね。
最初から最後まで主人公最強、なパターンもあったりはしますが。

2、主人公=ラスボス
互いの実力が拮抗してるタイプ。
ラスボスではありませんが、マキバオーとカスケードの関係はとても好きです。
ポッと出の親玉相手ではなく、長い間続いてたライバル関係の総決算、
といった展開のラストバトルは燃えますね。

3、主人公<ラスボス
最後までラスボスの方が強いタイプ。
この場合、愛だの奇跡だの不思議アイテムだの
各種ご都合主義の力を借りて倒したりします。
個人的に1番好きなのはこれ。
やはりラスボスは1番強く、でも最終的には敗れ去る存在であるべきかと。

381勇者騎士 ◆NblATia1b6:2012/11/04(日) 10:31:16 ID:y7tQFR7.0
>>紅氏

おれも好みで言うなら3かな?
もちろん最後は主役無双状態が理想ではありますが。

カタルシスがないと盛り上がりませんからねえ。

382名無しさん@避難中:2012/11/05(月) 18:12:58 ID:7sFy9wdMO
実力はラスボスと同等かそれ以下、機転や一瞬の気迫の差で劣勢を覆して勝つのが一番好きですかねー。

383勇者騎士 ◆NblATia1b6:2012/11/08(木) 21:17:24 ID:oo5sss.o0
えー、突然ですが。
このスレの住人の皆さんには大変お待たせしておりますが、
「天帝勇者ディバルガー」、本編ではなく小ネタの方が書きあがってしまいました(汗

現在細かい手直し中。

近々晒そうと思いますが、いつもの様にURL貼るのと、スレにコピペとどっちがいい?

384名無しさん@避難中:2012/11/09(金) 17:04:34 ID:K.1r1WC2O
おー!
URLでいっちょお!

385勇者騎士 ◆NblATia1b6:2012/11/21(水) 19:20:25 ID:GFfMqycg0
遅くなって申し訳ない!

ttp://www.wind.sannet.ne.jp/kazmad7/divss01.htm

お待たせした上に、戦闘シーン一切無しの話でアレだが(汗

386紅勇者 ◆c8S1V4qkFs:2012/11/21(水) 23:23:35 ID:ZdYpC8/w0
>>385
乙です。

こういう日常の風景もいいですねえ。
戦闘が無くても十分楽しめましたよ。
相変わらずバイク愛に溢れてて、楽しみながら書いてるんだろうなと想像したり。
自分は原付にさえ乗った事が無いので、その辺りはサッパリですが。

今のところクロス企画のラインナップから外れてるディバルガーですが、
機会があればこちらのSSでディバルガーの面々を登場させようかな、と考えています。
どこで誰をどう使うかは全くの未定ですけど。

次の作品も楽しみにしてますね。

387名無しさん@避難中:2012/11/22(木) 14:26:52 ID:t.1xNriYO
読んだよー。
こういうキャラの掘り下げ方もありなんかもねえ。ただ俺はバイクのことはさっぱりなのでコメントは難しいw
ちんぴらに何故かライスピのストロンガー回を思い出した。こういう近所のニーチャン的な斜めっぽい?関係っていいよなぁと。
パスタ娘の言語の壁はなんかクロス向きなネタな気がする。機会があるかは知らないけど。
ソールのからむ日常も見てみたいなって。

388名無しさん@避難中:2012/11/22(木) 14:28:29 ID:t.1xNriYO
むむむ。さっぱりがダブってしまった。
不覚ッ。

389勇者騎士 ◆NblATia1b6:2012/11/22(木) 22:03:52 ID:jhAu4PGU0
>>386-387 どもども!

うーん、まあバイクと武術はある意味ディバルガーの売りの部分でもあるので、
読んでる人が理解するしないに関わらず、全力展開するしかない訳ですがw

パスタ娘……呼称として採用!w
言葉の壁は、割と早期に取り払われる予定ですが、そもそもネイティブじゃないので、
意図的に誤用させるってのはアリかな。

クロスとしては、書き始めに宣言した通り、滑り込み狙ってます!(ニヤリ
まあ、そのためにはもう少し合体を段階を進めないとね。

てな訳で。
もうちょっと話を進めるとしましょう。
アークレイオンの方もジリジリと書いてますが……
かなり難産かも(汗

390紅勇者 ◆c8S1V4qkFs:2012/11/22(木) 22:28:26 ID:JKju3vLU0
言語の壁はネタとして面白そうですね。
その辺りは貴重な外国人枠として頑張ってもらいたい。
イタリア語となると、ウチの中でちゃんとコミュニケーションとれるのは
ソフィアだけですね。
あとは基本的に肉体言語が共通語な連中ですし。

言語という事で、本編に書く予定の無いどうでもいい設定を書いておくと、
鏖魔は日本語と英語を駆使して悠羽達と意思疎通しています。
鏖魔どうしだと自分達がもといた世界の言語を使う事もありますが、
「ここではリントの言葉で話せ」状態で、移動先の世界に合わせてる感じですね。

391勇者騎士 ◆NblATia1b6:2012/11/23(金) 07:53:16 ID:P02ICzEY0
>>紅氏
ソフィアさんって何人でしたっけ? ロシア???

うちでバイリンガル以上な人材と言うと、志穂と岩崎女史、
そして意外と(?)高遠博士かな?
それでも大体英語くらいですが。
女史は今時北京語くらいは出来た方が、仕事的に良いかもしれないですが。

ディバルガーの面々に関しては、やっぱり世界中を飛び回る関係上多言語を普通に操る設定ですね。
書いてる本人は標準語と関西弁と山陽弁くらいしかわかりませんが(爆

あ、あと真吾は肉体言語もいける!(核爆

392紅勇者 ◆c8S1V4qkFs:2012/11/23(金) 13:39:39 ID:AV47AHHo0
さすが博士、インテリですね。
仕事柄、国際的な舞台で喋る機会もあるでしょうし、
英語が堪能なのは当然といえば当然かもしれませんね。

ソフィアは(あくまで書類上は)フランス出身、パリ生まれのパリ育ちですよ。
公的機関のメタガで要職に就く関係上、(あくまで書類上は)帰化していますので、
国籍は日本ですが。

彼女は世界の95%以上の人間と会話ができる超マルチリンガルなので、
国際会議の多い烈の通訳として大活躍しております。
ちなみに悠羽は日本語、英語、ドイツ語、フランス語の4ヶ国語対応です。

393名無しさん@避難中:2012/12/05(水) 23:21:47 ID:5GFyqP.wO
ブレイバーズのメンバーもかなりのエリートっぽいし英語あたりは喋れそう。
でもシンヤには全然そんなイメージないなw

カイトは堪能かも? でも専門バカという可能性もなきにしもあらず。
フォグ・ラインは……あいつどこ系の人だ?w
作風が無国籍的なだけに。

394勇者騎士 ◆NblATia1b6:2012/12/06(木) 20:17:05 ID:RH4tMYbk0
話題が広がらない……
語学関係の設定は、また作者さんご本人にネタバレしてもらうとして……

でも勇者関係って、本家でも言語の壁って完全にバリアフリー状態だよねとw

アークレイオンを書くはずが、なぜかおまけSSで加速がついたディバルガーが進行中。

テレビアニメだったら、本家勇者でも仲間探しの過程で、何回かハズレ回があるのが当たり前なんだけど、
こういう形だと、当り回の連続にするしかないのが悩みどころだなあ。

ここは超AI型と搭乗型で占められてるので、そういう悩みはなさげっぽいけど。

395名無しさん@避難中:2012/12/06(木) 22:41:25 ID:rCpTP//MO
勇者の石やパワーストーンみたいに、それも一種の勇者的?パターンとは言えるかもね。
あとダグオン形式でも似たような作りはできる気はする。

新しい仲間や力が毎話毎話ポンポン出るだけというのは、
それはそれで何か釈然としないというか、販促臭さを消しづらいというか。
やっぱり工夫は大事だなと思った。

396創発ブレサガ ◆46YdzwwxxU:2012/12/07(金) 03:00:45 ID:M4EA6rZA0
投下するよ!
天農が三人娘にちょっかい出すやつ

>>94->>97の続き

397創発ブレサガ ◆46YdzwwxxU:2012/12/07(金) 03:01:39 ID:M4EA6rZA0




 −4−


 ……マドカちゃん、俺ともお馬さんごっこ、しない……?

 聞き捨てならなかった。
 その台詞を耳にした瞬間、クレイオンは不届き者に躍り掛かった。
 疾風の名を体現する白銀のスポーツカー。自動車でありながら、地形に頼ることなく跳
躍してみせる。かつて、マドカをして“ダンス”と言わしめた、特異なアクティブサスペ
ンションによる駆動では断じてない。

「ナイトチェーンジッ!!」

 叫んだ時には既に、彼のシルエットはスポーツカーの物ではなかった。人間のような腕
があり、人間のような脚があった。
 クレイオンが変形したのだ。輝かしい白銀のみを受け継いで、巨人の姿に。
 高遠マドカを守護する鋼の騎士。人類におよそ三倍する機械仕掛けの体躯で走る、それ
は〈鋼の騎士道〉世界の〈勇者〉のひとり。
 ひと跳びのうちに変形を終えて、その身は未だ空中にあり。オープンカフェのパラソル
を彩る赤や黄が映りこみ、今や白銀のボディに憤怒の炎を顕現させていた。

「クレイブレードッ!!」

 クレイオンの右腕が、左腰に回される。
 どのような原理か、クレイオンの手の中で腰当てのパーツが高速伸長、すらりとした両
刃剣に変化した。それこそ騎士の聖剣、クレイブレード!
 抜き打ちのように、腰溜めから弧を描いて放たれる斬撃! 生半可でない鋭さ。人類で
はそれに反応できない。
 狙うは、遮光器の下にも好色の本性を隠しきれぬ不埒者。今こちらを見て口の端を引き
攣らせた男。延加拳の天農という名の最危険人物。
 ――私の“姫”に何ということを!

「成敗ッ!!」

 さすがに、命まで取るつもりはなかった。ぎりぎりのところで自制心が働いていた。
 ただ、天農をさんざんに驚かして、度重なる破廉恥な言動の“つけ”を払わせてやるつ
もりだった。そして、マドカには自分という騎士が付いているのだということを思い知ら
せてやろうと思っていた。

398創発ブレサガ ◆46YdzwwxxU:2012/12/07(金) 03:04:04 ID:M4EA6rZA0
 天農の爪先、数センチメートル、いや数ミリメートルの石畳を割るように、騎士の剣が
振り下ろされる。
 しかし、

 ――がつん――

 動作の途中。クレイブレードに速さが乗りきる前に、その運動エネルギーは大部分が相
殺されていた。二者の間に割りこんだ何者かが、クレイブレードの白刃の側面に精妙な角
度で剛力を加えて、その進行を押し止めたのだ!

「何!?」

 クレイオンがこの一閃、本気だったかと自問すればそうでもない。
 しかし、怒りの分、それなりの力が乗ってはいた。

(それを、“横から殴って止めた”だと?)

 そんなことが出来るのは――
 ふと思い出す。あれは確か、えーいち朗が語ったのだ。延加拳の天農は、あの“鏖魔”
に襲撃されながら生還したことがあるという。

 ――鏖(みなごろし)にするんじゃないのか? 殺しても退屈だの、殺す価値がないだ
のスカしてないで、殺してみせろよ。この俺を、……この、延加拳の天農を!

 達人の天農をも瞬殺し得る鏖魔を人の身で挑発するなど、真島流破鋼拳を修めた超人で
もなければ、自殺志願だろう。
 しかし、天農は生き延びた。最後まで、傷ひとつ負うことなく。哄笑さえ残して。
 断じて強運のためではない。鏖魔が乗らなかったからでもない。天農自身が強いからで
もない。
 背後に“やつ”がいたからだ! そいつは、鏖魔の攻撃に対して発生後から反応できる
ほどの速さを持っている!
 ならば、あるいは、守護騎士クレイオンの剣に対応できてもおかしくはない!

「びびったぜ。……乱心したか、騎士殿?」
『今のは、師匠が悪いと判断する』
「ほざけ。お前には分からんのだ。男のロマーンというやつがだ」

 それは今まさに狂博士と会話する者だ。身長およそ五メートルの人型だった。クレイオ
ンと体格は同じ、変形前もカテゴリとしては同じ。
 ただし白銀の騎士とは異なり、その肌は金属光沢の青色を発し、手にはいかなる武器も
持っていない。何故ならば、機体そのものが一個の兵器であるからだ。ただ、肘と下腿に
あるスーパーカー時からの車輪だけが、主の戦意を受けるようにわずかに回転。
 〈高速格闘フィールド〉世界において、異界の怪物“魔族”に孤独な戦いを挑んだ機械
仕掛け。
 同系の〈勇者〉のうちの多くがそうするようには、巨大合体による強化を行わない。し
かし一説には、合体した〈勇者〉にも匹敵するだけのポテンシャルを誇るとか。
 その故に、それは〈勇者〉ならざる身にして、“勇者級”と呼ばれるのだ――

「流派超重延加拳、スプリガン!」

 天農の延加拳の流れを汲み、ロボットとしての機構を最大限に応用することで独自の流
派を開いたという、鋼の拳法家が立っていた。

399創発ブレサガ ◆46YdzwwxxU:2012/12/07(金) 03:05:39 ID:M4EA6rZA0




 −5−


『我が師の非礼は詫びる』

 スプリガンは、マドカたちとクレイオンに謝罪した。
 その声は、クレイオンのそれよりさらに電子的な響きを持つ、ディムロードのシステム
ボイスにも近いものであったが、あるいは人間以上に誠実な謝意を感じさせた。とてもで
はないが隣でそっぽを向いて口笛を吹いてみせるロクデナシの弟子には見えなかった。
 あの後――
 そのままでは目立ちすぎるという理由から、クレイオンとスプリガンはどちらもスーパ
ーカー形態に変形し、三人の女子高生たちと天農、そして高遠博士を人気のない河川堤防
まで運んでいた。夕方だけに、ジョギングや犬の散歩をしている人びとがいそうなものだ
が、幸いそれらしい姿は見えない。

「……さっきは余計なことをしてくれた。俺は“達人”だぜ。当てる気のない攻撃など食
らうものかよ」
『師匠のその言葉が、私の援護を計算に入れた強がりだということは明らかだ』
「そ、そんなことないよ……?」

 天農の挙動は相変わらず怪しい。見切っていたのか、強がりなのか、あまりに演技臭い
ためにほんとうのところが判然としないのだ。
 スプリガンの天農を見る視線(車輌形態における彼の見掛け上の“目”は自動車のライ
トである)から温度が消えていった。

『師匠、あなたの言動はいつも配慮を欠いている』
「そうかぁ? 騎士殿が潔癖症なだけだろ」
「いやいやいや」

 師弟の会話に割って入って、アスミが顔の前で高速で手を振っていた。その言い草は無
理があるよと。

「スプリガンさんが謝られることではありませんわ」
『いいや……』

 スプリガンに微笑んでみせる志穂だが、聞えよがしな台詞には天農への棘があった。そ
れでも弟子からの筋違いの謝罪を突っぱねないのが、彼女なりの優しさではある。

400創発ブレサガ ◆46YdzwwxxU:2012/12/07(金) 03:06:59 ID:M4EA6rZA0
 マドカは、目まぐるしい状況の変化については保留にして、取り敢えず気になったこと
を片づけることにした。

「……ねぇ、クレイオン、ひょっとしてあたしたちのことずうっと見てたの? おじいち
ゃんと?」

 ぎくり。白銀の騎士は表には出さずに狼狽えた。
 このお姫様はときどき妙な勘の鋭さを発揮する。
 さすがに騎士たる者、尾け回したことについて潔く謝るべきか。

「……申し訳ない」
「いやいや、心配だったんだよ、なあ!?」
「心配、ねえ……」

 アスミは何か言いたげだったが、結局は口を噤んだ。 
 面白いこと大好きな高遠博士が言うと説得力がガタ落ちな気もしたが、一応の言い訳は
立っている。護衛は騎士の本分ではあるのだし。

「そういうことなら! 俺、俺、俺も心配だったんですー! ほんとうなんですー!」

 天農がハイハイハーイと手を挙げて、いけしゃあしゃあと無罪放免に向けた自己弁護に
走る。……が、さすがにこちらに納得する者などいない。
 「……マドカちゃん、俺ともお馬さんごっこ、しない……?」、これだけでも最低の屑
確定である。その上でこの発言とくれば、もはや更生の余地はないような気さえする。

「この男は……」
『全く反省していない……』

 あまりの態度に、クレイオンが車体の温度を上げた時だった。
 このままではいつ戦争が勃発してもおかしくない。
 そんな雰囲気の中――

「よぉ〜し! この一件、この高遠光次郎が預かったっ!」

 年長者は皺だらけの掌を打ち鳴らして妙案を告げる。
 その口元に浮かぶ悪戯っ子のような笑みを見て、クレイオンとスプリガンは揃って何だ
か不吉な予感を覚えたのだった。

401創発ブレサガ ◆46YdzwwxxU:2012/12/07(金) 03:08:12 ID:M4EA6rZA0
以上。
今回はここまでってことで。
・・・天農屑だなこいつ。まったく誰に似たんだか(すっとぼけ)

402勇者騎士 ◆NblATia1b6:2012/12/07(金) 19:23:34 ID:X.IF2yoE0
>>397-401 投下乙です。
まー、クレイブレードは聖剣って程大袈裟な武装ではありませんが、
ただの人間が食らって無事で済むもんでもないよねって事で。
もうクレイオン頭に血が上りすぎだよw
街中で変形ってwww

危うく公衆の面前で一触即発の図。

続きを待つ!

さて。
寒くなってきた事ですし、まあ他のSSが完全に終わった訳ではありませんが、
ちょっと温泉ネタでも考えてみるかな?(ニヤリ

403名無しさん@避難中:2012/12/07(金) 22:59:51 ID:EE4N/3Pc0
邪悪を斬り捨てんと振るわれる剣
これを聖剣と呼ばずして何と呼ぼう

>>394
ゴルドランでは、意味不明な言語で喋っている宇宙人に対して
「こういうときは宇宙人も地球の言葉しゃべるのになー」
「しかも日本語だよね」
というやりとりがあったり

有名な(?)子持ち勇者の回ですね

404名無しさん@避難中:2012/12/08(土) 07:15:18 ID:2NINDCWIO
>>402
らしくないかなぁとも思ったけど、強行した。
クロスだといろいろ極端にしがちだよね。

温泉回か。
アークレイオンにもディバルガーにも覗き要員がいないようなw
あ、ラッキースケベ要員ならいるか。

405勇者騎士 ◆NblATia1b6:2012/12/08(土) 09:19:20 ID:W3sem0U60
どもども

>>403
うん、まあ言い方は色々あると思う。
聖剣って言い方は、こっちの作品ではアークキャリバーにのみ適用してたんだけど、
その辺は堅く考える必要ないので〜

ゴルドランのあの回は衝撃だったw

>>404
極端な方が面白いって事もある。
この後はおそらくバトルに雪崩れ込むんだろうけど、
博士が絡むと、ただ戦うってので済まなそうな気もするなあ。

温泉はねえ。
個々の作品でやるか、クロスとしてやるかはちょっとまだ考えてないんだけど、
クロスでやるなら、作者自身が書く以上ディバルガーは出すよ。

リサと勝負になりそうな相手は……志穂、悠羽、……他に誰がいた?

っていうか何の勝負だ おれっ!?(滝汗

天農、虫っぽい動きとかするかなあ?(カサカサカサ……

406名無しさん@避難中:2012/12/08(土) 10:54:19 ID:2NINDCWIO
>聖剣
気づかなかった。そういうこだわりはいいよね。

>温泉
巻きタオルと上げた髪に期待大。

>虫っぽい動き
変態だからできるかも。

そこまでじゃないけど、設定上は流派延加拳に“犬神猿神”っていう四足走行技もある。
四つん這いの体勢から、鍛え上げた腕・手・指を使って四足獣の足運びを再現し、流して走るていどの速さで敵に近づく。
(……人体でそんなことホントは物理的に不可能だろうけど、天農だし)
ひたすら不気味なのと超低空姿勢で敵の攻撃パターンを限定して読み易くするってくらいであんまり意味はないw

407創発ブレサガ ◆46YdzwwxxU:2012/12/08(土) 11:20:48 ID:8X9dvlx20
投下するか。

>>394->>400の続き。

408創発ブレサガ ◆46YdzwwxxU:2012/12/08(土) 11:22:03 ID:8X9dvlx20




 −6−


 〈紅蓮の血闘〉世界、創世島は防衛組織“メタル・ガーディアン”食堂にて。

「クレイオンも苦労人だよな」

 いつかの“焼き鳥大決戦”からさほどの間もなく再び設置された大型スクリーンを見上
げながら、相馬シンヤはしみじみと呟いた。
 麻生コンツェルンの私設した防衛組織“ブレイバーズ”の実動隊員となった彼は、超A
I搭載のロボット・ブレイクたちとともに、凶悪な犯罪者と日夜戦い続けている。〈騒嵐
の世界〉の〈勇者〉たちだ。

『セイエンオーとの模擬戦に続いて、今度はスプリガンだからな』

 ここでは、相棒の〈勇者〉ブレイクとは、端末ブレイアームズを介した音声のみのやり
とりとなる。
 さすがに、五メートルから一〇メートル級以上の〈勇者〉たちをぞろぞろと招き入れる
だけの広さはないからだ。
 こちらでの戦闘の模様は、映像データとして希望者にリアルタイムで送られることにな
っていた。観戦室での会話にも(やはり音声のみではあるが)参加できる手筈になってい
る。当初はいわゆる“テレビ電話”の導入も検討されたが、個々の通信機の外部出力装置
が高性能であったため、差し当たっては必要なしということで決着を見ている。
 相馬シンヤは、ブレイバーズ隊長・武藤黒の『近くで観戦するのも、いろいろと勉強に
なると思いますよ』の一声で〈紅蓮の血闘〉世界に飛んでいた。
 近くで観戦といっても、カメラを通してのものではあるのだが、武藤のデスクには現地
観戦者名簿が置かれていたので、つまりこれも交流の一環なのだろうと解釈した。
 シンヤは周囲を見渡し、感嘆の溜め息を吐いた。

「にしても、錚々たる顔ぶれだな……」

 〈騒嵐の世界より〉、ブレイバーズ隊長・武藤黒、隊員・相馬シンヤ。
 〈足らざる世界〉より、勇者を知るという少年・えーいち朗。
 〈科学の都市〉大空研究所より、若き天才科学者・大空カイト、その幼馴染でもある生
物学者・木谷美アイ。
 〈紅蓮の血闘〉メタル・ガーディアンより、司令の真島烈、整備班副主任・篠原早希、
そして〈勇者〉鋼騎“聖炎凰”フェンサー(操縦者)・月守悠羽。
 〈願い人の対局場〉より、高校生・香月遥介。
 このあたりの面々は、めいめい観戦室の中で歓談中である。みんな自分の世界の平和は
大丈夫なのか。他人のことは言えないが。

「見ようによっては、クレイオン対スプリガンはそれだけのカードってことか」
『確かに、あのふたりがどのような戦いを繰り広げるのかには私も興味がある』

 どちらも並み居る〈勇者〉の中でも屈指の技量を持つふたりである。特に身体操作面で
学ぶべきものは多い。以前、クレイオンや、スプリガンの師でもある天農博士、月守悠羽
に受けた体術の指南をちらと思い出す。

409創発ブレサガ ◆46YdzwwxxU:2012/12/08(土) 11:25:30 ID:8X9dvlx20

「おぅ〜い! シンヤ〜!」

 不意の呼び声にシンヤが視線をずらすと、駆け寄って来る影があった。
 茶色のポニーテールが跳ねるのを視線が追う。
 篠原早希が、眼鏡の下で弾けるような笑顔を浮かべていた。

「“オペレーション・ザッパー”ではおおきにな!」

 日本人は国民性として恩を受けると会う度にしつこいほどに感謝の言葉を繰り返すとい
うが、この日の彼女もその例に漏れなかった。
 ――〈紅蓮の血闘〉世界における人類の敵“鏖魔”に対して米軍が行った、無謀極まる
作戦がある。
 オペレーション・カミカゼと名づけられたそれは、篠原早希の手掛けた鋼騎“ライトニ
ング・ストライク”を流用し、鏖魔の空中戦艦“黒刃”に失敗前提の単機特攻を掛けると
いうものだった。
 メタル・ガーディアンによって推測された、その作戦目的はふたつ。
 決闘を好むとされる鏖魔たちが、本拠地への鋼騎の一騎駆けにどのような反応を見せる
かを実験するというのがひとつ。
 米軍が開発した鋼騎の性能を“人類国家に”見せつけるデモンストレーションであると
いうのがもうひとつだ。
 この作戦については、そもそもは米軍からメタル・ガーディアンに事前の通達があった
ものであり、異世界の〈勇者〉たちには秘匿されるべき機密だった。
 何者の唇からそれの情報が漏洩したのか。もはや問うまい。
 いかなる理由から彼らが剣を執ったのか。もはや質すまい。

 ――ウチはあれが戦うところなんて、見たくない。一機くらい、戦闘とは無縁の世界で、
思いっきり空を飛ぶ機体があってもええと、そう、思ってたんやけどね

 既に手を離れたとはいえ我が夢を託した鋼騎を想う早希の涙に、わずかながら立ち上が
った者たちがいた。
 作戦名、“オペレーション・ザッパー”。
 ザッパー。風を切るもの。
 米軍のオペレーション・カミカゼに先んじる形で展開されたその作戦は、鋼騎ライトニ
ング・ストライクに代わって〈勇者〉からの志願者一名がそれを再現し、取得した情報を
一方的に送りつけるというものだった。
 ライトニング・ストライクとほぼ同速で飛翔し、敵本拠地に到達。反撃の暇を与えず制
圧を狙う。作戦の性格上、複数の〈勇者〉を投入することは出来ない。
 制約多きこの作戦を成功に導けるとすれば、それは名だたる〈勇者〉たちの中でも彼ら
しかいまい。

 ――“飛翔合体、ファルブレイク”――

 相馬シンヤを乗せる超大型バイク型装甲車から変形するブレイクと、そのサポートメカ
である戦闘機ファルコンウイングが飛翔合体した、この巨大なる戦士(ファイター)は、
〈勇者〉でも類を見ない飛翔加速能力を誇る。奇しくもその新必殺技ジェットスマッシュ
は、“嘴”の付いた盾を前面に押しての、急降下突撃でもあった。

410創発ブレサガ ◆46YdzwwxxU:2012/12/08(土) 11:27:06 ID:8X9dvlx20
 かくて発動したオペレーション・ザッパーの推移は以下のようになる。
 戦艦黒刃をジェットスマッシュにより強襲したファルブレイクは、距離一キロメートル
地点で一体の鏖魔からの迎撃を受けた。
 黒刃の搭載兵装ではない(黒刃には衝角以外の武装は存在していない)。艦載機にたと
えるべき鎧鏖鬼ですらなかった。

『真っ白なスーツの女だった。長い刀のような物を携えていたと思う』

 相馬シンヤはそう証言し、カメラの映像もそれを裏付けている。後に鏖魔七将がひとり
“斬華”という個体であることが明らかになる彼女は、その“刀”で一キロメートル先の
ファルブレイクに有り得ざる斬撃を加えたのだ!
 〈足らざる世界〉の勇者級ディムロードが、その発生の直前に“次元の歪みの力”のよ
うなエネルギーを感知し、警告を発していなければどうなっていたか分からない。
 ファルブレイクは予想を超える鏖魔の迎撃を紙一重で躱すことに成功したが、その影響
で理想軌道を外れたため、黒刃本体への直接攻撃も未遂に終わっている。より正確を期す
なら、ファルブレイクが攻撃を成功させてしまうと、かえってこの無謀な作戦の有効性を
強調してしまうため都合が悪く、敢えて軌道を修正しなかったのであるが。
 このオペレーション・ザッパーの成否と是非については、〈勇者〉関係者の間でも議論
が真っ二つに割れた。
 ライトニング・ストライクによるオペレーション・カミカゼは、“政治的な働き掛けの
ために”延期となっている。戦艦黒刃の迎撃手段及び鏖魔の戦闘能力の一部が判明したこ
とが大きい。その恐るべき能力が反対派に勢いを与え、“今のところは”米軍の急進を掣
肘してくれている(実は最大の要因は、〈勇者〉を知る大人たちによる裏取引にあったと
いうこともここに言い添えておく)。
 もちろん、凍結されたわけではまったくないのだが、篠原早希個人がライトニング・ス
トライクに託した理想については、それが砕けるまでに多少の猶予を得たと言える。
 ただし、いわゆる一騎駆けがあるていど有効であることが確認されたことと、ファルブ
レイクの性能がプライドを傷つけるかたちになってしまったことから、今後の米軍の方針
はかえって篠原早希の望まざるものとなっていく可能性が高まったことも否定できない。
 さらに、最大の問題が、〈勇者〉関係者の内部で発生した。
 そもそも、この作戦は、篠原早希に同情した一部の〈勇者〉たちが、あくまで“個人と
して”行ったものである。
 これがたとえば〈黄金精神〉世界の〈勇者〉であるアイバンホーンあたりが実行したこ
とならまだ諦めも付いた。既に人類の管理を離れたアイバンホーンには、社会的な立場も
責任も存在しないからだ。もちろん、知的生命体の仲間としてその介入を咎めるのも人類
の自由として、ではあるが。
 しかし、相馬シンヤとブレイクはそうはいかなかった。ブレイク及びファルコンウイン
グは麻生コンツェルンの私有財産であり、オペレーション・ザッパーはその濫用に当たる
と判断されたのだ。

(まあ、当然も当然だよな)

 勇者級の“兵器”が、まったくの個人的な正義で戦うことがどれだけ危険であるか。多
かれ少なかれすべての〈勇者〉たちが向き合っている問題ではあるが、麻生コンツェルン
の私設防衛組織ブレイバーズは、なまじ組織としての体裁が整っている以上、そういった
問題に関してはとりわけ厳格にならざる得ないのである。
 心情的に一定の理解を示す者がいたとしても、管理職としての責任を預かるメンバーに
してみれば、それはやはり言語道断の行為なのだった。
 詳細は割愛するが、相馬シンヤとブレイクに下された処分は重かった。いや、それでも
“罪状”の割りにはまったく軽いと言ってよい。〈勇者〉やその関係者たちの必死の訴え
があったとはいえ、今は以前と同様に戦線に復帰できている。

411創発ブレサガ ◆46YdzwwxxU:2012/12/08(土) 11:30:34 ID:8X9dvlx20
 もうひとつ、異世界人の他世界への介入はどこまで許されるのか、これもこの事件を契
機として議論の対象となった。
 ワンダラーズ・〈高速格闘フィールド〉の魔族・〈鋼の騎士道〉の暗黒騎士・〈紅蓮の
血闘〉の鏖魔・〈願い人の対局場〉のサイレン・〈黄金精神〉の怪物機械といった人知及
ばぬ敵対者の撃滅はともかく、人類の兇悪犯罪や紛争となるとこれに干渉することは極め
てデリケートな問題を孕むとされているにも関わらず、今もって明確な基準は打ち出され
ていない。“世界または社会に対して無用の混乱を招かないていど”という、思わず藤野
鉄生が『一体どうすりゃいいんだよ』と失笑を浮かべるような良心任せの了解があるだけ
だ。
 差し当たって、政治的な事情を鑑み、異世界の〈勇者〉たちと、メタル・ガーディアン
との協力関係は徹底的に隠蔽された。ファルブレイクは、〈紅蓮の血闘〉において正体不
明の伝説の鋼騎らしき何かということになっている。

(ま、難しいことは抜きにして)

 相馬シンヤは、篠原早希を窺う。

(篠原さんの笑顔を守れたってことだけは、俺は後悔しない)

 どれほど難しい立場に置かれようとも、その想いは絶対の真実として、若き〈勇者〉の
胸中にあった。
 他の連中にも挨拶をしておこうと、相馬シンヤは歩みを進める。

「どっちが強いんだろうな」
「うん。楽しみ!」

 〈願い人の対局場〉世界の香月遥介の真っ直ぐさは、シンヤからすると何とも高校生ら
しくて微笑ましい。〈足らざる世界〉のえーいち朗も、その隣で強さに憧れる“男の子”
の目をしていた。生まれた世界は違えど、まるで兄弟のようなふたりである。

「よう、大空はどっちが勝つと思う?」
「……そうだな」

 眠たげな目で配布資料をざっと見渡していた〈科学の都市〉の大空カイトは、腕組みを
しながら答えた。頭脳明晰なカイトの中では既に予測は終わっていたはずで、その行為は
手遊びのようなものだろう。

「単純なスペックの上ではスプリガンが有利なんだけど、今回はクレイオンが競り勝つの
じゃないかな」
「そう考えた根拠は?」

 問われた大空カイトは、どこかもったいぶった口調で言った。

「――“愛”だ」
「え? 何? カイト呼んだ?」
「“アイ”違いだよ!」

 木谷美アイではなく。
 高遠マドカへの、愛。それが勝利の鍵か!
 一見してあらゆる分野に精通するという科学者にあるまじき精神論的な発言に思えるが、
シンヤはカイトを笑わなかった。

「確かに、モチベーションって重要だもんな」

 その言葉には、実体験からの実感が籠っていた。最後の最後で切り札になったり、人間
を強くしたりするのは案外、そういうものなのだ。
 マドカを想うなら、クレイオンはこの戦いに何が何でも勝たねばならない。それは武芸
者として勝とうとするスプリガンとは決定的な差異だ。クレイオンが〈勇者〉であり、騎
士であるなら、尚更のことではないか?

412創発ブレサガ ◆46YdzwwxxU:2012/12/08(土) 11:34:43 ID:8X9dvlx20

「スプリガンはなぁ」

 付いてきていた篠原早希は違った見解を述べる。

「すばしっこい上に、もしスペックで勝てても何してくるかイマイチよう分からんとこあ
るやろ? クレイオンのままじゃ厳しいんやないかと思うわ」

 篠原早希はスプリガンを過小評価していない。合体機構を持たないだけに、漠然と決定
打に欠ける印象があるが、その中身は合体勇者にも劣らない怪物である。特に極超音速と
いう速さは、恐らく同系の〈勇者〉でも最速、航空機系のトップスピードに匹敵する。デ
ィムロードと二人掛かりではあったが、鏖魔七将級の鎧鏖鬼を撃退した実績もある。

「そういや、合体ってアリなんだっけ?」
『要綱を参照すれば、合体してもいいことになっている。……恐らくクレイオンはしない
と思うが』

 シンヤの疑問に答えたのは、大空カイトの相棒である〈勇者〉フライヤーの声だった。
その超AI“AH−1”は、スーパーコンピュータを凌ぐ演算能力だけでなく柔軟な思考
をも発揮する。

「騎士道精神ってやつか」
『そうではない。スプリガンに対して、巨大合体は必勝パターンにならない』

 相馬シンヤは、〈騒嵐の世界〉維新夜天党のテロリストが野に放った維新機士“無常改”
との激戦を回想する。
 半永久的に自動修復する怪ロボットの一二〇の軍勢“無常改”と、〈勇者〉たちとの総
力戦だった。
 相馬シンヤの乗るブレイクは、折悪く因縁浅からぬ超AI搭載型維新機士“暴雷牙”と
の戦いをしていたことから、そちらには参戦していない。知っているのは報告書に記述が
あった事実のみである。
 無常改の掃討に当たった〈勇者〉のうち、合体したのは、フライトナー、アークレイオ
ン、ボーディオン、アイバンホーン、ディムロードの五人だけだった。いずれも“単独で
の戦闘を想定していないサポートメカ”との巨大合体を採用した〈勇者〉。もしくは合体
後に強力な広域攻撃手段を持つ〈勇者〉である。
 一二〇機も投入された無常改だが、その一機の戦闘能力は“未合体の〈勇者〉にも倒せ
なくはない”ていどと、さほどでもなかったのである(もちろん即効再生能力は厄介では
あったが)。ほとんどの〈勇者〉たちは、少しでも数的不利を補うために合体を選ばなか
ったのだ。この時一般市民の避難誘導が必要であり、敵の一機も素通しにできなかったと
いう状況も大きい。
 ブレイバーズの会議でも話題になったが、隊長の武藤黒は「さすがに〈勇者〉たちは判
断が的確ですね」と評している。

413創発ブレサガ ◆46YdzwwxxU:2012/12/08(土) 11:35:53 ID:8X9dvlx20

「合体すればいいってもんじゃないか」
『そういうことだ』

 ファルブレイクへの合体についての研修中にも、そんな講義を聴いた記憶がある。

「でもさ、この戦いの場合でも、合体することで有利なことがあると思うぞ? まず、攻
撃範囲が広がる。アークレイオンが手首を返すだけで、剣の切っ先が描く弧の長さは相当
な物になる。これならスプリガンのスピードにも対抗できないか? ……まあ、懐に入ら
れたらとかいろいろ考えるけど」
『一理あるな』

 感心したような声は、香月遥介の持つ携帯端末から発せられたものだった。〈願い人の
対局場〉の〈勇者〉ディオン。

『さらに言えば、ウェイト差も要素としては大きい。たとえば懐に入られても体当たりで
圧倒できるかもしれない』

 そこから議論は白熱した。
 月守悠羽が「クレイオンさんは、生まれ変わる?前は、人間で騎士さまだったらしいで
す。体格が同じくらいの相手のほうが与し易いのかもしれません」「元人間? ってマジ
か? 初耳だ」と驚く香月遥介に、えーいち朗少年が「それも宇宙人なんだって」と補足
を入れる。「昆虫にアブっているじゃない? ハエの親玉みたいな見た目だけど、すっご
いスピードで襲って来て血ぃ吸ってくやつ。あれをヒトの身体能力でぶつのは難しいでし
ょ。カみたいにトロくないし、ヒットアンドアウェーするから。アークレイオンだとそん
な感じになると思う」と木谷美アイ。「剣の達人なら蝿や燕も斬れそうだけど」とカイト
は計算式を弄び「速度比的に考えると、かなり際どいか」――
 喧々諤々のうちにも、結論は出ない。
 確かなのは、これが誰も見たことのない壮絶な戦いになるであろうということだ。

414創発ブレサガ ◆46YdzwwxxU:2012/12/08(土) 11:38:05 ID:8X9dvlx20
以上。

話進まねえええええ!!
余計な脱線話が多すぎるんだよなぁ。
本編が進まないだけにクロスの欲求が溜まっているんだろうけど。
対戦組とかルールとかはまた次で。

あと、みんないろいろごめんなさい! マジごめんなさい! 特に紅氏にごめんなさい!

415勇者騎士 ◆NblATia1b6:2012/12/08(土) 22:56:48 ID:d1SOXkj60
>>406-414 まずは新たなSS投下お疲れ様。
何に対して謝ってるのかわかんないんだけど。

クレイオンがセイエンオーに続いてスプリガンと模擬戦という流れは、
果たして彼の、姫に対する忠誠心ゆえか。
それとも存外頭に血が上りやすいせいなのかw

まあ、鋼の身体に血は流れてない訳ですがwww

現時点でクレイオンがどの姿を選ぶかもわかんないので、自分からなんかを出すって事はしないけど、
もしなにか執筆段階で疑問に思った事や質問なんかがあれば聞いてね。

で、天農の話なんだけど。
虫云々ってのは、もし出歯亀でもするならどういう動きを見せるだろうかというのがあってね。
そもそもそういう行為はしないという場合も考えられる。
あのステルス性を生かして、知らない間に一緒に湯船に浸かっているとか(爆
覗きするなら、もしバレた場合、
開き直るのかスッとぼけるのか、とか。
伝統のスタイルを守るのか、とか(爆

416名無しさん@避難中:2012/12/09(日) 00:57:26 ID:EjSy0KcYO
アイが生物学者然としてることになんか笑った

417名無しさん@避難中:2012/12/09(日) 01:17:04 ID:6GhJuJUQO
>>415
覗くと思う。
スケベェ心もあるし、お約束的シチュエーション燃え(温泉イベントならふつう覗くだろ?的な発想をする)、
あと好きな子にちょっかいを出す感覚でやる。
>>88ではシャトルバスターを騙して高空からやろうとしたって書いたけど、何やってもおかしくはない。
ただ湯船まで入っていくかというと、そこまではしないんじゃないかとも思う。

バレたら「俺が女湯だ」とか「ぼく悪い覗きじゃないよ」とか何とか
よく分からないことを言ってからそそくさ去るイメージ……

418紅勇者 ◆c8S1V4qkFs:2012/12/09(日) 10:45:26 ID:gDK/LkLM0
投下乙です!
いやぁ、クロスっていいですねぇ。
多作品のキャラが集まるのは、会話だけでもワクワクものです。
こちらが感謝する事はあっても、謝られる事なんて何もないですよ。

思わずクレイオンの人気に嫉妬しそうですが、こうなったらいっその事、
クレイオンと他の勇者全員をぶつけてみたくなってきますね。
聖炎凰に続き、格闘系の機体とぶつかるのは二度目ですが、はてさてどうなるやら。

早希に対する救済は一応本編でも考えてはありますが、こういう形になるのはクロスならではですね。
それにしても、この一件でシンヤは早希ルートに入ったか?
あるいは、早希がシンヤルートに入ったか?
などと野暮な事を考えてしまったりw
作者としては、機会があればこのネタをもう少し膨らませてやりたい所ではありますが。

419紅勇者 ◆c8S1V4qkFs:2012/12/09(日) 11:00:26 ID:gDK/LkLM0
あ、温泉ネタについて書き忘れてました。

ウチで温泉ネタに絡めるとすれば、
・悠羽(お色気要員『弱』)
・雪那(お色気要員『強』)
・早希(洗濯板要員)
あたりですか。
ソフィアは烈以外の前では決して素肌を見せませんので、今回は戦力外。

男性陣でいうと、整備班の面々が覗きのために技術力を惜しみなく発揮するでしょう。
烈は「覗きなんてセコい事せずに、直接見ろよ」とか言って、
覗こうとする輩を女湯へ直接放り投げそうな。
悠羽が入っていない時に限りますが。
悠羽がいたら「俺の娘を覗こうとはいい度胸だな」的展開に。
でも、結局はみんなと離れた場所でソフィアと2人で入ってイチャイチャしたりするのかな。

420勇者騎士 ◆NblATia1b6:2012/12/09(日) 19:21:48 ID:Zpbpb74M0
休みに仕事なんてしたくないねえ……

>>417
「俺が女湯だ」に吹いた(爆

こうなってくるとクロスでやりたくなるけど、
そうなるとどうあっても今書いてるディバルガーは、何が何でも早めにアップしないとね。

勇者的に節目なので(何?

>>418-419
おそらくアークレイオンはグレートまで済んでいるので、材料が多いんだと思う。
でも逆にクレイオンの状態は、意外と材料が少ないんじゃないかな?

温泉ネタねえ。
キャラを増やすとおれも混乱しちゃうから、ある程度数は絞らないといけないと思う。

421創発ブレサガ ◆46YdzwwxxU:2012/12/10(月) 01:45:31 ID:tJDkU83sO
>>418>>419
そういってもらえると助かる。
鏖魔ってハッタリ利かせやすいからついダシに使っちゃうんだよね。

>直接見ろよ
烈司令、豪快なのはいいけど、それまとめてソフィアさんに説教されるオチしか見えないw


>>420
お題がお題だったからー。
俺個人は材料が多いからとかは考えてない(もちろんそれはそれで助かってるけど)
スプリガンって合体しないぶん、勇者クラスの大きさの敵に対してほとんどの技が意味なくなっちゃうんだよね。
本来想定されている戦闘をする機会がなかなかないから、同サイズと絡むならやっておきたいというのはある。

422天空勇者 ◆tTB5y6n.0k:2012/12/11(火) 08:04:32 ID:lJFfgxeY0
アイ愛AI 愛がいっぱい愛がいっぱいウフフ
カイトの口から愛なんて言葉が聞けるとは……何故か分からないが感動した!

そういえばデート編の終盤の感想ずっと忘れてたわけだ……。
デートパートでアホの子だったアイが普通にパイロットしてるギャップにワロタ。
と思わせつつ戦闘中なのに妄想始めるあたりやっぱりアホでした。

悠羽も女の子してる分には超がつくほど可愛いんだけど、やっぱり怖い!
戦闘になると恐ろしいわこの子。まあ、悠羽にぶち抜かれて死ねるなら本望ですが。
いや、やっぱどうせ死ぬなら整備班副主任に撲殺で。お願いします。

戦闘パートに関してはもうなんとも。ただただ圧倒されるのみですた。

423つヴぁい@封魔勇者:2012/12/11(火) 11:12:36 ID:wPL6VJxU0
一年数カ月程のご無沙汰となりましたが……ともあれお久しぶりです。

何と言いましょうか、拙作の方は一年以上にわたって凍りつきっぱなしで、
結局>>296でのご指摘通りも同然な状態なのが、また辛いものではあります。
先の自サイト開設に合わせて更新も再開……となればよかったんですけどもねぇ。
まぁそんな体たらくではありますが、何にもなしに顔を出すのもなんですので、
一応こんなものも晒してみたり。
ttp://blog-imgs-46.fc2.com/z/w/e/zweidaybreaker/BDSD_026.jpg
こちらも出来る限り早々に、サイトの方で紹介したいと思案中だったりします。


あぁそれから、>>407-414でもウチの面々出して頂きまして、大変恐縮です。
そうでなくとも本編があんな状態で、キャラを掴むとかそういうどころの話でないだけになおさら。
……しかし模擬戦だとはいえ、よく遥介がディオンと組んで出るのを許可したなぁ、奏太は。
指揮能力・戦闘能力ともいまひとつ心許ない感のあるこのコンビが、どこまで健闘ぶりを見せてくれるのか、
他の作品のキャラたちとの絡みも含め、非常に楽しみなものがありますね。

では、ひとまずこれにて失礼します。

424勇者騎士 ◆NblATia1b6:2012/12/11(火) 19:20:19 ID:nWxx2dOoo
うひゃー! やべえよ!!
メインPCが突然ネットにつながらなくなりましたっ!
執筆とかは出来るけど、このままだとアップできねー!!
最悪HPお引越しだね。

なんで昨夜までちゃんとつながってたのに、こうなっちゃうかなあ?

ま、ここにはサブPCで来れるけど(汗

>>422 天空氏 >>423 つヴぁい氏

お久しぶり〜!

模擬戦って、スプリガンVSクレイオンだけで、
後はギャラリーじゃなかったかな?

425紅勇者 ◆c8S1V4qkFs:2012/12/13(木) 23:35:29 ID:uzOe/KE60
>>421
鏖魔だろうとメタガの面々だろうと、お好きに使ってください。
ソフィアの説教&お仕置きは色々怖いです。

オペレーション・ザッパーの詳細を自分でアレコレ妄想してたら、ちょっと書きたくなってきました。
もしかしたら、このネタをお借りするかもしれませんが、よろしいですか?
形にするかどうかは全くの未定ですが。

>>422
感想ありがとうございます。
こちらこそ、キャラを使わせていただいてありがとうございました。
謎の早希人気に、作者としては少し驚きです。
それにしても撲殺希望とは、なんというドM願望……。

>>423
お久しぶりです。
作品の方はこちらも停滞しているのが現状ですし、気長にやっていきましょう。
締め切りがあるわけでもないですし、自分のペースで大丈夫ですよ。

426ブレサガ ◆46YdzwwxxU:2012/12/15(土) 22:44:46 ID:UVTCHKnUO
>つヴァい氏
この業界ではよくあること。

ごめんさすがにこの段階から戦闘までは無理w
今回はちょい台詞だけのちょい出番です。

立体すげえええ!?
忍者?かな?(額のツノがないとそう見える) 左右のブレードの色が違うのが物語を感じさせる。

>騎士氏
あらら。

>紅氏
それはありがたい。
もちろん。てかそれ言ったら人様のをやりたい放題使いまくってる俺の立場が……ない……

427勇者騎士 ◆NblATia1b6:2012/12/17(月) 20:16:40 ID:FOyfepwM0
やっと復活した(汗
長かったぜこの一週間は……

ま、おかげ様で書く方は捗りましたよ 皮肉な事に。

とりあえずディバルガーの方が、今前後編の前編書き上がり寸前の状態なので、
なんとか今週中に終わらせて、みんなへのクリスマスプレゼントにしたいところです。

んでもって後編は、今この勢い殺したくないので、出来れば新年一発目でアップしたいところ。

どっかで詰まらなければいける……はず(汗

てな訳で、ちょっと待っててね♪

428勇者騎士 ◆NblATia1b6:2012/12/24(月) 08:28:24 ID:ufzwwfv.0
メリィィィィィ……クリスマァースっ!
良い子のみんなに、サンタさんからプレゼントだよぉ!!

ttp://www.wind.sannet.ne.jp/kazmad7/divhome.htm

てな訳で、予告通り「天帝勇者ディバルガー」第四話、
クリスマスプレゼント代わりのアップロード完了であります!

ああ……間に合ってよかった……
何日か前には用意出来てたんだけど、FTPソフトが繋がらなくてねえ(汗

次の話はお年玉……と行きたかったんですが、
年末年始休みなしが決定してしまったので、約束できません。
でももう書き始めているので、出来るだけ早くに。

でわでわ
皆さん、良いクリスマスを♪

429名無しさん@避難中:2012/12/24(月) 18:13:57 ID:21KhUYVAO
「8歳と9歳と10歳のときと、12歳と13歳のときも僕はずっと! 待ってた!」
「な、なにを……!?」
「トンデモ重機勇者だろ!!」

クリスマスプレゼントとは粋なことをなさる。
新たな神アグナスは火属性かー。溶岩は最古の火種のひとつだろうからね。
でもなんか、アグネスは地属性も同時に持っちゃってそうな感じだw

騎士氏のは、かっこつけたような文章じゃないけど展開が熱くていいよね。
メカとか拳法とか、俺もハッタリ頼みじゃなくてちょっとは勉強しないとなぁ。

430紅勇者 ◆c8S1V4qkFs:2012/12/24(月) 23:21:47 ID:1eqh0qbM0
クリスマスプレゼント、確かに拝領いたしました。

ドリル! キャタピラ! パイルバンカー!

今回の感想は以上です……というのは半ば冗談で。
学生時代、北欧神話の勉強をしていた身としては、アイスランドが舞台なのは嬉しいですね。
ちなみに、鏖魔の技術に記号のような文字が多く使われてるのも、ルーン文字をモチーフにしてたり。

最初から最後までテンポよく読み進められるのは素晴らしいです。
自分のを読み返すと、こうはいきません……。
描写や間の取り方の問題なのでしょうけれど。
読む度に学ぶ事が多いと痛感しますよ。

そして、相変わらずのバイク愛。
前にも書きましたが、バイクはからっきしなのでイメージしにくい部分もあるのですが、
楽しんで書いているんだろうな、という事は伝わりますよ。
ぜひ、これからも愛を貫いてください。

さて、そろそろ自分も本腰を入れないと。
書いてる内に王騎さんチートになりすぎてる気がするけど、気になさらぬよう。

431勇者騎士 ◆NblATia1b6:2012/12/24(月) 23:44:30 ID:vWc9beTA0
どもども。
とりあえず、毎度お読みくださり感謝。

>>429 ブレサガ氏、だな?

アグナスは火属性地属性で分けている、と言うよりも、
火山の象徴だね。
ソールが雷、セルナーが月である様に。
まあ、それ言っちゃうとソールがボヤけるんだけどさ。
コラムの方で、アグニがモデルって書いたけど、
ヘパイストス(ウルカヌス)でもある。
創造神ってのはそういう事で。

いやー、カッコイイ文章書きたいよ。
まあでも、無理したところで長続きもしないだろうし……

バイクと格闘技は、まあ元々自分自身気が多くってさ。
知識としては中途半端だと思う。
書くにあたって、結構再確認しながらやってるよ。
広く浅く、ってところを、必要な時に掘り下げてる感じかなあ?

>>430 紅氏

最初はアイスランドってのも、完全に固まってなかったんだよね。
書き出してから、実は古代は無人島だったって事実を知って、
正直そのまま書き進めて良いのかどうかは迷った。
結局、超古代文明だったら何でも有りだよねと強引に進めちゃったけど(汗

ドリルとキャタピラは予定通りですが、
パイルバンカーは、書き出してから数秒考えて決定。
いつも通りの、行き当たりバッタリです(爆

バイクはねえ、油断してると本当に本編が長くなるから。
今回も、登場マシンに関するウンチクを書きはじめて、後から大幅に削った(爆
趣味に走るってのも、時には仇となるって事で。

感想どうもでした〜♪

432 ◆46YdzwwxxU:2012/12/25(火) 00:51:06 ID:Kwo0WP4.O
>>431
そうだけど……。
……感想にもトリつけたほうがいいのかな?

俺は微妙に頭の中で線を引いちゃうんだよね。豪炎と火山は全然別物だってさ。……だからどうだって言いたいわけじゃないよ?
ああ、そういやコラームは読んでなかったなぁ。鍛冶神入ってるとは思ったけど。
ウルカヌスは名前がかっくいいよね。厨二心が疼く。

興味ないのを調べるのは結構しんどいんだよなー。あー……あーもーっ!!

433勇者騎士 ◆NblATia1b6:2012/12/25(火) 06:08:23 ID:OXCBpl/E0
>>432 いや、ごめん余計な事を言った。
トリは気にしなくていいよ。

ギリシャ神話とローマ神話は神様が共通だけど、
ネーミング的には概ねローマ神話の方がカッコイイよね。

火の神様は、実は結構成立年代によって、
「火山」と「(普通の)火」で分かれている事があると思う。
古い神話は、だいたい「火神」=「火山」じゃないかなあ?
これはワザワザ調べてなくておぼろげなんだけど。

うーん。
どうしても必要なら調べるしかないんだけど、
興味が無い事柄は、自然と描写が薄くなるって事もあるからね。
わかんないから、それ以上書きようが無いっていう。
これはもう、出来るだけ趣味をベースに進めるのと、
構想段階で調べに掛かるしかないよね。
引き出しは多い方がいいと思う。

434 ◆46YdzwwxxU:2012/12/25(火) 19:29:37 ID:Kwo0WP4.O
こちらこそごめん。別に何かしらの意図があってというわけでもないんだ。
どうせすぐ分かるだろうというのはあるけども
中身もふつーの感想だしね。

まあ、ねえ。
意外と調べだしたら面白いとかあるかもしれないけど。

435勇者騎士 ◆NblATia1b6:2012/12/25(火) 20:21:05 ID:MydTmk3o0
>>434
うん、とりあえず感想もらえるのはありがたいので、気にしないで。

無理しても苦しいだけってのはあるけど、
逆に、アプローチを変えてみるって手はあるな。

例えば、武術に関して言うと、
色々と調べはするけれど、動きの参考にしてるのは格闘ゲームだったりするしね。
だから結構トンデモな動きをしてたりはするよ。
自分の身の回りからアプローチを探るってのは有効だと思う。

436 ◆46YdzwwxxU:2012/12/26(水) 19:37:35 ID:R.M1fvBsO
ふむ。
参考にします。

ふと思ったんだけど、ディバルガーって神話と相性よさそうな動物モチーフがいないんだね。
目新しい乗り物も「世が世ならこれも勇者に選ばれて変形合体してたかもなぁ」とか想像が膨らんでいいけどw

437勇者騎士 ◆NblATia1b6:2012/12/26(水) 21:07:57 ID:ijfiEYXk0
>>436
動物モチーフはねえ、前面に押し出すのはもうアークレイオンでやっちゃったので、
逆にメカメカしくやってます。

まあ強いて言うなら、モチーフじゃなくて技でやってるけど……って、
今んとこソールでしか実現して無いな。

438名無しさん@避難中:2012/12/26(水) 22:02:08 ID:R.M1fvBsO
今後ホークセイバーやガ・オーンの登場みたいな感じになるのかなとちょっと思ってたw

439勇者騎士 ◆NblATia1b6:2012/12/26(水) 22:48:29 ID:ijfiEYXk0
>>438 うーん、狙いとしては少しずれるなあ。
というか、ダ・ガーンのあのテコ入れ? の部分はですねえ、
個人的にはテコ入れとしてどうよ? と言うのがあって……
というか、なんでランドバイソンまでやってあげないのよと。

でもペガサスセイバーは嫌いじゃない。
ペガサスじゃなくてケンタウロスだろうというツッコミを入れてしまうがw

440名無しさん@避難中:2012/12/26(水) 23:12:51 ID:R.M1fvBsO
なーにかえって最終的には全員4体合体になる!と思ったら、ガ・オーンはあれで2体かw
サンダーバロンも追加なかったからね。

441勇者騎士 ◆NblATia1b6:2012/12/26(水) 23:27:48 ID:ijfiEYXk0
おれはガ・オーンの登場は、
もうダ・ガーンの胸にライオンを付けるためだけの物だと疑っている。

うちはそれにことごとく逆らってるなあ。
意地でもライオン以外の動物を胸に持ってきたり。
動物と相性が良い筈なのに、ワザと出さなかったりw

ディバルガーは、まあ大袈裟な基地があったりする訳でもないし、
こじんまりとやるつもりだよ。
というかアークレイオンが風呂敷広げすぎた。
あれは本来宇宙規模の話だ。
おれにはディバルガーの世界規模でも大きすぎる……

442名無しさん@避難中:2012/12/26(水) 23:31:26 ID:R.M1fvBsO
だけってw

443勇者騎士 ◆NblATia1b6:2012/12/26(水) 23:35:57 ID:ijfiEYXk0
うん。
もうオリ勇者関連に関しては、
ライオンは紅氏のところのコウガオーに任せますw

444名無しさん@避難中:2012/12/27(木) 13:13:24 ID:kVu5W5LMO
そういやライオンは、オリジナルには意外と少ない気がする。
作者のやりたいモチーフが他で固まってることが多いのかもね。

グレートメカニックのインタビューによれば、
勇者は兜(顔ではない)と放射状に広がりのある胸が一番大事って話だったな。

445勇者騎士 ◆NblATia1b6:2012/12/27(木) 21:20:22 ID:ybWAROOw0
昔本スレで「勇者にはどれにも胸にライオンが付いている」的な発言をして、
思いっきり突っ込まれた事があるなあ……

兜と胸が大事っていうのは、要するにシルエットで見分けが付くように気を使ってたんだろうね。
絵が不得手なおれには、同じ様な形しか思いつかないが。

446名無しさん@避難中:2012/12/27(木) 21:59:30 ID:kVu5W5LMO
腕や脚で特徴出そうとしたら正統派ヒーローのラインを越えて異形化するだろうしなぁ
そういう意味ではペガサスセイバーは冒険だったのかもね

447勇者騎士 ◆NblATia1b6:2012/12/27(木) 22:54:02 ID:ybWAROOw0
ペガサスセイバーというかスカイセイバーは、
テレビ本編で見てる限りは気付かなかったんだけど、
スケール感に多少強引さがあるねw
オモチャで気付いたんだけどさ。
ジャンボセイバーがジャンボじゃないという……
あれは少し悲しかった。

まあ、勇者でそれを言うのは野暮だが。

エールジャスターには、その時の悲しさが込められている。

448名無しさん@避難中:2012/12/28(金) 12:57:32 ID:pRKqTqqgO
ジャンボセイバーは心がジャンボだから

にしても人いないな……

449名無しさん@避難中:2012/12/28(金) 13:34:37 ID:GvOL48Xg0
どうやら撒き餌はスルーされてしまったらしい

年末年始休み無しが無しになったので、続き書いてるんだが……

先日しこたま買い込んだレトロゲームが、誘惑する。
その手を止めろ、手を動かすならパッドを握れと(汗

ちなみに買ったのは、

クレイジータクシー1&2
サンライズ英雄譚
プリンセスメーカーコレクション
バーチャストライカー2

いずれもドリームキャスト専用ソフト。
サンライズ英雄譚は超期待してる。
勇者関係はどうやらガオガイガーしか出てないみたいだが。

でも……対戦RPGって……???

450名無しさん@避難中:2012/12/28(金) 23:25:47 ID:hVmdmoV60
勇者騎士アークレイオンとかけまして
紅勇者セイエンオーとときます

451名無しさん@避難中:2012/12/29(土) 07:45:10 ID:vfrCnpow0
>>450 そのココロは?

452名無しさん@避難中:2012/12/29(土) 15:23:47 ID:kZdJuL6I0
どちらも
おうま(お馬・鏖魔)と戦います

453名無しさん@避難中:2012/12/29(土) 15:35:10 ID:vfrCnpow0
うまいっ!
ヤマダくん二枚差し上げて!!

あと、キレイなイタリア娘に乳を揉まれるか、
美しい月の女神の乳を揉むかどっ(グシャ

454名無しさん@避難中:2012/12/29(土) 18:31:31 ID:byXnU5a.O
おうまとw
うまい!

455名無しさん@避難中:2012/12/30(日) 06:37:19 ID:pFoNS4fw0
鏖魔さんごっこ

456名無しさん@避難中:2012/12/30(日) 13:10:41 ID:5PP4ZrPo0
子供A「すごいミサイルドーン!」
子供B「バーリア!」
ってことですね、わかります

457名無しさん@避難中:2012/12/31(月) 07:21:42 ID:arVkGrAg0
はっはっは(汗
一話辺り戦闘は三つまでが限界だねと思っていたのに……

前半だけで戦闘三つ行っちゃってるんですけど〜

死ねる

458勇者騎士 ◆NblATia1b6:2013/01/01(火) 00:15:32 ID:OAwFVWfM0
住人のみんな、あけましておめでとう!
今年もよろしくね

さて、ここでディバルガー最新話をアップ……と行きたいところだが、
今半ばまで達した辺り、かな?
お披露目は出来るだけ早くにと思っております

てな訳で、今後ともご贔屓に!!

良いお正月を♪

459 ◆46YdzwwxxU:2013/01/02(水) 16:39:45 ID:4ycApb8EO
あけましておめでとう。

……。
お年玉? ないよっ

460名無しさん@避難中:2013/01/02(水) 18:51:30 ID:cvcWxbQM0
>>459 ええええええええ〜っ!?

461勇者騎士 ◆NblATia1b6:2013/01/17(木) 09:54:36 ID:Jg34CQxs0
ぎゃー!(バチバチバチっ!!

生みの苦しみぃーっ!!

とうとうお年玉には間に合わなかったな……

とりあえずもうちょっと待ってくれ!
いや、書いてるから順調に(滝汗
毎日帰宅したら、テキストエディターは開いてるからっ!

誰に言い訳している おれっ!?

462名無しさん@避難中:2013/01/20(日) 13:19:13 ID:hVYKcnagO
俺なんか一文字たりとも書いてないぜ!
妄想中だ。

463勇者騎士 ◆NblATia1b6:2013/01/22(火) 17:15:01 ID:2DPlonnA0
いやいや 色々あるとなかなか筆も進まないよねと
今書いてる奴はさっさと済ませて、楽になりたいところだけど……

バレンタインネタは無理だろうけど、温泉ネタはまだいける……はず(汗

464ブレサガ ◆46YdzwwxxU:2013/02/02(土) 21:50:30 ID:OdY0GPOkO
>紅氏
進行具合とは全然関係ないんだけどさ、
王騎の鏖技の効果について詳しく説明してくれない?

時間が止まってる時に、王騎が勇者Aを殴ったとしたらどうなる? 全て止まっている時間の中でAがその姿勢のまま吹き飛び(ダメージを受け?)、その後も鏖技終了まで止まり続ける感じ?

いや、これについては別にご都合主義でも全然構わないけど。
他のアニメキャラ等の能力で近いものを教えてくれてもいいよ。

465紅勇者 ◆c8S1V4qkFs:2013/02/03(日) 16:43:07 ID:lED1Omfw0
そうですねえ。
ブレサガ氏がジョジョに興味があるか分かりませんが、
ぶっちゃけると、DIOのザ・ワールド、ほぼそのままです。
といっても、これだけではあまりにも説明が足りないので、
考えてる範囲で説明していきます。

まず、時間停止の制限時間は5秒。
効果の範囲は世界(宇宙?)全体。
ここは特に説明の必要はないですね。
発動中、どこかの地域だけは時間が流れてる、という事はありません。
最高にハイになっても9秒間の時間停止はできません。

次に、>>464にある、時間停止中の物理的干渉についてですが、
これも、(ご存知であれば)ザ・ワールドを思い浮かべてもらうと早いです。

(以下、ジョジョの内容を知っている前提で話を進めます。知らないのであれば申し訳ないです)

時間停止中に腹をぶち抜かれた花京院は、時間の流れが戻ってから吹き飛びました。
同じように、殴られてバラバラになった猫や、投げられたナイフは空中で静止し、
時間停止終了後に通常の物理法則に従って動き出しています。

この現象に作中で明確な説明はされていませんが、
「時間停止中に干渉を受けるのは、能力者が触れている間に限り、
その手を離れた後は一瞬で時間停止状態に戻る」
という事だと自分の中では解釈しています。

この解釈に基づくなら、例えば時間停止中に顔を殴られた勇者は、
わずかにのけ反るだけで止まり、時間停止終了後に吹っ飛ぶ、
といった事になりますね。
いつか書いた王騎登場編のSSで、時間停止中に放った鏖神剣の衝撃波が、
ダークラウンに接触した瞬間に止まったのも、この現象です。

とまあ、こんな感じですが、他に聞きたい事があれば何でもどうぞ。

466紅勇者 ◆c8S1V4qkFs:2013/02/03(日) 16:57:14 ID:lED1Omfw0
あ、ちょうどよい機会、というワケでもないですが、こちらからも一つ質問を。

オペレーション・ザッパーを実行したシンヤが怒られた、っていう部分ですが、
怒る側は、それぞれの世界の政府、って認識でいいんですか?
勇者連中(そろそろチーム名を決めたいですね)を監視する組織があるという事もないでしょうし。

あと、いざ書くとなると、色々と改変するかもしれませんが、なにとぞご容赦を。

467名無しさん@避難中:2013/02/03(日) 18:05:56 ID:QbdOdteYO
だいたい分かりました。ありがとう!

>ザッパー
「米軍(紅蓮)のファルブレイクに対する認識は、謎の鋼騎らしき何かどまり」というようなことを書いたかと思います。
あの米国ですら異世界の(勇者の)事情はよく分かってない扱いです。
もともと同じ世界の勇者ですら(公的機関所属でない場合は)、正体を秘密にしているか、ヒーローとして黙認されているかのはずで、
(私としては)基本的に政府からの批判を想定して書いたものではないです。

シンヤがコンツェルン会長の麻生や武藤たち上司から
「個人的な感情で、しかもややこしい政治的判断無視してファルブレイク使ってんじゃねーよ」
と怒られた、という形になるかと。
(同時に「よくやった!」「いい話だ」「大丈夫かよ」「これアカンやろ」と勇者関係者の間で議論になったという流れです)

……ただ、ブレイバーズは身元割れているっぽいので、日本政府(騒嵐)から
「異世界に介入したのお前んとこのロボだろ!」などと突き上げを食らったかもわかりませんが、
そもそも世界が連結したという事実じたい、どこまで知られているものか。

468紅勇者 ◆c8S1V4qkFs:2013/02/03(日) 20:17:59 ID:lED1Omfw0
了解です。
ザッパーのアレコレ、そろそろ書き始められるやもしれませんので、
そこらを確認しておきたくて。
色々設定をいじる事になると思うので、名前を借りた別物になってしまう気もしますが。

時期的にバレンタインネタが用意できれば良かったのですが、残念ながら手元には何もありません。
悠羽がカイトにチョコをあげたのがきっかけで、アイと再戦するとか。
悠羽のチョコを賭けて色々な面々がバトるとか。
たまにはソフィアをデレさせてみたりとか。
一応、ぼんやり考えてはいたのですが。

次の季節ネタはホワイトデーかお花見あたり……その前に書くものを書いてしまわねば。

469名無しさん@避難中:2013/02/04(月) 19:51:10 ID:5XhP2KE.0
>紅氏
楽しみにしながらのんびり待つYO!


まとめwikiに手を着けているんだけど、
暇な人がいたら手伝ってくれないだろうか。

手伝って欲しいのはブレサガの番外編のまとめ。


■手順

1.トップページ上のバーの「新規」をクリック
2.「新規ページ作成:」の横の窓に「創発ブレサガ番外編●●●(下の一覧の……の右をコピペ)」を入力し、「編集」をクリック
3.本文をコピペ ※
4.「ページの更新」をクリック
5.ページができれば、リンクやらあとのことは私が適当に調整します


・SSは以下の一覧から。本スレpart4、避難所part2もいずれ。
・改行箇所全てに「~」をつけてくださるとうれしいです。コピペした場合、改行箇所に半角スペースが入るので潰す必要があるかも。
(これがメチャ大変でアホみたいに時間が掛かるので無理強いはしませんが、1作品単位でもぜひお願いします)
・ダブると悲惨なので、どれをやるって宣言してからがいいでしょう。

■SS一覧

本スレpart3
【ワンダラーズ暗躍】
622 : 勇者騎士 ◆3IMDNveFzqHe [sage] : 投稿日:2010/03/15 22:18:14ID:GUCx70Is……創発ブレサガ番外編001
669 : 紅勇者 ◆c8S1V4qkFs [sage] : 投稿日:2010/03/18 22:02:46ID:X/g4kyua……創発ブレサガ番外編002

避難所part1
【ワンダラーズ暗躍】
179 :天空勇者 ◆tTB5y6n.0k:2010/03/24(水) 23:21:50 ID:gFQEzxw2O……創発ブレサガ番外編003
274 :勇者飛翔:2010/04/11(日) 11:59:58 ID:S6QijUdEO……創発ブレサガ番外編004
280 :名無しさん@避難中:2010/04/11(日) 19:02:40 ID:Xp8JLnu20……創発ブレサガ番外編005

【シンヤ修行篇】
687 :名無しさん@避難中:2010/08/06(金) 02:32:07 ID:62wcAGpgO……創発ブレサガ番外編006
689 :紅勇者 ◆c8S1V4qkFs:2010/08/07(土) 20:13:56 ID:GRt3ppQ60……創発ブレサガ番外編007
690 : ◆o5c90zzMho:2010/08/08(日) 01:35:01 ID:Zb/Je0gg0……創発ブレサガ番外編008
697 :勇者騎士 ◆NblATia1b6:2010/08/12(木) 11:42:19 ID:et7LO40o0……創発ブレサガ番外編009
704 :紅勇者 ◆c8S1V4qkFs:2010/08/14(土) 03:49:52 ID:c9zkPWzs0……創発ブレサガ番外編010

【姫とのひと時】
838 :勇者騎士 ◆NblATia1b6:2010/11/03(水) 09:31:53 ID:RDnuGkqg0……創発ブレサガ番外編011
843 :紅勇者 ◆c8S1V4qkFs:2010/11/07(日) 22:14:31 ID:OIRifU9A0……創発ブレサガ番外編012


それでは、お忙しいところ恐縮ですがよろしくお願いします!

470勇者騎士 ◆NblATia1b6:2013/02/05(火) 06:51:55 ID:0q7FETu.0
>>469 お疲れさまでーす!

えー、wiki更新の件。
とりあえずおれ自身が手掛けた物は、すべてテキストデータが保存されていますので、
少しは楽だと思いますから、執筆者責任も込みでお引き受けしましょうか?
順番なんかは別に問われないのかな?

執筆優先でやってるので、すぐに掛かれますとは言えませんが。

471名無しさん@避難中:2013/02/05(火) 16:23:37 ID:jHB1PoJEO
ありがとうございます。半角潰しがないだけでも全然違うから助かります。
ページ作成の順番はどれからでも大丈夫。作成できればあとはリンク貼るだけなのでw

472勇者騎士 ◆NblATia1b6:2013/02/05(火) 18:47:03 ID:8/eW9Nac0
>>471 了解です。
とりあえず、合間見て見直しと手直ししてから、>>469のナンバリングを振ってアップするとします。

009と011はサブタイトルが本文の頭についてたんだけど、
001は「小ネタ」ってあったんだけど、これ適当(?)なサブタイトル付けようか?

473名無しさん@避難中:2013/02/05(火) 19:00:38 ID:lDK4J3320
サブタイトルは作者の判断におまかせします。

今更だけど、シンヤ修行話の導入は1話カウントでいいのかなこれ。
ブレサガのトップに説明文としてつけるとか、そういうこともできなくはないけど。

474勇者騎士 ◆NblATia1b6:2013/02/05(火) 19:39:50 ID:8/eW9Nac0
>>473 どんなだったかと思ったので確認した。
書き方としてはSSって感じでも無いんだよね。
あと、続く紅氏のレスも、内容としては解説だよね。
さてどう扱おうか?

475名無しさん@避難中:2013/02/06(水) 01:12:30 ID:s989fVD20
687は1話カウントがいいかなぁ・・・やっぱ。

プロローグ的な扱いで。

あそこからゲームブックじゃないけど選択肢分岐するようなリンクの貼り方にしてもいいかなぁと思ってたけど、

時系列がはっきりしているからなぁ。
選択肢の意味なくなっちゃってるw



そして689は外したほうがいい気がしてきた。
後に立派なSSがあるし。

ということで、紅氏のSSは二分割して、

>>687……番外編006
>>690(天農@俺)……番外編007
>>704->>707(夫妻@紅氏)……番外編008
>>697->>698(クレイオン@騎士氏)……番外編009
>>709->>713(悠羽@紅氏)……番外編010

これで完全に時系列順になるし、どうだろう。

476勇者騎士 ◆NblATia1b6:2013/02/06(水) 07:57:23 ID:ngPRcfKI0
>>475 おれの分に関しては大丈夫ですよ
ナンバリングにも変化無いので。

仕事期間に入っちゃったのでもうちょっと待ってね〜

477名無しさん@避難中:2013/02/06(水) 20:13:41 ID:s989fVD20
006完了。短いけどw
新007(旧008)を、ちょっと、いや、かなり手直し中。書き殴ったからなぁ。


■SS一覧

本スレpart3
【ワンダラーズ暗躍】
◎622 : 勇者騎士 ◆3IMDNveFzqHe [sage] : 投稿日:2010/03/15 22:18:14ID:GUCx70Is……創発ブレサガ番外編001
○669 : 紅勇者 ◆c8S1V4qkFs [sage] : 投稿日:2010/03/18 22:02:46ID:X/g4kyua……創発ブレサガ番外編002

避難所part1
【ワンダラーズ暗躍】
○179 :天空勇者 ◆tTB5y6n.0k:2010/03/24(水) 23:21:50 ID:gFQEzxw2O……創発ブレサガ番外編003
○274 :勇者飛翔:2010/04/11(日) 11:59:58 ID:S6QijUdEO……創発ブレサガ番外編004
○280 :名無しさん@避難中:2010/04/11(日) 19:02:40 ID:Xp8JLnu20……創発ブレサガ番外編005

【シンヤ修行】
●687 :名無しさん@避難中:2010/08/06(金) 02:32:07 ID:62wcAGpgO……創発ブレサガ番外編006
◎690 : ◆o5c90zzMho:2010/08/08(日) 01:35:01 ID:Zb/Je0gg0……創発ブレサガ番外編007
○704 :紅勇者 ◆c8S1V4qkFs:2010/08/14(土) 03:49:52 ID:c9zkPWzs0……創発ブレサガ番外編008
◎697 :勇者騎士 ◆NblATia1b6:2010/08/12(木) 11:42:19 ID:et7LO40o0……創発ブレサガ番外編009
○709 :紅勇者 ◆c8S1V4qkFs:2010/08/16(月) 00:43:45 ID:tcSDBo8w0……創発ブレサガ番外編010

【姫たちにちょっかい】
◎838 :勇者騎士 ◆NblATia1b6:2010/11/03(水) 09:31:53 ID:RDnuGkqg0……創発ブレサガ番外編011
○843 :紅勇者 ◆c8S1V4qkFs:2010/11/07(日) 22:14:31 ID:OIRifU9A0……創発ブレサガ番外編012

●完了、◎宣言あり、○未

478名無しさん@避難中:2013/02/07(木) 18:26:30 ID:aAWbQmyY0
008、010完了
もし手直ししたい場合は作者様が

479名無しさん@避難中:2013/02/08(金) 22:43:16 ID:gcYJzTloO
>飛翔氏
質問。
ビーストブラザーズの装甲って柄物ですか?
特に模様とかはない?

480名無しさん@避難中:2013/02/10(日) 20:53:57 ID:pUR4Itqo0
○669 : 紅勇者 ◆c8S1V4qkFs [sage] : 投稿日:2010/03/18 22:02:46ID:X/g4kyua……創発ブレサガ番外編002

連投になるけど、ちょっと相談。
これって王騎じゃなくて凶姫のSSなんだよね。
俺は凶姫のほうは紅氏が没にしたと解釈してたんだけど、どうしよう?
誰かが凶姫使って今後SSを書くって確定しているなら何の問題もなくまとめるけど。
俺個人としては未定だし。

481紅勇者 ◆c8S1V4qkFs:2013/02/12(火) 22:47:21 ID:y9S9BZlE0
あら、気付けば色々していただいてるみたいで感謝です。
自分で書いたものは自分でアップするのが筋だというのに。
お手数をおかけしました。

>>480
凶姫に関しては、自分は没にしたつもりですが、何らかの形で使いたい、
というのであれば使っていただいて構いませんよ。
質問があれば、考えてる限りの設定なども答えられますし。
誰も使わないというのであれば、まとめなくても大丈夫ではないでしょうか。

482 ◆46YdzwwxxU:2013/02/18(月) 07:00:50 ID:cLP1UUTgO
ごめんなさい。ちょっといろいろタンマ。

じゃあ、002は保留にしときますか。

483名無しさん@避難中:2013/03/06(水) 17:48:33 ID:PCQAZn1gO
飛翔氏大丈夫かな?
そういや最近見てないような……

484名無しさん@避難中:2013/03/07(木) 09:22:48 ID:mq4kU8p60
昨年の10月に顔出したのが最後みたいね>飛翔氏

後は天空氏もつヴぁい氏も今年に入ってから音沙汰なしだし
このお三方が今どうされてるのかは正直気になるところ

485 ヘ ノ: ヘ ノ
ヘ ノ

486名無しさん@避難中:2013/03/21(木) 18:55:43 ID:AlW.Lm66O
ファルブレイク編じわじわ進めてはいるが、音信不通なのはしんどいなw

487 ◆46YdzwwxxU:2013/05/11(土) 15:03:38 ID:03CvpMQU0
投下します。
本編は飛翔氏と連絡がつくまでのんびり。

>>408-413 の続き

488 ◆46YdzwwxxU:2013/05/11(土) 15:04:28 ID:03CvpMQU0




 −7−


 さて、決闘である。
 二〇メートル級の勇者同士の戦闘を想定した広大なバトルフィールド。そこは赤褐色の岩肌を剥き出しにした
荒野の様相を呈していた。地形としては峡谷をベースとしたもので、東西を高さ三〇メートル級の断崖で、南北
を可視光線を加えたビームセンサで囲う、二〇〇メートル×二〇〇メートルていどの四角形の領域である。この
ビームを割ることで、敗北条件にある“場外”判定が出ることになっている。
 バトルフィールドから南北にやや離れたところに、今回の当事者たちの観戦席がそれぞれ設けられていた。
 折り畳み式の椅子が人数分と飲み物の用意されたテーブル、日除けのためのパイプテント。戦闘映像が投影さ
れるモニタと、会話が共有される通信設備が、固定された台の上に並んでいる。
 別にみんなといっしょに見ればええやんという声もあったのだが、天農が「実は俺って戦場のそばをうろちょ
ろするのが趣味なのよね」などとほざき、マドカも「できればクレイオンのそばで応援したい」と言い出したた
め、アスミに志穂と高遠博士を巻きこんでこのような形になったのだった。

「おっぱじめる前にルールの確認だ。て……相手を場外か行動不能にしたら勝ちな。もちろん、降参も認められ
る。……どうでもいいが、おっぱじめるってなんかエロいな。へへ」
『……』
『……ひそひそ……』

 止せばいいのに、ほんとうにどうでもいいひと言で天農がまた株を下げていた。
 ちなみに、途中で言い淀んだのは、クレイオンを思わず“敵”と呼びそうになって言い直したらしい。

「判定勝ちはない。これは人間同士の立ち合いではない。極端な話、たとえば頭部を破壊されたとしても、戦闘
可能であればそれだけで失格とはならない」
『今ごろになって言うのもなんなんやけど、泥沼化せえへん?』

 篠原早希は天農に対しても物怖じしない。
 同僚たちである重機動変態集団のせいで変な人には慣れっこというのもある。

「肌と甲冑の区別もよく分からんし、実戦でどっかを斬り飛ばされたからって失血死することもないのに、細か
すぎるのも面倒臭いしアホらしい」
『どちらも達人だ。“チェックメイト”された状態になれば降参するだろう』

 ディオンの言葉は、この決闘の核心を突いていた。
 実際に頭部を破壊可能な状況にされた場合、寸止めでもまず負けを認めざる得ないだろう。的確な評価能力と
判断能力を持つふたりだから成り立つルールではある。

「サポートメカとは合体・分離してもよいが、サポートメカ単体のいかなる戦闘参加も認めない。この戦闘参加
とは攻撃に限らない。防御や攪乱もだ。ただし、合体・分離そのものが防御や攪乱になる場合は不問とする」

489 ◆46YdzwwxxU:2013/05/11(土) 15:05:30 ID:03CvpMQU0
『つまり、あくまでこれはクレイオンとスプリガンの能力を駆使しての戦いであって、合体はその能力として認
めるけれど、三対一になるようなことは許さないということですわね』

 白川志穂の説明で、いまいちよく分かっていなかった面々にも理解が及ぶ。
 クレイオンに限ってアークユニコーンとアークペガサスをけしかけて戦わせるなんてことはしないだろうが、
条件が公平であることを明文化して示しておくことは無意味ではない。

「騎士殿が勝ったら、俺は金輪際お姫様に対して猥褻な言動を慎むことを約束しよう。……あと、ちょっと恥ず
かしいけど俺のゴーグルの下の素顔、見てもいいよ?」
『え? ほんとに?』
『うーん……見たいような、見たくないような……』
『謹んで遠慮させていただきます』

 無邪気な期待、何とも言えず苦笑い、笑顔できっぱり拒絶、三人娘の反応は見事にばらばらだった。
 確かに天農は普段から頑ななまでに目元を隠してはいる。しかしだからといって、それが上等な取引材料にな
るわけがないのだった。

『スプリガンが勝った場合は、特に何もなし。これまでと変わりない。よろしいのですね、天農博士』
「うむ」

 通信機越しの武藤黒の確認に天農は鷹揚に頷いてみせた。
 これはスプリガン&天農陣営にメリットがないように見えるが、そもそも悪さをしてきた弱みがあるのはこち
らのほうであり、ここで何かしらの要求をしてはかえって公平でないと、最低の屑野郎なりに良識を働かせた結
果である。

(……騎士殿を本気にさせるためだけにケシカラン条件を出してもよかったんだが、あんまりそのへんを突かれ
るのも具合が悪いからな)

 このご時世セクハラ発言だけでも大事であるが、天農の罪状は実はこれだけでもない。研究室のドアがノック
されるたびに、「ついに来たか」と逃亡する心の準備をしているくらいである。

『――天候の空間的・時間的・量的分布、インプット完了』
「教えてやっただろ? そういうのは“肌で感じろ”」

 実際に戦う立場のくせして勝っても得るものが何もないスプリガンだけは、完全にダメ師匠のとばっちりを受
けた形になるが、彼はクレイオンとの“真剣勝負”そのものに価値を見出している節があった。

「しつこいようだが、対人戦は対魔族戦とはまったく違う。俺とのシミュレーション以外はあまり経験もないだ
ろうが、騎士殿が俺ほどお上品だと思うなよ」
『了解』

490 ◆46YdzwwxxU:2013/05/11(土) 15:07:22 ID:03CvpMQU0
「だいたい今でこそ気取っていやがるが、歴史上における騎士なんて奴らは、どいつもこいつもとんだヒャッハ
ー野郎なんだからな」
『理解不能。ヒャッハー野郎とは何か』
「そんなことも知らんのか! 保健所の職員みたいなもんだよ!」

 余計に意味不明になったが、スプリガンは口を噤んだ。ヒャッハーなる謎のスラングについては、後で検索を
掛けることにしよう。
 時間である。



 −8−


「気を付けてね、クレイオン!」
「御意」

 敬愛する姫の言葉に、銀色のスーパーカーがライトを明滅させる。
 高遠マドカ、松前アスミ、白川志穂の三人娘が揃ったこちらのテントは、もう一方と違ってずいぶんと華やか
だった。さしずめ、荒漠の大地に咲く可憐な花といった風情である。

「ご武運をお祈りしますわ」
「悪いことしてないスプリガンはちょっと可哀想な気もするけどね。ま、お互いにあんまりひどい怪我をしない
程度にやっちゃってよ」

 この件に関しては、高遠マドカとクレイオンだけの問題ではない。
 松前アスミも白川志穂もれっきとした天農のセクハラの被害者であり、彼女たちに忠誠を誓う大空と大地の騎
士団もさすがにブチキレる寸前までいったらしい。
 一時期のナイトベースには、「あのような変態はパラシュートなしでスカイダイビングをさせて差し上げまし
ょう」だの「もう埋めちまおう」だの、天農に対して暗黒騎士も裸足で逃げ出すレベルの黒い思念が渦巻いてい
たという。

『クレイオン、姫様たちが心安らかでいられるよう、くれぐれも頼みます』
『負けておめおめ帰ってきやがったら承知しねぇぜっ!』
「ああ!」

 そのエールジェットとグランキャリーが、ブレイブナイツを代表してクレイオンに心強い激励を寄越す。どこ
か爽やかな雰囲気がいかにも騎士団らしい。モニタの向こうで遮光器の男が「ケッ、充実した青春時代を送って
いる奴らみたいなやり取りしやがって!」などと僻んでいた。 

「では、そろそろ」
「おう、頑張って来いよ」

 クレイオンが微速にて前進し、対戦相手の待つ戦場に向かう。
 最後に声を掛けた言いだしっぺの高遠光次郎博士は、ムカツクほど得意気な顔で腕組みし、白衣の裾を風に靡
かせていた。

491 ◆46YdzwwxxU:2013/05/11(土) 15:08:25 ID:03CvpMQU0
以上。
ルール回。
次回やっと戦闘だよ……長かった……

492紅勇者 ◆c8S1V4qkFs:2013/05/12(日) 22:30:15 ID:lFQkPA0w0
投下乙です!

周囲のトラブルに巻き込まれて二度目の模擬戦に挑むクレイオンは、
勇者チームの苦労人ですね。
いっそ、「クレイオン対○○シリーズ」で総当たりにしてしまえば・・・。

直接の相手である悠羽とスプリガンに非は無いとはいえ、格闘タイプとの連戦で、
しかも原因が原因だけに、クレイオンの中で格闘家に対する偏見が生まれないか心配ですw

次はいよいよ戦闘開始ですね。
楽しみにしてますよ!
・・・って、待つばかりじゃなくて自分も動かないと

493つヴぁい@封魔勇者:2013/06/18(火) 21:21:12 ID:7ss4yNQ.0
生存報告の意味合いも込めて、久方ぶりに落書きでも晒してみたり。


http://blog-imgs-62.fc2.com/z/w/e/zweidaybreaker/072_prieston.jpg


肝心要の文章の方はかれこれもう2年近くの凍結状態ですけど、
恐らくこのまま進展なしに3年目迎えそうな、そんな気配が濃厚だったりします……
まぁあまりのご無沙汰故にとうに忘れ去られちゃってるような身かと思われますし、
今後もごくごく少しずつ、気の赴くままにやってこうかと思う次第です。

494名無しさん@避難中:2013/06/25(火) 23:06:13 ID:gvSsPY560
>>493
このスレの進行はゆっくりですし、急がなくてもいいのではないでしょうか
勿論早く読めればそれに越したことはないのですが

イラストはジェット機型勇者のプリーストンさんですね
黒と青のボディが素敵です

話は変わって
このスレの皆で考えた、各世界の名称は
作中ではダークラウンさんの口から出ているわけですが
それとは別に裏名称のようなものがあるのではないかと、ふと思いました

つまり、世界をつなげて遊園地にしたというのであれば
それぞれの世界を遊園地の施設に当てはめたような
呼び名もあるんじゃないかなということです

話の始まりの<足らざる世界>は入場ゲート
馬型のサポートメカがいる<鋼の騎士道>はメリーゴーラウンドみたいな感じで

495 ◆46YdzwwxxU:2013/06/27(木) 14:45:43 ID:JP37hBys0
>>493
ちょっとディエンドみたいなカラー!
魔法使いっぽいと思ったのは頭部の形か。

>>494
そのへんはあんまり煮詰めてなかったりするけど
発想はいい!発想はいいよ!



そして投下
>>488->>490の続きってわけよ

496名無しさん@避難中:2013/06/27(木) 14:50:26 ID:JP37hBys0




 −9−


 向かい合って沈黙する二台のスーパーカー。
 ひとつは銀で、ひとつは青。無味乾燥の荒地の中にあって、ふたつだけで輝きを放つ。どこか尊いものである
かのように。
 戦鐘が打ち鳴らされるまで三分弱――
 一陣の風が砂塵をまいて吹き抜けた後、二台のスーパーカーの姿はそこになかった。
 代わりに。
 四輪を鋼の四肢に変えて立つ、“巨人”がふたり。

 ひとりは白銀の騎士。
 〈鋼の騎士道〉世界より、高遠マドカの守護騎士クレイオン。かつて地球ならざる青の惑星の王国において名
を馳せた偉大な騎士。鋼の体を得て、地球人として生まれ変わった亡国の姫君に再びの忠誠を誓う。

 ひとりは青の拳法家。
 〈高速格闘フィールド〉世界最強の対魔族兵器、スプリガン。嘘か真か元々は兵器ではないというエーテル圧
駆動人型機械仕掛け。あまたの強敵難敵たちとの戦いに勝ち抜き、人類最大の戦闘家たるを目指す。

 ともに超高性能乗用車への変形機構を持ち、五メートル級の身長と相応の体重を持ち、“人”としても最強ク
ラスの近接戦闘技術を持ち、また正義の味方に名を連ねる。
 そのふたりが今、敵として相対している――

『発端こそ思いがけぬものだったが、私にとってこれは願ってもない展開だ。異界の流儀、学ばせてもらう』
「私怨はないが姫のためだ、本気で行く……!」

 短く言葉を交わし、ふたりの超戦士が、戦闘態勢を確立。
 緊張が伝播し、観戦者たちの会話が少しずつ減っていく。
 そして、時は来た。

『では、これより、クレイオンとスプリガンの模擬戦を始めます』

 開始の号令は、ブレイバーズの武藤黒隊長。
 異種格闘戦であるためか、立礼は省略された。敵に対する敬意は、戦意の中に見るしかない。
 武藤が腕時計を見ながら腕を挙げ、

『――始めっ!』

 宣告と共に振り下ろす。

497名無しさん@避難中:2013/06/27(木) 14:51:42 ID:JP37hBys0
 〇.一〇秒後。放たれた矢のようにクレイオンが瞬発。ミリ秒を削るスプリンターのスタートだった。
 スプリガンが確率は低いと見ていた、クレイオンからの先制攻撃。
 それも――
 その剣の構えは――

『アークフィニッシュ!?』

 えーいち朗にも分かった。
 クレイオンと二体の騎馬型サポートメカが騎甲合体した〈勇者〉、アークレイオンの最大必殺技と同じ、神速
の突進剣技。

『いきなり必殺技か!』
「初手から大技ぶっぱなすとか、負けるやつのやりそうなことだ!」

 天農が牙を剥く。口にしていることこそ冗談めいていたが、笑っているのではなかった。“裏を掻かれた”と
いう顔である。
 
(これは受けられない!)

 スプリガンは切っ先の動きを予測しながら半歩後退、立ち位置を微調整する。一歩で補正されるが、繰り返し
て気休め程度の攪乱を図る。
 反撃など考えず一定の距離を保つ安全策を採るべきだと、超級人工知能は提案していた。
 確かに、逃げに徹したスプリガンを捕捉できる身体能力など、地上に存在しない。いかにクレイオンが突進技
を繰り出しても、攻撃態勢を維持できなくなるまで逃げ回ればやり過ごせるだろうが――

(――見切ってみせる!)

 スプリガンは流儀を押し通す。
 果敢に“戦闘”し、流派の力を量らなければ意味がない。
 スプリガンにとって、これはどちらが勝つかの勝負ではない。どちらが正しいかの勝負でもない。どちらが強
いかの勝負なのだ。
 瞬きひとつの間に最接近。クレイブレードの刃渡りの分だけリーチの長い、クレイオンの間合い。天上に剣を
伸ばした騎士の勇姿に、陰陽の大気の境にある銀の雲をスプリガンは想う。
 光学センサの時間分解能の上を行き、スプリガンの視界からクレイブレードの刀身が消える。――想定してい
た。騎士の爪先と籠手の動きを元に攻撃の全貌を割り出す!

 ――躱せ!

 風切り音がひどく遅れて聞こえてきた。
 電光めいた斬撃が、スプリガンの左前腕に命中する。極超音速に対応してみせるスプリガンに!

498名無しさん@避難中:2013/06/27(木) 14:54:24 ID:JP37hBys0
 しかし一閃は振り抜けず、食いこむように急停止。
 回避に失敗したスプリガンは、咄嗟にスーパーカーのフェンダーに当たる部位を捻り、二点で挟みこむことで
白刃を止めたのだ。その内側に収まる車輪は犠牲になっていたが、致命傷にはほど遠い。タイヤの弾性が受け身
と合わせて威力の減衰に一役買ったことも間違いないだろう。

(予測以上の速さだ!)
(まさか止められるとは……!)

 鬩ぎ合いの中でも、スプリガンはエーテル圧式打撃マニピュレータの極微の動作で角度を変えて刃筋を立たせ
ないことには成功していたが、駆動系に過負荷。また、さらに剛力に押しこまれて機体が傾ぐ。
 力負けに見せ掛けながら姿勢を低く沈め、スプリガンは両脚を開いて横に伸ばしていく。

(脚のタイヤが接地した)

 思考の言語化より早く、クレイオンがドリルのようにクレイブレードを回しながら強引に引き抜く。
 次の瞬間、スプリガンの下で土くれが弾けた。
 スキール音を上げてスプリガンが旋回。文字通りに地を這う左脚の超低空回し蹴り。両脚を広げての高速回転
は、ブレイクダンスのフットワークを思わせる。

(足首を刈るつもりか)

 しかし遠心力を乗せるためか、わざわざ遠回りな反時計回り。クレイオンにとっては対応を選ぶのに充分すぎ
る猶予時間である。

(跳んで避けて、上から攻撃を叩きこむ――)
『……違う! あれは……!』

 ただひとり反応したのは相馬シンヤだった。
 彼は知っている。いつか天農が見せびらかしたあの技。流派延加拳“臥竜伏竜”。足払いによる軸足破壊を仕
掛け、敵が上に跳んで躱せば一撃目を踏みこみに流用した二撃目の回し蹴りで滞空中に叩く。
 実際には敵がパターンに嵌らないことのほうが多く、また極めて短い滞空時間を突かねばならないなど異様に
難度が高い技でもあり、天農の技量をしても些か実用性に欠ける嫌いはあった。
 だが、それは人の身でのこと――

『流派超重延加拳』

 天農にはなくてスプリガンにはあるもの、“車輪”による開脚体勢からの急加速が二撃目に加わった時、この
術理の真価が分かる。
 空振りに終わったスプリガンの左足が大地を捉え、そこを基点に機体が浮き上がっていく。限界まで離陸を遅
らせて全身にタイヤのパワーを伝え続けていた右脚が閃く!

『“風車(かざぐるま)”』
 
 空中のクレイオンの側頭部に、スプリガンの回し蹴りが刺さる。迂回したことを怪しんでいたクレイオンは左
腕を防御として差しこむが間に合わず、頭脳を徹甲弾を思わせる衝撃が貫通。

499名無しさん@避難中:2013/06/27(木) 14:56:02 ID:JP37hBys0
 単純に人間の身長を三倍として算出した適正な運動速度と比べても、スプリガンの基礎的な速さはまさに“桁
が違う”。クレイオンが本来のスペックを知っていても、今回が初交戦、それを実感するのはこれからだ。目が
慣れる前に、流すような一撃目と全速の二撃目で緩急を付けて攻撃すれば、いかにクレイオンであっても反応な
ど不可能。
 五メートル級勇者の適正速度を遙か超えるスプリガン本来の速さの解禁と、それまでとギアを切り換えたかの
ような劇的な変速は、歴戦の勇者の目すら眩ますのだ。

 ――やってくれる!

 転んでもただでは起きないと、クレイオンは打撃を受けた反動を全身の関節で処理してカウンター気味にクレ
イブレードの切っ先を突きこむ。
 スプリガンが左の前腕で捌き、さらにその白刃にタイヤを噛ませて一気に畳み掛けようとして断念。
 両者がそれ以上の追撃を無意味と判断して、示し合わせたように東西に分かれる。
 



 −10−


(あいつ、左腕のタイヤがぶっ壊されていたこと忘れてやがったな……)

 一合終わって――
 天農は口元を引き攣らせた。
 らしからぬ失態ではある。コンディションの把握は基本中の基本だ。

「すごい! どっちも!」

 えーいち朗の無邪気な興奮はいかにも子どもらしい。勇者を知るこの少年にとって、クレイオン対スプリガン
はまさか見られるとは思っていなかったドリームマッチでもある。

「いやはや、凄まじいですね」

 武藤黒がモニタ越しの天農に話し掛ける。
 観戦者の一次感想は概ね同じようなものだろう。わずかな攻防ではあったが、両者それぞれが持つ違った種類
の強さを感じさせた。

「実力伯仲って感じだな」

 徳利まで用意して戦いを酒のつまみにする気マンマンの真島烈の横で、木谷美アイが首を捻る。

「そうかな? スプリガンけっこうきつそうに見えるけど。クレイオンは全然平気そう」

 実際に素人目に見ても、両者の負ったダメージには大きな差がある。
 表面上は無傷のクレイオンとは違い、スプリガンは四つあるタイヤのうち一つがバーストしている。魔族など
のように即効再生もない以上、機体の欠損による戦力ダウンは無視できない。

500名無しさん@避難中:2013/06/27(木) 15:00:56 ID:JP37hBys0

「クレイオンもあんな回し蹴り頭に受けてよく平気だったよな」

 香月遥介の呟きに説明を挟んだのは天農だった。

『遠心力に引っ張られて踏みこみが浅くなってたのさ。“風車”は見た目が派手な分、当たっただけで成功した
ように見えるが、威力を乗せ切るのは存外難しい。ま、騎士殿の澄まし顔も、半分くらいはポーカーフェイスだ
ろうけどな』

 とはいえ、クレイオンの防御力はかなりのものだ。天農の知る限りでも、戦闘によって大きく破損したことは
ほとんどないはずだった。不発同然の“風車”が、兜の上からどの程度効いているかは量り難い。

「それに、クレイオンは既に切り札を使ってしまいました」

 “鏖技”なる反則的な異能を振るう鏖魔を相手取ってきた月守悠羽は、さすがに戦闘で手の内を見せることの
重みをよく知っている。いわゆる“初見殺し”を凌げなければ、生身の人間など一瞬で再起不能となる。

「必殺アークフィニッシュとタイヤ一個を引き換えかー。安いんか高いんか」
『タイヤ一個というか左腕一本といった感じだが』

 大阪のおばちゃんのような顔になって唸る篠原早希に、天農は兇悪な笑みで答えた。

『――激安だ。うちにとっては』


 

 −11−
 

「ふたりとも大丈夫!?」

 高遠マドカは、スプリガンのタイヤが弾けるのを見て怖くなった。
 目の前で繰り広げられた戦闘は、彼女の漠然と想像していたものとはまるで違う、殺し合い一歩手前のような
光景だった。
 思わず、もうやめよう、そう言い掛けて――

『これが男の戦いですよ、お姫様』

 いつになく皮肉めいて偽悪的な天農博士。
 どうしてそんな言い方しかできないんだろうと思う一方で、どこかで納得もしてしまう。戦いというのは本来
こういうものなのかもしれない。今回はお互いによく知っている味方が相手というだけ。クレイオンはいつもこ
うやって高遠マドカを守ってきたのだ。

『ありがとう、優しいマドカ。しかし私にとって、これほどまで充実した時間はこれまでなかった』

 スプリガン。これまで、あまり話したことはなかったけど。
 ひどいケガをしているはずなのに、それでも満ち足りたように微笑む。修理の利くロボットだからといって、
傷つくことがいいことであるわけがない。けれど、スプリガンの価値観を、間違っているとは言えなかった。

「やらせてくれ、姫」

 それから、クレイオン。わたしの騎士さま。

「……うん」

 何だか胸がいっぱいになって、何て答えるべきかいろいろ悩んで、それだけ。
 たったこれだけでも、通じてしまうから仕方がない。

 ――この戦いを見届けよう

『続けるぞ』
「ああ」

 戦士たちの間に交わされる言葉もまたわずか。
 そうして――
 守護騎士と、拳法家の戦い、第二合が始まる。

501名無しさん@避難中:2013/06/27(木) 15:04:19 ID:JP37hBys0
以上。

マドカはマジでどうしようかなと思ったけど結局こんな感じに。
まあこういうことに関してはそれぞれ作者さんの数だけ想いもあるでしょうが
バトル展開に都合よく、かつあっさり目に流させてもらおうと思いマス。

502紅勇者 ◆c8S1V4qkFs:2013/06/30(日) 22:24:00 ID:i/x5mPE20
>>494
それぞれの世界を施設にあてる、というのは面白いですね。
自分の作品で考えるとなると……乗り物というよりは、ビックリ人間ショー的なものになるのでしょうかw

>>495
投下乙です!

いやあ、手に汗握っちゃいました。
仲間内の戦闘とは思えない緊迫感がいいですね。
模擬戦ネタは自分も以前に書きましたが、書く人が違えばこうも違うものですか。
続きが気になる所です。

あと、内容には直接関係は無いのですが、
烈が持参している徳利は、きっと馬鹿デカイだろうと作者的には思っております。
彼の飲酒量は常人とは段違いですので。

503勇者騎士 ◆NblATia1b6:2013/07/07(日) 21:46:01 ID:pc6EN4wg0
>>495-501 投下乙です。
反応遅くなってごめんなさい。
色々あんのよ(汗

えー、細かい言葉遣いの部分で突っ込んじゃいそうではありますが、
まあ、そのままでも問題は無さそうなんで言及は避けます。

んで。
まあ予想通りに合体無しでスプリガンに挑むクレイオンですね。
スラスターなどに関する質問の意図がわかりました。
ちなみにアークフィニッシュの構えに関して余計な解説を加えておきますと、
基本、剣を直上に突き立てた状態の青眼だと思ってください。
場合によっては蜻蛉の構えの場合もあります。

さて……次は誰と誰が闘う事になるやら。

自作品の続きと、Wiki関連のアレコレは、もう少し待ってください。
ゴメンね。

でわ!

504名無しさん@避難中:2013/07/09(火) 20:50:07 ID:Rxvgywx20

     Ⅱ
     風   /
  馬〈ひ〉馬/
  U 腰 ○
   脚 脚

     V
     虫
 m⊂肩車m◎
     腰
    脚 脚◎


生まれて初めてAAを作ってしまったわけよ

505名無しさん@避難中:2013/09/16(月) 18:57:07 ID:NQ6kxwMw0
グレートメカニックでエルドランのコラムがあったぞ。
対談だけど勇者シリーズとの比較が結構あってちょっと面白かった。

506勇者騎士 ◆NblATia1b6:2013/10/27(日) 21:16:28 ID:E3feFO4go
カバヤ・ブレイブガムの第二弾が出たね。

今度のラインナップは、

1・ドラゴンカイザー
2・マイトガイン
3・シルバリオン

の三種類。

しかも、ドラゴンカイザーは第一弾のキングエクスカイザーと合体して、
グレートエクスカイザーになっちゃうぞ!

とりあえずドラゴンカイザーとマイトガインは入手しましたが……
なんでゴルドランじゃなくてシルバリオンなんだろう?

シリーズ的にはグレート合体も想定していると言う事がわかったって事で、

今度はファイバード&グランバードお願いしますよ カバヤさん!!

507つヴぁい@封魔勇者:2014/01/18(土) 15:35:27 ID:6ACWuJPA0
誰もいない・・・作品さらすなら今のうち(AAry
ttp://zweidaybreaker.web.fc2.com/novels/boardion/boardion.htm

……という訳で長らくご無沙汰しておりました。
昨年の秋頃にまた3年前と同じ”禁じ手”使って最低限の形までは持っていってはいたのですが、
あれから色々と加筆修正等加えてようやく『ボーディオン』第1話、正式に完成と相成りました。
かれこれもう4年位の凍結を経ての再開という事で色々とクオリティ的にツラいところはあるやも知れませんし、
まぁそもそもあまり期待はされてはいないだろうとは思われますが、気が向いたらチラッとでも読んで頂ければ幸いです。

本スレの方も大分前に落ちてしまって、こちらもすっかり過疎り気味な様子ですが、
またいつか昔のような活気が戻ってくる事に期待しつつ、これを機に今後も出来る限りちょくちょく顔を出してこうと思ってます。
それでは、本日はこれにて。

508名無しさん@避難中:2014/04/10(木) 01:35:53 ID:1vHM/GEY0
ksks

509名無しさん@避難中:2016/03/20(日) 12:55:11 ID:IC4CgDYQ0
a

510名無しさん@避難中:2016/06/29(水) 18:23:57 ID:jqmcqATg0
ksks

511名無しさん@避難中:2025/01/21(火) 16:24:13 ID:ptZVY7360
ジェイデッカーで対象年齢グッと下がった感じ。



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