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ブーン系 食と旅の秋祭り 投下スレ
189
:
名無しさん
:2023/10/06(金) 19:50:24 ID:7.E/EV660
( ^ω^)「あーあ、こんなときだっていうのに」
( ^ω^)「なんでこんなに美味しいんだお」
食事とは、食べる者を生かすための行為。
これから僕は死んでしまうのに、食べる意味などないというのに、どうしてこんなに美味しいのだろう。
喉の奥には、甘辛い味噌の味や、納豆のねばつきがまだ残っている。
次の味噌汁の一口は、きっとさっきよりも塩辛い。
.
190
:
名無しさん
:2023/10/06(金) 19:50:56 ID:7.E/EV660
( ^ω^)さいごはんのようです
.
191
:
名無しさん
:2023/10/06(金) 19:52:08 ID:7.E/EV660
投下は以上です!ありがとうございました!
【作品名】( ^ω^)さいごはんのようです
【URL】
>>173-190
【部門】食
【区分】一般
【料理名】納豆ごはん、茄子のお味噌汁
【一言】アマノフーズのじゅわっとなすはいいぞ
192
:
名無しさん
:2023/10/06(金) 20:06:05 ID:6jSAJb.U0
乙
193
:
名無しさん
:2023/10/06(金) 20:12:53 ID:QXQupKlc0
良き
乙
194
:
名無しさん
:2023/10/06(金) 20:21:35 ID:AGz2.X760
乙
丁寧な地の文とか雰囲気めちゃ好き
195
:
◆0tD.jsKBkQ
:2023/10/06(金) 22:12:21 ID:KvLalAlM0
【作品名】( ^ω^)小料理屋『武運』のようです
【URL】
https://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/21864/1696175141/
【部門】食
【区分】一般
【料理名】ひやおろしと旬のおつまみ
【一言】自家製燻製作ってたら近所から苦情が来ました
196
:
名無しさん
:2023/10/06(金) 22:19:16 ID:u/wHdCH.0
乙
アマノフーズの味噌汁んまいよな
最後の日のごはんが納豆ご飯と味噌汁なの良いな
197
:
◆xBGwFOoFSw
:2023/10/07(土) 01:02:55 ID:wRKrkaCE0
【作品名】o川*゚ー゚)oFall in the every nightのようです
【URL】
https://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/21864/1696508816/
【部門】食・旅
【区分】一般 、聖地あり
【料理名】 かぼちゃのポタージュ、ホットサンド、スイートポテト
【舞台の名称】 日比谷公園(東京)
【一言】
『( ,,^Д^)プラスチックの心臓が痛いようです』という作品の番外編でした。こんな未来もあったかもね、という話。
スイートポテト、砂糖だの卵だの面倒だったらプリンをぶち込むと楽だぞ!
198
:
名無しさん
:2023/10/08(日) 05:24:03 ID:gcIAtG1.0
【作品名】( ><)すろぉたあど・う゛ぉみっとぼーいずのようです【URL】【部門】 食【区分】猟奇?【料理名】ゲロ【一言】食に関心のない俺にも食の話ぐらい書けるわ思って思い返せば昔めちゃくちゃうまいしゃぶしゃぶ食った後のゲロが美味すぎて感動したので二回ぐらい吐いて三回味わったぐらいしかエピソードがなかった
199
:
名無しさん
:2023/10/08(日) 05:25:26 ID:gcIAtG1.0
>>198
みすっちゃったにょら
【作品名】( ><)すろぉたあど・う゛ぉみっとぼーいずのようです
【URL】
https://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/21864/1696709442/l30
【部門】 食
【区分】猟奇?
【料理名】ゲロ
【一言】連投ごめんにょ
200
:
名無しさん
:2023/10/08(日) 23:00:13 ID:lvcD2CXM0
【作品名】( ^ω^)ガキノモリ事件のようです
【URL】
https://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/21864/1696761758/
【部門】 食
【区分】猟奇?
【料理名】パイ
【一言】事件と呪いと美味しいパイのおはなし
201
:
名無しさん
:2023/10/09(月) 00:56:35 ID:Dtr5iYeU0
【作品名】( ^ω^)は絶品チキンを辿るようです
【URL】
https://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/21864/1696780536/l30
【部門】 食
【区分】ファンタジー料理
【料理名】肉とか
【一言】わくわく夏休みのわくわくフルコース!
202
:
◆pSSldCRvt2
:2023/10/09(月) 00:59:46 ID:2phPVG5.0
皆様お疲れさまです。主催です。
◆本日、投下期間最終日です。
あと約29時間後の10日午前6時丁度をもって、投下報告の受付を締め切りいたします。
その時刻に私が書き込みできるかはわかりませんが、時刻を過ぎれば終了となります。
したらば、先程まで落ちていたみたいですね。
企画としては、期間内に投下報告さえあれば受付する、という基準を設けています。
したらばが落ちていた、または重かったことに影響を受けた方向けに、以下ご案内いたします。
これから投下をお考えの作者様方は、ご一読お願いします。
203
:
◆pSSldCRvt2
:2023/10/09(月) 01:03:54 ID:2phPVG5.0
【連載中・投下報告済】
作品の受け付けは済んでいます。ペナルティ等はありません。
都合の良いときに続きを投下してください。
感想フォームのことがありますので、お早目の投下をおすすめいたします。
※全企画終了までに完結しなかった場合、特設サイトに全編をまとめることはお約束できません。
【連載中・投下報告未完了】
基本的には投下期間内に報告をお願いします。未完でも問題ありません。
そう試みても、したらばの問題のために報告するタイミングが無かった場合のみ、10日6時以降の投下報告を受け付けいたします。申告制です。
これ以外の理由での遅刻は承りかねます。
未完でもまずは投下報告を済ませてしまうことを、強くおすすめします。
204
:
◆pSSldCRvt2
:2023/10/09(月) 01:04:33 ID:2phPVG5.0
【まだ投下開始していない】
基本的には投下期間内に、本編の投下と投下報告を行ってください。
投下報告には作品のURLが必要です。
したらばの問題のために本編の投下が始められなかった場合のみ、10日6時以降の投下報告を受け付けいたします。申告制です。
これ以外の理由での遅刻は承りかねます。
また本スレに投下予定であった作品でも、投下期間終了間際には、混雑回避のため個別にスレを立ててください。
お知らせは以上です。よろしくお願いいたします。
(主催は……まとめが……全然……進んでいません……。今週いっぱいを目安に、何とかしたいです)
205
:
名無しさん
:2023/10/09(月) 01:54:06 ID:dIKViNkU0
【作品名】高岡ハインリッヒは殺せないようです
【URL】
https://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/21864/1696779594/l50
【部門】食
【区分】一般
【料理名】魯肉飯、オルトラン
【一言】期間内に間に合って良かったです。
作品の雰囲気は「岸部露伴は動かない」をイメージして作りました。
206
:
e
◆SYOUYUadCM
:2023/10/09(月) 01:55:06 ID:MxbP46lY0
【作品名】しもつけミステリードライブに行くようです
【URL】
https://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/21864/1696780893/
【部門】 食・旅
【区分】 一般、聖地あり
【料理名】 栃木の食
【舞台の名称】 栃木
【一言】祭り初参加です。宜しくお願いします。
自スレ:屋根の下のようですのキャラが続投していますが、明確な繋がりはありません。
207
:
名無しさん
:2023/10/09(月) 14:05:37 ID:f2tKgjoo0
【作品名】三┏川 д川┛エスカレーター爆走幽霊のようです(゚、゚;トソン
【URL】
https://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/21864/1696825293/l30
【部門】旅
【区分】聖地あり
【舞台の名称】イオンモール
【一言】
この作品はフィクションです。エスカレーターを爆走するのは大変危険であり、迷惑な行為です。
良い子の皆さんは絶対にマネしないでください。
208
:
名無しさん
:2023/10/09(月) 16:20:36 ID:WSVkA3/M0
【作品名】('A`)貧乏学生の自足メシのようです
【URL】
https://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/21864/1696834055/
【部門】食・旅
【区分】聖地あり
【料理名】川の恵み定食
【舞台の名称】浅川
【一言】都下の学生になったつもりで書いてみた
209
:
名無しさん
:2023/10/09(月) 17:32:47 ID:yBN7QIIs0
閲覧注意な投下をします
多分カニバです
210
:
名無しさん
:2023/10/09(月) 17:33:38 ID:yBN7QIIs0
ノパ⊿゚)愛玩用のようです
『 モドキとは、自らを「人間」や「地球人」と主張する宇宙外来生物を、品種改良した生き物である。
大部分のモドキは牧場で放牧され、 “おいしいお肉”へと愛情たっぷりに育てられる。
モドキはこの星の先住民と違って羽毛、毛皮、鱗などに覆われておらず、非常に脆い。しかし人語を解して喋る知能があるので、愛玩用として飼育する種族もいる。
愛玩用モドキには、誤って狩られないための、生体癒着型首輪の装着が義務付けられている。』
ノパo゚) スゥ……
ノパ⊿゚)「朝だぞぉおおおお!!!!!」
アタシは素直ヒート!
素直ヒートの肉は体温が高くて、雑菌が繁殖しにくいから生で食べれるの!
アタシは活発な素直ヒート達の中で特にやんちゃだから、お肉がつきづらいんだって!
-=三 ヽノハ*゚⊿゚)ノ ワーイ! タッノシー!
/◎ ) =| )「まるで犬だな」
牧場から工場へ運んでくれる機械族のおじさんがそう言って、ひたすら走り回るアタシを買ってくれたの!
だから忙しいおじさんに代わって、おじさんの息子さんと暮らしてるんだ!
ノパ⊿゚)「あ!さ!ごはぁあああん!!!!!のじっかんだぞぉおおおお!!!!!」
/▽▽「やかましい」
おじさんの息子は、本当は犬を飼いたくていっぱい勉強してたみたい!
/▽▽「……犬じゃない」
初めて会った時のあの心底ガッカリした声は、聞いたこっちが申し訳なくなったぞ!
ノパ⊿゚)「ぼっちゃん!あっさごはん!あっさごはん!」
/▽▽「やめろ」
見た目はゴツゴツで99.99%無機物のロボットだけど、アタシより年下なんだ!来年中等部みたい!
ノパ⊿゚)「じゃあ電ちゃん!!!!!」
/▽▽「黙れ」
ノパぺ) ハプッ
211
:
名無しさん
:2023/10/09(月) 17:34:02 ID:yBN7QIIs0
文句は言ってるけど、ちゃんとアタシのお世話をしてくれるんだ!
/▽▽σ ピピピッ
10桁ほどの暗証番号で電子ロックキーを解除して、戸棚からアタシ用の食べ物と飲料水を取り出してくれる。銀紙に包まれた栄養補給固形食と250ccの瓶に入った栄養補給水が、ゴトンと硬い音を立ててアタシの前に出される。
ノパ⊿゚) クルルル……
おなかが空いてるけど、アタシはこの家の狗だから勝手に手を出してはいけないんだ!
ぼっちゃんはロボット用エネルギー補給剤を持って、アタシを見る。
/▽▽「まだだ」
ぼっちゃんはそう言って、テレビをつけてくれる。ぼっちゃんはあまりテレビを好まないが、エネルギーを補給する間アタシが退屈しないようにつけてくれてるのだ!。ちょうどモドキを取り扱った料理店のCMを流しているみたいだ。
【 TV 】<さくさくジューシー!美味しさがジュワッとしみでるブーンの唐揚げ!
【 TV 】<やらない夫♪ やる夫♪ ふぐりまで美味しい〜♪ お肉はイトーイ増井〜♪
【 TV 】<ハンバーグはツンデレ100%のお月見バーガー復刻販売!素直クールの指フライもセットでこの値段!
ノパ⊿゚) グルルル……
あっホカホカ湯気を立てる肉料理に、余計お腹が空いてきた気がする。口の中にどんどん溜まる唾液を、溢さないように気をつける。ああ齧った途端に口の中を火傷しちゃうけど、熱々の唐揚げ食べてみたいなぁ!!目玉焼きを挟んだハンバーガーも、黄身がドロッと出るけどパンがフッカフカで美味しいんだろうな!骨まで食べれる指フライも食べてみたいぞ!!
/▽▽「よし」
エネルギーの補給を終えたぼっちゃんが、短い合図を出す。
ノパ⊿゚)「いただきます!」
銀紙を勢い良く破くと橙色のブロックが出てくる。長方形の硬いクッキーみたいなおやつの見た目をしてるけど、ちゃんとしたモドキのための食事なのだ!
ノハ*゚⊿゚)(フルーツミックス味かな?オレンジ味かな?)
硬いが齧れないわけではない、ガリッと一口頬張れば牧場で食べたことのある味が広がる。
ノハ*゚〜゚)(これはなんだ?えーっとえっと橙色のマで始まってすごく甘くて……)
212
:
名無しさん
:2023/10/09(月) 17:34:28 ID:yBN7QIIs0
ノハ*゚⊿゚)「マンゴスチン味!」
/▽▽「マンゴー味」
ぼっちゃんが、銀色の包装紙を読んで教えてくれた。この前は甘酸っぱい苺味で、その前はパイナップル味、もっと前はカレー味を食べた気がするぞ!
/▽▽「無果汁」
ノハ*゚⊿゚)「へぇー!果汁使ってないのにマンゴーだなんてすっごいな!!」
/▽▽「そうか」
瓶に口をつけ栄養補給水を流し込む。栄養補給固形食はいろんな味があるが、この水はずーっと同じ味だ!必要な栄養は揃ってるらしいけど、牧場の野菜スープをまた飲みたいな!
とっくにCMの終わった液晶画面では、狼の群れが立派な角の鹿を押し倒し食らいついている。ぼっちゃんのカメラアイが凝視しているのは暴力的で美しい捕食者か、たおやかさと俊敏さを兼ね備えた被捕食者か。
/▽▽ ガチャガチャ
日課の外出の準備を、野良モドキが襲ってきた時に反撃するための武器をチェックしている。
ノパ⊿゚)n ポリポリ
首と一体化している首輪に触れてみる、アタシがお肉にされないための目印。やばっ!意識したらなんか痒くなってきた!
/▽▽「動くな」
ぼっちゃんがいつの間にか背後にいて、アタシの長い真っ赤な髪に千切らないようにそおっと触れる。素直ヒートの特徴の、燃え盛る炎のように真っ赤な髪。栄養補給食のおかげで、髪はしっとりと艶やかだ。
/▽▽っノパ⊿゚)
外に出るときは(外せないが)首輪とハーネスをつける他に、ぼっちゃんはアタシの髪を梳かして一本にまとめて結んでくれる。
/▽▽「鬱陶しい」
以前ぼっちゃんはそんなことを言ってたけれど、アタシの髪を毟ったり剃ろうとしない。口数は極端に少ないけど、案外面倒見がいい子なんだぞ!
ノハ^⊿^) フフッ
/▽▽「行くぞ」
213
:
名無しさん
:2023/10/09(月) 17:34:50 ID:yBN7QIIs0
ガシャガシャ /▽▽
スタスタ ノパ⊿゚)
ぼっちゃんは日課の散歩として、アタシを外に連れ出してくれるぞ!
なんかとにかくでっかい公園には、屋台とか肉屋とかコンビニとかとにかく食べ物を売ってる店が多いぞ!
金網や電磁波で区切られた愛玩用モドキを遊ばせる広場で、ハーネスを外してくれる。あとはアタシが疲れるまで、ひたすらぼっちゃんとキャッチボールをしたり、ぼっちゃんがぶん投げたフリスビーをキャッチしたりするぞ!
ソレデネー 从*'ー'从 川д*川 ソウナンダー
_,,..,,,,_
/ ,' 3 `ヽーっ
l ⊃ ⌒_つ
`'ー---‐'''''"
他の愛玩用モドキはモドキ同士でじゃれついたり、人口芝生に寝転がって日光を浴びたりしている。アタシはとりあえず体を動かしまくるかな!
飲食可能スペースでは真っ黒い被毛に白い毛が数本見える猫族のじいさんが、モドキに餌を与えている。なんか拳大の銀紙に包まれている球体だけど、モドキが銀紙を剥ぐと真っ黒い塊が出てきた!
( ФωФ)「今日は昆布と梅のおにぎりだ」
lw´‐ _‐ノv「ノリ巻きたてのパリッとした食感も良いが、しばらく経ったしっとり感も良きかな」
( ФωФ)「ほれ、この魔法瓶には大根と油揚げの味噌汁も入っているぞ」
lw´‐ _‐ノv「かたじけない」
黒猫じいさんはどこか屋台で買ったでっかいホカホカの肉まんを食べている。離れているはずなのに、美味しそうな匂いがここまで漂ってきてる!
( ФωФ)「あそこの肉まんはな、皮がふかふかもちもちで具材もゴロゴロたくさん入っていて、噛むと肉汁がじゅわーと出てくるのだ。米粉から作った肉まんだから、お主と同じ素直シュールの肉がよく馴染むぞ」
lw´‐ _‐ノv「米」
ノハ* ⊿ )
/▽▽「よだれ」
ノハ;゚⊿゚) ハウッ
ここで間違っても黒猫じいさんに突撃して肉まんを奪ってはいけない!よくて私の頭部に埋め込まれた爆弾が爆破するだけで、悪ければ爆破される以外にぼっちゃんが偉い人に無茶苦茶に怒られるからな!
214
:
名無しさん
:2023/10/09(月) 17:35:29 ID:yBN7QIIs0
/▽▽「……………………」
ノハ;゚⊿゚) ゴキュルルルルル……
/▽▽「家に帰れば栄養補給固形食がある」
ノハ’⊿`)「…………はい」ゴキュルルルルル……
ぼっちゃんは食べれないものは出さないし、アタシは出されたものはちゃんと食べるけど、たまには他のを食べたいぞ……。ハーネスをつけられ、重い足取りで帰路につくぞ!
ノハ’⊿`) シオシオヒート
/▽▽「……………………」
ぼっちゃんがいつもと違う道を歩く、寄り道かな?
ミ*^∀^彡「いらっしゃいませー!」
「モドキ用あります☆」と手書きの可愛らしい看板が立てられた、ホットサンド屋で長毛種猫娘がとびきりの笑顔で出迎えてくれる。
ミ*゚∀゚彡「店内で召し上がりますか?お持ち帰りにしますか?」
これは白昼夢?ぼっちゃんが他種族の経営している店に入ろうとしてるなんて!しかも愛玩用モドキ同伴で!!
ノハ;゚⊿゚)
/▽▽「……………………」
ミ*゚∀゚彡「機械族の方用メニューもあります!」
/▽▽「……………………て、店内でお願いします……」
喋った!ぼっちゃんが文章を喋った!!
ノパ⊿゚)(口がきけないわけじゃないけど、ぼっちゃんあんま長文喋んないよな)
可愛いフワフワのお嬢さんに、日当たりのいい窓際の席に案内される。席に着くと、なんかすごい技術で、空中にメニュー画面が立体映像として浮かんでくる。かがくのちからってすげー!
/▽▽「選べ」
ホカホカのおしぼりで手を拭いてると、一言それだけを言われる。
215
:
名無しさん
:2023/10/09(月) 17:36:09 ID:yBN7QIIs0
ノパ⊿゚)「へ?」
/▽▽「……好きなのを選んでいい」
ノハ*゚⊿゚)「本当ですか!? ありがとうございます!!」
ノハ*゚⊿゚)「じゃあこのホットサンドと、野菜たっぷりカレースープ、苺のケーキのセットで!!」
ノハ*^⊿^)「ぼっちゃんはなに食べるんですか?」
/▽▽σ「ロボット用エネルギー補給剤」タブレットポチポチ
ノハ*゚⊿゚)「ぼっちゃん味覚センサーあるんでしょ?せっかくだから味があるヤツにしましょ!」
/▽▽「うるさい」
ノハ ゚n゚) ムグッ
注文用タブレットを操作して、しばらくしないうちに料理が運ばれてくる。
アタシはぼっちゃんがエネルギーを補給を終わるまで、温かい料理に手を出さず凝視して「待て」に入る。
/▽▽「甘っ」
チラッと見えた注文用タブレットには、「はちみつ入りミルクセーキ味エネルギー補給剤」が注文されてた気がするぞ!
/▽▽「よし」
ノハ*゚⊿゚)「いっただきまーす!!!」
ホットサンドを掴んで持ち上げれば、指にじんわりと暖かさが伝わり、バターの匂いも漂ってくる。齧り付くとサクッと軽快な音を立てて、トロトロの黄身とチーズが口腔内に広がってくる。溶けたチーズと半熟の目玉焼きの他に、ロースハムやスライスした玉ねぎも入っている!牧場で食べたことのある味が、口の中に溢れてくるぞ!!
ノハ*゚⊿;) グスッ
カレースープはスープだからとてもサラサラしている。薄切りされた人参、玉ねぎの他にしめじやマッシュルームも入っている。噛んで飲み込めばピリリとスパイシーな味が、おなかに落ちてホッとする。
ノハ*;〜;) シャクシャク
苺のケーキのなんて甘美なんだろう!真っ白い生クリームと柔らかいスポンジに甘酸っぱい苺のハーモニー!牧場ではみんな同じ誕生日だけど、1年に1回に苺のケーキを食べたことを思い出すなぁ!
ノハ*;〜;)「おいひいです」
/▽▽「……今日だけだ」
ノハつ⊿;) ゴシゴシ
ノハ*^⊿^)「はい!ありがとうございます!!」
216
:
名無しさん
:2023/10/09(月) 17:36:36 ID:yBN7QIIs0
/▽▽σ ピピピッ
また10桁ほどの暗証番号で電子ロックキーを解除して、玄関の自動ドアが開く。
ノパ⊿゚)「たっだいまー!!」
暗くなってから家に帰っても、家主であるぼっちゃんのお父さんは仕事で不在にしている。
狗失格と怒られても、アタシは先に家に入りぼっちゃんを迎える形で振り向く。
ノパ⊿゚)「はい!お帰りなさいぼっちゃん!!」
/▽▽
ノパ⊿゚)「ぼっちゃん!お帰りなさい!」
/▽▽「……ただいま」
ノハ^⊿^)
着ていた服を洗濯機に入れ、モドキ用洗浄室、要するにお風呂場で髪を含めて全身をくまなく洗う。
/▽▽っノハ*=⊿=)
風呂上がりには、ぼっちゃんがドライヤーでアタシの髪を丁寧に乾かしてくれる。別にタオルで拭いて自然に乾けばいいが、ぼっちゃんはアタシの手入れをしたいようだ。
/▽▽
口数少なくて本当はさみしがり屋なぼっちゃん、将来殺戮兵器の戦闘特化型だけど弱いものを痛ぶるのを嫌うぼっちゃん、甘いも苦いも味が苦手なぼっちゃん。アタシはこの家の狗だけど、寿命が尽きるまで君の側にいてあげたい。だけど
ノパ⊿゚)(ぼっちゃん、機械族だから肉は食べれないんだよなぁ)
アタシの肉を食べて貰えない、それだけが残念でしょうがなかった。
終
217
:
名無しさん
:2023/10/09(月) 17:37:23 ID:yBN7QIIs0
【作品名】 ノパ⊿゚)愛玩用のようです
【URL】
https://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/21864/1695916359/210-216
【部門】 食
【区分】 ファンタジー料理/猟奇/一般
【料理名】 完全栄養バー、モドキを使った料理、ホットサンド
【一言】 生クリームを貪りたくて、とにかく勢いで2作目を書きました
218
:
名無しさん
:2023/10/09(月) 19:18:42 ID:8Ewir4kw0
乙
219
:
名無しさん
:2023/10/09(月) 20:11:19 ID:XkbuP8Rc0
乙!設定いいな
220
:
名無しさん
:2023/10/09(月) 21:19:59 ID:7D2HI/NA0
投下します
221
:
名無しさん
:2023/10/09(月) 21:20:26 ID:7kI4KCvI0
投下します。よろしくお願いします。
222
:
名無しさん
:2023/10/09(月) 21:21:00 ID:7D2HI/NA0
ある日、森の中の出来事。私たちの住む世界とはちょっとだけ違う、おとぎの国のお話です
( ^ω^)「オ、オデ……ハラ、ヘッタ……」
(;A;)「お助けーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!」
餓死とは程遠い体型をしたデブ臭オークがブッサイクな汚ゴブリンを追いかけています。この光景を前に「世界は美しい」と言えますか?あなた
もっと他に食うもんなかったのでしょうか?でもまぁ、ブサイクな物って得てして美味しいもんですよね。アンコウとかね
ところで、オークは今なんと言いましたか?そうですね、「腹減った」ですね
_人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人_
> (´^ω^`)「腹いっぱい食わせたるーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」 <
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^ ̄
(;^ω^)そ「うわあああああああああああああああああああーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!???????」
(;'A`)そ「うわあああああああああああああああああああああああああああーーーーーーーーーーーー!!!!!!!??????」
そんなファンタジー世界でも所構わず突撃していったのは、そう、皆さんご存知――――――
223
:
名無しさん
:2023/10/09(月) 21:21:44 ID:7kI4KCvI0
(*゚ー゚)やがてお弁当になる話のようです
.
224
:
名無しさん
:2023/10/09(月) 21:23:09 ID:7D2HI/NA0
(´^ω^`) 『空腹』というワードに反応して飯を作りに現れるタイプの狂人のようです 〜やったれ異世界おかわり編〜
.
225
:
名無しさん
:2023/10/09(月) 21:23:19 ID:7kI4KCvI0
221、223です。ごめんなさい。リロードうまくいってなかったみたいです。出直します。
226
:
名無しさん
:2023/10/09(月) 21:23:57 ID:7D2HI/NA0
( ^ω^)ジュッポジュッポジュッポォォォォォォジュルルルルルルルルルルジュッジュジュウウウウウウウウウウウウウ!!!!!!!!!!!!!!!!!!レロレロレロレロ!!!!!!!!!!!!!!!!!!
:(*'A゚):「やああああああああああああ!!!!!!!!!!!」
(´・ω・`)「タイトル明けて1レス目で何事も無かったかのように乳首吸いに行くとかある????????」
掴みはバッチリだった筈です。しかしここは異世界。オッサンが元いた世界の常識など通用しませんし、オッサンには常識がわかりません。メロスと一緒。走れ
オークはゴブリンを組み伏せると、汚い乳首に勢いよく吸いつきました。驚きの吸引力です。ゴブリンの乳首は三十センチほど伸びています。ラバーメン(ゴム人間)
裸エプロン姿のオッサンはハンケチーフ共に悔しさを噛み締めます。ですがどこか興奮してる自分もいました。そう、オッサンは最近、蔑ろにされるのも悪くないと思い始めているのです
( ^ω^)ジュッポジュッポジュッポォォォォォォジュルルルルルルルルルルジュッジュジュウウウウウウウウウウウウウ!!!!!!!!!!!!!!!!!!レロレロレロレロ!!!!!!!!!!!!!!!!!!
:(*'A゚):「ふああああああああああああ!!!!!!!!!!!」
(´;ω;`)「あにょ、あにょな……ゥチのご飯食べて欲しくてぇ……乳首より美味しいもん作ったるから食べて欲しくてぇ……」
一心不乱に乳首を吸う豚の化け物に、女の子みたいに喘ぐ気持ち悪いブスの化け物
そして化け物だろうと構わず飯を食わそうとする裸エプロンで尻がよく弾むオッサン。ここに最悪のバミューダ・トライアングルが結成されました。キミが指差す夏の大三角の可能性もあります
もうこうなったらにっちもさっちも行かないのは前回の襲撃でお見せした通り。時間もないので巻きで行きましょう
(´;ω;`)「時を戻そう」
227
:
名無しさん
:2023/10/09(月) 21:25:39 ID:7D2HI/NA0
※時間遡行Ver.インド爆発
/フフ ム`ヽ
/ ノ) ∧∧ ) ヽ
゙/ | (´^ω^`)ノ⌒(ゝ._,ノ 土煙を上げて猛進する牡牛
/ ノ⌒7⌒ヽーく \ /
丶_ ノ 。 ノ、 。|/ 母神に捧げる渾身の踊り
`ヽ `ー-'_人`ーノ
丶  ̄ _人'彡ノ サンダル履きの大立ち回り
ノ r'十ヽ/
/`ヽ _/ 十∨ 木陰で悪だくみする若い衆
あるいは唐辛子入りの雑穀パン
228
:
名無しさん
:2023/10/09(月) 21:26:18 ID:7D2HI/NA0
ある日、森の中の出来事。私たちの住む世界とはちょっとだけ違う、おとぎの国のお話です
( ^ω^)「オ、オデ……ハラ、ヘッタ……」
(;A;)「お助けーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!」
餓死とは程遠い体型をしたデブ臭オークがブッサイクな汚ゴブリンを追いかけています。この光景を前に「世界は美しい」と言えますか?あなた
もっと他に食うもんなかったのでしょうか?でもまぁ、ブサイクな物って得てして美味しいもんですよね。アンコウとか
ところで、オークは今なんと言いましたか?そうですね、「腹減った」ですね
(#´^ω^`)「キッショいんじゃーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!」
とりあえずキショい方の顔面を鉄フライパンの縁でぶん殴ります
(メ)A゚)・'.。゜「ミソッパ!!!!!!!!!!!!!!!!!!???????????????」
豚のキショさも然ることながら、僅かにブスの顔面のキショさが上回りました。誉やね
豚から逃げていたブスは突然知らないオッサンに鉄板でぶん殴られて踏んだり蹴ったりラジバンダリです。かぁいそ
(#´^ω^`)「キッショいんじゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!」
( メ)ω゚ )・'.。゜「スキッパ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!????????????????????」
当然、豚も殴りました。オークが吸っていい乳首は姫騎士の乳首だけです。FANZAもそう言ってます
FANZA「せやせや」
FANZAが喋った!!!!!!!!!!!!!!!!!!??????????????????
229
:
名無しさん
:2023/10/09(月) 21:27:38 ID:7D2HI/NA0
(;´^ω^`)「ハァ……ハァ……ぶ、豚……」
( メ)ω゚ )「」
(;´^ω^`)「し、死んでる……」
_人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人_
> (´;ω;`)「うわああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!」 <
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^ ̄
(;´^ω^`)そ「ハッ!?ブス……」
(メ)A゚)「」
(;´^ω^`)「し、死んでる……」
_人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人_
> (´;ω;`)「うわああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!」 <
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^ ̄
そう、全ての生き物は殴ったら死んでしまうのです。オッサンは一つ賢くなり、そして哀しみを知りました
ポツリ、ポツリと降り出した雨はやがて土砂降りとなり、オッサンの慟哭と涙をかき消しました―――――
230
:
名無しさん
:2023/10/09(月) 21:29:13 ID:7D2HI/NA0
場所は移って教会です。そう、ここはファンタジーな世界。金さえ払えば命すら取り戻せる世界なのです
(´;ω;`)「生き返らせてクレメンス〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!」
料理いつすんの??????????
/ ,' 3「了解ウォッチ」
神父のおじいちゃんはヘイッとブスと豚を蘇らせました。そのまま腐らせた方が世の為になったんじゃないですか?命がもっだいだい!!!!!!!!!!
( ^ω^)「オ、オデ……ハラ、ヘッタ……」
(;A;)「お助けーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!」
あーあ、元の木阿弥です。生き返った豚は吐瀉物の擬人化ブスを追って教会を飛び出しました。もう放っておくべきでしょう
_人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人_
> (´^ω^`)「腹いっぱい食わせたるーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」 <
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^ ̄
しかしそうは問屋が卸さないのがこの空腹というワードに反応して飯を作るオッサンです。老若男女、デブもブスも人外も陣内智則も関係なく飯を食らわすまで止まりません。必要ならば親兄弟すら殺します
オッサンは神父のおじいちゃんにお札束を叩き付け、お勘定を済ませます。ちなみに異世界では日本銀行券は使えません
/ ,' 3「これウチの世界じゃつかえんゾイ」
(´^ω^`)「ショタが絶頂しながら射幣したハイパーノートでも使えないと申すか!!!!!!!!!!??????????」
/ ,' 3「ドチャシコ」
使えないことは無かったです。用途はどうあれ、異世界でも使えるようです
こうして対価をキッチリ支払った義理堅いオッサンは、二匹を執拗に追いかけ始めました。そのしつこさたるや、お茶碗にこびりついた乾いたお米粒が如しでした
231
:
名無しさん
:2023/10/09(月) 21:29:37 ID:7D2HI/NA0
こうして、二匹のキモい魔物に飯を食わす為の異世界大冒険が始まりました
( ^ω^)「オ、オデ……ハラ、ヘッタ……」
(;A;)「お助けーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!」
(´^ω^`)「待てーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!」
ある時は深い森の中、美少女に擬態した食人植物や昆虫が棲まう蟲惑の森へ
( ^ω^)「オ、オデ……ハラ、ヘッタ……」
(;A;)「お助けーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!」
(´^ω^`)「待てーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!」
またある時は、古代都市の王が治めた砂の廃王国へ
( ^ω^)「オ、オデ……ハラ、ヘッタ……」
(;A;)「お助けーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!」
(´^ω^`)「ゴボガゴボガーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!」
またある時は、船乗りを惑わせる歌声が響く人魚たちが暮らす海の底へ
( ^ω^)「オ、オデ……ハラ、ヘッタ……」
(;A;)「お助けーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!」
(´・ω・`)「レイジングサーフのボックスひとつ」
またある時は、ポケモンセンター異世界支店へ
古今東西、ありとあらゆる場所へと追いかけ続けました
そして、紆余曲折を経て―――――
232
:
名無しさん
:2023/10/09(月) 21:30:05 ID:7D2HI/NA0
(-@∀@)「良くぞここまで訪れたな勇者よ……」
なんか魔王城まで辿り着きました。四天王ですか?フライパンで殴られて死にました
(;^ω^)「いよいよ正念場だお……!!」
(;'∀`)「へへっ、膝が笑ってやがるぜ……武者震いでな!!」
ブサ膝「ブーーーーーーッスッスッスッスッス!!!!!!!!」
(´・ω・`)「……?」
(´・ω・`)「??????????」
苦楽を共にした豚とブスがケツの穴を引き締めるのを余所に、オッサンだけがキョトンとしています。無我夢中で走り続けてここまで辿り着いたんだろうとか邦楽の歌詞とかそんな感じなんで魔王がどうのこうの言われても何のこっちゃヨイヨイセブンでした
(-@∀@)「この魔王、タダで殺されるほど甘くはないぞ!!!!!!!」
矢部くんそっくりな魔王の背後には、恐らく破れたであろう歴代勇者の屍が山のように積もっています。衛生面???????え??????
雑魚顔面とは裏腹に、確かな実力の持ち主のようです。今まで暴力一本で生き抜いてきたオッサンもこれにはタジタジです
(´・ω・`)「はぁ……そっすか……」
そうでもありませんでした
233
:
名無しさん
:2023/10/09(月) 21:30:42 ID:7D2HI/NA0
(-@∀@)「我は剣や魔法では殺せんぞ!!!!!!」
なんか自分から弱点を話してくれるみたいです。歴代勇者はどれだけボンクラ揃いだったのでしょうか?お里が知れます。田舎の貧乏農夫のガキに世界の命運なんか預けるからこうなるんです
(-@∀@)「我は『メンタイヤキウドン』でなければ殺せぬぞーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!」
(;^ω^)そ「メ、メンタイ!!!!!!!??????」
(;'A`)そ「ヤキウドン!!!!!!!!!!!??????」
(´・ω・`)「めんたい…………」
(´^ω^`)「焼きうどんだってーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!」
んああ水を得た魚。料理を得たオッサンです。偶然にも今回作ろうとしてたメニューがめんたい焼きうどんなんで渡りに船です
_人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人_
> (´^ω^`)「腹いっぱい食わせたるーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」 <
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^ ̄
ようやくお料理開始です。何レス使った?え?たまにはすんなり本題に入れんのか?
(´^ω^`)「コンロある?」
(-@∀@)「あるよ」
魔王がパチンと指を鳴らすと、煙と共にガスコンロが現れます。どこから都市ガスを引いてるのでしょうか?
234
:
名無しさん
:2023/10/09(月) 21:31:22 ID:7D2HI/NA0
(´^ω^`)「ウォーーーーーーーーーーー!!!!!!!」
オッサンはフライパンをチンチンほどでは無い温度、言うなればハミチンくらいの温度まで温め、油を回しかけます
ハミチンフライパンに豚バラ肉を乗せ、サッと火を通して切ったキャベツを投入。今は切ってある物がパックで売ってるので便利な世の中になったなぁって思いました
( ^ω^)ジュッポジュッポジュッポォォォォォォジュルルルルルルルルルルジュッジュジュウウウウウウウウウウウウウ!!!!!!!!!!!!!!!!!!レロレロレロレロ!!!!!!!!!!!!!!!!!!
:(*'A゚):「やああああああああああああ!!!!!!!!!!!」
手持ち無沙汰になった豚はブスの乳首を吸い始めました
(;-@∀@)「ヒュッ……」
大魔王すら恐怖します
(´^ω^`)「よっこら!!!!!!!」
しかし料理を始めたオッサンは例えアーマゲドンが到来しようとも絶対に妥協しません。ロールシャッハの生まれ変わりの可能性があります
続いて、解凍した冷凍うどんを投入。だしの素と醤油で味を整えます。ここで引き上げれば、美味しい焼きうどんの完成ですが、今回のオーダーはめんたい焼きうどん
(´^ω^`)「くたばれーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!」
料理中に使わないであろう暴言と共に明太子を投入。明太子もあらかじめ解してあるものを購入すれば洗い物と手間が減ります
ザッと全体に馴染ませたら、味の決め手であるマヨネーズを好きなだけぶち込みます。マヨネーズに火が完全に通る前に皿へと上げ、ネギを散らせば―――――
235
:
名無しさん
:2023/10/09(月) 21:31:42 ID:7D2HI/NA0
(´^ω^`)「めんたい焼きうどんの完成じゃーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!」
_人人人人人人人人人人人人人人人人人人_
>
https://imepic.jp/20231009/766600
<
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^ ̄
魔王滅ぼす必殺の一品、めんたい焼きうどんの完成です。汚えなもっと上手く撮れんのか?
でも仕方ないの、これがiPhone12の限界。プロ飯テロ写真家なら今頃豚の餌だ
236
:
名無しさん
:2023/10/09(月) 21:32:30 ID:7D2HI/NA0
安藤さんが出た
(;-@∀@)「あ……ああ……!!」
(;-@∀・'.。゜ ズアアッ
魔王は、焼きうどんを一口も食べることなく砂になりました。サノス(ジョン・シナ)がこのタイミングで指パッチンしたのでしょうか?迷惑な宇宙ゴリラですね。そんなんだから彼女を赤いのに寝取られるんです
(#´゚ω゚`)「食ってから死ねやーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!」
・'.。゜「アッハイ」
でもなんか死んだわけじゃないようで、砂のまま焼きうどんをズルズル啜り始めました
237
:
名無しさん
:2023/10/09(月) 21:32:53 ID:7D2HI/NA0
・'.。゜「お……明太子の食感にマヨネーズのコク……味が濃くて美味しい……」
実力あれど食レポが雑魚中の雑魚です。樋口楓だってもう少し捻り出せます。しかしオッサンにとって食レポなんてどうでも良いのです
(´^ω^`)「せやろがい」
どれだけ言葉を並べようと、美味しいの一言に勝る食レポは無いのですから。万が一不味いとか口にすれば魔王は後ろの屍より酷い目に遭わされてたので命拾いしました
・'.。゜「ぐ、ぐああああああああああああああ!!!!!!!」
してませんでした。めんたい焼きうどんで死ぬ弱小生物でした
(´^ω^`)「散滅すべしッ!!ディオッ!!」
こうして、一人の狂人の手によって
( ^ω^)ジュッポジュッポジュッポォォォォォォジュルルルルルルルルルルジュッジュジュウウウウウウウウウウウウウ!!!!!!!!!!!!!!!!!!レロレロレロレロ!!!!!!!!!!!!!!!!!!
:(*'A゚):「ふああああああああああああ!!!!!!!!!!!」
異世界に平和が訪れたのでした
238
:
名無しさん
:2023/10/09(月) 21:33:16 ID:7D2HI/NA0
_人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人_
> (´^ω^`)「やったぜーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」 <
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^ ̄
_人人人_
> 完 <
 ̄Y^Y^Y^
239
:
名無しさん
:2023/10/09(月) 21:36:55 ID:7D2HI/NA0
【作品名】(´^ω^`) 『空腹』というワードに反応して飯を作りに現れるタイプの狂人のようです 〜やったれ異世界おかわり編〜
【安価】
>>222
<<224 <<226-238
【部門】食
【区分】一般
【料理名】めんたい焼きうどん
【一言】お疲れさまでした
240
:
名無しさん
:2023/10/09(月) 21:37:41 ID:fiNZmMMs0
笑い止まんねぇわ乙
241
:
名無しさん
:2023/10/09(月) 21:37:55 ID:8Ewir4kw0
乙
笑った
242
:
名無しさん
:2023/10/09(月) 21:48:36 ID:tdrXpwpg0
狂人のおかわりで腹よじれるかとおもった
こんなにストレートな狂人好きだわ。絶対現れてほしくないけど
>>225
どんまい
243
:
名無しさん
:2023/10/09(月) 21:54:07 ID:7kI4KCvI0
>>221
、223、225です。
ご迷惑おかけしております。再度投下します。
244
:
名無しさん
:2023/10/09(月) 21:55:16 ID:7kI4KCvI0
(*゚ー゚)やがてお弁当になる話のようです
.
245
:
名無しさん
:2023/10/09(月) 21:56:17 ID:7kI4KCvI0
高校二年生の時だ。わたしには彼氏がいた。
わたしも彼氏もお互いに初めての交際で、そのせいか、今思い返せばロマンチックな学生だった。
何回目かのデートはお弁当を用意して電車でちょっと遠出をして紅葉を見に行った。
見に行ったというほど立派なものではなかったかもしれない。
遠出とはいえ駅二つ先の、街路樹の紅葉並木が見える公園に行っただけだ。
それでもときめきしかなかったのだ。何もかもが楽しかったのだ。
動きやすさと可愛さを兼ね備えた服を悩んで選んで、動画を見ながらヘアアレンジの練習をした。
お弁当はわたしが作った。
彼がおにぎりが良いと言うので、塩と、梅と、おかかの三種類を小さく二つずつ作った。
お母さんに教わりながら下味から揚げるまで一人で仕上げたからあげ。これは大きめに作った。
卵焼きも初めて作ったけどこれは意外に得意だった。卵を三つ使った分厚くて、みりんでほんのり甘い味付け。
それにレタスとプチトマトを付け合わせて、味変用にマヨネーズをラップに包んじゃったりもした。
246
:
名無しさん
:2023/10/09(月) 21:57:20 ID:7kI4KCvI0
同級生に見られる心配はないと思って手を繋いで歩きながら紅葉が綺麗だねなんて言って。
子供が遊んでいる公園のベンチに二人で並んで座るのはいつもと違ってむず痒かった。
そこがときめきのピークだった。
ラップに貼ったマスキングテープでおにぎりの違いを説明してからおかずを入れたタッパを開けた。
彼は卵焼きの出来を褒めてくれた。すごいすごい、おれのかあちゃんよりもうまいよ。とかなんとか言って、一番に箸を伸ばした。
食べて一言が「うえ」だ。
「うえっ、びっくりした、なんで甘いの?」だ。
(;*゚ー゚)「あ、ごめんね」
どうしてわたしはあの時、謝っていたんだろう。
.
247
:
名無しさん
:2023/10/09(月) 21:58:30 ID:7kI4KCvI0
(*゚ー゚)「うちの卵焼きって甘いんだよ」
( ´ー`)「マジで? なんでおかずが甘いんだよ」
(;*゚ー゚)「なんでって言うか、うちはずっとそうなんだもん」
( ´ー`)「なにそれ。普通しょっぱいもんでしょ」
(;*゚ー゚)「……普通って」
( ´ー`)「だっておかしいじゃん。卵焼きっておかずだよ?」
味付けの「普通」なんて家庭によるんだよあのバカヤロウめ。
好みじゃないならそれで良いけど、どうして正義みたいに否定的な言い方をするんだよ。
(*゚ー゚)「あ、えっと……しょっぱいって、何で味付けしてるのかな?
わたし、次はそれ作ってみるから」
そんな健気な事を言ってしまえる高校二年生のわたしって、なかなか可愛いと思う。
( ´ー`)「そんなの知らねーよ。作った事ないし。おれの母ちゃんに聞いてみれば」
黙れクソガキ。
248
:
名無しさん
:2023/10/09(月) 21:59:26 ID:7kI4KCvI0
たかが。たった。
されど卵焼きの味付け一つで十月の気温よりもがくんと冷め切った私は、驚くべき早さでお弁当を片付けてそのまま駅に走った。
箸は割り箸だったから惜しくはなかった。早くいなくなりたくて、運良く駅には目的の電車が停車中だったから駆け込んだ。
切符も買っていたのにどうして彼に捕まらなかったのかは無我夢中だったから分からない。
そもそも追いかけてこなかったのかもしれない彼氏だった男の子には、電車の中で別れのメールを送った。
学校で若干の粘着をされたが向こうが後輩の女の子に目移りしたお蔭でぱったりと終わった。
そんな事があってから、わたしの脳みそはしょっぱい卵焼きが好きな男をマザコン野郎だと思うようになったらしい。
二十七歳現在になるまで、卵焼きの味付けで潰えた恋が二つほどある。
.
249
:
名無しさん
:2023/10/09(月) 22:00:17 ID:7kI4KCvI0
弊社の社員食堂は大変優秀だとの話を聞いてはいたけれど、実際に食べてみるのは入社以来初めてだ。
今まで利用してこなかった理由は基本的にお昼を持参している事と、利用者の大半が男性社員である事が大きい。
仲の良い同僚に誘われてついて行った事が一度だけある。食券を買わずに利用するのはやや気が引けたが、駄目というルールはないらしかった。
その時の、仕事のフロアにいる時とはまた違う学生時代を思い出すような男性集団の活気だとか、
少し離れた席で勢い良く啜られた汁でも飛んできそうな麺の音だとか、そこかしこから聞こえてくる食器の音や咀嚼音がどうしても耐えられなかった。
別段わたしが聴覚過敏というわけではない。ただ、苦手な音の部類なのだろう。居酒屋に限らず活気のある飲食店も苦手だ。
その自覚があるからこそ避け続けていた社食の食券を片手に受付カウンターに並んでいるのは、ものすごく食べたいメニューがあったからに他ならない。
なんと、麹に漬け込んだ鮭の定食だ。しかも豚汁、漬け物、サラダ付き。写真詐欺でなければ鮭には大根おろしも添えてある。
250
:
名無しさん
:2023/10/09(月) 22:00:51 ID:7kI4KCvI0
魚焼きグリルを洗うのが億劫過ぎて社会人で一人暮らしをしてから魚はフライパンで焼くっきりだ。
実家に戻った時くらいしかパリパリの魚の皮を食べられていない。わたしはパリパリの、バリバリの、魚の皮が好きだ。
それに豚汁だって、具材を沢山入れたい気持ちとそれを用意する手間の天秤に負けて結局味噌汁になってしまう。
どうやら社員食堂は定番のメニューの他に三ヶ月程度を目安にした期間限定メニューが設けられているらしかった。
普段社食の話題など気にもしていないのだが、誰かが言った「麹鮭定食、定番になってほしいよな」の言葉がふっと耳に入ってきた。あと少しで変わるらしいよな、とも。
麹鮭定食、の魅力的な響きにのこのこと社食をのぞきに行くと、券売機横の掲示板の一画に手作りなのが一目で分かるラミネート加工されたポップが貼られていた。
期間限定メニューは三種類あった。手書き文字のチープさに反して写真の撮り方がいやにうまかった。
そしてその期間限定が十月いっぱいで終わる事が、あとから貼り足されたポップに謎のにっこり笑顔のイラストと一緒に書かれていた。
251
:
名無しさん
:2023/10/09(月) 22:01:46 ID:7kI4KCvI0
絶対食べたいと思ったのが昨日の事だ。
今、わたしの目の前には写真よりも美味しい色と匂いの定食がある。
食器はどれも軽く、プラスチック製の安価なものなのだ。
だというのに、照りのある焼き目の鮭が乗った角皿のビジュアルはぐっと上品さを漂わせる。ビジュアルが大正解過ぎる。皮は見るからにパリパリ。
豚汁はわたしの理想よりは具が細かいけれど、それでも具沢山なのが分かる。大根じゃかいもにんじんは当然として、こんにゃくとれんこん、後乗せの青ネギが良い。
ごはんは白く、流石に炊き立てではないだろうが放置されたような気配は少しもない。見た目には硬めの炊き方で好みだ。量はやや多い。
小鉢の漬け物とサラダは写真通りといった感じだったが、嬉しい事にドレッシング類はカウンターから自由に選ぶ方式だった。
ドレッシングびちゃびちゃのサラダはかなり悲惨だ。
和風ドレッシングを垂らしたくらいにしてあとは食べるばかりの定食が乗ったトレイを持ってテーブルを見渡す。
252
:
名無しさん
:2023/10/09(月) 22:02:32 ID:7kI4KCvI0
一テーブルにつき椅子が四脚、それをくっつけた計八人がけテーブルの島が食堂の大半を占め、窓際には一人席といった感じで椅子が並んでいる。
折角なら外の景色を眺めて食べたい気もしたけれど、窓際席はどことなく丸い背中が点々としていて、おじさん専用なのかなという雰囲気があったのでやめておく。
あまりぐずぐずしていても次々に席が埋まってしまうのでさっさと座りたいと思っていると、ちょうど人が離れ、四人がけ分が無人になったテーブルを見付けた。
豚汁が零れないように気を付けつつ急いで席を確保する。くっついたテーブル側には人がいたが、端に座ればそこそこの距離が取れた。
持参した除菌シートでテリトリー分を拭くとなんとなく視線を感じる。気にするものか。
さて座り直し、トレイの位置を整えて、新しい除菌シートで改めて手を拭き、合わせる。豚汁からは柔らかな湯気が立っている。
(*-ー-)人「いただきます」
(,,゚Д゚)「椎名さん。一緒して良いですか?」
(*゚ー゚)「……木越さん」
.
253
:
名無しさん
:2023/10/09(月) 22:03:30 ID:7kI4KCvI0
わざわざ真向かいの席から声をかけてきた男を見上げた。
木越さんは同い年だけど二期先輩で、教育係の補佐という立場で新入社員時お世話になった。今では業務に関係ない雑談もする。
短髪でしっかりした体躯だけれど、スタイルが良くて物腰が柔らかく暑苦しさはない。くりっとした目は少年みがある。くしゃっと笑うと涙袋が強調される。
小学生の時にひどく転んで縫ったほどだという目立つ傷が顎にあるのに強面でもない。痛々しいというより、不思議と彼の顔に馴染んでいる。
この、いかにも女受けの良い素敵な男性は、どうやら私と仲良くなりたいようなのだった。
間違いなく好意がある事はこれまでの付き合いで確信している。事実、今だってわたしと相席をしにきたのだからとぼける方が恥ずかしい。
その好意がオトモダチ的な事なのか男女交際の方なのかはいまいち図れていない。
話すようになったきっかけがゾンビ映画なせいだ。わたしも彼もそのジャンルが好きな知り合いがいなかった。
あまり盛り上がれない話題だから貴重な仲間意識を持っているだけの可能性もある。
個人的には話していて楽しいので良いな、と思っている。部署の打ち上げでしか見た事はないけれど、木越さんは食べ方が綺麗なのでそこも良い。
好きではある。異性として好きかというのはこちらとしても明言しがたい。
(*゚ー゚)「どーぞ。知らない人に座られるより安心です」
(,,゚Д゚)「あはは。良かった、顔見知りで」
(*゚ー゚)「テーブル拭きますか?」
(,,゚Д゚)「あ、良いですか。ありがとうございます」
.
254
:
名無しさん
:2023/10/09(月) 22:04:44 ID:7kI4KCvI0
使いさしですけど、と断ってテーブルを拭いたシートを滑らせると「いえいえ、そんな」と曖昧に応えてテーブルを拭く。返答がアラサーだ。
形容しがたいものの、こういう些細なところで気張っていないなというところが好きだなと思う。自然体を知るような仲でもないくせに、彼の自然体を感じている。
わたし達はまだ二十代で、もうアラサーで、まだ若いし、もう若いとは言えない。
美味しい魚が食べたくって普段はしない事をするって、もしかしてすごくババ臭いのかもしれない。
でも美味しいもの食べたいのに年齢って関係ないよねとも思う。口に出したら言い訳っぽいから誰に言うつもりもないけど。
(,,゚Д゚)「椎名さんは麹鮭にしたんですね」
席につきながら木越さんが言う。
(*゚ー゚)「木越さんのは、味噌焼き? でしたっけ」
縁の反った平皿には汁気の多い味噌だれが絡んだごろごろした鮭ときゃべつやきのこ、たまねぎなんかが乗っている。
香ばしさのある味噌ラーメンみたいな匂いがする。
(,,゚Д゚)「要はちゃんちゃん焼きってやつですよ」
(*゚ー゚)「あー、なるほど」
(,,゚Д゚)「ちゃんちゃん焼きって鉄板でやるから、味噌焼きって名前にしてるのかも」
(*゚ー゚)「確かに。イメージ、こんなつゆだくじゃないですね」
.
255
:
名無しさん
:2023/10/09(月) 22:05:54 ID:7kI4KCvI0
(,,゚Д゚)「でもこれね、すごいんですよ。野菜からこんなに水分出てるのに味が全然ぼやけてないんです」
(*゚ー゚)「あ、それはすごい」
うんちくを声高々に語って聞かせているわけではなくご飯の話を楽しそうにする姿が同い年ながら可愛い。
メイン以外はわたしの定食と同じなのだなとなんとなしにトレイの小鉢を眺めて、ふともう一皿トレイの外にあるのに気付いて、ひゅっと喉が詰まった。
卵焼きがあった。小さめの角皿、汁が滴り、大根おろしが乗っているあたりあまりにもだし巻き卵だ。
ああ、嘘でしょ。この人、しょっぱい卵焼き好きなの?
思わずじっと見つめていたのを、木越さんに声をかけられて気付いた。見つめるというか、睨んでいたというか。
(,,゚Д゚)「食べます? 美味しいですよ」
(;*゚ー゚)「え? あ……あー、でもぉ」
正直なところ、甘い卵焼きが好きでそれが私の、我が家の普通というだけで、だし巻き卵やおかずとして塩気をきかせた卵焼きが嫌いなわけではない。
嫌いなのはそれを「普通」と馬鹿にした言い方で言い切ってわたしを否定して、そのくせ作り方も知らないマザコン野郎だ。
過去のあいつやあいつやあいつらのせいで馬鹿馬鹿しくもわたしは身構えてしまうのだ。たかが、たった、されど卵焼きの味付けで。
256
:
名無しさん
:2023/10/09(月) 22:07:14 ID:7kI4KCvI0
木越さんが皿を寄せてきただし巻き卵など、大きく蒸し焼いたのを切り分けたものではなく一つ一つ焼いているのがふわりとした形で分かる。
表面に若干ついた焦げ目も絶妙で、鮮やかな黄色との塩梅が食欲をそそる。
弊社の社員食堂、よほどの料理好きが務めているのだろうか。それか社長か誰かがグルメなのか。
(;,゚Д゚)「あ……卵嫌いでした?」
(;*゚ー゚)「いえ、いえっ。卵は好きです」
(,,゚Д゚)「なら、折角ですし。ぼく好きなんですよ。これ切れ目入ってないから、あとからだと……ね」
肩を竦めるて木越さんが言う。わたし達は一つの料理をつつき合う間柄ではない。
遠慮していると捉えられているけれどわたしのこれは動揺だ。卵焼きの味付けで彼に対する「好きだな」が消えたらどうしようという。
(*゚ー゚)「……じゃ、じゃあ、端っこを少し、良いですか」
(,,^Д^)「勿論ですよ。大根おろしも、好みですけど乗せて食べると美味しいですよ」
誘惑に負けた女がわたしだ。いやそもそも、あまり待たせるのもどうかしているし。
もしこれで淡い淡い好意がなくなるなら、木越さんのいう折角のだし巻き卵を食べて終わる方が良い。だって美味しそうなのだ。
おや。今更だけれど、わたしはしっかり異性として木越さんが好きみたいだな。
257
:
名無しさん
:2023/10/09(月) 22:08:07 ID:7kI4KCvI0
「いただきます」と言ってだし巻き卵の端を箸で切り分ける。
じゅわ、と箸を押し込むとだしが溢れた。お言葉に甘えて大根おろしもちょっといただく。箸で持ち上げるとくたっとした重みでほんの少し形が崩れる。
(,,゚Д゚)「皿、持って食べた方が良いかもですね。制服汚れたら大変」
(*゚ー゚)「はは、すみません。いろいろお構いいただいて」
(,,゚Д゚)「良いんですよ。駄目なら言ってませんから、ぼく」
(*゚ー゚)「あー……はは。やさしー。じゃあ、今度こそいただきます」
(,,゚Д゚)「どうぞ、どうぞ」
喋っていたお蔭か、食べ頃に熱がとれていた。
見た目の通りだしがきいているが、決して濃いばかりではない。ほのかに甘味を感じる。味付けなのか大根おろしの効果だろうか。
ふわっとしているけど半熟ではなく、焼き加減はしっかりと火が通っていて噛み応えも感じる。
噛むごとにだしの味と、大根おろしが混ざって後味がさっぱりしていく。
258
:
名無しさん
:2023/10/09(月) 22:09:15 ID:7kI4KCvI0
付け合わせのもう一品としてちょうど良い味だし、ごはんのおかずにもちゃんとなる。
大根おろしはあって然るべきだ。だしの塩味とうまみがしっかりしているので、もっとあっても良いと思った。
どうですか、と木越さんが訊くので頷きながら皿を返す。
(*゚ー゚)「かなり美味しいです」
(,,゚Д゚)「良かった。椎名さんってしっかり味わってますって食べ方するから嬉しいです」
(*゚ー゚)「木越さん、ちょっと訊いて良いですか」
(,,゚Д゚)「はい、なんですか」
(*゚ー゚)「卵焼きって、甘いのとしょっぱいのどっち派ですか」
彼からすれば脈略もない質問にぱちぱち、ぱち、ときっかり三回瞬きをして、まんまるな目をして木越さんはわたしを見つめる。
ええと、と小さく言い淀んで、返事はすぐにきた。
259
:
名無しさん
:2023/10/09(月) 22:10:13 ID:7kI4KCvI0
(,,゚Д゚)「どっちかっていうと甘いのが好きですね」
(*゚ー゚)「やっぱり家の味なんですか」
(,,゚Д゚)「いいえ。それがね、母親は甘くないのが好きなんです。具とか混ぜておかずにしたい人」
(,,゚Д゚)「でも……ほら、小学生の時って友達と弁当のおかず交換とかするじゃないですか。
それでよその卵焼きを初めて食べたんですよ。そうしたら甘くて、それがもうめちゃくちゃうまいって思っちゃって」
(*゚ー゚)「それ以来、甘い派って事ですか? わー、お母さん、どんなリアクションになるんですか、それ」
(,,゚Д゚)「不満そうでしたよ。でも頼むといつも作ってくれて……
当時の親の年齢に近付いてくると、面倒だったろうなあ、愛されてたなあって思っちゃいますね」
(*゚ー゚)「ははは。確かに、それは愛されエピソードですね。もう一つ、良いですか」
(,,゚Д゚)「ええ、どうぞ」
(*゚ー゚)「お母さんの甘くない卵焼きって、どんな味付けでした?」
(,,゚Д゚)「あー……その時によって違ったみたいですね。混ぜたひき肉がそのまま味付けだったり。醤油、めんつゆかな?
あとは白だしとか、鶏がらスープの素とかだったかなって思います」
.
260
:
名無しさん
:2023/10/09(月) 22:11:59 ID:7kI4KCvI0
(,,゚Д゚)「そうそう、卵はみりんで甘くして、油の代わりにバターを使って卵焼き作った事あるんですよ」
(*^ー^)「ええ〜? なんかそれ、バター使っちゃうと卵焼きっていうよりオムレツっぽさありますけど」
(,,^Д^)「あっ。やっぱり椎名さんもそう思いますよね。おれもそれ出された時はもう笑っちゃって」
あ、「おれ」だって。いつもは「ぼく」なのに。
どうしよう。食べたくて仕方なかった麹鮭定食を放置してずっと話してるのに、もっと話していたくなってしまっている。
見向きもしていないけれど、焼き鮭の皮がふちゃけてしまっているのがはっきり分かる。
それにしても、わたしってあまりにもチョロ過ぎないか。
良いな、が好きだな、に変わったかと思ったら、卵焼きの味付け一つですごく好きだなに変わってしまっているのだけど。
(*゚ー゚)やがてお弁当になる話のようです
おしまい
261
:
名無しさん
:2023/10/09(月) 22:14:37 ID:7kI4KCvI0
【作品名】(*゚ー゚)やがてお弁当になる話のようです
【URL】/【安価】
>>244-260
【部門】食
【区分】一般
【料理名】だし巻き卵
【一言】定食屋さんで食べただし巻き卵が美味しかったです。
262
:
名無しさん
:2023/10/09(月) 22:16:50 ID:8Ewir4kw0
乙
263
:
名無しさん
:2023/10/09(月) 22:20:10 ID:DIK34sUQ0
狂人またお目にかかれるとは…乙です
お弁当、だし巻き玉子食べたいです。乙です
【作品名】犬と歩けば思い日足るようです
【URL】
https://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/21864/1696855049/-100
【部門】旅
【区分】聖地あり
【舞台の名称】南の方
【一言】行ったのは何十年前なのでフィーリングで書いてます。間違ってたらごめんねです。食べ物とかであそこか〜ってわかってもらえたら◎
264
:
名無しさん
:2023/10/09(月) 23:59:45 ID:2CbI/Xzk0
【作品名】ミセ*゚ー゚)リ遠い国で死んだようです
【URL】
https://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/21864/1696863492/
【部門】旅
【区分】聖地あり
【舞台の名称】シンガポール
【一言】滑り込みマン
265
:
名無しさん
:2023/10/10(火) 00:16:24 ID:yrrh.uBg0
>>222
乙、最初から最後まで面白かった
第二弾読めて嬉しい
>>244
乙
麹鮭おいしそう。社食ってのがまた良いね
卵焼き・出汁巻き食べたくなっちゃうな
266
:
名無しさん
:2023/10/10(火) 01:31:23 ID:ME5s51LE0
【作品名】('A`)我らの街、シャンネンバーグ
【URL】
https://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/21864/1696861513/
【部門】旅
【区分】遠足
【舞台の名称】シャンネンバーグ
【一言】俺、この話が完結したら結婚するんだ
267
:
名無しさん
:2023/10/10(火) 01:38:56 ID:aFbJMD1o0
投下します。深夜に滑り込みですみません……
268
:
名無しさん
:2023/10/10(火) 01:39:27 ID:aFbJMD1o0
※閲覧注意※
この作品には食人描写を含みます。
苦手な方はご注意ください。
269
:
名無しさん
:2023/10/10(火) 01:40:07 ID:aFbJMD1o0
もうすぐで退屈な時間の始まりを告げる鐘が鳴る。
くあ、と小さく欠伸をした細い体の青年は、窓際の席に座りながらスマートフォンの画面を見つめていた。
その様子にため息をついて、体格のいい青年は椅子を彼の方に向けていく。
陽の光がやけに差し込む朝の日だった。
('A`)「ねっむ……」
(;^ω^)「おっお、夜遅くまでス○ラで煽り散らかしてるからだお」
('A`)「だって俺がホコ持ったのに援護してくんねーんだもん彼奴ら。まじむかつかね?」
(;^ω^)「だからって夜中に電話かけてくんなお……面倒臭い彼女か……」
(>A<)「ブーンきゅん♡」
( ^ω^)「きめぇからやめろ」
冗談だって、と軽口を叩き合う彼らは所謂友人関係である。
幼い頃から二人、何をするにも一緒の存在。
だからこの世界の『日常』も彼らにとっては当たり前。
「あ。」
不意にドクオが声を零す。
何だお?と言いたげにブーンが画面を覗きこめば、ゆるりとした苦笑いを浮かべた。
('A`)「また人に直撃だってよ。『魔法少女』」
ニュースアプリの小さな欄の一つ。
その見出しには『魔法少女落下。二十代女性死亡』の文字が映し出されていた。
魔法少女が落ちてきたようです。
270
:
名無しさん
:2023/10/10(火) 01:40:40 ID:aFbJMD1o0
『魔法少女に愛の手を!彼女らは皆、オゾン層の上で必死に戦っています!』
―――テレビから流れるのはそんな台詞だっただろうか。
この国の人間からすれば幼い頃から聞かされていた定番のCMであり、うんざりするほど変わらない謳い文句であった。
事の発端は数十年前に遡る。
突如飛来した地球外生命体に立ち向かうため、現れた何人もの魔法少女たち。
最初こそは街を破壊する恐ろしいモンスターを瞬く間に倒すその姿に世界中の人は感謝した。
しかし画面の中のように現実は上手くいかず、彼女たちが戦う度に街の外観は崩れていく。
修理の資金も国の金から。魔法少女自身からは請求されず困窮が何年も続いた。
次第に魔法少女に向けられていた目は肯定的なものから否定的なものへと変わる。
地球外生命体は自衛隊で倒せないのか?
市民に対する危険性は考慮しないのか?
大規模なデモ活動の末、ある日魔法少女はこう宣言した。
『―――私たちは、オゾン層にある敵の本拠地に乗り込みます』
271
:
名無しさん
:2023/10/10(火) 01:41:33 ID:aFbJMD1o0
魔法少女が落ちてきたようです。
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('A`)「で、元通りなら良かったのにな」
ジュル、と紙パックのいちごオレを肺活量で潰しながらドクオは呟く。
コンビニの前のベンチの上、隣でストローを開けるのに苦戦するブーンを横目で見ながらすっかり空っぽになったそれをゴミ箱に放り込んだ。
('A`)「まさか平穏の代わりに晴れ時々魔法少女になるとはなー」
(;^ω^)「まぁきっとその子たちだって落ちたくて落ちてるわけじゃないだろうし……ぐっ、ぐ……」
('A`)「でももう少し死に場所考えろって。現に死者出てんじゃん」
(;^ω^)「オゾン層から落ちてそのまま直撃したら……そうなる、おね。んぐぅ……」
('A`)「……開けてやるか?それ」
(;^ω^)「お願いします……」
ストローの袋が破ける音と蝉の声。
開け放たれたストローをカフェオレの紙パックに挿して咥える。
(;^ω^)「あー!僕のカフェオレ!」
('A`)「一口くらいくれよ。あーうま」
もう!と怒る友人を後目にケラケラ笑って、一口減った紙パックを彼に渡す。
ごくん、とようやく飲み始めた彼を横目に、ドクオはベンチの上で胡座をかいた。
272
:
名無しさん
:2023/10/10(火) 01:43:13 ID:aFbJMD1o0
>>271
すみません切り取り範囲間違えました……
本来はこちらです
↓
('A`)「で、元通りなら良かったのにな」
ジュル、と紙パックのいちごオレを肺活量で潰しながらドクオは呟く。
コンビニの前のベンチの上、隣でストローを開けるのに苦戦するブーンを横目で見ながらすっかり空っぽになったそれをゴミ箱に放り込んだ。
('A`)「まさか平穏の代わりに晴れ時々魔法少女になるとはなー」
(;^ω^)「まぁきっとその子たちだって落ちたくて落ちてるわけじゃないだろうし……ぐっ、ぐ……」
('A`)「でももう少し死に場所考えろって。現に死者出てんじゃん」
(;^ω^)「オゾン層から落ちてそのまま直撃したら……そうなる、おね。んぐぅ……」
('A`)「……開けてやるか?それ」
(;^ω^)「お願いします……」
ストローの袋が破ける音と蝉の声。
開け放たれたストローをカフェオレの紙パックに挿して咥える。
(;^ω^)「あー!僕のカフェオレ!」
('A`)「一口くらいくれよ。あーうま」
もう!と怒る友人を後目にケラケラ笑って、一口減った紙パックを彼に渡す。
ごくん、とようやく飲み始めた彼を横目に、ドクオはベンチの上で胡座をかいた。
273
:
名無しさん
:2023/10/10(火) 01:43:47 ID:aFbJMD1o0
('A`)「まぁ、昔みたいに建物も壊れる避難警報も鳴りまくる暫く交通がストップする、みたいなことになるよかマシか」
(;^ω^)「んぇ?……ああ、さっきの話かお?」
('A`)「そーそー、定期的に人が降るだけ。被害も最小限。当たった人はー……ご愁傷様、てことで」
(;^ω^)「簡単に言うけどその当たった人からしたら理不尽極まりないと思うお。ご家族さんだって、憤りとかあるだろうし…」
('A`)「魔法少女の家族からは何も取れないんだから仕方ねぇだろ。法律なんだから」
飲み終わった紙パックがまたゴミ箱に放り投げられる。
きっと魔法少女もこんな感じ。死んで要らなくなったから捨てられた。それだけ。
('A`)(底にいる俺らには関係ねぇ話だよな)
普段通りの日常と、広く怖いくらいの青天井。
そこから降ってくるキラキラとした廃棄物に意味などない。
('A`)(……あっつ)
汗が地面を濡らす。帰ろうかとブーンが声をかけるのを聞きながらドクオが立ち上がると一際強く風が吹いた。
―――ガシャン。
何かが落ちてきたような音が響いたのはそんな時。
ドクオとブーンは一瞬あっけに取られたかのように目を合わせてから、音のした方向に目を向けた。
274
:
名無しさん
:2023/10/10(火) 01:44:24 ID:aFbJMD1o0
ξ ⊿ )ξ
魔法少女、だ。
金色に光る髪の毛がクルクルと螺旋を描きながらツインテールになっているその少女は、コンビニ横の植木の上ですっかり事切れている。
その様子に目を見開いて驚くこと数秒。時が戻ったのはブーンが少し慌てたように携帯を取りだした時であった。
(;^ω^)「びっ、くりしたぁ……タイムリー過ぎるお」
(;'A`)「話してる最中に落ちてくんなよ……まじ焦った……」
(;^ω^)「……こういう時どうするんだっけ」
(;'A`)「知らねぇよ、俺初めて見たし……」
ポンポン、と携帯で調べ始めたブーンを横目にドクオは落ちてきた魔法少女に近づく。
何が致命傷なのか、傷一つもない真白の肌からは特定出来ない。
ただ、その姿が凄く美しいのだけはわかった。
('A`)(……すげぇ)
自身の汗が付くのさえ阻まれるような、芸術品に近いそれ。
ジリジリと思考が夏の陽射しに焼かれていく。
( A )(ネットで見た情報だけど、確か)
好奇心を抑えきれなくてそっと触れた肌は酷く冷たい。
息を飲み込んで、肌に一つ、爪を立てる。
ぷち、と切れる音がした。
275
:
名無しさん
:2023/10/10(火) 01:45:03 ID:aFbJMD1o0
魔法少女が落ちてきたようです。
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( ^ω^)「あー……ここに電話すりゃあいいおね……えーと、番号……」
(; A )「……なぁ、ブーン」
( ^ω^)「んー?待って、後にして欲しいお、先に電話……」
(; A )「ブーン!」
(;^ω^)「ちょああ!?な、何だおドクオ……」
腕を掴んで制止したドクオをブーンは見つめる。
後に聞けばきっと、煩い蝉のせいだと言い訳するだろう。
きっと、文明の利器が悪いのだと責任転嫁するだろう。
頭の片隅にあった興味がドクオの思考を蝕んでいく。
息を再び飲み込んで、ドクオは少し笑みを浮かべながらブーンに問いかけた。
(;'∀`)「……知ってるか?」
「魔法少女って、美味いんだってよ」
地面に落ちた汗が直ぐに蒸発した。
けれどもドロリとした何かはそう簡単には消えてなくならなかった。
276
:
名無しさん
:2023/10/10(火) 01:46:35 ID:aFbJMD1o0
>>275
ひぇ……コピーして確認した時は大丈夫なのに貼り付けると出てくるのは何で…??
誤爆ばかりすみません。本来はこちらです
↓
( ^ω^)「あー……ここに電話すりゃあいいおね……えーと、番号……」
(; A )「……なぁ、ブーン」
( ^ω^)「んー?待って、後にして欲しいお、先に電話……」
(; A )「ブーン!」
(;^ω^)「ちょああ!?な、何だおドクオ……」
腕を掴んで制止したドクオをブーンは見つめる。
後に聞けばきっと、煩い蝉のせいだと言い訳するだろう。
きっと、文明の利器が悪いのだと責任転嫁するだろう。
頭の片隅にあった興味がドクオの思考を蝕んでいく。
息を再び飲み込んで、ドクオは少し笑みを浮かべながらブーンに問いかけた。
(;'∀`)「……知ってるか?」
「魔法少女って、美味いんだってよ」
地面に落ちた汗が直ぐに蒸発した。
けれどもドロリとした何かはそう簡単には消えてなくならなかった。
277
:
名無しさん
:2023/10/10(火) 01:47:16 ID:aFbJMD1o0
―――――――………
キッチンからいい匂いと耳につく心地よい音が聞こえる。
しかしそれの正体にため息を着くとブーンはその足のままキッチンを覗いた。
(;^ω^)「本当に食べるのかお……?」
('A`)「丁度母ちゃん夜勤だし、父ちゃんは泊まりだから帰ってこねえし、今しかないだろ」
(;^ω^)「そりゃあそうだけど……」
('A`)「お前だってもう母ちゃんに食べてくるって連絡したんだろ?腹くくれって」
(;^ω^)「あれはドクオが勝手に……」
文句を言いたげに目を逸らして、逸らした先の血塗れに目を見開いてブーンはそのままリビングへと戻って一息ついた。
豚や牛は何も思わないのに、自分たちと近しい姿になるほど嫌悪感が増す。
(;ㅤωㅤ)(正気じゃないお……)
今料理している彼も、その料理を待つ自分も。
きっときっとまともじゃない。
分かっているのに止められないのはそれのせい?
考えるのはもうやめようと先程よりも深く息をつく。
やがて運ばれてきた皿に目を向ければ、想像とは違う彩りに思わずドクオの顔を覗き込んだ。
('A`)「シーザーサラダ。まず前菜食いたいだろ」
278
:
名無しさん
:2023/10/10(火) 01:47:56 ID:aFbJMD1o0
(;^ω^)「……コース料理みたいにするのかお?」
('A`)「いや?俺が食べたいだけ」
自分本位め、と目を細めたブーンを横目にドクオはケラケラ笑いながらドレッシングをかけていく。
緑の上が白く染っていけば中身は殆ど見えなくなった。
('A`)「へーい卵ぷちー」
( ^ω^)「卵は満遍なくいくようにするお」
(;'A`)「無茶言うなよ」
白の中に黄色が混ざり始めれば先程の血塗れの事は頭からすっかり消えてしまう。
ドロドロと染まりきったそれ。皿に分けても人の体らしきものは見受けられない。
( ^ω^)人「頂きます」
( 'A`)人「ん、頂きます」
手を合わせて二人で声を合わせた。
箸で摘んで口の中に放り込んで咀嚼する。
パリ、と心地よい音が聞こえてブーンは顔を上げた。
(*^ω^)「んー!レタスがシャキシャキで美味しいお!」
(*'A`)「半熟卵がいい感じに絡み合って野菜だけでもうめぇなこれ」
トロトロの白身と共に野菜を喉に流し込む。
モグモグと咀嚼すると更にパリパリと音が聞こえてブーンは楽しそうに口角を上げた。
279
:
名無しさん
:2023/10/10(火) 01:48:28 ID:aFbJMD1o0
(*^ω^)「すっごい!クルトンもサクサクだし、よくドレッシングと絡むお!」
こくんと飲み込んで何口目かを箸で掬う。
と、ドクオはじ、とブーンを見つめてテーブルに肘をつけば勿体ぶったように口を開いた。
('A`)「俺、クルトン入れてないけど」
( ^ω^)「………………え?」
暫し見つめあってから、ブーンは恐る恐る食器の中を探る。
どろりとしたドレッシングの中から出てきたのは小さく白い”何か”だった。
歯を立てて齧れば先程と同様カリッとした音が響く。
そのままブーンはドクオの方を見ると何も気にせずにサラダを食べながら他人事のように言葉を吐き捨てられた。
('A`)「それ爪。二十本分の」
( ^ω^)
(;^ω^)
('A`)「サラダには入れてないとでも思ったか?」
口元を抑えて、息を着く。
舌で破片を確認してそれが確実に爪の形をしているのを察すれば眉間に皺を寄せてドクオを睨んだ。
当のドクオは素知らぬ顔。何の躊躇も無く一口、また一口と食べる姿にブーンは諦めたのか、皿の上のサラダに再び手をつけた。
(;^ω^)「……じゃあこのサッパリしてて肉厚のカリカリベーコンは?」
('A`)「それ指。二十本分」
(;^ω^)「これも二十本分かお……うぅ……」
280
:
名無しさん
:2023/10/10(火) 01:48:59 ID:aFbJMD1o0
指。爪。
人の姿から取られた正体を知ってブーンは顔を顰める。
普通に考えれば非人道的であり、グロテスクであり、常人からしたら触れがたい料理。
―――それなのに。
(;^ω^)(何で、もっと食べたいだなんて思ってしまうんだろう)
ごくりと喉を鳴らしてパリパリと音のなるサラダをドレッシングと共に口の中へ運んでいく。
すっかり無くなった彼女の指。
勿体ないとすら思える自身の頭が信じられなくて、ブーンは大きく息を吐いた。
('A`)「おいおい、お楽しみはこれからだって」
な?と言う友人の姿が酷く怖く見える。
けれど悪魔の誘いのようなその言葉が、魅力的に思えてしまって。
(;^ω^)
(;^ω^)”コクン
首を一度縦に振った。
キッチンから香るクリームのような香りに腹が鳴る。
不思議と、罪悪感は少しづつ薄れていっていた。
ただただそれを食べたいという欲だけが魔法のようにそこにあるのみ。
次にブーンの目の前に置かれたのは、ホワイトソースがたっぷりとかかった金色の髪だった。
281
:
名無しさん
:2023/10/10(火) 01:49:33 ID:aFbJMD1o0
所々に散らされたチーズがふわりふわりと髪の隙間に沈んでいく。
ベーコンはどうやら市販のブロックベーコンのようだが、それでも異様なのは変わらなかった。
(;^ω^)「……食べられるのかお?髪って」
('A`)「さっき一本味見してみたけど食えるぞ。歯で噛み切れるし」
(;^ω^)「何でそんな柔らかく―――」
そこまで話してはっと気がつく。
先程の指も爪も一噛みしただけで二つに分かれてしまうくらい柔らかかった。
人間の体なら固くはなるがそう柔らかくはならないだろう。
魔法少女、だからなのか。
不思議に思いながらブーンはソースに絡めてから、髪の毛をパスタのようにフォークに巻き付けて口元に持っていく。
匂いは無い。ただクリームの濃厚な香りとチーズの独特の香りが空きっ腹へと響いて、堪らず口の中に運んだ。
(*^ω^)「……!細いのにすっごいクリームと絡んでモチモチしていて美味しいお……!」
(*'A`)「細い麺はあんまりソースと絡まねぇのにな……チーズもあるから濃厚でフォーク止まんねーなこれ」
282
:
名無しさん
:2023/10/10(火) 01:49:56 ID:aFbJMD1o0
( ^ω^)「……というか絡みにくいの知ってるのに何でカルボナーラに……」
('A`)「あー……金色だったからさ、赤とかより白の方が似合うかなー……って」
色合い的に天使みたいだしよ、と笑う友人を見ながらゴクリと金色を飲み込む。
(;^ω^)(そういえば、何で美味しいなんて情報を知ってるんだお、此奴)
それだけじゃない、何でそんな情報が出回っているのか。
最初に食べようと思ったのは、どこの誰なのだろうか。
くるりとフォークを回して口の中へと運んでいく。
魔法少女が己の体の中に溶けて、まるで狂気をそのまま飲み込んだような気がして、それでも手を止められずに皿の中を少しずつ減らしていった。
(;^ω^)「ご馳走、さまでした」
手を合わせて空になった皿に頭を下げる。
('A`)「俺も。ご馳走様でした」
こくりと頷く目の前の友人に目を向けて、躊躇無く口を開いた。
怖いはずなのに、何故か。
( ^ω^)「ドクオ」
('A`)「んだよ」
( ^ω^)「……その」
次の料理は、何だお。
友人の顔は、よく思い出せなかった。
283
:
名無しさん
:2023/10/10(火) 01:50:47 ID:aFbJMD1o0
('A`)「もつ煮込みとかと悩んだんだよ。人型とかってもつ多いしいいかなー、って」
ドクオは説明しながらブーンの前に料理を置き、ついでにと言わんばかりにグラスに緑茶を注ぐ。
('A`)「でもなぁ、いきなり和食にすんのもなんかこー……違ぇだろ?」
現れたのは茶色の楕円状の料理。こんがりと焦げ目が付いていて、そこにかかるデミグラスソースが食欲を更にそそって行く。
( ^ω^)「だからハンバーグにしたのかお」
(;'A`)「大変だったぜひき肉にすんの。柔らかいとはいえ量もあるしよ。おかげで何個かパック出来ちまったわ。まあいつでも食えるって考えた方がいいか」
自分の分も席に置いて三度目の頂きます。
箸で真っ二つに割ってみるとミンチにし切れなかった大きな肉片と肉汁が零れた。
(;'A`)「あ、粉々なってねぇ」
( ^ω^)「別に平気だお。これくらい寧ろご褒美みたいなもんだお」
ブーンは何処か虚ろな目を向けながらいくつかに分けたハンバーグを一つ口に入れる。
じゅわりと蕩けるような肉汁が飲み物のように溢れては喉を湿して、口から出そうになるのを何とか抑えながら飲み込んだ。
284
:
名無しさん
:2023/10/10(火) 01:51:13 ID:aFbJMD1o0
(;^ω^)「んぶぇっ、溢れる」
(*'A`)「んわー!!肉!って感じすんなこれ!個人的にめっちゃ好きだわ」
(;^ω^)「それはドクオが単に肉好きなだけだお。でも確かにデミグラスソースのコクがハンバーグに絡んで一層濃厚なのが分かるおね」
慣れたように彼女を食らう。
これはどこの部位なのだろう、と考えるのはもうやめていた。
ただただ目の前にあるご馳走を食べ尽くしたくて堪らない。
(*^ω^)「おー……弾力もあって噛みごたえもおるし、その辺のステーキよりジューシーじゃないかお、これ」
(*'A`)「ボリュームもあるから食った気にもなるしな……あー、腹いっぱい……」
(;^ω^)「もう食べたのかお……はっや……」
そんな彼自身もあと一口で食べきってしまう。
普通の肉じゃ味わえない不思議な肉。
箸で挟んで、口を開いてそれも口の中に放り込めば再び嬉しそうな声が零れた。
(*^ω^)「はふ……すぐ食べちゃうの勿体ないおこれ……」
(*'A`)「パック作って正解だったかもな、これ。また食べられるって考えられるのはでけぇや」
罪悪感が肉汁と共に流されて薄れていくのを感じる。
そういえば、さっき何を考えていたっけか。
( ^ω^)(……まぁ、いいや)
空の皿を名残惜しそうに見ながら両手を合わせる。
「ご馳走様でした」
友人と出した言葉は重なっていた。
285
:
名無しさん
:2023/10/10(火) 01:51:48 ID:aFbJMD1o0
『魔法少女に愛の手を!彼女たちは地球に帰ることを望んでいます!』
( ^ω^)「おーん……まだCMかお。」
非日常を終えて、いつも通りの光景をリモコン一つで変えていく。
明けたばかりの番組はトークバラエティ番組なのか、大物司会者が話をしている所だった。
タイトルは魔法少女について。
( ^ω^)(………………)
随分とタイムリーな内容に笑みもこぼさず画面を見つめる。
この中にも食べようとした人はいるのだろうか。
魔法少女を、いたい気な少女たちを解体して食べて、一つになろうとした人は。
( ^ω^)(馬鹿馬鹿しい考えなのは分かってる、けど)
テレビを消して、大きく息を着く。
味を思い出しては腹を空かせて、天を仰いだから携帯を取りだした。
最初の時は淡々と業者を呼ぼうとした携帯。
自分たちと同じ人だと思っていたあの時。
きっともう戻れない。戻ろうともしない。
('A`)「……ブーン?」
(;^ω^)「わぅっ」
名前を呼ばれてビクリと体を跳ねさせた。
振り向けば不思議そうな顔をしたドクオがいる。
どうした?と言いたげのその顔に首を振って答えれば逆に此方が「どうかしたかお?」と聞く。
それに何となく察したのか、追求することなくドクオは答えた。
286
:
名無しさん
:2023/10/10(火) 01:52:16 ID:aFbJMD1o0
('A`)「デザート出来たからよ。食べようと思って」
( ^ω^)「デザート?」
('A`)「おうよ、とっておきのを冷やしてたんだよな」
自信満々に言うドクオが持つお盆の上には布がかかっており、自慢の逸品は見えない。
首を傾げてからブーンはテーブルの方に寄り、布が取られるのを待つ。
('A`)「多分、ここが一番うめーと思うんだよ」
そう言いながらお盆を置き、白い布がはらりと取られた。
薄いピンク色の、沢山皺が入った半円形のもの。
教科書や模型だけで見かけたことのあるそれは、フルフルと揺れている。
(;^ω^)「……これ」
('A`)「おう」
スプーンを渡してドクオは笑う。
('∀`)「―――脳だよ。脳みそ。気になるだろ?ブーンも」
ごくりと喉が鳴った。
渡されたスプーンを怖々と受け取って、ピンクの表面を軽くつついてみる。
小さく揺れて、元に戻ってはその場に佇む彼女の思考。
意を決してスプーンを入れてみると少しの抵抗を感じつつも一口目を容易くすくい上げることが出来た。
287
:
名無しさん
:2023/10/10(火) 01:52:42 ID:aFbJMD1o0
(;^ω^)「お……おぉ……柔らかいお……」
('A`)「ムースみてぇだよなこれ。シャーベット期待して冷凍庫入れてたんだけど失敗だったかな」
(;^ω^)「いやでもちょっとジャリジャリしてるような……シャーベットというかジェラートというか……」
しげしげと観察すれば凍った先の彼女の色がキラリと揺れた気がする。
意を決して、震えるスプーンをゆっくり口元に持っていくと一気にその先端を咥えた。
瞬間甘酸っぱい味が口いっぱいに広がり、ほのかに甘い香りが鼻腔をくすぐる。
濃厚な甘さが酷く暴力的なのにフルーツのような酸っぱさがブーンの食欲をただ引き立てていた。
(*^ω^)「なん、なんだおこれ……!濃厚ないちごムースというか、甘くて酸っぱくてすっごい美味いお……!」
(*'A`)「マジ?俺も食う。左脳食う」
(;^ω^)「何で左脳限定なのかお……なら僕は右脳!とはならないお……」
少し呆れながらも一つ、また一つと脳がスプーンで抉られていく。
ここに彼女の記憶もあったはずなのに、今じゃただ美味しさのフレーバーになるばかり。
288
:
名無しさん
:2023/10/10(火) 01:53:08 ID:aFbJMD1o0
半分ほど食べ進めた頃、何かを思い出したかのようにドクオが「あ」と声を零した。
('A`)「そういえば取っといてたんだっけ、あれ」
( ^ω^)「?」
キッチンに戻り、何かをガサガサと取り出す音を出す。
それから機械を動かす音と、甘い香り。
手持ち無沙汰に行儀悪くスプーンを咥えていたブーンの前に現れたのはその少し後のことだった。
('A`)「じゃーん」
とブーンの目の前に置いたのはミルクソーサーに入った赤い液体。
鼻につく匂いは少し甘いものの、特有のものが混じっているのに気がつけば呆れたように再度ドクオに目を向けた。
(;^ω^)「……血かお、これ」
('A`)「せいかーい。正しくは心臓の血、だけどな。取っといたのミキサーにかけてみたんだよ」
相変わらず趣味が悪いと言わんばかりに睨んでくるブーンを差し置き、ドクオは真っ赤なソースを半分になった脳みそにくるりとかけた。
更に広がる甘い香り。血の香りもするのに美味しそうだと感じてしまうのが不思議で、ブーンも恐る恐るミルクソーサーを手に取ればドクオの真似をするようにくるりとかけた。
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