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('A`)ドクオの失敗記録のようです

20名無しさん:2025/09/14(日) 21:29:58 ID:PqtoatnQ0
('A`)「いいね。気を付けて」

少しの逡巡の後、僕は作り笑顔を作って、予定通りの進路を選んだ。我ながら最高にカッコ悪いカッコつけだ。でも、これしかできない。

(゚、゚トソン「えー。冷たいなぁ」

('A`;)「・・・ゴメンね」

(^、^トソン「冗談冗談。また明日」

そう言うと、小さく手を振るトソンさん。僕はそれを見て、ぎこちなく手を動かす。
また、一人になった通学路。さっきよりも一人だ。僕は寂しくなって、そばの公園に入る。

('A`)「嗚呼。はやくおじいさんになりたいな・・・」

カバンから、八百屋で買ったバナナ出して、むく。ぱくる。人気のない公園に、風だけが吹き抜ける。
僕は眠気に襲われて、ベンチをベッドに横になる。教科書一冊、顔の上に開いて乗せる。ぺたんこの学生カバンを枕にする。
まるで夢を見ているような現実の中、少しのあいだ夢を見る。

それは、幸せな夢。普通の人みたいに部活とか入って、普通の人みたいな青春を送る夢だ。

21名無しさん:2025/09/14(日) 21:30:45 ID:PqtoatnQ0
('A`)「はは。叶うわけないんだよ・・・」

('A`)「むしろ、これでも上出来だ」

誰にも聞こえない声で、呟いた。頭にあるのは、過去のことと、今のこと。

('A`)「・・・なんでトソンさんは、俺なんかに構ってくれるのかな」

(゚、゚トソン「ほう。それよりも、なんで鬱田くんは寝てるのかな?」

('A`;)「・・・・・・」

(^、^トソン「ここ、人少なくていいね〜」

おそるおそる、目隠しの教科書を取る。すると太陽を陰にして、トソンさんの顔がある。
謀らずも、合ってしまう目。彼女の丸い目が、ニマーと細くなる。

(゚、゚トソン「結局サボリはいけないなと思ってさ。引き返したら、寝てる人がいるんだもん」

('A`)「・・・まあ、びっくりするか」

(゚、゚トソン「で、誰かなーと思って。よく見たら鬱田くんで。なんか独り言いってたね?」

死なせてくれ。今までの人生の中で、ここまで切実に思ったのは2回目だ。

22名無しさん:2025/09/14(日) 21:31:30 ID:PqtoatnQ0
('A`;)「・・・あの」

(゚、゚トソン「で、独り言さ。聞いちゃったんだけどさ。鬱田くんって卑屈だね」

('A`)「うん。まあ。そうだと思う」

(゚、゚トソン「それで私はね、ちょっと卑屈くらいな人が好きなの。自分もそうだから」

('A`)「・・・俺はだいぶ卑屈だよ」

(^、^トソン「そう言うよね。そういう所がいいなって」

('A`;)「・・・・・・」

待ってくれ。なんかさらっと好きって言われたんだが。この文脈どっちだよ。流石にライクだよな・・・。
いやでもライクに見せかけて本心のラブ言うタイプの、回りくどい『好き』かもしれん。女子ってそういうことするやん。漫画だと。
でもそうだ、危ないここは現実だ。すぐ舞い上がるのは良くない癖だ。

('A`)「とりあえず・・・なんかありがとう」

(゚、゚トソン「いえいえ」

('A`;)「正直、トソンさんがいて、俺はだいぶ助かってて・・・悪く思われてないなら、良かったよ」

(゚、゚トソン「おお〜。それなら私もよかった!」

23名無しさん:2025/09/14(日) 21:32:00 ID:PqtoatnQ0
自分なりに吐き出した本心が、アッサリ拒絶されなくて、ホッとする。
僕とトソンさんはベンチに横並びになって、少しだけ間ができる。

(゚、゚トソン「ところで、もうじきお昼だけども。学校どうする?」

口を開いたのは、トソンさん。気付けばそんな時間だ。

('A`)「うーん。今日は5時間か」

(゚、゚トソン「最後の1時間だけ行くん?」

('A`)「行かない」

(゚、゚トソン「じゃあ私も。ファミレス行こう!」

('A`;)「・・・さっきバナナ食べたからいい」

(゚、゚トソン「え!! ズルじゃん」

('A`;)「まだ全然余ってるよ・・・」

僕はバナナの残りを全部トソンさんに押し付ける。正直心が限界なので、食べてもらってる間に逃げる作戦だ。
3本あれば、一本食べ終わるのが3分として、9分は稼げる。

24名無しさん:2025/09/14(日) 21:32:53 ID:PqtoatnQ0
('A`)「・・・・・・」

(゚、゚トソン「うめ〜。牛乳飲みて〜」

しかし作戦は失敗。バナナ食べ歩きJKが誕生しただけだった。

このあと僕らは10分ほど歩き話をして、ホームに向かう階段で別れる。

('A`)「じゃあここで・・・」

(゚、゚トソン「おー。バナナありがとね」

トソンさんは、僕とは逆方向の電車で帰る。
今日のところはホッとしたけど、嬉しいのか悲しいのか分からない。

('A`)「まあ、喜んでおくか」

折角、卑屈な自分を好きといってくれたんだ。
ガラ空き電車の昼下がり、僕は水色の心に包まれる。

25名無しさん:2025/09/14(日) 21:37:38 ID:PqtoatnQ0
つづきます〜
コメント励みになります、ありがとうございます!
引き続きよろしくお願いします


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