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レス代行はここでおk その3

48名無しさん@避難中:2011/05/07(土) 12:13:50 ID:2SHqq1wg0

「ふーっ……ふーっ……」

緊張と恐怖で息が荒くなってきた。
目に溜まっていた涙も、今ではすっかり垂れ流しになっている。
ぼやけた視界で相手を睨み、アタッシュケースを振りかぶった。
大分大きいアタッシュケースだからか、それだけでよろけそうになる。

「ひっ……」

小さな体が恨めしい。
生来の運動音痴というのもあるが、どうにも殺し合いには不利だ。
だからこそ、当て馬に選ばれたのかもしれないが。
とにかく振り下ろした瞬間、アタッシュケースがすっぽ抜けた。

最悪だ。
緊張で手が汗まみれになってたからか、アタッシュケースは私の手を離れていった。
相手の肩の上を通り、その向こうまで転がっていく。

つまり、唯一の武器はもう無くなったということだ。

「うあ……」

絶望。
勝ち目など、これでもうない。
肉弾戦になってしまえば、こちらに勝ち目はないだろう。

逃げなくてはいけないのに、足が動かない。
視線も、相手に固定されたままだ。

だから、気が付いた。
呆けたように目を見開いていることに。

相手は気が付いていないのだ。
アタッシュケースの投擲がこちらのミスだということに。
殺す気でアタッシュケースが投げられたものと勘違いしていることに。
そのことに恐怖して、放心してしまっている。

(こりゃ、もしかして……)

反撃される心配はないのではないか。
そう思うと、途端に頭が冷えてきた。
相手を分析するように頭から眺めていく。
安全そうならアタッシュケースを回収するためにも近付くべきだろうと考えて、気が付いた。

片手で押さえられたスカートの向こう。
玉のような汗を浮かべた白い太腿が、びくびくと波打っている。
可愛らしい顔を涙でぐしゃぐしゃにした相手は、その太腿の先からも涙を流し始めていた。

「あー……」

完全に、戦意を削がれた。
こりゃ間違いない、対応さえ間違えなければ殺される心配は0だ。
演技のためにここまでは出来ないだろう。この先のこともあるわけだし。

「……大丈夫ですか?」

我ながら、襲っておいて何て言い草だ。
でも、まあ、そこは許してもらいたい。
追撃せずに、手を差し伸べてあげるんだから。


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