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冒険譚記入場

1レアニウス:2020/04/28(火) 21:49:55 ID:jSFS.mt.0
部屋での情事とは直接は関係ない冒険関係の投稿場としたいと思います。レアニウス以外の方もよろしければご利用ください。

2レアニウス:2020/04/28(火) 21:54:16 ID:jSFS.mt.0
闘技場 VSヴィクス

(大勢の歓声を浴びその中心へと足を進める二人の人物。一人は身長は185㎝ほどはありそうな大柄で上半は身裸。肉体は黒光しそうなほど鍛え上げられている。それに対峙するように足を進めるのは身長173㎝と平均的だが相手に比べるとだいぶ小さく見えてします。この土地ではあまり見かけない東方の衣装に身を包んでいるため一目には肉付きは分かりづらいが反対側の大男にも負けないほど鍛え上げられている。その男こそレアニウス本人だ。ここは町の郊外の空き地に用意された特設試合会場(リング)。とある興遊団体が設けた場所で。そこでは団体の戦士と挑戦者が毎日試合を繰り広げている。)
(戦いをただの見世物として楽しむ客も多いがやはり競いごと賭博は切り離せられない。どちらが勝つかをかけて毎日多額の金が動いている。そんな場で戦うものには当然多額の賞金が渡されるし、団体には多くの腕の立つ戦士が所属しているので自身の腕を磨くのにもぴったりだ。試合で力を示せばそのまま宣伝にもなる。しかし、それは勝てたらの場合だ。負ければ雀の涙程度の参加賞しか得られず、例え健闘したとしても敗北の事実はその評判に大きく影を落とすことになる。それがこの特別闘技場だ)

(群衆が見守る中主審が二人のボディチェックをする。団体の試合はもちろん武器使用可のルールもあるがこの試合に限っては武器の使用は許されていない。武器使用の可の試合に比べると地味な印象を受ける場合もあるがやはり自身の肉体一つで戦う光景に熱狂する人は一定するいる。ボディーチェックが終わり審判が少し離れる。今回レアニウスと対戦する相手の名はヴィクス。団体の中では中堅に位置する闘士でとにかく打たれ強さに定評があり、生半可な攻撃を受けても平気な顔で反撃して相手を打ち倒すのが持ち味だ。やがて試合開始の銅鑼が鳴らされるとともに試合時間を計る大きな砂時計がひっくり返された)

(試合開始の銅鑼と共に勢いよく対戦相手に向かって飛び出すレアニウス。4.5mほどの間合いを一気に詰めるとヴィクスの顎を狙った正拳突きを放つ。初めの一発。挨拶代わりの様なものだがその一撃でも常人や下級妖魔ならば楽に吹き飛ばす重さと鋭さを兼ね備えている。)“ガシッ”(鈍い音がする。やはりと宇井べきかヴィクスはレアニウスの放った拳を自身の前腕で受け止めていた。)!(レアニウスはその拳に返ってきた手ごたえでインヴィクスの腕前を測る。体重の乗った拳を受け止めながらびくともせず、その表情に一切の曇りもない。それは確かに今対峙している相手が消して雑魚ではないことを表しているた。)

“ふんっ!”(お返しとばかりヴィクスがその太い脚を薙ぐようにして回し蹴りを放ってくる。レアはそれに素早く反応すると蹴りの勢いが乗り切る前に腕を交差させて両手でその蹴りを受ける)“グッ!”(受けのタイミング、体勢は悪くなかったはずだがそれでも声が漏れてしまうほどの重さをその蹴りは持っていた。)

(だがレアもやられっぱなしではいられない。受け止めたその足をそのまま左腕で掴んでその足に右拳を叩き込もうとする。決まればヴィクスの足に十分なダメージを与える。はずだった。しかし)“ちっ……”(思わず舌打ちをする。拳を当てる瞬間わずかにヴィクスが足の向きをずらした。それにより硬い部位で拳を受けておりこれでは大したダメージにならない。突発的にずらしたとは思えない、あらかじめこちらの行動を予想してその対処法として考えていたからこそできる動きだ。)

(すぐさまヴィクスが腕を振り下ろしてくる。レアは脚を持っていた左手を離して右手と共に腕を交差させてガード。そのまま一旦後ろにとびさがる。ヴィクスは後を追わずその場に構えたままレアの動きを見定めている。試合開始からまだ5秒とたっていないがここでひとまずの緩急となる)「「おぉ〜!!」」(観客席からどよめきが上がる。先ほどの攻防だけでも両者の腕前が見て取れ、これからの試合運びに観客の期待も高まる。)

(にらみ合うレアニウスとヴィクスの二人。それに対してレアニウスが若干に構えに乱れを見せる。「今度はそちらから仕掛けてこい」と言わんばかりの態度だ。それに対してヴィクスも応えるように向かってくる。突き出される正拳突き。威力は体格の分レアニウスのそれを一回り上回っている。)ッ!(レアも素早く対応する。向かって来た拳を左腕で払いのけるとそのままカウンター気味にヴィクスの腹部を狙って右拳を放とうとする。がっ)……!(拳を放とうとした腕の方向を突然変える。そしてその腕でヴィクスが放とうとしていた膝蹴りをガードする。)

3レアニウス:2020/04/28(火) 21:56:03 ID:jSFS.mt.0
(あのまま拳を打ち込んでいれば正拳突きはヴィクスにクリーンヒットしていただろうがそのまま膝蹴りを受けていたところだろう。自身は正拳突きを受ける覚悟で膝蹴りを繰り出して来たのだろう。それだけ自身の耐久力に自信があるのだろう。レアは一撃で身を引いたがヴィクスはそうはいかない。そのまま続けざまに蹴りや拳を突き出してくる。レアニウスも四肢を使ってそれに対応。拳を払い、蹴りを止め、膝を受ける。)

“バシッ! ドスっ! バンッ!”(拳と拳が、蹴りと蹴りが打ち合う音が絶え間なく響き渡る。双方の打ち合いが激しく繰り広げられる。一見互角に見える打ち合い。しかし、主導権は完全にヴィクスに奪われている。打ち合っているようにみえるが常にヴィクスの攻撃に対してレアは受けているだけ。もちろんレアには反撃のタイミングは十分にある。しかし、下手に攻撃に移れば防御がおろそかになる。生半可な相手であれば反撃の一手で沈める自信はあるが相手は歴戦の闘士、甘い見通しはできない。)

“ダダンッ! ボンッ! パーンッ!!”(拳の打ち合いが続きながら既に設置された砂時計の砂は半分ほどに減っている。しかし戦っている二人の体感時間はそれよりはるかに長い。レアニウス自身、既に全身に疲労を感じている。それにすべての攻撃を受けているとはいえ受けているのも自分の身体。腕で受け止めても腕に、足で防いでも足にダメージは入っている。ヴィクスもそれは同様のはずだが依然としてヴィクスの動きには乱れはない。(このまま競り合っていても勝ち目はない)とレアニウスは判断する。殴り合いの均衡、それを崩す権利は自分に優先的に与えられている)

ハッ!(ヴィクスの放つ攻撃の嵐の中、ついにレアニウスが反撃に出る。気合と共に突き出された左拳が綺麗にヴィクスの精悍な顔の右頬を捉える。威力、速度、角度問題ない。通常の相手であればこの一撃で脳震盪を起こしダウンする事だろう。だが)フンッ!(ヴィクスはそれを意にかえすこともなく空いた左脇を狙って回し蹴りを放ってきた。)!(素早く防御を行おうとするレアニウス。だが、攻撃に気を割いた分遅れが生じ間に合わず回し蹴りを喰らう。寸前の所で自ら蹴り方向に身体を動かしたことと直前に攻撃をしてわずかながら二体勢を崩したことでクリーンヒットは避けたがそれでも体が吹き飛ばされるほどの重いけりだった。)

(鍛えられたレアニウスの身体が布の様に吹き飛ばされる。受けたダメージは決して小さくない、あばら骨にもヒビが入ったかもしれない。だが、今は戦闘中弱気なことは言ってられない。痛みをこらえて吹き飛ばされたさきに着地するとすぐさま床を踏みしめて再びヴィクスにとびかかる。先ほどの一撃、涼しい顔で反撃してきたが手ごたえは確かにあった。確実にダメージを与えているはず。そう思い歯を食いしばるとヴィクスに正面から蹴りを打ち込む。)

(今度は蹴りを受けたヴィクスの方が後ずさる。だが)うぐぅ……(レアニウスも口の中に血の味を感じながら苦悶の声を上げる。蹴りが決まる瞬間きっちりヴィクスの方もカウンターを決めレアの右頬に拳を決めていた。口の中の何処かを切ったらしく血の味が口の中に広がる。だが、幸いにも脳に響く様な打たれ方は避けられた。まだ戦闘続行に問題はない。)はあぁぁぁっっっ!(殴られた痛みをこらえながら足元の土を踏みしめレアが再び殴りかかる。一撃、二撃。鋭い拳がヴィクスの身体を打ち抜く。)“ウォオォォォ!!”(しかしヴィクスは倒れない。野太い声を上げながらレアの身体を吹き飛ばしそうな重い拳で反撃してくる。だがレアも全身に力を入れて堪える。)

(闘技場の中央で殴り合う二人の闘士。観客も思わず立ち上がって二人に声援を送る。気付けば周囲には荘厳な音楽が鳴り始める。闘技場の演出の一つで専属の演奏者が戦いの進行や展開に合わせてそれにふさわしい楽曲で戦いを盛り上げてくれえるのだ。いま、二人の対戦の残り時間は2割を切ったことを砂時計があらわしている。演奏者はそれに合わせて場の佳境(クライマックス)に相応しい音楽を流しているのである。だが、戦う二人には流れ落ちる砂も流れる音楽も届いていない。ただ、自分の全力を尽くして目の前の相手を打ちのめすことだけを考えている)

4レアニウス:2020/04/28(火) 21:56:50 ID:jSFS.mt.0
(キツイ……)正直レアニウスの頭にはそんな言葉が浮かんでいる。立ち上がって殴り続けているモノの既に息は上がり、いくら空気を吸っても間に合わない。全身の至る所から痛みの信号が伝わってきている。おそらく内出血、部位によっては骨にひびが入っているかもしれない。殴りつけている拳にすら痛みを感じるほどだが依然としてヴィクスは倒れる様子は見せてはいない。この興遊団体でヴィクスは確かに低くない位置にランキングされている。だが、それでもトップではない。それでありながらここまでの腕前を持つのは正直予想外だった。もちろんヴィクスに大ダメージを与える技はあることにはある。しかし、この近接した状況では大技を使う隙をヴィクスが見せるとは思わない。感覚的に残り時間は僅かのはずだ。このまま耐えたところで良くて引き分け、悪ければ判定負けだ。(この状況を覆す手は……)と思案を巡らせるレアニウス。(!!))と何かを閃いた。だが)がふぁ!!(それが一瞬の隙になったのかヴィクスの剛拳が深々とレアニウスの溝内を捉えた。)

(噛み締めていた顎が開き、握りしめていた拳が解ける。膝が崩れレアニウスの身体が重力に引かれゆっくりと地に伏せ……)ッ!!(伏せない。レアニウスの瞳はその前に戦う意思を取り戻す。両手をつく寸前で気力を取り戻したレアニウスはそのままヴィクスの片足にタックルしてその足を抱えるようにした立ち上がる。相手の足を握る際は自身の指を立てて相手の膝関節に押し込むことで足の抵抗力を下げる。今まで殴り合いの勝負を展開してきたことにヴィクスは急な掴みかかりに反応が遅れ足をとられる。それでも普通に足をとられただけであれば堪えることも可能で会ったはずだがレアの足の取り方と重心の崩し方の巧みさの前にヴィクスの巨体が大きな音を立てて倒れる)

(倒れたヴィクスの上に立って再び拳を握りしめるレアニウス。一方ヴィクスも奇異tんと受け身をとっており倒されたことによるダメージはほぼない。この事態にも素早く対応し反撃の体勢を取ろうとする。しかし、)“ソコまで!!”(と厳しい声と共に試合終了の銅鑼音が響き渡る。試合開始時に二人のボディチェックをした審判役の男が間に入り、二人の戦闘を止める。気付けば砂時計の砂は落ちきっており試合時間の終了を告げていた。“うぉおおおぉぉぉぉぉぉ〜〜”と二人の周りを囲っていた観客から大きな歓声が上がる)

(全力を尽くして戦った二人は互いに背を向けてリングの外へと下がっていく。二人とも傍目にはまだまだいくらでも戦えそうに見える。だがその内実には大きな差がある。ヴィクスは実際にまだまだ戦闘続行は可能。だが、レアニウスは表面上は普通にふるまっているが実際の所ギリギリである。しかし、双方戦闘続行が可能で試合が終わった以上、勝敗は傍からの判定で決まる。勝敗が賭けられた戦いである以上引き分けではおさまりが付かないのだ。今、三人の判定人が二人の状態からどちらを勝者とするかを検討している。レアニウスも自分のコーナーに戻ると固唾を飲んで勝敗の結果が出るのを待つ。)

(“バサッ”と風を切る音と共に三本の旗が上がる。判定は レアニウス ヴィクス レアニウス 2:1の判定でレアニウスの勝利だ“うぉおぉおぉぉぉーーー!!”その判定を受けて約半数の観客から歓声が、そうではない観客からは悲鳴に近い声が上がる。どうやら最後にヴィクスを地面に付けたことが評価されたのだろう。その結果をみて胸を撫でおろすレアニウス。なんとか当面の資金と評判を確保することが出来たいようだ。)

5レアニウス:2020/04/28(火) 21:58:02 ID:jSFS.mt.0
(反対側のコーナーのヴィクスへと視線をレアニウス。ヴィクスは慣れているのか、もともとの性分なのか特に勝敗の判定を見て表情を変える様子は見れない。はっきり言って戦士としての腕前はほぼ互角であるがモンスター戦や乱戦もこなすレアニウスに対してこの決闘形式であればヴィクスの方が上。今回は制限時間と判定に救われたというところだ。ことなかげに敗者へのブーイングを受けながら退場するヴィクスの背に。次こそは誇れる勝利を近いレアニウスも機微を返すのであった。)

6レアニウス:2020/05/23(土) 21:19:45 ID:jSFS.mt.0
鰐退治1
(ぬかるんだ湿原を歩く男が一人。この地方には珍しい大陸東方の衣装。深い青色の髪が軽く汗ばんでいる。肩には冒険に必要な最小限の道具屋食料を詰め込んだカバンを背負い、その目は生い茂った気により見通しの悪大地を鋭く見回し、目的の鋳物が近くにいないかを探している。彼、レアニウスは今回近くにある集落からの依頼を受けてこの湿地にやってきたのだ。)

(日中になると日差しが強くなり、気温は高くなる。ぬかるんだ地面は乾いた地面以上に歩きづらく体力を余計に消費する。体力に自信がない訳がないがそれでも、これから起こるであろうターゲットとの戦闘を考えれば体力の消費は最小限に抑えておきたい。それならば相手からこちらに来てもらうのが理想的だ。歩き続けて湿地の中を流れる川に差し掛かると荷物の中から革袋を取り出すと中身を河の中へと流し込む。革袋の中身は今朝畜殺された鶏の血。その血を流せば血に貪欲なターゲットの事、きっとその匂いを嗅ぎつけてやってくるはずだ。)

(半量を流し、残り半量を革袋にいれたまま水に浸けると湿地の地面に毛皮を敷いて腰を下ろし、しばし休む。湿地に直接腰を下ろすと服が濡れて気持ち悪いだけでなく皮膚病の恐れがある。太陽の位置で時間を計りながらどれくらいの時間で移動しようかなどと考えていると)!(明らかに周囲の空気が一瞬にして変わる。先ほどまであちこちから聞こえていた鳥の声がしなくなり、虫までもが息をひそめているかのような緊張感が辺りを漂う)


情報通りだな(レアは小さく呟くと肩にかけていた荷物を後ろに投げ捨て身軽になると立ち上がり目の前の敵に対して構える。一本一本が鋭いナイフの様にギラつく刃が上下に無数に並んでいる。目の形からは何もうかがえないがその瞳には恐ろしいまでの獰猛さが感じられる。体は深緑色の頑強な鱗に覆われ、体長は3mを優に超える巨体。一度暴れ出せば周囲のありとあらゆるものを破壊し、時に地形にすら影響を与えると言われる危険生物。時に幻獣ドラゴンと見間違えられるのも納得の威圧感と握力を持つ猛獣ブレイク・アリゲーター。それが今レアニウスの目の前にいる敵であり、今回のターゲットだ)

“グルルルルルル”(とうなり声をあげて突っ込んでい来るアリゲーター。レアに向かって鋭い歯が並んだ口が迫る)凄い迫力だな……(一般人であれば腰を抜かすであろう状況の中他人事の様にそう呟くと死へとつながる奈落の穴のような口の前で少しも慌てることなく最小限の動きでその口を避けると)ハッ!!(鋭い気合と共にアリゲーターの首筋にあたるところに正拳を叩き込む)

7レアニウス:2020/05/23(土) 21:20:30 ID:jSFS.mt.0
鰐退治2
ッ!(レアニウスの拳は確かにアリゲーターの首筋に突き刺さった。しかし、ダメージを与えたというような手ごたえは感じられない。)硬い鱗だな(そう、アリゲーターの前身はその鱗により守られている。流石に刃を弾く様な硬度は持っていないが分厚その鱗がレアニウスの岩すら砕く正拳の威力を大きく削いでしるのだ。そしてその鱗は首筋だけでなく全身にある。)こいつは一筋縄ではいかないか……。

(突進してきたアリゲーターを避ける。よけられたアリゲーターが後ろにはていた木に食らいつく。樹齢数十年の太い幹を持つ大木であったがまるでビスケットか何かの様に食いちぎってしまった。)……(あれを自分の体に受けたらと考えただけでゾッとする。いかにレアニウスの体が鍛えられているとは言えあんな牙と顎で喰らいつかれてはひとたまりもない。)

“ガブッ”“ガブッ”“ガブッ”(続けざまに噛み付いてくるアリゲーター。レアニウスがレアニウスは見事な身のこなしでそれをよける。そして隙を見ては)ハッ!!(鋭い気合と共に回し蹴りがアリゲーターの脇腹部分をとらえるだが。アリゲーター気にする素振りすらなく攻撃を継続する。巧みなステップで飛びさがるとレアニウスがそれまでいた地面を顎が抉り大きなシャベルで掘ったかの様な痕が残る。すかさずレアニウスはその顎に向かって足を振り下ろし。顎先にレアニウスのかかとが突き刺さる。しかし、それでもアリゲーターには応えた様子が見られない)ちっ(舌打ちを一つすると一旦大きく飛びさがるレアニウス)


(アリゲーターは素早く距離を開けたレアニウスを追って突進してくる。先ほどと同じく回避し、その瞬間に何発か拳を打ち込んでみるがやはり分厚い鱗革に威力を削がれてしまい手ごたえがない。硬質な鱗であれば動きを確保する為に関節の隙間等が急所になる事もあり得るが今回のアリゲーターの鱗は柔らかさも兼ね備えており、間接部にもそういった隙は見られない。だが)まてよ‥… 関節‥… そうか!(レアニウスの脳裏に一つの考えが浮かぶ。リスクは高い。だが、成功すればこの戦いに終止符を打つことが出来る。)

(大顎を広げたアリゲーターとレアニウスが交差する。次の瞬間)”ぶしゅ”と音を立ててレアニウスの腕から血が噴き出る。見ればレアニウスの腕に上下から鰐の牙が無数に突き刺さり、その無数の傷口からだらだらと赤い血が流れ落ちていく)うぐぅ……(レアニウスの顔が苦痛に歪み、アリゲーターは勝利を確信する・・・・・だが)”がる!?”(ここにきてアリゲーターが自身の身体の異常に気付く。)

(ブレイク・アリゲーターの顎であれば如何にレアニウスの腕が強靭であろうとも容易く引き千切れるはずである。それなのにいくら力を込めてもそれができない。否、力を込める

8レアニウス:2020/05/23(土) 21:21:15 ID:jSFS.mt.0
鰐退治3
(ブレイク・アリゲーターの顎であれば如何にレアニウスの腕が強靭であろうとも容易く引き千切れるはずである。それなのにいくら力を込めてもそれができない。否、力を込めることができない。その原因はもちろんレアニウス、そして彼が放った拳にある。すれ違う瞬間レアニウスが拳を当てた場所。それはすなわちアリゲーターの顎関節。如何に強靭な顎を持っていようともそれを繋げる関節を、収縮する筋肉を断ち切られてはなにもならない。そして、口内から攻撃すれば当然鱗でダメージを軽減することもできない。今レアニウスが放った拳はアリゲーターの左顎の関節を粉砕し、その手をそのまま筋肉の間に押し込みその収縮を封じたのだ。それでも右顎の収縮で予想以上のダメージを受けてしまったがそれでもこれでクラッシュ・アリゲーターの最大の武器を封じ大きなダメ―ジを与えたことに違いない)

(顎を砕かれ強く閉じることのできないアリゲーターの口から腕を引き抜くレアニウス。そのまま少し距離を取る。傷口は消して浅くない、おまけに無数に付いている。だが、勝負を決めるのはアリゲーターが顎の痛みにのたうっている今しかない)すー はー(噛み傷の痛みを押し殺しながらレアニウスが深く息を吸う。呼吸と共に自らの気を練り上げる。練り上げられた気が光となってレアニウスにまとわりつく。そのまま“キッ”とアリゲーターを見定めるとアリゲーターに向かってトンボを切る様にして距離を詰める)

(走り出す足が一歩進むごとにレアニウスが纏った光が足へと集中し、より強くなる。アリゲーター目前で高く飛びあがると空中で前転し、その踵を高く振り上げるとそのまま思いっきりアリゲーターの目と目の間。脳天へと叩きつける)”日八鳥雷嚇嘴!!”(激しい光と炸裂音が辺りに響き渡る。そして”ドシャン”と音を立ててアリゲーターは地面へと伏し。そのまま起き上がることはなかった。レアニウスは腕の痛みをこらえて最後に倒れたアリゲーターに対して両手を合わせる。それは一つの命を奪ったことへの謝罪か、あるいは強敵への感謝か……)

(その後レアニウスはまずは傷口を高い濃度のアルコールで消毒し応急処置。けして無視できない傷であるが気を操作すればどうにかなる範囲だ。今回の報酬の一部で新館に回復魔法をかけてもらえばすぐに良くなるだろう。続いて集落から貰って来た木に火を付けて煙を立たせる。湿原では遠くまでその煙は目立ち、その煙を見つけたら村人が駆けつける手はずになっている。今回のクラッシュアリゲーターは狂暴なモンスターながらその革は工芸品に、肉は食料に、骨や牙は生活道具屋武器に転用できる貴重な資源となるのだ。それを持ち帰るのはとてもレアニウス一人で出来る事ではない。報酬として受け取る肉や工芸品を町に帰った後贔屓の店の娘たちに渡すことを考えながらのんびり村人が来るのを待つレアニウスであった。)

9ナイトメア:2020/06/12(金) 20:56:15 ID:25ZBDV9w0
【MIDNIGHT HORROR】

男は製材所での仕事を終え、帰路の最中にあった。
夜空に黄色い月がすっかり登り、暗い道をぼんやりと照らしてくれる。
製材所は、森の中にある伐採所の傍に建設された為、帰るには町までの遠い道を歩かなければならない。
道は石畳で舗装され、森の中とはいえど、今まで魔物が出た事は一度も無かった。
魔物除けのまじないを施したカンテラを手にしていれば、少なくとも低級な魔物は近寄れない。
町で開業医をしている医者に頼んだもので、それなりに値段がしたのだから、そうでないと男も困る。

何度も通った帰り道。昨日と変わらぬ帰り道。名前も無いその道は、男の日常。

その道もそろそろ中程を過ぎてきた頃合いに、夜の冷たい風が吹いて、男の頬を擦った。
もう気温も高くなってきて夏の到来を感じるこの季節にしては、とても冷たい風だった。
何より今まで、去年も、一昨年も感じた事のない ―― 遭遇したことのない風に、何かとてつもなく不吉な予感を覚えた。
不安感を払拭しようとカンテラを周りに差し向けて、魔物が近寄ってきていないか確かめる。
暗闇、そして、暗闇。木と木の間には、途方もない虚空へと続くような暗闇しか無い。

男は胸に手を当てて早まる鼓動を抑え、深いため息を吐いた。脅威はいないようだと分かった。
この辺で強い魔物が出てきた話は今まで一度も聞いたことが無い。
だから、例え夜の漆黒から魔物が飛び出してきたとしても、この聖なるカンテラの光の前にはひれ伏すに違いない。
そうでないと、困る。これは高かったんだから。
男は再び足を一歩踏み出す。

その時に、気が付く。道の先に見えていた町の明かりが、見えない。その灯が。
あり得ない。毎日見ていた光だったはずだ。毎夜毎夜、この道を、町の活気と人の象徴である明かりを目指して歩いていたのに。
カンテラの明かりを目元にまで持ち上げてみても、光景は変わらない。あるのは暗闇だけだった。
何か不味いことになったと思って、慌てて踵を返し、製材所へと戻ろうとした。
だが、それも叶わないことが直ぐにわかった。戻る先にあるものも、暗闇だからだ。果てしない暗黒が広がっている。
森と夜が男を取り囲んでいる。一時は落ち着いた男の心臓が、バクバクと大きな音を立て始める。

頭に血が上って、かあと熱くなっていくのが自覚できる。落ち着け、落ち着け、自分に言い聞かせる。

「これは何かの間違いだ。道を間違えた。いつの間にか森の中に入ってしまったんだ。」

ぶつぶつと勝手に口が開いて、独り言を零してしまう。空を見上げれば、月は雲に呑み込まれていった。
月明かりがなくなって、最後に残ったのは手に持つカンテラの乏しい明りだけ。
足元を照らすのがやっとの灯。そう、それは、風前の灯火。
男はどっと額に脂汗をかいて、遂には心臓の鼓動と不安感に耐え切れず、走り出す。
金属製の音がきいきいと鳴り響き、それから、どだどたと地面を踏みつける音が撒き散らされた。

やがて。男は何十分も走り続けた後、体力も底を尽きて、立ち止まった。だらだらと汗を垂らし、瞳孔が居場所を失って彷徨う。
どれだけ走っても木にぶつかりすらしない。何もない暗闇の世界をただ走り回っただけにしか思えなかった。
森は、製材所は、街は、そして家は、どこにいってしまったのだ。何度も問うが、答えは返ってきはしない。
もはや永遠にこのままなのではないかとすら、一瞬そんな考えが脳裏に浮かぶ。首を振って直ぐかき消す。

10ナイトメア:2020/06/12(金) 20:56:51 ID:25ZBDV9w0
男の頬を冷たい風が触れた。あの時に感じた風と同じものだったと、直感でわかる。
風の吹いてきた方へ振り向くと、直ぐ傍に女が立っている事に気が付いた。サーカスの手品師のような恰好をした女だった。
お互いの息を吸い込んでしまうのではないかという近さにいるのに、今まで気づかなかったのはどう考えてもおかしい。
しかし、何よりも男を恐怖させたのは、その女が"笑っている"事だった。

「ばあ。」

夜のように暗い色の瞳を向ける女は、口を開けば男の後頭部を手で掴まえ、強引にキスをした。
まるで人形のように色白で美しい顔立ちをした女の唇も、容姿に相応しい程柔らかく、そして甘い。
得体の知れない存在を拒もうと男は唇を結ぼうとしたのに、女の舌先が何度か割れ目を擦り続けると、思わず口を開いてしまった。
口の中に押し入るや舌を瞬く間に絡め取って、じゅるりと唾液を啜り上げ、美味しそうに目尻を緩ませてしゃぶりつく。
まるで唾液を主食にしている生物のように、しつこく、じゅるりじゅるりと濃密なキスを交わし続けられていった。
何分もそれが続いてようやく口づけから解放されると、女の顔がやや見えづらくなっていることに気が付いた。
カンテラの明かりが弱まっているせいで、女の顔が暗くなっている。

「えへ、興奮したかい。光は苦手なんだ、ちょっとずつ、消させてもらう、ね。」

女の足元から蠢くような……霧、塵、はたまた粘液のような、気体とも液体とも形容し難い黒い物質が這い寄り、
カンテラに登り上がって、まとわりつき、そして染み込み、光を吸収でもしているように、明かりが薄くなっていく。
それは言わば、暗闇そのものだった。夜の冷たい暗闇が、温かくて優しい光を排除するように、カンテラの光を取り除いていっている。
そうでなくとも、今の甘美な口づけによって脱力しかけ、カンテラを手から落としそうになった。
魔法の施されたカンテラといっても、火種を落としても明かりは消え失せてしまう。

女は舌なめずりをしながら、再び唇を近づけようとしてきた。肩を押して女を突き飛ばし、とにかく反対方向へ走り出す。
この暗闇の世界も、家に帰れないことも全て魔物の仕業だと男は理解した。しかし、魔物除けの力が利かないなんて事があるだろうか。
とてつもないほど強い魔物なのかもしれないが、それなら魔術師連中が噂をしているはずだと覚えている。
何かがおかしい、何かが狂っている、何かに捕まってしまった。

「そう、君は捕まった。暗い暗い、終わりの無い夜の夢にね。」


(続け)

11レアニウスの冒険 3-1:2020/07/19(日) 23:33:00 ID:cnxNPAz20
(目を覚ましたレアニウスが最初に見たのは左右上下に揺れる壁だった。耳元には外から聞こえてくる敵襲の声が届く。ここはとある商船の一室。雇われた用心棒や傭兵が休みを取るためにあてがわれた部屋だ。彼は今、仕事の一環としてとある海域を行ききする船の用心棒を引き受けているのだ。この海域はこの周辺の海の中でも特殊な潮の流れをしており大型小型問わず様々な海水生魔物が出現する危険海域とされている。)!(今は休憩時間だったが非常事態ならば関係ない。慌ててハンモックから飛び降りると扉を開けて甲板に飛び出る。目の前の視界だけでも海から黒い塊が飛び出してくるのが複数確認できた。)

(現れた黒い塊は人間の形をしていた。しかし、その姿は人間とはかけ離れている。肌の葉面は青緑色の鱗で覆われ、四肢の指の間には水かきが張っている。背や肘にはヒレが見られる。顔は魚そのモノであり、ギョロギョロとした目にその表情からは感情は読み取れない。)魚人[ギルマン]か……(その姿を見定め小さくレアニウスは呟く。ギルマンは海にすむ人型の種族の中でも知能が低く、狂暴で醜い種族だ。どうやら今船を襲っているのはその集団の様だ。甲板に上がっている姿だけでも十数体。まだ、海の中にもいることを予想すれば2〜30体かそれ以上はいるかもしれない。)

ふぅ……(と一呼吸で戦闘への体勢を整えるとすぐさま目の前で今海から上がったばかりの魚人の右頬に正拳を叩き込む。)“ギョギョ!!”(海から上がったばかりの魚人は突然の一撃に面を喰らってそのまま海の方へと吹き飛ばされる。続けて上がってきた魚人にも着地するか否かのタイミングで回し蹴りを叩き込み再び海へと強制送還するが)威力がイマイチだな……(帰ってきた手ごたえを感じながらそう呟く。体術で相手にダメージを与えるには踏み込みが必須だが今は船の上。どうしても足場が不安定になる。それでは拳法本来の威力が出ない。時間をかければ船の上でも十分な足捌きを習得できると思うが今はその暇はない。だが、今回の相手である魚人は数は多いが一体一体は大した相手ではない。)

(魚人が突き出してくる先端がミツマタに分かれた銛の様な武器をギリギリの動きで横に避けると顎下に拳を一撃。その攻撃で意識が遠のき背中をのけぞらせて前に出た魚人の腹部に膝蹴り、さらに今度は前屈みになった魚人の後ろ首に手刀の三連攻撃。魚人は元から薄かった目の光を完全に失いそのまま床に崩れる様に倒れる)そこの、止めを頼む(拳や蹴りでは確実に致命傷を与えるのは難しい、そこでレアニウスは無力化した相手の止めを他の水平に任せるとすぐさま別の相手へと向き直る。)

(今まさに別の船員に向かって剣を振り下ろそうとしていた魚人の後ろ首に延髄斬りを叩き込み、こちらに剣を振り下ろそうとしていた魚人の手元を素早く右腕で打って剣を止めるとすぐさま左腕でその魚人の顎を打ち上げる。そんなレアニウスの背後を狙って銛を突き出していた魚人の一撃をまるで背後に眼が有るかのように正確に捌くとそのままの勢いで突っ込んでいた魚人の腹部に後ろ蹴り。最初の延髄蹴りで一旦は地に伏せた魚人が立ち上がろうとすると先ほど自分に向けられた銛を掴むと躊躇いなくその背中に銛を突き刺し止めを刺す)次!

12レアニウスの冒険 3-2:2020/07/19(日) 23:34:58 ID:cnxNPAz20
(一息で鼻先、喉元、腹部に三発の拳を叩き込む三連撃。武器を蹴り飛ばしてからそのまま身体を回転させての連続蹴り、一撃で魚人を吹き飛ばす飛び蹴りと様々な技を駆使して船上を駆け回るレアニウス。他の水兵たちもそんなレアニウスに呼応するように奮起し徐々に戦況はこちらに覆りつつある。)一気に巻き返せ!!(周囲を鼓舞するようにレアニウスが叫び、さらなる敵に向かって拳を打ち込む。だが)!?(これまでの魚人と同じように吹き飛ばすことを見越してはなったその拳は何とその魚人に反らされてしまったのだ。)


(すぐさまその魚人からの反撃が来る。しかもこの魚人他の魚人の様に武器を持っていない。素手だ、しかもかなりの鋭さだ。相手の反撃は想定していなかったがほとんど反射に近い動きでその拳を受けとめ後ろに下がる。)これは……(先ほどの魚人の動きを自身の知識と照合する。)ギョジン・カ・ラテか……!?(遥か東方の国で編み出されたという魚人族の武術。本来であれば高潔な精神を持つ者が習得する技術だが目の前の魚人の様に習得していながら盗賊に身を落とす者もいるという訳なのであろう。)面白い!(話には聞いていたが実際に相手をするのはこれが初めて。武闘家の性として知らぬ武術に触れるのは心が躍る。ニヤリと不敵に笑うとレアニウスは拳を握り直すと再び拳を突き出す。)


(風を切るレアニウスの拳と足、それに対してギョジン・カ・ラテ使いの魚人[以下カ・ラテ魚人]は防戦一方だ。)所詮、この程度か(どうやらこの魚人。ギョジン・カ・ラテを習得していると言っても決して熟練者であるわけではないようだ。確かにそこいらの魚人に比べれば反応速度も速いし、動きも正確だ。しかし、それはあくまで一般的な魚人と比べればの話である。キチンと修練を積んだレアニウスと比べればその差は歴然である。)せっかくのカ・ラテとの初対面。どうせならもっと上段者と当たってみたかったが。(レアニウスにはそんな軽口を叩けるまでの余裕が出ていた)

そろそろ決めてやるか(確かな技量の差を見せつけられ焦るカ・ラテ魚人に対して上から目線でそう言い放つ。しかし、その時彼らが乗っていた船が大きく音を立てて傾いた。)なっ!?(とっさのことにふらついてしまうレアニウス。カ・ラテ魚人はその隙を見逃さなかった。次の瞬間カ・ラテ魚人はレアニウスに飛びつくとそのまま甲板の外へと飛び出した。)しまっ……(気づいた時にはもう遅いレアニウスはカ・ラテ魚人と共に海の中へと叩き込まれた。)

(水面に着く前に思いっきり息を吸い込むレアニウス。そのまま数mほど魚人に引きずり込まされたところで離され水中でも構わぬと言わんばかりに目の前のカ・ラテ魚人に向かって真っすぐに拳を突き出す。だが)!?(その拳はいともたやすく魚人に受け止められてしまった。当然だ水中には水の抵抗がある。しかも、水中では地上と違って踏ん張る地面もない。そんな状況では如何にレアニウスの腕前と言えどもその威力は数分の一に軽減されてしまう。それに対してカ・ラテ魚人の攻撃は確かに水の抵抗を受けて威力を半減されるものの高速で泳ぎ回り勢いをつけて拳を打ちだすことで水中でも十分な威力を拳に乗せることが出来る。)

13レアニウスの冒険 3-3:2020/07/19(日) 23:36:46 ID:cnxNPAz20
(視界の中を高速で泳ぎながらカ・ラテ魚人が攻撃を仕掛けてくる。水中の動きの利を生かした完全なヒット&ウェイ。高速で近づき此方に打撃を与えるとすぐさまこちらの手の届かない所へと逃げてしまう。)くぅ……(しかもただ抵抗ができないだけではない、水中では当然レアニウスは息ができない。ただ単に時間が過ぎるだけでも不利になっていく。直ぐにでも水面に上がり呼吸をしたいところだがその隙をカ・ラテ魚人が与えてくれるとは思わない。)

ぐっ……! うっ……!!(上下すらも見失いそうな水流の中なんとかカ・ラテ魚人の攻撃を防ぐ。なんとか攻撃は防ぎ続けているが呼吸がもう限界近くに迫っている。しかも、例え反撃に転じたところで一撃や二撃を入れたところで……いな、水中であればどれだけ殴ったところでカ・ラテ魚人に有効なダメージが与えられるとも思えない。)打撃ではだめだ、だからと言って投げ技など論外……残された手は……(そう試案を巡らせるレアニウスだが、その時斜め下と言う地上戦では死角となる一から魚人の一撃が襲い掛かった。)

“ギュカ!?”(カ・ラテ魚人の顔に明らかな驚きの表情が浮かぶ。魚人が放ったレアニウスへの攻撃は本来死角。受けることは出来ても反撃などできない位置への攻撃であった。だが、レアニウスはその攻撃を内膝で挟むという奇策でカ・ラテ魚人の腕を捕らえることに成功したのだ。)“グゲゲッ”(すぐさま挟まれた腕を引き抜こうとする魚人だが)遅い!(操作は狭いとレアニウスが反撃に転じる。)

(一瞬の隙を点いて魚人の右腕をつかむとそのままもう片方の手で左足の太もも部分を掴む。)この技なら水中のアドバンテージは関係あるまい!(後ろに回り込むと右手を掴んでいた手をスライドさせて魚人の首元を掴み、魚人の背に自らの膝を押し当てるとそのまま全身の力を込めて魚人の首と太ももを後ろに引っ張る。すると魚人の身体は後ろに弓ぞりになるわけだ)

(弓矢式背骨折り、あるいはボー・アンド・アロー・バックブリーカーと言われる相手の背骨を傷める技の中でも極めて殺傷力の高い技の一つだ。水の抵抗により打撃の威力が大幅に下がる水中であったとしても関節技の威力は衰えない。)“ギギギギギギ”(レアニウスが力を込めて魚人を引き上げれば魚人の背骨は不気味な軋む音を立て、魚人は両手をばたつかせて悶える。しかし、その手は真後ろに付いているレアニウスに届くことは無い。)

14レアニウスの冒険 3-4:2020/07/19(日) 23:37:18 ID:cnxNPAz20
(これが試合であればこの辺で止めにしてもいいだろう。だが、これは試合ではない。互いの生死を掛けた戦いである。ここで技を中途半端に止めれば自分だけでなく商船の人々にもこの魚人が再び襲い掛かってるくる恐れがある。)粉!!“バキッ”(最後に一際力を込めてレアニウスが両手を引く。するととうとう背骨を折られて魚人は力を失う)

(いかに人間とは構造の違う魚人といえど背骨がある動物である以上背骨を折られて無事が済むわけがない。だが、行動不能になるダメージであっても致命傷というわけではない。本来ならばここで確実に止めを刺しておきたいところだがレアニウスの方も呼吸が限界まで来ている。力を失った魚人の身体から離れると水面へと向かった泳ぎ出す。)

ぷふぁ!!(海面に出るとレアニウスは思いっきり息を吸う。息を吸うという当たり前の事がこんなにも生を実感させてくれるものだと改めて実感する。あたりを見回すと船の上から心配そうに水面を覗き込んでいる船員たちがいる。どうやら船の上の戦いももう終わったようだ。周囲を警戒するが再び魚人たちが顔を出す様子はない。)どうやら終わったようだな……(一つの戦いを勝利で終えたことを確認しつつレアニウスは船上から投げられた縄梯子に伝い上に上がり歓声で仲間に迎えられるのだった。)

15レアニウス冒険譚:2021/02/10(水) 22:34:03 ID:cnxNPAz20
天空庭園の女主人編

(美しい女性だ……)
目の前の存在を前にしてレアニウスはまずそう思った。周囲には色とりどりの花が咲き誇る花畑。赤い花、黄色い花、ピンクの花、白い花無数の花が一切陰ることなく光を浴びて目いっぱいに花びらを広げえている。
ここは最寄りの町から馬で三日、徒歩で二日かけてようやく到達できる険しい山の上にある盆地。本来ならば雑草一本生えるのがやっとというような地形なのだが特殊な魔力の流れの関係から季節に関係なく花々が咲く希少な土地となっているのだ。
花といわれると手軽で安価なイメージがあるかもしれない。もちろん、花が自然に咲き誇る季節であればその通りだ。しかし、今は冬、山も森も枯葉も落ち切り花と呼べるものは咲いていない。人工栽培された草花もあるが値段は高価であり、たとえ大金を払って購入したとしてもその質は自然のものから著しく劣る。この時期に咲き誇る花は文字通り値千金の価値がある。
つまり、この花畑は金の生える花畑といっても過言ではない。だが、人里から遠く離れたことを差し引いてもこの天空庭園に花摘みに来るものはほとんどいない。その理由が・・・・・・
(ほんとにこの女が……そうなのだな……)
レアニウスは静かに、それでいて確かに納得した。
花畑に一人たたずむ妙齢の女性。貴族婦人というようなきらびやかなドレスを身にまとい、透けるような白い肌、つややかな若葉色の髪は肩にかかるかという程度の長さで優雅に日傘まで差している。目鼻立ちも整っており、体系が見えにくい服装であるが、それでも均整がとれていることがなんとなく見て取れる。その顔は優しそうに微笑みレアニウスを見つめている。
「……………」
その視線にさらされながらレアニウスは全身をこわばらせて警戒していた。およそ戦闘とは無縁に思える姿をした女性を前にしながらレアニウスはまるで巨大な岩が今にも頭上から降ってくるかのような緊張感を感じていた。
目の前にいるこの女性こそ大金になる採取物がありながらこの場所に人が寄り付かない理由。この花畑をなわばりにしている女性型魔族。ベテランの冒険者ですら一蹴しするうえ敗者を過剰なまでいたぶる趣味を持ちその力は人間の知る魔族の中でもかなり高位、場合によってはその気がなかっただけ魔王にも比肩できたのではなないのかともうわさされている。正式な名前を聞いたものはおらずその存在を知るものからは「天空庭園の女主人」と呼ばれている。

「うふふふ いらっしゃい 久しぶりね私の花畑に人間がやってくるのは なんの用かしら?」

先に口を開いたのは女主人の方であった。その容姿にたがえずなんともやさしさと気品を兼ね備えて美声だ。

「愛する人に花を贈ろうと思っての花を摘みに来た……」

警戒を解くことなくレアニウスはそう答えた。女主人の声を聴いてもその警戒は緩むことはない。それどころかますます厳しくなっている。

「あら 素敵ね きっと喜ぶと思うわ。……贈れたらね……」

芝居がかった動きで女主人は小さくはしゃぐ様なしぐさを見せる。

「でも残念ね ここにある花はすべて私のもの・・・・あなたみたいなどこの馬の骨ともわからない人間には花びら一枚あげる理由はないわ」

そういってそれまで細めていたをわずかに開く。そしての目には恐ろしいまでの暴力的な狂気が潜んでいた。

「!!」

その目を見た瞬間レアニウスは駆け出す。いまここに高いの火ぶたが切って落とされた。

16レアニウス冒険譚:2021/02/10(水) 22:35:49 ID:cnxNPAz20
天空庭園の女主人編2

力強く大地を蹴ったレアニウスが滑るように速度で女主人へと迫る。そしてその美しく整った顔に躊躇いなく拳を打つ。クリーンヒットすれば大の男でも卒倒しさせる威力を持つ拳、本来女性に向けて放つような攻撃ではない。だが、レアニウスに躊躇いは無かった。何処からどう見てもか弱い女性にしか見えないその女主人にレアニウスはそうさせる何か底知れぬものを感じていた。

バシッ

重い音がのどかな花畑に響く。レアニウスの放った突き。その突きは女主人の右手で防がれていた。だが、レアニウスも止まらない。続けざまに左正拳を放つと、次の瞬間には左手を出すと共に引いてきた右手を放つ。そして今度は左足による蹴り込み。しかし、そのすべてを女主人は防いでいる。レアニウスの日だし足を防ぐと今度は女主人が攻勢に出る。左正拳、そしてそのまま肘を曲げたかと思うとその左手で裏拳。レアニウスは正拳をよけ、裏拳を女主人の手首の部分で受け止めると、裏拳を放ったことにより伸びた女主人の左腕を取るとそのまま肘関節に右手を入れて女主人の関節を決めようとする。
しかし、女主人はレアニウスが関節を決めるより早く飛び上がるとそのままレアニウスの上を飛び長いスカートを翻しながらレアニウスの頭上に足を振り下ろしてくる。レアニウスは深追い無用と肘関節を止めようとしてた腕を離すとそのまま後ろに引きさがる。
「うふふふふ どうやら暇つぶしぐらいにはなりそうね。」
 激しい攻防を行いながら女主人は呼吸一つ乱さずそう言い放つ。
「そいつはどうも」
 構えを説くことなく冷静に返すレアニウス。さっきはこちらから攻撃を仕掛けたから今度はそちらからどうぞと言わんばかりに右腕を少し空けて攻撃を誘う。
「できるだけ楽しませてちょうだい」
 その動きに答えるように距離を詰める女主人。狙うはレアニウスが誘ったレアニウスの右側・・・・・・ではなくあえての左側。その左肩を射貫くかのような鋭い拳を放つ。わずかに左肩を下げてレアニウスはカウンター気味に右拳を放つがその拳は女主人の頰をかするのみにとどまる。
「ふふふふ・・・・・・」
「むっ!」
 レアニウスと女主人、闘気と狂気の宿った視線が交差する。
 すかさずレアニウスはかすった拳で女主人の肩をつかむとその肩を下げつつ膝を打ち上げる。狙うは女主人の腹部。しかし、女主人はその膝に威力が乗る前に自身の膝で受け止めると今度は肩を掴んでいたレアニウスの腕を右手で掴み返しその腕に手刀を打ち込もうとする。
「(素早く的確な攻撃。一筋縄ではいかない相手・・・・・・だが、十分勝機はある!!)」
 激しい攻防を繰り広げながらレアニウスはそう判断していた。
 手刀がベストな角度に入る前に肘をこちらから差し向けてダメージを相殺。
 女主人が両手でレアニウスの左腕の対処をしているのを好機と言わんばかりに女主人の腹部をレアニウスの拳が打つ。
 がその拳が届く前に女主人が後ろに下がる。どうやらレアニウスが肘で迎える姿勢を見せた時点で下がるよう計算していた様子だ。
 数歩分下がった女主人、だが下がったのもつかの間、跳ね返るかのようにすぐさまレアニウスに距離を詰めるとスカート生地を翻して大ぶりの蹴りを放つ。今度はレアニウスがそれを下がって回避。そしてすぐさま今度は蹴り込みで反撃に出るが女主人はわずかに体を反らしてそれをよける。レアニウスの足はわずかにドレス生地を揺らすだけにとどまる。
 女主人はそのまま続けて蹴りを繰り返す。横蹴り、蹴り込み、前蹴り。一撃一撃の蹴りが空気を切り、周囲の花をまき散らす様子から鋭さと威力を想像させる。レアニウスは激しい蹴りを体を大きく動かしてよける。そしてタイミングを見計らい女主人が蹴り込みを行った瞬間。
「いまだ!」
 レアニウスの左手が動くと翻ったスカートの一部を掴む。余裕のつもりか、あるいは唯のファイトスタイルなのか。女主人は戦いが始まっても衣装を替えることがなかった。戦いに不向きな衣装、それは拮抗する戦いにおいては隙でしかない。
「普段は女性のスカートをめくるなんてはしたないことはしないんだがな」
 そう言いながらレアニウスはスカートを引っ張る。そうすれば当然女主人の体勢を崩れる。その瞬間。
「発ッツ!!」
―――雷声翼包衝掌―――
レアニウスの渾身の掌が女主人の体をとらえた。

17レアニウス冒険譚:2021/02/10(水) 22:39:12 ID:cnxNPAz20
天空庭園の女主人編3


―――雷声翼包衝掌(ライセイヨクホウショウショウ)―――
雷声とはレアニウスの使う流派を初め東方の武術の奥義の一つ。特殊な呼吸操作を行う事で筋肉の動きを高める事により打ち出す技の威力を飛躍的に増大させる技法だ。いま、レアニウスはその技法に合わせて渾身の掌を女主人に向けて放った。

衝撃で数メートル後ろに下がる女主人。その頭は俯いていて表情を知る事は出来ない。

「はぁ……はぁ……はぁ……」
荒くなった息を整えながら女主人の出方を待つレアニウス。自身の渾身の奥義を喰らっているのだ既に立っているだけでも限界のはず。
何処からともなく女主人の周りを赤い花びらが舞う。周囲には赤い花など咲いていないはずなのに。それと同時に女主人の服装が変化する。よく見れば女主人の衣服が花びらに代わりながら余分な布が離れて行っている様だ。それまでまるで貴族の社交界に出席する様なドレスから一転色合いはそのままでタンクトップにスパッツとまるでアスリートの様な動きやすい姿へと女主人の服装は変化した。
「!!?」
す―っとうつむいていた女主人が顔を上げた。その目は完全に開き切り、その瞳の奥にはゆるぎない闘志と狂気が燃え上がっている。
勝敗が決したなどととんでもない、女主人は今ようやく戦う気になったのだ。
(思ったより着やせするタイプなのだな)
その様な状況にも関わらずレアニウスはそんな事を考えていた。衣装が変わり体のメリハリが良くわかるようになった女主人の体は想像以上に魅力的で胸も豊かに実っている。胸囲90㎝弱と行った所だろうか。打撃戦闘を行う事を考えればかなり均整がとれたプロポーションである。太ももも張りがあり。腰も見事にくびれている。
だが、そんな事を考えている場合ではない、先ほどまでの攻防ですらレアニウスはほぼ全力を出し切っていたのだ。それでいて女主人の方はまだ力を出し切っていない。
(ここからの戦いはさらに厳しく……)
レアニウスがそう考えた次の瞬間レアニウスの直ぐ側に女主人が迫っていた。数メートルの距離を一瞬で、レアニウスですら反応できない速度で移動したのだ。そしてその右拳をレアニウスの腹部に向かって打ち出そうとしている。
「‥‥‥ッ!!」
考えるよりも先にレアニウスの体は防御態勢を取った。左腕を下げて二の腕で女主人の拳を受け止める。だが
「うぐっ!?」
防御の姿勢はギリギリだが間に合った、だがその威力は全く防ぐことが出来ていない。
「なんて重さ、こんな攻撃受けていたら受けているだけで骨が折れる。」
これ以上受けるわけにはいかない。これからは避けるか撃ち落とすかしなければ。だが、その判断から反応するよりも早く女主人が今度はそのしなやかな足でけり込みを放つ。たとえ防御であっても受けてはいけないその考えがありながらレアニウスは回避や相殺の動きをする暇もなくただ両腕をクロスさせて女主人の蹴りを受け止めるしかなかった。
「ぐふぁ!!」
あまりもの痛みにレアニウスの口から苦悶の声が漏れる。そのままレアニウスは後ろに吹っ飛ぶ。女主人の放った蹴り、造作もなく放ったその蹴り一発ですら先ほどレアニウスが放った渾身の掌と同等以上の威力がある。後方に吹き飛んだレアニウスは花弁をまき散らしながら転がる。
「(守っていたら勝てない。反撃しなければ)」
そう判断すると必死の思いでレアニウスは痛みをこらえて自らの回転を止めると大地を強く蹴って女主人へと拳を突き出す。
右頬、左鎖骨、右顎、左下腹部の四か所への拳。さらにそこから女主人の身体を薙ぐかの様に右横蹴りが決まり、周囲に色とりどりの花弁が舞い上がる。
「!!?」

18レアニウス冒険譚:2021/02/10(水) 22:42:14 ID:cnxNPAz20
天空庭園の女主人編4

攻撃を仕掛けたはずのレアニウスの顔が驚愕に染まる。自身が放った蹴りを女主人は片手で受け止めていたのだ。しかも、それだけではない、攻撃を仕掛けた女主人の四か所にはアザどころか擦り傷一つなく、女主人の表情からも全くダメージを受けた様子がない。それどころか殴ったレアニウスの両手にはまるで鉄の塊を殴ったかのように痛みを感じている。
「防御力も上がっているのか……」
レアニウスは今の女主人の形態を防御を捨てた攻撃形態だと踏んでいた。だからこそあれだけの攻撃力を持ち、その分防御力は落ちていると。だが、その予想は無残にも外れた。女主人は能力を振り分け変えたのではない、どの能力も均等に、それで飛躍的に上げているのだ。
「…………」
レアニウスの顔が恐怖にゆがむ。
女主人はそんなレアニウスの様子を満足そうに見ると掴んでいた足を振り回す。全身が鍛えられたレアニウスの体重は80㎏を超える。しかし、女主人は顔色一つ変えず華奢に見える腕でレアニウスを振り回すとそのまま高く上げレアニウスの身体を地面にたたきつける。
「ごふぁ!!」
振り回され視界を高速でかき回せながらもレアニウスは何とか正気を保ち地面にたたきつける際は受け身を取る。しかし、いくら受け身をとっても女主人の圧倒的ポテンシャルの前では大してダメージを減らす事は出来ない。受け身を取ってなおレアニウスの全身は痛みの信号を脳へと送り、その衝撃により呼吸が止まり意識が遠のく。
だが、レアニウスは遠のきがかった意識を目の前の光景を見て無理やり引き戻す。女主人が足を振り上げレアニウスの顔面を踏みつけようとしているのだ。
ガシュ!
女主人が地面に足を叩き落したところ間一髪レアニウスは身体を転がして女主人の踏みつけ(スタンプ)を避ける。
「(反撃を……反撃を……)」
そのまま花畑を転がるレアニウスの頭にはただそれだけの思考しかなかった。回転しながら身体を起すと女主人に向かって必死に拳を打ち放つ。しかし、朦朧とした意識の中で気力のみを振り絞ってはなった拳など今更女主人に通じるわけもない。レアニウスが渾身の力を込めたつもりで放った拳は女主人の頬を軽くなでる程度にかするだけだった。
「どうやら もう終わりの様ね‥‥‥」
そう言って今にも崩れそうなレアニウスの頭を掴み無理やり立たせる女主人。その眼は相変わらず狂気が渦巻き、見るものをゾッとさせるような恐ろしい笑みを浮かべている。
「こんな感じだったかしら」
女主人はそういうとレアニウスの腹部に掌を叩き込んだ。“こんな感じ”と言いながらもレアニウスの雷声や掌の技法を真似たわけではない。ただ、圧倒的なパワーでレアニウスに手の平をぶつけてきただけだ。しかし、そのパワーだけで単純な破壊力は技法を尽くしたレアニウスのそれを上回っていた。
「がふぁ!!」
そう、叫び後を上げながらレアニウスは後ろへと吹き飛ぶ。そして、今度は起き上がれなくなっていた。

19レアニウス冒険譚:2021/02/10(水) 22:43:44 ID:cnxNPAz20
天空庭園の女主人編5

「あら、まだ生きてたの。死ぬくらいの力を入れたつもりだったけど。」
 地面に倒れているレアニウスを見下ろして女主人はそう言い放った。確かにレアニウスは荒い息をして生きている。だが、すでに立ち上がる様子はなく、その力もないようだ。
「ふふふふ 面白かったわ。立派よ20年そこそこしか生きていない人間にしたら十分合格点を上げられる腕ね。」
 そう言いう女主人の目にはとりあえず戦闘中に見せた狂気はすでに宿っていない。一見柔和そうにほほえんでいるが戦闘前の様子を見るにその外見通りの温情を望むことはできないだろうことはうつぶせになっているレアニウスにもわかっていた。
「残念だわ。あと200年もその調子で訓練すれば。私に八割本気を出させるぐらいは強くなれそうなのに。」
 女主人の手がレアニウスを掴むとそのまま仰向けに転がし首元を掴んでレアニウスの顔をのぞき込む。
「貴方、なかなかいい顔してるじゃないの。それに、贈り物に花を選ぶセンスも気に入った。貴方に生きるチャンスを上げるわ。」
 そう言って上げられた女主人の手には赤い果実が握られていた。大きさは卵ほどで居間までレアニウスが見えてきたどんな果実とも違う。いや、果実のように見えるが本当に果実なのかも怪しい。
「これを食べなさい。そうすれば貴方は私の眷属となる。そうすれば今ここで殺されないのはもちろん200年だって2000年だって生きる事は出来るわ。安心なさい、私の眷属になるからと言って私は別に身の回りの世話なんてつまらない事をさせるつもりはないわ。貴方はいままで通り自由に生きていいわ。」
 そう言うとレアニウスの口元へと赤い果実を近づける。レアニウスにその気があれば少し動けばその果実に口が届く距離だ。その距離でレアニウスの反応を待つ。
「こと・・・・・・わる・・・・・・」
 ここでレアニウスが初めて言葉を返した。
「断る……私は惚れた女の為に花を積みに来たのだ……他の女の物となって想い人の前に帰るつもりはない……」
 荒い息はいまだに整えることができず、返す言葉はかすれている。しかし、その目は決して女主人に屈していなかった。
「あら、そんなこと言うの?どのみちこのまま死んだら二度とその人には会えないのよ」
「惚れた女に操を立てられず、どの面下げて生きろと言うんだ・・・・」
「そう、じゃぁお望み通り、貴方を殺してあげる……でも……」
 レアニウスの返答に納得したように赤い果実を握っていた手を下げる女主人。
「その前に、貴方のその想い人への想いも奪ってからにするわ」
 その言葉の次の瞬間再び女主人の周りに赤い花びらが舞う。先ほど、戦闘用の衣装に変化した時と同じだ。しかし、今度は衣装の変化ではない、花びらの渦がさった後女主人は一糸まとわぬ裸の姿となっていた。
「私の体の虜になりなさい」
 そう言うと女主人は力ないレアニウスの唇にキスをした。

20レアニウス冒険譚:2021/02/11(木) 12:45:10 ID:cnxNPAz20
天空庭園の女主人編6

「くちゅ……くちゅ……くちゅ……」
 水音を立てながら女主人の舌がレアニウスの口内を動き回る。
「(甘い……?)」
 動かないからだ、遠のく意識の中レアニウスはそんなことを思った。これは確実に女主人の唾だけではない、ほかの何か薬……
「!?」
そう考えながらレアニウスは気づいた。考えることができている。そう、さっきまでいつ意識を失ってもおかしくないほど朦朧としていたのに。しかも、それでいて。
「(痛みが消えている……? いや、痛みだけではない、傷も体力も……)」
先ほどまで全身を走っていた痛みはもはやなく、擦り傷どころか、打撲、骨折、内臓へのダメージなど数々の怪我が治っているどころか体力まで回復している。
「ふふふふ せっかくこっちで楽しむのだもの……ね……」
そう笑いかけながら女主人の手がレアニウスの胸元に触れる。すっと胸元を指でなぞるとレアニウスの服が裂け鍛えられた肉体があらわになり、そのまま指が下まで下がるとズボンまで避けその布を押しのけるように大きくなった一物が顔を出す。
「へぇ……なかなか素敵じゃない。期待できるわ……」
 そういいながら女主人の白い手がレアニウスの肉棒に触れる。先ほど口の中に押し込まれたものの中に媚薬も交じっていたのだろうか。レアニウスの肉棒はすっかりその気になっており、隆々と上を向いている。
 今の体力ならばもう一度女主人と対峙することができる。だが、レアニウスにはそんな気はなかった。やったところで勝負は目に見えている。そして何より……
白く透き通るような白い肌、豊かに実った双丘、そしてすでにじっとりと湿り、雌の匂いを漂わせている秘所……女主人の魅力的な肢体を前に先ほど戦っていたことも忘れてレアニウスもすっかりその気になっていたのだ。 
「イロディアよ」
唐突に言われたその言葉。しかし、レアニウスにはなぜかその言葉が彼女の名前であることを理解した。
「レアニウス……」
女主人……いな、イロディアの顔の吸い込まれそうな瞳も見ながらレアニウスも自らの名前を告げる。
「そう、楽しみましょうレアニウス……」
そういうとイロディアは再びレアニウスに口づけをすると肉棒をしっかりと握り上下に刺激し始めた。
再び重なる二人の唇、交差する二人の舌。今度はレアニウスも積極的に舌を動かす。もう、先ほどのような甘い薬は感じられない。しかし、それよりも煽情的な女の匂いがレアニウスの鼻孔を突き抜ける。それと同時にレアニウスもイロディアの日秘所へと手を伸ばし、その花弁を愛撫する。すでに女の蜜に濡れていた秘所も淫猥な水音をたてる。
しばらく互いに舌を絡め、精器手淫したあとイロディアが銀色の糸を引きながら唇を離す。
「うふふふふ こっちの方が楽しめそうね」
そういうとレアニウスの頭に両手をけると。
「舐めなさい」
と手に力を籠めゆっくりと、だが有無を言わさずレアニウスの顔を自身の秘所に押し付ける。
「んぐぅ……」
 レアニウスが少し苦し気な声を上げるが拒否する様子はない。イロディアの女性器はすでに十分濡れている。これ以上前戯の必要はなさそうに思えるがどうやらこれがイロディアの嗜好なのだろう。素直にレアニウスは秘割に舌を知らせる。ぴちゃぴちゃと水音を立てながらイロディアの襞をなめ上げていく。次第に
「んっ……あっ……うんっ………」
とイロディアも悩まし気な声をあげ、その声を頼りにレアニウスはイロディアの特に敏感な部分を探り当てていく。やがって
「あっ……あっ………あぁっ………っ!!」
とひと際甲高い声を上げてイロディア体を震わせる。どうやら軽く絶頂を迎えた様だ。

21レアニウス冒険譚:2021/02/11(木) 12:49:13 ID:cnxNPAz20
「はぁ……はぁ……ほんとにいいわ貴方……」
 乱れた息を整えながら熱っぽい視線をレアニウスに、そしてその肉棒へと向ける。そしてレアニウスの涎と自らの愛液の滴る秘所を広げてレアニウスの身体をまたぐと。
「いただくわ……」
 レアニウスのそそり立つ肉棒に向けて自ら腰を下ろす。たっぷりと濡れていたイロディアの花弁はすんなりとレアニウスの肉棒を受け入れる。
「んんあぁっ!」
「うぐっ!」
二人の口から熱い息が漏れる。レアニウスは肉棒を包んだ蜜壺の感覚に浸っていた。戦士として強力なイロディアのモノだけあって窮屈なほど締め上げてくる。
「動くわよ」
 そう告げると激しく腰を動かしだすイロディア。互いの粘膜が擦れレアニウスの頭にも快楽が押し寄せてくる。
「あっ…… あっ…… んっ…… んっ………」
男の上にまたがり自ら腰を振り快楽をむさぼるかのようなイロディア。緑の髪を振り乱し、豊かな乳房がプルプルと弾む。戦闘では汗一つかいていなかったが今は全身に無数の玉のような汗を吹き出し、それがキラキラと輝いている。
 そんな官能的な光景を目にしていればレアニウスの興奮も嫌でも高まっていく。イロディアに腰を打ち付けられるだけでなく、自ら地面から腰を浮かし、イロディアの身体を突き上げていく。
「んふぅ!?」
不意に突きあげられた肉棒が自身の最奥、子宮口へとあたり声を上げるイロディア。
「いっ…… いいじゃないの…… そのまま……そのまま私の奥で果てない!」
強気にそう言い放ち腰を動かすイロディア。その激しさはそれまでよりも増し、より髪が、乳房が激しく揺れる。膣の動きもより活発になり絶頂が近いことはレアニウスにも伝わってきておりやがて……
「あっ……はぁーーーーん!!」
花畑中に響き渡るような絶叫を上げこの庭園の主は絶頂し、それと同時にレアニウスもイロディアの中で果てたまった白濁をその子宮へと吐き出した。

22レアニウス冒険譚:2021/02/16(火) 10:15:42 ID:cnxNPAz20
「「はぁ……はぁ………」」
静けさを取り戻した花畑に二人の荒い息のみがかすかに聞こえる。
「よかったわ…… 貴方…… もう一度聞くわ、私の眷属にならない?」
荒い息をしながらレアニウスの再度問いかけるイロディア

「…………」
それに対して沈黙するレアニウス
「ねぇ……」
再び熱っぽい声で尋ねるイロディア。と次の瞬間。
「!!?」
イロディアの身体にレアニウスはいきなり覆いかぶさり、先ほど性を放ったイロディアの秘所に再び肉棒を押し込んだのだ。しかも、その肉棒はすでに硬さも熱さも取り戻していた。
「ちょっと そんなすぐには……」
戸惑うイロディアに対してレアニウスは今度は正常位男性本位の体位で性行為を開始する。
「あっ……ちょっ もう少しやすま……あっ………!!」
レアニウスになされるがままにされるイロディア二人の戦闘力の差を考えればたとえこんな状況であってもイロディアがレアニウスの命を奪うことなど造作もないことである。それでもなお、イロディアがそうしないのはレアニウスの与える快楽に期待しているからに他ならない。

レアニウスにはわかった事がある。この女、戦闘力は人間の比ではないがどうやら性の方は人間レベルの範疇に収まる様だ。もちろんレアニウスは人間だが今まで数々の淫魔……特に想い人と何度も交わってきたその技術と持久力は常人のそれを大きく上回っている。

長所を生かして相手に優位に立つ。愛する者との経験が命の危機を救う。それだけ聞けば王道英雄譚の様だがやっていることが性行為なのが何とも言えない。だが……
「いっ……いっ……いいぃぃぃっっっ!!」
(この状況で有効なことは違いないな)
自分の下で二回目の絶頂を迎えたイロディアを見ながらそう感じていた。
「はっ……はっ……はっ!!?」
イロディアが息をほどほどに整えかけたところで再びレアニウスは腰の動きを再開する。それと同時に今度はそれまで手を付けていなかった彼女の乳房へも口をつけさらに快楽を増していく。
「すごい。。。。。。すごいコレ・・・・・えぇ!!!」
その後もイロディアの嬌声が青空の下に響き渡るのだった。

23レアニウス冒険譚:2021/02/16(火) 10:17:02 ID:cnxNPAz20
「はぁ……はぁ……はぁ…………」
何度とない絶頂を感じかつてない多幸感を感じながらイロディアは裸で花畑に包まれてい。その隣にはさすがに力を使い切ったレアニウスがいる。二人が交わりだしてどれだけの時間がたったかわからないがとりあえず日がだいぶ傾いているので数時間は立っているだろう。その間レアニウスはイロディアの身体を貪り続け、彼女の身体を何度となく絶頂へと導き、それでもなお彼女の身体を攻め続けた。攻め手のレアニウスも何度となく絶頂し、先ほど二人の常時は一区切りついたところである。
「まだ俺を眷属にするか殺すつもりはあるか?」
全身に疲れを感じながらもイロディアの隣で上半身だけを起こしながらレアニウスが尋ねる。
「んー どっちもやめておくわ。この上眷属にまでなられたら私の身の方が持ちそうにないし、貴方は私を十分楽しませてくれたもの。
 それに、こんだけ精液でドロドロになった後に血を浴びるのも興覚めだわ。あなたは生かして返してあげる。」
 リラックスした様子で伸びをしながら答えるイロディア、その声色に以前の狂気やとげとげしさはない。
「そうか……」
うすうすそんな気がしていたとはいえ、改めてイロディアに考えを聞いて胸をなでおろすレアニウス。
「さってと……」
そういって立ち上がるイロディア、そんな彼女の周りに赤い花びらが集まったかと思うと次の瞬間には彼女は最初あった時と同じドレスに身を包んでいた。
「どんな女性なの?」
とレアニウスに尋ねた
「はぁ?」
突然の質問に意味が分からず尋ね返すレアニウス。そんなレアニウスの身体にも花びらがまとわりついたかと思うと次の瞬間には衣服となっていた。さすがに最初に着ていた功夫道着ではないが着心地もデザインも悪くない。
「貴方が花束を贈ろうとした相手よ。私が花を見繕ってあげるわ。」
「なっ……」
イロディアの思ってもない申し出に驚きの声を上げるレアニウスまさか無事帰れるだけでなく、そんなことを天空庭園の女主人がいうとは。
「だって、貴方。エッチが終わったとたんその子のことを考えてるんだもの。私の前だというのに。もう、そこまでされたら嫉妬する気にもならないわ。相当いい子なんでしょ?どんな子のなの?私がその子にぴったりの花束を用意してあげるわよ。」
「えぇっと 彼女は。。。。。。」
そういってレアニウスは思い人の年齢や身体的特徴を伝えていく。
「そうね、そんな子だったら……」
とレアニウスの説明を聞き終わってから花畑を歩きながら花を集め始めるイロディア
「………!!?」
その姿、花を集めるイロディアの姿にレアニウスはわずかに胸をときめかせてしまい慌ててその念を振り払うのであった。

24レアニウス:2021/03/12(金) 17:48:26 ID:cnxNPAz20
魔神降臨編1



煌々と満月が照らす森の中の道を5つの陰がひたむきに進んでいる。

「もっとペースを上げるか?」

先頭をいくレアニウスが僅かに後ろを走る戦士に声をかける。

「いや、この後戦闘になる。移動に体力を使い過ぎるわけにはいかない。それに・・・・・・」

 そう言って剣士はさらに自分の後ろを走る面々を見る。剣士の後ろには弓を背負ったレンジャーが、さらに後ろにはローブ姿に杖を携えた魔術師が走り、殿を軽装の盗賊がつとめている。
東方の剣士ムネタダ、盗賊のヴェント、レンジャーのゲンゼン、魔術師マントール そして武闘家のレアニウス。冒険者パーティーとしてはバランスが取れ、全体的に腕前も高い。しかし、野外活動に慣れた四人はともかく、フィールドワークには不慣れな魔術師のマントールには今のペースでもぎりぎりと言った様子だ。

「クッ……」

 口惜しいと思いながらもレアニウスはそれに同意するしかない。マントールともう一人誰かを置いて三人が先行することも考えたが、これから起こるであろう戦闘を考えると戦力を分断するリスクは負えない。
 人間と魔族、世界を二分する大戦が終わってからすでに数年の年月が流れた。絶大の力を持って魔族だけでなく、人間を支配しようとする魔王、それを阻止すると言う名目で利権を貪ろうとした人間の帝王はどちらも倒れ、世界はゆっくりとだが融和の道を進もうとしている。しかし、争いの種はそう易々と尽きる訳ではない。むしろ、こんな時代だからこそ自らの欲望のために動き出そうとする輩は後をたたないのだ。
 そんな中、レアニウスの元に届いた依頼は「魔神の復活を目論むカルト集団の野望を阻止して欲しい」とのものだった。
 魔神とは正式な種族のではないが、魔族の中でも強力な個体に対する呼称である。その強さ、能力の質にはムラがあるが概ね一体で複数の都市や大国を蹂躙・壊滅できるほどの力をもつものがそう呼ばれる。村の伝承にある500年前に封印された魔神を復活させ、自らの欲望のために利用しようとしている集団がいるとのことだった。にわかには信じがたいことであったがその話を知らせた村人が持ち込んでいた祭器を狙い件のカルト集団--グリザリア暗黒教団--が襲来、その際に酒場におり、撃退した5人組の冒険者であるレアニウスたちが魔神復活を阻止するために動き出したのである。
 何度となく祭器を巡ってグリザリアと戦いを繰り広げたが遂には祭器を奪われてしまい、魔神復活の鍵をそろえられたしまった。
 魔神復活の儀式は村の奥にある魔方陣の遺跡で行われると言う情報を持っていたレアニウスたちは一路その遺跡を目指して突き進んでいる所であった。


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