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( ^ω^)達はアインクラッドをいきるようです。
1
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/24(火) 21:34:03 ID:Y.9qViVM0
どーも作者です。
こちらでは初めまして。
創作版から引っ越して、新しく作らせてもらいました。
最終回までもう少しの間、お付き合いいただければ幸いです。
この話は
川原礫著
『ソードアート・オンライン』シリーズのアインクラッド編を基に書かせていただいています。
基本的に電撃文庫版の設定を順守しているつもりですが、
設定の拡大解釈やプログレッシブ・コミカライズでの設定、
まだ書かれていない設定に関しては想像で書いているので、
その旨ご容赦の上、お楽しみいただけますようお願い申し上げます。
お世話になっているまとめ様
ブーン芸VIP様
http://boonsoldier.web.fc2.com/
簡単な今までの話の流れ
・ゲームで死ぬとリアルでも死ぬVRの世界に囚われた。
・みんな精一杯生きてます。
・こっちの主人公はブーンなんです。
第二十四話
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/13029/1464354084/854
24
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/24(火) 23:04:59 ID:Y.9qViVM0
ξ゚⊿゚)ξ「……うん。ごめんね。
最初の頃は、可愛いのとかは、全部女性用で作ってたから。
かぶれなかったんだよね」
ζ(;ー;*ζ「かぶれないのは、分かってたの。
持った時に、分かったの。
でも、あれを、他の人がかぶっているところとか見たくなくて。
もしかしたら、いつか、かぶれるようになるかもって」
ξ゚⊿゚)ξ「……うん」
ζ(;ー;*ζ「でも、やっぱり、いまでも、かぶれなくて。
ツンが作ってくれた服も可愛いいし、
その後作ってくれた、かぶれる帽子も、可愛くて、
好き、だけ、ど、やっ、ぱり、あれ、が、
かぶり、たく、て……。で、も、
いつ、ま、で、たっても、やっぱ、り……、
かぶれ……なく、て……」
ξ゚⊿゚)ξ「私の事が、憎くなっちゃった?」
ζ(;ー;*ζ
頷くデレ。
ツンは彼女を抱く力を強くした。
ζ(;ー;*ζ「ツ……ン……」
ξ゚⊿゚)ξ「そっか……」
ζ(;ー;*ζ「せっかくこの世界に来たのに……、
最初は女の子のでいられたのに……」
ξ゚⊿゚)ξ「……性別設定できたもんね」
ζ(;ー;*ζ「女に、なれるって。
ここでなら、体も女の子でいられるって。
だから、来たのに……。
……」
.
25
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/24(火) 23:05:55 ID:Y.9qViVM0
ξ゚⊿゚)ξ「ログアウト出来なくなって、
デスゲームになって、
見た目を、性別を、元に戻された」
頷くデレ。
ξ゚⊿゚)ξ「そっか……」
ζ(;ー;*ζ「うん……」
ξ゚⊿゚)ξ
ζ(;ー;*ζ
ξ゚⊿゚)ξ
ζ(;ー;*ζ
ξ゚⊿゚)ξ
ζ(;ー;*ζ
ξ゚⊿゚)ξ
ζ(;ー;*ζ
ξ゚⊿゚)ξ
ζ(;ー;*ζ
ξ゚⊿゚)ξ
ζ(;ー;*ζ
ξ゚⊿゚)ξ
ζ(;ー;*ζ
ξ゚⊿゚)ξ
.
26
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/24(火) 23:06:52 ID:Y.9qViVM0
ζ(;ー;*ζ
ξ゚⊿゚)ξ
ζ(;ー;*ζ
ξ゚⊿゚)ξ
ζ(;ー;*ζ
ξ゚⊿゚)ξ
ζ(;ー;*ζ「?」
ξ゚⊿゚)ξ
ζ(;ー;*ζ
ξ゚⊿゚)ξ
ζ(;ー;*ζ
ξ゚⊿゚)ξ
ζ(;ー;*ζ
ξ゚⊿゚)ξ
ζ(;ー;*ζ
ξ゚⊿゚)ξ
ζ(゚ー゚*ζ
ξ゚⊿゚)ξ
ζ(゚ー゚*ζ
ξ゚⊿゚)ξ
.
27
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/24(火) 23:07:51 ID:Y.9qViVM0
ζ(゚ー゚*ζ
ξ゚⊿゚)ξ
ζ(゚ー゚*ζ
ξ゚⊿゚)ξ
ζ(゚ー゚*ζ
ξ゚⊿゚)ξ
ζ(゚ー゚*ζ「……」
ξ゚⊿゚)ξ
ζ(゚ー゚*ζ「……?」
ξ゚⊿゚)ξ
ζ(゚ー゚*ζ「…… ツン?」
ξ゚⊿゚)ξ「なに?」
ζ(゚ー゚*ζ「えっと……なんか、ないの?」
ξ゚⊿゚)ξ「なんか?」
ζ(゚ー゚*ζ「うん」
ξ゚⊿゚)ξ「なんかって、なに?」
ζ(゚ー゚*ζ「えっと、いや、その、ほら、さ」
ξ゚⊿゚)ξ「?」
ζ(゚ー゚*ζ「……えっと……」
ξ゚⊿゚)ξ「ん?」
.
28
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/24(火) 23:09:13 ID:Y.9qViVM0
ζ(゚ー゚*ζ「……ツンって、そういうところあるよね」
ξ゚⊿゚)ξ「へ?」
ζ(゚ー゚*ζ「普段はバシバシ言いたいこと言うくせにさ」
ξ゚⊿゚)ξ「言ってないわよ」
ζ(゚ー゚*ζ「言った」
ξ゚⊿゚)ξ「言ってない」
ζ(゚ー゚*ζ「言いました」
ξ゚⊿゚)ξ「言ってない」
ζ(゚ー゚*ζ「言いましたー」
ξ゚⊿゚)ξ「いつよ」
ζ(゚ー゚*ζ「前に私がオレンジのスカート欲しいって言った時に」
ξ゚⊿゚)ξ「だってあんたにあの色は似合わないし」
ζ(゚ー゚*ζ「ひっどい!」
ξ゚⊿゚)ξ「オレンジ系にしたって、もっと可愛く淡い感じの色ならともかく、
あんな原色原色してたり蛍光系のオレンジは似合いません」
ζ(゚ー゚*ζ「私は好きな色なの!着たいの!」
ξ゚⊿゚)ξ「ならせめてジャケットとかボレロっぽい感じにして、
中は引き締めないとおかしくなるって言ったでしょ!」
ζ(゚ー゚*ζ「スカートが良いんです!
あの形のスカートが良いんです!」
ξ゚⊿゚)ξ「単品で見ると確かに可愛いけど、
あんたには似合わないって言ってるのよ!」
.
29
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/24(火) 23:10:31 ID:Y.9qViVM0
ζ(゚ー゚*ζ「似合わないなんて分からないし―。」
ξ゚⊿゚)ξ「シミュレーション画像で見て一瞬言葉詰まらせたくせして」
ζ(゚ー゚*ζ「そ、それはさ」
ξ゚⊿゚)ξ「あれは反対です。
オーダーでも作りません。
何故ならばデレには似合わないから」
ζ(゚ー゚*ζ「ひっどい!」
ξ゚⊿゚)ξ「その代わりに作ったオレンジ系統のシフォンスカート気に入ってたじゃない」
ζ(゚ー゚*ζ「それはそれ、あれはあれですー」
ξ゚⊿゚)ξ「モララーにだってオレンジ色のアクセサリー作ってもらったんだから、
それで我慢しておきなさいよ」
ζ(゚ー゚*ζ「あれはあれ、これはこれですー」
ξ゚⊿゚)ξ「っていうか、一番好きなのオレンジなのに、
武器のデコはピンクなのは何でよ」
ζ(゚ー゚*ζ「好きなオレンジでモンスター叩くのとか嫌だし」
ξ゚⊿゚)ξ「うっわ!」
ζ(゚ー゚*ζ「なによー」
ξ゚⊿゚)ξ「いやべつに。
でも『うっわ!!』」
ζ(゚ー゚*ζ「むかつくー」
ξ゚⊿゚)ξ「『うっわ!』」
ζ(゚ー゚*ζ「ツンー?」
.
30
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/24(火) 23:11:54 ID:Y.9qViVM0
ξ゚⊿゚)ξ「なに?デレ」
ζ(゚ー゚*ζ「……」
ξ゚⊿゚)ξ「なによ」
ζ(゚ー゚*ζ「……ごめんなさい」
ξ゚⊿゚)ξ「良いわよ別に」
ζ(゚ー゚*ζ「……良くないよ」
ξ゚⊿゚)ξ「……そうね。良くないわね。でも、良いわよ」
ζ(゚ー゚*ζ「なにそれ」
ξ゚⊿゚)ξ「んー。私個人としては良いんだけど、
デレにとっては良くないんだろうなって事」
ζ(゚ー゚*ζ「なにそれ」
ξ゚⊿゚)ξ「デレがもうこのことで私を殺そうとしないなら、
私は死ななかったしケガもしなかったから、
別にいいやって思ってる」
ζ(゚ー゚*ζ「……そう、なんだ……」
ξ゚⊿゚)ξ「でも、デレは違うでしょ?」
ζ(゚ー゚*ζ
ξ゚⊿゚)ξ「後悔してる。悔やんでる。
だから、簡単に『良いよ』って言えないだろうなって思う」
ζ(゚ー゚*ζ
ξ゚⊿゚)ξ「私としては、友達とちょっと喧嘩しちゃった感じで良いんだけどね」
ζ(゚ー゚*ζ「……派手なケンカだよ……」
.
31
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/24(火) 23:12:57 ID:Y.9qViVM0
ξ゚⊿゚)ξ「大喧嘩ね」
ζ(゚ー゚*ζ「……うん」
ξ゚⊿゚)ξ「で、仲直りした。
雨降って地固まるってやつよ」
ζ(゚ー゚*ζ「ツン……」
ξ゚⊿゚)ξ「なに?」
ζ(゚ー゚*ζ「……大バカだよ」
ξ゚⊿゚)ξ「え?また喧嘩売られてる?」
ζ(゚ー゚*ζ「売らない。
もう武器破壊されたくないし」
ξ゚⊿゚)ξ「ふっふっふ。それが賢明な判断よ」
ζ(゚ー゚*ζ「でも、ほんとう、大バカだよ」
ツンを強く抱きしめるデレ。
ξ゚⊿゚)ξ「デレ……」
ζ( ー *ζ「ごめん、本当にごめんなさい。
…… …… …… ありがとう」
ξ゚⊿゚)ξ「……うん」
ζ( ー *ζ「ごめんなさい……
ごめんなさい……」
ξ゚⊿゚)ξ「一個だけ約束して。
また、来てよね。
今まで通り、友達価格で作ってあげるからさ。
そして、モララーからかって、お茶しに行こう」
.
32
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/24(火) 23:13:57 ID:Y.9qViVM0
ζ( ー *ζ「うん……うん……」
ξ゚⊿゚)ξ「っていうか、明日来るようにね。
帽子、作るからさ」
ζ( ー *ζ「ありがとう……。
オレンジのスカートも作ってね」
ξ゚⊿゚)ξ「それは嫌だ」
ζ(゚ー゚*ζ「ダメかー。
今の流れなら作ってくれるかと思ったのに」
ξ゚⊿゚)ξ「ふっふっふ。流されないわよ」
ζ(゚ー゚*ζ「ちっ」
ゆっくりと身体を離す二人。
互いの手を握り、顔を見る。
ニッコリとほほ笑んだツンと、
少しだけぎこちなく笑ったデレ。
それを見たツンが、一度頬を膨らませた後にさっきよりもにっこりとほほ笑む。
そしてデレが、今度は泣きそうな顔で笑顔を見せた。
「そろそろ時間だぞー」
そんな二人に男が声をかけた。
ξ゚⊿゚)ξ「!もうそんな時間か!」
ζ(゚ー゚*;ζ「!」
驚いて横を向いたデレと、立ち上がって周囲を見るツン。
.
33
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/24(火) 23:15:02 ID:Y.9qViVM0
ζ(゚ー゚*ζ「え?あ?」
( ^Д^)「ちーっす」
ζ(゚ー゚*ζ「あ、ち、ちーっす」
( ^Д^)「お、結構ノリが良い」
片手をあげて手のひらを近づけたプギャー。
デレがその手のひらに自分の手のひらを近づけると、
プギャーは軽く叩いた。
ξ゚⊿゚)ξ「もう近いの?」
( ^Д^)「ああ。五メートルってところかな」
最初に使っていた物とも違う細剣を出し周囲を伺うツンに、
プギャーがのんきに答えた。
ζ(゚ー゚*ζ「え?え?」
ξ゚⊿゚)ξ「多分あんたのことも使い捨てにするつもりだったんでしょうね。
あいつら。
ほら、さっさと立って武器持って。
斧の予備が無いなら棍でもいいから」
ζ(゚ー゚*ζ「両手斧の予備はあるけど……」
立ち上がりながらウインドウを操作して武器を取り出すデレ。
そして周囲を伺う。
ζ(゚ー゚*ζ「でも……」
ξ゚⊿゚)ξ「ここは、ある一定の条件下で『出る』のよ。
アレが」
ζ(゚ー゚*ζ「え?で、出るって?」
.
34
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/24(火) 23:16:20 ID:Y.9qViVM0
( ^Д^)「ある一定の時間決まった小人数だけがこの場にいると、
出没するモンスターが居るんだ」
ζ(゚ー゚*ζ「え?」
( ^Д^)「このフロアが解放されてあんまり人が来なくなってから発見された状況だけどな」
ξ゚⊿゚)ξ「プギャー、あとどれくらい?
あと、あんた指揮出来る?」
( ^Д^)「あと3メートルってところだな。
出来るわけないだろ」
ζ(゚ー゚*ζ「ね、ねえ、ちょっと出るってなにが?」
ξ゚⊿゚)ξ「デレ、円形放射系範囲攻撃の準備して。
しょうがないからタイミングは私が執る」
ζ(゚ー゚*ζ「な、何?どういう事?」
戸惑いながらも武器をかまえるデレ。
ζ(゚ー゚*ζ「も、もうモーションに入っていいの?
あと技は水平に扇状にひろがるタイプで良いよね」
ξ゚⊿゚)ξ「『スクーレアトラオーネ』?」
ζ(゚ー゚*ζ「え?あ、う、うん」
ξ゚⊿゚)ξ「うん、技は上等よ!
硬直時間も最大15秒まで使っていいから威力最大でやってね。
あと確かあれはモーションも30秒まで待機大丈夫よね」
ζ(゚ー゚*;ζ「は、はい」
ξ゚⊿゚)ξ「プギャー?」
( ^Д^)「もうすぐだな。10秒くらいで分かるはずだ」
.
35
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/24(火) 23:17:34 ID:Y.9qViVM0
ξ゚⊿゚)ξ「了解。デレ、もう少し待って。
ただ準備はするとして、
森を背に草原を見て構えた状態でいて」
言われた通りに動くデレ。
ツンとプギャーは技に巻き込まれない位置に移動する。
ζ(゚ー゚*ζ「ね、ねえ」
ξ゚⊿゚)ξ「技を出した後の硬直状態時は私とこいつで守るから安心して。
その後はこいつのスキルを使って出来るだけ敵が少ない道を使って脱出するからついてきて。
基本的には周囲に来る敵を一撃当てて怯ませて深追いは無し。
移動に重点を置いて、逃げるわよ」
ζ(゚ー゚#ζ「そうじゃなくて!だから何が出るのよ!?」
( ^Д^)「出るぞ」
三人の視線の先、2メートルほど離れた場所の地面が隆起する。
ζ(゚ー゚*ζ「え?」
直径1メートル、高さ30センチほどに隆起した地面。
ζ(゚ー゚*ζ「なにこれ」
一つ隆起したと思うと、
視界一面に次々と円錐が生まれる。
それは三人を中心にした半径二メートルほどの空間以外の地面で起こった。
ζ(゚ー゚*;ζ「え?え?」
ξ゚⊿゚)ξ「デレ準備!」
ζ(゚ー゚*ζ「う、うん!」
ξ゚⊿゚)ξ「今から相手するのは『フルミトープ』。
モグラアリって呼んでる蟻の形をしたモンスターよ」
ζ(゚ー゚*;ζ「はあ?」
.
36
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/24(火) 23:19:09 ID:Y.9qViVM0
一番最初に出来上がった円錐の先端がはじけ、
中から新たな円錐が見えたと同時に円錐がはじけ、
中から人と同じ大きさの蟻が現れる。
ζ(゚ー゚*ζ!!
二足で立ち上がり、手に持った槍を構えて三人を見ている。
ζ(゚ー゚*ζ「ひっ!」
ξ゚⊿゚)ξ「まだ撃たないで!
こいつは集団で出てくるの!」
デレは顔を引きつらせながら両手斧を持つ手に力を籠めるデレ。
ζ(゚ー゚*;ζ「集団!?」
デレの叫びと同時に全ての三角錐がはじけ、
中から巨大アリが現れた。
ζ(゚ー゚*ζ「 」
その光景に思わず呆けたデレ。
ツンの声が響く。
ξ゚⊿゚)ξ「今よ!」
ζ(゚ー゚*ζ「!は、はい!」
デレが赤く光った両手斧を左から右に一閃すると、
扇状に衝撃波が放たれた。
巨大アリ「「キーーーーーーーー!!!!!!!」
技後硬直しながら見つめるデレ。
ξ゚⊿゚)ξ「プギャー!」
.
37
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/24(火) 23:20:52 ID:Y.9qViVM0
( ^Д^)「はいはい」
デレの手から斧がツンに奪われ、
その体をプギャーが横抱きにする。
ζ(゚ー゚**ζ「えっえっえっっっ!!!?」
いわゆるお姫さま抱っこと呼ばれるものである。
ξ゚⊿゚)ξ「行くわよ!」
巨大斧を服の装飾リボンで背中に固定すると走り出すツン。
( ^Д^)「右に少し修正!そっちの方が薄い!」
ξ゚⊿゚)ξ「了解!
とりゃあ!」
ζ(゚ー゚*ζ「えっちょっなにこれ!」
ξ゚⊿゚)ξ「硬直時間でも無駄にできないのよ!
硬直時間過ぎたらもう一回行くわよ!」
ζ(゚ー゚*ζ「は、話が違うでしょ!」
ξ゚⊿゚)ξ「言ったら嫌がるでしょ!」
ζ(゚ー゚*ζ「何でこんなことに!」
ξ゚⊿゚)ξ「ここを脱出したら教えてあげるわよ!」
喋りながらも少しずつ湧き出る敵を一撃で葬り続けるツン。
ζ(゚ー゚*ζ「なんなのー」
.
38
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/24(火) 23:22:00 ID:Y.9qViVM0
( ^Д^)「(とりあえず一番悲しいのは、
男をお姫さま抱っこして走っているおれだよな。
……男、……なんだよな。
ツンより女らしいけど。
胸は詰め物かな)」
ξ゚⊿゚)ξ「プギャー!
こっちで良いの!?」
( ^Д^)「あ、ああ。
大丈夫。そっちが一番薄いし出口に向かってる」
ξ゚⊿゚)ξ「そう。わかった。
方向指示は任せたわよ。
あと、全部終わったら話があるから覚えておきなさい」
(;^Д^)「お、おう。
(ブーンとドクオに気を付けろって言われてたのに!
っていうかなんで分かるんだよ!)」
ξ゚⊿゚)ξ「女の勘よ!!
とりゃああああああああああ!!!!」
(;^Д^)「おれの心の声と会話をするなーーーー!!!!」
ツンが敵を倒しながら走る後ろを、
プギャーがデレを抱き上げたままついて走った。
.
39
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/24(火) 23:24:00 ID:Y.9qViVM0
以上、本日はここまでです。
こらからこちらで宜しくお願いします。
ではではまたー。
40
:
名無しさん
:2017/10/24(火) 23:49:33 ID:uMTFntx.0
待ってた乙!
41
:
名無しさん
:2017/10/25(水) 00:00:57 ID:uhpuqiwQ0
おつ
42
:
名無しさん
:2017/10/25(水) 10:13:38 ID:HDBldea.0
デレはネカマかー
43
:
名無しさん
:2017/10/25(水) 18:35:54 ID:kbpM2Ep20
男の娘と呼ぼう
44
:
名無しさん
:2017/10/25(水) 22:48:57 ID:jjFzhxfI0
いやーまってたまってた。おつ!!!
45
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/25(水) 23:07:42 ID:/T2YtcK.0
36.
ヒッキーがドクオの喉に剣を突き立てようとした時、
茂みから飛び出した彼女は持っていた武器を力任せに投げた。
(;-_-)「おっと」
少しだけ慌てたように後方に跳びつつ飛んできた長柄の鎌を片手剣ではじく。
从;゚∀从「ドクオ!」
ドクオのそばに駆け寄るハイン。
肩を抱き、背後からその体を抱きしめる。
从;゚∀从「ドクオ!ドクオ!ドクオ!ドクオ!ドクオ!ドクオ!」
('A`;)「もちつけハイン」
从;゚∀从「良かった、良かった。
生きてる、生きてるよー。
ドクオー」
涙目で抱きつくハイン。
その彼女の頭を、ドクオは優しくなでる。
('A`;)「いいから落ち着け」
从;゚∀从「あ、ご、ごめん!
最後まで見ていろって言われてたのに出てきちゃって。
でも、でも」
('A`;)「怒ってないから落ち着けって。
出てきてくれなきゃ死んでた可能性があるから助かったよ。
ありがとう」
.
46
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/25(水) 23:08:56 ID:/T2YtcK.0
从*゚∀从「あ、ご、ごめん抱きついちゃったりして。
あー。でも生きてる。良かった」
('A`;)「あーうん。ありがとう。
ところでおれの声聞こえてる?」
从*゚∀从「もちろん!」
('A`;)「聞こえてるけど伝わってないパターン?」
从*゚∀从「大丈夫!分かってる!」
('A`;)「えっとじゃあ、あそこで睨んでる人いるから離れてもらえるかな」
从 ゚∀从「……ちっ」
('A`;)「え?」
从 ゚∀从「とりあえずあいつを倒せばいいってことで」
立ち上がりヒッキーを見るハイン。
ヒッキーは苦虫を噛み潰したような渋い顔をしつつ二人を睨んでいた。
(#-_-)「男装の麗人でヤンデレとか盛り込みすぎだろ」
从 ゚∀从「?何を言ってる」
('A`;)「いや、別にハインはヤンデレではないと思うけど」
(-_-)「……どうでもいい。
殺すのが二人に増えただけだ」
表情を変えて二人を見るヒッキー。
从 ゚∀从「ふっ。私たち二人を相手に殺せるとか」
.
47
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/25(水) 23:10:24 ID:/T2YtcK.0
(-_-)「君たちの武器は僕が預かっている。
予備は持っているだろうけど、
これに比べれば落ちるでしょ。
そんな武器で僕と戦えると思ってるの?」
从 ゚∀从「何言ってんだお前?」
手を振るハイン。
現れる長柄の鎌を持って構える。
その鎌はヒッキーに投げた鎌と同じように見える。
(-_-)「ふっ。だからそんな武器……で……えっ?」
从 ゚∀从「ドロップ品ならともかく、
私達の武器はほぼ全部兄者に作ってもらってるからな。
最低でも素材は二つ分用意して、
同等の武器を作ってもらうようにしてるんだ」
(;-_-)「な、なんだよそれ」
从 ゚∀从「それに、大体みんな予備の方に強力な奴を用意してるし」
(;-_-)「な、なんで!?」
从 ゚∀从「だって今使っている武器で倒せない相手が出た時に、
それより弱い武器に持ち替えたって勝てるわけないだろ?」
(-_-)!!
从 ゚∀从「だからそういう風にしてるんだ。
最低でも同等の武器を持つこと。
出来ればさらに強い武器を持っておくこと」
(;-_-)「そ、そんなのずるい!」
.
48
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/25(水) 23:12:15 ID:/T2YtcK.0
从;゚∀从「いや、ずるいって言われても……。
ねえ。どっくん」
('A`;)「あー。まぁ普通は今持ってる武器が一番強いのが普通だからなぁ。
でもほら、うちはギルマスが特殊だから。
奥の手とか持ってないと不安になるタイプだし」
从;゚∀从「だなー」
('A`;)「それに武器落としの危険もあるけど、
武器破壊もされる可能性あるからさ」
(;-_-)「そんなことしてくる敵いないだろ!」
('A`;)「敵はなー。
モンスターは今のところ出てきてないか。
ボス戦では起きたって話は聞いたけど。
ただまあな、
うちにいるプレイヤーというかモンスターがそういうプレイスタイルだから、
自然と色々と対策を各人も考えているわけで」
从;゚∀从「……だなー」
(;-_-)「なんだよそれ!」
('A`;)「えっと……ごめん?」
(#-_-)「あやまるな!」
肩を上下させ、呼吸を荒くし、
全身で怒りを表しているヒッキー。
困惑した表情でドクオたち二人はそれを見ていたが、
ヒッキーはすぐに呼吸を落ち着かせた。
(-_-)「……まあいい。
いくら武器はちゃんとしていても、
部位欠損はまだ回復しない。
その足でどこまで戦えるか」
从 ゚∀从「『リペア』!」
.
49
:
名無しさん
:2017/10/25(水) 23:14:21 ID:TvxK6i.A0
これヒッキー涙目な展開か
50
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/25(水) 23:14:26 ID:/T2YtcK.0
ドクオの身体にポリゴンの光が集まり、
部位欠損をしていた足が元に戻った。
(-_-)「……え?」
从 ゚∀从「『修復結晶(リペアクリスタル)』」
(-_-)「……は?」
('A`;)「あー。
まだ市場には出回っていないレアアイテムなんだ。
というか、知ってるやつの方が少ないだろうな。
情報屋DBにも載せてないし」
(#-_-)「ふ、ふ、ふ、ふ、ふ」
从 ゚∀从「え?笑ってる?」
(#-_-)「ふざけるなーーーー!!!!!」
('A`;)「ああうん。
おれも多分同じ立場だったらそう思うと思う」
(#-_-)「ころす!ころす!ころす!ころす!ころす!
ぜったいにころす!」
二人の武器を後方に放り投げ、
片手剣を構えるヒッキー。
ドクオの前に立とうとするハインを押さえるドクオ。
从 ゚∀从「どっくん?」
('A`)「大丈夫だ。
今度こそ、見ていてくれ」
从 ゚∀从「……わかった」
鎌をかまえつつ、それでも後ろに下がるハイン。
そしてドクオはやる気がなさそうに武器をかまえた。
.
51
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/25(水) 23:15:58 ID:/T2YtcK.0
('A`)「ヒッキー、悪かったな」
(#-_-)「はぁ!?」
('A`)「甘く見ていたわけじゃない。
手加減をしていたわけじゃない。
けれど、戦い方は確かにおれの本来のスタイルではなかったかもしれない」
(#-_-)「知るかそんなこと!」
('A`)「ああ。そりゃそうだ。
でも言っておく。
いままでは、おれが成りたかったスタイル。
けど、今のおれにはまだ無理だった。
だから、これからは、おれのスタイルでお前と戦う」
(#-_-)「はっ!それなら勝てるとでもいうのかよ!」
('A`)「……ああ」
駆け出すドクオ。
(#-_-)「不意打ちのつもりか!」
ドクオの動きに合わせて片手剣を動かす。
そしてその時、ヒッキーの視界からドクオが消えた。
('A`)「勝つよ」
ヒッキーの身体に刺さるドクオの片手剣。
(-_-)「!?」
自分のHPが急激に減るのを視界の隅に確認しながらドクオの姿を追って足を動かすヒッキー。
そして剣を振り下ろすが既にその場にドクオはおらず、
逆に自分の武器を持つ手首が切り裂かれるのを見た。
.
52
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/25(水) 23:17:20 ID:/T2YtcK.0
(-_-)「え?」
思わず漏れた一言。
腹が切り裂かれるのを感じながら、
地面に落ちる自分の武器と、
ポリゴンとなって消える右手を見た。
(-_-)「どういうこと……」
既にヒットポイントは赤くなっており、
あと二回胴体を切り裂かれれば自分は死ぬであろうことが分かるヒッキー。
恐怖に強張り動かなくなる身体。
何かが割れる様な音が聞こえると、
赤く染まった片手剣が自分の身体を切り裂くのが分かる。
(-_-)「や……だ……死にたく……ない……」
意識せず膝をついてしまった自分に驚きつつ、
無意識にドクオの姿を探すヒッキー。
そして目の前にいた彼に懇願するような顔で見つめた。
('A`)「今のは麻痺毒と睡眠毒の混合毒だ。
両方の耐性を最高まで上げてあっても、効く」
(-_-)「なんだよ……それ……。
ずるい……よ……」
地面に横たわるヒッキー。
死なないことに、
殺されないことに安心したのか、
表情は元に戻っている。
.
53
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/25(水) 23:18:53 ID:/T2YtcK.0
('A`)「それはおれもそう思う。
ただこれ、対プレイヤーにしか効かないから、
ほぼPK専用なんだよ。
だからこれが世に出ることは無い」
(-_-)「……手も足も……でなかった」
('A`)「おれの持ち味は気配を消して死角からの攻撃だからな。
真正面から、しかも相手がおれに、
おれの動きに注目して武器を動かしてくれれば、
そこに生まれた死角と隙を読んで攻撃できる」
(-_-)「……なんだよそれ……」
('A`)「もちろんレベル差や能力差があれば通用しないけどな。
お前相手なら、勝てるよ。おれは」
(-_-)「……ひでぇな」
口元をゆがめる。
(-_-)「なあ、……ロマネスクを……」
最後まで言えず、眠りに落ちるヒッキー。
('A`)「……」
足元で倒れているヒッキーを見つめるドクオ。
从 ゚∀从「どっくん……」
('A`)「……ハイン。
そうだな……効果が切れる前に回廊を開いて、
向こうで待ってる風林火山の人達に渡さないと……」
ドクオの背中に抱きつくハイン。
('A`)「ハイン?」
.
54
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/25(水) 23:21:35 ID:/T2YtcK.0
从 ゚∀从「無理しないで。
どっくん、プレイヤーを攻撃するの本当に嫌いなの、
私は知ってるから」
('A`)「……ハイン」
从 ゚∀从「どっくんは理性で感情を押し殺して無理するから、心配」
('A`)「大丈夫。
今日は最初から覚悟していたし。
でも、そうだな。
今日が無事に終わったら、
明日は気分転換に一緒に出掛けてもらえるかな?
ほら、この前言ってたカフェとか?
その……フラワーガーデン?とか?」
从 ゚∀从「…… …… …… え?」
('A`)「あ、いや、その、嫌だったらいいんだけどその、
デキレバイッショニデカケタイナナンテオモッタリシタンダケドドウカナ」
从*゚∀从「い、い、行く!
行く!行く!
絶対行く!
シャキンとかに邪魔されたら殺してでも行く!
っていうか今から行こう!
さっさとこいつ牢獄に押し込んで!
ほらさっさと!」
('A`;)「いや殺すのはやめてほしいのと、
とりあえず全部終わるまでは各チームのフォローとかしないとだし」
从*゚∀从「初めてどっくんから狩り以外誘われたから!」
('A`)「あ、そうだっけ?」
从*゚∀从「どうしよう!服何着ればいいか分からないから!
ツンに新しいの作ってもらうから!」
.
55
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/25(水) 23:22:41 ID:/T2YtcK.0
('A`)「狩りは最近よく行ってたからな」
从*゚∀从「緊張してるから!」
('A`)「ところでなんで口調がフサギコみたいになってんの?」
从*゚∀从「楽しみだから!」
('A`;)「ああ、うん。
ま、いいか。
とりあえず、回廊結晶使うから少し離れてて」
結晶を取り出しつつ少し離れるドクオ。
('A`)「おれも楽しみだし、
……緊張、してる」
ドクオの呟きは、浮かれているハインには聞こえなかった。
.
56
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/25(水) 23:27:49 ID:/T2YtcK.0
以上、引っ越し記念の連続投下でした。
乙や感想、ありがとうございます。
ではではまたー。
57
:
名無しさん
:2017/10/25(水) 23:59:53 ID:fAM7GCvo0
お疲れ様だから!
次も楽しみにしてるから!
58
:
名無しさん
:2017/10/26(木) 00:01:22 ID:WiWq7.oc0
寝る前に更新してみたら更に投下きてた!
面白かったよ!おつ!!
59
:
名無しさん
:2017/10/26(木) 01:10:59 ID:YTipdAhU0
こいつらマジですげぇ
60
:
名無しさん
:2017/10/26(木) 19:37:33 ID:E7A5LZ460
おつう
61
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/26(木) 23:02:37 ID:nmMoCbVE0
37
(゚、゚トソン「残り通常5発!」
( ゚∋゚)『了解!もう一匹が再ポップするまでの間、
残り3発でキープしてくれ!
デミタス!ミルナと交代!
デミタスはHP回復優先!
襲撃者はクーが片付けているはずだが周囲の警戒は継続!
エクスト!おれとスイッチして重攻撃の準備!』
目の前の兵隊蟻のHPバーを確認したトソンが誰に向けてか分からない報告をすると、
クックルは仲間にしか聞こえない声で追加の指示を出し、
更に仲間達にも指示を出した。
(゚、゚トソン
(´・_ゝ・`)
( ゚д゚ )
三人は頷きもせず視線も交わさず身体を動かし、
<_プー゚)フ「うをおおおおおおりゃあああああああ!」
エクストは最後のHPバーを黄色に変えた巨大蜘蛛相手に両手剣を振り回していた。
( ゚∋゚)『エクスト!』
クックルがエクストの背後で彼の名を呼ぶ。
<_プー゚)フ
ちらりと後を気にしてから更に両手剣を振り回すエクスト。
そして硬直時間をほぼゼロにするまで鍛え上げた剣技を放つ。
.
62
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/26(木) 23:04:18 ID:nmMoCbVE0
( ゚∋゚)『スイッチ!』
巨大蜘蛛がエクストの剣技で後退した瞬間に飛び出すクックル。
エクストはそのまま後ろに下がる。
( ゚∋゚)『おれの攻撃で赤に変える!』
流れるような棍さばきで巨大蜘蛛を攻撃するクックル。
巨大蜘蛛の攻撃はほぼすべてが棍によって向きを変えられ、
流されている。
攻撃を見極めることが出来ているのはもちろんだが、
レベルに余裕があるからこそできる戦い方だった。
( ゚∋゚)『そのタイミングでエクスト!ミルナ!重攻撃!とどめを刺そう!』
<_プー゚)フ!
( ゚д゚ )!?
(´・_ゝ・`)!?
(゚、゚トソン!?
クックルの言葉に思わず体を強張らせる三人。
エクストのみ不敵な笑みを浮かべて両手剣を頭上に掲げている。
( ゚д゚ )「お、おいエクスト」
<_プー゚)フ「ん?」
( ゚д゚ )「おれたち三人の最上級剣技で倒せ」
<_プー゚)フ「計算だと無理じゃね?
多分削り切れないだろ」
駆け寄り、小声で話しかけてきたデミタスの言葉に被せる様に小声で喋るエクスト。
63
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/26(木) 23:05:44 ID:nmMoCbVE0
( ゚д゚ )「ならなんで笑ってられるんだ」
<_プー゚)フ「このギルドの戦闘で、
指揮者の言葉を信じないでどうすんだ?」
不思議そうに問いかけるエクスト。
( ゚д゚ )!
<_プー゚)フ「それに今は覚悟を決めたクックルが指揮者だ。
どんな結末が出るか楽しみだよな」
( ゚д゚ )「……ああ、そうだな」
ニヤリと笑ったエクストの横顔を見ながら、
ミルナが口元を忌々し気にゆがめた。
( ゚д゚ )「(こいつに教えられるとはな)」
苦笑と呼ぶにふさわしい表情で離れようと心配そうにこちらを見る二人に気付く。
再ポップした兵隊蟻と戦いながらこちらを気にするデミタスと、
周囲を警戒しつつ心配げなトソン。
ミルナは笑顔で二人に頷いた。
薙刀を下段に構え、周囲を警戒するクー。
その周囲を木々に隠れる様に襲撃者が走り回っている。
川 ゚ -゚)「(ふむ……)」
走り回る襲撃者の位置を、
視界に頼ることなく感覚で掴んでいるクーもただ者ではないのだが、
本人に自覚は無く襲撃者も甘く見ていた。
.
64
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/26(木) 23:06:50 ID:nmMoCbVE0
川 ゚ -゚)「(予想よりかは手強いが、まあそれだけだな。
想定の範囲内だ)」
(襲撃者2)「(おれの位置が分からなくて棒立ちか。
これならあいつが来る前におれ一人で……。
い、いや、ダメだ。あの女はそこまで強くないが弱いわけじゃない。
念には念を入れて確実に勝たないと)」
時折木の陰に立ち止まりつつも走り回る襲撃者。
川 ゚ -゚)「(さて、そろそろ決着を付けにくるかな。
狙うとしたら背後、右に武器を持っているから左後方からくるか……。
ま、やることは変わらないか。
麻痺毒の効き目はまだ大丈夫だが、
早めに片付けて合流したいところだ)」
(襲撃者2)「(……よし)」
襲撃者が視界の片隅に仲間を確認し、片手剣を持つ手に力を込める。
(襲撃者2)「(あいつは、あいつらは、俺達を殺そうとはしない。
ならばこれで……いける!)」
(襲撃者2)「死ねー!」
クーの右斜め前から飛びかかる男。
川 ゚ -゚)「ふむ」
冗談から振り下ろされる片手剣を薙刀で薙ぐクー。
(襲撃者2)!
クーの薙刀は剣を払うと円を描いて男を攻撃し、
そのHPを三分の一程削る。
(襲撃者2)「(ここまで削られるのか!?)
.
65
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/26(木) 23:07:56 ID:nmMoCbVE0
そしてクーは攻撃されて地面に落ちた男を見る事も無く、
薙刀を回しながら振り返り、
後ろから攻撃してきた男の片手剣を下から上に払った。
(襲撃者3)「!!」
しっかりと握っていたはずの剣が、
自分の武器が宙に舞うのを思わず視線で追う男。
その隙を見逃すほどクーは愚かでもなく、
男はその体に薙刀の攻撃を3回受けて崩れ落ちる。
(襲撃者3)「!」
視界の隅に浮かぶ自分の名前とHPバー。
赤に変わったそれと、麻痺を意味するアイコンを見ると同時に、
男は意識を手放した。
(襲撃者2)「!ちくしょう!」
既に振り返って自分を見ているクーに対して立ち上がって剣を振り上げた男。
そして自分に対して薙刀が振るわれた瞬間勝利を確信した。
(襲撃者2)「……え?」
だがその勝利の確信は次の瞬間に打ち砕かれる。
クーの薙刀は男の身体ではなく剣をはじき上げ、
そして左側の樹に刃先を突き立てた。
(襲撃者4)「ぐぇっ!」
刃先には今まで見えていなかった男がいた。
腹に刃を突き立てられた男は悲鳴を上げてクーを睨む。
だがすぐさま薙刀を引き抜いたクーは舞うように回転し、
薙刀の刃先で二人の男を二回ずつ切り裂いた。
.
66
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/26(木) 23:09:32 ID:nmMoCbVE0
襷で括っていた袖と、
動きを邪魔しない程度に広がっている袴が、
ふわりと揺れつつ元の状態に収まる時には、
二人の男はすでに地面に横たわっていた。
(襲撃者2)「な……ぜ……」
川 ゚ -゚)「おや。まだ意識があるのか。
抵抗を一番あげているところを見ると、
君がこの隊のリーダーということで良いか?」
(襲撃者2)「な……ぜ……」
川 ゚ -゚)「……ふむ。
まず、おそらく薙刀ではこの森の中での戦闘は不利と思っていたと思うがどうだ?
薙刀は長柄物ではあるが、
武術としては日本家屋の中でも戦える武術だ。
周囲に樹があろうが、
この程度では動きを阻害されることは無い。
あと襲ってくる者の数だが、
もともと何人いても倒すつもりでいるから何人いようと関係ない。
それに私は薙刀の届く範囲にいる者を見逃すような教育は受けていないのでな。
そこに人がいるならば、私に敵意があるのならば、私には分かるんだよ」
袂に手を入れるクー。
出したその左手は、
緑色に濡れた針をつまんでいた。
川 ゚ -゚)「悪いが、眠ってもらう。
……と、もう寝ているか。
最後のあがきだったか」
針を袂に戻す。
川 ゚ -゚)「ま、木に隠れていた男を見つけられたのはこれのおかげなんだがな。
そこまで教えてやる必要はないだろう」
そのまま左手で髪に隠れたピアスにふれる。
.
67
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/26(木) 23:21:58 ID:nmMoCbVE0
川 ゚ -゚)「まったく、もう少し小さくしてくれないと困ると言ったのにこんなに大きくするとは、
モララーの腕もまだまだだな」
決して大きくない紫色の小さな花を指先で撫でる。
川 ゚ -゚)「とはいえこれのおかげで対して高くない私の『看破』スキルが最高値になっているわけだから、
プラスマイナスで少し文句を言う程度で済ましてやろう」
そして倒れている男たちを見回す。
川 ゚ -゚)「ツンと違って私一人では一人を運ぶのも無理だな。
皆を呼んでこよう」
そう呟くと、
クックル達の戦っているであろうスペースに向かって歩き始めた。
クックルの放った一撃が巨大蜘蛛のHPバーを赤に変えた。
( ゚∋゚)『スイッチ!!!』
後退りし動きを止めた巨大蜘蛛に向かって両手剣を振り下ろすエクスト。
<_プー゚#)フ「とりゃああああああああああ!!!!」
深紅に光らせた真っ赤な両手剣は攻撃と同時に赤い光をまき散らす。
( ゚∋゚)『ミルナ!』
(#゚д゚ )「ふんっ!」
.
68
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/26(木) 23:23:06 ID:nmMoCbVE0
緑色に光る斧の五連撃。
上、下、右、左、と流れる様に斧が蜘蛛を裂き、
最後に大きく中心を切り裂いた。
<_プー゚)フ「クックル!」
( ゚д゚ )「クックル!」
同時に聞こえた二人の声に背中を押されて棍を突き出すクックル。
実際の太さを3倍ほど太くした光を纏った棍は、
巨大蜘蛛の胴体を大きく抉った。
(´・_ゝ・`)!
(゚、゚トソン!
<_プー゚)フ!
( ゚д゚ )!
四人の視線の先で巨大蜘蛛のHPバーの光が消えていくが、
最後の一つが残る。
<_プー゚;)フ「ちっ」
(;゚д゚ )「くっ」
(;´・_ゝ・`)「おいおい」
(゚、゚;トソン「クックルさん!」
硬直している身体を無理矢理動かそうとするエクストとミルナ。
駆け出すデミタス。
蟻を葬ったトソンが思わず声をかける。
( ゚∋゚)
巨大蜘蛛の前で無防備に立ち尽くすクックル。
.
69
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/26(木) 23:24:53 ID:nmMoCbVE0
巨大蜘蛛がその体に攻撃をしようと両手を振り上げる。
( ゚∋゚)『大丈夫』
クックルがニヤリと笑った瞬間、
巨大蜘蛛の体の中心を、
頭から胴体の先までを、
青い光が走った。
<_プー゚)フ「へ?」
( ゚д゚ )「は?」
(´・_ゝ・`)「……ああ」
(゚、゚トソン「……そういう事ですか」
六人の目の前でポリゴンと化す巨大蜘蛛。
五人の視線は降り注ぐポリゴンを払っている六人目に注がれる。
( ゚∋゚)『ナイスタイミング』
<_プー゚)フ「弟者!?」
( ゚д゚ )「弟者!」
(´・_ゝ・`)「弟者」
(゚、゚トソン「弟者さん」
(´<_` )「美味しいところ総取りいただきました」
事もなげに笑顔を見せる弟者。
( ゚∋゚)『兄者は?』
(´<_` )「え、ああ……」
川 ゚ -゚)「早く行け。回廊結晶は持ってるな?」
横の樹の影から出てきたクーが声をかける。
.
70
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/26(木) 23:27:48 ID:nmMoCbVE0
(゚、゚トソン「クーさん!良かった……」
(´<_` )「クー。……ああ」
( ゚∋゚)『こちらはもう大丈夫だ』
(´<_` )「……すまん」
逡巡したのちに踵を返す弟者。
川 ゚ -゚)「弟者、」
(´<_` )「ん?」
川 ゚ -゚)「ちゃんと回廊結晶を使わせろよ」
ふり返った弟者に真剣な顔で告げるクー。
(´<_` )「ああ、分かってる」
そしてすぐに前に向き直し、やってきた道に向かって走り出す弟者。
<_プー゚)フ「え?何?」
( ゚д゚ )「あー」
(´・_ゝ・`)「まあ」
(゚、゚トソン「えっと……」
<_プー゚)フ「え?おれ以外みんな分かってるの?」
( ゚д゚ )「あー」
(´・_ゝ・`)「まあ」
(゚、゚トソン「えっと……」
<_プー゚)フ「ひっでー!教えてくれよー!」
.
71
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/26(木) 23:30:33 ID:nmMoCbVE0
川 ゚ -゚)「あとで教えてやるからこっちを片付けるの手伝ってくれ。
倒れている奴らを黒鉄宮にぶっこむ」
既に弛緩している空気を感じて眉間に皺を刻むク。
しかし自分の指示で男四人がぞろぞろとクーが出てきた茂みに向かって歩き出すのを見て、
皺を消して口元を緩めた。
そして四人に続こうとするトソンを呼び止める。
川 ゚ -゚)「トソンは良い。
こういうのは男の仕事だからな」
(゚、゚トソン「え?ああ……はい」
ニッコリとほほ笑んだトソンを見て、
クーは一つ終わったことを感じながら、
この場にいない仲間たちの事を思いながら空を見た。
.
72
:
名無しさん
:2017/10/26(木) 23:40:35 ID:nmMoCbVE0
引っ越し記念の連続投下は昨日だけじゃなかった!
ということで本日の投下を終了します。
おつや感想、本当にありがとうございます。
またよろしくお願いします。
ではではまたー。
73
:
名無しさん
:2017/10/26(木) 23:53:54 ID:W45NDZIk0
おつおつ!
74
:
名無しさん
:2017/10/26(木) 23:56:46 ID:ZXbGxkuIO
おつ!
向こうのスレの埋めは閑話の投下でもあるのかな?
75
:
名無しさん
:2017/10/26(木) 23:57:11 ID:3nz9T.sgO
お疲れ様でした!
76
:
名無しさん
:2017/10/27(金) 21:46:24 ID:loyvFCiA0
乙
77
:
◆IdIQLHp8Vc
:2017/10/27(金) 23:48:16 ID:Mjkaa9AM0
38.
(;´ー`)「ブーン!」
|; ^o^ |「ブーンさん!」
散乱する片手剣。
宙を舞うポリゴンの欠片。
その中で倒れているブーンに駆け寄る二人。
(;´ー`)「おい!ブーン!」
|; ^o^ |「だ、大丈夫ですか!?」
( -“ω-)
(;´ー`)「練習の時よりひどいだーよ」
|; ^o^ |「しっかりしてください!ブーンさん!」
ブーンを抱き上げて上半身を起こすシラネーヨ。
ブームはその正面に回り、ブーンの頬を軽く叩いた。
|; ^o^ |「ブーンさん!ブーンさん!」
(;´ー`)「HPバーも残ってるし、
もちろん消えていないから死んでいないことは分かるだーよ」
|; ^o^ |「でも、ただ眠っているだけのようにも見えません」
(;´ー`)「そんなことは分かってるだーよ!」
| ^o^ |「!こ、これをもう一度」
腰のポーチからクリスタルを取り出すブーム。
そしてタップする。
.
78
:
◆IdIQLHp8Vc
:2017/10/27(金) 23:49:21 ID:Mjkaa9AM0
◇『ξ゚⊿゚)ξ『そこまでよ!ブーン!終わりなさい!』』
ツンのホログラフが現れて叫んだ。
( “=ω-)「 」
|; ^o^ |「!反応が少し!」
(;´ー`)「あれのどこをそこまで好きなんだーよ」
|; ^o^ |「それは謎ですがもう一度!」
◇『ξ゚⊿゚)ξ『そこまでよ!ブーン!終わりなさい!』』
( “=ω-)「……」
| ^o^ |「変わりはないですね」
( ´ー`)「連打してみるだーよ」
| ^o^ |「え?」
( ´ー`)「『そこまでよぶーん』辺りで止めていっぱい呼ばせるだーよ」
| ^o^ |「はぁ……」
◇『ξ゚⊿゚)ξ『そこまでよ!ブーン!終わりなさい!』』
◇『ξ゚⊿゚)ξ『そこまでよ!ブーン!終わりなさい!』』
◇『ξ゚⊿゚)ξ『そこまでよ!ブーン!終わりなさい!』』
( ´ー`)「そうじゃないだーよ」
| ^o^ |「え?」
.
79
:
◆IdIQLHp8Vc
:2017/10/27(金) 23:50:36 ID:Mjkaa9AM0
◇『ξ゚⊿゚)ξ『そこまでよ!ブーン!終わり
◇『ξ゚⊿゚)ξ『そこまでよ!ブーン!終わ
◇『ξ゚⊿゚)ξ『そこまでよ!ブー
◇『ξ゚⊿゚)ξ『そこまでよ!ブーン!終
◇『ξ゚⊿゚)ξ『そこま
◇『ξ゚⊿゚)ξ『そこまでよ!ブ
◇『ξ゚⊿゚)ξ『そこまでよ!ブーン!
◇『ξ゚⊿゚)ξ『そこまでよ!ブーン!
◇『ξ゚⊿゚)ξ『そこまでよ!ブーン!
| ^o^ |「お!」
( ´ー`)「ふっふっふ。だーよ。
◇『ξ゚⊿゚)ξ『そこまでよ!ブーン!
◇『ξ゚⊿゚)ξ『そこまでよ!ブーン!
◇『ξ゚⊿゚)ξ『そこまでよ!ブーン!
( ´ー`)「どうだーよ」
( -ω-)「……」
| ^o^ |「反応はありませんが、表情は穏やかになったような……」
(;´ー`)「これで穏やかになるとかどうなってるだーよ」
.
80
:
◆IdIQLHp8Vc
:2017/10/27(金) 23:52:02 ID:Mjkaa9AM0
◇『ξ゚⊿゚)ξ『そこまでよ!ブーン!
◇『ξ゚⊿゚)ξ『そこまでよ!ブーン!
◇『ξ゚⊿゚)ξ『そこまでよ!ブーン!
◇『ξ゚⊿゚)ξ『そこまでよ!ブーン!
◇『ξ゚⊿゚)ξ『そこまでよ!ブーン!
◇『ξ゚⊿゚)ξ『そこまでよ!ブーン!
◇『ξ゚⊿゚)ξ『そこまでよ!ブーン!
◇『ξ゚⊿゚)ξ『そこまでよ!ブーン!
◇『ξ゚⊿゚)ξ『そこまでよ!ブーン!
◇『ξ゚⊿゚)ξ『そこまでよ!ブーン!
◇『ξ゚⊿゚)ξ『そこまでよ!ブーン!
◇『ξ゚⊿゚)ξ『そこまでよ!ブーン!
◇『ξ゚⊿゚)ξ『そこまでよ!ブーン!
◇『ξ゚⊿゚)ξ『そこまでよ!ブーン!
軽快にタップするシラネーヨ。
( ´ー`)「ちょっと面白くなってきただーよ」
◇『ξ゚⊿゚)ξ『そこまでよ!ブーン!終わり
◇『ξ゚⊿゚)ξ『そこまでよ!ブーン!終わ
◇『ξ゚⊿゚)ξ『そこまでよ!ブー
◇『ξ゚⊿゚)ξ『そこまでよ!ブーン!終
◇『ξ゚⊿゚)ξ『そこま
◇『ξ゚⊿゚)ξ『そこまでよ!ブーン!終わりなさ
◇『ξ゚⊿゚)ξ『そこ
◇『ξ゚⊿゚)ξ『そこ
◇『ξ゚⊿゚)ξ『そこ
◇『ξ゚⊿゚)ξ『そこま
◇『ξ゚⊿゚)ξ『そこま
◇『ξ゚⊿゚)ξ『そこまでよ!ブー
◇『ξ゚⊿゚)ξ『そこまでよ!ブー
◇『ξ゚⊿゚)ξ『そこまでよ!ブー
( ´ー`)「ひゃっひゃっひゃ。
高木さんを止めるツンだーよ」
|; ^o^ |「ねーよ……!あっ」
.
81
:
◆IdIQLHp8Vc
:2017/10/27(金) 23:53:30 ID:Mjkaa9AM0
シラネーヨの頭に振り下ろされる棍。
( ー ) ´ ` 「!!!」
ξ#゚⊿゚)ξ「何をあんたは遊んでるのよ」
右手に細剣を持ったまま、左手で持った棍でシラネーヨを叩いたツン。
(;´ー`)「攻撃したらオレンジになるぞ……って、なってない」
ξ#゚⊿゚)ξ「武器じゃないもので殴ったところでHPは減らないし、
HPが減らなければれば攻撃したことにもならないでしょ。
あんたの頭に衝撃を与えただけよ」
(;´ー`)「それが一番問題だーよ」
ξ゚⊿゚)ξ「って、ブーン!?
ブーム!説明して!」
武器を放り出してブーンの正面に駆け寄るツン。
突き飛ばされたブームが尻餅をついた身体を起き上がらせながら口を開いた。
| ^o^ |「ブーンさんが
『エンジェルホライズン』を使用して予定通り蟷螂は倒せましたが、
その後倒れたままこの状態です」
ξ゚⊿゚)ξ「技の時間は?」
後でデレがプギャーに「なに?エンジェルホライズンって。ださっ」
と笑いながら言っているのが聞こえるがとりあえず無視してブームに問いかけるツン。
| ^o^ |「練習と同じです」
ξ゚⊿゚)ξ「……そう……。
やっぱり短くなってるのね。
まったく。無茶するんだから」
そう言いながらブーンの耳元に顔を寄せる。
.
82
:
◆IdIQLHp8Vc
:2017/10/27(金) 23:55:34 ID:Mjkaa9AM0
ξ゚⊿゚)ξ「……ブーン、起きて」
囁くツン。
ξ゚⊿゚)ξ「ねえ、ブーン、起きて」
柔らかく、甘く囁く。
ξ゚⊿゚)ξ「ねえ。ブーン」
(*-ω-)
目を閉じたまま頬を染めるブーン。
何故か他の男三人も頬を染めている。
ξ゚⊿゚)ξ「ねえ。ブーン?」
(*-ω-)
ξ゚⊿゚)ξ「起きて」
(*-ω-)
ブーンの右耳を、左手で優しくつまむツン。
そして更に唇を耳元に寄せる。
吐息は既に当たり、
唇ですら触れそうな距離。
ξ#゚⊿゚)ξ「お、き、て」
(*-ω-*)
ξ#゚⊿゚)ξ「おきろーーーーー!!!!!」
そして叫んだ。
.
83
:
◆IdIQLHp8Vc
:2017/10/27(金) 23:57:48 ID:Mjkaa9AM0
( ^ω^)「おっおっおー。
酷いお。
まだ耳がキンキンするお」
力の入らない体を樹に預けて地面に座るブーン。
それを囲むようにツン達4人が立っていた。
ξ゚⊿゚)ξ「さっさと起きないあんたが悪い。
私が来たくらいから起きてたでしょ?」
( ^ω^)「おー。
何の事だかわからないおー。
無事でよかったお。ツン」
ξ゚⊿゚)ξ「まったく……。
ブーンもね。
ブーム、シラネーヨ、ありがとう」
( ´ー`)「役割をこなしただけだーよ」
| ^o^ |「そういう事なんです」
ξ゚⊿゚)ξ「それでもよ」
( ^ω^)「プギャーもありがとうだお」
( ^Д^)「ま、おれは撤退の手伝いだけだからな」
( ^ω^)「いくら弱くても、あの数を相手するのは大変だったはずだお」
( ^Д^)「あー。まあ……な」
頭を掻きながらチラリと離れた場所に立ちこちらを伺うデレを見た。
( ^ω^)「デレさんもありがとうだお」
ζ(゚ー゚*ζ「え?あ、いや、私は……その……」
ξ゚⊿゚)ξ「デレの範囲攻撃でかなり楽だったからね」
.
84
:
◆IdIQLHp8Vc
:2017/10/28(土) 00:00:31 ID:yBcYKiZs0
( ^Д^)「抱いて走るのは大変だったけどな」
| ^o^ |「……抱いて?走る?」
( ´ー`)「大人の階段をのぼっただーよ?」
( ^Д^)「その『抱く』じゃねーよぼけ!
っていうかおれはここに来る前に大人だアホ!」
ξ゚⊿゚)ξ「なに大声でセクハラ発言してるのよこのバカ共は」
( ^ω^)「おっおっおー」
ξ゚⊿゚)ξ「さて、とりあえず一回クーと合流したいけど……」
( ^ω^)「もう行けるお」
座るブーンを見るツン。
その視線を受けて立ち上がろうとするブーン。
しかしツンが頭を人差し指でつつくと、
バランスを崩してまた座ってしまった。
ξ゚⊿゚)ξ「その状態で行けるわけないでしょ」
(;^ω^)「おーー」
ξ゚⊿゚)ξ「プギャー、悪いけど合流場所まで付き合って。
もしまだ戦闘中なら参戦したいから宜しく」
( ^Д^)「ああ」
ξ゚⊿゚)ξ「ブームとシラネーヨもまだ疲れてるでしょ。
ここに居て休んでいて」
( ´ー`)「その言葉に甘えるだーよ」
| ^o^ |「ありがとうございます。
モンスターがポップした際はブーンさんは守ります」
ξ゚⊿゚)ξ「ああ。それはデレに任せるから大丈夫よ。
デレ、ここに居て三人の護衛宜しく」
.
85
:
◆IdIQLHp8Vc
:2017/10/28(土) 00:02:08 ID:yBcYKiZs0
ζ(゚ー゚*ζ「え!?」
ξ゚⊿゚)ξ「あんたならここに出てくる敵くらい簡単でしょ?
フォローはブームとシラネーヨにやらせればいいから。
二人もデレのサポートくらいなら大丈夫でしょ?」
( ´ー`)「それくらいなら大丈夫だーよ。ブームが」
| ^o^ |「もちろん私もやりますがシラネーヨも一緒にお願いします」
ζ(゚ー゚*ζ「え?ちょっと、え?私だよ?」
( ´ー`)「ツンがそう言ってるんだからしょうがないだーよ」
| ^o^ |「その通りです」
ζ(゚ー゚*ζ「はあ?」
( ^Д^)「デレ」
横に立ったプギャーがデレの肩をポンと叩く。
( ^Д^)「諦めろ。ここはそういうギルドだ」
ζ(゚Д゚*ζ「はあああああああ?」
ξ゚⊿゚)ξ「ブーン、クーと合流したら連絡するから」
( ^ω^)「了解だおー」
ζ(゚Д゚*ζ「ちょ、ちょっとツン!?
私を信じるわけ!?
あんた達も!?」
慌てて叫ぶデレ。
しかしツンは表情を変えず、
それを確認した四人の男は苦笑しつつデレを見る。
.
86
:
◆IdIQLHp8Vc
:2017/10/28(土) 00:03:18 ID:yBcYKiZs0
ξ゚⊿゚)ξ「私があんたを信じるの。
友達であるあんたをね、私は信じるの。
それだけよ。
あ、明日か明後日女子会やるだろうからあんたも参加よ。
拒否は認めないからね。
あと『天使の神速斬(エンジェルホライズン)』の名付け親は私だから、
覚えておきなさい」
ζ(゚Д゚*ζ「へ?」
ξ゚⊿゚)ξ「このエリアは貴方達が苦戦するような強い敵は出ないはずだけど、
一応気を付けるように。
じゃ、よろしく。
プギャー、行くわよ」
( ^Д^)「へーい」
視線でブーンと頷きあうと次のエリアに向かって駆けだすツン。
その後を追って走り出すプギャー。
呆然と立ち尽くすデレ
ζ(゚Д゚*ζ「はあ?」
( ^ω^)「デレさんデレさん」
ζ(゚Д゚*ζ「はあ」
( ^ω^)「考えたら負けだお。
感じるんだお」
ζ(゚Д゚*ζ「はあ?」
ニッコリとほほ笑むブーンと、
未だ呆然としているデレ。
そんな二人を見る二人の男は、
二者二様のため息をついた。
.
87
:
◆IdIQLHp8Vc
:2017/10/28(土) 00:10:28 ID:yBcYKiZs0
短くても連続投下してみたかった。
後悔はしていない。
おつありがとうございます。
連続投下はどこまでいけるのか。
ではではまたー。
88
:
名無しさん
:2017/10/28(土) 00:17:44 ID:Iw6Ik3bQ0
絶倫かよ乙
89
:
名無しさん
:2017/10/28(土) 00:27:58 ID:G8P6xeFM0
おつ!面白かった
90
:
名無しさん
:2017/10/28(土) 01:58:08 ID:BV57DLes0
いやはや乙!
91
:
名無しさん
:2017/10/28(土) 10:59:52 ID:LEMiU4MM0
おつおつ
モララーが気になるZE
92
:
名無しさん
:2017/10/28(土) 17:42:32 ID:5U9dKysU0
トリップ違うのはただのミス?
93
:
名無しさん
:2017/10/28(土) 17:47:13 ID:0UtIvIcE0
前スレ埋められたな
94
:
名無しさん
:2017/10/28(土) 17:59:21 ID:3NaFSOIA0
乙と誤字
>>3
修三 → 修造?
>>14
スキルあがるだけ → スキルがあるだけ
数値化も → 数値かも
>>71
皺を刻むク → 皺を刻むクー
95
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/28(土) 22:59:53 ID:yBcYKiZs0
39.
それは、戦闘と呼べるものではなかった。
襲い来る鎌に対峙するその動きに無駄は全くなく、
躱し、
去なし、
時に受け止め、
流し、
弾き、
翻弄する。
速さと威力を自在に使い分けていても当たらなければ意味が無く、
その体を傷付けることが出来たのは一度だけ。
おそらくはそれも頭のカーソルの色を変えない為だけの理由で受けたのだと思われる。
それでも鎌は紙一重で襲えている。
ほんの少し横にすれば、
力を強くすれば、
ダメージを与えられるかもしれない。
あの一撃は、
本当に攻撃出来たのかもしれない。
そんな希望を抱いてしまい、
男は鎌をふるって襲い掛かる。
その『希望』すらも、
対峙している男の策略だと気付かずに。
いや、もう気付いているだろう。
だが、それを認めることは完全な敗北を意味するため、
気付いていないふりをして、
男は攻撃を繰り出す。
.
96
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/28(土) 23:01:26 ID:yBcYKiZs0
/ ゚、。 /「ふんっ」
( ´_ゝ`)「おっとっと」
/ ゚、。 /「くっ」
( ´_ゝ`)「とりゃっ」
/ ゚、。 /「っ!」
( ´_ゝ`)「あらよっとっと」
ダイオードが振り下ろした鎌を兄者が鎚の柄で弾き、
浮いた鎌を鎚の頭で叩きダイオードの体勢を更に崩す。
そして動きの止まった身体をフェンシングの様なポーズをしつつ鎚で押すと、
ダイオードは尻餅をついて転んだ。
/ ゚、。 /「!?」
無防備な姿をさらしたダイオードが慌てて座ったまま鎌を構えるが、
追撃で鎚が振り下ろされることは無かった。
/ ゚、。 /「?」
( ´_ゝ`)「ダイオードちゃん良い表情だよー。
ハイこっち向いてー。
追撃への恐怖に慄いて良い表情だったよー」
その瞳に映るのは、
クリスタルを片手にこちらを見下ろす兄者。
/ ゚、。 /「!!」
立ち上がって鎌を振るダイオード。
( ´_ゝ`)「おっとっと。
あまり好きじゃなかったけど、
今となっては食べたいな。
ショボかフサに頼んでみるかな。
あー。でもショボはそういうジャンクフード食べたことあるのかな。
おぼっちゃんだし」
.
97
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/28(土) 23:02:42 ID:yBcYKiZs0
しかしその鎌も兄者の持つクリスタルに触れることは出来なかった。
/ ゚、。 /「それ を よこせ」
( ´_ゝ`)「えー。折角録画したのにー」
/ ゚、。 #/「よこ せ」
( ´_ゝ`)「これだけ奪っても仕方ないだろ?」
ポーチから記録結晶を四つ取り出す兄者。
( ´_ゝ`)「尻餅ダイオード。
ずっこけダイオード。
頭に乗られたダイオード。
勝利を確信してドヤ顔した後やられたダイオード。
鎌が木に当たって手をしびれさせたダイオード」
/ ゚、。 #/「ふざ けるな!」
鎌が兄者のいる場所に襲い掛かるが、
既にその場所に兄者はいない。
( ´_ゝ`)「これは中にしまって、新しい結晶を出して」
ウインドウを出して記録結晶を入れ替える。
( ´_ゝ`)「もっと良い表情撮れるかな」
/ ゚、。 #/「きさ ま」
( ´_ゝ`)「おれを殺さないとこれ取り戻せないぞー?
んで、取り戻さないと、これは殺人者の記録として広めるぞー」
/ ゚、。 /「ふざ、けるな」
( ´_ゝ`)「お、なんか口調が変わった?
やっぱりキャラ付けだった?
それだと兄者つまらないー」
.
98
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/28(土) 23:04:00 ID:yBcYKiZs0
空間を切り裂くような鋭い鎌の軌跡。
しかしそれのすらも兄者に当てることは叶わず、
勢い余って足元をふらつかせてしまう。
( ´_ゝ`)「お!これもいいねいいね。
表情と無様な恰好があってるよ!」
記録結晶を片手に兄者が笑う。
/ ゚、。 #/「ふ、ざ、け、る、な」
( ´_ゝ`)「ふざけなきゃ、
お前の相手なんかできるわけないだろうが。
/ ゚、。 /!
.
99
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/28(土) 23:09:09 ID:yBcYKiZs0
( ´_ゝ`)「鍛冶屋はな、
可哀想な職業なんだよ。
鍛冶のレベルをあげなきゃまともな物なんか作れない。
良い材料を集めなきゃ、
ちゃんとしたものを作れない。
良い材料を集めるには、
金で買うか命を懸けて自分が取りに行かなきゃいけない。
材料と叩くハンマーも良いものを使うには、
レベルをあげなきゃいけない。
しかもだ、
どんなに自身のレベルを上げて、
良いハンマーを使って、
良い炉を用意して、
最高の材料を使っても、
失敗する時はある。
そしてどんなに良いモノを作っても、
材料や苦労を考えた適正価格でも、
プレイヤーは高いとか言いやがる。
でもな、おれは、おれ達はまだ良い。
仲間がいるから。
しかも反則級の仲間だ。
他の鍛冶仲間に比べれば、
甘いって言われても仕方ないくらいの環境だ。
だがな、
お前が殺した皆はな、
全部自分でやって、
最高を目指してきた人なんだ。
更に自身の知識を人に分け与えていたような人なんだよ。
それもこれも、
強い武器を、
強い防具を、
命を守り戦うための装備を作るために、
それをプレイヤーに渡すために命を懸けてきたような人なんだ」
.
100
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/28(土) 23:14:46 ID:yBcYKiZs0
/ ゚、。 #/「関係、ない」
( ´_ゝ`)「ああ。
お前には関係ないだろうな。
でも、おれにとっても、
お前は関係ないんだよ。
だから、おれは、関係ないお前をどこまでも蹂躙する。
今ここで出来るだけ屈辱を味合わせ、
それを記録し、そして世に流す」
/ ゚、。 /!!
( ´_ゝ`)「お前は笑いものだな。
そして殺人鬼だ。
笑い者殺人鬼になるんだよ」
/ ゚、。#/「やめ ろ」
( ´_ゝ`)「ああ、でも、大丈夫だ。安心しろ。
これが世に広まるとき、
お前はこの世界にいないから」
無造作に振った兄者の鎚がダイオードの鼻先をかすめる。
/ ゚、。 /!
高い鼻の先端がほんの少しだけ当たりポリゴンに変わるが、
すぐに元に戻る。
/ ゚、。;/「 」
( ´_ゝ`)「お、良いね―その表情」
/ ゚、。;/「なん だ 今の は」
( ´_ゝ`)「ん?少しだけ本気出した。
ほら、おれってやればできる子だから」
記録結晶を宙に浮かべて鎚を振り回す兄者。
.
101
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/28(土) 23:16:42 ID:yBcYKiZs0
/ ゚、。;/「ひっ ひっ」
鎚の先がダイオードの身体をほんの少しだけかすり、
削り取る。
( ´_ゝ`)「なに?ラマーズ法っちゃう?」
すぐに元に戻るポリゴンの身体を、
無造作に削り取る。
( ´_ゝ`)「お前が産み出すモノなんて何もないけどな」
鎚を肩に担ぎ、記録結晶を回収する。
( ´_ゝ`)「良い画が撮れた」
/ ゚、。;/「お、おまえ も、殺人者 に なる」
( ´_ゝ`)「いいさ。
ゲームの中だ。
ゲーム内のPKだ。
MMORPGじゃよくあることだ」
新しい記録結晶を出す兄者。
そして喋りながらも鎚を振り回す。
/ ゚、。;/「ひっ ひっ」
( ´_ゝ`)「うるさいぞ」
ダイオードの鎌を弾き、
無防備にさらけ出されたその体を削る。
/ ゚、。;/「な ん なん だ」
( ´_ゝ`)「ん?」
/ ゚、。;/「おま えは、 いったい」
( ´_ゝ`)「 つまらん」
/ ゚、。;/「?」
.
102
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/28(土) 23:20:54 ID:yBcYKiZs0
( ´_ゝ`)「おれはギルドVIPのKei。
流石武具店の武器担当鍛冶師。
それ以上でも、それ以下でもない。
ま、VIPにいるのも今日までだけどな!」
/ ゚、。;/「!!」
宙を舞うダイオードの鎌。
鎚がダイオードの右手首から先を粉砕した。
/ ゚、。;/「なっ」
( ´_ゝ`)「この世界に、痛みは無い。
手が無くなろうが、
足が消えようが、
そこに痛みは存在しない。
与えられるのは衝撃のみ。
記憶から導き出される痛みを感じることはあっても、
経験以上の痛みはこの世界には存在しない。
だけど、恐怖は違う」
右手が無くなり呆然とするダイオードの右足甲を叩きつける鎚。
/ ゚、。;/「!」
( ´_ゝ`)「痛くはないだろ?」
ポリゴンと化した右足。
防具で固めてあった足を簡単に粉砕されたことに驚愕し、
ダイオードの思考が止まる。
( ´_ゝ`)「痛くは、無いよな」
容赦なく襲い掛かる鎚は左膝を叩く。
/ ゚、。;/「ガッ」
決して小さくはない衝撃がダイオードの左脚を襲う。
( ´_ゝ`)「ぬるぽはしてないぞ」
.
103
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/28(土) 23:23:24 ID:yBcYKiZs0
ふらついたダイオードの視線の先でポリゴンと化す左膝。
そしてその先の、左脚のすねから先がボトリと落ちる。
/ ゚、。;;/「ギャっ」
尻餅をついて叫んだダイオードの唇をかすめる鎚。
( ´_ゝ`)「うるさい」
/ ゚、。;/「ヒッ ヒッ ヒッ ヒッ ヒッ」
尻餅をついた姿のまま、
唯一無事である左手を使って後退るダイオード。
/ ゚、。;/「た、たす 」
( ´_ゝ`)「ふむ」
/ ゚、。/「 !!」
ダイオードの左肩に与えられた強い衝撃。
そのまま転がるダイオード。
/ ゚、。;;/「も、も う 」
手首の無い右腕を使って上半身を持ち上げるダイオード。
そして左腕が肩のすぐ先から消えている事に気付く。
/;゚、。;/「たす けて 」
見上げた視線の先に、男の顔。
自分を見る、男の顔。
/;゚、。;/「あ あ あ……」
そしてダイオードは心で理解した。
自分が、死ぬという事を。
.
104
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/28(土) 23:28:47 ID:yBcYKiZs0
無造作に鎚を肩に担いだ男の顔を見て、
初めて人の顔をしっかりとみて、
そして、わかった。
自分が、ここで死ぬということを。
/ ;、; /「たす け て
ゆるし て 」
もう記録結晶の事など頭から消えていた。
ただ、怖かった。
震える身体。
零れ落ちる涙。
懇願の言葉が自然と口から溢れる。
/ ;、。 /「おね がい しま す」
( ´_ゝ`)「ある意味あっぱれだな」
/ ;、。 /「 ? 」
( ´_ゝ`)「これだけの状況で、
助けてくれ、許してくれ、
って今の自分を生きながらせる要望だけで、
自分がしてきたことの懺悔が一つもない」
/ ;、。 /「!」
( ´_ゝ`)「お見事だよ」
.
105
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/28(土) 23:30:04 ID:yBcYKiZs0
/ ;、。 /「そ、それ は」
( ´_ゝ`)「おれも、心置きなくとどめをさせる」
そう言いながら鎚を両手で持って高く上げる。
/;゚、。;/「あ あ あ
た すけ て
死に たくない」
( ´_ゝ`)「安心しろ、その無様な姿はいつまでもどこまでも広めてやるから」
執拗に体を削り取られた攻撃と、
四肢を粉砕した攻撃によって、
既にダイオードのHPは赤く変わっている。
/ ;、。 /「ゆる して
ごめ んな さい」
強い一撃を受けてしまえばHPバーが光を無くすことは、
ダイオード自身が分かっていた。
( ´_ゝ`)「……さよならだ」
だがそんな懇願は意味をなさず、
ダイオードの頭に向けて、
鎚が振り下ろされた。
.
106
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/28(土) 23:32:12 ID:yBcYKiZs0
( ´_ゝ`)「っ!」
ダイオードの頭に当たるギリギリに、
横から飛んできた斧が鎚の柄に当たり、
その衝撃で鎚が飛ばされた。
(´<_` )「そこまでだ。兄者」
( ´_ゝ`)「……弟者」
息を整えつつ近寄る弟者。
投げた斧は兄者の足元に転がっており、
歩きながら腰に付けた投げ針を手にしている。
(´<_` )「必要ないみたいだけど、一応な」
恐怖で気を失ったダイオードを見下ろす弟者。
そして無造作に針を投げる。
(´<_` )「あとは黒鉄宮に送るだけだな」
ダイオードの頭の上に麻痺のアイコンが出たのを確認し、
兄者に顔を向けた。
(´<_` )「どうした兄者?
そんな顔して」
不思議そうに肩をすくめる。
(´<_` )「……何故、振り上げてるんだ」
鎚を振り上げている兄者。
倒れているダイオードを見ている。
.
107
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/28(土) 23:33:57 ID:yBcYKiZs0
( ´_ゝ`)「目を、閉じていてくれ」
(´<_` )「いやだ」
( ´_ゝ`)「頼む。
おれが人を殺すところを、
お前に見られたくない」
(´<_` )「なら、殺さなければいい」
( ´_ゝ`)「…………」
(´<_` )「だろ?」
( ´_ゝ`)「目を、閉じてくれ。頼む」
(´<_` )「……伝言がある」
腰のポーチから記録結晶を取り出す弟者。
そして再生する。
.
108
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/28(土) 23:37:25 ID:yBcYKiZs0
◇( ^ω^)「兄者、だめだおー。
そんなことしちゃダメなんだお。
絶対、絶対、駄目なんだお。
でも、信じてるお。
兄者はそんなこと出来ないって」
◇ξ゚⊿゚)ξ「止めときなさい。
あんたまで、背負うことは無いのよ。
しかも、そんな奴の」
◇川 ゚ -゚)「気持ちが分かるとは言えない。
言わない。
だが、そのあと兄者が苦しむのは分かる。
仲間として、友人として、見過ごすことは出来ない。
だから、言わせてもらう。
今すぐやめろ」
◇('A`)「あー。普通のMMOでも、
先輩はそういうことしなかったじゃないですか。
だから、やめた方が良いと思います。
絶対、あとで後悔すると思うんで」
◇川 ゚ -゚)「後でするのが後悔だな。
素直に『絶対後悔する』の方が良いと思う」
◇ξ゚⊿゚)ξ「こういう大事な時にあんたは」
◇('A`;)「……ごめんなさい」
◇(;^ω^)「おー」
◇(´・ω・`)「どうせギルドも抜けようとしてると思うけど、
抜けさせたりしないからね。
だから、胸張って会えるように、
また一緒にバカなこと出来るように、
変なことはしないように。
これはギルマス命令です」
◇ξ゚⊿゚)ξ「あんた、よくこの状況で話を進めるわね」
◇(´・ω・`)「あれ?撮り直しする?」
◇川 ゚ -゚)「流石だな」
◇('A`)「……兄者を止めるだけに」
◇(;^ω^)「ドクオ、それはちょっとどうかと」
◇ξ゚⊿゚)ξ「サイテー」
◇川 ゚ -゚)「フォローできんな。
するつもりもないが」
◇('A`;)「……ゴメンナサイ」
◇(´・ω・`)「とにかく、ダイオードはちゃんと黒鉄宮に送るように!
いいね!絶対だよ!」
◇( ^ω^)「無理矢理まとめたお」
◇ξ゚⊿゚)ξ「弟者!撮り直すわよ!」
◇川 ゚ -゚)「……それが順当だな」
◇('A`)「次は気を付けます」
◇(´・ω・`)「どうせまたこんな感じになると思うけど」
◇( ^ω^)「僕もそう思うお」
.
109
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/28(土) 23:39:28 ID:yBcYKiZs0
(´<_` )「撮り直したの見る?」
( ´_ゝ`)「……いや、いい」
腕は振り上げたまま、
けれど少しだけ表情に笑みを浮かべ、
弟者にゆっくりと視線を向けた。
( ´_ゝ`)「……なあ、弟者」
(´<_` )「いつか会えた時、絶対怒られるぞ。
下手したら、毎晩夢の中に出てきて説教される」
( ´_ゝ`)「……夢の中で、会えるかな。
でも、あの人たちに説教されるのは、怖いな」
(´<_` )「だろ?」
( ´_ゝ`)「ああ」
(´<_` )「だから、やめとけ」
( ´_ゝ`)「……でも」
(´<_` )「おれも、こいつは殺したい」
( ´_ゝ`)「!」
(´<_` )「でも、それじゃこいつと同じだ」
( ´_ゝ`)「……」
(´<_` )「兄者。
おれと再会する前に、
グレンさん達と既に知り合ってただろ?
もしかしたら、パーティー組んでたりしただろ?」
( ´_ゝ`)「!…… …… ああ」
.
110
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/28(土) 23:41:42 ID:yBcYKiZs0
(´<_` )「やっぱりな。
黙ってたのは、
おれを探しながらもゲームを楽しんでたって思われない為か?」
( ´_ゝ`)「……ごめん」
(´<_` )「いや、責めているわけじゃない。
当然と言えば、当然だ。
あの時一人でいるのは、
辛かったと思うから。
あと、ごめん。
グレンさん達が亡くなった時、
おれが落ち込みすぎて、
兄者はフォローしてくれていた。
兄者の方が、辛かっただろうに。
おれ、気付いていなかった」
( ´_ゝ`)「……気にするな」
(´<_` )「けれど、兄者はそれでちゃんと悲しんでないんじゃないか?」
( ´_ゝ`)「!」
(´<_` )「おれがぼろぼろに泣いていた時、
ずっとそばにいてくれていた」
( ´_ゝ`)「……弟者」
(´<_` )「おれだけが自分の感情のままに悲しんで、
泣いて、踏ん切りをつけていたけれど、
兄者はまだグレンさんが亡くなったことから」
( ´_ゝ`)「弟者!」
(´<_` )「!」
( ´_ゝ`)「あ、……わるい、だが、その先は……」
(´<_` )「……こちらこそ、ごめん。
おれのせいなのに、無神経だった」
.
111
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/28(土) 23:44:45 ID:yBcYKiZs0
( ´_ゝ`)「違う!
弟者のせいじゃない!
おれが……おれが、結局……」
拳を握り、
弟者の視線から逃げる様に顔をそむける兄者。
(´<_` )「……一番悪いのは結局こいつで」
倒れているダイオードを見る弟者。
兄者もつられるように俯き加減にダイオードを見る。
(´<_` )「正直、殺したい。
それくらいには、憎い」
( ´_ゝ`)「……」
俯いたまま、視線を弟者に向ける兄者。
(´<_` )「それこそこいつが死んだら祝杯をあげたいくらいに。
殺されたのなら殺した奴に一番の防具をプレゼントしたいくらいに。
……けれど、兄者には殺してほしくない」
顔をあげる兄者。
その瞳を、弟者のまっすぐな瞳が射抜く。
(´<_` )「兄さんには、人殺しになってほしくない。
でもそれは、兄弟が人殺しになるのが嫌なだけじゃない。
兄さんがそんなことをするのなら、
そうしなければならなかった理由があるはずだから。
世間に後ろ指をさされても、
おれは胸をはれる。
父さんも、母さんも、
姉さんも、未花も、
きっと同じ気持ちだと思う。
でも、やっぱり、なってほしくない。
だって兄さんは、絶対に苦しむから。
例えどんな理由があったとしても、
人を殺したら兄さんは苦しむ。
それによって誰かの命が助かっても、
千人の命を助けたとしても、
一人の命を奪ったことに苦しむ。
だから、やめてほしいんだ」
.
112
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/28(土) 23:47:07 ID:yBcYKiZs0
( ´_ゝ`)「…… ……悌悟」
(´<_` )「こんなやつの命を、兄さんが背負うことは無い。
こんなやつの命の為に、兄さんに苦しんでほしくない。
だから、やめてくれ」
( _ゝ )「…… …… 悌……悟」
ゆっくりと手を下ろす兄者。
手も開かれ、鎚が地面に落ち斧にぶつかる。
( _ゝ )「グレンさんの店、
持ち主消えた後のリセットでまた売りに出された後、
アルさん達とコル出し合って買い戻して、
今はアルさんが管理しているんだよな」
(´<_` )「?ああ。その通りだけど……まさか!?」
( _ゝ )「墓を、庭に作ったんだよな」
(´<_` )「……ああ」
( _ゝ )「こんど、一緒に、行ってくれるか?」
(´<_` )「ああ。一緒に行こう」
( _ゝ )「……頼む」
(´<_` )「それこそ夢で叱られるぞ。やっと来たって。
笑いながら、頭叩かれそうだ」
( _ゝ )「……ああ、そうだな」
(´<_` )「ああ。絶対だ」
( ´_ゝ`)「……。
会えたら、土下座して謝らなきゃだな」
顔を上げた兄者の顔は、
晴れ晴れと言うにはほど遠かったが、
それでも、まだ辛そうではあるが、
弟者に笑いかけていた。
.
113
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/28(土) 23:57:48 ID:yBcYKiZs0
以上、連続投下……何日目だっけ。ま、いっか。
いつもおつをありがとうございます!
>>92
はい、完全なミスです。
やっちまいました。
混乱させていたら申し訳ありません。
>>94
誤字チェックありがとうございます!
本当、投下前に誰かに読んでもらいたい。
校正……。
修三は松岡さんのつもりだったので修造が正解です。
ありがとうございます。
スレ埋めありがとうございました。
見に行ったらちょうどラストが残っていたので思わず……。
これで閑話で埋める必要もなくなりちょっとほっこり。
さて連続投下はいつまで続くのか!
ではではまたー。
114
:
名無しさん
:2017/10/29(日) 00:05:36 ID:MiiWNk7Q0
おっつおつ
115
:
名無しさん
:2017/10/29(日) 00:13:33 ID:a9M0x7sY0
おつおつ
プロでも誤字はする
もはや必然だ
>>98
それのすらも → それすらも
>>100
味合わせ → 味わわせ
>>104
生きながらせる → 生きながらえさせる
116
:
名無しさん
:2017/10/29(日) 01:03:43 ID:xkIxEa3k0
やべぇ縦読み探してしまった
117
:
名無しさん
:2017/10/29(日) 01:43:01 ID:uxK6HErY0
おつ
ダイオードも何かあるのかと深読みしていたけど、本当にただただ救えない奴だったんだな。
縦読み探してしまうのわかる。
個人的な話にはなるけど、書く側の時は誤字指摘は早い方が訂正しやすいから助かる派だわ。
味あわせて〜って間違った使い方なのな、初めて知った。
118
:
名無しさん
:2017/10/29(日) 02:55:05 ID:CxH.gzT60
ここまで来ると本当にモララーの安否が気になる
119
:
名無しさん
:2017/10/29(日) 05:54:48 ID:8AReJZ8o0
安否ってか完全にタヒってたろ
120
:
名無しさん
:2017/10/29(日) 06:03:52 ID:CxH.gzT60
それでも…!それでも…!
121
:
名無しさん
:2017/10/29(日) 07:22:27 ID:d8QXMjic0
もう続き書かないのかと思ってた
最終回まで楽しみにまつ
122
:
名無しさん
:2017/10/29(日) 11:29:07 ID:YlX6E.Ek0
俺もモララー一番好きだしVIPはどんでん返しが多いチームだからもしかしたらの希望が捨てられない
123
:
名無しさん
:2017/10/29(日) 11:50:36 ID:nYb5tdpc0
乱戦が各地で片付いていくのはやっぱり盛り上がるな
同時に、最終回まで突っ走っていく感じもするので嬉しいけど寂しい
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