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彡(゜)(゜)「ワイは菅野直。日本帝国海軍の撃墜王や」
101
:
名無しさん
:2024/05/20(月) 19:06:01 ID:sEJf1DRg0
( ゚∋゚)「フッ、ありがとう。まあ、でも……」
( ゚∋゚)「二万人が受けて、合格できるのは400人という狭き門だったんだ」
( ゚∋゚)「いや……言い訳だな……」
( ゚∋゚)「自分の力不足さ」
彡(゚)(゚)「ユッキー……」
( ゚∋゚)「心配するな、まだ陸軍の試験が残っている」
( ゚∋゚)「そっちに賭けるさ」
彡(゚)(゚)「頑張るんやで!」
( ゚∋゚)「あったりまえよう!」
102
:
名無しさん
:2024/05/20(月) 19:06:52 ID:sEJf1DRg0
春夏秋冬どれも一番を持っているのは人間が生を楽しむからである
彡(^)(^)「よっしゃー!やっと受験から解放された!!」
彡(^)(^)「ワイは自由や」
彡(゚)(゚)「聞いたところによると、兵学校に受かったら女学生に……」
彡(゚)(゚)「MMK(もてもてで困る)らしいで……」
彡(゚)(゚)「ええ娘をナンパして一緒に映画でも見て……」
彡(^)(^)「青春を謳歌するで!!」
彡 •⌄• )つ「チョク兄ィ、海軍学校から手紙よ」
彡(゚)(゚)「おお、ありがとやで」
103
:
名無しさん
:2024/05/20(月) 19:07:19 ID:sEJf1DRg0
彡(゚)(゚)「なんやろ?」
彡(゚)(゚)「ふむふむ……」
彡(•)(•)「はぁ?」
彡 •⌄• )「どうしたの?」
彡(•)(•)「物のあわれを知らん軍の俗物どもめ!!」
彡(•)(•)「諸事情により四月の入学を十二月に早めるやと?」
彡(•)(•)「それやと…」
彡(●)(●)「まったく遊ぶ時間がないやんけ!!」
彡; •⌄• )「あちゃ〜お気の毒……」
彡;(゚)(゚)「くっ、せめてこの新約聖書ぐらいは読破したる!!」
104
:
名無しさん
:2024/05/20(月) 20:49:26 ID:3dj.q70M0
乙乙
面白いしためになるしで読めて嬉しい
主役AAが珍しいけど、合ってるなーと納得
個人的に1エピソード毎か1回の投下の終わりに、区切りとわかる目印か一言かを付けて貰えると、乙しやすくて助かります
105
:
名無しさん
:2024/05/20(月) 21:25:47 ID:sEJf1DRg0
>>104
ありがとうございます
次からは終わりの一言を入れます
106
:
名無しさん
:2024/05/21(火) 18:32:33 ID:CMLaJ15M0
神よ人間は苦し
彡(゚)(゚)『何がなく 心かなしく 登校して』
彡(-)(-)『少佐の戦死を 聞きにけり』
井上少佐( ˙灬˙ )の戦死の報告に
チョク兄ィは深く悲しんだ
井上少佐は中国、上海付近の戦闘で亡くなったらしい
この時、日本と中国の戦争は激化していた
もしかしたら、チョク兄ィの入学が早まったのも
このことが関係していたのかもしれない
107
:
名無しさん
:2024/05/21(火) 18:35:33 ID:CMLaJ15M0
されど神よ、人間はよろこびを持っている。生きるすべを知っている
自分の心は多恨である 自分の心は悲を認む 自分の心は非を怒す
自分の心はもどり難い 自分の心は文を好む 自分の心は傲岸だ
自分の心は飾を要す
彡(゚)(゚) .。oO
108
:
名無しさん
:2024/05/21(火) 18:39:04 ID:CMLaJ15M0
神はすべてに宿る。醜き人にも美しき花にも之は宿る
彡(-)(-)『何もかも 心の奥にうちひめて』
彡(゚)(゚)『戦の庭に 立つや 男子』
109
:
名無しさん
:2024/05/21(火) 18:43:22 ID:CMLaJ15M0
広島県江田島 海軍兵学校 保健室
:(´ºωº`):「凍える……凍える……」
ボクは笹林 武(ササバヤシ タケシ)
海軍兵学校に入学したばかりの一年生だ
なぜ、ボクが凍えているかって?
それにはちゃんと理由がある
ボクたち海軍兵学校第70期生は
四月入学だったのを十二月に早められた
110
:
名無しさん
:2024/05/21(火) 18:46:21 ID:CMLaJ15M0
本来なら春の暖かい時に足腰を鍛える基礎訓練が始まり
夏の日差しが降り注ぐ中で水泳をして全身の柔軟性を養って
秋の紅葉が覆い茂る山を登って心身を鍛え上げ
冬に総締めのもっとも過酷な厳冬訓練がなされるはずであった……
なのに、前例がないからと何の配慮もなく
入学して早々のボクたちは
このもっとも過酷な厳冬訓練に初っ端から参加させられる羽目になった
111
:
名無しさん
:2024/05/21(火) 18:49:15 ID:CMLaJ15M0
:(´ºωº`): .。oO(雪の降るなか……)
やったこともないボート訓練でびしょ濡れになる
体調を崩さないほうがどうかしてるよ
:(´ºωº`): .。oO(それでもやっぱり……)
軍人の世界だから
「根性がない!!」
「それでも帝国日本海軍の一員か!!」と怒られる
とんでもない世界にきてしまったようだ
こんなので…この先やっていけるか不安だよ……
112
:
名無しさん
:2024/05/21(火) 18:50:33 ID:CMLaJ15M0
バン!
彡(^)(^)「フゥー寒い、寒い」
(´・ω・`) .。oO(誰だろう?)
戸を勢いよく開けて、ニコニコした男が入ってきた
彡(゚)(゚)「なんや?先客がおるやんけ」
彡(゚)(゚)「ちょっと横のベット借りるで」
(´・ω・`) .。oO(彼は……たしか同級生の……)
彡(゚)(゚)「お前、ワイと同期か?」
(´・ω・`)「うん、笹堀 武っていうんだ」
(´・ω・`)「みんなからはタケって呼ばれてる」
(´・ω・`)「これからよろしくね」
113
:
名無しさん
:2024/05/21(火) 18:51:50 ID:CMLaJ15M0
彡(゚)(゚)「ワイは……」
(´・ω・`)「知ってるよ、菅野直だろ」
(´・ω・`)「入学式の自己紹介で……」
(´・ω・`)「さんざん上級生にしごかれて、何度も名乗ってたから……」
(´・ω・`)「覚えちゃった」
彡(゚)(゚)「なんやワイ、そんな有名人になってしもうたんか」
彡(•)(•)「それにしても許せんでアイツら……」
彡(•)(•)「ワイはちゃんと“なおし”って名乗ったんに……」
彡(゚)(゚)「何ィ〜カンノナオス〜、発音が悪い、やり直せ……」
彡(゚)(゚)「とぬかしおって」
彡(●)(●)「方言でなまるのはしゃーないやんけ!!」
(´・ω・`) .。oO(反骨精神の強い人だな……)
114
:
名無しさん
:2024/05/21(火) 18:53:19 ID:CMLaJ15M0
彡(●)(●)「それに…こんな寒い中、あんなアホな訓練をしおって……」
(´・ω・`)「まあまあ、しょうがないよ」
(´・ω・`)「ボクたちは軍人になろうとしてるんだし」
彡(●)(●)「……」
彡(゚)(゚)「せやな!」
彡(゚)(゚)「改めてよろしゅうな タケ」
彡(゚)(゚)ゞ「ワイは菅野 直。みんなからはチョクと呼ばれとる」
(´・ω・`)ゞ「うん、よろしくチョク」
115
:
名無しさん
:2024/05/21(火) 18:54:47 ID:CMLaJ15M0
彡(゚)(゚)ゞ(´・ω・`)ゞ
これがボクとチョクの出会いだった
彼とは気が合い、この後も長くつるむ仲となった
でも、まさかこのとき
彼の最期を見届けるのがボクになるとは思いもしなかった
116
:
名無しさん
:2024/05/21(火) 18:56:58 ID:CMLaJ15M0
今回はここまで
117
:
名無しさん
:2024/05/21(火) 23:30:20 ID:sxrhHH8c0
乙乙
118
:
名無しさん
:2024/05/21(火) 23:47:34 ID:UjaD4arw0
乙です
119
:
名無しさん
:2024/05/22(水) 18:58:56 ID:iV2RYsNQ0
海軍兵学校の生徒には序列がある
鬼の四年、むっつり三年、おふくろ二年、ガキの一年
下級生にとって上級生の命令は絶対だった
(`四´)「チンチンはよく洗って入れ!」
(`四´)「チンチンをタオルで隠すな!」
と風呂の入り方にも激が飛ぶ
(`四´)「湯船に入っていいのは三分までだ!」
彡(゚)(゚)「ワイらはカップラーメンかいな」
(´・ω・`)「最近は五分とか六分のも多いから……」
(´・ω・`)「カップラーメン以下だよ」
(`四´)「そこ!無駄口を叩くな!」
彡(゚)(゚) (´・ω・`)『はい!』
120
:
名無しさん
:2024/05/22(水) 19:00:03 ID:iV2RYsNQ0
(`四´)「ふんどしは尻がキュッとなるまで締めろ!」
(`四´)「サスペンダーの付け方は分かるか!」
彡(゚)(゚) (´・ω・`)『分かりません!』
(`四´)「なんだと!」
(`四´)「サスペンダーはこうやって付ける」サッ
(`四´)「長さの調節はここをこのように弄ってする!」
(`四´)「さあ、やってみろ!」
彡(゚)(゚) (´・ω・`)『はい!』
彡;(゚)(゚)「痛っ、指が挟まった!」
(;´・ω・` )「う〜ん上手く調整できない……」
121
:
名無しさん
:2024/05/22(水) 19:00:41 ID:iV2RYsNQ0
(`四´)「なにをやっているか!はやくしろ!」
(`四´)「海軍のモットーは早飯、早ぐそ、早支度だ!」
彡;(゚)(゚) (;´・ω・` )『はい!』
彡(゚)(゚) (´・ω・`)『できました!』
(`四´)「よし!初めてにしてはよいできだ!!」
(´・ω・`).。oO(言葉は荒いけど……)
指導の仕方はけっこう丁寧だ
彡(゚)(゚)「おいタケ、あれ見てみ……」
(´・ω・`)「どれだい……あーそうゆうことか……」
壁の中央には堂々と大きく達筆な字で書かれた校訓があった
『目に見せて 言うてきかせて させてみて』
『褒めてやらねば 誰もせぬぞよ』
122
:
名無しさん
:2024/05/22(水) 19:01:32 ID:iV2RYsNQ0
(´・ω・`).。oO(兵学校の暮らしは大変だ……)
朝早くに鳴らされる起床ラッパと同時に跳ね起き
素早く着替えて、パジャマと毛布をたたんで
集合場所に飛び出していかなければならない
(;´・ω・` ) .。oO(ボクはのんびりしてる性格だから)
いつも到着するのはビリだった
(`四´)「遅いぞ!またお前か!!」
(;´・ω・` )「すみません!」
そして、毎回、怒られる
それに引き換え動きが俊敏なチョクはさっさと整列していた
123
:
名無しさん
:2024/05/22(水) 19:02:06 ID:iV2RYsNQ0
点呼が終わると朝の体操がはじまる
(´・ω・`) .。oO(体操が終わったら朝ごはんだ)
食事にはよく鰯(イワシ)が出た
おそらく大量に獲れて安いからだろう
でも、毎回だされてたら飽きてイヤにもなってくる
それを見越してか、ミンチの団子になって出てくることもあるが……
味はイワシのままだ
ボクたちはこの飽き飽きした団子に皮肉を込めて
“粉骨砕身〟と名前をつけた
124
:
名無しさん
:2024/05/22(水) 19:02:48 ID:iV2RYsNQ0
(´・ω・`)「また粉骨砕身だ……」
彡(゚)(゚)バクバク
(´・ω・`)「チョクはよく食べるね……」
(´・ω・`)「イヤにならない?」
彡(゚)(゚)「ん?田舎のメシと比べたら……」
彡(゚)(゚)「ここのメシは上等やで」バクバク
125
:
名無しさん
:2024/05/22(水) 19:03:28 ID:iV2RYsNQ0
朝食が終わると授業が始まる
訓練として軍事学、砲術、運用術、信号術、電話術
そして、剣道 or 柔道
座学に物理、化学、数学、英語、歴史
これらがお昼を挟んで午後一時まで行われ
その後は、自習をしたりと自由な時間となっていた
彡(゚)(゚)「なんや?思ってたよりプライべーな時間が多いやんけ」
彡(^)(^)「読書もできそうやな」
(´・ω・`)「チョクは本を読むの?」
(´・ω・`)「なにかおすすめを教えてよ」
彡(゚)(゚)「せやな……やっぱ啄木の一握の砂やな」
126
:
名無しさん
:2024/05/22(水) 19:04:13 ID:iV2RYsNQ0
(´・ω・`) .。oO(でも、軍学校はそんな甘いところではなかった)
(`四´)「お前ら!アレを持って来い!」
(`四´)「お前ら!アレをやっとけ!」
と、上級生から雑務を押し付けられた
そのせいでボクたちには自由な時間がほとんどなかった
127
:
名無しさん
:2024/05/22(水) 19:04:46 ID:iV2RYsNQ0
(´・ω・`) .。oO(そんな中……)
ボクたちが唯一こころを休めることができたのは……
トイレだった
( ;´-ω-` )「はあ〜疲れた……」
「はあ〜疲れた……」
(;´・ω・` ) .。oO(みんな考えることは一緒だ)
どの個室からもため息が聞こえる
彡;(゚)(゚)「は、腹が……」グーギュルギュル
彡;(゚)(゚)「ファッ!満室やんけ!!」
彡;(゚)(゚)「おい!誰でもいいから出ろや!!」
彡;(゚)(゚)「どうせ便意もないくせに籠っとるんやろうが!」
128
:
名無しさん
:2024/05/22(水) 19:05:32 ID:iV2RYsNQ0
シーン
(;´・ω・` ) .。oO(誰も出ようとしない……)
そりゃそうだ
皆この安息の場所を奪われたくはない
ここは戦場なんだ!最後の砦なんだ!
戦場において譲り合いの精神など……
それこそトイレなだけにクソくらえだ!
彡;(゚)(゚)「あ……」
129
:
名無しさん
:2024/05/22(水) 19:06:18 ID:iV2RYsNQ0
その後、一年生 総勢約400人がグラウンドに集められた
彡(゚)(゚) (´・ω・`)`0´)`0´)`0´)`0´)`0´)`0´)
(`四´)……
(`四´)「今日、一人の……尊い日本男児が散った」
(`四´)「それも仲間に見捨てられてだ……」
(`四´)「帝国軍人としてあるまじき行為だ!」
(`四´)「心当たりのあるものは一歩前へ出ろ!」
彡(゚)(゚)
一人……チョクが前に出た
(;`四´)「すまん……そういう意味ではない」
(;`四´)「仲間を見捨てたと身に覚えのあるものは前に出ろ」
彡(゚)(゚)……
(´・ω・`) .。oO(日本語ってなんて難しいんだろう……)
130
:
名無しさん
:2024/05/22(水) 19:06:56 ID:iV2RYsNQ0
(`四´)「なんだ!誰もいないのか!!」
シーン
(;´・ω・` ) .。oO(誰も前にでない……)
そりゃそうだ
出て行ったら怒られて殴られるに違いないんだから
(`四´)「それでも貴様らは兵学校の生徒か!」
(`四´)「恥を知れ!」
(`四´)「俺は一人……前に出てきた菅野のことを考えると……」
(`四´)「涙がでる!」
彡(゚)(゚)……
(´・ω・`) .。oO(そりゃあ…そうでしょうよ)
131
:
名無しさん
:2024/05/22(水) 19:07:36 ID:iV2RYsNQ0
(`四´)「貴様らは自分さえよければ…」
(`四´)「それでいいのか!!」
(`四´)「一兵卒なら我が身可愛さも許されるだろう」
(`四´)「しかし、我々は栄えある日本帝国海軍の士官候補生だ」
(`四´)「我々はこの先、士官として一兵卒を率い戦わなければならない」
(`四´)「だが、我が身を第一と考える士官に兵はついてこない!」
(`四´)「人を率いる者は我が身を投げ出してでも……」
(`四´)「仲間を部下を守らなければならない!」
彡(゚)(゚)……
(´・ω・`)……
132
:
名無しさん
:2024/05/22(水) 19:08:37 ID:iV2RYsNQ0
(`四´)「それができない……まして仲間を見捨てるような者は……」
(`四´)「さっさと荷物をまとめて故郷へ帰れ!」
(`四´)「今一度、問う!」
(`四´)「トイレに籠ったことのある奴は全員、前に出ろ!」
(´・ω・`)`0´)`0´)`0´)`0´)`0´)`0´)ザッ
みんなが一斉に一歩前に出た
(`四´)「よし!それでこそ日本帝国海軍の軍人だ!」
(`四´)「だが、今回の件は罰しなければならない!」
(`四´)「歯を食いしばれ!」
(´・ω・`) .。oO(結局、殴られるんかい)
=◯)`ω゚)∵ボコッ!!
(#・ω・`)「痛ててて……」
こうして一人ずつ鉄拳制裁を喰らうことになった
(`四´)……
彡(゚)(゚)……
(`四´)「ついでだ!」
=◯)゚)(゚)∵「なんでやねん!」
133
:
名無しさん
:2024/05/22(水) 19:09:33 ID:iV2RYsNQ0
(`四´)「お前ら!消毒液を補充しとけ!」
(´・ω・`)「はい!」
(`四´)「お前ら!ちゃんと掃除しろ!」
(;´・ω・` )「はい!」
(;´・ω・` ) .。oO(上級生からの雑務の押し付けは止まることを知らない)
このまま場当たり的に対応していては
とてもじゃないがどこかでキャパオーバーしてしまう
上手いこと仕事を割り振って、効率的に人を動かさないと……
134
:
名無しさん
:2024/05/22(水) 19:10:06 ID:iV2RYsNQ0
(`四´)「お前ら!アレを準備しろ!」
(;´・ω・` )「はい!」
(;´・ω・` )「工藤くん、お願いできる?」
`0´)ゝ「了解!」
(`四´)「お前ら!アレはどうなっている!」
(;´・ω・` )「はい!」
(;´・ω・` )「佐藤くん、確認してきてくれる?」
`0´)ゝ「任せろ!」
(`四´)「お前ら!このふんどしを洗っとけ!」
(;´・ω・` )「はい!」
(;´・ω・` )「チョク、洗ってきて」
彡(•)(•)「だが、断る!」
135
:
名無しさん
:2024/05/22(水) 19:10:49 ID:iV2RYsNQ0
(;´・ω・` )「忙しいんだから、我がまま言わないでよ」
彡(•)(•)「タケ!お前はワイにばっかり嫌な役をやらせやがって!」
(;´・ω・` )「そんなことないよ!君が適任なだけだよ!」
(;`・ω・´)「こっちも大変なんだから、とにかくさっさとやってよ!!」
(;`・ω・´)「君はふんどしを洗うのは得意だろ!」
彡(●)(●)「あん!馬鹿にしとんのか!!」
(ꐦ`•ω•´)「事実を言ったまでだよ!!」
136
:
名無しさん
:2024/05/22(水) 19:11:42 ID:iV2RYsNQ0
チョクは体が小さいくせに、よく突っかかってきた
まともに組み合えば、体の大きいボクの敵ではない
でも、彼はその小柄な体を活かして
下から飛び上がるように殴って来る
そうすると顔面を突き上げるかたちになり、余計にきく
137
:
名無しさん
:2024/05/22(水) 19:12:09 ID:iV2RYsNQ0
剣道の授業でもチョクの俊敏さは活かされていた
彼は接近戦のごちゃごちゃした揉みあいを嫌った
チョクが好んだ戦法は一瞬でかたをつける貫き胴だ
(´・ω・`)/ \(゚)(゚)ミ
少し離れた場所から体をぶつけるように踏み込み
一気に胴をなでるように切り裂いていく
「胴!!!」\(゚)(゚)ミ三三3 (。゚ω゚)/
138
:
名無しさん
:2024/05/22(水) 19:12:46 ID:iV2RYsNQ0
(´・ω・`) .。oO(でも、チョクを相手にして一番厄介だったのは……)
相手がどれほど大きくても臆することなく
躊躇なくぶつかっていき
なにがなんでも勝とうとする
不屈の闘志だった
139
:
名無しさん
:2024/05/22(水) 19:13:55 ID:iV2RYsNQ0
今回はここまで
140
:
名無しさん
:2024/05/22(水) 20:40:11 ID:Jdxb8MDQ0
乙乙
141
:
名無しさん
:2024/05/23(木) 19:18:25 ID:fAkrps.k0
(´・ω・`) .。oO(海軍の訓練で一番苦しいのは…)
手漕ぎボート訓練だ
舟は十二人乗りで総重量が約二トン
オールの長さはだいたい四メートル
握るところの太さは拳一個分だ
こんな重たく大きな舟を人力で動かすのは並大抵のことではない
142
:
名無しさん
:2024/05/23(木) 19:18:51 ID:fAkrps.k0
腕力だけではどうにもならず、強い背筋力と握力も必要とした
でも、なにより必要であったのが
仲間とこころを合わせ一致団結することだった
ボクたちは多くの時間と労力と汗を流して気持ちを一つにした
そうしてやっとの思いでゴールしたとき
それまでの苦労は吹っ飛び、なんとも言えない爽快感を味わった
143
:
名無しさん
:2024/05/23(木) 19:19:22 ID:fAkrps.k0
(;´・ω・` ) .。oO(でも、その後も大変だった)
舟の座席は固定された堅い木で出来ていたので
尻の皮がよくむけた
ほうっておけば血で、サルの尻のように真っ赤になる
だから、早急な治療が必要だった
その治療方法は……
二人一組になって片方が尻をむき出しにして
もう片方が薬を塗り、はやく乾かすために下敷きで扇ぐ
(;´・ 3 ・ ) 三3 彡(゚)(゚)「はえー」
144
:
名無しさん
:2024/05/23(木) 19:19:48 ID:fAkrps.k0
( ;´-ω-` ) .。oO(なにが悲しくて……)
厳しい訓練の後に野郎の汚い尻を見なきゃいけないんだろう…
せっかく味わった達成感も台無しだ
でも、まあなんだかんだこういったことも含めて
ボクたちの仲間意識はさらに強く深められた……と思う
145
:
名無しさん
:2024/05/23(木) 19:20:23 ID:fAkrps.k0
座学の真っ最中
(´・ω・`) .。oO(ヒマだなぁ)
海軍学校では軍事訓練は鬼のような厳しさだが
一般科目の授業はのほほんとしている
でも、ヒマはヒマで辛いものがある
(´・ω・`) .。oO(教授の似顔絵でも描いて時間を潰そう)
カキカキ……
146
:
名無しさん
:2024/05/23(木) 19:20:46 ID:fAkrps.k0
( ¯灬¯ )「君……なにを描いているのだね?」
(。゚ω゚)「あ、え、その……」
(。゚ω゚) .。oO(しまった……つい夢中になっていて)
教授が側に来たことに気づけなかった
(。゚ω゚)「先生の……似顔絵です……」
( ¯灬¯ )「む!!」
(;´・ω・` ) .。oO(さすがに温厚な教授でも……)
怒られるよね……
147
:
名無しさん
:2024/05/23(木) 19:21:14 ID:fAkrps.k0
( ¯灬¯ )「先生と言うやつがあるか!」
(;´・ω・` )「あ!すみません、教授……」
海軍学校には変なルールがあった
武官出身の先生は教官、文官出身の先生は教授と呼び分けていた
( ¯灬¯ )「違う!!教官と呼びなさい!」
(;´・ω・` )「え?えーと、すみません教官……」
( ¯灬¯ )「うむ、次から気をつけるように」
(´・ω・`) .。oO(あれ?)
この先生は文官出身だったはずだけど……
彡(゚)(゚)「なんか……おもろそうな人やな」
148
:
名無しさん
:2024/05/23(木) 19:22:07 ID:fAkrps.k0
教官について調べた
( ¯灬¯ )←は英語の先生で名前は平賀春二
江戸時代の発明家 平賀源内と同じ苗字だが関係はないみたいだ
彼は若き頃、海軍兵学校を受験したが不合格となった
それでも何としてでもこの学校に入りたいと願い
学校の先生として入校を果たした変わり者だ
でも、教授……教官はこよなく海軍を愛し、生徒を愛する
よい先生だった
149
:
名無しさん
:2024/05/23(木) 19:22:39 ID:fAkrps.k0
とても気さくな方でもあり
ある日、チョクと立ち話していたら
彡(゚)(゚)「知っとるか?」
彡(゚)(゚)「あの芥川龍之介もこの学校で教鞭を奮っとたんやぞ」
(´・ω・`)「へー」
彡(゚)(゚)「お!あそこにおるのは……」
彡(゚)(゚)ゝ「平戸艦長、お疲れ様です」
( ¯灬¯ )ゝ「うむ」
(;´・ω・` )「え?」
名前も役職も違うけど……
どういうこと?
150
:
名無しさん
:2024/05/23(木) 19:23:09 ID:fAkrps.k0
(´・ω・` )「チョクどういうことだい?」
彡(゚)(゚)「あの人は何か知らんが訓練艦『平戸』で寝起きしとるんや」
彡(゚)(゚)「それで、試しに平戸艦長と呼んだら気に入ってもらってな」
彡(゚)(゚)「文官出身なんに教官と名乗ったりと……」
彡(゚)(゚)「面白い先生やで」
彡(^)(^)「ワイは平賀教官が好きやわ」
151
:
名無しさん
:2024/05/23(木) 19:23:48 ID:fAkrps.k0
(`3´)「おい、お前!」
(´・ω・` )「はい!」
=◯)`ω゚)∵ボコッ!!
(`3´)「気がたるんどる!」
(#・ω・`)「はい……すみません」
(#・ω・`).。oO(兵学校には理不尽な暴力も多い)
でも、鬼と呼ばれる四年生 (`四´) には
訓示や注意で殴られることはあるけど……
私怨で殴ってくることはなかった
でも、むっつりの三年生(`3´)は四年生がいないと分かれば
なにかにつけて理不尽な暴力を奮ってきた
152
:
名無しさん
:2024/05/23(木) 19:24:40 ID:fAkrps.k0
彡(#゚)(゚)……
(#・ω・`)「チョクも殴られたんだね」
彡(#゚)(゚)「なんやねんあのクソの三年ども……」
彡(#゚)(゚)「恨みたくはないが……忘れられんぞ」
(#・ω・`)「噂だと……彼らが入学した時の四年生がとてもヤンチャで……」
(#・ω・`)「自分たちがやられたから、下にもやり返してるんだって」
彡(#゚)(゚)「ふん!物のあわれを知らんやつらが!」
彡(#゚)(゚)「こっちが手をだせんからと、いい気になりおって……」
(`3´)「おう!言ってくれるやないか一年!!」
(;´・ω・` )「あ……」
(`3´)「上に対して敬意がない……修正だ!!」
=◯)゚)(゚) ∵ボコッ!!
彡(#゚)(゚)「くっ……」
153
:
名無しさん
:2024/05/23(木) 19:25:27 ID:fAkrps.k0
(`3´)「なんだその目……反省がない修正だ!!」
=◯)゚)(゚) ∵ボコッ!!
(;`・ω・´)「もう、やめてください!」
(`3´)「逆らうのか?……修正だ!!!」
=◯)`ω゚)∵ボコッ!!
(#・ω・`)……
彡(#゚)(゚)……
(`3´)「黙っていれば許されるとでも?」
(`3´)「気にいらんな……修正だ!!」
「止めろ!!!」
154
:
名無しさん
:2024/05/23(木) 19:26:06 ID:fAkrps.k0
(#・ω・`) .。oO(あの人も……三年生の……)
( `_ゝ´)「もう、いいだろう」
(;`3´)「うっ……鴛淵(オシブチ)!」
(;`3´)「ちっ、善人ぶりやがって……」
(;`3´)「俺たち三年が耐えた屈辱をもう忘れたか!」
( `_ゝ´)「忘れてなどいない……」
( `_ゝ´)「だが、下級生に恨みをぶつけるのは違うだろ!」
(;`3´)「綺麗ごとを……」
(`3´)「あーあ、しらけちまった……行くわ……」スタスタ
155
:
名無しさん
:2024/05/23(木) 19:26:56 ID:fAkrps.k0
(´_ゝ`)……
(´_ゝ`)「すまない……私がもっと早くきていれば……」
(#・ω・`)「いえ、助かりました……ありがとうございます」
彡(#゚)(゚)……
(´_ゝ`)「彼を恨まないでやってくれ……と言っても無理だろうな」
(´_ゝ`)「言い訳になるが、私たち三年は……」
(´_ゝ`)「当時の四年から…それはひどい暴力を受けた……」
(´_ゝ`)「だから、今の立派な四年生を最上級生に持てた君たちを……」
(´_ゝ`)「とても羨ましく思う」
(#・ω・`)「はい……」
彡(#゚)(゚)「言うてワイら一年も入学を早められて貧乏くじを引いとるがな」
(。゚ω゚)「チョク!」
156
:
名無しさん
:2024/05/23(木) 19:27:28 ID:fAkrps.k0
(´_ゝ`)「ハハハハハ、正直なやつだ」
(´_ゝ`)「たしかに、そうだ!」
(´_ゝ`)「初っ端から厳冬訓練なんてやってられないよな」
(´_ゝ`)「では、ここは互いに貧乏くじを引いた者同士ということで……」
(´_ゝ`)「納得してくれないか?」
彡(#゚)(゚)「うん」
(´_ゝ`)「ありがとう」
(´_ゝ`)「では、また」スタスタ
彡(゚)(゚)……
(´・ω・`)……
(´・ω・`)「ねえチョク」
彡(゚)(゚)「ん?なんや?」
(´・ω・`)「リーダーとはあの人のことを言うんだろうね」
彡(゚)(゚)「せやな」
157
:
名無しさん
:2024/05/23(木) 19:28:17 ID:fAkrps.k0
ある日、海軍学校の制服が支給された
海軍兵学校の制服は白い軍服でとてもかっこよかった
この制服を着たいがために入学を志す者もいたくらいだ
(´・ω・`)「チョク、似合うね」
(´ᴖωᴖ`)「馬子にも衣裳だよ」
彡(゚)(゚)「タケ……それ褒めてないからな……」
ザワザワ
(`四´)「お前たち!あまり浮かれるな!!」
ザワザワ
(`四´)「お前たち!静かにしないなら遠足は中止だ!!」
シャキッ!
(;`四´)「現金な奴らだ……まったく」
158
:
名無しさん
:2024/05/23(木) 19:28:56 ID:fAkrps.k0
ボクたちは新調された制服を着て広島県呉市を練り歩いた
街の人たちの視線にさらされるのが実に誇らしかった
チョクなんてものすごいドヤ顔であるいていた
彡(゚)(゚)ドヤァ!!
そしてそのまま軍港へと足を運んだ
するとそこには戦艦伊勢が停泊していた
(´ᴖωᴖ`)「すごい大きいね」
彡(゚)(゚)「ホンマや」
(;`四´)「お前たち!今から我々はこの戦艦に乗船する!!」
(;`四´)「粗相のないように!!」
さすがの鬼の四年も戦艦の威圧とボクたちの熱気の前にタジタジだった
159
:
名無しさん
:2024/05/23(木) 19:29:29 ID:fAkrps.k0
(´・ω・`)「やっぱ戦艦はすごいね」
(´・ω・`)「海の王者だよ」
彡(゚)(゚)「せやな…」
彡(゚)(゚)「けど、平賀教官から聞いたんやけど……」
彡(゚)(゚)「これからは航空母艦が戦いの主役になるかもやと」
(´・ω・`)「航空母艦?」
彡(゚)(゚)「船に戦闘機を乗せれるらしいで」
(´・ω・`)「へーあまり想像できないな」
(;`四´)「お前たち!無駄口を叩くな!!」
160
:
名無しさん
:2024/05/23(木) 19:30:25 ID:fAkrps.k0
ボクはチョクと一緒に図書室に来た
彡(゚)(゚)「はえーこれはすごいで!」
(´・ω・`)「どうしたんだい?」
彡(゚)(゚)「ほれ、マルクスが書いた資本論が置いてあるで」
(´・ω・`)「ん?それのなにがすごいの?」
彡(゚)(゚)「これは社会主義思想に通ずることが書いてあって」
彡(゚)(゚)「その辺の書店じゃ危険思想として禁書になっとるんや」
161
:
名無しさん
:2024/05/23(木) 19:31:04 ID:fAkrps.k0
彡(^)(^)「いやー海軍のリベラリズムもすごいもんや」
(´・ω・`)「リベラリズム?」
彡(゚)(゚)「寛容や、自由って意味やな」
(´・ω・`)「それはそんなにいいことなのかい?」
彡(-)(-)「う〜ん、まあこの辺は中々難しい話なんやが……」
彡(゚)(゚)「例えばこの前、映画を見たやろ」
(´・ω・`)「うん!あれには驚いたよ……」
(´・ω・`)「まさか外国の映画が上映されるなんて思ってもなかったし」
(´・ω・`)「オーケストラの少女だっけ?」
(´・ω・`)「あんないい映画を作れるなんて外国の人もすごいよね」
162
:
名無しさん
:2024/05/23(木) 19:31:47 ID:fAkrps.k0
彡(゚)(゚)「それや!」
彡(゚)(゚)「良いものを良いと受け入れることができる」
彡(゚)(゚)「それがリベラルや」
(´・ω・`)「ふーん」
(´・ω・`)「でも、あんな敵性映画を流しても大丈夫なのかな?」
彡(゚)(゚)「それは難しいところやな」
彡(゚)(゚)「まあ、タケはあの映画を見て面白いと思ったんやろ?」
(´・ω・`)「うん!」
彡(゚)(゚)「なら、その気持ちを大切にすることや」
(´・ω・`)「なんだかよく分からないけど……そうするよ」
163
:
名無しさん
:2024/05/23(木) 19:32:27 ID:fAkrps.k0
チョクは運動神経抜群だった
剣道の試合では得意の貫き胴で上級生相手でも善戦していた
そしてとても俊敏だった
水泳なんて得意中の得意でまるで魚のようだった
彡(゚)(゚)「ワイは台風で濁流した川も泳ぎ切ったんや」
と嘘丸出しの冗談も言っていた
164
:
名無しさん
:2024/05/23(木) 19:33:06 ID:fAkrps.k0
そんな彼でも、鉄棒は苦手だった
彡;(゚)(゚)「ぐぬぬぬ……」
彡(●)(●)「クソが!なんでできんのや!!」
(´・ω・`) .。oO(真面目だな)
できない自分の不甲斐なさに憤慨してるよ
165
:
名無しさん
:2024/05/23(木) 19:33:35 ID:fAkrps.k0
(´・ω・`) .。oO(でも、チョクは真面目なだけの人間ではなかった)
彼はよく隙を見ては外出して門限ギリギリまで帰ってこないこともあった
この前なんて短剣を押さえて慌てて駆けこんできたし
いったい外でなにをやってたんだか
まあ、息抜きを覚えなきゃ
規律の厳しい軍学校での生活なんてやってられないよ
166
:
名無しさん
:2024/05/23(木) 19:34:12 ID:fAkrps.k0
「はっけよ〜いのこった!!」
(´・ω・`) .。oO(今日は全校生相撲大会が催されていた)
日頃から鍛えている男たちが組んず解れつし
体がぶつかり合う光景はすさまじかった
さてと、そろそろボクも出てみようかな
167
:
名無しさん
:2024/05/23(木) 19:34:51 ID:fAkrps.k0
三十分後
( ;´-ω-` )「ふぅ……ふぅ」
「はっけよ〜いのこった!!」
ドン!
(;´・ω・` )「うっ……」ズサー
( ;´-ω-` ) .。oO(いったいこれで何人目だろう……)
ボクは負けに負けまくっていた
この大会は負け残り……
つまり、負けた者はだれかに勝つまで土俵を降りることは許されなかった
168
:
名無しさん
:2024/05/23(木) 19:35:28 ID:fAkrps.k0
(;´・ω・` ) .。oO(どうしよう……)
負け続けるほど体力も消耗してまた負けるという
負の連鎖が続いている
このままじゃそのうち力尽きて倒れてしまうよ……
彡(゚)(゚)ノ「よっしゃ!次はワイがいくわ」
(;´・ω・` )「チョク……」
彡(゚)(゚)「疲れ切っとるようやなタケ」
彡(゚)(゚)「今のお前なら小柄なワイでも余裕で倒せそうや」
(;´・ω・` )「うっ……」
彡(゚)(゚)「ほな、いくで!」
169
:
名無しさん
:2024/05/23(木) 19:36:14 ID:fAkrps.k0
「はっけよ〜いのこった!!」
ドン!とチョクは勢いよくぶつかってきた
(´・ω・`) .。oO(あれ?)
勢いの割には……全然、力が入っていない
彡(゚)(゚)「たく……世話がかかるやつやで……」
彡(゚)(゚)「ほれ、さっさとワイを放り投げんかい」
(´・ω・`)「え?え?」
彡(゚)(゚)「はよせい……八百長やと思われるやろ……」
(´・ω・`) .。oO(そうか……)
チョクはわざと負けようとしてくれてるんだ
ありがとう、助かったよ
グッと力を込めて押し込むとフワッとチョクの体は浮き上り
土俵の外に飛んで行った
彡(゚)(゚)「ぐえー負けたんご」
170
:
名無しさん
:2024/05/23(木) 19:36:57 ID:fAkrps.k0
ボクはチョクに救われた
でも、チョク自身はこの後が大変だった
小柄なチョクは格好の獲物となされ
上級生からターゲットとされた
チョクは負け続けた
ボクと同じように負の連鎖が彼を容赦なく襲った
171
:
名無しさん
:2024/05/23(木) 19:37:37 ID:fAkrps.k0
(;´・ω・` ) .。oO(どうしよう……)
ボクが出ていきたいけど……
一度、勝った者はもう土俵には上がれない
同期の皆もチョクを憐れんではいても
自分が彼の立場になることを恐れ沈黙している
彡;(゚)(゚)「ふぅ……ふぅ」
(`3´)「次はオレや」
172
:
名無しさん
:2024/05/23(木) 19:38:14 ID:fAkrps.k0
(;´・ω・` ) .。oO(チョク……)
彼は肩で息をし、疲れ切っていた
まるでさっきまでのボクのよう
……でも、ボクとは違って
諦めた者が放つ特有の悲壮感は漂っていなかった
彼は猛獣のような鋭い眼光で敵を睨みつけていた
173
:
名無しさん
:2024/05/23(木) 19:38:43 ID:fAkrps.k0
「はっけよ〜いのこった!!」
;(゚)(゚)ミ三三3ダッ!!
チョクはまっしぐらに相手のふところに飛び込んだ
そして勢いそのままに敵の片足を取った
(;`3´)「なっ!!」
;(゚)(゚)ミ「うをおおおりゃああああああああ」
敵はバランスを崩し、倒れた
彡;(゚)(゚)/「よっしゃ!ワイの勝ちやあああああああ!!」
174
:
名無しさん
:2024/05/23(木) 19:39:17 ID:fAkrps.k0
今回はここまで
175
:
名無しさん
:2024/05/23(木) 20:22:23 ID:/icBeS1U0
乙!学校編面白い
176
:
名無しさん
:2024/05/23(木) 23:39:21 ID:ykELnO7g0
おつです
177
:
名無しさん
:2024/05/24(金) 12:49:14 ID:N67RdB7o0
乙
面白い
178
:
名無しさん
:2024/05/24(金) 18:51:45 ID:aTqdvwio0
この日はボートレース大会だった
この大会は学年ごとではなく
4年から1年の混合チームが複数作られ競い合うものだった
ボクたちは放課後にも集まって練習に励んだ
上級生たちと一緒に練習するのは体力的にも精神的にも苦痛だった
それでも彼らと共に汗を流し
上手くなった実感を得たときの感動、褒められたときの喜びは
忘れることはできない
179
:
名無しさん
:2024/05/24(金) 18:52:41 ID:aTqdvwio0
(´・ω・`) .。oO(まあ、結果はというと……)
上位三位にも入れなかったんだけどね
でも、精一杯やったんだから、悔いはないよ
ガヤガヤガヤ
彡(゚)(゚)「なんや?騒がしいな」
(´・ω・`)「なにか揉めてるね」
`0´)「チョク、タケ!集まるよう号令がかかったぞ」
彡(゚)(゚)「なんか知らんがいくで」
(´・ω・`)「うん」
180
:
名無しさん
:2024/05/24(金) 18:53:52 ID:aTqdvwio0
( `෴´)「実にけしからん!!」
全生徒が集まった瞬間に怒声が飛んだ
( `෴´)「伝統あるこの大会で不正をするとはなにごとか!!」
(;´・ω・` ) .。oO(え?どういうこと?)
( `෴´)「報告よると一位のチームは……」
( `෴´)「自らの判断で勝手に舟に備え付けられていた……」
( `෴´)「鎖の金具を外したそうだ」
( `෴´)「このような不正があったのは甚だ遺憾である!」
( `෴´)「よってこの大会は中止とし……」
( `෴´)「後日、改めて大会をやり直すこととする……以上!!」
181
:
名無しさん
:2024/05/24(金) 18:54:21 ID:aTqdvwio0
(;´・ω・` ) .。oO(ええ……そんな……)
ボクたちはこの大会に合わせて休日返上で猛練習をしてきたんだよ
それなのに金具を外したぐらいの小さなミスで
試合そのものをやり直すなんてあんまりだ……
それに、レースもやり終えた後だよ……
一位のチームが不正したなら、そのチームを失格にして
二位のチームを繰り上げて優勝にすればいいだけじゃないか
182
:
名無しさん
:2024/05/24(金) 18:55:01 ID:aTqdvwio0
彡(゚)(゚)「物のあわれを知らん奴やな」
彡(゚)(゚)「たしかに、勝手に金具を外したことは問題かもしれん」
彡(゚)(゚)「けど、それで大会をなかったことにするのは……」
彡(゚)(゚)「やりすぎや」
彡(゚)(゚)「ワイら生徒のこれまでの頑張りを」
彡(゚)(゚)「なんやと思っとるんや……」
彡(゚)(゚)「ほれ見い、鬼の四年まで戸惑ってしまっとるやんけ」
(;`四´)「弱ったなぁ」
彡(゚)(゚)「ハーア、くだらん物言いでつまらん大会になってもうたわ」
183
:
名無しさん
:2024/05/24(金) 19:03:06 ID:aTqdvwio0
ボクたちはこの日、海軍の飛行場にきていた
日本には陸軍と海軍があるのだけど空軍というのはない
その代わり、陸海それぞれが独自に開発した戦闘機を持っている
(´・ω・`) .。oO(一つにまとめればいいのに……)
と思うのはおそらく幼稚なのだろう
大人の事情ってやつは大人にならないと理解できないほど複雑なものさ
なんてしょうもないことを考えているボクの横では
彡(^)(^)「ひゃっほう!行け行け!!」
とチョクが大盛り上がりしていた
184
:
名無しさん
:2024/05/24(金) 19:03:49 ID:aTqdvwio0
空の上では戦闘機によるアクロバット飛行や、模擬戦が行われていた
木材や鉄で出来た物体が空に浮くだけでも不思議なのに
好き放題、自由自在に飛び回る戦闘機は摩訶不思議としかいいようがない
彡(^)(^)「そこや!そこや!ズダダダダダダ!!」
(`四´)「菅野!いい加減にしろ!!」
(`四´)「浮かれすぎだ!!!」
185
:
名無しさん
:2024/05/24(金) 19:04:49 ID:aTqdvwio0
彡(●)(●)「活字……活字をクレメンス……」
(;´・ω・` )「ほら、図書室に着いたよ」
彡(●)(●)「ンゴオオオオオオオオオオオ!!」
あまりに色々な行事にタダでさえ少ないプライベートが皆無になってしばらく
ある日、チョクの読書家魂が叫んだ
本を読ませろ、本を読ませろと叫び狂った
186
:
名無しさん
:2024/05/24(金) 19:05:21 ID:aTqdvwio0
彡(^)(^)「ひゃっほう!本や!本や!」
彡(•)(•)「お!コレは……」
彡(^)(^)「吉川英治作の『宮本武蔵』の新刊やんけ!!」
彡(>)(<)「コレめっさおもろいねん!!」
彡(●)(●)「読むで!読むで!!読むで!!!」
(;´・ω・` )「チョク……少しは落ち着こうよ」
(`四´)「おい一年!!」
(。゚ω゚)「はい!」
彡(●)(●)……ギロッ!!
(;`四´) .。oO(なんという威圧感……)
187
:
名無しさん
:2024/05/24(金) 19:06:11 ID:aTqdvwio0
(;`四´)「最上級生より先に読む奴があるか!!」
(;`四´)「俺が先に読む貸せ!!」バッ
彡(●)(●)……
(;´・ω・` )……
彡(●)(●)「あひゃひゃひゃひゃはひゃ」
(。゚ω゚)「え?」
彡(●)(●)「ヒャッハー!」ぴょーん
(。゚ω゚)「まさか鬼の四年に飛びかかる気?」
(;`・ω・´)「さすがにそれはまずいよ!」ギュッ
彡(●)(●)「武蔵!武蔵!武蔵!武蔵!武蔵!武蔵!武蔵!武蔵!」
188
:
名無しさん
:2024/05/24(金) 19:06:51 ID:aTqdvwio0
(;`四´)「そこまで読みたいのか……」
彡(●)(●)コクン
(;`四´)「ダメだ!!最上級生が優先だ!!!」
彡(●)(●)「ヒャッハー!」ぴょーん
Σ(。゚ω゚)「あ!」
Σ(;`四´)
;`0´)つ「タケ!コレを……」
(;`・ω・´)「武田くん!これは宮本武蔵の新刊じゃないか!」
;`0´)「うん、実家から送って貰ったんだ」
(;`・ω・´)「ナイスタイミング!ほらチョク、新しい武蔵だよ」
彡(●)(●)ピタ
彡(゚)(゚)「ふむふむ……」
( ;´-ω-` )「ふぅ……」
(;´・ω・` )「すみません、これで一件落着ってことで……」
(;`四´)「ああ……」
(;`四´) .。oO(菅野……あいつは要注意だな……)
189
:
名無しさん
:2024/05/24(金) 19:08:25 ID:aTqdvwio0
今回はここまで
190
:
名無しさん
:2024/05/24(金) 21:58:24 ID:xgmd22.I0
乙
191
:
名無しさん
:2024/05/24(金) 23:24:22 ID:FlQGlRDU0
日々投下すげーぜ
192
:
名無しさん
:2024/05/25(土) 10:18:35 ID:O8gK4oPs0
(´・ω・`) .。oO(フフフフ……)
ついにきた……ボクたちが望むアレがついにやってきた……
彡(^)(^)「夏休みや!!」
(´^ω^`)「ひゃっほい!」
初めての長期休暇にボクたちは歓喜した
世間ではアメリカとの関係が悪化したり、ソ連とひと悶着あったり
中国との戦争が長引いたり
国家総動員法なんていうおっかなびっくりな法がまかり通っていたりと
いろいろとカオスな状況だった
だけど、学校から解放され自由を得たボクたちにとって
そんなことは知ったこっちゃなかった
193
:
名無しさん
:2024/05/25(土) 10:19:29 ID:O8gK4oPs0
(´^ω^`)「ボクは故郷に帰るよ!」
彡(^)(^)「ワイもや!」
彡(゚)(゚)「あ……」
彡(゚)(゚)「でも、その前に会いにいかなアカン人がおったわ」
(`・ω・´)「むむ!恋人かい?」
(`・ω・´)「チョクも隅に置けないね」
彡(゚)(゚)「嫁いでから元気にしとるかな……」
(;´・ω・` )「え?嫁いでるって…既婚者?」
(;´・ω・` )「チョク……不倫はどうかと思うよ……」
彡;(゚)(゚)「アホか!お前の頭はお花畑かいな!!」
194
:
名無しさん
:2024/05/25(土) 10:20:30 ID:O8gK4oPs0
数日後
名古屋市
ピンポーン!
「はい、どちら様ですか?」
ガラガラ
Σ川◦-◦)「あら!」
彡(^)(^)ゞ「海軍兵学校生徒、菅野直!」
彡(^)(^)「ただいま帰りました!」
川◦-◦)「あら、あら、あら……」
川◦-◦)「なんて立派でたくましくなって……」
川◦-◦) .。oO(これがあの甘えん坊だった直さん……)
195
:
名無しさん
:2024/05/25(土) 10:21:17 ID:O8gK4oPs0
彡(-)(-)「いないな〜い……」
彡(^)(^)「ばあ!!」
( 。•᎑•。)「キャッキャ♡」
彡(^)(^)「かほる姉ェに似てかわいい女の子やな」
川◦-◦)「男の子ですよ直さん……」
彡;(゚)(゚)「ファッ!ホンマかいな!」
彡(^)(^)「なら将来はイケメン確定やん!!」
196
:
名無しさん
:2024/05/25(土) 10:21:50 ID:O8gK4oPs0
彡(゚)(゚)「ん?あくびしたで……眠たいんやろうか?」
彡(゚)(゚)「よっしゃ!とっておきの子守唄、歌ったる」
彡(゚)(゚)「こがね〜虫は〜お金〜持ちだ〜♪」
川◦-◦)「あら……その歌は……」
川◦-◦)「直さんに唄ってあげていた……」
川◦-◦)「まだ、覚えてたの?」
彡(^)(^)「うん!」
川◦-◦) .。oO(添い寝してあげてた頃の歌をまだ覚えてたなんて……)
197
:
名無しさん
:2024/05/25(土) 10:22:28 ID:O8gK4oPs0
川◦-◦)「ところで、今日は泊まっていくのでしょ?」
彡(゚)(゚)「かほる姉ェがいいなら…そのつもりなんやが……」
川◦-◦)「一緒に寝てあげましょうか?」
彡;(゚)(゚)「いらんわ!ワイはもうそんな歳とちゃうで」
川◦-◦)「あら残念……ふふふ」
198
:
名無しさん
:2024/05/25(土) 10:22:55 ID:O8gK4oPs0
次の日
彡(゚)(゚)「じゃあ実家に帰るわ」
川◦-◦)「あら、制服で帰るの?」
川◦-◦)「普通の楽な服装でいけばいいのに……」
彡(゚)(゚)「ワイは外に出るときは必ず制服を着るんや」
彡(゚)(゚)「その方がカッコいいやろ」
川◦-◦)「あらまあ、ずいぶんとおしゃれになって」
川◦-◦)「……元気で体に気をつけて、また顔見せに来てね」
彡(^)(^)「うん!」
199
:
名無しさん
:2024/05/25(土) 10:23:40 ID:O8gK4oPs0
東京駅
彡;(゚)(゚)「はぁ……電車の乗り継ぎが大変やで……」
彡;(゚)(゚)「次はどれに乗ればええんや……」
「アッチだよ、チョク」
彡(゚)(゚)「おお、おおきに……」
彡(•)(•)「って誰やねん!」
( ゚∋゚)「友を忘れるとは……」
彡(⦿)(⦿)「ユッキー!!」
彡;(゚)(゚)「なんでここにおるんや?」
( ゚∋゚)「陸軍学校が長期休みに入ったんで帰郷しようと思ってね」
彡(゚)(゚)「はへーそんでまさか一緒になるとは、ホンマ奇遇やな」
彡(゚)(゚)「ほな、一緒に帰ろうや」
( ゚∋゚)「あったりまえよう!」
200
:
名無しさん
:2024/05/25(土) 10:24:31 ID:O8gK4oPs0
電車の中
彡(゚)(゚)「それでな、タケっていうおもろいのがおってな……」
( ゚∋゚)「ほうほう……」
彡(゚)(゚)「言うて、やっぱ海軍は厳しいとこやわ」
彡(゚)(゚)「尻を棒で叩かれたりしてな」
( ゚∋゚)「陸軍なんてスリッパで平手打ちだぞ」
彡(゚)(゚)……
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