したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

(能力者)in 筋肉無敵世界 のようです

1名無しさん:2018/09/15(土) 00:31:06 ID:rAxmPMIg0
長い能力者たちとの戦争の末、無敵の肉体を手に入れた人類。
生き残った能力者は迫害され、各地に身を潜めた。

戦争が終わってから二00年。
これは、とある能力者の末裔の話。

2名無しさん:2018/09/15(土) 00:32:20 ID:rAxmPMIg0

序章

3名無しさん:2018/09/15(土) 00:32:51 ID:rAxmPMIg0
( ^ω^)「いってくるお」

山の上の小さな小屋。

ここには、ブーンと父が二人で暮らしていた。
その父が死に、ブーンは旅に出ることにした。

4名無しさん:2018/09/15(土) 00:33:25 ID:rAxmPMIg0
粗末だけど、雨風から守ってくれた家。
家のまわりの畑。
父と特訓した広場。

( ^ω^)「いままでありがとうお」

きっと、戻ってくることはない。
ブーンはその景色を心に焼き付け、足を踏み出す。

不安もあったが、わくわくする気持ちの方が強かった。

5名無しさん:2018/09/15(土) 00:33:51 ID:rAxmPMIg0
( ^ω^)「おっおっお-」

山を下り、森を抜け、平地に出る。
風が乾いていて気持ちがいい。

この辺りは荒涼としており、人もいないようだ。
のんびり気ままに進んでいく。

小動物がいれば捕まえ、川があれば水筒に蓄える。
見るもの、聞くもの、感じるもの、やること、すべてが新鮮で面白い。
とくに、星空を視界一面に眺めながら、1日を振り返る時間が好きだった。

6名無しさん:2018/09/15(土) 00:34:27 ID:rAxmPMIg0
それから歩くこと数日。

旅は順調に進んでいるようだった。
道らしいものがあらわれ始め、ぽつりぽつりと家屋の姿も見えてくる。

町も近いだろう、と足を速めたそのとき。


ミ,,゚Д゚彡ミ,,゚Д゚彡ミ,,゚Д゚彡 


不意に、三人の大男がブーンの前に現れた。
黒いタンクトップから見える筋肉が凄まじい。

7名無しさん:2018/09/15(土) 00:35:30 ID:rAxmPMIg0
真ん中の、リーダー格の男が口を開く。


ミ,,゚Д゚彡「お前、能力者だな」

( ^ω^)「・・・・・・」

ミ,,゚Д゚彡「痛い思いをしたくなければ、持ってるもんすべて差し出せ」

( ^ω^)「・・・・・・金目のものは持ってないお」

ミ,,゚Д゚彡「それは、俺たちが決めることだ」

( ^ω^)「・・・・・・」


ここで旅の道具を奪われるわけにはいかない。

ブーンはポケットから琥珀色のナイフを取り出し、構えた。

8名無しさん:2018/09/15(土) 00:36:49 ID:rAxmPMIg0
ミ,,゚Д゚彡「あ?」


それを見た男たちは一瞬怪訝な顔をして、


ミ,,゚Д゚彡「おらあっ!!」


まるで重戦車。
一斉に、ブーンに向かって突進してきた。

( ^ω^)「・・・・・・」

だが、ブーンは構えたまま動かない。
ものすごいスピードで男たちが迫ってくる。

9名無しさん:2018/09/15(土) 00:37:31 ID:rAxmPMIg0
もう少しでぶつかる、その瞬間、


ミ,,゚Д゚彡「!!」


ブーンが跳躍した。2mほどだろうか。


(#^ω^)「これでも食らえお!」


そのままブーンはなにかを投げる。

10名無しさん:2018/09/15(土) 00:38:05 ID:rAxmPMIg0
ミ,,゚Д゚彡「何!」


ばん、という音がしてそれは破裂した。


ミ,,×Д×彡「うがあ!!」


驚き、悲鳴を上げる男たち。
ブーンが投げたのは、目に染みる煙玉。赤い煙がモクモクと立っている。

(#^ω^)「能力者だからって侮るんじゃないお!!」

小声でそう呟き、全力疾走して男たちから逃げる。

11名無しさん:2018/09/15(土) 00:38:51 ID:rAxmPMIg0
ブーンはそれから一時間ほど走り、ようやく立ち止まった。
あたりを見回しても人の気配はなさそうだ。

(;^ω^)「人間はこわいおね・・・」

そしてまたゆっくりと歩きだす。

ブーンが町に着くのは、二日後のことだった。

12名無しさん:2018/09/15(土) 00:39:13 ID:rAxmPMIg0

第一話

13名無しさん:2018/09/15(土) 00:40:02 ID:rAxmPMIg0
そこは、石造りの町。

大通りには店が軒を連ね、細い路地は迷路のように入り組んでいる。

行きかう人々は、年齢、性別に関わらず、当たり前のようにムキムキマッチョ。
貧弱な肉体のブーンは、一目見るだけで能力者とわかってしまうだろう。


(;^ω^)「また襲われるかもだおね・・・」


ブーンはひとまず薄暗い路地裏に身を潜め、大通りの様子を伺うことにした。

( ^ω^)「・・・・・・」

人通りは少なく、みな穏やかな表情をしている。
平和を切り取ったような、昼下がりの光景がそこにはあった。

14名無しさん:2018/09/15(土) 00:40:27 ID:rAxmPMIg0
( ^ω^)「お腹すいたお」

旅に出た時に持ってきた食料は、底をつきかけていた。
飲み水も少なくなってきている。

( ^ω^)「できれば、盗みはしたくないおねー・・・」

ブーンはため息をつく。
そしてため息をついてもしょうがないので、また大通りを観察する。
話が通じそうな人を探そう。そして食べ物をめぐんでもらおう。

そう決心し、まばらな人影を見ていくと。

15名無しさん:2018/09/15(土) 00:40:51 ID:rAxmPMIg0
从 ゚∀从「・・・・・・」

一人、異彩を放つ人物がいた。
茶色いマントですっぽりと体を覆っており、よく見ると痩せているようだ。
フードからあふれんばかりの銀髪が目を引く。

( ^ω^)「・・・・・・」

あの人も能力者なのだろうか。

路地裏に隠れている自分がなんだかばかばかしく思えてくる。


しかし、次の瞬間。

16名無しさん:2018/09/15(土) 00:41:24 ID:rAxmPMIg0
( ^ω^)「!!」

銀髪がいきなり、火の玉を放った。

「うわあっ!」

命中し、炎に包まれる通行人。

銀髪は走って路地の隙間に消えようとする。
突然の出来事に、周りの人々はおどろき動けない。

(;^ω^)「まずいお!」

ブーンは一瞬の躊躇ののち、大通りに飛び出した。

17名無しさん:2018/09/15(土) 00:41:59 ID:rAxmPMIg0
(;^ω^)「大丈夫ですかお!!」

そして、燃えている人にありったけの水をかける。
本当は銀髪を追いかけたかったが、人命救助が先だ。

ジョワ、というような音を立てて、すぐに火は消えた。

(;^ω^)「ふう・・・」

しかしあれだけの火、いったい無事だろうかと思っていると。

18名無しさん:2018/09/15(土) 00:42:21 ID:rAxmPMIg0
( ´∀`)「どうもありがとうモナ」

助けられた通行人が、口を開く。
以外にもしっかりとした口調だった。
顔には深い皺が刻まれており、年齢を感じさせる。

(;^ω^)「お礼はいいから、早くお医者さんへ行った方がいいお!」

( ´∀`)「モナ? ・・・・・・その体型、能力者モナか?」

しまった。
ブーンは逃げようと走り出すが、

( ´∀`)「まあ、お礼くらいさせろモナ」

(  ゚ω゚)「お゛お゛んっ!」

老人に首根っこを掴まれ、どこかへ連れていかれる。

19名無しさん:2018/09/15(土) 00:42:47 ID:rAxmPMIg0
聞きたい事もたくさんあったが、首が絞められうまく声が出せない。

老人は五分ほどひと気の無い道を進み、一軒の家に入る。
そこも石造りの家で、町の中でも高いところに建っているようだ。

( ´∀`)「着いたモナ」

(;^ω^)「おんっ」

どさっ。
玄関に入ったとたん手を離され、尻もちをつくブーン。

20名無しさん:2018/09/15(土) 00:43:26 ID:rAxmPMIg0
( ´∀`)「ここはモナの家モナ」

(#^ω^)「そんなことより、いきなりなんだお! それに、体は大丈夫なのかお!」

ようやくブーンはまくしたてる。

(;´∀`)「まあまあ、落ち着くモナ」 

( ´∀`)「体は大丈夫モナ。あのくらいの火じゃ、火傷一つつかないモナよ」

( ^ω^)「・・・・・・そうなのかお」

( ´∀`)「モナモナ、服は燃えちゃったけど」

( ^ω^)「必死で助けた甲斐がなかったお・・・」

( ´∀`)「そんなことはないモナ。おかげで大事な髪の毛は守られたモナ!」

( ^ω^)「はあ」

( ´∀`)「浮かないモナね。お礼として、この家に招待したモナよ」

( ´∀`)「まあ良かったら、上がれモナ」

そう言って老人はさっさと家の中へと入っていく。
いったい何をされるかと思ったが、どうやら悪い人ではなさそうだ。

少し迷って、ブーンも付いていく。

21名無しさん:2018/09/15(土) 00:43:51 ID:rAxmPMIg0
( ´∀`)「どうぞ、かけてくださいモナ」

( ^ω^)「・・・・・・」

そこは、玄関から入ってすぐの部屋。
あまり生活感はなく、机に椅子と、大きなタンスがあるくらい。
奥の部屋に続いているであろう、ドアも一つ。

( ´∀`)「ちょっと着替えてくるモナ」

老人はいったん姿を消す。
窓からは西日が差し込んでいる。

ブーンは唐突に、悲しいような、寂しいような、いとおしいような気持ちになった。

この部屋はいつからあるのだろう。
誰かと暮らしていた、いるのだろうか。
同じような部屋が世界にはたくさんあって、今この瞬間存在してるのか。
その中でブーンは、少しの偶然でここにいるのか。

突然炸裂したかのように、ブーンの頭に言葉がひらめいていく。
同じように、言葉にできない感情も展開していく。
いったいどうしたんだろう。

22名無しさん:2018/09/15(土) 00:44:17 ID:rAxmPMIg0
( ´∀`)「どうぞモナ」

その言葉で我に返る。
ブーンの前には、温かいお茶が置かれていた。

( ^ω^)「ありがとうございますお」

( ´∀`)「よいしょ」

老人も向かい合わせに腰かける。

( ´∀`)「改めて、助けてくれてありがとうモナ」

( ^ω^)「いえいえだお」

( ´∀`)「それで見たところ、旅人モナよね」

( ^ω^)「駆け出しだけど、一応」

( ´∀`)「モナモナ。いまどき能力者が一人旅なんてすごいモナ」

( ^ω^)「まあ、家を出ただけですお」

少し照れて答えるブーン。

老人の和やかな話し方に、警戒心も和らいでいく。
誰かとこんなに話をするのも久しぶりだ。
そのまましばらく、なんてことなしの会話が続く。

23名無しさん:2018/09/15(土) 00:44:42 ID:rAxmPMIg0
( ´∀`)「おっといけない。もうこんな時間だモナ」

気がつくと、部屋は薄暗くなっていた。
老人はモナーといい、今は一人暮らしだそうだ。

( ´∀`)「肝心の、ごちそうを用意してくるモナね」

モナーはランプをつけ、また奥の部屋へと消えていく。
夕食に、一晩の宿。
それがモナーが提案したお礼だ。

( ^ω^)「なんか、海老で鯛を釣った気分だお」

しかし温かいごはんが食べられるとあって、ブーンはわくわくしていた。
奥の部屋からは、トントンだったり、ジュージューだったり、聞こえてくる。

不思議なぬくもりの部屋で、空腹感を楽しむブーンだった。

24名無しさん:2018/09/15(土) 00:45:34 ID:rAxmPMIg0
( ´∀`)「できたモナよー」

しばらくすると、奥の方から声がする。
調理の音が消えたので、内心そろそろかなあと思っていたところだ。

( ^ω^)「あ、そっちの部屋に行っていいんですかおー」

( ´∀`)「いらっしゃいモナー」

席を立ち、ドアノブの方へ。

25名無しさん:2018/09/15(土) 00:46:21 ID:rAxmPMIg0
( ^ω^)「お邪魔しますお」

がちゃ。

( ´∀`)「お待たせしましたモナ!」

( ^ω^)「おおお!!」

まずブーンの目に留まったのは、湯気を立てるグラタン。
続いてサラダ、スープ、パンと目が移り、そのまま視野を広げる。
木でできたテーブルだ。部屋はなかなか広くて、雑多としていて、

( ´∀`)「何をぼんやりしてるモナ?」

(;^ω^)「あ、ごめんなさいお。料理に見とれてましたお」

( ´∀`)「モナモナ。いきなり固まったからびっくりしたモナ」

( ^ω^)「あんまりに美味しそうで」

( ´∀`)「じゃあ早く席に着くモナ。ご飯にするモナ」

木の椅子にブーンは座り、また向かい合い。
ブーンの前には輝かんばかりの食事が並べられている。
一方モナーは、パンとチーズとハムとワイン。

( ´∀`)「もうモナは年だから。気にせずたくさん食べるモナ」

どうやら目線に気付いたようだ。

26名無しさん:2018/09/15(土) 00:46:51 ID:rAxmPMIg0
( ´∀`)「では、いただきますモナ」

( ^ω^)「いただきますお!!」

( ´∀`)「!」

そう言うや否や、ものすごい勢いで食べ始めるブーン。
彼は腹が減っていたのだ。

呆然とするモナーをよそ眼に、ものの五分ほどで食べ終わってしまった。

( ^ω^)「ごちそうさまでしたお!」

(;´∀`)「若いっていいモナね・・・」

( ^ω^)「すごくおいしかったですお」

(;´∀`)「まあ、それは良かったモナけど」

割と手間暇かけたのになあ。肉でも焼いて出せばよかった。
そう思い、ぼそぼそとパンをかじるモナーであった。

27名無しさん:2018/09/15(土) 00:47:15 ID:rAxmPMIg0
( ^ω^)「そうだ」

( ´∀`)「ん?」

食後のお茶の時間。
突然ブーンがそうだと言い、

( ^ω^)「大事なことを忘れてたお」

( ´∀`)「モナ?」

( ^ω^)「ちょっと待っててお」

荷物を取りに席を立つ。
戻ってきたブーンが手にしていたのは、一枚の地図だった。

( ^ω^)「今ここがどこか、教えて欲しいんですお」

( ´∀`)「また古い地図モナね」

( ^ω^)「代々家に伝わる家宝・・・らしいですお」

( ´∀`)「そんなもの、モナに見せていいモナか?」

( ^ω^)「おっおっお、今更何を言ってるんだお」

少しの沈黙。

28名無しさん:2018/09/15(土) 00:47:40 ID:rAxmPMIg0
( ´∀`)「・・・モナはブーンが心配だモナ」

( ^ω^)「なんでだお?」

( ´∀`)「人を信頼するのはとても大事だけれど、あまりに無警戒というか、お人好しというか・・・」

( ^ω^)「・・・そんなことはないお」

( ´∀`)「モナを助けた時だって、あの水は飲み水モナよね」

( ^ω^)「・・・・・・」

( ´∀`)「それに、いまだに能力者を忌み嫌う人も多いモナ。一歩間違えてたら殺されててもおかしくないモナ」

( ^ω^)「・・・・・・そうなのかお」

あれ、と驚くブーン。

29名無しさん:2018/09/15(土) 00:48:01 ID:rAxmPMIg0
( ^ω^)「ちょっと、教えてくださいお」

( ´∀`)「へ? ・・・何モナか?」

なんだか拍子抜けするモナー。
言葉が届いている気がしない。

( ^ω^)「人間は能力者を見つけ次第、殺したり通報するって聞きましたお」

( ´∀`)「モナ」

( ^ω^)「それで、そうじゃない人も多いんですかお?」

( ´∀`)「・・・だいぶ昔は、そんな感じだったモナ。誰から聞いたモナか?」

( ^ω^)「父さんだお」

( ´∀`)「なるほどモナね。今はいちおう、法律があるモナ」

( ^ω^)「そうなのかお」

うん、とうなずくモナー。

30名無しさん:2018/09/15(土) 00:49:23 ID:rAxmPMIg0
( ´∀`)「いつ頃だったモナかね。新しい大王、ロマネスク様が就任して定められたモナ」

( ´∀`)「人間は能力者に危害を加えないこと。ただ、能力者が攻撃してきたら応戦してよい」

( ´∀`)「こんな感じのやつモナ」

( ´∀`)「もう戦争からだいぶ経つモナからね」

( ´∀`)「ただ、さっきも言ったけど、今でも能力者を異常に嫌悪してる人間は一定数いるモナ」

それだけ言うとふう、と息を吐き、

( ´∀`)「旅をするうえで、このくらいは知っておかなきゃだめモナよ」

なぜか少し得意げだ。

( ^ω^)「そうだったんですかお。勉強になりますお」

これは素直な言葉。
生まれてからの十六年間、ほとんどを山で過ごしたブーンは世界を知らな過ぎた。

31名無しさん:2018/09/15(土) 00:50:07 ID:rAxmPMIg0
( ´∀`)「でも、あまり人目につかない方がいいモナね」

( ´∀`)「そもそも最近では能力者自体、めったに見ないモナ」

( ´∀`)「昔は通り魔だったり盗賊だったり、割と見かけたモナけど」

( ´∀`)「そいつらが軒並み捕まったから、法律ができたともいえるモナ」

( ^ω^)「なるほどだお」

( ´∀`)「で、残ってる能力者は大体ひっそり暮らしてるらしいモナ」

( ^ω^)「ああ、そういうことかお」

( ´∀`)「モナモナ。理解が早いモナ」

町で能力者を見たら泥棒と思え、ということだろう。

32名無しさん:2018/09/15(土) 00:50:31 ID:rAxmPMIg0
( ^ω^)「・・・それじゃあ今日のあいつは」

( ´∀`)「いまどき珍しいモナね」

あの程度の火じゃ効かないのは、本人も知ってそうなものだけど、とつぶやき、

( ´∀`)「それで、地図モナね」

( ^ω^)「そうだったお」

大事なことを忘れるところだった。
ブーンは改めて、机に地図を広げる。

33名無しさん:2018/09/15(土) 00:51:12 ID:rAxmPMIg0
( ´∀`)「・・・ここが、目的地モナか?」

地図の中に一か所、赤い丸で囲ってある地名があった。
他にもこまごまとした書き込みがところどころにある。

( ^ω^)「いちおうそのつもりですお」

( ´∀`)「ちょっと待つモナね」

そう言って、本棚の方に向かう。
持ってきたのは地図帳のような本だった。

( ´∀`)「これが今の世界地図モナ」

( ^ω^)「お?」

それを見てブーンは驚く。
ブーンの地図とは、だいぶ異なる地形がそこにはあった。

34名無しさん:2018/09/15(土) 00:51:35 ID:rAxmPMIg0
( ^ω^)「じゃあ、ブーンの地図は・・・」

( ´∀`)「不思議な地図モナね」

( ^ω^)「・・・・・」

( ´∀`)「そもそも書いてある文字がモナには読めないモナ」

(;^ω^)「実は、ブーンにもわかりませんお」

うーん、とうなる二人。

35名無しさん:2018/09/15(土) 00:52:32 ID:rAxmPMIg0
( ´∀`)「ただ、共通点も多いモナね」

そうして地図帳の一つの大陸を指差すモナー。

( ´∀`)「このあたりが今ブーン君がいる街モナ」

( ´∀`)「向こうの地図と照らし合わせると、大まかな位置はわかりそうモナ」

( ^ω^)「なるほどだお」

( ´∀`)「モナモナ。目的地にはまだまだ遠そうモナね」

( ^ω^)「まあ、のんびり行きますお。どうもありがとうございますお」

( ´∀`)「いえいえモナ」

そう言って、大きな欠伸をするモナー。

36名無しさん:2018/09/15(土) 00:52:53 ID:rAxmPMIg0
( ´∀`)「老人はもう眠い時間モナ」

( ^ω^)「おっおっお、ブーンもおねむですお」

ブーンも大きなあくびをひとつ。

( ´∀`)「じゃあモナはそこらへんで寝るから、ブーン君は奥の布団で寝るといいモナ」

( ^ω^)「あ、いいんですかお」

( ´∀`)「モナモナ。次に布団で寝るのは、いつになるかわからないモナよ」

( ^ω^)「おっおっお、じゃあお言葉に甘えますお」

ブーンが寝床に着くのを見て、モナーはランプを消す。
どこかから、かすかに入る月明かりがやさしい。

37名無しさん:2018/09/15(土) 00:53:27 ID:rAxmPMIg0
「おやすみなさいモナ」

「おやすみなさいだお。今日は色々と、ありがとうございましたお」

「・・・・・・こちらこそ、モナ」

闇の中、言葉を交わす。
しばらくの沈黙の後、ブーンが口を開いた。

「モナーさんはどうして、ここまでブーンに良くしてくれるんですかお?」

「・・・・・・」

最初から、すこし違和感は感じていた。
得体の知れない能力者に、ここまで寛容になるものだろうかと。

だけど、聞くのが怖かった。
なにか答えが出るのが怖かった。

それでも聞いたのは、モナーのことを奥の部分で信頼できたから。
その人と接して、大丈夫だと思えたからだ。

モナーの声が聞こえる。

38名無しさん:2018/09/15(土) 00:54:07 ID:rAxmPMIg0
「うーん・・・ 話すと長くなるかもだけど」

「まあ一言で言えば、自己満足の罪滅ぼしモナ」

「・・・・・・どういうことですかお」

「・・・モナは昔、能力者にひどいことをいっぱいしてきたモナ」

「だけどある時気づいたモナ。自分はなんてみすぼらしい人間だろうかと」

そう言うモナーの声は掠れていた。

「モナーさん・・・・・・」

やっぱり聞くんじゃなかったか。
ブーンがフォローの言葉を探していると、

「まあ、多くは語らないモナ。なぜなら今にも眠ってしまいそうだから」

「・・・はあ」

「聞きたかったら、明日にしてくれモナ・・・・・・」

いつも通りの口調でそれだけ言って、すやすやと寝息を立てるモナーだった。

39名無しさん:2018/09/15(土) 00:54:37 ID:rAxmPMIg0
( ^ω^)「・・・・・・」

( ^ω^)「人にはそれぞれ歴史があるおね」

ブーンも目を閉じ、意識を巡らせる。
今日あったこと。昨日見た景色。明日への妄想。

( ^ω^)「・・・・・・」

40名無しさん:2018/09/15(土) 00:55:48 ID:rAxmPMIg0
どのくらい経っただろうか。
真夜中は時間が嘘をつく。

( ^ω^)「よいしょだお」

暗闇の中、ブーンは立ち上がる。
考え事をしているうちに、頭が冴えまくり眠れそうにない。

( ^ω^)「そうだおね」

もう十分世話になったしと、ブーンはモナーの家を出ることにした。

41名無しさん:2018/09/15(土) 00:56:23 ID:rAxmPMIg0
( ^ω^)「おっおっお、夜風が気持ちいいお」

鼻歌ひとつで、上を向いて歩くブーン。
夜の町は静かで、人影ひとつ見当たらない。
月がこれでもかというくらい輝いている。

( ^ω^)「モナーさんには悪いことをしたかおね・・・」

出がけに書置きを残したものの、やはりそれは気がかりだった。
ただ、夜のうちに進んでおきたい気持ちも強くある。
早く次の景色が見てみたい。

( ^ω^)「・・・・・・」

後悔してもしょうがないし。
過ぎ去ったことは、また取り出して見ればいい。

そんなことを思っていると。

42名無しさん:2018/09/15(土) 00:57:24 ID:rAxmPMIg0
「よお、昼間は笑えたぜ」

突如、上の方から声がした。

( ^ω^)「・・・・・・」

あたりを見回し、声の主を探す。


从 ゚∀从「あんたも能力者だろ」


いた。

そいつは月を背にして屋根に立ち、マントと銀髪をなびかせている。

ブーンはナイフを構え、口を開く。

43名無しさん:2018/09/15(土) 00:57:54 ID:rAxmPMIg0
( ^ω^)「僕になんの用だお」

从 ゚∀从「能力者に会うなんて珍しくてな」

( ^ω^)「・・・・・・」

从 ゚∀从「それも、お前みたいな間抜け面」

( ^ω^)「自覚はあるお」

从 ゚∀从「・・・そうか。まあ、そんなことはどうでもいい」

そう言って銀髪はニヤリと笑う。
空気が変わり、さっきとは別の静寂に包まれる。

44名無しさん:2018/09/15(土) 00:58:49 ID:rAxmPMIg0
( ^ω^)「それで、」

ブーンが話そうとした時、


从 ゚∀从「用なんてないさ。ただ殺したいだけだ!」


突然銀髪が叫び、ブーンに向かって大きな火の玉を放った。
昼に見た物の何倍ものでかさだ。

45名無しさん:2018/09/15(土) 00:59:57 ID:rAxmPMIg0
ほんの数秒後。

石畳には火球が落とされ、あたりはにわかに明るくなる。
メラメラと燃える炎。

从 ゚∀从「ハハ、消し炭にな・・・」

(#^ω^)「・・・・・・」

从 ゚∀从「!!」

よっこらせ、と屋根の縁から登ってきたのはブーンだ。
服が少し焦げている。

(#^ω^)「お返しだお!!」

そしてそのまま、手に持っていた鉤爪ロープを銀髪に向かって放った。


从#゚∀从「なんだこんなもん!!」


銀髪も火を放ち、それを一瞬にして灰にする。


が。



パン!



次の瞬間乾いた音が響き、銀髪は膝をついた。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板