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( ^ω^)達はアインクラッドをいきるようです。
1
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/24(火) 21:34:03 ID:Y.9qViVM0
どーも作者です。
こちらでは初めまして。
創作版から引っ越して、新しく作らせてもらいました。
最終回までもう少しの間、お付き合いいただければ幸いです。
この話は
川原礫著
『ソードアート・オンライン』シリーズのアインクラッド編を基に書かせていただいています。
基本的に電撃文庫版の設定を順守しているつもりですが、
設定の拡大解釈やプログレッシブ・コミカライズでの設定、
まだ書かれていない設定に関しては想像で書いているので、
その旨ご容赦の上、お楽しみいただけますようお願い申し上げます。
お世話になっているまとめ様
ブーン芸VIP様
http://boonsoldier.web.fc2.com/
簡単な今までの話の流れ
・ゲームで死ぬとリアルでも死ぬVRの世界に囚われた。
・みんな精一杯生きてます。
・こっちの主人公はブーンなんです。
第二十四話
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/13029/1464354084/854
86
:
◆IdIQLHp8Vc
:2017/10/28(土) 00:03:18 ID:yBcYKiZs0
ξ゚⊿゚)ξ「私があんたを信じるの。
友達であるあんたをね、私は信じるの。
それだけよ。
あ、明日か明後日女子会やるだろうからあんたも参加よ。
拒否は認めないからね。
あと『天使の神速斬(エンジェルホライズン)』の名付け親は私だから、
覚えておきなさい」
ζ(゚Д゚*ζ「へ?」
ξ゚⊿゚)ξ「このエリアは貴方達が苦戦するような強い敵は出ないはずだけど、
一応気を付けるように。
じゃ、よろしく。
プギャー、行くわよ」
( ^Д^)「へーい」
視線でブーンと頷きあうと次のエリアに向かって駆けだすツン。
その後を追って走り出すプギャー。
呆然と立ち尽くすデレ
ζ(゚Д゚*ζ「はあ?」
( ^ω^)「デレさんデレさん」
ζ(゚Д゚*ζ「はあ」
( ^ω^)「考えたら負けだお。
感じるんだお」
ζ(゚Д゚*ζ「はあ?」
ニッコリとほほ笑むブーンと、
未だ呆然としているデレ。
そんな二人を見る二人の男は、
二者二様のため息をついた。
.
87
:
◆IdIQLHp8Vc
:2017/10/28(土) 00:10:28 ID:yBcYKiZs0
短くても連続投下してみたかった。
後悔はしていない。
おつありがとうございます。
連続投下はどこまでいけるのか。
ではではまたー。
88
:
名無しさん
:2017/10/28(土) 00:17:44 ID:Iw6Ik3bQ0
絶倫かよ乙
89
:
名無しさん
:2017/10/28(土) 00:27:58 ID:G8P6xeFM0
おつ!面白かった
90
:
名無しさん
:2017/10/28(土) 01:58:08 ID:BV57DLes0
いやはや乙!
91
:
名無しさん
:2017/10/28(土) 10:59:52 ID:LEMiU4MM0
おつおつ
モララーが気になるZE
92
:
名無しさん
:2017/10/28(土) 17:42:32 ID:5U9dKysU0
トリップ違うのはただのミス?
93
:
名無しさん
:2017/10/28(土) 17:47:13 ID:0UtIvIcE0
前スレ埋められたな
94
:
名無しさん
:2017/10/28(土) 17:59:21 ID:3NaFSOIA0
乙と誤字
>>3
修三 → 修造?
>>14
スキルあがるだけ → スキルがあるだけ
数値化も → 数値かも
>>71
皺を刻むク → 皺を刻むクー
95
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/28(土) 22:59:53 ID:yBcYKiZs0
39.
それは、戦闘と呼べるものではなかった。
襲い来る鎌に対峙するその動きに無駄は全くなく、
躱し、
去なし、
時に受け止め、
流し、
弾き、
翻弄する。
速さと威力を自在に使い分けていても当たらなければ意味が無く、
その体を傷付けることが出来たのは一度だけ。
おそらくはそれも頭のカーソルの色を変えない為だけの理由で受けたのだと思われる。
それでも鎌は紙一重で襲えている。
ほんの少し横にすれば、
力を強くすれば、
ダメージを与えられるかもしれない。
あの一撃は、
本当に攻撃出来たのかもしれない。
そんな希望を抱いてしまい、
男は鎌をふるって襲い掛かる。
その『希望』すらも、
対峙している男の策略だと気付かずに。
いや、もう気付いているだろう。
だが、それを認めることは完全な敗北を意味するため、
気付いていないふりをして、
男は攻撃を繰り出す。
.
96
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/28(土) 23:01:26 ID:yBcYKiZs0
/ ゚、。 /「ふんっ」
( ´_ゝ`)「おっとっと」
/ ゚、。 /「くっ」
( ´_ゝ`)「とりゃっ」
/ ゚、。 /「っ!」
( ´_ゝ`)「あらよっとっと」
ダイオードが振り下ろした鎌を兄者が鎚の柄で弾き、
浮いた鎌を鎚の頭で叩きダイオードの体勢を更に崩す。
そして動きの止まった身体をフェンシングの様なポーズをしつつ鎚で押すと、
ダイオードは尻餅をついて転んだ。
/ ゚、。 /「!?」
無防備な姿をさらしたダイオードが慌てて座ったまま鎌を構えるが、
追撃で鎚が振り下ろされることは無かった。
/ ゚、。 /「?」
( ´_ゝ`)「ダイオードちゃん良い表情だよー。
ハイこっち向いてー。
追撃への恐怖に慄いて良い表情だったよー」
その瞳に映るのは、
クリスタルを片手にこちらを見下ろす兄者。
/ ゚、。 /「!!」
立ち上がって鎌を振るダイオード。
( ´_ゝ`)「おっとっと。
あまり好きじゃなかったけど、
今となっては食べたいな。
ショボかフサに頼んでみるかな。
あー。でもショボはそういうジャンクフード食べたことあるのかな。
おぼっちゃんだし」
.
97
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/28(土) 23:02:42 ID:yBcYKiZs0
しかしその鎌も兄者の持つクリスタルに触れることは出来なかった。
/ ゚、。 /「それ を よこせ」
( ´_ゝ`)「えー。折角録画したのにー」
/ ゚、。 #/「よこ せ」
( ´_ゝ`)「これだけ奪っても仕方ないだろ?」
ポーチから記録結晶を四つ取り出す兄者。
( ´_ゝ`)「尻餅ダイオード。
ずっこけダイオード。
頭に乗られたダイオード。
勝利を確信してドヤ顔した後やられたダイオード。
鎌が木に当たって手をしびれさせたダイオード」
/ ゚、。 #/「ふざ けるな!」
鎌が兄者のいる場所に襲い掛かるが、
既にその場所に兄者はいない。
( ´_ゝ`)「これは中にしまって、新しい結晶を出して」
ウインドウを出して記録結晶を入れ替える。
( ´_ゝ`)「もっと良い表情撮れるかな」
/ ゚、。 #/「きさ ま」
( ´_ゝ`)「おれを殺さないとこれ取り戻せないぞー?
んで、取り戻さないと、これは殺人者の記録として広めるぞー」
/ ゚、。 /「ふざ、けるな」
( ´_ゝ`)「お、なんか口調が変わった?
やっぱりキャラ付けだった?
それだと兄者つまらないー」
.
98
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/28(土) 23:04:00 ID:yBcYKiZs0
空間を切り裂くような鋭い鎌の軌跡。
しかしそれのすらも兄者に当てることは叶わず、
勢い余って足元をふらつかせてしまう。
( ´_ゝ`)「お!これもいいねいいね。
表情と無様な恰好があってるよ!」
記録結晶を片手に兄者が笑う。
/ ゚、。 #/「ふ、ざ、け、る、な」
( ´_ゝ`)「ふざけなきゃ、
お前の相手なんかできるわけないだろうが。
/ ゚、。 /!
.
99
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/28(土) 23:09:09 ID:yBcYKiZs0
( ´_ゝ`)「鍛冶屋はな、
可哀想な職業なんだよ。
鍛冶のレベルをあげなきゃまともな物なんか作れない。
良い材料を集めなきゃ、
ちゃんとしたものを作れない。
良い材料を集めるには、
金で買うか命を懸けて自分が取りに行かなきゃいけない。
材料と叩くハンマーも良いものを使うには、
レベルをあげなきゃいけない。
しかもだ、
どんなに自身のレベルを上げて、
良いハンマーを使って、
良い炉を用意して、
最高の材料を使っても、
失敗する時はある。
そしてどんなに良いモノを作っても、
材料や苦労を考えた適正価格でも、
プレイヤーは高いとか言いやがる。
でもな、おれは、おれ達はまだ良い。
仲間がいるから。
しかも反則級の仲間だ。
他の鍛冶仲間に比べれば、
甘いって言われても仕方ないくらいの環境だ。
だがな、
お前が殺した皆はな、
全部自分でやって、
最高を目指してきた人なんだ。
更に自身の知識を人に分け与えていたような人なんだよ。
それもこれも、
強い武器を、
強い防具を、
命を守り戦うための装備を作るために、
それをプレイヤーに渡すために命を懸けてきたような人なんだ」
.
100
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/28(土) 23:14:46 ID:yBcYKiZs0
/ ゚、。 #/「関係、ない」
( ´_ゝ`)「ああ。
お前には関係ないだろうな。
でも、おれにとっても、
お前は関係ないんだよ。
だから、おれは、関係ないお前をどこまでも蹂躙する。
今ここで出来るだけ屈辱を味合わせ、
それを記録し、そして世に流す」
/ ゚、。 /!!
( ´_ゝ`)「お前は笑いものだな。
そして殺人鬼だ。
笑い者殺人鬼になるんだよ」
/ ゚、。#/「やめ ろ」
( ´_ゝ`)「ああ、でも、大丈夫だ。安心しろ。
これが世に広まるとき、
お前はこの世界にいないから」
無造作に振った兄者の鎚がダイオードの鼻先をかすめる。
/ ゚、。 /!
高い鼻の先端がほんの少しだけ当たりポリゴンに変わるが、
すぐに元に戻る。
/ ゚、。;/「 」
( ´_ゝ`)「お、良いね―その表情」
/ ゚、。;/「なん だ 今の は」
( ´_ゝ`)「ん?少しだけ本気出した。
ほら、おれってやればできる子だから」
記録結晶を宙に浮かべて鎚を振り回す兄者。
.
101
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/28(土) 23:16:42 ID:yBcYKiZs0
/ ゚、。;/「ひっ ひっ」
鎚の先がダイオードの身体をほんの少しだけかすり、
削り取る。
( ´_ゝ`)「なに?ラマーズ法っちゃう?」
すぐに元に戻るポリゴンの身体を、
無造作に削り取る。
( ´_ゝ`)「お前が産み出すモノなんて何もないけどな」
鎚を肩に担ぎ、記録結晶を回収する。
( ´_ゝ`)「良い画が撮れた」
/ ゚、。;/「お、おまえ も、殺人者 に なる」
( ´_ゝ`)「いいさ。
ゲームの中だ。
ゲーム内のPKだ。
MMORPGじゃよくあることだ」
新しい記録結晶を出す兄者。
そして喋りながらも鎚を振り回す。
/ ゚、。;/「ひっ ひっ」
( ´_ゝ`)「うるさいぞ」
ダイオードの鎌を弾き、
無防備にさらけ出されたその体を削る。
/ ゚、。;/「な ん なん だ」
( ´_ゝ`)「ん?」
/ ゚、。;/「おま えは、 いったい」
( ´_ゝ`)「 つまらん」
/ ゚、。;/「?」
.
102
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/28(土) 23:20:54 ID:yBcYKiZs0
( ´_ゝ`)「おれはギルドVIPのKei。
流石武具店の武器担当鍛冶師。
それ以上でも、それ以下でもない。
ま、VIPにいるのも今日までだけどな!」
/ ゚、。;/「!!」
宙を舞うダイオードの鎌。
鎚がダイオードの右手首から先を粉砕した。
/ ゚、。;/「なっ」
( ´_ゝ`)「この世界に、痛みは無い。
手が無くなろうが、
足が消えようが、
そこに痛みは存在しない。
与えられるのは衝撃のみ。
記憶から導き出される痛みを感じることはあっても、
経験以上の痛みはこの世界には存在しない。
だけど、恐怖は違う」
右手が無くなり呆然とするダイオードの右足甲を叩きつける鎚。
/ ゚、。;/「!」
( ´_ゝ`)「痛くはないだろ?」
ポリゴンと化した右足。
防具で固めてあった足を簡単に粉砕されたことに驚愕し、
ダイオードの思考が止まる。
( ´_ゝ`)「痛くは、無いよな」
容赦なく襲い掛かる鎚は左膝を叩く。
/ ゚、。;/「ガッ」
決して小さくはない衝撃がダイオードの左脚を襲う。
( ´_ゝ`)「ぬるぽはしてないぞ」
.
103
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/28(土) 23:23:24 ID:yBcYKiZs0
ふらついたダイオードの視線の先でポリゴンと化す左膝。
そしてその先の、左脚のすねから先がボトリと落ちる。
/ ゚、。;;/「ギャっ」
尻餅をついて叫んだダイオードの唇をかすめる鎚。
( ´_ゝ`)「うるさい」
/ ゚、。;/「ヒッ ヒッ ヒッ ヒッ ヒッ」
尻餅をついた姿のまま、
唯一無事である左手を使って後退るダイオード。
/ ゚、。;/「た、たす 」
( ´_ゝ`)「ふむ」
/ ゚、。/「 !!」
ダイオードの左肩に与えられた強い衝撃。
そのまま転がるダイオード。
/ ゚、。;;/「も、も う 」
手首の無い右腕を使って上半身を持ち上げるダイオード。
そして左腕が肩のすぐ先から消えている事に気付く。
/;゚、。;/「たす けて 」
見上げた視線の先に、男の顔。
自分を見る、男の顔。
/;゚、。;/「あ あ あ……」
そしてダイオードは心で理解した。
自分が、死ぬという事を。
.
104
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/28(土) 23:28:47 ID:yBcYKiZs0
無造作に鎚を肩に担いだ男の顔を見て、
初めて人の顔をしっかりとみて、
そして、わかった。
自分が、ここで死ぬということを。
/ ;、; /「たす け て
ゆるし て 」
もう記録結晶の事など頭から消えていた。
ただ、怖かった。
震える身体。
零れ落ちる涙。
懇願の言葉が自然と口から溢れる。
/ ;、。 /「おね がい しま す」
( ´_ゝ`)「ある意味あっぱれだな」
/ ;、。 /「 ? 」
( ´_ゝ`)「これだけの状況で、
助けてくれ、許してくれ、
って今の自分を生きながらせる要望だけで、
自分がしてきたことの懺悔が一つもない」
/ ;、。 /「!」
( ´_ゝ`)「お見事だよ」
.
105
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/28(土) 23:30:04 ID:yBcYKiZs0
/ ;、。 /「そ、それ は」
( ´_ゝ`)「おれも、心置きなくとどめをさせる」
そう言いながら鎚を両手で持って高く上げる。
/;゚、。;/「あ あ あ
た すけ て
死に たくない」
( ´_ゝ`)「安心しろ、その無様な姿はいつまでもどこまでも広めてやるから」
執拗に体を削り取られた攻撃と、
四肢を粉砕した攻撃によって、
既にダイオードのHPは赤く変わっている。
/ ;、。 /「ゆる して
ごめ んな さい」
強い一撃を受けてしまえばHPバーが光を無くすことは、
ダイオード自身が分かっていた。
( ´_ゝ`)「……さよならだ」
だがそんな懇願は意味をなさず、
ダイオードの頭に向けて、
鎚が振り下ろされた。
.
106
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/28(土) 23:32:12 ID:yBcYKiZs0
( ´_ゝ`)「っ!」
ダイオードの頭に当たるギリギリに、
横から飛んできた斧が鎚の柄に当たり、
その衝撃で鎚が飛ばされた。
(´<_` )「そこまでだ。兄者」
( ´_ゝ`)「……弟者」
息を整えつつ近寄る弟者。
投げた斧は兄者の足元に転がっており、
歩きながら腰に付けた投げ針を手にしている。
(´<_` )「必要ないみたいだけど、一応な」
恐怖で気を失ったダイオードを見下ろす弟者。
そして無造作に針を投げる。
(´<_` )「あとは黒鉄宮に送るだけだな」
ダイオードの頭の上に麻痺のアイコンが出たのを確認し、
兄者に顔を向けた。
(´<_` )「どうした兄者?
そんな顔して」
不思議そうに肩をすくめる。
(´<_` )「……何故、振り上げてるんだ」
鎚を振り上げている兄者。
倒れているダイオードを見ている。
.
107
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/28(土) 23:33:57 ID:yBcYKiZs0
( ´_ゝ`)「目を、閉じていてくれ」
(´<_` )「いやだ」
( ´_ゝ`)「頼む。
おれが人を殺すところを、
お前に見られたくない」
(´<_` )「なら、殺さなければいい」
( ´_ゝ`)「…………」
(´<_` )「だろ?」
( ´_ゝ`)「目を、閉じてくれ。頼む」
(´<_` )「……伝言がある」
腰のポーチから記録結晶を取り出す弟者。
そして再生する。
.
108
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/28(土) 23:37:25 ID:yBcYKiZs0
◇( ^ω^)「兄者、だめだおー。
そんなことしちゃダメなんだお。
絶対、絶対、駄目なんだお。
でも、信じてるお。
兄者はそんなこと出来ないって」
◇ξ゚⊿゚)ξ「止めときなさい。
あんたまで、背負うことは無いのよ。
しかも、そんな奴の」
◇川 ゚ -゚)「気持ちが分かるとは言えない。
言わない。
だが、そのあと兄者が苦しむのは分かる。
仲間として、友人として、見過ごすことは出来ない。
だから、言わせてもらう。
今すぐやめろ」
◇('A`)「あー。普通のMMOでも、
先輩はそういうことしなかったじゃないですか。
だから、やめた方が良いと思います。
絶対、あとで後悔すると思うんで」
◇川 ゚ -゚)「後でするのが後悔だな。
素直に『絶対後悔する』の方が良いと思う」
◇ξ゚⊿゚)ξ「こういう大事な時にあんたは」
◇('A`;)「……ごめんなさい」
◇(;^ω^)「おー」
◇(´・ω・`)「どうせギルドも抜けようとしてると思うけど、
抜けさせたりしないからね。
だから、胸張って会えるように、
また一緒にバカなこと出来るように、
変なことはしないように。
これはギルマス命令です」
◇ξ゚⊿゚)ξ「あんた、よくこの状況で話を進めるわね」
◇(´・ω・`)「あれ?撮り直しする?」
◇川 ゚ -゚)「流石だな」
◇('A`)「……兄者を止めるだけに」
◇(;^ω^)「ドクオ、それはちょっとどうかと」
◇ξ゚⊿゚)ξ「サイテー」
◇川 ゚ -゚)「フォローできんな。
するつもりもないが」
◇('A`;)「……ゴメンナサイ」
◇(´・ω・`)「とにかく、ダイオードはちゃんと黒鉄宮に送るように!
いいね!絶対だよ!」
◇( ^ω^)「無理矢理まとめたお」
◇ξ゚⊿゚)ξ「弟者!撮り直すわよ!」
◇川 ゚ -゚)「……それが順当だな」
◇('A`)「次は気を付けます」
◇(´・ω・`)「どうせまたこんな感じになると思うけど」
◇( ^ω^)「僕もそう思うお」
.
109
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/28(土) 23:39:28 ID:yBcYKiZs0
(´<_` )「撮り直したの見る?」
( ´_ゝ`)「……いや、いい」
腕は振り上げたまま、
けれど少しだけ表情に笑みを浮かべ、
弟者にゆっくりと視線を向けた。
( ´_ゝ`)「……なあ、弟者」
(´<_` )「いつか会えた時、絶対怒られるぞ。
下手したら、毎晩夢の中に出てきて説教される」
( ´_ゝ`)「……夢の中で、会えるかな。
でも、あの人たちに説教されるのは、怖いな」
(´<_` )「だろ?」
( ´_ゝ`)「ああ」
(´<_` )「だから、やめとけ」
( ´_ゝ`)「……でも」
(´<_` )「おれも、こいつは殺したい」
( ´_ゝ`)「!」
(´<_` )「でも、それじゃこいつと同じだ」
( ´_ゝ`)「……」
(´<_` )「兄者。
おれと再会する前に、
グレンさん達と既に知り合ってただろ?
もしかしたら、パーティー組んでたりしただろ?」
( ´_ゝ`)「!…… …… ああ」
.
110
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/28(土) 23:41:42 ID:yBcYKiZs0
(´<_` )「やっぱりな。
黙ってたのは、
おれを探しながらもゲームを楽しんでたって思われない為か?」
( ´_ゝ`)「……ごめん」
(´<_` )「いや、責めているわけじゃない。
当然と言えば、当然だ。
あの時一人でいるのは、
辛かったと思うから。
あと、ごめん。
グレンさん達が亡くなった時、
おれが落ち込みすぎて、
兄者はフォローしてくれていた。
兄者の方が、辛かっただろうに。
おれ、気付いていなかった」
( ´_ゝ`)「……気にするな」
(´<_` )「けれど、兄者はそれでちゃんと悲しんでないんじゃないか?」
( ´_ゝ`)「!」
(´<_` )「おれがぼろぼろに泣いていた時、
ずっとそばにいてくれていた」
( ´_ゝ`)「……弟者」
(´<_` )「おれだけが自分の感情のままに悲しんで、
泣いて、踏ん切りをつけていたけれど、
兄者はまだグレンさんが亡くなったことから」
( ´_ゝ`)「弟者!」
(´<_` )「!」
( ´_ゝ`)「あ、……わるい、だが、その先は……」
(´<_` )「……こちらこそ、ごめん。
おれのせいなのに、無神経だった」
.
111
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/28(土) 23:44:45 ID:yBcYKiZs0
( ´_ゝ`)「違う!
弟者のせいじゃない!
おれが……おれが、結局……」
拳を握り、
弟者の視線から逃げる様に顔をそむける兄者。
(´<_` )「……一番悪いのは結局こいつで」
倒れているダイオードを見る弟者。
兄者もつられるように俯き加減にダイオードを見る。
(´<_` )「正直、殺したい。
それくらいには、憎い」
( ´_ゝ`)「……」
俯いたまま、視線を弟者に向ける兄者。
(´<_` )「それこそこいつが死んだら祝杯をあげたいくらいに。
殺されたのなら殺した奴に一番の防具をプレゼントしたいくらいに。
……けれど、兄者には殺してほしくない」
顔をあげる兄者。
その瞳を、弟者のまっすぐな瞳が射抜く。
(´<_` )「兄さんには、人殺しになってほしくない。
でもそれは、兄弟が人殺しになるのが嫌なだけじゃない。
兄さんがそんなことをするのなら、
そうしなければならなかった理由があるはずだから。
世間に後ろ指をさされても、
おれは胸をはれる。
父さんも、母さんも、
姉さんも、未花も、
きっと同じ気持ちだと思う。
でも、やっぱり、なってほしくない。
だって兄さんは、絶対に苦しむから。
例えどんな理由があったとしても、
人を殺したら兄さんは苦しむ。
それによって誰かの命が助かっても、
千人の命を助けたとしても、
一人の命を奪ったことに苦しむ。
だから、やめてほしいんだ」
.
112
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/28(土) 23:47:07 ID:yBcYKiZs0
( ´_ゝ`)「…… ……悌悟」
(´<_` )「こんなやつの命を、兄さんが背負うことは無い。
こんなやつの命の為に、兄さんに苦しんでほしくない。
だから、やめてくれ」
( _ゝ )「…… …… 悌……悟」
ゆっくりと手を下ろす兄者。
手も開かれ、鎚が地面に落ち斧にぶつかる。
( _ゝ )「グレンさんの店、
持ち主消えた後のリセットでまた売りに出された後、
アルさん達とコル出し合って買い戻して、
今はアルさんが管理しているんだよな」
(´<_` )「?ああ。その通りだけど……まさか!?」
( _ゝ )「墓を、庭に作ったんだよな」
(´<_` )「……ああ」
( _ゝ )「こんど、一緒に、行ってくれるか?」
(´<_` )「ああ。一緒に行こう」
( _ゝ )「……頼む」
(´<_` )「それこそ夢で叱られるぞ。やっと来たって。
笑いながら、頭叩かれそうだ」
( _ゝ )「……ああ、そうだな」
(´<_` )「ああ。絶対だ」
( ´_ゝ`)「……。
会えたら、土下座して謝らなきゃだな」
顔を上げた兄者の顔は、
晴れ晴れと言うにはほど遠かったが、
それでも、まだ辛そうではあるが、
弟者に笑いかけていた。
.
113
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/28(土) 23:57:48 ID:yBcYKiZs0
以上、連続投下……何日目だっけ。ま、いっか。
いつもおつをありがとうございます!
>>92
はい、完全なミスです。
やっちまいました。
混乱させていたら申し訳ありません。
>>94
誤字チェックありがとうございます!
本当、投下前に誰かに読んでもらいたい。
校正……。
修三は松岡さんのつもりだったので修造が正解です。
ありがとうございます。
スレ埋めありがとうございました。
見に行ったらちょうどラストが残っていたので思わず……。
これで閑話で埋める必要もなくなりちょっとほっこり。
さて連続投下はいつまで続くのか!
ではではまたー。
114
:
名無しさん
:2017/10/29(日) 00:05:36 ID:MiiWNk7Q0
おっつおつ
115
:
名無しさん
:2017/10/29(日) 00:13:33 ID:a9M0x7sY0
おつおつ
プロでも誤字はする
もはや必然だ
>>98
それのすらも → それすらも
>>100
味合わせ → 味わわせ
>>104
生きながらせる → 生きながらえさせる
116
:
名無しさん
:2017/10/29(日) 01:03:43 ID:xkIxEa3k0
やべぇ縦読み探してしまった
117
:
名無しさん
:2017/10/29(日) 01:43:01 ID:uxK6HErY0
おつ
ダイオードも何かあるのかと深読みしていたけど、本当にただただ救えない奴だったんだな。
縦読み探してしまうのわかる。
個人的な話にはなるけど、書く側の時は誤字指摘は早い方が訂正しやすいから助かる派だわ。
味あわせて〜って間違った使い方なのな、初めて知った。
118
:
名無しさん
:2017/10/29(日) 02:55:05 ID:CxH.gzT60
ここまで来ると本当にモララーの安否が気になる
119
:
名無しさん
:2017/10/29(日) 05:54:48 ID:8AReJZ8o0
安否ってか完全にタヒってたろ
120
:
名無しさん
:2017/10/29(日) 06:03:52 ID:CxH.gzT60
それでも…!それでも…!
121
:
名無しさん
:2017/10/29(日) 07:22:27 ID:d8QXMjic0
もう続き書かないのかと思ってた
最終回まで楽しみにまつ
122
:
名無しさん
:2017/10/29(日) 11:29:07 ID:YlX6E.Ek0
俺もモララー一番好きだしVIPはどんでん返しが多いチームだからもしかしたらの希望が捨てられない
123
:
名無しさん
:2017/10/29(日) 11:50:36 ID:nYb5tdpc0
乱戦が各地で片付いていくのはやっぱり盛り上がるな
同時に、最終回まで突っ走っていく感じもするので嬉しいけど寂しい
124
:
名無しさん
:2017/10/29(日) 19:29:03 ID:VHBKwnpQ0
弟者がいてよかった……
乙
125
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/29(日) 23:41:53 ID:cjU6OEj20
40.
砕かれた小瓶。
入っていた青い液体は黄色い液体に変わり宙を舞った。
(も)!!
片手剣の攻撃をシャキンの盾に受け止められた男がそれに気付く。
(も)「なんだと!」
(`・ω・´)「気付けなくても無理はない。
モラの作った偽装瓶を見抜けるのは、
ショボとドクオくらいだ」
液体を切ったシャキンの片手剣が男を切り裂く。
(も)「ちっ」
追撃を避けようと後ろに跳ぼうとした男が膝から崩れ落ち、
その場に座ってしまった。
(も)「!!?」
慌てて自身の状態を確認するが麻痺状態にはなっていない。
(`・ω・´)「遅い」
自分を切り裂く片手剣に防御しようとするが、
時折動かなくなる身体に立つことも出来ず、思うような防御も出来ない。
(も)「なっ」
攻撃しようとふるった片手剣は弾かれ、
更に身体を切り裂かれる。
.
126
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/29(日) 23:43:03 ID:cjU6OEj20
(も)「!」
そしてHPバーが赤くなった瞬間に自身を襲う虚脱感。
身体に力が入らず、地面に倒れてしまった。
唯一動かせる視界を動かし、
自分を見下ろす男を見る。
(`・ω・´)「今おれが使っている麻痺毒はまだ発表されていない、
強力な毒だ。
HPバーが青や黄色の時は抵抗できるが、
赤くなると完全に麻痺状態になり、その後眠りに落ちる。
ついでに言うと、
使用者とのレベル差や抵抗値が低い状態だと、
青や黄色の状態でも麻痺の効果を打ち消すのにタイムラグが起きる事がある」
自身の負けを認め視線をシャキンから外す男。
そして眠りに落ちる前に見たのは、
ミセリと戦う仲間の姿だった。
(り)「短剣で俺に歯向かうとはな」
ミセ*゚ー゚)リ「そういうセリフは私の攻撃を完全に封じてからじゃないと笑われるよ」
男の放つ槍の攻撃をすべて避けきるミセリ。
逆にその隙をついて近寄り攻撃し、
そしてすぐに距離をとる。
(り)「……ちっ」
横目で見た先には片腕を失って倒れているフィレンクト。
(り)「しかしまさか、付き合ってた男をこんな簡単に倒すとはな」
ミセ*゚ー゚)リ「その程度で動揺させようなんて無駄だよ」
黄色く輝く短刀を構えてミセリが笑う。
.
127
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/29(日) 23:44:13 ID:cjU6OEj20
(り)「……さっきまでとは大違いだな。
まあ、おれもあいつもそいつも騙された口だがよ。
怖い女だ」
ミセ*゚ー゚)リ「あら、褒めてくれてありがとう。
でも、シャキンはちゃんと本気で攻撃したわよ?」
(り)「はぁ?」
ミセ*゚ー゚)リ「だってそうしなきゃ疑わられただろうし。
でも、あの程度の私の本気でシャキンがやられるわけないから」
(り)「……ちっ」
ミセ*゚ー゚)リ「あんたは、さっきとは別人ね。
なに、戦闘になると正確変わるタイプ?」
(り)「はっ。人を二重人格みたいに言うなよ。
その方が、油断してくれて面白いからやってるだけだ」
ミセ*゚ー゚)リ「なにそれ」
(り)「あいつらとPKするときよ、
対象を囲んで俺がガタガタ震えてるとよ、
まぁどいつもこいつも俺に向かってくるんだわ。
気弱そうな俺に突撃すれば穴を作って逃げられるとでも思うんだろうな」
喉奥で空気を吸うように笑う男。
ミセ*゚ー゚)リ
(り)「その後俺に殺される奴の顔は絶妙なんだこれがまたよ。
呆然として、恐怖におびえ、怒りの混じった、絶望した表情がまた」
ミセ*゚ー゚)リ「あー。不愉快だから黙って」
.
128
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/29(日) 23:45:55 ID:cjU6OEj20
(り)「なんだ。お前は殺したことないのか。
人を殺す度胸もねぇのに武器を俺に向けるなよカスが。
ま、おれも一人殺すまでは緊張したけどよ、
二人目以降は簡単だったな。
一人も二人も一緒だな」
ミセ*゚ー゚)リ「言ったよね。黙れって」
笑みを消して男を見るミセリ。
対して男は感情を出したミセリに笑顔を見せる。
そして自分達を見るシャキンにも意識を向けた。
ミセ*゚ー゚)リ「大丈夫よ」
(り)「?」
ミセ*゚ー゚)リ「シャキンには手出しさせないから。
それに、貴方がシャキンと戦うことは無いから」
(り)「……?」
ミセ*゚ー゚)リ「だって、あなたは私に倒されるんだから」
(り)「……なら、お前を殺してからそいつを殺すとするか」
男の目に怒りが宿り、恐ろしいほどの速さで槍を繰り出す。
ミセ*゚ー゚)リ「少しは出来るかな」
しかしミセリは短刀の腹で受け、
火花を散らしながら勢いを後方に流し、
そして重さを感じさせない動きで男の懐に移動した。
男の喉元に突き付けられた短刀の刃。
(り;)「なっ」
.
129
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/29(日) 23:48:45 ID:cjU6OEj20
ミセ*゚ー゚)リ「でもね、集団で人を襲い、
奪い取ったアイテムとコルで装備を良くし、
安全な戦闘でモンスターを倒してレベリングしたあなたに」
男の喉が切り裂かれ、HPバーが大きく減る。
(り;)「ぐっ」
ミセリは男が槍を構え直す前に更に二回切りつけてから距離をとる。
ミセ*゚ー゚)リ「私達が負けるわけにはいかないの」
(り;)「この世界はレベルが全てだ!」
再度突き出される槍を軽々と躱して男の背後に移動するミセリ。
ミセ*゚ー゚)リ「そうよ。それは正解」
男の脇腹に突き立てられる短刀。
(り;)「がっ」
衝撃が男を襲う。
突き立てられた短刀がそのまま背中に向かって横に振り抜かれると、
ポリゴンがまるで血の様に宙を舞った。
(り;)「ぐっ!」
HPバーが黄色に変わり、膝をつく男。
ミセ*゚ー゚)リ「でもね、当然だけど、
戦闘経験が全く意味を成さないわけじゃないのよ」
ミセリの短刀が男の両肩が切り裂かれる。
(り;)「がはっ!」
ミセリが動きを止めた男の背中を蹴る。
.
130
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/29(日) 23:54:20 ID:cjU6OEj20
(り;)「ごっ!」
スキルに体術を入れてあるミセリの蹴りは攻撃であり、
男のHPは削られて赤に変わった。
(り;)「ひっひっ」
地面を転がった男がミセリを見上げる。
ミセ*゚ー゚)リ「それに、レベルでもあなたは私に負けていると思うわよ?」
(り;)「た、助けて……」
ミセ*゚ー゚)リ「あなたは、
今までそうやって助けを求めた人を、
助けたの?」
(り;)「!」
自分に向けられた短刀に言葉を無くす男。
(り;)「み、みのがして……。
!
お、おまえは、人を殺すのか!殺せるのか!」
ミセ*゚ー゚)リ「……私が人を殺したことが無いって、
誰が言ったの?」
悲しげに笑いながら短刀を構えるミセリ。
短刀が赤く輝く。
(り;)!!
ミセ*゚ー゚)リ「一人殺すのも、二人殺すのも、一緒なのよね?」
(り;)「し、死にたく……!!
な……い……」
.
131
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/29(日) 23:56:23 ID:cjU6OEj20
男の身体を黄色の輝く線が通ると、
男がその場に崩れ落ち意識を失った。
ミセリはそれを見届けた後、
一番初期の技でありほとんど技後硬直を起こさない剣技を空打ちした。
ミセ*゚ー゚)リ「……ありがとう」
そして視線を彼に向けた。
視線の先では、
残った片手で麻痺毒を付加した針を投げたフィレンクトが居た。
(‘_L’)「……予定通りですね」
苦しそうな表情をしたミセリに、
いつものような軽い口調で話しかけることが出来ないフィレンクト。
ミセ*゚ー゚)リ「はい」
ミセリもそれに口調を合わせて返事をする。
地面に倒れる男を見下ろすミセリ。
ミセ*゚ー゚)リ「……一人も二人も一緒とか、
そんなわけ、無いじゃない……」
呟いたミセリ。
その声が聞こえたかどうかは分からないが、
片腕の無いままのフィレンクトがミセリに近付いた。
(‘_L’)「ミセリさん」
ミセ*゚ー゚)リ「腕、大丈夫ですか?」
(‘_L’)「はい。ただの部位欠損ですし。
欠損部位が大きいから時間は長いですが……。
あと六十秒くらいです」
.
132
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/29(日) 23:58:44 ID:cjU6OEj20
ミセ*゚ー゚)リ「思い切りが良くてびっくりしました。
自分でやっても部位欠損できるとは聞いてましたけど。
まさかあんなだとは。
しかも、その後叫んで二人の注意を引いてくれて」
(‘_L’)「何回か自分で練習しましたから」
ミセ*゚ー゚)リ「凄いですね……」
(‘_L’)「本当は貴女がそいつと戦うのも反対だったんですが」
ミセ*゚ー゚)リ「またそれを言う。
フィレンクトさんがダブルスパイしていたのは、
出来るだけ隠しておかないと。
フィレンクトさんが疑われていたのは知っていましたから、
本当は私が貴方の腕を切り落とすところを二人に見せておきたかったんですけど。
牢獄でそいつらがフィレンクトさんを恨む危険性を減らさないと」
(‘_L’)「私は覚悟していますが」
ミセ*゚ー゚)リ「ダメですよ。
もともとロマネスク達の動きをコントロールして、
出来るだけ人を殺させないようにしていたのはフィレンクトさんなんですから」
(‘_L’)「ですが、私だけでは完全に止めることは出来ませんでした。
二人が直接手を下すのは先延ばしに出来ましたが、
結局、VIPやN-Sの皆さんの、ミセリさんの協力が無ければ……」
ミセ*゚ー゚)リ「私達の思惑と、
フィレンクトさんがあの二人を人殺しにしたく無いという思いが合致しただけです」
(‘_L’)「私にとって、
ロマネスクとヒッキーが恩人であるというのは、
変わらない事実なので。
本当なら、
二人が間違った方向に進むのを止めなければいけなかったのに」
ミセ*゚ー゚)リ「……恐怖や苦しみや嫉妬は、
人を間違った方向に進めてしまいますから」
.
133
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/30(月) 00:00:10 ID:qmlqk3ss0
悲しげに、少し強張った顔でほほ笑むミセリ。
フィレンクトもその微笑みに釣られて少しだけ微笑んだ。
その微笑みを受けてミセリは少しだけ強張りを緩めるが、
すぐに表情を引き締めて周囲を見回す。
ミセ*゚ー゚)リ「それで、シャキンは……?」
盾と片手剣を地面に置いたままうずくまっているシャキン。
ミセ*゚ー゚)リ「……なにしてるの?」
シャキンが腹を抱えてうずくまる。
(` ω ´)「ひっひっ……」
ミセ*゚ー゚)リ「!シャキン!?」
(‘_L’)「シャキンさん!?」
慌てて駆け寄ろうとする二人の前に映し出される映像
◇ミセ*゚ー゚)リ「私は、女だから」
(`;ω;´)「お、ん、な、だ、か、ら」
シャキンは腹を抱えて笑っていた。
ミセ*゚ー゚)リ「…… …… シャキン?」
134
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/30(月) 00:01:45 ID:qmlqk3ss0
それはもう、声は出さずに引きつるように笑っていた。
◇ミセ*゚ー゚)リ「私は、女だから」
◇ミセ*゚ー゚)リ「私は、女だから」
◇ミセ*゚ー゚)リ「私は女だから」
(`;ω;´)「お、ん、な、だ、か、ら」
(`;ω;´)「お、ん、な、だ、か、ら」
泣きながら、腹を抱えて、笑っていた。
ミセ* ー )リ
(;‘_L’)「シャ、シャキンさん、それは」
(`;ω・´)「い、一応あとでショボに報告するようで記録してたんだけどよ、
ちゃんと撮れてるか確認したらちょうどこのシーンが再生されて。
リアルに聞いた時も噴き出すの抑えるために叫んだし」
(;‘_L’)「あ、ああ。あの時の叫びにはそんな意味が」
(`・ω;´)「フィレンクトは、よくあの時噴き出さなかったよな」
(*‘_L’)「あ、ま、まあ、私は、その」
ミセ* ー )リ「シャキン」
地を這うようなミセリの低い声。
(`・ω・´)「……って、あれ?」
ミセ* ー )リ「それをよこしなさい」
.
135
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/30(月) 00:03:01 ID:qmlqk3ss0
ゆっくりとシャキンに近寄るミセリ
(`・ω・´)「あ、いや、ほら、ショボンに報告する時に」
ミセ* ー )リ「大丈夫」
右手に持った短刀が光を反射してきらめく。
ミセ* ー )リ「私が報告するから」
(`・ω・´)「み、ミセリ?」
慌てて立ち上がり、片手剣を持って盾を構えるシャキン。
(`・ω・´)「映像が無くてもおれが報告したら一緒だしさ」
ミセ* ー )リ「大丈夫よ」
ミセリがニヤリと笑う。
(;`・ω・´)「み、ミセリさん?」
ミセ* ー )リ「ちゃんと名誉の戦死をしたことにしてあげるから」
(;`・ω・´)「ひっ!」
ミセリの攻撃を受け止めるシャキンの盾。
刃の当たった場所から火花が散っている。
(;`・ω・´)「お、落ち着けミセリ!」
ミセ* ー )リ「大丈夫」
繰り出される攻撃を受け止め、弾く盾。
ミセ#゚ー゚)リ「私は冷静よ!
死ねシャキン!それを渡しなさい!」
.
136
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/30(月) 00:04:08 ID:qmlqk3ss0
縦横無尽に四方八方から繰り出される攻撃。
(;`・ω・´)「そういう攻撃に特化した冷静さはいらないから!」
その全てを無効化するシャキンの盾と片手剣。
ミセ*゚ー゚)リ「フィレンクト!手を貸して!」
(`・ω・´)「フィレンクト!こいつを止めてくれ!」
(;‘_L’)「あー。わたし、腕が無いので」
ペナルティの時間が終了し、
フィレンクトの腕が元に戻る。
ミセ*゚ー゚)リ「フィレンクト!」
(;`・ω・´)「フィレンクト!」
(‘_L’)「……仕方ない二人ですねえ。
……私ではその笑顔は取り戻せなかったんですが……。
少しくらいなら意地悪しても良いですかね」
ミセ*゚ー゚)リ「フィレンクト!」
(;`・ω・´)「フィレンクト!まじで助けて」
フィレンクトが武器を手にする。
(‘_L’)「付き合いの深さからすればミセリさんの手助けをするところですが、
どうしましょうか」
ミセ*゚ー゚)リ「もちろん手助けよ!」
(;`・ω・´)「フィレンクトおおおおおおお!?」
シャキンの叫び声がエリアに響く中、
盾に当たる刃の音がしばらく続いた。
(;`;ω;´)「たすけてー!」
.
137
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/30(月) 00:09:32 ID:qmlqk3ss0
どーも作者です。
おつと感想、誤字チェック、本当にありがとうございます。
何度見直しても抜ける……。
精進します。
さて、引っ越し記念の連続投下ですが、
ひとまずここで終了となります。
そして話も佳境に。
さあ残っているのは誰だ!
最後までよろしくお願いします。
ではではまたー。
138
:
名無しさん
:2017/10/30(月) 00:21:16 ID:oK3nH/Zg0
乙!
>>127
正確変わる → 性格変わる
139
:
名無しさん
:2017/10/30(月) 01:10:19 ID:2FU41suw0
乙
140
:
名無しさん
:2017/10/30(月) 01:35:06 ID:7F8UU9KEO
おつ
フィレンクトはやっぱり隻腕になる運命なのねw
アインクラッドではすぐに戻っちゃうのが惜しいとこ
141
:
名無しさん
:2017/10/30(月) 19:28:41 ID:l6cx7aA20
乙なり
142
:
名無しさん
:2017/10/30(月) 21:56:15 ID:DKPqZwXQ0
乙です!
もうすぐ終わっちゃうんだな
143
:
名無しさん
:2017/10/30(月) 22:09:31 ID:BwyhPCr.0
ANGLER編終わっても話は続くもんだと思ってたけど原作の時系列も考えるともう最終盤なのかな
144
:
名無しさん
:2017/10/31(火) 13:45:47 ID:TAuZJG2U0
後残ってるのはショボン、ジョルモラ、ヘリカル、動きのないギコしぃか
モララー…生きてるといいな
145
:
名無しさん
:2017/11/01(水) 21:09:15 ID:4Gl3YEMI0
あの描写で誰も死にませんでしたってストリーはさすがにないwww
146
:
名無しさん
:2017/11/02(木) 00:46:42 ID:y1fP1.Es0
確かにご都合主義かもしれないけどさ
『モララー』は無理でも、茂羅某(仮名)は朝日が何とかしてくれると信じてるよ
147
:
名無しさん
:2017/11/02(木) 00:51:35 ID:blOw27uw0
でもあれって死んだ瞬間に電気ビリビリじゃないん?
148
:
名無しさん
:2017/11/02(木) 00:52:33 ID:blOw27uw0
いや、タイムラグあるか
確かクリスマスイベかなんかで数分以内なら蘇生できるアイテム有ったな
それでも現実側からは無理だけど
149
:
名無しさん
:2017/11/02(木) 01:00:17 ID:y1fP1.Es0
22話の最後ら辺読んでみ
本編はともかく、少なくともこの作品の時系列の最終盤で脳みそ焼き切られたのは茅場だけだと信じたい
150
:
名無しさん
:2017/11/02(木) 01:04:38 ID:y1fP1.Es0
21話だったスマソ
151
:
名無しさん
:2017/11/02(木) 02:35:32 ID:p9Prhn1U0
この作品って結構シビアに命の描写してるのにギルメンは無事ってのはご都合だと思うけどなぁ
152
:
名無しさん
:2017/11/11(土) 08:31:53 ID:9mXQvU8o0
8話の時点でブーンがすげぇこと言っててびっくりしたわ
おつ
153
:
名無しさん
:2017/11/16(木) 23:20:24 ID:5a0I.DVoO
閑話読んでたらイーユウ君出てきてたわ
154
:
名無しさん
:2017/11/17(金) 21:58:40 ID:wJp2Q/x20
読み返すと伏線はりまくりで尊敬する
155
:
名無しさん
:2017/12/02(土) 20:34:45 ID:oMobV9pI0
saoのアプリ出てこの作品みたいに色々やってやるぜと意気込んでたけどやっぱやれること少ないわ
武器少ないしスキルガチャだしだったからなあ
156
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:13:04 ID:h6rr3Xoo0
たまにはこんな時間に投下もいいじゃない。
ということで投下開始します。
よろしくお願いします。
157
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:14:05 ID:h6rr3Xoo0
41.
ミセ*゚ー゚)リ「まったく……」
記録結晶を手に仁王立ちしているミセリ。
その視線の先にはうずくまってシャキンがいる。
(`・ω・´)「取られた―。
ちゃんと報告しなきゃなのにー」
ミセ*゚ー゚)リ「報告なら私がしますー」
(`・ω・´)「ちゃんとあのセリフ」
音もたてずにシャキンの背後に回り、
後ろから短刀を首元に当てるミセリ。
ミセ* ー )リ「セリフ?セリフって、なんのこと?」
(;`・ω・´)「あ、いえ、なんでもありません。はい」
ミセ* ー )リ「報告は私がする。
貴方は何も言わない。
よろしいかしら?」
(`・ω・´)「いえす!まむ!」
ミセ*゚ー゚)リ「……まったく」
短刀を鞘にしまうミセリ。
ミセ*゚ー゚)リ「そんなことより、行かなくて良いの?」
(`・ω・´)「んー。そうだなあ」
(‘_L’)「マタンキは、行動には難はありますがレベル上げやモンスター狩りには積極的で強いです」
.
158
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:14:58 ID:h6rr3Xoo0
少し離れた場所で二人を見ていたフィレンクトが近寄る。
(‘_L’)「正直、ショボンさんお一人では厳しいかと思いますが」
ミセ*゚ー゚)リ「フィレンクトさん」
(‘_L’)「全員の飛ばされる場所は把握しています。
行くのならば早めに動きましょう」
ミセ*゚ー゚)リ「シャキン!」
(`・ω・´)「んー」
(‘_L’)「シャキンさん?」
ミセ*゚ー゚)リ「……シャキン?」
胡坐をかいて腕を組み唸っているシャキンを見て怪訝そうな顔をするミセリとフィレンクト。
(`・ω・´)「ま、ゆっくり行こう」
ミセ*゚ー゚)リ「はあ?」
(‘_L’)「シャキンさん!?」
(`・ω・´)「だって、おれらまで参戦したらいくら何でも戦力過多だからな」
楽しそうに笑ったシャキンを見て、
ミセリとフィレンクトは困惑した表情を見せた。
.
159
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:16:08 ID:h6rr3Xoo0
右脚を切り裂かれたショボンが後方に跳ぶが、
本能のままマタンキが追撃する。
(;´・ω・`)「くっ」
(・∀ ・#)「ひゃはははははははっははははははは」
上段、下段、横薙ぎ、袈裟切りと、縦横無尽に攻撃されるショボン。
(;´・ω・`)「!……!」
体術で躱しつつチャクラムでも防御するが掠る刃と衝撃はHPを削っていく。
(・∀ ・#)「有名ギルドのギルマスさんがなさけないですよー」
(;´・ω・`)「ぼくはっ!」
ショボンの指を狙った攻撃が綺麗に決まり、
マタンキの片手剣がチャクラムを飛ばす。
(;´・ω・`)「!」
(・∀ ・#)「しねええええええええええええ!!!!!!!!!」
「ゴルァアアアアアアアアアア!」
ショボンの無防備になった右側に片手剣を振り下ろそうとしたマタンキの身体に横から体当たりする盾。
(・∀ ・#)「!!!!」
(;´・ω・`)「シールドバッシュ!?」
衝撃で飛ばされながらも体勢を立て直すマタンキ。
(,,゚Д゚)「ショボンはやらせないぞゴルァ!」
身体と同じような大きさの盾。
その盾を片手で持ち、
前面に押し出してマタンキに激突したのはギコだった。
.
160
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:17:33 ID:h6rr3Xoo0
(;´・ω・`)「ギコ!?」
(,,゚Д゚)「遅れた!」
勢いのままショボンとマタンキの間に陣取り盾を地面に立てるギコ。
そして技後硬直を起こす
(・∀ ・#)「あの程度の剣技で硬直起こしている奴があああああ!!!!
ころしてやるるるるるるるううううううう!!!!!」
黄色に変わったHPを気にすることもなく突撃するマタンキ。
ギコはまだ硬直している。
(;´・ω・`)「ぼくが!」
(,,゚Д゚)「大丈夫だゴルァ」
(;´・ω・`)「え?あっ」
この状態で口元に笑みさえ浮かべながら前に出ようとするショボンを制するギコ。
そして二人の目の前で花が舞う。
「させないっ!」
(・∀ ・;)「なっ」
ギコに辿り着く前に頭の上に振り下ろされた短剣。
片手剣でそれを弾いたマタンキの背中が切り裂かれる。
(・∀ ・)「!」
慌てて自分を攻撃する者に片手剣を振るマタンキ。
それは攻撃と言うより威嚇に近いものだが空振りに終わった。
(・∀ ・)!
.
161
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:18:50 ID:h6rr3Xoo0
地を這うように自分に駆け寄る少女。
(;´・ω・`)「しぃまで……」
(*゚ー゚)「ひきなさい!」
右手に持った短剣を逆手に持ち、
マタンキの足元からアッパーカットを狙う様に飛び上がるしぃ。
刃がマタンキの顎を狙う。
(・∀ ・#)「その程度で!」
マタンキは叫びながら短剣を打ち下ろそうと片手剣を振り下ろした。
(・∀ ・)「!」
しかし片手剣は素通りする。
その横を突き上げられたしぃの右手が、
そして体が錐揉みしながら跳びあがる。
(*゚ー゚)「はっ!」
そして左手に持たれた短剣がマタンキの身体を切り裂いた。
(・∀ ・;)「ぐっ」
呆然としたマタンキの顔をしぃの脚が蹴り上げる。
衝撃で地面を転がるマタンキ。
しぃは大きな弧を描くように後方宙返りをしながら空を舞い、
ギコの前に華麗に着地した。
技後硬直の解けたギコがしぃを守るように移動する。
(;´・ω・`)「しぃ、今のはエクストラスキルの『ジャグリング』?」
.
162
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:20:10 ID:h6rr3Xoo0
(*゚ー゚)「お久しぶりです。ショボンさん。
はい。短剣と体術で覚えられる『ソード・ジャグリング』です。
エクストラスキルといっても短剣の拡張スキルみたいな感じです。
もちろん検証に協力しますよ。
おそらくショボンさんが使ってる『ジャグリング』の劣化版ですが、
結構使えます」
(,,゚Д゚)「こんな場面でもまずそこを気にするのは流石だぞゴルァ」
(;´・ω・`)「あっ」
(,,゚Д゚)「久しぶりだなゴルァ」
(´・ω・`)「あ、うん。会うのは久しぶりだね。二人とも」
(*゚ー゚)「色々変わってなくて安心しました」
(,,゚Д゚)「本当に相変わらずだ」
(;´・ω・`)「あ、うん。
二人も元気そうでよかった。
って!なぜここに!」
(・∀ ・#)「おまえら、よくも俺をコケに」
しぃの蹴りで転がっていたマタンキが起き上がり、
剣を構えてこちらを睨んだ。
(*゚ー゚)「三対一で、まだ戦うつもり?」
(,,゚Д゚)「お前の負けだ!」
(・∀ ・#)「三対一だろうが十対一だろうが、
なかよしこよしで呑気に生き抜いてきたお前らに負けるわけがねぇんだよ!」
三人に向かって駆けだすマタンキ。
(,,゚Д゚)「ゴラァ!」
.
163
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:21:08 ID:h6rr3Xoo0
合わせて前に出るギコ。
しぃは下がり、ギコの後ろ、ショボンの前に移動する。
(・∀ ・#)「てめぇ程度の盾で!」
青く光るマタンキの片手剣。
(・∀ ・#)「はぁ!」
流れるような三連撃がギコを襲う。
(,,゚Д゚)「!」
そして下から上にすくい上げる様な最後の一撃が盾を跳ね上げた。
マタンキにの視界にはギコの全身が映る。
(・∀ ・#)「はっ」
今使用した剣技は硬直時間をほぼゼロにまでしていたため、
ほとんどタイムラグ無しに横薙ぎの四撃目を放とうとした。
(・∀ ・#)「しねぇ!」
(,,゚Д゚)「甘いぞゴルァ」
(・∀ ・#)「!」
振り下ろされる盾。
身体ではなく片手剣を狙ったその攻撃により、
マタンキの片手剣が砕け散った。
(・∀ ・#)「ちっ」
剣に盾が当たる前に手を離し後方に跳んでいたマタンキ。
ギコが向けた視線の先で、新たな剣を手にしている。
.
164
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:22:23 ID:h6rr3Xoo0
(・∀ ・)「けっ。これを使うことになるとはな」
(,,゚Д゚)「……」
(・∀ ・#)「これで終わりだ!」
もう一度駆け出すマタンキ。
(,,゚Д゚)「おれは全ての武器を覚えられるほど頭は良くないが、
それでもショボンがピックアップしてくれたものは必死で覚えたんだぞゴルァ」
(・∀ ・#)「何を言っている!」
マタンキの一撃がギコの盾を攻撃し、火花が散る。
(・∀ ・#)「死ねぇ!」
(,,゚Д゚)「ゴルアァァァアアアア!」
マタンキの剣から迸る赤い光が束になり、
盾の無い外側からギコを狙おうとした瞬間、
ギコの盾から出た青い光が透明な盾となりギコを守った。
(・∀ ・#)「あっ!?
フォールス・シールドだと!?」
(;´・ω・`)「フォールス・シールド!?
もうそこまで鍛えたの!?」
剣技『フォールス・シールド』
使用した盾の1〜10倍の強度と1〜10倍の大きさを持った光の盾を、
10〜40秒盾の前面に貼ることの出来る剣技。
変数は使用者の任意で設定できるが、
スキルレベルが低いと大きい数値は失敗する。
また、適用時間によって硬直時間が増大するため使用タイミングが難しい剣技の一つとされている。
(,,゚Д゚)「『SNAKE・SWORD』の特殊攻撃は効かないぞゴルァ」
(・∀ ・#)「レベルだけは上げてあるみてぇだな」
.
165
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:23:23 ID:h6rr3Xoo0
マタンキは攻撃を止めて横にステップを踏み、
(・∀ ・#)「でもそれは硬直時間も長いし、」
光の盾に向かって一歩無踏み出した。
(・∀ ・#)「攻撃やモンスターは反射しても、
プレイヤーは素通りなんだよな!」
光の盾をすり抜けたマタンキが、
盾を維持しつつ硬直しているギコに向かって剣を振り下ろす。
だがその剣は、
そこにいなかったしぃの短剣に弾かれた。
(*゚ー゚)「私が居ます」
ギコの肩を使って高く飛んだしぃが回転しながらマタンキの剣を弾く。
(・∀ ・#)「またてめぇか!」
バランスを崩したマタンキだったが、
今度は転倒することなく後方に跳び剣を構えた。
(・∀ ・)「ならおまえからやってやるよ!」
しかし視界の中にしぃはいない。
(*゚ー゚)「私はここです」
声のした方に剣を振ったマタンキ。
その背中に繰り出されるしぃの正拳突き。
(・∀ ・#;)「ガアッ」
前方に倒れながら回転し体勢を整え、
しゃがんだまま剣を構える。
.
166
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:24:46 ID:h6rr3Xoo0
マタンキは自分の減ったHPを確認し、
それが衝撃ではなく体術による攻撃であることを知った。
(・∀ ・#)「結構やるじゃねぇか」
(,,゚Д゚)「おれもいるぞゴルァ」
しぃの前に移動して盾を構えるギコ。
(*゚ー゚)「もう、やめましょう。
貴方の負けです」
(・∀ ・#)「一人で戦えないくせにでかい口を叩くな!」
地を這うような低い姿勢で駆け出す
(,,゚Д゚)「ゴラァ!」
盾で迎え撃つギコに向かって跳躍するマタンキ。
(,,゚Д゚)!
盾を上に向けるギコ。
(・∀ ・)
その盾を蹴り、更に跳躍するマタンキ。
(・∀ ・#)「まずはてめえだ!」
盾を蹴られたことによりバランスを崩したギコを見下ろし、
降下しながら剣を振り下ろそうとするマタンキ。
(*゚ー゚)「させない!」
それを予期し、
阻止するために既にしぃは跳躍していた。
マタンキに向かって振り下ろされる短剣。
.
167
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:25:48 ID:h6rr3Xoo0
(・∀ ・#)「わかってんだよ!」
だがマタンキもその行動を予想しており、
手袋を装着した左手で短剣を掴む。
(*゚ー゚)「!」
そして落下しながら右手に持った片手剣をしぃの首に振り下ろそうとした。
(・∀ ・#)!!!!!!
マタンキの右手首と右肩に突き刺さるナイフ。
(・∀ ・#)「ショボン!」
(*゚ー゚)
(,,゚Д゚)
しぃとギコが笑みを漏らすなか
マタンキは顔のナイフを抜きながら着地し離れた場所に跳躍する。
片手剣を構えながらショボンを睨むマタンキ。
(´・ω・`)
(・∀ ・#)「ショボンんんんんんんん!!!!!!!」
(´・ω・`)「もうやめよう、マタンキ」
(・∀ ・#)「ふざけるなアアアアアアアアアア!!!」
ショボンに向かって走り出そうと構えたマタンキの前に立ちふさがるギコ。
(・∀ ・#)「てめえエエエエエエエエエエエ!!!!!」
(,,゚Д゚)「もう終わりだゴルァ!」
(・∀ ・#)「けっきょくそうだよなアアアアアア!!!!!」
.
168
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:27:08 ID:h6rr3Xoo0
(´・ω・`)!
(,,゚Д゚)!
(*゚ー゚)!
突然の叫ぶマタンキ。
それは今までの罵倒や軽口とはどこか違い、
三人は息をのみマタンキを見つめた。
(・∀ ・#)「けっきょくそうなんだ!!!!
けっきょくそうなんだ!!!!
けっきょくそうなんだ!!!!
けっきょくそうなんだ!!!!
けっきょくそうなんだああああああああああああ!!!!」
(´・ω・`)「マタンキさん?」
(・∀ ・#)「けっきょくおまえは!
何を言おうが!
何を取り繕うが!
結局そうなんだよ!!!!!」
(,,゚Д゚)「何を言ってるんだゴルァ」
(*゚ー゚)「ショボンさん、この人は……」
(´・ω・`)「……僕にもよく……」
( ∀ #)「うをおおおおおおおおおおおお!!!!!!!」
(´・ω・`)!
(,,゚Д゚)!
(*゚ー゚)!
駆け出したマタンキを見て構える三人。
.
169
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:28:32 ID:h6rr3Xoo0
しかしマタンキは三人とは別方向に向かって走っていった。
(,,゚Д゚)「あ」
(*゚ー゚)「あ、しょ、しょぼんさん!」
(´・ω・`)「……いや、追わなくていいよ。
きっとまた彼は僕を襲いに来るから、
その時に、もう一度」
(;*゚ー゚)「いやいやいやいやいや」
(;,,゚Д゚)「追うぞゴルァ」
駆け出すしぃとギコ。
(´・ω・`)「あっ、二人とも!」
二人を追ってショボンも走り出した。
ミセ*゚ー゚)リ「さっさと歩く!」
(`・ω・´)「大丈夫だって」
(‘_L’)「そのお二人も充分強いようですが、
何があるか分かりませんし」
(`・ω・´)「それはそうだけどよー。
おれの代わりに行ってるんだからちゃんと役目果たすって」
森の中の細長い道を歩く三人。
ミセ*゚ー゚)リ「何かあってからじゃ遅いんだからね」
.
170
:
名無しさん
:2017/12/17(日) 09:29:42 ID:JlQcnU8Q0
おはよう支援
171
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:29:49 ID:h6rr3Xoo0
(`・ω・´)「んー。
ショボ一人だとやばいけど、
ギコしぃが一緒なら二人の為に絶対勝つだろうからなぁ。
レベルも能力も充分だろうし」
ミセ*゚ー゚)リ「多分そうだろうけど、
とにかく行くの!」
(`・ω・´)「うぃーー」
(;‘_L’)「本当にやる気ない感じですね」
三人はショボンとマタンキが戦っているエリアに向かって急いでいた。
ミセ*゚ー゚)リ「ほら!ちゃっちゃと歩く!」
(`・ω・´)「うぃーーー」
(;‘_L’)「はぁ……」
二人は急いでいた。
ミセ*゚ー゚)リ!
(`・ω・´)!
(‘_L’)?
立ち止まり大きく曲がって出口の見えていない道の先を見るミセリ。
ほぼ同時にシャキンも前方を見ると、横の森に向かって移動する。
(;‘_L’)「え?」
ミセ*゚ー゚)リ「フィレンクトさん、何か来ます。
おそらくプレイヤーですが、とりあえず隠れましょう。
渡してあるマントを使ってください」
(;‘_L’)「あ、は、はい」
.
172
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:31:01 ID:h6rr3Xoo0
マントを装備してミセリと共にシャキンの後を追う。
既にフードを被ったシャキンが茂みに隠れつつ手招きしていた。
ミセ*゚ー゚)リ「全くこういう時は素早いんだから」
シャキンと隣に隠れるミセリ。
フィレンクトもその横に並んでしゃがんだ。
(‘_L’)「しかしこのマントは凄いですね」
ミセ*゚ー゚)リ「作るのは大変らしいけど、
隠密行動には欠かせないモノですね」
(`・ω・´)「でも耐久値かなり低いんだよな」
ミセ*゚ー゚)リ「低層のリザードウルフの爪攻撃一発でポリゴンだからね」
(;‘_L’)「それは……」
ミセ*゚ー゚)リ「前に一回壊してツンに報告したら、
かなり本気で怒られたから気を付けてね二人とも」
(`・ω・´)「はーい」
(;‘_L’)「はい」
三人がフードを被り静かにすると、
その姿は周囲に溶け込んだ。
そして隠れる三人が監視する道を、
一人の男が駆け抜けていった。
(・∀ ・#)
マタンキは三人の目の前を走り抜けた後、
腰のポーチから結晶を出し何かを呟くとその場から消えた。
.
173
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:31:58 ID:h6rr3Xoo0
それを見たフィレンクトとミセリが立ち上がる。
フィレンクトは道に出てマタンキの消え去った場所を伺い、
ミセリはウインドウを出す。
(`・ω・´)「……おい、どうした?」
突然の二人の行動に声をかけるシャキン。
しかしそう言った彼も顎に手を添え何かを考えている。
(‘_L’)「今のがマタンキです」
(`・ω・´)「え?」
(‘_L’)「シャキンさんは会っていませんでしたか」
(`・ω・´)「え?あ、ああ。
そうか……今のが、マタンキ……」
ミセ*゚ー゚)リ「ショボンは無事ね。
フレンドリストの色は変わってない。
一応メッセージは送ったけど。
?また何か来る?」
マタンキがやってきた方向。
自分達が向かっていた方向を見るミセリ。
するとすぐに二つの人影を視界にとらえた。
ミセ*゚ー゚)リ「……あれは」
ゆっくりと道に出るミセリ。
マタンキを追って走ってきたギコとしぃもフィレンクトとミセリを見て立ち止まった。
(,,゚Д゚)
(*゚ー゚)
.
174
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:32:55 ID:h6rr3Xoo0
二人を見て訝しげな顔をする二人に、
ミセリが笑顔を見せる。
ミセ*゚ー゚)リ「初めまして。
ギコさん。
しぃさん」
(,,゚Д゚)!
(*゚ー゚)!
ミセ*゚ー゚)リ「と言ってもしぃさんとは何度か会ったこともあるけれど、
覚えてる?かな?」
(,,゚Д゚)「どこでおれ達の名前を」
盾を構えてしぃの前に立つギコ。
(*゚ー゚)「バーボンハウスの……お客さん?
そこの男性と一緒に来られてた」
ミセ*゚ー゚)リ「当たり。
お久しぶり」
(*゚ー゚)「あ、はい。
いつもありがとうございます。
って、じゃなくて!」
ミセ*゚ー゚)リ「私の名前はミセリ。
そこの男の人はフィレンクトさん」
(*゚ー゚)「え?あ!」
(‘_L’)「こんにちは」
(*゚ー゚)「え、あ、はい。
こんにちは。
あ、そうなんですね。
ミセミセさんとフィレフィレさんじゃなかったんだ」
.
175
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:33:57 ID:h6rr3Xoo0
ミセ;*゚ー゚)リ「違うわよ!
(;‘_L’)「違います!」
(*゚ー゚)「それは失礼しました」
(;,,゚Д゚)
呑気に会話する三人を見て呆れるギコ。
ミセ*゚ー゚)リ「マタンキなら転移結晶で飛んだからこれ以上この先に進んでも無駄よ」
しかしすぐにミセリの言葉で表情を引き締める。
(,,゚Д゚)「どういう事だゴルァ」
盾を構えたまま片手剣を握りなおしてミセリを見るギコ
ミセ*゚ー゚)リ「ん?言葉通りの意味だけど?
詳しいことはショボンが来てから話すわね」
その行動を笑顔で見ながらミセリは答えた。
(,,゚Д゚)「ショボンと知り合い?」
(*゚ー゚)「?」
(´・ω・`)「ミセリ!フィレンクトさん!」
ギコとしぃを追ってやってきたショボンが、
やっと合流した。
.
176
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:35:24 ID:h6rr3Xoo0
42.
鈍色に陽光を反射させ輝く槍を使い、
空間を貫くような鋭い突きが放たれる
男はそれをバックステップで避けながら両手剣を振り上げ、
鎗の柄に当てて軌道を逸らす。
そして振り上げたその勢いをそのまま生かして身体を一回転させ、
両手剣を横薙ぎに一閃した。
しかしそこに姿は無く、
剣が通り過ぎたその場に上から着地した男は鎗を地面に突き刺し土煙を作り出した。
両手剣の男は眉間に皺をよせながらさらにバックステップで後退する。
( ФωФ)「愉快愉快!」
_
( ゚∀゚)「何がゆかいだくそ野郎!」
( ФωФ)「言葉が汚いであるな」
_
( ゚∀゚)「うるさい!」
土煙の中から放たれる突きをすべて弾くジョルジュ。
_
( ゚∀゚)「ちっ」
幅広の両手剣を団扇のように横に一閃すると風が巻き起こり土煙が晴れる。
しかしそこにロマネスクはいない。
ジョルジュはロマネスクのいた場所に向かって駆けだすと、
今まで自分のいた場所に、
空から鎗が突き刺さった。
.
177
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:36:19 ID:h6rr3Xoo0
( ФωФ)「良いのである良いのである」
_
( ゚∀゚)「けっ」
動きを止めているロマネスクを襲う衝撃波。
( ФωФ)「!これは!」
_
( ゚∀゚)「両手剣にだって放出系の技はあるんだよ!」
1秒の技後硬直を終えたジョルジュが駆け出す。
( ФωФ)「くっ」
両手剣を鎗の柄で受け止める。
_
( ゚∀゚)「技後硬直を起こしたふりをして、
おれが大技を放つところ狙うつもりか?」
( ФωФ)「流石に三回目は見破られるであるか」
_
( ゚∀゚)「う、る、せ、えー!」
腰を入れ、バットを振るように両手剣を振り切るジョルジュ。
(;ФωФ)「お、これはっ」
押し切られ後方に飛ばされるロマネスク。
いや自分で跳んでいた。
一瞬驚いたもののすぐに口元に笑みを浮かべ、
ジョルジュの力を利用して後方に跳び、
体勢を崩すこともなく改めてゆっくりと鎗を構えた。
( ФωФ)「はっはっは。愉快愉快」
_
( ゚∀゚)「けっ!」
ジョルジュも追撃はせず、
ゆっくりと両手剣を上にあげ、
上段の構えを少しだけ斜めにした構えをとる。
.
178
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:37:34 ID:h6rr3Xoo0
( ФωФ)「正直ここまで楽しめるとは思っていなかったのである」
_
( ゚∀゚)「……何故、殺す」
( ФωФ)「逆に聞こう。
この世界で生きる事に何の意味を持っているのである?」
_
( ゚∀゚)「はぁ?」
( ФωФ)「こんな偽りの世界で生きる事に、
何の意味を持っているのである?」
_
( ゚∀゚)「元の世界に生きて帰りたくねぇのかよ」
( ФωФ)「帰れると思っているのであるか?
おめでたい脳味噌であるな」
_
( ゚∀゚)「今だって!」
( ФωФ)「攻略組などと呼称し、
トップランナーなどと言って粋がっている者達が、
本当に攻略してくれると思っているのであるか?」
_
( ゚∀゚)「なっ」
( ФωФ)「断言できるのである。
あの者達がどんなに強くなろうとも、
何人いようとも、
このゲームはクリアできないのである」
_
( ゚∀゚)「っんで、そんなこと言えるんだよ」
( ФωФ)「茅場晶彦は、そんな程度の天才ではないのである」
_
( ゚∀゚)「はぁ?」
.
179
:
名無しさん
:2017/12/17(日) 09:37:50 ID:JlQcnU8Q0
モララー…
180
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:38:45 ID:h6rr3Xoo0
( ФωФ)「天才ゆえの弱点、
『ゲーム』という制約がある以上確かにいつかはクリアできるであろう。
だが、このペースではクリアすることは出来ないのである」
_
( ゚∀゚)「どういうことだよ」
( ФωФ)「考えてみるのである。
このアインクラッドの世界、
百層からなるこの世界を作るのにどれだけの時間と費用が掛かっているか」
_
( ゚∀゚)「はぁ?」
( ФωФ)「通常のMMORPGとして、
この世界でどれだけの利益を産まなければならないか。
一層からフロアボスを倒していき百層のラスボスを倒すまでの、
グランドクエストが終わるまでの間にどれだけの利益を得なければならないのか」
_
( ゚∀゚)「……何言ってんだよ」
( ФωФ)「この閉じられた世界は天才茅場晶彦が作り出した虚像。
けれど実際に運営しているのは企業。
企業にとって、ゲームは金を産むための手段。
一つの世界でどれだけ利益を上げられるか。
一つの世界を、どれだけ長い間持たせることが出来るか」
_
( ゚∀゚)「!」
( ФωФ)「VRという技術の促進を目標として各方面から支援はされていても、
結局は民間企業の遊戯媒体なのである。
数年でクリアできるような甘い設定にはなっていないのであるよ」
_
( ゚∀゚)「……何年かかっても、クリアすればいい」
( ФωФ)「現実世界の身体にもタイムリミットはあるのである」
_
( ゚∀゚)「……」
( ФωФ)「表情を見る限り、それに関しては考えた事があるようであるな」
.
181
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:39:52 ID:h6rr3Xoo0
ロマネスクを睨みつつも何も言えないでいるジョルジュ。
ロマネスクは今までとは違いどこか寂し気な顔でジョルジュを見つめた。
( ФωФ)「もうすぐ二年。
現実世界の身体はもう悲鳴を上げているであろうな。
悲鳴で済んでいるうちに、本当にこの世界をクリアできると思っているのであるか?」
_
( ゚∀゚)「……出来る」
( ФωФ)「返答までに時間が空いたのが、
真の答えである」
_
( ゚∀゚)「出来るんだよ!」
ジョルジュが駆け出し距離を詰め、
両手剣を振り下ろした。
( ФωФ)「言葉で叶わなければ力尽くであるか?」
それを鎗の柄で受け止めるロマネスク。
( ФωФ)「短慮ではあるが、
嫌いではないのである!」
流さずに押し返し前に踏み込むロマネスク。
_
( ゚∀゚)「ちっ」
ジョルジュはその動きに合わせて後方に跳ぶ。
今まで自分のいた場所にロマネスクの蹴りが一閃していた。
_
( ゚∀゚)「体術スキルか」
( ФωФ)「別に体術スキルはVIPの専売特許ではないであるからな。
しかしよく避けれたであるな」
_
( ゚∀゚)「何事も経験だからな!」
.
182
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:40:51 ID:h6rr3Xoo0
再び距離を詰め、左下から右上へのすくい上げるような攻撃。
ジャンプして躱そうとしたロマネスクがそれを取りやめて地面に突き刺した鎗で受け止めた。
_
( ゚∀゚)「……何故分かった」
( ФωФ)「やはり何か企んでいたのであるか。
経験則……ではなくカンである」
ジョルジュが狙っていたのは水平回転による3連撃。
出だしをすくい上げに見せる事により相手の隙を誘うやり方であったが、
ロマネスクはそれを受け止める事により防いでいた。
_
( ゚∀゚)「ちっ」
両手剣を引き、
即座に突く。
しかしロマネスクはそれを危なげなく躱し、
逆に鎗で両手剣を跳ね上げた。
( ФωФ)「ふっ!」
そして気合を込めて鎗で横薙ぎに一閃。
( ФωФ)「!」
しかしそこにジョルジュの姿は無かった。
( ФωФ)「!!」
振り下ろされた両手剣を避けるために横に跳ぶロマネスク。
しかし腕の一部と足に攻撃を受け、
大地をゴロゴロと転がった。
( ФωФ)「……これは」
.
183
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:41:58 ID:h6rr3Xoo0
そのまま倒れるのではなく自身で転がって出来るだけ離れ、
しゃがんだ状態だがすぐさま体勢を整えたのは見事と言えよう。
そして両手剣を振り下ろした姿のままこちらを見ているジョルジュを睨む。
( ФωФ)「……なかなか、やるであるな」
そう言いながら立ち上がり、鎗を構える。
_
( ゚∀゚)「そうか?」
その動きに合わせて両手剣で正眼の構えをとるジョルジュ。
( ФωФ)「その構えでは吾輩の動きを見るのに剣が邪魔ではないのか?」
_
( ゚∀゚)「まだ、答えを聞いていなかった」
( ФωФ)「……。
?なんのであるか?」
_
( ゚∀゚)「何故、人を殺す」
( ФωФ)「……ふむ。
この先攻略組とやらが壊滅し、
クリアの希望が絶たれ、
絶望し、失意のままモンスターに殺され、
もしくはリアルで衰弱死するよりも、
ゲームを楽しみつつ吾輩たちに殺された方が良いと思うのである」
_
( ゚∀゚)「……」
( ФωФ)「今は絶好のタイミングなのである。
攻略組は叶わぬ夢を叶えようと意味のない努力をし、
中層や低層のプレイヤーは見果てぬ夢を見、
更にはこの虚無の世界を楽しんでいる愚かな今この時が!
幸せな死を与えられる絶好の機会なのである!」
.
184
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:43:36 ID:h6rr3Xoo0
高らかに、
朗らかに、
演説するロマネスク。
_
( ゚∀゚)「……それだけじゃねえだろ?」
( ФωФ)「ああ、もちろん幸せな死を与えてあげるのであるから対価はいただくのである」
そしてニヤリと笑った。
(*ФωФ)「吾輩を楽しませてほしいのである」
_
( ゚∀゚)「最初から、それだけ言えばいいんだよ!」
今までとは違う『速さ』でロマネスクとの距離を詰める。
( ФωФ)「!」
驚きつつも突き出された両手剣に合わせて鎗を突き出すロマネスク。
_
(#゚∀゚)「ちっ」
火花が似た閃光を散らして両手剣と鎗をぶつけ合う二人。
( ФωФ)「先ほどから思っていたであるが、予想よりも強いであるな」
_
(#゚∀゚)「なら降参して黒鉄宮に行け」
( ФωФ)「ふざけたことを言うであるな。
所詮レベルを上げたポイント振っただけの強さ。
同じようなレベルなら殺す覚悟のある者が勝つのである!」
ロマネスクの放つ鎗の突きがジョルジュを襲う。
それは目で追うのが困難な速度の突きであり、
しかもそれが十数回タイミングを変えて襲った。
( ФωФ)「どういうことである」
.
185
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:44:33 ID:h6rr3Xoo0
しかしジョルジュはそれを危なげなくすべてを避ける。
距離を取り、
今までよりも慎重にジョルジュを見るロマネスク。
_
( ゚∀゚)「なにが?」
両手剣を肩に担いだジョルジュがロマネスクの呟きに答えた。
( ФωФ)「吾輩の今の突きを全て躱すなど、
ありえないのである」
_
( ゚∀゚)「自信満々だな」
( ФωФ)「客観的事実である。
吾輩のレベル、槍スキルのレベル、鎗の武器としてのレア度、
どう考えても今のジョルジュがすべて避けるなどありえないのである」
_
( ゚∀゚)「はっ。そんなもんでっ!」
瞬く間に距離を詰めたジョルジュが両手剣をロマネスクの脚を狙って薙ぐ。
しかしそれは剣先がロマネスクの左脚をかすめる事しかできなかった。
_
( ゚∀゚)「実力を推測したところで『推測』でしかねぇってことだろ!」
( ФωФ)「!」
一撃離脱よろしく既に距離をとって両手剣を構えているジョルジュを睨むロマネスク。
( ФωФ)「推測は推測でしかない。
確かにそうであるな。
しかし、そうであったとしてもこれだけずれているとは……」
睨みつつも思考を働かせるロマネスク。
眉間に皺が寄る。
( ФωФ)「レベル、スキルレベル、武器、装備、
もともと高く評価していましたが、
それを更に上方に修正」
.
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