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( ^ω^)達はアインクラッドをいきるようです。
1
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/24(火) 21:34:03 ID:Y.9qViVM0
どーも作者です。
こちらでは初めまして。
創作版から引っ越して、新しく作らせてもらいました。
最終回までもう少しの間、お付き合いいただければ幸いです。
この話は
川原礫著
『ソードアート・オンライン』シリーズのアインクラッド編を基に書かせていただいています。
基本的に電撃文庫版の設定を順守しているつもりですが、
設定の拡大解釈やプログレッシブ・コミカライズでの設定、
まだ書かれていない設定に関しては想像で書いているので、
その旨ご容赦の上、お楽しみいただけますようお願い申し上げます。
お世話になっているまとめ様
ブーン芸VIP様
http://boonsoldier.web.fc2.com/
簡単な今までの話の流れ
・ゲームで死ぬとリアルでも死ぬVRの世界に囚われた。
・みんな精一杯生きてます。
・こっちの主人公はブーンなんです。
第二十四話
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/13029/1464354084/854
249
:
◆dKWWLKB7io
:2018/06/17(日) 14:47:32 ID:ar1qzQbE0
*(‘‘)*「マイヤーさんはもともとエギルさんの活動に協賛していて、
ここにも何回か視察に来ているんですよう」
『エギルさんの活動』
それは中層プレイヤーの育成・強化。
「攻略組は凄いと思うし、尊敬してるよ。
でもね、彼等がどんなにレベルを上げて強くなったとしても、
それを支えるためには生産組が必要なんだよ。
激レアのドロップ品ならともかく、
今は既にプレイヤーメイドの武器や防具の方がNPC売りや通常ドロップよりも高性能だ。
もちろん衣服やアクセサリー、POTなんかもね。
でも、生産組が生産したものは流通させなければ意味が無いし、
根本的に生産するためには素材が必要で、素材の流通が必要なんだ。
そして、攻略組以外にも流通した商品を買う者がいないと、
経済は滞る。
需要があるから供給するけど、
供給を継続するためにはそれ以上の需要が無いとだめなんだ。
だから『攻略組以外の生活に余裕があるプレイヤー』がいてくれないとまずい。
あとこの世界では生きたいと願う者が自分の力で生きる為には『強さ』が必要だからね、
低層から中層で戦っているプレイヤーに、
戦い方を教えたり有用なアイテムを安価で供給できるシステムはあった方が良いんだ。
低層プレイヤーへの戦い方の教授や中層プレイヤーのレベルの底上げは、
攻略組の層を厚くすることだけが目的じゃないんだよ」
ショボンさんから仕事としてエギルさんの活動の手伝いを依頼されたときに言われたことを思い出す。
そしてヘリカルのツインテールの結び目に目をやると、
リボンに隠れてアイテムが少しだけ見えた。
*(‘‘)*「マイヤーさんからレベル確認のアイテムも精度の高いモノを渡されたんですよ」
その視線を感じたのか、ヘリカルが答えた。
.
250
:
◆dKWWLKB7io
:2018/06/17(日) 14:48:47 ID:ar1qzQbE0
『レベル鑑定アイテム』
レアアイテムだけど、
それほど有用でもないので重用はされていないアイテム。
付けている自分と比較して相手のレベルが上か下かを知るアイテム。
今までヘリカルが付けていたのは上か下かを知るだけだけど、
今付けているのはプラスマイナス5以上か以下かも知ることが出来るらしい。
それを使ってお客さんがレベル詐称をしていないかどうかを確認している。
ここではやっていない戦闘訓練はともかく、
アイテムを安価で販売したりするにはレベルを指標の一つにしているから。
*(‘‘)*「このリボンもマイヤーさんから頂いたんですよ。
時々やってきた時はいつもプレゼントしてくれて、
髪に結んでくれたりするんですよ」
あ、……うん。
要注意人物だった。
気を付けよう。
お店には常連さんもいる。
もう奥の森には用事が無いはずなのに、
わざわざうちの店に来てくれるお客さん。
中にはヘリカル目当ての危険な人もいるけれど、
ほとんどは良い人。
今の段階で奥の森に自力で挑戦できる人は、
それなりの意識を持っている人だからそれほど変な人は来ないはずと聞いていたけれど、
本当にそんな感じだった。
というか、ヘリカル目当ての人も良い人ではある。
店の隅に作られた休憩スペースの一部にローテーションで二人くらいいて、
ヘリカル目当ての本当にやばい人や、
たまにいる気性の荒い人なんかを抑えてくれたりする。
ヘリカルも仲良くなってお茶とか出している。
.
251
:
◆dKWWLKB7io
:2018/06/17(日) 14:50:17 ID:ar1qzQbE0
だから心配は心配だけど、
この世界ではエリアからでなければほとんどの事はシステムが守ってくれるから、
まあ大丈夫だと思っている。
少し話がそれた。
それで、何が言いたいかというと、
あの人も、うちの常連さんだった。
と、いうことを、言いたかった。
(=゚ω゚)「(……あれは、イーユウさんだよう)」
隠密スキルと装備の実験もかねてギルドVIPの影をコソコソしている時に、
フラワーガーデンで女性と仲良さそうにしている『常連さん』を見つけた。
E(YoU)「ぃょぅ君っていうんだ!綴りだけ見ると僕の方が『いよう』だね」
『e-YOU』さん。
僕の『Hiyou』と比べると、
確かにそうかもなんてことを思って、
それから仲良くなった。
E(YoU)「攻略組は無理だけど、強くなりてぇな。
美味しいモノいっぱい食べられるくらい!
なあ、『バーボンハウス』って知ってるか?
コル貯めて時々行くんだけど、うまいんだあの店!」
少し大きな耳が特徴的な、気のいいお兄さん。
うちの店がVIPの人達と関わりがあるのは一応秘密だから、
愛想笑いしかできなかった。
E(YoU)「おれ、リアルで弟と妹がいるんだよ。
早く帰って会いたいなー」
.
252
:
◆dKWWLKB7io
:2018/06/17(日) 14:53:28 ID:ar1qzQbE0
三日おきくらいにやってきて、買い物をしつつお菓子や食べ物をくれて、
休憩スペースでお茶をして去っていくお兄さん。
E(YoU)「彼女が出来たんだよ!今度連れてくるぜっ!」
そういえばそんなことを言っていたなと思いつつ、
意識をフサギコさん達に戻した。
イーユウさんを見たのは、
その現場を見てしまったのは、
それからひと月以上あとのことだった。
二人の歩く少し後方の森の中を、
僕も歩いた。
森でイーユウさんと女の人を見かけた時に、
隠蔽の訓練もかねて街までついて行ってみようと思ったからだった。
ヘリカルも会いたがっていたし、
街に付いたら声をかけてみようとも思っていた。
手を繋いだりはしていないけど、
距離感とか、
笑顔とか、
恋人みたいだった。
後でからかおうと思って、使い捨てじゃない記録結晶を作動させた。
二人は、凄く仲良さそうに歩いていた。
だから、理解できなかった。
.
253
:
◆dKWWLKB7io
:2018/06/17(日) 14:54:29 ID:ar1qzQbE0
最初は目の前に三人の男が出てきた。
今でも、思う。
あの時僕はどうすればよかったのか。
どうすれば、あの人を助けられたのか。
三人の男が出てきた時か、
女の人を守るようにイーユウさんが前に出た時か、
その背後に更に人が出てきた時か、
男たちがイーユウさんに攻撃をしてきた時か。
僕はいつ、何をすればよかったのか。
女が、後ろからイーユウさんを攻撃したのを、
驚いたように振り返ったイーユウさんを、
男たちが攻撃するのを、
イーユウさんがポリゴンになって消え去るのを。
僕は見ていることしかできなかった。
.
254
:
◆dKWWLKB7io
:2018/06/17(日) 14:55:27 ID:ar1qzQbE0
どうやって戻ったのか分からない。
渡されていた転移結晶が減っていたから、
多分それで逃げたのだとは思うけど、
減っていたのは一つじゃなかったから、
闇雲にいくつも使ったのかもしれない。
それでも最初にヘリカルの所に戻らなかったのは、
ヘリカルにそんなことを言えるわけがないこと以上に、
僕は縋りたかったんだと思う。
フサギコさんのいるはずのバーボンハウスに行ったとき、
既に店は閉店していて、
店にはフサギコさんとショボンさんがいた。
閉店していても店のドアを開けることが出来たのは
フサギコさんが僕とヘリカルをそういう設定にしてくれていたからだけど、
その時の僕はそんなことは何も考えずただドアを開けて、
転がり込んで、
フサギコさんの顔を見たとたん。
泣き出した。
次に覚えているのは、
僕から訳の分からない説明をちゃんと聞きだしてくれたショボンさんの怖い顔と、
僕を抱きしめてくれたフサギコさんの今にも泣きだしそうな表情。
二人の顔を見て、
僕は何故か安心して、
大泣きして、
意識を手放した。
.
255
:
◆dKWWLKB7io
:2018/06/17(日) 14:56:28 ID:ar1qzQbE0
目を開けると、
着物姿のフサギコさんがいて、
奥ではフォーマルなコート姿のショボンさん。
それに青い軽鎧を装備したブーンさんと、
いつもの黒いコートを装備したドクオさんが話しているのが目に入った。
(=゚ω゚)「ここは……」
ミ,,゚Д゚彡「まだ寝てるといいから」
僕が目を開けた事に気付いたフサギコさんが覗き込んでくる。
僕は長椅子に横になっていて、
身体には布がかけられていた。
バーボンハウスには、他にも何人かいて静かに話をしているようだった。
(=゚ω゚)「……僕」
川 ゚ -゚)「ヘリカルちゃんの所にはしぃとギコに行ってもらっている。
君は奥の部屋で休むと良い」
ξ゚⊿゚)ξ「とりあえず、休みなさい」
川 ゚ -゚)「後でギコはこっちに戻しておくから」
袴姿のクーさんと、
ゴスロリ姿のツンさん。
店の中に視線を走らせると、
ちぐはぐな姿のギルドVIPのメンバーだ。
知らない人は分からないと思うけれど、
VIPの影に付いたことがある僕は知っている。
それが、みんなの完全武装だということを
そして、何をしようとしているのかもうっすらと理解した。
(=゚ω゚)「……僕も、連れて行って欲しいょぅ」
.
256
:
◆dKWWLKB7io
:2018/06/17(日) 14:57:32 ID:ar1qzQbE0
ミ,,゚Д゚彡!
川 ゚ -゚)!
ξ゚⊿゚)ξ!
思わずこぼれ出た言葉
怖くて怖くて仕方ないけど、
でもどこか夢の中のような、
現実的ではないような。
だからきっと、こんなことを言えたんだと思う。
(=゚ω゚)「イーユウさんの敵を討つなら、僕も行きたいんだょぅ」
僕はもっと、弱虫なのに。
ミ,,゚Д゚彡「……ぃょぅ君」
(´・ω・`)「相手を倒すつもりはないよ。
捕まえて、黒鉄宮の牢獄に送る」
(=゚ω゚)「……牢獄」
川 ゚ -゚)「本来ならシステムで違反されていることを行った者達が一定の期間入れられる牢獄だが、
今はPKを行った者達を永久に入れることが出来るようになっている。
君が見た者達を、そこに入れるつもりだ」
('A`)「記録結晶の映像があるから証拠もバッチリだしな」
(=゚ω゚)「あっ」
ミ,,゚Д゚彡「……あれが決め手だから」
(=゚ω゚)「練習用に、渡されていたから……」
ξ゚⊿゚)ξ「もういいから。休んでいなさい」
ツンさんが僕の頭を撫でる。
出そうになった涙を必死に我慢した。
.
257
:
◆dKWWLKB7io
:2018/06/17(日) 14:58:34 ID:ar1qzQbE0
(=゚ω゚)「僕が……助けられなかったから」
( ^ω^)「悪いのはそいつらで、君は悪くないお」
(=゚ω゚)「見ていることしか、出来なかったから」
(´・ω・`)「それが正解だよ。
君まで被害にあっていたかもしれない」
(=゚ω゚)「僕が……弱いから」
ミ,,゚Д゚彡「強いとか弱いとかの問題じゃないから」
(=゚ω゚)「僕は、ちゃんと戦いたいんだょぅ」
ミ,,゚Д゚彡!
(´・ω・`)!
( ^ω^)!
(=゚ω゚)「逃げるのが最善の時があるのは分かっているょぅ。
でも、戦う道を選べる状態で逃げる事を選択するのと、
ただ逃げる事しかできないのは違うと思うんだょぅ」
ミ,,゚Д゚彡「ぃょぅ君……」
('A`)「分かった。
一緒に行こう」
(´・ω・‘)「ドクオ!?」
('A`)「男が腹くくったんだから連れてってやらなきゃダメだろ。
男として」
ξ゚⊿゚)ξ「男とか女とか関係ないわよ。
バカなこと言ってんじゃないの。
……でも、そうね……一緒に行きましょう」
.
258
:
◆dKWWLKB7io
:2018/06/17(日) 14:59:41 ID:ar1qzQbE0
( ^ω^)「ツン!?」
ξ゚⊿゚)ξ「だって、絶対忘れる事なんてできないもの。
望むなら圏内から出ない生活を送る手助けをしてあげられるけど、
ヘリカルちゃんを守るためにもこの子はそれを望まないでしょ。
なら、乗り越えるチャンスは多い方が良いのよ」
川 ゚ -゚)「ツン……。
そうだな。
私とツンが無理はさせない。
ショボン、サブマスターとして承認する。
彼を連れて行こう」
( ^ω^)「ツン……クー……」
(´・ω・`)「ほんと、クーはサブマスターなのを都合よく使うよね」
川 ゚ -゚)「ふっ。
それくらいしかこの役職にうま味は無いからな」
(´・ω・`)「わかった。
ぃょぅ君、一緒に行こう。
でも、こちらの指示には従ってもらうよ」
(=゚ω゚)ノ「!はいだょぅ!」
勢い良く手を上げた僕を、
皆はそれぞれに複雑な顔で見ていた。
.
259
:
◆dKWWLKB7io
:2018/06/17(日) 15:01:01 ID:ar1qzQbE0
向かった先は12層の森の中。
低層で、うまみも少ない今は人気のないエリア。
何故そこなのか、
何故あいつらがそこにいる事がわかったのか聞くと、
(´・ω・`)「……情報屋さんって、怖いよね」
と、ショボンさんが困ったように呟いたのでそれ以上は聞けなかった。
後でカップルの個人情報を集めている情報屋さんがいて、
そこからイーユウの彼女の情報を得たことを知った。
そんな情報集めてどうするのか不思議だったけど、
皆も聞いてほしくなさそうだったから聞かなかった。
そして目の前には、
あの女と男たちがいた。
あの光景を思い出し、恐怖で体が震えた。
すると、肩に手を回された。
ξ゚⊿゚)ξ「大丈夫よ」
左にいたツンさんが、
肩に手を回してくれた。
川 ゚ -゚)「ああ、大丈夫だ」
右にいるクーさんが、
僕の震えている手をやさしく握ってくれた。
(=゚ω゚)「……ありがとうだょぅ」
前を向きながら呟くと、
同じように前を向いている二人が優しく微笑んだ気がした。
.
260
:
◆dKWWLKB7io
:2018/06/17(日) 15:02:15 ID:ar1qzQbE0
(´・ω・`)「……今の記録映像より、
貴方達はPKを行っているギルドとみなしました」
ショボンさんとドクオさん、
ブーンさんがあの人達の前で話をしているのを、
僕は横の茂みに隠れて見ていた。
(´・ω・`)「大人しく黒鉄宮の牢獄へ向かってください。
逃げるのならば、この映像を情報屋を通じて全プレイヤーに公開します」
(ヘイシャオ)「……ちっ」
(ショウロン)「だからあんな手使わないで普通にやっちまえばよかったんだ」
(ヘイシャオ)「ショウロン。
だってあいつが本当にプロテクトリングプラスをドロップしてたかどうかわからなかったし」
(ショウロン)「どうせ殺すんだからおなじだったろ」
(ヘイシャオ)「だって、私達はPKギルドじゃなくて、
お宝ハンター、だって言ってたじゃない。
殺してでも欲しいものは奪うけどさ。
だから本当に持っているか調べるために付き合ってるふりまでしたのに。
だいたいあいつがもっと早く私にプレゼントしてくれれば殺すことも無かったのよ」
イーユウさんの彼女が、
体験を担いだ鎧姿の男の人に寄り添う。
その後ろには男の人が5人と女の人が1人いる。
.
261
:
◆dKWWLKB7io
:2018/06/17(日) 15:04:17 ID:ar1qzQbE0
(餃)「おいおい、どうすんだよ」
(焼)「逃げたら全プレイヤーに公開するってよ」
(餡)「やだー。
もう街を歩けなーい」
(津)「なら、まあ、やることは一つだな」
8人の男女がショボンさん達に武器を向けた。
(ショウロン)「ああ、殺るだけだ」
男がニヤリと笑ってショボンさんに向かって駆けだそうとする。
(=゚ω゚)「!」
思わず立ち上がったその時には、
男の喉元にブーンさんが片手剣の切っ先を当てていた。
( ^ω^)「ちょっとでも動いたら切るお」
.
262
:
◆dKWWLKB7io
:2018/06/17(日) 15:05:25 ID:ar1qzQbE0
(ショウロン)「!」
(ヘイシャオ)「な、なんなのよ……」
川 ゚ -゚)「黙っていろ」
ξ゚⊿゚)ξ「ムカつくから」
(#ヘイシャオ)「!」
('A`)「お前達も動くなよ」
ミ,,゚Д゚彡「本気だから」
( ´∀`)「おいたはダメもなよ」
( ゚∋゚)))
( ´_ゝ`)「PKの何が楽しいやら」
(´<_` )「レアアイテムが欲しいねぇ」
_
( ゚∀゚)「……少しでも動いたら切る」
( ・∀・)「人殺ししてまで欲しいとか異常だな」
僕の隣にいたはずの二人と、
周囲に散らばって様子を伺っていた全員が現れ、
八人の急所に武器を当てていた。
(=゚ω゚)「!(……びっくりだょぅ)」
(ショウロン)「ふっ。お前達におれ達を殺すことが出来るのか?」
(´・ω・`)
ショボンさんが一番前の男に近寄り、
そして男の持つ剣先を、自分の腕を突き刺した。
.
263
:
◆dKWWLKB7io
:2018/06/17(日) 15:06:39 ID:ar1qzQbE0
(=゚ω゚)!
(ショウロン)!
(ヘイシャオ)!
男の頭の上のカーソルがオレンジに変わり、
一つドットが点滅し始めたショボンさんのHPバー。
ショボンさんは男に武器を当てていたブーンさんに何か話すとすぐに次の男に向かった。
そして同じように相手の持つ武器で自分の身体を傷付けて全員のカーソルをオレンジに変えた。
(´・ω・`)「これで貴方達は全員オレンジです。
オレンジプレーヤーを攻撃しても僕達はオレンジプレーヤーになりません」
男たちの目の前でクリスタルを使ってHPを回復させたショボンさんが再び話し始める。
前にいる男と女以外はおびえた顔をしていた。
(´・ω・`)「ここにいるのは僕達と貴方達だけ。
何も証拠は残らない」
(;ヘイシャオ)「だ、だからなんだっていうのよ」
男の右目に突き刺さる針。
ショボンさんの投げた投擲武器だ。
(;ショウロン)!!
男のHPが2メモリ欠けた。
(´・ω・`)「僕は、僕の仲間たちが危険に晒される可能性を残すのは嫌いなんです。
このまま逃がして逆恨みされて狙われるくらいなら、殺します」
無表情に話すショボンさんを見て、
背筋が凍るような寒気を感じた。
「あの言葉は本気」
.
264
:
◆dKWWLKB7io
:2018/06/17(日) 15:07:46 ID:ar1qzQbE0
優し気な女性の声がして、思わず声をあげそうになったけど、何とか抑えた。
ミセ*゚ー゚)リ「驚かせちゃった?ごめんごめん」
隣で僕を見て微笑む女の人。
黒尽くめで、映画で見たくノ一のような格好だ。
(=゚ω゚)「あ、あなたは」
ミセ*゚ー゚)リ「今日は頼まれて周囲の警戒してたんだけど、
あんなの見せたら誤解されちゃうじゃんね。
だからちょっとおせっかいをね……。
でも、見せたという事は君の事も信頼しているのかな」
(=゚ω゚)「え?あ?」
ミセ*゚ー゚)リ「確かにね、あの言葉はショボンの本気。
だから真実の重みがある。
ちょっと、怖いよね。
でも、それだけじゃない」
微笑みながら前を向いたその動きに釣られて、
僕もまた前を向いた。
(;ショウロン)「そ、そんな脅しに」
(´・ω・`)「……ドクオ」
('A`)「ん」
ドクオさんの片手剣が動き、
刃を当てていた男の腕を切り落とした。
(餃)「ひぃ!」
武器を持っていた腕を切り落とされ声を上げる男。
HPバーは一度で赤に変わる。
.
265
:
◆dKWWLKB7io
:2018/06/17(日) 15:08:47 ID:ar1qzQbE0
(´・ω・`)「このメンバーのリーダーは僕です。
だから、人殺しの汚名は僕だけが背負えばいい」
そう言いながら大き目のナイフを飛ばす。
(餃)!!
額に刺さるナイフ。
さらにHPバーは光を無くし、残りが1ドットと点滅している1ドットになった。
(´・ω・`)「投擲だと少し落ちるか」
ショボンさんがナイフを片手に男に向かう。
(;餃)「や、やめてくれ!
俺は牢屋に入る!」
(´・ω・`)「おや」
残念そうに首をかしげるショボンさん。
(´・ω・`)「それでは……」
そしてその横の男を見る。
(焼)「お、俺もだ!」
(;餡)「わ、私も!」
前の二人以外が一斉に声を上げた。
それはそうだろう。
あんなことをされたら誰だって……。
ミセ*゚ー゚)リ「ショボンは、殺さないよ」
僕の心の中を読んだのかのように、
隣から声が聞こえた。
.
266
:
◆dKWWLKB7io
:2018/06/17(日) 15:09:45 ID:ar1qzQbE0
ミセ*゚ー゚)リ「最初に自分の身体を傷付けたのは、
あいつらをオレンジにするのともう一つ理由がある」
(=゚ω゚)「え?」
思わず横を向いた僕だったけど、
彼女は前を向いたままだった。
ミセ*゚ー゚)リ「あいつの頭の中には武器のデータが全部入ってる。
あとあの眼鏡。
レアアイテムで、
自分と比べて範囲内レベルなら、
相手のレベルが分かるみたい」
(=゚ω゚)「はぁ?」
ミセ*゚ー゚)リ「そして攻撃を受ける事によって自分のHPがどれだけ減ったかを見て、
相手の攻撃力を計算してる」
(=゚ω゚)「……」
ミセ*゚ー゚)リ「想定されるレベルとそれによる相手のHP、武器と防具の種類と能力とレア度、
そこからどれくらいの攻撃なら相手を殺さないで済むか算出しているのよ」
(=゚ω゚)「そんなことが」
ミセ*゚ー゚)リ「それがまた出来ちゃってるのよねー。
もちろんギルメンとか協力者に依頼してアイテムの真偽と、
自分の計算の答え合わせは続けているみたい。
……ほんと、努力する天才ってムカつくわよね。
あ、もちろん見えてない装備やアイテムによる底上げはあるだろうけど、
それは『殺さない』ことにはプラスに働くだけだから。
それに三回くらい攻撃してHPの減りを確認できれば、
その誤差も修正するでしょうね」
(=゚ω゚)「……凄いょぅ」
.
267
:
◆dKWWLKB7io
:2018/06/17(日) 15:10:46 ID:ar1qzQbE0
ミセ*゚ー゚)リ「ショボンは自分だけが凄いように見せて、
注目を出来るだけ『自分』に向けてるけど、
おそらく兄者辺りもできるんじゃないかな。
まぁショボンみたいにメンバー全員の攻撃力と防御力、
戦闘時のHPの管理なんて離れ業まではできないかもだけど」
(=゚ω゚)!
ミセ*゚ー゚)リ「あと、……ねえ、ぃょぅ君は自分の攻撃が相手のHPをどれだけ削るか分かる?」
(=゚ω゚)「そ、それは相手の防御力とかによって変わるから……」
ミセ*゚ー゚)リ「そうよね。
でも、あそこにいるメンバーはそれがある程度全員出来るのよ。
ショボンとは違ってドットをどれくらい削れそうかレベルの計算だけどね。
最初の一撃でどこまで相手の戦意を奪えるかは大事だし、
その一撃で相手を……なんてことが無いようにね。
対人戦もメンバー同士で練習してる。
ギコとしぃはそれがまだ出来ないから今日は連れてこなかったのかな」
(=゚ω゚)!
ミセ*゚ー゚)リ「あいつらはね、誰も殺したくないの。
そして本当なら傷付けたくもないって思ってる。
だから、まず自分の強さを見つめている。
そこから始めている。
助けることは出来なくても、
せめてもう誰も死ぬところを見たくないって思ってる。
その為に、ゲームの攻略とはまた違うところで、頑張ってる。
それは、知っていてあげてほしいかな」
(=゚ω゚)「……僕は、……僕と妹は、助けてもらったんだょぅ」
ミセ*゚ー゚)リ「そっか」
(=゚ω゚)「だから……。
僕は……。
……僕も……」
ミセ*゚ー゚)リ「……そろそろ終わるかな」
.
268
:
◆dKWWLKB7io
:2018/06/17(日) 15:11:52 ID:ar1qzQbE0
知らず知らずのうちに俯いていたけど、
その言葉で顔を上げて前を向いたら、
ショボンさんの後ろには回廊が開いていた。
(´・ω・`)「この先は黒鉄宮の牢獄です。
先には僕らの仲間が待機していますから、
進んでください」
(;ヘイシャオ)「な、なあ、あたしは行かなくていいよな?
女だしさ」
(;餡)「あ、ずるい!」
(;ヘイシャオ)「色仕掛けも出来ないブスは黙ってな!
ほ、ほら、あたしはほら、そんなブスより良い女だし!」
(;ショウロン)「ケッ。ビッチが」
男たちは大人しく……でもないけれど、
特に一番前にいた鎧の男はHPが赤くなって睨んでいるけれど、
両手も肘から先は切り落とされて無くなっているけれど、
それでも回廊に向かって歩いて、
中に入っていった。
女、特にイーユウさんを後ろから攻撃した女が喚いていた。
(;ヘイシャオ)「い、いっそのことわたしをあんたの女に」
川 ゚ -゚)「おばさん、黙って進みなさい」
(#ヘイシャオ)「はあ!?」
確かに一般的におばさんと呼ばれる年齢には見えないが、
クーさんやツンさんとは5歳以上は年上だろう。
(#ヘイシャオ)「誰がおばさんだって!」
ξ゚⊿゚)ξ「あんたしかいないでしょ。
まったく変なこと言いだして眠れる獅子を起こさないでよ」
.
269
:
名無しさん
:2018/06/17(日) 15:38:17 ID:aqO5PK.o0
支援
270
:
名無しさん
:2018/06/17(日) 15:51:26 ID:ar1qzQbE0
NGワードが含まれている為書き込みできませんメッセージが出てしまったので、
一時中断します。
何がいけないんだろう。
271
:
◆GFmqWTR7WI
:2018/06/17(日) 15:53:35 ID:ar1qzQbE0
反対側からツンさんが話しかける。
ξ゚⊿゚)ξ「うちでも回廊結晶は簡単に手に入れてるわけじゃないの。
さっさと動いて。おばさん」
(#ヘイシャオ)「はぁ!?」
川 ゚ -゚)「しかし品が無い」
(#ヘイシャオ)「品!?品でこんな世界を生き残れると」
川 ゚ -゚)「それは生き方次第だ。
おばさんには出来ないことかもしれないが」
(#ヘイシャオ)「この小娘が。
あんたにはいい女の魅力ってもんが」
ξ゚⊿゚)ξ「その程度で『良い女』とか言われても、
笑うしかないっていうか笑いも苦笑いってやつしか出ないわよ」
(#ヘイシャオ)「はぁ!?その程度!?」
ツンさんが、西洋人形のような整った顔立ちで女の人を冷たく見つめている。
自分との違いに気付いた女の人がクーさんに目を向ける。
(#ヘイシャオ)「……ちっ。……!」
今風の雛人形と言えるだろうか。
涼やかなまなざしで女の人を見るクーさんに向かって何も言えないでいるおば、
……女の人。
女の人も別に不細工ではないと思うけど、
ツンさんやクーさんと比べるのは可哀想だ。
もちろんヘリカルとは雲泥の差。
月とスッポンの差があるけど。
.
272
:
名無しさん
:2018/06/17(日) 15:54:41 ID:ar1qzQbE0
あ。できた?
え、あれがダメだったの?
とりあえず続き投下します。
273
:
◆dKWWLKB7io
:2018/06/17(日) 15:55:46 ID:ar1qzQbE0
川 ゚ -゚)「さっさと歩くんだ。おばさん」
ξ゚⊿゚)ξ「そうよ。おばさん」
(#ヘイシャオ)「チッ」
舌打ちしながら回廊に向かう女の人。
下品さではツンさんクーさんの言葉もやばいと思うし、
ヘリカルにはああなってほしくないなって思ったのは内緒だ。
そんなことを思っているうちに、VIP以外の全員が回廊に入った。
ミ,,゚Д゚彡
フサギコさんが心配そうにこちらを見ているのに気付いて、
恐る恐る茂みを出る。
皆が優しく、けれどどこか悲し気に微笑んでくれている。
ミ,,゚Д゚彡「ぃょぅ君……」
(=゚ω゚)「僕も、戦えるようになりたいんだょぅ」
ミ,,゚Д゚彡!
(=゚ω゚)「皆さんみたいには無理でも、
もう、誰かが死ぬところは見たくないんだょぅ。
それに、ヘリカルを守れるようになりたいんだょぅ」
ミ,,゚Д゚彡「ぃょぅ君……」
(=゚ω゚)「それに、きっとあの時の僕達のような人はまだどこかにいるんだょぅ。
だから、そういう人を見つけた時に手助けできるだけの力が欲しいんだょぅ」
.
274
:
◆dKWWLKB7io
:2018/06/17(日) 15:56:37 ID:ar1qzQbE0
('A`)「ぃょぅ……」
( ^ω^)「ぃょぅ君……」
ミ,,゚Д゚彡「……」
皆の視線が僕からショボンさんに移る。
そして僕もショボンさんを見た。
(´・ω・`)「んー。
ドクオ、ブーン、ぃょぅ君の戦闘はどんな感じ?」
('A`)「安全マージン取ったフロアならソロでもまぁまぁいける」
( ^ω^)「タイミングの掴み方も走り方もうまいお」
(´・ω・`)「対人戦闘はまだだよね?」
( ^ω^)「おー。それはまだだおね」
('A`)「練習で手合わせするくらいか」
(´・ω・`)「じゃあ決闘はまだ?」
(=゚ω゚)「はいですょぅ」
('A`)「そりゃまあ、普通はなぁ」
(´・ω・`)「まずはそれが出来るかどうかだよね」
後押ししてくれたブーンさんとドクオさん。
フサギコさんは心配そうに見ているけど、
ショボンさんはとりあえずやってみようかと言ってくれた。
.
275
:
◆dKWWLKB7io
:2018/06/17(日) 15:57:33 ID:ar1qzQbE0
結論から言うと、不合格だった。
僕は、人に刃を向けるのが怖い。
例え後で全快するとわかっていても、
自分の実力では相手をしてくれているVIPのメンバーが死ぬ事なんてないと分かっていても。
怖い。
僕が攻撃で誰かを傷付ける事が、
僕の攻撃で誰かが死ぬ可能性があることが、
怖い。
(´・ω・`)「うん。それが普通だと思うから気にしないで」
モナーさんとクックルさんが管理している農場の一角で、
僕はテストを受けた。
目の前にはショボンさんとドクオさん、そしてブーンさんがいる。
('A`)「ブーンとツン、クックルにモララーも最初はダメだったもんな」
(;^ω^)「おー。仕方ないお」
(´・ω・`)「フサも無理してたよ」
('A`)「そういやそうだったな。
それが今では……」
( ^ω^)「刀を装備し始めてから変わったおね」
(´・ω・`)「そういえばそうか」
('A`)「そういえば、確か最初に装備したのは……」
( ^ω^)「『村正』だおね」
(´・ω・`)「『妖刀』とかではないはずだけど」
.
276
:
◆dKWWLKB7io
:2018/06/17(日) 15:58:30 ID:ar1qzQbE0
('A`)「レアだったやつだよな」
(´・ω・`)「クエストで一番レアな奴を引き当てちゃったんだよね」
( ^ω^)「おっお。そうだお。そうだお。
たしかあの時本当に欲しかったのは……」
('A`)「『壬走りの草履』」
(´・ω・`)「だったねー」
( ^ω^)「出るまで何回かやったおね」
('A`)「予備も含めて六回だな」
( ^ω^)「珍しく欲しいのが出なかったのは覚えてるお」
(´・ω・`)「……確か、その代わりにドロップしたアイテムでフサの刀系和装備が揃ったような」
('A`)「……そういえば」
( ^ω^)「だお……ね」
(=゚ω゚)「あのう……」
(;´・ω・`)「あ、ごめん」
VIPの皆さんが最初対人戦闘慣れしていなかったというのは正直びっくりしたけれど、
知り合う前の事を知れて少しうれしい。
でも、そんなことは今は関係ないと頭を振った。
(=゚ω゚)「でも、僕は……」
(´・ω・`)「正直対人戦闘に積極的に参加してほしくは無かったから、
ちょっとホッとしたかな」
(=゚ω゚)「え?」
( ^ω^)「でも、ぃょぅ君は戦えるようになりたいんだおね?」
.
277
:
◆dKWWLKB7io
:2018/06/17(日) 15:59:23 ID:ar1qzQbE0
(=゚ω゚)「はいだょぅ!」
('A`)「んじゃ今まで通り隠密系で情報収集したり、
時々陰からおれ達のサポートに入ってもらう感じで良いんじゃないか?
無理に何かをしようとしなくても」
(´・ω・`)「かなぁ」
(=゚ω゚)「……」
( ^ω^)「納得いかないかお?」
(=゚ω゚)「……はいだょぅ」
('A`)「んー。とは言ってもなぁ」
(´・ω・`)「強くなるには地道に努力を続けるくらいしか……だしね」
('A`)「決闘とか対人戦の訓練も付き合うし」
ミセ*゚ー゚)リ「そんな悠長なことを言ってられないかもよ」
(;^ω^)「おっ」
('A`)「おう」
(´・ω・`)「どうしたの?」
ミセ*゚ー゚)リ「うー。ショボンの目は反則だからともかくとして、
ドクオにも気付かれていたのは悔しいなぁ」
(;=゚ω゚)「びっくりしたょぅ」
いきなりショボンさんの隣に現れた女性。
さっきよりもビックリした。
ミセ*゚ー゚)リノノ
僕が驚いたのを見て、嬉しそうにこちらに手を振っている。
.
278
:
◆dKWWLKB7io
:2018/06/17(日) 16:00:19 ID:ar1qzQbE0
ミセ*゚ー゚)リ「いいねぇその新鮮な感じ。
ブーンも驚きが少なくてつまらないし」
( ^ω^)「毎回毎回流石にそろそろ慣れたお」
ミセ*゚3゚)リ「ちぇー」
(´・ω・`)「で?悠長なことって?
メッセージじゃなく直接来るってことは至急対応が必要と考えたんでしょ?」
ミセ*゚ー゚)リ「うん」
ショボンさんの問いかけに表情を引き締めて頷き、
そして僕を見た。
(=゚ω゚)?
ミセ*゚ー゚)リ「ぃょぅ君を使った作戦をヒッキーが立案した」
(´・ω・`)!
( ^ω^)!
('A`)!
(=゚ω゚)?
(´・ω・`)「どういうこと?」
ミセ*゚ー゚)リ「簡単なことよ。
VIPに関わりの深い人間で一番弱いのはぃょぅ君とヘリカルちゃん。
マッシロの子達はうまく隠せてるけど、
二人と知り合った時は後手にまわったからね」
('A`)「ああ。まぁな」
(;^ω^)「思わず一緒に来ちゃったんだおね」
(´・ω・`)「あの時はあれがベストだったと思うよ。
そのあとは隠れてやったりしたし、
マッシロにはフォックスがいるからそこら辺は打ち合わせできてるってだけで」
.
279
:
◆dKWWLKB7io
:2018/06/17(日) 16:01:15 ID:ar1qzQbE0
ミセ*゚ー゚)リ「で、弱い二人を拉致して、
優位な状況であんた達を殺そうって算段。
とはいえ表向きヘリカルちゃんは店からほぼ出てないから、
狙われるのはぃょぅ君になる。
ショボンが危惧してた最悪パターンの中のまだ軽い方の一つね」
(´・ω・`)
( ^ω^)
('A`)
三人が僕を見た。
(=゚ω゚)「……ょぅ……」
('A`)「一人であいつらから逃げるだけの強さ……」
( ^ω^)「隠密系でスピード重視にしてはあるけど難しいおね」
(´・ω・`)「やっぱり事が済むまで圏内から出ない生活を」
(=゚ω゚)!
('A`)「完全にVIPに入ってホームで一緒に暮らすか」
(´・ω・`)「ここでモナーやクックルの手伝いをしてもらうってのも」
(=゚ω゚)「わがままなのは分かってるょぅ!」
(´・ω・`)!
('A`)!
( ^ω^)!
ミセ*゚ー゚)リ
(=゚ω゚)「わがままを言うのは分かっているょぅ。
でも、出来ればヘリカルはあそこに居させてあげたいんだょぅ。
常連さんとかできて、色々な人と知り合って、
笑顔が自然になってきたんだょぅ……」
.
280
:
◆dKWWLKB7io
:2018/06/17(日) 16:02:04 ID:ar1qzQbE0
( ^ω^)「ぃょぅ君……」
(´・ω・`)「……」
('A`)「……」
(=゚ω゚)「だから…だから……」
ミセ*゚ー゚)リ「んー。
じゃあ一つ手が無いことも無いけど、
やってみる?」
( ^ω^)「お?」
('A`)「ん?」
(´・ω・`)「ミセリ?」
ミセ*゚ー゚)リ「ねえぃょぅ君」
僕に向かってにっこりとほほ笑み、
ミセ*゚ー゚)リ「一回死んでみる?」
と、言った。
.
281
:
◆dKWWLKB7io
:2018/06/17(日) 16:03:13 ID:ar1qzQbE0
僕は、『e-YOU』として、死んだことになった。
イーユウさんはソロプレイヤーで、
ギルドもだけど決まったパーティーに所属することも無く、
一人で中層まで登ってきたプレイヤーだったそうだ。
実際にイーユウさんの知り合いとVIPや僕達との接点はほとんどなく、
騙るのは可能だという結論になった。
通常のプレイヤーならこんな情報は掴めなかったそうだけど、
彼女持ちのプレイヤーの情報はそれなりに調べられているらしい。
一部の情報屋さんって怖いなと本気で思った。
ヘリカルとは、一回会って話をした。
お腹に正拳突きをもらった。
圏内だから衝撃だけだったけど、
でもやっぱり体術スキルを覚えさせたのは失敗だと思ったあとに、
護身としてはいいのかなと改めた。
そしてその後、頑張ってと言ってもらえた。
僕の戦闘スタイルはドクオさんベースのブーンさん風味だったけど、
そこにミセリ師匠が加わった。
ミセ*゚ー゚)リ「忍者仲間だ」
ツンさんが作った黒装束とマント、
そして防具と武器を渡された時にミセリさんが呟いたのは忘れない。
その時、笑っていたのに、少しだけ悲しげに見えたのは、何故だろう。
.
282
:
◆dKWWLKB7io
:2018/06/17(日) 16:04:02 ID:ar1qzQbE0
浮遊城アインクラッド。
第一層 はじまりの街。
初めてこのゲーム、『Sword Art Online』の世界にログインした人は、
設定をこなした後、このはじまりの街に立つ。
ゲームを始めた人にとっての、『始まりの場所』
そして、ゲームの中の死が本当の死と繋がったこのデスゲームの中で、
この街には『終わりを記す』物がある。
巨大な建造物。『黒鉄宮』。
その中にある、『生命の碑』。
それはこのデスゲームに囚われたプレイヤー全員の名前が刻まれた巨大な碑。
そしてゲーム内で死亡すると、名前に横線が引かれ、その原因が刻まれる。
ゲーム内の死。
それは現実世界でナーヴギアによって脳を焼かれ、死んでしまう事を意味する。
.
283
:
◆dKWWLKB7io
:2018/06/17(日) 16:04:55 ID:ar1qzQbE0
そして、今日は、生命の碑の前で、ヘリカルが、泣き叫んでいた。
冷たい、黒い床に膝をつき、碑に向かって土下座をするかのような姿で。
涙が、床を濡らしている。
両手が、床を、自らの身体を、叩く。
それまで、ただ見守ることしかできなかった横に立つ和装の武装をしたフサギコさんが、
ヘリカルを横から抱きしめるように支えた。
「……ぼくはそばにいるから」
その泣き叫ぶ姿と、声は、同じように生命の碑を見に来た者の心を、重く、黒くする。
僕は少し遠めの柱の陰に隠れ、
ヘリカルを見守りつつ、
ヘリカルを見張る黒い影を監視している。
『 e-YOU 』
『floor 43 Player kill』
ヘリカルの視線の先の名前。
横線の引かれた、名前。
ヘリカルの泣き声が、黒鉄宮の中をいつまでも響いていた。
(=゚ω゚)「……ヘリカルは凄い女優さんになるんだょぅ」
.
284
:
名無しさん
:2018/06/17(日) 16:05:25 ID:3QHABcto0
ずっと待ってた!支援
285
:
◆dKWWLKB7io
:2018/06/17(日) 16:05:34 ID:ar1qzQbE0
ヘリカルを見張る黒い影が動き出す。
僕はその影を視界の中に入れ続けるために少しだけ身体を動かす。
影が外に出ようとするのを見て、
柱の影の中で身支度を整える。
そして少しだけ未練を残しつつ、ヘリカルに背中を向けた。
あとで、フサギコさんにメッセージ入れないと。
ヘリカルを、お願いしますって。
でも、今日はくっつきすぎだと思うから、注意もしなきゃ。
終
.
286
:
◆dKWWLKB7io
:2018/06/17(日) 16:09:41 ID:ar1qzQbE0
以上、閑話、ぃょぅスポットの話でした!
そして2018初投下当いう事に衝撃。
そういえばこれ書いた後ナンバリング書いてて投下していなかった。
というオチ。
支援、ありがとうございます!
そして色々ありがとうございます!ww
ラストまで逃亡も卒業もしないつもりですが、
投下は少し遅くなるかもしれないので、
時折思い出していただけると嬉しいです。
次回はなるべく早いうちに……。
ではではまた!
.
287
:
名無しさん
:2018/06/17(日) 16:32:24 ID:z7113FOM0
乙
VIPのやつら優秀すぎ
288
:
名無しさん
:2018/06/17(日) 18:16:50 ID:5E8Ajowo0
乙です
289
:
名無しさん
:2018/06/17(日) 18:26:06 ID:bBtls/zo0
乙!
いろいろとすっきりした
続きも待ってる!
290
:
名無しさん
:2018/06/17(日) 21:56:24 ID:2vO5AciA0
おっつうおっつう
291
:
名無しさん
:2018/06/18(月) 00:42:24 ID:ael4Fc9s0
乙ー、楽しみにしてるよ
292
:
名無しさん
:2018/06/18(月) 07:21:48 ID:LmIssMXwO
乙。遅くてもなんでも書いてくれるだけで有り難い
293
:
名無しさん
:2018/06/18(月) 09:27:14 ID:HK.TTMNw0
乙、待ってたよ
294
:
名無しさん
:2018/06/19(火) 17:41:25 ID:DHlGhaa60
乙です。
VIPのみんな攻略組でも問題なさそうですよねw
295
:
名無しさん
:2018/06/19(火) 23:50:14 ID:kK1lpxRc0
乙でした。
前から気になってたんだけど、第8話でモナーが感じたブーンへの違和感ってなんだったんだろう
296
:
名無しさん
:2018/06/21(木) 17:30:47 ID:TWNOmTFo0
エンジェルホライズン絡みじゃないかなと勝手に推測
相手の動きが見える事なのか、代償で頭痛がする事なのかは不明だけども
まだこの頃は技として使い物にならないはずだから周りに隠してた、とか
297
:
名無しさん
:2018/06/21(木) 17:58:33 ID:C2U3dUeA0
まとめ一気に読み返した後に投下来てるとかw
待ってた甲斐が有った!
続きが楽しみ 乙でした
298
:
名無しさん
:2018/06/21(木) 18:07:06 ID:jT2W7MZg0
生きとったんかいわれぇ!
299
:
名無しさん
:2018/06/23(土) 08:55:05 ID:S.CRpzOYO
>>295
ショボンのラフコフとの繋がり調べてるブーンの行動がモナーにしたら怪しく見えたって事じゃないか
300
:
名無しさん
:2018/06/24(日) 21:33:59 ID:50GGbo7.0
ミセリの忍者仲間だって言葉が胸に来る…
乙でした
301
:
名無しさん
:2018/07/04(水) 09:12:18 ID:XEO0UAcI0
ミセリは一匹狼を貫いてたって事?
302
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 13:25:00 ID:bswVTS720
( ^ω^)達はアインクラッドを生きるようです。
第二十五話
語るなら未来を
.
303
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 13:27:19 ID:bswVTS720
ショボンの乾杯で始まった打ち上げ会は、
ショボンの完敗でもう一つの幕を開けた。
(,,゚Д゚)「……まじか」
(´・ω・`)「勝った方が驚かないでほしいなぁ」
VIPとNSの八割方のメンバーと、
その他希望者で始まった勝ち抜き戦。
第一戦はショボンVSギコだった。
ショボンの放つ投擲武器を盾で弾き、時には躱すことにより接近に成功したギコが、
片手剣の剣技でショボンに完勝したのだ。
VIPとNSのメンバーは特に驚いていないがその他の者達はざわついている。
(´・ω・`)「基本的に僕の投擲攻撃は盾持ちとは相性悪いしね」
(,,゚Д゚)「で、でも今まで一回も勝てなかったぞゴルァ」
(´・ω・`)「だって盾の使い方が甘かったし。
投擲をメインに想定している時点で、
盾持ちや防御重視との戦いは一番に考えてるよ」
(,,゚Д゚)「じ、じゃあ」
(´・ω・`)「今のギコは、それを超えている。
それだけだよ。
今の戦いを見る限り、僕相手のイメージトレーニングをいっぱいしたのかな。
でも僕の戦闘スタイルは特殊な方だから、
他でどう活用するかはまた工夫が必要だと思う。
それに、今の戦いで僕の経験値も上がったから、
次同じ戦い方したら僕が勝つよ?
だから、気を抜かないようにね」
(,,゚Д゚)「ご……ゴルァ」
(´・ω・`)「とはいっても今日は僕の完敗だね。
お疲れさま。
次の試合もがんばってね」
.
304
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 13:28:49 ID:bswVTS720
眉間に皺を寄せて少しうつむき加減で何かを呟いているギコの肩を、
苦笑いをしながら軽く叩くショボン。
(,,゚Д゚)!
それに反応して顔を上げた時には既に目の前にはいなかった。
慌てて振り向き、その背中に声をかける。
(,,゚Д゚)「ショボン!」
(´・ω・`)「ん?」
ふり返ったショボン。
その瞳を真っ正面から見るギコ。
(,,゚Д゚)「おれ、優勝するぞゴルァ」
(´・ω・`)「え?あ、うん。頑張って」
(,,゚Д゚)「優勝したら、もう一度おれとしぃをギルドに入れてくれ!」
(´・ω・`)「は?え?うん。良いけど……。
(あれ?もともと今回の作戦が済んだから戻ることになってたよね?
あの時そう話さなかったっけ?)」
(,,゚Д゚)「よし!頑張るぞゴルァ!」
(´・ω・`)「あ、うん、頑張って。
(これってフラグだよね?)」
思わず周りの仲間たちの顔を見たショボンに対し、
数名が苦笑いを浮かべ頷き、
しぃが眉間に皺を寄せて頭を抱えてしゃがみこみ、
クーが黙ってその背中を撫でた。
.
305
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 13:30:06 ID:bswVTS720
ミ,,゚Д゚彡「ご、ごめんだから」
(,, Д )「……ゴルァ」
(´・ω・`)「(負けちゃったけどどうするんだろ。
戻らないのかなぁ)」
次の試合でフサギコに完敗し、
ギコは真っ白になっていた。
.
306
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 13:31:15 ID:bswVTS720
( ´∀`)「まだやってるもな」
モナーが扉を開けると、つい一時間ほど前に見たのと同じ光景が目に飛び込んだ。
それは、男二人が正座して向かい合っている姿と、
一人の女がソファーに座り脚を組んでそれを見ているという状況。
(*‘ω‘ *)「モナーさん、どうにかしてくれっぽ」
( ><)
( <●><●>)
一歩中に入ってきたモナーにぽっぽが声をかけた。
戦闘用装備を全て解いて私服でソファーに身体を投げ出すその姿は、
普段からは感じられない妖艶さをもっていた。
( ´∀`)「二人ともしょうがないもなねぇ」
ここはVIP牧場に建てられているペントハウスのリビング。
外は騒がしいが、防音に優れたこの部屋は静かだった。
外に面したガラスもすべて透明から有色に変わっており、
外からは覗けないようになっている。
( <●><●>)「私も牢獄に入るのが正しい道だということはわかってます」
( ><)「そんなのわかんないんです!
絶対違うんです!」
( <●><●>)「いいえ、わかってます」
( ><)「わかんないんです!」
( <●><●>)「私は二人を命の危険に晒してしまいました。
VIPの方々に刃を向けました。
それは償わなくてはいけません」
.
307
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 13:32:33 ID:bswVTS720
( ><)「でも誰も傷付いてないんです!
生きてるんです!
だから良いんです!」
( <●><●>)「それではだめなことはわかってます」
( ><)「わかんないんです!」
(*‘ω‘ *)「ずっとこうだっぽ」
呆れたように顔を伏せてため息をつくぽっぽ。
( ´∀`)「ぽっぽちゃんはどう思うっぽ?」
モナーの問いにぽっぽが顔を上げ、
ワカッテマスとビロードはぽっぽを見た。
(*‘ω‘ *)「……。
ワカッテマスが、償いたいって気持ちは分かるっぽ」
( ><)!
( <●><●>)「!ならば」
(*‘ω‘ *)「でも、私達はそれを望んでないっぽ。
私やビロードは、ワカッテマスが牢獄に入る事なんて望んでないっぽよ」
( <●><●>)「……」
( ><)「そうなんです!
望んでないんです!
だから!」
(*‘ω‘ *)「でも、こんなことをしてしまって、
ワカッテマスが私達に合わせる顔が無いってのも、
理解できるっぽ」
( ><)「!」
.
308
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 13:33:51 ID:bswVTS720
( <●><●>)「……」
(*‘ω‘ *)「……」
三人の視線がゆっくりとモナーを見た。
眉間に皺を寄せるモナー。
そしてため息をついてから口を開く。
( ´∀`)「こんな膠着した状態に、ぴったりの人をお呼びしたもな」
( ><)「?」
( <●><●>)「?」
(*‘ω‘ *)「?」
( ´∀`)「さ、どうぞどうぞ」
扉の前から退く様に中に入ったモナー。
そしてその後ろから二人入ってきた。
ξ゚⊿゚)ξ「どういう意味よそれ」
('A`)「え?おれもエアクラッシャーなの?」
ξ゚⊿゚)ξ「はぁ?」
('A`)イエナンデモアリマセン
ツンとドクオである。
(*‘ω‘ *)「こ、こんばんわだっぽ」
立ち上がり頭を下げるぽっぽ。
( ><)「こ、こんばんわなんです!」
立ち上がろうとするが足がしびれていて転がるビロード。
.
309
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 13:35:03 ID:bswVTS720
( <●><●>)「お邪魔させていただいています」
ξ゚⊿゚)ξ「まったく。
説教が溜まってるのに」
('A`)「おれも何で呼ばれたのか分からない」
( ´∀`)「二人が本気を出せばすぐ終わるもな」
('A`)「え?戦闘?決闘すればいいの?」
(;><)「!」
(*‘ω‘ *;)「!?」
(;<●><●>)「な、何故そういう事に!?」
( ´∀`)「ちがうもなよ」
不思議そうにモナーを見る二人。
ぽっぽ達三人はホッとした顔でモナーを見た。
( ´∀`)「この三人とおしゃべりしてほしいもな」
ξ゚⊿゚)ξ「はい?」
('A`)「え?」
(*‘ω‘ *)「!?」
( ><)「!?」
( <●><●>)「!?」
ξ゚⊿゚)ξ「なんで私なのよ」
('A`)「おれとおしゃべり?」
.
310
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 13:36:33 ID:bswVTS720
( ´∀`)「二人が適任だと思ったからもなよ」
ξ゚⊿゚)ξ「はぁ」
('A`)「はぁ」
にこにこと笑うモナー。
釈然としないといった表情をしているツンとドクオだったが、
すぐに一息ついて表情を戻した。
ξ゚⊿゚)ξ「ま、モナーの要請ならするけど」
('A`)「ん」
( ´∀`)「ありがとうもな。
さ、二人も正座を止めてちゃんと座るもな。
フサギコからお茶とお菓子を貰ってきているもなよ」
まだよろよろしているビロードがソファーに座るとぽっぽも座った。
( <●><●>)「……」
( ´∀`)「ワカッテマスも座るもな」
( <●><●>)「……はい」
立ち上がり、ぽっぽの横に座る。
三人の前の一人掛けにツンが座り、
その横の一人掛けにドクオが座った。
( ´∀`)「さて、めんどくさいからとりあえずモナーがわかっている事を話すもなよ」
ローテーブルに人数分の飲み物と多量の菓子を置いたモナーが二人掛けのソファーに腰かけて口を開く。
.
311
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 13:38:52 ID:bswVTS720
('A`)「(あれ?実はモナーちょっと不機嫌?素が出てる系?モナー様降臨?)」
ξ゚⊿゚)ξ「(『知っている事』じゃなくて『わかっている事』か。
この三人なにしたのよ一体)」
眉間に皺を寄せた二人だったが、
それに気付かないふりをしてモナーは口を開いた。
打ち上げに出ている屋台はマッシロの料理スキル班が担当しており、
そこそこのレベルに高レベルの食材と調味料のおかげでかなりの料理が揃っていた。
採算度外視で調理できることに、
プレイヤーは喜々として料理を続けている。
料理スキルは回数はもちろんのこと、
新レシピや使用する食材のランクでもレベルは上がりやすくなる。
ζ(゚ー゚*ζ「何で私はここにいるのかなぁ」
そんな調理人たちを見つつぼそりと呟いたデレ。
( ^Д^)「と言いつつちゃんと食べるものは食べてるわけで」
後ろからやってきたプギャーが、
デレの右手に持たれたホットドックのようなものを見つつ横に立つ。
ζ(゚ー゚*ζ「そりゃあねぇ。ただなわけだし。美味しいし」
それでも浮かない顔で反応する。
( ^Д^)「急に声かけて驚くかと思った」
ζ(゚ー゚*ζ「周囲の警戒くらいいつもしてるわよ。
ソロなんだから。
それにあんたも隠蔽使ってないでしょ?」
.
312
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 13:39:54 ID:bswVTS720
( ^Д^)「そりゃ、ここで使っても意味ないし」
右手に二つグラス持っているプギャーが右手を差し出す。
ζ(゚ー゚*ζ「ありがと」
一つを左手で受け取って口を付ける。
ζ(゚ー゚*ζ「あ、美味しい」
( ^Д^)「リメの実とカラルの葉のジュースだと」
ζ(゚ー゚*ζ「へー。あれってこんな風な味なんだ」
( ^Д^)「知ってるのか?」
ζ(゚ー゚*ζ「お使いクエストや採取クエストで何回かね」
ホットドックをかじりながら呟く。
( ^Д^)「へぇ……」
ζ(゚ー゚*ζ「なによ」
( ^Д^)「いや、そういったクエストもやってるんだなって思って」
ζ(゚ー゚*ζ「なによそれ」
( ^Д^)「そういう泥臭いクエストはやってないイメージ」
ζ(゚ー゚*ζ「なによそれ」
笑みを浮かべるデレ。
しかしその笑みは楽しそうではなかった。
ζ(゚ー゚*ζ「誰かに寄生でもしてるかって思ってた?」
攻撃的なデレの視線。
しかしプギャーは気にしない。
.
313
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 13:41:16 ID:bswVTS720
( ^Д^)「いや、討伐系しかやってないかと」
ζ(゚ー゚*ζ「……はい?」
( ^Д^)「強かったから」
ζ(゚ー゚*ζ「……はい?」
じっとプギャーを見るデレ。
プギャーは気にせず左手に持った串焼きにかぶりつく。
ζ(゚ー゚*ζ「バカ?」
( ^Д^)「誰がバカだおい!」
ζ(゚ー゚*ζ「あんたよあんた!」
( ^Д^)「バカっていう方がバカなんだぞおい!」
ζ(゚ー゚*ζ「小学生か!
っていうか討伐のクエストだけやってここまで来れるわけないでしょうが!」
( ^Д^)「いや、そこはほら、そこで」
ζ(゚ー゚*ζ「そこってどこよ!」
( ^Д^)「裏ワザ的なことでうまいこと」
ζ(゚ー゚*ζ「ホントにバカ!」
( ^Д^)「うるさい!」
ζ(゚ー゚*ζ「最初っから強いわけないでしょ!
生き抜くために頑張ったのよ!」
( ^Д^)「まー。そりゃそうか」
ζ(゚ー゚*ζ「まったく……」
.
314
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 13:42:45 ID:bswVTS720
カップに口を付けるデレ。
口からカップが離れるのを見てからプギャーが口を開いた。
( ^Д^)「なんでソロなんだ?」
ζ(゚ー゚*ζ「……うるさいわね」
( ^Д^)「いや、パーティーに誘われたりしなかったのか?」
ζ(゚ー゚*ζ「……うるさい」
( ^Д^)「それだけ可愛けりゃ声かけられただろ」
ζ(゚ー゚*ζ「な、ば、バカじゃないの!」
( ^Д^)「なんだよ褒めたのに」
ζ(゚ー゚*ζ「あんた!あたしが男だって知ってるでしょ!?」
( ^Д^)「知ってるけど?」
ζ(゚ー゚*ζ「 」
( ^Д^)「ん?」
ζ(゚ー゚*ζ「 天然かよ」
( ^Д^)「おれが?天然?」
ζ(゚ー゚*ζ「ムカつく」
( ^Д^)「で、これからもソロなのか?」
ζ(゚ー゚*ζ「……そのつもりだけど?」
( ^Д^)「……」
ζ(゚ー゚*ζ「なによ」
.
315
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 13:43:43 ID:bswVTS720
( ^Д^)「おれ達と組まないか?」
ζ(゚ー゚*ζ「はあ?」
( ^Д^)「いや、結構頑張ってるつもりだけど、なかなか次のフロアに三人で進むのがな。
クエストも討伐系は選ばざるを得ない状況だし」
ζ(゚ー゚*ζ「このギルドのメンバーと組めばいいじゃない」
( ^Д^)「それじゃあおれ達が甘えちまう。
出来れば対等な強さの仲間が欲しい」
ζ(゚ー゚*ζ「……わけわかんない」
( ^Д^)「どうだ?」
ζ(゚ー゚*ζ「ほんとう、わけわかんない」
( ^Д^)「な、いいだろ?
ブームもネーヨもお前の強さは見て知ってるし」
ζ(゚ー゚*ζ「私は、ツンを殺そうとしたのよ」
( ^Д^)「で?」
ζ(゚ー゚*ζ「『で?』?」
( ^Д^)「いや、だから?」
ζ(゚ー゚*ζ「私は!本気で!ツンを殺そうとした!」
( ^Д^)「知ってる。見てたから」
ζ(゚ー゚*ζ「そんな私を何で誘うのよ!?
あ、そうか。監視?
監視のつもりか。
監視なんてしなくてももう来ないわよ!!」
.
316
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 13:44:50 ID:bswVTS720
( ^Д^)「お前はあいつらの事を分かってないなー」
ζ(゚ー゚*ζ「はぁ?」
( ^Д^)「おれ達が一緒にいて監視なんてしなくても、
アインクラッドで最強の情報屋と懇意にしているあいつらが、
中層をソロで動けるお前の動向を見張るくらいわけないだろ」
ζ(゚ー゚*ζ「うっ」
( ^Д^)「そしてなにより、ツンはもう気にしてない。
っていうかお前のことは友達扱いしてる。
ならおれ達がお前のしたことを気にする必要はない」
ζ(゚ー゚*ζ「……そこが根本的におかしいのよ」
( ^Д^)「ツンだからなぁ……。
そういうやつだと思っておかないと」
ζ(゚ー゚*ζ「なによそれ……」
( ^Д^)「もう来ないとか言ったらツンが怒るぞ」
ζ(゚ー゚*ζ「……もう怒られた」
( ^Д^)「m9(^Д^)プギャー」
ζ(゚ー゚*ζ「マジむかつく」
( ^Д^)「ツンはそういうやつだし、
このギルドの奴らも似たり寄ったりの奴らだよ」
ζ(゚ー゚*ζ「……さっき色々言われたから何となくわかる」
( ^Д^)「m9(^Д^)プギャー」
ζ(゚ー゚*#ζ「次にそれやったら斧の錆にする」
( ^Д^)「棍と斧の二刀流ってのも良いな。
おれ達のどこの位置の強化も頼める」
.
317
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 13:45:53 ID:bswVTS720
ζ(゚ー゚*ζ「勝手に話を進めるな」
( ^Д^)「とりあえず一回。お試しで?」
ζ(゚ー゚*ζ「……言い方がいやらしい」
( ^Д^)「かわいいとは思うけどタイプじゃないです。
もっと清楚な人が好きです。
斧を振り回す人はごめんなさい」
ζ(゚ー゚*ζ「うん。やっぱりムカつく」
( ^Д^)「m9(^Д^)プギャー」
ζ(゚ー゚*#ζ「よし分かった決闘だ」
巨大斧を取り出しつつウインドウの操作をするデレ。
( ^Д^)「おれが勝ったらパーティー参加だな」
同じように武器を出しながら目の前に現れたウインドウを操作するプギャー。
ζ(゚ー゚*#ζ「はっ。勝てると思ってるの?
だいたい『対等な強さ』ってのもムカついたのよね」
( ^Д^)「言うねぇ。
でも、おれの本気も見せてやるよ」
ζ(゚ー゚*#ζ「ほえ面かかせてあげるわよ」
武器をかまえて距離を取る二人。
いつの間にか周囲をギャラリーが囲み声援を送っている。
ζ(゚ー゚*ζ「格の違いを教えてあげる」
( ^Д^)「メンバーゲットだな」
二人の間に浮かんだ数字がカウントダウンを始めた。
.
318
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 13:46:58 ID:bswVTS720
ミセ*゚ー゚)リ「あの二人は何をしてるんだか」
ギャラリーの中で二人の決闘を見ているミセリ。
(=゚ω゚)ノ「師匠はどっちが勝つと思うんだょぅ?」
ミセリを挟んでぃょぅとヘリカルが居た。
ミセ*゚ー゚)リ「んー。レベルと基本的な強さならデレ一択だけど、
VIPめんつ相手に経験積んでる分対人戦での闘いの上手さはプギャーだろうから、
難しいところかな」
(=゚ω゚)ノ「なるほどだよう」
*(‘‘)*「明日のパジャマパーティーが楽しみなんですよ」
ミセ*゚ー゚)リ「ああ、うん……そうね。
(ねえ、ヘリカルちゃんはデレが男だって知ってるの?)」
(=゚ω゚)ノ「(知ってるんだょぅ)」
ミセ*゚ー゚)リ「(……知ってるならいいか。
ん?ぃょぅは平気なの?)」
(=゚ω゚)ノ「(……気にしたら負けなんだょぅ)」
ミセ*゚ー゚)リ「(何の勝負なのよ)」
*(‘‘)*「二人ともどうかしたんですか?」
ミセ*゚ー゚)リ「いいえ。何でもないわよ」
(=゚ω゚)ノ「何でもないんだょぅ」
.
319
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 13:48:56 ID:bswVTS720
ミセ*゚ー゚)リ「ところでヘリカルちゃん」
*(‘‘)*「なんですか?」
ミセ*゚ー゚)リ「腕、放してくれない?
ぃょぅも袖つままないの」
*(‘‘)*「それは出来ないんです」
(=゚ω゚)ノ「放さないょぅ」
ミセリの左手を両手で組んでいるミセリと、
丈の長めなシャツの裾をそっとつまんでいるぃょぅ。
ミセ*゚ー゚)リ「……逃げないわよ」
*(‘‘)*「そう言っていつもいつの間にかいなくなっているのです」
(=゚ω゚)ノ「出会った時から神出鬼没なんだよう」
ミセ*゚ー゚)リ「うー。
でもほら両手が塞がってるとご飯も食べられないし」
*(‘‘)*「さっきいっぱい食べてもうお腹いっぱいなので大丈夫なのですよ」
ミセ*゚ー゚)リ「そっか……。
ぃょぅも手、放そうよ」
(=゚ω゚)ノ「約束したからダメなんだょぅ」
ミセ*゚ー゚)リ「誰と?」
(=゚ω゚)ノ「ショボンさんとドクオさんとブーンさんだょぅ」
*(‘‘)*「わたしはツンさんとクーさんから頼まれたのですよ」
ミセ;*゚ー゚)リ「あー。そっかぁー。
流石に今回は逃げられないかぁ」
.
320
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 13:50:00 ID:bswVTS720
盛大な溜息を吐くミセリ。
不思議そうな顔のぃょぅと、
笑顔のヘリカル。
*(‘‘)*「明日が楽しみなんですよ!」
ミセ;*゚ー゚)リ「ああ、うん。女子会ね」
*(*‘‘)*「パジャマパーティーなんですよ!」
嬉しそうなヘリカルを見て笑顔になるぃょぅ。
そんな二人を見て柔らかな笑みを浮かべるミセリ。
ミセ*゚ー゚)リ「よし、まだ食べてないものを食べに行こう!」
*(‘‘)*!
(=゚ω゚)ノ!
ミセ*゚ー゚)リ「二人とも、行くよ!」
*(‘‘)*「はい!」
(=゚ω゚)ノ「ハイですょぅ!」
自分の左腕に回していたヘリカルの腕に自分の腕を絡め、
裾をつまんでいたぃょぅの手を握るミセリ。
*(‘‘)*!
(=゚ω゚)ノ!
ミセ*゚ー゚)リ「ほらほら無くなる前に食べよう!」
ニッコリと笑ったミセリに、
ぃょぅとヘリカルも満面の笑みを返した。
.
321
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 13:52:46 ID:bswVTS720
それぞれに楽しんでいる仲間達から逃れる様にコソコソと移動する二人。
( ・∀・)「よし、大丈夫だ」
_
( ゚∀゚)「ツンがいない今のうちに……」
( ・∀・)「モナーに呼ばれて行ったから、当分は大丈夫なはず」
_
( ゚∀゚)「よし、まずは今日を乗り越えるぞ」
( ・∀・)「おう!」
(*゚ー゚)「ジョルジュさん、モララーさん、どうしたんですかー?」
周囲を伺いつつ人の輪から抜け出して出入口に向かおうとした二人。
その目の前に、しぃが居た。
_
( ゚∀゚)「え!?」
( ・∀・)「い!?」
(*゚ー゚)「こんなはしっこでどうしたんですか?」
小首をかしげてにっこりと微笑んだしぃ。
_
(;゚∀゚)「あ、いや、その」
(;・∀・)「気付かなかった。腕を上げたんだな」
(*゚ー゚)「努力しましたから」
会話しながらしぃは微笑み続ける。
その笑顔を見て二人はこめかみと背筋に冷たいものを感じた。
.
322
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 13:53:53 ID:bswVTS720
_
(;゚∀゚)「な、なあ、物は相談なんだけど」
(*゚ー゚)「ダメですよー」
_
(;゚∀゚)「話だけでも」
(*゚ー゚)「ツンさんに頼まれてるので」
_
(;゚∀゚)「ぐっ」
(;・∀・)「(ジョル、走るぞ)」
_
(;゚∀゚)「(おれのスピードじゃしぃを引き離せるか……)」
(;・∀・)「(一瞬距離を取って転移結晶でとぶんだ。フォローする)」
_
(;゚∀゚)「(……わかった)」
(*゚ー゚)「んー。無理だと思います」
少しだけ腰を落として走り出そうとしたふたりの手が掴まれた。
( ゚∋゚)「逃げるな二人とも」
<_プー゚)フ「確保――!!」
モララーの手をクックルが、
ジョルジュの手はエクストが掴んでいた。
( ・∀・)「クックル!」
_
( ゚∀゚)「エクスト!お前まで!」
<_プー゚)フ「はっはっはっはっは!!」
( ゚∋゚)「気付かれるかと思ったが、しぃに気を取られ過ぎてたな」
(*゚ー゚)「転移結晶没収しまーす」
.
323
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 13:55:43 ID:bswVTS720
( ・∀・)「あ!」
_
( ゚∀゚)「げっ」
さっきよりも二人に近寄っているしぃが、両手に転移結晶を持っていた。
(;・∀・)「どうやって!?」
_
( ゚∀゚)「まじか!?」
腰のポーチに掴まれていない手を突っ込む二人。
( ・∀・)「……あれ?」
_
( ゚∀゚)「あるぞ?」
二人の手に握られている転移結晶。
_
(;゚∀゚)「あっ!」(・∀・;)
だがその手を強く叩かれる二人。
そして地面に転がった転移結晶が回収される。
(゚、゚トソン「はい。回収完了です」
( ・∀・)「トソン!」
(*゚ー゚)「こんなのに騙されちゃだめですよ。二人とも」
(゚、゚トソン「逃げちゃだめですよ」
_
(;゚∀゚)「おれたち二人にどれだけ戦力注ぎ込んでるんだよ!」
(;゚∋゚)「いや別に戦闘じゃないし」
苦笑いを浮かべる四人と、
それを見ながら肩を落とす二人。
.
324
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 13:56:58 ID:bswVTS720
( ・∀・)「……諦めるか」
_
( ゚∀゚)「……短い命だった」
絶望したように呟いた二人に、
更に苦笑いを浮かべることしかできない四人。
( ゚∋゚)「まったく……」
<_プー゚)フ「ホントこいつら面白いなぁ」
( ・∀・)「お前もツンに説教されてみるか?」
<_プー゚)フ「遠慮しておく!」
_
( ゚∀゚)「……はぁ……」
(*゚ー゚)「そんな世界の終わりみたいな」
(゚、゚トソン「そんなに怖いんでしょうか?」
(*゚ー゚)「んー。そうですね。
怖いのもあると思いますけど、
自分を心配しているのも分かるから、
むずがゆくなるんだと思います。
それを超えて怖いってのもあると思いますけどね」
(゚、゚;トソン「あー。なるほど。
怖いのは確定なんですね。
二度も言うくらいには」
(*゚ー゚)「大事なことなので」
表情を引き締めてトソンを見るしぃ。
数瞬の間の後、噴き出す二人。
(゚、゚トソン「もう、ツンさんに怒られますよ」
.
325
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 13:57:57 ID:bswVTS720
(*゚ー゚)「それくらいで怒る人じゃないですよ」
(゚、゚トソン「そうですね。
どちらかというと私達には甘いですし」
(*゚ー゚)「ですよね」
クスクスと笑う二人を悲しげに見る三人。
エクストは不思議そうにそんな三人を見ている。
<_プー゚)フ「で、そのツンはどこいってんだ?」
(*゚ー゚)「モナーさんに頼まれてドクオさんとモナーハウスに」
<_プー゚)フ「モナーハウス?」
(*゚ー゚)「あ、この農場の管理と、
モナーさんとクックルさんが住んでいるあの建物の事です」
今いる場所が農場の外れなため、離れた場所に建っている4階建ての建物をしぃが指さした。
( ゚∋゚)「モナーハウス?」
(*゚ー゚)「あ、ずっとギコくんとそう呼んでたのをツンさんとクーさんに知られて、
そしたらいつのまにか皆さんもそう呼ぶように」
( ゚∋゚)「知らなかった。
でも言い得て妙な呼び方ではあるな」
(゚、゚トソン「そういえばまた改築したんですね」
( ゚∋゚)「ああ。倉庫を増築して、
泊まりに来るやつも増えたから客室を増やした」
( ・∀・)「農場と牧場、あとその横の森で三つの土地だから、
システム的にはまだ増やせる?」
.
326
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 13:58:59 ID:bswVTS720
( ゚∋゚)「ああ。まだ余裕はあるらしい。
もちろん増築には多量のコルが必要だけどな」
_
( ゚∀゚)「そういえば牧場の横の森も買ったんだよな?
あそこも買えることにビックリした」
( ゚∋゚)「ん?あ、ま、まあな」
(*゚ー゚)「え?牧場大きくするんですか?」
( ゚∋゚)「あ、ああ。そんな感じだ。
そう、牛と羊が増えて余裕が無くなってきたからショボンに相談したらポンッとな」
(゚、゚トソン「ポンッと……資金繰りが羨ましいですね」
_
( ゚∀゚)「そういえば、NSのギルドホームってどんな感じなんだ?
おれ行ったことない」
( ・∀・)「そういえば無いな」
( ゚∋゚)「ん。そういえば」
(゚、゚トソン「こちらの方が広いですし、
会議するにも都合が良いですしね」
<_プー゚)フ「ブーンとかショボンはよく来てるぞ」
(*゚ー゚)「え?」
( ゚∋゚)「え?」
( ・∀・)「え?」
_
( ゚∀゚)「……え?」
(゚、゚トソン「ジョルジュさんは他の皆さんが驚いているからって無理に驚かなくていいですよ?」
_
(;゚∀゚)「べ、別に無理に驚いてねーし」
.
327
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 14:01:37 ID:bswVTS720
(*゚ー゚)「トソンさんは結構Sですよね」
(゚、゚トソン「そうですか?」
( ゚∋゚)「というかこの二つのギルドの女性メンバーは全員」
頷く男性陣とクックルを冷たい目で見る女性二人。
(;゚∋゚)「……なんでもありません」
(゚、゚トソン「で、なぜそんなに驚いているんですか?」
( ・∀・)「あ、いや、ショボンはともかくブーンは意外だなと」
(゚、゚トソン「そうですか?」
(*゚ー゚)「あ、ポーションとか備品の納品とかですか?」
(゚、゚トソン「……いえ、そんなこともなく、普通にみえられてシャキンさんと話したりしていますけど」
<_プー゚)フ「ドクオも来るけど、ハインに見付かると連れて行かれるからな」
(;・∀・)「ああ」
(;゚∋゚)「ああ」
_
( ゚∀゚)「それは想像できる」
(*゚ー゚)「ですね」
(゚、゚トソン「ブーンさんが来るのはそんなに意外ですか?」
( ・∀・)「仲が良いのは知ってるけど、
ブーンも店にクエストに忙しいだろ?」
( ゚∋゚)「だからよく来るってのは驚いたな」
(゚、゚トソン「忙しさではショボンさんも」
.
328
:
名無しさん
:2018/09/24(月) 14:03:36 ID:GC2PDmV.0
支援
329
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 14:04:01 ID:bswVTS720
_
( ゚∀゚)「ショボンはショボンだから」
<_プー゚)フ「それで納得できるのもすげーな」
(*゚ー゚)「それはショボンさんだから」
(゚、゚トソン「答えになってないけど答えですね」
全員が顔を見合わせて小さく笑った。
(*゚ー゚)「そういえばハインさんはどちらに?
今はドクオさんと一緒じゃないんですよね?」
(゚、゚トソン「……先ほどまではドクオさんの横でニコニコしていたんですが……」
<_プー゚)フ「ドクオがモナーに連れて行かれた後は……」
口ごもって目を伏せる二人。
そんな二人を怪訝な顔で見る四人だった。
从 ゚∀从「ふっふっふっふっふ」
農場と牧場は買った時点では別々であった為、
分けて運営をしていた。
从 ゚∀从「ふっふっふっふっふ」
そしてモナーは牧場を、クックルは農場を管理していた。
从 ゚∀从「ふっふっふっふっふ」
だがすぐにホームからの移動が面倒になり、
二人はそれぞれに牧場や農場で寝泊まりするようになった。
从 ゚∀从「ふっふっふっふっふ」
.
330
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 14:05:04 ID:bswVTS720
しかしこの牧場と農場には管理用の小さな小屋と敷地面積に似合わない倉庫しか付いていなかったため、
二人が小屋に泊まるのをショボンは良い顔をしなかった。
从 ゚∀从「ふっふっふっふっふ」
そして移動や深夜の管理が必要な場合もあることを知り、
牧場と農場を一つの敷地にしたうえで二人が済む建物を建てた。
从 ゚∀从「ふっふっふっふっふ」
モナーとクックルは立派なものは必要ないと反対したが、
バーボンハウスで使用する食品はもちろん、
POT等の元になる薬草系の栽培や防具や衣服に使用する革や羊毛の生産もする
農場と牧場に金をかけるのは当然のことと説得され今に至っている。
从 ゚∀从「ふっふっふっふっふ」
そして今回、牧場エリアの横にある森林も購入し一つの敷地としたわけだが、
実はこの購入には裏があり、
真の理由はモナーとクックル、そしてショボン、ブーン、ドクオしか知っていない。
从 ゚∀从「ふっふっふっふっふ」
▼・ェ・▼「くーん」
そんな牧場と森林エリアの境目で、ハインはビーグルを胸に抱いて一人笑っていた。
从 ゚∀从「ふっふっふっふっふ」
▼・ェ・▼「くーん」
因みにアインクラッドにおいて、
ティムされたモンスターはほとんどマスターのそばを離れない。
つまりビーグルはモナーのそばを通常ほとんど離れないのだが、
ホームに設定されているエリアでは比較的自由に動き回っている。
▼・ェ・▼「くーん」
从 ゚∀从「ふっふっふっふっふ」
.
331
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 14:06:11 ID:bswVTS720
先程からニヤニヤ笑っているだけのハインにさすがのビーグルも恐怖を覚え始めたころ、
やっとハインが口を開いた。
从 ゚∀从「なあビーグル」
▼・ェ・▼「きゃん!」
从 ゚∀从「あのな、どっくんがな」
▼・ェ・▼「きゃん」
从 ゚∀从「どっくんがな」
▼・ェ・▼「きゃん?」
从 ゚∀从「ふっふっふっふっふ」
▼・ェ・▼「……くーん」
从 ゚∀从「ふっふっふっふっふ」
▼・ェ・▼「きゃ、きゃん!」
从 ゚∀从「ん?どうした?
あ、そうか。話しの続きか。
そうか、ビーグルも聞きたいか。
うん。そう、どっくんがな」
▼・ェ・▼「きゃん!」
从 ゚∀从「二人で出かけようって言ってくれたんだ」
▼・ェ・▼「……きゃ?」
从 ゚∀从「どっくんがな、出かけようって誘ってくれたんだよ!」
▼・ェ・▼「……きゃぁ」
从 ゚∀从「あのどっくんだぞ!あのどっくんが!どっくんが、私と二人で……」
▼・ェ・;▼「……くー」
.
332
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 14:07:26 ID:bswVTS720
从 ゚∀从「ふっふっふっふっふ」
ビーグルを抱えたままうずくまるハイン。
そして小さく笑い続ける。
▼;・ェ・▼「くぅーん」
从 ゚∀从「ふっふっふっふっふ」
そしてそんな二人の前に、彼女はさっそうと飛び出してきた。
∩∩
ζ゚⊿゚)ζ
▼・ェ・▼「きゃん!」
从 ゚∀从「……へ?」
∩∩
ζ゚⊿゚)ζノ「とぅん!」
真っ白毛並みのウサギ型モンスター。
デン・ツーレ=ラビットである。
惚けていても中層のトッププレイヤーであるハイン。
即座に距離を取りビーグルを地面に置くと普段使いの長柄の鎌を手元に呼びだした。
从;゚∀从「モンスター!?ここはVIPの敷地のはず!」
通常安全圏にモンスターは現れない。
街の外れだがここは《街》であり《安全圏》であり、
ギルドVIPが購入し管理している土地のはず。
そこにほとんど攻撃力を持たないとはいえ『モンスター』が出現した。
その異常事態にハインが臨戦態勢となる。
从 ゚∀从「ビーグルは私の後ろへ!
いや、すぐにモナーの所に!……い?」
先程までとは別人のように表情を引き締めたハインの視線の先で、
ビーグルがデンツーレにとことこと近寄って行った。
.
333
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 14:08:32 ID:bswVTS720
▼・ェ・▼「きゃん」
∩∩
ζ゚⊿゚)ζノ「とぅん」
お辞儀をし合う二人。
そして互いの頬を擦り付けあう。
从 ゚∀从「……あれ?」
∩∩
ζ゚⊿゚)ζノ「とぅん!」
困惑して硬直するハインに向かい、
ビーグルとの挨拶を終えたデンツーレがハインを指さしてひと鳴きした。
从 ゚∀从「あれ?ビーグルと友達?え?でもここって安全圏で……」
∩∩
ζ゚⊿゚)ζノ「とぅん!」
少しイラついたように指さすデンツーレ。
そしてピョンピョンとジャンプしながらハインの周りを一周する。
その後ろをとことこと付いていくビーグル。
そして正面に戻ると、再びひと鳴きした。
∩∩
ζ゚⊿゚)ζノ「とぅん!!」
从 ゚∀从「えっと……何か言いたいことでも?」
∩∩
ζ゚⊿゚)ζ「とぅん!」
大きく頷くデンツーレ。
そしてもう一度ハインを指さした後、
片足だけ地面につけて一回転した。
長毛種であるデンツーレの毛がふわりと舞い、
それはまるでお気に入りのスカートを着て喜んでいる女の子のようであった。
.
334
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 14:09:41 ID:bswVTS720
从 ゚∀从「なんかスカートみたいだな」
∩∩
ζ゚⊿゚)ζノ「とぅん!」
大きく頷いてハインを指さす。
从 ゚∀从「え?」
∩∩
ζ゚⊿゚)ζノ「とぅん!」
从 ゚∀从「えっと……私にもスカートをはけって?」
∩∩
ζ゚⊿゚)ζノ「とぅとぅん!」
首を何度も立てにふる。
从 ゚∀从「え?いや、でもほらわたしはほら、ここではそういうキャラじゃないし、
リアルでもプライベートではそういった女の子女の子したのはあんまり……」
∩∩
ζ゚⊿゚)ζノ「とぅとぅとぅん!」
从 ゚∀从「い、いや、でも」
∩∩
ζ゚⊿゚)ζノ「とぅん!!!」
从 ゚∀从「……どっくんもそういう方が良いかなぁ」
∩∩
ζ゚⊿゚)ζノ「とぅん!」
我が意を得たりと言ったように大きく鳴くデンツーレ。
从 ゚∀从「いやでも……」
∩∩
ζ゚⊿゚)ζノ「とぅとぅん!」
再びふわりと舞うデンツーレ。
从 ゚∀从「確かに可愛いけど……」
∩∩
ζ゚⊿゚)ζ「とぅん!」
.
335
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 14:11:05 ID:bswVTS720
从 ゚∀从「そういうのはプライベートでは着なかったから……。
ちょっと恥ずかしいというか」
∩∩
ζ゚⊿゚)ζノ「とぅん!」
从 ゚∀从「どっくん……喜んでくれるかなぁ」
∩∩
ζ゚⊿゚)ζノ「とぅん!!」
从 ゚∀从「うぅ……でも……」
∩∩
ζ゚⊿゚)ζノ「とぅん!」
从 ゚∀从「そうは言っても恥ずかしいもんは恥ずかしいというか……。
それにほら、ここだといつ戦いになるか分からないし」
∩∩
ζ゚⊿゚)ζノ「とぅん!」
从 ゚∀从「そういえばツンがショートパンツでコートタイプでベルトでスカートがどうとか……」
∩∩
ζ゚⊿゚)ζノ「とぅん!」
从 ゚∀从「いやでも……」
∩∩
ζ゚⊿゚)ζノ「とぅん!」
しゃがんだハインとその目の前で鳴き続けるデンツーレ。
▼・ェ・▼「くぅーん」
少し離れた場所でそんな二人を見守るビーグル。
その後ろに忍び寄る白い玉。
(U ^ω^)「おっおっおっお」
▼・ェ・▼「きゃん」
お辞儀をし、頬を擦り付ける二人。
そして並んで二人を見る。
.
336
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 14:12:08 ID:bswVTS720
▼・ェ・▼「……きゃん」
(U;^ω^)「……おー」
从 ゚∀从「いやでもやっぱり」
∩∩
ζ゚⊿゚)ζノ「とぅん」
从 ゚∀从「いや分かるよ、わかる。でもさ」
∩∩
ζ゚⊿゚)ζノ「とぅとぅん!」
从 ゚∀从「そうなんだよな。でもさぁ」
∩∩
ζ゚⊿゚)ζノ「とぅん!」
从 ゚∀从「そうなんだよな。うん。わかる」
▼;・ェ・▼「くぅーん」
(U;^ω^)
(U;^ω^)
(U;^ω^)
(U;^ω^)
(U;^ω^)
(U;^ω^)
(U;^ω^)
(U;^ω^)「おーん」
隣の一人と背後のワンワンオーの群れと共に二人を見守るビーグル。
二人の会話?は終わるように見えなかった。
ξ゚⊿゚)ξ「ばっかじゃないの」
.
337
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 14:13:09 ID:bswVTS720
('A`)「ああ、ツン、言葉を選ぼうな」
( ´∀`)「もなもなー」
(; <●><●>)
(*‘ω‘ *;)
(; ><)「うぅ……」
モナーハウスの一室。
話しを聞き終えたツンが吐き捨てる様に口にした言葉に三人が唇をかむ。
ξ゚⊿゚)ξ「なによドクオ。あんただってそう思うでしょ」
('A`)「否定は出来ないけど、でもほらおれは多分……」
ξ゚⊿゚)ξ「……ああ。そういうこと」
モナーを見るドクオとツン。
その視線を受けてにっこりと微笑むモナー。
ξ゚⊿゚)ξ「(まったく……)……ドクオ」
('A`)「(それでおれも呼んだのか)……ん」
( ´∀`)「もなもなー」
ワカッテマスに視線を移すドクオ。
ツンとモナー、そしてビロードとぽっぽもワカッテマスを見た。
('A`)「なあワカッテマス、おれもベータテスターなんだ」
( <●><●>)!
( ><)!
(*‘ω‘ *)!
.
338
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 14:14:47 ID:bswVTS720
('A`)「で、だ、多分分類されるとしたら『ビーター』って呼ばれても仕方ない部類に入る。
βテスト時にそれなりにレベルも上げたし、
出来る限り上の層にも行った。
色々な敵と戦ったし、
効率のよい狩場とか狩りの仕方なんかも知っていた。
で、スタートダッシュでレベル上げをしたし、
取り辛くなりそうなアイテムや武器をさっさと確保したりもした」
( <●><●>)
('A`)「ま、友達と来たからその知識は共有したし、
ベータテスターでもないのにおれより凄いのが身近に二人も居たからまあそれなりだったけどな。
それでも『友達を守るために』その力を使っていた時点で仲間以外のプレイヤーに
白い目で見られても仕方ないかもしれない」
( <●><●>)「……ドクオさん」
('A`)「ある程度落ち着いてからは情報屋に情報を流したり、
協力なんかはしたけれど、
それでもあの頃は肩身が狭かったよな」
( <●><●>)「……はい」
('A`)「ワカッテマスは、どれくらいだったんだ?」
( <●><●>)「……それなりにはまっていたので、
よく来ていました。
一回だけ、フロアボス戦にも参加を……」
('A`)「そっか」
( <●><●>)「正式サービス開始の日を楽しみにしていて、
ベータテスター時の知り合いと広場で待ち合わせしたりして。
けれど茅場が現れてこんなことになり……」
('A`)「どうした?」
.
339
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 14:15:57 ID:bswVTS720
( <●><●>)「怖くなって、一人の知り合いと宿に籠りました。
それ以外の三人の知り合いは外に出て行って……」
('A`)「そっか」
( <●><●>)「でも、それじゃいけないと思って外に出てみて、
最初は先行で情報をくれていた三人からも連絡が途絶えて。
宿に籠っていた一人ともだんだんと疎遠になり……。
ソロで狩りをしていました」
堰を切った様に喋り出したワカッテマス。
その様をビロードとぽっぽは驚いたように、
ドクオとツンは無表情に、
そしてモナーは悲しげに見つめている。
( <●><●>)「ソロでしたし、
進むことよりも生きることを優先していたため無理はしませんでした。
情報を集め、人の戦いを覗き見し、知識を得てから戦いに挑みました。
それでも戦い方が身についていたのと、
もとになる知識はあった為か順調にレベルを上げることもでき、
スキルを鍛え、出来るだけ安全な狩場で生きる為に戦っていました。
フロアボス戦もいくつか終わり上の階層にも行けるようになり、
ベータテスターへの風当たりやビーターと言う言葉におびえながら、
生きてきました。
……二人に会ったのは、そんなときです。
一人でマウントベアと戦っていたぽっぽが危なくなった時、
颯爽とビロードが助けに入ったんです」
( ><)!
(*‘ω‘ *)!
( <●><●>)「でもすぐにビロードもHPバーが黄色くなり、
このまま見ていたら二人は……と思い横からベアを切りつけ、
ヘイトをこちらに向けて逃げろと叫びました。
でも二人は助太刀ありがとうと叫びながら戦線に参加して来て……。
正直その時点で私にとってマウントベアは格下だったので二人は邪魔だったんですが」
(;><)「あ……」
(*‘ω‘ *;)「っっぽ。血気盛んだったぽっぽ」
.
340
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 14:16:57 ID:bswVTS720
( <●><●>)「しかも自分のHPをポーションで回復することも無く闇雲に横から切りつけてきたりして。
ヘイト管理もまともにできないのかと衝撃でした」
(;><)「それはその……」
(*‘ω‘ *;)「ポーションが切れてたっぽ」
( <●><●>)「邪魔な動きをする二人に指示を出して動きをコントロールすることによって、
なんとか無事にマウントベアを倒すことが出来ました。
正直二人が居なかった方が早かったと思います」
( ><)「うぅ……」
(*‘ω‘ *;)「そ、そんな時もあるっぽ」
( <●><●>)「ですがその後、
マウントベアを倒したそのすぐ後、
たいした戦果も上げず横でちょこちょこと攻撃を加えて時間をかけただけだったのに、
ものすごい笑顔で私に抱きついたりハイタッチをしたりしている二人を見て」
(;><)「穴があったら入りたいです」
(*‘ω‘ *;)「ものすごくディスられているっぽ」
( <●><●>)「心が、あたたかくなりました」
( ><)!
(*‘ω‘ *)!
( <●><●>)「今まで仮のパーティで戦ったことはありましたが、
あの時ほどの思いは抱きませんでした。
心の底からの笑顔と、生き残っていることの嬉しさを、感じたような気がしたんです」
('A`)「そっか」
( <●><●>)「……はい」
笑顔を見せるドクオ。
.
341
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 14:17:54 ID:bswVTS720
('A`)「それで、二人とパーティーを組むように」
( <●><●>)「懐かれて、一緒に森を出て、食事をおごってもらい、連絡先を交換し、いつしか……」
('A`)「なるほど。
で、隠していたわけか。
本当のレベルも、ベータテスターだってことも」
( <●><●>)「……はい」
('A`)「ま、両方ともわざわざ人に言うようなことじゃないし」
( <●><●>)「…… …… はい」
('A`)「で、辛くなってきたところを、ロマネスク達につけ込まれた?」
( <●><●>)「……ロマネスクは、昔は、あんな奴じゃなかった」
('A`)「……そっか」
( <●><●>)「先ほども言いましたが、
二人をだましていた。
危険な目に合わせた。
皆さんにも、ご迷惑をおかけしました。
だから」
ξ゚⊿゚)ξ「だから、牢屋に入るって?
ばっかじゃないの」
('A`)「だーかーらー」
( ´∀`)「もなもなー」
( <●><●>)「ですが!」
ξ゚⊿゚)ξ「結局独りよがりの謝罪行為でしょ。
とりあえず土下座して許しを請うのと同じレベルじゃない」
(;<●><●>)「!」
.
342
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 14:18:55 ID:bswVTS720
ξ゚⊿゚)ξ「まずビロードとぽっぽがどう思っているか、
どうしたいかを聞くのが先でしょ」
(;<●><●>)「そ、それは……。
……迷惑をかけたのにそんなことを聞けるような……」
ξ゚⊿゚)ξ「なら、その程度の関係だったって事よ?
もちろん今回の事に関しての心からの謝罪は必要だけど、
ベータテスターを黙ってたことやレベル差の事を黙ってた事を纏めて謝ろうってのはどうなのよ。
それは別問題じゃないの?」
( <●><●>)!
ξ゚⊿゚)ξ「それに、ビロードは知らないけどぽっぽは知ってたでしょ?」
( <●><●>)!
( ><)!
(*‘ω‘ *)「……知ってたというか、
多分そうだろうなって思ってたくらいっぽ」
( ><)「ぽっぽちゃん!?」
(*‘ω‘ *)「全く感付いていなかったビロードにこっちが驚きっぽ」
( ><)「うぅ……わかんないんです」
( <●><●>)「し、知ってたのですか?」
ξ゚⊿゚)ξ「っていうか、うちのギルドではほぼ全員そう思ってた」
(;<●><●>)「え!?」
('A`)「ジョルとフサぐらいか?」
ξ゚⊿゚)ξ「そうね。気付いてなかったっていうか、
まったく気にしてなかったのは」
.
343
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 14:22:48 ID:bswVTS720
ξ゚⊿゚)ξ「まずビロードとぽっぽがどう思っているか、
どうしたいかを聞くのが先でしょ」
(;<●><●>)「そ、それは……。
……迷惑をかけたのにそんなことを聞けるような……」
ξ゚⊿゚)ξ「なら、その程度の関係だったって事よ?
もちろん今回の事に関しての心からの謝罪は必要だけど、
ベータテスターを黙ってたことやレベル差の事を黙ってた事を纏めて謝ろうってのはどうなのよ。
それは別問題じゃないの?」
( <●><●>)!
ξ゚⊿゚)ξ「それに、ビロードは知らないけどぽっぽは知ってたでしょ?」
( <●><●>)!
( ><)!
(*‘ω‘ *)「……知ってたというか、
多分そうだろうなって思ってたくらいっぽ」
( ><)「ぽっぽちゃん!?」
(*‘ω‘ *)「全く感付いていなかったビロードにこっちが驚きっぽ」
( ><)「うぅ……わかんないんです」
( <●><●>)「し、知ってたのですか?」
ξ゚⊿゚)ξ「っていうか、うちのギルドではほぼ全員そう思ってた」
(;<●><●>)「え!?」
('A`)「ジョルとフサぐらいか?」
ξ゚⊿゚)ξ「そうね。気付いてなかったっていうか、
まったく気にしてなかったのは」
.
344
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 14:24:02 ID:bswVTS720
( ´∀`)「あの二人はもともとそういうのを気にしないもな」
('A`)「おれも何回か話そうかと思ったけど、
何とかなってそうだったから……」
(*‘ω‘ *)「もともと知り合った頃にはベータテースターへの批判はそれなりに終息してたっぽ」
('A`)「『ビーターさん』がいたしな」
(*‘ω‘ *)「だっぽ」
( <●><●>)「で、ですが効率よくレベルを上げて」
ξ゚⊿゚)ξ「今はそんなに変わらないでしょ?」
( <●><●>)「え?」
ξ゚⊿゚)ξ「多分今はそんなに変わらないはずよ。
ま、あんたが一時期のうちの馬鹿とかそこの二人みたいに、
寝る間を惜しんで一人でレベル上げしてるとかならわからないけど」
ドクオが黙って飲み物を口にするのを見るツンとモナー。
(;<●><●>)「そ、そんなことは……」
ぽっぽを見るワカッテマス。
(*‘ω‘ *)「見るっぽ」
ウインドウを出し、可視状態にするぽっぽ。
ワカッテマスが覗き込む。
( <●><●>)「!た、確かに……。
もう三つしか変わらない……」
(*‘ω‘ *)「ビロードは私より高いはずだっぽ」
( <●><●>)「!」
.
345
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 14:25:06 ID:bswVTS720
( ><)!
ビロードを見るワカッテマス。
キョロキョロと周囲を見るビロードだったが、
ぽっぽとツンに顎と視線で促されてウインドウを出した。
( ><)「こ、こんな感じなんです」
ウインドウを覗き込むワカッテマス。
(;<●><●>)「……」
大きい目を更に見開いて固まるワカッテマス。
ξ゚⊿゚)ξ「レベルが全てではないけど、
それが今の現実よ」
( <●><●>)「な、何故!?」
ξ゚⊿゚)ξ「うちの気持ち悪いくらい頭の良いバカと、
ここにいるゲームバカが考え抜いた戦い方をしてきたからでしょ」
('A`)「どうもご紹介にあずかりましたがゲームバカです。
三人パーティーでレベル差が大きすぎるのは危険だから、
三人のレベルが並ぶように、かつ戦闘経験を積めるようにメニュー作った。
まぁ強さの違いを気にしていた二人から個別に相談されて、
夜にレベル上げだけの戦闘訓練したりしたし」
ξ゚⊿゚)ξ「認めてんじゃないわよ」
呆れたように呟きながらほんのりと笑顔を見せるツンと、
それを受けて表情筋を歪めつつもニヤリと笑ったドクオ。
モナーはそんな二人を見ながらニコニコとしている。
そして三人は、
そんな三人を少しだけ羨ましそうに見つめた。
.
346
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 14:27:05 ID:bswVTS720
ξ゚⊿゚)ξ「とにかく、私はこれから何人も説教しなきゃいけないから忙しいの。
まずは三人で腹を割って話し合いなさい。
今日は泊まってっていいし、
お腹がすいたから下のリビングか外の屋台にでも食べに来なさい」
言外に『ちゃんと話し合うまでここから立ち去るな』と言ったツンの言葉と表情に神妙にうなずいた三人。
('A`)「お前らなら大丈夫だと思う。
外から見てて、良いチームだと思う」
その後に出て言ったドクオの言葉で互いの顔を見た三人。
( ´∀`)「なにが大事なのか見失わない方が良いもな」
そして最後にモナーが部屋を出ると、部屋の中の音が無くなった。
「……っ」
何かを話そうと息を吸ったような音が、
三人から聞こえた。
灯りの付いてないない建物。
小さな中庭の中央近くに、
剣が二本刺さっている。
その前で跪いている一人の男と、その後ろに立つ一人の男。
暗がりでは二人の顔に違いが見えないほど、
二人の顔は同じだった。
.
347
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 14:28:53 ID:bswVTS720
( ´_ゝ`)「……」
閉じていた目を開き、じっと二本の剣を見る兄者。
( ´_ゝ`)「一本は、『初めて打った一本』だよな。
もう一本はなんだ?」
(´<_` )「それも鍛冶場に飾ってあった。
おそらくは、『最高の一本』じゃないのかな」
( ´_ゝ`)「『初めて』と『今の最高』を鍛冶場に飾るとか。
らしいっていえばらしいが」
(´<_` )「素材持ち込みのオーダー品が『今までの最高品』だったときは
どうしてたんだろうな」
( ´_ゝ`)「……」
(´<_` )「……」
( ´_ゝ`)「想像したくない」(´<_` )
見事にそろった二人の声。
一瞬の沈黙の後二人の顔が笑いで歪んだ。
(´<_` )「グレンさんなら、
納期延ばしてそれを飾りながら一本打ちそうだな」
( ´_ゝ`)「それならまだ良いくらいだ」
悲しげな笑顔を見せる二人。
( ´_ゝ`)「……今まで来なくて、すまなかった。
あんなに世話になったのに、
来れたのは、一番最後になっちまった。
ずっと、考えたくなかった。
あんたが死んだことを、
もう会えないことに、
真正面から立ち向かうことが出来なかった」
.
348
:
◆dKWWLKB7io
:2018/09/24(月) 14:30:18 ID:bswVTS720
(´<_` )「……」
( ´_ゝ`)「一人でいたおれに、
弟者を探すことを諦めないことを、教えてくれた。
弟者を連れてきてしまった後悔にさいなまれて何もできなかったおれを、
ぶん殴ってくれた」
(´<_` )「!……兄者」
( ´_ゝ`)「おれも鍛冶をすることを決めた時に、
弟者を連れて行ったときに、
笑いながら、知っていることは何でも教えてくれた」
(´<_` )「……」
( ´_ゝ`)「……もう会えないなんて、考えたくなかった。
ここに来なければ、
黒鉄宮にいかなければ、
フレンドリストの色の違うあんたの名前を見なければ、
まだ会えるかもと自分をだますことが出来た。
だから、来なかった」
拳で地面を殴る兄者。
衝撃が土煙を産んだ。
( ´_ゝ`)「でも、それじゃ、駄目だった。
どこかで、ずっと、考えている自分がいた。
あんたのことを。
そして、死ぬかもしれないってことを。
ギルドの仲間が、鍛冶の仲間が、
そして、弟者が」
(´<_` )「!」
.
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