（　･∀･）白い病のようです

1： ◆qV/5.YKfTk：2017/08/26(土) 23:08:03 ID:XmNagtEE0: 世界中の人類はきっと、0.01%と99.99%に別れているのだと思う。

前者は経済、スポーツ、政治、戦争などあらゆる分野で歴史に名を残す偉人。後者は、彼らを遠巻きに眺めつつその他大勢として自分の生を送る凡人。

私はと言えば満場一致の999.99%に属する人間で、事実特に何事も───良くも悪くも何ら変哲のない人生を35年間歩んできた。

普通の家庭に生まれ、普通の学校に通い、普通の友達を作り、普通の企業に勤めて、普通の恋愛をして、普通に結婚をする。

“普通”がゲシュタルト崩壊間近になるような人生だったけれど、だからこそ“普通”に幸せだった。0.01%の主役達のように脚光を浴びることは決して無いが、そもそもそれは私には不要な光。

不相応なスポットライトに照らされても眩しいだけで、楽しくもなんともない。99.99%のままでいられることもまた、私にとっては幸せの一部だ。
2： ◆qV/5.YKfTk：2017/08/26(土) 23:11:17 ID:XmNagtEE0: ところが、私がごく普通の───だけど、私にとってかけがえのない宝物である男の子を授かってから、10年目。

気まぐれな神様は、私と息子を突然観客席から0.01%の舞台へと引っ張り出した。

嗚呼、だけど。

('、`*川「………………すみません、先生。私ちょっと耳がおかしくなってしまったようで。

もう一度、おっしゃっていただけませんか？」

('(ﾟ∀ﾟ∩ 「………えぇ、そうですね。受け入れられないのも無理はないと思います。

ですが奥さん、どうか落ち着いて、そしてもう一度僕が言うことをしっかりと聞いて下さい」

こんなスポットライトのあて方は、

（　 ∀ ）

('(ﾟ∀ﾟ∩ 「貴方の息子さん、モララー君は病気にかかっています。それも、世界でただ1人しか症例が確認されていなかった究極的に特殊な病気です。

……まさか二人目の罹患者とは、医学界を揺るがす極めて重大な事例だ」

( 、　川

あんまりだ。
3： ◆qV/5.YKfTk：2017/08/26(土) 23:12:29 ID:XmNagtEE0: ('(ﾟ∀ﾟ∩ 「モララー君は、シライ病にかかってます」

('、`*川「はい？」

（　･∀･）「ｱｧｱｱｱｲ!!!」
4： ◆qV/5.YKfTk：2017/08/26(土) 23:13:56 ID:XmNagtEE0: （　･∀･）白(しら)い病(びょう)のようです
5： ◆qV/5.YKfTk：2017/08/26(土) 23:16:34 ID:XmNagtEE0: ('、`*川「あの、先生」

('(ﾟ∀ﾟ∩ 「なんだい！？」

('、`*川「シライ病って……その……なんですか？」

('(ﾟ∀ﾟ∩ 「見ての通りだよ！！」

('、`*川「………」

（　･∀･）「ｱｧｱｱｱｲ!!!」

('、`*川「叫んでますね」

('(ﾟ∀ﾟ∩ 「そうだよ！！！」

（　･∀･）「ｱｧｱｱｱｲ!!!　ｱｧｱｱｱｲ!!!」

('、`*川「……うるさいですね」

('(ﾟ∀ﾟ∩ 「そうだね！！！」

('、`*川「……」

('(ﾟ∀ﾟ∩ 「……」

（　･∀･）「ｱｧｱｱｧｧｧｱｲ!!!」

('、`*川「えっ、それだけ？」

('(ﾟ∀ﾟ∩ 「そうだよ！！」

（　･∀･）「ｱｧｱｱｱｲ!!!」
6： ◆qV/5.YKfTk：2017/08/26(土) 23:19:00 ID:XmNagtEE0: ('(ﾟ∀ﾟ∩ 「まぁより詳しく知りたい人は、“球審　白井”でググればいいよ！」

('、`*川「ググれば解るのかよ世界にただ一例の難病じゃないのかよ。それ以前にワードが何かおかしいけど」

('(ﾟ∀ﾟ∩ 「シライ病は珍しいけど命に別状はまっっっっっったくないからね！そこについては安心していいよ！」

('、`*川「別状のなさを滅茶苦茶強調された……これは間違いなく死なない」

（　･∀･）「ｱｧｱｱｱｲ!!!」

('、`*川「というか先生、さっきとキャラがもの凄く変わってますね」

('(ﾟ∀ﾟ∩ 「一瞬興奮したけどよくよく考えたらこんな間抜けな病気だし、別にいいかって思ったよ！！」

('、`*川「医者の風上にも置けませんね」

('(ﾟ∀ﾟ∩ 「いっそ命にも関わる病気だったら色々と映えたのにね！！」

('、`*川「背骨抉るぞ」

（　･∀･）「ｧｧｱｱｱｲ!!!!」
7： ◆qV/5.YKfTk：2017/08/26(土) 23:20:52 ID:XmNagtEE0: （　･∀･）「ｱｧｱｲ､ｧｧｧｧｱｱｲ!!!」

('、`*川「なんかちょくちょくｱｧｱｱｱｲ!!!のパターンが変わる」

（　･∀･）「ｧｧｧｧｧｧｲ!!!」

('、`*川「息子が何かを訴えかけているのは解るけれどその内容がわからない、悲しい」

('(ﾟ∀ﾟ∩ 「そうだねモララー君！！僕もそう思うよ！！！」

('、`*川「なんでお前は解るんだよちょっと泣きそうなんだけど」

('(ﾟ∀ﾟ∩ 「シライ病は治療法が確立されていない奇病だけど、唯一の罹患者はなんせ40年もこの病だから　ね！感染者との意思疎通の方法はかなり解明が進んでるよ！！」

('、`*川「早く治療法見つけてやれよそれ絶対ただ放置されてただけだろ」

('(ﾟ∀ﾟ∩ 「因みに今のは『お母さん、大変なことになっちゃったけど安心して。僕は案外元気だから。お母さんは僕の言葉を今は解らないかも知れないけど、僕はお母さんの言葉も気持ちも解るからね。これから2人で克服していけば大丈夫』って言ってたよ！！！」

('、`*川「凄い感動的でまた泣きそうだけど言語効率良すぎだろ」

（ ･∀･）白い病のようです