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( ^ω^)文戟のブーンのようです[6ページ目]
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【このスレについて】
●このスレは何か
→ブーン系の品評会企画です。
作品による競い合いと、それによる作者同士の研鑽を目的としています。
●品評会はどう行うのか→>>2参照
●どうすれば参加できる?→>>3参照
●スレタイにある『文戟』って何?→>>4参照
【その他のルール、細則>>5】
【生徒名簿>>6】
【まとめ】
https://bungeki.jimdofree.com/
【過去スレ】
テストスレ
https://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/21864/1531744456/
2ページ目
https://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/21864/1533540427/
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https://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/21864/1536071497/
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https://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/21864/1538666460/
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https://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/21864/1541935201/
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('A`) なるほどそう読むか…
('A`) うーむ…
('A`) なるほど…
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('A`) 一つ言えば、私達がこの話を読み始めた時、物語内時間では何時だったのかということです
('A`) つまり読み始めた時点でモララー達はどうなっていたのか
('A`) 既に結末を迎えていたのでは…?
('A`) こちらからは以上です
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>>825
(´・ω・`) ブーン系作品というよりは
(´・ω・`) 作品のみならず感想、総合、某、掲示板、さらにはその外部のSNSまで含めた「ブーン系」という書き方だったんだが…
(´・ω・`) 流石に例にブーン系作品が挙げられたからといって思考停止するほど愚かでもないと思ってるよ
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(´・ω・`) いや、実際はブーン系に囚われていたのか…
(´・ω・`) ……
やはり(´・ω・`)には読解力がないようです
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Ladies and Gentlemen,
I will announce the results of the count.
第一位 ('A`) ◆AMmdHNyQPk 6票
ある本についての本の話
第二位 川 ゚ -゚) ◆c.qQuXxMoQ 5票
(´・ω・`)想うようです('、`*川
Dokuo, please decide the theme of the next competition today
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文戟結果発表
('A`) ◆AMmdHNyQPk 6票
ある本についての本の話
vs.
Σz ゚ー )リ◆ij8xCb.PrY
Dokuo win by default.
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・【0P】从 ゚∀从 【第二挺】◆ogHcBy0QF6
・【0P】(*゚ー゚) ◆4hjDojWtys
・【0P】▼・ェ・▼ ◆a7eydlwZI.
・【0P】(・∀ ・) 【第三挺】◆evfltpoFGo
・【0P】(´・_ゝ・`)【第一挺】 ◆lqtlYOyuz2
・【0P】<_プー゚)フ ◆AwmE0lJ56w
・【0P】( ><) ◆wHcop5D7zg
・【0P】('、`*川 ◆tKLHNhuUIo
・【0P】ミセ*゚ー゚)リ ◆.B6BIc9Qqw
・【0P】J( 'ー`)し ◆nL4PVlGg8I
・【0P】(-_-) ◆q/W4ByA50w
・【0P】( ´_ゝ`) ◆GmbTh14.y.
・【0P】(-@∀@) ◆q5Dei.01W6
・【0P】o川*゚ー゚)o ◆r65.OITGFA
・【2P】Σz ゚ー )リ◆ij8xCb.PrY
・【0P】(*‘ω‘ *) ◆pYMCMYBATY
・【3P】(´・ω・`) ◆4fW30b.lZU
・【0P】从'ー'从 ◆qblPUItam.
・【0P】( ・∀ ∀・)◆EnVvubdKUg
・【0P】ξ゚⊿゚)ξ ◆IU1nsGpajk
・【7P】( ・`ー・´) ◆BIc1.HXbFU
・【6P】('A`) ◆AMmdHNyQPk
・【11P】川 ゚ -゚) ◆c.qQuXxMoQ
・【10P】( <●><●>) ◆CNITCpldAs
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(´・ω・`) 訂正その他よろしく
(´・ω・`) さて、ドクオ君が何のお題を選ぶのか…
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川 ゚ -゚) おはよう ショボンまとめありがとう
川 ゚ -゚) そしてドクオおめでとう!
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('A`) サンキューベイベー
('A`) それで次回のお題だけど
('A`) これ確か選ばなくても良いんだよなその場合は2位に権利が移動する
('A`) よって俺はお題を選ばない、クー決めといて
('A`) 理由は2つ
('A`) もしかしたら今回ツンと文戟するかもしれないから(多分ツンは来ないだろうけど)
('A`) あとは出されたテーマにどこまでフィットできるかっていうのを試してるから
('A`) 自分で設定したら意味がないんだよな
('A`) それで話は変わるが
('A`) 今回の文戟どうやら俺が勝ったようなので
('A`) スニフィとかいう輩は自分が言い出した条件を守って3回書けよな
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川 ゚ -゚) む、分かった。個人的にはドクオが設定するお題に興味があったが……
川 ゚ -゚) ていうかいざ決めるとなるとこういうのってけっこう困るもんだな
川 ゚ -゚) よし。やりにくかったらすまん。
次回、第11回品評会テーマは『たまご』でたのむ
作品投稿期間(毎月1日〜20日)
↓
投票、感想期間(毎月21日〜25日)
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川 ゚ -゚) これで大丈夫か?初めてやることはどうにも不安だ。なんかあったら言ってくれ。
川 ゚ -゚) しかし2位でもテーマを決める機会があるとはなあ
川 ゚ -゚) 1位とるなんて言わなきゃよかったな!
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(´・ω・`)想うようです('、`*川 について
('A`) 大体の感想はショボンと名無しに言われてるので気になったところを少し
('A`) まず、ところどころ作為が見えるのが気になる
物語は基本的に変身を必要とする。
それは登場人物の内面・外面、あるいは彼が関わる世界、
初期に提示されたテーマ、テーマの捉え方、読者の認識、
物語の意味、、、など
変身と言ってもいろいろな変身があるが、少なくともどれか一つは満たす必要がある
では、この話における変身は何か?
ここでは、ペニサスが夫と死別したか離別した、という読者の認識が変化する
その結果、物語の意味、つまり日記の意味や、ため息、寂しさの意味も遡って変化する。
それ自体は良いんだけど
その変化のさせかたに若干、作為があるかなって
死別を匂わせすぎて変化の瞬間、それ以降どうしてもこの匂いが気になるんだよね
この状況は物語内においては作為的な状況ではなく、写実的な状況であるから
夫の日記をこっそり見る妻という、一つのシーンだから
物語内の誰かが意図して出来た状況ではないし、誰かを通じて出来事が語られてるわけでもない。
そこに作為が見え隠れするのはちょともったいない。
変化した後で読み返すとミスリードさせるために置かれたパーツがどうしても目立ってしまう。
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('A`) 後はラストというか結末と言うか
この終わり方は閉じた結末だと思う。
つまり、物語内の要素を消化しきって、めでたしめでたしで物語が閉じて終わる。
これは基本的に、古典的な長編での終わらせ方なんだよね
短編で用いることも可能だけど
やるなら長編的に書かれた短編でやるほうが良いと思う。
でもこの場合は、死別と見せて実は生きてましたって変化の仕方だから、極めて短編的な短編なんだよね。
長編のように長いスパンで、事の初めから出来事や主人公というものに密着して、
そしてついに大団円の閉じた結末ってなると満足度も高くなる。
ああついに終わったんだなって、読者も彼らとの旅を終える。
一方で短編は、そういう物語世界との絆を作る時間がとても少なく、
また意図的に(情報を制限ししたりして)そうしない短編的な長編では、
そういった閉じた結末で満足感を与えるのは難しい。
よって開かれた結末が主流になる。
不確定、予感、未来、不安など、本編が終わっても、わだかまりが全て消えたわけではないラスト、
例えば前回の「( ^ω^)贄の涙のようです」はそういうラストだったはず。
ツンに刺されて呆然とするブーン。
そして最後のツンの言葉。
物語としてはこれ以上なく結末を迎えたが、わだかまりは残る。
この先のブーン、ツン、村がどうなるのかという不確定な未来。
そして、ブーンはどうするべきだったのかという残された問い。
短編らしい話はそうやって開かれて終わったほうが心に残り続ける。
長編らしい閉じて終わる余韻とは別の残り方として。
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('A`) 長くなったが、そういうことを踏まえると
この話は短編らしい短編なのに終わり方が長編向きの終わり方で物足りなさがある。
また、その終わらせ方をするには作為が気になる。
そして、この物足りなさは変身と結末の関係にもある。
変化が一体何のために必要で、何をもたらし、何を語っているのか。
ただ変化が訪れただけでは変身ではない。
訪れた変化が何かの意味のあるものとして現れて初めて変身は達成される。
それをもたらすのが結末(解決)の役割になる。
贄の涙で言えば、儀式がその本性を現し、ブーンが無垢な救済者から殺人者へ変貌したという変化に、
ブーンがツンの言葉によって、救済しようとしてた相手にとってさえ加害者へ転ずるという結末が、
意味を与えて変身は成される。
あの結末によってブーンは単なる変化を越えて物語的な変身を遂げ、その先が「開かれて」終わる。
そして今回の話には、
「ここでは、ペニサスが夫と死別したか離別した、という読者の認識が変化する
その結果、物語の意味、つまり日記の意味や、ため息、寂しさの意味も遡って変化する」
という変化に意味を与える結末が見当たらない。
悲しい話からのろけ話へ変化しているが、それが持つ意味が何で、どこにあるのか分からない。
つまり変身してない。
これが一番残念だった点かな
やっぱ何かの変身がないと、それで結局この話なんなの?ってなりかねない。
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('A`) なので俺が考えるに
もっと開かれた終わり方にして、変化に意味を与えて変身させるか、
作為を薄めて変化より写実性に重点を置いて長編的な短編として書くかしたほうが良いかも知れない
とはいえ題材的にそれが可能なのかについては俺もよく分からない。
結局これはのろけ話で、それを開いて終わらせるのは難しい。
また、意味を与えるとなると、そもそもこの話がただの惚気話以上の何かにならなくてはならないわけで。
一方で、この変化の仕方で作為を見せるなというのも難題である。
さらに長編的な惚気話とはなんだってこともある。
まあ、そんな感じでこの感想は開かれた終わり(?)になります。
('A`) 何かの参考になればいいなと思うけど結論はかなり怪しい
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('A`) 言い忘れたけど
('A`) 贄の涙が初めて書いた話だって聞いた時はビビったわマジで
('A`) 描写の粗さとかは指摘されてたけど
('A`) あの物語における変身はほぼ完璧と言って差し支えないと思う
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川 ゚ -゚) なるほど……
確かに本文では匂わせが多く、オチもショボンが指摘していたように
拍子抜けしてしまうものになってしまった。
終わり方についても確かに長編向きだ。教えてもらって良かった。
川 ゚ -゚) 地の文を書く時間がなかったので、なら人を殺さない
ほのぼの的なものにしようと考えて書いたが……
川 ゚ -゚) 結果つまらないものになってしまったな。反省せねば
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川 ゚ -゚) 使っているAAが良いとドクオも心なしか優しい。
ビコーズを選ばなくて正解だった。
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('A`) (AAは関係ないぞ)
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ξ゚⊿゚)ξ 文戟はするわよ!ドクオ!そしておめでとう
ξ゚⊿゚)ξ ちょっとコメントをシンプルにまとめる余裕ないけど二人の話が読めてとてもとてもうれしい、すてきなお題をありがとう、クー
ξ゚⊿゚)ξ 0ポイントだから無敵状態だからどうにかしたかったんだけど色々無理だった、手ぶらでごめんね
ξ゚⊿゚)ξ さぁ、泣いても笑っても4月が最後、どうかよろしく、がんばるわ
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きたか…!!
_ / ̄ ̄ ̄/
\/___/
( 'A`) ガタッ
.r ヾ
__|_| |_|
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
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川 ゚ -゚) メインツンきた!これでかつる!
川 ゚ -゚) ふたりとも楽しみにしているぞ
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今回までの品評会のまとめを更新しました
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やっぱ主役級AA達が残ったか。燃えるな
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(´・ω・`) キケイ君の作品を公開し忘れてました
(´・ω・`) 誠に申し訳ない
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生徒登録っていつでもできるの?
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('A`) ああ、何なら今すぐにでも良いんだぜ?
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果たして今日中にスニフィは来るのだろうか。来るとしても1レス作品以外の作品を書いてくれるのだろうか。
そもそも今月は作品を書く人がいるのだろうか。
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(´・ω・`) かなりやばい
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(´・ω・`) 一応投下宣言
(´^ω^`) 21までに投下し始めたら日付跨いでもセーフなんだよね?他に投下する生徒がいないならやってやんよ
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('A`) 頑張るねぇ…
('A`) 俺はもう諦めたよ
('A`) ツンごめん
('A`) それなりに粘ったけど今の俺には書き上げられない
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>>862
(´・ω・`) クソギャグはなぁ
(´・ω・`) 最悪どうとでもなるんだよ
(´・ω・`) 君の作品と違ってね…
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ξ×⊿×)ξ ほげえええええええええ間に合わないいいいいいいい
ξ×⊿×)ξ メチャクチャクソ悔しいけど投下宣言します
ξ×⊿×)ξ ね落ちしてなければ朝日が登る前になんとかできたらいいいなぁぁぁぁ
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('A`) じゃ俺も足掻いてみるわ
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みんな頑張れ頑張れ
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これどーなんの?延期でもすんの?
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ξ×⊿×)ξ かんねんして今から投下します
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丸い水の中に、二匹の赤い金魚が泳いでいた。
どこにでもいる普通の金魚で、私のペットだ。
水の底には決まりごとのように、白色の砂利が敷き詰められていた。
愛くるしく揺れる、ぷくぷく肥えた金魚の美しさは、この世の者ではあり得ない。
使いづらいひれ、脆いうろこ、弱い目。
そこにあるのは、ヒトの儚く、愛らしい物に対する憐憫の情を利用して、生存と繁殖を企む命の逞しさだ。
やがて金魚は落とされたエサに気づいて、水面近くを回り始めた。
水面近くを回り始めた。
水面くを回り始めた。行儀良く、小さな口を回り始めた。
小さめた。回り始めた。
近くを水面行儀良く、り始ため。
口、小さな近くを
良く、小さな口水面近くを行儀良りを始水面近くを回り始めあた
水めた。水面を回り始めた。
。
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「ちょっといいかな?」
声をかけられました。となりの席からです。
相手はヒトでした。
恐らくch-6銀河のヒトでした。
私とは違う種のヒトなので、齢ははかりかねますが、落ち着いた、成熟した印象を持ちました。
「フイルムの識別テストに、手こずっているようだね。どうだい?ちょっと、貸してみてくれないかな?」
隣のヒトは、受けとったフイルムを観察すると、あっという間にエラーを修復して見せました。
まるで何事も無かったかのように、金魚はフイルムが作り出した世界を回っています。
驚きです。
仕事柄、フイルムの扱いには自信があったのですが、これほど鮮やかな手腕を披露されては……ただただ、脱帽です。
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「ありがとうございます。助かりました」
「3コマ目の構成にミスがあったんだ。だから金魚のエサが、うまく出力されなかったんだね」
「卓越した技術と思います。あなたは、プロの方なのでしょうか?」
気持ちを伝えると、そのヒトは嬉しそうにしてくれました。
「言語生態学の授業のアシスタントとして、フイルムの研究所にいた事があるんだ」
「では、私の先輩にあたる訳ですね」
「8年前にやめたけどね。今はただの旅ヒトさ」
私の仕事は、宇宙に点在する文明を復元、保存する事にあります。
蓄積物の電荷の動きから、地層内の空間の歪みまで。
あらゆるデータを収集、計算し、フイルムの中……つまり模擬世界の中に、ヒトビトの歩みを再現するのです。
こんな所で同業者に出会えた偶然に、私の退屈は、さっさと吹き飛んで行きました。
「フイルムの中にヒトの歴史を再現するのは、そりゃあ大変な仕事さ。ペットの金魚とは訳が違う」
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おしゃべりは弾みに弾みました。
なにせ退屈していましたから。猛烈に。
私達の長距離スペイスシャトルは、光波嵐の影響で、足止めを食らっていたのです。
もう何時間も、大宇宙の深溝から動けなくて、誰も彼もがうんざりしていたのです。
暇潰しの金魚弄りはもう止めました。
知っている歴史の事を話し合いました。
よせては返す、命の荒波。命のしじまの話です。
永劫の中の、ほんのかすかな、またたきの話です。
お気に入りの時代の話、大好きな時代の話。
いい時代の話、悪い時代の話、まずまずな時代の話をしました。
目撃した面白いヒトとか……
どの文明のどの年代がやっかいだったとか。
──忘れられない話とか。
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「ある時代に絶滅した、ある文明の一生を再現していたんだ」
「それがある日を迎えると、必ずクラッシュしてしまい、最後……つまり、現在の状態まで再現する事ができないんだ」
「クラッシュの原因までは特定できたんだよ。末期政府の燃料工場で事件があった日でさ、でも……」
「でも、その日に至るまでの過程をいくら煮出しても、間違いは見つからないんだ」
「ほんとうに何が間違いなのか、わからないんだ」
「困るだろ?すごく」
問題のフイルムに復元されているのは、すでに絶滅した文明の一生なのだそうです。
このような結末が決まっているフイルムに、誤ったデータが混入した場合、模擬世界には激しい拒絶反応が生じます。
入力データ……歴史の過程、過去の情報。
それらが違えば──当前ですが、同じ結末にはなり得ません。
そんなわけで模擬世界はフリーズ。最悪クラッシュしてしまうのです。
困ります。すごく。
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「そのフイルムは、46コマで生成されていた」
「クラッシュが発生するのは、45コマ目だ」
「45コマ目は時間で計算すると、約9102年前にあたる」
「9102年前は、この文明が絶滅する直前になる。ほんとうにあと少し、あと一歩で完成だったんだ……」
「……そして僕らは、空白の人物データを混入させる事にした」
「まぁ、いわゆる識別テストさ。君が金魚フイルムにやったのと同じやつ」
このテストは、空っぽの人物データを試験的に加える事により、異常のある箇所が、芋づる式に浮かび上がる……といったものです。
テストに期待される結果は、エラーの連鎖です。
先ほどの金魚のフイルムのような、騒々しいエラーの連鎖です。
さて──
「どうなったと思う?」
.
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Genomのようです
.
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爆発のすさまじい衝撃波が走った。
占拠された燃料工場を取り囲む、無数の戦闘機。
建屋から吹き出す炎と粉塵が、空に作られた排気溝に吸われてゆく。
この街は地下にあるのだ。
施設のエントランスでは、反社会的な宗教団体と、警衛隊による攻防が、繰り広げられていた。
警衛隊は、圧倒的な物量でバリケードを突破する。
ゲルを浴びた人は一瞬で発火した。
飛び出した人は光線の一撃で弾けた。
抵抗の有無、年齢、性別の違いはない。
警衛隊は動ける人を焼き尽くすと、燃料工場の奥へ進む。
廊下の先には光がない。
.
-
警衛隊は廊下の奥へ足を進めた。
ガスマスクには暗視機能があり、光源の有無は関係無い。
廊下は静まり返っている。
時折、残った人が飛び出して来たが、警衛隊の足並みは一糸の乱れもない。
やがて無線に制圧完了の報告が走る。
燻る施設へ救命隊が加わり、人の回収を開始した。
体を床から削ぎ落とし、服を剥き、残りの重さで仕分けられた。
鑑査済みフラッグの立ててある人を次々と、ポリケースへ収拾する。
繰り返し。
簡易照明が持ち込まれ、廊下は明るくなった。
瓦礫と人が折り重なった道を、警衛隊と救命隊がぎこちなく歩んでいる。
-
何もかもが破壊され、もうどこにも、人がまともに進める場所はなかった。
先に突入した警衛隊により、隠し部屋はすべて暴かれ、救命隊の為の誘導テープが張られていた。
予測できる限り、人は壁や床に焦げついてる。
室内の人のほとんどは、封鎖された窓の下に集中していた。
(#;,Д# )
( ー[Ⅸ]ー)
(#;,Д# )
.
-
(#;,Д# )
( ー[Ⅸ]ー)
子供だろうか。
小ぶりの─ ─を持つと、救命隊員は小さな亀裂を見つけた。
( ー[Ⅸ]ー)
亀裂には、僅かに風が通っている。
( ー[Ⅸ]ー)
その向こう側へと、通路が続いている。
新しい、作られたばかりの、まだ傷ひとつない道を風が導いている。
救命隊員は亀裂をこじ割った。
そして静けさの中を遠ざかって、救命隊員の背中は、とうとうかすんで見えなくなってしまった。
-
( ー[ ]ー)「……」
女は夢中になって通路を進んでいた。
ここには何もないが、人や瓦礫の上よりずっと進みやすい。
がらんとして、まっすぐな通路は、女の見える限り続いているようだった。
うす闇に、同じ間隔で現れるランプを眺めていると、女は心が虚になって、
どこかへ帰りたくなるような気持ちを掻きたてられた。
やがて女は、気づいて立ち止まった。
行き止まりだ。ここから先には行けない。
( ー[ ]ー)「……」
本当にもうどこにも行けないのか、しばらく立ち止まって考えていたが、
やがてはそれを認め、引き返そうとした。
ところが
.
-
( ー[ ]ー)「待ちな、そこ何か落ちてる」
( ー[ ]ー)「いや?無いけど」
( ー[ ]ー)「ほら、そこだって……そこだよバカ!」
( ー[ ]ー)「だから何も……んんん?」
音がした。
固いものが転がるような音だ。
這いつくばって探してみたが、防塵マスク越しでは、どこに行ったかわからないようだ。
顔を見合せる。
マスクを取り去り、ようやくそれを発見した。
.
-
(*゚ー゚)「なにこれ……たまご?」
(*゚∀゚)「そら見たことか!」
(*゚ー゚)「たまにはやるじゃない、つー」
(*゚∀゚)「そうさ。鈍くさい同期が一緒のときは、あたしも鋭くなれるのさ」
(*゚ー゚)「そーですか。ではお鋭いつー殿、これは一体なんでしょうか?」
(*゚∀゚)「タマゴ」
(*゚ー゚)「なんでここにあるのよ?おかしいでしょ」
(*゚∀゚)「とりあえず、おいしそうには見える」
(*゚ー゚)「ベーコンエッグでも作る?」
(*゚∀゚)「いや、やめとくや。あのオカルトバカの巣にあるんだ、どうせロクなものじゃないね。さ、サボりがバレる前に行こう」
(*゚ー゚)「それもそうね。じゃあこれは─ ─ ───
バリッ
*゚ー゚)「あっ」( ゚∀゚*
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─────────────────────▼0046
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「なんですって」
「な?奇妙だ。実に奇妙なんだよなぁ……」
あまりに驚いたので、私は紅茶のサービスドリンクをこぼしてしまいました。
隣のヒトは、真剣に真剣に思い詰め、私の失態に気づいてないようす……助かりました。
「存在しない存在が、存在したんだ」
「ソイツは、己が存在し得ない世界で名前を獲得し、人格を獲得し、人間関係、経歴、すべてを芋づる式に形成していった」
「なんて不気味な……」
「信じられないかい?僕もさ。自分の頭に限界が来ちゃったのかと思ったね」
そのヒトは、金魚フイルムをうつろに眺め、妙だ奇妙だと呟いています。
細い管のようなフイルムが、指でつままれて揺れています。
透きとおる管に収まる、4種の部品の組み合う二重らせんが、からかうように揺れています。
この軟らかな管に、世界を形作る、膨大な4次元データの配列が書き込まれているのです。
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スペイスアテンダントを呼び止め、紅茶の無駄にした分を補充します。
キャビンのあちらこちらで、待ちくたびれた乗客達が、世間話をするために群れていました。
隣のヒトは、スマイル・クッキーを欲深く積み重ね、更にはそのデコレートまで企んでいました。
「で、どうなったんですか?」
「施設の内部で、2名のヒトが謎のタマゴを発見した」
「ほうほう」
「彼女らは、工場に立て籠っていた反社会勢力の罠ではないかと訝しみ、タマゴを放置した」
「それで?」
「そしたらタマゴが割れて、46コマ目の最後に飛んだ」
「はぁ?」
私は再び紅茶をこぼしてしまいました。
隣のヒトのクリイムデコレートは失敗していました。
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「それって……」
「結末を迎えたんだ。すっかり、きれいさっぱり」
「46コマ目の、内容は」
「無いよ。空っぽ。終わりしかない」
「あのタマゴが割れた瞬間、おしゃれな地磁気管制塔があって、orz文明の遺跡が観光できて、トウモロコシの栽培が盛んな、惑星ソサークの現在が出来上がったのさ。うん」
「あまりにも奇妙なエンディングだったけど……まぁ、その、僕の上司と同僚が、のんびりした奴でよかったよ」
「……テストとして差し込まれた空データは、事実ではありません。明らかに」
「その通り」
「異物は、その世界の法則に従い、弾かれなければなりません」
「まさしく」
「異物が混入した世界は、機能不全を引き起こし、凍結、瓦解する事があっても、完成する事はあり得ません」
「同意するさ、心からね」
「なら──」
「僕の話は終わらない。という事だ」
「アレを無かった事になんかできないって……あの後、また何回も再生してみたんだけど──」
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(*゚ー゚)「なにこれ……たまご?」
(*゚∀゚)「そら見たことか!」
(*゚ー゚)「たまにはやるじゃない、つー」
(*゚∀゚)「そうさ。鈍くさい同期が一緒のときは、あたしも鋭くなれるのさ」
(*゚ー゚)「そーですか。ではお鋭いつー殿、これは一体なんでしょうか?」
(*゚∀゚)「タマゴ」
(*゚ー゚)「なんでここにあるのよ?おかしいでしょ」
(*゚∀゚)「あのオカルトバカの巣にあるんだ、どうせロクなものじゃないね。さ、サボりがバレる前に行こう」
(*゚ー゚)「でも私達は見つけてしまった、もう見なかった事にはできないわ」
(*゚∀゚)「しぃ〜、あんた本当に真面目だねぇ……思うにね、サンドイッチを作ろうとしたんだ。連中は」
(*゚ー゚)「……」( ゚∀゚*)
.
-
(*゚ー゚)「9号戻りました」
(*゚∀゚)「戻りましたぁ〜」
( ー[╋]ー)「遅かったな」
しぃとつーが来た時、エントランスは人でごった返していた。
作業はあらかた片付いている。
二人はタマゴを自分達のリーダーに提出した。
リーダーはタマゴを受けとると、血相を変え、どこかへ連絡を入れに行ってしまった。
(;*゚ー゚)「……」
(;*゚∀゚)「……」
二人はいい加減取り残されていたが、やがて戻ってきたリーダーは、二人を高く評価した。
喜びに喜び、それから大いに称え、再び通信機を持って姿を消した。
先ほどの重苦しさに代わり、二人の空気はすーっと軽くなった。
-
(*゚ー゚)
(*-∀-)
仕事終わりの二人は、邪魔にならないところに腰かけた。
救命車は、ポリケースを積み込み終えた物から離陸して行く。
21時の空はまだ明るい。
警衛隊の検証が終わるまで、空は明るいままだろう。
( ー[Ⅵ]ー)「あなた達、昇級するって本当?」
(*゚ー゚)「まぁね」
( ー[Ⅴ]ー)「お手柄だったんだって?」
(*-∀゚)「そうさ!もう、あたしじゃなかったら見落としちゃうね!」
(*゚ー゚)「いままで通り誠心誠意、努めるまでの事よ」
( ー[╋]ー)「頼もしいな、しぃ」
(*>∀<)「これからのつー様の活躍にも請う!ご期待!だからな!」
( ー[╋]ー)「そうだな、つーも……嬉しいよ、本当に。ここ最近で一番嬉しいニュースだ」
( ー[Ⅵ]ー)「近ごろマジでいい話無かったしね」
( ー[Ⅴ]ー)「摘発も、今期に入ってもう二件目だ」
-
いびつに伸びた採掘工場、丸くふくれた発酵床のビル、隙間にひしめく四角い屋根。
ここから見渡せる、建物という建物に、窓がビッシリと並んでいる。
そのすべてが、巨大な金魚ばちのように、地下と地上を隔てる壁に安全にくるまれていた。
( ー[Ⅱ]ー)「あれだけやって、むしろ活発になるとか、一体どういうわけ?」
( ー[Ⅴ]ー)「警衛隊はもっと気合い入れて取り締まれってね」
( ー[Ⅱ]ー)「やだ、そしたら私達の仕事も増えるじゃない!」
( ー[Ⅵ]ー)「せめても〜少しきれいに─ ─せないのかな〜真面目に!」
(*゚ー゚)「無理でしょ。この状態じゃあ……」
( ー[Ⅵ]ー)「これは、いよいよ社会福祉のストップかな、やっぱ援助が一番の害」
( ー[Ⅵ]ー)「だって私らが生活費から何から用意してくれちゃったら“がんばろう!”なんて気は起きないでしょ?」
( ー[Ⅱ]ー)「え〜、助けてあげないの〜?」
( ー[Ⅴ]ー)「よっし頼む2号!ひしめく市民の何百万人が、君に福祉を期待しているぜ!」
( ー[Ⅱ]ー)「ちょっと!やめて?」
-
( ー[Ⅱ]ー)「あれだね!祈るか!私らも!」
(*゚ー゚)「困ったときの神頼み、かぁ」
分厚い空を見上げる。
( ー[Ⅴ]ー)「……外から救いが来るってのは、一体どういう発想なんだろうね」
(*゚∀゚)「大昔に宇宙人?と交流があった。って文献からじゃね?」
( ー[Ⅱ]ー)「私その話嘘だと思う。だってそれなら助けにくるでしょ?」
( ー[Ⅵ]ー)「それにさ、この星以外で暮らす方法ってあるの?」
( ー[Ⅴ]ー)「さぁね、わからないから政府も技術をかき集めていてた訳だし」
( ー[Ⅱ]ー)「まさにここでね。あいつらのせいでパーになったけど」
( ー[╋]ー)「さ、そんな事より宿舎で二人の昇級パーティーだ。行こう」
(*゚∀゚)「これからの若き命の!幸運を祈ろうではないか!」
(*゚ー゚)「私は何があってもこれからも、この星で頑張る人の為に、せいいっぱい報いたいと思うよ」
( ー[Ⅴ]ー)「あぁ!明日も頼むよ!」
-
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-
(*゚ー゚)「あの〜」
(*゚∀゚)「ちょーっといいすか〜?」
川д川「どうかしましたか?」
しぃとつーが来た時、地下通路は人でごった返していた。
多くの技巧隊が、警衛隊の検証に立ち会っている。
二人はタマゴを一人の技巧隊員に提出した。
技巧隊員はタマゴを受けとると、血相を変え、どこかへ連絡を入れに行ってしまった。
(*゚ー゚)「……」
(*゚∀゚)「……」
二人はいい加減取り残されていたが、やがて戻ってきた技巧隊員は、二人を高く評価した。
喜びに喜び、それから大いに称え、地下通路の奥へ案内した。
先ほどの重苦しさに代わり、二人の空気はすーっと軽くなった。
-
(*゚ー゚)
(*゚∀゚)
仕事終わりの二人は、地下通路の行き止まりにあるゲートを抜け、エレベーターへ乗り込んだ。
エレベーターは一直線に降りて行く。
空は見えないが、21時のサイレンが聞こえた。
あちこちで警衛隊の検証が続いている。
川д川「この度は本当にありがとうございました」
(*゚ー゚)「いえいえそんな」
(*゚∀゚)「大したことじゃないですよ!」
最下層に着いた三人は、エレベーターを降り、今度は螺旋階段を底へ底へと降りて行く。
(;*゚ー゚)「ずいぶんと深いんですね……」
川*д川「ね、すごいですよね……。このさらに下には、世界最大の殻掘り用巨大掘削機があるんですよ」
(*゚∀゚)「現役なんだ!?」
川д川「いや、置き去りにされているんです。なにせ撤去するにも、凄まじい燃料を消費するもので……」
川д川「良い採掘場だったんですけどね……もうずいぶん前から枯渇していますから……」
-
階段の底には、明かりがついていた。
明かりは、この工場に導入されていた世界最大の殻掘り用巨大掘削機を照らしていた。
掘削機は、その力をすっかり失い、空気に溶け込んでいた。
(*゚ー゚)「シャトルの被害は……」
川 川「……好ましく、ないですね」
川д川「いえ、相当酷いです」
川д川「……本当は、市民が与えられる程度のストレスで、損傷などしてはいけないのです」
川д川「問題は山積みです……アンチ・ガスの開発に、生命維持装置の強化に……」
(*゚ー゚)「そんなに根を詰めなくても……」
(*゚∀゚)「そうそう、何も今宇宙に進出する必要なくね?ってね!」
川д川「そうはいきません。我々は急がなければなりません」
(*゚∀゚)「なんでーよ?」
川д川「とにかく資源が枯渇しています。掘削機から燃料を抜き取るほどに」
-
川д川「我々は、隔壁の中で暮らしている訳ですが、これは管理設定されたものです」
川д川「この外では500セルシゥス、9000パスカアルもの大気が立ち込めています」
川д川「我々の人体は、それらには到底耐えられません」
川д川「もし、資源が完全に底をつき、電源が得られくなれば……」
(*゚∀゚)「壁が使えなくなったら─ ─ぬの?」
(*゚ー゚)「苦しい思いはするんじゃないかな」
川д川「……スペースシャトルを作っているけど、私……」
川 川「正直……ここでの生き方以外、想像できないです」
(*゚∀゚)「生命は道を見つけるんだ」
(*゚ー゚)「大丈夫。私達がついていますよ」
川ー川「……がんばります。えへへ」
-
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(*^ー^)
(*^∀^)
仕事終わりの二人は、いつもの居酒屋にいた。
21時の店内は客で溢れ、誰も彼もが同じようにどなりあっている。
窓の外は、まだ明るかった。
(*^∀^)「ハハハ、そうだね」
(*^ー^)「ハハハハ、って私達は何を笑ってんの?」
(*^∀^)「そりゃ笑うしかないじゃん、サボりがバレて減給だなんて」
(*^ー^)「いやいや、この私がいつ仕事をサボったのよ?」
(*^∀^)「いつって、今日じゃん。燃料工場をカルト共から取り返した、今日の話じゃん」
(*^ー^)「サボりがバレたのは、あんたが卵でサンドイッチだなんてほざくからよ……大人なら、ツナよ」
(*^∀^)「いやいや卵でしょ」
(*^ー^)「ツナよ」
(*^∀^)「卵」
(*^ー^)「ツナ」
(*^∀^)「卵」
(*゚ー゚)「……」
(*゚∀゚)「……」
-
(#゚ー゚)「よくあんな気味の悪いもの食べる気になるわね?つー!」
(#゚∀゚)「そっちこそモドキの発酵食品を、ツナとは呼ばないで欲しいね。おわかり?鶏卵はいつだって本物なのさ」
(#゚ー゚)「本物だけど全部複製品じゃないの」
(#゚∀゚)「おうしぃテメェ表へ出──」
(* へ )「……おいしそうだとは、思う。ばか」
(*゚∀゚)「……女々しいなぁ」
从'ー'从「ツナ、嫌い?」
二人は喧騒の中にじめっとした声を見つけた。
その声は年配の市民の声だった。
身なりに清潔感はあるが、その靴も鞄もくたびれており、どことなくよどんだ雰囲気を纏っていた。
(*゚∀゚)「味は好きなんすけど食感がね……」
从'ー'从「……そっか。中々生資源が手に入らなくて……ごめんね」
(*゚ー゚)「食化工の方ですか?」
从^ー'从「そうだよ」
-
しぃはに向き直ると、タマゴを差し出して言った。
(*゚ー゚)「あの、これ……使ってください」
从'ー'从「……なあに?これ」
その人はタマゴを受けとると、血相を変えた。
その人は喜びに喜び、それから二人を大いに称え、明日へ思いを馳せた。
先ほどのような、どんよりとした雰囲気は無くなり、三人の空気はすーっと軽くなった。
从`ー'从「元々私は採掘工だったの」
从'ー'从「以前は南東採掘場にいたんだけどほら、鉱石が出なくなったでしょ?」
从 ー 从「裏通りの、人達を見てたら、私もいつかそうなるのかなって……」
从 从「スペースシャトルの開発には大金を投資できるのに、ホームレスに、ベッドや食べ物を与えたりはしない」
从'ー'从「政府にとって、私たち市民なんて取るに足らないのよね」
从'ー'从「特に発言力を持たない人は」
(*゚∀゚)「よい未来に進みたければ行動あるのみ、か」
(*゚ー゚)「私はあのツナ好きですよ」
从^ー^从「ありがとう」
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(*-∀-)「今日は飲まないのー?しぃ」
(*゚ー゚)「気分じゃないかな」
仕事終わりの二人は帰路を急いでいた。
いつも使う賑やかな表通りではなく、汚い洗濯物が垂れ下がる、がらくた通りを急いでいた。
21時のサイレンが鳴る。空はまだ明るかった。
(*゚∀゚)「確かにサボりで減給されたのはショックだけどさ……けどさ!そんな時こそ飲むべきだと思うんだな!あたしはさ!」
(*゚ー゚)「……」
(*゚∀゚)「ツナの事まだ怒ってんの?確かに言い過ぎたかもね……悪かった!すまん!でもあたしはあの食感がどうしても嫌いでね」
(*゚ぺ)「……気にしてない」
(*゚∀゚)「子供だなぁ」
二人は道端に、ぼろ切れを見つけた。
ぼろ切れは生きていて、痩せこけた老人だった。
頬がごっそりとくぼみ、体のふしぶしは固くこわばっているのに、目だけが生々しく輝いていた。
しぃは老人に近づくと、タマゴを差し出して言った。
(*゚ー゚)「どうぞ、食べてください」
-
( ,'3 )「あんた、政府の人だね?」
(*゚ー゚)「はい」
( ,'3 )「とっとと消えとくれ」
老人は身をよじる。
( ,'3 )「あたしの仕事仲間は、あんたらと同じ政府の人に─ ─されたんだよ」
( ,'3 )「あの人は救いを求めていたのに」
(*゚∀゚)「あのね、おばあちゃん。市民を守るのがあたしらの指向なんですわ」
( ,'3 )「─ ─されたんだよ、何もしなかったのに」
( ,'3 )「だーれも助けてくんない、食いもんもない、もう石も出ない。あたしの救いは─ ─だけ……なのにあんたらはそれすら奪おうとする──」
老人はぶつぶつと叫びながら、建物の隙間に消えていった。
(;゚∀゚)「お〜怖!何あのババア!」
(*゚ー゚)「……私達救命隊よね」
(*゚∀゚)「あぁ」
(*゚ー゚)「人の命を助けるのが仕事よね?」
(*゚∀゚)「……」
(*゚∀゚)「そうだっけ?」
空の電源が落ちた。警衛隊の検証が終わったからだ。
あたりは夜になった。
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突然、鳩尾に違和感を覚えました。
体の内側が、ぐいと寄せ固められる感じです。
スペイスシャトルが、ようやく動き出したのです。
表情を変えないまま、むずむずと座り直します。
何光年もの空間をスキップする、この量子航法には、いくつになっても慣れそうにありません。
「動き出したんですね」
「あの力任せの駆動音が恋しいよ、ほら、量子航法が一般化する前のヤツ」
各星の、予想到着時間が表示された電光板がポンと、かわいらしい音を立てて乗客の注意を引きました。
私達も目を向けます。
これなら問題なく、目的地へ到着する事でしょう。
他の乗客は、生体時間を調整するために、時差ボケパッチを当て始めたようでした。
白色のコートのようなパッチで全身を包み、全員がじぃっとしている姿は、
冷凍された本マグロを彷彿とさせて面白いです。
さて、これで起きているのは、私達だけになりました。
-
問題のフイルムにある文明は、霊長期後半にorz文明から派生した物のようでした。
母星を発ち、新たな資源惑星に帰化、隆盛を極める。
これは霊長期の文明に多くみられる特徴です。
技術面では、資源獲得系統の発達、航宙技術の退化があげられます。
「慢性的な技能力者不足が見られるね。orz文明系の終末期にありがちな状態だ」
「特にエネルギー面は酷い。コロニーひとつまかなうのに、25ヘクトオルもの発電所を使っていたようだ」
「L91文明でさえ、発電所はポケットに入るサイズだったのに……」
「尻ポケットへ、急に吸い込まれて死んだりしないんだ。それはそれでいい事さ」
「技能力群とは、航宙時代に分岐していたんでしょう?」
「まぁね、でも中半期までは交流があったみたいだ。ただそれも、資源が取り尽くされるまでの話さ」
人口に関しては、バンクから種別に産み別ける繁殖方法が一般的で、ここでは、ワーカーとマネージャーが採用されていたようでした。
多くの芸術性を発揮する文明でしたが、末期になると、それらがほとんど失われるのも、orz文明の系列と一致しているようでした。
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「一部のワーカーは怒りの矛先を、統治層に向けがちだ」
「彼らはしばしば、燃料やシャトルの工場を襲撃していた。シャトルの仕組みを理解する事は、ワーカーのスペックでは難しい事だ」
「ま、なんだ。心の拠り所が欲しかったんだろう」
共通の憎しみほど、ヒトビトを団結させるものはありません。
一部のワーカーは訴えを忘れ、壊せるものを壊してるだけのようでした。
マネージャーの目的は、もはや暴動の鎮圧ではなく、敵の殲滅にあるようでした。
「見事なまでに教科書通りさ。宗教とは、抑圧された生き物のため息である……なんて言葉は、本当だったんだね」
「……結局、完成はしたのですか?」
「うん。まぁね」
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例のフイルムは、あり得ない事に、再生を繰り返す毎に内容を変え、同じ結末を迎えました。
不審なタマゴをなぜか喜んだり、スペイスシャトルに組み込んだり、イヴスト菌の菌床にしたり、憎んだり……
その内容もまた、あり得ないものばかりでした。
中には木がはえたり、orz文明原産惑星の動物や昆虫が飛び出してきたり、水が沸き出してきたりしたものもありました。
いずれにしてもタマゴは割れ、その瞬間に、フイルムは46コマ目のラストにスキップされてしまいます。
現在の惑星ソサークには、おしゃれな地磁気管制塔があり、
orz文明の遺跡が観光でき、トウモロコシの栽培が盛んに行われています。
私達の仲間がこの星を見つけたのは、100年ほど前になります。
惑星をとりまく高圧のガスをコントロール下に置き、観光資源と、肥沃な大地を手にいれました。
別にシャベルを持って大地を耕した訳ではありませんが……それでもポンと、現在の状態を作り上げた訳ではありません。
空白がある状態を、完成とは言いません。
-
異物を受け入れた世界は、何もかもが異常です。
常識も、マニュアルも、法則も役に立ちません。
不可能な時間、未確定な時間、空白の時間。
そして同じ結末。
このフイルムが奇妙なのは、あきらかです。
一般的で、当たり障りの無いエラーを当てはめるのは、もはや不適切なのかも知れません。
金魚のフイルムを手の平にのせ、私はなんとなく重さを量りました。
幼い頃に、飼っていたペットの金魚。
残念ながらこの金魚達は、私が成人する前に、二匹とも死んでしまいました。
大きさの変化もなく、子供も残しませんでした。
その金魚達は、まだ元気だった頃の時間を、フイルムの中で、ただ泳ぎ続けています。
もし、この完成されたフイルムに異物を加え、それが受け入れられたら……
私はこの金魚がコイになったら、嫌だな、と思いました。
-
「かといって、空白データを取り除くと、クラッシュしてしまうのは、変わらないんだ」
「エラーが見つかるまで、何回何回も繰り返したよ、永遠的に」
「そして、ようやくたどり着いたんだ」
さて、奇妙なフイルムですが、完成したという事は、空白は埋まったようです。
問題を見つけ、それを取り除く事ができた、という事です。
結局、問題はどこにあったのでしょうか?
どのように見つけたのでしょうか?
私は気楽に尋ねました。
-
(*゚∀゚)「これは……たまご?」
(*゚ー゚)「たまにはやるじゃない、つー」
(*゚∀゚)「そうさ。鈍くさい同期が一緒のときは、あたしも強くなれるのさ。さぁ行くよしぃ!」
(*゚ー゚)「はぁ?どこへ?」
(*゚∀゚)「とにかく行くの!」
たまごを抱えたつーは、もと来た道を駆け出した。
後ろから、しぃが慌ててついてくる。
(*゚ー゚)「隊長に報告するの?」
(*゚∀゚)「しないね」
(*゚ー゚)「じゃあここの技巧長に聞くのね?」
(*゚∀゚)「聞かない。これは誰のものでもないのさ」
室内の死体のほとんどは、封鎖された窓の下に集中していた。
予測できる限り、死体は壁や床に焦げついてる。
つーが隠し部屋のドアを蹴り開けると、張られていた誘導テープはちぎれて、その意味を失った。
何もかもが破壊され、もうどこも、人がまともに進めない道を、二人はまっすぐ駆け抜けた。
(*゚ー゚)「あのオカルトバカの巣にあるんだし、どうせロクなものじゃないわね」
(*゚∀゚)「でもあたしらは見つけちまった、もう見なかった事にはできないんだ」
-
瓦礫と死体が折り重なった道を、ぎこちなく歩む警衛隊と救命隊に出くわした。
二人がぶつかった衝撃で、持ち込まれた簡易照明がひっくり返り、廊下は暗くなった。
( ー[Ⅴ]ー)「ちょっと!あなた達何処へ行くの!?」
( ー[Ⅵ]ー)「9号!まて、止まれ止まれ!」
(;*゚ー゚)「ちょっと!一体どこ行く気なのよ、つー!」
(*゚∀゚)「ここじゃないどっか!」
救命隊員と死体でごった返すエントランスを、二人は脇目もふらず走り抜け、空いていた救命車に乗り込む。
救命車の白色い腹が浮いたかと思うと、目のくらむような速度で空へ飛びあがる。
タイヤが収用され、飛び出した巨大なブレードが回転し、車両を地面から遠ざけた。
急発進したせいで、ポリケースに詰められた死体が、開けっ放しの荷台からこぼれ落ちていく。
(#゚∀゚)「落ちないでおくれ!しぃ!」
(;*゚ー゚)「バカ!ダメダメ!ダメ!」
救命車はビル群をくぐり抜け、天井に作られた空を目指していた。
二人の乗った救命車が、その真ん中に突っ込んだその時、たまごが割れ─ ─ ─────── ───
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(*゚∀゚)「これは……たまご?」
(*゚ー゚)「たまにはやるじゃない、つー」
(*゚∀゚)「そうさ。鈍くさい同期が一緒のときは、あたしも強くなれるのさ。さぁ行くよしぃ!」
(*゚ー゚)「はぁ?どこへ?」
(*゚∀゚)「とにかく行くの!」
たまごを抱えたつーは、もと来た道を駆け出した。
後ろから、しぃが慌ててついてくる。
(*゚ー゚)「隊長に報告する?ここの技巧長に聞く?」
(*゚∀゚)「しないし、聞かない。これは誰のものでもないのさ」
-
室内の死体のほとんどは、封鎖された窓の下に集中していた。
何もかもが破壊され、もうどこも、人がまともに進めない道を、二人はまっすぐ駆け抜けた。
(*゚ー゚)「あのオカルトバカの巣にあるんだし、どうせロクなものじゃないわね」
(*゚∀゚)「でもあたしらは見つけちまった、もう見なかった事にはできないんだ」
瓦礫と死体が折り重なった道を、ぎこちなく歩む警衛隊と救命隊に出くわした。
( ー[Ⅵ]ー)「9号!まて、止まれ止まれ!」
(;*゚ー゚)「ちょっと!一体どこ行く気なのよ、つー!」
(*゚∀゚)「ここじゃないどっか!」
救命隊員と死体でごった返すエントランスを、二人は脇目もふらず走り抜け、警衛隊の戦闘機に乗り込む。
両翼にぶら下げたプラズマエンジンが、力強い推力を生み出す。
(;* ー )「大馬鹿つー!戦闘機はマズいでしょうが!」
(;*゚∀゚)「きっと並のマシンじゃダメだ……キーはどれだい?こいつか?」
二人が乗り込んだ戦闘機を、警衛隊が取り囲む。
戦闘機関銃が二人に放たれたその時、たまごが割れ─
─ ─────── ──── ────── ───
─ ─────
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(*゚∀゚)「行くよしぃ!とにかく行くのさ!」
(*゚ー゚)「隊長に報告する?技巧工長に聞く?」
(*゚∀゚)「しないし、聞かない。これは誰のものでもないのさ」
(*゚ー゚)「どうせロクなものじゃないわね」
(*゚∀゚)「もう見なかった事にはできないのさ」
( ー[Ⅵ]ー)「9号!まて、止まれ止まれ!」
(;*゚ー゚)「ちょっと!一体どこ行く気なのよ、つー!」
(*゚∀゚)「ここじゃないどっか!」
(;*゚ー゚)「どっかってどこよ!」
(*゚∀゚)「……」
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(*゚∀゚)「……」
(*゚∀゚)「……上、とか?」
(;*゚ー゚)「上!?」
(*゚∀゚)「そうとも!」
(;*゚ー゚)「いや、駄目よつー!」
(*゚∀゚)「文句なら今度にしてくれよな?あたしは今必死なんだ!」
(*゚ー゚)「つー駄目!下よ、下に行くの」
(*゚∀゚)「下、下でいいの?」
(*゚ー゚)「こっち!」
時折、驚いた警衛隊が飛び出して来たが、二人の足並みは一糸の乱れもない。
二人は工場の地下へ足を進めた。
地下通路は静まり返っている。
-
行き止まりにあるゲートを抜け、エレベーターへ乗り込んだ。
エレベーターは一直線に降りて行く。
最下層に着いた二人は、エレベーターを降り、今度は螺旋階段を底へ底へと降りて行く。
階段の底には、明かりがついていた。
明かりは、この工場に導入されていた世界最大の殻掘り用巨大掘削機だった。
掘削機は、その命の力を誇示するかのように、空気を震わせていた。
エンジンがかかったままなのだ、人の帰りを、そこで、じっと待っていたのだ。
(*゚∀゚)「たまにはやるじゃん、しぃ!」
(*゚ー゚)「鈍くさい同期が一緒の時はね」
二人がコクピットによじ登る。
掘削機は身震いし、ホイールを後退させた。
掘削機は、いくつもの地殻の層を切り開いて行く。
爪を壁に食い込ませ、這いずり上がって行く。
岩盤もランプもエレベーターも、螺旋階段も破壊されて落ちてゆく。
-
救命隊員と死体でごった返すエントランスで、掘削機は体勢を立て直し、街へ突き進んだ。
所得の有無、年齢、性別の違いはない。
廃棄ガスを受けた路地裏は一瞬で燻された。
飲食街はキャタピラーの一撃で壊れた。
いびつに伸びた採掘工場、丸くふくれた発酵床のビル、隙間にひしめく四角い屋根。
ここから見渡せる、建物という建物に、窓がビッシリと並んでいる。
そのすべてが、巨大な金魚ばちのように、地下と地上を隔てる壁に安全にくるまれていた。
高地へ着いた掘削機はいよいよ、その鎌首を空へと向ける。
町のあちらこちらで、人が溢れていた。
誰もが割れんばかりに揺れた大地に、煙の中に現れた掘削機に驚いていた。
被さるような重たい風が、はるか上空から吹きおろしてくる。
やがてメインブレードが、あの、空を、壁を、破った瞬間!
500セルシゥス、9000パスカアルもの大気が一気に町に流れ込み、猛烈な霧が発生し、
そして─ ── ─ ─── ────── ─
── ────── ─── ─── ───────
-
───────── ─ ───── ───── ─
─ ─ ──掘削機はいよいよ、その鎌首を空へと向ける。
町のあちらこちらで、人が溢れていた。
割れんばかりに揺れた大地に、煙の中に現れた掘削機に、誰もが驚いていた。
被さるような重たい風が、はるか上空から吹きおろしてくる。
やがてメインブレードが、あの、空を、壁を、破った瞬間!
500セルシゥス、9000パスカアルもの大気が一気に町に流れ込み、猛烈な霧が発生し、
そして────
(# ー )「お願いだから落ちないで頂戴!つー!」
(;*゚∀゚)「頑張るよほどほどにね!」
──世界最大の殻掘り用巨大掘削機の、錆色い腹が浮いたかと思うと、目のくらむような速度で空へ飛びあがる。
キャタピラーが収用され、飛び出した巨大なブレードが回転し、機体を地面から遠ざけた。
揺れている。
錆色の巨大な金属が、徐々にスピードを増す。
高い音で空気が燃えている。
ブレードを風に食い込ませ、這いずり上がって行く。
-
ついに掘削機は地表へ到達した。
高圧の大気に遮られ、雲の先には光がない。
何もかもが破壊的で、まるでどこも、人がまともに生存できない世界を、二人はそれでも駆け抜けた。
掘削機は、いくつもの空気の層を切り開いて行く。
熱い硫酸が機体を打つ。
暴力的な熱と圧力に曝され、弱った装甲が蒸発し、
そして─── ─ ─── ────── ─
───────── ─ ───── ───── ──
─ ─── ──ついに、掘削機は地表へ到達した。
高圧の大気に遮られ、雲の先には光がない。
何もかもが破壊的で、まるでどこも、人がまともに生存できない世界を、二人はそれでも駆け抜けた。
掘削機は、いくつもの気圧の層を切り開いて行く。
熱い硫酸が機体を打つ。
暴力的な熱と圧力に曝され、弱った装甲が蒸─
(;*゚ー゚)「大馬鹿つー!アンチ・ガスがないとマズいでしょうが!」
(;*゚∀゚)「……ボタンはどれだい?これかな?」
─掘削機は対ガス障壁をまとい、見えない空を目指していた。
一見脆弱なように見える装甲には、光る継ぎ目が残っている。
恐ろしいガスが障壁とぶつかり、虹色に輝いていた。
-
大気が薄くなり、ブレードが揚力を得られなくなって来た。
掘削機が大きく減─ ── ─
気流の、いっそう激しい高度まで来た。
いく筋もの大波のうねる雲海に、そのまま溺─ ─ ─
惑星の力がおよぶ際のふちまで来た。
コクピット内の生命維持装置の限界に達し── ─ ─
─ ───は夢中になって進んでいた。
ここには何もないが、人や瓦礫の上よりずっと進みやすい。
うす闇に、不規則に流れる星を眺めていると、心が虚になって、
どこかへ帰りたくなるような気持ちを掻きたてられた。
やがて、気づいて止まった。
行き止まりだ。ここから先には行けない。
(*゚ー゚)「あっ」(゚∀゚*)
たまごにひびが入った。
-
……最初に見えたのは、指先だった
温かくて、まだやわらかいその指先は、世界の広さと冷ややかさに戸惑っているようだった
次に翼が出てくる
若葉のようにみずみずしい羽毛が、殻をそっと押し上げ、払い、それはやわらかい動きだが、しかし力強く、ついには破り去った
「坊や、この世界へようこそ。私達の仲間に入っていただいて光栄です」
二人はコクピットの亀裂をこじ割った
気密が破られ、外に空気がふき出して行く
新しい、作られたばかりの、まだ傷ひとつない世界を、風が導いている
がらんとして、まっくらなそれは、見える限り続いているようだった
子供は二人の手にしがみつき、離れまいと必死だ
しかし二人は手を貸しても、けっして引き寄せる事はなかった
「よい未来に進みたければ行動あるのみさ」
「生命は道を見つけるんだ」
「若き命の!幸運を祈ろうではないか!」
やがて子供は、見た事の無いような表情でほほえむと、手を離した
翼で風を捕まえ、自分の力で進みした
そして静けさの中を遠ざかって、その背中は、とうとうかすんで見えなくなってしまった
-
.
-
私達は沈黙していました。
静かな船内に、運航する渦状腕のニュースや、圧縮時刻のアナウンスが入りました。
それによれば、あと10分で明日なるそうで。
「あぁ、そうだ。そうだった。ついでに、あのフイルムが完成して、明日で8年だ」
僕の話はこれで終わり、と。隣の人が締めくくります。
私は彼から目を離せませんでした。
なぜだか彼は、この話を聞く前と後で、恐ろしいほどに別人に見えたのです。
彼から目を離した、そのとたんに、私をこの場所に置き去りにして、スペイスシャトルが飛び去ってしまう。
そのような、なにか私は、言い知れない不安に、陥っていたのでした。
「エラーは見つかりましたか?」
「いいや」
私は打ちのめされました。
-
「、学会へ、提出する時、何か言われませんでしたか?」
「提出する前から色々言われたよ!」
「これは信じられない。真面目にこれを信じないってね」
「否定ではないんだよ、彼らは自分が受け入れられる現実を選択しているだけなんだ」
「教科書の言葉を借りるなら、だ……魔法を信じない者は、それを見つけることもない……ってね」
「僕らの研究グループは、8年に解散した」
「次の仕事を始めたり、違う仕事を始めたり……納得できなくてまだ、あのフイルムを調べている人もいる」
「確かにあのフイルムは変だ。でもそれでいいじゃないか。それが全てなんだから」
「……僕は飛び去った彼を探しているよ。今もね」
「そんなの現実にいるわけないじゃないですか」
思わず呟きました。
聞き付けた隣の人は、あぁ、もう、見た事の無いような表情でほほえんでいて。
「彼女の大きな微笑みと、彼の不思議そうな顔が忘れられないんだ」
-
私達は沈黙していました。
隣の人も、今は時差ボケパッチにくるまれて、目的地まで目を覚ましません。
私は、いまだに言い知れない不安から逃れられず、彼から目を離せませんでした。
──金魚のフイルムを取り出して、もう一度、識別テストを行いました。
丸い水の中に、二匹の赤い金魚が泳いでいます。
どこにでもいる普通の金魚で、私のペットです。
水の底には決まりごとのように、白色の砂利が敷き詰められています。
愛くるしく揺れる、ぷくぷく肥えた金魚の美しさは、この世の者とは思えません。
使いづらいひれ、脆いうろこ、弱い目。
そこにあるのは、人の儚く、愛らしい物に対する憐憫の情を利用して、生存と繁殖を企む命の逞しさです。
やがて金魚は落とされたエサに気づいて、水面近くを回り始めました。
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【了】
ξ×⊿×)ξ ほわあああああああ終わっりーーー!終わりよ!終わり!
ξ×⊿×)ξ レス食い潰しまくってすみませんの!
ξ×⊿×)ξ がんばれドクオ!楽しみに待ってるわ!
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投下乙、めっちゃおもろいわツンの作品
文戟は拾い読みしてただけだけど俺今までで一番好きかも
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(´・ω・`) 乙
(´・ω・`) 感想は後にするけど、とにかく素晴らしかった
(´・ω・`) さて、ドクオ君は…調子はどうよ?
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