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みんなで世界を作るスレin避難所2つめ

808白狐と青年「反撃」 ◆mGG62PYCNk:2012/02/24(金) 00:11:10 ID:L2kf6et60
 結果として問いかけの視線が向けられた明日名が苦笑で説明する。
「例えば、その一つが今回の異形化した人だろうと俺は思う。それに――」
「私、ですね」
 クズハが言った。
 実際に例示されて匠は理解した。
 確かにクズハは本来普通の人間が持つには大きい量の≪魔素≫を操れるし、
和泉に現れた異形化した人間達も、やはり人とは違った部分があった。
 ……あんな歪なものが先に進んでいる証とは思いたくはないが……。
 そう思いながら匠は口を開く。
「行政区の武装隊の数割は確か研究区に派遣されてきていた。
それならそっちの動きを止めるためにそのうち研究区にも他の街と同じように襲撃があるはずだ。翔、準備は?」
『大丈夫だ。いつでも相手をする準備はできている。ただし、今この街は流入者も含めて守るべき対象が多い。
我々も行政区の方には助けを向かわせられない』
「今各町を襲っている異形達が脅威になっているのは、妙に統率のとれた異形の集まりが攻め寄せて来ているからだ。
指令を発している者を倒す事ができれば状況もまた改善されるだろう。それを探して討伐すると楽になる。
こっちはこっちでどうにかするから気にするな」
 匠がそう言った時、画面の向こうで扉が開いて、研究員が飛び込んできた。彼は肩で息をしながら渡辺に報告を急ぐ。
『研究区付近に異形出現! 数は多数! 現在急いで研究区中央にまで人々を避難誘導しています!』
『来たか……!』
 渡辺は今使っているのとは別の通信用の魔装を取り出した。
『渡辺だ。総員攻め寄せる異形を迎え撃つ態勢を整えよ!』
 簡潔に指示を飛ばして渡辺は両面越しに匠達を見てきた。
『またも研究区の者の予想は正しかったというわけだ。各街も平賀名義の知らせに慌てて対応した筈だ。
現状は混乱してはいるが、この防衛戦はそう悪い結果にはなるまい』
 そう言って彼は出口へと向かう。その背に匠は声をかけた。
「気を付けろよ?」
『分かっている。指揮役の存在だな? 元は同じ人間だろうに、なかなかふざけた事をする』
 憤りを隠さない声で言い、彼は口端を曲げて頭を下げた。
『しかし、なんだ……いろいろと済まなかったな。クズハの事など』
「い、いえ、とんでもないです。あれは仕方のないことでしたし」
 あわてて頭を下げ返すクズハに苦笑して、匠は肩を竦める。
「仕事なんだろ? 分かってるさ。今回研究区を、俺とクズハの思い出のある街を守ってくれればそれでチャラだ」
『そうか……お前達は、庁舎に行くんだな?』
「ああ。行政区に居る異形の総指揮者は通光だ。だから奴を倒す。
あの異形の統率を断てば少なくともそれで連中の弱体化は狙えるし、連れ去られた議員連中の救出もできるからな。
できれば囚われてる異形排斥派の連中に恩を売っておきたいという考えもある。そして、これでクズハを狙う輩も消える。
いいことだらけだ」
 渡辺はそうか、と応じて礼をした。
『お前も気を付けろ』
「ああ。行ってくる」


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