[
板情報
|
カテゴリランキング
]
したらばTOP
■掲示板に戻る■
全部
1-100
最新50
|
1-
101-
201-
301-
401-
この機能を使うにはJavaScriptを有効にしてください
|
( ^ω^)達はアインクラッドをいきるようです。
1
:
◆dKWWLKB7io
:2017/10/24(火) 21:34:03 ID:Y.9qViVM0
どーも作者です。
こちらでは初めまして。
創作版から引っ越して、新しく作らせてもらいました。
最終回までもう少しの間、お付き合いいただければ幸いです。
この話は
川原礫著
『ソードアート・オンライン』シリーズのアインクラッド編を基に書かせていただいています。
基本的に電撃文庫版の設定を順守しているつもりですが、
設定の拡大解釈やプログレッシブ・コミカライズでの設定、
まだ書かれていない設定に関しては想像で書いているので、
その旨ご容赦の上、お楽しみいただけますようお願い申し上げます。
お世話になっているまとめ様
ブーン芸VIP様
http://boonsoldier.web.fc2.com/
簡単な今までの話の流れ
・ゲームで死ぬとリアルでも死ぬVRの世界に囚われた。
・みんな精一杯生きてます。
・こっちの主人公はブーンなんです。
第二十四話
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/13029/1464354084/854
162
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:20:10 ID:h6rr3Xoo0
(*゚ー゚)「お久しぶりです。ショボンさん。
はい。短剣と体術で覚えられる『ソード・ジャグリング』です。
エクストラスキルといっても短剣の拡張スキルみたいな感じです。
もちろん検証に協力しますよ。
おそらくショボンさんが使ってる『ジャグリング』の劣化版ですが、
結構使えます」
(,,゚Д゚)「こんな場面でもまずそこを気にするのは流石だぞゴルァ」
(;´・ω・`)「あっ」
(,,゚Д゚)「久しぶりだなゴルァ」
(´・ω・`)「あ、うん。会うのは久しぶりだね。二人とも」
(*゚ー゚)「色々変わってなくて安心しました」
(,,゚Д゚)「本当に相変わらずだ」
(;´・ω・`)「あ、うん。
二人も元気そうでよかった。
って!なぜここに!」
(・∀ ・#)「おまえら、よくも俺をコケに」
しぃの蹴りで転がっていたマタンキが起き上がり、
剣を構えてこちらを睨んだ。
(*゚ー゚)「三対一で、まだ戦うつもり?」
(,,゚Д゚)「お前の負けだ!」
(・∀ ・#)「三対一だろうが十対一だろうが、
なかよしこよしで呑気に生き抜いてきたお前らに負けるわけがねぇんだよ!」
三人に向かって駆けだすマタンキ。
(,,゚Д゚)「ゴラァ!」
.
163
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:21:08 ID:h6rr3Xoo0
合わせて前に出るギコ。
しぃは下がり、ギコの後ろ、ショボンの前に移動する。
(・∀ ・#)「てめぇ程度の盾で!」
青く光るマタンキの片手剣。
(・∀ ・#)「はぁ!」
流れるような三連撃がギコを襲う。
(,,゚Д゚)「!」
そして下から上にすくい上げる様な最後の一撃が盾を跳ね上げた。
マタンキにの視界にはギコの全身が映る。
(・∀ ・#)「はっ」
今使用した剣技は硬直時間をほぼゼロにまでしていたため、
ほとんどタイムラグ無しに横薙ぎの四撃目を放とうとした。
(・∀ ・#)「しねぇ!」
(,,゚Д゚)「甘いぞゴルァ」
(・∀ ・#)「!」
振り下ろされる盾。
身体ではなく片手剣を狙ったその攻撃により、
マタンキの片手剣が砕け散った。
(・∀ ・#)「ちっ」
剣に盾が当たる前に手を離し後方に跳んでいたマタンキ。
ギコが向けた視線の先で、新たな剣を手にしている。
.
164
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:22:23 ID:h6rr3Xoo0
(・∀ ・)「けっ。これを使うことになるとはな」
(,,゚Д゚)「……」
(・∀ ・#)「これで終わりだ!」
もう一度駆け出すマタンキ。
(,,゚Д゚)「おれは全ての武器を覚えられるほど頭は良くないが、
それでもショボンがピックアップしてくれたものは必死で覚えたんだぞゴルァ」
(・∀ ・#)「何を言っている!」
マタンキの一撃がギコの盾を攻撃し、火花が散る。
(・∀ ・#)「死ねぇ!」
(,,゚Д゚)「ゴルアァァァアアアア!」
マタンキの剣から迸る赤い光が束になり、
盾の無い外側からギコを狙おうとした瞬間、
ギコの盾から出た青い光が透明な盾となりギコを守った。
(・∀ ・#)「あっ!?
フォールス・シールドだと!?」
(;´・ω・`)「フォールス・シールド!?
もうそこまで鍛えたの!?」
剣技『フォールス・シールド』
使用した盾の1〜10倍の強度と1〜10倍の大きさを持った光の盾を、
10〜40秒盾の前面に貼ることの出来る剣技。
変数は使用者の任意で設定できるが、
スキルレベルが低いと大きい数値は失敗する。
また、適用時間によって硬直時間が増大するため使用タイミングが難しい剣技の一つとされている。
(,,゚Д゚)「『SNAKE・SWORD』の特殊攻撃は効かないぞゴルァ」
(・∀ ・#)「レベルだけは上げてあるみてぇだな」
.
165
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:23:23 ID:h6rr3Xoo0
マタンキは攻撃を止めて横にステップを踏み、
(・∀ ・#)「でもそれは硬直時間も長いし、」
光の盾に向かって一歩無踏み出した。
(・∀ ・#)「攻撃やモンスターは反射しても、
プレイヤーは素通りなんだよな!」
光の盾をすり抜けたマタンキが、
盾を維持しつつ硬直しているギコに向かって剣を振り下ろす。
だがその剣は、
そこにいなかったしぃの短剣に弾かれた。
(*゚ー゚)「私が居ます」
ギコの肩を使って高く飛んだしぃが回転しながらマタンキの剣を弾く。
(・∀ ・#)「またてめぇか!」
バランスを崩したマタンキだったが、
今度は転倒することなく後方に跳び剣を構えた。
(・∀ ・)「ならおまえからやってやるよ!」
しかし視界の中にしぃはいない。
(*゚ー゚)「私はここです」
声のした方に剣を振ったマタンキ。
その背中に繰り出されるしぃの正拳突き。
(・∀ ・#;)「ガアッ」
前方に倒れながら回転し体勢を整え、
しゃがんだまま剣を構える。
.
166
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:24:46 ID:h6rr3Xoo0
マタンキは自分の減ったHPを確認し、
それが衝撃ではなく体術による攻撃であることを知った。
(・∀ ・#)「結構やるじゃねぇか」
(,,゚Д゚)「おれもいるぞゴルァ」
しぃの前に移動して盾を構えるギコ。
(*゚ー゚)「もう、やめましょう。
貴方の負けです」
(・∀ ・#)「一人で戦えないくせにでかい口を叩くな!」
地を這うような低い姿勢で駆け出す
(,,゚Д゚)「ゴラァ!」
盾で迎え撃つギコに向かって跳躍するマタンキ。
(,,゚Д゚)!
盾を上に向けるギコ。
(・∀ ・)
その盾を蹴り、更に跳躍するマタンキ。
(・∀ ・#)「まずはてめえだ!」
盾を蹴られたことによりバランスを崩したギコを見下ろし、
降下しながら剣を振り下ろそうとするマタンキ。
(*゚ー゚)「させない!」
それを予期し、
阻止するために既にしぃは跳躍していた。
マタンキに向かって振り下ろされる短剣。
.
167
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:25:48 ID:h6rr3Xoo0
(・∀ ・#)「わかってんだよ!」
だがマタンキもその行動を予想しており、
手袋を装着した左手で短剣を掴む。
(*゚ー゚)「!」
そして落下しながら右手に持った片手剣をしぃの首に振り下ろそうとした。
(・∀ ・#)!!!!!!
マタンキの右手首と右肩に突き刺さるナイフ。
(・∀ ・#)「ショボン!」
(*゚ー゚)
(,,゚Д゚)
しぃとギコが笑みを漏らすなか
マタンキは顔のナイフを抜きながら着地し離れた場所に跳躍する。
片手剣を構えながらショボンを睨むマタンキ。
(´・ω・`)
(・∀ ・#)「ショボンんんんんんんん!!!!!!!」
(´・ω・`)「もうやめよう、マタンキ」
(・∀ ・#)「ふざけるなアアアアアアアアアア!!!」
ショボンに向かって走り出そうと構えたマタンキの前に立ちふさがるギコ。
(・∀ ・#)「てめえエエエエエエエエエエエ!!!!!」
(,,゚Д゚)「もう終わりだゴルァ!」
(・∀ ・#)「けっきょくそうだよなアアアアアア!!!!!」
.
168
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:27:08 ID:h6rr3Xoo0
(´・ω・`)!
(,,゚Д゚)!
(*゚ー゚)!
突然の叫ぶマタンキ。
それは今までの罵倒や軽口とはどこか違い、
三人は息をのみマタンキを見つめた。
(・∀ ・#)「けっきょくそうなんだ!!!!
けっきょくそうなんだ!!!!
けっきょくそうなんだ!!!!
けっきょくそうなんだ!!!!
けっきょくそうなんだああああああああああああ!!!!」
(´・ω・`)「マタンキさん?」
(・∀ ・#)「けっきょくおまえは!
何を言おうが!
何を取り繕うが!
結局そうなんだよ!!!!!」
(,,゚Д゚)「何を言ってるんだゴルァ」
(*゚ー゚)「ショボンさん、この人は……」
(´・ω・`)「……僕にもよく……」
( ∀ #)「うをおおおおおおおおおおおお!!!!!!!」
(´・ω・`)!
(,,゚Д゚)!
(*゚ー゚)!
駆け出したマタンキを見て構える三人。
.
169
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:28:32 ID:h6rr3Xoo0
しかしマタンキは三人とは別方向に向かって走っていった。
(,,゚Д゚)「あ」
(*゚ー゚)「あ、しょ、しょぼんさん!」
(´・ω・`)「……いや、追わなくていいよ。
きっとまた彼は僕を襲いに来るから、
その時に、もう一度」
(;*゚ー゚)「いやいやいやいやいや」
(;,,゚Д゚)「追うぞゴルァ」
駆け出すしぃとギコ。
(´・ω・`)「あっ、二人とも!」
二人を追ってショボンも走り出した。
ミセ*゚ー゚)リ「さっさと歩く!」
(`・ω・´)「大丈夫だって」
(‘_L’)「そのお二人も充分強いようですが、
何があるか分かりませんし」
(`・ω・´)「それはそうだけどよー。
おれの代わりに行ってるんだからちゃんと役目果たすって」
森の中の細長い道を歩く三人。
ミセ*゚ー゚)リ「何かあってからじゃ遅いんだからね」
.
170
:
名無しさん
:2017/12/17(日) 09:29:42 ID:JlQcnU8Q0
おはよう支援
171
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:29:49 ID:h6rr3Xoo0
(`・ω・´)「んー。
ショボ一人だとやばいけど、
ギコしぃが一緒なら二人の為に絶対勝つだろうからなぁ。
レベルも能力も充分だろうし」
ミセ*゚ー゚)リ「多分そうだろうけど、
とにかく行くの!」
(`・ω・´)「うぃーー」
(;‘_L’)「本当にやる気ない感じですね」
三人はショボンとマタンキが戦っているエリアに向かって急いでいた。
ミセ*゚ー゚)リ「ほら!ちゃっちゃと歩く!」
(`・ω・´)「うぃーーー」
(;‘_L’)「はぁ……」
二人は急いでいた。
ミセ*゚ー゚)リ!
(`・ω・´)!
(‘_L’)?
立ち止まり大きく曲がって出口の見えていない道の先を見るミセリ。
ほぼ同時にシャキンも前方を見ると、横の森に向かって移動する。
(;‘_L’)「え?」
ミセ*゚ー゚)リ「フィレンクトさん、何か来ます。
おそらくプレイヤーですが、とりあえず隠れましょう。
渡してあるマントを使ってください」
(;‘_L’)「あ、は、はい」
.
172
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:31:01 ID:h6rr3Xoo0
マントを装備してミセリと共にシャキンの後を追う。
既にフードを被ったシャキンが茂みに隠れつつ手招きしていた。
ミセ*゚ー゚)リ「全くこういう時は素早いんだから」
シャキンと隣に隠れるミセリ。
フィレンクトもその横に並んでしゃがんだ。
(‘_L’)「しかしこのマントは凄いですね」
ミセ*゚ー゚)リ「作るのは大変らしいけど、
隠密行動には欠かせないモノですね」
(`・ω・´)「でも耐久値かなり低いんだよな」
ミセ*゚ー゚)リ「低層のリザードウルフの爪攻撃一発でポリゴンだからね」
(;‘_L’)「それは……」
ミセ*゚ー゚)リ「前に一回壊してツンに報告したら、
かなり本気で怒られたから気を付けてね二人とも」
(`・ω・´)「はーい」
(;‘_L’)「はい」
三人がフードを被り静かにすると、
その姿は周囲に溶け込んだ。
そして隠れる三人が監視する道を、
一人の男が駆け抜けていった。
(・∀ ・#)
マタンキは三人の目の前を走り抜けた後、
腰のポーチから結晶を出し何かを呟くとその場から消えた。
.
173
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:31:58 ID:h6rr3Xoo0
それを見たフィレンクトとミセリが立ち上がる。
フィレンクトは道に出てマタンキの消え去った場所を伺い、
ミセリはウインドウを出す。
(`・ω・´)「……おい、どうした?」
突然の二人の行動に声をかけるシャキン。
しかしそう言った彼も顎に手を添え何かを考えている。
(‘_L’)「今のがマタンキです」
(`・ω・´)「え?」
(‘_L’)「シャキンさんは会っていませんでしたか」
(`・ω・´)「え?あ、ああ。
そうか……今のが、マタンキ……」
ミセ*゚ー゚)リ「ショボンは無事ね。
フレンドリストの色は変わってない。
一応メッセージは送ったけど。
?また何か来る?」
マタンキがやってきた方向。
自分達が向かっていた方向を見るミセリ。
するとすぐに二つの人影を視界にとらえた。
ミセ*゚ー゚)リ「……あれは」
ゆっくりと道に出るミセリ。
マタンキを追って走ってきたギコとしぃもフィレンクトとミセリを見て立ち止まった。
(,,゚Д゚)
(*゚ー゚)
.
174
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:32:55 ID:h6rr3Xoo0
二人を見て訝しげな顔をする二人に、
ミセリが笑顔を見せる。
ミセ*゚ー゚)リ「初めまして。
ギコさん。
しぃさん」
(,,゚Д゚)!
(*゚ー゚)!
ミセ*゚ー゚)リ「と言ってもしぃさんとは何度か会ったこともあるけれど、
覚えてる?かな?」
(,,゚Д゚)「どこでおれ達の名前を」
盾を構えてしぃの前に立つギコ。
(*゚ー゚)「バーボンハウスの……お客さん?
そこの男性と一緒に来られてた」
ミセ*゚ー゚)リ「当たり。
お久しぶり」
(*゚ー゚)「あ、はい。
いつもありがとうございます。
って、じゃなくて!」
ミセ*゚ー゚)リ「私の名前はミセリ。
そこの男の人はフィレンクトさん」
(*゚ー゚)「え?あ!」
(‘_L’)「こんにちは」
(*゚ー゚)「え、あ、はい。
こんにちは。
あ、そうなんですね。
ミセミセさんとフィレフィレさんじゃなかったんだ」
.
175
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:33:57 ID:h6rr3Xoo0
ミセ;*゚ー゚)リ「違うわよ!
(;‘_L’)「違います!」
(*゚ー゚)「それは失礼しました」
(;,,゚Д゚)
呑気に会話する三人を見て呆れるギコ。
ミセ*゚ー゚)リ「マタンキなら転移結晶で飛んだからこれ以上この先に進んでも無駄よ」
しかしすぐにミセリの言葉で表情を引き締める。
(,,゚Д゚)「どういう事だゴルァ」
盾を構えたまま片手剣を握りなおしてミセリを見るギコ
ミセ*゚ー゚)リ「ん?言葉通りの意味だけど?
詳しいことはショボンが来てから話すわね」
その行動を笑顔で見ながらミセリは答えた。
(,,゚Д゚)「ショボンと知り合い?」
(*゚ー゚)「?」
(´・ω・`)「ミセリ!フィレンクトさん!」
ギコとしぃを追ってやってきたショボンが、
やっと合流した。
.
176
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:35:24 ID:h6rr3Xoo0
42.
鈍色に陽光を反射させ輝く槍を使い、
空間を貫くような鋭い突きが放たれる
男はそれをバックステップで避けながら両手剣を振り上げ、
鎗の柄に当てて軌道を逸らす。
そして振り上げたその勢いをそのまま生かして身体を一回転させ、
両手剣を横薙ぎに一閃した。
しかしそこに姿は無く、
剣が通り過ぎたその場に上から着地した男は鎗を地面に突き刺し土煙を作り出した。
両手剣の男は眉間に皺をよせながらさらにバックステップで後退する。
( ФωФ)「愉快愉快!」
_
( ゚∀゚)「何がゆかいだくそ野郎!」
( ФωФ)「言葉が汚いであるな」
_
( ゚∀゚)「うるさい!」
土煙の中から放たれる突きをすべて弾くジョルジュ。
_
( ゚∀゚)「ちっ」
幅広の両手剣を団扇のように横に一閃すると風が巻き起こり土煙が晴れる。
しかしそこにロマネスクはいない。
ジョルジュはロマネスクのいた場所に向かって駆けだすと、
今まで自分のいた場所に、
空から鎗が突き刺さった。
.
177
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:36:19 ID:h6rr3Xoo0
( ФωФ)「良いのである良いのである」
_
( ゚∀゚)「けっ」
動きを止めているロマネスクを襲う衝撃波。
( ФωФ)「!これは!」
_
( ゚∀゚)「両手剣にだって放出系の技はあるんだよ!」
1秒の技後硬直を終えたジョルジュが駆け出す。
( ФωФ)「くっ」
両手剣を鎗の柄で受け止める。
_
( ゚∀゚)「技後硬直を起こしたふりをして、
おれが大技を放つところ狙うつもりか?」
( ФωФ)「流石に三回目は見破られるであるか」
_
( ゚∀゚)「う、る、せ、えー!」
腰を入れ、バットを振るように両手剣を振り切るジョルジュ。
(;ФωФ)「お、これはっ」
押し切られ後方に飛ばされるロマネスク。
いや自分で跳んでいた。
一瞬驚いたもののすぐに口元に笑みを浮かべ、
ジョルジュの力を利用して後方に跳び、
体勢を崩すこともなく改めてゆっくりと鎗を構えた。
( ФωФ)「はっはっは。愉快愉快」
_
( ゚∀゚)「けっ!」
ジョルジュも追撃はせず、
ゆっくりと両手剣を上にあげ、
上段の構えを少しだけ斜めにした構えをとる。
.
178
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:37:34 ID:h6rr3Xoo0
( ФωФ)「正直ここまで楽しめるとは思っていなかったのである」
_
( ゚∀゚)「……何故、殺す」
( ФωФ)「逆に聞こう。
この世界で生きる事に何の意味を持っているのである?」
_
( ゚∀゚)「はぁ?」
( ФωФ)「こんな偽りの世界で生きる事に、
何の意味を持っているのである?」
_
( ゚∀゚)「元の世界に生きて帰りたくねぇのかよ」
( ФωФ)「帰れると思っているのであるか?
おめでたい脳味噌であるな」
_
( ゚∀゚)「今だって!」
( ФωФ)「攻略組などと呼称し、
トップランナーなどと言って粋がっている者達が、
本当に攻略してくれると思っているのであるか?」
_
( ゚∀゚)「なっ」
( ФωФ)「断言できるのである。
あの者達がどんなに強くなろうとも、
何人いようとも、
このゲームはクリアできないのである」
_
( ゚∀゚)「っんで、そんなこと言えるんだよ」
( ФωФ)「茅場晶彦は、そんな程度の天才ではないのである」
_
( ゚∀゚)「はぁ?」
.
179
:
名無しさん
:2017/12/17(日) 09:37:50 ID:JlQcnU8Q0
モララー…
180
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:38:45 ID:h6rr3Xoo0
( ФωФ)「天才ゆえの弱点、
『ゲーム』という制約がある以上確かにいつかはクリアできるであろう。
だが、このペースではクリアすることは出来ないのである」
_
( ゚∀゚)「どういうことだよ」
( ФωФ)「考えてみるのである。
このアインクラッドの世界、
百層からなるこの世界を作るのにどれだけの時間と費用が掛かっているか」
_
( ゚∀゚)「はぁ?」
( ФωФ)「通常のMMORPGとして、
この世界でどれだけの利益を産まなければならないか。
一層からフロアボスを倒していき百層のラスボスを倒すまでの、
グランドクエストが終わるまでの間にどれだけの利益を得なければならないのか」
_
( ゚∀゚)「……何言ってんだよ」
( ФωФ)「この閉じられた世界は天才茅場晶彦が作り出した虚像。
けれど実際に運営しているのは企業。
企業にとって、ゲームは金を産むための手段。
一つの世界でどれだけ利益を上げられるか。
一つの世界を、どれだけ長い間持たせることが出来るか」
_
( ゚∀゚)「!」
( ФωФ)「VRという技術の促進を目標として各方面から支援はされていても、
結局は民間企業の遊戯媒体なのである。
数年でクリアできるような甘い設定にはなっていないのであるよ」
_
( ゚∀゚)「……何年かかっても、クリアすればいい」
( ФωФ)「現実世界の身体にもタイムリミットはあるのである」
_
( ゚∀゚)「……」
( ФωФ)「表情を見る限り、それに関しては考えた事があるようであるな」
.
181
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:39:52 ID:h6rr3Xoo0
ロマネスクを睨みつつも何も言えないでいるジョルジュ。
ロマネスクは今までとは違いどこか寂し気な顔でジョルジュを見つめた。
( ФωФ)「もうすぐ二年。
現実世界の身体はもう悲鳴を上げているであろうな。
悲鳴で済んでいるうちに、本当にこの世界をクリアできると思っているのであるか?」
_
( ゚∀゚)「……出来る」
( ФωФ)「返答までに時間が空いたのが、
真の答えである」
_
( ゚∀゚)「出来るんだよ!」
ジョルジュが駆け出し距離を詰め、
両手剣を振り下ろした。
( ФωФ)「言葉で叶わなければ力尽くであるか?」
それを鎗の柄で受け止めるロマネスク。
( ФωФ)「短慮ではあるが、
嫌いではないのである!」
流さずに押し返し前に踏み込むロマネスク。
_
( ゚∀゚)「ちっ」
ジョルジュはその動きに合わせて後方に跳ぶ。
今まで自分のいた場所にロマネスクの蹴りが一閃していた。
_
( ゚∀゚)「体術スキルか」
( ФωФ)「別に体術スキルはVIPの専売特許ではないであるからな。
しかしよく避けれたであるな」
_
( ゚∀゚)「何事も経験だからな!」
.
182
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:40:51 ID:h6rr3Xoo0
再び距離を詰め、左下から右上へのすくい上げるような攻撃。
ジャンプして躱そうとしたロマネスクがそれを取りやめて地面に突き刺した鎗で受け止めた。
_
( ゚∀゚)「……何故分かった」
( ФωФ)「やはり何か企んでいたのであるか。
経験則……ではなくカンである」
ジョルジュが狙っていたのは水平回転による3連撃。
出だしをすくい上げに見せる事により相手の隙を誘うやり方であったが、
ロマネスクはそれを受け止める事により防いでいた。
_
( ゚∀゚)「ちっ」
両手剣を引き、
即座に突く。
しかしロマネスクはそれを危なげなく躱し、
逆に鎗で両手剣を跳ね上げた。
( ФωФ)「ふっ!」
そして気合を込めて鎗で横薙ぎに一閃。
( ФωФ)「!」
しかしそこにジョルジュの姿は無かった。
( ФωФ)「!!」
振り下ろされた両手剣を避けるために横に跳ぶロマネスク。
しかし腕の一部と足に攻撃を受け、
大地をゴロゴロと転がった。
( ФωФ)「……これは」
.
183
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:41:58 ID:h6rr3Xoo0
そのまま倒れるのではなく自身で転がって出来るだけ離れ、
しゃがんだ状態だがすぐさま体勢を整えたのは見事と言えよう。
そして両手剣を振り下ろした姿のままこちらを見ているジョルジュを睨む。
( ФωФ)「……なかなか、やるであるな」
そう言いながら立ち上がり、鎗を構える。
_
( ゚∀゚)「そうか?」
その動きに合わせて両手剣で正眼の構えをとるジョルジュ。
( ФωФ)「その構えでは吾輩の動きを見るのに剣が邪魔ではないのか?」
_
( ゚∀゚)「まだ、答えを聞いていなかった」
( ФωФ)「……。
?なんのであるか?」
_
( ゚∀゚)「何故、人を殺す」
( ФωФ)「……ふむ。
この先攻略組とやらが壊滅し、
クリアの希望が絶たれ、
絶望し、失意のままモンスターに殺され、
もしくはリアルで衰弱死するよりも、
ゲームを楽しみつつ吾輩たちに殺された方が良いと思うのである」
_
( ゚∀゚)「……」
( ФωФ)「今は絶好のタイミングなのである。
攻略組は叶わぬ夢を叶えようと意味のない努力をし、
中層や低層のプレイヤーは見果てぬ夢を見、
更にはこの虚無の世界を楽しんでいる愚かな今この時が!
幸せな死を与えられる絶好の機会なのである!」
.
184
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:43:36 ID:h6rr3Xoo0
高らかに、
朗らかに、
演説するロマネスク。
_
( ゚∀゚)「……それだけじゃねえだろ?」
( ФωФ)「ああ、もちろん幸せな死を与えてあげるのであるから対価はいただくのである」
そしてニヤリと笑った。
(*ФωФ)「吾輩を楽しませてほしいのである」
_
( ゚∀゚)「最初から、それだけ言えばいいんだよ!」
今までとは違う『速さ』でロマネスクとの距離を詰める。
( ФωФ)「!」
驚きつつも突き出された両手剣に合わせて鎗を突き出すロマネスク。
_
(#゚∀゚)「ちっ」
火花が似た閃光を散らして両手剣と鎗をぶつけ合う二人。
( ФωФ)「先ほどから思っていたであるが、予想よりも強いであるな」
_
(#゚∀゚)「なら降参して黒鉄宮に行け」
( ФωФ)「ふざけたことを言うであるな。
所詮レベルを上げたポイント振っただけの強さ。
同じようなレベルなら殺す覚悟のある者が勝つのである!」
ロマネスクの放つ鎗の突きがジョルジュを襲う。
それは目で追うのが困難な速度の突きであり、
しかもそれが十数回タイミングを変えて襲った。
( ФωФ)「どういうことである」
.
185
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:44:33 ID:h6rr3Xoo0
しかしジョルジュはそれを危なげなくすべてを避ける。
距離を取り、
今までよりも慎重にジョルジュを見るロマネスク。
_
( ゚∀゚)「なにが?」
両手剣を肩に担いだジョルジュがロマネスクの呟きに答えた。
( ФωФ)「吾輩の今の突きを全て躱すなど、
ありえないのである」
_
( ゚∀゚)「自信満々だな」
( ФωФ)「客観的事実である。
吾輩のレベル、槍スキルのレベル、鎗の武器としてのレア度、
どう考えても今のジョルジュがすべて避けるなどありえないのである」
_
( ゚∀゚)「はっ。そんなもんでっ!」
瞬く間に距離を詰めたジョルジュが両手剣をロマネスクの脚を狙って薙ぐ。
しかしそれは剣先がロマネスクの左脚をかすめる事しかできなかった。
_
( ゚∀゚)「実力を推測したところで『推測』でしかねぇってことだろ!」
( ФωФ)「!」
一撃離脱よろしく既に距離をとって両手剣を構えているジョルジュを睨むロマネスク。
( ФωФ)「推測は推測でしかない。
確かにそうであるな。
しかし、そうであったとしてもこれだけずれているとは……」
睨みつつも思考を働かせるロマネスク。
眉間に皺が寄る。
( ФωФ)「レベル、スキルレベル、武器、装備、
もともと高く評価していましたが、
それを更に上方に修正」
.
186
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:45:45 ID:h6rr3Xoo0
表情から感情を消して鎗を構えるロマネスク。
_
( ゚∀゚)「冷静な判断。真の能力開放ってところか?」
再び瞬く間に距離を詰めるジョルジュ。
同時に振り下ろされた両手剣を、
横にして両手で持った鎗でロマネスクが危なげなく受け止める。
だが勢いには押され、片膝を着いた。
( ФωФ)「くっ」
_
( ゚∀゚)「ちゃんと受け止められたのは褒めてやるよ」
ジョルジュも今度は離れず剣に力を込める。
(;ФωФ)「うっ」
ロマネスクの手が震える。
(;ФωФ)「し、しかし……」
支えるのに辛くなったロマネスクが、
ジョルジュを見ながら口元だけ笑った。
(;ФωФ)「これほど強いのであれば、
最初から吾輩とこうやって戦っていれば、
あの者が死ぬことは無かったのであるのにな」
それはジョルジュの気を散らすための一手だった。
しかしすぐにそれは失敗したことに気付く。
_
( ゚∀゚)「……」
.
187
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:47:16 ID:h6rr3Xoo0
ジョルジュは悲しげな表情を見せた後、
すぐに口元には笑みを浮かべた。
そして両手剣を押す力を更に強くする。
(;ФωФ)「!」
そしてロマネスクの思考に一つの可能性が生まれた。
(;ФωФ)「まさか……。
だが、……。
しかし……。
……でも、どうやって。
!いや、確か、前に一つそんな話を聞いた覚えが……」
ロマネスクの頭脳を走る可能性。
芽生えたそれは急激に育ち花が咲き実を結ぶ。
(;ФωФ)「だが、何故そんなことをする必要が?」
思考するために意識の外に外していたジョルジュの顔を、
再びしっかりと見据えるロマネスク。
(;ФωФ)「……ジョルジュ!?」
そして名を呼ぶが、
_
( ゚∀゚)「……」
ジョルジュは口を開かず、
ただ悲し気に口元を歪め笑みとも苦しみとも思える表情で、
両手剣に力を込めている。
(;ФωФ)「答えろジョルジュ!
あの者は!」
「正解!」
背後から声が聞こえたと思ったと同時に、
背中を切り裂かれたロマネスク。
.
188
:
名無しさん
:2017/12/17(日) 09:47:40 ID:JlQcnU8Q0
きたきたきたきたーーー
189
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:49:05 ID:h6rr3Xoo0
(;ФωФ)「ぐっ」
両手剣の力が弱まった瞬間に横に跳ぶ。
地面を転がりながらも右手は鎗を手放さず、
更に起き上がりながら空いた左手でクリスタルを取り出しているのは見事と言えよう。
(;ФωФ)「ヒール!」
自分を攻撃した者達を見ながら叫ぶとクリスタルが砕け、
黄色く変わっていたHPバーが満タンになり緑に戻る。
それを視界の片隅で確認しつつ目の前の男達を見つめた。
一人は体の要所を金属の鎧で固めた両手剣の男。
そしてもう一人はそのまま渋谷や池袋に居てもおかしくないような姿の男。
(;ФωФ)「生きているだと」
( ・∀・)「正解!
ってさっき言ったのに」
(;ФωФ)「あの時消えたのは……」
( ・∀・)「?あれ?知らない?
一部では有名なあの事件。
圏内での死亡詐称事件」
(;ФωФ)「……。
聞いた覚えは……」
モララーがウインドウを操作すると背中にマントが現れる。
そしてそれを外し隣にいるジョルジュの前にふわりと投げた。
ジョルジュが黙って両手剣で一閃する。
切り裂かれたマントの上にHPバーに似たバーが浮かび、
緑から黄色に変わり、そして赤になって光が無くなるとマントは音を立ててポリゴンに変わった。
(;ФωФ)「……それがどうした?」
.
190
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:50:16 ID:h6rr3Xoo0
( ・∀・)「え?わからない?マジで?」
(;ФωФ)「……」
( ・∀・)「しょうがないなぁ」
やれやれと溜息を吐きながら腰のポーチからクリスタルを取り出す。
( ・∀・)「『転移結晶-!』」
結晶を片手に持ち掲げながら高らかに叫ぶモララー。
( ・∀・)「……あれ?似てなかった?」
(;ФωФ)「……マントがポリゴンとなって砕け散る瞬間に転移結晶を使って消え、
死んだように見せかけた?」
( ・∀・)「あ、うん」
(;ФωФ)「あの瞬間にそんなことが出来るわけがないのである!」
( ・∀・)「いや出来るし。
まぁジョルジュに身体隠してもらったり、
叫んでもらって転移の場所を言うのをかき消してもらったりしたけど。
で、似てなかった?」
(;ФωФ)「そんなことが……」
( ・∀・)「まぁクリスタルに慣れてないとタイミングとかずれてばれるかもだけどな。
でも、別の所で失敗したのに気付かなかったよな。あんた」
(;ФωФ)「なに?」
( ・∀・)「いや、横になった状態で攻撃を受けたからマントの耐久値バーが体の上に出てたじゃん。
HPバーは頭に出るからそこでばれたかなーと思って思わず呟いちゃったし。
でも気付かなかったよな」
( ФωФ)「!」
( ・∀・)「で、さっきの似てなかった?
けっこう自信あったんだけど。
あ、あんたの年だともしかして大山さん?」
.
191
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:51:36 ID:h6rr3Xoo0
(;ФωФ)「そんなことが……出来る訳……」
_
( ゚∀゚)「ショボンなら」
( ФωФ)「!?」
今まで黙って聞いていたジョルジュが口を開く。
_
( ゚∀゚)「ショボンなら、気付く」
( ФωФ)「なにを言って」
( ・∀・)「うん。気付く。あんな分かり易いミス。
シャキンとか兄者、クーにモナーも初見で気付くだろ。
で、似てなかった?」
_
( ゚∀゚)「言っただろ。
器が違うって」
( ФωФ)「!!」
_
( ゚∀゚)「おっさんが自分の事を凄い奴だと思っているのは分かる。
こんなギルドをやってるんだから、それなりに凄いとも思う。
でも、ショボンとは器が違う。
おっさんがショボンを取り込むとか、
夢物語も良いところだ」
ジョルジュの言葉に大きく目を開くロマネスク。
モララーは横でそんな二人を見ている。
_
( ゚∀゚)「もう終わりだ。
大人しく、黒鉄宮に行ってくれ」
( ФωФ)「……。
……。
…… ……そんなことは、出来ないのである」
ロマネスクが鎗を構える。
_
( ゚∀゚)「おっさん……」
.
192
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:52:52 ID:h6rr3Xoo0
( ・∀・)「はぁー。
年よりは意固地だね。
なぁ、なんでジョルジュがこんな回りくどいことを」
(#ФωФ)「うるさいのである!!」
モララーの言葉を遮るロマネスクの叫び。
(#ФωФ)「うるさいのである!
うるさいのである!
うるさいのである!
うるさいのである!
うるさいのであるうるさいのである!!!!!」
_
( ゚∀゚)「……おっさん?」
(#ФωФ)「あんな若造に負けるわけがないのである!
吾輩が死を持ってこの世界を支配するのである!」
( ・∀・)「うわ」
(#ФωФ)「ラフィンコフィンなどという邪魔な存在もなくなり!
これからは吾輩が死の恐怖をコントロールするのである!
レベルの高い者も低い者も吾輩を恐れて暮らすのである!!
そして戦いにおいて吾輩を楽しませるのである!!!」
怒りに任せて叫ぶロマネスク。
ジョルジュはそんロマネスクを見ながら黙って両手剣を構え、
モララーはジョルジュを見た後悲し気な表情をした後、
ロマネスクに視線を向けて構えた。
_
( ゚∀゚)「……茶番は終わりだ」
ロマネスクの目の前に移動したジョルジュが両手剣を振り下ろす。
.
193
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:54:27 ID:h6rr3Xoo0
(#ФωФ)「!」
かろうじて鎗で受け止める。
しかしその脇腹をモララーの爪が切り裂いた。
(#ФωФ)「!!」
モララーの攻撃を避けようとまずは両手剣の軌道を横に流そうとするが、
その隙に背中をモララーに切り裂かれ、
更に横に流すのに失敗した両手剣により足を切り裂かれた。
(#ФωФ)「ぐっ」
ロマネスクが二人から逃げるように移動する。
そして憎しみのこもった目で二人を見ながら鎗を構えた。
HPバーは既に黄色に変わっていた。
(#ФωФ)「許さん!許さんぞ!ジョルジュ!!」
( ・∀・)「許されないのはお前だ」
(#ФωФ)!
いつの間にか背後に立つモララーの爪がロマネスクの背中を大きく切り裂く。
(#ФωФ)「クソがっ!」
_
( ゚∀゚)「言葉遣いが汚いぞ」
振り向いたその先にモララーは既におらず、
逆に背後からジョルジュの両手剣が振り下ろされる。
(#ФωФ)「ちっ」
後を見ずに横に跳ぶロマネスク。
腕を切られるが部位欠損は起きなかった。
.
194
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:55:32 ID:h6rr3Xoo0
_
( ゚∀゚)「ダメか」
( ・∀・)「本当は狙ってやれるもんじゃないからな」
_
( ゚∀゚)「そうだよな」
( ・∀・)「おれは一回成功したけどな!」
_
( ゚∀゚)「……次の練習で必ず」
(#ФωФ)「貴様ら!!」
自分を見ながらも呑気に話す二人に怒鳴るロマネスク。
距離をとりつつ腰のポーチを探り回復結晶を取り出した。
( ・∀・)「おっ」
(#ФωФ)「ヒール!」
赤く変わっていたHPバーが完全回復し緑色に戻る。
(#ФωФ)「この屈辱は」
( ・∀・)「逃がさないよ?」
(#ФωФ)!?
エリアの出入り口に向かって後退っていたロマネスクの後方から声をかけられる。
(#ФωФ)「ちっ」
忌々し気に舌打ちすると同時に横に移動して二人をギリギリ視界に入れた。
(#ФωФ)「結局お前達も人殺し集団だ」
_
( ゚∀゚)「は?」
( ・∀・)「はあ?」
.
195
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:57:09 ID:h6rr3Xoo0
(#ФωФ)「確かに吾輩達は人を殺してきたがのである。
だが、だからといって吾輩たちを殺せば貴様たちは殺人者なのである」
_
( ゚∀゚)「……はぁ」
( ・∀・)「いや、殺さないし。
黒鉄宮の牢屋に入れるだけだし」
(#ФωФ)「吾輩は入らない!
あの牢屋はゲームの規定に反しシステムに断罪された場合以外、
無理矢理入れることなど不可能なのである!」
( ・∀・)「気を失わせれば入れられるぞ」
( ФωФ)「はっはっは。
それこそ不可能なのである。
吾輩達に麻痺と睡眠は効かないのである!」
勝ち誇ったように笑うロマネスク。
そして二人を睨む。
(#ФωФ)「だからお前達に出来るのは、
吾輩を逃がすか、殺すだけなのである」
( ・∀・)「一つ聞きたいんだけどさ」
ロマネスクの言葉に動揺することなく呑気に声をかけるモララー。
(#ФωФ)「……」
不愉快そうに自分を見たロマネスクの顔を見て言葉を続ける。
( ・∀・)「仲間のことは心配じゃないのか?」
( ФωФ)「仲間?」
_
( ゚∀゚)「……」
( ・∀・)「……ああ、あんたの仲間だ。
ヒッキーとか、マタンキとか」
.
196
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 09:58:13 ID:h6rr3Xoo0
( ФωФ)「はっはっは。
これはまた珍妙なことを言うであるな」
_
( ゚∀゚)「珍妙?」
( ФωФ)「替えのきく駒を仲間などと思ったことはないのである」
_
( ゚∀゚)「!」
( ・∀・)「!」
_
( ゚∀゚)「……」
( ・∀・)「……」
_
( ゚∀゚)「……」
( ・∀・)「……ジョルジュ」
_
( ゚∀゚)「ああ。もういい。手間かけた」
( ・∀・)「……ん」
(*ФωФ)「はっはっは!
怒ったであるか?
仲間などという幻想に囚われた愚か者よ!」
笑いながら鎗を構えるロマネスク。
( ФωФ)「怒ったら、どうするのである?」
_
( ゚∀゚)「別に怒っちゃいない」
( ・∀・)「……ただ、」
_
( ゚∀゚)「呆れた」
( ・∀・)「呆れた」
同時にロマネスクに近付く二人。
.
197
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 10:00:07 ID:h6rr3Xoo0
(;ФωФ)「くっ」
振り下ろされる直前の両手剣を弾きながらモララーの爪を攻撃する。
_
( ゚∀゚)「おっ」
( ・∀・)「おや」
すぐさま距離をとる二人。
( ФωФ)「ふふふっ。
この程度で吾輩を殺すつもりだとは片腹痛いのである」
_
( ゚∀゚)「殺さねぇよ!」
胴体を狙った横薙ぎの一戦。
( ФωФ)「はっ!」
縦に地面に突き刺した鎗の柄で両手剣を受け止める。
( ФωФ)「そしてこう来るのは分かっているのである!」
鎗を離し、背中に隠し装着しておいた短剣を握りしめて振る。
( ФωФ)「え?」
しかしそこには誰もいない。
( ・∀・)「ざんねーん」
上空から声が聞こえるとほぼ同時に、
モララーの爪がロマネスクの後頭部から背中を通り尻までを切り裂いた。
(;ФωФ)「ぐおっ」
声を漏らしながら仰け反ったロマネスクの肩口を切り裂くジョルジュの両手剣。
(;ФωФ)「ぐっ」
.
198
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 10:02:11 ID:h6rr3Xoo0
ロマネスクのHPバーが黄色に変わり、
地面を転がって二人から距離を取る。
そして短剣を構えると同時に目の前にいるジョルジュに気付く。
_
( ゚∀゚)「大人しくしていてくれ」
水色に光る両手剣。
( ФωФ)
振り下ろされる瞬間、
ロマネスクの短剣がロマネスクの心臓を貫いた。
赤に変わるHPバー。
( ФωФ)「はっはっはっはっはっは!」
( ・∀・)「ヒール!」
振り下ろされた両手剣がロマネスクの身体を袈裟懸けに切り裂き、
そのHPバーを黄色にした。
( ФωФ)「はっはっはっは……は?え?」
( ・∀・)「させないよー」
呆然と立ち尽くしたロマネスクの身体を切り刻むモララーの爪。
言葉は軽いがその表情は冷たく、怒りをにじませていた。
(;ФωФ)「なっ何故!」
踊るようなステップでロマネスクを翻弄しながら切り刻み、
そのHPバーを赤に変えた。
(;ФωФ)「ちっ」
バックステップで距離を取ったモララー。
短剣を闇雲に振り回すロマネスクに向かって爪の付いていない左手を振った。
.
199
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 10:03:26 ID:h6rr3Xoo0
( ФωФ)「仕切り直しである!」
ロマネスクは腰のポーチに手を伸ばそうとするが、
動きを止めてそのまま崩れ落ちた。
(;ФωФ)「ま……ひ……だと……?
なぜ……」
横向きに倒れ、
自分を見下ろすモララーを見る。
( ・∀・)「まだ情報の出回っていない麻痺毒だよ。
うちの調薬師が作ったやつ。
あ、すでにイベントボスとかで使うやつがいるから」
(;ФωФ)「麻痺……。
てい……こう……」
( ・∀・)「今までの麻痺毒に対して完全抵抗できる状態で、
HPバーがグリーンなら100パー抵抗できる。
で、黄色で半々、赤で90パー侵されるって」
(;ФωФ)!
( ・∀・)「もうすぐ意識も失うから聞いとけ。
……悪いけど、ジョルジュにお前を殺させるような真似はさせない。
逃げられないならジョルジュの心に傷を残そうとか、
お前の考える事なんかお見通しなんだよ。
目が覚めたら黒鉄宮でこのゲームがクリアされるまで大人しくしてろ」
( ФωФ)「!……。
……。
……。
ふっ……ふっ……ふ……」
.
200
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 10:04:38 ID:h6rr3Xoo0
( ・∀・)「なにを笑ってるんだか。
……おい、なんでジョルジュがこんな回りくどいことをしたか分かるか?
最後まで、あんたを信じてたんだよ。
おれが死んだ瞬間に、
そのことに後悔して、
苦しんでくれるんじゃないかって、
期待したんだ。
それをあんたは……って、
もう寝てるか」
目を閉じて横たわるロマネスク。
頭の上に浮かぶアイコンには麻痺と睡眠のマークが付いている。
_
( ゚∀゚)「モララー」
( ・∀・)「ん?」
それを見下ろしていた二人だったが、
ジョルジュが口を開いた。
_
( ゚∀゚)「さんきゅ。」
( ・∀・)「……ん。きにすんな」
_
( ゚∀゚)「……おう。さんきゅ」
互いの顔を見ずに会話する二人。
少しの沈黙ののち、ジョルジュが回廊結晶を使った。
.
201
:
名無しさん
:2017/12/17(日) 10:05:16 ID:./W1LyoA0
結局似てたのか似ていなかったのか・・・
202
:
名無しさん
:2017/12/17(日) 10:05:17 ID:JlQcnU8Q0
笑ってるのがこわいな
まだ何か企んでるのか
203
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 10:06:09 ID:h6rr3Xoo0
43.
(アスナ)「……はい。ありがとうございます。
これで、フロアボスに挑めます」
夕闇の迫る転移門広場に集合した者達。
ウインドウを操作する攻略組トップギルド血盟騎士団の副団長、
閃光ことアスナ。
その後ろには所在なさげに立つ黒尽くしの装備を身に付けた、
ビーター或いはブラッキーと呼ばれるソロ剣士キリト。
その横には、頬にペイントした髭が特徴のトップ情報屋、
鼠のアルゴがにやにやと笑って立っている。
(´・ω・`)「よろしくお願いします」
(アスナ)「はい。後は私達が。
キリト君、このあと打ち合わせするから。
これなら明日朝一で向かえる」
(キリト)「分かった」
(アスナ)「アルゴさん、出来れば情報提供者の立場から参加してください」
(アルゴ)「……まあ、今回は仕方ないかナ。
本当なら……」
視線をアスナから移動するアルゴ。
アスナとキリトも一人を見る。
(´・ω・`)「僕は遠慮させていただきます」
(アルゴ)「そういうと思ったけどネ」
ニッコリと笑ったショボンに向けて疲れた笑顔を見せるアルゴとアスナ。
.
204
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 10:08:01 ID:h6rr3Xoo0
川 ゚ -゚)
(`・ω・´)
('A`)
( ´∀`)
爪'ー`)
ショボンの後ろにいる5人も疲れたような笑顔を見せた。
(´・ω・`)「そうだアルゴさん、マッシロの皆への連絡と情報収集ありがとうございました」
(アルゴ)「いや、問題なかったヨ。
ショボン達が調査から外れて戦闘に入った後は
そこの彼がメインで動いて遺跡の調査が出来たから、
やったのはサポート程度だシ。
けど、VIPとN-S以外にこんなギルドを使っていたとはネ」
(´・ω・`)「使っているとは人聞きの悪い。
協力関係なだけですよ」
(アルゴ)「ま、そういう事にしておいてあげるヨ」
(´・ω・`)「よろしくお願いします」
(アスナ)「それでショボンさん。
例の殺人ギルドは……」
(´・ω・`)「一人逃がしましたが、
それ以外は黒鉄宮に。
ギルドとしては壊滅できたと思います」
.
205
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 10:09:03 ID:h6rr3Xoo0
(アスナ)「そうですか……。
出来れば詳しい話を伺いたいので後日ホームの方へ伺わせて下さい」
(´・ω・`)「それではレポートにしてアルゴさん経由で」
(アスナ)「伺わせてください」
(´・ω・`)「あ、いえ、レポートを」
(アスナ)「伺わせてください」
(´・ω・`)「……ではまた後日こちらから」
(アスナ)「ボス戦が終わり次第、
宜しくお願いします」
(´・ω・`)「……はい。
連絡をお待ちしております」
(アスナ)「ありがとうございます」
川 ゚ -゚)「(ショボンが押し負けた!)」
('A`)「(これがトップギルドの副団長の実力か!?)」
キリト「(攻略組に引き込むつもりか?)」
(アルゴ)「(アーちゃん料理スキル鍛える為に通うつもりだネ)」
ニッコリとほほ笑んだアスナにぎこちない笑顔を見せるショボン。
(´・ω・`)「そ、それでは今日はこの辺で」
(キリト)「あ、一つ質問していいかな」
(アスナ)「キリト君?」
(アルゴ)「キー坊?珍しいネ。
こんな場でキー坊が発言するなんテ」
.
206
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 10:10:17 ID:h6rr3Xoo0
手を上げたキリト。
それに対して二人は驚いたようなことを言うが、
ショボンは普通にうなずいた。
(´・ω・`)「どうぞ。
答えられることなら良いんですが」
(キリト)「あー。いや、別に大したことじゃないんだけど。
むこうでヘリカルちゃんが抱きついている男の子は誰かなって思って」
(アスナ)「 キリト、君?」
(アルゴ)「あー。キー坊は可愛い子は見逃さないからネ。
に、してもヘリカルちゃんは若すぎないかナ?」
(;キリト)「ち、違う!そういうんじゃなくて。
さっき『お兄ちゃん』って言ってたみたいだから」
(アスナ)「え?
でも、ヘリカルちゃんのお兄さんは……」
(´・ω・`)「はい。
あそこにいるぃょぅ君はヘリカルちゃんのお兄さんです」
(アスナ)「!」
(キリト)「ヘリカルちゃんのお兄さんは二人いたんですね」
(´・ω・`)「いえ、一人ですよ」
(キリト)「!」
(アスナ)「え、え?
でも、その、亡くなったって」
(´・ω・`)「彼女、
『亡くなった』とか『死んだ』とか言いました?」
(キリト)「……え?」
.
207
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 10:11:24 ID:h6rr3Xoo0
(アスナ)「そういえば……直接的な言葉は……」
(´・ω・`)「ぃょぅ君が自分から志願して、
死んだように見せかけて黒子として動いてくれまして。
ヘリカルちゃんには寂しい思いをさせてしまいました。
彼女も彼の思いは理解したようですが、
いくらそう見せる為でも直接的な言葉は口にしたくなかったみたいです。
アルゴさんはご存知でしたよね?」
(アルゴ)「ん?ああ。
ぃょぅ君の『Hiyou』って名前は消されていなかったからネ。
生きてることは知ってたヨ。
ただ、彼が黒子だとか、
あの時助けてくれたのが彼だと知ったのは最近だけどネ」
アルゴがニヤニヤと笑いながら話に乗る。
(キリト)「アルゴ!?」
(アスナ)「アルゴさん!?」
(キリト)「知ってたのか!?
あと、助けられたって?」
(アルゴ)「ショボンが何か企んでそうだったから色々調べていたからネ。
なるほど、それで合流した時変な空気だったのカ」
腕を組み、納得したと意思表示をするかのようにうなずいているアルゴ。
だがその表情はニヤニヤと笑っている為、
色々と台無しだった。
.
208
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 10:12:24 ID:h6rr3Xoo0
(キリト)「アルゴ……」
(アスナ)「アルゴさん……」
それぞれの表情でアルゴを見る二人。
そしてほぼ同じタイミングで二人の視線がヘリカルとぃょぅに移った。
(キリト)「……ヘリカルちゃんが幸せなら良しということで」
(アスナ)「……そうね」
(´・ω・`)「ありがとうございます」
(アルゴ)「小さくても女は女優ってことだネ」
呟いたアルゴを睨むキリトとアスナだった。
攻略組の二人と情報屋が去った後、
メンバーは移動をした。
ギルドVIP
ギルドN-S
プギャー達3人
ギコとしぃ
ぃょぅとヘリカル
ミセリ
ギルドマッシロから調査に参加した者達
そして、デレとフィレンクト。
40名を超える人数が余裕を持って入れる広さがホームには無いため、
VIP牧場の敷地に簡単なテーブルとイスを置いて打ち上げの準備をしていた。
.
209
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 10:13:33 ID:h6rr3Xoo0
屋台バーボンハウスも3号機まで準備されている。
(´・ω・`)「みんないいかなー」
簡易踏み台に乗ったショボンが声をかけると全員が手を止めてそちらを見た。
(´・ω・`)「だいたい準備を終わったみたいだね。
マッシロのメンバーで遅くなる人もいるけど、
今回の作戦に参加した皆はそろったから連絡事項と一回目の完敗をしちゃいます」
顔を向けるだけでなく体全体をショボンに向けるメンバー達。
座らされていたブーンは立ち上がろうとしたのをツンとドクオに実力行使で止められ、
更に目線でショボンに頷かれて渋々と居心地悪そうに一人座っていた。
(´・ω・`)「今日は本当にお疲れさまでした。
反省しなければいけない点や、
無茶したメンバーもいましたが、
まずは全員今ここにいられることを喜びたいと思います」
何人かのメンバーが視線をそらし、
その者を何人かがじっと見つめる。
(´・ω・`)「あとでお説教タイムが待っている人もいますが、
まずは打ち上げを楽しみましょう!」
項垂れる数名と、
それ以外の笑顔のメンバー達。
(´・ω・`)「それではとりあえずグラスを持ってください」
全員が近くのテーブルからグラスを持ち、
ショボンを見る。
今度はブーンが立ち上がるのを二人は阻止しなかった。
.
210
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 10:14:29 ID:h6rr3Xoo0
(´・ω・`)「みんな持ったかな?
では、かんぱーい!」
「「「「「「かんぱーい!!!!!」」」」」
その日は夜遅くまでVIP牧場はライトアップされ、
メンバーは思い思い楽しんでいた。
情報屋によって今回の件の表に出せる内容が解禁・報告・広報され、
ギルドVIPの名が生産ギルド以外の形でさらに大きく広まるのは、
数日後のことだった。
第二十四話
終
.
211
:
◆dKWWLKB7io
:2017/12/17(日) 10:17:05 ID:h6rr3Xoo0
以上、第二十四話でした!
長かった!長かった!長かった!!
って、この程度で長いとか言ったらダメなんですけど。
でもまぁ書きたいところはちゃんと書けたかなって感じです。
次はナンバリングか閑話か。
今回の話の後日談的なものか最終話に入っていくか。
伏線的な思わせぶりなところはほぼ回収してある予定ですが、
とりあえず一回読み直して次に入る予定です。
感想やおつ、
そして朝から支援、
ありがとうございます!!
ではではまたー。
.
212
:
名無しさん
:2017/12/17(日) 10:32:31 ID:JlQcnU8Q0
乙
みんな無事でよかった
213
:
名無しさん
:2017/12/17(日) 13:24:34 ID:vR7hzeG.0
乙!
この打ち上げの話を書いて欲しいなぁ…
214
:
名無しさん
:2017/12/17(日) 13:59:52 ID:HD/gySe20
乙です\(^o^)/
あと誤字で完敗→乾杯ですよね。
番外編ではアスナがショボンの所にきた時を読んでみたいw
215
:
名無しさん
:2017/12/17(日) 15:00:53 ID:.8xZZgu.0
モララー生きてたぁぁぁぁぁぁ!!!!
216
:
名無しさん
:2017/12/17(日) 15:05:20 ID:aq.PMnt60
乙
いよいよ最終話が近いな……
217
:
名無しさん
:2017/12/17(日) 22:17:33 ID:Bz4XLd2Q0
やっぱり生きてるのなwwつまんね
218
:
名無しさん
:2017/12/19(火) 09:00:20 ID:Yerl04vI0
十分予想可能な結末
個人的に大団円歓迎なんで、いいぞもっとやれ状態です
219
:
名無しさん
:2017/12/19(火) 17:13:22 ID:S8HFesx20
原作内容に即した展開だし壊れやすいのも言ってたしね
だいいちショボンが万が一でも誰か死なせる可能性は出来る限り消してるだろうし
ていうか現実がままならないんだからフィクションぐらい最高の結末を望みたい
220
:
名無しさん
:2017/12/19(火) 21:45:56 ID:XLUWE9L2O
乙
原作読破済み勢はモララー生きてるのはわかってた
早く続きが読みたい所だけど次は
閑話:説教タイム
が見たいです。
221
:
名無しさん
:2017/12/21(木) 21:36:43 ID:vq0c46a.0
まあ色々とこんな展開なのはわかってたけどなんか俺TUEEEEし過ぎ
222
:
名無しさん
:2017/12/22(金) 10:26:35 ID:AWnLg/8I0
俺TUEEEEEはご都合主義の最強設定だろ
今回については原作と伏線、キャラ設定を上手く使ってたと思うぞ
これだけ伏線貼っておいてご都合主義と言われるとなんでもそうなるしな
原作やメディアミックスを知ってると色々と考えることが出来て面白かった乙
223
:
名無しさん
:2017/12/22(金) 12:19:12 ID:el6T1h2E0
そもそも俺じゃないじゃん
224
:
名無しさん
:2017/12/22(金) 17:45:17 ID:4H8JfrWo0
中層最強クラスで最前線行かないのが不思議だってのはずっと言われてるし、対人訓練積んでる描写もちゃんとあるからな。攻略組も手を焼くラフコフならともかくコソコソ後釜狙う少人数PK集団じゃ・・・
225
:
名無しさん
:2017/12/22(金) 20:36:25 ID:2hAdBT5g0
多分叩いてるの同じ奴だろ粘着乙
226
:
名無しさん
:2017/12/22(金) 23:31:39 ID:Z58E/9U.0
多分とか……
面白いからいいんだけどさ正直そろそろ一匹ぐらい逝ってくれないかなとは思うけどな
227
:
名無しさん
:2017/12/23(土) 02:37:10 ID:rku0nmfw0
正直原作キャラと絡ませるには強すぎない?とは思うな
ところどころ命を賭けてる攻略組に当たりが強いのもなんだかな
228
:
名無しさん
:2017/12/23(土) 02:56:49 ID:xTUIr5uw0
こまけぇこたぁ!いいんだよ!
229
:
名無しさん
:2018/01/03(水) 00:45:46 ID:C4PpTVH60
それより原作キャラ出してるけどちゃんと許可取ってんの?そこが問題
230
:
名無しさん
:2018/01/03(水) 10:00:22 ID:O7xxBK3M0
>>229
もはや懐かしいw
231
:
名無しさん
:2018/01/21(日) 23:52:04 ID:bKV/sM.o0
生きててよかった……
乙です
232
:
名無しさん
:2018/03/12(月) 14:52:07 ID:4Yqd1BhU0
引退って嘘や
233
:
名無しさん
:2018/03/15(木) 07:40:35 ID:S8JJCzmI0
これがこの小説のメインの話だったんだろうけど本家キャラと関わってくのが終始寒くて読むのキツかったわ
ご都合はまあショボン様ならもうなんでもいいかなって感じ
というのが叩かれるの覚悟の主観的な感想
またゆるいエピソードいくつかやってほしい
234
:
名無しさん
:2018/03/20(火) 12:58:35 ID:S7kXbE3o0
今まで楽しく読ませていただきました
お疲れ様です
235
:
名無しさん
:2018/03/20(火) 17:15:27 ID:z92LdbhQ0
引退ってそれどこ情報なの?
236
:
名無しさん
:2018/03/24(土) 21:26:57 ID:ZgvPTLj.0
まだー
237
:
名無しさん
:2018/03/31(土) 23:49:12 ID:ybJdRZSw0
「明日エイプリルフールネタで1話更新」に10000000ジンバブエドル
238
:
名無しさん
:2018/04/01(日) 07:43:32 ID:NpZ3lNB20
>>235
嘘や
って書いてるやん
見えへんのか?
239
:
名無しさん
:2018/04/01(日) 15:34:47 ID:zCXb5G3Y0
>>238
ネネネネットで方言wwwww
240
:
名無しさん
:2018/04/02(月) 11:04:24 ID:kO2cHtCI0
なんJを知らないらしい
241
:
名無しさん
:2018/04/08(日) 09:53:04 ID:4fbgJQmI0
そもそも
ワイはおんj民なんだよなあ
242
:
名無しさん
:2018/04/13(金) 01:18:35 ID:gUguWUrI0
やめて!わたしの為に争わないで!!
おんJ民にも伝わるように言い換えると
やめるんごぉおお!
わいの為に争うのはやめて…やめてクレメンス…
243
:
名無しさん
:2018/04/18(水) 20:11:36 ID:ybP8/3bY0
ずっと待ってるぞー
244
:
名無しさん
:2018/05/05(土) 07:43:26 ID:zew9k.tQ0
実質引退みたいなもんか
ずっと見てただけに寂しいなあ
イチロー
245
:
◆dKWWLKB7io
:2018/06/17(日) 14:39:25 ID:ar1qzQbE0
誰もいない
投下するならいまのうち
|Д`)・・イマノウチ ♪
.
246
:
◆dKWWLKB7io
:2018/06/17(日) 14:42:48 ID:ar1qzQbE0
第 J 話 閑話 そして少年は踵を返す。
あの日から、あの日までは、地獄だった。
ただ生きる事だけを、
ただただ連れてきてしまった妹を守る事だけを考えて、
ギリギリの中を、
生きた。
裏切られ、
妹以外誰も信用できなくなり、
自分達の力だけでは逃げ出すこともできない街に囚われ、
人におびえながら、
何とか確保できる食料を得るために、
木の下にいた。
あの日。
変わらない、絶望しかない毎日の続いたあの日。
僕達は、あの人達に会えた。
*(‘‘)*「お兄ちゃん、今日はどこに行く予定なんですか?」
(=゚ω゚)「今日はブーンさんとドクオさんと狩りに行ってくるよう」
.
247
:
◆dKWWLKB7io
:2018/06/17(日) 14:44:10 ID:ar1qzQbE0
四人掛けのテーブルで、
妹の作ってくれた朝食を食べる。
(=゚ω゚)「ヘリカルはどうするんだよう」
*(‘‘)*「しぃさんが納品に来てくれて、
その後はしぃさんとギコさん、あとモララーさんと合流して狩りの予定なんですよ」
道具屋を任されているヘリカル。
この家は低層で中央からは少し外れた位置にあるけれど、
店舗と倉庫が付いて、ダイニングと個室が五つ付いた少し大きめの家だ。
もちろん自分が買ったわけじゃなくて、
ギルドVIPが買った建物を使わせてもらっている。
道具屋で売っている物もヘリカルの鑑定スキルが上がるまでは買取はしないで、
ブーンさんが道具屋で仕入れたアイテム、
兄者さんの作った武器、
弟者さんの作った防具、
クーさんの作った薬、
ツンさんの作った服、
モララーさんの作ったアクセサリー、
フサギコさんの作ったお菓子なんかを扱っている。
品のレベルは低層に合わせたものだけだけど、
質の良い物が揃っていると、
この先にあるレベル上げに向いた森に向かうプレイヤーの間では、
評判になっているみたいだ。
あと、よくわからないけど『偽装は完璧!』らしい。
ニヤリと笑った六人の笑顔が怖かったのは内緒。
*(‘‘)*「あと、ブーンさんにこの前許可をもらったので、
鑑定での買取を開始するんですよ!」
(=゚ω゚)「!大丈夫なのかよう」
*(‘‘)*「ちゃんとテストに合格したんですよ!
ブーンさんから太鼓判を貰ったのです!」
.
248
:
◆dKWWLKB7io
:2018/06/17(日) 14:45:53 ID:ar1qzQbE0
(=゚ω゚)「でも心配だよう」
*(‘‘)*「これも貰ったんです!」
ヘリカルが胸を張りながら少し大きめのボードを出す。
そこには
『アインクラッド道具屋協会認定店』
と書かれており、その下には
『鑑定に問題があった場合は、協会もしくは下記道具屋まで連絡してください』
と記載があり、二人の人物の名前が記載されていた。
(=゚ω゚)「これは!」
*(‘‘)*「ブーンさんに特訓してもらって、
ちゃんと認定試験にも受かったんですよう!」
道具屋協会とはプレイヤーの道具屋が集まって作っているシステム外ギルドで、
道具屋同士で価格の調整や情報の共有をおこなっていると聞いていた。
ほとんどが中層、上の方の中層に店を構える人達の集まりで、
もしかするとこの店が一番低層かもしれない。
*(‘‘)*「ブーンさんの口利きでマイヤーさんにも推薦を貰えたんですよ!」
そう、驚いたのはその下にある二人の名前。
ロッペンマイヤーさんは眼鏡をかけた痩せた男の人で、
一見商売人には見えないが、おそらくはアインクラッドで一番の『商店』のオーナー。
ショボンさんが苦笑いを浮かべながら『あの人は凄い』って言っていたのを覚えている。
エギルさんは攻略組のトップを走りながら道具屋を営む男性で、
スキンヘッドで体が大きくてちょっと怖かったけど、
話してみるとすごくいい人で良くしてもらっている。
こちらはドクオさんが『道具屋やりながらなんで攻略組に居られるんだ』と不思議がっていた。
そして、エギルさんからは一つ依頼を受けていて、
ヘリカルはそのためのアイテムを常に身に付けていた。
.
249
:
◆dKWWLKB7io
:2018/06/17(日) 14:47:32 ID:ar1qzQbE0
*(‘‘)*「マイヤーさんはもともとエギルさんの活動に協賛していて、
ここにも何回か視察に来ているんですよう」
『エギルさんの活動』
それは中層プレイヤーの育成・強化。
「攻略組は凄いと思うし、尊敬してるよ。
でもね、彼等がどんなにレベルを上げて強くなったとしても、
それを支えるためには生産組が必要なんだよ。
激レアのドロップ品ならともかく、
今は既にプレイヤーメイドの武器や防具の方がNPC売りや通常ドロップよりも高性能だ。
もちろん衣服やアクセサリー、POTなんかもね。
でも、生産組が生産したものは流通させなければ意味が無いし、
根本的に生産するためには素材が必要で、素材の流通が必要なんだ。
そして、攻略組以外にも流通した商品を買う者がいないと、
経済は滞る。
需要があるから供給するけど、
供給を継続するためにはそれ以上の需要が無いとだめなんだ。
だから『攻略組以外の生活に余裕があるプレイヤー』がいてくれないとまずい。
あとこの世界では生きたいと願う者が自分の力で生きる為には『強さ』が必要だからね、
低層から中層で戦っているプレイヤーに、
戦い方を教えたり有用なアイテムを安価で供給できるシステムはあった方が良いんだ。
低層プレイヤーへの戦い方の教授や中層プレイヤーのレベルの底上げは、
攻略組の層を厚くすることだけが目的じゃないんだよ」
ショボンさんから仕事としてエギルさんの活動の手伝いを依頼されたときに言われたことを思い出す。
そしてヘリカルのツインテールの結び目に目をやると、
リボンに隠れてアイテムが少しだけ見えた。
*(‘‘)*「マイヤーさんからレベル確認のアイテムも精度の高いモノを渡されたんですよ」
その視線を感じたのか、ヘリカルが答えた。
.
250
:
◆dKWWLKB7io
:2018/06/17(日) 14:48:47 ID:ar1qzQbE0
『レベル鑑定アイテム』
レアアイテムだけど、
それほど有用でもないので重用はされていないアイテム。
付けている自分と比較して相手のレベルが上か下かを知るアイテム。
今までヘリカルが付けていたのは上か下かを知るだけだけど、
今付けているのはプラスマイナス5以上か以下かも知ることが出来るらしい。
それを使ってお客さんがレベル詐称をしていないかどうかを確認している。
ここではやっていない戦闘訓練はともかく、
アイテムを安価で販売したりするにはレベルを指標の一つにしているから。
*(‘‘)*「このリボンもマイヤーさんから頂いたんですよ。
時々やってきた時はいつもプレゼントしてくれて、
髪に結んでくれたりするんですよ」
あ、……うん。
要注意人物だった。
気を付けよう。
お店には常連さんもいる。
もう奥の森には用事が無いはずなのに、
わざわざうちの店に来てくれるお客さん。
中にはヘリカル目当ての危険な人もいるけれど、
ほとんどは良い人。
今の段階で奥の森に自力で挑戦できる人は、
それなりの意識を持っている人だからそれほど変な人は来ないはずと聞いていたけれど、
本当にそんな感じだった。
というか、ヘリカル目当ての人も良い人ではある。
店の隅に作られた休憩スペースの一部にローテーションで二人くらいいて、
ヘリカル目当ての本当にやばい人や、
たまにいる気性の荒い人なんかを抑えてくれたりする。
ヘリカルも仲良くなってお茶とか出している。
.
251
:
◆dKWWLKB7io
:2018/06/17(日) 14:50:17 ID:ar1qzQbE0
だから心配は心配だけど、
この世界ではエリアからでなければほとんどの事はシステムが守ってくれるから、
まあ大丈夫だと思っている。
少し話がそれた。
それで、何が言いたいかというと、
あの人も、うちの常連さんだった。
と、いうことを、言いたかった。
(=゚ω゚)「(……あれは、イーユウさんだよう)」
隠密スキルと装備の実験もかねてギルドVIPの影をコソコソしている時に、
フラワーガーデンで女性と仲良さそうにしている『常連さん』を見つけた。
E(YoU)「ぃょぅ君っていうんだ!綴りだけ見ると僕の方が『いよう』だね」
『e-YOU』さん。
僕の『Hiyou』と比べると、
確かにそうかもなんてことを思って、
それから仲良くなった。
E(YoU)「攻略組は無理だけど、強くなりてぇな。
美味しいモノいっぱい食べられるくらい!
なあ、『バーボンハウス』って知ってるか?
コル貯めて時々行くんだけど、うまいんだあの店!」
少し大きな耳が特徴的な、気のいいお兄さん。
うちの店がVIPの人達と関わりがあるのは一応秘密だから、
愛想笑いしかできなかった。
E(YoU)「おれ、リアルで弟と妹がいるんだよ。
早く帰って会いたいなー」
.
252
:
◆dKWWLKB7io
:2018/06/17(日) 14:53:28 ID:ar1qzQbE0
三日おきくらいにやってきて、買い物をしつつお菓子や食べ物をくれて、
休憩スペースでお茶をして去っていくお兄さん。
E(YoU)「彼女が出来たんだよ!今度連れてくるぜっ!」
そういえばそんなことを言っていたなと思いつつ、
意識をフサギコさん達に戻した。
イーユウさんを見たのは、
その現場を見てしまったのは、
それからひと月以上あとのことだった。
二人の歩く少し後方の森の中を、
僕も歩いた。
森でイーユウさんと女の人を見かけた時に、
隠蔽の訓練もかねて街までついて行ってみようと思ったからだった。
ヘリカルも会いたがっていたし、
街に付いたら声をかけてみようとも思っていた。
手を繋いだりはしていないけど、
距離感とか、
笑顔とか、
恋人みたいだった。
後でからかおうと思って、使い捨てじゃない記録結晶を作動させた。
二人は、凄く仲良さそうに歩いていた。
だから、理解できなかった。
.
253
:
◆dKWWLKB7io
:2018/06/17(日) 14:54:29 ID:ar1qzQbE0
最初は目の前に三人の男が出てきた。
今でも、思う。
あの時僕はどうすればよかったのか。
どうすれば、あの人を助けられたのか。
三人の男が出てきた時か、
女の人を守るようにイーユウさんが前に出た時か、
その背後に更に人が出てきた時か、
男たちがイーユウさんに攻撃をしてきた時か。
僕はいつ、何をすればよかったのか。
女が、後ろからイーユウさんを攻撃したのを、
驚いたように振り返ったイーユウさんを、
男たちが攻撃するのを、
イーユウさんがポリゴンになって消え去るのを。
僕は見ていることしかできなかった。
.
254
:
◆dKWWLKB7io
:2018/06/17(日) 14:55:27 ID:ar1qzQbE0
どうやって戻ったのか分からない。
渡されていた転移結晶が減っていたから、
多分それで逃げたのだとは思うけど、
減っていたのは一つじゃなかったから、
闇雲にいくつも使ったのかもしれない。
それでも最初にヘリカルの所に戻らなかったのは、
ヘリカルにそんなことを言えるわけがないこと以上に、
僕は縋りたかったんだと思う。
フサギコさんのいるはずのバーボンハウスに行ったとき、
既に店は閉店していて、
店にはフサギコさんとショボンさんがいた。
閉店していても店のドアを開けることが出来たのは
フサギコさんが僕とヘリカルをそういう設定にしてくれていたからだけど、
その時の僕はそんなことは何も考えずただドアを開けて、
転がり込んで、
フサギコさんの顔を見たとたん。
泣き出した。
次に覚えているのは、
僕から訳の分からない説明をちゃんと聞きだしてくれたショボンさんの怖い顔と、
僕を抱きしめてくれたフサギコさんの今にも泣きだしそうな表情。
二人の顔を見て、
僕は何故か安心して、
大泣きして、
意識を手放した。
.
255
:
◆dKWWLKB7io
:2018/06/17(日) 14:56:28 ID:ar1qzQbE0
目を開けると、
着物姿のフサギコさんがいて、
奥ではフォーマルなコート姿のショボンさん。
それに青い軽鎧を装備したブーンさんと、
いつもの黒いコートを装備したドクオさんが話しているのが目に入った。
(=゚ω゚)「ここは……」
ミ,,゚Д゚彡「まだ寝てるといいから」
僕が目を開けた事に気付いたフサギコさんが覗き込んでくる。
僕は長椅子に横になっていて、
身体には布がかけられていた。
バーボンハウスには、他にも何人かいて静かに話をしているようだった。
(=゚ω゚)「……僕」
川 ゚ -゚)「ヘリカルちゃんの所にはしぃとギコに行ってもらっている。
君は奥の部屋で休むと良い」
ξ゚⊿゚)ξ「とりあえず、休みなさい」
川 ゚ -゚)「後でギコはこっちに戻しておくから」
袴姿のクーさんと、
ゴスロリ姿のツンさん。
店の中に視線を走らせると、
ちぐはぐな姿のギルドVIPのメンバーだ。
知らない人は分からないと思うけれど、
VIPの影に付いたことがある僕は知っている。
それが、みんなの完全武装だということを
そして、何をしようとしているのかもうっすらと理解した。
(=゚ω゚)「……僕も、連れて行って欲しいょぅ」
.
256
:
◆dKWWLKB7io
:2018/06/17(日) 14:57:32 ID:ar1qzQbE0
ミ,,゚Д゚彡!
川 ゚ -゚)!
ξ゚⊿゚)ξ!
思わずこぼれ出た言葉
怖くて怖くて仕方ないけど、
でもどこか夢の中のような、
現実的ではないような。
だからきっと、こんなことを言えたんだと思う。
(=゚ω゚)「イーユウさんの敵を討つなら、僕も行きたいんだょぅ」
僕はもっと、弱虫なのに。
ミ,,゚Д゚彡「……ぃょぅ君」
(´・ω・`)「相手を倒すつもりはないよ。
捕まえて、黒鉄宮の牢獄に送る」
(=゚ω゚)「……牢獄」
川 ゚ -゚)「本来ならシステムで違反されていることを行った者達が一定の期間入れられる牢獄だが、
今はPKを行った者達を永久に入れることが出来るようになっている。
君が見た者達を、そこに入れるつもりだ」
('A`)「記録結晶の映像があるから証拠もバッチリだしな」
(=゚ω゚)「あっ」
ミ,,゚Д゚彡「……あれが決め手だから」
(=゚ω゚)「練習用に、渡されていたから……」
ξ゚⊿゚)ξ「もういいから。休んでいなさい」
ツンさんが僕の頭を撫でる。
出そうになった涙を必死に我慢した。
.
257
:
◆dKWWLKB7io
:2018/06/17(日) 14:58:34 ID:ar1qzQbE0
(=゚ω゚)「僕が……助けられなかったから」
( ^ω^)「悪いのはそいつらで、君は悪くないお」
(=゚ω゚)「見ていることしか、出来なかったから」
(´・ω・`)「それが正解だよ。
君まで被害にあっていたかもしれない」
(=゚ω゚)「僕が……弱いから」
ミ,,゚Д゚彡「強いとか弱いとかの問題じゃないから」
(=゚ω゚)「僕は、ちゃんと戦いたいんだょぅ」
ミ,,゚Д゚彡!
(´・ω・`)!
( ^ω^)!
(=゚ω゚)「逃げるのが最善の時があるのは分かっているょぅ。
でも、戦う道を選べる状態で逃げる事を選択するのと、
ただ逃げる事しかできないのは違うと思うんだょぅ」
ミ,,゚Д゚彡「ぃょぅ君……」
('A`)「分かった。
一緒に行こう」
(´・ω・‘)「ドクオ!?」
('A`)「男が腹くくったんだから連れてってやらなきゃダメだろ。
男として」
ξ゚⊿゚)ξ「男とか女とか関係ないわよ。
バカなこと言ってんじゃないの。
……でも、そうね……一緒に行きましょう」
.
258
:
◆dKWWLKB7io
:2018/06/17(日) 14:59:41 ID:ar1qzQbE0
( ^ω^)「ツン!?」
ξ゚⊿゚)ξ「だって、絶対忘れる事なんてできないもの。
望むなら圏内から出ない生活を送る手助けをしてあげられるけど、
ヘリカルちゃんを守るためにもこの子はそれを望まないでしょ。
なら、乗り越えるチャンスは多い方が良いのよ」
川 ゚ -゚)「ツン……。
そうだな。
私とツンが無理はさせない。
ショボン、サブマスターとして承認する。
彼を連れて行こう」
( ^ω^)「ツン……クー……」
(´・ω・`)「ほんと、クーはサブマスターなのを都合よく使うよね」
川 ゚ -゚)「ふっ。
それくらいしかこの役職にうま味は無いからな」
(´・ω・`)「わかった。
ぃょぅ君、一緒に行こう。
でも、こちらの指示には従ってもらうよ」
(=゚ω゚)ノ「!はいだょぅ!」
勢い良く手を上げた僕を、
皆はそれぞれに複雑な顔で見ていた。
.
259
:
◆dKWWLKB7io
:2018/06/17(日) 15:01:01 ID:ar1qzQbE0
向かった先は12層の森の中。
低層で、うまみも少ない今は人気のないエリア。
何故そこなのか、
何故あいつらがそこにいる事がわかったのか聞くと、
(´・ω・`)「……情報屋さんって、怖いよね」
と、ショボンさんが困ったように呟いたのでそれ以上は聞けなかった。
後でカップルの個人情報を集めている情報屋さんがいて、
そこからイーユウの彼女の情報を得たことを知った。
そんな情報集めてどうするのか不思議だったけど、
皆も聞いてほしくなさそうだったから聞かなかった。
そして目の前には、
あの女と男たちがいた。
あの光景を思い出し、恐怖で体が震えた。
すると、肩に手を回された。
ξ゚⊿゚)ξ「大丈夫よ」
左にいたツンさんが、
肩に手を回してくれた。
川 ゚ -゚)「ああ、大丈夫だ」
右にいるクーさんが、
僕の震えている手をやさしく握ってくれた。
(=゚ω゚)「……ありがとうだょぅ」
前を向きながら呟くと、
同じように前を向いている二人が優しく微笑んだ気がした。
.
260
:
◆dKWWLKB7io
:2018/06/17(日) 15:02:15 ID:ar1qzQbE0
(´・ω・`)「……今の記録映像より、
貴方達はPKを行っているギルドとみなしました」
ショボンさんとドクオさん、
ブーンさんがあの人達の前で話をしているのを、
僕は横の茂みに隠れて見ていた。
(´・ω・`)「大人しく黒鉄宮の牢獄へ向かってください。
逃げるのならば、この映像を情報屋を通じて全プレイヤーに公開します」
(ヘイシャオ)「……ちっ」
(ショウロン)「だからあんな手使わないで普通にやっちまえばよかったんだ」
(ヘイシャオ)「ショウロン。
だってあいつが本当にプロテクトリングプラスをドロップしてたかどうかわからなかったし」
(ショウロン)「どうせ殺すんだからおなじだったろ」
(ヘイシャオ)「だって、私達はPKギルドじゃなくて、
お宝ハンター、だって言ってたじゃない。
殺してでも欲しいものは奪うけどさ。
だから本当に持っているか調べるために付き合ってるふりまでしたのに。
だいたいあいつがもっと早く私にプレゼントしてくれれば殺すことも無かったのよ」
イーユウさんの彼女が、
体験を担いだ鎧姿の男の人に寄り添う。
その後ろには男の人が5人と女の人が1人いる。
.
261
:
◆dKWWLKB7io
:2018/06/17(日) 15:04:17 ID:ar1qzQbE0
(餃)「おいおい、どうすんだよ」
(焼)「逃げたら全プレイヤーに公開するってよ」
(餡)「やだー。
もう街を歩けなーい」
(津)「なら、まあ、やることは一つだな」
8人の男女がショボンさん達に武器を向けた。
(ショウロン)「ああ、殺るだけだ」
男がニヤリと笑ってショボンさんに向かって駆けだそうとする。
(=゚ω゚)「!」
思わず立ち上がったその時には、
男の喉元にブーンさんが片手剣の切っ先を当てていた。
( ^ω^)「ちょっとでも動いたら切るお」
.
新着レスの表示
名前:
E-mail
(省略可)
:
※書き込む際の注意事項は
こちら
※画像アップローダーは
こちら
(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)
スマートフォン版
掲示板管理者へ連絡
無料レンタル掲示板