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川 ゚ 々゚)素直クルウは狂わないようです

1名無しさん:2018/12/10(月) 13:59:15 ID:eCFLkdYQ0


Respect
[ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない]


.

2名無しさん:2018/12/10(月) 13:59:57 ID:eCFLkdYQ0


夕焼け空。
セーラー服の少女。
陽光が照らすシルエット。
風に揺れる彼女の髪。




放課後の屋上。
僕は呼び出しを受けてノコノコと此処まで足を運んだ。

言っておくが学内でも有名な美少女に呼び出されたからといって、胸を高鳴らせて屋上まで来たとか。
僕はそーいう間抜けな思考をしている訳じゃない。
そもそも、こんな呼び出しなんて無視して帰宅したいのが本音なんだ。

だが僕に声をかけて来た相手が悪い。

3名無しさん:2018/12/10(月) 14:00:46 ID:eCFLkdYQ0


ζ(゚ー゚*ζ


照咲 デレ。

僕と同じ1年B組に在籍している所謂クラスのマドンナってやつだ。
この女はそのアイドル級のルックスと八方美人の反吐が出るような性格のお陰でクラスカーストで最上位に位置する人間だ。

そんな女の呼び出しをだ。このモブ・オブ・ザ・モブである僕が無視してみろ。
明日から僕の居場所はクラスどころか学校の何処にも無くなるだろうさ。


ζ(゚ー゚*;ζ「あの、いきなり呼び出しちゃってゴメンね。用事とかあったかな?」


謝罪するくらいだったら最初から呼び出すなこの下衆が。
どうせ腹の中では、クラス1の美人である私に声をかけられて幸せでしょう。とでも思っているんだろうがこの糞女。
だが僕は思った事をそのまま口に出す程、愚かな人間では無い。

4名無しさん:2018/12/10(月) 14:01:28 ID:eCFLkdYQ0

川 ゚ 々゚)「用事とかは無いから大丈夫だよ。でも、照咲さんみたいな人が僕みたいな陰キャ男と話したい事って何かな?」


この女の呼び出した理由なんざミジンコ程にも興味は無いが、とっとと話を済ませないと帰れないだろう。
それに用事が無いというのは嘘では無いしな。
まあ最も、この僕の貴重な時間を目の前の糞女の為に一分一秒とて無駄使いなんざしたく無いのが本音だがね。


ζ(゚ー゚*;ζ「うん。あの、私。素直君に、話があって。ね? えーと……」


話があるのは当たり前だろウジムシ女が。
大体にして用事も無いのに呼び出しなんかしていたんだったら、その目玉をくり抜いてやる所だ。

その後もこの馬鹿女はあーだのうーだのモジモジしながら無駄に時間を浪費している。

5名無しさん:2018/12/10(月) 14:02:05 ID:eCFLkdYQ0
なんなんだこの女は。
僕の忍耐力を試しているとでもいうのか?
確かに諸事情で僕の我慢強さと演技力は並の人間とは比較にならないとは自負しているが、それだって限界っつうモンがあるぞ?

いい加減に理由をつけて帰っちまうかと考えていたその時、照咲は今まで逸らしていた目を僕の方にしっかりと向けて唾を飲み込んだ。
なんつーか覚悟を決めたって感じのポーズだったな。
安っぽい演技だ。女優にはなれないな。


ζ(゚ー゚#*ζ「あの! 素直君! 素直君は彼女とかいますか⁉︎」

川; ゚ 々゚)「彼女? え、いや。いないけど……」

ζ(゚ー゚*;ζ「な、なら。あの。私!」


照咲が一歩僕に近づいたと思ったら両の手を取って握って来やがった。
おいこら勝手に人の身体に触るんじゃないタコが。
人間の手に何億の雑菌が潜んでいるかまさか知らないんじゃないだろうな?

6名無しさん:2018/12/10(月) 14:02:42 ID:eCFLkdYQ0







ζ(>ー<*ζ「私‼︎ 素直君の事が好きなんです‼︎ 私と付き合って下さい‼︎」







夕暮れの屋上。
響き渡る少女の声。
陽光に照らされるシルエット。
影法師は2つ。
まるで重なり合うように。

7名無しさん:2018/12/10(月) 14:03:54 ID:eCFLkdYQ0







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8名無しさん:2018/12/10(月) 14:04:25 ID:eCFLkdYQ0
僕の名前は素直 クルウ。
年齢16歳。
身長175センチ、体重45キロの痩せ型。
異性との交際、性行為の経験共に無い。
舞雲高等学校の1年B組に在籍している。
部活動はしていない。

何処にだっている、平凡な男って訳さ。



(´・_ゝ・`)「素直君。ボーっとしてどうしたんだい?」


いつの間にか思考に沈んでいた僕を起こしてくれたのは友人である盛岡 デミタスの声だった。

盛岡は僕と同じスクールカーストの底辺より、やや上に属するモブ男だ。
身長体重共に平均的。顔立ちは何処にでもいる平々凡々。
趣味は缶コーヒーの飲み比べという何とも面白味にかける『素晴らしい人間』だ。

嫌味で言ってる訳じゃないぜ?
平穏と平凡を愛する僕からしたら彼みたいな、つまんねー人間は愛すべき隣人なのだからね。

9名無しさん:2018/12/10(月) 14:05:21 ID:eCFLkdYQ0

川 ゚ 々゚)「いや、昨日は寝つきが悪くてね。疲れが取れていないみたいだ」

(´・_ゝ・`)「そうかい。僕はてっきり彼女の事を眺めているのかと思ったよ」


盛岡の目線に従うように首を横に向けると、そこには複数の男女に囲まれて楽しそうに笑っている照咲の姿があった。


ζ(^ー^*ζ


あいも変わらぬ美少女っぷりだことで。
全く、あっちこっちに愛想振りまいて作り笑顔で常にニコニコして何が楽しいんだか。
僕には全く理解が出来ないね。
最も、理解したいとも思わないが。


(*´・_ゝ・`)「照咲さんは相変わらず可愛いよね。あんな綺麗な人、芸能人でもなかなかいないんじゃないかな?」


盛岡が缶コーヒーを飲みながらしたり顔で頷いている。
まあ、確かに芸能人でも『なかなかいない』という点については同意してやろう。
あんなのがゴロゴロいたら日本は終わったも同然だろうからな。

10名無しさん:2018/12/10(月) 14:05:58 ID:eCFLkdYQ0

川 ゚ 々゚)「あのさ、盛岡君。ちょっと聞きたい事があるんだけど」

(´・_ゝ・`)「ん? どうしたの?」


盛岡はモブだ。
突飛な事を言わない、必要以上に目立つ事を嫌う常識人。
ごく一般的な価値観を持った、何処にでもいるようなノーマルな人間。


川 ゚ 々゚)「変な意味じゃあ無いんだ。ただ、ちょっと気になっててさあ。照咲さんの」


だからこそ彼の意見が重要なんだ。
一般的な、ポピュラーな人間の、大衆の気持ちが分かる人間の意見こそが重要なんだ。
僕は内心、神に祈るような気持ちで彼に尋ねた。

11名無しさん:2018/12/10(月) 14:06:37 ID:eCFLkdYQ0

川; ゚ 々゚)「照咲さんの『髪の色』ってさあ。どう、思う?」




喧騒が遠く聞こえる。
額から汗が流れる。
ゴクリと僕は唾を飲む。
小さな静寂が生まれる。
盛岡が首をかしげる。

そして、こう答えた。




(´・_ゝ・`)「どうって別に、まあ『綺麗な桃色』だとは思うけど。『それだけ』じゃない? あ、ショートカットにしても似合いそうだよね」





喧騒が戻る。
汗がピタリと止まる。
唇が乾いて仕方ない。
頬がヒクヒクと引き攣る。
現実はいつだって僕の期待を裏切る。

12名無しさん:2018/12/10(月) 14:07:41 ID:eCFLkdYQ0

川;^ 々^)「そ、そうかい。そうだよね、ハハハ」

(´・_ゝ・`)「にしても素直君って髪フェチだったの? あんまりそういう話をしないから意外だなー」


僕は曖昧な顔をして笑う。
盛岡はそのまま照咲にどんな髪型が似合うかなんて事を語り続ける。

だが作り笑いの裏での僕の心境はそれどこではない。



川# 々 )(このクソカスがああああああぁぁぁ〜〜〜〜〜〜〜‼︎‼︎‼︎)

おいおいおいおいおいおいおいおい‼︎ マジか? マジで言ってるのかソレは⁉︎
おかしいとは思わないのか⁉︎
おかしいだろうが明らかに‼︎
桃色の髪の毛だぞ⁉︎

地毛で‼︎ 純日本人なのに‼︎


桃色の髪の毛なんだぞおおおおぉぉぉぉ⁉︎


.

13名無しさん:2018/12/10(月) 14:08:24 ID:eCFLkdYQ0
茶髪なら分かる。金髪やブルネットだって外国の血が混じっているならまだ理解が出来る。

だが‼︎ 桃色‼︎ ピンク‼︎
しかもやけに発色がいいショッキングピンクだ‼︎

ウィッグでも染色している訳でも無いんだぞ⁉︎
なのにあんな愉快な髪色の人間が居てたまるか⁉︎
何故お前達はそこに疑問を持たないのだああああああぁぁぁ⁉︎


川; 々 )(お、思えば入学直後からそうだった)


この学校は何かがおかしい。
何というか、僕の中の常識とのズレを感じる。

照咲デレだけじゃない。僕達のようなモブキャラとはまるで『次元が違う』ような見た目の人間がゴロゴロと転がっている。

14名無しさん:2018/12/10(月) 14:09:14 ID:eCFLkdYQ0
しかもそういう奴の殆どが女だ。
なんつーか、ファンタジー世界の美少女って感じの、妄想上にしか存在する筈の無い『完璧過ぎる容姿』を持った女達だ。

髪や目がやけにカラフルだったり、明らかにバランスおかしい程に巨乳だったり。
しかも見た目だけじゃない。キャラクターつーか、その個性だって明らかにおかしいんだ。
そこらの武道家が真っ青になるくらいに剣術や武術に精通していたり、明らかにこの学校に在学するのは間違っているだろうという天才っぷりを発揮する奴らが居たり。


川; 々 )(人間では無い。やつらは人間では無い。)


異星人(エイリアン)だ。
奴らはこの地球を侵略しようとする異星人に違いない。

……いや、まあ。ぶっちゃけた話、地球を侵略しようがしまいが勝手にやっていて構わないんだ。
僕の目のつかない場所でならどうぞ好き勝手に侵略行為に勤しんでくれて結構だ。
そこは別にどうだっていいんだ。

15名無しさん:2018/12/10(月) 14:09:57 ID:eCFLkdYQ0
だが! 問題なのは‼︎


(;´・_ゝ・`)「ね、ねえ。素直君? 照咲さんがこっちに手を振ったと思ったら近付いて来たんだけど⁉︎ 君、彼女と何かあったの⁉︎」

川; ゚ 々゚)「気の所為じゃないかなー盛岡君。窓の外を見てご覧よ、心が洗われるような青空じゃないかー」

(;´・_ゝ・`)「いや青空の『あ』の字も無いような曇天だよ⁉︎ っていうかそんな事言ってる間に照咲さんが……!」



ζ(゚ー゚*;ζ「お、おはよう。素直君」



この僕を巻き込むんじゃね異星人があああああぁぁぁ〜〜〜〜‼︎‼︎‼︎

16名無しさん:2018/12/10(月) 14:11:05 ID:eCFLkdYQ0

ζ(゚ー゚*;ζ「え、えと。昨日は時間取らせちゃってゴメンね? 迷惑かけちゃったよね?」

(;´・_ゝ・`)「え、えーと。おはよう、照咲さん。あの、素直君と、何かあったの?」

ζ(゚ー゚*;ζ「あ、おはよう盛岡君。うん、ちょっと素直君に相談に乗って貰ったっていうか……」


何故だ⁉︎ 何故よりによってこの僕の平々凡々な人生に横槍を入れるような真似をするのだこのピンクエイリアンは⁉︎

この素直クルウの人生において刺激など必要は無い。
人生の長い道程において、曲がり道も別れ道も坂道も必要無いんだ。
小石ほどの障害物や、心を癒す野に咲く小さな花みたいな余計な物も一切要らないんだ‼︎

何処にでも居る寂しい人間でいいんだ。
例え死んだところで誰も僕の存在なんか覚えていない。
そんな取るに足らない、惨めで、矮小な、モブの人生こそが僕の目指す『幸福』ってやつなんだ。

17名無しさん:2018/12/10(月) 14:11:54 ID:eCFLkdYQ0
ただ、それだけ。
ただ、それだけを望んでいるというのに……!


ζ(゚ー゚*;ζ「詳しくは、言えないんだけど。ちょっと、迷惑かけちゃって。本当にごめんね、素直君」


何故だ! 何故僕の人生を侵略しようとするのだこの異星人があああああぁぁぁ‼︎


川 ゚ 々゚)「ハハハ。マッタクキニシテナイヨ テルサキサン」


ゴメンとか言っといて迷惑かけてんじゃねえぞ脳内ピンク女があああああぁぁぁ‼︎
大体少しでも罪の意識っつーもんがあるんなら僕みたいなモブに金輪際関わらないでくれよ頼むから‼︎

何故こうなるんだ⁉︎
僕はこの学校に入学してからというもの、照咲を始めとした異星人共との関わりを徹底的に避け続けて来た筈だ‼︎

だと言うのに何故そちらから近寄ってくるのだ⁉︎
這いよる混沌か貴様らは⁉︎ 邪神よりタチが悪いわビチグソが‼︎

18名無しさん:2018/12/10(月) 14:12:50 ID:eCFLkdYQ0

ζ(^ー^*ζ「あ、先生が来た。ゴメンね素直君、またお話してくれると嬉しいな。盛岡君も話に割り込んじゃってゴメンね?」


担任の登場を期に場を乱すだけ乱して照咲は去っていった。
盛岡の視線が痛い。後で詳しく聞かせろ、声に出さなくてもそう訴えているのが痛い程に伝わる。





ハハ ロ -ロ)ハ「Hi それでは委員長、朝の挨拶を」

川 ゚ -゚)「はい、ハロー先生。全員、起立」


教職員だと言うのにやけに露出過多でオマケにミニスカートにガーターベルトまで装着したエロティックな担任の言葉に、剣道の全国大会で常に優勝を勝ち取ってきたサムライ委員長が号令をかける。

二人ともタイプは違えども文句無しの美形だ。
そして言うまでも無くこいつらも異星人だ‼︎

19名無しさん:2018/12/10(月) 14:13:44 ID:eCFLkdYQ0

川 ゚ -゚)「気をつけ」


確信した。今、確信したぞ。
やはりこの学校は。いや、この世界は狂っているのだ。
こんな異星人共が堂々と居座っているというのに誰も排他しようしない。
それどころか良き隣人として受け入れているこの世界の人間は皆狂っているに違いない‼︎

巫山戯るな! 異星人共に僕の平穏で平凡なモブライフを邪魔させる訳にはいかないのだ‼︎‼︎


川 ゚ -゚)「礼」



周りの動きに合わせて頭を下げる。
誰にも顔を見られないこの瞬間に僕は誓った。

20名無しさん:2018/12/10(月) 14:14:54 ID:eCFLkdYQ0



川 々゚)(平凡な人生を、平穏に過ごしてみせる‼︎ この狂った世界でも僕は、幸福に生きてみせる‼︎)



僕の名前は素直 クルウ。
この狂った世界において、狂わない。
たった一人の人間である。



.

21名無しさん:2018/12/10(月) 14:15:15 ID:eCFLkdYQ0
続くかわからん。

22名無しさん:2018/12/10(月) 16:39:08 ID:/p1lp3vk0
問題ない続けろ

23名無しさん:2018/12/10(月) 22:39:50 ID:RmLN/8UM0
期待の乙!

クルウのスタンド気になるわー。

24名無しさん:2018/12/12(水) 09:22:49 ID:T1twkzdg0


回る世界。
繰り返す日常。
広がる世界。
増える人影。
忍び寄る暗雲。






僕の名前は素直 クルウ。
年齢16歳。
身長175センチ、体重45キロの痩せ型。
異性との交際、性行為の経験共に無い。
舞雲高等学校の1年B組に在籍している。
委員会には所属していない。

何処にだっている、平凡な男だ。



平凡。う〜ん。実にいい響きじゃないか。
没個性的な僕にピッタリな言葉だ。

何処にでもいるちっぽけなモブ。
誰かの人生の引き立て役にすらならない、存在価値の無い人間。
死のうが生きようが誰も困りもしない。

それが僕っていう人間さ。

25名無しさん:2018/12/12(水) 09:24:16 ID:1JMpj5hA0
ん? そんな詰まらない人生の何が楽しいのかって?
おいおいおいおい。分かってない奴だな〜。

『ソレ』がいいんじゃないか。
居るか居ないか分からないような背景の一人。
居ても居なくてもどうだっていい群衆の一人。
ソレこそが僕の求める幸福なモブライフの象徴って訳なのさ。


この素直クルウの人生。
その長い道程において曲がり道も別れ道も坂道も必要無い。
小石ほどの障害物や、心を癒す野に咲く小さな花みたいな余計な物も一切いらない。
どこまでも『平坦』で『平穏』な道であるべきなんだ。

激しい『喜び』はいらない。
そのかわり深い『絶望』も無い。

そんな『平凡な人生』を『平穏に生きる』事こそがこの素直クルウの『幸福』に必要なモノだと確信しているのだからね。

26名無しさん:2018/12/12(水) 09:25:39 ID:SSsSKPZI0
そう、『幸福』だ。
この世に生を受けた全ての人間は幸福になる『権利』と『義務』があると僕は信じている。
故に僕は自らが幸福になる為の『努力』を惜しむ事は無い。

幸福の定義って奴は人によって様々だ。
金や女を欲する奴や権力を握ってチヤホヤされたいだとか、まあそういうのを求める奴らは腐る程いるだろう。
別に否定はしないさ。心底下らないとは思うがね。

この素直クルウの幸福。
それは『平凡』で『平穏』な人生を送る事、それに尽きる。
だからこそ僕はその為の努力だって惜しまない。

クラスカーストでも下から数えた方が早いが悪目立ちするって訳でも無い立ち位置をキープ。
学生の本分である勉強の場に置いても発言は徹底的に控え、教師の目につかない影の薄さを身につけた。
もちろん定期テストで目立つなんてヘマはしない。
中学時代からそうだが、どんな科目も60点前後の高くもなければ特別低くもない点数を常にキープしているのだ。

27名無しさん:2018/12/12(水) 09:27:04 ID:SSsSKPZI0
これらの努力の甲斐あってか僕が舞雲高校に入学してから約3ヶ月。

まさに順風満帆。
僕は理想的な『平凡』で『平穏』な生活を送っていた。






送っていた。の、だが……








ζ(゚ー゚*ζ「あ、素直君。ここの計算がちょっと間違ってるよ」

.

28名無しさん:2018/12/12(水) 09:28:01 ID:SSsSKPZI0



夕陽が差し込む午後。
放課後の教室。
机を寄せ合う学生達。
青春の1ページ。


川 ゚ 々゚)「えーと、どこかな?」

ζ(゚ー゚*ζ「ほら、ここ。代入する数字がちょっと間違ってるんだ。この途中式で符合がズレてるじゃない」

川 ゚ 々゚)「あ、成る程ね。照咲さんは頭がいいなー」

ζ(^ー^*ζ「そんな事ないよ。それに素直君はすっごく飲み込みが良いから教え甲斐があるよ」

川^ 々^)「ハハハ。そう言われると照れるな」

(´・_ゝ・`)「いやー照咲さんと素直君は本当に仲がいいねえ」

ζ(゚ー゚*;ζ「も、もう! 盛岡君ったら、からかわないでよ‼︎」

川^ 々^)「いや、全くだよ盛岡君。ハハハハハ……」




まるで天使のような微笑みを浮かべる照咲デレに僕は曖昧に笑ってみせる。
彼女の教え方はとても丁寧で分かりやすい。
これなら僕の苦手な数学の成績も直ぐに良くなる事だろう。

29名無しさん:2018/12/12(水) 09:29:49 ID:tSJl7IpI0


だが笑顔の裏で僕は叫び出したい衝動を必死に抑え込んでいた。


川# 々 )(どうしてこうなったんだこのクソッタレ異星人がああああああぁぁぁぁ〜〜〜〜‼︎‼︎)


理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能‼︎‼︎

件の告白の一件からこのピンクエイリアンこと照咲デレは僕にますます付きまとうようになった。
教室でもやけに話しかけてくるし放課後の時間がたまたま一緒になった時など地獄だ。
何でこんな異星人と二人っきりで帰るハメにならなければいけないのだ⁉︎

僕だって距離を置こうと努力はした。
だが! 無駄‼︎ 無駄無駄無駄とラッシュを決めるかのように照咲はグイグイと僕との距離を縮めようとしている。

30名無しさん:2018/12/12(水) 09:32:19 ID:NcVc4T/E0
ハッキリとお前の事が嫌いだと言ってやればいいと思った奴もいるだろう?
だがそれは一番やってはいけない行動だ。
何故ならこの照咲デレは我が1年B組のマドンナだからだ。

クラスどころか学年中で 、いや学内中にその美少女っぷりが伝わるくらいのクイーン・オブ・ザ・ヒロイン。
そんな彼女に何の影響力も無いちっぽけなモブ野郎の僕が嫌われでもしたら悪目立ちする事間違いない。
目立ち方にも色々あるが悪目立ちっていうのは一番避けなければならないからな。


川# 々 )(イジメの標的にでもされてみろ。
僕が望む『平穏』な生活とはかけ離れたスクールライフを強制されるハメになるじゃないか‼︎)


理想的なのは照咲の方から僕がいかにつまらねー人間かを察して貰いとっとと別の男とくっついて貰う事なのだが、悲しいかな照咲は僕にゾッコンらしい。


そりゃ照咲デレは美少女だ。
背は小さいが女性的な身体つきで、声も香りも甘ったるい。
何処と無く人を癒すオーラみたいなのも放っているし、一般的な男だったら後先考えずに飛び付いちまうような超優良物件なのだろう。

31名無しさん:2018/12/12(水) 09:35:42 ID:4m9uGTtw0

川# ゚ 々゚)(だが‼︎ この素直クルウは違う‼︎)


事故物件だ‼︎
過去に一家惨殺事件が起きて毎晩毎晩その怨霊たちが盆ダンスを繰り広げているような超事故物件だ‼︎

ピンクなんだぞ⁉︎ こいつの髪の毛はショッキングピンクなんだぞ⁉︎
オマケにその無駄にデカイ瞳の黒目である筈の部分は水色なんだぞ⁉︎
どこのアニメキャラクターなんだ貴様は‼︎

誰がこんなバケモノと恋仲になりたいと思うものか!
そこまでして僕と交際したいならDNA鑑定でもして来い‼︎
どうせ異星人と人間との遺伝子が一致する訳も無いだろうからな‼︎


川; ゚ 々゚)(いや、やっぱ無しだ。この狂った世界で万が一でもDNA鑑定なんてやっちまったら、何かしらの因果が働いてコイツら異星人が人間だと証明されかねない)


今回のこの勉強会(笑)もほぼ強制参加のようなものだった。
期末考査が近づき、盛岡と苦手な教科について話をしていた時。
ピンクレディの奴が首を突っ込んで来やがったんだ。

32名無しさん:2018/12/12(水) 09:37:22 ID:4m9uGTtw0

ζ(^ー^*ζ「素直君って数学が苦手なの? 良かったら放課後に教えようか? 勉強会って形でさ」


教室のど真ん中でニッコリ笑顔で提案して来やがった。
こっちが絶対に断れない状況で誘いをかけてくるとは何と腹黒い奴だ。
腹がブラックで頭がピンクとかどこのアポロチョコだこの売女め‼︎

そもそもこの僕に苦手な科目なんかある訳がないだろう‼︎
目立ちたくないからワザとテストで手を抜いてるんだ‼︎
異星人の分際で上から目線で口出ししやがって。
無能のフリをするのだって楽じゃあ無いんだぞ‼︎

しかも、だ。
僕の方は何とか盛岡を巻き込んで二人っきりを避けようとしたものの、それが仇になったのだろう。
僕に対抗してか照咲まで余計な者を連れて来やがった。


ξ゚⊿゚)ξ「素直と盛岡だっけ? あんたらって意外と頭回るのね。私は数字見るだけで頭が痛くなるわ」

ζ(゚ー゚*;ζ「もう! お姉ちゃんはそうやってやる前から諦めちゃうからいつまでも出来ないのよ‼︎ この前の中間だって赤点ギリギリだったじゃない‼︎」

ξ゚⊿゚)ξ「ギリギリだろうが何だろうが赤点に引っ掛からなきゃ良いの。大体私は身体動かしてる方が性にあってんのよ」

.

33名無しさん:2018/12/12(水) 09:39:11 ID:4m9uGTtw0

ξ゚⊿゚)ξ


照咲 ツン。
お察しの通り、照咲デレの双子の姉だ。
1年B組、女子空手部所属。

輝くような金髪を両サイドでクルクル巻いた髪の毛が特徴の美少女だ。
例にも漏れずこいつも異星人だがな。瞳も蒼いし。

異星人共は頭のおかしい奴らの集まりな訳だが、特にこの照咲ツンは異常だ。
まず150センチという小柄ながらあらゆる武術を収め、空手や柔道、合気道を始めとした数多の武道において師範代を勤めているらしい。
噂ではプロの格闘家の男も軽々と投げ飛ばす程の剛腕と技術を持った生きる武神とまで言われている女だ。

止めてくれ。もうお腹いっぱいだ。
何なんだそのキャラクター設定は。格闘マンガの主人公でも目指しているのかこのゴールデン異星人は。
サイヤの星にとっとと帰っておくれよ全く。

というか照咲妹とは一卵性の双子の癖して何で髪の色が違うんだ。
性格と髪以外は鏡合わせみたいにソックリだっていうのに、何だって髪の色がバラバラなんだ。キャラ付けか何かか?

34名無しさん:2018/12/12(水) 09:40:33 ID:4m9uGTtw0

川 ゚ 々゚)(いや、髪だけじゃないか。胸の大きさも可哀想になるくらいに違うな)


どっちが大きいとか、そういう俗っぽい事に触れるつもりは無いがね。
あまりにも哀れだ。

しかもこいつら姉妹揃って僕と同じB組とは何の嫌がらせだ?
普通は兄弟姉妹が固まらないように学校側が配慮するだろうが。
仕事しろ仕事! この世界の教職員の頭はどうなっているのだ⁉︎



ζ(゚ー゚*ζ「あ、ちょっと私、席外すね」

ξ゚⊿゚)ξ「あー、トイレね。行ってらっしゃい」

ζ(゚ー゚*;ζ「お姉ちゃん‼︎」

ξー⊿ー)ξ「あーはいはいごめんごめん。行ってらっしゃい」


そんな事を考えている内に照咲妹ことピンクエイリアンは教室を出て行った。
全く、そのままゲリ腹になって一生帰って来なければいいのに。

35名無しさん:2018/12/12(水) 09:41:49 ID:4m9uGTtw0

川 ゚ 々゚)「……」

(;´・_ゝ・`)「……」

ξ゚⊿゚)ξ「……」


しかし特に話したことも無い女子と僕らモブ男二人を置いてけぼりにしていくとは……
無駄に気不味いじゃないか。
見ろ、盛岡なんて急にソワソワしだしたぞ?
あの女、実は僕にフラれた事を根にもってネチネチと仕返ししてやろうとかいう腹づもりじゃあるまいな?
だったら今すぐに止めて欲しい。効果は抜群だからな。

大体にして照咲の馬鹿が話しかけてくる度にクラスメートの視線が集中して非常に迷惑なんだ。
人前で目立った行動をすること。
それはこの素直クルウが最も嫌うことだ。
あの異星人は自分がいかに他人の目を引くかって事を自覚してもらいたいね。


ξ゚⊿゚)ξ「ねえ。あんた、ちょっと聞いていいかしら?」


そんな事を考えていたら沈黙に耐え兼ねたのか照咲姉が僕に話しかけてきた。
やれやれ、一生黙っていてくれて構わなかったというのにな。

36名無しさん:2018/12/12(水) 09:42:50 ID:4m9uGTtw0

川 ゚ 々゚)「何かな? 照咲さん」

ξ゚⊿゚)ξ「あー苗字だとややこしいからツンでいいわよ。私もアンタの事クルウって呼ぶから」

川 ゚ 々゚)「あ、うん。それで、何かな? ツンさん」


チッ。名前で呼べだとよ。
異星人の癖に生意気な。
僕は馴れ馴れしい人間が大っ嫌いなんだ。
しかもそれが異星人。最悪だな。
今すぐにでも縁を切ってやりたいくらいだ。


ξ゚⊿゚)ξ「別に大した事じゃないのよ? ただ、ほら。やっぱり目立つから、聞いておきたくて」

川; ゚ 々゚)「め、目立つ?」

(;´・_ゝ・`)「あ、あー。まあ確かに素直君は人目を引くからねー」

川; ゚ 々゚)「人目を、引く? こ、この、僕が、かい?」


馬鹿な! このモブの中のモブ‼︎
平凡にして無価値なこの素直クルウが目立っているだと⁉︎ 人目を引いているだと⁉︎
ふ、普段から意識して存在感を薄くしているというのに‼︎
そんな僕の何処が目立っていると言うんだ⁉︎

37名無しさん:2018/12/12(水) 09:44:01 ID:4m9uGTtw0

ξ゚⊿゚)ξ「クラスでもあんま喋んないし、ちょっと暗いキャラっぽいけどさ。でもやっぱり男子で『ソレ』は目立つわよ」

(´・_ゝ・`)「うーん。僕も最初に会った時はビックリしたからなあ」

ξ゚⊿゚)ξ「まあ、せっかくの機会だから聞いておきたくてね。」


異星人の照咲姉だけならまだしも常識人の盛岡まで驚嘆しただと⁉︎
この無個性が服着て歩いているような素直クルウの一体何処にそんな要素があると言うのだ⁉︎


ξ゚⊿゚)ξ「ねえ、クルウ。あんたってどうして……」


激しい鼓動。
高い耳鳴り。
流れる汗。
震える身体。
絞まる喉奥。


.

38名無しさん:2018/12/12(水) 09:44:38 ID:4m9uGTtw0



ξ゚⊿゚)ξ「どうして『髪の毛をそんなに伸ばしている』の? 男で腰元まで伸ばしてる奴なんか初めて見たわ」








川 ゚ 々゚)










.

39名無しさん:2018/12/12(水) 09:45:36 ID:4m9uGTtw0










髪。

















伸びてる。
理由。









.

40名無しさん:2018/12/12(水) 09:46:38 ID:4m9uGTtw0

川 ゚ 々゚)「……首に」

ξ゚⊿゚)ξ「うん?」

川 ゚ 々゚)「首に、ちょうど襟足の処。ソコにさあ、傷があるんだよ。古い傷」

川 ゚ 々゚)「別段、大した傷でも無いんだけど。ただ、自分の中で、突っかかるっていうか。コンプレックス、みたいっていうかさあ」

川 ゚ 々゚)「人様にお見せするようなものでも無いし、ソレを隠してるんだよ」

川 ゚ 々゚)「ただ、それだけさ」




川 ゚ 々゚)「ああ、それだけ」




張り詰めた空気。
静止した空間。
冷たい程の静寂。
それはたった一瞬。
それでも確かに存在した。


.

41名無しさん:2018/12/12(水) 09:47:33 ID:4m9uGTtw0

ξー⊿ー)ξ「そう。何か悪い事聞いちゃったわね。ごめんなさい」

(;´・_ゝ・`)「そんな理由があったなんて知らなかったよ。僕もごめんね、素直君」

川 ゚ 々゚)「……いやあ、気にしないでよ二人とも。本当に昔の話で、実のところ傷も殆ど見えないくらい薄いものだからね」

ξー⊿゚)ξ「あんたが気にして無いんならいいんだけどね。でもそこまで長いと手入れが大変そうね」

川 ^ 々^)「ハハハ、確かにね。ドライヤーにやけに時間がかかるよ」

(´・_ゝ・`)「短髪の僕には分からない悩みだなあ。あ、照咲さん、えーと、デレさんが帰って来たみたいだよ」


その後も四人での勉強会は続き、夕方の五時頃になってようやく解散した。




帰り道が僕と同じ盛岡は道中やけにテンションが高く、照咲姉妹とお近付きになれた事を馬鹿みたいに喜んでいた。
僕ははしゃぐ盛岡に適当に相槌を打ちながらボンヤリした頭で考えていた。

42名無しさん:2018/12/12(水) 09:48:13 ID:4m9uGTtw0










川 ゚ 々゚)(髪。伸びて来た、な)








また『彼女』に切って貰わなければ、と。

.

43名無しさん:2018/12/12(水) 09:48:56 ID:4m9uGTtw0
続けばいいなと思ってる。

44名無しさん:2018/12/12(水) 15:21:08 ID:PzVUJr/g0
願いは形になる。きっと続く


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