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(能力者)in 筋肉無敵世界 のようです
1
:
名無しさん
:2018/09/15(土) 00:31:06 ID:rAxmPMIg0
長い能力者たちとの戦争の末、無敵の肉体を手に入れた人類。
生き残った能力者は迫害され、各地に身を潜めた。
戦争が終わってから二00年。
これは、とある能力者の末裔の話。
2
:
名無しさん
:2018/09/15(土) 00:32:20 ID:rAxmPMIg0
序章
3
:
名無しさん
:2018/09/15(土) 00:32:51 ID:rAxmPMIg0
( ^ω^)「いってくるお」
山の上の小さな小屋。
ここには、ブーンと父が二人で暮らしていた。
その父が死に、ブーンは旅に出ることにした。
4
:
名無しさん
:2018/09/15(土) 00:33:25 ID:rAxmPMIg0
粗末だけど、雨風から守ってくれた家。
家のまわりの畑。
父と特訓した広場。
( ^ω^)「いままでありがとうお」
きっと、戻ってくることはない。
ブーンはその景色を心に焼き付け、足を踏み出す。
不安もあったが、わくわくする気持ちの方が強かった。
5
:
名無しさん
:2018/09/15(土) 00:33:51 ID:rAxmPMIg0
( ^ω^)「おっおっお-」
山を下り、森を抜け、平地に出る。
風が乾いていて気持ちがいい。
この辺りは荒涼としており、人もいないようだ。
のんびり気ままに進んでいく。
小動物がいれば捕まえ、川があれば水筒に蓄える。
見るもの、聞くもの、感じるもの、やること、すべてが新鮮で面白い。
とくに、星空を視界一面に眺めながら、1日を振り返る時間が好きだった。
6
:
名無しさん
:2018/09/15(土) 00:34:27 ID:rAxmPMIg0
それから歩くこと数日。
旅は順調に進んでいるようだった。
道らしいものがあらわれ始め、ぽつりぽつりと家屋の姿も見えてくる。
町も近いだろう、と足を速めたそのとき。
ミ,,゚Д゚彡ミ,,゚Д゚彡ミ,,゚Д゚彡
不意に、三人の大男がブーンの前に現れた。
黒いタンクトップから見える筋肉が凄まじい。
7
:
名無しさん
:2018/09/15(土) 00:35:30 ID:rAxmPMIg0
真ん中の、リーダー格の男が口を開く。
ミ,,゚Д゚彡「お前、能力者だな」
( ^ω^)「・・・・・・」
ミ,,゚Д゚彡「痛い思いをしたくなければ、持ってるもんすべて差し出せ」
( ^ω^)「・・・・・・金目のものは持ってないお」
ミ,,゚Д゚彡「それは、俺たちが決めることだ」
( ^ω^)「・・・・・・」
ここで旅の道具を奪われるわけにはいかない。
ブーンはポケットから琥珀色のナイフを取り出し、構えた。
8
:
名無しさん
:2018/09/15(土) 00:36:49 ID:rAxmPMIg0
ミ,,゚Д゚彡「あ?」
それを見た男たちは一瞬怪訝な顔をして、
ミ,,゚Д゚彡「おらあっ!!」
まるで重戦車。
一斉に、ブーンに向かって突進してきた。
( ^ω^)「・・・・・・」
だが、ブーンは構えたまま動かない。
ものすごいスピードで男たちが迫ってくる。
9
:
名無しさん
:2018/09/15(土) 00:37:31 ID:rAxmPMIg0
もう少しでぶつかる、その瞬間、
ミ,,゚Д゚彡「!!」
ブーンが跳躍した。2mほどだろうか。
(#^ω^)「これでも食らえお!」
そのままブーンはなにかを投げる。
10
:
名無しさん
:2018/09/15(土) 00:38:05 ID:rAxmPMIg0
ミ,,゚Д゚彡「何!」
ばん、という音がしてそれは破裂した。
ミ,,×Д×彡「うがあ!!」
驚き、悲鳴を上げる男たち。
ブーンが投げたのは、目に染みる煙玉。赤い煙がモクモクと立っている。
(#^ω^)「能力者だからって侮るんじゃないお!!」
小声でそう呟き、全力疾走して男たちから逃げる。
11
:
名無しさん
:2018/09/15(土) 00:38:51 ID:rAxmPMIg0
ブーンはそれから一時間ほど走り、ようやく立ち止まった。
あたりを見回しても人の気配はなさそうだ。
(;^ω^)「人間はこわいおね・・・」
そしてまたゆっくりと歩きだす。
ブーンが町に着くのは、二日後のことだった。
12
:
名無しさん
:2018/09/15(土) 00:39:13 ID:rAxmPMIg0
第一話
13
:
名無しさん
:2018/09/15(土) 00:40:02 ID:rAxmPMIg0
そこは、石造りの町。
大通りには店が軒を連ね、細い路地は迷路のように入り組んでいる。
行きかう人々は、年齢、性別に関わらず、当たり前のようにムキムキマッチョ。
貧弱な肉体のブーンは、一目見るだけで能力者とわかってしまうだろう。
(;^ω^)「また襲われるかもだおね・・・」
ブーンはひとまず薄暗い路地裏に身を潜め、大通りの様子を伺うことにした。
( ^ω^)「・・・・・・」
人通りは少なく、みな穏やかな表情をしている。
平和を切り取ったような、昼下がりの光景がそこにはあった。
14
:
名無しさん
:2018/09/15(土) 00:40:27 ID:rAxmPMIg0
( ^ω^)「お腹すいたお」
旅に出た時に持ってきた食料は、底をつきかけていた。
飲み水も少なくなってきている。
( ^ω^)「できれば、盗みはしたくないおねー・・・」
ブーンはため息をつく。
そしてため息をついてもしょうがないので、また大通りを観察する。
話が通じそうな人を探そう。そして食べ物をめぐんでもらおう。
そう決心し、まばらな人影を見ていくと。
15
:
名無しさん
:2018/09/15(土) 00:40:51 ID:rAxmPMIg0
从 ゚∀从「・・・・・・」
一人、異彩を放つ人物がいた。
茶色いマントですっぽりと体を覆っており、よく見ると痩せているようだ。
フードからあふれんばかりの銀髪が目を引く。
( ^ω^)「・・・・・・」
あの人も能力者なのだろうか。
路地裏に隠れている自分がなんだかばかばかしく思えてくる。
しかし、次の瞬間。
16
:
名無しさん
:2018/09/15(土) 00:41:24 ID:rAxmPMIg0
( ^ω^)「!!」
銀髪がいきなり、火の玉を放った。
「うわあっ!」
命中し、炎に包まれる通行人。
銀髪は走って路地の隙間に消えようとする。
突然の出来事に、周りの人々はおどろき動けない。
(;^ω^)「まずいお!」
ブーンは一瞬の躊躇ののち、大通りに飛び出した。
17
:
名無しさん
:2018/09/15(土) 00:41:59 ID:rAxmPMIg0
(;^ω^)「大丈夫ですかお!!」
そして、燃えている人にありったけの水をかける。
本当は銀髪を追いかけたかったが、人命救助が先だ。
ジョワ、というような音を立てて、すぐに火は消えた。
(;^ω^)「ふう・・・」
しかしあれだけの火、いったい無事だろうかと思っていると。
18
:
名無しさん
:2018/09/15(土) 00:42:21 ID:rAxmPMIg0
( ´∀`)「どうもありがとうモナ」
助けられた通行人が、口を開く。
以外にもしっかりとした口調だった。
顔には深い皺が刻まれており、年齢を感じさせる。
(;^ω^)「お礼はいいから、早くお医者さんへ行った方がいいお!」
( ´∀`)「モナ? ・・・・・・その体型、能力者モナか?」
しまった。
ブーンは逃げようと走り出すが、
( ´∀`)「まあ、お礼くらいさせろモナ」
( ゚ω゚)「お゛お゛んっ!」
老人に首根っこを掴まれ、どこかへ連れていかれる。
19
:
名無しさん
:2018/09/15(土) 00:42:47 ID:rAxmPMIg0
聞きたい事もたくさんあったが、首が絞められうまく声が出せない。
老人は五分ほどひと気の無い道を進み、一軒の家に入る。
そこも石造りの家で、町の中でも高いところに建っているようだ。
( ´∀`)「着いたモナ」
(;^ω^)「おんっ」
どさっ。
玄関に入ったとたん手を離され、尻もちをつくブーン。
20
:
名無しさん
:2018/09/15(土) 00:43:26 ID:rAxmPMIg0
( ´∀`)「ここはモナの家モナ」
(#^ω^)「そんなことより、いきなりなんだお! それに、体は大丈夫なのかお!」
ようやくブーンはまくしたてる。
(;´∀`)「まあまあ、落ち着くモナ」
( ´∀`)「体は大丈夫モナ。あのくらいの火じゃ、火傷一つつかないモナよ」
( ^ω^)「・・・・・・そうなのかお」
( ´∀`)「モナモナ、服は燃えちゃったけど」
( ^ω^)「必死で助けた甲斐がなかったお・・・」
( ´∀`)「そんなことはないモナ。おかげで大事な髪の毛は守られたモナ!」
( ^ω^)「はあ」
( ´∀`)「浮かないモナね。お礼として、この家に招待したモナよ」
( ´∀`)「まあ良かったら、上がれモナ」
そう言って老人はさっさと家の中へと入っていく。
いったい何をされるかと思ったが、どうやら悪い人ではなさそうだ。
少し迷って、ブーンも付いていく。
21
:
名無しさん
:2018/09/15(土) 00:43:51 ID:rAxmPMIg0
( ´∀`)「どうぞ、かけてくださいモナ」
( ^ω^)「・・・・・・」
そこは、玄関から入ってすぐの部屋。
あまり生活感はなく、机に椅子と、大きなタンスがあるくらい。
奥の部屋に続いているであろう、ドアも一つ。
( ´∀`)「ちょっと着替えてくるモナ」
老人はいったん姿を消す。
窓からは西日が差し込んでいる。
ブーンは唐突に、悲しいような、寂しいような、いとおしいような気持ちになった。
この部屋はいつからあるのだろう。
誰かと暮らしていた、いるのだろうか。
同じような部屋が世界にはたくさんあって、今この瞬間存在してるのか。
その中でブーンは、少しの偶然でここにいるのか。
突然炸裂したかのように、ブーンの頭に言葉がひらめいていく。
同じように、言葉にできない感情も展開していく。
いったいどうしたんだろう。
22
:
名無しさん
:2018/09/15(土) 00:44:17 ID:rAxmPMIg0
( ´∀`)「どうぞモナ」
その言葉で我に返る。
ブーンの前には、温かいお茶が置かれていた。
( ^ω^)「ありがとうございますお」
( ´∀`)「よいしょ」
老人も向かい合わせに腰かける。
( ´∀`)「改めて、助けてくれてありがとうモナ」
( ^ω^)「いえいえだお」
( ´∀`)「それで見たところ、旅人モナよね」
( ^ω^)「駆け出しだけど、一応」
( ´∀`)「モナモナ。いまどき能力者が一人旅なんてすごいモナ」
( ^ω^)「まあ、家を出ただけですお」
少し照れて答えるブーン。
老人の和やかな話し方に、警戒心も和らいでいく。
誰かとこんなに話をするのも久しぶりだ。
そのまましばらく、なんてことなしの会話が続く。
23
:
名無しさん
:2018/09/15(土) 00:44:42 ID:rAxmPMIg0
( ´∀`)「おっといけない。もうこんな時間だモナ」
気がつくと、部屋は薄暗くなっていた。
老人はモナーといい、今は一人暮らしだそうだ。
( ´∀`)「肝心の、ごちそうを用意してくるモナね」
モナーはランプをつけ、また奥の部屋へと消えていく。
夕食に、一晩の宿。
それがモナーが提案したお礼だ。
( ^ω^)「なんか、海老で鯛を釣った気分だお」
しかし温かいごはんが食べられるとあって、ブーンはわくわくしていた。
奥の部屋からは、トントンだったり、ジュージューだったり、聞こえてくる。
不思議なぬくもりの部屋で、空腹感を楽しむブーンだった。
24
:
名無しさん
:2018/09/15(土) 00:45:34 ID:rAxmPMIg0
( ´∀`)「できたモナよー」
しばらくすると、奥の方から声がする。
調理の音が消えたので、内心そろそろかなあと思っていたところだ。
( ^ω^)「あ、そっちの部屋に行っていいんですかおー」
( ´∀`)「いらっしゃいモナー」
席を立ち、ドアノブの方へ。
25
:
名無しさん
:2018/09/15(土) 00:46:21 ID:rAxmPMIg0
( ^ω^)「お邪魔しますお」
がちゃ。
( ´∀`)「お待たせしましたモナ!」
( ^ω^)「おおお!!」
まずブーンの目に留まったのは、湯気を立てるグラタン。
続いてサラダ、スープ、パンと目が移り、そのまま視野を広げる。
木でできたテーブルだ。部屋はなかなか広くて、雑多としていて、
( ´∀`)「何をぼんやりしてるモナ?」
(;^ω^)「あ、ごめんなさいお。料理に見とれてましたお」
( ´∀`)「モナモナ。いきなり固まったからびっくりしたモナ」
( ^ω^)「あんまりに美味しそうで」
( ´∀`)「じゃあ早く席に着くモナ。ご飯にするモナ」
木の椅子にブーンは座り、また向かい合い。
ブーンの前には輝かんばかりの食事が並べられている。
一方モナーは、パンとチーズとハムとワイン。
( ´∀`)「もうモナは年だから。気にせずたくさん食べるモナ」
どうやら目線に気付いたようだ。
26
:
名無しさん
:2018/09/15(土) 00:46:51 ID:rAxmPMIg0
( ´∀`)「では、いただきますモナ」
( ^ω^)「いただきますお!!」
( ´∀`)「!」
そう言うや否や、ものすごい勢いで食べ始めるブーン。
彼は腹が減っていたのだ。
呆然とするモナーをよそ眼に、ものの五分ほどで食べ終わってしまった。
( ^ω^)「ごちそうさまでしたお!」
(;´∀`)「若いっていいモナね・・・」
( ^ω^)「すごくおいしかったですお」
(;´∀`)「まあ、それは良かったモナけど」
割と手間暇かけたのになあ。肉でも焼いて出せばよかった。
そう思い、ぼそぼそとパンをかじるモナーであった。
27
:
名無しさん
:2018/09/15(土) 00:47:15 ID:rAxmPMIg0
( ^ω^)「そうだ」
( ´∀`)「ん?」
食後のお茶の時間。
突然ブーンがそうだと言い、
( ^ω^)「大事なことを忘れてたお」
( ´∀`)「モナ?」
( ^ω^)「ちょっと待っててお」
荷物を取りに席を立つ。
戻ってきたブーンが手にしていたのは、一枚の地図だった。
( ^ω^)「今ここがどこか、教えて欲しいんですお」
( ´∀`)「また古い地図モナね」
( ^ω^)「代々家に伝わる家宝・・・らしいですお」
( ´∀`)「そんなもの、モナに見せていいモナか?」
( ^ω^)「おっおっお、今更何を言ってるんだお」
少しの沈黙。
28
:
名無しさん
:2018/09/15(土) 00:47:40 ID:rAxmPMIg0
( ´∀`)「・・・モナはブーンが心配だモナ」
( ^ω^)「なんでだお?」
( ´∀`)「人を信頼するのはとても大事だけれど、あまりに無警戒というか、お人好しというか・・・」
( ^ω^)「・・・そんなことはないお」
( ´∀`)「モナを助けた時だって、あの水は飲み水モナよね」
( ^ω^)「・・・・・・」
( ´∀`)「それに、いまだに能力者を忌み嫌う人も多いモナ。一歩間違えてたら殺されててもおかしくないモナ」
( ^ω^)「・・・・・・そうなのかお」
あれ、と驚くブーン。
29
:
名無しさん
:2018/09/15(土) 00:48:01 ID:rAxmPMIg0
( ^ω^)「ちょっと、教えてくださいお」
( ´∀`)「へ? ・・・何モナか?」
なんだか拍子抜けするモナー。
言葉が届いている気がしない。
( ^ω^)「人間は能力者を見つけ次第、殺したり通報するって聞きましたお」
( ´∀`)「モナ」
( ^ω^)「それで、そうじゃない人も多いんですかお?」
( ´∀`)「・・・だいぶ昔は、そんな感じだったモナ。誰から聞いたモナか?」
( ^ω^)「父さんだお」
( ´∀`)「なるほどモナね。今はいちおう、法律があるモナ」
( ^ω^)「そうなのかお」
うん、とうなずくモナー。
30
:
名無しさん
:2018/09/15(土) 00:49:23 ID:rAxmPMIg0
( ´∀`)「いつ頃だったモナかね。新しい大王、ロマネスク様が就任して定められたモナ」
( ´∀`)「人間は能力者に危害を加えないこと。ただ、能力者が攻撃してきたら応戦してよい」
( ´∀`)「こんな感じのやつモナ」
( ´∀`)「もう戦争からだいぶ経つモナからね」
( ´∀`)「ただ、さっきも言ったけど、今でも能力者を異常に嫌悪してる人間は一定数いるモナ」
それだけ言うとふう、と息を吐き、
( ´∀`)「旅をするうえで、このくらいは知っておかなきゃだめモナよ」
なぜか少し得意げだ。
( ^ω^)「そうだったんですかお。勉強になりますお」
これは素直な言葉。
生まれてからの十六年間、ほとんどを山で過ごしたブーンは世界を知らな過ぎた。
31
:
名無しさん
:2018/09/15(土) 00:50:07 ID:rAxmPMIg0
( ´∀`)「でも、あまり人目につかない方がいいモナね」
( ´∀`)「そもそも最近では能力者自体、めったに見ないモナ」
( ´∀`)「昔は通り魔だったり盗賊だったり、割と見かけたモナけど」
( ´∀`)「そいつらが軒並み捕まったから、法律ができたともいえるモナ」
( ^ω^)「なるほどだお」
( ´∀`)「で、残ってる能力者は大体ひっそり暮らしてるらしいモナ」
( ^ω^)「ああ、そういうことかお」
( ´∀`)「モナモナ。理解が早いモナ」
町で能力者を見たら泥棒と思え、ということだろう。
32
:
名無しさん
:2018/09/15(土) 00:50:31 ID:rAxmPMIg0
( ^ω^)「・・・それじゃあ今日のあいつは」
( ´∀`)「いまどき珍しいモナね」
あの程度の火じゃ効かないのは、本人も知ってそうなものだけど、とつぶやき、
( ´∀`)「それで、地図モナね」
( ^ω^)「そうだったお」
大事なことを忘れるところだった。
ブーンは改めて、机に地図を広げる。
33
:
名無しさん
:2018/09/15(土) 00:51:12 ID:rAxmPMIg0
( ´∀`)「・・・ここが、目的地モナか?」
地図の中に一か所、赤い丸で囲ってある地名があった。
他にもこまごまとした書き込みがところどころにある。
( ^ω^)「いちおうそのつもりですお」
( ´∀`)「ちょっと待つモナね」
そう言って、本棚の方に向かう。
持ってきたのは地図帳のような本だった。
( ´∀`)「これが今の世界地図モナ」
( ^ω^)「お?」
それを見てブーンは驚く。
ブーンの地図とは、だいぶ異なる地形がそこにはあった。
34
:
名無しさん
:2018/09/15(土) 00:51:35 ID:rAxmPMIg0
( ^ω^)「じゃあ、ブーンの地図は・・・」
( ´∀`)「不思議な地図モナね」
( ^ω^)「・・・・・」
( ´∀`)「そもそも書いてある文字がモナには読めないモナ」
(;^ω^)「実は、ブーンにもわかりませんお」
うーん、とうなる二人。
35
:
名無しさん
:2018/09/15(土) 00:52:32 ID:rAxmPMIg0
( ´∀`)「ただ、共通点も多いモナね」
そうして地図帳の一つの大陸を指差すモナー。
( ´∀`)「このあたりが今ブーン君がいる街モナ」
( ´∀`)「向こうの地図と照らし合わせると、大まかな位置はわかりそうモナ」
( ^ω^)「なるほどだお」
( ´∀`)「モナモナ。目的地にはまだまだ遠そうモナね」
( ^ω^)「まあ、のんびり行きますお。どうもありがとうございますお」
( ´∀`)「いえいえモナ」
そう言って、大きな欠伸をするモナー。
36
:
名無しさん
:2018/09/15(土) 00:52:53 ID:rAxmPMIg0
( ´∀`)「老人はもう眠い時間モナ」
( ^ω^)「おっおっお、ブーンもおねむですお」
ブーンも大きなあくびをひとつ。
( ´∀`)「じゃあモナはそこらへんで寝るから、ブーン君は奥の布団で寝るといいモナ」
( ^ω^)「あ、いいんですかお」
( ´∀`)「モナモナ。次に布団で寝るのは、いつになるかわからないモナよ」
( ^ω^)「おっおっお、じゃあお言葉に甘えますお」
ブーンが寝床に着くのを見て、モナーはランプを消す。
どこかから、かすかに入る月明かりがやさしい。
37
:
名無しさん
:2018/09/15(土) 00:53:27 ID:rAxmPMIg0
「おやすみなさいモナ」
「おやすみなさいだお。今日は色々と、ありがとうございましたお」
「・・・・・・こちらこそ、モナ」
闇の中、言葉を交わす。
しばらくの沈黙の後、ブーンが口を開いた。
「モナーさんはどうして、ここまでブーンに良くしてくれるんですかお?」
「・・・・・・」
最初から、すこし違和感は感じていた。
得体の知れない能力者に、ここまで寛容になるものだろうかと。
だけど、聞くのが怖かった。
なにか答えが出るのが怖かった。
それでも聞いたのは、モナーのことを奥の部分で信頼できたから。
その人と接して、大丈夫だと思えたからだ。
モナーの声が聞こえる。
38
:
名無しさん
:2018/09/15(土) 00:54:07 ID:rAxmPMIg0
「うーん・・・ 話すと長くなるかもだけど」
「まあ一言で言えば、自己満足の罪滅ぼしモナ」
「・・・・・・どういうことですかお」
「・・・モナは昔、能力者にひどいことをいっぱいしてきたモナ」
「だけどある時気づいたモナ。自分はなんてみすぼらしい人間だろうかと」
そう言うモナーの声は掠れていた。
「モナーさん・・・・・・」
やっぱり聞くんじゃなかったか。
ブーンがフォローの言葉を探していると、
「まあ、多くは語らないモナ。なぜなら今にも眠ってしまいそうだから」
「・・・はあ」
「聞きたかったら、明日にしてくれモナ・・・・・・」
いつも通りの口調でそれだけ言って、すやすやと寝息を立てるモナーだった。
39
:
名無しさん
:2018/09/15(土) 00:54:37 ID:rAxmPMIg0
( ^ω^)「・・・・・・」
( ^ω^)「人にはそれぞれ歴史があるおね」
ブーンも目を閉じ、意識を巡らせる。
今日あったこと。昨日見た景色。明日への妄想。
( ^ω^)「・・・・・・」
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