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しゃらり小夜曲のようです
155
:
名無しさん
:2020/12/05(土) 20:20:30 ID:kW.hMAD20
既に僕と彼女の周囲は季節外れの紫の菫が咲き乱れる花畑で、
僕も彼女も静寂の中で悽愴な叫び声を挙げていた。
僕と彼女を繋ぎ止めている蜘蛛の糸が彼女の月光の糸に取って代わられるのも、時間の問題だった。
幽冥の苦楽は原初の渇望、過去の痛みを和らげ希死念慮を薄める目的すら失って、
より静かな亡失を求めていた。
僕は彼女の奏でる小夜曲になるべく取り込まれることのないように、
目前の彼女──ペニサスを、強く、強く、抱きしめた。
鈴なりのピアスがしゃらりと聴こえる。
紅涙を絞り嗚咽を洩らしていた彼女から、僅かに残った温もりが直に伝わってきた。
仄かで、幼気で、しんしんと微苦笑を浮かべるペニサスの後頭部に手を伸ばし、その髪の毛をゆっくり指で梳く。
彼女の待つ言葉を僕は知っていたけれど、それにどんな意味が在るのかついては、分からなかった。
今は意味に、囚われていないから。
僕は彼女に抱き締められている。
(*´^_ゝ^`*)「──赤ちゃんの、娘の、ミセリの、誕生日」
果たせる哉、彼女は風が吹くように、僕の中へ溶けた。
胸のところで、──が小さく欠伸している。
僕は、もう二度と忘れてしまわぬようにと、そのきめ細やかな額に、そっと口付けを交わした。
156
:
名無しさん
:2020/12/05(土) 20:20:57 ID:kW.hMAD20
.
157
:
名無しさん
:2020/12/05(土) 20:22:04 ID:kW.hMAD20
(12)
だから僕は自分の上目蓋をくいっと捲って、そこと眼球の間に向けて、力強くスパナを突き上げた。
12段目を踏み越える。
僕の耳元から、絶え間無く揺れる鈴の音が聴こえる。
.
158
:
名無しさん
:2020/12/05(土) 20:22:39 ID:kW.hMAD20
【終わり】
.
159
:
◆MSKEobRqzo
:2020/12/05(土) 20:24:15 ID:kW.hMAD20
投下は以上になります。
途中レスが重複してしまって申し訳ありませんでした。
以後気を付けます。
160
:
名無しさん
:2020/12/06(日) 11:40:46 ID:jdneagzc0
乙乙乙乙
161
:
名無しさん
:2020/12/06(日) 14:20:15 ID:Ycht8sno0
比喩表現の豊かさに圧倒された
乙
162
:
名無しさん
:2020/12/09(水) 08:01:18 ID:WSihKNFM0
ゆりかごの人かな?
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